(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/18 20090101AFI20231214BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20231214BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231214BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20231214BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04W48/18 113
H04W76/15
H04W84/12
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2020006221
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝文
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175826(JP,A)
【文献】米国特許第07200397(US,B1)
【文献】3GPP TS 23.501 V16.3.0,3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; System architecture for the 5G System (5GS); Stage 2 (Release 16),2019年12月22日,pp.270-276
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ通信方式を用いて第1通信ネットワークに接続する第1の通信モードと、前記第1通信ネットワークとは異なる第2通信ネットワークに接続することが可能な第2の通信モードを有する通信装置であって、
前記通信装置が前記第1通信ネットワークに接続されており、かつ、前記第1通信ネットワークがパブリックネットワークでない場合に
、前記第2通信ネットワークとの接続を試みるかを判定する判定手段と、
前記第2通信ネットワークとの接続を試みると判定されたことに基づいて、前記第1通信ネットワークとの接続が維持された状態で前記第2通信ネットワークとの接続を試みるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記パブリックネットワークではない通信ネットワークは、インターネットを介して通信可能な通信ネットワークであり、第1通信ネットワークとは異なる第2通信ネットワークに属する所定の接続先にアクセスできない通信ネットワークであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置が前記第1通信ネットワークに接続されたことに従って、前記第1通信ネットワークのタイプがプライベートネットワークであるかを判定する
第2の判定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記
第2の判定手段によって前記第1通信ネットワークのタイプが前記プライベートネットワークであると判断さ
れ、かつ、前記判定手段によって第2の通信ネットワークとの接続を試みると判定された場合であって、前記第2の通信モードを使用しない動作設定がなされている場合に、ユーザ操作を介することなく、前記第2の通信モードの動作設定を、使用する動作設定に変更するように制御し、
当該動作設定の変更がなされた後に、前記制御手段による前記第2通信ネットワークとの接続が試行される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置が前記第1通信ネットワークと前記第2通信ネットワークとの両方に接続している場合、前記通信装置は、前記第2通信ネットワークを介して前記インターネットへのデータを送信し、前記第1通信ネットワークを介してインターネットに接続されていないクローズドネットワークへのデータを送信する、ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記
第2の判定手段は、前記第1通信ネットワークがプライベートネットワークであるか否かを、前記第1通信ネットワークの基地局から送信されたPLMN ID(Public Land Mobile Network Identifier)に基づいて判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1通信ネットワークがパブリックネットワークである場合に、前記第2通信ネットワークへの接続を試みない、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御手段は、さらに、前記第1通信ネットワークでの通信に用いられる周波数帯が所定の周波数帯であるか否かに基づいて、前記第2通信ネットワークへの接続を試行するかどうかを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御手段は、さらに、前記第1通信ネットワークを介して位置情報を取得することができるか否かに基づいて、前記第2通信ネットワークへの接続を試行するかどうかを制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2通信ネットワークへの接続を試みなかった場合、前記第2の通信モードの動作設定を使用しない動作設定に変更するように制御を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第2通信ネットワークへの接続を試みなかった場合であって、前記第2の通信モードの動作設定として、当該第2の通信モードを使用する動作設定がなされている場合に、当該使用する動作設定を維持したまま、当該第2の通信モードによる接続の確立に関する処理が実行されないように制御を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第2の通信モードは、IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANの通信を行う通信モードであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記制御手段による制御に関する情報を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
セルラ通信方式を用いて第1通信ネットワークに接続する第1の通信モードと、前記第1通信ネットワークとは異なる第2通信ネットワークに接続することが可能な第2の通信モードを有する通信装置の制御方法であって、
前記通信装置が前記第1通信ネットワークに接続されており、かつ、前記第1通信ネットワークがパブリックネットワークでない場合に
、前記第2通信ネットワークとの接続を試みるかを判定することと、
前記第2通信ネットワークとの接続を試みると判定されたことに基づいて、前記第1通信ネットワークとの接続が維持された状態で前記第2通信ネットワークとの接続を試みるように制御すること
と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から12のいずれか1項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、第5世代(5G)のセルラ通信システムの規格化が進行している。5Gシステムにおいては、従来のような無線通信事業者が全国的にシステムを展開するのみならず、地域や企業などが局所的にプライベートなシステムを構成するローカル5Gの採用が想定されている。セルラ通信を実行可能な従来の通信装置は、一般的に、例えばスマートフォンのように、契約した単一の無線通信事業者が展開するセルラ通信網へ接続する。一方で、ローカル5Gが採用された場合、通信装置は、契約した無線通信事業者が展開するセルラ網のみならず、ローカル5Gによって構成されたプライベート網に接続することも想定される。
【0003】
また、セルラ通信を実行可能な通信装置の多くが、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格シリーズに準拠した無線LANに接続することができる。通信装置は、周囲に利用可能な無線LANがある場合、セルラ通信網やプライベート網に接続しながら、無線LANにも接続することにより、無線LANを介した通信サービスを享受することができる。特許文献1には、無線LANとセルラ網の両方の通信機能を有する通信装置における無線LANの接続制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プライベート網は、例えば、施設内や社内などの一定の範囲内でのみ通信ができるように構成され、外部のインターネット等への接続が許容されないように構成されうる。また、プライベート網は、例えば、IoT(Internet of Thnigs)向けに低速な通信のみを提供するように構成されうる。このように、プライベート網は、従来の公衆無線としてのセルラ網とは異なるネットワーク特性を有しうる。なお、通信装置は、セルラ通信ではなく、地域BWA(Broadband Wireless Access)などを使用することができるが、このようなセルラ通信システム以外のシステムも同様に、公衆無線とは異なる特性を有することが想定される。しかしながら、通信装置がこのようなシステムと無線LAN等との複数の無線通信システムを利用可能な場合の接続制御では、このような特性の違いは考慮されていない。
【0006】
本発明は、通信装置が接続中のネットワークの特性に応じて別のネットワークに接続するための接続制御技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による通信装置は、セルラ通信方式を用いて第1通信ネットワークに接続する第1の通信モードと、前記第1通信ネットワークとは異なる第2通信ネットワークに接続することが可能な第2の通信モードを有する通信装置であって、前記通信装置が前記第1通信ネットワークに接続されており、かつ、前記第1通信ネットワークがパブリックネットワークでない場合に、前記第2通信ネットワークとの接続を試みるかを判定する判定手段と、前記第2通信ネットワークとの接続を試みると判定されたことに基づいて、前記第1通信ネットワークとの接続が維持された状態で前記第2通信ネットワークとの接続を試みるように制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信装置が接続中のネットワークの特性に応じて別のネットワークに接続するための制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】デジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【
図3】通信システムにおける通信の流れの例を示す図である。
【
図4】デジタルカメラが実行する処理の流れの例を示す図である。
【
図5】無線LANの接続判定処理の流れの第1の例を示す図である。
【
図6】セルラ網と無線LANとの間の排他制御の流れの例を示す図である。
【
図7】無線LANの接続判定処理の流れの第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、5G等のセルラ通信方式と無線LAN通信方式とをサポートしており、セルラ通信方式のネットワーク及び無線LANに並行して接続可能な通信装置であるデジタルカメラ101を含んで構成される。ここで、LANは、Local Area Networkの頭字語である。なお、デジタルカメラ101は、通信装置の一例であり、例えばプリンタやFAX、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタントなどの他の装置であってもよい。
【0012】
また、無線通信システムは、セルラ通信方式のネットワークの基地局102を含む。基地局102は、例えば、プライベート網103に接続されているものとする。本実施形態では、基地局102及びプライベート網103は、ローカル5Gのネットワークとして構築されているものとする。この場合、5G通信規格に準拠している通信装置がこの基地局102に接続することができる。一例において、基地局102は、複数のOFDMサブキャリア間隔の無線信号の送受信をサポートし、かつ、公知の(ITU-T勧告E.212が規定する電気通信事業者コードの)Public Land Mobile Network Identifier(PLMN ID)を報知しないように構成される。本実施形態において、デジタルカメラ101は、5G通信規格に準拠しているものとする。なお、通信方式はこれに限られず、LTE(Long Term Evolution)や第3世代(3G)方式などの、3GPP規格に準拠したセルラ通信方式が用いられてもよい。
【0013】
プライベート網103は、公衆網ではないネットワーク全般を指すものとするが、本実施形態では、インターネットには物理的/論理的に接続されていない閉域網であるものとする。また、プライベート網103において、その網内でのみ利用可能な通信サービスが提供されているものとする。なお、
図1には示していないが、インターネット等に接続可能な公衆網に接続されている他の基地局が周囲に存在していてもよい。なお、公衆網に接続されている基地局は無線通信事業者によって提供されており、一方で、プライベート網103に接続されている基地局は、無線通信事業者によって提供されてもよいが、プライベート網103を管理する個人や企業等によって提供されてもよい。なお、セルラ通信方式の基地局102及びプライベート網103は一例であり、例えば、他の方式の基地局に対応する通信装置やネットワークによって置き換えられてもよい。
【0014】
また、無線通信システムは、無線LANのアクセスポイント(AP104)を含む。AP104は、例えば、IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANのアクセスポイントであり、同一の規格シリーズに準拠する無線LANの端末と接続を確立して通信することができる。本実施形態では、デジタルカメラ101が、IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LAN通信機能を有するものとし、AP104と接続して通信することができるように構成されているものとする。ここで、AP104は、例えばインターネット105に接続されているものとする。なお、例えばプライベート網103と同じ又はそれとは異なるプライベート網に接続されている別のAPが存在してもよい。
【0015】
なお、基地局102は、自装置から送信した電波が第1の所定電力以上で端末に届くと共に、その端末から送信された電波を第2の所定電力以上で受信することができる場合に、その端末と接続を確立して通信を行うことができる。そのような通信可能な端末が存在しうる範囲が、
図1では範囲106として示されている。なお、範囲106は、セルと呼ばれうる。また、AP104と通信可能な端末が存在しうる範囲も同様に規定され、
図1では範囲107として示されている。
【0016】
図1において、デジタルカメラ101は、基地局102と接続してセルラ網(プライベート網103)にアクセスするための通信を行いながら、AP104と接続して、インターネット105にアクセスするための通信を並行して行うことができるものとする。なお、
図1は、説明のための簡略化されており、複数の基地局、複数のAP、及び複数の端末が当然に存在しうる。
【0017】
本実施形態に係るデジタルカメラ101は、基地局102と接続することによって、プライベート網103によって提供される各種サービスを享受することができる。一方、プライベート網103は、外部のインターネット等の所定の接続先とは接続されておらず、デジタルカメラ101は、基地局102を介して、その所定の接続先と接続することはできない。このため、デジタルカメラ101は、例えばインターネット上のサーバ等の所定の接続先の装置と通信する場合には、基地局102以外の、その所定の接続先に接続可能な相手装置と接続する必要がある。すなわち、本実施形態では、AP104がインターネット105に接続可能であるため、デジタルカメラ101は、例えばAP104に接続することにより、所定の接続先の装置と通信を行うことができる。一方、デジタルカメラ101が、インターネット等に接続可能な公衆網の基地局に接続している場合は、AP104に接続することなく、所定の接続先の装置と通信を行うことができる。この場合、デジタルカメラ101は、AP104と接続しないことにより、制御を簡素化することができる。また、デジタルカメラ101は、このような場合にもAP104に接続してAP104を利用した通信を行うことができる。例えば、デジタルカメラ101は、AP104を用いて、例えば、公衆網で実行されるべき通信を無線LANにオフローディングすることにより、公衆網の負荷を低減することができる。また、デジタルカメラ101は、AP104を用いて、例えばキャリアアグリゲーションを実行することにより、スループットを改善することができる。
【0018】
なお、デジタルカメラ101は、例えば所定の通信サービスの提供を受けるために、通信速度が所定レベル以上であることを要求される場合がある。このときに、基地局102のみでは、その通信速度の要求を満たせない場合がありうる。この場合、デジタルカメラ101は、基地局102との接続に加え、又はこれに代えて、無線LANのAPに接続して、その無線LANによる通信を用いることによって、通信速度の要求を満たすことができる。この場合、デジタルカメラ101は、例えばプライベート網103に接続可能なAPを探索して、そのAPと接続するようにしうる。すなわち、デジタルカメラ101は、例えばプライベート網103内の所定の接続先との通信のスループットを改善するために、その所定の接続先へのアクセスが可能なAPを探索して接続することができる。
【0019】
このように、デジタルカメラ101は、セルラ通信規格を用いて接続した基地局によって、実行すべき無線LANとの接続制御が異なりうる。なお、上述の態様は一例であり、別の制御が行われてもよい。例えば、基地局102に接続中のデジタルカメラ101は、インターネット等のプライベート網103の外部のネットワークに接続可能なAPには接続が許容されないように制御されてもよい。すなわち、プライベート網103とインターネット等の外部のネットワークがデジタルカメラ101を介して接続される環境が作られないように無線LANの接続制御が実行されてもよい。同様に、インターネット等に接続可能な基地局と接続しているデジタルカメラ101は、プライベート網103に接続されるAPには接続しないように構成されうる。また、デジタルカメラ101は、インターネット等に接続可能な無線LANに接続する際には、基地局102との接続を切断するように制御を行ってもよい。
【0020】
以下では、このような制御を実行する通信装置(デジタルカメラ101)の構成例と、処理の流れの例について説明する。
【0021】
(装置構成)
図2に、デジタルカメラ101の構成例を示す。デジタルカメラ101は、一例として、電源部201、入力部202、出力部203、通信部204、アンテナ205、記憶部206、及び制御部207を有する。電源部201は、各ハードウェアに電源を供給する電源を含んで構成される。電源部201は、例えばAC電源やバッテリから電力を取得して、取得した電力を他の機能部へ供給する。入力部202は、ユーザが各種入力等を行うためのキーボードやボタン等を含んで構成され、デジタルカメラ101を操作するためのユーザ操作を受け付ける。出力部203は、各種表示を行うためのLCD(液晶ディスプレイ)やLED(発光ダイオード)等の視覚で認知可能な情報の出力や、スピーカなどの音声出力が可能な装置を含んで構成される。なお、出力部203は、視覚情報と音声情報との少なくともいずれかを出力する機能を有しうるが、これらに代えて、又はこれらに加えて、振動によって情報を出力する機能等の、他の情報出力機能を有してもよい。なお、タッチパネルなどにより、入力部202と出力部203との両方の機能が1つのモジュールによって実現されてもよい。
【0022】
通信部204は、3GPP規格に準拠するLTE(ロングタームエボリューション)や5G等のセルラ通信と、例えばIEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANの通信を行う際に使用される。通信部204は、セルラ通信と無線LANとのそれぞれのための無線インタフェース(無線I/F)を含み、各無線I/Fは、例えばRF(無線周波数)回路やベースバンド回路などの無線チップを含んで構成される。通信部204は、この無線チップ等を用いて生成した無線信号をアンテナ205へ出力して、アンテナ205を介して外部へその無線信号を送出する。また、通信部204は、アンテナ205を介して外部から無線信号を受信し、その無線信号を無線チップ等によって解析して、その無線信号に含まれるデータを取得することができる。アンテナ205は、通信部204の各無線I/Fに対応したアンテナである。アンテナ205は、例えば、無線LANの周波数帯とセルラ通信の周波数帯との両方に対応したマルチバンドアンテナであってもよいし、これらの周波数帯のそれぞれに対応する別個のアンテナであってもよい。
【0023】
記憶部206は、制御部207が実行すべき制御プログラムと、通信パラメータや撮影画像データ等の各種情報とを記憶するように構成された記憶媒体を含んで構成される。記憶部206は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んで構成される。後述する各種動作は、記憶部206に記憶された制御プログラムを制御部207が実行することにより実現される。なお、記憶部206は、ROMやRAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を含んで構成されてもよい。また、記憶部206は、複数のメモリ等の記憶媒体を含んで構成されてもよい。また、記憶部206には、セルラ網の加入者情報などが記憶保持されてもよく、例えば、SIM(Subscriber Identity Module)カードの情報が記憶されてもよい。
【0024】
制御部207は、記憶部206に記憶されている制御プログラムを実行することにより装置全体を制御する。制御部207は、例えば、CPUやMPU等の1つ以上のプロセッサにより構成される。なお、制御部207は、記憶部206に記憶されたプログラムとOS(Operating System)との協働によりデジタルカメラ101全体を制御するようにしてもよい。本実施形態では、制御部207は、例えば、記憶部206に記憶されている制御プログラムを実行することにより、ネットワーク特性判定部208及び接続制御部209として動作しうる。ネットワーク特性判定部209は、デジタルカメラ101が接続したセルラ網の特性を判定する。ネットワーク特性は、例えば、デジタルカメラ101が接続しているセルラ網がプライベート網であるか否かの特性や、通信速度の特性等でありうる。なお、これら以外の特性が用いられてもよい。接続制御部209は、ネットワーク特性判定部208によって判定された情報に基づいて、セルラ通信および無線LANの接続制御を行う。
【0025】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態の通信の流れの例について
図3を用いて説明する。本実施形態では、デジタルカメラ101が、基地局102を介してプライベート網103に接続した後に、無線LANのAP104に接続するか否かの判定を行う場合について説明する。なお、
図3の例では、初期的には、デジタルカメラ101は、基地局102に接続されていないものとする。基地局102は、例えば、プライベート網103の管理者によって設置された後に、Master Information BlockやSystem Information Block等の報知信号を周期的にブロードキャストする(F301)。デジタルカメラ101は、基地局102が展開するセル(範囲106)に進入すると、この報知信号を受信することができ、基地局102に関する情報を取得することができる。
【0026】
その後、デジタルカメラ101は、セルラ網への接続処理を開始する。例えば、デジタルカメラ101は、プライベート網103によって提供されている所定の通信サービスを実行することを指示するユーザ操作を受け付けたことに応じて、待受け状態から接続状態へと移行するために、セルラ網への接続処理を開始する。なお、デジタルカメラ101は、基地局102から送出された報知信号に含まれる識別情報(例えばPLMN ID)が所定値であることに応じて、接続処理を開始してもよい。PLMN IDは、MCC(Mobile Countriy Code)と呼ばれる国番号と、MNC(Mobile Network Code)と呼ばれる事業者コードとによって構成される識別情報である。デジタルカメラ101は、例えば、公衆網の5Gの基地局のセルの範囲内から、ローカル5Gの基地局のセルの範囲内に進入した場合に、トラッキングエリアアップデートのために接続状態へと遷移するが、その後に接続状態を維持するようにしてもよい。デジタルカメラ101は、接続処理において、例えば無線リソース制御(RRC)レイヤを含んだ各種レイヤにおける接続処理を実行する(F302)。なお、例えば、F302で送受信されるRRCメッセージや、F301の報知信号によって、基地局102が閉域網に関する基地局であり、インターネットへの接続ができないことを示す情報がデジタルカメラ101へ通知されてもよい。
【0027】
デジタルカメラ101は、基地局102との間でRRC接続を確立した後に、基地局102を介してプライベート網103との間で認証処理や位置登録処理を実行する(F303)。ここで、認証処理では、例えば、プライベート網103に接続するための加入者情報に基づく認証が実行される。加入者情報は、例えば、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)等である。位置登録処理では、プライベート網103に接続する通信装置(デジタルカメラ101)の位置情報をプライベート網103側で管理するための登録処理が実行される。なお、本実施形態において、基地局102に接続するための情報やプライベート網103へ接続するための認証処理に必要な加入者情報等は事前にデジタルカメラ101の記憶部206に保持されているものとするが、これに限られない。例えば、デジタルカメラ101は、eSIM(embedded SIM)といった組み込みSIMの機能を用いて、プライベート網103への接続時点で加入者情報を取得して、記憶部206に書き込むようにしてもよい。
【0028】
デジタルカメラ101は、プライベート網103との接続が確立した後、ネットワーク特性判定処理を実行する(F304)。ネットワーク特性判定処理では、接続したセルラ網(本実施形態ではプライベート網103)のネットワークの特性が判定される。この特性は、例えば、セルラ網がプライベート網であるか公衆網であるかの特性でありうる。プライベート網であるか公衆網であるかは、例えば、セルラ網に接続する際に用いるAPN(Access Point Name)や、PLMN IDに基づいて判定されうる。例えば、デジタルカメラ101は、各キャリアのPLMN IDを記憶部206に記憶しておき、接続先のPLMN IDが記憶されていない場合に、接続先のセルラ網がプライベート網であると判定しうる。また、この特性は、セルラ網がインターネット等の所定の接続先に接続可能であるか否かの特性であると言うことができる。
【0029】
また、デジタルカメラ101は、周囲の接続可能な無線LAN APに一時的に接続し、無線LAN経由で、セルラ網で接続している基地局又は自装置のセルラ通信機能にアクセスできるか否かにより、セルラ網がプライベート網であるかを判定しうる。なお、この場合、デジタルカメラ101は、周囲の接続可能な無線LAN APのうち、インターネットに接続可能なAPを選択的に使用する。このアクセスに成功した場合は、セルラ網がインターネットを介してアクセス可能であることから、セルラ網は、公衆網であると判定される。一方、このアクセスに失敗した場合は、セルラ網がインターネットを介してアクセス可能ではないため、セルラ網は、プライベート網であると判定される。
【0030】
また、セルラ網がローカル5Gのネットワークである場合にプライベート網であると判定し、ローカル5Gのネットワークでない場合には公衆網であると判定するように、この判定が行われてもよい。セルラ網がローカル5Gのネットワークであるか否かは基地局102から送信される報知信号や、RRCメッセージによって、デジタルカメラ101に通知されうる。また、セルラ網がローカル5Gのネットワークであるか否かが、APNやPLMN IDによって判定されてもよい。例えば、デジタルカメラ101は、ローカル5GのAPNやPLMN IDを事前に記憶部206に記憶しておき、接続中のセルラ網のこれらの情報が記憶されているか否かによって、セルラ網がローカル5Gのネットワークであるかを判定しうる。また、デジタルカメラ101は、加入者情報から、セルラ網がローカル5Gのネットワークであるか否かを判定してもよい。
【0031】
デジタルカメラ101は、ネットワーク特性判定処理の後に、接続制御判定処理を実行する(F305)。接続制御判定処理では、ネットワーク特性判定処理の結果に基づいて、デジタルカメラ101が、接続中のセルラ網とは別のネットワークに接続する必要があるかが判定される。本実施形態では、デジタルカメラ101が、無線LANを用いてインターネットへ接続をする必要があるかの制御判定処理が行われる。制御判定処理の詳細については後述する。本実施形態では、無線LANを用いたインターネットへの接続が必要と判定されたものとする。デジタルカメラ101は、この判定結果に応じて、無線LANの接続を確立するために、周囲の無線LANの探索処理を実行する。例えば、デジタルカメラ101は、周囲のAP104が送信するビーコンを受信することにより(F306)、AP104の構築する無線LANを検出しうる。なお、デジタルカメラ101は、例えば、所定のAPを探索するために、Probe Requestを送信して、その応答であるProbe Responseを受信することによって無線LANを検出してもよい。
【0032】
その後、デジタルカメラ101は、検出したAP104との間で無線LANの接続を確立する(F307)。なお、デジタルカメラ101は、AP104との間で無線LANの接続を確立するためのSSID(Service Set Identifier)や暗号鍵等の通信パラメータを事前に記憶部206に保持しうる。ただし、これに限られず、WPS(Wi-Fi Protected Setup)やDPP(Device Provisioning Protocol)等の通信パラメータの設定プロトコルにより通信パラメータが取得されてもよい。その後、デジタルカメラ101は、AP104との間で無線LANの接続を確立した後に、セルラ通信でプライベート網103との間でデータ通信を行いながら(F308)、無線LANを介してインターネット105との間でもデータ通信を行う(F309)。
【0033】
続いて、
図4を用いて、デジタルカメラ101が実行する処理の流れについて説明する。なお、本処理は、例えば、デジタルカメラ101の制御部207が記憶部206に記憶されている制御プログラムを実行してネットワーク特性判定部208及び接続制御部209として動作することにより、実現される。ただしこれに限られず、以下に示す処理の一部又は全部が専用のハードウェアによって実行されてもよい。
【0034】
まず、デジタルカメラ101は、セルラ網における接続処理を実行する(S401)。デジタルカメラ101は、上述のように、基地局102から送出された報知情報を受信し、RRCレイヤを含む各レイヤにおける接続処理を実行して、認証処理・位置登録処理を実行することにより、プライベート網103との接続を確立する。その後、デジタルカメラ101は、接続先のセルラ網がプライベート網であるか否かを判定する(S402)。例えば、デジタルカメラ101は、上述のように、接続先のネットワークが公衆網であるか否かを判定する処理を実行し、公衆網でない場合にプライベート網であると判定する。又は、デジタルカメラ101は、プライベート網の識別情報を記憶部206に記憶しておき、接続先のセルラ網の識別情報がプライベート網の識別情報と一致する場合に、接続先のセルラ網がプライベート網であると判定してもよい。識別情報は、例えばPLMN IDでありうる。ただしこれは一例であり、APN情報等の他の情報に基づいて判定が行われてもよい。また、デジタルカメラ101は、IMSIの種別にプライベート網か否かの情報を付加して記憶しておき、プライベート網用のIMSIを用いたか否かによって、この判定を行ってもよい。ここでは、接続先のセルラ網がプライベート網であるか否かを判定できればよく、これらに限られない。また、この判定は、接続先のセルラ網がインターネット等の所定の接続先にアクセス可能であるか否かによって行われうる。例えば、所定の接続先にアクセス可能である場合にはプライベート網でないと判定された場合と同様に扱われ、所定の接続先にアクセス可能でない場合はプライベート網であると判定された場合と同様に扱われうる。デジタルカメラ101は、接続先のセルラ網がプライベート網であると判定した場合(S402でYES)に、処理をS403へ進める。
【0035】
S403では、デジタルカメラ101は、無線LANの接続判定処理を実行する。この処理の流れの例について、
図5を用いて説明する。なお、本処理は、例えば、デジタルカメラ101の制御部207が記憶部206に記憶されている制御プログラムを実行して接続制御部209として動作することにより、実現される。ただしこれに限られず、以下に示す処理の一部又は全部が専用のハードウェアによって実行されてもよい。
【0036】
まず、デジタルカメラ101は、実行するデータ通信にインターネット接続が必要なものが含まれているか否かを判定する(S501)。例えば、e-mailの送受信などが、インターネット接続が必要なデータ通信と判定される。また、インターネットを介したWebアクセスやインターネット接続が必要なアプリケーションによる通信などの、インターネットを介して送受信される他のデータ通信も、インターネット接続が必要なデータ通信と判定されうる。デジタルカメラ101は、対象のデータ通信の実行を伴うアプリケーションやプログラムが起動しているか否かによって、これらのデータ通信が必要か否かを判定しうる。また、デジタルカメラ101は、データ通信が開始される際の、通信相手の装置を示す情報(例えばアドレスやURL)に基づいて、インターネット接続が必要であるか否かを判定してもよい。デジタルカメラ101は、インターネット接続が必要なデータ通信を実行中である又は実行すると判定された場合(S501でYES)は処理をS502に進める。一方、デジタルカメラ101は、インターネット接続が必要なデータ通信を実行しないと判定された場合(S501でNO)は、無線LANの接続が不要と判定し(S504)処理を終了する。
【0037】
S502では、デジタルカメラ101は、接続先のプライベート網が、インターネット接続可能か否かを判定する。デジタルカメラ101は、例えば、ネットワーク特性判定部208の判定情報に基づいて、インターネット接続可能か否かを判定する。本実施形態では、デジタルカメラ101は、プライベート網103の特性としてインターネット接続が可能であるか否かの情報に基づいて、この判定を行う。インターネット接続が可能であるか否かは、例えば、インターネットを介して接続可能な代表的なサーバにプライベート網103を介してアクセス可能であるか否かで判定されるようにしてもよい。また、デジタルカメラ101は、基地局102から、又は、基地局102を介してプライベート網103から、インターネット接続可否に関する情報を受信し、その情報に基づいて、この判定を行ってもよい。なお、これらは一例であり、これらに限られない。デジタルカメラ101は、プライベート網103がインターネット接続可能であると判定した場合(S502でYES)は、プライベート網103に接続した状態で、さらに無線LANの接続が必要であると判定して(S503)、処理を終了する。一方、デジタルカメラ101は、プライベート網103がインターネット接続可能でないと判定した場合(S502でNO)は、無線LANの接続が必要でないと判定し(S504)、処理を終了する。
【0038】
図4に戻り、デジタルカメラ101は、無線LANの接続が不要と判定した場合(S404でNO)、自装置の無線LANの機能がONとなっている場合に(S413でYES)、無線LANの機能をOFFとして(S414)、処理を終了する。デジタルカメラ101は、例えば、無線LAN I/Fを停止することにより、無線LAN機能を無効化する(OFFとする)。デジタルカメラ101は、無線LAN I/Fを起動状態としたまま、無線LANの電波を送信しないように制御することにより、無線LAN機能を無効化してもよい。また、デジタルカメラ101は、無線LANのScanやAssociation Requestなど、APへの接続処理に関連する無線フレームを送信しないようにしてもよい。この場合、デジタルカメラ101は、例えば、他の通信装置と直接通信するためのWi-Fi Direct等に関連する無線LANフレームの送受信については停止しないでもよい。ここでは、デジタルカメラ101は、APへの接続に関する処理が実行されないようにすれば足り、このような制御のことを無線LAN機能の無効化と呼ぶ。また、デジタルカメラ101は、無線LAN機能を無効化する場合に、出力部203の表示等を介して、ユーザに無線LAN機能の無効化に関する通知を行うようにしてもよい。これらの処理によれば、デジタルカメラ101は、プライベート網との接続を優先し、無線LANへの接続切り替えを抑止することができる。このため、デジタルカメラ101は、プライベート網との接続を維持するように制御可能である場合には、無線LAN機能の無効化を行わなくてもよい。なお、デジタルカメラ101は、無線LAN機能を無効化するために無線LAN機能への電源供給を停止することができ、この場合は、電力消費を抑制することができる。
【0039】
一方、デジタルカメラ101は、無線LANの接続が必要と判定した場合(S404でYES)、自装置の無線LANの機能がONとなっていない場合に(S405でNO)、無線LANの機能をONとする(S406)。ここで、無線LAN機能がONとなっている状態は、例えば、無線LANのI/Fが起動され、無線LANの電波を送受信できる状態を指す。すなわち、デジタルカメラ101は、無線LANの接続を確立可能な状態へと遷移させる。なお、デジタルカメラ101は、S405の処理の前に、無線LANの接続確立処理を開始することを、出力部203の表示等を介してユーザに通知してもよい。また、デジタルカメラ101は、S405の処理の前に、無線LAN機能を用いて無線LANの接続確立処理を開始するか否かを選択可能に表示し、処理を開始するか否かを示すユーザ選択を受け付けるようにしてもよい。この場合、無線LANの接続確立処理を開始することを指示するユーザ操作が受け付けられた場合にS405以降の処理が実行され、無線LANの接続確立処理を開始しないことを指示するユーザ選択が受け付けられた場合は
図4の処理を終了してもよい。また、デジタルカメラ101は、S406において、無線LAN機能が有効化されたことを、出力部203の表示等を介してユーザに通知してもよい。
【0040】
その後、デジタルカメラ101は、周囲に存在する無線LANのAPの探索処理を実行する(S407)。APの探索処理は、例えば、周囲のAPが送信するビーコンを受信することによって行われうる。また、デジタルカメラ101は、Probe Requestを送信し、その応答であるPorbe Responseを周囲のAPから受信して、APを検出してもよい。そして、デジタルカメラ101は、周囲に自装置が接続可能なAPを発見した場合(S408でYES)、そのAPとの接続処理を実行して(S409)、処理を終了する。一方、デジタルカメラ101は、周囲に自装置が接続可能なAPを発見しなかった場合(S408でNO)、APを発見できなかったことを、例えば出力部203の表示等を介してユーザに通知して(S410)、処理を終了する。なお、接続可能なAPが存在するか否かは、記憶部206に記憶されている接続可能なAPの情報と、探索結果との比較によって判定されうる。デジタルカメラ101は、例えば、探索で発見されたAPのSSIDやBSSID等のネットワーク識別子が記憶部206に記憶されている場合に、接続可能なAPがあると判定する。また、デジタルカメラ101は、探索した周囲のAPのリストを出力部203に出力し、ユーザに接続先のAPを選択させるようにしてもよい。そして、デジタルカメラ101は、接続に必要な暗号鍵等の通信パラメータをWPSやDPPで取得する。また、デジタルカメラ101は、例えば暗号鍵やパスフレーズのユーザによる手動入力を受け付けて、接続先のAPに接続できるかを確認してもよい。なお、無線LANの接続処理に失敗した場合、デジタルカメラ101は、接続可能な無線LANのAPが存在しないと判定してもよいし、再度APの検出処理(場合によっては接続先のAPのユーザ選択の受付)を実行してもよい。
【0041】
S409の無線LANの接続処理では、例えば、記憶部206に記憶されているSSIDや暗号鍵などの通信パラメータを用いて、APに接続する。なお、APとの接続に失敗した場合は、出力部203の表示等を用いて接続の失敗がユーザに通知されるようにしうる。ただし、これに限られず、他に接続可能なAPの候補がある場合は、そのAPとの接続確立処理が実行されるようにしてもよい。この場合、候補のAPとの接続に全て失敗した場合に、接続に失敗したことが出力部203の表示等を介してユーザに通知される。なお、無線LANのAPとの接続が確立された後に、接続した無線LANとプライベート網のIP(Internet Protocol)アドレスのネットワークアドレスが同一であった場合は次のような処理が実行されてもよい。すなわち、プライベート網でのIPアドレスと無線LANネットワーク側のIPアドレスは、それぞれ、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)等の機能によってネットワークから割り当てられる。その際、使用するIPアドレスのネットワークアドレスが同一の場合には、セルラ網のI/Fと無線LANのI/Fのそれぞれを識別して対象のIPパケットの送受信がなされる必要がある。この場合、デジタルカメラ101が、各I/Fを区別してIPパケットを送受信することが可能な場合は、双方のネットワークでデータ通信が可能である。一方で、デジタルカメラ101は、各I/Fで送受信されたIPパケットを区別することができない場合、正常にデータ通信を行うことができない。このような場合、デジタルカメラ101は、周囲に接続可能な他の無線LANがあるかを探索し、接続可能な他の無線LANを検出した場合に、接続中の無線LANとの接続を切断し、検出された他の無線LANに接続するようにしてもよい。この場合、デジタルカメラ101は、無線LANのネットワークアドレスがプライベート網と異なるまで、無線LANの切断及び接続処理を繰り返してもよい。デジタルカメラ101は、接続可能な他の無線LANを検出できなかった場合は、出力部203の表示等により、(例えばその結果を含んだ)エラーをユーザに通知し、
図4の処理を終了してもよい。
【0042】
デジタルカメラ101は、S402において接続先のセルラ網がプライベート網でないと判定した場合(S402でNO)、無線LANの機能が有効(ON)となっているか否かを判定する(S411)。デジタルカメラ101は、無線LAN機能が有効になっていない場合(S411でNO)は、そのまま
図4の処理を終了する。一方で、デジタルカメラ101は、無線LAN機能が有効になっていた場合(S411でYES)は、セルラ網と無線LANの排他制御処理を実行して(S412)、
図4の処理を終了する。この排他制御処理の詳細について、
図6を用いて説明する。なお、本処理は、例えば、デジタルカメラ101の制御部207が記憶部206に記憶されている制御プログラムを実行して接続制御部209として動作することにより、実現される。ただしこれに限られず、以下に示す処理の一部又は全部が専用のハードウェアによって実行されてもよい。なお、本処理の開始時点において、デジタルカメラ101は、公衆網に接続している。
【0043】
まず、デジタルカメラ101は、周囲に存在する接続可能な無線LANのAPを、そのようなAPが検出されるまで繰り返し探索する(S601)。なお、デジタルカメラ101は、周囲に接続可能な無線LANのAPが検出されると(S601でYES)、セルラ網(公衆網)から無線LANへ、接続を切り替える(S602)。ここでは、デジタルカメラ101は、公衆網とのデータ通信のための通信リンクを切断する。すなわち、接続可能な無線LANのAPが検出されていない間は、セルラ網によって通信が行われ、接続可能な無線LANのAPが検出されたことに応じて、無線LANで通信を行うために、セルラ通信が切断される。そして、デジタルカメラ101は、無線LANのAPへの接続処理を実行する(S603)。なお、ここでは、セルラ網との接続が切断された後にAPとの接続処理が実行される例を示しているが、セルラ網との切断は、APとの接続が確立された後に切断されるようにしてもよい。すなわち、無線LANでのデータ通信が実行可能な状態となってから、セルラ網との接続が切断されるようにしてもよい。デジタルカメラ101とAPとの接続処理は上述の通りであるため、ここでは説明を繰り返さない。デジタルカメラ101は、APとの接続を確立した後は、そのAPを介してデータ通信を行う。その間、デジタルカメラ101は、APとの接続が切断されたか否かの判定を繰り返し実行する(S604)。そして、デジタルカメラ101は、APとの接続が切断された場合(S604でYES)、接続先を無線LANからセルラ網へ切り替える(S605)。デジタルカメラ101は、セルラ網に再度接続して、通信リンクを確立する。すなわち、デジタルカメラ101は、APとの接続中は無線LAで通信を行い、APとの接続が切断された後は、セルラ網で通信を行う。なお、デジタルカメラ101は、APとの接続が切断される前に、例えばフレーム誤り率等が一定値を超えた場合等に、APとの接続の切断に備えて、セルラ網との接続を再確立するようにしてもよい。デジタルカメラ101は、セルラ網との接続を再確立すると、
図6の処理を終了する。なお、デジタルカメラ101は、この場合に、
図6の処理をS601から再度実行してもよい。デジタルカメラ101は、例えば、ユーザ操作によって、
図6のような処理の停止が指示されるまで、
図6の処理を繰り返し実行してもよい。
【0044】
デジタルカメラ101は、以上のようにして、セルラ網と無線LANとのいずれかが使用されるようにするための処理を実行する。なお、これは一例であり、例えば、デジタルカメラ101は、セルラ網と無線LANとを並行して使用してもよい。また、デジタルカメラ101は、セルラ網と無線LANのそれぞれの通信リンクを維持したまま、データ通信の対象となる通信リンクを内部のスイッチング等により切り替えてもよい。
【0045】
このように、本実施形態では、デジタルカメラ101は、接続したセルラ網のネットワーク特性に応じて無線LANの接続を制御する。これにより、デジタルカメラ101は、例えば、インターネットに接続されていないプライベート網に接続している状態において、インターネットと接続されている従来の公衆網による通信と同様の通信を実行することができるようになる。また、本実施形態では、プライベート網103に接続しているデジタルカメラ101が、インターネット接続が必要である場合にインターネットに接続可能な無線LANに接続する場合について説明したが、これに限られない。例えば、プライベート網103に接続しているデジタルカメラ101は、プライベート網103のみに接続可能な無線LANへの接続のみが許容されてもよい。すなわち、デジタルカメラ101は、接続先のセルラ網の特性に応じて、接続先候補の無線LANを限定するようにしてもよい。この場合、デジタルカメラ101が、内部的なネットワークと外部的なネットワークとに並行して接続することを防ぐことが可能となる。これら以外にも、デジタルカメラ101は、接続先のセルラ網の特性に基づいて、無線LANの接続制御を行うことにより、様々なポリシに基づくネットワークへの接続制御を行うことができる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、デジタルカメラ101は、接続先のセルラ網の特性に基づいて、無線LANの接続制御を実行する場合について説明した。しかしながら、これに限られず、例えば、デジタルカメラ101は、第1のネットワークに接続している際に、その第1のネットワークを介して所定の接続先にアクセス可能であるか等の特性に基づいて、別の第2のネットワークへの接続制御を実行しうる。これにより、例えば、デジタルカメラ101は、無線LANとの接続を確立している際に、その無線LANの特性に応じて、セルラ網の接続制御を実行してもよい。例えば、デジタルカメラ101は、プライベート網103に接続されているAPに接続している間にインターネットに接続すべき状態となった場合に、公衆網に接続されているセルラの基地局に接続するように制御を行ってもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、ネットワークの特性として、そのネットワークを介してアクセス可能な接続先が用いられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、ネットワークの特性は、そのネットワークとの通信速度であってもよい。この場合の処理の流れの例について、
図7を用いて説明する。
【0048】
本処理では、デジタルカメラ101は、まず、実行すべきデータ通信において、要求最低通信速度を有するデータ通信があるか否かを判定する(S701)。すなわち、デジタルカメラ101によって実行される1つ以上のデータ通信に、通信速度の下限値が設定されているデータ通信が含まれているかが判定される。例えば、デジタルカメラ101が高速通信を必要とするストリーミングのアプリケーションを実行しており、ストリーミングを安定的に実行するための下限の通信速度が規定されている場合、要求最低通信速度を有するデータ通信が存在すると判定される。なお、このように、データ通信が要求最低通信速度を有するかが、実行されるアプリケーションによって判定されてもよいし、例えばデータ通信時の制御信号等に要求最低通信速度が規定されているか否か等によって判定されてもよい。
【0049】
実行すべきデータ通信に要求最低通信速度を有するデータ通信が含まれている場合(S701でYES)、デジタルカメラ101は、プライベート網103の通信速度が、その要求最低通信速度未満であるかを判定する(S702)。デジタルカメラ101は、例えば、実際にプライベート網103を介してデータ通信を実行して、通信速度を測定し、その測定結果と要求最低通信速度を比較することによって、この判定を行いうる。また、デジタルカメラ101は、基地局102やプライベート網103から取得できる、通信速度に関連する情報に基づいて、この判定を行ってもよい。また、これら以外の方法によって、S702の判定が行われてもよい。
【0050】
デジタルカメラ101は、プライベート網103の通信速度が要求最低通信速度未満であると判定した場合(S702でYES)、プライベート網103に接続した状態でさらに無線LANの接続が必要であると判定し(S703)、
図7の処理を終了する。デジタルカメラ101は、要求最低通信速度の制約があるデータ通信が無い場合(S701でNO)や、プライベート網103の通信速度が要求最低通信速度以上であると判定した場合(S702でNO)は、無線LANの接続は不要と判定する(S704)。
【0051】
なお、デジタルカメラ101は、プライベート網103を介して実行可能なサービスに関するデータ通信の要求最低通信速度に基づいて無線LANの接続が必要と判定した場合、プライベート網103に接続可能な無線LANのAPと接続するようにする。プライベート網103にアクセスできない無線LANのAPに接続しても、プライベート網103によって提供されるサービスのためにプライベート網103との間で十分な通信速度を得ることはできないからである。このように、S703で無線LANの接続が必要と判定された場合には、デジタルカメラ101は、要求最低通信速度を満たすことができないデータ通信の相手装置と通信可能なAPを探索して接続することが必要となる。
【0052】
このように、デジタルカメラ101は、セルラ網の通信速度と、自装置が実行すべきデータ通信の要求通信速度とに基づいて、無線LANの接続を確立するか否かを決定することができる。なお、通信速度は通信品質の一例であり、例えば、デジタルカメラ101は、セルラ網のパケットロス率が所定値以下であるか否かに基づいて、無線LANの接続を確立するか否かを決定してもよい。デジタルカメラ101は、例えば、セルラ網のパケットロス率が所定値以下である場合にはセルラ網の信頼性が十分であると判定し、無線LANの接続が不要と判定しうる。一方、デジタルカメラ101は、セルラ網のパケットロス率が所定値を超える場合にはセルラ網の信頼性が不十分であると判定し、無線LANの接続が必要と判定しうる。すなわち、任意の通信品質が所定の基準を満たす場合は無線LANの接続が不要であり、その通信品質が所定の基準を満たさない場合は無線LANの接続が必要と判定されうる。
【0053】
なお、無線LANの接続判定に用いるネットワーク特性はこれらに限られない。例えば、プライベート網の接続に使用される周波数帯に応じて、無線LANの接続要否が判定されてもよい。例えば、5Gではミリ波帯が使用されうるが、ミリ波は直進性が強く、遮蔽物があると通信が途切れてしまうことが想定される。このため、デジタルカメラ101は、プライベート網で使用されている周波数帯がミリ波帯である場合には、無線LANの接続が必要であると判定するようにしてもよい。これによれば、デジタルカメラ101は、無線LANの接続を確立し、セルラ網と無線LANとを並行して用いて通信し、セルラ網のミリ波帯での通信が途絶えた場合に、無線LANの通信でデータ通信を補完することができる。また、これは一例であり、セルラ網の通信で使用される周波数帯が、ミリ波帯以外の所定の周波数帯(例えば所定周波数より高い周波数帯)である場合に、無線LANの接続を確立されるように制御が行われうる。また、所定の周波数帯以外の周波数帯が使用されている場合に無線LANの接続が確立されないように制御が行われうる。
【0054】
また、デジタルカメラ101は、(自装置の)位置情報の取得を必要とするか否かによって、無線LANの接続判定を行ってもよい。デジタルカメラ101は、例えば、位置情報の取得が必要なアプリケーションやプログラムを実行しているか否かにより、この判定を行いうる。位置情報は、例えば、緯度/経度の情報である。セルラ網では、端末は、一般に、基地局が提供する緯度・経度の情報に基づいて自装置の位置を(少なくとも大まかに)測位することができる。一方で、プライベート網の基地局は、位置情報を提供しない可能性があり、この場合には、端末は、即位を行うことができない。このため、デジタルカメラ101は、位置情報の取得を必要とする場合に、自装置の位置情報を取得するために無線LANの接続が必要と判定し、周囲の無線LANのAPから位置情報の取得を試みてもよい。なお、この場合は、位置情報を取得できれば足りるため、必ずしも無線LANの接続を確立する必要はない場合がある。例えば、デジタルカメラ101は、APによって報知されるビーコン等の情報から位置情報を取得することができる場合、無線LANの接続が不要と判定してもよい。また、デジタルカメラ101は、GPS(Grobal Positioning System)機能を有している場合には、無線LANの接続は不要と判定してもよい。この場合、デジタルカメラ101は、GPS機能が無効となっている場合にGPS機能を起動するように制御を行ってもよい。
【0055】
上述の各手法は、そのいずれかが選択的に使用されてもよいし、組み合されて使用されてもよい。複数の判定基準に基づいて無線LANの接続の要否を判定することにより、より精密な接続制御を実行することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、デジタルカメラ101の接続先がプライベート網である場合について説明したが、接続先はプライベート網に限られない。接続先が公衆網である場合に、上述の実施形態が適用されてもよい。例えば、公衆網であってもネットワーク特性でインターネット接続ができない、又は公衆網の通信速度が規定値よりも遅いなどのネットワーク特性を有する場合に、無線LANの接続制御が実行されるようにしてもよい。この場合、S402の処理は省略されうる。
【0057】
また、本実施形態では、AP104がインフラストラクチャモードでネットワークを構築する場合について説明したが、これに限られない。例えば、無線LANの相手装置がAPではなくてもよい。この場合、Wi-Fi DirectのGO(Group Owner)として動作すると共にインターネットに接続可能なステーションが、無線LANの相手装置であってもよい。この場合、デジタルカメラ101は、Wi-Fi DirectのClientとして動作し、GOとして動作する他の端末に接続して、無線LANの通信を行うことができる。
【0058】
また、上述の実施形態では、IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線LANが用いられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、無線LANではなく、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee(登録商標)等の他の通信方式のネットワークが用いられてもよい。なお、USBはUniversal Serial Busの、MBOAはMultiband OFDM Allianceの、UWBはUltra Wide Bandの、頭字語である。また、UWBは、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。
【0059】
また、デジタルカメラ101は、それぞれがセルラ通信を実行可能な2つ以上の無線I/Fを搭載している場合においても、上述の手法を適用することができる。例えば、デジタルカメラ101は、一方のセルラ網に接続中の状態において、他方のセルラ網のI/Fを上述の無線LANの接続制御と同様にして制御することができる。
【0060】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0061】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0062】
101:デジタルカメラ、102:セルラ網の基地局、103:プライベート網、104:無線LANのAP、105:インターネット、202:入力部、203:出力部、204:通信部、206:記憶部、207:制御部