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特許7402720アンテナパターンの製造方法及びアンテナパターン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】アンテナパターンの製造方法及びアンテナパターン
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20231214BHJP
   H01P 11/00 20060101ALI20231214BHJP
   H01Q 5/335 20150101ALI20231214BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20231214BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06K19/077 136
G06K19/077 280
H01P11/00
H01Q5/335
H01Q9/26
H05K3/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020049732
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149631
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 明博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友貴
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-146042(JP,A)
【文献】特開2019-120972(JP,A)
【文献】特開2011-118821(JP,A)
【文献】特開2004-14914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01P 11/00
H01Q 5/335
H01Q 9/26
H05K 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDインレイに適用されるアンテナパターンの製造方法であって、
長尺状の基材に粘着剤により金属シートを貼り合わせてなる連続体を搬送方向に搬送しながらアンテナの外周線を切り込む工程と、
前記アンテナの所定位置を前記基材に向けて押圧してエンボス部を形成する工程と、
前記金属シートのうち前記アンテナを構成しない部分を除去する工程と、
を備えるアンテナパターンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナパターンの製造方法であって、
前記所定位置は、前記アンテナにおいて、前記搬送方向に交差する方向に延びる部分である、
アンテナパターンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアンテナパターンの製造方法であって、
前記外周線の切り込みと前記エンボス部の形成とが同一工程において実行される、
アンテナパターンの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナパターンの製造方法であって、
前記アンテナの外周線を切り込む工程の前に
前記長尺状の基材を搬送しながら、前記長尺状の基材に形成される前記アンテナの外周線の予定領域に前記粘着剤を配置する工程と、
前記粘着剤が配置された前記長尺状の基材に前記アンテナを構成する金属シートを配置する工程と、
を備える、
アンテナパターンの製造方法。
【請求項5】
ICチップが接続されることによりRFIDインレイを構成するアンテナパターンであって、
基材と、
金属シートにより形成され、粘着剤により前記基材に接着されたアンテナと、
を備え、
前記アンテナの所定位置に前記基材に向けて突出したエンボス部を有する、
アンテナパターン。
【請求項6】
請求項5に記載のアンテナパターンであって、
前記アンテナは、
前記ICチップが接続されるループ部と、
前記ループ部から対称方向に拡がる一対のメアンダと、
を備えたダイポールアンテナであって、
前記エンボス部は、少なくとも前記メアンダに形成された、
アンテナパターン。
【請求項7】
請求項6に記載のアンテナパターンであって、
前記メアンダは、前記対称方向に沿った部分と前記対称方向に交差する方向に沿った部分とを有し、
前記エンボス部は、前記対称方向に沿った部分に形成された、
アンテナパターン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDインレイに適用されるアンテナパターンの製造方法及びアンテナパターンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造、管理、流通等の分野において、製品に関する情報や識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応した、いわゆる、RFIDタグ、RFIDラベル等のRFID媒体が普及している。
【0003】
上述したRFID媒体に用いられるアンテナパターンの製造方法として、アルミニウム等からなる金属シートを粘着剤により基材に接着し、所定のアンテナ形状の刃型が形成されたダイロールを用いて、金属シートからアンテナ形状を切り抜いた後、アンテナ以外の金属シートの不要部分を基材から除去し、アンテナ形状を基材に残す方法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/159222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された製造方法では、金属シートの不要部分を基材から除去する際、特に、アンテナのメアンダ(蛇行部分)が除去される不要部分に引き連れられることにより、基材上で位置ずれを生じたり、不要部分とともに基材から剥離したりする製造不良が発生することがあった。
【0006】
そこで、本発明は、アンテナパターンを製造する際のアンテナの製造不良を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、RFIDインレイに適用されるアンテナパターンの製造方法であって、長尺状の基材に粘着剤により金属シートを貼り合わせてなる連続体を搬送方向に搬送しながらアンテナの外周線を切り込む工程と、前記アンテナの所定位置を前記基材に向けて押圧してエンボス部を形成する工程と、前記金属シートのうち前記アンテナを構成しない不要部分を除去する工程と、を備えるアンテナパターンの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アンテナの所定位置を基材に向けて押圧することによってエンボス部が形成される。エンボス部においては、アンテナを構成する金属シートが粘着剤に押し込まれるため、金属シートと基材との接着強度が高められる。したがって、金属シートの不要部分を除去する際に、基材に接着されたアンテナの一部が不要部分に引き連れられて位置ずれを生じたり、不要部分とともに基材から剥離したりする製造不良を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るアンテナパターン及び当該アンテナパターンを備えたRFIDインレイを説明する平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るアンテナパターンの製造方法を説明する模式図である。
図3】本実施形態に係るアンテナパターンの製造に用いられるダイロールを説明する模式図である。
図4図3に示すIV-IV線における断面図である。
図5】連続体Cに形成されるアンテナとエンボス部とを説明する断面図である。
図6】除去工程を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[アンテナパターン]
本発明の実施形態に係るアンテナパターン1及びRFIDインレイ10について説明する。図1は、本実施形態に係るアンテナパターン1及びアンテナパターン1を備えたRFIDインレイ10を説明する平面図である。
【0011】
本実施形態に係るアンテナパターン1は、基材2と、基材2に接着されたアンテナ3とを備えるものである。また、RFIDインレイ10は、アンテナパターン1のアンテナ3にICチップ4がマウントされたものである。
【0012】
基材2は、汎用の接着剤又は粘着剤を用いてアンテナとなる金属箔を積層可能な材料であればよく、上質紙、コート紙等の紙類、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルムを使用することができる。
【0013】
基材2の厚さは、基材2上にアンテナ3を形成してICチップ4をマウントするための強度の観点、及び、後述する製造装置100における製造上の取り扱い性の観点から、25μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0014】
基材2として紙類を用いる場合には、上記範囲のなかでも、50μm以上260μm以下とすることができ、通常、80μmとすることが好ましい。また、基材として樹脂フィルムを用いる場合には、上記範囲のなかでも、25μm以上200μm以下とすることができる。基材2の厚さは、上記範囲内において、RFIDインレイ10を用いて作製される製品としてのRFID媒体の意匠性や用途等に応じて、適宜選択可能である。
【0015】
アンテナ3は、金属箔からなる金属シートにより形成されている。
【0016】
アンテナ3に適用可能な金属としては、例えば、銅、アルミニウムが挙げられる。製造コストを抑える観点から、アルミニウムを用いることが好ましい。
【0017】
また、RFIDインレイ10の全体の厚さ或いはRFID媒体に形成された際の全体の厚さ、及び製造コストの観点から、金属箔の厚さは、3μm以上25μm以下であることが好ましい。本実施形態では、厚さ20μmのアルミニウム箔が用いられる。
【0018】
アンテナ3は、図2に示すように、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤Aにより基材2に接着されている。
【0019】
アンテナ3は、図1に示すように、ICチップ4がマウントされるループ部31と、ICチップ4が接続されるICチップ接続部32と、ループ部31から対称方向(図1におけるX方向)に拡がるメアンダ33,34と、各メアンダ33,34の端部に接続されるキャパシタハット35,36とを備える。すなわち、アンテナ3は、ダイポールアンテナを構成する。
【0020】
メアンダ33,34は、X方向に沿った部分(以下、横経路部351という)とX方向に交差する方向(Y方向)に沿った部分(以下、縦経路部352)とを有する蛇行形状に形成されている。メアンダ33,34には、エンボス部5が形成されている。
【0021】
本実施形態においては、アンテナ3は、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナ長さ及びアンテナ幅を有するパターンに設計されている。
【0022】
本実施形態に係るアンテナパターン1は、アンテナ3の一部に基材2に向けて凹んだエンボス部5を有する。エンボス部5は、基材2に向けて突出しており、粘着剤Aに入り込んでいる。これにより、アンテナ3は、基材2と強固に接着することができる。
【0023】
エンボス部5は、本実施形態では、X方向に沿った横経路部351に形成されている。エンボス部5は、例えば、凸部が形成されたローラによって、アンテナ3を基材2側に向けて押圧することにより形成することができる。
【0024】
以上の構成を有するアンテナパターン1のICチップ接続部32に異方導電性材料等を用いてICチップ4を接続することにより、RFIDインレイ10を構成することができる。
【0025】
さらに、RFIDインレイ10は、外装基材が貼り合わされたり、RFIDインレイ10に、さらなる加工が施されたりすることにより、ラベル、タグ、リストバンド、チケット、カード等のRFID媒体を形成することができる。
【0026】
<効果>
アンテナパターン1の全体のサイズが小さく、メアンダ33,34の形状が細やかに設計されたアンテナの場合には、メアンダ部分の金属シートのライン幅が狭く、基材2との接着面積が小さくなるため、接着不良が生じ易い。
【0027】
これに対して、本実施形態に係るアンテナパターン1は、アンテナ3の横経路部351にエンボス部5が形成されている。エンボス部5は、基材2に向けて突出しており、粘着剤Aに入り込んでいるので、アンテナ3は、平面部分において粘着剤Aを介して基材2と接着する場合よりも強固に接着することができる。
【0028】
したがって、アンテナ3が基材2に対して位置ずれを生じたり、基材2から剥離したりする製造不良を抑止することができる。
【0029】
[アンテナパターンの製造方法]
続いて、本発明の実施形態に係るアンテナパターン1の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係るアンテナパターン1を製造するための製造装置100の概略図である。
【0030】
図2に示すように、本実施形態に係るアンテナパターン1の製造方法は、粘着剤塗工工程P1(以下、工程P1と記す)と、金属シート配置工程P2(以下、工程P2と記す)と、切込工程P3(以下、工程P3と記す)と、除去工程P4(以下、工程P4と記す)と、を備える。
【0031】
工程P1では、長尺状の基材2を搬送しながら粘着剤Aを塗工する。
【0032】
工程P2では、粘着剤Aが塗工された長尺状の基材2に金属箔の連続体(以下、金属シートMと記す)を貼り合わせて連続体Cを得る。
【0033】
工程P3では、連続体Cを搬送方向Tに搬送しながらアンテナ3の外周線を切り込むとともに、アンテナ3の所定位置を基材2に向けて押圧してエンボス部5を形成する。
【0034】
工程P4では、金属シートMのうちアンテナ3を構成しない不要部分Maを除去する。
【0035】
まず、工程P1について説明する。
【0036】
工程P1は、図2に示すように、粘着剤塗工ユニット110によって実行される。
【0037】
粘着剤塗工ユニット110は、繰り出しローラ101から繰り出された長尺状の基材2に対し、アンテナ3が配置される予定領域であってアンテナ3の外周線よりも内側の領域に粘着剤Aを配置する。
【0038】
粘着剤塗工ユニット110は、粘着剤Aを貯留する粘着剤タンク111と、粘着剤タンク111から粘着剤Aを繰り出す繰り出しローラ112と、繰り出しローラ112から粘着剤Aを受け取って長尺状の基材2に転写する版ローラ113と、圧胴114とを有する。
【0039】
工程P1において適用可能な粘着剤Aとしては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。本実施形態では、搬送される基材2にフレキソ印刷や凸版印刷の方式を利用して粘着剤Aを塗工する観点から、紫外線硬化型の粘着剤を用いることが好ましい。このため、粘着剤塗工ユニット110は、粘着剤Aに紫外光を照射するUVランプ115を有する。
【0040】
版ローラ113は、長尺状の基材2に塗工される粘着剤Aの形状に対応する凸状パターン113aが形成された版が版胴に巻き付けられたものである。版ローラ113には、複数の凸状パターン113aが形成されている。複数の凸状パターン113aは、版ローラ113の送り方向と幅方向とに並んで面付けされている。これにより、複数個のアンテナ用の粘着剤Aを同時に基材2に転写し、塗工できる。
【0041】
各々の凸状パターン113aは、基材2に配置されるアンテナ3の外周線よりも内側に収まる形状とされている。ここで、アンテナ3の外周線よりも内側において、搬送方向上流側の余白は、搬送方向下流側の余白よりも広くなるように粘着剤Aの塗工位置が位置決めされる。
【0042】
塗工される粘着剤Aの厚さは、3μm以上25μm以下であることが好ましい。3μm以上であれば、金属シートMを基材2の粘着する際における十分な粘着力が得られ、25μm以下であれば、加圧によりアンテナ3の外周線よりも外側にはみ出ることがない。また、25μm以下であれば、粘着剤Aに紫外光を照射した際に速やかに定着させることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、基材2上にアンテナ3を保持する観点から、粘着剤Aの粘着力は、180°剥離試験(JIS Z 0237 2009)において、500gf/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは、800gf/25mm以上である。さらに好ましくは、1000gf/25mm以上である。粘着力の上限値は、好ましくは、2000gf/25mmである。
【0044】
なお、図2には示されていないが、工程P1の前には、粘着剤Aを基材2に転写する際における位置決めとアンテナ3の切込を形成する際における切込位置の位置決めのための基準にする基準マークを印刷する工程が実行される。
【0045】
続いて、工程P2について説明する。
【0046】
工程P2は、図2に示されるように、金属シート配置ユニット120によって実行される。
【0047】
金属シート配置ユニット120は、押圧ローラ121と支持ローラ122とを有する。金属シート配置ユニット120では、基材2の粘着剤Aが塗工された面に基材2の搬送路とは別の搬送路によって搬送されてきた金属シートMが重ね合わせられ、押圧ローラ121と支持ローラ122との間に挿通されて、基材2と貼り合わされる。
【0048】
本実施形態に係る製造方法では、アンテナ3の外周線よりも外側には粘着剤Aが存在しないため、金属シートMは、アンテナ3を形成する領域以外は、基材2に接着されていない。
【0049】
金属シートMを構成する金属としては、通常、アンテナパターンの形成に用いられる導電性金属であれば適用可能である。本実施形態においては、製造コストを抑える観点から、アルミニウム箔が用いられる。
【0050】
また、RFIDインレイ10の全体の厚さ或いはRFID媒体に形成された際の全体の厚さ、及び製造コストの観点から、金属シートMの厚さは、3μm以上25μm以下であることが好ましい。本実施形態では、厚さ20μmのアルミニウム箔が用いられる。
【0051】
次に、工程P3について説明する。
【0052】
工程P3は、図2に示されるように、切込ユニット130によって実行される。
【0053】
切込ユニット130は、金属シートMにアンテナ3の切込を形成するダイロール131と、ダイロール131をバックアップするアンビルローラ132とを有する。
【0054】
図3は、本実施形態に係るアンテナパターン1の製造に用いられるダイロール131を説明する模式図である。また、図4は、図3に示すIV-IV線における断面図である。図3及び図4に示される矢印Tは、ダイロール131の回転方向を示す。これは、図2における搬送方向Tに一致する。
【0055】
図3には、ダイロール131の表面の一部が拡大して示されている。ダイロール131には、アンテナ3の外周線の形状を有する凸状刃部131aが形成されている。凸状刃部131aは、フレキシブルダイである。
【0056】
本実施形態では、図3に示すように、ダイロール131に、凸状刃部131a及び凸部131bが、アンテナ3におけるメアンダ33,34の拡がる方向(X方向)を連続体Cの幅方向に一致させるように形成されている。
【0057】
すなわち、凸状刃部131a及び凸部131bは、メアンダ33,34の拡がる方向(X方向)と交差する方向(Y方向)が搬送方向Tに一致するように形成されている。
【0058】
本実施形態においては、図3及び図4に示すように、アンテナ3において、搬送方向Tに交差する方向に延びる部分、すなわち、ダイロール131において、メアンダ33,34の横経路部351を形成する凸状刃部131aの間に、エンボス部5を形成するための凸部131bが形成されている。
【0059】
凸状刃部131aは、金属シートMを切断し、かつ基材2に到達することのできる高さDに設計されている。また、凸部131bは、金属シートMを切断することなく、金属シートMを基材2に向けて押圧し、凹状のエンボス部5を形成できる高さdに設計されている。ここで、D>dである。
【0060】
図5は、連続体Cに形成されるアンテナ3とエンボス部5とを説明する断面図である。工程P3では、図4に示される凸状刃部131a及び凸部131bを有するダイロール131及びアンビルローラ132が用いられることにより、連続体Cを連続的に搬送しながら、金属シートMに不要部分Maとアンテナ3とを区画する切断線Lcを形成することができる。また、アンテナ3の横経路部351に、基材2に向けて突出したエンボス部5を形成することができる。
【0061】
続いて、工程P4について説明する。
【0062】
図6は、工程P4を説明する模式図である。図6には、アンテナ3の形状が切り込まれた連続体Cから、金属シートMの不要部分Maが引き離される様子が示されている。図6において、金属シートMの不要部分Maは、破線で示されている。
【0063】
工程P4は、図2に示されるように、除去ユニット140によって実行される。
【0064】
除去ユニット140は、ピールローラ141とガイドローラ142とを備える。ピールローラ141の一部に金属シートMの不要部分Maを沿わせて、不要部分Maの搬送方向を連続体Cの搬送方向Tの反対方向且つ上方(図6における矢印R方向)に変更させる。
【0065】
本実施形態においては、不要部分Maには粘着剤Aが付着しておらず、アンテナ3が配置される予定領域にのみ粘着剤Aが塗布されている。このため、図6に示すように、連続体Cから金属シートMの不要部分Maが矢印R方向に引き離されると、基材2上には、粘着剤Aにより接着されたアンテナ3が残される。
【0066】
本実施形態では、以上の工程P1~P4により、アンテナ3の所定位置にエンボス部5が形成されたアンテナパターン1を製造することができる。
【0067】
この後、アンテナパターン1のアンテナ3の所定位置にICチップ4がマウントされることにより、RFIDインレイ10が得られる。ICチップ4は、一例として、異方導電性材料等を用いてアンテナ3に接合することができる。
【0068】
<効果>
アンテナパターン1の全体のサイズが小さく、メアンダ33,34の形状が、より細やかに設計されたアンテナ3の場合には、メアンダ33,34部分の金属シートのライン幅が狭く、基材2との接着面積が小さくなるため、接着強度が不足し、メアンダ33,34が浮き上がったり、剥離したりする接着不良が生じ易い。
【0069】
これに対して、本実施形態に係るアンテナパターン1の製造方法によれば、切込工程P3において、金属シートMからアンテナ3の形状が切り抜かれるとともに、アンテナ形状において、搬送方向Tに交差する方向(X方向)に延びる部分、すなわち、メアンダ33,34の横経路部351にエンボス部5が形成される。
【0070】
エンボス部5は、基材2側に向けて突出しているため、粘着剤Aに押し込まれる。これにより、アンテナ3は、平面部分において粘着剤Aを介して基材2と接着する場合よりも強固に接着することができる。
【0071】
また、除去工程P4においては、図6に模式的に示すように、金属シートMの不要部分Maは、搬送方向Tに対する反対方向且つ上方(矢印R方向)に引き離される。
【0072】
このため、アンテナ3の搬送方向Tに交差する方向に延びる横経路部351には、引き離し方向(矢印R方向)への応力が集中し易く、接着不良が生じ易くなる。
【0073】
これに対して、本実施形態に係るアンテナパターン1の製造方法によれば、切込工程P3において、メアンダ33,34の横経路部351にエンボス部5が形成される。これにより、除去工程P4の際に応力集中が起こりやすい部分において接着強度が確保される。
【0074】
したがって、不要部分Maを取り除く除去工程P4における、アンテナ3の基材2に対する位置ずれや基材2からの剥離といった製造不良を抑止することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、不要部分Maには粘着剤Aが付着していないため、不要部分Maを回収した後、不要部分Maから粘着剤Aを除去する処理が不要となり、再生加工処理が容易となる。これにより、不要部分Maを金属シートMとして再び利用することができる。
【0076】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0077】
本実施形態において、アンテナパターン1におけるアンテナ3の形状は、図1に示した形状に限定されない。
【0078】
工程P3において、凸状刃部131aは、フレキシブルダイのほか、彫刻刃、植込刃等で構成することができる。
【0079】
また、本実施形態において、図4に示す凸部131bが、凸状刃部131a同士の中間位置から搬送方向Tの下流寄りに形成されていてもよい。この場合には、エンボス部5は、メアンダ33,34のライン幅において搬送方向Tの下流側に形成される。
【0080】
これにより、アンテナ3において、搬送方向Tに交差する方向(X方向)に延びる部分の下流側が基材2に強固に接着されることになる。したがって、アンテナ3の浮き上がりや剥離を防止する効果が高められる。
【0081】
連続体Cを搬送方向Tに搬送しながらアンテナ3の外周線を切り込む工程と、アンテナ3の所定位置を基材2に向けて押圧してエンボス部5を形成する工程とは、それぞれ個別のユニットにより実行されてもよい。
【0082】
本実施形態のように、これらの工程を同一工程P4で行うことにより、アンテナ3の外周線とエンボス部5との位置ずれを防止することができる。
【0083】
本実施形態において、連続体Cにおいて切り抜かれるアンテナ3の形状(向き)は、図3に示す例に限定されない。すなわち、ダイロール131において、凸状刃部131a及び凸部131bは、メアンダ33,34の拡がる方向(X方向)を連続体Cの搬送方向Tに一致させるような向きに形成されていてもよい。
【0084】
この場合には、エンボス部5は、アンテナ3において、搬送方向Tに交差する方向に延びる部分、すなわち、メアンダ33,34の縦経路部352に形成される。
【0085】
この場合も、図3に示した例と同様に、アンテナ3と基材2とを強固に接着することができ、アンテナ3の搬送方向Tに交差する方向に延びる部分の浮き上がりや剥離を防止する効果が得られる。
【0086】
図6では、複数のアンテナパターン1が搬送方向Tに一列に並んで形成される連続体Cが示されている。アンテナパターン1の配置は、図6に限定されない。複数のアンテナパターン1が搬送方向Tに沿って複数列に並んで形成されるような幅広の連続体Cであってもよい。
【0087】
この場合には、ダイロール131も幅広に構成されており、幅方向に凸状刃部131a及び凸部131bが複数列並んで形成されたものが用いられる。
【0088】
本実施形態においては、アンテナ3がUHF帯インレット用のダイポールアンテナである場合について説明したが、HF帯用のコイルアンテナであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 アンテナパターン
2 基材
3 アンテナ
4 ICチップ
5 エンボス部
10 RFIDインレイ
31 ループ部
32 ICチップ接続部
33,34 メアンダ
35,36 キャパシタハット
100 製造装置
101 繰り出しローラ
102 巻取ローラ
110 粘着剤塗工ユニット
111 粘着剤タンク
112 繰り出しローラ
113 版ローラ
113a 凸状パターン
114 圧胴
115 UVランプ
120 金属シート配置ユニット
121 押圧ローラ
122 支持ローラ
130 切込ユニット
131 ダイロール
131a 凸状刃部
131b 凸部
132 アンビルローラ
140 除去ユニット
141 ピールローラ
142 ガイドローラ
150 対ローラ
151 ニップローラ
152 従動ローラ
351 横経路部
352 縦経路部
C 連続体
M 金属シート
Ma 不要部分
Lc 切断線
P1 粘着剤塗工工程
P2 金属シート配置工程
P3 切込工程
P4 除去工程
R 搬送方向の反対方向且つ上方
T 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6