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特許7402667着色感光性樹脂組成物及びそれから作製されたブラックマトリックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物及びそれから作製されたブラックマトリックス
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20231214BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20231214BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/033
G02B5/20 101
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226126
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2020101798
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0166998
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0159790
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム・スンクン
(72)【発明者】
【氏名】イ・キョチョル
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034983(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0086132(KR,A)
【文献】特開2014-146029(JP,A)
【文献】特開2005-315985(JP,A)
【文献】特開2018-084808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コポリマー、
(B)光重合性化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(D)着色剤
を含む感光性樹脂組成物であって、
前記着色剤(D)は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤及び黒色以外の着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含み、
前記感光性樹脂組成物から形成されている、3μmの厚さを有する硬化膜が360~740nmの波長でSCI方式によって測定されるとき、前記硬化膜は、4.6%以下の全反射率を示し、
前記着色剤(D)は、前記着色剤(D)の固形分の全重量を基準にして0超~50重量%の青色着色剤及び菫色着色剤をそれぞれ含み、
前記コポリマー(A)は、不飽和イミドから誘導される構造単位を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記黒色有機着色剤は、アニリンブラック、ラクタムブラック及びペリレンブラックからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤(D)は、前記着色剤(D)の固形分の全重量を基準にして40~100重量%の前記黒色有機着色剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記着色剤(D)は、前記着色剤(D)の固形分の全重量を基準にして0~10重量%の前記黒色無機着色剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記コポリマー(A)と異なるコポリマー(F)をさらに含み、
前記コポリマー(F)は、(f-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される構造単位と、(f-2)C3~20脂肪族環式エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、(f-3)C3~20脂肪族線状エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、(f-4)(f-1)、(f-2)及び(f-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位とを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記コポリマー(F)の重量平均分子量は、3,000~10,000Daである、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の感光性樹脂組成物から作製された硬化膜。
【請求項8】
0.6~2.0/μmの光学濃度を有する、請求項に記載の硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化膜形成時の高遮光性及び低反射率などの特性を満たす着色感光性樹脂組成物並びにそれから作製され、且つ液晶ディスプレイ及び量子ドットディスプレイに使用されるブラックマトリックスに関する。
【背景技術】
【0002】
最近開発及び使用されている液晶ディスプレイ(LCD)及び量子ドット(QD)ベースディスプレイでは、LEDバックライト、反射偏光フィルム、カラーフィルターなどが利用される。
【0003】
カラーフィルターは、一般的には、色の実現を可能にする薄膜の形態である。それは、ブラックマトリックスが形成されるガラスシート及びプラスチックシートなどの透明基材の表面上に赤、緑及び青の異なる色でシーケンシャルタイプ、スプライトタイプ又はモザイクタイプのカラーパターンを形成することにより作製される。かかる場合、遮光膜として使用されるブラックマトリックスは、ピクセル間の光漏れにより引き起こされるコントラスト及び色純度の劣化を防止する役割を担う。
【0004】
ブラックマトリックスは、一般的には、感光性バインダーと顔料とを混合することにより作製される。しかしながら、バインダー中の顔料の含有率が低いため、単位膜厚当たりの遮光性が非常に低いという欠点がある。加えて、ブラックマトリックスは、反射像が前方から見えるため、色度及び明るさに関する欠点を有する。
【0005】
関連する技術分野では、上記の問題に対処する各種の技術が提案されてきた(例えば、(特許文献1)を参照されたい)。しかし、望小特性(すなわち得られるデータ値がより小さいことが期待される特性)の全反射率及びブラックマトリックスとして満たされるべき遮光性をさらに改善するために研究が続けられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本特許第6318699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、高遮光性及び低反射率に関する特性がさらに向上した硬化膜を形成可能な着色感光性樹脂組成物及びそれから作製されたブラックマトリックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)コポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)着色剤を含む感光性樹脂組成物であって、着色剤(D)は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤及び黒色以外の着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含み、感光性樹脂組成物から形成されている、3μmの厚さを有する硬化膜が360~740nmの波長でSCI方式によって測定されるとき、その硬化膜は、4.6%以下の全反射率を示す、感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
別の目的を達成するために、本発明は、感光性樹脂組成物から作製された硬化膜を提供する。
【0010】
発明の有利な効果
本発明の着色感光性樹脂組成物は、光学濃度、分解能、レベリング特性、可視性などを優れた状態に維持しつつ、遮光ブラックマトリックスとして満たされるべき望小特性の全反射率をより効果的に低減することにより、高遮光性及び低反射率などの特性を同時に満たす硬化膜を提供可能である。そのため、この組成物から作製された遮光ブラックマトリックスは、液晶ディスプレイ及び量子ドットディスプレイに有利に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1~9及び比較例1~5の組成物から作製された硬化膜の全反射率、散乱反射率及び正反射率を示すグラフである。
図2-3】実施例1~9及び比較例1~5の組成物から作製された硬化膜の表面を光学顕微鏡で撮影した写真である。
図4】実施例10~17及び比較例6~8の組成物から作製された硬化膜の全反射率、散乱反射率及び正反射率を示すグラフである。
図5-6】実施例10~17及び比較例6~8の組成物から作製された硬化膜の表面を光学顕微鏡で撮影した写真である。
図7】実施例1、2、10及び11の組成物から作製された硬化膜の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下に記載のものに限定されるものではない。むしろ、本発明の要旨が変更されない限り、本発明は、各種の形態に修正され得る。
【0013】
本明細書全体を通じて、ある部分が要素「を含む」として参照された場合、特に明記されていない限り、他の要素を除外するのではなく、他の要素が含まれ得るものと理解される。加えて、本明細書で用いられる成分量、反応条件などに関する数字及び表現のすべては、特に明記されていない限り、「約」という用語で修飾されるものと理解すべきである。
【0014】
本発明は、(A)コポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)着色剤を含む感光性樹脂組成物であって、着色剤(D)は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤及び黒色以外の着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
【0015】
組成物は、任意選択的に、(E)界面活性剤、(F)コポリマー(A)と異なるコポリマー及び/又は(G)溶媒をさらに含み得る。
【0016】
かかる場合、感光性樹脂組成物から形成されている、3μmの厚さを有する硬化膜が360~740nmの波長でSCI方式によって測定されるとき、その硬化膜は、4.6%以下の全反射率を示す。全反射率は、正反射成分を含む(SCI)として表され得ると共に、正反射及び散乱反射を含む全反射率を意味する。
【0017】
以降では、感光性樹脂組成物の各成分を詳細に説明する。
【0018】
本明細書で用いられる場合、「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、且つ「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
【0019】
以下に記載の各成分の重量平均分子量(g/モル、Da)は、ポリスチレン標準を基準にしてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶出液:テトラヒドロフラン)により測定される。
【0020】
(A)コポリマー
本発明に利用されるコポリマー(A)は、(a-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される構造単位と、(a-2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、(a-3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、任意選択的に、(a-4)(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位とを含み得る。
【0021】
コポリマー(A)は、現像性を得るためのアルカリ可溶性樹脂であると共に、被覆時に膜を形成するためのベース及び最終パターンを形成するための構造体の役割を果たす。
【0022】
(a-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される構造単位
構造単位(a-1)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される。エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーである。その特定の例としては、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸及びケイ皮酸、不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物及びメサコン酸、3価以上の不飽和ポリカルボン酸及びその無水物並びに2価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレートなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。
【0023】
構造単位(a-1)の量は、コポリマー(A)を構成する構造単位の全モル数を基準にして5~65モル%、10~50モル%、10~40モル%、15~40モル%、20~40モル%又は25~40モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、有利な現像性を有し得る。
【0024】
(a-2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
構造単位(a-2)は、芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される。芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン、ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン及びヨードスチレン、アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン及びプロポキシスチレン、4-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン並びにビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。組成物の重合性を得るために、スチレン化合物から誘導される構造単位は、これらの例に含まれることが好ましい。
【0025】
構造単位(a-2)の量は、コポリマー(A)を構成する構造単位の全モル数を基準にして1~50モル%、3~40モル%、3~30モル%、3~20モル%又は3~10モル%であり得る。上記の含有率の範囲内において、それは、耐薬品性に関してより有利であり得る。
【0026】
(a-3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
構造単位(a-3)は、エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される。エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテルなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。上記に含まれるグリシジル(メタ)アクリレート及び/又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルから誘導される構造単位は、共重合性及び硬化膜の強度の向上の観点からより好ましい。
【0027】
構造単位(a-3)の量は、コポリマー(A)を構成する構造単位の全モル数を基準にして1~40モル%、5~30モル%、5~20モル%、7~15モル%又は5~15モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、プロセス時の残渣及びプレベーク時のマージンに関してより有利であり得る。
【0028】
(a-4)(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
本発明に利用されるコポリマー(A)は、(a-1)、(a-2)及び(a-3)に加えて、(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位をさらに含み得る。
【0029】
構造単位(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位の特定の例としては、不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニル基を含有する第3級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン、不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル、不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。不飽和イミドから誘導される構造単位、具体的には上記に含まれるN-置換マレイミドは、共重合性及び硬化膜の強度の向上の観点からより好ましい。
【0030】
構造単位(a-4)の量は、コポリマー(A)を構成する構造単位の全モル数を基準にして0超~80モル%、30~70モル%、30~60モル%、40~70モル%又は40~60モル%であり得る。上記の範囲内において、着色感光性樹脂組成物の貯蔵安定性を維持し得ると共に、膜保持率をより有利に向上させ得る。
【0031】
構造単位(a-1)~(a-4)を有するコポリマーの例としては、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-シクロヘキシルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/n-ブチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル/N-フェニルマレイミドのコポリマーなどが挙げられ得る。着色感光性樹脂組成物には、1つ、2つ又はそれを超えるコポリマーが含まれ得る。
【0032】
コポリマー(A)の重量平均分子量は、5,000~30,000Da又は7,000~20,000Daであり得る。コポリマー(A)の重量平均分子量が上記の範囲内にある場合、より低いパターンによる段差を有利に改善し得ると共に、現像時のパターンプロファイルが有利であり得る。
【0033】
着色感光性樹脂組成物中のコポリマー(A)の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして5~40重量%、5~35重量%、10~35重量%又は10~30重量%であり得る。上記の範囲内において、現像時のパターンプロファイルは、有利であり得ると共に、膜保持率及び耐薬品性などの性質を向上させ得る。
【0034】
コポリマー(A)は、ラジカル重合開始剤、溶媒及び構造単位(a-1)~(a-4)を反応器に仕込んだ後、それに窒素を仕込んで、重合のために混合物を低速で撹拌することにより調製可能である。
【0035】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)又はベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどであり得るが、それらに限定されるものではない。ラジカル重合開始剤は、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。
【0036】
溶媒は、コポリマー(A)の調製に通常使用されるいずれかの従来の溶媒であり得ると共に、例としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が挙げられ得る。
【0037】
(B)光重合性化合物
本発明に利用される光重合性化合物(B)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する単官能性又は多官能性のエステル化合物であり得る。特に、それは、耐薬品性の観点から少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物であり得る。
【0038】
光重合性化合物(B)は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリトリトールトリアクリレート-ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリトリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)、トリペンタエリトリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート及びそれらの混合物からなる群から選択され得るが、それらに限定されるものではない。
【0039】
市販の光重合性化合物の例としては、(i)単官能性(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のアロニックスM-101、M-111及びM-114、日本化薬株式会社製のカヤラッドT4-110S及びT4-120S並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-158及びV-2311、(ii)二官能性(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のアロニックスM-210、M-240及びM-6200、日本化薬株式会社製のカヤラッドHDDA、HX-220及びR-604並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312及びV-335HP、並びに(iii)三官能性以上の(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のアロニックスM-309、M-400、M-403、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060及びTO-1382、日本化薬株式会社製のカヤラッドTMPTA、DPHA及びDPHA-40H並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-295、V-300、V-360、V-GPT、V-3PA、V-400及びV-802が挙げられ得る。
【0040】
光重合性化合物(B)の量は、溶媒を除く固形分に基づくコポリマー(A)及び/又はコポリマー(F)の100重量部を基準にして10~90重量部、40~90重量部、50~90重量部、50~80重量部又は60~90重量部であり得る。光重合性化合物(B)の量が上記の範囲内にある場合、パターン現像性及び被覆特性は、膜保持率を一定に維持しつつ優れたものであり得る。
【0041】
(C)光重合開始剤
本発明に利用される光重合開始剤(C)は、いずれかの公知の光重合開始剤であり得る。
【0042】
光重合開始剤(C)は、アセトフェノン系化合物、非イミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、多核キノン系化合物、チオキサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホネート系化合物、オキシム系化合物、カルバゾール系化合物、スルホニウムボレート系化合物、ケトン系化合物及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0043】
具体的には、オキシム系化合物、トリアジン系化合物又はそれらの組合せを光重合開始剤(C)として使用し得る。より具体的には、オキシム系化合物とトリアジン系化合物との組合せを使用し得る。
【0044】
光重合開始剤(C)の特定の例としては、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ジエチルチオキサントン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシフェニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキソジアゾール、9-フェニルアクリジン、3-メチル-5-アミノ-((s-トリアジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルクマリン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾイルダイマー、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、o-ベンゾイル-4’-(ベンズメルカプト)ベンゾイル-ヘキシル-ケトキシム、2,4,6-トリメチルフェニルカルボニル-ジフェニルホスホニルオキシド、ヘキサフルオロホスホロ-トリアルキルフェニルスルホニウム塩、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2,2’-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-[4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-ブタン-1-オン及びそれらの混合物が挙げられ得るが、それらに限定されるものではない。
【0045】
参照のために、市販のオキシム系光重合開始剤の例としては、OXE-01(BASF)、OXE-02(BASF)、OXE-03(BASF)、N-1919(ADEKA)、NCI-930(ADEKA)及びNCI-831(ADEKA)が挙げられる。トリアジン系光開始剤の例としては、2-[4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン(トリアジンY、Tronly)などが挙げられる。
【0046】
光重合開始剤(C)は、固形分に基づくコポリマー(A)の100重量部を基準にして0.1~5重量部又は0.5~3重量部の量で使用され得る。
【0047】
具体的には、コポリマー(A)及び/又はコポリマー(F)の100重量部を基準にして0.5~5重量部、1~5重量部又は2~4重量部の量のオキシム系化合物及び0.5~5重量部、1~5重量部、2~4重量部又は2~3.5重量部の量のトリアジン系化合物を光重合開始剤として使用し得る。
【0048】
オキシム系化合物を上記の範囲内の量で利用する場合、高感度と共に現像特性及び被覆特性を向上させ得る。加えて、トリアジン系化合物を上記の範囲内の量で利用する場合、高感度と共にパターン形成時の優れた耐薬品性及びテーパー角を有する被覆膜が得られ得る。
【0049】
(D)着色剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、それに遮光性を付与するための着色剤を含み得る。具体的には、着色剤(D)は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤及び黒色以外の着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含み得る。
【0050】
本発明に利用される着色剤(D)は、2つ以上の無機着色剤又は有機着色剤の混合物であり得る。それは、好ましくは、高発色性及び高耐熱性を有する。
【0051】
着色剤(D)は、黒色着色剤及び黒色以外の着色剤を含み得る。
【0052】
黒色着色剤は、黒色有機着色剤及び黒色無機着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含み得る。具体的には、黒色着色剤は、黒色有機着色剤及び黒色無機着色剤、黒色以外の着色剤又はそれらの組合せを含み得る。
【0053】
実施形態によれば、着色剤(D)は、黒色有機着色剤及び黒色無機着色剤を含み得る。
【0054】
実施形態によれば、着色剤(D)は、黒色有機着色剤及び黒色以外の着色剤を含み得る。
【0055】
実施形態によれば、着色剤(D)は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤及び黒色無機着色を含み得る。
【0056】
当技術分野で公知のいずれかの黒色無機着色剤、いずれかの黒色有機着色剤及びいずれかの黒色以外の着色剤を使用し得る。例えば、Color Index(染色・色彩技術者協会刊)に顔料として分類されるいずれかの化合物及び当技術分野で公知の染料を使用し得る。
【0057】
黒色有機着色剤の特定の例は、アニリンブラック、ラクタムブラック及びペリレンブラックからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。低反射率、高遮光性、光学濃度、誘電性などの観点から、ラクタムブラック(例えば、BASF製のBlack582)が分散されたブラック(例えば、株式会社トクシキ製のBK-0324)を使用することが好ましい。
【0058】
具体的には、黒色有機着色剤は、エネルギーバンドギャップを低減可能である。エネルギーバンドギャップが小さいほど、光反射度が低くなる。加えて、黒色有機着色剤は、可視領域のすべての波長範囲を吸収可能であるため、反射率を最小限に抑えるのに有利である。
【0059】
黒色無機着色剤の特定の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属酸化物、例えばCu-Fe-Mn系酸化物、合成鉄黒などが挙げられ得る。パターン特性及び耐薬品性の観点から、そのうちのカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0060】
黒色以外の着色剤の特定の例としては、C.I.ピグメントバイオレット13、14、19、23、25、27、29、32、33、36、37及び38並びにC.I.ピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、16、21、28、60、64及び76が挙げられ得る。具体的には、黒色以外の着色剤は、青色着色剤及び菫色着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの着色剤を含み得る。反射率の低減の観点から、そのうちの好ましいのは、C.I.ピグメントブルー15:6及び60又はC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0061】
着色剤(D)の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして20~70重量%、20~60重量%、30~60重量%、30~50重量%又は30~45重量%であり得る。具体的には、着色剤(D)は、着色剤(D)の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして40~100重量%又は50~100重量%の黒色有機着色剤を含み得る。加えて、着色剤(D)は、着色剤(D)の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして0~15重量%、0~10重量%、0~6重量、0超~15重量%、0超~10重量%、0超~6重量%、0.01~15重量%、0.01~10重量%又は0.01~6重量%の黒色無機着色剤を含み得る。
【0062】
さらに、着色剤(D)は、着色剤(D)の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして0~50重量%及び/又は0超~50重量%の青色着色剤及び菫色着色剤を含み得る。
【0063】
具体的には、着色剤(D)は、着色剤(D)の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして0~50重量%、0~40重量%、0.01~50重量%若しくは0.01~40重量%の青色着色剤及び/又は0~50重量%、0~40重量%、0.01~50重量%若しくは0.01~40重量%の菫色着色剤を含み得る。上記の範囲内において、現像時のパターンプロファイルは、有利であり得ると共に、膜保持率及び光学濃度などの性質を向上させ得るうえに、所望の全反射率を達成可能である。
【0064】
本発明に利用される着色剤(D)は、着色剤を着色感光性樹脂組成物中に分散させるために分散剤、分散樹脂(又はバインダー)、溶媒などと混合された形態で使用され得る。
【0065】
分散剤の例としては、着色剤用のいずれかの公知の分散剤が挙げられ得る。その特定の例としては、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、ケイ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられ得る。市販の分散剤としては、BYK Co.製のDisperbyk-182、-183、-184、-185、-2000、-2150、-2155、-2163及び-2164が挙げられ得る。それらは、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。分散剤は、着色剤の表面処理を介して着色剤に事前に添加され得るか、又は着色感光性樹脂組成物の調製時に着色剤と一緒に添加され得る。
【0066】
加えて、着色剤(D)は、分散樹脂と混合され得、それは、次いで、着色感光性樹脂組成物の製造時に使用され得る。かかる場合、使用される分散樹脂は、本明細書に記載のコポリマー(A)及びコポリマー(F)、公知のコポリマー又はそれらの混合物であり得る。
【0067】
すなわち、着色剤(D)は、着色分散液の形態であり得る。
【0068】
着色分散液は、着色剤(D)、分散樹脂及び分散剤を同時に混合してからそれをミル処理することにより調製され得る。代替的に、それは、上記に記載のように着色剤(D)及び分散剤を事前に混合してからそれを分散樹脂と混合し、それをミル処理することにより調製され得る。ここで、ミル処理は、着色分散液の原料の平均直径が50~250nm、50~150nm又は50~110nmになるまで行われる。上記の範囲内において、着色分散液中に多層構造が形成されないため、より均一な着色分散液が得られ得る。
【0069】
本発明の着色分散液は、着色感光性樹脂組成物の固形分の全重量を基準にして20~70重量%又は30~60重量%の量で利用され得る。
【0070】
着色剤(D)を含む本発明の着色感光性樹脂組成物から得られた遮光ブラックマトリックスが具体的にディスプレイに適用される場合、感光性樹脂組成物から形成されている、3μmの厚さを有する硬化膜が360~740nmの波長でSCI方式によって測定されるとき、その硬化膜は、4.8%以下、4.7%以下、4.6%以下、4.0~4.8%、4.0~4.7%又は4.0~4.6%の全反射率を示す。そのため、低反射率及び高遮光性の特性を満たすことが可能であり、且つ/又は赤色若しくは緑色の光漏れ現象を防止することが可能である(評価例1を参照されたい)。
【0071】
(E)界面活性剤
本発明の着色感光性樹脂組成物は、被覆性を向上させるために及び欠陥の発生を防止するために界面活性剤(E)をさらに含み得る。
【0072】
界面活性剤(E)の種類は、特に限定されるものではないが、例えばフッ素系界面活性剤又はケイ素系界面活性剤を使用し得る。
【0073】
市販のケイ素系界面活性剤としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA及びSH8400、GE東芝シリコーン株式会社製のTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460及びTSF-4452、BYK製のBYK-333、BYK-307、BYK-3560、BYK UV-3535、BYK-361N、BYK-354及びBYK-399などが挙げられ得る。それらは、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。
【0074】
市販のフッ素系界面活性剤としては、大日本インキ化学工業株式会社(DIC)製のメガファックF-470、F-471、F-475、F-482、F-489及びF-563が挙げられ得る。
【0075】
組成物の被覆性の観点から、これらの界面活性剤のうちの好ましいのは、BYK製のBYK-333及びBYK-307並びにDIC製のF-563であり得る。
【0076】
界面活性剤(E)の量は、着色感光性樹脂組成物の固形分の全重量(すなわち溶媒を除く重量)を基準にして0.01~3重量%又は0.1~1重量%であり得る。界面活性剤の量が上記の範囲内にある場合、着色感光性樹脂組成物は、平滑に被覆され得る。
【0077】
(F)コポリマー
本発明の着色感光性樹脂組成物は、コポリマー(A)と異なるコポリマー(F)を含み得る。
【0078】
具体的には、コポリマー(F)は、(f-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される構造単位と、(f-2)C3~20脂肪族環式エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、(f-3)C3~20脂肪族線状エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位と、(f-4)(f-1)、(f-2)及び(f-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位とを含み得る。さらに、それは、(f-5)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位をさらに含み得る。以降では、各構造単位を詳細に説明する。
【0079】
(f-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される構造単位
構造単位(f-1)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はそれらの組合せから誘導される。エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーである。その特定の例としては、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸及びケイ皮酸、不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物及びメサコン酸、3価以上の不飽和ポリカルボン酸及びその無水物並びに2価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレートなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。
【0080】
構造単位(f-1)の量は、コポリマー(F)を構成する構造単位の全モル数を基準にして5~65モル%、5~50モル%、10~50モル%、5~40モル%、5~30モル%又は5~20モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、有利な現像性を有し得る。
【0081】
(f-2)C3~20脂肪族環式エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
構造単位(f-2)は、C3~20脂肪族環式エチレン性不飽和化合物から誘導される。構造単位(f-2)は、シクロアルキル基を含有するモノマーから誘導され得る。例えば、構造単位(f-2)は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4-メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4-エチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物から誘導され得る。
【0082】
具体的には、それは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及び4-メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物から誘導され得る。
【0083】
構造単位(f-2)の量は、コポリマー(F)を構成する構造単位の全モル数を基準にして10~30モル%、10~28モル%、12~30モル%、12~29モル%、12~28モル%又は12~25モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、有利なレベリング性を有し得る。
【0084】
(f-3)C3~20脂肪族線状エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
構造単位(a-3)は、C3~20脂肪族線状エチレン性不飽和化合物から誘導される。例えば、構造単位(f-3)は、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びドデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物から誘導され得る。
【0085】
構造単位(f-3)の量は、コポリマー(F)を構成する構造単位の全モル数を基準にして20~50モル%、20~40モル%、30~40モル%又は32~40モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、有利なレベリング性を有し得る。
【0086】
(f-4)(f-1)、(f-2)及び(f-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
本発明に利用されるコポリマー(F)は、(f-1)、(f-2)及び(f-3)に加えて、(f-1)、(f-2)及び(f-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位をさらに含み得る。
【0087】
構造単位(f-1)、(f-2)及び(f-3)と異なる、エチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位の特定の例としては、不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N-ビニル基を含有する第3級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン、不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル、不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。上記に含まれる不飽和カルボン酸エステルから誘導される構造単位は、共重合性及びレベリング性の向上の観点からより好ましい。
【0088】
構造単位(f-4)の量は、コポリマー(F)を構成する構造単位の全モル数を基準にして10~50モル%、10~40モル%、10~30モル%、10~25モル%、15~30モル%又は15~25モル%であり得る。上記の範囲内において、着色感光性樹脂組成物の貯蔵安定性を維持し得ると共に、膜保持率をより有利に向上させ得る。
【0089】
(f-5)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
コポリマー(F)は、上記に記載の構造単位に加えて、(f-5)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位をさらに含み得る。
【0090】
構造単位(f-5)は、エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される。エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテルなどが挙げられ得る。上記に例示された化合物から誘導される構造単位は、単独又は2つ以上の組合せでコポリマーに含まれ得る。上記に含まれるグリシジル(メタ)アクリレート及び/又は4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルから誘導される構造単位は、共重合性及び硬化膜の強度の向上の観点からより好ましい。
【0091】
構造単位(f-5)の量は、コポリマー(F)を構成する構造単位の全モル数を基準にして1~40モル%又は5~20モル%であり得る。上記の範囲内において、それは、プロセス時の残渣及びプレベーク時のマージンに関してより有利であり得る。
【0092】
上記の構造単位(f-1)~(f-4)及び/又は(f-1)~(f-5)を有するコポリマーの例としては、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ブチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ブチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ブチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ブチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ペンチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ペンチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ヘキシル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸/シクロヘキシル(メタ)アクリレート/ヘキシル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0093】
着色感光性樹脂組成物には、1つ、2つ又はそれを超えるコポリマーが含まれ得る。
【0094】
コポリマー(F)の重量平均分子量は、3,000~10,000Da、3,000~9,500Da、3,000~9,000Da、4,000~9,000Da、4,000~8,000Da又は4,000~7,000Daであり得る。コポリマーの重量平均分子量が上記の範囲内にある場合、より低いパターンによる段差を有利に改善し得ると共に、レベリング性及び現像時のパターンプロファイルが有利であり得る。
【0095】
着色感光性樹脂組成物中のコポリマー(F)の量は、着色感光性樹脂組成物中の溶媒を除く固形分の全重量を基準にして5~40重量%、5~30重量%、10~40重量%又は10~30重量%であり得る。上記の範囲内において、レベリング性は、優れており、現像時のパターンプロファイルは、有利であり得ると共に、膜保持率及び耐薬品性などの性質を向上させ得る。
【0096】
コポリマー(F)は、ラジカル重合開始剤、溶媒及び上記の構造単位を反応器に仕込んだ後、それに窒素を仕込んで、重合のために混合物を低速で撹拌することにより調製可能である。
【0097】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)又はベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどであり得るが、それらに限定されるものではない。ラジカル重合開始剤は、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。
【0098】
溶媒は、コポリマーの調製に通常使用されるいずれかの従来の溶媒であり得ると共に、例としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が挙げられ得る。
【0099】
(G)溶媒
本発明の着色感光性樹脂組成物は、好ましくは、上記の成分と溶媒とを混合した液状組成物として調製され得る。着色感光性樹脂組成物中の成分と相溶し得るが、反応しない、当技術分野で公知のいずれかの溶媒を着色感光性樹脂組成物の調製に使用し得る。
【0100】
溶媒の例としては、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばエチルセロソルブアセテート、エステル、例えばエチル2-ヒドロキシプロピオネート、ジエチレングリコール、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート並びにアルコキシアルキルアセテート、例えば3-メトキシブチルアセテートが挙げられ得る。溶媒は、単独又は2つ以上の組合せで使用され得る。
【0101】
溶媒の量は、特に限定されるものではないが、最終的に得られる着色感光性樹脂組成物の被覆性及び安定性の視点から、最終的に調製される着色感光性樹脂組成物の全重量を基準にして50~90重量%又は70~85重量%であり得る。溶媒の量が上記の範囲内にある場合、樹脂組成物は、平滑に被覆され、且つ作業プロセスで起こり得る遅延マージンが小さい。
【0102】
加えて、本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色感光性樹脂組成物の物理的性質に悪影響を及ぼさない限り、酸化防止剤及び安定剤などの他の添加剤を含み得る。
【0103】
着色感光性樹脂組成物から形成された硬化膜は、0.6/μm~2.0/μm又は0.6/μm~1.5/μmの光学濃度を有し得る。着色感光性樹脂組成物から形成された硬化膜の厚さ1μm当たりの光学濃度が上記の範囲内にある場合、ディスプレイスクリーンの分解能が向上する。加えて、本発明の着色感光性樹脂組成物は、レベリング性が優れているため、凹凸を有する基材上でもフラットな膜を形成可能である。さらに、硬化膜にフィルターを装着した場合でも、フィルターの膜偏位が硬化膜と同一に維持されるため、フラットなフィルター膜が形成される。
【0104】
このため、膜偏位を伴うことなく一定の厚さを維持する硬化膜(及びフィルター)は、光路を一定に維持し得るため(すなわち明るさが一定に維持される)、目に見えるステインの発生を防止して光学的性質(例えば、可視性)をさらに向上させる。
【0105】
上記に記載の成分を含む本発明の着色感光性樹脂組成物は、通常の方法、例えば以下の方法により調製し得る。
【0106】
最初に、着色剤を分散樹脂、分散剤及び溶媒と事前に混合し、着色剤の平均粒子直径が所望の値に達するまでビーズミルを用いてその中に分散させることにより、着色分散液を調製する。かかる場合、界面活性剤及び/又はコポリマーは、部分的に又は完全にブレンドされ得る。コポリマー及び界面活性剤の残りの部分、光重合性化合物並びに光重合開始剤を分散液に添加する。必要に応じて、エポキシ化合物などの添加剤又は追加の溶媒を特定の濃度までさらにブレンドした後、それらを十分に撹拌して所望の着色感光性樹脂組成物を得る。
【0107】
本発明は、着色感光性樹脂組成物から作製された遮光ブラックマトリックスも提供する。
【0108】
遮光ブラックマトリックスは、コーティング形成工程、露光工程、現像工程及び加熱工程により作製され得る。
【0109】
コーティング形成工程では、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンプリンティング法、アプリケーター法などにより、本発明に係る着色感光性樹脂組成物を前処理された基材上に所望の厚さ、例えば1~25μmで被覆し、次いで1~10分間にわたり70~100℃の温度で前硬化し、それから溶媒を除去することにより被覆膜を形成する。
【0110】
被覆膜上にパターンを形成するために、所定の形状を有するマスクをその上に配置し、次いで200~500nmの活性光線を照射する。照射に使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを使用し得る。必要に応じて、X線、電子線なども使用し得る。露光量は、組成物の成分の種類及び組成比並びに乾燥コーティング厚さに依存して変化し得る。高圧水銀ランプを使用する場合、露光量は、500mJ/cm以下であり得る(365nmの波長において)。
【0111】
露光工程後、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水性アルカリ溶液を現像液として使用して不要部分を溶解除去することにより、照射部分のみを残してパターンを形成する。現像により得られた像パターンを室温に冷却し、180~250℃の温度の熱風循環型乾燥炉内で10~60分間ポストベークすることにより最終パターンを得る。
【0112】
こうして作製された遮光ブラックマトリックスは、優れた性質を有するため、液晶ディスプレイ及び量子ドットディスプレイの電子デバイスに有利に使用され得る。そのため、本発明は、遮光ブラックマトリックスを含む電子デバイスを提供する。
【0113】
液晶ディスプレイ及び量子ドットディスプレイは、本発明の遮光ブラックマトリックスを備えること以外、当業者に公知の他のコンポーネントを含み得る。すなわち、本発明の遮光ブラックマトリックスを適用可能な液晶ディスプレイ及び量子ドットディスプレイは、本発明の範囲内に含まれ得る。
【0114】
以降では、以下の実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示するために提供されたものであり、本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。
【実施例
【0115】
以下の調製例では、重量平均分子量は、ポリスチレン標準を基準にしてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶出液:テトラヒドロフラン)により決定される。
【0116】
調製例1:コポリマー(A)の調製
還流冷却器及び撹拌機を備えた500ml丸底フラスコに、溶媒としての300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びラジカル重合開始剤としての2gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)と共に、50モル%のN-フェニルマレイミド(PMI)、6モル%のスチレン、10モル%の4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4-HBAGE)及び34モル%のメタクリル酸(MAA)からなる100gのモノマー混合物を仕込んだ。その後、混合物を70℃に加熱して5時間撹拌することにより、31重量%の固形分を有するコポリマー(A)溶液を得た。こうして調製されたコポリマーは、100mgKOH/gの酸価及び7,000Daの重量平均分子量(Mw)を有していた。
【0117】
調製例2:コポリマー(F)の調製
21モル%のシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、10モル%のグリシジルメタクリレート(GMA)、32モル%のブチルメタクリレート(BMA)、17モル%のメタクリル酸(MAA)及び20モル%のメチルメタクリレート(MMA)からなる100gのモノマー混合物を使用したこと以外、調製例1と同様にコポリマー(F)を調製した。こうして調製されたコポリマー(F)は、600mgKOH/gの酸価及び4,700Daの重量平均分子量(Mw)を有していた。
【0118】
実施例及び比較例:着色感光性樹脂組成物の調製
上記の調製例で調製された化合物を用いて、以下の実施例及び比較例の着色感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
【0119】
以下の実施例及び比較例に使用した成分は、以下の通りである。
【0120】
【表1】
【0121】
実施例1
100重量部の調製例1のコポリマー(A)、80重量部の光重合性化合物(B)としてのDPHA、3.7重量部のオキシム系光重合開始剤N-1919及び3.1重量部の光重合開始剤(C)としてのトリアジン系光重合開始剤トリアジンY、123.9重量部の着色剤(D)としてのBK-0324並びに0.2重量部の界面活性剤(E)としてのBYK-307を均一に混合した。ここで、それぞれの含有率は、溶媒を除く固形分を基準にしたものである。混合物の固形分が19重量%になるように、混合物をPGMEAに溶解させた。得られた溶液を2時間混合して液相着色感光性樹脂組成物を調製した。
【0122】
実施例2~9及び比較例1~5
それぞれの成分の種類及び/又は含有率を以下の表2に示されるように変化させたこと以外、実施例1と同様に液相着色感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
【0123】
【表2】
【0124】
実施例10~17及び比較例6~8
50重量部の調製例1のコポリマー(A)及び50重量部の調製例2のコポリマー(F)をコポリマーとして使用したこと以外、実施例1~3並びに実施例5~9並びに比較例2、3及び5に対応するように、実施例10~17及び比較例6~8で液相着色感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
【0125】
【表3】
【0126】
評価例1:反射率
実施例及び比較例で得られた着色感光性樹脂組成物をスピンコーターによりガラス基材上にそれぞれ被覆して95℃で150秒間プレベークすることにより、3.8μmの厚さの被覆膜を形成した。被覆膜の5cm×5cmの領域が100%露光されるように且つ基材とのギャップが250μmに維持されるように、こうして形成された被覆膜上にマスクを配置した。その後、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を用いて、特定の時間にわたり、365nmの波長に基づいて0~300mJ/cmの露光量で膜に露光した。次いで、その後、非露光部分が完全に洗浄除去されるまで、0.04重量%の水酸化カリウムの水性溶液(すなわち現像液)を用いて23℃で現像した。次いで、こうして形成されたパターンを230℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、3.0μm(±0.3μm未満)の厚さの硬化膜を得た。
【0127】
分光光度計デバイス(CM-3700A)を用いて、硬化膜の全反射率(正反射成分を含むSCI)及び散乱反射率(正反射成分を除くSCE)を測定した。全反射率と散乱反射率との差として正反射率を得た。
【0128】
全反射率が4.6%以下である場合、○として評価した。それが4.6%を超えた場合、×として評価した。
【0129】
評価例2:光学濃度
評価例1の硬化膜の作製プロセスでマスクを利用しなかったこと以外、評価例1と同様に、ポストベーク後に3.0(±0.3)μmの厚さを有する硬化膜を得た。光学濃度計(Xlite製の361T)を用いて550nmにおける硬化膜の透過率を測定し、1μmの厚さを基準にした光学濃度(OD、単位:/μm)を決定した。
【0130】
評価例3:現像時間
評価例1の硬化膜の作製プロセスで0.04重量%の水酸化カリウムの水性溶液(すなわち現像液)を用いた現像時に非露光部分が完全に洗浄除去される時間を測定した(現像装置のステージOリング部が基材の背後に完全に見えるまで)。
【0131】
現像時間が100秒以下である場合、○として評価した。それが100秒を超えた場合、×として評価した。
【0132】
評価例4:分解能の評価
評価例1と同様に硬化膜を得た。こうして得られた硬化膜でパターンの分解能を測定するために、マイクロ光学顕微鏡(STM6-LM、製造業者:オリンパス)を用いてパターンの最小サイズを観察した。すなわち、20μmのパターン化ラインパターンのライン幅(CD、クリティカル寸法、単位:μm)が30μm未満のとき、硬化後の最小パターン寸法を最適露光量で測定した。ライン幅が10μm以上且つ30μm未満である場合、○として評価した。それが30μmを超えた場合又は10μm未満である場合、×として評価した。
【0133】
加えて、評価例1の硬化膜の作製プロセスにおいて、5μm~20μmの範囲内のサイズのラインパターンを有するマスクであって、パターンアレイが同一であるマスクを使用したこと以外、評価例1と同様に硬化膜を得た。マイクロ光学顕微鏡を用いて硬化膜の表面を観察し、20μmのライン幅(CD、クリティカル寸法、単位:μm)が実現されるかを確認した。結果は、図2、3、5及び6に写真で示される。
【0134】
評価例5:硬化膜の厚さ
α-ステップ装置(α-ステッププロフィロメーター)のSCAN PLUSを用いて装置プローブチップの垂直運動により、こうして作製された硬化膜の高低差を測定した。結果から硬化膜の厚さを得た。
【0135】
評価例6:レベリング性
リブ(又は矩形凹凸)が形成された基材上に実施例1、2、10及び11の組成物をそれぞれ被覆したこと以外、評価例1と同様に硬化膜を得た。
【0136】
硬化膜が形成された基材の断面を電子走査顕微鏡(SEM)により撮像した。
【0137】
リブの厚さ(1)、リブのトップに位置する硬化膜の厚さ(2)及びリブフリー部分の硬化膜の厚さ(3)を測定した。以下の式による高低差(4)が小さいほど、レベリング性が優れている。結果は、以下の表6及び図9に示される。
[式1]
(リブの厚さ+リブのトップに位置する硬化膜の厚さ)-リブフリー部分の硬化膜の厚さ
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】
表4及び5に示される結果から確認されるように、実施例1~17の着色感光性樹脂組成物から作製された硬化膜は、すべて全反射率が4.6%以下であり、且つ全反射率と散乱反射率との差である正反射率が4.4%程度以下である。そのため、それらは、低レベルの反射率を満たす。
【0142】
加えて、実施例1~17の硬化膜は、すべて0.3μm未満の偏位を伴って所望の厚さ(3μm)を有し、それらは、すべて短時間内で現像可能であり、且つそれらは、すべて光学濃度及び分解能が優れていた。
【0143】
対照的に、比較例1~8の組成物から作製された硬化膜のほとんどは、不十分な反射特性、特に全反射率を有し、その現像時間は、長すぎるかまた短すぎるかのいずれかであり、且つそれらは、分解能及び光学濃度のいずれか1つ以上が不十分であった。
【0144】
加えて、図2、3、5及び6の写真に示されるように、実施例1~17の硬化膜のほとんどは、明瞭且つ識別可能なライン幅が観察されたが、比較例1~8の硬化膜ではパターンが形成されないか又はパターンが明瞭でなかった。
【0145】
さらに、表6及び図7から確認されるように、実施例1、2、10及び11の組成物から作製された硬化膜は、リブが形成された部分とリブが形成されていない部分との間の高低差が大きくないため、フラットであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7