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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】撮像装置、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20231214BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20231214BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20231214BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20231214BHJP
   H04N 23/40 20230101ALI20231214BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20231214BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231214BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231214BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20231214BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
A61B1/04 530
A61B1/00 511
A61B1/045 630
A61B1/06 611
G02B23/24 B
H04N23/40 300
H04N23/45
H04N23/50
H04N23/55
H04N23/56
H04N23/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019151778
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021029510
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳也
(72)【発明者】
【氏名】工藤 裕真
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-235591(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125724(WO,A1)
【文献】特開2010-021745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
H04N 1/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光源及び励起光源とともに撮像システムを構成する撮像装置であって、
入射光を2種類以上の波長帯域の光に分解する光学素子と、
前記光学素子により分解された前記2種類以上の波長帯域の光をそれぞれ受光する複数の撮像素子と、
ビニング処理が実行される第1モードにおいて、フレーム内の2つの期間のうちの1つの期間で消灯させるパルス制御を行うように前記白色光源を制御し、前記ビニング処理が実行されない第2モードにおいて、常に消灯させるように前記励起光源を制御する発光制御部と、
を備え、
前記ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、前記複数の撮像素子のうちの少なくとも1つの撮像素子の画素は、他の少なくとも1つの撮像素子の画素に対して、水平方向及び垂直方向の少なくとも1方向において、半画素ずれて配置されている、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1モードと、前記第2モードとを切り替える切替制御部、
を更に備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1モードにおいて、前記第2モードと同じ出力画素数になるように、前記ビニング処理が実行された画素に対して処理を施す処理部、
を更に備える請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1モードにおいて、前記第2モードよりも高速で前記複数の撮像素子を駆動制御させる駆動制御部、
を更に備える請求項2又は3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1モードにおいて前記複数の撮像素子の各々から出力される映像信号が表示部に出力される出力レートは、前記第2モードと同じである、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記発光制御部は、前記第1モードにおいて、常に点灯させるように前記励起光源を更に制御する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
白色光源及び励起光源とともに撮像システムを構成する撮像装置の制御方法であって、前記撮像装置は、
入射光を2種類以上の波長帯域の光に分解する光学素子と、
前記光学素子により分解された前記2種類以上の波長帯域の光をそれぞれ受光する複数の撮像素子と、を備え、
前記制御方法は、
発光制御部が、ビニング処理が実行される第1モードにおいて、フレーム内の2つの期間のうちの1つの期間で消灯させるパルス制御を行うように前記白色光源を制御する工程と、
前記発光制御部が、前記ビニング処理が実行されない第2モードにおいて、常に消灯させるように前記励起光源を制御する工程と、
を有し、
前記ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、前記複数の撮像素子のうちの少なくとも1つの撮像素子の画素は、他の少なくとも1つの撮像素子の画素に対して、水平方向及び垂直方向の少なくとも1方向において、半画素ずれて配置されている、
制御方法。
【請求項8】
コンピュータに請求項7に記載の制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、撮像装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置、例えば、内視鏡装置では、以前は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが主流であったが、近年、低コスト化、単電源化、低消費電力化等の利点を有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが主流になっている。CMOSイメージセンサでは、ローリングシャッタ方式が一般的に多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-175871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、観察するのに充分な画質を確保することである。ただし、上記課題に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果を奏することも、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、白色光源及び励起光源とともに撮像システムを構成する撮像装置であって、入射光を2種類以上の波長帯域の光に分解する光学素子と、前記光学素子により分解された前記2種類以上の波長帯域の光をそれぞれ受光する複数の撮像素子と、ビニング処理が実行される第1モードにおいて、フレーム内の2つの期間のうちの1つの期間で消灯させるパルス制御を行うように前記白色光源を制御し、前記ビニング処理が実行されない第2モードにおいて、常に消灯させるように前記励起光源を制御する発光制御部と、を備え、前記ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、前記複数の撮像素子のうちの少なくとも1つの撮像素子の画素は、他の少なくとも1つの撮像素子の画素に対して、水平方向及び垂直方向の少なくとも1方向において、半画素ずれて配置されている、撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る撮像装置を備える撮像システムの構成例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る撮像装置の撮像動作の一例として、通常モードの撮像動作を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る撮像装置のイメージセンサの画素の配置の一例を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る撮像装置がICGカラーモードを実行するときのイメージセンサの画素の配置の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る撮像装置の撮像動作の一例として、ICGカラーモードの撮像動作を示す図である。
図6図6は、ICGカラーモードの撮像動作の一部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、各実施形態に係る撮像装置を説明する。なお、実施形態は、以下の内容に限られるものではない。また、一つの実施形態や変形例に記載した内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0008】
図1は、本実施形態に係る撮像装置10を備える撮像システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る撮像システム1は、撮像装置10と、光源装置30と、光ファイバ31とを備える。
【0009】
撮像装置10は、例えば、医療用の硬性内視鏡として用いられ、被検体100の体内を撮像する装置である。撮像装置10は、スコープ11と、カメラヘッド12と、カメラケーブル13と、CCU(Camera Control Unit)14とを備える。なお、撮像装置10は、硬性内視鏡だけに限定されない。
【0010】
スコープ11は、撮像が行われる際に、被検体100の体内に挿入される。スコープ11の先端には、対物レンズ11aが設けられている。
【0011】
カメラヘッド12は、プリズム12aと、複数のイメージセンサ12b、12c、12dと、イメージセンサ制御回路12eとを備える。
【0012】
プリズム12aは、入射された光を2種類以上の波長帯域の光に分解する。例えば、プリズム12aは、三色分解ダイクロイックプリズムである。例えば、プリズム12aは、入射された光を赤色(R+IR)の光、緑色(G)の光及び青色(B)の光に分光する。プリズム12aは、光学素子の一例である。
【0013】
複数のイメージセンサは、プリズム12aにより分解された2種類以上の波長帯域の光をそれぞれ受光する。例えば、複数のイメージセンサは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。例えば、複数のイメージセンサとして、イメージセンサ12b、12c、12dは、プリズム12aにより分解された赤色(R+IR)の光、緑色(G)の光及び青色(B)の光をそれぞれ受光する。イメージセンサ12bは、例えば、赤色及び赤外線の波長帯域に対応し(図1では「R+IRch(チャンネル)」と記載)、プリズム12aの赤色の分光の出射面に設けられる。イメージセンサ12cは、例えば、緑色の波長帯域に対応し(図1では「Gch」と記載)、プリズム12aの緑色の分光の出射面に設けられる。イメージセンサ12dは、例えば、青色の波長帯域に対応し(図1では「Bch」と記載)、プリズム12aの青色の分光の出射面に設けられる。以下、イメージセンサ12b、12c、12dを、それぞれ、R+IRch側のイメージセンサ12b、Gch側のイメージセンサ12c、Bch側のイメージセンサ12dと記載することもある。イメージセンサ12b、12c、12dの撮像面は、スコープ11を含む光学系の結像面と略一致するように配置されている。イメージセンサ12b、12c、12dは、撮像素子の一例である。
【0014】
イメージセンサ12b、12c、12dのそれぞれは、複数の画素(撮像要素)を備える。複数の画素は、撮像面において行列状に配置される。各画素は、イメージセンサ制御回路12eによる駆動制御により、光を受光することにより映像信号(電気信号)を発生し、発生した映像信号を出力する。例えば、イメージセンサ12bの各画素は、赤色の光を受光することにより、R信号(Rの映像信号)を出力する。また、イメージセンサ12cの各画素は、緑色の光を受光することにより、G信号(Gの映像信号)を出力する。また、イメージセンサ12dの各画素は、青色の光を受光することにより、B信号(Bの映像信号)を出力する。例えば、イメージセンサ12b、12c、12dを備えるカメラヘッド12は、カメラケーブル13を介して、CCU14にRGB信号を出力する。なお、イメージセンサ12b、12c、12dからは、アナログ形式の映像信号が出力される。或いは、イメージセンサ12b、12c、12dが図示しないADコンバータ(Analog to Digital)を内蔵する場合、イメージセンサ12b、12c、12dからは、デジタル形式の映像信号が出力される。
【0015】
ここで、本実施形態に係る撮像装置10は、例えば、被検体100に対して、ICG(インドシアニングリーン)蛍光造影法による外科手術を行う際に用いられる。この場合、被検体100に、ICGが投与される。ICGは、IRレーザ30dから出射される励起光により励起され、800~850nm程度の近赤外蛍光(以下、蛍光と称する)を発する。ICG蛍光造影法の場合、スコープ11とプリズム12aとの間に、励起光をカットするフィルタが設けられており、上記蛍光はイメージセンサ12bにより受光される。すなわち、イメージセンサ12bは、励起光に基づく蛍光を受光することにより、R信号を出力する。
【0016】
イメージセンサ12b、12c、12dのそれぞれは、複数の画素の最初の行から最後の行に向かって、少なくとも1行毎に順次露光を開始し、露光が終了した行から順に映像信号を出力する処理を、1フレーム(画像)毎に繰り返すローリングシャッタ方式のイメージセンサである。ここで、露光とは、例えば、画素が電荷を蓄積することを意味する。
【0017】
イメージセンサ制御回路12eは、後述する制御回路14aから出力された制御信号、並びに、後述するタイミング信号発生回路14fから出力された各種の同期信号に基づいてイメージセンサ12b、12c、12dを駆動制御する。例えば、イメージセンサ12b、12c、12dがアナログ形式の映像信号を出力する場合、イメージセンサ制御回路12eは、制御信号及び各種の同期信号に基づいて、イメージセンサ12b、12c、12dから出力されるアナログ形式の映像信号に適宜ゲイン(アナログゲイン)をかけて(映像信号を増幅して)、ゲインがかけられた映像信号をCCU14に出力するように、イメージセンサ12b、12c、12dを制御する。或いは、イメージセンサ12b、12c、12dがデジタル形式の映像信号を出力する場合、イメージセンサ制御回路12eは、制御信号及び各種の同期信号に基づいて、イメージセンサ12b、12c、12dから出力されるデジタル形式の映像信号に適宜ゲイン(デジタルゲイン)をかけて、ゲインがかけられた映像信号をCCU14に出力するように、イメージセンサ12b、12c、12dを制御する。
【0018】
カメラケーブル13は、カメラヘッド12とCCU14との間で映像信号、制御信号及び同期信号を送受信するための信号線を収容するケーブルである。
【0019】
CCU14は、カメラヘッド12から出力された映像信号に各種の画像処理を施すことにより、ディスプレイ101に表示させる画像を示す画像データを生成し、CCU14に接続されたディスプレイ101に画像データを出力する。なお、各種の画像処理が施された映像信号は、ディスプレイ101に表示させる画像を示す画像データである。
【0020】
CCU14は、制御回路14aと、記憶制御回路14bと、画像処理回路14cと、画像合成回路14dと、出力回路14eと、タイミング信号発生回路14fと、記憶回路14gとを備える。なお、イメージセンサ12b、12c、12dがアナログ形式の映像信号を出力する場合、CCU14は、図示しないADコンバータ等も備える。かかるADコンバータは、例えば、イメージセンサ12b、12c、12dから出力されたアナログ形式の映像信号をデジタル形式の映像信号に変換する。
【0021】
制御回路14aは、撮像装置10の各種の構成要素を制御する。例えば、制御回路14aは、イメージセンサ制御回路12e、記憶制御回路14b、画像処理回路14c、画像合成回路14d、出力回路14e及びタイミング信号発生回路14fの各回路に対して制御信号を出力して、各回路を制御する。制御回路14aは、記憶回路14gに記憶された撮像装置10の制御プログラムを読み込み、読み込んだ制御プログラムを実行することで、撮像装置10の各種の構成要素を制御する制御処理を実行する。或いは、制御回路14aは、内部に図示しない記憶回路を有しており、当該記憶回路に記憶された制御プログラムを実行する。制御回路14aは、例えば、MPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。ここで、制御回路14aは、切替制御部の一例である。また、制御回路14a、及び、上述したイメージセンサ制御回路12eは、駆動制御部の一例である。
【0022】
記憶制御回路14bは、制御回路14aから出力された制御信号、並びに、タイミング信号発生回路14fから出力された各種の同期信号に基づいて、カメラヘッド12から出力された映像信号を記憶回路14gに記憶させる制御を行う。また、記憶制御回路14bは、制御信号及び同期信号に基づいて、記憶回路14gに記憶された映像信号を1行毎に読み取る。そして、記憶制御回路14bは、読み取った1行分の映像信号を画像処理回路14cに出力する。
【0023】
画像処理回路14cは、制御回路14aから出力された制御信号、及び、タイミング信号発生回路14fから出力された各種の同期信号に基づいて、記憶制御回路14bから出力された映像信号に対して各種の画像処理を施す。これにより、画像処理回路14cは、ディスプレイ101に表示させる画像を示す画像データを生成する。すなわち、画像処理回路14cは、映像信号に基づいて、画像を生成する。例えば、画像処理回路14cは、記憶制御回路14bから出力された映像信号に対してゲイン(デジタルゲイン)をかけて、画像の明るさを調整する。また、画像処理回路14cは、記憶制御回路14bから出力された映像信号に対して、ノイズを低減させるノイズリダクション処理や輪郭を強調する輪郭強調処理等を行ってもよい。そして、画像処理回路14cは、各種の画像処理が施された映像信号(ディスプレイ101に表示させる画像を示す画像データ)を画像合成回路14dに出力する。画像処理回路14cは、処理部の一例である。
【0024】
画像合成回路14dは、制御回路14aから出力された制御信号、並びに、タイミング信号発生回路14fから出力された各種の同期信号に基づいて、画像処理回路14cから出力された映像信号を合成して合成画像データを生成する。そして、画像合成回路14dは、合成画像データをディスプレイ101に出力する。
【0025】
例えば、記憶制御回路14b、画像処理回路14c及び画像合成回路14dは、DSP(Digital Signal Processor)等の1つのプロセッサにより実現される。また、例えば記憶制御回路14b、画像処理回路14c及び画像合成回路14d、タイミング信号発生回路14fは、1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現される。なお、制御回路14a、記憶制御回路14b、画像処理回路14c、画像合成回路14dは、1つの処理回路により実現されてもよい。この処理回路は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0026】
出力回路14eは、画像合成回路14dから出力された合成画像データをディスプレイ101に出力する。これにより、ディスプレイ101は、合成画像データが示す合成画像を表示する。合成画像は、画像の一例である。出力回路14eは、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ドライバIC(Integrated Circuit)やSDI(Serial Digital Interface)ドライバICなどにより実現される。
【0027】
タイミング信号発生回路14fは、光源装置30からの光の出射タイミング、イメージセンサ12b、12c、12dの露光タイミング及び映像信号の出力タイミング、記憶制御回路14bによる記憶回路14gの制御タイミング等の各種のタイミングを一元管理する。
【0028】
タイミング信号発生回路14fは、図示しない発振回路により生成されたクロック信号を基に水平同期信号及び垂直同期信号や、撮像装置10全体の同期をとるためのその他の同期信号等の各種の同期信号を生成する。そして、タイミング信号発生回路14fは、生成した各種の同期信号をイメージセンサ制御回路12e、制御回路14a、記憶制御回路14b、画像処理回路14c、画像合成回路14d及び出力回路14eの各回路に出力する。
【0029】
また、タイミング信号発生回路14fは、クロック信号、及び、制御回路14aから出力された制御信号を基に、光源制御信号を生成する。光源制御信号は、光源装置30から出射される光を制御するとともに撮像システム1全体の同期をとるための制御信号である。そして、タイミング信号発生回路14fは、生成した光源制御信号を光源装置30に出力する。
【0030】
例えば、光源制御信号の波形は、矩形波であり、光源制御信号は、ハイ(high)レベル及びロー(low)レベルの2つのレベル(状態)を有する。例えば、光源制御信号は、ハイレベルの間、光源装置30から光を出射させ、ローレベルの間、光源装置30からの光の出射を停止させる制御信号である。
【0031】
記憶回路14gは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。ROM(又は、フラッシュメモリやハードディスクなど)は、各種のプログラムを記憶する。例えば、ROMは、制御回路14aにより実行される制御プログラムを記憶する。また、RAMには、記憶制御回路14bにより映像信号が一時的に格納される。
【0032】
光源装置30は、光源制御信号に基づいて、白色光又は励起光を出射する。光源装置30は、駆動回路30aと、白色LED(Light Emitting Diode)30bと、駆動回路30cと、IRレーザ30dとを備える。
【0033】
駆動回路30aは、タイミング信号発生回路14fから出力される光源制御信号に基づいて、白色LED30bを駆動させて点灯させる駆動制御を行う。白色LED30bは、駆動回路30aによる駆動制御により、白色光を出射する。白色光は、例えば、可視光である。
【0034】
駆動回路30cは、タイミング信号発生回路14fから出力される光源制御信号に基づいて、IRレーザ30dを駆動させて、IRレーザ30dから励起光を出射させる駆動制御を行う。IRレーザ30dは、駆動回路30cによる駆動制御により、励起光を出射する。なお、励起光によりICGが励起されてICGから出射された蛍光(励起光に基づく蛍光)は、イメージセンサ12bにより受光される。
【0035】
光ファイバ31は、光源装置30からの白色光及び励起光をスコープ11の先端部に導いて、スコープ11の先端部から出射させる。
【0036】
以上、本実施形態に係る撮像システム1の撮像装置10の構成例について説明した。ここで、図1に示すように、CCU14の制御回路14aは、入力される切替信号に応じて、ICGカラーモードと、通常モードとを切り替える。例えば、被検体100にICGを投与して外科手術を行う場合、制御回路14aに切替信号SIG1が入力される。この場合、制御回路14aは、切替信号SIG1に応じて、実行するモードを、ICGカラーモードに切り替える。例えば、被検体100にICGを投与しないで外科手術を行う場合、制御回路14aに切替信号SIG2が入力される。この場合、制御回路14aは、切替信号SIG2に応じて、実行するモードを、通常モードに切り替える。ICGカラーモードは、第1モードの一例であり、通常モードは、第2モードの一例である。
【0037】
まず、通常モードについて説明する。図2は、本実施形態に係る撮像装置10の撮像動作の一例として、通常モードの撮像動作を示す図である。図2には、光源装置30から出射される白色光の出射タイミングと、撮像装置10のイメージセンサ12b、12c、12dが備える複数の画素の各行の露光タイミングと、イメージセンサ12b、12c、12dから出力される映像信号の出力タイミングと、出力回路14eから出力される映像信号の出力タイミングとの関係の一例が示されている。図2において、横軸は、時間を示す。通常モードでは、撮像装置10からディスプレイ101に出力される映像信号(画像)のフレームレートを、60[fps(frame per second)]とし、読み出し期間を、1/60[s]とする。つまり、撮像装置10からディスプレイ101に1フレームの映像信号が出力される期間、及び、読み出し期間が1/60[s]であるものとする。
【0038】
まず、撮像の開始時において、制御回路14aは、白色LED30bから白色光を連続的に出射させる光源制御信号を出力させるための制御信号を、タイミング信号発生回路14fに出力する。タイミング信号発生回路14fは、当該制御信号に基づいて、光源制御信号を駆動回路30aに出力し、駆動回路30aは、光源制御信号に基づいて、白色LED30bを駆動させて、白色LED30bから白色光を連続的に出射させる。
【0039】
例えば、1フレーム目において、読み出し期間である時間T1から時間T2までの1/60[s]で、イメージセンサ12b、12c、12dそれぞれの複数の画素の最初の行から最後の行に向かって1行毎に順次露光が開始される。具体的には、制御回路14aは、イメージセンサ12b、12c、12dに読み出し期間1/60[s]で映像信号を出力させるための制御信号を、イメージセンサ制御回路12eに出力する。イメージセンサ制御回路12eは、当該制御信号に基づいて、イメージセンサ12b、12c、12dを駆動制御する。この結果、読み出し期間1/60[s]で、イメージセンサ12bは、プリズム12aから出射された赤色の波長帯域の光を受光し、全ての行から映像信号をR信号「R1」として出力する。また、イメージセンサ12cは、プリズム12aから出射された緑色の波長帯域の光を受光し、全ての行から映像信号をG信号「G1」として出力する。また、イメージセンサ12dは、プリズム12aから出射された青色の波長帯域の光を受光し、全ての行から映像信号をB信号「B1」として出力する。この場合、イメージセンサ12b、12c、12dから、映像信号として、RGB信号「W1」が出力される。RGB信号「W1」は、R信号「R1」とG信号「G1」とB信号「B1」との合成信号を示す。すなわち、RGB信号「W1」は、白色光を受光したイメージセンサ12bから出力されたR信号「R1」と、白色光を受光したイメージセンサ12cから出力されたG信号「G1」と、白色光を受光したイメージセンサ12dから出力されたB信号「B1」とを含む。
【0040】
次に、2フレーム目において、読み出し期間である時間T2から時間T3までの1/60[s]で、イメージセンサ12b、12c、12dは、それぞれ、映像信号をR信号「R2」、G信号「G2」、B信号「B2」として出力する。この場合、イメージセンサ12b、12c、12dから、映像信号として、RGB信号「W2」が出力される。RGB信号「W2」は、R信号「R2」とG信号「G2」とB信号「B2」との合成信号を示す。
【0041】
ここで、イメージセンサ12b、12c、12dから出力された映像信号は、画像処理回路14c及び画像合成回路14dを介して1フレーム目の表示用画像となり、速やかに出力回路14eからディスプレイ101に出力される。具体的には、画像処理回路14cは、1フレーム目のRGB信号「W1」に基づいて表示用画像を生成する。画像処理回路14cにより生成された表示用画像は、1/60[s]の期間において、出力回路14eからディスプレイ101に出力される。2フレーム目以降においても、上述と同様の処理が行われる。
【0042】
一方、ICGカラーモードでは、各フレームにおいて、1番目の読み出し期間でR信号「IR」を取得し、2番目の読み出し期間でRGB信号を取得する時分割制御を行う。ICGカラーモードでは、時分割制御を行うため、通常モードよりも高速でイメージセンサ12b、12c、12dを駆動制御させる必要がある。例えば、ICGカラーモードでは、撮像装置10からディスプレイ101に出力される映像信号(画像)のフレームレートを、60[fps]とした場合、読み出し期間を、1/120[s]とする。
【0043】
ここで、ビニング処理という技術が知られている。ビニング処理では、隣接する画素を加算することにより、読み出しの画素数を減らすことができる。例えば、ICGカラーモードでは、ビニング処理を行うことにより、イメージセンサ12b、12c、12dを高速駆動し易くなる。
【0044】
しかしながら、ビニング処理を行った場合、一般的に、画像の解像度が低下することが知られている。すなわち、ICGカラーモードにおいて、ビニング処理を行った場合、イメージセンサ12b、12c、12dを高速駆動し易くなるが、解像度が低下する。このため、画像を観察する医師等のユーザにとって、観察するのに画質が充分ではない場合がある。
【0045】
また、ICGカラーモードでは、時分割制御で通常モードと同じ画素数を読み出す場合、信号処理の数が多くなる。このため、信号処理数の増大により、カメラケーブル13などのケーブル1本あたりの径やケーブルの本数を増加させる場合、ケーブル全体の径が太くなる。
【0046】
そこで、本実施形態に係る撮像装置10は、ユーザが観察するのに充分な画質を確保することができるように、以下の処理を行う。本実施形態に係る撮像装置10は、プリズム12aと、複数のイメージセンサと、を備える。プリズム12aは、入射光を2種類以上の波長帯域の光に分解する光学素子であり、複数のイメージセンサは、プリズム12aにより分解された2種類以上の波長帯域の光をそれぞれ受光する撮像素子である。具体的には、プリズム12aは、入射光を、赤色及び赤外線の波長帯域の光と、緑色の波長帯域の光と、青色の波長帯域の光とに分解する。複数のイメージセンサであるイメージセンサ12b、12c、12dは、プリズム12aにより分解された赤色及び赤外線の波長帯域の光、緑色の波長帯域の光、青色の波長帯域の光をそれぞれ受光する。そして、ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、イメージセンサ12b、12c、12dのうちの少なくとも1つのイメージセンサの画素は、他の少なくとも1つのイメージセンサの画素に対して、水平方向及び垂直方向の少なくとも1方向において、半画素ずれて配置されている。
【0047】
図3は、本実施形態に係る撮像装置10のイメージセンサ12b、12c、12dの画素の配置の一例を示す図である。図3に示すように、例えば、イメージセンサ12b、12c、12dのうち、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向において、1画素ずれて配置されている。
【0048】
図4は、本実施形態に係る撮像装置10がICGカラーモードを実行するときのイメージセンサ12b、12c、12dの画素の配置の一例を示す図である。例えば、ICGカラーモードでは、制御回路14a及びイメージセンサ制御回路12eは、画素を読み出すときにイメージセンサ12b、12c、12dにビニング処理を実行させる。イメージセンサ12b、12c、12dがビニング処理を実行することにより、例えば、隣接する4画素が加算され、水平方向2画素×垂直方向2画素のグループが生成される。この場合、図4に示すように、ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向において、半画素ずれて配置されている。
【0049】
具体的には、イメージセンサ12b、12c、12dは、通常モードでは、1行単位で1画素ずつ読み出しているが、ICGカラーモードでは、2行単位で隣接する4画素(水平方向2画素×垂直方向2画素)を1つの画素として加算して、加算後の画素を読み出す。このため、ICGカラーモードでは、イメージセンサ12b、12c、12dにビニング処理(4画素加算)を実行させることにより、読み出しの画素数を減らすことができる。したがって、ICGカラーモードでは、ビニング処理の実行により、イメージセンサ12b、12c、12dを高速駆動し易くなる。言い換えれば、ICGカラーモードは、ビニング処理が実行されるモード(高速読み出しモード)であり、通常モードは、ビニング処理が実行されないモードであるといえる。
【0050】
図5は、本実施形態に係る撮像装置10の撮像動作の一例として、ICGカラーモードの撮像動作を示す図である。図5には、光源装置30から出射される白色光及び励起光の出射タイミングと、撮像装置10のイメージセンサ12b、12c、12dが備える複数の画素の各行の露光タイミングと、イメージセンサ12b、12c、12dから出力される映像信号の出力タイミングと、出力回路14eから出力される映像信号の出力タイミングとの関係の一例が示されている。図5において、横軸は、時間を示す。ICGカラーモードでは、撮像装置10からディスプレイ101に出力される映像信号(画像)のフレームレート(出力レート)を、通常モードと同じ60[fps]とし、読み出し期間を、1/120[s]とする。つまり、撮像装置10からディスプレイ101に1フレームの映像信号が出力される期間が1/60[s]であり、読み出し期間が1/120[s]であるものとする。
【0051】
ICGカラーモードでは、各フレームにおいて、1番目の読み出し期間である1/120[s]でR信号「IR」を取得し、2番目の読み出し期間である1/120[s]でRGB信号を取得する時分割制御を行う。以下、ICGカラーモードの撮像動作について、具体的に説明する。
【0052】
まず、撮像の開始時において、制御回路14aは、IRレーザ30dから励起光を連続的に出射させる第1の光源制御信号を出力させるための制御信号を、タイミング信号発生回路14fに出力する。タイミング信号発生回路14fは、当該制御信号に基づいて、第1の光源制御信号を駆動回路30cに出力し、駆動回路30cは、第1の光源制御信号に基づいて、IRレーザ30dを駆動させて、IRレーザ30dから励起光を連続的に出射させる。
【0053】
また、各フレームにおいて、1番目の読み出し期間から2番目の読み出し期間に切り替わる期間であるブランキング期間にのみ、制御回路14aは、白色LED30bから白色光を出射させる第2の光源制御信号を出力させるための制御信号を、タイミング信号発生回路14fに出力する。タイミング信号発生回路14fは、当該制御信号に基づいて、第2の光源制御信号を駆動回路30aに出力し、駆動回路30aは、第2の光源制御信号に基づいて、白色LED30bを駆動させて、白色LED30bから白色光を出射させる。
【0054】
例えば、1フレーム目において、1番目の読み出し期間である時間T1から時間T2までの1/120[s]で、イメージセンサ12bから映像信号(後述のR信号「IR1」)が出力される。具体的には、制御回路14aは、イメージセンサ12bに1番目の読み出し期間1/120[s]で映像信号を出力させるための制御信号を、イメージセンサ制御回路12eに出力する。イメージセンサ制御回路12eは、当該制御信号に基づいて、イメージセンサ12bを駆動制御する。この結果、1番目の読み出し期間である時間T1から時間T2までの1/120[s]で、イメージセンサ12bは、プリズム12aから出射された赤外線の波長帯域の光を受光し、全ての行から映像信号をR信号「IR1」として出力する。そして、記憶制御回路14bは、イメージセンサ12bの各行から出力された映像信号(R信号「IR1」)を一時的に記憶回路14gに格納する。
【0055】
また、1フレーム目において、1番目の読み出し期間である時間T1から時間T2までの1/120[s]で、イメージセンサ12b、12c、12dそれぞれの複数の画素の最初の行から最後の行に向かって1行毎に順次露光が開始される。ここで、露光開始と露光終了(出力開始)までの間には読み出し期間に相当する時間差がある。例えば、最初の行において、露光は時間T1から時間T2までの間に行われ、出力は時間T2に行われる。また、最後の行において、露光は時間T2から時間T3までの間に行われ、出力は時間T3に行われる。具体的には、制御回路14aは、イメージセンサ12b、12c、12dにビニング処理を実行させ、かつ、2番目の読み出し期間1/120[s]で映像信号を出力させるための制御信号を、イメージセンサ制御回路12eに出力する。イメージセンサ制御回路12eは、当該制御信号に基づいて、イメージセンサ12b、12c、12dを駆動制御する。イメージセンサ12b、12c、12dがビニング処理を実行することにより、隣接する4画素が加算され、水平方向2画素×垂直方向2画素のグループが生成される。この結果、2番目の読み出し期間である時間T2から時間T3までの1/120[s]で、イメージセンサ12bは、プリズム12aから出射された赤色及び赤外線の波長帯域の光を受光し、全てのグループから映像信号をR信号「R2+IR2」として出力する。また、イメージセンサ12cは、プリズム12aから出射された緑色の波長帯域の光を受光し、全てのグループから映像信号をG信号「G2」として出力する。また、イメージセンサ12dは、プリズム12aから出射された青色の波長帯域の光を受光し、全てのグループから映像信号をB信号「B2」として出力する。そして、記憶制御回路14bは、イメージセンサ12b、12c、12dから出力された映像信号として、RGB信号「P2」を一時的に記憶回路14gに格納する。RGB信号「P2」は、R信号「R2+IR2」とG信号「G2」とB信号「B2」との合成信号を示す。すなわち、RGB信号「P2」は、白色光、及び、励起光に基づく蛍光を受光したイメージセンサ12bから出力されたR信号「R2+IR2」と、白色光を受光したイメージセンサ12cから出力されたG信号「G2」と、白色光を受光したイメージセンサ12dから出力されたB信号「B2」とを含む。換言すると、図5に示すRGB信号「P2」は、白色光に基づく信号「W2=R2+G2+B2」と蛍光に基づく信号「IR2」とを含む信号「W2+IR2」である。
【0056】
このように、制御回路14aは、複数の光源(白色LED30b、IRレーザ30d)のうちの少なくとも1つの光源(白色LED30b)から光が出射される期間と同期するように、イメージセンサ12b、12c、12dを駆動制御させる。また、イメージセンサ12b、12c、12dにビニング処理を実行させることにより、読み出しの画素数を減らすことができる。なお、1番目の読み出し期間である時間T1から時間T2までの1/120[s]に出力されるR信号「IR1」は、散乱が大きく、蛍光であるため、R信号「IR1」が表す画像の解像度は低く、白色光に基づく信号が表す画像に比べて解像度を必要としない。一方、2番目の読み出し期間である時間T2から時間T3までの1/120[s]においては、ビニング処理が実行されるため、RGB信号「P2」が表す画像の解像度は低下する。そのため、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数になるように、ビニング処理が実行された画素に対して、後述の処理が行われる。すなわち、後述の処理により、RGB信号「P2」が表す画像の出力画素数は、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数になる。
【0057】
同様に、2フレーム目において、1番目の読み出し期間である時間T3から時間T4までの1/120[s]で、イメージセンサ12bは、映像信号をR信号「IR3」として出力し、記憶制御回路14bは、イメージセンサ12bから出力された映像信号(R信号「IR3」)を一時的に記憶回路14gに格納する。また、2番目の読み出し期間である時間T4から時間T5までの1/120[s]で、イメージセンサ12b、12c、12dは、それぞれ、映像信号をR信号「R4+IR4」、G信号「G4」、B信号「B4」として出力する。そして、記憶制御回路14bは、イメージセンサ12b、12c、12dから出力された映像信号として、RGB信号「P4」を一時的に記憶回路14gに格納する。RGB信号「P4」は、R信号「R4+IR4」とG信号「G4」とB信号「B4」との合成信号を示す。
【0058】
ここで、2フレーム目において、例えば、記憶回路14gに格納された1フレーム目の映像信号は、画像処理回路14c及び画像合成回路14dを介して、出力回路14eからディスプレイ101に出力される。具体的には、画像処理回路14cは、RGB信号「P2」に基づいて、第1の表示用画像を生成する。次に、画像合成回路14dは、例えば、R信号「IR1」とR信号「IR3」とを合成して合成画像「(IR1+IR3)/2」を生成する。そして、画像合成回路14dは、生成した合成画像のうち、輝度が閾値以上の部分を対象物として抽出し、抽出した部分に蛍光色が付与されたマーカである蛍光画像を生成する。当該蛍光色は、マーカ(蛍光画像)を生成したときに蛍光を示すために割り当てられた色であり、例えば、高彩度の緑色を示している。そして、画像合成回路14dは、画像処理回路14cにより生成された第1の表示用画像に、生成した蛍光画像を重畳して、第2の表示用画像を生成する。画像合成回路14dにより生成された第2の表示用画像は、1/60[s]の期間において、出力回路14eからディスプレイ101に出力される。3フレーム目以降においても、上述と同様の処理が行われる。
【0059】
ここで、画像処理回路14cは、RGB信号「P2」から第1の表示用画像を生成する前に、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数になるように、ビニング処理が実行された画素に対して、以下の処理を施す。
【0060】
ICGカラーモードでは、ビニング処理(本実施形態では4画素加算)が実行された画素をグループ単位で1画素としているため、イメージセンサ12cの画素と、半画素ずれて配置されたイメージセンサ12b、12dの画素とを用いて、4画素加算が実行された画素から、4画素分の画素値を取得する。例えば、図6に示すように、ビニング処理(4画素加算)が実行された場合において、Gch側のイメージセンサ12cの画素Ga、Gb、Gc、Gdと、R+IRch側のイメージセンサ12bの画素Ra+IRa、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素Baとは、半画素ずれて配置されている。
【0061】
そこで、画像処理回路14cは、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数になるように(例えば、図3に示す例と同じ出力画素数になるように)、画素Ra+IRaの画素値と画素Gaの画素値と画素Baの画素値とに基づいて、RGB信号「Pa」の画素値を取得する。RGB信号「Pa」は、白色光に基づく信号「Wa=Ra+Ga+Ba」と蛍光に基づく信号「IRa」とを含む信号「Wa+IRa」である。同様に、画像処理回路14cは、画素Ra+IRaの画素値と画素Gbの画素値と画素Baの画素値とに基づいて、RGB信号「Pb」の画素値を取得する。RGB信号「Pb」は、白色光に基づく信号「Wb=Ra+Gb+Ba」と蛍光に基づく信号「IRa」とを含む信号「Wb+IRa」である。
【0062】
また、画像処理回路14cは、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数になるように、画素Ra+IRaの画素値と画素Gcの画素値と画素Baの画素値とに基づいて、RGB信号「Pc」の画素値を取得する。RGB信号「Pc」は、白色光に基づく信号「Wc=Ra+Gc+Ba」と蛍光に基づく信号「IRa」とを含む信号「Wc+IRa」である。同様に、画像処理回路14cは、画素Ra+IRaの画素値と画素Gdの画素値と画素Baの画素値とに基づいて、RGB信号「Pd」の画素値を取得する。RGB信号「Pd」は、白色光に基づく信号「Wd=Ra+Gd+Ba」と蛍光に基づく信号「IRa」とを含む信号「Wd+IRa」である。
【0063】
このように、画像処理回路14cは、イメージセンサ12cの画素と、半画素ずれて配置されたイメージセンサ12b、12dの画素とを用いて、4画素加算が実行された画素から、4画素分の画素値を取得することにより、ビニング処理が実行されない場合と同じ出力画素数を得ることができる。
【0064】
上記処理後、画像処理回路14cは、上述した第1の表示用画像を生成する。そして、画像合成回路14dは、上述した蛍光画像を生成し、第1の表示用画像に蛍光画像を重畳して第2の表示用画像を生成する。このとき、第2の表示用画像は、1/60[s]の期間において、出力回路14eからディスプレイ101に出力される。
【0065】
このように、本実施形態に係る撮像装置10は、ICGカラーモードでは、ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向において、半画素ずれて配置されている。すなわち、ICGカラーモードでは、画素ずらし処理が行われている。このため、ICGカラーモードにおいて、ビニング処理の実行による解像度の低下は、上記画素ずらしにより、ある程度抑えられる。これにより、本実施形態に係る撮像装置10は、ICGカラーモードにおいて、ビニング処理により高速駆動をし易くなり、更に、画素ずらし処理により解像度の低下を抑えることができる。したがって、本実施形態では、ユーザが観察するのに充分な画質を確保することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る撮像装置10は、ICGカラーモードにおいて、上述した時分割制御で通常モードと同じ画素数を読み出すのではなく、上述した時分割制御で通常モードの半分の画素数を読み出せばよいので、信号処理の数を抑えることができる。本実施形態では、カメラケーブル13などのケーブル1本あたりの径やケーブルの本数を抑えることができ、ケーブル全体の径の増大を抑えることができる。
【0067】
上述したように、本実施形態では、ビニング処理の実行後において、Gch側のイメージセンサ12cの画素が、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向に、半画素ずれて配置される(図4を参照)。これを実現させるために、ビニング処理の実行前において、Gch側のイメージセンサ12cの画素が、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向に、1画素ずれて配置されている場合について説明した(図3を参照)。この場合、上述したように、イメージセンサ12b、12c、12dは、ICGカラーモードにおいて、2行単位で隣接する4画素(水平方向2画素×垂直方向2画素)を1つの画素として加算して、加算後の画素を読み出す。しかし、ビニング処理の実行前の画素の配置は、これだけに限定されない。
【0068】
例えば、ビニング処理の実行前において、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、1画素ピッチ以上ずれて配置されてもよい。具体的には、ビニング処理の実行前において、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、1.5画素ずれて配置される。この場合、イメージセンサ12b、12c、12dは、ICGカラーモードにおいて、3行単位で隣接する9画素(水平方向3画素×垂直方向3画素)を1つの画素として加算して、加算後の画素を読み出す。この場合においても、ビニング処理が実行された画素をグループ単位で1画素として見たときに、Gch側のイメージセンサ12cの画素は、R+IRch側のイメージセンサ12b、及び、Bch側のイメージセンサ12dの画素に対して、水平方向及び垂直方向において、半画素ずれて配置される。
【0069】
また、本実施形態では、水平方向及び垂直方向に画素をずらしているが、これに限定されない。例えば、画素ずらす方向は、水平方向のみでもよいし、垂直方向のみでもよい。
【0070】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザが観察するのに充分な画質を確保することができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
10 撮像装置
12a プリズム
12b、12c、12d イメージセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6