IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社新菱の特許一覧 ▶ 関東冶金工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図1
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図2
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図3
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図4
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図5
  • 特許-熱処理装置および加熱処理物の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】熱処理装置および加熱処理物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/04 20060101AFI20231214BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20231214BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20231214BHJP
   F27B 9/02 20060101ALI20231214BHJP
   F27B 9/30 20060101ALI20231214BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F27B9/04
B09B3/40
C08J11/12
F27B9/02
F27B9/30
F27D7/06 B
H01L21/68 A
H01L21/68 N
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019234637
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103047
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】594146179
【氏名又は名称】株式会社新菱
(73)【特許権者】
【識別番号】000157072
【氏名又は名称】関東冶金工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正希
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】則行 信達
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-036599(JP,U)
【文献】特開2014-108375(JP,A)
【文献】実開昭49-139312(JP,U)
【文献】実開昭58-034945(JP,U)
【文献】国際公開第2018/212016(WO,A1)
【文献】特開2013-237716(JP,A)
【文献】特開2010-002176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00- 9/40
C08J 11/00-11/28
F27D 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と基材を含む複合材または混合物である被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理することによって、前記被処理物に含まれる樹脂を熱分解して加熱処理物を得るトンネル炉を備えた熱処理装置であり、
前記熱処理装置が、前記トンネル炉にシール用の不活性ガスを供給する手段をさらに備え、
前記トンネル炉が、前記被処理物を加熱する加熱部と、前記加熱部の上流側に設けられた搬入口側シール室と、前記搬入口側シール室の上流側に設けられた搬入口側排気室と、前記加熱部の下流側に設けられた搬出口側シール室と、前記搬出口側シール室の下流側に設けられた搬出口側排気室と、を有し、
前記搬入口側シール室内には、前記被処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記搬出口側シール室内には、前記加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ
前記搬入口側排気室には、搬入口から流れ込む外気を、前記搬入口側シール室からの不活性ガス、および前記樹脂が熱分解されて発生した熱分解ガスとともに排出するための第一排気口が形成され、
前記搬出口側排気室には、搬出口から流れ込む外気を、前記搬出口側シール室からの不活性ガス、および前記樹脂が熱分解されて発生した熱分解ガスとともに排出するための第二排気口が形成されている、熱処理装置。
【請求項2】
前記搬入口側シール室には、前記被処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられ、
前記搬出口側シール室には、前記加熱処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられている、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記搬入口側シール室にある前記シールカーテンの段数が、2~100段であり、
前記搬出口側シール室にある前記シールカーテンの段数が、2~100段である、請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記搬入口側シール室にある前記シールカーテンが、前記被処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなり、
前記搬出口側シール室にある前記シールカーテンが、前記加熱処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記シールカーテンの幅方向の1mあたりの前記帯体の数が、2~50本/mである、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記トンネル炉にシール用の不活性ガスを供給する手段により、前記トンネル炉における前記シールカーテンが吊り下げられた領域に不活性ガス供給される、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記熱処理装置が、前記加熱部に不活性ガスを供給する手段をさらに備え、
前記加熱部内には、前記被処理物に向けて前記不活性ガスを噴射するノズルが設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記トンネル炉が、繊維強化樹脂を搬送しながら熱処理することによって前記繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂を熱分解して加熱処理物を得るもの、または太陽電池モジュールを搬送しながら熱処理することによって前記太陽電池モジュールに含まれる封止材を熱分解して加熱処理物を得るものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項9】
樹脂と基材を含む複合材または混合物である被処理物を加熱する加熱部を有するトンネル炉内で被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理することによって、前記被処理物に含まれる樹脂を熱分解して加熱処理物を得る方法であり、
前記トンネル炉は、前記加熱部の上流側に設けられた搬入口側シール室と、前記搬入口側シール室の上流側に設けられた搬入口側排気室と、前記加熱部の下流側に設けられた搬出口側シール室と、前記搬出口側シール室の下流側に設けられた搬出口側排気室と、をさらに有し、
前記搬入口側シール室内には、前記被処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記搬出口側シール室内には、前記加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記被処理物および前記加熱処理物が、前記トンネル炉内において前記シールカーテンを押し上げつつ搬送され
前記トンネル炉にシール用の不活性ガスを供給し、
搬入口から流れ込む外気を、前記搬入口側シール室からの不活性ガス、および前記樹脂が熱分解されて発生した熱分解ガスとともに、前記搬入口側排気室に形成された第一排気口から排出し、
搬出口から流れ込む外気を、前記搬出口側シール室からの不活性ガス、および前記樹脂が熱分解されて発生した熱分解ガスとともに、前記搬出口側排気室に形成された第二排気口から排出する、加熱処理物の製造方法。
【請求項10】
前記搬入口側シール室には、前記被処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられ、
前記搬出口側シール室には、前記加熱処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられている、請求項9に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項11】
前記搬入口側シール室にある前記シールカーテンの段数が、2~100段であり、
前記搬出口側シール室にある前記シールカーテンの段数が、2~100段である、請求項10に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項12】
前記搬入口側シール室にある前記シールカーテンが、前記被処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなり、
前記搬出口側シール室にある前記シールカーテンが、前記加熱処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなる、請求項9~11のいずれか一項に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項13】
前記シールカーテンの幅方向の1mあたりの前記帯体の数が、2~50本/mである、請求項12に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項14】
前記トンネル炉における前記シールカーテンが吊り下げられた領域に不活性ガスを供給する、請求項9~13のいずれか一項に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項15】
前記加熱部に供給された不活性ガスを前記加熱部内のノズルから前記被処理物に向けて噴射する、請求項9~14のいずれか一項に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項16】
前記加熱部に供給された前記不活性ガスが、窒素ガスまたは過熱水蒸気である、請求項15に記載の加熱処理物の製造方法。
【請求項17】
繊維強化樹脂を搬送しながら熱処理することによって前記繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂を熱分解して加熱処理物を得る方法、または太陽電池モジュールを搬送しながら熱処理することによって前記太陽電池モジュールに含まれる封止材を熱分解して加熱処理物を得る方法である、請求項9~16のいずれか一項に記載の加熱処理物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を熱処理して加熱処理物を得る熱処理装置および加熱処理物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来廃棄処理されていた資源を有効活用することを目的に、使用済の炭素繊維強化樹脂の製品(成形品)、製造工程から発生する炭素繊維強化樹脂の中間製品(プリプレグ)の切れ端等から炭素繊維を回収すること、使用済の太陽電池モジュールからセルやガラス基板を回収すること等が検討されている。
【0003】
特許文献1には、炭素繊維強化樹脂を無酸素状態で乾留して炭素繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂を固定炭素に転換するバッチ式の炭化乾留炉と、固定炭素が付着した炭素繊維を連続的に加熱して固定炭素の一部を除去する連続式炉とを備えた再生炭素繊維の製造装置が記載されている。
特許文献2には、太陽電池モジュールを低酸素または制御された酸素含有雰囲気の連続式熱処理炉内で搬送しながら加熱することによって封止材を除去し、セルおよびガラス基板を分離、回収する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-064219号公報
【文献】特開2014-108375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、炭化乾留炉がバッチ式であり、連続的に熱処理できない。そのため、時間あたりの処理量を多くすることができない。
特許文献2の方法では、連続的に熱処理できるものの、連続式熱処理炉の搬入口および搬出口が開放状態にあり、連続式熱処理炉から不活性ガスが漏れ出しやすく、連続式熱処理炉内の酸素濃度が上昇しやすい。また、封止材が熱分解して発生した熱分解ガスが連続式熱処理炉から漏れ出しやすい。また、出入口に設けられた傾斜型ラビリンス構造は、連続式熱処理炉の密閉性を維持するために開口部の高さを高くすることができない。
【0006】
本発明は、トンネル炉内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑え、非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気を維持しつつかつ連続して被処理物を熱処理して加熱処理物を得ることができる熱処理装置および加熱処理物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>樹脂と基材を含む複合材または混合物である被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理して加熱処理物を得るトンネル炉を備えた熱処理装置であり、
前記トンネル炉が、前記被処理物を加熱する加熱部を有し、
前記加熱部よりも上流の前記トンネル炉内には、前記被処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記加熱部よりも下流の前記トンネル炉内には、前記加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられている、熱処理装置。
<2>前記加熱部よりも上流には、前記被処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられ、
前記加熱部よりも下流には、前記加熱処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられている、前記<1>の熱処理装置。
<3>前記加熱部よりも上流にある前記シールカーテンの段数が、2~100段であり、
前記加熱部よりも下流にある前記シールカーテンの段数が、2~100段である、前記<2>の熱処理装置。
<4>前記加熱部よりも上流にある前記シールカーテンが、前記被処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなり、
前記加熱部よりも下流にある前記シールカーテンが、前記加熱処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなる、前記<1>~<3>のいずれかの熱処理装置。
<5>前記シールカーテンの幅方向の1mあたりの前記帯体の数が、2~50本/mである、前記<4>の熱処理装置。
<6>前記熱処理装置が、前記トンネル炉における前記シールカーテンが吊り下げられた領域に不活性ガスを供給する手段をさらに備える、前記<1>~<5>のいずれかの熱処理装置。
<7>前記熱処理装置が、前記加熱部に不活性ガスを供給する手段をさらに備え、
前記加熱部内には、前記被処理物に向けて前記不活性ガスを噴射するノズルが設けられている、前記<1>~<6>のいずれかの熱処理装置。
<8>前記トンネル炉が、繊維強化樹脂を搬送しながら熱処理することによって前記繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂を熱分解して加熱処理物を得るもの、または太陽電池モジュールを搬送しながら熱処理することによって前記太陽電池モジュールに含まれる封止材を熱分解して加熱処理物を得るものである、前記<1>~<7>のいずれかの熱処理装置。
<9>樹脂と基材を含む複合材または混合物である被処理物を加熱する加熱部を有するトンネル炉内で被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理して加熱処理物を得る方法であり、
前記加熱部よりも上流の前記トンネル炉内には、前記被処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記加熱部よりも下流の前記トンネル炉内には、前記加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ前記無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、
前記被処理物および前記加熱処理物が、前記トンネル炉内において前記シールカーテンを押し上げつつ搬送される、加熱処理物の製造方法。
<10>前記加熱部よりも上流には、前記被処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられ、
前記加熱部よりも下流には、前記加熱処理物の搬送方向に間隔をあけて複数段の前記シールカーテンが吊り下げられている、前記<9>の加熱処理物の製造方法。
<11>前記加熱部よりも上流にある前記シールカーテンの段数が、2~100段であり、
前記加熱部よりも下流にある前記シールカーテンの段数が、2~100段である、前記<10>の加熱処理物の製造方法。
<12>前記加熱部よりも上流にある前記シールカーテンが、前記被処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなり、
前記加熱部よりも下流にある前記シールカーテンが、前記加熱処理物の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体からなる、前記<9>~<11>のいずれかの加熱処理物の製造方法。
<13>前記シールカーテンの幅方向の1mあたりの前記帯体の数が、2~50本/mである、前記<12>の加熱処理物の製造方法。
<14>前記トンネル炉における前記シールカーテンが吊り下げられた領域に不活性ガスを供給する、前記<9>~<13>のいずれかの加熱処理物の製造方法。
<15>前記加熱部に供給された不活性ガスを前記加熱部内のノズルから前記被処理物に向けて噴射する、前記<9>~<14>のいずれかの加熱処理物の製造方法。
<16>前記加熱部に供給された前記不活性ガスが、窒素ガスまたは過熱水蒸気である、前記<15>の加熱処理物の製造方法。
<17>繊維強化樹脂を搬送しながら熱処理することによって前記繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂を熱分解して加熱処理物を得る方法、または太陽電池モジュールを搬送しながら熱処理することによって前記太陽電池モジュールに含まれる封止材を熱分解して加熱処理物を得る方法である、前記<9>~<16>のいずれかの加熱処理物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の熱処理装置によれば、トンネル炉内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑え、非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気を維持しつつかつ連続して被処理物を熱処理して加熱処理物を得ることができる。
本発明の加熱処理物の製造方法によれば、トンネル炉内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑え、非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気を維持しつつかつ連続して被処理物を熱処理して加熱処理物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の熱処理装置の一例を示す概略構成図である。
図2】シールカーテンを被処理物の搬送方向から見た図である。
図3】加熱炉内におけるノズルの配置の一例を示す斜視図である。
図4】トンネル炉のシール室内において被処理物がシールカーテンを押し上げつつ搬送される様子を側面から見た図である。
図5】トンネル炉のシール室内において被処理物がシールカーテンを押し上げつつ搬送される様子を被処理物の搬送方向の後ろ側から見た図である。
図6】トンネル炉のシール室内において被処理物がシールカーテンを押し上げつつ搬送される様子を被処理物の搬送方向の後ろ側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「繊維強化樹脂」とは、強化繊維およびマトリックス樹脂を含むものをいい、成形後の製品および成形前の中間製品を包含する。
「非酸化性雰囲気」とは、酸素ガスを含まない雰囲気、または酸素ガスを実質的に含まない雰囲気をいう。「酸素ガスを実質的に含まない」とは、被処理物を加熱する際に雰囲気中に不可避的に酸素ガスが混入したとしても、酸素ガスの量が、酸素ガスによる回収対象物の熱分解がほとんど見られない範囲の量であることをいう。
「酸化性雰囲気」とは、酸素ガスを含む雰囲気であり、非酸化性雰囲気以外の雰囲気をいう。
「過熱水蒸気」とは、沸点以上の温度に加熱された水蒸気をいう。
本明細書および特許請求の範囲において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
図1図6における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
【0011】
<被処理物>
本発明における被処理物は、熱分解される樹脂と、熱分解されない回収対象物とを含むものであればよい。
被処理物としては、樹脂を含む製品(繊維強化樹脂、太陽電池モジュール、プリント配線板等)、油脂または有機物が付着した製品、油脂または有機物が吸着または含有された製品等が挙げられる。
被処理物としては、加熱処理によって樹脂を熱分解し、基材をリサイクル資源として回収できる点で、樹脂と基材を含む複合材または混合物であることが好ましく、樹脂と基材を含む複合材がより好ましく、繊維強化樹脂または太陽電池モジュールであることがさらに好ましい。
基材としては、揮発温度が樹脂よりも低く、複合材または混合物中の樹脂を熱分解して除去することによって、基材の回収が可能なものであれば特に限定されない。
基材としては、例えば、金属、ガラス、セラミック、炭素繊維等が挙げられる。
【0012】
(繊維強化樹脂)
繊維強化樹脂は、強化繊維およびマトリックス樹脂を含む。
繊維強化樹脂は、強化繊維およびマトリックス樹脂以外の他の材料(無機フィラー等)等を含んでいてもよい。
【0013】
繊維強化樹脂は、成形後の製品(成形品)であってもよく、成形前の中間製品(プリプレグ、トウプレグ、シートモールディングコンパウンド、バルクモールディングコンパウンド、スタンパブルシート、繊維強化樹脂ペレット等)であってもよい。
プリプレグ等を処理する場合、プリプレグ等を複数積み重ねた積層物であっても単層であってもよい。繊維強化樹脂としてプリプレグ等を複数積み重ねた積層物を用いた場合、同時に再生処理できるプリプレグ等の量を増やすことができ、低コストで熱処理できる。
繊維強化樹脂は、他の部材(強化繊維を含まない樹脂成形品、金属、セラミックス等)との複合体の状態であってもよい。
【0014】
繊維強化樹脂の形状は、特に限定されない。炭素繊維強化樹脂の形状としては、シート状、板状、断面L形状(アングル状)、断面T形状、断面C形状(チャンネル状)、断面H形状、角パイプ状、丸パイプ状、任意の立体形状等が挙げられる。
【0015】
(強化繊維)
強化繊維は、熱分解されない、または熱分解されにくく、熱処理されても繊維としての形状を保持できるものであればよい。
強化繊維としては、炭素繊維(黒鉛繊維を含む。)、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、金属繊維等が挙げられ、繊維強化樹脂の機械特性の点から、炭素繊維が好ましい。
【0016】
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル繊維を原料に用いたPAN系炭素繊維、石炭ピッチまたは石油ピッチを原料に用いたピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
強化繊維の形態は、繊維束、織物、ノンクリンプファブリック等の強化繊維基材であってもよく、強化繊維基材を構成していない強化繊維(ミルド強化繊維等)であってもよい。強化繊維の形態としては、繊維強化樹脂から再生強化繊維として回収しやすい点から、強化繊維基材が好ましい。
繊維強化樹脂に含まれる強化繊維基材の層数は、中間製品の用途、特性等に応じて適宜設定され、特に限定されない。
強化繊維基材は、シート状であってもよく、チップ状であってもよい。
【0018】
シート状の強化繊維基材の形態としては、複数の強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(トウ)、強化繊維の繊維束を経糸および緯糸に用いた織物、ノンクリンプファブリック、強化繊維の不織布等が挙げられる。
チップ状の強化繊維基材の形態としては、繊維束を切断したチョップド強化繊維、チップ状の織物等が挙げられる。
【0019】
繊維強化樹脂に含まれる強化繊維基材の形態は、1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。繊維強化樹脂に含まれる複数の強化繊維基材は、例えば、シート状強化繊維基材とチップ状強化繊維基材との組み合わせ等からなる。
【0020】
繊維束を構成する強化繊維の本数は、繊維強化樹脂の用途、特性等に応じて適宜設定され、特に限定されない。
強化繊維の長さおよび繊維径は、繊維強化樹脂の用途、特性等に応じて適宜設定され、特に限定されない。
繊維強化樹脂に含まれる強化繊維の割合は、繊維強化樹脂の用途、特性等に応じて適宜設定され、特に限定されない。
【0021】
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂は、未硬化のものであってもよく、硬化物であってもよい。
【0022】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、熱可塑エラストマー、これらの共重合体、変性体、ブレンド樹脂等が挙げられる。さらに、エラストマーやゴム成分を添加した樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
マトリックス樹脂は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、硬化剤、硬化助剤、内部離型剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等が挙げられる。
繊維強化樹脂に含まれるマトリックス樹脂の割合は、繊維強化樹脂の用途、特性等に応じて適宜設定され、特に限定されない。
【0025】
(太陽電池モジュール)
太陽電池モジュールは、セル、ガラス基板および封止材を有する。
太陽電池モジュールは、配線電極、取り出し電極、バックシート、フレーム等を有していてもよい。
本発明においては、太陽電池モジュールからフレーム等の機械的に取り外し容易な構成部材を取り除き、さらにバックシートを外したものを被処理物とすることが好ましい。
【0026】
セルとしては、シリコン系(単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系等)、化合物系(GaAs系、CIS系、CdTe-CdS系)等が挙げられる。
ガラス基板としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
封止材としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、EVAが好ましい。
【0027】
<熱処理装置>
図1は、本発明の熱処理装置の一例を示す概略構成図である。図1においては、トンネル炉は断面を示す。
熱処理装置1は、被処理物100を非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理して加熱処理物102を得るトンネル炉10と;トンネル炉10内を通過するように被処理物100および加熱処理物102を搬送する搬送手段30と;トンネル炉10にシール用または冷却用の不活性ガスを供給する第一不活性ガス供給手段40と;トンネル炉10に熱処理用の不活性ガスを供給する第二不活性ガス供給手段50と;トンネル炉10からの排気ガスを外部に排出する排気ガス排出手段60と;トンネル炉10に冷却水を供給する冷却水供給手段70とを備える。
【0028】
(トンネル炉)
トンネル炉10は、上流側から順に、搬入口側排気室11と、搬入口側シール室12と、加熱室13(加熱部)と、冷却室14(冷却部)と、搬出口側シール室15と、搬出口側排気室16とを有する。
【0029】
搬入口側排気室11は、搬入口11aから流れ込む外気を、搬入口側シール室12からの不活性ガスや熱分解性ガスとともに排気するための領域である。
搬入口側排気室11には、トンネル炉10に被処理物100を搬入するための搬入口11aが形成されている。搬入口11aには、トンネル炉10の通路(搬入口11a)の開度を調整する第一開度調整板20が設けられている。搬入口側排気室11の上部には、搬入口11aから流れ込む外気を、搬入口側シール室12からの不活性ガスや熱分解性ガスとともに排気するための第一排気口11bが形成されている。第一排気口11bには、第一排気口11bの開度を調整する開度調整手段21が設けられている。開度調整手段21としては、開度調整板等が挙げられる。
【0030】
搬入口側シール室12は、加熱室13への外気の侵入および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しを抑えるための領域である。
搬入口側シール室12の上部の、搬入口側シール室12の長さ方向の中央には、不活性ガスを搬入口側シール室12内に導入するための不活性ガス導入口12aが形成されている。搬入口側シール室12には、被処理物100の搬送方向を横断し、かつ無端ベルト32に接する、可とう性のシールカーテン22が吊り下げられている。搬入口側シール室12には、シールカーテン22よりも上流の位置に、トンネル炉10の通路(搬入口側シール室12の入口)の開度を調整する第二開度調整板23が設けられている。
【0031】
シールカーテン22の上下方向の長さは、トンネル炉10内の無端ベルト32に接する長さであればよい。シールカーテン22の下端と無端ベルト32とが接触していることが好ましく、シールカーテン22の下端が無端ベルト32に押し付けられてたわんでいることがより好ましい。
シールカーテン22は、可とう性を有しかつ耐熱性を有するものであればよい。シールカーテン22としては、薄いシート等が挙げられ、耐熱性の薄いシートが好ましく、薄い金属シートがより好ましい。
【0032】
搬入口側シール室12には、被処理物100の搬送方向に間隔をあけて複数段のシールカーテン22が吊り下げられている。シールカーテン22の段数は、2~100段が好ましい。シールカーテン22の段数が前記範囲の下限値以上であれば、加熱室13への外気の侵入および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。シールカーテン22の段数が前記範囲の上限値以下であれば、被処理物100が搬入口側シール室12を通過しやすい。
【0033】
シールカーテン22は、図2に示すように、被処理物100の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた、上下方向に延びる複数の帯体22Aからなる。シールカーテン22の幅方向の1mあたりの帯体22Aの数は、2~50本/mが好ましく、10~30本/mがより好ましい。帯体22Aの数が前記範囲の下限値以上であれば、後述する作用機序によって、被処理物100の側面と帯体22Aとの隙間をできるだけ小さくでき、加熱室13への外気の侵入および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。帯体22Aの数が前記範囲の上限値以下であれば、隣り合う帯体22Aの隙間の数が抑えられ、加熱室13への外気の侵入および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。
【0034】
加熱室13は、被処理物100を加熱して熱処理するための領域である。被処理物100が熱処理されることによって、被処理物100に含まれる樹脂(マトリックス樹脂、封止剤等)が熱分解されて加熱処理物102が得られる。
加熱室13の上部には、被処理物100に含まれる樹脂が熱分解して発生した熱分解ガスを含む排気ガスを加熱室13から排気するための第三排気口13aが形成されている。加熱室13内には、被処理物100を搬送する無端ベルト32を挟んで一対の電気ヒーター24が、被処理物100の搬送方向に間隔をあけて三か所に設置されている。一対の電気ヒーター24が設置された各領域を、上流側から予熱領域13A、第一加熱領域13B、第二加熱領域13Cとする。各領域は、一対の電気ヒーター24によってそれぞれ任意の温度に設定できる。領域の数は必要に応じて適宜設定できる。加熱室13内の予熱領域13Aおよび第一加熱領域13Bのそれぞれには、無端ベルト32の下側に、被処理物100に向けて不活性ガスを噴射するノズル25が設けられている。ノズル25は、図3に示すように、無端ベルト32の移動方向を横切る方向に配置された不活性ガス供給配管54に複数設けられてもよい。このような配置とすることによって、被処理物100に不活性ガスを連続的かつ直接的に吹き付けることができ、被処理物100に含まれる樹脂(マトリックス樹脂、封止材等)を効率的に熱分解できる。
【0035】
冷却室14は、加熱処理物102を冷却するための領域である。
加熱室13と冷却室14との境界付近には、不活性ガスを加熱室13と冷却室14との境界付近に導入するための不活性ガス導入口14aが形成されている。冷却室14内には、冷却水を流すための冷却管(図示略)が配設されている。
【0036】
搬出口側シール室15は、冷却室14および加熱室13への外気の侵入ならびに加熱室13および冷却室14からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しを抑えるための領域である。
搬出口側シール室15の上部の、搬出口側シール室15の長さ方向の中央には、不活性ガスを搬出口側シール室15内に導入するための不活性ガス導入口15aが形成されている。搬出口側シール室15には、加熱処理物102の搬送方向を横断し、かつ無端ベルト32に接する、可とう性のシールカーテン26が、加熱処理物102の搬送方向に間隔をあけて複数段吊り下げられている。搬出口側シール室15には、シールカーテン26よりも下流の位置に、トンネル炉10の通路(搬出口側シール室15の出口)の開度を調整する第三開度調整板27が設けられている。
シールカーテン26としては、搬入口側シール室12におけるシールカーテン22と同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0037】
搬出口側排気室16は、搬出口16aから流れ込む外気を、搬出口側シール室15からの不活性ガスや熱分解性ガスとともに排気するための領域である。
搬出口側排気室16には、トンネル炉10から加熱処理物102を搬出するための搬出口16aが形成されている。搬出口16aには、トンネル炉10の通路(搬出口16a)の開度を調整する第四開度調整板29が設けられている。搬出口側排気室16の上部には、搬出口16aから流れ込む外気を、搬出口側シール室15からの不活性ガスや熱分解性ガスとともに排気するための第二排気口16bが形成されている。第二排気口16bには、第二排気口16bの開度を調整する開度調整手段28が設けられている。開度調整手段28としては、開度調整板等が挙げられる。
【0038】
(搬送手段)
搬送手段30は、トンネル炉10の上流側に設けられたロール34と;トンネル炉10の下流側に設けられたロール36と;ロール36の下方に設けられたロール37と;ロール34の下方に設けられたロール38と;トンネル炉10内に挿通された状態でこれらロールに架け渡された無端ベルト32と;少なくとも1つのロールに設けられた回転駆動機構(図示略)とを備えるベルトコンベアである。無端ベルト32は、被処理物100および加熱処理物102を載置した状態で、トンネル炉10の上流側からトンネル炉10内を通過してトンネル炉10の下流側に向かって移動する。
無端ベルト32は、通気性、可とう性および耐熱性を有するものであればよい。無端ベルト32としては、耐熱性のメッシュベルト等が挙げられ、金属製のメッシュベルトが好ましい。
【0039】
(第一不活性ガス供給手段)
第一不活性ガス供給手段40は、不活性ガス供給源42と;不活性ガス供給源42から供給された不活性ガスを、搬入口側シール室12の不活性ガス導入口12a、加熱室13と冷却室14との境界付近の不活性ガス導入口14a、および搬出口側シール室15の不活性ガス導入口15aに送気するための不活性ガス供給配管44と;不活性ガス供給配管44の途中に設けられた不活性ガス加熱装置46を備える。
不活性ガス供給源42としては、膜分離式窒素ガス発生装置、不活性ガスボンベ、不活性ガスタンク等が挙げられる。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、経済性の点から、窒素ガスが好ましい。
【0040】
(第二不活性ガス供給手段)
第二不活性ガス供給手段50は、不活性ガス供給源52と;不活性ガス供給源52から供給された不活性ガスを、加熱室13内のノズル25に送気するための不活性ガス供給配管54とを備える。
不活性ガス供給源42としては、過熱水蒸気発生装置、膜分離式窒素ガス発生装置、不活性ガスボンベ、不活性ガスタンク等が挙げられる。不活性ガスとしては、過熱水蒸気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、経済性の点から、窒素ガスまたは過熱水蒸気が好ましく、熱伝導性の点から、過熱水蒸気がより好ましい。また、不活性ガス中に制御された量の酸素ガスが含まれていてもよい。
【0041】
(排気ガス排出手段)
排気ガス排出手段60は、加熱室13の第三排気口13aから排気された熱分解ガスを含む排気ガスを燃焼処理するアフターバーナー61と;加熱室13の第三排気口13aからアフターバーナー61に熱分解ガスを含む排気ガスを吸気する第一排気配管62と;アフターバーナー61から排気される排気ガスを外部に排出する第二排気配管63と;搬入口側排気室11の第一排気口11bおよび搬出口側排気室16の第二排気口16bから排気された不活性ガスや熱分解性ガスを含む排気ガスを第二排気配管63に合流させる第三排気配管64と;第三排気配管64の途中に設けられた排気ファン65とを備える。
【0042】
(冷却水供給手段)
冷却水供給手段70は、冷却室14の冷却管から戻された冷却水を貯留する冷却水タンク71と;冷却室14の冷却管から冷却水タンク71に冷却水を戻す第一冷却水配管72と;冷却水タンク71の冷却水を冷却室14の冷却管に供給する第二冷却水配管73と;第二冷却水配管73の途中に設けられた送液ポンプ74と;第二冷却水配管73の途中に設けられた、冷却水を冷却するための熱交換器75とを備える。
【0043】
<加熱処理物の製造方法>
図1の熱処理装置1を用いた加熱処理物102の製造方法について説明する。
第一不活性ガス供給手段40の不活性ガス供給源42から不活性ガスを、常時、搬入口側シール室12、加熱室13と冷却室14との境界付近、および搬出口側シール室15に供給する。また、第二不活性ガス供給手段50の不活性ガス供給源52から不活性ガスを、常時、加熱室13に供給する。これによって、加熱室13内を非酸化性雰囲気とする。また、加熱室13に酸素を含有するガスを供給し、加熱室13内を制御された酸素含有雰囲気とすることもできる。
【0044】
搬入口側シール室12および搬出口側シール室15内に供給されるシール用の不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、経済性の点から、窒素ガスが好ましい。また、不活性ガスは、体積膨張によってガスの使用量を削減できる点から、加熱されていることが好ましい。
加熱室13と冷却室14との境界付近に供給される冷却用の不活性ガスとしては、過熱水蒸気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、経済性の点から、過熱水蒸気または窒素ガスが好ましい。
加熱室13内の雰囲気としては、被処理物100に含まれる回収対象物の酸化ダメージを抑えつつ樹脂を十分に熱分解できる点から、不活性ガス雰囲気が好ましい。加熱室13に供給される熱処理用の不活性ガスとしては、過熱水蒸気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、経済性の点から、窒素ガスまたは過熱水蒸気が好ましく、熱伝導性の点から、過熱水蒸気がより好ましい。また、不活性ガス中に制御された量の酸素が含まれていてもよい。
【0045】
また、排気ガス排出手段60の排気ファン65を駆動させ、トンネル炉10の搬入口11aから流れ込む外気を、搬入口側シール室12からの不活性ガスや熱分解ガスとともに第一排気口11bから常時排気する。第一開度調整板20によって、トンネル炉10の搬入口11aから流れ込む外気の量を調整し、トンネル炉10内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑える。また、トンネル炉10の搬出口16aから流れ込む外気を、搬出口側シール室15からの不活性ガスや熱分解ガスとともに第二排気口16bから常時排気する。第四開度調整板29によって、トンネル炉10の搬出口16aから流れ込む外気の量を調整し、トンネル炉10内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑える。必要に応じて、開度調整手段21よって第一排気口11bの開度を調整する。また、開度調整手段28によって第二排気口16bの開度を調整する。
【0046】
トンネル炉10の上流側からトンネル炉10内を通過してトンネル炉10の下流側に向かって移動する無端ベルト32に、トンネル炉10の上流側において被処理物100を載置する。被処理物100は、無端ベルト32によってトンネル炉10の搬入口11aから搬入され、トンネル炉10内を搬送される。
搬入口側シール室12内においては、被処理物100がシールカーテン22を押し上げつつ搬送される。必要に応じて、第二開度調整板23によって搬入口側シール室12の入口の開度を調整する。
【0047】
加熱室13内においては、被処理物100を搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気に維持された状態で熱処理する。これによって、被処理物100に含まれる樹脂(マトリックス樹脂、封止材等)を熱分解して加熱処理物102を得る。
加熱室13内の酸素濃度は、被処理物100に含まれる回収対象物(強化繊維、セル、ガラス基板等)の酸化ダメージが十分に抑えられ、爆鳴気の形成が抑えられる点から、3.0体積%以下が好ましく、1.0体積%以下がより好ましく、0.1体積%以下がさらに好ましい。
【0048】
被処理物100が繊維強化樹脂の場合、予熱領域13Aの雰囲気温度は、例えば、300~600℃に設定され、第一加熱領域13Bの雰囲気温度は、例えば、500~800℃に設定され、第二加熱領域13Cの雰囲気温度は、例えば、500~800℃に設定される。
被処理物100が繊維強化樹脂の場合、加熱室13内における加熱時間は、例えば、加熱温度に応じて10~180分の範囲で適宜設定される。
【0049】
被処理物100が太陽電池モジュールの場合、予熱領域13Aの雰囲気温度は、例えば、300~400℃に設定され、第一加熱領域13Bの雰囲気温度は、例えば、400~550℃に設定され、第二加熱領域13Cの雰囲気温度は、例えば、400~550℃に設定される。
被処理物100太陽電池モジュールの場合、加熱室13内における加熱時間は、例えば、加熱温度に応じて10~180分の範囲で適宜設定される。
【0050】
加熱室13内にて被処理物100を熱処理する際には、予熱領域13Aおよび第一加熱領域13Bにて、第二不活性ガス供給手段50から供給された熱処理用の不活性ガスを加熱室13内のノズル25から被処理物100に向けて噴射する。
被処理物100に含まれる樹脂が熱分解して発生した熱分解ガスを含む排気ガスは、加熱室13から排気され、排気ガス排出手段60のアフターバーナー61によって燃焼処理された後、外部に排気される。
【0051】
加熱室13と冷却室14との境界付近においては、冷却用の不活性ガスによって加熱処理物102が徐冷される。その後、冷却水供給手段70から冷却水が供給される冷却室14内において、加熱処理物102に含まれる回収対象物の酸化ダメージが十分に抑えられる温度、例えば、100℃以下まで加熱処理物102が冷却される。
【0052】
搬出口側シール室15内においては、加熱処理物102がシールカーテン26を押し上げつつ搬送される。必要に応じて、第三開度調整板27によって搬出口側シール室15の出口の開度を調整する。
無端ベルト32によってトンネル炉10内を搬送された加熱処理物102がトンネル炉10の搬出口16aから搬出される。
【0053】
トンネル炉10から搬出される加熱処理物102は、被処理物100が繊維強化樹脂の場合、樹脂残渣が付着した強化繊維であり、被処理物100が太陽電池モジュールの場合、樹脂残渣が付着したセル、ガラス基板等である。
必要に応じて、加熱処理物を酸化性雰囲気下でさらに加熱して樹脂残渣を低減してもよい。加熱処理物を酸化性雰囲気下で加熱するときの雰囲気温度は、例えば、300~500℃に設定される。加熱時間は、例えば、加熱温度に応じて10~180分の範囲で適宜設定される。
【0054】
<作用機序>
以上説明した熱処理装置1にあっては、被処理物100を搬送しながら熱処理して加熱処理物102を得るトンネル炉10を備えているため、連続して被処理物100を熱処理して加熱処理物102を得ることができる。その結果、バッチ処理と比べて、時間あたりの処理量を多くすることができる。
また、被処理物100を加熱する加熱室13よりも上流の搬入口側シール室12内には、被処理物100の搬送方向を横断し、かつ無端ベルト32に接する長さで垂れ下がったシールカーテン22が吊り下げられている。そのため、搬入口側シール室12内に侵入した外気および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬入口側シール室12内を通過しにくい。また、加熱室13よりも下流の搬出口側シール室15内にも、加熱処理物102の搬送方向を横断し、かつ無端ベルト32に接する長さで垂れ下がったシールカーテン26が吊り下げられている。そのため、搬出口側シール室15内に侵入した外気および加熱室13や冷却室14からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬出口側シール室15内を通過しにくい。
また、搬入口側シール室12内のシールカーテン22は、可とう性を有する。そのため、図4に示すように、搬入口側シール室12を被処理物100が通過する際には、シールカーテン22は、たわんだ状態で押し上げられる。このとき、シールカーテン22が、被処理物100に押しつけられ、図5および図6に示すように、被処理物100の厚さや上面形状に追随して被処理物100の表面に密に接するため、シールカーテン22と被処理物100の上面との隙間が最小限に抑えられる。よって、搬入口側シール室12内に侵入した外気および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬入口側シール室12を被処理物100が通過する際にも、搬入口側シール室12内を通過しにくい。また、搬出口側シール室15内のシールカーテン26も、可とう性を有する。そのため、シールカーテン22と同じ理由によって、シールカーテン26と加熱処理物102との隙間が最小に抑えられる。よって、搬出口側シール室15内に侵入した外気および加熱室13や冷却室14からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬出口側シール室15を加熱処理物102が通過する際にも、搬出口側シール室15内を通過しにくい。
このように、熱処理装置1にあっては、加熱室13への外気の侵入が抑えられる。そのため、加熱室13内の酸素濃度が上昇しにくく、加熱室13内の非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気を維持しつつ、非酸化性雰囲気下で連続して被処理物100を熱処理して加熱処理物102を得ることができる。その結果、加熱処理物102に含まれる回収対象物の酸化ダメージが抑えられ、爆鳴気の形成が抑えられる。また、トンネル炉10内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことが抑えられる。
【0055】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、搬入口側シール室12内には、被処理物100の搬送方向に間隔をあけて複数段のシールカーテン22が吊り下げられているため、搬入口側シール室12内に侵入した外気および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬入口側シール室12内をさらに通過しにくい。また、搬出口側シール室15には、加熱処理物102の搬送方向に間隔をあけて複数段のシールカーテン26が吊り下げられているため、搬出口側シール室15内に侵入した外気および加熱室13や冷却室14からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬出口側シール室15内をさらに通過しにくい。よって、加熱室13への外気の侵入およびトンネル炉10内からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。
【0056】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、搬入口側シール室12内のシールカーテン22が、被処理物100の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体22Aからなる、すなわち、シールカーテン22が細かく分割されている。そのため、図5および図6に示すように、被処理物100の搬送方向を横断する方向の被処理物100の幅に応じて、最小限の帯体22Aのみが押し上げられる。そのため、被処理物100によって押し上げられる帯体22Aの合計の幅と被処理物100の幅との差をできるだけ小さくでき、被処理物100の搬送方向を横断する方向の被処理物100の両側に形成される、被処理物100の側面と帯体22Aとの隙間をできるだけ小さくできる。そのため、搬入口側シール室12内に侵入した外気および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬入口側シール室12内をさらに通過しにくい。また、搬出口側シール室15内のシールカーテン26も、加熱処理物102の搬送方向を横断する方向に隙間なく並べられた複数の帯体(図示略)からなる。そのため、シールカーテン22と同じ理由によって、搬出口側シール室15内に侵入した外気および加熱室13や冷却室14からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬出口側シール室15内をさらに通過しにくい。よって、加熱室13への外気の侵入およびトンネル炉10内からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。
【0057】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、搬入口側シール室12内および搬出口側シール室15内にシール用の不活性ガスを供給する第一不活性ガス供給手段40をさらに備えるため、搬入口側シール室12内および搬出口側シール室15内がガスシールされる。そのため、搬入口側シール室12内および搬出口側シール室15に侵入した外気および加熱室13からの不活性ガスや熱分解ガスは、搬入口側シール室12および搬出口側シール室15内をさらに通過しにくい。よって、加熱室13への外気の侵入およびトンネル炉10内からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。また、第一不活性ガス供給手段40が不活性ガス加熱装置46を備えるため、不活性ガスを加熱でき、加熱された不活性ガスの体積膨張によって、不活性ガスの使用量を削減できる。
【0058】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、搬入口側シール室12のシールカーテン22よりも上流の位置に、搬入口側シール室12の入口の開度を調整する第二開度調整板23が設けられている。そのため、被処理物100の高さに合わせて、搬入口側シール室12の入口の開度を最小限に調整でき、搬入口側シール室12内に外気が侵入しにくく、搬入口側シール室12から不活性ガスや熱分解ガスが漏れ出しにくい。また、搬出口側シール室15のシールカーテン26よりも下流の位置に、搬出口側シール室15の出口の開度を調整する第三開度調整板27が設けられている。そのため、加熱処理物102の高さに合わせて、搬出口側シール室15の出口の開度を最小限に調整でき、搬出口側シール室15内に外気が侵入しにくく、搬出口側シール室15から不活性ガスや熱分解ガスが漏れ出しにくい。よって、加熱室13への外気の侵入およびトンネル炉10内からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。
【0059】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、搬入口側シール室12よりも上流の位置に第一排気口11bが設けられている。そのため、トンネル炉10の搬入口11aから流れ込む外気を、搬入口側シール室12からの不活性ガスや熱分解ガスとともに排気でき、搬入口側シール室12内に外気が侵入しにくい。また、搬入口11aには、トンネル炉10の通路の開度を調整する第一開度調整板20が設けられている。そのため、トンネル炉10の搬入口11aから流れ込む外気の量を調整でき、トンネル炉10内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑えることができる。また、搬出口側シール室15よりも下流の位置に第二排気口16bが設けられている。そのため、トンネル炉10の搬出口16aから流れ込む外気を、搬出口側シール室15からの不活性ガスや熱分解ガスとともに排気でき、搬出口側シール室15内に外気が侵入しにくい。また、搬出口16aには、トンネル炉10の通路の開度を調整する第四開度調整板29が設けられている。そのため、トンネル炉10の搬出口16aから流れ込む外気の量を調整でき、トンネル炉10内の不活性ガスや熱分解ガスが外に漏れ出すことを抑えることができる。よって、加熱室13への外気の侵入およびトンネル炉10内からの不活性ガスや熱分解ガスの漏れ出しが十分に抑えられる。
【0060】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、第一排気口11bに開度調整手段21が設けられ、第二排気口16bに開度調整手段28が設けられているため、第一排気口11bや第二排気口16bからの外気の侵入を抑えることができる。よって、加熱室13への外気の侵入が十分に抑えられる。
【0061】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、加熱室13と搬出口側シール室15との間に、加熱処理物102を冷却する冷却室14をさらに有するため、加熱処理物102が高温状態でトンネル炉10の外に搬出されることがない。そのため、加熱処理物102が高温状態で外気に触れることがなく、加熱処理物102に含まれる回収対象物の酸化ダメージがさらに抑えられる。
【0062】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、加熱室13と冷却室14との境界付近に不活性ガスを供給する第一不活性ガス供給手段40をさらに備えるため、加熱処理物102を冷却することができ、加熱処理物102に含まれる回収対象物の酸化ダメージがさらに抑えられる。また、加熱処理物102が、不活性ガスによって軽く冷却された後、冷却室14で冷却されるため、段階的に冷却されることになり、冷却室14にて急冷されることがない。そのため、回収対象物がガラス基板の場合は、ガラス基板の割れを抑えることができる。
【0063】
また、以上説明した熱処理装置1にあっては、加熱室13に熱処理用の不活性ガスを供給する第二不活性ガス供給手段50をさらに備え、加熱室13内には、被処理物100に向けて不活性ガスを噴射するノズル25が設けられている。そのため、熱処理用の不活性ガスによって被処理物100に含まれる樹脂の熱分解が促進される。
【0064】
また、以上説明した加熱処理物102の製造方法にあっては、熱処理装置1を用いているため、上述した熱処理装置1と同じ作用機序を発揮できる。
【0065】
なお、本発明の熱処理装置は、被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理して加熱処理物を得るトンネル炉を備えた熱処理装置であり、被処理物を加熱する加熱部よりも上流のトンネル炉内に、被処理物の搬送方向を横断し、かつ無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、加熱部よりも下流のトンネル炉内に、加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられているものであればよく、図示例の熱処理装置1に限定されるものではない。
【0066】
また、本発明の加熱処理物の製造方法は、被処理物を加熱する加熱部を有するトンネル炉内で被処理物を無端ベルトで搬送しながら非酸化性雰囲気または制御された酸素含有雰囲気で熱処理して加熱処理物を得る方法であり、加熱部よりも上流のトンネル炉内に、被処理物の搬送方向を横断し、かつ無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、加熱部よりも下流のトンネル炉内に、加熱処理物の搬送方向を横断し、かつ無端ベルトに接する、可とう性のシールカーテンが吊り下げられ、被処理物および加熱処理物が、トンネル炉内においてシールカーテンを押し上げつつ搬送される方法であればよく、図示例の熱処理装置1を用いた方法に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の熱処理装置および加熱処理物の製造方法は、使用済の繊維強化樹脂の製品、製造工程から発生する繊維強化樹脂の中間製品の切れ端等から強化繊維を回収する装置および方法、使用済の太陽電池モジュールからセルやガラス基板を回収する装置および方法等として有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 熱処理装置、10 トンネル炉、11 搬入口側排気室、11a 搬入口、11b 第一排気口、12 搬入口側シール室、12a 不活性ガス導入口、13 加熱室、13a 第三排気口、13A 予熱領域、13B 第一加熱領域、13C 第二加熱領域、14 冷却室、14a 不活性ガス導入口、15 搬出口側シール室、15a 不活性ガス導入口、16 搬出口側排気室、16a 搬出口、16b 第二排気口、20 第一開度調整板、21 開度調整手段、22 シールカーテン、22A 帯体、23 第二開度調整板、24 電気ヒーター、25 ノズル、26 シールカーテン、27 第三開度調整板、28 開度調整手段、29 第四開度調整板、30 搬送手段、32 無端ベルト、34 ロール、36 ロール、37 ロール、38 ロール、40 第一不活性ガス供給手段、42 不活性ガス供給源、44 不活性ガス供給配管、46 不活性ガス加熱装置、50 第二不活性ガス供給手段、52 不活性ガス供給源、54 不活性ガス供給配管、60 排気ガス排出手段、61 アフターバーナー、62 第一排気配管、63 第二排気配管、64 第三排気配管、65 排気ファン、70 冷却水供給手段、71 冷却水タンク、72 第一冷却水配管、73 第二冷却水配管、74 送液ポンプ、75 熱交換器、100 被処理物、102 加熱処理物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6