(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ケラチン基質細菌叢を改変するための化学または有機化合物でのコールド大気圧プラズマ処置
(51)【国際特許分類】
A61K 35/74 20150101AFI20231214BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231214BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20231214BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20231214BHJP
A61K 35/742 20150101ALI20231214BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20231214BHJP
A61K 36/06 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K35/74 A
A61K9/08
A61P17/00 101
A61K35/744
A61K35/745
A61K35/742
A61K35/747
A61K36/06 Z
(21)【出願番号】P 2019556307
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(86)【国際出願番号】 IB2018000588
(87)【国際公開番号】W WO2018207020
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-02
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】バルバラット, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ, マテュー
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-505553(JP,A)
【文献】特表2011-529484(JP,A)
【文献】特表2016-523859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0014248(US,A1)
【文献】特表2016-525520(JP,A)
【文献】特表2014-506923(JP,A)
【文献】特表2013-512946(JP,A)
【文献】特表2004-510740(JP,A)
【文献】MA, Chen et al.,食品科学,2016年,Vol. 37, No. 9,p. 269-273
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
A61B 18/00-18/28
A61L 2/00- 2/28
H05H 1/00- 1/54
A61N 1/00- 1/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚細菌叢調節デバイスであって、
コールドプラズマアセンブリ、及び細菌叢播種アセンブリを備え、
前記コールドプラズマアセンブリは、部分電離ガス混合物を含むコールドプラズマ刺激を発生させ、かつ前記コールドプラズマ刺激で生体表面を暴露するように構成され、前記生体表面は、その上に天然に存在する微生物を有し、前記コールドプラズマ刺激は、前記生体表面上の天然に存在する微生物を排除するように生成され、
前記細菌叢播種アセンブリは、少なくとも1つの取り外し可能なカートリッジを含み、
前記取り外し可能なカートリッジは、1つ以上のリザーバを含み、
前記リザーバは、1つ以上の標的細菌叢種を含み、
前記1つ以上のリザーバの各リザーバは、温度制御可能であり、
前記細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の標的細菌叢種を前記生体表面に送達するように構成されている、皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項2】
前記コールドプラズマアセンブリが、帯電粒子、非帯電粒子、電子、イオン、及び分子のうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項3】
前記コールドプラズマアセンブリが、アルゴン、ヘリオックス、ヘリウム、窒素、及び酸素のうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項4】
前記コールドプラズマアセンブリが、大気圧プラズマジェット、誘電体バリア放電プラズマアクチュエータ、滑走アークデバイス、圧電直接放電プラズマデバイス、プラズマアクチュエータ、プラズマニードル、及びプラズマペンシルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項5】
前記コールドプラズマアセンブリが、前記生体表面での皮膚細菌叢の活性を調節する特徴を有するコールドプラズマ刺激を、前記活性を調節するのに十分な持続時間にわたって発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項6】
前記コールドプラズマアセンブリが、照射時に60℃未満であるコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項7】
前記コールドプラズマアセンブリが、照射時に40℃未満であるコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項8】
前記コールドプラズマアセンブリが、0.1%未満の電離プラズマを有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項9】
前記細菌叢播種アセンブリが、前記生体表面に対する前記コールドプラズマ刺激暴露が完了したという1つ以上の入力に応じて、前記1つ以上の標的細菌叢種を前記生体表面に送達するように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項10】
前記細菌叢播種アセンブリ
が、皮膚グラム陽性細菌;以下の属の酵母:Saccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Pichia、Candida、Aspergillus、及びPenicillium;ならびに以下の属の細菌:Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus、及びLactobacillus、ならびにそれらの混合物;以下の属種:Saccharomyces cereviseae、lipolitica Yarrowia、Kluyveromyces lactis、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Candida、Pichia、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium brief、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium pseudocatenulatum、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus casei亜種、Casei、Lactobacillus casei Shirota、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus delbruckii亜種、Lactis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus sake、Lactococcus lactis、Streptococcus thermophiles、Staphylococccus carnosus、及びStaphylococcus xylosus、ならびにそれらの混合物;Neisseriaceae科の細菌;ならびに温泉水で増殖した細菌のうちの1つ以上を送達するように構成されている、請求項1に記載の皮膚細菌叢調節デバイス。
【請求項11】
皮膚細菌叢調節デバイスの作動方法であって、
前記皮膚細菌叢調節デバイスは、コールドプラズマアセンブリと細菌叢播種アセンブリを備え、
前記細菌叢播種アセンブリは、少なくとも1つの取り外し可能なカートリッジを含み、
前記取り外し可能なカートリッジは、1つ以上のリザーバを含み、
前記リザーバは、1つ以上の標的細菌叢種を含み、
前記1つ以上のリザーバの各リザーバは、温度制御可能であり、
前記作動方法は、コールドプラズマ刺激を発生させる工程及びプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を
外部環境に放出する工程を含み、
前記コールドプラズマ刺激を発生させる工程では、前記コールドプラズマアセンブリが、部分電離ガス混合物を含むコールドプラズマ刺激を発生させ、
前記プレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を
外部環境に放出する工程では、前記細菌叢播種アセンブリが、
前記コールドプラズマ刺激を発生する工程の後、前記プレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を、外部環境に放出する工程を含む、方法。
【請求項12】
システムであって、
コールド大気圧プラズマ(CAP)照射デバイス及びアプリケーターを備え、
前記CAP照射デバイスは、CAP処置を使用者の外側身体部分に施すように構成され、
前記使用者の外側身体部分は、その上に天然に存在する微生物を有し、
前記CAP照射デバイスは、細菌叢播種アセンブリを備え、
前記細菌叢播種アセンブリは、少なくとも1つの取り外し可能なカートリッジを含み、
前記取り外し可能なカートリッジは、1つ以上のリザーバを含み、
前記リザーバは、1つ以上の標的細菌叢種を含み、
前記1つ以上のリザーバの各リザーバは、温度制御可能であり、
前記細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の標的細菌叢種を前記使用者の外側身体部分に送達するように構成され、
前記アプリケーターは、前記CAP処置後にプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を前記使用者の前記身体部分に照射するように構成された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年5月8日出願の米国仮出願第62/502,950号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
コールド大気圧プラズマ(CAP)技術(別名、非熱または非平衡プラズマ)は、その抗菌効果のために使用され得る。この技術は、医学的用途(異なる種類の皮膚疾患の治療等)における有用性が見出されており、様々な寄生虫及び体外から侵入する生物の不活性化に有効であると見なされている。
【0003】
微生物に対するCAPの一般的な能力は、制御された実験室条件下で確立されている。CAPが、多くの異なる団体によって、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、胞子、生物膜形成細菌、ウイルス、及び真菌に対して非常に有効であることが示されている[Plasma medicine:an introductory review,M G Kong,New Journal of Physics11(2009)115012(35pp)を参照のこと]。
【発明の概要】
【0004】
本出願人は、化学または有機化合物が皮膚またはケラチン基質の微生物環境に有益に作用することができると認識した。例えば、プレバイオティクス及びプロバイオティクスは、皮膚細菌叢に選択的に作用することができる。それらは、有害な生物を抑制すると同時に、有益な細菌を保存及び/または増殖することができる。
【0005】
一態様では、本開示は、とりわけ、ケラチン基質細菌叢(例えば、皮膚細菌叢)の改変に良い影響を与え、アトピー、乾癬、座瘡、体臭、脂性肌、酒さ、乾燥肌、汚染、及びふけ等の皮膚障害と闘うための、コールド大気圧プラズマ処置及び化学または有機化合物(プレ/プロまたはポストバイオティクス等)処置の両方に関連する技術及び方法論を対象とする。
【0006】
一態様では、本開示は、とりわけ、ケラチン基質細菌叢(例えば、皮膚、頭皮、または毛髪)を改変し、アトピー、乾癬、座瘡、体臭、脂性肌、酒さ、乾燥肌、汚染、及びふけ等の皮膚障害と戦う助けとなるための、コールド大気圧プラズマ処置及び化学または有機化合物処置(例えば、プレ/プロ/ポストバイオティクス)の両方に関連する方法及びシステムを対象とする。
【0007】
1つの可能な処置関連は、局所化学または有機化合物処置(例えば、プレ/プロまたはポストバイオティクス)を施す前に前処置として最初にケラチン基質領域をコールド大気圧プラズマで処置することである。
【0008】
その逆である、コールド大気圧プラズマ処置が局所的な化学または有機化合物による処置(例えば、プレ/プロまたはポストバイオティクス)後に後処置として施され得ることも想定される。前処置として使用されるコールド大気圧プラズマ(CAP)が、全体的な細菌濃度及び/またはバランスを低下させ、それと同時に、化学物質及び/または有機化合物を含むプレ/プロまたはポストバイオティクスでの前処置が、皮膚上に天然に存在する選択された微生物(内在性細菌)の増殖を助ける。CAP処置後に、各OTU(操作的分類単位、平均細菌種)の増殖速度に応じて、我々は、細菌像が提示後数時間にわたって進化することを容易に理解することができる。プレ/プロ/ポストバイオティクスの添加により、全体的な細菌の分布に異なる影響が及ぼされる。例えば、グラム陰性細菌は、グラム陽性細菌よりも脆弱であり、エネルギーを供給するCAPは、グラム陽性/グラム陰性バランスに影響を及ぼす。
【0009】
コールド大気圧プラズマ及び化学または有機化合物の同時処置も想定され得る。
【0010】
一実施形態では、部分電離ガス混合物を含むコールドプラズマ刺激を発生させ、かつコールドプラズマ刺激で生体表面を暴露するように構成されたコールドプラズマアセンブリと、1つ以上の標的細菌叢種を含む細菌叢播種アセンブリであって、1つ以上の標的細菌叢種を生体表面に送達するように構成されている、細菌叢播種アセンブリと、を備える皮膚細菌叢調節デバイスが提供される。
【0011】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、帯電粒子、非帯電粒子、電子、イオン、分子、及び同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。
【0012】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、紫外線(UV)照射、可視光(VIS)照射、赤外線(IR)照射、及び同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。
【0013】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、アルゴン、ヘリオックス、ヘリウム、窒素、酸素、及び同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。
【0014】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、紫外線(UV)照射、可視光(VIS)照射、赤外線(IR)照射、フリーラジカル、帯電粒子、非帯電粒子、電子、イオン、分子、ガス流、及び同様のもののうちの1つ以上を生体表面に送達するように構成されている。
【0015】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、大気圧プラズマジェット、誘電体バリア放電プラズマアクチュエータ、滑走アークデバイス、圧電直接放電プラズマデバイス、プラズマアクチュエータ、プラズマニードル、プラズマペンシル、及び同様のもののうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、生体表面での皮膚細菌叢の活性を調節する特徴を有するコールドプラズマ刺激を、その活性を調節するのに十分な持続時間にわたって発生させるように構成されている。
【0017】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、組織を損傷することなく生体表面での皮膚細菌叢の活性を調節するのに十分な持続時間にわたってコールドプラズマ刺激を送達するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、照射時に40℃未満であるコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、照射時に約26℃~約60℃の範囲の温度を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、照射時に約30℃~約50℃の範囲の温度を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。一実施形態では、照射時のコールドプラズマ刺激の温度は、コールドプラズマ刺激に関連する持続時間、強度、周波数、熱伝達係数、及び同様のものによって部分的に決定される。
【0019】
一実施形態では、プラズマの電離度(α)は、中性粒子及びイオンを含む全粒子数に対する荷電粒子の割合を構成する。一実施形態では、プラズマの電離度(α)は、α=n+/(n + n+)を構成し、式中、nが中性粒子の数であり、n+が荷電粒子の数である。一実施形態では、コールドプラズマアセンブリは、0.1%未満の電離プラズマを有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。
【0020】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、コールドプラズマ刺激送達事象を示す1つ以上の入力に応じて、1つ以上の標的細菌叢種を生体表面に送達するように構成されている。
【0021】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、細菌叢播種アセンブリは、VfのLPS;乳酸菌(CNCM I-1225 gold CNCM 1-2116);皮膚グラム陽性細菌;以下の属の酵母:Saccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Pichia、Candida、Aspergillus、及びPenicillium;ならびに以下の属の細菌:Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus、及びLactobacillus、ならびにそれらの混合物;以下の属種:Saccharomyces cereviseae、lipolitica Yarrowia、Kluyveromyces lactis、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Candida、Pichia、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium brief、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium pseudocatenulatum、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus casei亜種、Casei、Lactobacillus casei Shirota、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus delbruckii亜種、Lactis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus sake、Lactococcus lactis、Streptococcus thermophiles、Staphylococccus carnosus、及びStaphylococcus xylosus、ならびにそれらの混合物;Neisseriaceae科の細菌;ならびに温泉水で増殖した細菌のうちの1つ以上を送達するように構成されている。
【0022】
一実施形態では、コールド大気圧プラズマ(CAP)処置を使用者の外側身体部分に施すことと、CAP処置後にプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を使用者の身体部分に照射することと、を含む、方法が提供される。
【0023】
一実施形態では、コールド大気圧プラズマ(CAP)処置を使用者の外側身体部分に施すように構成されたCAP照射デバイスと、CAP処置後にプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物を使用者の身体部分に適用するように構成されたアプリケーターと、を備える、システムが提供される。
【0024】
本発明の前述の態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるときに、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態に従う、コールド大気圧プラズマ(CAP)照射デバイス及びプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物アプリケーターを含むシステムを示す。
【
図2】一実施形態に従う、例示的なCAPデバイスの詳細を示す。
【
図3】一実施形態に従う、プレ/プロまたはポストバイオティクス化合物の照射後のCAP処置のためのプロセスを示す。
【
図4A】異なる型のCAPデバイスを使用して評価した異なる菌株を示す。
【
図4B】異なる型のCAPデバイスを使用して評価した異なる菌株を示す。
【
図5A】評価に使用したkINPen MED CAPデバイスの構成を示す。
【
図5B】評価に使用したPlasmaDerm CAPデバイスの構成を示す。
【
図5C】評価に使用したPlasma One CAPデバイスの構成を示す。
【
図6A】試験した各菌株のkINPen MED結果を示す。
【
図6B】試験した各菌株のkINPen MED結果を示す。
【
図6C】試験した各菌株のkINPen MED結果を示す。
【
図7A】試験した各菌株のPlasmaDerm結果を示す。
【
図7B】試験した各菌株のPlasmaDerm結果を示す。
【
図8A】試験した各菌株のPlasma One結果を示す。
【
図8B】結果試験した各菌株のPlasma Oneを示す。
【
図8C】試験した各菌株のPlasma One結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、コールド大気圧プラズマ(CAP)照射デバイス110及びプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物アプリケーター120を含むシステム100を示す。
【0027】
図2A~2Bは、コールドプラズマアセンブリとも称されるCAPデバイス110の2つの例をより詳細に示す。プラズマは、電子、正または負に荷電したイオン粒子、中性原子、及び中性分子から成る電離ガスである。プラズマは、多くの場合、固体、液体、またはガス状態よりも活性の高い第4の物質状態に同化する。プラズマは、ガスを加熱するか、またはガスを強電磁場に供することによって作成され得、エネルギーは、原子からの電子の抽出に成功するようなものである。選択されたデバイスは、大気圧で誘電体バリア放電(DBD)技術を使用してコールドプラズマ(皮膚での使用と適合する)を発生させる。
【0028】
一実施形態では、コールド大気圧プラズマ(CAP)照射デバイス110は、作業ガス源、プラズマ発生器、及び制御装置を含む。一実施形態では、プラズマ発生器は、高電圧を作業ガス源に印加して、コールドプラズマ流を生成する。
【0029】
一実施形態では、CAP照射デバイス110は、要求される無線周波数パワーを生成し、同調共振器を駆動して高周波プラズマ放電を生成するために、スイッチング増幅器回路でパワーMOSFETを用いる高周波プラズマ発生器を含み得る。例えば、Tudoran,C.D."HIGH FREQUENCY PORTABLE PLASMA GENERATOR UNIT FOR SURFACE TREATMENT EXPERIMENTS"Rom.Journ.Phys.,Vol.56,Supplement,P.103-108,Bucharest,2011(http://www.nipne.ro/rjp/2011_56_Suppl/0103_0108.pdf)を参照されたい。一実施形態では、コールドプラズマは、固定子と回転子との間の高電圧によって発生、作業ガスを使用してノズルヘッドを通して送達される。
【0030】
コールドプラズマ技術及び方法論の非限定的な例としては、大気圧放電プラズマ、誘電体バリア放電プラズマ、マイクロ波放電プラズマ、パルス放電プラズマ、及び同様のものが挙げられる。例えば、Ruma,M.Ahasan Habib and Ranipet Hafeez Basha,A Survey of Non-thermal Plasma and their Generation Methods,International Journal of Renewable Energy and Environmental,Vol.4,No.1,2016.(http://basharesearch.com/IJREEE/5040102.pdf)を参照されたい。コールドプラズマを発生させるためのさらなる非限定的な技術及び方法論としては、大気圧プラズマジェット、誘電体バリア放電、直流(DC)グロー放電、電気的放電プラズマ、マイクロ波放電、パルスパワー放電、無線周波数(RF)放電、及び同様のものが挙げられる。
【0031】
一実施形態では、CAP照射デバイス110は、帯電粒子、非帯電粒子、電子、イオン、及び分子、ならびに同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。一実施形態では、CAP照射デバイス110は、紫外線(UV)照射、可視光(VIS)照射、赤外線(IR)照射、及び同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。一実施形態では、CAP照射デバイス110は、アルゴン、ヘリオックス、ヘリウム、窒素、及び酸素、ならびに同様のもののうちの1つ以上を有するコールドプラズマ刺激を発生させるように構成されている。
【0032】
一実施形態では、CAP照射デバイス110は、紫外線(UV)照射、可視光(VIS)照射、赤外線(IR)照射、フリーラジカル、帯電粒子、非帯電粒子、電子、イオン、分子、ガス流、及び同様のもののうちの1つ以上を生体表面に送達するように構成されている。
【0033】
図2Aは、プラズマ「ジェット」または間接プラズマ型のCAPデバイスと見なされるCAPデバイスを示す。この型のデバイスの一例は、kINPen MED(Neoplast Tool社製)である。プラズマは、ペンの2つの電極間に励起されるアルゴン供給ガスからデバイスの「ペン」で発生する。その後、励起ガスが膨張して毛細管ノズルの端部で周囲空気になり、プラズマジェットとしてそこに現れる。
図2Aに示されるこの型のデバイスは、従来、医学分野で適用されており、特に感染している治癒不良な創傷及び病原体によって誘発される皮膚疾患に有効な処置法であると見なされている。
【0034】
図2Bは、直接誘電体バリア放電(直接DBD)技術に基づくCAPデバイス110を示す。この型のデバイスの一例は、PlasmaDerm(Cinogy社製)である。これは、誘電体バリアに包囲された活性電極に電圧を印加することを基礎とする。処置されたゾーン(皮膚またはアガロースゲルプレート)は、このシステムの対極の役割を果たす。プラズマは、間に存在する空気を励起することによって誘電体バリアと処置されたゾーンとの間に発生する。
図2Bに示されるこの型のデバイスは、従来、静脈及び動脈潰瘍、褥瘡、ならびに糖尿病性足症候群等の慢性創傷治癒障害を治療するために使用されている。
【0035】
示されていないが、本実施形態でCAPデバイス110として使用され得る追加の型のCAPデバイスが存在する。例えば、CAPデバイスは、直接DBDに例えられ得る紫光線技術に基づき得る。この型のデバイスの一例は、PlasmaOne(Plasma Medical Systems社製)である。プラズマガスは、希ガスを含むガラスバルブ内で発生する。アプリケーターとして使用されるこのガラスバルブは、誘電体バリア(ここではガラス)に包囲された活性電極の役割を果たす。処置されたゾーン(皮膚またはアガロースゲルプレート)は、このシステムの対極の役割を果たす。プラズマは、間に存在する空気を励起することによってガラスバリアと処置されたゾーンとの間に発生する。
【0036】
図1に示される細菌叢播種アセンブリとも称され得るプレ/プロまたはポストバイオティクス化合物アプリケーター120は、当該技術分野で既知のあらゆる種類の局所製剤分注器であり得る。また、化合物は、手で、または適切な場合には任意の器具によって照射され得る。
【0037】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の細菌叢リザーバを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の取り外し可能な細菌叢リザーバを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、標的細菌叢種、細菌、プロバイオティクス、微生物、及び同様のもの、またはそれらの組み合わせを有する1つ以上のリザーバを含む少なくとも1つの交換可能なカートリッジを含む。
【0038】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の細菌叢リザーバと、標的組成物(例えば、標的細菌叢組成物、標的細菌組成物、標的プロバイオティクス組成物、標的微生物組成物、及び同様のもの、またはそれらの組み合わせ)をリザーバ内部から外部環境に送達するように構成された少なくとも1つのアクチュエータとを含む。例えば、一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、各々が薄いシール(例えば、薄い金属シール、アルミニウムシール、金シール、チタンシール、ポリマー薄膜シール、及び同様のもの)によってシールされた複数のリザーバを含む。一実施形態では、動作中、電流がシールを融解または穿孔し、複数のリザーバのうちの1つ以上の内部の標的細菌叢組成物の外部環境への放出を引き起こす。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、標的組成物の送達を助けるように構成された1つ以上の弁、ポート、流動チャネル、流体流動通路、及び同様のものを含む。
【0039】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、少なくとも1つの放出ポートを有する少なくとも1つのリザーバを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、放出ポートの開閉を制御して少なくとも1つのリザーバ内の標的細菌叢組成物を外部環境に放出するように構成された回路を含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、標的細菌叢組成物の送達に関連する持続時間、流動、強度、量、及び同様のもののうちの少なくとも1つを制御するように構成された回路を含む。
【0040】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、標的組成物(例えば、標的細菌叢組成物、標的細菌組成物、標的プロバイオティクス組成物、標的微生物組成物、及び同様のもの、またはそれらの組み合わせ)の、リザーバ内部からの、弁、ポート、流動チャネル、流体流動通路、及び同様のものを介した、外部環境への送達の作動に関連する少なくとも1つのパラメータを制御する(電気制御、電気機械制御、ソフトウェア実装制御、ファームウェア実装制御、または他の制御、またはそれらの組み合わせ)ように構成された回路を含む。
【0041】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の環境制御リザーバ、コンパートメント、容器、レセプタクル、カートリッジ、及び同様のものを含む。例えば、一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、1つ以上の温度制御細菌叢リザーバを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、抵抗加熱を使用してリザーバの温度を制御するように動作可能な少なくとも導電性トレースを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、ガス組成(例えば、1つ以上の構成成分のガスレベル、窒素レベル、酸素レベル、及び同様のもの)を変化させることによってリザーバの大気を制御するための少なくともガス流動システムを含む。
【0042】
一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、細菌叢リザーバの温度を制御するように動作可能なマイクロクーラー、ペルチェマイクロクーラー、ペルチェ熱電気クーラー、薄膜平面ペルチェマイクロクーラー、Micropelt社製の熱発生器のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、細菌叢リザーバの温度を制御するように動作可能な少なくとも1つの微小電気機械システム(MEMS)微小毛細管ポンプ式ループ冷却デバイスを含む。例えば、米国特許第6,976,527号を参照されたい。一実施形態では、細菌叢播種アセンブリは、リザーバを用いて、栄養素、緩衝液組成物、溶媒、及び同様のものを細菌叢に送達する1つ以上のマイクロ流体構成要素を含む。
【0043】
図3は、一実施形態に従う、プロセス300を示す。第1のステップ310では、CAP処置は、上述のデバイス110を使用して開始される。第2のステップ320では、プレ/プロまたはポストバイオティクス化合物が適用される。
【0044】
第1のステップ310は、ある特定の微生物または細菌の排除を目的としている。例えば、Staphylococcus種またはPropionibacterium acnes、さらにはCandida種またはMalassezia種等の酵母等の様々な細菌種が、美容上の問題に関与する。
図4A及び
図4Bは、菌株ならびにそれらのそれぞれの関連障害及び培養条件の非包括的リストを提供する。
【0045】
[菌株における異なるCAPデバイスの評価]
以下は、
図4A及び
図4Bに示される異なる菌株における異なる型のCAPデバイスを使用して行った評価の記述である。
【0046】
上述の3つのプラズマデバイス、kINPen MED、PlasmaDerm、及びPlasma Oneを試験した。プラズマ処置は、多くの場合、時間依存的であると文献で説明されている。加えて、それらのプラズマデバイスパラメータの大半はフリーズされている(それらが商用デバイスであるため)。これらの理由により、可変パラメータとして時間を変化させることにした。各デバイスについて、我々は、3つの時間曝露値を決定した。
●時間1:推奨されている公称時間未満の最短時間
●時間2:デバイスの使用者ガイドに推奨されている公称時間
●時間3:デバイスの使用者ガイドに許容されている最長時間
【0047】
kINPen MEDの場合、他のデバイスとより良く比較するために第4の中間値(時間2bis:1分30秒)を追加したことに留意されたい(表1)。他のパラメータを使用者ガイドに従って設定する。
【0048】
【0049】
プラズマ発生は、標的の性質に影響されたかもしれない。kINPen MEDデバイス及びPlasmaDermデバイスを、いくつかの種類の標的(支持体)を用いて分光法及び電気測定によって特徴付けた。皮膚支持体とアガロースゲル支持体との間で極めて同様の結果が観察され、アガロースゲルがこの研究に良好な基質選択であると結論付けた。Plasma Oneは、この特徴付けには利用不可能であった。
【0050】
試験した各菌株について、適切なアガロースゲル表面を、106CFU2/mLの較正懸濁液で満たす(均一な分布を確実にするために過剰な液体で満たす)ことによって播種する。接触の5分後に、過剰な液体を排除する。固体培地におけるアンチバイオグラム技法に似たこの播種技法により、インキュベーション後に均一な細胞マットの可視化が可能になる。プラズマの抗菌効果は、インキュベーション後の増殖阻害ゾーンの出現によって明らかになる。
【0051】
106CFU2/mLでの微生物懸濁液の較正を前試験中に有効にして、均一な微生物マットを確実にしたことに留意されたい。PlasmaDermデバイスの評価のために使用したアガロースゲルプレートを大きいペトリ皿に注いで、基質をアプリケーターの寸法に適合させる。
【0052】
特定の基準をこの評価のために確立した。
●効果なし(阻害ゾーンなし)
●低い効果(いくつかの阻害ゾーン)
●平均的な効果(処置ゾーンが部分的に阻害された)
●高い効果(阻害ゾーンがアプリケーターの寸法以上であった)
【0053】
これらの基準に従って、菌株を、感受性のより高い試験菌株(ランク1)から感受性のより低い試験菌株(ランク16)まで分類することができる。
【0054】
kINPen MED:
図5Aに示されるように、ノズルとアガロースゲルプレートとの間の距離は、使用者ガイドに推奨されているように、スペーサ+1mmの距離で固定されている。処置は、技術の便宜上、静的である。使用した供給ガスは、5 l/分のガス流のアルゴンである。時間曝露当たりの2つの試験(n=2)をこのデバイスで行った。
【0055】
PlasmaDerm:
図5Bに示されるように、アプリケーターからの距離は、アプリケーターのスペーサによって決定される。アプリケーターは、皮膚への適用のために特別に設計されている。アプリケーターの(皮膚ではなく)アガロースゲルプレートでの使用に適合させるために、我々は、アプリケーターの修正を開始した。
●アガロースゲルプレートと接触しているプラズマ表面を拡大するために、スペーサコーンの大半を切断した。
●電極をプラスチック外板で補強した。
【0056】
プラズマの良好な発生を可能にするために、アガロースゲルプレートを接地導電性金属板上に置く。時間曝露当たり1つのみの試験(n=1)をこのデバイスで行った(技術的及び組織的制約)。
【0057】
Plasma One:
図5Cに示されるように、アプリケーターとアガロースゲルとの間の設定された距離は、アガロースゲルと接触することなくプラズマを発生させるための最小距離である。この距離は、デバイスの使用者ガイドに推奨されているように、約1mmである。プラズマの良好な発生を可能にするために、アガロースゲルプレートを接地導電性金属板上に置く。時間曝露当たりの2つの試験(n=2)をこのデバイスで行った。
【0058】
[評価結果]
kINPen MED
図6A~6Cは、試験した各菌株のkINPen MED結果、有効性、及びランク付けを示す(ここに示される結果は、2つの独立した実験を代表するものである)。
【0059】
全ての評価した種について、kINPen MEDデバイスは、時間曝露について少なくとも1つの阻害領域に抗菌効果を有する。さらに、阻害領域の直径が曝露時間の関数として増加することがこのデバイスで明らかに観察された。阻害領域が処置の3分後にしか出現しないMalassezia furfurを除いて、全ての菌株が15秒間の処置によって阻害される。
【0060】
PlasmaDerm:
図7A~7Bは、試験した各菌株のPlasmaDerm結果を示す。PlasmaDermは、2つの種、Propionibacterium acnes(収集株及び野生株)及びCandida albicansに高い抗菌効果を有する。他の試験した菌株について、阻害領域は、それらの菌株に従って、効果なし(Malassezia furur)から平均的な効果(1分30秒から)(Staphylococcus epidermidis収集株)までの異なる効果レベルで部分的である。かなりの変動がこれらの結果で観察される。1つの可能な根本的原因は、修正を加えたにもかかわらず、アプリケーターの問題であり得る。アプリケーターをアガロースゲルへの照射に特化させたより良好な材料設定により、より良好な結果がもたらされ得る。菌株の選択の標的となる美容上の問題の観点から、このデバイスは、抗座瘡(Propionibacterium acnes)及び腋臭(Corynebacterium xerosis及びCorynebacterium jeikeium)用途により適しているように見える。
【0061】
Plasma One:
図8A~8Cは、試験した各菌株のPlasma One結果を示す。Plasma Oneによって発生したプラズマは、試験した全ての菌株において、曝露の30秒以内にかなりの阻害領域を誘発する。抗菌効果は、16個の菌株のうち14個の菌株では高く、残り2つの菌株では平均である。Plasma Oneの広範囲の作用により、この試験管内試験の標的となる全ての美容上の問題にとってこのデバイスが興味深い道具になる。Plasma Oneを皮膚に使用している間、過度のまたは不快な加熱感覚が感じられたことは観察されなかった。
【0062】
[評価観察]
試験条件下で、試験した3つのプラズマ源は、菌株に依存する有効性レベルで抗菌特性を示した。PlasmaDermの潜在能力は、座瘡及び脱臭障害で明らかになり、kINPen MEDの潜在能力は、アトピー及び座瘡の問題で明らかになる。Plasma Oneは、その広範囲の作用により、菌株の選択の標的となる全ての美容上の問題において興味深いものに見える。観察されたkINPen MEDの抗菌活性への温度の影響は、依然として決定されていない。抗菌効果が温度ではなくプラズマに起因することを確実にするために、使用者ガイドに推奨されている動的照射でkINPen MEDを用いた試験を行うことができる。実際に、動的処置により、処置中のアガロースゲル加熱が回避される。我々のPseudomonas aeruginosa及びCandida albicansの結果は、文献(Atmospheric pressure no thermal plasmas for bacterial biofilm prevention and eradication,Svetlana A.Ermolaeva,2015)に記載されるように、コールド大気圧プラズマのこれらの細菌への有効性を裏付ける。次のプラズマ研究は、座瘡及びアトピー用途を標的とする、皮膚再建における複数菌株培養試験をテーマにする。
【0063】
したがって、上記に基づいて、ステップ310は、CAPデバイスの型及び標的となる菌株に基づいて変化し得る。
【0064】
ステップ320では、アプリケーター120は、上述の細菌叢播種アセンブリ構造であり得るが、この構造に限定されない。
【0065】
使用者の皮膚または頭皮に照射される化合物の種類は、標的処置に基づいて変化する。以下は、本発明者が考慮した化合物要素及び因子のリストである。
【0066】
温泉水
●例:Vichy、La Roche-Posay、St Gervais、及び競合企業
【0067】
炭素源
●以下の化合物の単糖または複合糖及びそれらのホモまたはヘテロポリマー:アドニトール、アミグダロシド、アラビノース、セロビオース、ズルシトール、エリトリトール、エスクリン、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グリセロール、グリコーゲン、イノシトール、イヌリン、ラクトース、マルトース、マンニトール、マンノース、メレジトース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、サリシン、ソルビトール、ソルボース、デンプン(Starch)(デンプン(starch))、スクロース(Sucrose)(スクロース(sucrose))、トレハロース、キシロース、ならびにそれらのリン酸誘導体、硫酸化誘導体、またはプロキシランとしてキシロースで置換された誘導体
●二糖、三糖、及び多糖
●グリコーゲン、グルコースポリマー、及び後者の全てのポリマー
●異糖
●及びCグリコシド
●ハチミツ、メープルシロップ、及び他の天然複合糖
●ポリヒドロキシブチラート及びその単量体
●ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ならびに乳酸及び解糖及びクレブス回路の酸を含む、ならびにC18までの全ての脂肪、飽和または不飽和酸、それらのグリセリン誘導体及び誘導セルロース
●伝統的な類型であるBifidobacterium種及びLactobacillus種、ならびにそれらの加水分解物
●天然皮膚フローラを構成する全細菌、例えば、Xanthomonadaceae科等
●炭水化物及びそれらのポリマーに富んだ植物抽出物
●粒子状大気汚染
【0068】
窒素源
●アンモニウム及び硝酸/亜硝酸の全ての誘導体
●水素化化合物、例えば、lがイオンアンモニウムNH4
+、イオン試薬NH2
-、2NHR第一級アミン及び第二級R2NH、HN3、アジ化水素酸ヒドラジンN2H4
●酸素化化合物:ニトロシルN4Oアジド、亜硝酸窒素N2O、一酸化窒素NO、N2O3、二酸化窒素NO2、その四酸化二窒素二量体N2O4、バナジウム窒素N2O5、及び三酸化窒素NO3
●窒素オキソアニオン:イオン硝酸NO3
-及び亜硝酸NO2
-
●タウリン及びそれらのペプチドポリマー(ヘテロまたはホモ)を含む全てのアミノ酸
●貧栄養または富栄養バイオトープの温泉水、鉱水、及び飲用水または海中に含まれている細菌
●酵母、ペプトン(それらの起源及び処置にかかわらず)
●藻(マクロ及びマイクロ)及び植物抽出物
●尿素、インドール及びその誘導体
【0069】
微量元素及びマクロ元素
●カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、及びマグネシウム
●全ての鉱物誘導体(塩)、ならびに有機炭素、酸素、及び窒素、例えば、CaCl2、MgSO4、NaCl、MnSO4、リン酸...+炭水化物
●微量元素:Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、As、Se、Br、Mo、Ag、to、Cd、Sn、I、Li、Cl、Hg、Pb、イットリウム、及びランタノン塩、例えば、硫酸塩、硝酸塩、及びリン酸塩、または塩化物塩
【0070】
ビタミン及び誘導体
●ビタミンK、B8、及びB12、チアミンリボフラビン、ニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキシン及び誘導体、ビオチン、葉酸、シアノコバラミン、ならびにアスコルビン酸
●カロチノイド及びそれらの誘導体、レチノール及びその誘導体、カルシトリオール、トコフェロール、トコトリエノール、フィロキノン、メナキノン(ビタミンK2)、ならびに補酵素Q8及びQ10
●カルニチン、オロチン酸、パラアミノ安息香酸及びその誘導体、ビール酸、ジメチルグリシン、ならびにレアトリル(アミグダリン)
【0071】
プロバイオティクス、それらの細菌免疫調節及び溶解物
●VfのLPS
●乳酸菌(CNCM I-1225 gold CNCM 1-2116)
●皮膚グラム陽性細菌
●以下の属の酵母:Saccharomyces、Yarrowia、Kluyveromyces、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Debaromyces、Pichia、Candida、Aspergillus、及びPenicillium;ならびに以下の属の細菌:Bifidobacterium、Bacteroides、Fusobacterium、Melissococcus、Propionibacterium、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、Peptostrepococcus、Bacillus、Pediococcus、Micrococcus、Leuconostoc、Weissella、Aerococcus、Oenococcus、及びLactobacillus、ならびにそれらの混合物
●より具体的には、以下の属種:Saccharomyces cereviseae、lipolitica Yarrowia、Kluyveromyces lactis、Solarized、Schizosaccharomyces pombe、Candida、Pichia、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium brief、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium pseudocatenulatum、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus casei亜種、Casei、Lactobacillus casei Shirota、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus delbruckii亜種、Lactis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus johnsonii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus sake、Lactococcus lactis、Streptococcus thermophiles、Staphylococccus carnosus、及びStaphylococcus xylosus、ならびにそれらの混合物
●具体的には、Lactobacillus johnsonii(CNCM I-1225)、Lactobacillus paracasei(CNCM I-2116)、Bifidobacterium adolescentis(CNCM I-2168)、Bifidobacterium longum(CNCM I-2170)、Bifidobacterium lactis(CNCM I-3446)、Bifidobacterium longum(BB536)、及びそれらの混合物
●Neisseriaceae科の細菌
●温泉水で増殖した細菌(La Roche-Posay(cf 79203)、Saint GervaisまたはVichy)
【0072】
考慮すべき物理的要因
●pH、温度、塩分、aw(塩分、糖、吸湿体、尿素、グリセロールに影響される水(自由水)の活性)、または皮膚の酸素化。我々は、awが0,83超である場合にS.aureusが増殖することができ、awが0,87超である場合にS.epidermidisが増殖することができると認識している。我々がawを0,85で制御した場合、S.aureusのみが増殖することができるが、我々がawを0,87超に上昇させた場合、S.epidermidisはS.aureusと競合する。同様に、P.acnes等の嫌気性細菌は、酸素なしのガス環境下での増殖をうまく利用する。
【0073】
上記の方法が2つの別個のデバイスを含むシステムで行われると記載されているが、各デバイス110及び120の構造的特徴を組み込む単一のデバイスが使用されてもよい。加えて、システム100の各デバイスが、外部コンピュータ、処理回路、デバイス、またはネットワークに接続されてもよい。
【0074】
一例では、通信インターフェース(I/F)が、クライアントデバイス(外部コンピュータまたはモバイルデバイス等)との通信のための回路及びハードウェアを含み得るシステム内に提供され得る。通信インターフェースは、ネットワークとインターフェースをとるためのBCM43342 Wi-Fi、周波数変調、及びBroadcom社製のBluetooth(登録商標)コンボチップ等のネットワーク制御装置を含み得る。ハードウェアは、小型化のために設計され得る。例えば、プロセッサは、当該技術分野で理解されているCPUであり得る。例えば、プロセッサは、Apple Inc.社製のAPL0778であり得るか、または当業者に認識されるであろう他の種類のプロセッサであり得る。あるいは、CPUは、FPGA、ASIC、PLDに実装され得るか、または当業者が認識するであろう別々の論理回路を使用し得る。さらに、CPUは、上述の発明プロセスの指示の実行と並行して協働する複数のプロセッサとして実装され得る。クライアントデバイスも、上述の同様の回路及びハードウェアを有し得る。
【0075】
一実施形態では、システムは、システム(または各デバイス)の筐体上の入力ボタンの形態であり得るか、または容量性もしくは抵抗性タッチスクリーンディスプレイ等のコンタクトセンシティブディスプレイの形態であり得るユーザインターフェースを含み得る。
【0076】
一実施形態では、システムは、スタイリングツールを制御するか、またはユーザデータもしくは他の情報を記憶するためのソフトウェアを格納するメモリを含み得る。
【0077】
一実施形態では、外部クライアントデバイスのオペレーティングシステムは、複数の機能を実行するように構成されたユーザインターフェースを有し得る。一態様では、クライアントデバイスは、ネットワークと通信しており、インターネット、ならびにモノのインターネット(IOT)へのユーザインターフェースアクセスを可能にし得る。理解され得るように、ネットワークは、インターネット等のパブリックネットワーク、またはLANもしくはWANネットワーク等のプライベートネットワーク、またはそれらの任意の組み合わせであり得、PSTNまたはISDNサブネットワークも含み得る。ネットワークは、イーサネット(登録商標)ネットワーク等の有線である場合もあり、またはEDGE、3G、及び4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワーク等の無線であってもよい。無線ネットワークは、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または既知の任意の他の通信無線形態である場合もある。一例では、ネットワークは、媒体をホストするサーバ、プロトコル、製品、個人アカウント、記憶された使用データ、及びシステムに関する他のデータにアクセスすることができる。
【0078】
本開示の原理、代表的な実施形態、及び実施例が、前述の説明に記載されている。しかしながら、保護されるよう意図されている本開示の態様は、開示される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載の実施形態は、制限するものではなく例証するものと見なされるべきである。本開示の趣旨から逸脱することなく、変化及び変更が他者によって加えられてもよく、等価物が用いられてもよいことが理解される。したがって、全てのかかる変化、変更、及び等価物が、特許請求される本開示の趣旨及び範囲内にあることが明確に意図されている。