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  • 特許-排水ソケットおよび水洗式便器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】排水ソケットおよび水洗式便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/16 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
E03D11/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019215704
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021085253
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】本所 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 治伸
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-064403(JP,A)
【文献】特開平09-158297(JP,A)
【文献】特開2007-332558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-7/00
E03D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗式便器の便器排水管と床下排水管とを接続する排水ソケットであって、
下降管部と、
切断して長さ調整できる、水平方向に延びるアジャスタ管部と、
前記下降管部と前記アジャスタ管部との間に設けられる屈曲管部と、
を備え、
前記下降管部および前記屈曲管部の少なくとも一方は、前記屈曲管部においてサイホン作用を発生させるためのサイホン誘起部を有し、
前記サイホン誘起部は、前記屈曲管部の曲がり方向内側の内壁面から突出する突出部であり、
前記屈曲管部の曲がり方向外側の内壁面は、流路に沿って湾曲した湾曲面である排水ソケット。
【請求項2】
前記下降管部および前記屈曲管部は、前記屈曲管部の曲がり方向内側の内壁面に繋がる前記下降管部の内壁面の部分に沿って流れる洗浄水が、前記屈曲管部の曲がり方向外側の内壁面に流れ込むように構成される請求項1に記載の排水ソケット。
【請求項3】
前記突出部は、前記内壁面のうちの幅方向外側から突出する請求項1または2に記載の排水ソケット。
【請求項4】
前記突出部は、前記内壁面の幅方向全体から突出する請求項1から3のいずれかに記載の排水ソケット。
【請求項5】
前記突出部は、幅方向外側が、幅方向中央に比べ、より突出している請求項4に記載の排水ソケット。
【請求項6】
前記突出部は、幅方向外側の上面が、幅方向外側に向かって下り傾斜した傾斜面である請求項から5のいずれかに記載の排水ソケット。
【請求項7】
便器本体と、
前記便器本体の便器排水管と床下排水管とを接続する請求項1から6のいずれかに記載の排水ソケットと、
を備える水洗式便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水ソケットおよび水洗式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
便器本体の便器排水管と床下排水管とを接続する排水ソケットが知られている。従来では、水平方向に延びるアジャスタ管部を備える排水ソケットが提案されている(例えば特許文献1)。アジャスタ管部は、切断して長さ調整できる。この排水ソケットによれば、便器本体を、前後方向における便器排水管の排水口の位置が相対的に異なるものに交換することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-026907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される排水ソケットでは、床上絞り部および床下絞り部のそれぞれが誘起するサイホン作用により、便鉢内の溜水に浮遊する汚物(以下、浮遊性汚物という)の排出性能を高められる。しかしながら、床上絞り部は、排水ソケットの流入口近傍、すなわち排水トラップの直後に設けられている。排水トラップの頂部付近では、汚物が流れる速度が落ちるため、排水トラップの直後に抵抗となる床上絞り部を設けると、そこに汚物が詰まるおそれがある。床下絞り部は、アジャスタ管部よりも下流に設けられているため、アジャスタ管部が長さ調整された結果、床下絞り部によるサイホン作用の発生タイミングや持続時間が適当でなくなるおそれがある。
【0005】
本開示の目的の1つは、詰まりを抑制しつつも的確にサイホン作用を発生させる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本開示のある態様は排水ソケットである。この排水ソケットは、水洗式便器の便器排水管と床下排水管とを接続する排水ソケットであって、下降管部と、切断して長さ調整できる、水平方向に延びるアジャスタ管部と、下降管部とアジャスタ管部との間に設けられる屈曲管部と、を備える。下降管部および屈曲管部の少なくとも一方は、屈曲管部においてサイホン作用を発生させるためのサイホン誘起部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る排水ソケットを備える水洗式便器の縦断面図である。
図2図1の屈曲管部とその周辺を拡大して示す拡大断面図である。
図3】実施の形態に係る排水ソケットの斜視断面図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5図2のB-B線断面図である。
図6図5のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も含まれる。本明細書での「接続」とは、特に明示がない限り、言及する条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
【0009】
以下の説明では、水洗式便器1の便座(図示せず)に通常の姿勢で座る人の向きを基準として前後左右を表す。
【0010】
図1を参照する。図1は、幅方向に垂直な断面であって、排水ソケット10ひいては水洗式便器1の幅方向中央を通る断面で水洗式便器1を切断した断面図である。「幅方向」とは、便器の左右方向である。「幅方向」は、アジャスタ管部18の延在方向に直交する水平方向と捉えることもできる。
【0011】
本実施の形態の水洗式便器1は洋風大便器である。水洗式便器1は、便器本体2と、排水ソケット10と、を備える。便器本体2は、便鉢部4と、便鉢部4の底部から延びる便器排水管6と、を備える。排水ソケット10は、便器本体2の便器排水管6と外部の床下排水管8とを接続する。床下排水管8は、床面Fに埋設されている。便鉢部4が受けた汚物は、不図示の洗浄装置から供給される洗浄水とともに便器排水管6および排水ソケット10を通って床下排水管8に排出される。
【0012】
便器排水管6は、比較的太く、すなわち排水口6aの開口面積(流路面積)が比較的広く形成される。例えば便器排水管6は、従来の洗い落とし式便器の便器排水管と同程度の太さに形成される。便器排水管6は、排水トラップを形成する。
【0013】
排水ソケット10は、便器接続管部12と、下降管部14と、屈曲管部16と、アジャスタ管部18と、床下接続管部20と、を備える。
【0014】
便器接続管部12の上面側には環状のゴムパッキン22が嵌め込まれる。ゴムパッキン22内に上方より便器排水管6が差し込まれる。これにより、便器排水管6が、水密状に、便器接続管部12ひいては排水ソケット10に接続される。
【0015】
下降管部14は、便器接続管部12に接続される。屈曲管部16は、上流側は下降管部14に接続され、下流側はアジャスタ管部18に接続される。屈曲管部16は、流入口16aが鉛直上方を向き、流出口16bが前方を向くように屈曲している。
【0016】
アジャスタ管部18は、前後方向に延びる。アジャスタ管部18は、床下接続管部20側を切断することで、長さを調整できる。アジャスタ管部18は、水洗式便器1の設置時に、例えば壁面Wから床下排水管8までの距離に応じて切断される。
【0017】
本実施の形態では、下降管部14、屈曲管部16およびアジャスタ管部18は一体に形成される。
【0018】
床下接続管部20は、上流側はアジャスタ管部18に接続され、下流側は床下排水管8に接続される。床下接続管部20はフランジ20aを有し、フランジ20aがボルト等で床面Fに固定されることで、床下接続管部20ひいては排水ソケット10が床面Fに固定される。
【0019】
図2~6を参照する。便器接続管部12および下降管部14は、便器排水管6の排水口6aに連続する下降流路24を形成する。屈曲管部16は、下降流路24の下流側に連続する屈曲流路26を形成する。アジャスタ管部18は、屈曲流路26の下流側に連続する水平流路28を形成する。
【0020】
下降流路24は、上流側ほど大きい流路面積を有する。下降流路24の上流側は、排水口6aの開口面積(流路面積)よりも大きい流路面積を有する。これにより、一般的に汚物が詰まりやすい排水トラップの直後の下降流路24での汚物の詰まりが抑制される。
【0021】
下降管部14の内壁面14aは、下降流路24の外周面を定める。下降管部14の内壁面14aのうちの前側の内壁面である前側内壁面14bは、排水口6aの真下に位置し、後方に向かって下り傾斜となっている。したがって、下降流路24に流れ込んだ洗浄水の多くは、前側内壁面14bに流れ落ち、前側内壁面14bに沿って流れることで後方向き(屈曲管部16の曲がり方向外側)の速度成分をもって屈曲流路26に流れ込む。
【0022】
下降管部14の内壁面14aのうちの後ろ側の内壁面である後側内壁面14cは、幅方向に垂直な断面において、鉛直方向に延びる。
【0023】
屈曲管部16は、屈曲流路26を形成する本体部30と、サイホン作用を発生させるためのサイホン誘起部である突出部32と、を含む。突出部32は、屈曲流路26においてサイホン作用を発生させる。
【0024】
突出部32は、本体部30の内壁面30aから突出する。具体的には、突出部32は、本体部30の内壁面30aのうち、本体部30ひいては屈曲流路26の曲がり方向内側(前方側)の内壁面である内側内壁面30bから、後方側に向かって突出する。
【0025】
突出部32は、幅方向中央の部分である中央部40と、幅方向外側の部分であって中央部40に幅方向に隣接する2つの側方部42と、を含む。中央部40は、内側内壁面30bの幅方向中央から突出する部分であって、屈曲流路26を幅方向に3等分した場合において中央の流路の少なくとも一部を含むように突出する部分である。側方部40は、内側内壁面30bの幅方向外側から突出する部分であって、屈曲流路26を幅方向に3等分した場合において外側の2つの流路の少なくとも一部を含むように突出する部分である。
【0026】
少なくとも一部の幅方向位置では、下降管部14の下端からの仮想的な延長線は、突出部32の上面32aを通る。例えば、図6の断面では、下降管部14の下端からの仮想的な延長線Leは、側方部42の上面42aを通る。幅方向に垂直な断面において前側内壁面14bの下端部分が曲線状である場合の延長線は、前側内壁面14bと滑らかに接続するすなわち屈曲せずに接続する直線である。
【0027】
側方部42の上面42aは、幅方向外側に向かって下り傾斜となるように形成される。中央部40の上面40aは、幅方向外側に向かって下り傾斜となるように形成されてもよく、水平に形成されてもよい。
【0028】
中央部40および側方部42は、前後方向には傾斜しないように形成される。すなわち、図6に示すように、幅方向に垂直な断面図では、中央部40の上面40aは水平である。同様に、図6に示すように、幅方向に垂直な断面図では、側方部42の上面42aは水平である。
【0029】
突出部32の下面32b、すなわち中央部40の下面40bおよび側方部42の下面42cは、アジャスタ管部18の内壁面18aと連続している。この場合、突出部32の下面32bとアジャスタ管部18の内壁面18aとの間に段部が形成されないため、汚物の詰まりを抑制できる。
【0030】
突出部32は、側方部42が、中央部40に比べ、より後方側に突出するように形成される。言い換えると、突出部32は、中央部40の突出量は比較的小さく、側方部42の突出量は比較的大きくなるよう形成される。さらに言い換えると、突出部32は、中央部40は前後方向に短く、側方部42は前後方向に長くなるよう形成される。
【0031】
側方部42は、幅方向外側が、幅方向内側に比べ、より後方側に突出するように形成される。本実施の形態の側方部42は、幅方向外側ほど、より後方側に突出するように形成される。つまり、本実施の形態の側方部42は、幅方向内側ほど突出量が小さく、幅方向外側ほど突出量が大きくなるように形成される。後方側を向く側方部42の側壁面42bは、図示の例のように平坦面であっても、曲面であってもよい。
【0032】
中央部40の後方側への突出量は、図示のように幅方向内側(すなわち幅方向中央)と幅方向外側とで同じであってもよく、幅方向外側ほど大きくてもよい。
【0033】
以上が便器本体2の基本構成である。続いて、図1~6を参照して便器本体2の動作を説明する。図2~4、6において点線の矢印は洗浄水の流れを示す。所定の洗浄開始条件を満たすと、洗浄水が便鉢部4に供給される。洗浄水は、汚物とともに便器排水管6を通り、排水ソケット10に流れ込む。排水ソケット10に流れ込んだ洗浄水および汚物は、下降流路24、屈曲流路26、水平流路28を通って床下排水管8に排出される。
【0034】
この際、下降流路24に流れ込んだ洗浄水は、前側内壁面14bに沿って流れることで後方向きの速度成分をもって屈曲流路26に流れ込む。後ろ向きの速度成分をもって屈曲流路26に流れ込んだ洗浄水は、中央部40の上面40aおよび側方部42の上面42aの少なくともいずれかを流れ、内壁面30aのうち、屈曲流路26の曲がり方向外側の内壁面である外側内壁面30cに衝突する。外側内壁面30cに衝突した洗浄水の一部は、外側内壁面30cに沿って上方に流れ、流路内を旋回する。つまり洗浄水の一部は流路内に滞留する。さらに、流路内を旋回する洗浄水は、後から流れてくる洗浄水の抵抗となり、これにより流路内にさらに洗浄水が溜まる。その結果、流路内に水膜が形成され、サイホン作用が発生する。
【0035】
突出部32は、好ましくは、外側内壁面30cの上側部分30dに洗浄液を衝突させる。この場合、サイホン作用が発生しやすくなる。外側内壁面30cの上側部分30dとは、後側内壁面14cの最も後ろ側を通る前後方向に対して垂直な平面P1と、アジャスタ管部18の内壁面18aのうちの下側内壁面18bの最も下側を通る水平な平面P2との光線を通り、平面P1および平面P2のそれぞれとのなす角が45°の平面P3よりも上側の外側内壁面30cの部分をいう。
【0036】
続いて、本実施の形態が奏する効果について説明する。
【0037】
排水トラップでは汚物が流れる速度が落ちるため、その直後の便器接続管部12および下降管部14のいずれかにサイホン誘起部が設けられると、そこに汚物が詰まるおそれがある。サイホン誘起部は抵抗になるからである。アジャスタ管部18は水洗式便器1の設置時に床下接続管部20側が切断されて長さが変わりうるため、サイホン誘起部がアジャスタ管部18以降に設けられると、サイホン作用が発生するタイミングが適切でなくなるおそれがある。これに対し、本実施の形態によれば、サイホン誘起部である突出部32は屈曲管部16に設けられるため、これらの問題を回避できる。
【0038】
屈曲管部16に流入する洗浄水は、幅方向中央に寄っている。これに対し、本実施の形態によれば、少なくとも側方部42の上面42aは、幅方向外側に向かって下り傾斜となるように形成される。これにより、屈曲管部16に流れ込んだ洗浄水は幅方向に広がり、外側内壁面30cの幅方向の中央の領域(図4の点線50で囲んだ領域)に加え、外側内壁面30cの幅方向外側の領域(図4の点線52で囲んだ領域)にも、多くの洗浄水が衝突する。この場合、流路内に流路を閉塞する水膜が形成されやすくなる。すなわちサイホン作用が発生しやすくなる。
【0039】
側方部42の上面42aが水平面である場合、屈曲管部16に流れ込んだ洗浄水は幅方向には広がりにくく、側方部42の上面42aを通る洗浄水の水量は比較的少なくなる。この場合、側方部42の上面42aに汚物等が溜まって屈曲管部16の流路が詰まるおそれがある。これに対し、本実施の形態によれば、側方部42の上面42aは幅方向外側に向かって下り傾斜であり、洗浄水は側方部42の上面42aに広がり、より多くの洗浄水が上面42aを流れる。よって、汚物等が詰まるのが抑制される。
【0040】
本実施の形態によれば、側方部42は、中央部40に比べ、より後方側に突出するよう形成される。すなわち、側方部42は、前後方向に比較的長くなるように形成される。これにより、洗浄水は、側方部42の上面42aを流れる間に、より幅方向外側まで広がることができ、その結果、流路内に流路を閉塞する水膜が形成されやすくなる、すなわちサイホン作用が発生しやすくなる。
【0041】
本実施の形態によれば、中央部40の突出量は比較的小さく形成される。これにより、突出部32が存在することによる汚物の詰まりが抑制される。
【0042】
本実施の形態によれば、側方部42は、幅方向内側は突出量が比較的小さく、幅方向外側は突出量が比較的大きくなるように形成される。幅方向内側の突出量が小さいことで、流路面積を確保でき、汚物の詰まりが抑制される。幅方向外側の突出量が大きいことで、サイホン作用が発生しやすくなり、浮遊性汚物の排出性能が高まる。つまり、詰まりを抑制しつつも、サイホン作用を発生しやすくできる。
【0043】
側方部42が後方側に向かって下り傾斜に形成される場合はサイホン作用が発生しにくく、後方側に向かって上り傾斜に形成される場合は汚物が詰まりやすくなる。これに対し本実施の形態によれば、側方部42は前後方向には傾斜しない。この場合、詰まりを抑制しつつも、サイホン作用を発生しやすくできる。
【0044】
以上、本開示について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0045】
(変形例1)
サイホン誘起部は、屈曲流路26内でサイホン作用を発生させるものであれば、それが設けられる場所は問わない。したがって、例えばサイホン誘起部は、下降管部14に設けられてもよく、下降管部14および屈曲管部16の両方に設けられてもよい。具体的には例えば、本体部30の内側内壁面30bに突出部32を設ける代わりに、下降管部14の内壁面14aのうちの前側内壁面14bをより寝かせてもよい。すなわち、水平に対する前側内壁面14bの傾斜角度がより小さくなるように下降管部14を形成してもよい。例えば、当該傾斜角度が42°以下となるように下降管部14を形成してもよい。これにより、前側内壁面14bに沿って流れて屈曲流路26に流れ込む洗浄水の多くが、外側内壁面30cの上側に衝突し、その結果、屈曲流路26に洗浄水が溜まって屈曲流路26に水膜が形成され、屈曲流路26においてサイホン作用が発生する。この場合、前側内壁面14bがサイホン誘起部となる。
【0046】
(変形例2)
実施の形態とは異なり、突出部32は、2つの側方部42のみを含み、中央部40を含まなくてもよい。
【0047】
以上、実施の形態および変形例について詳細に説明した。実施の形態および変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は、実施の形態および変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施の形態および変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。実施の形態および変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。たとえば、実施の形態に対して変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 排水ソケット、 14 下降管部、 16 屈曲管部、 18 アジャスタ管部、 32 突出部、 40 中央部、 42 側方部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6