(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】印刷機における見当合わせシステム及び見当合わせ方法並びに見当合わせプログラム
(51)【国際特許分類】
B41F 33/00 20060101AFI20231214BHJP
B41F 13/12 20060101ALI20231214BHJP
B41F 13/14 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41F13/12
B41F13/14
(21)【出願番号】P 2020017902
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 聖子
(72)【発明者】
【氏名】谷本 孝文
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-079191(JP,A)
【文献】特開2004-050829(JP,A)
【文献】特開2007-137053(JP,A)
【文献】特開昭63-218361(JP,A)
【文献】特開2007-166843(JP,A)
【文献】特開2006-234941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 13/00-13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する複数の印刷ユニットが設けられ、該複数の印刷ユニットのそれぞれは、版胴
とゴム胴を備え、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段と、該位置ずれ量取得手段により取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段と、を備えている印刷機における見当合わせシステムにおいて、
前記版胴移動手段は、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を
複数回に分けて移動さ
せ、さらに、
前記版胴移動手段は、前記小さい移動量に基づく前記版胴の先の移動をさせたのち、該版胴の先の移動によって発生するダブリが消えるまで印刷対象物への印刷を行ってから前記小さい移動量に基づく前記版胴の次の移動をさせるように制御する手段であることを特徴とする印刷機における見当合わせシステム。
【請求項2】
前記版胴の先の移動をさせたのち、所定枚数の印刷対象物を印刷することによって前記ダブリが消えることを特徴とする請求項1に記載の印刷機における見当合わせシステム。
【請求項3】
基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する版胴
とゴム胴を有する複数の印刷ユニットを備える印刷機を用いて前記版胴の見当合わせを行う印刷機における見当合わせ方法において、
前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得ステップと、該位置ずれ量取得ステップにより取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動ステップと、を備え、
該版胴移動ステップは、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を
複数回の移動に分けて移動させ
、さらに、
前記版胴移動ステップは、前記小さい移動量に基づく前記版胴の先の移動をさせたのち、該版胴の先の移動によって発生するダブリが消えるまで印刷対象物への印刷を行ってから前記小さい移動量に基づく前記版胴の次の移動をさせるように制御するステップであることを特徴とする印刷機における見当合わせ方法。
【請求項4】
基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する複数の印刷ユニットが設けられ、該複数の印刷ユニットのそれぞれは、版胴
とゴム胴を備え、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段と、該位置ずれ量取得手段により取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段と、を備えている印刷機における見当合わせシステムにおいて、
前記版胴移動手段により前記位置ずれしている色の版胴を移動させて見当合わせを行う処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機の見当合わせプログラムであって、
前記コンピュータを、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を
複数回の移動に分けて移動させ
、前記小さい移動量に基づく前記版胴の先の移動をさせたのち、該版胴の先の移動によって発生するダブリが消えるまで印刷対象物への印刷を行ってから前記小さい移動量に基づく前記版胴の次の移動をさせるよう制御する制御部として機能させるための印刷機における見当合わせプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見当合わせを行うための印刷機における見当合わせシステム及び見当合わせ方法並びに見当合わせプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる印刷機においては、複数色の印刷ユニットで印刷された印刷物の各色の見当マークを撮像手段で撮像し、撮像した情報から基準色の見当マークに対する他の各色の見当マークの位置ずれを検出し、この位置ずれが無くなるように他の各色の版胴を移動させることで見当を合わせる自動見当機能を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基準色の見当マークから他の色の見当マークまでの距離を検出し、該距離と予め設定されている目標距離との差を算出し、該差が解消されるように各版胴を移動させるものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
基準色の見当マークに対する他の各色の見当マークの位置ずれが発生する原因としては、次のようなことが考えられる。
版胴に装着される版の面には、水を受容してインキを反発する部分と、水を反発してインキを受容する部分とが存在する。前者は、画像が形成されない非画像部分であり、後者は、画像が形成される画像部分である。そして、基準色を印刷する版の面の水がブランケット胴を介して圧胴上の印刷用紙に付着してしまい、印刷用紙が伸びてしまうことがある。この状態で次の色の印刷を行うと、基準色を印刷した印刷位置からずれた位置に次の色が印刷されてしまうことが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2733941号公報
【文献】特開2017-202630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の位置ずれが発生すると、特許文献1,2のいずれにおいても、位置ずれが一挙に無くなるように位置ずれした距離だけ版胴を移動させる。そうすると、移動後の所定枚数の印刷物においてダブリ(印刷画像が二重になってしまう現象)が発生する。このダブリが発生すると、画像の濃淡の変化となり、色調不良が発生してしまうことがあり、早期改善が要望されている。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、見当合わせ時にダブリによる色調不良が発生することを抑制できる印刷機における見当合わせシステム及び見当合わせ方法並びに見当合わせプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機における見当合わせシステムは、基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する複数の印刷ユニットが設けられ、該複数の印刷ユニットのそれぞれは、版胴を備え、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段と、該位置ずれ量取得手段により取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段と、を備えている印刷機における見当合わせシステムにおいて、前記版胴移動手段は、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることで、見当合わせを行いながらも、ダブリによる印刷物の色調変化を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る印刷機における見当合わせシステムは、前記版胴移動手段が、前記小さい移動量に基づく前記版胴の先の移動をさせたのち、所定時間経過してから前記小さい移動量に基づく前記版胴の次の移動をさせるように制御する手段であってもよい。
【0011】
上記のように、小さい移動量に基づく版胴の先の移動をさせてから所定時間経過することによって、安定した印刷状態になる。その安定した印刷状態から小さい移動量に基づく版胴の次の移動をさせることによって、ダブリによる印刷物の色調変化を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する版胴を有する複数の印刷ユニットを備える印刷機を用いて前記版胴の見当合わせを行う印刷機における見当合わせ方法において、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得ステップと、該位置ずれ量取得ステップにより取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動ステップと、を備え、該版胴移動ステップは、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることを特徴とする印刷機における見当合わせ方法であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることで、見当合わせを行いながらも、ダブリによる印刷物の色調変化を抑制することができる。
【0014】
また、本発明は、基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する複数の印刷ユニットが設けられ、該複数の印刷ユニットのそれぞれは、版胴を備え、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段と、該位置ずれ量取得手段により取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段と、を備えている印刷機における見当合わせシステムにおいて、前記版胴移動手段により前記位置ずれしている色の版胴を移動させて見当合わせを行う処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機の見当合わせプログラムであって、前記コンピュータを、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させるよう制御する制御部として機能させるための印刷機における見当合わせプログラムであってもよい。
【0015】
上記構成によれば、位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることで、見当合わせを行いながらも、ダブリによる印刷物の色調変化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることで、見当合わせ時にダブリによる色調不良が発生することを抑制できる印刷機における見当合わせシステム及び見当合わせ方法並びに見当合わせプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】印刷機における見当合わせシステムの制御構成を示すブロック図である。
【
図3】印刷用紙に位置ずれされて印刷された基準見当マーク及び第1見当マークの関係を示す説明図である。
【
図4】試刷り1回目の見当計測を行うためのフローチャートである。
【
図5】試刷り中の見当補正処理を行うためのフローチャートである。
【
図6】本刷り中の見当補正処理を行うためのフローチャートである。
【
図7】
図6のステップ31においてNoとなった場合の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図6の斜像方向の見当補正処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図6の天地方向の見当補正処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図6の左右方向の見当補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる印刷機における見当合わせシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
印刷機1は、紙積み台2と、紙積み台2からフィーダ装置3により一枚ずつ印刷対象物である印刷用紙を送り出すための給紙部4と、この給紙部4から送り出された印刷用紙に異なる5色(少なくとも一つの特色を含む色)の印刷を行うための印刷部5と、該印刷部5で印刷された印刷用紙(印刷物)の各インキツボキー(単に、キーと呼ぶこともある。)に対応する範囲に印刷された複数のベタパッチ(図示せず)及び見当マーク17,18(
図3参照)を撮像するRGB方式の撮像手段であるRGBカメラ6と、撮像後の印刷用紙を搬送して排紙するための排紙部7と、を備えている。尚、複数のベタパッチは、印刷された印刷用紙の画像の濃度(色調)を測定するためのものであり、撮像された複数のベタパッチのデータに基づいて設定された目標濃度(色調)になるように各インキツボキーの開度を調整する。
図1において、紙積み台2側を前側とし、排紙部7側を後側とし、紙面を貫通する方向を左右方向(又は幅方向)として、以下説明する。
【0020】
印刷部5は、プロセス4色であるK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)Y(イエロー)を印刷する4台の印刷ユニット5A,5B,5C,5Dと、プロセス4色以外の色である特色を印刷する印刷ユニット5Eと、を備えている。この実施形態では、特色を印刷する印刷ユニット5Eを後端に配置しているが、どの位置に配置してもよい。各印刷ユニット5A,5B,5C,5D,5Eには、版が巻き付けられる版胴51と、版胴51からのインキが転写されるゴム胴(ブランケット胴)52と、ゴム胴52とで印刷用紙を圧接してゴム胴52上のインキを印刷用紙に転写する圧胴53と、圧胴53に印刷用紙を受け渡すために搬送方向始端側に配置される渡し胴54と、印刷された印刷用紙を次の印刷ユニットへ受け渡すために搬送方向終端側に配置される渡し胴55と、を備えている。また、各印刷ユニット5A,5B,5C,5D,5Eには、図示していない見当合わせ装置を備えており、全ての見当合わせ装置から見当合わせシステムを構成している。
【0021】
RGBカメラ6は、排紙部7の前端側上部に配置されたボックス9内に収容されているとともに、最後部に位置する印刷ユニット5Eと排紙部7との間に配置されるステップ10に形成される開口(図示せず)を通して搬送される印刷用紙の複数のベタパッチ及び見当マークを撮像する。尚、開口は、開閉自在な蓋体(図示せず)によって開口状態と閉塞状態とに切り換えられる。また、排紙部7の左右方向に設けられた一対の側壁部11,11(
図1では一方側のみ図示)のそれぞれに、点検やトラブル解消の目的でステップ10を横断したい場合に、RGBカメラ6による撮像を一時中断及び再開させるための押しボタン12を備えている。この押しボタン12を押すことによりRGBカメラ6による撮像を中断し、押しボタン12を再度押すことによりRGBカメラ6による撮像を再開する。なお、押しボタン12は、排紙部7の後壁部に備えることもできる。また、中断している時は、押しボタン12が点滅することで、中断していることを作業者へ報知する。なお、撮像手段であるRGBカメラ6としては、ラインセンサカメラ、CMOSカメラ、CCDカメラ等が挙げられる。RGBカメラ6で撮像した見当マーク(5台の印刷ユニット5A,5B,5C,5D,5Eで印刷された見当マーク)の撮像データが
図2に示す制御部Sに備える位置ずれ量取得手段13に入力され、位置ずれ量取得手段13が基準とする基準見当マーク(この実施形態では、ブラック)に対して他の色の見当マーク(シアン、マゼンタ、イエロー、特色)が位置ずれしている位置ずれ量を算出して取得する。なお、印刷機1が印刷ユニット間に反転装置を備える反転機として構成されている場合は、RGBカメラ6を反転装置の配置位置にも設けることで、先刷り面(反転前に印刷される面)の複数のベタパッチも撮像できるように構成することができる。
【0022】
図2に、本発明の印刷機における見当合わせシステムのブロック図を示している。つまり、見当合わせシステムは、複数の印刷ユニットにより印刷用紙に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段13と、位置ずれ量取得手段13により取得した位置ずれ量を解消するために複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段15と、を備えている。
【0023】
位置ずれ量取得手段13は、前述したように、RGBカメラ6で撮像した5個の見当マークのうち、基準見当マーク(この実施形態では、ブラックとしているが、他の色であってもよい)に対して他の色の見当マーク(シアン、マゼンタ、イエロー、特色)が位置ずれしている位置ずれ量を算出して取得する手段である。
【0024】
図3に、基準見当マーク17,17に対して他の1つの色である第1見当マーク18,18が位置ずれしている一例を示している。
図3において紙面の上下方向を印刷用紙19の搬送方向Wである天地方向とし、天側が前記搬送方向Wの後端部であり、地側が前記搬送方向Wの始端部である。また、紙面の左右方向を天地方向と直交する左右方向としている。
図3では、左右方向において、基準見当マーク17,17に対して第1見当マーク18,18が右側にF1Xだけ位置ずれし、天地方向において、左側の基準見当マーク17に対して左側の第1見当マーク18が天側にF1Yだけ位置ずれし、右側の基準見当マーク17に対して右側の第1見当マーク18が天側にF2Y(F1Y<F2Y)だけ位置ずれしている。F1Y<F2Yとなっているのは、斜像方向の位置ずれがあることを意味している。
このような位置ずれは、版胴の位置を天地方向、左右方向、斜像方向で調整することで解消することができる。版胴の天地方向の調整は、版胴の回転位置(位相)を調整することであり、版胴の左右方向の調整は、版胴を左右方向に移動させて左右位置を調整することであり、版胴の斜像方向の調整は、版胴の回転軸を傾けて調整することである。これらの調整のための構成については周知技術であるので説明を省略する。
【0025】
版胴移動手段15は、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく版胴を移動させる手段であり、この実施形態では、前記小さい移動量を0.02mmに設定している。この0.02mmにしているのは、一般的に色調に与える影響を無視できる程度になると言われているためである。前記小さい移動量を0.02mmに設定した場合、前記位置ずれ量が0.02mm以下の場合は、版胴の移動は複数回に分けて実行されることにはならず、1回の移動として実行される。尚、この0.02mmは、任意の値に設定変更可能である。
【0026】
次に試刷りにおける見当合わせについて説明する。試刷りにおける見当合わせでは、
図4に示すように、試刷り1回目の見当計測を行い、その見当計測結果に基づいて
図5に示す試刷り中の見当補正処理を行う。まず、
図4のフローチャートから説明する。尚、試刷り1回目の見当計測は、ブラックの基準見当マークに対して4色それぞれの見当マークの見当計測を行うことになるが、
図4では、基準見当マークに対して1色の見当マークの位置ずれを計測する場合を示している。また、試刷りを、例えば30枚行う場合には、11枚目から30枚目の20枚の印刷用紙をRGBカメラ6で撮像して基準見当マークに対する他の色の見当マークの位置ずれを検出している。尚、前記検出した全ての位置ずれ量の平均値を位置ずれの値にしている。
【0027】
まず、制御部Sは、RGBカメラ6で撮像した5個の見当マークのうち、基準見当マーク(この実施形態では、ブラック)に対して他の色(例えば、シアン)の見当マークが位置ずれしている位置ずれ量(見当ズレ量)を算出し、予め設定されているOK判定のズレ量(例えば設定値A)以下であるかどうかを判定する(ステップS1)。この実施形態では、前記OK判定のズレ量である設定値Aを例えば0.10mmに設定している。制御部Sは、見当ズレ量が設定値A(0.10mm)以下である場合に、斜像、天地、左右方向それぞれの見当補正量(位置ずれ量)を算出する(ステップS2)。見当補正量の算出が終了すると、斜像方向の見当補正量を前述した予め設定された0.02mm(位置ずれ量よりも小さい移動量)に分割し、見当補正回数をセットする(ステップS3)。例えば、算出した斜像方向の見当補正量が0.04mmの場合には、見当補正回数が2回で、1回目は0.02mmで、2回目も同様に0.02mmとなる。続いて、天地方向の見当補正量を前述した予め設定された0.02mmずつに分割し、見当補正回数をセットする(ステップS4)。例えば、算出した天地方向の見当補正量(位置ずれ量)が0.03mmの場合には、見当補正回数が2回で、1回目は0.02mmで、2回目は0.01mmとなる。続いて、左右方向の見当補正量を前述した0.02mmずつに分割し、見当補正回数をセットする(ステップS5)。例えば、算出した左右方向の見当補正量が0.05mmの場合には、補正回数が3回で、1回目は0.02mmで、2回目も同じく0.02mmで、3回目は0.01mmとなる。3方向それぞれの見当補正回数及び見当補正量の算出が完了すると、試刷り中の補正処理へ移行する。ステップS1において、見当ズレ量が例えば0.12mmである場合には、制御部Sが、設定値A(0.10mm)を越えていると判断し、見当ズレ量の補正が効率よく行えるように、通常の自動見当補正を行う(ステップS6)。このような設定値Aを越えていると判断される他の色が1つでもあった場合、他の色全てにおいて通常の自動見当補正を行うことになる。通常の自動見当補正後は、処理終了となる。通常の自動見当補正は、位置ずれ量(見当ズレ量)に基づいて版胴を一挙に移動させて見当補正を行うことである。図示していないが、シアン以外の他の3色(マゼンタ、イエロー、特色)も同様に見当計測を行う。
【0028】
次に、
図5に示す、試刷り中の見当補正処理について説明する。まず、制御部Sは、斜像方向の見当補正が駆動停止中であるかどうかを確認する(ステップS10)。つまり、版胴の斜像方向の見当補正が行われているかどうかを確認する。版胴の斜像方向の見当補正が行われていれば、ステップS14へ移行する。版胴の斜像方向の見当補正が行われていなければ、斜像方向の残り見当補正回数があるかどうかを確認する(ステップS11)。斜像方向の残り見当補正回数があれば、斜像方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の見当補正量だけ前述したように版胴の斜像方向の位置(傾き)を補正する(ステップS12)。補正が終わると、斜像方向の残り見当補正回数を減算し(ステップS13)、ステップS14へ移行する。尚、ステップS11で斜像方向の残り見当補正回数が無ければ、ステップS14へ移行する。
【0029】
ステップS14では、天地方向の見当補正が駆動停止中であるかどうかを確認する。つまり、版胴の天地方向の見当補正が行われているかどうかを確認する。版胴の天地方向の見当補正が行われていれば、ステップS18へ移行する。版胴の天地方向の見当補正が行われていなければ、天地方向の残り見当補正回数があるかどうかを確認する(ステップS15)。天地方向の残り見当補正回数があれば、天地方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の見当補正量だけ前述したように版胴を回転させて版胴の天地方向の位置を補正する(ステップS16)。補正が終わると、天地方向の残り見当補正回数を減算し(ステップS17)、ステップS18へ移行する。尚、ステップS15で天地方向の残り見当補正回数が無ければ、ステップS18へ移行する。
【0030】
ステップS18では、左右方向の見当補正が駆動停止中であるかどうかを確認する。つまり、版胴の左右方向の見当補正が行われているかどうかを確認する。版胴の左右方向の見当補正が行われていれば、ステップS22へ移行する。版胴の左右方向の見当補正が行われていなければ、左右方向の残り見当補正回数があるかどうかを確認する(ステップS19)。左右方向の残り見当補正回数があれば、左右方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の見当補正量だけ版胴を左右方向に移動させて補正する(ステップS20)。補正が終わると、左右方向の残り見当補正回数を減算し(ステップS21)、ステップS22へ移行する。尚、ステップS19で左右方向の残り見当補正回数が無ければ、ステップS22へ移行する。ステップS22では、3方向(斜像方向、天地方向、左右方向)の全ての版胴の見当補正が終了しているかどうかを確認する。全ての見当補正が終了していれば、見当補正の処理が終了し、全ての見当補正が終了していなければ、ステップS10へ戻す。尚、試刷り中の見当補正量(位置ずれ量)が0.05mmの場合には、版胴を、1回目で0.02mm移動させ、移動完了後直ちに2回目の0.02mmを移動させ、その移動後直ちに3回目の0.01mmを移動させて見当を合わせるようにしている。このように版胴を直ちに移動させることで、見当合わせを迅速に行うことができる。尚、版胴を直ちに移動させないように、各移動の間に時間経過のためのステップを設けることもできる。
【0031】
図5の試刷り中の見当補正処理において、印刷された印刷用紙の画像の濃度(色調)がOKになると、その段階で試刷りから本刷りに移行する。したがって、試刷り中の見当補正処理の一部が残っている状態で本刷りに移行する場合がある。本刷り中においても、見当補正処理を行うことになり、その本刷り中の見当補正処理を、
図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
まず、制御部Sは、全ユニットの見当合わせ装置が停止中かどうかを確認する(ステップS30)。つまり見当補正のための版胴の移動が行われているユニットがあるかどうかを確認する。全ユニットの見当合わせ装置が停止中であれば、ステップS31へ移行し、全ユニットの見当合わせ装置が停止中でなければ、見当補正の処理を終了する。ステップS31では、本刷りの斜像、天地、左右方向の残り補正回数が全て0であるかどうかを確認する。すなわち、試刷り中の見当補正処理が残っているか確認する。全ての方向の残り補正回数が全て0であれば、ステップS32へ移行し、全ての方向の残り補正回数が全て0でなければ、ステップS40(
図7参照)へ移行する。
【0033】
本刷り中の見当補正処理では、ステップS32においてRGBカメラ6による位置ずれ量の計測を実施したかどうかを確認する。位置ずれ量の計測は、例えば、RGBカメラ6を用いて50枚毎(Z回転毎に相当)に見当ズレを検出し、最後の20枚(31枚目から50枚目)の印刷された印刷用紙の全ての位置ずれ量の平均値を位置ずれの値とする。計測を実施した場合に、ステップS33へ移行する。計測を実施していない場合には、ステップS39へ移行する。つまり、見当ズレ量の計測を実施してからステップS33へ移行する。そして、計測が実施されると、制御部Sは、ステップS33で全ユニットの見当合わせ装置が停止してから機械回転がX回転(予め設定される任意の回転数)以上進んでいるかどうかを確認する。これは、見当補正を行ってから時間経過することで安定した印刷状態となる。その安定した印刷状態で印刷された印刷用紙からの計測結果を取得するためである。
【0034】
制御部Sが、ステップS33で、全ユニットの見当合わせ装置が停止してから機械回転がX回転以上進んでいると判断した場合には、斜像、天地、左右方向の見当補正量を算出したかどうかを確認し(ステップS34)、算出していない場合には、斜像、天地、左右方向の見当補正量を算出する(ステップS35)。見当補正量の算出後は、見当補正が必要な見当補正処理、つまり斜像方向の見当補正処理(ステップS36)、天地方向の見当補正処理(ステップS37)、左右方向の見当補正処理(ステップS38)を行ってからステップS39へ移行する。ステップS39では、3方向(斜像方向、天地方向、左右方向)の全ての見当補正が終了しているかどうかを確認する。全ての見当補正が終了していれば、見当補正の処理が終了し、全ての見当補正が終了していなければ、ステップS30へ戻す。
【0035】
制御部Sは、ステップS31において、全ての方向の残り補正回数が全て0でない場合、つまり見当補正が残っている場合は、
図7に示すステップS40へ移行させる。ステップS40では、全ユニットの見当合わせ装置が停止してから機械回転がY回転(予め設定される任意の回転数)以上進んでいるかどうかを確認する。これは、見当補正を行ってから時間経過してから次の見当補正を行わせるためである。見当補正を行ってから所定時間経過することによって、安定した印刷状態になる。その安定した印刷状態から版胴を移動させることによって、ダブリによる色調変化を効果的に抑制することができる。特に、本刷り中には、ヤレ紙(印刷不良と判定される不良紙)の発生となるダブリ発生をできるだけ抑制することが必要であり、前記のように安定した印刷状態から版胴を移動させることが有効である。制御部Sは、ステップS40で全ユニットの見当合わせ装置が停止してから機械回転がY回転以上進んでいなければ、見当補正の処理を終了し、Y回転以上進んでいれば、斜像方向の見当の補正残り回数があるかどうかを確認する(ステップS41)。斜像方向の補正残り回数があれば、斜像方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の補正量だけ補正し(ステップS42)、斜像方向の補正残り回数を減算して(ステップS43)、ステップS39(
図6参照)へ戻る。ステップS41で、前記斜像方向の補正残り回数がなければ、次の補正である天地方向の補正残り回数があるかどうかを確認する(ステップS44)。天地方向の補正残り回数があれば、天地方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の補正量だけ補正し(ステップS45)、天地方向の補正残り回数を減算して(ステップS46)、ステップS39(
図6参照)へ戻る。ステップS44で、前記天地方向の補正残り回数がなければ、次の補正へ移行し、次の補正である左右方向の補正残り回数があるかどうかを確認する(ステップS47)。左右方向の補正残り回数があれば、左右方向を現在位置からN回目(前回が1回目であれば、今回は2回目)の補正量だけ補正し(ステップS48)、左右方向の補正残り回数を減算して(ステップS49)、ステップS39(
図6参照)へ戻る。前記左右方向の補正残り回数がなければ、ステップS39(
図6参照)へ戻る。
【0036】
図6のステップS36の斜像方向の見当補正処理を、
図8に基づいて説明する。尚、各ユニット毎に版胴の斜像方向の見当補正処理を行うことになるが、
図8では1つのユニットについてのみ説明する。制御部Sは、斜像方向の見当補正量が有るかどうかを確認する(ステップS50)。つまり、RGBカメラ6で撮像した5個の見当マークのうち、基準見当マーク(ブラック)に対して他の色(シアン)の見当マークが斜像方向で位置ずれしているかどうかを確認する。制御部Sは、斜像方向の見当補正量が有ると判断すると、例えば斜像方向の見当補正量が0.05mmである場合に、0.05mmを0.02mmずつに分割する。分割すると、見当補正回数が3回で、1回目が0.02mmで、2回目が0.02mmで、3回目が0.01mmとなり、見当補正回数及び見当補正量をセットする(ステップS51)。セットすると、斜像方向を現在位置からN回目(最初であれば1回目)の見当補正量だけ版胴を動かして補正する(ステップS52)。補正後は、斜像方向の残り見当補正回数を減算して(ステップS53)、
図6のステップS37へ移行する。ステップS50で斜像方向の見当補正量が無い場合には、
図6のステップS37へ移行する。
【0037】
図6のステップS37の天地方向の見当補正処理を、
図9に基づいて説明する。尚、各ユニット毎に天地方向の見当補正処理を行うことになるが、
図9では1つのユニットについてのみ説明する。制御部Sは、天地方向の見当補正量が有るかどうかを確認する(ステップS60)。つまり、RGBカメラ6で撮像した5個の見当マークのうち、基準見当マーク(ブラック)に対して他の色(シアン)の見当マークが天地方向で位置ずれしているかどうかを確認する。制御部Sは、天地方向の見当補正量が有ると判断すると、例えば天地方向の見当補正量が0.05mmである場合に、0.05mmを0.02mmずつに分割する。分割すると、見当補正回数が3回で、1回目が0.02mmで、2回目が0.02mmで、3回目が0.01mmになり、見当補正回数及び見当補正量をセットする(ステップS61)。セットすると、天地方向を現在位置からN回目(最初であれば1回目)の見当補正量だけ版胴を回転させて補正する(ステップS62)。補正後は、天地方向の残り見当補正回数を減算して(ステップS63)、
図6のステップS38へ移行する。ステップS60で天地方向の見当補正量が無い場合には、
図6のステップS38へ移行する。
【0038】
図6のステップS38の左右方向の見当補正処理を、
図10に基づいて説明する。尚、各ユニット毎に天地方向の見当補正処理を行うことになるが、
図10では1つのユニットについてのみ説明する。制御部Sは、左右方向の見当補正量が有るかどうかを確認する(ステップS70)。つまり、RGBカメラ6で撮像した5個の見当マークのうち、基準見当マーク(ブラック)に対して他の色(シアン)の見当マークが左右方向で位置ずれしているかどうかを確認する。制御部Sは、左右方向の見当補正量が有ると判断すると、例えば左右方向の見当補正量が0.05mmである場合に、0.05mmを0.02mmずつに分割する。分割すると、見当補正回数が3回で、1回目が0.02mmで、2回目が0.02mmで、3回目が0.01mmとなり、見当補正回数及び見当補正量をセットする(ステップS71)。セットすると、左右方向を現在位置からN回目(最初であれば1回目)の見当補正量だけ版胴を左右方向へ移動させて補正する(ステップS72)。補正後は、左右方向の残り見当補正回数を減算して(ステップS73)、
図6のステップS39へ移行する。ステップS70で左右方向の見当補正量が無い場合には、
図6のステップS39へ移行する。
【0039】
また、
図6において、斜像方向の見当補正の2回目や3回目を行う場合は、制御部Sは、その都度、ステップS33において全ユニットの見当合わせ装置が停止してから機械回転がX回転以上進んでいるかどうかを確認してから実行するので、前述したように、前回の見当補正を行ってから所定時間経過することで安定した印刷用紙が得られ、その印刷用紙からの計測結果(見当補正量)を取得することができるだけでなく、ダブリ発生を効果的に抑制することができる。尚、天地方向や左右方向の見当補正の2回目や3回目を行う場合も、同様である。前記のように機械回転がX回転する、また機械回転がY回転するとは、印刷した印刷用紙が所定枚数に達したことを意味し、例えば印刷枚数が所定枚数(例えば10枚)に達した場合に、次の見当補正を行うようにしている。この所定枚数は、インキ供給が断たれたゴム胴52上の画像(見当マークを含む)が所定枚程度の印刷によって印刷用紙へインキが転写されない程度に除去される(ダブリが無くなる)枚数である。この所定枚数は、印刷用紙の紙質等に応じて変更することができる。
【0040】
本刷り中において、複数回の見当補正の最後(3回であれば3回目)の版胴の移動が印刷される印刷用紙が30枚目(=50枚-20枚)までに完了しない場合には、版胴の移動前や移動中の見当マークがRGBカメラ6で検出(撮像)される可能性があるため、次(50枚後)の位置ずれの検出結果による版胴の移動は、スキップされて行われないようにしている。尚、前記30枚は、一例であり、任意に変更可能である。
【0041】
また、本発明は、基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する版胴を有する複数の印刷ユニットを備える印刷機を用いて前記版胴の見当合わせを行う印刷機における見当合わせ方法において、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得ステップと、該位置ずれ量取得ステップにより取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動ステップと、を備え、該版胴移動ステップは、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させることを特徴とする印刷機における見当合わせ方法であってもよい。
【0042】
また、本発明は、基準色を含む複数の異なる色の印刷を印刷対象物に印刷する複数の印刷ユニットが設けられ、該複数の印刷ユニットのそれぞれは、版胴を備え、前記複数の印刷ユニットにより印刷対象物に印刷された基準色の印刷画像に対する他の色の印刷画像の位置ずれ量を取得する位置ずれ量取得手段と、該位置ずれ量取得手段により取得した位置ずれ量を解消するために前記複数の版胴のうちの位置ずれしている色の版胴を移動させる版胴移動手段と、を備えている印刷機における見当合わせシステムにおいて、前記版胴移動手段により前記位置ずれしている色の版胴を移動させて見当合わせを行う処理を、コンピュータを用いて自動で行うための印刷機の見当合わせプログラムであって、前記コンピュータを、前記位置ずれ量を解消するための印刷画像の移動を前記位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、版胴を移動させるよう制御する制御部として機能させるための印刷機における見当合わせプログラムであってもよい。
【0043】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
前記実施形態では、5つのユニットを備える印刷機を示したが、2つ以上の任意の個数のユニットを備える印刷機であってもよい。また、複数のユニットを備える印刷機で全数のユニットよりも少ない数(最低2ユニット以上)のユニットにより印刷してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、RGBカメラ6を用いたが、分光測色計を用いて位置ずれを検出する構成であってもよい。また、分光測色計を用いる場合は、オペレータが印刷された印刷用紙を抜き出して分光測色計で位置ずれを検出する構成であってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、見当補正を制御部Sにより自動的に行わせる場合を示したが、オペレータが見当合わせ装置を任意のタイミングで駆動して見当補正を行わせてもよい。この場合、オペレータは、印刷画像の移動を取得した位置ずれ量よりも小さい移動量での複数回の移動に分けて実行させるべく、位置ずれしている色の版胴を移動させることになる。
【0047】
また、前記実施形態では、各印刷ユニットが印刷した見当マークを撮像して位置ずれを検出するようにしたが、印刷した画像を撮像して位置ずれを検出するようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、位置ずれ量よりも小さい移動量を予め決められた値(0.02mm)としたが、複数種類の大きさが異なる予め設定した移動量(位置ずれ量よりも小さい移動量)を用いてもよいし、例えば位置ずれ量をそれよりも小さい移動量に均等又は不均等に分割し、その分割された複数の移動量を用いてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、試刷り時及び本刷り時のいずれにも、版胴移動手段15を用いて見当合わせを行ったが、試刷り時のみ又は本刷り時のみに版胴移動手段15を用いて見当合わせを行ってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、試刷り中に見当合わせを行っている最中に、本刷りへ移行した場合に、試刷り中にやり残した見当合わせを行う場合において、
図7に示すように、斜像方向の補正が完了してから、天地方向の補正を行い、天地方向の補正が完了してから、左右方向の補正を行うようにしているが、
図6、
図8~
図10に示すように、斜像方向の1回目の補正を行ってから、天地方向の1回目の補正を行い、天地方向の1回目の補正が終わると、左右方向の1回目の補正を行うように構成してもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、見当補正を斜像方向、天地方向、左右方向の順で行うようにしたが、見当補正の順序はこれに限定されない。例えば、左右方向、天地方向、斜像方向の順序で行ってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、位置ずれ量における斜像方向分、左右方向分、天地方向分の位置ずれ量をそれぞれ演算し、演算した各方向の位置ずれ量を複数回に分けて版胴を移動させるようにしたが、位置ずれ量を、斜像成分、左右成分、天地成分の3方向を全て含んだ状態で分割し、分割した位置ずれ量に基づいて版胴を3方向を全て含んだ方向へ移動させるようにしてもよい。尚、版胴を移動させてから、機械回転が所定回転毎に版胴を再度移動させることになる。
【符号の説明】
【0053】
1…印刷機、2…紙積み台、3…フィーダ装置、4…給紙部、5…印刷部、5A,5B,5C,5D,5E…印刷ユニット、6…RGBカメラ、7…排紙部、9…ボックス、10…ステップ、11…側壁部、12…ボタン、13…量取得手段、15…版胴移動手段、17…基準見当マーク、19…印刷用紙、51…版胴、52…ゴム胴、53…圧胴、54,55…渡し胴、S…制御部、W…搬送方向