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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20231214BHJP
   B65H 31/20 20060101ALI20231214BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H31/20
B65H31/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019229578
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021095284
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】森 貴志
(72)【発明者】
【氏名】釣見 誠亮
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-136060(JP,A)
【文献】特開2018-039661(JP,A)
【文献】特開2013-014427(JP,A)
【文献】特開2015-229549(JP,A)
【文献】特開2008-120494(JP,A)
【文献】特開2004-115254(JP,A)
【文献】特開2018-104158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
B65H 31/20
B65H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する排出口を有する筐体と、
前記排出口の下方に設けられ、且つ、前記排出口から排出された媒体を積載するトレイと、
前記筐体内に引き出し可能に収納された媒体規制部材と、を有し、
前記媒体規制部材は、
前記トレイ上で媒体の排出方向の先端位置を規制可能な媒体接触部と、
前記媒体接触部を支持する第1支持部と、
前記第1支持部を揺動可能に支持する第2支持部と、を有し、
前記媒体規制部材は、重心位置が媒体排出方向の中心位置より上流側に位置するように設けられる、
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記媒体接触部は、媒体排出方向と直交する方向に沿って直線状に形成される、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記排出口から前記媒体接触部までの距離は、前記媒体排出装置がサポートする媒体の最大サイズ未満であり、且つ、小型媒体のサイズ以上である、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記第1支持部は、前記媒体接触部から前記トレイにかかる荷重を調整可能に設けられた開口部を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記第1支持部に着脱可能であり、且つ、媒体排出方向における前記第1支持部への取り付け位置を変更可能な荷重部材をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記筐体は、媒体排出方向の下流側の端部を支点として開閉可能に設けられており、
前記第1支持部は、前記媒体規制部材が前記筐体から引き出された状態で前記筐体が開けられた場合に、前記第2支持部に対して上方に揺動可能に設けられている、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
前記トレイは、第1トレイ及び前記第1トレイから引き出し可能に設けられた第2トレイを有し、
前記媒体接触部は、前記媒体規制部材が前記筐体から引き出された状態で、前記第1トレイに当接し且つ前記第2トレイに当接しないように設けられている、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
前記筐体から引き出されて前記第2支持部に支持される前記第1支持部の延在方向は、前記第1支持部が前記筐体から引き出される方向と異なる、請求項1~7の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項9】
前記第2支持部は、前記第1支持部を上下方向に揺動可能に支持する、請求項1~8の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置に関し、特に、排出された媒体を積載するトレイを有する媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナ等の媒体排出装置では、名刺、レシート、PPC(Plain Paper Copier)用紙、パスポート等の様々な種類の媒体を搬送させて撮像し、排出することが要求されている。媒体排出装置において、複数の媒体がまとめて搬送されて排出される場合、利用者は、通常、撮像が完了した媒体を整理するために、排出された媒体の先端を揃える。利用者が媒体の先端を揃えやすいように、媒体排出装置において、排出された各媒体の位置は揃っていることが望ましい。
【0003】
排出原稿積載トレイに排出されたシートを押さえる押さえ部と、排出原稿積載トレイの上方に配置された基部と、押さえ部と基部との間に設けられた節部とを有する原稿押さえ部材を備える排出シート積載装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【0004】
排出トレイに排出される用紙の排出方向の下流側端に接触することで支持面から遠ざかる方向に移動し、用紙の下流側端に自重による力を加える先端押え部材を有する画像形成装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【0005】
シートの排出方向に直交する幅方向に波打たせて腰を付けられたシートが排出トレイに向けて排出される際にシートを押さえる押さえ部材を有する画像形成装置が開示されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-229549号公報
【文献】特開2014-198615号公報
【文献】特開2019-89608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
媒体排出装置では、排出される媒体の先端を良好に揃えつつ、非使用時に装置を格納しやすいように、非使用時の装置サイズを小さくすることが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、排出される媒体の先端を良好に揃えつつ、非使用時には装置サイズを小さくすることが可能な媒体排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出口を有する筐体と、排出口の下方に設けられ、且つ、排出口から排出された媒体を積載するトレイと、筐体内に引き出し可能に収納された媒体規制部材と、を有し、媒体規制部材は、トレイ上で媒体の排出方向の先端位置を規制可能な媒体接触部と、媒体接触部を支持する第1支持部と、第1支持部を揺動可能に支持する第2支持部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体排出装置は、排出される媒体の先端を良好に揃えつつ、非使用時には装置サイズを小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る媒体排出装置100を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る媒体排出装置100を示す斜視図である。
図3】媒体排出装置100を側方から見た模式図である。
図4】上側筐体102の内部を側方から見た模式図である。
図5】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図6】他の媒体排出装置200について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1図2は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。図1は、媒体規制部材105が収納された状態の媒体排出装置100を示し、図2は、媒体規制部材105が引き出された状態の媒体排出装置100を示す。
【0014】
媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像し、排出する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。用紙又は厚紙には、名刺又はレシート等の小型媒体が含まれる。小型媒体は、例えば、長手方向のサイズが、A8の縦サイズ(74mm)以下である媒体である。なお、小型冊子は、短手方向のサイズが、A8の横サイズ(52mm)以下である媒体等でもよい。また、用紙には、A4サイズ又はA3サイズ等のPPC用紙が含まれる。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。図1図2において矢印A1は媒体排出方向を示す。以下では、上流とは媒体排出方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体排出方向A1の下流のことをいう。
【0015】
媒体排出装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104及び媒体規制部材105等を備える。
【0016】
下側筐体101及び上側筐体102は、筐体の一例である。上側筐体102は、媒体排出装置100の上面を覆う位置に配置され、ヒンジにより下側筐体101に係合している。上側筐体102は、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に矢印A3の方向に開閉可能に設けられている。下側筐体101及び上側筐体102は、媒体を排出する排出口101aを有する。上側筐体102は、媒体規制部材105を収納するための収納部106を有する。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。
【0018】
排出台104は、トレイの一例であり、排出口101aの下方に設けられ、排出口101aから排出された媒体を積載するように、下側筐体101に係合している。排出台104は、第1トレイ104a、第2トレイ104b、第3トレイ104c及びストッパ104dを有する。
【0019】
第1トレイ104aは、媒体排出装置100が使用されないときには下側筐体101内部に収納され、媒体排出装置100が使用されるときに下側筐体101から媒体排出方向A1に引き出され、排出口101aから排出された媒体を積載する。第2トレイ104bは、サイズが大きい媒体が排出台104に載置されるように、第1トレイ104aから媒体排出方向A1に引き出し可能に設けられる。第3トレイ104cは、さらにサイズが大きい媒体が排出台104に載置されるように、第2トレイ104bから媒体排出方向A1に引き出し可能に設けられる。第1トレイ104a、第2トレイ104b及び第3トレイ104cは、それぞれ排出される媒体を載置する第1載置面104e、第2載置面104f及び第3載置面104gを有する。
【0020】
ストッパ104dは、第3トレイ104cの下流側の端部に、折り畳み可能に設けられる。ストッパ104dは、立ち上げられることにより、排出台104に排出された、媒体排出装置100がサポートする最大サイズ(例えばA4サイズ又はA3サイズ)の媒体の先端を停止させ、各媒体の先端を揃える。一方、ストッパ104dが折り畳まれることにより、第1トレイ104a、第2トレイ104b及び第3トレイ104cは、下側筐体101に収納可能となる。
【0021】
なお、排出台104は、引き出し及び収納可能でないように、下側筐体101に固定されていてもよい。また、第2トレイ104b及び/又は第3トレイ104cは、省略されてもよい。第3トレイ104cが省略される場合、ストッパ104dは、第2トレイ104bに設けられる。第2トレイ104b及び第3トレイ104cが省略される場合、ストッパ104dは、第1トレイ104aに設けられる。
【0022】
媒体規制部材105は、小型媒体用のストッパであり、排出台104上で媒体の媒体排出方向A1の先端(下流側の端部)位置を規制する。媒体規制部材105は、上側筐体102内に引き出し可能に収納される。図1に示すように、媒体規制部材105は、媒体排出装置100が使用されない場合、又は、小型媒体が搬送及び排出されない場合、上側筐体102に設けられた収納部106に収納される。一方、図2に示すように、媒体規制部材105は、媒体排出装置100が使用され、且つ、小型媒体が搬送及び排出される場合、利用者により引き出されて使用される。
【0023】
媒体規制部材105は、媒体接触部105a、第1支持部105b及び第2支持部105cを有する。媒体接触部105a、第1支持部105b及び第2支持部105cは、それぞれ樹脂材料又は金属材料等で形成される。媒体接触部105a及び第1支持部105bは一体の部材で形成され、媒体接触部105a及び第1支持部105bと、第2支持部105cとは、それぞれ別個の部材で形成される。なお、媒体接触部105a、第1支持部105b及び第2支持部105cは、一体の部材で形成されてもよい。また、媒体接触部105a、第1支持部105b及び第2支持部105cは、それぞれ別個の部材で形成されてもよい。
【0024】
媒体接触部105aは、排出台104上で媒体の媒体排出方向A1の先端位置を規制可能に設けられる。媒体接触部105aは、両端にわたって、排出台104に排出された媒体の先端と接触するように、媒体排出方向と直交する幅方向A2に沿って直線状に形成される。これにより、媒体接触部105aは、排出される小型媒体の先端が直線状に整列するように、小型媒体を停止させることが可能となる。
【0025】
さらに、図1に示すように、媒体規制部材105が上側筐体102に収納された状態で、媒体接触部105aと、上側筐体102の前面102aとは面一となるように配置されている。これにより、媒体排出装置100は、媒体規制部材105が収納された状態において一体感のあるデザインを有する。
【0026】
第1支持部105bは、媒体接触部105aを支持する。第1支持部105bには、中央部に開口部105dが設けられる。開口部105dは、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重を調整可能に設けられる。即ち、媒体排出方向A1において開口部105dが上流側に設けられているほど媒体規制部材105の重心位置は下流側に位置し、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は大きくなる。一方、媒体排出方向A1において開口部105dが下流側に設けられているほど媒体規制部材105の重心位置は上流側に位置し、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は小さくなる。また、開口部105dが小さいほど媒体規制部材105全体の重量が大きくなり、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は大きくなる。一方、開口部105dが大きいほど媒体規制部材105全体の重量が小さくなり、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は小さくなる。
【0027】
媒体規制部材105は、排出台104に小型媒体が排出された場合に、小型媒体の先端を停止させるために使用される。したがって、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は、後述する排出ローラにより排出された(排出ローラから離れた)小型媒体が媒体排出方向A1に進行する力では媒体接触部105aが浮き上がらない大きさに設定されることが望ましい。一方、媒体規制部材105は、排出台104に小型媒体より大きいサイズの媒体が排出された場合、媒体が撓まないように、媒体を停止させずに通過させる必要がある。したがって、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重は、排出ローラにより排出中の(排出ローラと接触している)媒体が媒体排出方向A1に進行する力で媒体接触部105aが浮き上がる大きさに設定されることが望ましい。第1支持部105bに開口部105dが設けられることにより、媒体排出装置100は、媒体規制部材105の強度を保ちつつ、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重を適切に調整することができる。
【0028】
特に、開口部105dは、媒体規制部材105の重心位置が、媒体排出方向A1の中心位置より上流側に位置するように、設けられることが好ましい。これにより、媒体規制部材105は、小型媒体より大きいサイズの媒体の排出を妨げることなく、小型媒体の先端を良好に停止させることが可能となる。
【0029】
また、第1支持部105bに開口部105dが設けられることにより、利用者は、開口部105dから媒体が排出される様子を確認することが可能となり、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0030】
第2支持部105cは、第1支持部105bを揺動(回転)可能に支持する。特に、第2支持部105cは、第1支持部105bを上下方向A4(第1トレイ104aの第1載置面104eと略直交する方向)に揺動可能に支持する。これにより、媒体規制部材105は、上側筐体102に収納される場合には、収納部106に沿って配置されてコンパクトに収納されつつ、上側筐体102から引き出された場合には、媒体接触部105aを排出台104に接触させることが可能となる。
【0031】
また、第1支持部105bは、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出された状態で上側筐体102が開けられた場合に、第2支持部105cに対して上方に揺動可能に設けられている。これにより、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出された状態で、利用者が誤って上側筐体102を開いた場合に、媒体規制部材105が上側筐体102と排出台104に挟まれて破損されることが抑制される。
【0032】
また、図1に示すように、第2支持部105cは、突起部105eを有する。第2支持部105cは、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出された状態で、突起部105eが上側筐体102の前面102aの内側に当接することにより、上側筐体102内に係止される。
【0033】
図3は、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出された状態の媒体排出装置100を側方から見た模式図である。
【0034】
図3に示すように、第1支持部105b及び第2支持部105cは、それぞれ突起部105f及び凹部105gを有する。第2支持部105cは、突起部105fを凹部105gに係合させることにより、凹部105gを揺動軸として第1支持部105bを揺動可能に支持する。上側筐体102から引き出されて第2支持部105cに支持される第1支持部105bの延在方向A5は、第1支持部105bが上側筐体102から引き出される方向A6と異なる。これにより、媒体規制部材105は、収納部106に沿って上側筐体102から引き出されつつ、上側筐体102から引き出された後は、媒体接触部105aを排出台104の適切な位置に接触させることが可能となる。
【0035】
媒体接触部105aは、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出された状態で、第1トレイ104aの第1載置面104eに当接し且つ第2トレイ104bの第2載置面104fに当接しないように設けられている。これにより、媒体規制部材105が上側筐体102から引き出されたまま、第2トレイ104bが第1トレイ104aに収納されても、媒体接触部105aが第2載置面104fに引きずられることはなく、媒体規制部材105が破損されることが抑制される。
【0036】
上記したように、媒体規制部材105は、排出台104に小型媒体が排出された場合に小型媒体の先端を停止させるために使用される。したがって、排出口101aから媒体接触部105aまでの距離L1は、媒体排出装置100がサポートする媒体の最大サイズ未満であり、且つ、小型媒体のサイズ以上となるように設定される。媒体排出装置100がサポートする媒体の最大サイズは、例えばA4の縦サイズ(297mm)又はA3の縦サイズ(420mm)等である。小型媒体のサイズは、例えばA8の縦サイズ(74mm)又はA8の横サイズ(52mm)等である。これにより、媒体接触部105aは、排出台104に小型媒体が排出された場合に小型媒体の先端を停止させることができる。
【0037】
一方、排出口101aからストッパ104dまでの距離L2は、媒体排出装置100がサポートする媒体の最大サイズと略同一となるように設定される。これにより、ストッパ104dは、排出台104に媒体排出装置100がサポートする最大サイズの媒体が排出された場合に、その媒体の先端を停止させることができる。
【0038】
図4は、媒体規制部材105が上側筐体102に収納された状態の上側筐体102の内部を側方から見た模式図である。
【0039】
図4に示すように、収納部106は、直線状に形成されたレールによる案内部材106aを有する。第1支持部105b及び第2支持部105cは、収納部106に収納される場合、案内部材106aに沿って直線状に配置され、収納部106から引き出される場合、案内部材106aに沿ってスライドする。これにより、媒体排出装置100は、収納部106の高さ方向のスペースを十分に小さくすることが可能となり、装置サイズを低減させることが可能となる。
【0040】
また、上記したように、媒体接触部105aは両端にわたって直線状に形成され、媒体規制部材105が上側筐体102に収納された状態で、媒体接触部105aの前面と、上側筐体102の前面102aとは面一となるように配置されている。これにより、媒体排出装置100は、媒体規制部材105が収納された状態において一体感のあるデザインを有する。
【0041】
図5は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0042】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、給送ローラ111、ブレーキローラ112、第1搬送ローラ113、第2搬送ローラ114、第1撮像装置115a、第2撮像装置115b、第1排出ローラ116及び第2排出ローラ117等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
【0043】
第1撮像装置115aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置115aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置115aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0044】
同様に、第2撮像装置115bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置115bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置115bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0045】
なお、媒体排出装置100は、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0046】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ111が図5の矢印A11の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体排出方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ112は、媒体搬送時、矢印A12の方向に回転する。給送ローラ111及びブレーキローラ112の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ111と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0047】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ113と第2搬送ローラ114の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ113及び第2搬送ローラ114がそれぞれ矢印A13及び矢印A14の方向に回転することによって、第1撮像装置115aと第2撮像装置115bの間に送り込まれる。第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bにより読み取られた媒体は、第1排出ローラ116及び第2排出ローラ117がそれぞれ矢印A15及び矢印A16の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0048】
以上詳述したように、媒体排出装置100には、排出台104上に排出される小型媒体の先端位置を規制する媒体規制部材105が設けられるとともに、媒体規制部材105を収納するための収納部106が設けられる。これにより、媒体排出装置100は、排出される媒体の先端を良好に揃えつつ、非使用時には装置サイズを小さくすることが可能となった。
【0049】
特に、媒体排出装置100は、媒体規制部材105により小型媒体を停止させるため、先に排出されていた小型媒体が、後から排出された小型媒体によって押し出されることが抑制される。さらに、先に排出されていた小型媒体が押し出された結果、押し出された小型媒体の下に後から排出された小型媒体が潜り込み、媒体の順序が入れ替わることが抑制される。また、媒体規制部材105により、排出される小型媒体が排出台104から飛び出してしまうことが抑制される。これらにより、利用者は、排出された複数の媒体を揃えやすくなり、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させるとともに、媒体読取処理に要するトータル時間を低減させることが可能となった。
【0050】
また、媒体規制部材105は、非使用時に上側筐体102に収納可能であるため、媒体排出装置100は、非使用時に媒体規制部材105が紛失される可能性を低減させることが可能となる。また、利用者は、上側筐体102を開閉する際に媒体規制部材105を収納することができるため、媒体排出装置100において、媒体規制部材105によって上側筐体102の開閉が妨げられることが抑制される。
【0051】
図6は、他の実施形態に係る媒体排出装置200について説明するための模式図である。媒体排出装置200は、媒体排出装置100が有する各部に加えて、荷重部材208をさらに有する。
【0052】
荷重部材208は、第1支持部105bに着脱可能な重りである。荷重部材208の、媒体排出方向A1における第1支持部105bへの取り付け位置は、下流側の端部から上流側の端部まで変更可能に設けられている。上記したように、媒体規制部材105は、小型媒体を停止させつつ、小型媒体より大きいサイズの媒体については停止させずに通過させる必要がある。利用者は、搬送する媒体の種類に応じて、荷重部材208を取り付ける位置を変更することが可能となり、媒体排出装置100は、媒体接触部105aから排出台104にかかる荷重をより適切に調整することができる。なお、荷重部材208の形状は、図6に示した形状に限定されず、荷重部材208は、任意の形状を有してもよい。
【0053】
以上詳述したように、媒体排出装置200は、荷重部材208を用いる場合においても、排出される媒体の先端を良好に揃えつつ、非使用時には装置サイズを小さくすることが可能となった。
【符号の説明】
【0054】
100 媒体排出装置、101 下側筐体、101a 排出口、102 上側筐体、103 載置台、104 排出台、104a 第1トレイ、104b 第2トレイ、105 媒体規制部材、105a 媒体接触部、105b 第1支持部、105c 第2支持部、105d 開口部、208 荷重部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6