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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】増設ユニット及び硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/40 20190101AFI20231214BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20231214BHJP
   G07D 11/34 20190101ALI20231214BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D11/10
G07D11/34
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019237618
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105895
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黍原 文雄
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-224738(JP,A)
【文献】特開平06-004767(JP,A)
【文献】実開平07-041673(JP,U)
【文献】特開2018-147520(JP,A)
【文献】実開昭57-073756(JP,U)
【文献】実開平03-100978(JP,U)
【文献】実開昭55-159465(JP,U)
【文献】特開2006-106871(JP,A)
【文献】特開2009-151405(JP,A)
【文献】特開2015-118672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
G07G 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨入出金機に併設されると共に、前記硬貨入出金機に硬貨を補充する増設ユニットであって、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記出口は、前記硬貨入出金機が入金対象の硬貨を受け入れる入金部につながる増設ユニット。
【請求項2】
前記硬貨入出金機と前記増設ユニットとは第1方向に並んで設置され、
前記収納部は、硬貨が収納される複数の容器を有し、
複数の前記容器は、前記第1方向とは異なる方向に並設されている請求項1に記載の増設ユニット。
【請求項3】
複数の前記容器は、前記増設ユニットの奥行き方向に並設されている請求項に記載の増設ユニット。
【請求項4】
複数の前記容器は、上下方向に並設されている請求項又はに記載の増設ユニット。
【請求項5】
前記収納部は、前記硬貨入出金機の出金対象の金種と同数の容器を有している請求項のいずれか1項に記載の増設ユニット。
【請求項6】
複数の前記容器はそれぞれ、硬貨を受け入れる投入口を有し、
前記収納部は、前記複数の容器のうち、隣り合う第1の容器及び第2の容器について設けられた開閉部を有し、
前記開閉部は、前記第1の容器の第1投入口を開けかつ、前記第2の容器の第2投入口を閉じる第1状態と、前記第1投入口を閉じかつ、前記第2投入口を開ける第2状態と、に切り替わる請求項又はに記載の増設ユニット。
【請求項7】
前記開閉部は、前記第1の容器と前記第2の容器との間において枢支された、揺動する蓋であり、
前記蓋は、前記第1状態では前記第2投入口を閉じると共に、硬貨を前記第1投入口へ案内するように傾斜し、
前記蓋は、前記第2状態では前記第1投入口を閉じると共に、硬貨を前記第2投入口へ案内するように、逆方向に傾斜する請求項に記載の増設ユニット。
【請求項8】
硬貨入出金機に併設されると共に、前記硬貨入出金機に硬貨を補充する増設ユニットであって、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機につながる入口であって、前記硬貨入出金機からの硬貨が入る入口を有し、
前記搬送部は、前記硬貨入出金機の精査処理時に、前記入口を通じて入った硬貨を前記出口へ搬送する増設ユニット。
【請求項9】
前記増設ユニットに対し、第2の増設ユニットが併設可能であり、
前記第2の増設ユニットにつながる第2の入口であって、前記第2の増設ユニットからの硬貨が入る第2の入口を有し、
前記搬送部は、前記第2の入口を通じて入った硬貨を、前記出口へ搬送する請求項1~のいずれか1項に記載の増設ユニット。
【請求項10】
前記増設ユニットと前記第2の増設ユニットとは同じ構成であり、
前記増設ユニットと前記第2の増設ユニットとを併設した場合、前記増設ユニットの前記第2の入口と前記第2の増設ユニットの出口とがつながる請求項に記載の増設ユニット。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の増設ユニット(第1の増設ユニット)に併設される増設ユニットであって、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記第1の増設ユニットにつながる出口であって、前記第1の増設ユニットへ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え
前記出口は、前記第1の増設ユニットの出口と同じ位置に位置している増設ユニット。
【請求項12】
硬貨の入金処理及び硬貨の出金処理を行う硬貨入出金機と、
前記硬貨入出金機に併設される増設ユニットと、を備え、
前記硬貨入出金機は、
入金対象の硬貨を受け入れる入金部と、
前記入金部が繰り出した硬貨を収納する収納部と、
前記収納部が繰り出した、出金対象の硬貨を出す出金部と、を備え、
前記増設ユニットは、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す第2収納部と、
前記硬貨入出金機の入金部につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記第2収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納する硬貨処理装置。
【請求項13】
前記増設ユニットは、所定のスケジュールに従って、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る請求項12に記載の硬貨処理装置。
【請求項14】
硬貨の入金処理及び硬貨の出金処理を行う硬貨入出金機と、
前記硬貨入出金機に併設される増設ユニットと、を備え、
前記硬貨入出金機は、
入金対象の硬貨を受け入れる入金部と、
前記入金部が繰り出した硬貨を収納する収納部と、
前記収納部が繰り出した、出金対象の硬貨を出す出金部と、を備え、
前記増設ユニットは、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納し、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納する前に識別する識別部を備え、
前記増設ユニットは、前記硬貨入出金機につながる入口であって、前記硬貨入出金機からの硬貨が入る入口を有し、
前記硬貨入出金機は、精査処理時に、前記収納部から繰り出された硬貨を、前記入口を通じて前記増設ユニットへ送り、
前記増設ユニットの前記搬送部は、前記入口を通じて入った硬貨を前記出口へ搬送する硬貨処理装置。
【請求項15】
前記増設ユニットに併設される第2の増設ユニットをさらに備え、
前記増設ユニットは、前記第2の増設ユニットにつながる第2の入口であって、前記第2の増設ユニットからの硬貨が入る第2の入口を有し、
前記増設ユニットの前記搬送部は、前記第2の入口を通じて入った硬貨を、前記出口へ搬送する請求項1214のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、増設ユニット及び硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、店舗のバックオフィスに設置される貨幣処理装置が記載されている。貨幣処理装置は、店舗の売上金を入金すると共に、釣銭準備金を出金する。貨幣処理装置は、紙幣の処理を行う紙幣処理機と硬貨の処理を行う硬貨処理機とを備えている。硬貨処理機は、入金対象の硬貨が投入される入金部、硬貨を識別する識別部、識別した硬貨を収納する収納部、収納部から繰り出された出金対象の硬貨を出す出金部、及び、硬貨を搬送する搬送部を少なくとも有している。
【0003】
貨幣処理装置には、釣銭準備金として出金する硬貨を、多く収納しなければならない。特許文献1の貨幣処理装置は、追加の紙幣処理機及び追加の硬貨処理機を備えている。追加の紙幣処理機は、前記紙幣処理機と同じ構成である。追加の硬貨処理機は、前記硬貨処理機と同じ構成である。この貨幣処理装置は、二台の硬貨処理機を備えているため、硬貨の容量が二倍になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許2010-224738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貨幣処理装置は、硬貨用の入金部、識別部、収納部、出金部、及び、搬送部を、それぞれ二つ備えている。貨幣処理装置の硬貨の容量を大きくするだけであれば、入金部、識別部、及び、出金部が重複することは無駄である。
【0006】
また、追加の硬貨処理機を省略し、貨幣処理装置の硬貨の容量を大きくすることも考えられる。しかしながら、大容量の貨幣処理装置は大型化する。小規模の店舗に、大型の貨幣処理装置は設置できない。大型の貨幣処理装置は、汎用性が低い。
【0007】
ここに開示する技術は、硬貨入出金機の硬貨の容量を効果的に増やす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示する技術は、硬貨入出金機に併設されると共に、前記硬貨入出金機に硬貨を補充する増設ユニットに係り、
この増設ユニットは、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備えている。
【0009】
増設ユニットは、硬貨入出金機に硬貨を補充できる。硬貨入出金機に増設ユニットを併設すると、硬貨の容量は、硬貨入出金機の容量と、増設ユニットの容量とを足し合わせた容量になる。増設ユニットは、硬貨入出金機の硬貨の容量を効果的に増やすことができる。
【0010】
増設ユニットは、硬貨を識別する識別部を備えていない。増設ユニットは、構成が簡易である。硬貨入出金機に増設ユニットを併設しても、要素は無駄に増えない。
【0011】
増設ユニットを併設できるため、硬貨入出金機の硬貨の容量は小さくできる。容量の小さい硬貨入出金機の設置スペースは小さい。硬貨入出金機は、様々な場所に設置できる。硬貨入出金機は、汎用性が高い。
【0012】
前記出口は、前記硬貨入出金機が入金対象の硬貨を受け入れる入金部につながる。
【0013】
前記硬貨入出金機と前記増設ユニットとは第1方向に並んで設置され、
前記収納部は、硬貨が収納される複数の容器を有し、
複数の前記容器は、前記第1方向とは異なる方向に並設されている、としてもよい。
【0014】
複数の前記容器は、前記増設ユニットの奥行き方向に並設されている、としてもよい。
【0015】
複数の前記容器は、上下方向に並設されている、としてもよい。
【0016】
前記収納部は、前記硬貨入出金機の出金対象の金種と同数の容器を有している、としてもよい。
【0017】
複数の前記容器はそれぞれ、硬貨を受け入れる投入口を有し、
前記収納部は、前記複数の容器のうち、隣り合う第1の容器及び第2の容器について設けられた開閉部を有し、
前記開閉部は、前記第1の容器の第1投入口を開けかつ、前記第2の容器の第2投入口を閉じる第1状態と、前記第1投入口を閉じかつ、前記第2投入口を開ける第2状態と、に切り替わる、としてもよい。
【0018】
前記開閉部は、前記第1の容器と前記第2の容器との間において枢支された、揺動する蓋であり、
前記蓋は、前記第1状態では前記第2投入口を閉じると共に、硬貨を前記第1投入口へ案内するように傾斜し、
前記蓋は、前記第2状態では前記第1投入口を閉じると共に、硬貨を前記第2投入口へ案内するように、逆方向に傾斜する、としてもよい。
【0019】
ここに開示する増設ユニットは、硬貨入出金機に併設されると共に、前記硬貨入出金機に硬貨を補充する増設ユニットであって、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機につながる入口であって、前記硬貨入出金機からの硬貨が入る入口を有し、
前記搬送部は、前記硬貨入出金機の精査処理時に、前記入口を通じて入った硬貨を前記出口へ搬送する。
【0020】
前記増設ユニットに対し、第2の増設ユニットが併設可能であり、
前記第2の増設ユニットにつながる第2の入口であって、前記第2の増設ユニットからの硬貨が入る第2の入口を有し、
前記搬送部は、前記第2の入口を通じて入った硬貨を、前記出口へ搬送する、としてもよい。
【0021】
前記増設ユニットと前記第2の増設ユニットとは同じ構成であり、
前記増設ユニットと前記第2の増設ユニットとを併設した場合、前記増設ユニットの前記第2の入口と前記第2の増設ユニットの出口とがつながる、としてもよい。
【0022】
ここに開示する増設ユニットはまた、前記の増設ユニット(第1の増設ユニット)に併設される増設ユニットに係り、この増設ユニットは、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す収納部と、
前記第1の増設ユニットにつながる出口であって、前記第1の増設ユニットへ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え
前記出口は、前記第1の増設ユニットの出口と同じ位置に位置している。
【0023】
ここに開示する硬貨処理装置は、
硬貨の入金処理及び硬貨の出金処理を行う硬貨入出金機と、
前記硬貨入出金機に併設される増設ユニットと、を備え、
前記硬貨入出金機は、
入金対象の硬貨を受け入れる入金部と、
前記入金部が繰り出した硬貨を収納する収納部と、
前記収納部が繰り出した、出金対象の硬貨を出す出金部と、を備え、
前記増設ユニットは、
硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す第2収納部と、
前記硬貨入出金機の入金部につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記第2収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納する。
【0024】
前記増設ユニットは、所定のスケジュールに従って、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る、としてもよい。
【0025】
ここに開示する硬貨処理装置は、
硬貨の入金処理及び硬貨の出金処理を行う硬貨入出金機と、
前記硬貨入出金機に併設される増設ユニットと、を備え、
前記硬貨入出金機は、
入金対象の硬貨を受け入れる入金部と、
前記入金部が繰り出した硬貨を収納する収納部と、
前記収納部が繰り出した、出金対象の硬貨を出す出金部と、を備え、
前記増設ユニットは、
前記硬貨入出金機につながる出口であって、前記硬貨入出金機へ硬貨を送る出口と、
前記収納部から繰り出された硬貨を、前記出口へ搬送する搬送部と、を備え、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納し、
前記硬貨入出金機は、前記出口を通じて前記増設ユニットから入った硬貨を、前記収納部に収納する前に識別する識別部を備え、
前記増設ユニットは、前記硬貨入出金機につながる入口であって、前記硬貨入出金機からの硬貨が入る入口を有し、
前記硬貨入出金機は、精査処理時に、前記収納部から繰り出された硬貨を、前記入口を通じて前記増設ユニットへ送り、
前記増設ユニットの前記搬送部は、前記入口を通じて入った硬貨を前記出口へ搬送する。
【0026】
前記硬貨処理装置は、
前記増設ユニットに併設される第2の増設ユニットをさらに備え、
前記増設ユニットは、前記第2の増設ユニットにつながる第2の入口であって、前記第2の増設ユニットからの硬貨が入る第2の入口を有し、
前記増設ユニットの前記搬送部は、前記第2の入口を通じて入った硬貨を、前記出口へ搬送する、としてもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、前記増設ユニット及び硬貨処理装置は、硬貨入出金機の硬貨の容量を効果的に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、硬貨処理装置を含む第1の現金処理装置の外観を例示する斜視図である。
図2図2は、第1の現金処理装置の構成を例示するブロック図である。
図3図3は、硬貨処理装置及び増設ユニットの構成を例示する図である。
図4図4は、増設ユニットの構成を例示する図である。
図5図5は、開閉部の構成を例示する斜視図である。
図6図6は、増設ユニットの第2構成例を示す図である。
図7図7は、増設ユニットの第3構成例を示す図である。
図8図8は、増設ユニットの第3構成例を示す図である。
図9図9は、増設ユニットの第3構成例において、容器に硬貨を装填する状態を示す図である。
図10図10は、増設ユニットの容器が着脱可能な構成例を示す図である。
図11図11は、第2の増設ユニットを併設した硬貨処理装置の構成例を示す図である。
図12図12は、拡張ユニットの構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、増設ユニット及び硬貨処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する増設ユニット及び硬貨処理装置は例示である。
【0030】
図1は、第1の現金処理装置1の外観を例示している。第1の現金処理装置1は、現金管理システムにおいて用いられる。現金管理システムは、店舗において、店員が顧客から受け取った現金、及び、店員が顧客へ支払う現金を管理するシステムである。現金管理システムは、バックオフィスに設置される第1の現金処理装置1と、図示は省略するが、店舗に設置されてPOS(Point of Sales)と接続される第2の現金処理装置と、を備えている。第2の現金処理装置は、顧客が支払った代金を入金する。第2の現金処理装置は、顧客へ支払う釣銭を出金する。
【0031】
第1の現金処理装置1は、第2の現金処理装置へ装填するための釣銭準備金を出金する。第1の現金処理装置1は、第2の現金処理装置から回収した売上金を入金する。第1の現金処理装置1は、図1及び図2に示すように、紙幣入出金機2と、硬貨入出金機3と、ターミナル4と、印刷部5と、を備えている。印刷部5は、例えば熱転写プリンタ、又は、インクジェットプリンタとしてもよい。
【0032】
紙幣入出金機2は、紙幣の入金処理及び紙幣の出金処理を行う。紙幣入出金機2は、入金部21、出金部22、識別部23、収納部24、搬送部25、及び、制御部26を有している。
【0033】
入金部21は、紙幣を受け入れる。出金部22は、紙幣を払い出す。識別部23は、紙幣の識別を行う。収納部24は、紙幣を収納する。収納部24はまた、収納している紙幣を繰り出す。搬送部25は、入金部21、出金部22、識別部23、及び、収納部24の間において、紙幣を搬送する。制御部26は、入金部21、出金部22、識別部23、収納部24、及び、搬送部25を制御する。
【0034】
ターミナル4は、第1の現金処理装置1の全体の制御を行う。ターミナル4は、表示部41、操作部42、及び、制御部43を有している。表示部41は、操作者に対して様々な情報を表示する。表示部41は、例えばフラットパネルディスプレイによって構成してもよい。操作部42は、操作者の操作を受け付ける。ターミナル4は、タッチパネルを有してもよい。タッチパネルは、表示部41と操作部42とを一体化している。制御部43は、ターミナル4の制御の他に、紙幣入出金機2、硬貨入出金機3、印刷部5、及び、後述する増設ユニット6へ制御信号を出力する。また、紙幣入出金機2、硬貨入出金機3、印刷部5、及び、増設ユニット6からの信号を受ける。
【0035】
硬貨入出金機3は、バラ硬貨の入金処理、及び、バラ硬貨の出金処理を行う。硬貨入出金機3は、図2に示すように、入金部31、出金部32、識別部33、収納部34、搬送部35、及び制御部36を有している。図3は、硬貨入出金機3の構成を例示している。搬送部35は、図3では詳細に図示していないが、入金部31、出金部32、及び、収納部34の間で、硬貨を搬送する。
【0036】
入金部31は、硬貨入出金機3の上部の前部に設けられている。入金部31は、入金口311を有している。入金口311は、硬貨入出金機3の筐体の上面に開口している。入金口311には、開閉するシャッター312が取り付けられている。シャッター312は、通常は、入金口311を閉じる。シャッター312は、例えば入金処理時に、入金口311を開ける。操作者は、入金処理時に、入金対象の硬貨を、入金口311を通じて入金部31へ投入する。入金部31はまた、硬貨カセット322が取り付け可能である。硬貨カセット322は、第2の現金処理装置から回収した硬貨又は第2の現金処理装置に補充する硬貨を収容する。硬貨カセット322が入金部31に取り付けられると、硬貨カセット322から入金部31へ硬貨が投入される。
【0037】
入金部31は、複数枚の硬貨を保持する。入金部31は、図示は省略するが、繰出部を有している。繰出部は、保持している硬貨を一枚ずつ繰り出す。搬送部35は、硬貨を識別部33へ搬送する。
【0038】
識別部33は、硬貨の識別を行う。識別部33は、少なくとも、硬貨の金種を識別する。識別部33は、硬貨の真偽、正損等を識別してもよい。
【0039】
収納部34は、硬貨の搬送経路において、識別部33の下流に配設されている。収納部34は、識別部33が識別を行った硬貨を収納する。収納部34は、複数の収納領域341に分かれている。複数の収納領域341は、例えば金種毎に硬貨を収納する。例えば入金処理時に入金部31に投入された硬貨は、収納部34に収納される。
【0040】
収納部34は、収納領域341毎に繰出機構342を有している。繰出機構342は、例えば出金処理時に、収納領域341に収納されている硬貨を繰り出す。収納部34は、金種毎に、硬貨を繰り出すことができる。
【0041】
出金部32は、収納部34の下側に配設されている。出金部32には、ドロア321が、着脱可能に取り付けられる。ドロア321は、例えば店舗に設置されたPOS(Point Of Sales)レジスタに取り付けられるドロアであってもよい。ドロア321は、金種毎に、硬貨を収納できる。収納部34が金種毎に繰り出した硬貨は、釣銭準備金として金種毎にドロア321に投入される。例えば出金処理時に、操作者は、硬貨が投入されたドロア321を出金部32から取り外す。
【0042】
出金部32にはまた、硬貨カセット322も取り付け可能である。硬貨カセット322は、出金部32から取り外し可能である。搬送部35は、収納部34が繰り出した硬貨を、ドロア321又は硬貨カセット322へ選択的に搬送する。
【0043】
(増設ユニットの構成)
第1の現金処理装置1は、増設ユニット6を併設できる。増設ユニットは、硬貨入出金機3へ硬貨を補充する。増設ユニット6は、図1に例示するように、硬貨入出金機3に並んで設置される。硬貨入出金機3と増設ユニット6とは、硬貨を処理する硬貨処理装置10を構成する。
【0044】
増設ユニット6は、図2に示すように、収納部61、搬送部62、及び、制御部63を有している。図3及び図4に示すように、収納部61、搬送部62、及び、制御部63は、筐体64の中に収容されている。尚、図3及び図4においては、制御部63の図示を省略している。
【0045】
収納部61は、複数の容器611を有している。各容器611は、硬貨を収納する。図4の構成例において、収納部61は、第1、第2、第3、及び、第4の四つの容器611を有している。四つの容器611は、硬貨を、例えば金種毎に収納する。
【0046】
四つの容器611は、増設ユニット6の奥行き方向に並んでいる。奥行き方向は、硬貨入出金機3と増設ユニット6の並ぶ方向に対し直交する方向である。このような容器611の並設構成によって、増設ユニット6は、幅方向に大きくならない。増設ユニット6は、図1に例示するように、その幅が奥行き長さより短い装置である。硬貨入出金機3に増設ユニット6を並設させても、硬貨処理装置10は幅方向に大きくなりにくい。容器611の並設構成は、硬貨処理装置10の設置スペースの節約に有利である。
【0047】
尚、以下の説明においては、増設ユニット6の奥行き方向の手前、換言すると、後述するように収納部61が筐体64から引き出される側を前とし、増設ユニット6の奥行き方向の奥を後とする。増設ユニット6の前は、図4の紙面左であり、増設ユニット6の後は、図4の紙面右である。
【0048】
各容器611は、その上端が上向きに開口している。この開口部は、硬貨を受け入れる投入口612である。四つの容器611は並んでいるため、四つの投入口612も、奥行き方向に並んでいる。後述するように、操作者は、容器611に硬貨を装填する場合、容器611を筐体64の外へ引き出すと共に、投入口612を通じて、容器611に直接、硬貨を投入する。
【0049】
収納部61は、開閉部613を有している。開閉部613は、隣り合う二つの容器611につき、一つ設けられている。開閉部613は、容器611の上部に設けられている。開閉部613は、図4及び図5に示すように、枢軸614と、枢軸に固定された蓋615とを有している。蓋615は、板状であり、その下端が枢軸614に固定されている。枢軸614は、隣り合う二つの容器611(つまり、第1の容器611及び第2の容器611)の間に配設されている。蓋615は、図4及び図5に矢印で示すように、枢軸614を中心に揺動する。開閉部613は、実線で示すように、第1の容器611の投入口612を開けかつ、第2の容器611の投入口612を閉じる第1状態と、一点鎖線で示すように、第1の容器611の投入口612を閉じかつ、第2の容器611の投入口612を開ける第2状態と、に切り替わる。
【0050】
より詳細に、蓋615は、第1状態では、第2の容器611の投入口612を塞ぐように斜めに配置される。容器611の上端において硬貨を受け入れる口が、拡大する。また、斜めに傾いた蓋615は、投入された硬貨を第1の容器611の投入口612に向かって案内する。
【0051】
蓋615は、第2状態では、第1の容器611の投入口612を塞ぐように、第1状態の場合とは逆向きの斜めに配置される。容器611の上端において硬貨を受け入れる口が、拡大する。また、斜めに傾いた蓋615は、投入された硬貨を第2の容器611の投入口612に向かって案内する。
【0052】
前述したように、複数の容器611は、例えば金種毎に硬貨を収納する。操作者が容器611に硬貨を投入する際に、投入対象の容器611の隣の容器611の投入口612は、開閉部613によって閉じているため、硬貨の誤投入が抑制される。また、開閉部613は、容器611の口を拡大すると共に、投入口612へ硬貨を案内するため、操作者は、容器611へ硬貨をスムースに投入できる。開閉部613は、容器611に対する硬貨の装填操作の操作性を高める。
【0053】
各容器611の底部には、投出口616が設けられている。図3及び図4の構成例において、投出口616は、容器611の底部の側部において、水平方向に開口している。四つの容器611の投出口616は、奥行き方向に並んでいる。各容器611の底部にはまた、繰出部617が設けられている。繰出部617は、二つのローラの間に巻きかけられたベルトによって構成されている。ローラの回転に伴いベルトが走行すると、硬貨がベルトによって搬送される。ベルトによって搬送された硬貨は、投出口616を通って容器611の外へ投出される。制御部63が繰出部617の駆動時間を調整することにより、硬貨の投出量が調整される。なお、硬貨投出量の調整は、制御部63が投出口616を通過した硬貨の枚数または重量の調整によって行ってもよい。
【0054】
搬送部62は、筐体64内の底部に配設された水平搬送部621と、前部に配設された垂直搬送部622とを有している。図示は省略するが、水平搬送部621の駆動源と、垂直搬送部622の駆動源とは異なる。ただし、クラッチ等を介して、水平搬送部621と垂直搬送部622とを同一駆動としてもよい。また、水平搬送部621と垂直搬送部622とを一体的に設けてもよく、その場合、駆動源は一つにできる。
【0055】
水平搬送部621は、筐体64内の底部において奥行き方向に伸びている。水平搬送部621は、容器611の投出口616の側方であって、投出口616の下方に配設されている。各容器611の投出口616を通じて、容器611の外へ投出された硬貨は、水平搬送部621の上に載る。水平搬送部621は、二つのローラと、ローラ間に巻きかけられたベルトと、によって構成されている。ローラの回転に伴いベルトが走行すると、ベルトの上に載った硬貨が搬送される。水平搬送部621は、硬貨を、出口641に向けて搬送する。
【0056】
垂直搬送部622は、筐体64内の前部において上下方向に伸びている。より詳細に、垂直搬送部622は、水平搬送部621の前端につながる水平部と、上下方向に伸びる垂直部と、水平部と垂直部とをつなぐ傾斜部と、を有している。垂直搬送部622は、複数のローラと、ローラ間に巻きかけられたベルトと、によって構成されている。図示は省略するが、ベルトには、硬貨に係合する係合部が、間隔を空けて、複数、取り付けられている。硬貨は、係合部と係合することにより、垂直搬送部622に沿って搬送される。水平搬送部621は、垂直搬送部622の水平部へ硬貨を受け渡す。垂直搬送部622は、硬貨を、水平部から、傾斜部及び垂直部を経て、筐体64内の上部へ搬送する。
【0057】
筐体64の上部における前部には、出口641が設けられている。出口641は、増設ユニット6の側面において水平方向に開口している。出口641には、図3に示すように、シューター642が取り付けられている。シューター642は、垂直搬送部622によって筐体64内の上部へ搬送された硬貨を、出口641を通じて筐体64の外へ案内する。
【0058】
増設ユニット6の出口641は、硬貨入出金機3の入口37につながる。入口37は硬貨入出金機3の側面において水平方向に開口している。入口37には、入金部31につながるシューター371が取り付けられている。増設ユニット6の出口641から送り出された硬貨は、入口37を通って入金部31に入る。入口37は、入金部31へ硬貨を投入できる、もう一つの口である。入口37を使えば、入金口311のシャッター312を開けなくても入金部31へ硬貨を投入できる。
【0059】
収納部61及び搬送部62は、図4に二点鎖線で示すように、筐体64から前方へ引き出すことが可能である。収納部61及び搬送部62を筐体64から引き出すと、容器611の投入口612が露出する。後述するように操作者は、容器611へ硬貨を装填する場合に、収納部61及び搬送部62を筐体64から引き出す。なお、システムレイアウトによっては、収納部61及び搬送部62を引き出さず、上カバーを開けて硬貨を装填するようにしてもよい。
【0060】
次に、増設ユニット6を用いた、硬貨入出金機3への硬貨の補充について説明をする。先ず、増設ユニット6への硬貨の装填は、操作者が手動で行う。操作者は、例えば、現金輸送会社(cash-in-transit:CIT)の担当者である。増設ユニット6への硬貨の装填処理時に、操作者は、増設ユニット6の収納部61及び搬送部62を、手で前方に引き出す(図4の二点鎖線参照)。その後、操作者は、硬貨を投入する容器611に直接、硬貨を投入する。具体的に操作者は、開閉部613を手で動かすことにより、補充対象の容器611の投入口612を開けかつ、隣の容器611の投入口612を閉じる。これにより、隣の容器611に硬貨が誤って投入されることが抑制される。操作者は、上向きに開口している投入口612に、硬貨を投入する。開閉部613が、投入口612を拡大していると共に、開閉部613が硬貨を案内するため、操作者は、硬貨を容器611へ投入しやすい。増設ユニット6は、前述したように小型であるため、各容器611の投入口612は小さい。開閉部613は、硬貨の装填処理時に、操作者の操作性を高める。
【0061】
容器611への硬貨の投入が完了すれば、操作者は、引き出していた収納部61及び搬送部62を、筐体64内へ押し込む。増設ユニット6への硬貨の装填処理が完了する。ここで、増設ユニット6は、硬貨の識別及び計数を行う識別部を備えていない。増設ユニット6は、容器611内へ装填された硬貨の金種及び枚数を確認することができない。装填された硬貨に関する情報は、別途、CITから店舗へ提供される。店舗の担当者は、装填した硬貨に関する情報を、第1の現金処理装置1に手入力してもよい。また、CITの担当者が、第1の現金処理装置1に情報を手入力してもよい。
【0062】
硬貨入出金機3は、収納部34に収納している硬貨の収納量、つまり、硬貨の在高を管理している。ターミナル4は、硬貨入出金機3から在高の情報を受ける。ターミナル4は、在高が、予め設定したニアエンプティを下回った場合、増設ユニット6へ制御信号を出力する。制御信号は、補充対象の硬貨の金種及び補充量に関する情報を含む。補充量は、収納領域341の容量に応じて予め設定されている。
【0063】
制御信号を受けた増設ユニット6は、硬貨の補充処理を実行する。具体的に、増設ユニット6の制御部63は、指定金種の硬貨を収納している容器611の繰出部617を駆動させる。制御部63はまた、指定された補充量に対応する時間だけ、繰出部617を駆動させる。指定された補充量に対応する、又は、ほぼ対応する量の硬貨が、容器611から繰り出される。なお、増設ユニット6から硬貨の補充処理が実行される場合、シャッター312はロックされ、入金口311から外部の硬貨が混入することが防止される。
【0064】
容器611から繰り出された硬貨は、水平搬送部621の上に載る。増設ユニット6の搬送部62は、水平搬送部621及び垂直搬送部622を駆動する。水平搬送部621は、硬貨を筐体64内の前部へ搬送する。垂直搬送部622は、硬貨を筐体64内の上部へ搬送する。硬貨は、出口641を通って硬貨入出金機3の入金部31へ入る(図3及び図4の矢印参照)。
【0065】
硬貨入出金機3の入金部31は、増設ユニット6から投入された硬貨を、一枚ずつ繰り出す。識別部33は、硬貨を識別する。搬送部35は、識別後の硬貨を収納部34へ搬送し、収納部34は、硬貨を金種に対応する収納領域341に収納する。こうして、増設ユニット6を用いた、硬貨入出金機3の硬貨の補充が完了する。
【0066】
このように、硬貨入出金機3に増設ユニット6を併設すると、硬貨の容量は、硬貨入出金機3の容量と、増設ユニット6の容量とを足し合わせた容量になる。増設ユニット6は、硬貨入出金機3の硬貨の容量を効果的に増やすことができる。
【0067】
増設ユニット6は、入金部、識別部、及び、出金部を備えない。硬貨入出金機3に増設ユニット6を併設しても、入金部、識別部、及び、出金部が重複せず、硬貨処理装置10の要素は無駄に増えない。
【0068】
増設ユニット6は、硬貨入出金機3の入金部31に硬貨を投入する。入金部31は、硬貨を一枚ずつ繰り出すことができる。識別部33は、収納部34に収納する前に、硬貨の識別ができる。入金部31に硬貨を投入する構成によって、硬貨入出金機3の補充処理が、適切に行われる。
【0069】
増設ユニット6を併設できるため、硬貨入出金機3の硬貨の容量は小さくできる。硬貨入出金機3の設置スペースは小さい。硬貨入出金機3は、例えば小規模の店舗にも設置できる。増設ユニット6を併設すれば、硬貨入出金機3は、大規模の店舗にも設置できる。硬貨入出金機3は、汎用性が高い。
【0070】
ターミナル4の制御部43は、前述したように、硬貨入出金機3の在高に基づいて、増設ユニット6に補充処理を実行させる以外にも、予め定めたスケジュールに従って、増設ユニット6に補充処理を実行させてもよい。具体的に制御部43は、所定の時刻(例えば11時、14時、17時及び20時等)に、増設ユニット6に補充処理を実行させてもよい。また、制御部43は、所定時間おき(例えば2時間おき、又は、4時間おき)に、増設ユニット6に補充処理を実行させてもよい。一日の営業時間において繁忙時刻が予め予想できる店舗においては、多くの釣銭準備金が必要となる時刻は予想できる。また、釣銭準備金が定期的に出金される店舗においては、硬貨入出金機3の在高は、時間の経過に伴い一定割合で減る。予め定めたスケジュールに従って硬貨入出金機3に硬貨を補充すれば、硬貨入出金機3が出金できる硬貨が不足する事態を、未然に防ぐことができる。
【0071】
また、操作者は、ターミナル4の操作部42を操作することにより、増設ユニット6に補充処理を実行させてもよい。操作者は、任意のタイミングで、硬貨入出金機3に硬貨を補充できる。
【0072】
硬貨入出金機3への硬貨の補充量は、操作者が指定してもよい。操作者は、ターミナル4の操作部42を操作することによって、補充量を指定してもよい。操作者は、例えば金種毎に、補充量を指定してもよい。
【0073】
増設ユニット6が硬貨の補充処理を行っている最中に、ターミナル4の表示部41は、補充処理の進捗を表示してもよい。表示部41は、補充処理に要する時間、例えば処理完了までの残り時間を表示してもよい。
【0074】
増設ユニット6が硬貨の補充処理を行っている最中に、操作者が補充処理の中止又は中断操作を行うことを可能にしてもよい。また、増設ユニット6は、補充中に入金、出金、回収等を実行したい場合、補充処理を中止又は中断する場合がある。前述した操作者による中止又は中断操作を行った場合、増設ユニット6内の硬貨が足りなくなった場合、増設ユニット6又は硬貨入出金機3において硬貨の詰まりが発生した場合、その他の故障が発生した場合、及び、停電した場合等が、中止又は中断の具体例として挙げられる。ターミナル4の制御部43は、補充処理を中止又は中断した場合に、印刷部5に、処理の中止又は中断に関する情報を印字させてもよい。担当者は、補充処理が中止又は中断になった理由を知ることができ、適切な対応をとることができる。
【0075】
(増設ユニットを利用した硬貨入出金機の精査処理)
硬貨入出金機3は、装置の内部で硬貨を循環させる構成を有していないため、単独では精査処理を行うことができない。増設ユニット6は、搬送部62を有している。増設ユニット6を用いると、硬貨入出金機3の精査処理を実行できる。具体的に、硬貨入出金機3は、図3に示すように、その筐体の下部の側部に出口38を有している。出口38は、増設ユニット6へ硬貨を送るための口である。硬貨入出金機3はまた、精査用搬送部39を有している。精査用搬送部39は、収納部34から繰り出された硬貨を、出口38へ搬送する、硬貨入出金機3は、収納部34から繰り出された硬貨を、出口38を通じて増設ユニット6へ送ることができる。
【0076】
増設ユニット6は、図3及び図4に示すように、入口643を有している。入口643は、筐体64の下部の側部において、水平方向に開口している。入口643は、筐体64の後部に設けられている。入口643は、硬貨入出金機3の出口38につながる。硬貨入出金機3から送られた硬貨は、入口643を通って増設ユニット6の筐体64内へ入る。入口643を通じて筐体64内へ入った硬貨は、水平搬送部621の上に載る。硬貨は、水平搬送部621及び垂直搬送部622によって、出口641まで搬送される。硬貨は、出口641から、硬貨入出金機3の入金部31へ入る。増設ユニット6は、硬貨入出金機3の収納部34から繰り出された硬貨を、硬貨処理装置10の外へ出すことなく、硬貨入出金機3の入金部31へ搬送できる。
【0077】
硬貨入出金機3の入金部31は、前述した補充処理時と同様に、硬貨を一枚ずつ繰り出し、識別部33は硬貨を識別し、収納部34は、硬貨を収納する。収納部34は、硬貨を繰り出した収納領域341と同じ収納領域341に、硬貨を再収納する。こうして、増設ユニット6を用いた、硬貨入出金機3の精査処理が実現する。
【0078】
増設ユニット6を用いると、操作者が居ない状況においても、硬貨入出金機3の精査処理が可能である。硬貨入出金機3は、例えば予め定められたスケジュールに従って、精査処理を自動的に実行してもよい。精査処理の実行には、長時間を要し、精査処理の実行中、硬貨入出金機3は、入金処理及び出金処理を実行できない。硬貨入出金機3が、例えば店舗の営業時間外に、精査処理を無人で行うと、店舗の業務が効率的になる。
【0079】
(増設ユニットの第2構成例)
増設ユニットの収納部における容器の数は、適宜の数にすればよい。図6は、増設ユニット7の第2構成例を示している。図6の構成例において、収納部71は、八つの容器711を有している。八つの容器711は、増設ユニット7の奥行き方向に並んでいる。収納部71は、隣り合う二つの容器711につき、一つの開閉部713を有している。開閉部713の構成は、前述した開閉部613と実質的に同じである。
【0080】
尚、符号712は、容器711の投入口、符号716は、容器711の投出口、符号717は、容器711の繰出部である。また、符号74は、筐体、符号741は、補充処理及び精査処理時に、硬貨入出金機3へ硬貨を送る出口、符号743は、精査処理時に、硬貨入出金機3から硬貨が投入される入口である。
【0081】
増設ユニットの収納部は、硬貨入出金機3の出金対象の硬貨の金種と同数の容器を有していてもよい。こうすることで、硬貨入出金機3が取り扱う金種の全てについて、増設ユニットは、硬貨を補充できる。収納部は、硬貨入出金機3の出金対象の硬貨の金種よりも少ない数の容器を有していてもよい。例えば増設ユニットは、硬貨入出金機3において出金量が多い、特定の金種の硬貨のみを収納していてもよい。
【0082】
尚、図6に例示する増設ユニット7は、搬送部72が、水平搬送部と、垂直搬送部とに分かれてない。つまり、搬送部72は、水平搬送部と、垂直搬送部とに亘って連続する一つのベルトを有している。この構成の搬送部72は、駆動源を一つにできる。
【0083】
(増設ユニットの第3構成例)
図7図8及び図9は、増設ユニットの第3構成例を示している。増設ユニット8の容器811は、増設ユニット8の奥行き方向及び上下方向に並設されている。より詳細に、収納部81は、八つの容器811を有している。四つの容器811は、筐体84の下部において、奥行き方向に並んでいる。残りの四つの容器811は、筐体84の上部において、奥行き方向に並んでいる。
【0084】
各容器811の上端には、投入口812が開口し、底部の側部には、投出口816が開口している。各容器811の底部にはまた、繰出部817が設けられている。各容器811の投出口816から繰り出された硬貨は、図7及び図8に太い矢印で示すように、搬送部82の上に載る。
【0085】
増設ユニット8は、図9の上図に示すように、下側の容器811のみを筐体84から引き出すことと、図9の下図に示すように上側及び下側の容器811を筐体84から引き出すこととを切り替えられる。下側に並設されている容器811に硬貨を装填する場合、操作者は、下側の容器811のみを筐体84から引き出せばよい。図9の上図に矢印で示すように、操作者は、下側の容器811に硬貨を投入できる。上側に並設されている容器に硬貨を装填する場合、操作者は、上側及び下側の容器811を筐体84から引き出せばよい。図9の下図に矢印で示すように、操作者は、上側の容器811に硬貨を投入できる。操作者は、全ての容器811に、硬貨を装填できる。尚、図示は省略するが、増設ユニット8を、上側の容器811のみを筐体84から引き出すことも可能に構成してもよい。
【0086】
第3構成例の増設ユニット8は、小型のままで、収納可能な金種の数を増やすことができる。
【0087】
尚、符号841は、補充処理及び精査処理時に、硬貨入出金機3へ硬貨を送る出口、符号842は、出口841に取り付けられたシューター、符号843は、精査処理時に、硬貨入出金機3から硬貨が投入される入口である。
【0088】
(増設ユニットの第4構成例)
増設ユニット8の容器811は、図10に例示するように、増設ユニット8に対して着脱可能に構成してもよい。操作者は、増設ユニット8から取り外した容器811に硬貨を投入したり、増設ユニット8から取り外した容器811から硬貨を取り出したりできる。また、増設ユニット8の収納部81に硬貨を装填する際に、操作者は、増設ユニット8から容器811を取り外し、硬貨を収納している別の容器811を増設ユニット8へ取り付けることができる。つまり、操作者は、容器811の交換によって、増設ユニット8に対する硬貨の装填が可能である。容器811を着脱可能にすれば、増設ユニット8に対する硬貨の装填処理が容易になる。着脱可能な容器811に投入する硬貨を別装置で識別及び計数して収納することにより、より厳正化を図ることができる。
【0089】
尚、図10の構成例は、増設ユニット8が八つの容器811を有している。着脱可能な容器の数は、適宜の数にすることができる。また、増設ユニットは、一部の容器を着脱可能にし、残りの容器を着脱不可にしてもよい。
【0090】
(増設ユニットの第5構成例)
図示は省略するが、増設ユニットは、一つの容器のみを有していてもよい。操作者は、一つの容器に、一金種の硬貨を装填してもよい。また、操作者は、一つの容器に、複数金種の硬貨を混合して装填してもよい。この場合、増設ユニットは、複数金種の硬貨を硬貨入出金機3へ送る。硬貨入出金機3は、硬貨の識別を行うと共に、硬貨を、金種毎に収納部に収納する。
【0091】
(第2の増設ユニットを併設した構成例)
硬貨入出金機3は、一つの増設ユニットを増設するだけでなく、複数の増設ユニットを増設可能である。図11は、硬貨入出金機3に、第1の増設ユニット6と、第2の増設ユニット60とを併設した硬貨処理装置10を例示している。第2の増設ユニット60は、図11に例示するように、第1の増設ユニット6に並んで設置される。硬貨処理装置10は、硬貨入出金機3、第1の増設ユニット6、及び、第2の増設ユニット60が、この順番に並んで構成される。
【0092】
第1の増設ユニット6は、図3及び図4に示す増設ユニット6と、実質的に同じ構成である。第2の増設ユニット60は、第1の増設ユニット6と、実質的に同じ構成を有している。第2の増設ユニット60は、収納部61、搬送部62、及び、制御部を有している。収納部61、搬送部62、及び、制御部は、筐体64の中に収容されている。
【0093】
第2の増設ユニット60は、出口641及びシューター642を有している。出口641は、第1の増設ユニット6の第2の入口644につながる。第2の入口644は、第1の増設ユニット6の筐体64の上部の、出口641とは逆の側面に、水平方向に開口している。第2の増設ユニット60の搬送部62は、収納部61が繰り出した硬貨を、出口641に向かって搬送する。硬貨は、第2の増設ユニット60の出口641、及び、第1の増設ユニット6の第2の入口644を通じて、第1の増設ユニット6の筐体64内に入る。硬貨は、第1の増設ユニット6の搬送部62の上に載る。ここで、第1の増設ユニット6は、案内部67を有してもよい。案内部67は、第2の入口644を通じて入った硬貨を、水平搬送部621へ案内する。図11の構成例において、案内部67は、第1の増設ユニット6内の下部において、水平搬送部621に向かって傾斜するように配置されている。
【0094】
第2の増設ユニット60が、硬貨入出金機3に硬貨を補充する場合、先ず第2の増設ユニット60の収納部61が、補充対象の硬貨を繰り出し、第2の増設ユニット60の搬送部62が、繰り出された硬貨を、出口641まで搬送する。硬貨は、前述したように、第2の増設ユニット60の出口641及び第1の増設ユニット6の第2の入口644を通って、第1の増設ユニット6に入る。
【0095】
第1の増設ユニット6に入った硬貨は、第1の増設ユニット6の搬送部62の上に載る。搬送部62は、硬貨を、第1の増設ユニット6の出口641まで搬送する。硬貨は、第1の増設ユニット6の出口641及び硬貨入出金機3の入口37を通って、入金部31に入る。その後、硬貨入出金機3は、硬貨を、金種に対応する収納領域341に収納する。第2の増設ユニット60及び第1の増設ユニット6を用いた、硬貨入出金機3の硬貨の補充が完了する。
【0096】
尚、図示は省略するが、硬貨入出金機3に増設可能な増設ユニットの数は、3以上であってもよい。複数の増設ユニットが増設可能であるため、硬貨処理装置10は、硬貨の容量を柔軟に設定できる。また、第2の増設ユニットの出口641から直接、第1の増設ユニット6の出口641に到る搬送路を設けてもよい。
【0097】
(拡張ユニットの構成)
増設ユニットは、硬貨を収納する収納部を有しており、硬貨入出金機3の収納部34を増設する機能を有している。また、増設ユニットは、前述したように、硬貨入出金機3の精査処理を可能にする機能も有している。
【0098】
図12に示すユニットは、硬貨を収納する収納部を有していない。当該ユニットは、硬貨を搬送する搬送部92を有している。このユニットは、硬貨入出金機3の精査処理を可能にする機能を有する拡張ユニット9である。
【0099】
拡張ユニット9は、出口941と入口943を有している。入口943は、増設ユニット6の入口643と同じであり、筐体94の下部における後部に設けられている。入口943は、図示は省略するが、硬貨入出金機3の出口38につながる。硬貨入出金機3の収納部34から繰り出された硬貨は、精査用搬送部39によって出口38に搬送され、入口943を通って拡張ユニット9の中に入る。硬貨は、搬送部92の上に載る。
【0100】
出口941は、増設ユニット6の出口641と同じであり、筐体94の上部における前部に設けられている。出口941は、図示は省略するが、硬貨入出金機3の入口37につながる。拡張ユニット9の搬送部92が搬送した硬貨は、拡張ユニット9の出口941及び硬貨入出金機3の入口37を通って、入金部31に入る。拡張ユニット9は、硬貨処理装置10の外へ硬貨を出金しない、精査処理を実現する。
【0101】
(他の構成例)
硬貨入出金機3と増設ユニットとの並びは、図例とは逆でもよい。
【0102】
増設ユニットは、入金部31へ硬貨を送らずに、硬貨入出金機3における別の箇所へ硬貨を送ってもよい。増設ユニットは、例えば、硬貨入出金機3における入金部31と識別部33との間の搬送経路に、硬貨を送ってもよい。
【0103】
また、増設ユニットは、収納部に収納している硬貨の真偽及び金種を保証できるのであれば、硬貨入出金機3における収納部34へ、硬貨を直接入れるよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 第1の現金処理装置
3 硬貨入出金機
31 入金部
32 出金部
33 識別部
34 収納部
6 増設ユニット
60 第2の増設ユニット
61 収納部
611 容器
612 投入口
613 開閉部
615 蓋
62 搬送部
641 出口
643 入口
644 第2の入口
7 増設ユニット
71 収納部
711 容器
713 開閉部
72 搬送部
741 出口
743 入口
8 増設ユニット
811 容器
812 投入口
82 搬送部
841 出口
843 入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12