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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】医用情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20231214BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019172321
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021051394
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 進
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258853(JP,A)
【文献】特開2018-124993(JP,A)
【文献】特開2017-117393(JP,A)
【文献】特開2017-049985(JP,A)
【文献】特開2009-075852(JP,A)
【文献】特開2016-151959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受診者の身体状態及び生活習慣の履歴が記録された医用データを取得する取得部と、
前記受診者の病名を設定する設定部と、
前記病名の発症又は発症疑いに関する情報が記録された他の受診者の前記医用データの中から、前記取得部で取得された医用データのデータ特性に類似する医用データを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出された医用データを、データ特性が類似するグループ毎に分類する分類部と、
前記グループに属する前記医用データに基づいて、前記設定部で設定された前記病名に関連する前記身体状態と前記生活習慣との関係を表す症例の情報の遷移を出力する出力部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記受診者の身体特性を示す身体特性データを更に取得し、
前記抽出部は、前記受診者の身体特性データの条件に類似した前記他の受診者を前記抽出の対象とする請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記設定部で設定された病名に関係する種別の前記生活習慣の履歴に基づいて、前記抽出を行う請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、病名と生活習慣の種別との関係を対応付けた設定情報に基づき、前記設定部で設定された病名に関係する種別の前記生活習慣を選択する請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記分類部で分類されたグループのうち、当該グループを構成する前記医用データの個数が最大のグループを出力対象に設定する請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記分類部は、前記病名の発症が記録されたグループを悪化症例に分類するとともに、前記病名の発症疑いが解消したことが記録されたグループを改善症例に分類し、
前記出力部は、前記悪化症例及び前記改善症例のグループうち、何れか一方又は両方のグループを出力対象に設定する請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記悪化症例のグループに属する前記医用データの各々に記録された前記病名の発症時期に基づいて、発症時期毎の発症人数を出力する請求項6に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、病名と当該病名の発症に係るリスク内容との関係を対応付けた設定情報に基づき、前記設定部で設定された病名に対応するリスク内容を付加して出力する請求項6又は7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記グループに属する前記医用データに基づいて、前記設定部で設定された前記病名に関連する前記身体状態と前記生活習慣との前記遷移を時系列の関係で表す前記症例の情報を出力する請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記抽出部は、前記設定部で設定された前記病名に関連する前記受診者の前記身体状態と前記生活習慣との経時的な変化の傾向に類似した、前記他の受診者の医用データを前記抽出の対象とする請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
医用情報処理装置のコンピュータに、
受診者の身体状態及び生活習慣の履歴が記録された医用データを取得する取得機能と、
前記受診者の病名を設定する設定機能と、
前記病名の発症又は発症疑いに関する情報が記録された他の受診者の前記医用データの中から、前記取得機能で取得された医用データのデータ特性に類似する医用データを抽出する抽出機能と、
前記抽出機能で抽出された医用データを、データ特性が類似するグループ毎に分類する分類機能と、
前記グループに属する前記医用データに基づいて、前記設定機能で設定された前記病名に関連する前記身体状態と前記生活習慣との関係を表す症例の情報の遷移を出力する出力機能と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断又は健康診査(以下、健診)は、各種検査の結果に基づく診断結果を疾患の予防、早期発見及び早期治療などに結びつけることで、受診者の健康状態を管理して改善することを目的に行なわれている。
【0003】
また、近年では、生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている生活習慣病の患者数が増加傾向にあることから、健診の重要性が高まっている。
【0004】
ところで、健診の診断結果は、検査結果等を参照しながら、医師(或いは看護師や保健師)により受診者に対して説明される。また、説明の際には、学会等で報告された事例等の医学的な根拠に基づき、生活習慣を改善するための指導を行われている。例えば、従来、健康指導を支援するための技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、例えば自覚症状のない受診者にとっては、医師が生活習慣改善のための指導を行ったとしても、その必要性や深刻度を実感することは困難である。そのため、受診者は、生活習慣の改善機会を逸してしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-193714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、受診者に対する生活習慣の改善指導を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、設定部と、抽出部と、分類部と、出力部とを備える。取得部は、受診者のこれまでの身体状態及び生活習慣の履歴が記録された医用データを取得する、設定部は、前記受診者の病名を設定する。抽出部は、前記病名の発症又は発症疑いに関する情報が記録された他の受診者の前記医用データの中から、前記取得部で取得された医用データのデータ特性に類似する医用データを抽出する。分類部は、前記抽出部で抽出された医用データを、データ特性が類似するグループ毎に分類する。出力部は、前記グループに属する前記医用データに基づいて、前記設定部で設定された前記病名に関連する前記身体状態と前記生活習慣との関係を表す症例の情報の遷移を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る健診システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る受診者データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る検査データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る治療データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態の出力機能が出力する画面の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態の出力機能が出力する画面の他の例を示す図である。
図8図8は、実施形態の医用情報処理装置が行う医用情報処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、変形例1の出力機能が出力する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置及びプログラムの実施形態について説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る健診システムの構成例を示す図である。図1に示すように、健診システム1は、受診者データDB(Data Base)10と、検査データDB20と、治療データDB30と、医用情報処理装置100とを有する。ここで、受診者データDB(Data Base)10と、検査データDB20と、治療データDB30と、医用情報処理装置100とは、病院等の医療施設内に設けられた院内LAN等のネットワークNを介して互いに通信可能に接続される。なお、各装置の個数は、図1に示した個数に限定されないものとする。
【0012】
受診者データDB10は、受診者の身体特性に関するデータを記憶するデータベースである。具体的には、受診者データDB10は、年齢、性別、身長、体重等の情報で構成される受診者データを、受診者を識別する受診者IDに対応付けて記憶するための受診者データテーブル11を保持する。各受診者の受診者データは、例えば、医用情報処理装置100又は病院等の医療施設に設けられた端末装置等を介して、受診者データテーブル11に登録される。なお、本実施形態において、「受診者」とは、定期健康診断や健康診査等の健診を受ける健康状態の受診者、病名が未確定の受診者、病名が確定した受診者(患者)等を含む概念である。
【0013】
図2は、受診者データテーブル11のデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、受診者データテーブル11は、「受診者ID」と、受診者データとを対応付けて記憶する。ここで、受診者データは、「年齢」、「性別」、「身長」及び「体重」等の項目を有する。例えば、図2では、受診者IDが「P0001」と「P0002」との受診者の受診者データを示している。なお、受診者データが有する項目は、図2の例に限らず、受診者の氏名や連絡先等の項目を有してもよい。
【0014】
検査データDB20は、受診者に対して行われた各種の検査結果の履歴を記憶するデータベースである。具体的には、検査データDB20は、検査が行われた日付(受診日)、検査方法、検査項目、検査部位、検査結果等の情報で構成される検査データを、受診者IDに対応付けて記憶するための検査データテーブル21を保持する。各受診者の検査データは、例えば、医用情報処理装置100又は病院等の医療施設に設けられた端末装置等を介して、健診(検査)毎に検査データテーブル21に登録される。
【0015】
図3は、検査データテーブル21のデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、検査データテーブル21は、「受診者ID」と、検査データとを対応付けて記憶する。ここで、検査データは、「受診日」、「検査方法」、「検査項目」、「検査部位」及び「検査結果」等の項目を有する。
【0016】
例えば、検査データテーブル21には、図3に示すように、受診者ID「P0001」の検査データとして、2015年から2018年にかけて定期的(6ヶ月毎)に行われた健診の検査データが時系列順に登録される。この検査データでは、検査方法として「X線」、「CT」が用いられており、「胸部」を撮影することで「肺」の検査が行われたことが記録されている。また、2016年4月1日及び2018年4月1日の検査で異常の疑いが記録されており、2018年10月1日の検査で異常ありと診断されたことが記録されている。
【0017】
また、例えば、検査データテーブル21には、図3に示すように、受診者ID「P0002」の検査データとして、2015年から2016年にかけて定期的(6ヶ月毎)に行われた健診の検査データが時系列順に登録される。この検査データでは、血液検査により、「血糖値」と「中性脂肪」とが検査されたことを示している。また、2015年11月1日の検査で中性脂肪の値が「高」となったことが記録されている。
【0018】
このように、検査データは、検査時の受診者の身体状態を経時的に記録したものとなる。つまり、検査データは、受診者の身体状態の履歴が記録された医用データの一例に対応する。
【0019】
治療データDB30は、受診者の生活習慣や治療に関するデータ等を記憶するデータベースである。具体的には、治療データDB30は、健診が行われた日付(受診日)と、生活習慣データと、治療データとを、受診者IDに対応付けて記憶するための治療データテーブル31を保持する。各受診者の生活習慣データ及び治療データは、例えば、医用情報処理装置100又は病院等の医療施設に設けられた端末装置等を介して、健診毎に検査データテーブル21に登録される。
【0020】
図4は、治療データテーブル31のデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、治療データテーブル31は、「受診者ID」と、「受診日」と、生活習慣データと、治療データとを対応付けて記憶する。なお、図4では、説明の便宜を図るため、治療データテーブル31の「受診日」を、図3に示した検査データテーブル21の「受診日」にあわせている。
【0021】
ここで、生活習慣データには、受診者から申告された生活習慣の種別及び内容が入力される。例えば、図4では生活習慣の種別として、1日当たりの喫煙量と、1日当たりの運動量(歩数)とを挙げており、受診者ID「P0001」、「P0002」の各受診者から申告された喫煙量と歩数とが「受診日」毎に記録されている。
【0022】
生活習慣の種別は、図4の例に限らず他の種別の生活習慣を登録してもよい。例えば、生活習慣の種別は、アルコールの1日当たりの摂取量や摂取頻度等であってもよいし、1日当たりの摂取カロリーや睡眠時間等であってもよい。
【0023】
このように、生活習慣データは、受診者の生活習慣を経時的に記録したものとなる。つまり、治療データテーブル31の「受診日」及び生活習慣データの組は、受診者の生活習慣の履歴が記録された医用データの一例に対応する。
【0024】
一方、治療データは、「病名」、「治療計画」等の項目を有する。本実施形態において、「病名」の項目には、該当なしを意味する「-」、「疑い」、「発症」の何れかの要素が入力される。例えば、検査の結果から異常が検出されない場合、「-」が入力される。また、例えば、検査の結果から特定の病名について疑わしい症状や異常が検出された場合、「疑い」が入力される。また、例えば、検査等の結果から病名が確定された場合、「発症」が入力される。なお、「疑い」及び「発症」の場合には、該当する病名もあわせて入力される。
【0025】
例えば、図4では、受診者ID「P0001」について、図3に示した2016年4月1日の検査結果から、同日付で肺がんの疑いがあると診断されたことが記録されている。また、2016年10月1日~2017年10月1日の検査結果では、疑いは一旦解消されたものの、2018年4月1日の検査結果で再び肺がんの疑いと診断され、続く2018年10月1日の検査結果から、肺がん発症と診断されたことが記録されている。
【0026】
また、例えば、受診者ID「P0002」について、図3に示した2015年11月1日の検査結果から、同日付で脂肪肝の疑いがあると診断されたことが記録されている。そして、2016年5月1日の検査結果から、疑いが解消したことが記録されている。
【0027】
「治療計画」の項目には、医師、看護師、保健師等の医療従事者(以下、単に医師という)が決定した受診者(患者)の治療計画が入力される。具体的には、「治療計画」には、経過観察や具体的な治療方法等が入力される。
【0028】
例えば、図4では、受診者ID「P0001」について、2016年4月1日付の肺がん疑いの診断結果から、「治療計画」として経過観察が決定されたことが記録されている。また、2016年10月1日~2018年4月1日の検査まで経過観察は継続され、2018年10月1日付の肺がんの発症に伴い、「治療計画」が治療に移行されたことが記録されている。
【0029】
また、受診者ID「P0002」については、2015年11月1日付の脂肪肝の疑いの検査結果から、「治療計画」として経過観察が決定されたことが記録されている。そして、2016年5月1日の検査まで経過観察が継続されたことが記録されている。
【0030】
このように、治療データは、受診者の身体状態を経時的に記録したものとなる。つまり、治療データテーブル31の「受診日」及び治療データの組は、受診者の身体状態の履歴が記録された医用データの一例に対応する。
【0031】
なお、本実施形態では、生活習慣データと治療データとを、同一のテーブルに保持する形態を説明したが、これに限らず、生活習慣データと治療データとの各々を独立したテーブルで保持する形態としてもよい。
【0032】
また、受診者データDB10、検査データDB20及び治療データDB30は、一のサーバ装置(データベースサーバ)によって実現されてもよいし、複数のサーバ装置によって実現されてもよい。後者の場合、例えば、受診者データDB10及び治療データDB30は、病院情報システム(HIS)等のサーバ装置によって実現されてもよい。また、検査データDB20は、放射線科情報システム(RIS)等のサーバ装置によって実現されてもよい。
【0033】
医用情報処理装置100は、受診者データDB10、検査データDB20及び治療データDB30に記憶された医用データを用いた各種処理を実行する。具体的には、医用情報処理装置100は、医師によって、受診者の健診業務に使用される。なお、医用情報処理装置100は、例えば、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0034】
図5は、医用情報処理装置100の構成例を示す図である。図5に示すように、医用情報処理装置100は、I/F(インタフェース)回路110と、記憶回路120と、入力回路130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
【0035】
I/F回路110は、処理回路150に接続され、ネットワークNを介した各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、I/F回路110は、受診者データDB10、検査データDB20及び治療データDB30にアクセスする。例えば、I/F回路110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0036】
記憶回路120は、処理回路150に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路120は、医用情報処理装置100の動作に係る各種の設定情報を記憶する。例えば、記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0037】
入力回路130は、処理回路150に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。例えば、入力回路130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
【0038】
ディスプレイ140は、処理回路150に接続され、処理回路150から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0039】
処理回路150は、医用情報処理装置100の動作を統括的に制御する。例えば、処理回路150は、プロセッサによって実現される。
【0040】
以上、本実施形態に係る医用情報処理装置100の全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る医用情報処理装置100は、健診業務を支援するための機能を有する。
【0041】
具体的には、処理回路150は、取得機能151と、設定機能152と、抽出機能153と、分類機能154と、出力機能155とを有する。ここで、取得機能151は、特許請求の範囲における取得部の一例である。また、設定機能152は、特許請求の範囲における設定部の一例である。また、抽出機能153は、特許請求の範囲における抽出部の一例である。また、分類機能154は、特許請求の範囲における分類部の一例である。また、出力機能155は、特許請求の範囲における出力部の一例である。
【0042】
取得機能151は、健診対象の受診者(以下、対象受診者ともいう)に関する各種のデータを取得する。具体的には、取得機能151は、入力回路130を介して対象受診者の受診者IDが指定されると、指定された受診者IDに関連付けられた各種のデータを受診者データDB10、検査データDB20及び治療データDB30から取得する。そして、取得機能151は、取得した対象受診者に関するデータをディスプレイ140に表示させる。
【0043】
医用情報処理装置100を操作する医師は、取得機能151によって取得及び表示されたデータを見ることで、対象受診者の状態を確認することができる。例えば、医師は、検査データに基づいて対象受診者の現在又は過去の身体状態を確認したり、生活習慣データに基づいて対象受診者の現在又は過去の生活習慣を確認したりすることができる。また、医師は、入力回路130等を介して、対象受診者の病名や治療方針を治療データとして入力することもできる。
【0044】
ところで、医師は、対象受診者の身体状態を改善するため、学会等で報告された事例等の医学的な根拠に基づき、生活習慣の改善策を対象受診者に指導する場合がある。例えば、図4の受診者ID「P0001」のように、肺がんの疑いがあるような場合、医師は喫煙量を減らす(2箱/日→0箱/日等)ことを対象受診者に指導する。また、例えば、図4の受診者ID「P0002」のように、脂肪肝の疑いがあるような場合、医師は運動量を増やす(5000歩/日→10000歩/日等)ことを対象受診者に指導する。
【0045】
しかしながら、例えば自覚症状のない対象受診者にとっては、医師が改善策を指導したとしても、その必要性や深刻度を実感することは困難である。そのため、対象受診者側では、生活習慣の改善機会を逸してしまう可能性があった。
【0046】
そこで、本実施形態の医用情報処理装置100では、設定機能152、抽出機能153、分類機能154、及び出力機能155によって、対象受診者に対する生活習慣の改善指導を支援する。
【0047】
設定機能152は、対象受診者の病名を設定する。例えば、設定機能152は、入力回路130を介して、医師から指定された病名を設定してもよい。また、例えば、設定機能152は、対象受診者の基本情報、検査結果及び生活習慣等から罹患が予測される病名を推定し、推定した病名を設定してもよい。また、罹患が予測される病名が複数挙げられる場合、設定機能152は、これらの病名を医師に選択させてもよい。
【0048】
なお、病名の推定方法は特に問わず種々の方法を採用することが可能である。例えば、設定機能152は、公知の方法により、検査データの検査結果から罹患が予測される病名を推定してもよい。また、設定機能152は、生活習慣と病名との関係を示したガイドライン等の設定情報に基づき、対象受診者の生活習慣データから罹患が予測される病名を推定してもよい。
【0049】
抽出機能153は、対象受診者のデータ特性に類似した他の受診者に関するデータを抽出する。具体的には、抽出機能153は、対象受診者の受診者データ(年齢、性別、身長、体重)、検査データ、生活習慣データ及び治療データのデータ特性、設定機能152で設定された病名に基づき、対象受診者のデータ特性に類似したデータ特性を有する他の受診者を検索する。そして、抽出機能153は、検索した他の受診者に関するデータを検査データDB20及び治療データDB30から抽出する。以下、抽出機能153の動作について説明する。
【0050】
まず、抽出機能153は、治療データDB30を参照し、設定機能152で設定された病名が登録されている治療データの受診者IDを検索する。ここで、検索対象の治療データは、設定機能152で設定された病名の発症又は発症疑いが記録された他の受診者の治療データとなる。
【0051】
次いで、抽出機能153は、受診者データDB10を参照し、検索した他の受診者の受診者IDの中から、対象受診者の受診者データのデータ特性に類似する受診者IDを絞り込む。ここで、類似と判断する程度は特に問わず、任意の閾値を設定することが可能である。例えば、対象受診者の年齢が20歳の場合には、同一の年齢を類似と判断するよう設定してもよいし、20代を類似と判断するよう設定してもよい。また、身長や体重についても、同様に閾値を設定することができる。なお、受診者データに受診者の氏名や連絡先等の項目が含まれる場合には、抽出機能153は、年齢、性別、身長、体重等の身体特性を表す項目に制限して、類似度判定を行うものとする。
【0052】
次いで、抽出機能153は、検査データDB20及び治療データDB30を参照し、絞り込んだ他の受診者の受診者IDの中から、対象受診者の検査データ、生活習慣データ及び治療データのデータ特性に類似する受診者IDを更に絞り込む。ここで、検査データのデータ特性は、例えば、検査方法、検査項目、検査部位及び検査結果の内容や、検査結果の経時的な変化の傾向を意味する。また、生活習慣データのデータ特性は例えば、生活習慣の種別及びその内容や、生活習慣の経時的な変化の傾向を意味する。また、治療データのデータ特性は例えば、設定機能152で設定された病名の疑いが登録されるまでの、病名や治療計画等の経時的な変化の傾向を意味する。
【0053】
なお、絞り込みに用いる生活習慣の種別は、設定機能152で設定された病名に関係する種別を選択することが好ましい。例えば、病名が「肺がん」の場合には、喫煙に関する生活習慣の種別を選択することが好ましい。また、例えば病名が「脂肪肝」の場合には、運動量や食生活に関する生活習慣の種別を選択することが好ましい。かかる種別の選択方法は特に問わず、種々の方法を採用することができる。
【0054】
例えば、抽出機能153は、上述した生活習慣と病名との関係を示したガイドライン等の設定情報に基づき、設定機能152で設定された病名に関係する生活習慣の種別を選択してもよい。また、例えば、抽出機能153は、入力回路130を介して指定された生活習慣の種別を選択してもよい。
【0055】
上述の絞り込み処理により、抽出機能153は、対象受診者の身体状態及び生活習慣のデータ特性に類似した他の受診者の受診者IDを絞り込むことができる。なお、類似と判断する程度は特に問わず、任意の閾値を設定することが可能である。また、上述の例では、検査データと治療データとの両方を絞り込み条件としたが、何れか一方のデータのみを絞り込み条件としてもよい。
【0056】
そして、抽出機能153は、上述の絞り込み処理で絞り込んだ他の受診者に関する検査データ、生活習慣データ及び治療データを検査データDB20及び治療データDB30から読み出す。
【0057】
なお、抽出機能153は、検査データ、生活習慣データ及び治療データとともに、他の受診者に関する受診者データを受診者データDB10から抽出する形態としてもよい。この場合、抽出機能153は、受診者データから個人を特定可能な情報をマスクするマスク処理を実行することが好ましい。例えば、抽出機能153は、抽出した受診者データから氏名や連絡先等を取り除くマスク処理を実行してもよい。
【0058】
また、抽出機能153は、最終的に絞り込んだ他の受診者の受診者IDの個数が、所定値に満たない場合、所定値に達するまで絞り込み条件を緩和させてもよい。この場合、例えば、抽出機能153は、受診者データの一部又は全部の項目を絞り込み条件から除外することで、絞り込み条件を緩和させてもよい。また、例えば、抽出機能153は、類似と判断する程度を定めた閾値を変更することで、絞り込み条件を緩和させてもよい。
【0059】
分類機能154は、抽出機能153が抽出したデータを、データ特性が類似するグループ毎に分類する。具体的には、分類機能154は、受診者IDが同一の検査データ、生活習慣データ及び治療データを一単位のデータとし、そのデータ特性が類似するデータを同一のグループに分類する。また、分類機能154は、分類されたグループに属するデータの個数を症例数として集計する。なお、分類機能154が分類に使用するデータ特性は、抽出機能153で説明したデータ特性と同様である。
【0060】
また、分類機能154は、各グループに属するデータの治療データに、設定機能152で設定された病名の発症を示す内容が含まれているか否かを判別する。そして、分類機能154は、発症を示す内容が含まれている場合、そのグループを悪化症例(バッドケース)に分類し、発症を示す内容が含まれない場合、そのグループを改善症例(グッドケース)に分類する。
【0061】
出力機能155は、分類機能154で分類されたグループに属するデータに基づいて、身体状態と生活習慣との関係を表す情報を出力する。具体的には、出力機能155は、分類機能154で分類されたグループの中から表示対象のグループを選定し、当該グループに属するデータに基づき、身体状態と生活習慣との関係を表す画面をディスプレイ140に表示出力させる。
【0062】
ここで、身体状態と生活習慣との関係とは、同一のグループを構成する各データに含まれた検査データ及び治療データと、生活習慣データとの関係を意味する。より具体的には、設定機能152で設定された病名に関係する生活習慣の経時的な変化(遷移)と、当該病名が発症又は発症疑いが解消するまでの検査結果及び治療状況の経時的な変化(遷移)との関係を表した情報を意味する。
【0063】
なお、同一のグループを構成する各データは類似性を有しているが、発症時期等でばらつきを有する場合がある。このような場合、出力機能155は、平均値や頻出値を算出する統計処理を施すことで、同一のグループを構成するデータから、代表となる身体状態と生活習慣との関係を導出して表示させてもよい。
【0064】
また、表示対象とするグループは特に問わず、任意に設定することが可能である。例えば、出力機能155は、症例数が最大のグループを表示対象に設定してもよい。また、例えば、出力機能155は、悪化症例及び改善症例に設定されたグループの何れか一方又は両方を表示対象に設定してもよい。
【0065】
図6は、出力機能155が出力する画面の一例を示す図である。図6では、病名「肺がん」について分類された悪化症例と改善症例とのグループを並列表示させた例を示しており、上段が悪化症例、下段が改善症例に対応する。なお、悪化症例の症例数は80であり、改善症例の症例数は10である。
【0066】
図6に示すように、出力機能155は、悪化症例及び改善症例のグループ毎に、身体状態と生活習慣との関係を表示させる。ここでは、表示形態の一例として、検査データ、生活習慣データ、及び治療データの遷移を時系列順に並列表示させている。なお、図6では検査データを、「肺X線」、「肺CT」の項目で表している。また、生活習慣データを、1日当たりの「喫煙量」の項目で表している。また、治療データを、「治療状況」の項目で表している。
【0067】
また、図6において、「前々回受診」、「前回受診」及び「今回受診」のデータ部分は、対象受診者のデータ特性と類似した部分を意味する。つまり、図6の悪化症例及び改善症例は、対象受診者が行った今回の健診までの直近3回分の健診で得られた各種データのデータ特性に基づき抽出されたことを意味する。一方で、「6ヶ月後受診」~「36ヶ月後受診」のデータ部分は、そのグループに固有のデータ特性を示す部分となる。つまり、「今回受診」以降の将来のデータ特性を参照することで、肺がんの発症に至った生活習慣、又は発症疑いの解消に至った生活習慣の遷移を容易に確認することができる。
【0068】
なお、上述した画面は、対象受診者の健診時に使用することで医師の健診業務を好適に支援することができる。例えば、対象受診者の健診時において、検査結果及び生活習慣から肺がん等の罹患が予測される場合、医師は、設定機能152を介して想定される病名を設定する。そして、医師は、出力機能155によって表示された画面を対象受診者に提示し、当該画面に表示された悪化症例又は改善症例を見ながら生活習慣の改善指導を行う。
【0069】
これにより、医用情報処理装置100は、例えば自覚症状のない対象受診者であっても、悪化症例に示された身体状態と生活習慣との関係を提示することで、生活習慣の改善の必要性や深刻度を対象受診者に実感させることができる。また、医用情報処理装置100は、改善症例を提示することで、生活習慣改善の目安を提示できるため、生活習慣の改善の動機づけを対象受診者に与えることができる。したがって、医用情報処理装置100は、対象受診者に対する生活習慣の改善指導を支援することでき、対象受診者の生活習慣の改善機会の増加を図ることができる。
【0070】
なお、出力機能155が表示する画面は、図6の表示形態に限定されないものとする。例えば、出力機能155は、悪化症例のグループに属するデータ(治療データ)の各々に記録された病名の発症時期に基づき、発症時期と発症人数との関係を表示させてもよい。
【0071】
図7は、出力機能155が出力する画面の他の例を示す図である。図7は、図6の上段に示した悪化症例の他の表示形態を示している。具体的には、図7では、「6ヶ月後受診」~「36ヶ月後受診」の各受診タイミングで、肺がん発症と診断された受診者の人数を表示させている。例えば、図7では、「6ヶ月後受診」で3人、「12ヶ月後受診」で8人、「18ヶ月後受診」で12人、「24ヶ月後受診」で12人、「30ヶ月後受診」では45人が発症したことを示している。
【0072】
かかる表示より、医用情報処理装置100は、悪化症例について、病気の発症時期と発症人数との関係を、医師及び対象受診者に把握させることができる。これにより、医用情報処理装置100は、対象受診者に対し、生活習慣の改善の必要性や深刻度を実感させることができる。
【0073】
次に、図8を参照して、医用情報処理装置100が行う医用情報処理について説明する。図8は、医用情報処理装置100が行う医用情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
まず、取得機能151は、対象受診者の受診者IDが指定されると、当該受診者IDに関する各種データを受診者データDB10、検査データDB20、治療データDB30から取得する(ステップS11)。
【0075】
ここで、例えば、医師は、取得機能151によって表示された対象受診者の過去及び現在(今回)の検査結果や生活習慣から病気の罹患が予測されると判断した場合、入力回路130を介して、想定される病名を入力する。
【0076】
設定機能152は、入力回路130を介して病名が入力されると、その病名を対象受診者の病名に設定する(ステップS12)。ステップS12で病名が設定されると、抽出機能153は、治療データDB30を参照し、設定された病名の「疑い」又は「発症」が治療データに記録された他の受診者の受診者IDを検索する(ステップS13)。
【0077】
続いて、抽出機能153は、他の受診者の受診者IDに関連付けられた各データを参照し、対象受診者のデータ特性に類似したデータを有する受診者IDを絞り込む(ステップS14)。次いで、抽出機能153は、絞り込んだ他の受診者の受診者IDに関するデータを抽出する(ステップS15)。
【0078】
続いて、分類機能154は、ステップS15で抽出されたデータを、データ特性が類似するグループ毎に分類する(ステップS16)。そして、出力機能155は、ステップS16で分類されたグループに基づいて、当該グループの身体状態と生活習慣との関係を表す画面をディスプレイ140に表示出力させ(ステップS17)、本処理を終了する。
【0079】
このように、医用情報処理装置100は、対象受診者に対し病名が設定された場合、対象受診者のこれまでの検査、生活習慣及び治療の履歴を示すデータを基に、当該履歴のデータ特性に類似した他の受診者のデータを抽出する。そして、医用情報処理装置100は、抽出したデータをデータ特性が類似するグループ毎に分類し、分類したグループに属するデータに基づいて、身体状態と生活習慣との関係を表した画面を出力する。
【0080】
これにより、医用情報処理装置100は、設定された病名の発症に至った他の受診者の生活習慣、又は当該病名の発症疑いの解消に至った生活習慣を、医師や対象受診者に提示することができる。かかる提示により、医用情報処理装置100は、例えば自覚症状のない対象受診者であっても、当該対象受診者に、生活習慣の改善の必要性や深刻度を実感させることができる。したがって、医用情報処理装置100は、対象受診者に対する生活習慣の改善指導を支援することできる。
【0081】
なお、上述した実施形態は、医用情報処理装置100が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0082】
(変形例1)
上述の実施形態では、出力機能155が出力する画面例として、図6及び図7を用いて説明した。本変形例では、出力機能155が出力する他の画面について説明する。
【0083】
上述した悪化症例の場合、出力機能155が出力する画面には病気の発症に至るまでの検査結果、生活習慣、治療状況の遷移が表示されることになる。本変形の出力機能155は、この悪化症例の画面に、発症した病気に関係する付加情報を付加して表示させる。
【0084】
具体的には、出力機能155は、図9に示すように、設定機能152で設定された病名の発症に伴うリスク内容を示した付加情報Rを悪化症例の画面に付加して表示させる。ここで、図9は、本変形例の出力機能155が出力する画面の一例を示す図である。
【0085】
図9では、付加情報Rとして、設定機能152で設定された病名の治療にかかる費用を表示させた例を示している。かかる付加情報Rは、例えば、病名と当該病名の発症に伴うリスク内容との関係を対応付けた設定情報に基づき生成することができる。具体的には、出力機能155は、記憶回路120等に記憶された設定情報に基づき、設定機能152で設定された病名に対応するリスク内容を示した付加情報Rを生成する。そして、出力機能155は、生成した付加情報を悪化症例の画面に付加して表示させる。
【0086】
これにより、医用情報処理装置100は、設定された病名が発症した場合のリスクを対象受診者に提示することができるため、生活習慣の改善の必要性や深刻度をより強力に対象受診者に実感させることができる。
【0087】
なお、付加情報Rに表示するリスク内容は、治療費用に限らないものとする。例えば、出力機能155は、治療内容や手術内容を付加情報Rとして表示させてもよい。また、例えば、出力機能155は、寛解率や死亡率等を付加情報Rとして表示させてもよい。
【0088】
(変形例2)
上述の実施形態では、対象受診者の検査データ及び生活習慣データを、検査データDB20及び治療データDB30から取得する形態を説明したが、データの取得先はこれに限定されるものではない。
【0089】
例えば、対象受診者が、心拍や血圧、歩数等の活動量を計測する活動量計や活動量計の機能を備えたスマートフォン等のデバイスを使用しているような場合がある。この場合、取得機能151は、図示しない通信装置を介して、対象受診者のデバイスから日々の活動量を示すデータを、検査データや生活習慣データとして取得してもよい。
【0090】
また、例えば、活動量計等のデバイスで取得されたデータが、クラウド等のネットワーク上の機器で記憶・管理される場合がある。この場合、取得機能151は、I/F回路や図示しない通信装置を介して、ネットワーク上の機器から日々の活動量を示すデータを検査データや生活習慣データとして取得してもよい。
【0091】
これにより、医用情報処理装置100は、検査結果及び生活習慣の履歴をより詳細に取ることができるため、他の受診者のデータとの類似度判定に係る精度の向上を図ることができる。
【0092】
(変形例3)
上述した実施形態では、定期健康診断や健康診査等の健診時に医用情報処理装置100が使用される例を説明したが、医用情報処理装置100が使用される形態はこれに限定されるものではない。
【0093】
例えば、医用情報処理装置100を、医師以外の受診者(ユーザ)が使用するスマートフォンやPC(Personal Computer)等の形態で提供してもよい。この場合、医用情報処理装置100の取得機能151は、ユーザの日々の身体状態や生活習慣を取得し記録する。なお、身体状態や生活習慣は手動で入力されてもよいし、医用情報処理装置100が別途備える上述した活動量計等の機能により自動入力されてもよい。
【0094】
また、医用情報処理装置100の設定機能152は、例えば、記録されたユーザの身体状態又は生活習慣に基づき、病気の罹患が予測されと判断すると、想定される病気の病名を設定する。これにより、医用情報処理装置100の抽出機能153、分類機能154及び出力機能155は、ネットワーク接続された受診者データDB10、検査データDB20、治療データDB30等の他の受診者のデータを用いて、身体状態と生活習慣との関係を表した画面を表示出力する。
【0095】
これにより、医用情報処理装置100は、ユーザの日々の生活から、身体状態と生活習慣との関係をユーザに提示することができるため、ユーザ(受診者)に対する生活習慣の改善指導を適切なタイミングで行うことができる。
【0096】
(変形例4)
上述した実施形態では、出力機能155は、身体状態と生活習慣との関係をディスプレイ140に表示出力する形態としたが、出力先はこれに限定されるものではない。例えば、出力機能155は、医用情報処理装置100が印刷装置を備えるような場合、身体状態と生活習慣との関係を印刷装置に印刷させてもよい。また、例えば、出力機能155は、I/F回路110を介して、身体状態と生活習慣との関係を、ネットワークNに接続された他の装置に送信させてもよい。
【0097】
なお、上述した実施形態では、医用情報処理装置100が備える機能構成を、処理回路150によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における機能構成は、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0098】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路120に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0099】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0100】
以上説明した実施形態によれば、受診者に対する生活習慣の改善指導を支援することができる。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態(変形例)を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0102】
1 健診システム
10 受診者データDB
11 受診者データテーブル
20 検査データDB
21 検査データテーブル
30 治療データDB
31 治療データテーブル
100 医用情報処理装置
151 取得機能
152 設定機能
153 抽出機能
154 分類機能
155 出力機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9