(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20231214BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61F13/15 210
A61F13/15 356
A61F13/551 100
(21)【出願番号】P 2019170741
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503248662
【氏名又は名称】セコム医療システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591250857
【氏名又は名称】株式会社マック
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】森川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩村 守俊
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 徹
(72)【発明者】
【氏名】大沢 篤史
(72)【発明者】
【氏名】足立 多佳彦
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-212288(JP,A)
【文献】特開2006-340982(JP,A)
【文献】実開昭54-007599(JP,U)
【文献】実開昭61-008018(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0085780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
G07F5/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品と該吸収性物品を包む外装袋とを有する吸収性物品パックと、
ロール状に巻回された前記吸収性物品パックの外周面を覆うように取り付けられ、当該吸収性物品パックを所定の大きさ及び形状に維持する筒状の被覆部材と、を備え、
前記吸収性物品は
、腰周りに取り付けられるギャザーを有する紙おむつであり、
前記紙おむつは、前記ギャザーが巻き終わりの部分に位置するようにロール状に巻回されていて、
前記外装袋には、巻内側の面において、前記吸収性物品パックを巻回する方向に所定の間隔をあけて複数の通気孔が形成されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項2】
前記複数の通気孔は、前記吸収性物品パックを巻回する方向に対して平行に直線状に並べられており、前記巻回する方向における前記外装袋の中央から、巻き終わりの部分に向けて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品包装体。
【請求項3】
前記複数の通気孔のぞれぞれは、前記吸収性物品パックを巻回する方向に対して直交する幅方向の中央に位置するよう形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品包装体。
【請求項4】
前記複数の通気孔のそれぞれは、長辺の大きさが1mm~3mmの矩形に形成された貫通孔であり、該貫通孔の周囲に空気を一方向に排出させる弁が設けられていることを特徴する請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項5】
前記複数の通気孔は、間隔が巻き終わりの部分に近付くにしたがって狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項6】
前記吸収性物品パックの巻内側の面にゴミ袋を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項7】
前記被覆部材はプラスチックフィルム製であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項8】
前記被覆部材は、ロール状に巻回された前記吸収性物品パックを、清涼飲料を販売する自動販売機から個出し可能な大きさ及び形状に維持することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項9】
吸収性物品と該吸収性物品を包む外装袋とを有する吸収性物品パックと、ロール状に巻回された前記吸収性物品パックの外周面に取り付けられ、当該吸収性物品パックを所定の大きさ及び形状に維持する筒状の被覆部材とからなり、前記吸収性物品は
、腰周りに取り付けられるギャザーを有する紙おむつである吸収性物品包装体の製造方法であって、
前記外装袋の巻内側の面において、前記吸収性物品パックを巻回する方向に所定の間隔をあけて複数の通気孔を形成する工程と、
前記複数の通気孔が形成された前記外装袋に、前記ギャザーが巻き終わりの部分に位置するように、前記吸収性物品を入れて前記吸収性物品パックを作製する工程と、
前記吸収性物品パックを巻回する工程と、
巻回された前記吸収性物品パックを前記筒状の被覆部材の内部に挿入して、前記吸収性物品パックの外周面を覆う工程と、を含むことを特徴とする吸収性物品包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品包装体及びその製造方法に係り、特に、吸収性物品を所定の大きさ及び形状に形成して包装した吸収性物品包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子育て世代を応援する施策が国や自治体等で推進されている。そのような施策において、高速道路のサービスエリアや道の駅等が重要整備箇所となっており、子育て応援の取り組み方針として、例えば24時間利用可能なベビーコーナの設置や、妊婦向けの屋根付き優先駐車スペースが確保されるようになってきた。それに伴いベビーコーナや優先駐車スペースの近辺において、紙おむつ等のベビー用品のばら売り機能が整備されることが望まれている。しかしながら、そのような場所において常に販売店を開設することは難しく、またベビー用品を販売する専用の自動販売機を導入するにもコストがかかる。そのため、ペットボトルや缶コーヒー等の清涼飲料の自動販売機を利用して、使い捨ての紙おむつをばら売りできるようにすることが望まれていた。
【0003】
特許文献1には、ジュース等の缶入り飲料を販売する自動販売機で販売可能にするために、自動販売機に収容可能な缶状の容器内に、湿潤したおしぼりを収容した缶入りおしぼりが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の缶入りおしぼりのように、吸収性物品である紙おむつを自動販売機に収容するため缶の容器を用いると、紙おむつを缶の内径よりも細くなるよう巻回して、挿入しなければならない。そのため、作製に手間がかかると共に、缶の容器にコストがかかるため割高になってしまうという課題がある。また、細く巻回し過ぎると、例えばテープ型の紙おむつの場合、展開後、腰周りのギャザーが内側に入ったり、脚周りに隙間があいたりして尿漏れの原因となる場合があり、紙おむつ自体の品質が損なわれる可能性があった。また、空気をある程度含んだ状態で使用する紙おむつを、細く巻回して圧縮し過ぎると、展開後、空気が紙おむつに入らずふんわりした肌触りや通気性のよさが失われる可能性があった。
【0006】
一方、缶の容器等を使わずに、市販の外装袋に包まれた紙おむつ(紙おむつパック)を巻回して端をテープで固定することが考えられる。しかしながら、単に端をテープで固定して自動販売機に導入したとしても、自動販売機内を落下する際、紙おむつパックの端部が通路の壁等に引っかかるため取り出し出口にまで到達しない場合があった。また、端をテープで固定しただけでは形状が安定せず一定の大きさに統一されたものを作製することが難しく、自動販売機で求められる規格に合わせることが困難であった。そのため、できるだけ紙おむつを圧縮することなく巻回して、自動販売機から個出し可能となるよう、所定の大きさ及び形状にすることが望まれていた。また、近年では自動販売機だけでなく、無人販売店で販売可能なよう、陳列される商品の大きさや形状が定まっている場合があり、決められた規格の範囲内で、紙おむつ等の吸収性物品を所定の大きさ及び形状にすることが望まれている。
【0007】
また、紙おむつパックを巻回すると、外装袋の端部に空気がたまるため、所定の大きさに巻くことが困難である。しかしながら、紙おむつを外装袋に入れた状態の紙おむつパックに空気を抜くための孔を直接形成すると、中の紙おむつに損傷を与える可能性がある。また、空気を抜くために外装袋の端部に孔を形成した場合でも、巻回している途中で、中の紙おむつにより孔が塞がり空気が抜けず、空気が抜けていない状態で無理に紙おむつパックを巻回すると外装袋が破裂するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、紙おむつパック等の吸収性物品パックが、性能を損なうことなく所定の大きさ及び形状になるようロール状に巻回することが容易で、巻回された後も形状が維持される吸収性物品包装体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、吸収性物品と該吸収性物品を包む外装袋とを有する吸収性物品パックと、巻回された前記吸収性物品パックの外周面を覆うように取り付けられ、当該吸収性物品パックを所定の大きさ及び形状に維持する筒状の被覆部材と、を備え、前記吸収性物品は、腰周りに取り付けられるギャザーを有する紙おむつであり、前記紙おむつは、前記ギャザーが巻き終わりの部分に位置するようにロール状に巻回されていて、前記外装袋には、巻内側の面において、前記吸収性物品パックを巻回する方向において所定の間隔をあけて複数の通気孔が形成されている吸収性物品包装体により解決される。
【0010】
また、前記課題は、吸収性物品と該吸収性物品を包む外装袋とを有する吸収性物品パックと、ロール状に巻回された前記吸収性物品パックの外周面に取り付けられ、当該吸収性物品パックを所定の大きさ及び形状に維持する筒状の被覆部材とからなり、前記吸収性物品は、腰周りに取り付けられるギャザーを有する紙おむつである吸収性物品包装体の製造方法であって、前記外装袋の巻内側の面において、前記吸収性物品パックを巻回する方向において所定の間隔をあけて複数の通気孔を形成する工程と、前記通気孔が形成された前記外装袋に、前記ギャザーが巻き終わりの部分に位置するように、前記吸収性物品を入れて前記吸収性物品パックを作製する工程と、前記吸収性物品パックを巻回する工程と、巻回された前記吸収性物品パックを前記筒状の被覆部材の内部に挿入して、前記吸収性物品パックの外周面を覆う工程と、を含む吸収性物品包装体の製造方法によって解決される。
【0011】
本発明の吸収性物品パックは、巻回された後、外周面を覆うように筒状の被覆部材を取り付けられる。巻回された後、筒状の被覆部材により所定の大きさ以上に膨らむことが抑止され、その形状が維持されるようになる。また、筒状の被覆部材により吸収性物品の大きさ及び形状を維持することから、例えば容器の内径に合わせて巻回するのではなく、自動販売機から個出し可能な大きさの規格に合うよう吸収性物品パックを巻回して、所定の大きさ及び形状にすることができる。そのため、空気をある程度含む吸収性物品を必要以上に圧縮して細く巻回しなくてよく、吸収性物品の性能を阻害することが抑制される。
また、吸収性物品パックの外装袋に、巻回する方向において所定の間隔をあけて複数の通気孔が形成されることにより、吸収性物品パックを巻回する際に、外装袋内の空気が巻回した部分に近い通気孔から排出されるため、空気が外装袋内にたまることなく容易に吸収性物品パックを巻回することができる。
また、外装袋に吸収性物品を入れる前に、外装袋に通気孔を形成するため、吸収性物品に損傷を与えることなく、通気孔が形成された吸収性物品パックを作製することができる。
【0012】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記複数の通気孔は、前記吸収性物品パックを巻回する方向に対して平行に直線状に並べられており、前記巻回する方向における前記外装袋の中央から、巻き終わりの部分に向けて配置されているとよい。
複数の通気孔を巻回する方向に対して平行に直線状に並べて形成することで、複数の通気孔を形成する範囲を最小限にすることができる。
【0013】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記複数の通気孔のぞれぞれは、前記吸収性物品パックを巻回する方向に対して直交する幅方向の中央に位置するよう形成されるとよい。
幅方向の中央に位置するよう複数の通気孔を配置することで、吸収性物品パックを巻回する際、巻回する方向に対して左右のいずれかに空気を偏らせることなく空気を排出させることができ、スムーズに吸収性物品パックを巻回させることができる。
【0014】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記複数の通気孔のそれぞれは、長辺の大きさが1mm~3mmの矩形に形成された貫通孔であり、該貫通孔の周囲に空気を一方向に排出させる弁が設けられているとよい。
通気孔をこのような大きさの貫通孔とすることにより、吸収性物品パックを巻回する際、空気が抜けやすくなると共に、巻回した後はすぐに復元し難くなり、後に続く作業の効率が向上する。
【0015】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記複数の通気孔は、間隔が巻き終わりの部分に近付くにしたがって狭くなるように形成されているとよい。
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記吸収性物品パックの巻内側の面にゴミ袋を備えるとよい。
【0016】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記被覆部材はプラスチックフィルム製であるとよい。
被覆部材をプラスチックフィルム製とすることで、吸収体性物品を必要以上に巻回することなく所定の大きさ及び形状に維持することができ、また、缶の容器等を使用する場合と比較して、軽量で製造コストが安価に実施することができる。
【0017】
また、本発明の吸収性物品包装体について好適な構成を述べると、前記被覆部材は、ロール状に巻回された前記吸収性物品パックを、清涼飲料を販売する自動販売機から個出し可能な大きさ及び形状に維持するとよい。
被覆部材が、ロール状に巻回された吸収性物品パックを自動販売機に導入可能な規格に合わせた大きさ及び形状に維持することで、吸収性物品包装体を自動販売機で販売することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、紙おむつパック等の吸収性物品パックが、性能を損なうことなく所定の大きさ及び形状になるようロール状に巻回することが容易であり、巻回された後も形状が維持される吸収性物品包装体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の吸収性物品包装体の一実施形態である紙おむつ包装体の斜視図である。
【
図2】巻回する前の紙おむつパックを示す斜視図である。
【
図3】紙おむつパックを巻回する途中の状態を示す斜視図である。
【
図4】巻回された紙おむつパックを被覆部材に挿入した状態を示す斜視図である。
【
図5】紙おむつ包装体を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図6】(a)~(d)は、紙おむつパックの外装袋に形成されるミシン目(複数の貫通孔)の例を示す図である。
【
図7】(a)~(c)は、紙おむつパックの外装袋に形成されるミシン目孔(通気孔)の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0021】
また、以下の説明において本発明による吸収性物品包装体の一実施形態として紙おむつ11を包装した紙おむつ包装体1について説明する。なお、紙おむつ11は吸収性物品の一例であり、これに限られるものではない。本発明は生理用ナプキン、ペーパータオル、ウェットティッシュ、アルコールタオル、ノンアルコールタオル等の、空気をある程度含んだ状態で使用される吸収性物品を外装袋に包装したパックをロール状に巻回する場合にも同様に適用可能である。
【0022】
本実施形態に係る紙おむつ包装体1について、
図1~
図7を用いて説明する。
図1は、紙おむつ包装体1を示す斜視図、
図2は、巻回する前の紙おむつパック10を示す斜視図、
図3は紙おむつパック10を巻回する途中の状態を示す斜視図である。
図4は巻回された紙おむつパック10を被覆部材20に挿入した状態を示す斜視図、
図5は紙おむつ包装体1を示す図、
図6(a)~
図6(d)は紙おむつパック10の外装袋12に形成されるミシン目(複数の通気孔)の例を示す図である。
図7(a)~
図7(c)は、紙おむつパック10の外装袋12に形成されるミシン目孔14(通気孔)の例を示す断面図である。
【0023】
紙おむつ包装体1は、紙おむつ11を清涼飲料の自動販売機で販売できるよう、自動販売機で個出し可能な大きさ及び形状に形成された包装体であり、その幅Wと直径Rが自動販売機に導入可能な規格に収まるよう形成される。例えば、紙おむつ包装体1は、紙おむつの品質を担保することを考慮して、その幅Wが177mm以下、直径R(厚み)が80mm以上、95mm以下の円柱状になるよう形成される。
【0024】
紙おむつ包装体1は、吸収性物品である紙おむつ11と、紙おむつ11を包む外装袋12とを有する紙おむつパック10(吸収性物品パック)をロール状に巻回し、ロール状に巻回された紙おむつパック10の外周面10cを覆うように、筒状の被覆部材20を取り付けることにより製造されたものである。紙おむつ包装体1は、
図1に示すように、紙おむつパック10の表面10aに描かれた紙おむつ11のロゴマーク19が表出するよう、紙おむつパック10の表面10aが外側になるように紙おむつパック10は巻回される。
【0025】
紙おむつパック10は、
図2に示すように、通常は平板の状態で販売されるものであり、平面視で、長さL、幅Wの矩形に形成された外装袋12に、紙おむつ11が包まれている。
図3に示すように、矩形の紙おむつパック10を、外装袋12の長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて
図3の方向A(以下、巻回する方向A)に巻回することにより、紙おむつパック10は
図4及び
図5(a)に示すよう円柱状に形成される。紙おむつパック10において、紙おむつ11はテープ型のものであり、赤ん坊の腰回りに取り付けられるギャザー11aが紙おむつパック10の巻き終わりの部分に位置するよう配置される。ギャザー11aを巻回された紙おむつ11の外側に位置させることで、ギャザー11aに負荷がかかることがなく、例えばギャザー11aが内側に入ったり、折れ曲がったりすることを抑止することができる。
なお、外装袋12の中において、紙おむつ11は、巻回する方向Aに対してギャザー11aが直交するよう縦向きに配置されているが、これは一例であり、紙おむつ11は巻回する方向Aに対してギャザー11aが平行になるよう横向きに配置されてもよい。紙おむつ11の股間側及びウエスト側の向きや表と裏の向きは、紙おむつ11を包装する包装機の状況に合わせて設定することが可能である。また、紙おむつ11は、テープ型に限らずパンツ型のものであってもよい。
【0026】
図3に示すように、外装袋12には、外装袋12の巻内側の面、すなわち紙おむつパック10の裏面10bに、巻回する方向Aにおいて所定の間隔をあけて複数の通気孔(ミシン目13)が形成されている。
ミシン目13を形成することにより、紙おむつパック10を巻回する際、外装袋12内の空気が巻回した部分に近い通気孔(以下、ミシン目孔14)から抜けて、空気が外装袋12内にたまることなく、容易に紙おむつパック10を巻回することができる。
なお、本実施形形態では、ミシン目13は、紙おむつパック10の裏面10bに形成されているが、ミシン目13は巻内側の面とは反対の面、すなわち紙おむつパック10の表面10aに形成されてもよい。ミシン目13が巻回された紙おむつパック10の外側に配置されるため巻回した後も空気が抜けやすくなる。
【0027】
本実施形態において、ミシン目13は、紙おむつパック10を巻回する方向Aに対して平行かつ直線状に、ミシン目13を構成するミシン目孔14を並べるように形成される。ミシン目13をこのように形成することで、例えば巻回する方向Aに対してミシン目13を傾斜させて形成する場合と比較してミシン目13の長さを短くすることができる。また、ミシン目13は、紙おむつパック10の巻回する方向Aに対して直交する幅Wの方向の略中央に位置するよう形成される。ミシン目13が幅Wの略中央に位置することで、巻回する方向に対して左右のいずれかに空気を偏らせることなく、空気を排出することができ、スムーズに紙おむつパック10を巻回させることができる。また、通常、裏面10bの中央付近は、パッケージの表記が少なく、ミシン目13を形成してもパッケージの表記を損なうことがない。また、紙おむつパック10を巻回する際、作業者は両手を使って丸めるため、中央にミシン目13を形成することで、作業者の手がミシン目孔14を塞ぐことを防止できる。
【0028】
また、ミシン目13を構成する通気孔としてのミシン目孔14のそれぞれは、例えば
図6(a)に示すよう矩形に形成された貫通孔であり、その長辺の長さを1mm~3mmの大きさとしている。また、ミシン目孔14のピッチは約3mmとした。発明者らが実験を行ったところ、ミシン目孔14が小さすぎる、すなわち1mmより小さい場合は外装袋12から空気が抜けにくいことが分かった。また、ミシン目孔14が、大き過ぎる、すなわち3mmより大きい場合、紙おむつパック10を巻回した後、紙おむつパック10が空気を再度吸収して復元しやすくなり、巻回した後の作業性が悪くなるということが分かった。具体的には、巻回した後、直径Rが大きくなり筒状の被覆部材20に挿入し難くなるということがあった。また、ミシン目孔14が大きい場合は、外部環境から吸湿するリスクも大きくなる。そのため、本実施形態では、ミシン目孔14の長さを1mm~3mmとし、ピッチを約3mmとして、ミシン目13を外装袋12の裏面10bに形成している。
【0029】
なお、ミシン目孔14の大きさは、中の紙おむつ11のサイズや包装した後の空気量及びその状態に応じて変動させてもよい。空気量が少ない紙おむつパック10の場合は、貫通孔のピッチを広くし、空気量が多くなる場合は、ピッチを狭くすることで、より多くの空気を排出して空気が抜けるように調整する。また、巻き終わりの部分に空気がたまりやすいため、巻き終わりの部分に近付くにしたがって、ピッチを狭くしてミシン目孔14の数を多くしてもよい。また、ミシン目孔14の形状は円形であってもよく、その場合、ミシン目孔14の直径を1mm~3mmの大きさに設定する。
【0030】
本実施形態では、
図2及び
図6(a)に示すように、ミシン目13を、巻回する方向Aに対して平行に、幅方向において略中央に位置するよう形成しているが、ミシン目13の配置はこれに限られるものではない。例えば
図6(b)に示すように、二列のミシン目13a、13bが、巻回する方向Aに対して平行に外装袋12の両側部に位置するよう形成されてもよい。ミシン目孔14の数は増えるものの、中央を押しながら巻回した場合、空気が袋の両側部から排出されるようになり、より早く巻回することができる。また、
図6(c)に示すように、ミシン目13cを、巻回する方向Aに対して傾斜するよう形成されてもよい。ミシン目13cのように巻回する方向Aに対して傾斜させることで、同じピッチであっても、より多くのミシン目孔14を形成することができ、空気をより早く排出ことができる。
また、
図6(d)に示すように、巻回する後半の位置からミシン目13dを形成してもよい。巻きはじめの部分よりも、巻終わりの部分ほうが空気はたまりやすいため、巻き終わりの部分にミシン目13dを形成することで、ミシン目孔14の数が減り、例えば、外部環境から紙おむつ11が吸湿するリスクを減らすことができる。なお、図示しないが、
図6(a)又は
図6(d)のパターンにおいて、複数本のミシン目13を平行に設けてもよい。この場合、各ミシン目13を形成するミシン目孔14の数を減らしてピッチを広くしてもよい。
【0031】
ミシン目孔14は、
図7(a)に示すように空気が通過するよう形成された貫通孔であるが、
図7(b)に示すように、ミシン目孔14を塞ぐようにその周囲に、空気を一方向に排出させるための弁15a、15bが設けられてもよい。また、
図7(c)に示すように、ミシン目孔14を覆う弁15cが設けられてもよい。空気の排出方向を制限することにより、紙おむつパック10を巻回するときに空気が排出されるが、筒状の被覆部材20に挿入する際、紙おむつパック10が空気を吸収して膨らむことが抑制され、容易に挿入できるため作業性が向上する。また、弁15a~15cを設けることにより、外部環境から紙おむつ11が吸湿するリスクを低下させることができる。
【0032】
図4に示すように、紙おむつパック10を巻回した後、テープ等で端を固定して、巻回された紙おむつパック10を、矢印C方向に筒状の被覆部材20内に挿入する。筒状の被覆部材20は両端部が開口していて、いずれの方向からでも挿入することができる。本実施形態で用いられる被覆部材20は、透明なプラスチックフィルム製であり、巻回された紙おむつパック10を挿入した後も、表出したロゴマーク19を隠すことがなく、内容物を確認することができる。被覆部材20の長辺の長さは、紙おむつパック10の幅Wより大きく、紙おむつパック10を挿入した後は、巻回された紙おむつパック10の両端部を覆うように折りたたみ、テープにより固定する。
被覆部材20により、巻回された紙おむつパック10が膨らむことがなく、
図1、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、紙おむつ包装体1を、所定の大きさや形状に維持することができる。また、プラスチックフィルム製の被覆部材20は、薄いため巻回した紙おむつパック10を、自動販売機で販売可能な大きさや形状に近い寸法にすることができる。そのため、紙おむつ11の使用時のふんわり感や通気性を損なうことがない大きさで、巻回させることができる。例えば、紙おむつ包装体1の直径Rを80mm以上とすると、紙おむつ自体の品質を維持したまま販売することが可能である。
なお、被覆部材20をプラスチックフィルム製としたが、その材料はこれに限られるものではなく、被覆部材20は例えば紙製であってもかまわない。また、筒状の被覆部材20の一方の端部は閉口していて、紙おむつパック10を挿入した後は他方の端部を折りたたみテープにより固定する構造としてもよい。
【0033】
紙おむつ包装体1は、紙おむつ11を使用した後、それを廃棄する際に使用するゴミ袋22を中に備えてもよい。ゴミ袋22は、
図2及び
図3に示すよう、紙おむつパック10を巻回する際、紙おむつパック10の裏面10b上に配置され、紙おむつパック10と共に巻回される。購入者は、紙おむつ11とそれを廃棄するためのゴミ袋22が同時に入手できるため便利である。
【0034】
紙おむつ包装体1の製造方法について、
図8を参照しながら説明する。紙おむつ11と紙おむつ11を包む外装袋12と、筒状の被覆部材20とを予め準備しておく。そして、紙おむつパック10を巻回しやすいよう、外装袋12に、巻回する方向Aに所定の間隔をあけて複数の通気孔(ミシン目13)を形成する(S1)。
次に、複数の通気孔が形成された外装袋12に紙おむつ11を入れ、外装袋12の口を塞ぐことにより紙おむつパック10を作製する(S2)。
【0035】
次に、紙おむつパック10を巻回する方向Aに、外装袋12内の空気を抜きながら巻回する(S3)。このとき、巻き終わりの方に紙おむつ11のギャザー11aが位置するように巻回すると、ギャザー11aが巻回された紙おむつパック10の外側に位置するためにギャザー11aに与える影響が少ない。
【0036】
巻回後、紙おむつパック10を筒状の被覆部材20の内部に挿入して、ロール状に巻回された紙おむつパック10の外周面10cを覆う(S4)。その後、紙おむつパック10を含んだ状態で被覆部材20の両端部をテープ等で止めてもよい。紙おむつ包装体1が完成した後、作業員は自動販売機から個出し可能な大きさ及び形状になっているか確認してもよい。
紙おむつ11を外装袋12に入れる前に外装袋12に複数の通気孔を形成することで、紙おむつ11を傷つけることがなく、紙おむつ11に与える影響が少ない。
【0037】
なお、上記の工程S1~S4は作業員の手作業により実施されてもよく、また専用の装置を用いて実施されてもよい。上記の工程S1~S4のうちいずれかの工程が、手作業により実施され、それ以外の工程が専用の装置により実施されてもよい。
また、紙おむつ包装体1の作製は、同一の工場内で上記の工程S1~S4を実施することにより行われてもよい。また、外装袋12に複数の通気孔を形成する工程S1と紙おむつパック10を作製する工程S2については第一の工場で行い、紙おむつを巻回する工程S3と被覆部材20により外周面10cを覆う工程S4とを、第一の工場とは別の第二の工場で行ってもよい。
【0038】
このように作製された紙おむつ包装体1は、所定の大きさ及び形状に維持されていることから、清涼飲料を販売する自動販売機で個別に出し入れすることができる。また、陳列される商品の大きさや形状が定まっている無人販売店でも販売することができるようになる。
【符号の説明】
【0039】
1 紙おむつ包装体(吸収性物品包装体)
10 紙おむつパック(吸収性物品パック)
10a 表面
10b 裏面
10c 外周面
11 紙おむつ(吸収性物品)
11a ギャザー
12 外装袋
13、13a、13b、13c、13d ミシン目(複数の通気孔)
14 ミシン目孔
15a、15b、15c 弁
19 ロゴマーク
20 被覆部材
22 ゴミ袋