(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】抗CD25抗体薬物複合体による併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20231214BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20231214BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20231214BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231214BHJP
C07D 487/04 20060101ALN20231214BHJP
C07D 239/48 20060101ALN20231214BHJP
C07H 19/19 20060101ALN20231214BHJP
A61K 31/519 20060101ALN20231214BHJP
A61K 45/06 20060101ALN20231214BHJP
A61K 31/706 20060101ALN20231214BHJP
A61K 31/7076 20060101ALN20231214BHJP
A61K 31/505 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K31/5513
A61K31/7068
A61K39/395 T
A61K39/395 L
A61P35/00
A61P35/02 ZNA
A61P43/00 121
C07D487/04 143
C07D239/48
C07H19/19
A61K31/519
A61K45/06
A61K31/706
A61K31/7076
A61K31/505
(21)【出願番号】P 2019556813
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2018060214
(87)【国際公開番号】W WO2018193104
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-19
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517182365
【氏名又は名称】アーデーセー セラピューティクス ソシエテ アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベルケル,パトリシウス ヘンドリクス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】スケルトン,リサ
(72)【発明者】
【氏名】ザンマールキ,フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ファインゴールド,ジェイ マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァートナー,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ハートリー,ジョン
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/177438(WO,A1)
【文献】Review Advances in Cancer Immunotherapy in Solid Tumors,Cancers,Vol. 8, No. 12,2016年,106,doi:10.3390/cancers8120106
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61P 35/00
A61K 39/395
A61K 31/5513
A61K 31/7068
A61K 47/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のがんを治療するための、有効量のADC×25及び二次薬剤を含む医薬組成物であって、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化1】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、医薬組成物。
【請求項2】
個体のがん
を治療
するための、ADC×25を含む医薬組成物であって、前記治療は、前記医薬組成物を、二次薬剤を含む第2の組成物と併用投与することを含み、ここで、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化2】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、医薬組成物。
【請求項3】
個体の
がんを治療するための
、二次薬剤を含む医薬組成物であって、前記治療が、前記医薬組成物を、ADC×25を含む第2の組成物と併用投与することを含み、ここで、前記ADC×25の化学構造は、以下の:
【化3】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、医薬組成物。
【請求項4】
ADC×25を含む第1の医薬と;
二次薬剤を含む第2の医薬と;及び、場合によっては、
個体に前記第1の医薬を前記第2の医薬と併用投与するための説明書を含む添付文書と、
を含む、
個体のがん
を治療
するためのキットであって、ここで、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化4】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、キット。
【請求項5】
個体のがん
を治療
するための、ADC×25を含む医薬と、前記医薬を二次薬剤を含む組成物とを個体に併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキットであって、ここで、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化5】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、キット。
【請求項6】
二次薬剤を含む医薬と、個体に前記二次薬剤をADC×25を含む組成物と併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含む、
個体のがん
を治療
するためのキットであって、ここで、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化6】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、キット。
【請求項7】
個体のがんを治療するための、ADC×25と、二次薬剤と、を含む医薬組成物であって、ここで、前記ADC×25の化学構造は以下の:
【化7】
(式中、AbはCD25と結合する抗体であり、前記抗体は、以下の:
配列番号1で表される配列を有する、VHドメイン;かつ
配列番号2で表される配列を有する、VLドメイン;を含む)
であり、ここで、前記二次薬剤は、ペムブロリズマブ、又はデシタビンである、医薬組成物。
【請求項8】
個体のがんを治療する
ための方法で用いるための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の医薬組成物と、
個体のがん
を治療
するために個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
【請求項10】
治療が、以下の:
(i)前記ADC×25を、前記二次薬剤の前、前記二次薬剤と同時に、又は前記二次薬剤の後に投与することを含み;及び/又は、
(ii)さらに、化学療法剤を投与することを含む;
請求項1~3,7及び8のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項4~6及び9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
個体は、以下の:
(i)ヒト;
(ii)がんを有するか又はがんを有すると診断された;
(iii)CD25+ve細胞及びCD25-ve細胞をともに含む新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると診断された;
(iv)CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると診断された;
(v)CD25、又はCD25+浸潤T細胞若しくはCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を発現するがんを有するか、又は有すると診断された;
(vi)低レベルの表面発現でCD25を発現するがんを有するか、又は有すると診断された;
(vii)第2の標的タンパク質を発現するがんを有するか、又は有すると診断された;
請求項1~3,7、8及び10のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項4~6、9及び10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
治療が、前記ADC×25又は前記二次薬剤のいずれかによる単独治療と比較して、
a)より広い範囲の症状を有効に治療するか、
b)抵抗性、難治性、又は再発性の症状を有効に治療するか、
c)奏効率がより高まるか、及び/又は
d)耐久性がより高まる、
請求項1~3,7、8、10及び11のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項4~6及び9~11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
(i)がん又は新生物は、固形腫瘍の全て又は部分であるか:又は、
(ii)前記がんは、以下の:
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)を含むホジキン及び非ホジキンリンパ腫;
有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病を含む白血病;
膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌及び食道癌、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、肝細胞癌、腎細胞癌、並びに頭頸部癌;
を含む群から選択される、請求項1~3,7、8及び10~12のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項4~6及び9~12のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全て2017年4月20日に出願された、GB1706252.2、GB1706251.4、GB1706250.6、GB1706249.8、GB1706248.0、GB1706247.2、GB1706246.4、GB1706245.6、及び2017年3月29日に出願された、GB1805189.6の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、がん等の病態の治療のための併用療法に関する。特に、本開示は、抗体薬物複合体(ADC)と二次薬剤とによる治療を含む併用療法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗体療法
がん、免疫不全、及び血管原性障害の対象の標的治療のための抗体療法が、確立されている(Carter, P.(2006) Nature Reviews Immunology 6:343-357)。がん治療における、細胞傷害剤又は細胞分裂阻害剤、すなわち腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬物を局所送達するための、抗体薬物複合体(ADC)、すなわち免疫複合体の使用は、薬物部分を腫瘍に送達し、腫瘍の細胞内に蓄積させることを目的とするが、こうした薬剤を複合体化させずに全身投与すると、許容不能なレベルの毒性を正常細胞にもたらす可能性がある(Xie et al(2006)Expert.Opin.Biol.Ther.6(3):281-291;Kovtun et al(2006)Cancer Res.66(6):3214-3121;Law et al(2006)Cancer Res.66(4):2328-2337;Wu et al(2005)Nature Biotech.23(9):1137-1145;Lambert J.(2005)Current Opin.in Pharmacol.5:543-549;Hamann P.(2005)Expert Opin.Ther.Patents 15(9):1087-1103;Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207-212;Trail et al(2003)Cancer Immunol.Immunother.52:328-337;Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605-614)。
【0004】
〔CD25〕
I型膜貫通タンパク質CD25は、活性化T細胞及び活性化B細胞、部分の胸腺細胞、骨髄前駆細胞、及びオリゴデンドロサイトに存在する。活性化されたT細胞では、ベータ及びガンマサブユニット(CD122及びCD132)とヘテロダイマーを形成し、したがってIL-2の高親和性受容体を構成する。IL-2の除去がこれらの細胞の即時の死をもたらすので、このリガンドは活性化T細胞の生存因子を表す。
【0005】
B細胞の場合、CD25は後期プロB細胞及びプレB細胞の初期発生段階で生理学的に発現する。したがって、B細胞分化のこの段階から生じる悪性腫瘍もCD25を発現する可能性がある。肥満細胞病変もCD25陽性であり、したがって、CD25は全身性肥満細胞症の判定の重要な診断基準と考えられている。ホジキンリンパ腫では、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)のホジキン/リード-スターンバーグ細胞ではCD25が発現しないことが報告されているが、一方で、混合細胞型の古典的なホジキンリンパ腫では、同一の細胞型が様々なレベルでCD25を発現する。一般的な発現レベルは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)よりも低いと報告されており、これらの症例でCD25腫瘍細胞を示す問題がおきる可能性がある(Levi et al.,Merz et al,1995)。
【0006】
標的抗原の発現は、非ホジキンリンパ腫のいくつかのB細胞及びT細胞由来のサブタイプ、すなわちB細胞慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、小細胞リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病、及び成人T細胞白血病/リンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫について、同様に報告されている。
【0007】
CD25は膜に局在しており、細胞質で発現が観察される場合がある。可溶性CD25は、血清等の細胞外でも観察される場合がある。
【0008】
〔抗CD25 ADCの治療的使用〕
例えば、がんの治療における抗CD25抗体(抗CD25-ADC)を含む抗体薬物複合体の有効性が確立されている。例えば、WO2014/057119、WO2016/083468、及びWO2016/166341を参照されたい。
【0009】
研究は、抗CD25ADCの有効性、忍容性、及び臨床的有用性をさらに改善し続けている。この目的のために、本著者らは、抗CD25 ADCが少なくとも1つの二次薬剤と併用投与される臨床的に有利な併用療法を特定した。
【発明の概要】
【0010】
本著者は、ADCと二次薬剤との組み合わせを個体に投与すると、予期しない臨床的利点がもたらされると判断した。
【0011】
したがって、一態様では、本開示は、個体の障害を治療する方法を提供し、この方法は、個体に有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む。
【0012】
障害は、増殖性疾患、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、及びフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病等のがんであり得る。
【0013】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0014】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0015】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0016】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0017】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0018】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0019】
ADCは、本明細書に記載されるADC×25等の抗CD25-ADCであり得る。
【0020】
二次薬剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)、PD1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、又は低メチル化剤であり得る。
【0021】
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有しうるか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、CD25+がん、又はCD25+浸潤T細胞等のCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を有しうるか、又は有すると判断されていてもよい。
【0022】
個体はPD-L1+がんを有しうるか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
【0023】
開示された方法では、ADCは、二次薬剤の前、二次薬剤と同時に、又は二次薬剤の後に投与され得る。開示された方法は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含みうる。
【0024】
別の態様では、本開示は、個体の障害を治療する方法で用いるADCを含む第1の組成物を提供し、治療は、二次薬剤を含む第2の組成物と併用した第1の組成物の投与を含む。
【0025】
この態様により、個体の障害を治療する方法で用いる二次薬剤を含む第1の組成物も提供され、治療はADCを含む第2の組成物と併用した第1の組成物の投与を含む。
【0026】
障害は、増殖性疾患、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、及びフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病等のがんであり得る。
【0027】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0028】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0029】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0030】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0031】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0032】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol (2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0033】
ADCは、本明細書に記載されるADC×25等の抗CD25-ADCであり得る。
【0034】
二次薬剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)、PD1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、又は低メチル化剤であり得る。
【0035】
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有しうるか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、CD25+がん、又はCD25+浸潤T細胞等のCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を有しうるか、又は有すると判断されていてもよい。
【0036】
個体はPD-L1+がんを有しうるか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
【0037】
第1の組成物は、第2の組成物の前に、第2の組成物と同時に、又は第2の組成物の後に投与され得る。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含みうる。
【0038】
さらなる態様では、本開示は、個体の障害を治療する医薬の製造におけるADCの使用を提供し、医薬はADCを含み、治療は二次薬剤を含む組成物と併用した医薬の投与を含む。
【0039】
この態様により、個体の障害を治療する医薬の製造における二次薬剤の使用も提供され、医薬は二次薬剤を含み、治療はADCを含む組成物と併用した医薬の投与を含む。
【0040】
障害は、増殖性疾患、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、及びフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病等のがんであり得る。
【0041】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0042】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0043】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0044】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0045】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0046】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10、Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0047】
ADCは、本明細書に記載されるADC×25等の抗CD25-ADCであり得る。
【0048】
二次薬剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)、PD1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、又は低メチル化剤であり得る。
【0049】
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有しうるか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、CD25+がん、又はCD25+浸潤T細胞等のCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を有しうるか、又は有すると判断されていてもよい。
【0050】
個体はPD-L1+がんを有しうるか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
【0051】
医薬は、組成物の前に、組成物と同時に、又は組成物の後に投与され得る。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含みうる。
【0052】
本開示の別の態様は、以下を含むキットを提供する:
ADCを含む第1の医薬と;
二次薬剤を含む第2の医薬と;必要に応じて
障害の治療のために第2の医薬と併用して個体に第1の医薬を投与するための説明書を含む添付文書。
【0053】
本態様では、ADCを含む医薬と、障害の治療のために二次薬剤を含む組成物と併用して個体に医薬を投与するための説明書を含む添付文書とを含むキットも提供される。
【0054】
本態様では、二次薬剤を含む医薬と、障害の治療のためにADCを含む組成物と併用して個体に医薬を投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキットがさらに提供される。
【0055】
障害は、増殖性疾患、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、及びフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病等のがんであり得る。
【0056】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0057】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0058】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0059】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0060】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0061】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0062】
ADCは、本明細書に記載されるADC×25等の抗CD25-ADCであり得る。
【0063】
二次薬剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)、PD1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、又は低メチル化剤であり得る。
【0064】
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有しうるか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、CD25+がん、又はCD25+浸潤T細胞等のCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を有しうるか、又は有すると判断されていてもよい。
【0065】
個体はPD-L1+がんを有しうるか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
【0066】
ADCを含む医薬又は組成物は、二次薬剤を含む医薬もしくは組成物の前、二次薬剤を含む医薬もしくは組成物と同時に、又は二次薬剤を含む医薬もしくは組成物の後に投与しうる。治療は、さらなる化学療法剤を個体に投与することを含みうる。
【0067】
なおもさらなる態様では、本開示は、ADC及び二次薬剤を含む組成物を提供する。
【0068】
本開示のこの態様では、個体の障害を治療する方法も提供され、この方法は、個体に有効量のADC及び二次薬剤を含む組成物を投与することを含む。
【0069】
本開示のこの態様では、個体の障害を治療する方法で用いるADC及び二次薬剤を含む組成物も提供される。
【0070】
本開示のこの態様では、個体の障害を治療する医薬の製造におけるADC及び二次薬剤を含む組成物の使用も提供される。
【0071】
また、本開示のこの態様では、ADC及び二次薬剤を含む組成物と、障害の治療のために個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキットも提供される。
【0072】
障害は、増殖性疾患、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)等の白血病、並びにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病等のがんであり得る。
【0073】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0074】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0075】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0076】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0077】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0078】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux, C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0079】
ADCは、本明細書に記載されるADC×25等の抗CD25-ADCであり得る。
【0080】
二次薬剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)、PD1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、GITRアゴニスト、OX40アゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、フルダラビンもしくはシタラビン、又は低メチル化剤であり得る。
【0081】
個体はヒトであってもよい。個体はがんを有しうるか、又はがんを有すると判断されていてもよい。個体は、CD25+がん、又はCD25+浸潤T細胞等のCD25+腫瘍関連非腫瘍細胞を有しうるか、又は有すると判断されていてもよい。
【0082】
個体はPD-L1+がんを有しうるか、又はそれを有すると判断されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0083】
抗体薬物複合体(ADC)
本開示は、ADCと二次薬剤の組み合わせの改善された有効性に関する。
【0084】
ADCは、標的位置に薬物を送達することができる。標的位置は、好ましくは増殖細胞集団である。抗体は、増殖細胞集団に存在する抗原に対する抗体である。一態様では、抗原は、増殖細胞集団、例えば腫瘍細胞集団に存在する抗原の量と比較して、非増殖細胞集団には存在しないか、又は減少したレベルで存在する。
【0085】
ADCは、標的位置で薬物を放出するように切断され得るリンカーを含みうる。薬物は、RelA、RelB、RelC、RelD、又はRelEから選択される化合物であり得る。したがって、複合体を使用して、化合物RelA、RelB、RelC、RelD、又はRelEを標的位置に選択的に提供することができる。
【0086】
リンカーは、標的位置に存在する酵素によって切断され得る。
【0087】
本開示は特に、WO2014/057119に開示されている、及び本明細書に記載されている抗CD25 ADCによる治療に関する。
【0088】
抗CD25 ADC
本明細書で用いられる場合、「CD25-ADC」という用語は、抗体成分が抗CD25抗体であるADCを指す。「PBD-ADC」という用語は、薬物成分がピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭であるADCを指す。「抗CD25-ADC」という用語は、抗体成分が抗CD25抗体であり、薬物成分がPBD弾頭であるADCを指す。
【0089】
ADCはL-(D
L)
pの複合体を含んでもよく、式中、D
Lは、式I又はIIのものであり:
【化1】
式中:
Lは、CD25に結合する抗体(Ab)であり、
C2’とC3’の間に二重結合が存在する場合、R
12は、以下からなる群より選択され:
(ia)C
5-10アリール基、この基は、以下を含む群より選択される1つ又は複数の置換基により場合によっては置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル、及びビス-オキシ-C
1-3アルキレン;
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル;
(id)
【化2】
、式中、R
21、R
22、及びR
23はそれぞれ、独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R
12基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
【化3】
、式中、R
25a及びR
25bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により場合によっては置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
【化4】
、式中、R
24は、以下から選択され:H;C
1-3飽和アルキル;C
2-3アルケニル;C
2-3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により場合によっては置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2’とC3’の間に単結合が存在する場合、
R
12は、
【化5】
であり、式中、R
26a及びR
26bは、独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択される基により場合によっては置換され;あるいは、R
26a及びR
26bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択され;
R
6及びR
9は独立して、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn、及びハロから選択され;
R及びR’は独立して、場合によっては置換されたC
1-12アルキル、C
3-20ヘテロシクリル、及びC
5-20アリール基から選択され;
R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NHRR’、ニトロ、Me
3Sn、及びハロから選択され;
R”は、鎖が1つ以上のヘテロ原子、例えばO、S、NR
N2(式中、R
N2は、H、又はC
1-4アルキルである)、及び/又は、芳香族環、例えばベンゼンもしくはピリジンによって中断される場合があるC
3-12アルキレン基であり;
Y及びY’は、O、S、又はNHから選択され;
R
6’、R
7’、R
9’は、それぞれ、R
6、R
7、及びR
9と同一の基から選択され;
[式I]
R
L1’は抗体(Ab)への接続のためのリンカーであり;
R
11aは、OH、OR
A(式中、R
AはC
1-4アルキルである)、及びSO
zM(式中、zは2又は3であり、Mは一価の薬学的に許容されるカチオンである)から選択され;
R
20及びR
21は、結合している窒素原子と炭素原子の間に一緒に二重結合を形成するか、又は;
R
20がH及びR
C(式中、R
Cはキャッピング基である)から選択される;
R
21がOH、OR
A、及びSO
zMから選択され;
C2とC3の間に二重結合が存在する場合、R
2は、以下からなる群より選択され:
(ia)C
5-10アリール基、この基は、以下を含む群より選択される1つ又は複数の置換基により場合によっては置換され:ハロ、ニトロ、シアノ、エーテル、カルボキシ、エステル、C
1-7アルキル、C
3-7ヘテロシクリル、及びビス-オキシ-C
1-3アルキレン;
(ib)C
1-5飽和脂肪族アルキル;
(ic)C
3-6飽和シクロアルキル;
(id)
【化6】
、式中、R
11、R
12、及びR
13はそれぞれ、独立して、H、C
1-3飽和アルキル、C
2-3アルケニル、C
2-3アルキニル、及びシクロプロピルから選択され、ただし、R
2基の炭素原子の合計数は、5以下であり;
(ie)
【化7】
、式中、R
15a及びR
15bのいずれか一方は、Hであり、他方は、以下から選択され:フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により場合によっては置換され;ピリジル;及びチオフェニル;ならびに
(if)
【化8】
、式中、R
14は、以下から選択され:H;C
1-3飽和アルキル;C
2-3アルケニル;C
2-3アルキニル;シクロプロピル;フェニル、このフェニルは、ハロ、メチル、メトキシから選択される基により場合によっては置換され;ピリジル;及びチオフェニル;
C2とC3の間に単結合が存在する場合、
R
2は、
【化9】
であり、式中、R
16a及びR
16bは、独立して、H、F、C
1-4飽和アルキル、C
2-3アルケニルから選択され、これらアルキル及びアルケニル基は、C
1-4アルキルアミド及びC
1-4アルキルエステルから選択される基により場合によっては置換され;あるいは、R
16a及びR
16bの一方がHである場合、他方は、ニトリル及びC
1-4アルキルエステルから選択され;
[式II]
R
22は式IIIa、式IIIb、又は式IIIcのものであり:
(a)
【化10】
式中、AはC
5-7アリール基であり、
(i)Q
1は単結合であり、Q
2は、単結合及び-Z-(CH
2)
n-から選択され、Zは単結合、O、S、及びNHから選択され、nは1~3であるか;又は
(ii)Q
1は-CH=CH-であり、Q
2は単結合であるかのいずれかであり、
(b)
【化11】
式中、
R
C1、R
C2、及びR
C3は、H及び非置換のC
1-2アルキルから独立して選択され;
(c)
【化12】
式中、Qは、O-R
L2’、S-R
L2’、及びNR
N-R
L2’から選択され、R
Nは、H、メチル、及びエチルから選択され;
Xは、以下を含む群から選択され:O-R
L2’、S-R
L2’、CO
2-R
L2’、CO-R
L2’、NH-C(=O)-R
L2’、NHNH-R
L2’、CONHNH-R
L2’、
【化13】
、
【化14】
、NR
NR
L2’(式中、R
NはH及びC
1-4アルキルを含む群から選択される);
R
L2’は抗体(Ab)への接続のためのリンカーであり;
R
10及びR
11は、結合している窒素原子と炭素原子の間に一緒に二重結合を形成するか、又は;
R
10はHであり、R
11は、OH、OR
A、及びSO
zMから選択され;
R
30及びR
31は、結合している窒素原子と炭素原子の間に一緒に二重結合を形成するか、又は;
R
30がHであり、R
31がOH、OR
A、及びSO
zMから選択されるかのいずれかである。
【0090】
実施形態によっては、L-R
L1’又はL-R
L2’は以下の基であり:
【化15】
式中、アスタリスクはPBDへの結合点を示し、Abは抗体であり、L
1は切断可能なリンカーであり、AはL
1を抗体に接続する接続基であり、L
2は共有結合であるか、又は-OC(=O)-と一緒に自壊性リンカーを形成する。
【0091】
これらの実施形態のいくつかでは、L1は切断可能な酵素である。
【0092】
そのようなADCは、CD25発現がんの治療に有用であることが以前に示されている(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2014/057119を参照されたい)。
【0093】
抗CD25-ADCという用語は、WO2014/057119に記載されている任意の実施形態を含みうる。特に、好ましい実施形態では、ADCは以下の化学構造を有してもよく:
【化16】
、式中:
Abは、CD25抗体であり、DARは1~8である。
【0094】
抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR3を有するVHドメインを含みうる。
【0095】
いくつかの態様では、抗CD25-ADCの抗体成分は、以下を含む抗体である:配列番号3のアミノ酸配列を持つVH CDR1、配列番号4のアミノ酸配列を持つVH CDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を持つVH CDR3。実施形態によっては、抗体は、配列番号1に記載の配列を有するVHドメインを含む。
【0096】
抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を持つVL CDR1、配列番号7のアミノ酸配列を持つVL CDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を持つVL CDR3を有するVLドメインをさらに含みうる。実施形態によっては、抗体は、配列番号2に記載の配列を有するVLドメインをさらに含む。
【0097】
実施形態によっては、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含み、VHドメイン及びVLドメインは、配列番号2と対形成した配列番号1の配列を有する。
【0098】
VH及びVLドメイン(複数可)は、CD25に結合する抗体抗原結合部位を形成するように、対形成することができる。
【0099】
好ましい実施形態では、抗体は、VHドメイン及びVLドメインを含む無傷抗体であり、VHドメイン及びVLドメインは、配列番号1及び配列番号2の配列を有する。
【0100】
実施形態によっては、抗体は完全ヒトモノクローナルIgG1抗体、好ましくはIgG1、κである。
【0101】
実施形態によっては、抗体は、WO2004/045512(Genmab A/S)に記載されているAB12抗体である。
【0102】
1つの態様において、抗体は、本明細書中記載されるとおりの抗体を、以下に記載されるとおりに修飾したもの(又はさらに修飾したもの)である。実施形態によっては、抗体は、本明細書中に記載される抗体のヒト化、脱免疫化又は表面再構成形態である。
【0103】
本開示の態様と共に用いる好ましい抗CD25-ADCは、本明細書で以下に記載されるように、ADC×25である。
【0104】
ADC×25
ADC×25は、切断可能なリンカーを介してピロロベンゾジアゼピン(PBD)弾頭に結合したヒトCD25に対するヒト抗体から構成される、抗体薬物複合体である。ADC×25の作用機序は、CD25結合に依存する。CD25特異的抗体は、CD25を発現する細胞を、抗体薬物複合体(ADC)の標的とさせる。結合すると、ADCは内部移行し、リソソームに輸送され、ここで、プロテアーゼ感受性リンカーが切断され、遊離PBD二量体が標的細胞内で放出される。放出されたPBD二量体は、RNAポリメラーゼの直接阻害又は関連する転写因子の相互作用の阻害のいずれかにより、配列選択的に転写を阻害する。PBD二量体は、DNA二重らせんをゆがめず、ヌクレオチド除去修復因子によって認識されない共有結合架橋を生成し、より長い有効期間を可能にする(Hartley 2011)。
【0105】
それは以下の化学構造を有し:
【化17】
Abは抗体AB12(それぞれ配列番号1及び配列番号2のVH及びVLの配列を有する完全ヒトモノクローナルIgG1、K抗体、HuMax-TACとしても知られる)を表す。それはWO2014/057119に記載されるように合成され(Conj AB12-E)、典型的には2.0+/-0.3のDAR(薬物対抗体の比率)を有する。
【0106】
〔CD25結合〕
本明細書で用いられる場合、「第1の標的タンパク質」(FTP)は、好ましくはCD25である。
【0107】
本明細書で用いられる場合、「CD25に結合する」は、抗体がウシ血清アルブミン(BSA、Genbank受入番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 GI:3336842、記録更新日時:Jan 7,2011 02:30PM)等の非特異的パートナーよりも高い親和性でCD25に結合することを意味するために用いられる。実施形態によっては、生理的条件で測定した場合、抗体は、BSAに対する抗体の結合定数よりも少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、104、105、又は106倍高い結合定数(Ka)でCD25に結合する。本開示の抗体は、高い親和性でCD25に結合することができる。例えば、実施形態によっては、抗体は、約10-6M以下、例えば、1×10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又は10-14のうちの1つ以下のKDでCD25に結合することができる。
【0108】
実施形態によっては、CD25ポリペプチドは、Genbank受入番号NP_000408、バージョン番号NP_000408.1 GI:4557667、記録更新日時:Sep 09, 2012 04:59PM)に該当する。1つの実施形態において、CD25ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号NM_000417、バージョン番号NM_000417.2 GI:269973860、記録更新日時:Sep 09,2012 04:59PMに該当する。実施形態によっては、CD25ポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号P01589に該当する。
【0109】
〔二次薬剤〕
抗腫瘍免疫を強化する薬剤の最近の開発により、広範囲のがんの治療が急速に変化している。しかしながら、これらの治療は全ての種類のがんに効果的ではなく、応答はしばしば永続的ではなく、多くの患者は治療の恩恵をほとんど又はまったく受けない。腫瘍学の分野で一般的な仮定は、免疫療法と他の治療選択肢との組み合わせのみが最終的にがん患者を治癒できるということである。
【0110】
ADCは、様々な種類のがんに非常に耐容であり、活性があり、治療の応答率と耐久性を高める併用療法の1つの成分になる可能性がある。この開示の目的は、ADCを二次薬剤と組み合わせることである。
【0111】
本明細書に記載される二次薬剤は、免疫腫瘍学(IO)薬であり得る。
【0112】
免疫腫瘍学(IO)薬は、生体の免疫系に依存してがんと闘うのを助けるがん治療の一種であり、抗腫瘍反応の持続性が向上していることを示す。IOには、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、CLTL4阻害剤、GITRアゴニスト、及びOX40アゴニストを含むがこれらに限定されない、様々な種類のものがある。単剤免疫療法で治癒せず、最終的に再発する患者のかなりの割合のため、代替IO薬又は異なる治療法との併用療法が必要である(KS Peggs et al.2009,Clinical and Experimental Immunology,157:9-19[doi:10.1111/j.1365-2249.2009.03912.x];DM Pardoll 2012[doi:10.1038/nrc3239]を参照されたい)。
【0113】
免疫原性細胞死(ICD)は、死細胞抗原(死にゆく細胞によって放出される)に対する免疫応答を刺激する細胞死の特定の形態であり、適応免疫応答を誘導し、抗がん治療の効果を改善する最良の方法の1つと考えられている。このプロセスはしばしば最適以下であり、治療目的で細胞死の完全な免疫原性を回復しようとする組み合わせ戦略を必要とする。様々なアントラサイクリン(ドキソルビシン、エピルビシン、及びイダルビシンを含む)、アルキル化剤(オキサリプラチン、及びシクロホスファミドを含む)、トポイソメラーゼII阻害剤ミトキサントロン、ならびにプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブなど、ICDを誘発できる抗腫瘍薬がいくつか存在する。
【0114】
PBD弾頭を含む抗体薬物複合体は、従来の化学療法と比較してより標的化されており、アウリスタチンベースのADCで示されているように浸潤T細胞への抗原提示の増加が期待されるため、組み合わせパートナーとして特に適している可能性がある。
【0115】
したがって、ADCとIOを組み合わせると、二重の利点が得られる:一方では、ADCは標的を発現している腫瘍を直接殺傷し、即効性の抗腫瘍活性を提供するが、他方では、ADCを介した細胞死によって誘導される免疫原性細胞死が、IOが単一の薬剤として与えられる場合と比較して、より強くより耐久性のある適応免疫応答を促進しうる。
【0116】
二次薬剤は以下であり得る:
(a)イブルチニブ(イムブルビカ)、アカラブルチニブ/ACP-196、ONO/GS-4059、スペブルチニブ/AVL-292/CC-292、HM71224(ポセルチニブ)、もしくはBGB-3111(ザヌブルチニブ)などのブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi);
(b)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN-2810)、AMP-224、BGB-A317(チスレリズマブ)、もしくはBGB-108などのPD1アンタゴニスト;
(c)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS-936559/MDX-1105、デュルバルマブ/MEDI4736、もしくはMSB0010718C(アベルマブ)などのPD-L1アンタゴニスト;
(d)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK-1248、MK-4166、BMS-986156、もしくはINCAGN1876などのGITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
(e)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、もしくはPF-04518600などのOX40アゴニスト;
(f)イピリムマブ(ブランド名ヤーボイ)もしくはトレメリムマブ(当初はPfizerが開発、現在はMedimmune)などのCTLA-4アンタゴニスト;
(g)フルダラビンもしくはシタラビン;または
(h)シチジン類似体などの低メチル化剤-例えば、5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)。
【0117】
これらの各クラスの二次薬剤について、以下に詳述する。
【0118】
〔BTK阻害剤〕
BTKは、Bリンパ球の発生、分化、及びシグナル伝達に不可欠な非受容体型チロシンキナーゼである。B細胞抗原受容体(BCR)への抗原の結合は、最終的にB細胞の活性化につながるシグナル伝達を誘発する。BCRの結合と原形質膜での活性化後、BTKはいくつかの部位でPLCG2をリン酸化し、カルシウム動員を介して下流のシグナル伝達経路に点火し、プロテインキナーゼC(PKC)ファミリーメンバーの活性化が後に続く。PLCG2リン酸化は、アダプタータンパク質であるB細胞リンカータンパク質BLNKと密接に協力して実行される[Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:604-609(1997)、Rodriguez et al.,J.Biol.Chem.276:47982-47992(2001)]。
【0119】
BTKは、シグナル伝達タンパク質の多様なアレイをまとめるプラットフォームとして機能し、サイトカイン受容体シグナル伝達経路に関与する。それは、Toll様受容体(TLR)経路の構成要素として、自然免疫及び適応免疫の免疫細胞の機能に重要な役割を果たす。TLR経路は、病原体を検出するための主要な監視システムとして機能し、宿主防御の活性化に不可欠である[Horwood et al.J.Immunol.176:3635-3641(2006)]。
【0120】
BTKの別の重要な役割は、脾臓B細胞におけるTLR9活性化の調節である。TLR経路内で、BTKはTIRAPのチロシンリン酸化を誘導し、TIRAPの分解を引き起こす。
【0121】
BTKは、TLR8とTLR9をリンクするシグナル伝達経路に関与しているため、転写制御にも重要な役割を果たす。結果として、BTK活性はNF-カッパ-Bの活性を誘導し、NF-カッパ-B自体は、何百もの遺伝子の発現の調節に関与している。BTKの他の転写標的には、ARID3A、NFAT、及びGTF2Iが含まれ、BTKは、機能的なARID3A DNA結合複合体の形成に必要であり、一方で、BTKによるGTF2Iの一過性リン酸化により、GTF2Iは核に移行し、調節エンハンサーエレメントに結合して遺伝子発現を調節する[Rajaiya,Mol.Cell.Biol.26:4758-4768(2006)]。
【0122】
BTKはアポトーシスの調節において二重の役割を果たす。
【0123】
「BTK阻害剤」とは、BTKの活性を阻害する任意の化学化合物又は生体分子を意味する。例えば、0.001μM~約2μMのIC50でBTKのキナーゼ活性を妨げる薬剤である。
【0124】
Btk(Invitrogen Corporation)及び以下の試薬を含むZ’-LYTE(商標)Kinase Assay Kit-Tyr1ペプチド(Invitrogen Corporation)を使用して、製造元が提供するプロトコールに基づいて、BTK酵素阻害活性を測定することができる:Tyr-1ペプチド、Thy-1ホスホペプチド、5×キナーゼ緩衝液、ATP、発色試薬B、発色緩衝液、及び停止試薬。ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈したBTK阻害剤の溶液又はDMSOの5μl/穴、及び基質/酵素混合溶液の10μl/穴を96穴アッセイプレートに分注し、30℃で20分、反応を実行しうる。基質/酵素混合液は、キナーゼ緩衝液(DL-ジチオスレイトール(DTT、2.7mM)、1.33×キナーゼ緩衝液)で希釈して調製し、Tyr-1ペプチドの最終濃度を4μΜとし、BTKの最終濃度を5nMとしうる。次いで、アデノシン三リン酸(ATP、最終濃度=36μΜ)の5μl/穴を添加し、30℃で1時間、反応を実行することができる。反応の完了後、発色緩衝液を使用して発色試薬Bを128倍に希釈して得られた発色溶液の10μlを添加し、30℃でさらに1時間、反応を実行することができる。次いで、10μlの停止溶液を添加することにより、酵素反応を停止することができる。各穴の445nm及び520nmの蛍光強度は、Fusion Universal Microplate Analyzer(PerkinElmer Inc.)蛍光プレートリーダーを使用して測定できる。リン酸化パーセントは、キットに付属するプロトコールに従って、445nmでの発光(クマリン発光)と520nmでの発光(フルオレセイン発光)の比を使用して決定できる。
【0125】
BTK阻害剤による阻害パーセント(%)は、次の式を使用して計算できる。
【0126】
リン酸化の阻害パーセント(%)=1-{(AC-AX)/(AC-AB)}×100
【0127】
AX:BTK阻害剤が添加されていた場合のリン酸化%
AB:ATP添加の非存在下(ブランク)でのリン酸化%
AC:DMSOのみが添加されていた場合(対照)のリン酸化%
【0128】
BTK阻害剤の50%阻害値(IC50値)は、BTK阻害剤の各濃度での阻害%に基づいた阻害曲線から決定できる。
【0129】
BTKiイブルチニブ(イムブルビカ)は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に共有結合する小分子薬であり、マントル細胞リンパ腫のようなB細胞がん、慢性リンパ性白血病、及び非ホジキンリンパ腫の一形態であるワルデンストレームマクログロブリン血症の治療に用いられる。
【0130】
イブルチニブは、ケモカインCXCL12及びCXCL13への慢性リンパ性白血病(CLL)細胞の走化性を低下させ、B細胞受容体(BCR)での刺激後の細胞接着を阻害することが報告されている(S Ponader et al.2011,doi:10.1182/blood-2011-10-386417.PMID 22180443)。さらに、イブルチニブは、CXCR4/SDF1軸を標的化することにより、CD20の発現を下方調節する(Pavlasova 2016,PMID 27480113。まとめると、これらのデータは、イブルチニブがBCRシグナル伝達を遮断し、B細胞をアポトーシスに導く、及び/又は保護的腫瘍微小環境への細胞遊走と接着を破壊する機構モデルと整合する。
【0131】
慢性リンパ性白血病(CLL)細胞の前臨床試験で、イブルチニブはアポトーシスを促進し、増殖を阻害し、微小環境によってもたらされる生存刺激にCLL細胞が応答するのを防ぐことが報告されている(Pavlasova 2016)。これはまた、悪性B細胞のMcl1レベル(抗アポトーシスタンパク質)の減少をももたらす。活性化されたCLL細胞をイブルチニブで処理すると、BTKチロシンリン酸化が阻害され、ERK1/2、PI3K、及びNF-κBを含むこのキナーゼによって活性化される下流の生存経路も効果的に無効化された。さらに、イブルチニブはCLL細胞のインビトロでの増殖を阻害し、可溶性因子(CD40L、BAFF、IL-6、IL-4、及びTNF-α)、フィブロネクチンの結合並びに間質細胞接触を含む微小環境から外部的にCLL細胞に提供される生存シグナルを効果的に遮断した。
【0132】
したがって、第1の標的タンパク質(FTP)を標的とするADCをBTKiと組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でBTKiが悪性B細胞と相互作用してがん細胞増殖の阻害をもたらすため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接したFTP陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。
【0133】
さらに、BTKiは腫瘍細胞の可動性を低下させ、これらの細胞の調節バランスをアポトーシスに向けて傾けることが示唆されている。BTKiによって誘導されるこれらの変化により、腫瘍細胞は、直接的及び間接的なADCの薬物による殺傷にさらに感受性になると考えられている。
【0134】
ADCがBTKiと相乗的に機能することを示すために、FTP(+)細胞株のパネルをADCとBTK1の両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、BTKiの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で処理する。インキュベーション後、表面FTPの量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのインビトロ細胞毒性(MTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定される。細胞毒性を決定するために、穴ごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。未処理の対照と比較して細胞生存比率を計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して組み合わせ指数を計算することにより計算される。
【0135】
本開示における二次薬剤としての使用に適したBTKiには以下が含まれる:
(1)9-(1-アクリロイル-3-アゼチジニル)-6-アミノ-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(2)6-アミノ-9-{(3R)-1-[(2E)-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテノイル]-3-ピロリジニル}-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(3)9-[(1-アクリロイル-4-ピペリジニル)メチル]-6-アミノ-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(4)6-アミノ-9-[(3R)-1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(5)6-アミノ-9-{(3S)-1-[(2E)-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテノイル]-3-ピロリジニル}-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(6)6-アミノ-7-[4-(3-クロロフェノキシ)フェニル]-9-{(3R)-1-[(2E)-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテノイル]-3-ピロリジニル}-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、
(7)6-アミノ-9-[1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン、及び
(8)6-アミノ-9-{1-[(2E)-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテノイル]-3-ピロリジニル}-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オン。
【0136】
本開示における二次薬剤としての使用のための好ましいBTK阻害剤には以下が含まれる(イブルトニブ(ibrutnib)が最も好ましい):
a)イブルチニブ(イムブルビカ)
i. CAS番号→936563-96-1
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→24821094
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. IUPHAR/BPS参照→6912
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→1X70OSD4VX
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【化18】
式I、イブルチニブ:1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン
b)アカラブルチニブ/ACP-196
i. CAS番号→1420477-60-6
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. Chemspider→36764951
(https:// http://www.chemspider.com/を参照されたい)
【化19】
式II、アカラブルチニブ:4-{8-アミノ-3-[(2S)-1-(2-ブチノイル)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミド
c) ONO/GS-4059
i. CAS番号→1351635-67-0
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
【化20】
式III、ONO/GS-4059:6-アミノ-7,9-ジヒドロ-9-[(3S)-1-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-3-ピペリジニル]-7-(4-(フェノキシフェニル)-8H-プリン-8-オン
d) スペブルチニブ/AVL-292/CC-292
i. CAS番号→1202757-89-8
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. PubChem ID→59174488
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
【化21】
式IV、スペブルチニブ:N-[3-({5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)アニリノ]ピリミジン-4-イル}アミノ)フェニル]プロパ-2-エンアミド
e) BGB-3111(ザヌブルチニブ)
i. CAS番号→1691249-45-2
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
【化22】
式V、ザヌブルチニブ:(7S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-7-[1-(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-4-ピペリジニル]-2-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
f) HM71224(ポセルチニブ)
i. CAS番号→1353552-97-2
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
【化23】
式VI、ポセルチニブ:N-(3-((2-((4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)アミノ)フロ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)オキシ)フェニル)アクリルアミド
【0137】
実施形態によっては、BTKポリペプチドは、Genbank受入番号CAA41728、バージョン番号CAA41728.1、記録更新日時:Feb 2,2011 10:07AM)に該当する。1つの実施形態において、BTKポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号X58957、バージョン番号X58957.1、記録更新日時:Feb 2,2011 10:07AMに該当する。実施形態によっては、BTKポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号Q06187に該当する。
【0138】
PD1アンタゴニスト
プログラム死受容体I(PD1)は、主に活性化T細胞及びB細胞に発現する免疫抑制受容体である。そのリガンドとの相互作用は、インビトロとインビボの両方でT細胞応答を減衰させることが示されている。PD1とそのリガンドの1つであるPD-L1との相互作用の遮断は、腫瘍特異的CD8+T細胞免疫を増強することが示されており、したがって免疫系による腫瘍細胞の除去に役立ちうる。
【0139】
PD1(遺伝子Pdcd1によってコードされる)は、CD28及びCTLA-4に関連する免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である。PD1は、そのリガンド(PD-L1及び/又はPD-L2)の関与により抗原受容体シグナル伝達を負に調節することが示されている。マウスPD1の構造及びマウスPD1とヒトPD-L1の共結晶構造が解明されている(Zhang,X.,et al.,(2004)Immunity 20:337-347;Lin,et al.,(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:30I I-6)。
【0140】
PD1及び類似のファミリーの一員は、リガンド結合に関与するIg可変型(V型)ドメイン及びシグナル伝達分子の結合に関与する細胞質尾部を含むI型膜貫通糖タンパク質である。PD1の細胞質尾部には、2つのチロシンベースのシグナル伝達モチーフ、ITIM(免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ)及びITSM(免疫受容体チロシンベースのスイッチモチーフ)が含まれる。
【0141】
ヒトでは、PD1(腫瘍浸潤リンパ球での)及び/又はPD-L1(腫瘍細胞での)の発現は、免疫組織化学により評価された多くの原発腫瘍生検で発見されている。そのような組織には、肺、肝臓、卵巣、子宮頸部、皮膚、結腸、神経膠腫、膀胱、乳房、腎臓、食道、胃、口腔扁平上皮細胞、尿路上皮細胞、及び膵臓のがん、ならびに頭頸部の腫瘍が含まれる(Brown,J.A.,et al.,(2003)J Immunol.I 70:I257-I266;Dong H.,et al.,(2002) Nat.Med.8:793-800;Wintterle,et al.,(2003) Cancer Res.63:7462-7467;Strome,S.E.,et al.,(2003) Cancer Res.63:650I-6505;Thompson,R.H.,et al.,(2006) Cancer Res.66:338I-5;Thompson,et al.,(2007) Clin. Cancer Res13: I 757-6I;Nomi,T.,et al.,(2007) Clin. Cancer Res.13:2I5I-7)。より驚くべきことに、腫瘍細胞でのPDリガンドの発現は、複数の腫瘍タイプにわたってがん患者の予後不良と相関している(Okazaki and Honjo,(2007) Int.Immunol.19:813-824で総説される)。
【0142】
これまでに、PD1とそのリガンド(PD-L1及びPD-L2)との相互作用が、インビトロ及びインビボでのリンパ球増殖の阻害につながることを多くの研究が示す。PD1/PD-L1相互作用の遮断は、腫瘍特異的T細胞免疫の強化をもたらし、したがって免疫系による腫瘍細胞の除去に役立つ可能性がある。この問題に対処するために、多くの研究が行われた。侵攻性膵臓がんのマウスモデル(Nomi, T.,et al.(2007) Clin. Cancer Res.13:2151-2157)では、PD1/PD-L1遮断の治療効果が実証された。PD1又はPD-L1のいずれかへの指向抗体の投与は、腫瘍増殖を大幅に抑制した。抗体遮断は、腫瘍への腫瘍反応性CD8+T細胞浸潤を効果的に促進し、IFNガンマ、グランザイムバンドパーフォリンを含む抗腫瘍エフェクターの上方制御をもたらした。さらに、著者らは、PD1遮断を化学療法と効果的に併用して相乗効果をもたらすことができることを示した。別の研究では、マウスの扁平上皮がんのモデルを使用して、PD1又はPD-L1の抗体遮断が腫瘍増殖を大幅に阻害した(Tsushima, F.,et al.,(2006) Oral Oneal.42:268-274)。
【0143】
「PD1アンタゴニスト」とは、PD1シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化合物又は生体分子を意味する。
【0144】
例えば、PD1活性等の増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0145】
第1の標的タンパク質(FTP)を標的とするADCをPD1阻害剤と組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接したFTP陰性腫瘍細胞は、CD25(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。
【0146】
結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、多くの異なる腫瘍タイプ由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の大部分で発現するプログラム細胞死タンパク質1(PD1)の阻害剤の使用によりさらに強化される。PD1経路の遮断は、腫瘍内TReg細胞の数及び/又は抑制活性を低下させることにより、ADCによって殺傷された腫瘍から放出された抗原に対する抗腫瘍免疫応答を増強する可能性がある。
【0147】
PD1の主な機能は、感染に対する抗炎症反応時にT細胞の活性を制限し、自己免疫を制限することである。T細胞が活性化されるとPD1発現が誘導され、それ自体のリガンドの1つが結合するとT細胞活性化に関与するキナーゼが阻害される。したがって、おそらくはエフェクター免疫応答をさらに抑制するTReg細胞が多くの腫瘍に高度に浸潤しているため、腫瘍環境ではこれが主要な免疫抵抗性に変換される可能性がある。この耐性機構は、ADCと併用してPD1阻害剤を用いることにより軽減される。
【0148】
本開示における二次薬剤としての使用に適したPD1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)リガンド結合パートナーへのPD1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
b)PD-L1へのPD1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
c)PD-L2へのPD-1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
d)PDLIとPDL2の両方へのPD-1の結合を阻害するPD1アンタゴニスト。
e)抗体である、パート(a)~(d)のPD1アンタゴニスト。
【0149】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のPD1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)ペムブロリズマブ(ブランド名キイトルーダ)
i. CAS番号→1374853-91-4
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→254741536
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. DrugBank参照→DB09037
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→DPT0O3T46P
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
b)ニボルマブ(ブランド名オプディボ)
i. CAS番号→946414-94-4
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. DrugBank参照→DB09035
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
c)MEDI0680(以前はAMP-514)
-WO2014/055648、WO2015/042246、WO2016/127052、WO2017/004016、WO2012/145493、US8609089、WO2016/007235、WO2016/011160;Int. J. Mol. Sci. 2016 Jul;17(7): 1151, doi:10.3390/ijms17071151;and Drug Discov Today, 2015 Sep;20(9):1127-34. doi: 10.1016/j.drudis.2015.07.003に記載されるようなもの
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02271945及びNCT02013804も参照されたい
d)PDR001(スパルタリズマブ)
i. CAS番号→1935694-88-4
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→QOG25L6Z8Z
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
-WO2016/007235及びWO2016/011160に記載されるようなもの
-NCIシソーラスコード→C121625
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
e)カムレリズマブ[INCSHR-1210](Incyte)
i. CAS番号→1798286-48-2
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→73096E137E
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
f)AUNP12(ペプチド)(Aurigene/PierreFabre)
i. 配列番号49別名「化合物8」としてWO2011/161699に開示されている、WO2011/161699のA2刊行物の77ページの実施例2を参照されたい
ii. CAS番号→1353563-85-5
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
【化24】
g) ピジリズマブ(CT-01 1)
i. CAS番号→1036730-42-3
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→B932PAQ1BQ
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
h) セミプリマブ(以前はREGN-2810、SAR-439684)
i. CAS番号→1801342-60-8
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→6QVL057INT
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
-WO2016/007235に記載されるようなもの
-NCIシソーラスコード→C121540
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
i)BGB-A317(ティスリリズマブ)
i. US9,834,606B2に記載されるようなもの
ii. 臨床治験NCT03209973(https://clinicaltrials.gov/)を参照されたい
iii. NCIシソーラスコードC121775
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
j)BGB-108
-WO2016/000619及びUS8735553を参照されたい
k)AMP-224
臨床治験NCT02298946、https://clinicaltrials.gov/ct2/homeを参照されたい
【0150】
実施形態によっては、PD1ポリペプチドは、Genbank受入番号AAC51773、バージョン番号AAC51773.1、記録更新日時:Jun 23,2010 09:24AMに該当する。1つの実施形態において、PD1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号U64863、バージョン番号U64863.1、記録更新日時:Jun 23,2010 09:24AMに該当する。実施形態によっては、PD1ポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号Q15116に該当する。
【0151】
PD-L1アンタゴニスト
「PD-L1アンタゴニスト」とは、PD-L1シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化合物又は生体分子を意味する。
【0152】
例えば、PD-L1活性等の増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0153】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをPD-L1阻害剤と組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD-L1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。
【0154】
FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、プログラム細胞死タンパク質1リガンド阻害剤(PD-L1、別名B7-H1又はCD274)の使用によりさらに強化される。
【0155】
PD-L1は通常、多くの異なるヒト腫瘍の腫瘍細胞表面で上方制御されている。腫瘍に発現するPD1リガンドの妨害は、腫瘍微小環境における免疫抑制を回避するため、PDL1阻害剤を使用したPD1経路の遮断は、ADCによって殺傷された腫瘍から放出される抗原に対する抗腫瘍免疫応答を強化する可能性がある。
【0156】
第1の標的タンパク質(FTP)を標的とするADCをPD1阻害剤と組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でPD1阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接したFTP陰性腫瘍細胞は、CD19(+)又はCD22(+)の細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍細胞を直接殺傷する。
【0157】
本開示における二次薬剤としての使用に適したPD-L1アンタゴニストには以下のPD-L1アンタゴニストが含まれる:
(a)PD-L1結合アンタゴニスであるもの;
(b)PD1へのPD-L1の結合を阻害するもの;
(c)B7-1へのPD-L1の結合を阻害するもの;
(d)PD1とB7-1の両方へのPD-L1の結合を阻害するもの;
(e)抗PD-L1抗体であるもの。
【0158】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のPD-L1アンタゴニストには以下が含まれる:
a)アテゾリズマブ(MPDL3280A、ブランド名テセントリク)
i. CAS番号→1380723-44-3
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. DrugBank参照→DB11595
(https://www.drugbank.ca/を参照されたい)
iii. 固有の成分識別子(UNII)→52CMI0WC3Y
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
b)BMS-936559/MDX-1105
I. CAS番号→1422185-22-5
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
II. NCT02028403、https://clinicaltrials.gov/ct2/homeを参照されたい
III. 抗体配列、特に以下についてWO2007/005874を参照されたい
i. 以下を有する抗体:
a. VH CDR1=DYGFS
b. VH CDR2=WITAYNGNTNYAQKLQG
c. VH CDR3=DYFYGMDV
d. VL CDR1=RASQSVSSYLV
e. VL CDR2=DASNRAT
f. VL CDR3=QQRSNWPRT
ii. 以下を有する抗体:
a. VH CDR1=TYAIS
b. VH CDR2=GIIPIFGKAHYAQKFQG
c. VH CDR3=KFHFVSGSPFGMDV
d. VL CDR1=RASQSVSSYLA
e. VL CDR2=DASNRAT
f. VL CDR3=QQRSNWPT
iii. 以下を有する抗体:
a. VH CDR1=SYDVH
b. VH CDR2=WLHADTGITKFSQKFQG
c. VH CDR3=ERIQLWFDY
d. VL CDR1=RASQGISSWLA
e. VL CDR2=AASSLQS
f. VL CDR3=QQYNSYPYT
c)デュルバルマブ/MEDI4736
i. CAS番号→1428935-60-7
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→28X28X9OKV
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
iii. VH配列
(外1)
iv. VL配列
(外2)
d)アベルマブ/MSB0010718C
i. CAS番号→1537032-82-8
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→KXG2PJ551I
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【0159】
実施形態によっては、PD-L1ポリペプチドは、Genbank受入番号AAF25807、バージョン番号AAF25807.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 10:14 PMに該当する。1つの実施形態において、PD1ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF177937、バージョン番号AF177937.1、記録更新日時:Mar 10,2010 10:14PMに該当する。実施形態によっては、PD1ポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号Q9NZQ7に該当する。
【0160】
GITRアゴニスト
本明細書で用いられる場合、用語「グルココルチコイド誘導TNF受容体」(本明細書では「GITR」と略す)は、TNF受容体スーパーファミリー18(TNFRSF18、CD357)、TEASR、及び312C2としても知られ、腫瘍壊死因子/神経成長因子受容体ファミリーの一員を示す。
GITRは、Fasトリガー処理、デキサメタゾン処理、又はUV照射を含む他のアポトーシスシグナルから細胞を保護しないが、細胞外ドメインの3つのシステイン偽反復によって特徴付けられる241アミノ酸のI型膜貫通タンパク質であり、T細胞受容体誘導アポトーシスを特異的に保護する(Nocentini, G.,et al.(1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:6216-622)。
【0161】
GITRの活性化は、腫瘍及びウイルス感染に対する耐性を高め、自己免疫/炎症プロセスに関与し、白血球の血管外漏出を調節する(Nocentinisupra;Cuzzocrea,et al.(2004) J Leukoc. Biol. 76:933-940;Shevach,et al.(2006) Nat. Rev.Immunol.6:613-618;Cuzzocrea,et al(2006) J Immunol.1 77:631-641;及びCuzzocrea,et al.(2007) FASEB J 21 :1 1 7-129)。腫瘍マウスモデルでは、アゴニストGITR抗体、DTA-IがアンタゴニストCTLA-4抗体と組み合わされ、相乗効果を示して部分の試験群マウスで進行期腫瘍の完全な腫瘍退縮をもたらした(Ko,et al.(2005) J Exp. Med.7:885-891)。
【0162】
3つのスプライス変異体があるヒトGITR(hGITR)の核酸及びアミノ酸配列は知られており、たとえばGenBank受け入れ番号gi:40354198、gi:23238190、gi:23238193、及びgi:23238196に見い出しうる。
【0163】
「GITRアゴニスト」とは、GITRシグナル伝達の活性化を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。GITR結合パートナーである可溶性GITR-Lタンパク質も考えられる。
【0164】
例えば、GITR活性等の増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0165】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをGITRアゴニストと組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でGITRアゴニストが患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、GITRアゴニストの使用によりさらに強化される。
【0166】
GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)は、活性化されたT細胞で一時的に発現し、T-regで高レベルで構成的に発現し、活性化後にさらに誘導される。リガンドGITRLを介したGITRライゲーションは、エフェクターと制御性CD4+T細胞の両方の増殖と機能の両方を刺激する。これは、抑制を無効にしながら、T細胞の生存とエフェクター細胞への分化を促進する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、GITRアゴニストはより強力で永続的な免疫応答を誘導する。
【0167】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のGITRアゴニストには以下が含まれる:
a)MEDI1873、MedImmuneが開発したGITRリガンド融合タンパク質
-WO2016/196792、US20160304607を参照されたい
-NCIシソーラスコード→C124651
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT023126110も参照されたい
-Tigue NJ, Bamber L, Andrews J, et al. MEDI1873, a potent, stabilized hexameric agonist of human GITR with regulatory T-cell targeting potential. Oncoimmunology. 2017;6(3):e1280645. doi:10.1080/2162402X.2017.1280645を参照されたい
b)INCAGN1876は、グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質、又はGITRを標的とするアゴニスト抗体である。Ludwig Cancer Researchとの共同研究で発見された。INCAGN1876は共同開発されている
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeでの臨床治験NCT02583165及びNCT03277352を参照されたい
c)TRX518、Leap Therapeuticsが開発した免疫調節活性を有するヒト化非グリコシル化(agylcosylated)(Fc無効)IgG1抗GITR mAb
〇配列58、60~63についてはWO2006/105021を参照されたい配列1~7についてはEP2175884を参照されたい
■以下の配列を含むVL(CDR下線):
(外3)
■以下の配列を含むVH(CDR下線):
(外4)
(外5)
〇https://clinicaltrials.gov/ct2/homeでの臨床治験NCT01239134及びNCT02628574を参照されたい
〇NCIシソーラスコード→C95023
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
d) GWN323、複数のタイプのT細胞に見られるGITRを活性化する抗GITRアゴニストモノクローナル抗体。GWN323はNovartisによって開発された
-WO2016/196792を参照されたい
-NCIシソーラスコード→C128028
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02740270を参照されたい
e) MK-1248、エフェクター機能が大幅に低下したヒト化IgG4抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストモノクローナル抗体(MoAb)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02553499を参照されたい
-MK-1248は、MK4166と同一のCDRを有する(Sukumar et al., Cancer Res. 2017を参照されたい)
f)MK-4166、潜在的な免疫調節活性を持つヒト化IgG1抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストモノクローナル抗体(MoAb)(Sukumar et al., Cancer Res. 2017を参照されたい)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02132754を参照されたい
-Sukumar, et al., (2017), Cancer Research. 77. canres.1439.2016. 10.1158/0008-5472.CAN-16-1439を参照されたい
-NCIシソーラスコード→C116065
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
g)BMS-986156、抗ヒトグルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー18、TNFRSF18、CD357)アゴニストモノクローナル抗体
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02598960を参照されたい
-NCIシソーラスコードC132267
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowser/を参照されたい)
【0168】
アゴニスト抗GITR抗体の配列は、WO2011/028683及びWO2006/105021に提供されている。
【0169】
実施形態によっては、GITRポリペプチドは、Genbank受入番号AAD22635、バージョン番号AAD22635.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 09:42 PMに該当する。1つの実施形態において、GITRポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF125304、バージョン番号AF125304.1、記録更新日時:Mar 10, 2010 09:42 PMに該当する。実施形態によっては、GITRポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号Q9Y5U5に該当する。
【0170】
OX40アゴニスト
OX40(CD134;TNFRSF4)はTNFRスーパーファミリーの一員であり、抗原特異的プライミング中にCD4及びCD8 T細胞によって発現される。OX40の発現は、TCR/CD3架橋後、炎症性サイトカインの存在により、主に一過性である。活性化シグナルの非存在下では、生物学的に重要なレベルでOX40を発現する成熟T細胞サブセットは比較的少数である。最適な「キラー」CD8 T細胞応答を生成するには、OX40アゴニストを使用したOX40のライゲーションにより提供され得る、T細胞受容体の活性化と共刺激が必要である。この活性化機構は、T細胞の分化と細胞溶解機能を増強し、抗腫瘍免疫性を強化する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、OX40アゴニストはより強力で永続的な免疫応答を誘導する。
【0171】
OX40アゴニストは、OX40アゴニスト抗体、OX40Lアゴニスト断片、OX40オリゴマー受容体、及びOX40イムノアドヘシンからなる群から選択され得る。実施形態によっては、OX40結合アゴニストは三量体OX40L-Fcタンパク質である。
【0172】
実施形態によっては、OX40結合アゴニストは、OX40Lの1つ以上の細胞外ドメインを含むOX40Lアゴニスト断片である。実施形態によっては、OX40結合アゴニストは、ヒトOX40に結合するOX40アゴニスト抗体である。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる。実施形態によっては、インビトロにおいて、OX40アゴニスト抗体は、ヒトOX40を発現する細胞を枯渇させる。実施形態によっては、細胞はCD4+エフェクターT細胞である。実施形態によっては、細胞はTreg細胞である。実施形態によっては、枯渇はADCC及び/又は食作用による。実施形態によっては、枯渇はADCCによる。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、約1nM以下の親和性でヒトOX40に結合する。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、抗ヒトOX40アゴニスト抗体による処理前の増殖及び/又はサイトカイン産生と比較して、CD4+エフェクターT細胞の増殖及び/又はCD4+エフェクターT細胞によるサイトカイン産生を増加させる。実施形態によっては、サイトカインはガンマインターフェロンである。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖を増加させ、及び/又はメモリー細胞によるサイトカイン産生を増加させる。実施形態によっては、サイトカインはガンマインターフェロンである。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体はTreg機能を阻害する。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、エフェクターT細胞機能のTreg抑制を阻害する。実施形態によっては、エフェクターT細胞機能は、エフェクターT細胞増殖及び/又はサイトカイン産生である。実施形態によっては、エフェクターT細胞はCD4+エフェクターT細胞である。実施形態によっては、OX40アゴニスト抗体は、OX40を発現する標的細胞におけるOX40シグナル伝達を増加させる。実施形態によっては、OX40シグナル伝達は、NFkB下流シグナル伝達をモニタリングすることにより検出される。
【0173】
「OX40アゴニスト」とは、OX40シグナル伝達の不活性化を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。
【0174】
例えば、OX40活性等の増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0175】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをOX40アゴニストと組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でOX40アゴニストが患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、OX40アゴニストの使用によりさらに強化される。
【0176】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のOX40アゴニストには以下が含まれる:
a)MEDI0562(別名タボリキシズマブ、タボリマブ)
i. CAS番号→1635395-25-3
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii.固有の成分識別子(UNII)→4LU9B48U4D
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02318394を参照されたい
-WO2015/095423、WO2015/153514、WO2016/073380、及びWO2016/081384に記載されるようなもの
-NCIシソーラスコード→C120041
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
-重鎖配列:
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCAVYGGSFSSGYWNWIRKHPGKGLEYIGYISYNGITYHNPSLKSRITINRDTSKNQYSLQLNSVTPEDTAVYYCARYKYDYDGGHAMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
-軽鎖配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSKLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGSALPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFN RGEC
b)MEDI6383(エフィゾネリモドアルファ)
i. CAS番号→1635395-27-5
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→1MH7C2X8KE
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02221960を参照されたい
-WO2015/095423、WO2016/081384、及びWO2016/189124に記載されるようなもの
-NCIシソーラスコード→C118282
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
-アミノ酸配列(WO2016/189124の配列番号17):
ESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGKDQDKIEALSSKVQQLERSIGLKDLAMADLEQKVLEMEASTQVSHRYPRIQSIKVQFTEYKKEKGFILTSQKEDEIMKVQNNSVIINCDGFYLISLKGYFSQEVNISLHYQKDEEPLFQLKKVRSVNSLMVASLTYKDKVYLNVTTDNTSLDDFHVNGGELILIHQNPGEFCVL
c)MOXR0916(RG7888、ポガリズマブとしても知られる)、ヒト化抗OX40モノクローナル抗体
i. CAS番号→1638935-72-4
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→C78148TF1D
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
iii. NCIシソーラスコード→C121376
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
d)OX40mAb24(9B12)
i. OX40mAb24は、9B12のヒト化バージョンである。9B12は、ヒトOX40(CD134)の細胞外ドメインに対するマウスIgG1、抗OX40 mAbである(Weinberg, A.D., et al. J Immunother 29, 575-585 (2006))。
ii. WO2016/057667で、OX40mAb24のVH配列について配列番号59を、VL配列について配列番号29を参照されたい(配列番号32は代替のVLである):
VH配列
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCAVYGGSFSSGYWNWIRKHPGKGLEYIGYISYNGITYHNPSLKSRITINRDTSKNQYSLQLNSVTPEDTAVYYCARYKYDYDGGHAMDYWGQGTLVTVSS
VL配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSKLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGSALPWTFGQGTKVEIK
e)INCAGN1949
i. Gonzalez et al. 2016, DOI: 10.1158/1538-7445.AM2016-3204を参照されたい
ii. https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02923349を参照されたい
iii. 抗体の配列はWO2016/179517 A1に開示される:
i. 特に、以下の配列を含む抗体:
VH CDR1→GSAMH
VH CDR2→RIRSKANSYATAYAASVKG
VH CDR3→GIYDSSGYDY
VL CDR1→RSSQSLLHSNGYNYLD
VL CDR2→LGSNRAS
VL CDR3→MQALQTPLT
ii. 例えば、以下の配列を含む抗体:
VH→
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFSGSAMHWVRQASGKGLEWVGRIRSKANSYATAYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTSGIYDSSGYDYWGQGTLVTVSS
VL→DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLHSNGYNYLDWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQALQTPLTFGGGTKVEIK
g)GSK3174998、ヒト化IgG1アゴニスト抗OX40モノクローナル抗体(mAb)
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02528357を参照されたい
h)PF-04518600(PF-8600)は、OX40タンパク質を標的とする研究用の完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)である。
-特許WO2017/130076 A1を参照されたい
-https://clinicaltrials.gov/ct2/homeの臨床治験NCT02315066を参照されたい
NCIシソーラスコード→C121927
(https://ncit.nci.nih.gov/ncitbrowserを参照されたい)
【0177】
実施形態によっては、OX40ポリペプチドは、Genbank受入番号CAA53576、バージョン番号CAA53576.1、記録更新日時:Feb 2, 2011 10:10 AMに該当する。1つの実施形態において、OX40ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号X75962、バージョン番号X75962.1、記録更新日時:Feb 2, 2011 10:10 AMに該当する。実施形態によっては、OX40ポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号P43489に該当する。
【0178】
CTLAアゴニスト
CTLA4(CD152)は、活性化されたT細胞に発現し、CD28を介したT細胞の活性化に続いてT細胞の応答を抑制する共阻害剤として機能する。CTLA4は、TCR関与後のナイーブT及びメモリーT細胞の初期活性化の大きさを調節し、抗腫瘍免疫と自己免疫の両方に影響を与える中枢抑制経路の部分であると考えられている。CTLA4はT細胞でのみ発現し、そのリガンドCD80(B7.1)及びCD86(B7.2)の発現は、抗原提示細胞、T細胞、及び他の免疫媒介細胞に大きく制限されている。CTLA4シグナル伝達経路を遮断するアンタゴニスト抗CTLA4抗体は、T細胞の活性化を強化することが報告されている。そのような抗体の1つであるイピリムマブは、転移性黒色腫の治療薬として2011年にFDAによって承認された。別の抗CTLA4抗体であるトレメリムマブは、進行性黒色腫の治療に関する第III相治験で試験されたが、当時の標準治療(テモゾロミド又はダカルバジン)と比較して患者の全生存期間を有意に延長することはなかった。
【0179】
「CTLA4アゴニスト」とは、CTLA4シグナル伝達の阻害を通じて免疫反応を刺激する化学化合物又は生体分子を意味する。
【0180】
例えば、CTLA4活性等の増強の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0181】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCをCTLA4阻害剤と組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方でCTLA4阻害剤が患者自身のがん細胞を排除する免疫系に関与するため、有利である。FTP(+)腫瘍細胞の次に、FTP(+)腫瘍細胞に近接した標的陰性腫瘍細胞は、FTP(+)細胞殺傷後に放出されるPBD二量体のバイスタンダー機構によって潜在的に殺傷される。したがって、ADCは腫瘍を直接殺傷する。結果としての、PBD二量体で殺傷された細胞からの腫瘍関連抗原の放出は、免疫系を誘発し、免疫系は、多くの異なる腫瘍タイプ腫瘍由来の浸潤リンパ球(TIL)の大部分で発現するCTLA4の阻害剤の使用によりさらに強化される。
【0182】
CTLA4(CD152)の主要な機能は、T細胞活性化の初期段階の大きさを調節することであり、そのようなとき、腫瘍微小環境におけるT細胞共刺激受容体CD28の活性を打ち消す。したがって、腫瘍微小環境において、CTLA4経路の遮断はエフェクターCD4+T細胞活性の増強を促進する一方で、TReg細胞依存性免疫抑制を阻害する。したがって、ADCでFTP(+)腫瘍を標的にして抗原性細胞死を引き起こすことが有益である一方で、CTLA4遮断はより強力な免疫、永続的な応答を誘導する。
【0183】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定のCTLA4アンタゴニストには以下が含まれる:
a)イピリムマブ
i. CAS番号→477202-00-9
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→6T8C155666
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
b)トレメリムマブ
i. CAS番号→745013-59-6
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. 固有の成分識別子(UNII)→QEN1X95CIX
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
iii. VH配列
(外6)
[配列番号1]
iv. VL配列
(外7)
[配列番号2]
【0184】
実施形態によっては、CTLAポリペプチドは、Genbank受入番号AAL07473、バージョン番号AAL07473.1、記録更新日時:Mar 11, 2010 01:28 AMに該当する。1つの実施形態において、CTLA4ポリペプチドをコードする核酸は、Genbank受入番号AF414120、バージョン番号AF414120.1、記録更新日時:Mar 11, 2010 01:28 AMに該当する。実施形態によっては、OX40ポリペプチドはUniprot/Swiss-Prot受入番号P16410に該当する。
【0185】
フルダラビン及びシタラビン
異なる作用機序を有する薬剤の組み合わせは、がんと闘うための確立された治療原理である。相乗効果が示されたとき、及び/又は毒性の低下が観察されたときに、抗腫瘍活性を増加させる方法となり得る。PBD弾頭を含む抗体薬物複合体は、従来の化学療法と比較してより標的化されているため、組み合わせパートナーとして特に適している可能性がある。PBD二量体はDNAを共有結合で架橋するため、異なるメカニズムを介してDNA合成を妨害する他の薬剤と組み合わせることで利点が得られる可能性がある。そのような起こり得る組み合わせの例は、フルダラビンとシタラビンである。
【0186】
フルダラビン
フルダラビン又はリン酸フルダラビン(フルダラ)は、白血病及びリンパ腫等の血液悪性腫瘍の治療に用いられる化学療法薬である。それは、リボヌクレオチドレダクターゼ(RNAR)及びDNAポリメラーゼを妨害することによりDNAを妨害するプリン類似体である。それは、分裂細胞と静止細胞の両方に対して活性である。フルダラビンはERCC1転写を抑制することも示されており、これは、慢性リンパ球性白血病細胞に対するフルダラビンとPBD二量体SJG136(SG2000)の観察された相乗効果を説明することができる。CLAG/CLAG-M-クラドリビンは、RNRを阻害する別のプリン類似体である。
【0187】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性リンパ腫及び白血病を標的とするADCとフルダラビンを組み合わせると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でフルダラビンが細胞のRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを阻害しつつ、PBD二量体によって誘導されるDNA架橋を解決するために必要なDNA修復酵素も抑制するので、有利である。
【0188】
ADCがフルダラビンと相乗的に機能することを示すために、FTP(+)細胞株のパネルをADCとフルダラビンの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、フルダラビンと非標的対照ADCの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、表面FTPの量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのインビトロ細胞毒性(CellTiter-Glo(登録商標)又はMTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定される。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して組み合わせ指数を計算することにより計算される。
【0189】
CAS番号→21679-14-1
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→657237
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. IUPHAR/BPS参照→4802
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→1X9VK9O1SC
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【化25】
式VII、フルダラビン: [(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-フルオロ-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-オキソラン-2-イル]メトキシホスホン酸
【0190】
シタラビン
シタラビン又はシトシンアラビノシド(Cytosar-U又はDepocyt)は、急性骨髄性白血病(AML)及び非ホジキンリンパ腫等の血液悪性腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗化学療法薬である。また、ara-C(アラビノフラノシルシチジン)としても知られている。DNA合成を妨害することにより、がん細胞を殺傷する。それは、細胞周期がS期(DNAの合成)に保持されるときにDNAを損傷するシトシンアラビノシド三リン酸に能動的に代謝される。したがって、有糸分裂のためにDNA複製を必要とする急速に分裂する細胞が最も影響を受ける。シトシンアラビノシドはまた、DNA合成に必要なDNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼとヌクレオチドレダクターゼ酵素の両方を阻害する。
【0191】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性リンパ腫及び白血病を標的とするADCとシタラビンを組み合わせると、一方で、ADCがDNA架橋に依存するメカニズムを介してFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷してアポトーシスを引き起こすが、他方でシタラビンが細胞のRNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを阻害しつつ、DNA合成も抑制するので、有利である。
【0192】
ADCがシタラビンと相乗的に機能することを示すために、FTP(+)細胞株のパネルをADCとシタラビンの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、シタラビンと非標的対照ADCの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理する。インキュベーション後、表面FTPの量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのインビトロ細胞毒性(CellTiter-Glo(登録商標)又はMTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定される。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して組み合わせ指数を計算することにより計算される(実施例4を参照されたい)。
【0193】
CAS番号→147-94-4
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→6253
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. IUPHAR/BPS参照→4827
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→04079A1RDZ
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【化26】
式VIII、シタラビン:4-アミノ-1-[(2R,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]ピリミジン-2-オン
【0194】
低メチル化剤
「低メチル化剤」という用語は、シトシンピリミジン環の5位又はアデニンプリン環の6位の窒素へのメチル基の付加であるDNAメチル化を妨害する化合物のクラスを指す。DNAのメチル化は、細胞内の遺伝子発現パターンを安定的に変化させ、すなわち、遺伝子発現を低下させる(すなわち、ビタミンD受容体の場合)。低メチル化剤は、メチル化を阻害することができる化合物で、以前に過剰メチル化された発現抑制遺伝子の発現をもたらす。5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)等のシチジン類似体が最も一般的に用いられる低メチル化剤である。これらの化合物は、メチル化反応を触媒する酵素、すなわちDNAメチルトランスフェラーゼに結合することで機能する。
【0195】
過剰メチル化の程度を調べるために、所与の、例えばタンパク質、遺伝子、細胞、又は生物を含む試料又はアッセイを潜在的な活性化剤又は阻害剤で処理し、不活性対照分子で処理した対照試料と比較する。対照試料には、100%の相対活性値が割り当てられる。対照に対する活性値が約90%以下、典型的には85%以下、より典型的には80%以下、最も典型的には75%以下、一般に70%以下、より一般的には65%以下、最も一般的には60%以下、典型的には55%以下、通常は50%以下、より通常は45%以下、最も通常は40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは25%以下、及び最も好ましくは20%未満である場合に阻害が達成される。対照に対する活性値が約110%、一般に少なくとも120%、より一般的には少なくとも140%、より一般的には少なくとも160%、多くの場合少なくとも180%、より多くの場合少なくとも2倍、最も頻繁には少なくとも2.5倍、通常少なくとも5倍、より通常少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも40倍、最も好ましくは40倍を超えて高くなる場合に活性化が達成される。
【0196】
第1の標的タンパク質(FTP)陽性のリンパ腫と白血病を標的とするADCを低メチル化剤と組み合わせると、一方でADCがFTP陽性腫瘍細胞を直接殺傷し、他方で低メチル化剤がDNAメチル化を妨害するため、有利である。この妨害は、その配列の脱メチル化を引き起こすことにより、細胞調節タンパク質がDNA/RNA基質に結合する方法に悪影響を及ぼす。PBD二量体はDNAを共有結合で架橋し、異なるメカニズムを介してDNA合成を妨害する他の薬剤と組み合わせることで利点をもたらすので、この活性はADCと相乗効果がある。
【0197】
本開示における二次薬剤としての使用に適した特定の低メチル化剤には以下が含まれる:
a)5-アザシチジン(アザシチジン)
i. CAS番号→320-67-2
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→9444
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. IUPHAR/BPS参照→6796
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→M801H13NRU
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【化27】
式IX、5-アザシチジン:4-アミノ-1-β-D-リボフラノシル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン
b) 5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)
i. CAS番号→2353-33-5
(http://www.cas.org/content/chemical-substances/faqsを参照されたい)
ii. NCBI Pubchem参照→451668
(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/を参照されたい)
iii. IUPHAR/BPS参照→6805
(http://www.guidetopharmacology.org/を参照されたい)
iv. 固有の成分識別子(UNII)→776B62CQ27
(http://www.fda.gov/ForIndustry/DataStandards/SubstanceRegistrationSystem-UniqueIngredientIdentifierUNII/default.htmを参照されたい)
【化28】
式X、b)5-アザ-2’-デオキシシチジン:4-アミノ-1-(2-デオキシ-β-D-エリトロ-ペントフラノシル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン
【0198】
記載された組み合わせの有利な特性
単独の薬剤として単独で使用された場合、ADCと二次薬剤の両方が、例えば、がんの治療において、臨床的有用性を実証した。しかし、本明細書に記載されているように、ADCと二次薬剤の組み合わせは、ADC又は二次薬剤のいずれか単独での治療を超える以下の利点の1つ以上を提供することが期待される:
1)広範囲のがんの効果的な治療;
2)がん等の抵抗性又は難治性の障害、及び寛解期間後に再発したがん等の障害を持つ個体の効果的な治療;
3)治療に対する奏効率の増加;及び/又は
4)向上した治療の耐久性。
【0199】
本明細書で用いられる、より広い範囲のがんの効果的な治療は、組み合わせによる治療後、より広い範囲の認識されたがんの種類で完全奏功が観察されることを意味する。すなわち、ADC又は二次的薬剤単独に完全に応答すると以前に報告されていないがんの種類から完全奏功が見られる。
【0200】
本明細書で用いるとき、抵抗性、難治性、又は再発型の効果的な治療とは、組み合わせによる治療後、ADC又は二次薬剤単独の治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体(例えば、いずれかの薬剤単独による治療後に反応がないか、もしくは部分奏効のみを示す個体、又は障害を再発した個体)で、完全奏功が観察されることを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功は、ADC又は二次薬剤いずれか単独による治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体の少なくとも10%で観察される。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功が、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療に対して部分的又は完全に抵抗性又は難治性の個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%で観察される。
【0201】
本明細書で用いられる場合、治療に対する奏効率の増加とは、個体において、組み合わせによる治療後、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療後に観察されるよりも大きな割合で完全奏功が観察されることを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功が、治療された個体の少なくとも10%で観察される。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功が、治療された個体の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%で観察される。
【0202】
本明細書で用いられる場合、治療の耐久性の増加とは、組み合わせで治療された個体の完全奏効の平均期間が、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療後に完全奏効を達成する個体よりも長いことを意味する。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功の平均期間は、少なくとも6か月間である。実施形態によっては、ADC/二次薬剤の組み合わせによる治療後の完全奏功の平均期間は、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間、少なくとも24か月間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、又は少なくとも20年間である。
【0203】
本明細書では、「完全奏功」とは、個体に疾患の臨床的証拠がないことを意味する。証拠は、当該技術分野における適切な方法論、例えば、CTもしくはPETスキャン、又は適切な場合には生検を使用して評価され得る。完全奏功を達成するために必要な投与回数は、1、2、3、4、5、10、又はそれ以上である。実施形態によっては、個体は最初の用量の投与後1年以内、例えば、6か月以内、3か月以内、1か月以内、2週間以内、又は1週間以内で完全奏功を達成する。
【0204】
〔治療される障害〕
本明細書に記載される併用療法として、抗がん活性に関する効能があるものが挙げられる。詳細には、特定の態様において、治療法として、PBD薬物部分、すなわち毒素と、複合体形成した、すなわち、リンカーにより毒素と共有結合した抗体が挙げられる。PBD薬物が抗体と複合体形成していない場合、その薬物には、細胞毒性効果がある。すなわち、PBD薬物部分の生物活性は、抗体と複合体形成することにより調節される。本開示の抗体薬物複合体(ADC)は、有効量の細胞毒性剤を腫瘍組織に選択的に送達し、それにより、より高い選択性を、すなわちより低い有効量を達成することが可能である。
【0205】
すなわち、1つの態様において、本開示は、治療に用いる、第1の標的タンパク質に結合するADCを投与することを含む併用療法を提供し、この方法は、標的タンパク質の発現に基づいて対象を選択することを含む。
【0206】
一態様では、本開示は、治療がそのような使用に適していると判断された対象による使用に適していることを明記するラベルを備えた併用療法を提供する。ラベルは、治療が、第1の標的タンパク質の過剰発現など、第1の標的タンパク質の発現を有する対象での使用に適していることを明記してもよい。ラベルは、対象に特定の種類のがんがあることを明記する場合がある。
【0207】
第1の標的タンパク質は、好ましくはCD25である。がんは、AML等のリンパ腫であり得る。ラベルは、対象にCD25+のリンパ腫があることを明記する場合がある。
【0208】
さらなる態様において、同じく提供されるのは、増殖性疾患の治療に用いる、本明細書中記載される併用療法である。本開示の別の態様は、増殖性疾患の治療用医薬の製造における複合体化合物の使用を提供する。
【0209】
当業者なら、候補の併用療法が任意の特定細胞型について増殖性症状を治療するかどうかを、容易に決定することができる。例えば、特定化合物により提供される活性を査定するのに都合良く用いることができるアッセイを、以下に記載する。
【0210】
本明細書に記載される併用療法は、増殖性疾患の治療に使用され得る。「増殖性疾患」という用語は、インビトロであるかインビボであるかに関わらず、望ましくない過剰な又は異常細胞の望ましくない又は制御不能な細胞増殖、例えば、腫瘍性又は過形成増殖に関する。
【0211】
増殖性症状の例として、良性、前悪性、及び悪性細胞増殖が挙げられるがこれらに限定されず、そのような細胞増殖として、新生物及び腫瘍(例えば、組織球腫、神経膠腫、星細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺がん、小細胞肺がん、消化器がん、腸がん、結腸がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、腎臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳がん、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、リンパ腫、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織のもの)、及び粥状動脈硬化が挙げられるがこれらに限定されない。関心が持たれるがんとして、白血病及び卵巣がんが挙げられるがこれらに限定されない。
【0212】
任意の型の細胞を処置することが可能であり、そのような細胞として、肺、消化管(例えば、腸、結腸を含む)、乳房(乳腺)、卵巣、前立腺、肝臓(肝性)、腎臓(腎性)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。
【0213】
特に関心が持たれる増殖性障害として、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、及びフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]が挙げられるがこれらに限定されない。
【0214】
増殖性疾患は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする場合がある。
【0215】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0216】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0217】
本明細書における「固形腫瘍」は、本明細書でより詳細に論じられるリンパ腫(ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫)等の固形血液がんを含むと理解されるであろう。
【0218】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0219】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0220】
本開示の併用療法は、様々な疾患又は障害、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものの治療に用いられる場合があることが企図される。症状又は過剰増殖障害の例として、良性又は悪性腫瘍;白血病、血液系悪性腫瘍、及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。他のものとして、神経性障害、グリア細胞障害、星状細胞障害、視床下部障害、腺性障害、マクロファージ障害、上皮障害、間質性障害、胞胚腔障害、炎症性障害、血管原性障害、及び自己免疫障害及び移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫障害が挙げられる。
【0221】
一般に、治療対象となる疾患又は障害は、がん等の過剰増殖疾患である。本明細書中、治療対象となるがんの例として、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。こうしたがんのより詳細な例として、扁平細胞がん(例えば、扁平上皮がん)、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、及び肺扁平上皮がんを含む)、腹膜がん、肝細胞がん、消化器がんを含む胃(gastric)又は胃(stomach)がん、膵がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝細胞がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜又は子宮がん、唾液腺がん、腎臓又は腎性がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝性がん、肛門がん、陰茎がん、並びに頭頚部がんが挙げられる。
【0222】
治療に併用療法を用いる場合がある自己免疫疾患として、リウマチ障害(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎等のループス、多発性筋炎/皮膚筋炎、低温型グロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬性関節炎など)、変形性関節炎、自己免疫性消化管及び肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病など)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、並びにセリアック病など)、血管炎(例えば、チャーグ・ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、及び多発性動脈炎をはじめとするANCA関連血管炎など)、自己免疫性神経障害(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発ニューロパチーなど)、腎性障害(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルジェ病など)、自己免疫性皮膚障害(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、蕁麻疹(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、及び皮膚エリテマトーデスなど)、血液障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、及び自己免疫性溶血性貧血など)、粥状動脈硬化、ぶどう膜炎、自己免疫性聴覚障害(例えば、内耳疾患及び難聴など)、ベーチェット病、レイノー病、臓器移植、移植片対宿主病(GVHD)、並びに自己免疫性内分泌障害(例えば、糖尿病関連自己免疫疾患、例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、及び自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病及び甲状腺炎)など)が挙げられる。そのような疾患のより好ましいものとして、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、及び糸球体腎炎が挙げられる。
【0223】
いくつかの態様では、対象は、混合細胞型(ホジキン-/リード-スターンバート細胞:CD25+/-)を有する(古典的)ホジキンリンパ腫、又は非ホジキンリンパ腫、例えば、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病[Fielding A.,Haematologica.2010 Jan;95(1):8-12]、小細胞リンパ球性白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、又は未分化大細胞リンパ腫から選択される増殖性障害を有する。
【0224】
いくつかの態様では、対象は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患を有する。
【0225】
増殖性疾患は、CD25-ve新生物細胞から構成される新生物の存在を特徴とする場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。
【0226】
標的新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。
【0227】
固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0228】
例えば、固形腫瘍は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い腫瘍であり得る(Treg;Menetrier-Caux,C., et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。したがって、固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0229】
古典的なホジキンリンパ腫には、結節硬化型、リンパ球優位型、リンパ球枯渇型、及び混合細胞型のサブタイプが含まれる。ホジキンリンパ腫のサブタイプは定義されていない場合がある。特定の態様では、本明細書の方法に従って試験される患者には、結節硬化型及び混合細胞型のサブタイプのホジキンリンパ腫がある。
【0230】
特定の態様では、対象は、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T細胞リンパ腫のサブタイプを含むびまん性大細胞B細胞リンパ腫又は末梢T細胞リンパ腫を有している。
【0231】
患者の選択
特定の態様では、個体は、治療が施される前に併用治療による治療に適するとして選択される。
【0232】
本明細書で用いられる場合、治療に適すると考えられる個体は、治療から利益を得る、又は治療に応答すると期待される個体である。個体は、がんに罹患している可能性があるか、その疑いがあり得るか、がんになるリスクがあり得る。個体は、がんの診断を受けていてもよい。詳細には、個体は、リンパ腫に罹患している可能性があるか、その疑いがあり得るか、リンパ腫になるリスクがあり得る。場合によっては、個体は、第1の標的タンパク質を発現する浸潤T細胞等の、第1の標的タンパク質を発現する腫瘍関連非腫瘍細胞を有する固形がんを有しうるか、有する疑いがあり得るか、又は有するリスクがあり得る。
【0233】
いくつかの態様では、個体は、第1の標的タンパク質の発現の量又はパターンに基づいて選択される。いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第1の標的タンパク質の発現に基づいている。そのため、場合によっては、個体は、自身ががんを有している、もしくは有している疑いがある、そうなるリスクがある、又は低レベルの表面発現で第1の標的タンパク質(CD25など)を有する細胞を含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患の診断を受けていることに基づいて選択される。新生物は、低レベルの表面発現で第1の標的タンパク質(CD25など)を有する細胞で構成されていてもよい。場合によっては、低レベルの表面発現は、新生物細胞あたりの結合した抗FTP抗体の平均数が、20000未満、例えば、10000未満、5000未満、2000未満、1000未満、500未満、400未満、300未満、200未満、又は100未満であることを意味する。場合によっては、細胞あたりの結合した抗体の平均数は、実施例9に記載されているアッセイを使用して測定される。
いくつかの態様では、個体は、CD25+ve細胞とCD25-ve細胞の両方を含む新生物を有していることに基づいて選択される。新生物は、CD25-ve新生物細胞から構成される場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。固形腫瘍は、部分的に又はすべてがCD25-veである場合があり、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞によって浸潤されている場合がある。
【0234】
特定の態様では、標的は第2の標的タンパク質である。いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第2の標的タンパク質の発現に基づいている。
【0235】
いくつかの態様では、選択は、細胞表面での第1の標的タンパク質と第2の標的タンパク質の両方のレベルに基づいている。
【0236】
場合によっては、目的の特定の組織における標的の発現が決定される。例えば、リンパ組織又は腫瘍組織の試料中においてである。場合によっては、標的の全身での発現が決定される。例えば、血液、血漿、血清、又はリンパ液等の循環液の試料中においてである。
【0237】
いくつかの態様では、個体は、試料中の標的発現の存在のために治療に適するとして選択される。これらの場合、標的発現のない個体は治療に適さないとみなされる可能性がある。
【0238】
他の態様では、標的発現のレベルを使用して、治療に適した個体を選択する。標的の発現レベルが閾値レベルを超える場合、個人は治療に適すると判断される。
【0239】
いくつかの態様では、試料中の細胞における第1の標的タンパク質及び/又は第2の標的タンパク質の存在は、個体がADC及び二次薬剤を含む併用治療に適することを示す。他の態様では、第1の標的タンパク質及び/又は第2の標的タンパク質の発現の量は、個体が治療に適することを示すために閾値レベルを超えなければならない。いくつかの態様では、対照と比較して、試料における第1の標的タンパク質及び/又は第2の標的タンパク質の局在が変化するという観察は、個体が治療に適することを示す。
【0240】
いくつかの態様では、リンパ節又は余分な結節部位から得られた細胞が、IHCによって決定されるときに第1の標的タンパク質及び/又は第2の標的タンパク質に対する抗体と反応する場合、個体は治療に適すると示される。
【0241】
いくつかの態様では、試料中の全ての細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上が第1の標的タンパク質を発現している場合、患者は治療に適すると判断される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、試料中の細胞の少なくとも10%が第1の標的タンパク質を発現する場合、患者は治療に適すると判断される。
【0242】
いくつかの態様では、試料中の全ての細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又はそれ以上が第2の標的タンパク質を発現している場合、患者は治療に適すると判断される。本明細書に開示されるいくつかの態様では、試料中の細胞の少なくとも10%が第2の標的タンパク質を発現する場合、患者は治療に適すると判断される。
【0243】
第1の標的タンパク質は、好ましくはCD25である。
【0244】
第2の標的タンパク質は、BTK、PD1、PDL1、GITR、OX40、又はCTLAであり得る。第2の標的タンパク質は、好ましくはPD-L1である。
【0245】
試料
試料は、以下を含みうるか、又はそれに由来しうる:一定量の血液;フィブリン血餅と血球の除去後に得られた血液の液体部分を含む可能性がある個体の血液に由来する一定量の血清;一定量の膵液;組織試料もしくは生検;又は前記個体から単離された細胞。
【0246】
試料は、いかなる組織又は体液から採取できる。特定の態様では、試料は、前記個体からの組織試料、生検、切除又は単離細胞を含みうるか、又はそれに由来しうる。
【0247】
特定の態様では、試料は組織試料である。試料は、がん性腫瘍組織等の腫瘍組織の試料であってもよい。試料は、腫瘍生検によって得られたものでもよい。いくつかの態様では、試料は、リンパ病変試料又はリンパ節生検等のリンパ組織試料である。場合によっては、試料は皮膚生検である。
【0248】
いくつかの態様では、試料は体液から採取され、より好ましくは体を循環する体液から採取される。したがって、試料は血液試料又はリンパ試料であり得る。場合によっては、試料は尿試料又は唾液試料である。
【0249】
場合によっては、試料は血液試料又は血液由来の試料である。血液由来の試料は、個体の血液の選択された画分、例えば、選択された細胞含有画分又は血漿もしくは血清画分であり得る。
【0250】
選択された細胞含有画分は、白血球(WBC)、特に末梢血単核細胞(PBC)及び/又は顆粒球、及び/又は赤血球(RBC)を含みうる、目的の細胞の種類を含みうる。したがって、本開示による方法は、血中、白血球、末梢血単核細胞、顆粒球及び/又は赤血球中の第1の標的ポリペプチド又は核酸の検出を含みうる。
【0251】
試料は新規調製したものでも保存されたものでもよい。例えば、保存された組織は、個体の最初の診断、又は再発時の生検からのものであり得る。特定の態様では、試料は新規調製された生検である。
【0252】
第1の標的ポリペプチドは、好ましくはCD25である。
【0253】
個体の状態
個体は、動物、哺乳類、有胎盤哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、マーモット)、単孔類(例えば、カモノハシ)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、マウス類(例えば、マウス)、ウサギ類(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ類(例えば、イヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ヒツジ類(例えば、ヒツジ)、ウシ類(例えば、ウシ)、霊長類、真猿類(例えば、サル又は類人猿)、サル類(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであってよい。
【0254】
そのうえさらに、個体は、その発育形態のいずれの場合もあり、例えば、胎児の場合もある。1つの好適な実施形態において、個体は、ヒトである。「対象」、「患者」及び「個体」という用語は、本明細書では交換可能に用いられる。
【0255】
本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体は、がんを有するか、又は有すると疑われるか、又はがんのリスクがあると同定されている。本明細書に開示されるいくつかの態様では、個体はすでにがんの診断を受けている。個体は、(古典的な)ホジキンリンパ腫(結節硬化型、リンパ球優位型、リンパ球、混合細胞型、又は型が特定されていないものを含む)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)又は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(ALCL:未分化大細胞リンパ腫又はAITL:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫のサブタイプを含む)の診断を受けている場合がある。場合によっては、個体は、結節性硬化型又は混合細胞型の古典的ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の診断を受けている。
【0256】
場合によっては、個体は、CD25+veとCD25-ve細胞をともに含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患を有するか、又は有すると疑われる。新生物は、CD25-ve新生物細胞から構成される場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0257】
場合によっては、個体は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い固形腫瘍を有しているか、又は有すると疑われる(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。腫瘍における新生物細胞の部分又はすべては、CD25-veであり得る。固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がんであり得る。
【0258】
場合によっては、個体は、(古典的)ホジキンリンパ腫(混合細胞型)、又は非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞慢性リンパ球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL)、及び白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病[Fielding A., Haematologica. 2010 Jan;95(1): 8-12]、小細胞リンパ球性白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫の診断を受けている。
【0259】
場合によっては、個体は、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、全身性肥満細胞症、B細胞リンパ腫、非造血器腫瘍、末梢T細胞リンパ腫、及び組織球増殖の診断を受けている。
【0260】
場合によっては、個体は、低レベルの表面発現で第1の標的タンパク質(CD25など)を有する細胞を含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患を有している、有している疑いがある、又は診断を受けている。新生物は、低レベルの表面発現で第1の標的タンパク質(CD25など)を有する細胞で構成されていてもよい。場合によっては、低レベルの表現発現は、新生物細胞あたりの結合した抗FTP抗体の平均数が、20000未満、例えば、10000未満、5000未満、2000未満、1000未満、500未満、400未満、300未満、200未満、又は100未満であることを意味する。場合によっては、細胞あたりの結合した抗体の平均数は、実施例9に記載されているアッセイを使用して測定される。
【0261】
場合によっては、個体は、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする増殖性疾患の診断を受けている。新生物は、CD25-ve新生物細胞から構成される場合があり、場合により、CD25-ve新生物細胞はCD25+ve T細胞等のCD25+ve非新生物細胞と関連する。新生物又は新生物細胞は、固形腫瘍の全て又は部分であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される非血液がんを含む新生物であり得る。固形腫瘍は、CD25+ve T細胞等のCD25+ve細胞が浸潤した非血液がんを含む新生物である場合があり、そのような固形腫瘍は、CD25の発現を欠く場合がある(すなわち、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される)。
【0262】
場合によっては、個体は、浸潤性制御性T細胞等の浸潤性T細胞のレベルが高い固形腫瘍の診断を受けている(Treg;Menetrier-Caux,C.,et al.,Targ Oncol(2012)7:15-28;Arce Vargas et al.,2017,Immunity 46,1-10;Tanaka,A.,et al.,Cell Res.2017 Jan;27(1):109-118)。腫瘍における新生物細胞の部分又はすべては、CD25-veであり得る。固形腫瘍は、膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、ならびに頭頸部がんであり得る。
【0263】
場合によっては、個体はCD25+発現浸潤T細胞を含む固形がんの診断を受けている。
【0264】
個体は、そのがんの治療的処置を受けているか、又は受けていた可能性がある。対象は、以前にADC×25を投与されていてもいなくてもよい。場合によっては、がんは、ホジキン又は非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫である。
【0265】
対照
いくつかの態様では、個体における標的発現は、対照における標的発現と比較される。対照は、染色の有効性をサポートし、実験のアーティファクトを同定するのに役立つ。
【0266】
場合によっては、対照は参照試料又は参照データセットであってもよい。参照は、既知の適合度を持つ個体から以前に取得した試料であってもよい。参照は、参照試料の分析から取得されたデータセットであってもよい。
【0267】
対照は、標的分子が存在するか、高レベルで発現することが知られている陽性対照、又は標的分子が存在しないか低レベルで発現することが知られている陰性対照であり得る。
【0268】
対照は、治療の恩恵を受けることが知られている個体由来の組織の試料であってもよい。組織は、試験される試料と同一のタイプのものであり得る。例えば、個体からの腫瘍組織の試料は、治療に以前に応答した個体など、治療に適することが知られている個体からの腫瘍組織の対照試料と比較されてもよい。
【0269】
場合によっては、対照は試験試料と同じ個体から得られた試料であってもよいが、健康であることが知られている組織に由来する。したがって、個体からのがん組織の試料は、非がん組織試料と比較され得る。
【0270】
場合によっては、対照は細胞培養試料である。
【0271】
場合によっては、抗体とのインキュベーションの前に試験試料を分析して、その試料に固有のバックグラウンド染色のレベルを決定する。
【0272】
場合によっては、アイソタイプ対照が用いられる。アイソタイプ対照は、標的特異的抗体と同じクラスであるが、試料とは免疫反応しない抗体を用いる。そのような対照は、標的特異的抗体の非特異的相互作用を区別するのに役立つ。
【0273】
この方法には、検査結果の正確な解釈を保証するために、形態学及び免疫組織化学の血液病理学者による解釈が含まれる場合がある。この方法は、発現のパターンが予想されるパターンと相関していることの確認を伴う場合がある。例えば、第1の標的タンパク質及び/又は第2の標的タンパク質の発現の量が分析される場合、この方法は、試験試料において細胞質成分を伴う膜染色として発現が観察されることの確認を含みうる。この方法は、標的シグナル対ノイズの比が閾値レベルを超えていることを確認することを含み、それにより、特異的なシグナルと非特異的なバックグラウンドシグナルとを明確に区別することができる。
【0274】
第1の標的タンパク質は、好ましくはCD25である。
【0275】
第2の標的タンパク質は、BTK、PD1、PDL1、GITR、OX40、又はCTLAであり得る。第2の標的タンパク質は、好ましくはPD-L1である。
【0276】
治療方法
「治療」という用語は、症状の治療の文脈において本明細書中用いられる場合、ヒトであるか動物であるか(例えば、獣医学用途において)に関わらず、概して、ある所望の治療効果、例えば、症状の増悪の阻害などが達成される治療及び療法に関し、この用語は、増悪の速度の低下、増悪の速度の停止、症状の退行、症状の寛解、及び症状の治癒を含む。予防的手段としての治療(すなわち、予防、防止)も含まれる。
【0277】
「治療上有効量」又は「有効量」という用語は、本明細書中用いられる場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の治療効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
【0278】
同様に、「予防上有効量」という用語は、本明細書中用いられる場合、所望の治療レジメンに従って投与した場合に、ある所望の予防効果を生じるのに有効であり、合理的なベネフィット/リスクに見合った、活性化合物、又は活性化合物を含む材料、組成物、もしくは剤型の量に関する。
【0279】
本明細書では、治療方法が開示されている。同じく提供されるのは、治療方法であり、本方法は、治療を必要としている対象に、治療上有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む。「治療上有効量」という用語は、対象に対して有益性を示すのに十分な量である。そのような有益性は、少なくとも1種の症候の少なくとも改善である場合がある。投与される実際量、ならびに投与の速度及び時間経過は、治療されるものの性質及び重篤度に依存することになる。治療の処方、例えば、投薬量の決定は、一般開業医及び他の臨床医師の担当範囲に含まれる。対象は、本明細書に開示される方法による治療を受ける適格性を判定するために試験された可能性がある。治療方法は、本明細書に開示される方法を使用して、対象が治療に適格であるかどうかを判定するステップを含みうる。
【0280】
ADCは、抗CD25抗体を含んでもよい。抗CD25抗体は、HuMax-TAC(商標)であってよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでもよい。ADCは、抗CD25-ADC、特にADC×25であってよい。ADCは、WO2014/057119に開示されているADCであってよい。
【0281】
二次薬剤は以下であり得る:
(a)イブルチニブ(イムブルビカ)、アカラブルチニブ/ACP-196、ONO/GS-4059、スペブルチニブ/AVL-292/CC-292、HM71224(ポセルチニブ)、もしくはBGB-3111(ザヌブルチニブ)などのブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi);
(b)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、Camrelizumab、AUNP12、ピジリズマブ、Cemiplimab(REGN-2810)、AMP-224、BGB-A317(Tisleizumab)、もしくはBGB-108などのPD1アンタゴニスト;
(c)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS-936559/MDX-1105、デュルバルマブ/MEDI4736、もしくはMSB0010718C(アベルマブ)などのPD-L1アンタゴニスト;
(d)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK-1248、MK-4166、BMS-986156、もしくはINCAGN1876などのGITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
(e)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、もしくはPF-04518600などのOX40アゴニスト;
(f)イピリムマブ(ブランド名ヤーボイ)もしくはトレメリムマブ(当初はPfizerが開発、現在はMedimmune)などのCTLA-4アンタゴニスト;
(g)フルダラビンもしくはシタラビン;または
(h)シチジン類似体などの低メチル化剤-例えば、5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)。
【0282】
治療は、単独、又は治療される状態に応じて同時又は逐次のいずれかでの他の治療とさらに併用した、ADC/二次薬剤の組み合わせの投与を含んでもよい。治療及び療法の例として、化学療法(例えば、化学療法剤等の薬物をはじめとする活性作用剤の投与);手術;及び放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない
【0283】
「化学療法薬」とは、作用機序に関わらず、がんの治療に有用な化学合成物質である。化学療法薬のクラスとして、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤、及びキナーゼ阻害剤。化学療法薬として、「標的治療」及び従来の化学療法に用いられる化合物が挙げられる。
【0284】
化学療法薬の例として、以下が挙げられる:レナリドマイド(レブリミド(登録商標)、Celgene)、ボリノスタット(ゾリンザ(登録商標)、Merck)、パノビノスタット(FARYDAK(登録商標)、Novartis)、モセチノスタット(MGCD0103)、エベロリムス(ZORTRESS(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、Novartis)、ベンダムスチン(TREAKISYM(登録商標)、RIBOMUSTIN(登録商標)、LEVACT(登録商標))、TREANDA(登録商標)、Mundipharma International)、エルロチニブ(タルセバ(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、Sanofi-Aventis)、5-FU(フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、CAS No.51-21-8)、ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標)、Lilly)、PD-0325901(CAS No.391210-10-9、Pfizer)、シスプラチン(cis-ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No.15663-27-1)、カルボプラチン(CAS No.41575-94-4)、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド、CAS No.85622-93-1、テモダール(TEMODAR)(登録商標)、テモダール(TEMODAL)(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブタ-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、ノルバデックス(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、Akti-1/2、HPPD、及びラパマイシン。
【0285】
化学療法薬のさらなる例として、以下が挙げられる:オキサリプラチン(エロキサチン(ELOXATIN)(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(スニチニブ(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(フェマーラ(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシル酸塩(グリベック(登録商標)、Novartis)、XL-518(MEK阻害剤、Exelixis、WO2007/044515)、ARRY-886(MEK阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF-1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ-235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL-147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(フェソロデックス(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、ラパミューン(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標)、BAY43-9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR)(登録商標)、CPT-11、Pfizer)、チピファルニブ(ザルネストラ(ZARNESTRA)(商標)、Johnson & Johnson)、アブラキサン(商標)(クレモホールを含まない)、すなわちパクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ザクティマ(ZACTIMA)(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(トーリセル(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、NEOSAR(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど;アジリジン、例えば、benzodopa、カルボコン、meturedopa、及びuredopaなど;エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロメラミンなど;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;callystatin;CC-1065(その合成類似体であるアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシンを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ディオカルマイシン(合成類似体である、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質など(例えば、カリチアマイシン、カリチアマイシンガンマ1I、カリチアマイシンオメガI1(Angew Chem. Intl. Ed. Engl.(1994)33:183-186);ジネマイシン、ジネマイシンA;ビスホスホナート、例えば、クロドロネートなど;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団など)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアザ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝産物、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなど;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎皮質薬、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩(elliptinium acetate);エポシロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテンセン(特に、T-2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(ナベルビン(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(ゼローダ(登録商標)、Roche);イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸など;ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。CHP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド)又はCHOP(ドキソルビシン、プレドニゾン、シクロホスファミド、ビンクリスチン)等の薬剤の組み合わせを使用してもよい。
【0286】
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、以下のものである:(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)など、そのような抗ホルモン剤として、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(登録商標);タモキシフェンクエン酸塩を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びフェアストン(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩)などが挙げられる;(ii)副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素、アロマターゼを阻害する、アロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、アロマシン(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、フェマーラ(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びアリミデックス(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなど;ならびに、トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、MEK阻害剤(WO2007/044515);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異所細胞増殖に関係付けられるシグナル伝達経路における遺伝子発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Raf、及びH-Ras、例えば、オブリメルセン(ゲナセンス(登録商標)、Genta Inc.)など;(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))など、及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、アロベクチン(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)など;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、ルルトテカン(登録商標)など;アバレリックス(登録商標)rmRH;(ix)血管新生阻害剤、例えば、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);ならびに上記のいずれかのものの薬学上許容される塩、酸、及び誘導体。
【0287】
同じく「化学療法薬」の定義に含まれるのは、治療用抗体、例えば、アレムツズマブ(キャンパス)、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(アービタックス(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、オファツムマブ(アーゼラ(登録商標)、GSK)、ペルツズマブ(パージェタ(商標)、OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(ベキサール、Corixia)、MDX-060(Medarex)及び抗体薬物複合体である、ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(登録商標)、Wyeth)などである。
【0288】
本開示の複合体と併用して化学療法薬としての治療可能性があるヒト化モノクローナル抗体として、以下が挙げられる:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ(aselizumab)、アトリズマブ、バピノイズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モダビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ(nolovizumab)、ヌマビズマブ(numavizumab)、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペクツズマブ(pectuzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ(ralivizumab)、ラニビズマブ、レスリズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツマブ(sibrotuzumab)、シプリズマブ、ソンツズマズ(sontuzumab)、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、オマリズマブ、ウルトキサズマブ、及びビジリズマブ。
【0289】
本開示による組成物は、好ましくは医薬組成物である。本開示による、及び本開示により用いられる医薬組成物は、活性成分、すなわち複合体化合物の他に、薬学上許容される賦形剤、キャリア、緩衝剤、安定化剤、又は当業者に周知の他の材料を含むことができる。そのような材料は、無毒でなければならず、また、活性成分の効力に干渉してはならない。キャリア又は他の材料の正確な性質は、投与経路に依存することになり、投与経路は、経口又は注射、例えば、皮膚、皮下、もしくは静脈内注射による場合がある。
【0290】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、又は液剤の形状をしている場合がある。錠剤は、固形キャリア又はアジュバントを含むことができる。液状医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油もしくは植物油、鉱物油、又は合成油等の液状キャリアを含む。生理食塩水溶液、ブドウ糖もしくは他の糖溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコール等のグリコールを含ませることができる。カプセル剤は、ゼラチン等の固形キャリアを含むことができる。
【0291】
静脈内、皮膚、もしくは皮下注射、又は患部への注射用の場合、活性成分は、非経口で許容可能な水性液剤の形状をとることになり、この液剤は、パイロジェンを含まず、かつ適切なpH、等張性、及び安定性を有する。当業者なら、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液等の等張性ビヒクルを用いて、適切な液剤を調製することが十分可能である。保存剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤を、必要に応じて含ませることができる。
【0292】
投薬量
当業者には当然のことながら、ADC及び/又は二次薬剤、及びこれらの有効成分を含む組成物の適切な投薬量は、対象ごとに異なる可能性がある。最適な投薬量の決定は、一般に、治療効果のレベルとあらゆるリスク又は危険な副作用との兼ね合いが関与することになる。選択される投薬量レベルは、様々な要因に依存することになり、そのような要因として、特定化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、症状の重篤度、並びに対象の種族、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の治療歴が挙げられるが、これらに限定されない。化合物の量及び投与経路は、最終的に、医師、獣医師、又は臨床医の判断に任されることになるが、一般に、投薬量は、実質的に有害な又は危険な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を作用部位で達成するように選択されることになる。
【0293】
特定の態様では、ADCの投薬量は、対象から得られた試料で観察される第1の標的タンパク質の発現によって決定される。したがって、試料中の第1の標的タンパク質の発現のレベル又は局在は、より高い又はより低い用量のADCが必要であることを示しうる。例えば、第1の標的タンパク質の高い発現レベルは、より高い用量のADCが適切であることを示す可能性がある。場合によっては、第1の標的タンパク質の高い発現レベルは、ADCに加えて別の薬剤の投与の必要性を示す可能性がある。たとえば、化学療法薬と併用したADCの投与である。第1の標的タンパク質の高い発現レベルは、より積極的な治療法を示す可能性がある。
【0294】
特定の態様では、投薬量レベルは、対象から得られた試料中の新生物細胞における第1の標的タンパク質の発現によって決定される。例えば、標的新生物が、第1の標的タンパク質を発現する新生物細胞で構成されるか、又は含む場合である。
【0295】
特定の態様では、投薬量レベルは、標的新生物に関連する細胞における第1の標的タンパク質の発現によって決定される。例えば、標的新生物は、第1の標的タンパク質を発現する新生物細胞から構成されるか、又は含む固形腫瘍であり得る。例えば、標的新生物は、第1の標的タンパク質を発現しない新生物細胞から構成されるか、又は含む固形腫瘍であり得る。第1の標的タンパク質を発現する細胞は、浸潤T細胞等の固形腫瘍に浸潤する非新生物細胞であり得る。
【0296】
特定の態様では、二次薬剤の投薬量は、対象から得られた試料で観察される第2の標的タンパク質の発現によって決定される。したがって、試料中の第2の標的タンパク質の発現のレベル又は局在は、より高い又はより低い用量の二次薬剤が必要であることを示しうる。例えば、第2の標的タンパク質の高い発現レベルは、より高い用量の二次薬剤が適切であることを示す可能性がある。場合によっては、第2の標的タンパク質の高い発現レベルは、二次薬剤に加えて別の薬剤の投与の必要性を示す可能性がある。たとえば、化学療法薬と併用した二次薬剤の投与である。第2の標的タンパク質の高い発現レベルは、より積極的な治療法を示す可能性がある。
【0297】
投与は、一つの用量で実現可能であり、その用量は治療課程を通じて連続的又は断続的(例えば、適切な間隔を開けた分割用量)である。投与の最も効果的な手段及び投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に用いられる配合物、治療目的、治療される標的細胞(複数可)、及び治療される対象に合わせて変化する。一回又は複数投与は、担当医師、獣医師、又は臨床医により選択された用量レベル及びパターンに合わせて行うことができる。
【0298】
一般に、各々の活性化合物の適切な用量は、1日あたり、対象の体重1キログラムあたり、約100ng~約25mg(より典型的には、約1μg~約10mg)の範囲にある。活性化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そのため用いられる実際の重量は、比例して増加する。
【0299】
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメンに従ってヒト対象に投与される:約100mg、1日3回。
【0300】
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメンに従ってヒト対象に投与される:約150mg、1日2回。
【0301】
1つの実施形態において、各々の活性化合物は、以下の投薬レジメンに従ってヒト対象に投与される:約200mg、1日2回。
【0302】
しかしながら、1つの実施形態において、各々の複合体化合物は、以下の投薬レジメンに従ってヒト対象に投与される:約50又は約75mg、1日3回又は4回。
【0303】
1つの実施形態において、複合体化合物は、以下の投薬レジメンに従ってヒト対象に投与される:約100又は約125mg、1日2回。
【0304】
ADCを有するPBDであるADCに関して、上記の投薬量は、複合体(PBD部分及び抗体と接続するリンカーを含む)又は提供される有効量のPBD化合物に適用することができ、例えば、化合物の量は、リンカー切断後に放出可能な量である。
【0305】
第1の標的タンパク質は、好ましくはCD25である。ADCは、抗CD25抗体を含んでもよい。抗CD25抗体は、HuMax-TAC(商標)であってよい。ADCは、PBD二量体である薬物を含んでもよい。ADCは、抗CD25-ADCであってよく、特に好ましくはADC×25である。ADCは、WO2014/057119に開示されているADCであってよい。
【0306】
第2の標的タンパク質は、BTK、PD1、PDL1、GITR、OX40、またはCTLAであり得る。第2の標的タンパク質は、好ましくはPD-L1である。二次薬剤は以下であり得る:
(a)イブルチニブ(イムブルビカ)、アカラブルチニブ/ACP-196、ONO/GS-4059、スペブルチニブ/AVL-292/CC-292、HM71224(ポセルチニブ)、もしくはBGB-3111(ザヌブルチニブ)などのブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi);
(b)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN-2810)、AMP-224、BGB-A317(チスレリズマブ)、もしくはBGB-108などのPD1アンタゴニスト;
(c)アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS-936559/MDX-1105、デュルバルマブ/MEDI4736、もしくはMSB0010718C(アベルマブ)などのPD-L1アンタゴニスト;
(d)MEDI1873、TRX518、GWN323、MK-1248、MK-4166、BMS-986156、もしくはINCAGN1876などのGITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニスト;
(e)MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、もしくはPF-04518600などのOX40アゴニスト;
(f)イピリムマブ(ブランド名ヤーボイ)もしくはトレメリムマブ(当初はPfizerが開発、現在はMedimmune)などのCTLA-4アンタゴニスト;
(g)フルダラビンもしくはシタラビン;または
(h)シチジン類似体などの低メチル化剤-例えば、5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)。
【0307】
抗体
「抗体」という用語は、本明細書中、最も広義の意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、無傷抗体(「全長」抗体としても記載される)、及び抗体断片を包含するが、ただし、それらが所望の生物活性を示す、例えば、第1の標的タンパク質に結合能がある場合にかぎる(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854-4861)。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、もしくはラクダ等の他の種由来抗体が可能である。
【0308】
抗体とは、免疫系により産生される、特定の抗原を認識してそれに結合することができるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体の相補性決定領域(CDR)で認識される多数の結合部位(エピトープともいう)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、それぞれ異なる構造を有する。すなわち、1つの抗原は、1つより多い対応する抗体を有する可能性がある。抗体は、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、関心対象の標的の抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位又はその部分分を有する分子を含み得、そのような標的として、がん細胞又は自己免疫疾患に関連した自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、いかなる型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラス、あるいはアロタイプ(例えば、ヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[これは、G1m1以外の任意のアロタイプである]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、及びKm3)の免疫グロブリン分子も可能である。免疫グロブリンは、任意の種由来のものが可能であり、ヒト、マウス、又はウサギ起原が挙げられる。
【0309】
「抗体断片」は、全長抗体の部分分、一般には全長抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び上記のもののいずれかの、がん細胞抗原、ウイルス抗原、又は微生物抗原に免疫特異的に結合するエピトープ結合断片、単鎖抗体分子;並びに、抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0310】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中用いられる場合、実質的に同種の抗体の集団、すなわち集団を構成する個々の抗体が、自然発生する可能性のある変異を除いて同一であり、そのような変異が存在したとしても少数である集団から得られる抗体を示す。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単独の抗原部位に向けられている。そのうえさらに、ポリクローナル抗体製剤が、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むのとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単独の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体が混入することなく合成できるという利点を有する。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという特徴を示すものであって、抗体の産生が何か特定の方法による必要があることを意図しない。例えば、本開示に従って用いられるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature 256:495に初めて記載されたハイブリドーマ方法により作製することも可能であるし、組換えDNA法(US4816567を参照)により作製することも可能である。モノクローナル抗体は、また、Clackson et al.(1991)Nature,352:624-628;Marks et al.(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することも可能であるし、完全ヒト免疫グロブリン系を保有する遺伝子導入マウスから単離することも可能である(Lonberg(2008)Curr.Opinion 20(4):450-459)。
【0311】
本明細書中のモノクローナル抗体として、具体的には「キメラ」抗体が挙げられる。「キメラ」抗体では、所望の生物活性を示す限りにおいて、重鎖及び/又は軽鎖の部分分が、特定種由来の抗体、又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の相当する配列と同一又は相同であるが、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種由来の抗体、又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体の断片の相当する配列と同一又は相同である(US4816567;及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855)。キメラ抗体として、「霊長類化」抗体が挙げられ、この抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル又は類人猿)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒトの定常部配列を含む。
【0312】
「無傷抗体」は、本明細書中、VLドメイン及びVHドメイン、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えばヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異型が可能である。無傷抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有することができ、エフェクター機能とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因する生物学的活性を示す。抗体エフェクター機能の例として、C1q結合;補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;ならびにB細胞受容体及びBCRなど細胞表面受容体の下方制御が挙げられる。
【0313】
無傷抗体は、その抗体の重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に従って、異なる「クラス」に割り振ることができる。無傷抗体には、5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのクラスのいくつかは、さらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分割することができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2)。異なる抗体クラスにそれぞれ応じた重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμという。それぞれのクラスの免疫グロブリンについてのサブユニット構造及び三次元立体配置は、周知である。
【0314】
抗CD25抗体は当該技術分野で公知であり、本明細書で開示される方法で有用である。これらには、抗体4C9(Ventana Medical Systems,Inc.より入手可能)が含まれる。他の適切な抗体には、WO2004/045512(Genmab A/S)に記載される抗体AB12、IL2R.1(Life Technologiesよりカタログ番号MA5-12680で入手可能)、及びRFT5(US6383487に記載される)が含まれる。他の適切な抗体には、B489(143-13)(Life Technologiesよりカタログ番号MA1-91221で入手可能)、SP176(Novusよりカタログ番号NBP2-21755で入手可能)、1B5D12(Novusよりカタログ番号NBP2-37349で入手可能)、2R12(Novusよりカタログ番号NBP2-21755で入手可能)、又はBC96(BioLegendよりカタログ番号V T-072で入手可能)、及びM-A251(BioLegendよりカタログ番号IV A053で入手可能)が含まれる。他の適切な抗CD25抗体は、ダクリズマブ(ゼナパックス(商標))及びバシリキシマブ(シムレクト(商標))であり、その両方とも臨床使用のために承認されている。
【0315】
抗PD-L1抗体は当該技術分野で公知であり、本明細書で開示される方法で有用である。これらの抗体には、アテゾリズマブ(MPDL3280;CAS番号1380723-44-3)、アベルマブ(MSB0010718C;CAS番号1537032-82-8)、及びデュルバルマブ(CAS番号1428935-60-7)が含まれる。
【0316】
本開示の原理を示す実施形態及び実験について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0317】
【
図2】サロゲートADC×25による単剤処理、抗PD1処理、又は対照ADC後のインビボ腫瘍体積(実施例4による)
【
図3】低用量サロゲートADC×25と抗PD1処理との相乗効果を示すインビボ腫瘍体積(実施例4による)
【
図4】シタラビン単独(左のグラフ)又はADC×25との組み合わせ(右のグラフ)の、Karpas299細胞株に対するインビトロ細胞毒性データ。
【
図5】シタラビン単独(左のグラフ)又はADC×25との組み合わせ(右のグラフ)の、KG-1細胞株に対するインビトロ細胞毒性データ。
【
図6】シタラビンとともに、又は伴わずにインキュベートしたKarpas299細胞株(左のグラフ)及びKG-1細胞株(右のグラフ)の表面CD25レベル。
【
図7】デシタビン単独の(左のグラフ)又はデシタビンと
併用したADC×25(右のグラフ)のインビトロ細胞毒性。
【
図8】細胞上のCD25の細胞表面レベル(未処理又は30mMデシタビンとのインキュベーション後)
【
図9】シタラビン(9A)又はデシタビン(9B)と
併用したADC×25のKarpas299細胞に対するインビトロ細胞毒性。
【
図10】シタラビン(9A)又はデシタビン(9B)と
併用したADC×25のKG-1細胞に対するインビトロ細胞毒性。
【0318】
本開示は、そのような組み合わせが明らかに容認できないか又は明白に回避される場合を除いて、記載された態様及び好ましい特徴の組み合わせを含む。
【0319】
本明細書に用いられる節の見出しは、構成目的のものに過ぎず、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0320】
本開示の態様及び実施形態を、例として、添付の図面を参照して説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。この文書で言及されているすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0321】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈がそうでないことを必要としない限り、「含む(comprise)」という単語、及び「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」等の変形は、述べられた整数もしくはステップ又は整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、いかなる他の整数もしくはステップ又は整数もしくはステップの群を排除することを意味しないことが理解されるだろう。
【0322】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含することは留意するべきである。範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表され得る。このような範囲が表されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表されるとき、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0323】
いくつかの実施形態
以下の段落では、本開示のいくつかの特定の実施形態について記載する:
【0324】
1. 個体のがんを治療する方法であって、前記個体に有効量のADC×25及び二次薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0325】
2. 個体のがんを治療する方法で用いるADC×25を含む第1の組成物であって、前記治療が、二次薬剤を含む第2の組成物と第1の組成物の併用投与を含む、前記第1の組成物。
【0326】
3. 個体の障害を治療する方法で用いる二次薬剤を含む第1の組成物であって、前記治療が、ADC×25を含む第2の組成物と第1の組成物の併用投与を含む、前記第1の組成物。
【0327】
4. 個体のがんを治療する医薬の製造におけるADC×25の使用であって、前記医薬がADC×25を含み、前記治療が二次薬剤を含む組成物と前記医薬の併用投与を含む、前記ADC×25の使用。
【0328】
5. 個体のがんを治療する医薬の製造におけるPD1アンタゴニストの使用であって、前記医薬が二次薬剤を含み、前記治療がADC×25を含む組成物と前記医薬の併用投与を含む、前記PD1アンタゴニストの使用。
【0329】
6. ADC×25を含む第1の医薬と;二次薬剤を含む第2の医薬と;必要に応じてがんの治療のために個体に前記第2の医薬と前記第1の医薬を併用投与するための説明書を含む添付文書と、
を含む、キット。
【0330】
7. ADC×25を含む医薬と、がんの治療のために個体に二次薬剤を含む組成物と前記医薬を併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
【0331】
8. 二次薬剤を含む医薬と、がんの治療のために個体に前記医薬をADC×25を含む組成物と併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
【0332】
9. ADC×25と、二次薬剤と、を含む医薬組成物。
【0333】
10. 個体のがんを治療する方法であって、前記個体に有効量の項目9に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【0334】
11. 個体のがんを治療する方法で用いる、項目9に記載の組成物。
【0335】
12. 個体のがんを治療する医薬の製造における、項目9に記載の組成物の使用。
【0336】
13. 項目9に記載の組成物と、がんの治療のために個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
【0337】
14. 前記治療が、二次薬剤の前、二次薬剤と同時に、又は二次薬剤の後にADC×25を投与することを含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0338】
15. 前記治療が化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0339】
16. 前記個体がヒトである、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0340】
17. 前記個体ががんを有するか又はがんを有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0341】
18. 前記個体が、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0342】
19. 前記個体が、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在を特徴とするがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0343】
20. 前記がん又は新生物が、固形腫瘍の全て又は部分である、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0344】
21. 前記個体が、CD25を発現するがんか、又はCD25+浸潤細胞等のCD25+T腫瘍関連非腫瘍細胞を有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0345】
22. 前記個体が低レベルの表面発現でCD25を発現するがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0346】
23. 前記個体が第2の標的タンパク質を発現するがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0347】
24. 前記治療が、ADC×25又は二次薬剤のいずれか単独による治療と比較して、
a) より幅広い障害を有効に治療するか、
b) 抵抗性、難治性、又は再発性の障害をより有効に治療するか、
c) より増加した奏効率を有するか、及び/又は
d) より増加した耐久性を有する、
先行する項目のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0348】
25. 前記がんが:
ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL);
白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病;
膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、ならびに頭頸部がん
を含む群から選択される、先行する項目のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0349】
26. 前記二次薬剤がブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)である、先行する項目のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0350】
27. 前記ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)が、イブルチニブ(イムブルビカ)、アカラブルチニブ/ACP-196、ONO/GS-4059、スペブルチニブ/AVL-292/CC-292、HM71224(ポセルチニブ)、及びBGB-3111(ザヌブルチニブ)から選択される、項目26に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0351】
28. 前記二次薬剤が、PD1アンタゴニストである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0352】
29. 前記PD1アンタゴニストが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN-2810)、AMP-224、BGB-A317(チスレリズマブ)、及びBGB-108から選択される、項目28に記載の組成物、方法、使用、またはキット。
【0353】
30. 前記二次薬剤が、PD-L1アンタゴニストである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0354】
31. 前記PD-L1アンタゴニストが、アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS-936559/MDX-1105、デュルバルマブ/MEDI4736、及びMSB0010718C(アベルマブ)から選択される、項目30に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0355】
32. 前記二次薬剤が、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0356】
33. 前記GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストがMEDI1873、TRX518、GWN323、MK-1248、MK 4166、BMS-986156、及びINCAGN1876から選択される、項目32に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0357】
34. 前記二次薬剤が、OX40アゴニストである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0358】
35. 前記OX40アゴニストが、MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、及びPF-04518600から選択される、項目34に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0359】
36. 前記二次薬剤が、CTLA-4アンタゴニストである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0360】
37. 前記CTLA-4アンタゴニストがイピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、項目36に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0361】
38. 前記二次薬剤が、フルダラビンである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0362】
39. 前記二次薬剤が、シタラビンである、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0363】
40. 前記二次薬剤が、低メチル化剤である、項目1~25のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0364】
41. 前記低メチル化剤が5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)から選択される、項目40に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0365】
42. 前記低メチル化剤がデシタビンである、項目40に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0366】
発明の陳述
1. 個体の障害を治療する方法であって、前記個体に有効量のADC及び二次薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0367】
2. 個体の障害を治療する方法で用いるADCを含む第1の組成物であって、前記前記治療が、二次薬剤を含む第2の組成物と前記第1の組成物の併用投与を含む、前記第1の組成物。
【0368】
3. 個体の障害を治療する方法で用いる二次薬剤を含む第1の組成物であって、前記治療が、ADCを含む第2の組成物と前記第1の組成物の併用投与を含む、前記第1の組成物。
【0369】
4. 個体の障害を治療する医薬の製造におけるADCの使用であって、前記医薬がADCを含み、前記治療が二次薬剤を含む組成物と前記医薬の併用投与を含む、前記ADCの使用。
【0370】
5. 個体の障害を治療する医薬の製造における二次薬剤の使用であって、前記医薬が前記二次薬剤を含み、前記治療がADCを含む組成物と前記医薬の併用投与を含む、前記二次薬剤の使用。
【0371】
6. ADCを含む第1の医薬と;二次薬剤を含む第2の医薬と;必要に応じて障害の治療のために個体に前記第1の医薬を前記第2の医薬と併用投与するための説明書を含む添付文書と、
を含むキット。
【0372】
7. ADCを含む医薬と、障害の治療のために個体に前記医薬を二次薬剤を含む組成物と併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
【0373】
8. 二次薬剤を含む医薬と、障害の治療のために個体に前記医薬をADCを含む組成物と併用投与するための説明書を含む添付文書と、を含むキット。
【0374】
9. ADCと、二次薬剤と、を含む医薬組成物。
【0375】
10. 個体の障害を治療する方法であって、前記個体に有効量の項目9に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【0376】
11. 個体の障害を治療する方法で用いる、項目9に記載の組成物。
【0377】
12. 個体の障害を治療する医薬の製造における、項目9に記載の組成物の使用。
【0378】
13. 項目9に記載の組成物と、障害の治療のために個体に医薬を投与するための一連の説明書と、を含むキット。
【0379】
14. 前記治療が、前記二次薬剤の前、前記二次薬剤と同時に、又は前記二次薬剤の後に前記ADCを投与することを含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0380】
15. 前記治療が化学療法剤を投与することをさらに含む、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0381】
16. 前記個体がヒトである、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0382】
17. 前記個体が障害を有するか、障害を有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0383】
18. 前記個体が、第1の標的タンパク質(FTP)を発現するがんか、又はFTP+浸潤T細胞等のFTP+腫瘍関連非腫瘍細胞を有するか、又は有すると判定されている、項目17に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0384】
19. 前記個体が第2の標的タンパク質(STP)を発現するがんを有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0385】
20. 前記治療が、ADC又は二次薬剤のいずれか単独による治療と比較して、
a) より幅広い障害を有効に治療するか、
b) 抵抗性、難治性、又は再発性の障害をより有効に治療するか、
c) より増加した奏効率を有するか、及び/又は
d) より増加した耐久性を有する、
先行する項目のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0386】
21. 前記ADCが抗CD25 ADCである、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0387】
22. 前記抗CD25 ADCがAXL×25である、項目21に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0388】
23. 前記FTPがCD25である、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0389】
24. 前記障害が増殖性疾患である、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0390】
25. 前記障害ががんである、項目24に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0391】
26. 前記個体が、CD25+veとCD25-ve細胞の両方を含む新生物の存在を特徴とする障害を有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0392】
27. 前記個体が、CD25-ve新生物細胞を含むか、又はそれから構成される新生物の存在を特徴とする障害を有するか、又は有すると判定されている、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0393】
28. 前記新生物が、固形腫瘍の全て又は部分である、項目26又は27のいずれかに記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0394】
29. 前記障害が:
ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZBL);
白血病、例えば、有毛細胞白血病(HCL)、有毛細胞白血病変異体(HCL-v)、急性骨髄性白血病(AML)、フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)又はフィラデルフィア染色体陰性ALL(Ph-ALL)等の急性リンパ芽球性白血病;
膵臓がん、乳がん、結腸直腸がん、胃がん及び食道がん、白血病及びリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺がん、卵巣がん、肝細胞がん、腎細胞がん、並びに頭頸部がん
を含む群から選択される、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0395】
30. 前記二次薬剤がブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)である、先行する項目のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0396】
31. 前記ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)が、イブルチニブ(イムブルビカ)、アカラブルチニブ/ACP-196、ONO/GS-4059、スペブルチニブ/AVL-292/CC-292、HM71224(ポセルチニブ)、及びBGB-3111(ザヌブルチニブ)から選択される、項目30に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0397】
32. 前記二次薬剤が、PD1アンタゴニストである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0398】
33. 前記PD1アンタゴニストが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、MEDI0680、PDR001(スパルタリズマブ)、カムレリズマブ、AUNP12、ピジリズマブ、セミプリマブ(REGN-2810)、AMP-224、BGB-A317(チスレリズマブ)、及びBGB-108から選択される、項目32に記載の組成物、方法、使用、またはキット。
【0399】
34. 前記二次薬剤が、PD-L1アンタゴニストである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0400】
35. 前記PD-L1アンタゴニストが、アテゾリズマブ(テセントリク)、BMS-936559/MDX-1105、デュルバルマブ/MEDI4736、及びMSB0010718C(アベルマブ)から選択される、項目34に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0401】
36. 前記二次薬剤が、GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0402】
37. 前記GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)アゴニストがMEDI1873、TRX518、GWN323、MK-1248、MK 4166、BMS-986156、及びINCAGN1876から選択される、項目36に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0403】
38. 前記二次薬剤が、OX40アゴニストである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0404】
39. 前記OX40アゴニストが、MEDI0562、MEDI6383、MOXR0916、RG7888、OX40mAb24、INCAGN1949、GSK3174998、及びPF-04518600から選択される、項目38に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0405】
40. 前記二次薬剤が、CTLA-4アンタゴニストである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0406】
41. 前記CTLA-4アンタゴニストがイピリムマブ及びトレメリムマブから選択される、項目40に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0407】
42. 前記二次薬剤が、フルダラビン又はシタラビンである、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0408】
43. 前記二次薬剤が、低メチル化剤である、項目1~29のいずれか1項に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0409】
44. 前記低メチル化剤が5-アザシチジン(アザシチジン)及び5-アザ-2’-デオキシシチジン(デシタビン)から選択される、項目43に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0410】
45 前記STPがBTK、PD1、PDL1、GITR、OX40、又はCTLAである、いずれかの先行する項目に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【0411】
46. 前記STPがPD-L1である、項目33に記載の組成物、方法、使用、又はキット。
【実施例】
【0412】
以下の実施例では:
-FTPは、好ましくはCD25である。
-実施例における使用に適したCD25を発現する細胞株には、L540、Karpas299、Sudhl1、HDLM-2細胞が含まれる。
-疾患A-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫/DLBCは、リンパ系のB細胞から発生する侵攻性の型の非ホジキンリンパ腫である。それは、非ホジキンリンパ腫の最大のサブグループを構成する。
-疾患B-マントル細胞リンパ腫/MCLは、まれなB細胞NHLであり、60歳を超える男性が最も頻繁に罹患する。この疾患は侵攻性(急速に増殖)となる場合があるが、部分の患者ではより緩慢性(ゆっくりと増殖)の様式でも挙動を示しうる。MCLは、全てのNHLの約5パーセントを構成する。
-疾患C-濾胞性リンパ腫/FLは、生存期間が長いNHLのかなり緩慢な型であるが、治癒を達成することは非常に困難であり、また、より侵攻性の型のリンパ腫に変化する可能性もある。
【0413】
実施例1
PBD-ADCがICDを誘導でき、したがって、免疫腫瘍学(IO)薬との適切な併用薬となり得ることを示すため、第1の標的タンパク質(FTP)を発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mLのADC、1μg/mLの抗FTP(ADC内の抗体)、及び1μg/mLのB12-SG3249(ADCと同じPBD搭載を有する非結合対照ADC)とともに0、6、24、及び48時間、インキュベートする。
【0414】
インキュベーション後、AnnexinV-/PI+(初期アポトーシス細胞)の量は、表面カルレティキュリンとHSP-70の上方制御とともにフローサイトメトリーによって測定する。ERストレスは、IRE1リン酸化、ATF4及びJNKのリン酸化のノーザンブロット分析により測定する。
【0415】
実施例2
別の実験では、FTPを発現する細胞株を、エトポシド(陰性対照)及びオキサリプラチン(陽性対照)、1μg/mLのADC(PBD二量体弾頭を有するFTPを標的化するADC)、1μg/mL抗FTP(ADC内の抗体)、及び1μg/mLのB12-SG3249(ADCと同じPBD搭載を有する非結合対照ADC)とともに0、6、24、及び48時間、インキュベートする。
【0416】
インキュベーション後、細胞を洗浄し、さらに24時間ヒト樹状細胞(DC)に供給する。その後、DCの活性化は、DC集団でのCD86の表面発現の増加(フローサイトメトリーにより決定)及びDCを介したIL-8及びMIP2の放出の測定によって測定される。
【0417】
実施例3
この研究の目的は、この組み合わせの安全性、忍容性、薬理学的及び臨床的活性を事前に評価することである。
【0418】
以下のがんの種類が研究のために選択された:疾患A、疾患B、及び疾患C
【0419】
両方の薬剤の単薬剤としての有効性の証拠が存在する:
●ADC(例えば、WO2014/057119、WO2016/083468、及びWO2016/166341を参照されたい)
●二次薬剤(KS Peggs et al.2009, Clinical and Experimental Immunology, 157: 9-19 [doi:10.1111/j.1365-2249.2009.03912.xを参照されたい)
【0420】
この研究の主な目的は、これらの薬剤を安全に組み合わせることができるかどうかを調査することであり、もしそうであれば、さらなる研究に適した用量(複数可)とレジメンを特定する。この研究はまた、各組み合わせが潜在的な臨床的利益を示唆する腫瘍の薬理学的変化を誘発するかどうかを評価する。
【0421】
さらに、組み合わせにより、単剤ADC又は二次薬剤による治療に関して公表されたデータと比較して、奏効率及び応答の持続性が向上する可能性があるという予備的証拠がもたらされる。
【0422】
各疾患グループには、併用療法が二次薬剤療法に対する耐性を克服できるかどうかを調べるために、以前に二次薬剤で治療された患者のサブセットを含みうる。現在入手可能なデータは一般に、承認された分子診断テストに基づいて患者を除外することをサポートしていないため、各疾患について特定の分子選択を適用することは意図されていない。
【0423】
ADCの開始用量の理論的根拠
ADCのためにすでに確立されたRDE(3週間ごとに投与されるug/kg)は、この研究の全ての患者に用いられる。患者の安全を確保するために、RDE以下の開始用量が使用され;開始用量レベルはADC1試験で患者の利益がまだ実証できるレベルであり、そのような用量レベルにおいて、登録された患者は参加することで少なくともいくらかの利益が得られることを示唆する。
【0424】
二次薬剤の開始用量の理論的根拠
二次薬剤のためにすでに確立されたRDE(3週間ごとに投与されるug/kg)は、この研究の全ての患者に用いられる。患者の安全を確保するために、RDE以下の開始用量が使用され;開始用量レベルはSA1試験で患者の利益がまだ実証できるレベルであり、そのような用量レベルにおいて、登録された患者は参加することで少なくともいくらかの利益が得られることを示唆する。
【0425】
【0426】
研究デザイン
このフェーズIb、多施設共同、非盲検試験で、疾患A、疾患B、及び疾患Cの患者において、二次薬剤と併用したADCの安全性、忍容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び抗腫瘍活性を特性評価する。
【0427】
この研究は、用量漸増部分とそれに続く用量拡大部分で構成されている。
【0428】
患者の安全性を保証するために、ADCと二次薬剤の両方の減量された開始用量(それぞれの推奨されるフェーズ2又は認可された用量レベルと比較して)から用量漸増が開始される。開始用量は、各化合物のRDEの33%(又は50%)になる。その後、最初にRDE又は認可された用量に達するまで二次薬剤の用量を漸増するか、又は、忍容性の理由で必要に応じて用量を減らす。次いで、併用療法のRDEに達するまで、ADCの投与量を漸増する。これは、次の図に視覚化されている。
【表2】
【0429】
用量の組み合わせが安全であると判定された場合、追加の患者でその用量レベルでの安全性と忍容性を確認するために試験することができる。各化合物の用量をさらに調整することができ、及び/又はレジメンを修正することができる。
【0430】
組み合わせの用量漸増は、治療の最初の(又は最初の2つのTBC)サイクルで観察されたいずれかの用量制限毒性(DLT)に基づくベイジアンロジスティック回帰モデル(BLRM)によって導かれる。BLRMの使用は、がん患者の最大許容用量(MTD)/拡大のための推奨用量(RDE)を推定するための確立された方法である。適応型BLRMは、研究中の将来の患者のDLTのリスクを制御するために、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)の原則によって導かれる。小さなデータセットに対するベイジアン応答適応モデルの使用は、FDA及びEMEA(”Guideline on clinical trials in small populations”, February 1, 2007)で受け入れられ、多くの出版物で承認されている(Babb et al. 1998, Neuenschwander et al. 2008)。
【0431】
新しい用量の組み合わせに関する決定は、患者の忍容性と安全性情報(該当する場合、DLTリスクのBLRMサマリーを含む)のレビューに基づいて、決定時に利用可能なPK、PD及び予備活動情報とともに、用量漸増安全性コール(DESC)で治験責任医師と治験依頼者によって行われる。
【0432】
組み合わせに対してMTD(複数可)/RDEが決定されると、安全性、忍容性、及び予備的有効性をさらに評価するために、研究の拡大部分が開始される場合がある。
■IOとの組み合わせの場合、腫瘍の免疫浸潤の変化も、標的疾患の適応における併用治療後に特性評価される。
この研究における薬剤の利用可能な過去の臨床経験を考慮すると、ほとんどの場合、多数の用量レベル又はスケジュールを試験することなく組み合わせ用量を特定できると予想される。組み合わせの薬力学的活性を評価するために、患者はベースラインで、そしておよそ2サイクルの治療後に再び腫瘍生検を受けるように求められる。
■IOコンボの場合:リンパ球やマクロファージを含む免疫細胞による腫瘍浸潤の変化の程度は、潜在的な利益の判定に貢献する。
【0433】
用量漸増パート
試験の用量漸増パートでは、患者に固定用量のADCを静脈内投与し、二次薬剤のRDEに達するまで二次薬剤の用量を増加して治療する。その後、ADCの用量は(異なるコホートで)増加するが、二次薬剤の用量は一定に維持される。
【0434】
MTD(複数可)/RDE(複数可)の判定が決定されるまで、疾患A、疾患B、又は疾患Cの患者2~およそ3又は4人が各漸増コホートで治療される。
【0435】
2番目の患者を用量レベル1で登録する前に、24時間の観察が行われる。各用量レベルでのDLT観察期間は、IO療法の適切な当局によって義務付けられているように1サイクル(3週間)又は2サイクル(6週間)のいずれかであり、その後、次の用量レベルに漸増するか、現在の用量レベルに留まるか、又は次のコホートで以前の用量レベルまで減少するかを決定する。用量レベル1からの減少はない。患者内の用量漸増は許可されていない。
【0436】
2人以上の患者が、任意の用量レベルで最初のサイクルを通じて完全なDLT情報を有している場合を除き、用量漸増は許可されない。用量漸増は、30%の目標DLT率及び20%~35%の同等間隔で、過大用量制御を伴う漸増(EWOC)及び用量スキップなしでmCRMを使用して決定される。
【0437】
患者は積極的に登録しているコホートに割り当てられる。治療の1サイクルの完了後、各組み合わせで用量漸増が行われる。有害事象(AE)及び検査値を含む安全性評価は、DLTを識別するために、登録されたすべての患者について綿密にモニタリングされる。単一のMTD/RDEが定義され;疾患特異的なMTD/RDEは確立されない。
【0438】
mCRMは、用量漸増運営委員会(DESC)の監督下でDEに組み込まれる。DESCは、利用可能なすべての安全性データを確認した後、漸増各用量レベルを確認する。その用量レベル及び以前の用量レベルの患者のPKデータも意思決定のために情報をもたらしうる。DESCは、新たなPK、PD、毒性、又は応答データに基づいてMTDを決定する前に、用量漸増を停止する場合がある。
【0439】
研究の少なくとも1人の患者が部分奏効以上を達成した場合、又はDESCがRDEを決定するためにPK又はPDデータのさらなる評価が必要と判断した場合、安全性と忍容性をさらに評価するために、任意の用量レベルで追加の患者を含めることができる。
3つのコホート(又は少なくとも6人の患者)が同じ用量レベルに連続して割り当てられた後、用量漸増は停止される。MTDに達していない場合、拡大の推奨用量(RDE)が決定される。MTD/RDEを決定する前に、最低6人の患者がこの組み合わせで治療されている必要がある。
【0440】
用量漸増中に患者から腫瘍生検ペアを取得することを意図している。これらの生検の分析は、用量と組み合わせの薬力学的活性との関係のより良い理解に貢献する。
【0441】
用量漸増運営委員会による安全監視
ADC Therapeuticsと治験責任医師で構成されるDESCは、DE中に継続的に患者の安全性をレビューし、mCRMで規定された用量漸増スケジュールが修正を必要とするかどうかを判断する。安全性の観察に加えて、PK及び/又はPDデータも意思決定のために情報をもたらしうる。ADC Therapeuticsと治験責任医師との間で合意が得られた後、中間用量を割り当てることができる。DESCは、パート2の間も引き続き監視を提供する場合がある。正式なデータ安全監視委員会(DSMB)は使用されない。
【0442】
用量拡大パート
MTD/RDEが宣言されると、用量拡大パートが開始しうる。拡大部分の主な目的は、MTD/RDEでの試験治療の安全性と忍容性をさらに評価し、過去の単剤の有効性データと比較した組み合わせの有効性の予備的な理解を得ることである。
【0443】
重要な探索的目的は、治療に応答する腫瘍の免疫浸潤の変化を評価することである。これは、MTD/RDEで治療された患者の最低10個の評価可能な生検ペア(生検標本には分析に十分な腫瘍が含まれている必要がある)として、患者から採取された腫瘍生検ペアで評価される。これが実行可能でない場合、これらの生検の採取は停止される場合がある。最低10~20人の患者が各治験治療群で治療される予定である、
【0444】
疾患ごとに1つずつ、複数の異なる治験治療群が開く。合計9の治験治療群を用量拡大で実行することができる。これらの群のいずれかの登録が実行可能でない場合、10~20人の患者の目標が満たされる前に、その群への登録が終了する場合がある。
【0445】
各治療群では、以前の単回投与(すなわち併用ではない)を受けて進行した最大約6人の患者の二次的薬剤療法の治療が許可される。組み合わせが、単回投与二次薬剤による以前の治療に対する耐性を克服する見込みを示す場合、この数は増加することができる。
【0446】
患者集団
この研究は、上述のように進行した疾患A、疾患B、又は疾患Cの成人患者で実施される。治験責任医師又は被指名人は、以下のすべての選択基準を満たし、除外基準のいずれも満たさない患者のみが研究で治療を受けることを確実にする必要がある。
【0447】
選択基準
この研究に含める適格性がある患者は、次のすべての基準を満たす必要がある:
1. 書面によるインフォームドコンセントは、手順の前に取得する必要がある
2. 18歳。
3. RECISTバージョン1.1で決定される測定可能な疾患を有する進行/転移性がんの患者、標準療法にもかかわらず進行したか、又は標準療法に耐えられないか、又は標準療法が存在しない患者。患者は次の群のいずれかに当てはまる必要がある:
● 疾患A
● 疾患B
● 疾患C
4. ECOG性能ステータス0~1(又は2TBC)
5. TBC: 患者は、生検に適した疾患部位を有し、治療施設のガイドラインに従う腫瘍生検の候補者である必要がある。患者は、ベースラインで、及びこの研究の治療中に再び、新しい腫瘍生検を受ける意思がなければならない。
6. 二次薬剤又は関連化合物(すなわち、同じMOA)による事前治療が許可される。
【0448】
除外基準
この研究に適格性がある患者は、以下の基準のいずれも満たさない必要がある:
1. 他のmAb(又はADCと同じバックボーンのmAb、又は該当する場合は同じIO mAb)に対する重度の過敏症反応の既往
2. ADCのようにmAbのバックボーンに対する陽性血清ヒトADAの既往歴
3. 中枢神経系(CNS)疾患のみ(該当する場合)
4. 症候性CNS転移又は軟髄膜疾患の証拠(脳MRI又は以前に記録された脳脊髄液(CSF)細胞診)
以前に治療された無症候性CNS転移は、最後の治療(全身抗がん療法及び/又は局所放射線療法)が投与の最初の日の8週間以上前に完了した場合に許可されるが、テーパーでの低用量ステロイドの使用は許可される)
個別の硬膜転移がある患者は適格である。
5. 以下のように定義された範囲外の検査値を持つ患者
●血清クレアチン<=1.5×ULN.血清クレアチニン>1.5の場合、患者が資格を得るには、クレアチニンクリアランス(コッククロフトゴート式を使用して計算、又は測定)が>60mL/分/1.73m2でなければならない
●総ビリルビン>1.5×ULN、総ビリルビン>3.0×ULN又は直接ビリルビン>1.5×ULNの場合に除外されるギルバート症候群の患者を除く
●アラニンアミノ基転移酵素(ALT)>3×ULN、ALT>5×ULNの場合に除外される肝臓に腫瘍が含まれる患者を除く
●アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)>3×ULN、AST>5×ULNの場合に除外される肝臓に腫瘍が含まれる患者を除く
●絶対好中球数<1.0×10e9/L
●血小板数<75×10e9/L
●ヘモグロビン(Hgb)<8g/dL
●適切な補充療法にもかかわらず、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はホスフェートの、CTCAEグレード1を超える異常
6. 以下のいずれかを含む、心機能障害又は臨床的に重大な心疾患:
●治療が必要なうっ血性心不全(NYHAグレードIII又はIV)、又は、降圧薬の有無にかかわらず収縮期血圧(SBP)160mmHg及び/又は拡張期血圧(DBP)100mmHgで定義される無制御高血圧など、臨床的に重大な及び/又は制御不能の心疾患。
●Fridericia補正を使用したECGのスクリーニングで、女性では470msecを超える、男性では450msecを超えるQTcF、先天性QT延長症候群
●3か月未満(試験参加の月数で)の急性心筋梗塞又は不安定狭心症
●心機能の低下が証明された臨床的に重要な弁膜症
●症候性心膜炎
●心筋症の既往歴又は継続中の記録
●心エコー(ECHO)又はマルチゲート取得(MUGA)スキャンで決定される、左心室駆出率(LVEF)<40%
●臨床的に重要な心不整脈の既往又は存在、例えば、心室、上室、結節性不整脈、又は伝導異常(TBC修飾子:…ペースメーカーを必要とするか、薬物で制御されていない):
●不安定な心房細動の存在(心室反応率>100bpm)。
注意:心房細動が安定している患者は、他の心臓除外基準を満たさない場合に登録できる。
●完全な左脚ブロック(LBBB)、二枝ブロック
●いずれかの臨床的に重要なSTセグメント及び/又はT波異常
7. 治療の中止を導いた以前のIO治療に起因する毒性。薬物関連の皮膚発疹又は内分泌障害の代替療法で適切に治療された患者は、これらの毒性が以前の治療の中止につながらなかった場合、除外されない。
8. 自己免疫疾患が活動している、既知の、又は疑われる患者。白斑、I型糖尿病、ホルモン補充のみを必要とする自己免疫状態による残存甲状腺機能低下症、全身治療を必要としない乾癬、又は外部トリガーの非存在下で再発すると予想されない状態の対象は、トリガーを回避できる場合、登録が許可される。
9. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、又は活動性B型肝炎(HBV)又はC型肝炎(HCV)ウイルス感染
試験は資格を得るために必須ではない。患者に未診断のHCVを有するリスク(例えば注射薬の使用歴)がある場合、HCVの検査を検討する必要がある。
10. この研究で治療されているもの以外の悪性疾患。この除外の例外には、次のものが含まれる:治療的処置を受け、研究治療前2年以内に再発しなかった悪性腫瘍;基底細胞及び扁平上皮の皮膚がんを完全に切除した;緩慢性と考えられ、治療を必要としない任意の悪性腫瘍;あらゆる種類の上皮内がんを完全に切除した。
11. 治験薬の初回投与から2週間以内の全身抗がん療法。主要な遅延毒性がある細胞毒性薬、例えば、マイトマイシンC及びニトロソ尿素、4週間が休薬期間として示される。CTLA-4アンタゴニスト等の抗がん免疫療法を受けている患者の場合、休薬期間として6週間が示される。
12. 活動性下痢CTCAEグレード2又は慢性下痢に関連する病状(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患など)
13. 2の存在:以前のがん治療によるCTCAEグレード2毒性(脱毛症、末梢神経障害、及び耳毒性を除く。これらは、CTCAEグレード3以上の場合は除外される)。
14. 全身抗生物質療法を必要とする活動性感染症。
15. 上部消化管の活動性の潰瘍形成又は消化管出血
16. 活動性の出血素因又は経口抗ビタミンK薬物療法(INR≦2.0である限り、低用量ワルファリン及びアスピリン又は同等物を除く)
17. 活動性自己免疫疾患、自己免疫起源と考えられる運動神経障害、及びその他の中枢神経系自己免疫疾患
18. 以下を除く、併用免疫抑制剤又はコルチコイドによる長期治療を必要とする患者:
副腎機能不全の状況におけるステロイドの補充投与
局所、吸入、鼻、及び眼のステロイドが許可されている
19. 試験治療開始から4週間以内の感染症(例えば、インフルエンザ、水痘、肺炎球菌)に対する生ワクチンの使用(注意:試験の全期間を通じては生ワクチンの使用は許可されない)
20. 試験薬開始の2週間未満前での造血コロニー刺激増殖因子(例えば、G-CSF、GMCSF、M-CSF)の使用。赤血球刺激剤は、試験治療の最初の投与の少なくとも2週間前に開始されたのに限り許可される。
21. 試験治療の最初の投与から2週間以内の大手術(注意:縦隔鏡検査、中心静脈アクセス装置の挿入、又は栄養チューブの挿入は、大手術とはみなされない)。
22. 治験薬の最初の投与から2週間以内の放射線療法、ただし、骨の痛みや局所的な痛みを伴うtun1又は腫瘤の治療など、限られた領域への緩和放射線療法を除く。治療に対する応答の評価を可能にするために、患者は照射されていない測定可能な疾患が残っている必要がある
23. 治験薬の最初の投与から2週間以内の介入的、治験研究への参加。
24. 治験責任医師の判断で、安全性の懸念、臨床試験手順の順守、又は試験結果の解釈のために、臨床試験への患者の参加を妨げるような任意の病状。
25. 性的に活発な男性は、薬物を服用している間及び試験治療の中止後90日間の性交中コンドームを使用しない限り、かつ、この期間に子供の父親になるべきではない。精液を介した薬物の送達を防ぐために、精管切除された男性もコンドームを用いる必要がある。
26. 妊娠又は授乳中の女性、妊娠は、受胎後、妊娠終了までの女性の状態として定義され、hCG検査で陽性と確認される。内分泌腺腫瘍のまれな症例の場合、hCGレベルは正常範囲を超えることがあるが、患者の妊娠がない。これらの場合には、妊娠を除外するために、血清hCG検査の繰り返し(上昇しない結果)及び膣/骨盤超音波検査を行う必要がある。結果を確認し、医療担当者と話し合うと、これらの患者は試験に参加する可能性がある。
27. 試験治療中及び試験治療の最後の任意の投与後90日間、非常に効果的な避妊方法を使用していない限り、生理学的に妊娠可能性のあるすべての女性と定義される出産可能性のある女性。非常に効果的な避妊方法には次のものが含まれる:
●完全な禁欲(これが患者の好みの通常のライフスタイルに沿っている場合)。定期的な禁欲(例えば、カレンダー、排卵、交感神経、排卵後の方法)及び膣外射精は、避妊の受け入れ可能な方法ではない。
●試験治療を受ける少なくとも6週間前に、女性の避妊手術(子宮摘出を伴う又は伴わない外科的両側卵巣摘出術を受けた)、子宮全摘術、又は卵管結紮。卵巣摘出術のみの場合、追跡ホルモンレベル評価により女性の生殖状態が確認されたときのみ
●男性の避妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヶ月前)。研究中の女性患者については、精管切除された男性パートナーがその患者の唯一のパートナーでなければならない
●経口(エストロゲン及びプロゲステロン)、避妊の注射もしくは移植された複合ホルモン法、又は、子宮内避妊器具(IUD)もしくは子宮内システム(IUS)の配置、又は同等の効力(失敗率<1%)を持つ他の形態のホルモン避妊法、例えば、ホルモンの膣リング又は経皮ホルモン避妊。
経口避妊薬の使用の場合、女性は研究治療を受ける前に最低3ヶ月間同じ経口避妊薬で安定していなければならない。
女性は、適切な臨床プロファイル(例えば、年齢相応、血管運動症状の病歴)を伴う自然な(自発性)無月経が12か月あった場合、又は少なくとも6週間前に外科的両側卵巣摘出術(子宮摘出術の有無にかかわらず)もしくは卵管結紮がある場合、閉経後と考えられ、出産可能性はないと考えられる。卵巣摘出術のみの場合、追跡ホルモンレベル評価により女性の生殖状態が確認されたときのみ、子供を産む可能性がないとみなされる。
【0449】
用量限定毒性及び用量修正ガイドライン
用量限定毒性(DLT)は、21日間のDLT評価期間中に発生する治験責任医師の判断ごとに、少なくともADCに関連すると考えられる以下の事象のいずれかとして定義される。原発性疾患又は別の病因に明確かつ直接関連する毒性は、この定義から除外されている。
【0450】
DLTの定義
血液のDLTは次のように定義される;
■グレード3又は4の発熱性好中球減少症又は好中球減少症感染
■7日間を超えて続くグレード4の好中球減少症
■グレード4の血小板減少症
■臨床的に重大な出血を伴うグレード3の血小板減少症、又は血小板輸血を必要とするグレード3の血小板減少症
■輸血を必要とするグレード3の貧血
■グレード4の貧血
非血液のDLTは次のように定義される;
■グレード4の非血液毒性
■最適な支持療法又は医療介入にもかかわらず、3日間を超えて続くグレード3の非血液毒性
■Hyの法則(AST及び/又はALT>3×ULN及びビリルビン>2×ULN)であり、胆汁うっ滞(血清アルカリホスファターゼ(ALP)活性<2×ULN)の初期所見がなく、A型、B型、又はC型肝炎ウイルス、既存又は急性肝疾患、又は観察された傷害を引き起こす可能性のある別の薬物等の、トランスアミナーゼの増加と血清総ビリルビンの組み合わせを説明できる他の理由がない場合。
■グレード3以上の過敏症/輸液関連反応(前投薬に関係なく)。適切な臨床管理で発症後8時間以内に解消するグレード3の過敏症/輸液関連反応は、DLTとして適さない。
■LVEFがベースラインから<40%又は>20%減少する
■グレード4の腫瘍溶解症候群(グレード3のTLSは、不可逆的な末端器官の損傷を引き起こさない限り、DLTを構成しない)
【0451】
以下の条件は、非血液のDLTとはみなされない:
●7日間以下のグレード3の疲労
●治療に応答し、グレード3事象の場合は3日以内に少なくとも1グレードに、又は7日以内にグレード1以下に改善する、前投薬がない場合のグレード3の下痢、悪心、又は嘔吐。
●AST又はALTの上昇が5×ULN以上であるが、8×ULN以下であり、ビリルビンが同時に上昇せず、発症後5日間以内にグレード2以下に低下する。
●膵炎の臨床徴候又は症状がない場合、7日間以下のグレード3の血清リパーゼ又は血清アミラーゼ
【0452】
適切な医学的管理で解消又は安定するDLTを経験した患者は、治験責任医師の裁量により、スポンサーと相談して治療を継続することができる。
【0453】
用量修正
特定の毒性を管理するためのガイドラインは、以下の表に詳述されている。表に指定されていない事象の管理については、以下が治験責任医師へのガイダンスとして役立つ可能性がある:
【表3】
【0454】
実施例4
マウス結腸がんMC38細胞を使用した免疫適格の同系マウスモデルにおけるサロゲート-301のインビボ有効性試験。
導入
MC38は、Treg及びTeff細胞の浸潤を有することが知られている免疫療法タイプの研究で前臨床的に用いられるマウス結腸がん由来モデルである。
【0455】
Arce Vargas et al., 2017, Immunity 46, 1-10, April 18, 2017において、MC38モデルでの腫瘍浸潤Treg細胞の選択的枯渇は、マウスCD25に対するラット抗体であるPC61のFc強化バージョンを使用して示され、PD1との相乗効果が記載された。野生型PC61をPBD二量体SG3249と複合体形成し、サロゲート-ADC×25と命名された。Surrogate-ADC×25の有効性は、MC38同系マウスモデルで単剤療法として、又は抗PD1(抗PD1、クローンRPM1-14、BioXcell カタログ番号BE0146)と併用して研究された。
【0456】
研究デザイン
サロゲート-ADC×25は、1日目に単回投与(0.1、0.5、1mg/kg)として、単独で、又は抗PD1抗体と併用投与された(標準投与レジメンで、すなわち、2、5、及び8日目に5mg/kgで投与された)。対照として、アイソタイプ対照ADC(B12-SG3249)は、1日目に単回投与(1mg/kg)として、単独で、又は抗PD1抗体と併用投与され(標準投与レジメンで投与され)、抗PD1抗体は単独で、標準投与レジメンで投与された。
【0457】
結果
サロゲート-ADC×25は、MC38同系モデルにおいて強力で用量依存的な抗腫瘍活性をそれ自体で有していた。アイソタイプ対照ADCは、1mg/kgのサロゲート-ADC×25よりも著しい低い活性を示した。(
図2)低単回用量のサロゲート-ADC×25と抗PD1抗体を組み合わせると、強力な相乗効果が観察された(
図3)。現在のモデルでの高用量のサロゲート-ADC×25の高い有効性により、より高い用量での相乗効果の評価が妨げられた。
【0458】
実施例5
ADC×25がシタラビンと相乗的に機能することを示すために、Karpas及びSUDHL1を含むがこれらに限定されないCD25(+)細胞株のパネルを、ADC×25とシタラビンの両方の濃度範囲で共処理する。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、シタラビンと非標的対照ADCの濃度範囲又はADCとビヒクルの濃度範囲で共処理した。
【0459】
インキュベーション後、表面CD25の量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのインビトロ細胞毒性(CellTiter-Glo(登録商標)又はMTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定された。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して組み合わせ指数(表1)を計算することにより計算された。
【表4】
表1
【0460】
図4は、シタラビン単独(左のグラフ)又はADC×25との組み合わせ(右のグラフ)の、Karpas299細胞株に対するインビトロ細胞毒性データを示す。Calcusyn分析(表2)は、特に高濃度のADCで明確な相乗効果があることを示した。
【表5】
表2
【0461】
図5は、シタラビン単独(左のグラフ)又はADC×25との組み合わせ(右のグラフ)の、KG-1細胞株に対するインビトロ細胞毒性データを示す。Calcusyn分析(表3)は、特に10nMのシタラビンで明確な相乗効果があることを示した。
【表6】
表3
【0462】
KG-1は低レベルのCD25を発現する。
図6は、シタラビンとCD25(+)KG-1細胞をインキュベートすると表面CD25レベルの2倍増加をもたらすため、KG-1細胞株に対するシタラビンとADC×25の相乗効果が表面CD25の増加によって説明され得ることを示す(FACS分析により決定)。CD25が高いKarpas299細胞株をシタラビンとインキュベートした場合、表面CD25の増加は観察されなかった。
【0463】
実施例6
ADC×25がデシタビンと相乗的に機能することを示すために、CD25(+)細胞株のパネルをADC×25とデシタビンの両方の濃度範囲で共処理した。陰性対照として、同一の細胞株のパネルを、デシタビンの濃度範囲又はADC×25とビヒクルの濃度範囲で共処理した。
【0464】
インキュベーション後、表面CD25の量(フローサイトメトリーにより決定)と組み合わせのインビトロ細胞毒性(MTSアッセイにより決定)の2つのパラメーターが測定された。細胞毒性を決定するために、穴ごとにMTSを添加し、37℃で4時間インキュベートすることにより、細胞生存率を測定する。未処理の対照と比較して細胞生存比率を計算する。細胞毒性の相乗効果は、細胞生存率データを影響を受ける割合に変換し、CalcuSyn分析プログラムを使用して組み合わせ指数(表3)を計算することにより計算される。
【表7】
表3
【0465】
図7は、デシタビン単独又はADC×25との組み合わせの、Karpas299細胞株に対するインビトロ細胞毒性データを示す。Calcusyn分析。表4は、特に低濃度のADCで明確な相乗効果があることを示す。30mMデシタビンの存在下では、細胞上のCD25の量に差異がなかった(
図8を参照されたい)。
【表8】
【0466】
実施例7
CD25高発現細胞株Karpas299における、ADC×25と二次薬剤シタラビン及びデシタビンとの細胞毒性相乗作用を評価するために、1×104のKarpas299細胞を30又は100nMのシタラビン/デシタビンを含む96穴平底プレートの各穴に50μlで播種した。24時間後、ADC×25の連続希釈系列を別のプレートで調製し、50μlのADCをKarpas299細胞に添加し、未処理の対照とともに96時間インキュベートして、少なくとも3回、細胞を倍加させた。
【0467】
120時間後、20μlのMTSを各穴に添加し、通常の細胞培養条件下で2~3時間インキュベートした。プレートリーダーを使用して492nmでODを測定し、未処理の対照細胞と比較して増殖%を計算した。
【0468】
シグモイド、4PL、エックス軸がlogである(濃度)式を使用し、GraphPad Prismを使用して増殖曲線をプロットした。IC50値(増殖を50%阻害する薬物の用量)を決定した。細胞生存率を、影響を受ける割合(Fa)に変換し、CalcuSyn v2.11を使用して各用量の組み合わせ指数(CI)が計算された。
【0469】
結果を
図9A(シタラビン)及び9B(デシタビン)に示し、CalcuSynによって決定されるように、
*は中程度の相乗効果を示し、
**は強力な相乗効果を示す。
【0470】
実施例8
CD25低発現細胞株KG-1における、ADC×25と二次薬剤シタラビン及びデシタビンとの細胞毒性相乗作用を評価するために、実施例7のKarpas299細胞の代わりにKG-1細胞を使用して、実施例7のプロトコールに従った。
【0471】
結果を
図10A(シタラビン)及び10B(デシタビン)に示し、CalcuSynによって決定されるように、
*は中程度の相乗効果を示し、
**は強力な相乗効果を示す。
【0472】
実施例9
CD25の発現レベルの測定-mRNA
Karpas-299、EOL-1、又はKG-1細胞を30nMシタラビンと24時間インキュベートした後、mRNAを単離して逆転写した。TaqMan qRT-PCRにより、IL2Rアルファ(CD25)のcDNAをプローブした。未処理の対照と比較した発現の平均倍率変化は、参照遺伝子abl-1を使用したddCT法を使用して計算された。シタラビンとのインキュベーション時間のみが延長される、同一の条件下でKarpas-299(高CD25発現)及びKG-1細胞(低CD25発現)で3~4日間の発現変化を測定するための時間経過も実行された。
【0473】
結果:30nMシタラビンとのインキュベーションは、アッセイの72時間にわたってKarpas299細胞におけるCD25のmRNA発現にほとんど影響を与えないことが判明した。対照的に、KG-1細胞は、シタラビンとの24時間のインキュベーション後にCD25のmRNA発現の2倍の増加を示し、48時間のインキュベーション後にCD25発現が4倍の増加にまで上昇し、その後96時間のインキュベーション後に徐々に3倍の増加にまで戻った。
【0474】
CD25の発現レベルの測定-表面タンパク質
Karpas-299及びKG-1細胞を30nMシタラビンで24時間処理した後に回収し、次いでブロッキングして、直接標識した抗CD25-PE mAbで1時間染色した。次いで、細胞を洗浄し、Fortessa X20フローサイトメーターで実行した。細胞あたりの結合したCD25抗体の平均数は、BDの直接標識モノクローナルマウス抗ヒトCD25-PE Ab(cat#555432)を使用して、BDのQuantiBRITE-PE参照ビーズを使用して計算した。
【0475】
結果:30nMシタラビンとのインキュベーションは、アッセイの24時間にわたってKarpas299細胞のCD25表面タンパク質発現にほとんど影響を及ぼさないことが判明し、未処理と処理のKarpas299細胞の両方が細胞あたり平均約60000の抗体に結合した。対照的に、30nMシタラビンとインキュベートしたKG-1細胞は、CD25表面発現のレベルが著しく増加することが判明し、未処理のKG-1細胞が、細胞あたり平均約200の抗体に結合し、これに比べて処理したKG-1細胞によって、細胞あたり平均約400の抗体に結合した。
【0476】
実施例10:ADC×CD25と免疫腫瘍学(I/O)二次薬剤PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、OX40アゴニスト、及びGITRアゴニストの各々との間のCD25+ve新生物細胞に対する相乗効果
PD1アンタゴニスト
PD1アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデル(CD25に関して、可能性のある適切なモデルには、YAC1、MC38、B16F10、CT26が含まれる)においてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをPD1アンタゴニストとともに、CD25を発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PD1アンタゴニストの前に、PD1アンタゴニストと同時に、又はPD1アンタゴニストの後に投与される。
【0477】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPD1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0478】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はPD1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0479】
PDL1アンタゴニスト
PDL1アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをPDL1アンタゴニストとともに、CD25を発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PDL1アンタゴニストの前に、PDL1アンタゴニストと同時に、又はPDL1アンタゴニストの後に投与される。
【0480】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPDL1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0481】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はPDL1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0482】
CTLA4アンタゴニスト
CTLA4アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをCTLA4アンタゴニストとともに、CD25を発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、CTLA4アンタゴニストの前に、CTLA4アンタゴニストと同時に、又はCTLA4アンタゴニストの後に投与される。
【0483】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、CTLA4アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はCTLA4アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0484】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はCTLA4アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0485】
OX40アゴニスト
OX40アゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをOX40アゴニストとともに、CD25を発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、OX40アゴニストの前に、OX40アゴニストと同時に、又はOX40アゴニストの後に投与される。
【0486】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、OX40アゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はOX40アゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0487】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はOX40アゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0488】
GITRアゴニスト
GITRアゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、このADCをGITRアゴニストとともに、CD25を発現するマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに投与する。ADCは、実験者が決定したように、GITRアゴニストの前に、GITRアゴニストと同時に、又はGITRアゴニストの後に投与される。
【0489】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、GITRアゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はGITRアゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0490】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はGITRアゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0491】
実施例11:ADC×CD25と免疫腫瘍学(I/O)二次薬剤PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、OX40アゴニスト、及びGITRアゴニストの各々との間のCD25-ve新生物細胞に対する相乗効果
CD25は、局所腫瘍環境に浸潤する免疫細胞にも発現しており、腫瘍に対する生来の免疫応答に抑制的な影響を与える可能性がある。そのような細胞の例は、制御性T細胞等のT細胞である。ADC×CD25は、免疫抑制細胞を殺傷し、免疫応答を促進するこれらの免疫細胞を標的化するために使用できる。
【0492】
この「免疫抑制の解放」効果に加えて、ADC×CD25による免疫細胞の殺傷は、ローカルPBD弾頭を放出し、バイスタンダー殺傷を介して隣接する新生物細胞を殺傷する。
【0493】
したがって、これらの2つのメカニズムにより、CD25を発現しない腫瘍は、局所腫瘍環境の免疫細胞を標的化することにより殺傷することができる。また、隣接する免疫細胞から放出されたPBDによって殺傷されたCD25-ve腫瘍細胞は、追加の免疫原性細胞死を誘発し、抗腫瘍免疫応答をさらに強化する。
【0494】
PD1アンタゴニスト
PD1アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが、CD25を発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤リンパ球を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをPD1アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PD1アンタゴニストの前に、PD1アンタゴニストと同時に、又はPD1アンタゴニストの後に投与される。
【0495】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、PD1アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPD1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0496】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はPD1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0497】
PD-L1アンタゴニスト
PDL1アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが、CD25を発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤リンパ球を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをPDL1アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、PDL1アンタゴニストの前に、PDL1アンタゴニストと同時に、又はPDL1アンタゴニストの後に投与される。
【0498】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、PDL1アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はPDL1アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0499】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はPDL1アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0500】
CTLA4アンタゴニスト
CTLA4アンタゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが、CD25を発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤リンパ球を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをCTLA4アンタゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、CTLA4アンタゴニストの前に、CTLA4アンタゴニストと同時に、又はCTLA4アンタゴニストの後に投与される。
【0501】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、CTLA4アンタゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はCTLA4アンタゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0502】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はCTLA4アンタゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
OX40アゴニスト
OX40アゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが、CD25を発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤リンパ球を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをOX40アゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、OX40アゴニストの前に、OX40アゴニストと同時に、又はOX40アゴニストの後に投与される。
【0503】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、OX40アゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はOX40アゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0504】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はOX40アゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【0505】
GITRアゴニスト
GITRアゴニストと併用したCD25に対するPBDベースのADCが、CD25を発現していない腫瘍に対して相加効果又は相乗効果を示すかどうかを試験するために、免疫適格マウスの同系腫瘍モデルにおいてインビボで組み合わせを試験する。この目的のために、マウスCD25と交差反応する抗体をPBD弾頭に接続し、MC38やCT26などであるが、これらに限定されない高レベルの浸潤リンパ球を有することが知られているマウス腫瘍細胞株を移植したマウスに、このADCをGITRアゴニストとともに投与する。ADCは、実験者が決定したように、GITRアゴニストの前に、GITRアゴニストと同時に、又はGITRアゴニストの後に投与される。
【0506】
通常、ADCは0.1~1mg/kgの単回投与で投与され、GITRアゴニストは1~10mg/kgの投与量でQ3d×3で投与される。対照群はADC又はGITRアゴニスト単独を含む。その後、腫瘍体積と体重をすべての群で60日間まで測定し、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、腫瘍なく生存(TFS)のマウスを各群で決定する。
【0507】
統計分析(通常はログランク検定)を実行して、組み合わせで処理したマウスがADC又はGITRアゴニストいずれか単独で処理したマウスよりも優れているかどうかを判定する。
【配列表】