(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】風呂装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20231214BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20231214BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F24H15/196 301K
A47K3/00 E
A47K3/00 G
F04D15/00 D
F04D15/00 J
(21)【出願番号】P 2020056136
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 智行
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-164233(JP,A)
【文献】国際公開第2019/198305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
A47K 3/00
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風呂装置であって、
浴槽内の水を循環させる循環路と、
前記循環路に設けられており、水に気体を溶解させるタンクと、
前記循環路において、前記タンクよりも上流側に設けられている第1ポンプと、
前記循環路において、前記第1ポンプよりも上流側に設けられている第2ポンプと、
前記タンクに接続されており、前記タンクに気体を導入可能な気体導入部と、
前記浴槽に取付けられる微細気泡吐出ノズルと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの駆動が停止されている停止状態において、前記気体導入部から前記タンクに気体を導入させる気体導入運転と、
前記気体導入運転の終了後、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを、前記停止状態から、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが駆動している駆動状態に切替えて、前記タンクからの水を、前記微細気泡吐出ノズルを介して、前記浴槽に噴出する給水運転と、
を実行する微細気泡供給運転を実行可能に構成されており、
前記給水運転において、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを前記停止状態から前記駆動状態に切替える場合に、前記第1ポンプの駆動を開始させた後、前記第2ポンプの駆動を開始させるように構成されて
おり、
前記制御装置は、
前記給水運転において、前記第1ポンプの駆動回転数が、前記第1ポンプの最大回転数である第1最大回転数よりも小さい第1所定回転数に到達する場合に、前記第2ポンプの駆動を開始させ、
前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達する前に、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2ポンプの最大回転数である第2最大回転数に到達するように前記第2ポンプを駆動し、
前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2最大回転数に到達する場合に、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数となるように前記第1ポンプを駆動する、
風呂装置。
【請求項2】
風呂装置であって、
浴槽内の水を循環させる循環路と、
前記循環路に設けられており、水に気体を溶解させるタンクと、
前記循環路において、前記タンクよりも上流側に設けられている第1ポンプと、
前記循環路において、前記第1ポンプよりも上流側に設けられている第2ポンプと、
前記タンクに接続されており、前記タンクに気体を導入可能な気体導入部と、
前記浴槽に取付けられる微細気泡吐出ノズルと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの駆動が停止されている停止状態において、前記気体導入部から前記タンクに気体を導入させる気体導入運転と、
前記気体導入運転の終了後、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを、前記停止状態から、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが駆動している駆動状態に切替えて、前記タンクからの水を、前記微細気泡吐出ノズルを介して、前記浴槽に噴出する給水運転と、
を実行する微細気泡供給運転を実行可能に構成されており、
前記給水運転において、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを前記停止状態から前記駆動状態に切替える場合に、前記第1ポンプの駆動を開始させた後、前記第2ポンプの駆動を開始させるように構成されて
おり、
前記制御装置は、
前記給水運転において、前記第1ポンプの駆動回転数が、前記第1ポンプの最大回転数である第1最大回転数よりも小さい第1所定回転数に到達する場合に、前記第2ポンプの駆動を開始させ、
前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2ポンプの最大回転数である第2最大回転数よりも小さい第2所定回転数に到達する場合に、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達するように前記第1ポンプを駆動し、
前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達する場合に、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2最大回転数となるように前記第2ポンプを駆動する、
風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、風呂装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽内の水を循環させる循環路と、循環路に設けられており、水に気体を溶解させるタンクと、循環路において、タンクよりも上流側に設けられている第1ポンプと、循環路において、第1ポンプよりも上流側に設けられている第2ポンプと、タンクに接続されており、タンクに気体を導入可能な気体導入部と、浴槽に取付けられる微細気泡吐出ノズルと、制御装置と、を備える風呂装置が開示されている。制御装置は、第1ポンプ及び第2ポンプの駆動が停止されている停止状態において、気体導入部からタンクに気体を導入させる気体導入運転と、気体導入運転の終了後、第1ポンプ及び第2ポンプを、停止状態から、第1ポンプ及び第2ポンプが駆動している駆動状態に切替えて、タンクからの水を、微細気泡吐出ノズルを介して、浴槽に噴出する給水運転と、を実行する微細気泡供給運転を実行可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の風呂装置では、給水運転において、第1ポンプ及び第2ポンプを停止状態から駆動状態に切替えているが、第1ポンプ及び第2ポンプの駆動を開始させる順番について何ら考慮されていない。仮に、上流側の第2ポンプの駆動を開始させた後に、下流側の第1ポンプの駆動を開始させる場合、駆動している第2ポンプによって加圧された水が停止している第1ポンプに流れ込むことになる。このような状態において、第1ポンプの駆動を開始させると、第1ポンプに流れ込む加圧された水の影響で第1ポンプを構成する部品が摩耗してしまい、第1ポンプの耐久性が低下する。
【0005】
本発明は、風呂装置の第1ポンプの耐久性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される一実施形態の風呂装置は、浴槽内の水を循環させる循環路と、前記循環路に設けられており、水に気体を溶解させるタンクと、前記循環路において、前記タンクよりも上流側に設けられている第1ポンプと、前記循環路において、前記第1ポンプよりも上流側に設けられている第2ポンプと、前記タンクに接続されており、前記タンクに気体を導入可能な気体導入部と、前記浴槽に取付けられる微細気泡吐出ノズルと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの駆動が停止されている停止状態において、前記気体導入部から前記タンクに気体を導入させる気体導入運転と、前記気体導入運転の終了後、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを、前記停止状態から、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが駆動している駆動状態に切替えて、前記タンクからの水を、前記微細気泡吐出ノズルを介して、前記浴槽に噴出する給水運転と、を実行する微細気泡供給運転を実行可能に構成されており、前記給水運転において、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを前記停止状態から前記駆動状態に切替える場合に、前記第1ポンプの駆動を開始させた後、前記第2ポンプの駆動を開始させるように構成されている。前記制御装置は、前記給水運転において、前記第1ポンプの駆動回転数が、前記第1ポンプの最大回転数である第1最大回転数よりも小さい第1所定回転数に到達する場合に、前記第2ポンプの駆動を開始させ、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達する前に、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2ポンプの最大回転数である第2最大回転数に到達するように前記第2ポンプを駆動し、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2最大回転数に到達する場合に、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数となるように前記第1ポンプを駆動する。
【0007】
上記の構成によると、制御装置は、給水運転において、下流側に設けられている第1ポンプの駆動を開始させた後、上流側に設けられている第2ポンプの駆動を開始させる。このため、駆動している第2ポンプによって加圧された水が停止している第1ポンプに流れ込むことが無く、その状況から第1ポンプの駆動を開始させることが無い。従って、第1ポンプを構成する部品が摩耗することを抑制することができ、第1ポンプの耐久性を向上させることができる。
また、給水運転において、第1ポンプの駆動を開始させると、第1ポンプよりも上流側の第2ポンプに負圧が作用する。この場合、第2ポンプ内に存在する水が第1ポンプ側に引き込まれる。第2ポンプ内の多くの水が第1ポンプ側に引き込まれた後において、第2ポンプの駆動を開始させると、第2ポンプ内の水が少ないために、第2ポンプが空回りして騒音が発生する。上記の構成によると、制御装置は、給水運転において、第1ポンプの駆動回転数が、第1所定回転数に到達する場合に、第2ポンプの駆動を開始させる。この場合、第1ポンプの駆動回転数が第1最大回転数に到達する場合に、第2ポンプの駆動を開始させる構成と比較して、第2ポンプの駆動を開始させる前に、第2ポンプから第1ポンプ側に引き込まれる水の量を少なくすることができる。このため、第2ポンプ内に比較的に多くの水が残っている状況において、第2ポンプの駆動を開始させることができる。従って、第2ポンプが空回りして騒音が発生することを抑制することができる。
【0008】
本明細書によって開示される別の風呂装置は、浴槽内の水を循環させる循環路と、前記循環路に設けられており、水に気体を溶解させるタンクと、前記循環路において、前記タンクよりも上流側に設けられている第1ポンプと、前記循環路において、前記第1ポンプよりも上流側に設けられている第2ポンプと、前記タンクに接続されており、前記タンクに気体を導入可能な気体導入部と、前記浴槽に取付けられる微細気泡吐出ノズルと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプの駆動が停止されている停止状態において、前記気体導入部から前記タンクに気体を導入させる気体導入運転と、前記気体導入運転の終了後、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを、前記停止状態から、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプが駆動している駆動状態に切替えて、前記タンクからの水を、前記微細気泡吐出ノズルを介して、前記浴槽に噴出する給水運転と、を実行する微細気泡供給運転を実行可能に構成されており、前記給水運転において、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプを前記停止状態から前記駆動状態に切替える場合に、前記第1ポンプの駆動を開始させた後、前記第2ポンプの駆動を開始させるように構成されている。前記制御装置は、前記給水運転において、前記第1ポンプの駆動回転数が、前記第1ポンプの最大回転数である第1最大回転数よりも小さい第1所定回転数に到達する場合に、第2ポンプの駆動を開始させ、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2ポンプの最大回転数である第2最大回転数よりも小さい第2所定回転数に到達する場合に、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達するように前記第1ポンプを駆動し、前記第1ポンプの駆動回転数が前記第1最大回転数に到達する場合に、前記第2ポンプの駆動回転数が前記第2最大回転数となるように前記第2ポンプを駆動する。
【0009】
上記の構成によると、制御装置は、給水運転において、下流側に設けられている第1ポンプの駆動を開始させた後、上流側に設けられている第2ポンプの駆動を開始させる。このため、駆動している第2ポンプによって加圧された水が停止している第1ポンプに流れ込むことが無く、その状況から第1ポンプの駆動を開始させることが無い。従って、第1ポンプを構成する部品が摩耗することを抑制することができ、第1ポンプの耐久性を向上させることができる。
また、給水運転において、第1ポンプの駆動を開始させると、第1ポンプよりも上流側の第2ポンプに負圧が作用する。この場合、第2ポンプ内に存在する水が第1ポンプ側に引き込まれる。第2ポンプ内の多くの水が第1ポンプ側に引き込まれた後において、第2ポンプの駆動を開始させると、第2ポンプ内の水が少ないために、第2ポンプが空回りして騒音が発生する。上記の構成によると、制御装置は、給水運転において、第1ポンプの駆動回転数が、第1所定回転数に到達する場合に、第2ポンプの駆動を開始させる。この場合、第1ポンプの駆動回転数が第1最大回転数に到達する場合に、第2ポンプの駆動を開始させる構成と比較して、第2ポンプの駆動を開始させる前に、第2ポンプから第1ポンプ側に引き込まれる水の量を少なくすることができる。このため、第2ポンプ内に比較的に多くの水が残っている状況において、第2ポンプの駆動を開始させることができる。従って、第2ポンプが空回りして騒音が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例に係る風呂システムの構成を示す図である(給水状態)。
【
図2】実施例に係る風呂システムの構成を示す図である(空気導入状態)。
【
図3】実施例に係る風呂システムの構成を示す図である(追い焚き状態)。
【
図4】実施例に係る下流側加圧ポンプを模式的に示す図である。
【
図5】比較例に係る下流側加圧ポンプを模式的に示す図である。
【
図6】実施例に係る微細気泡供給運転において実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
(風呂システム2の構成)
図1~
図3を参照して、風呂システム2について説明する。風呂システム2は、熱源ユニット10と、微細気泡発生ユニット50と、浴槽130と、制御装置150と、を備える。熱源ユニット10は、給水源200、及び、微細気泡発生ユニット50に接続されている。微細気泡発生ユニット50は、熱源ユニット10及び浴槽130に接続されている。浴槽130には、微細気泡吐出ノズル134を有する循環接続具132が接続されている。なお、以下では、
図1に示す矢印の方向に水が流れる場合を例に説明する。
【0012】
(熱源ユニット10の構成)
熱源ユニット10は、給水源200から供給される水を加熱して、浴槽130に加熱された水を供給するためのユニットである。熱源ユニット10は、熱源機12と、給水路20と、第1戻り水路22と、第1往き水路24と、を備える。
【0013】
給水路20の上流端は、市水道などの給水源200に接続されており、給水路20の下流端は、第1戻り水路22に接続されている。給水路20には、湯張り弁26が設けられている。湯張り弁26は、給水路20から第1戻り水路22への水の流れを制御する弁である。
【0014】
第1戻り水路22の上流端は、微細気泡発生ユニット50(詳細には第2戻り水路60)に接続されており、下流端は熱源機12に接続されている。第1戻り水路22において、第1戻り水路22と給水路20の接続部と、熱源機12と、の間には、循環ポンプ30及び水流スイッチ32が設けられている。循環ポンプ30は、水流スイッチ32よりも上流側に設けられており、第1戻り水路22内の水を下流側に送り出す。水流スイッチ32は、第1戻り水路22内を水が通過していることを検出する。熱源機12は、例えば、熱源機12を通過する水を加熱するガス熱源機である。
【0015】
第1往き水路24の上流端は、熱源機12に接続されており、下流端は、微細気泡発生ユニット50(詳細には第2往き水路68)に接続されている。
【0016】
(微細気泡発生ユニット50の構成)
微細気泡発生ユニット50は、タンク52と、第2戻り水路60と、第2往き水路68と、水供給水路74と、連通水路66と、噴出水路64と、第3戻り水路62と、第3往き水路70と、空気導入路100と、を備える。
【0017】
タンク52は、内部に水を貯留することができる。タンク52の内部には、タンク52内の水位を検出するための低水位電極52a及び高水位電極52bが設置されている。低水位電極52aによって検出される水位(以下では、「下限水位」と記載する)は、高水位電極52bによって検出される水位(以下では、「上限水位」と記載する)よりも低い。低水位電極52a、高水位電極52bは、タンク52内に貯留されている水の水面に接触すると、制御装置150にON信号を出力する。タンク52は、水に空気が加圧溶解している空気溶解加圧水を生成するために利用される。
【0018】
第2戻り水路60の上流端は、連通水路66に接続されており、下流端は、熱源ユニット10(詳細には第1戻り水路22)に接続されている。連通水路66は、第1切替弁80と第2切替弁82とを接続する。第3戻り水路62の一端は第1切替弁80に接続されており、他端は浴槽130(詳細には循環接続具132)に接続されている。噴出水路64の上流端は、タンク52の下部に接続されており、下流端は第1切替弁80に接続されている。噴出水路64には、第1切替弁80側からタンク52側への水の流れを防止する逆止弁84が設けられている。第1切替弁80は、噴出水路64と第3戻り水路62が連通している第1連通状態(
図1の状態)と、噴出水路64と連通水路66が連通している第2連通状態(
図2の状態)と、第3戻り水路62、噴出水路64、及び、連通水路66が連通している第3連通状態(
図3の状態)と、を切替えることができる。
【0019】
第2往き水路68の上流端は、熱源ユニット10(詳細には第1往き水路24)に接続されており、下流端は第2切替弁82に接続されている。第3往き水路70の一端は浴槽130(詳細には循環接続具132)に接続されており、他端は第2切替弁82に接続されている。第2切替弁82は、第3往き水路70と連通水路66が連通する第4連通状態(
図1の状態)と、第2往き水路68と第3往き水路70が連通する第5連通状態(
図2及び
図3の状態)と、を切替えることができる。
【0020】
第2往き水路68とタンク52は、水供給水路74で接続されている。水供給水路74には、給水制御弁86と上流側加圧ポンプ88と下流側加圧ポンプ90が設けられている。給水制御弁86は、水供給水路74を開閉する。給水制御弁86は、上流側加圧ポンプ88よりも上流側に設けられている。下流側加圧ポンプ90は、上流側加圧ポンプ88よりも下流側に設けられている。上流側加圧ポンプ88、下流側加圧ポンプ90は、水供給水路74内の水を加圧してタンク52に向けて送り出す。以下では、第1切替弁80が第1連通状態であり、かつ、第2切替弁82が第4連通状態である場合の風呂システム2の状態(
図1の状態)を、「給水状態」と呼び、第1切替弁80が第2連通状態であり、かつ、第2切替弁82が第5連通状態である場合の風呂システム2の状態(
図2の状態)を、「空気導入状態」と呼び、第1切替弁80が第3連通状態であり、かつ、第2切替弁82が第5連通状態である場合の風呂システム2の状態(
図3の状態)を、「追い焚き状態」と呼ぶ。
【0021】
空気導入路100の上流端側は、大気に開放されており、下流端がタンク52に接続されている。空気導入路100は、タンク52に空気を導入する。空気導入路100には、空気制御弁102が設けられている。空気制御弁102は、空気導入路100を開閉する。
【0022】
(上流側加圧ポンプ88、下流側加圧ポンプ90、循環ポンプ30の構成)
続いて、
図4を参照して、下流側加圧ポンプ90について説明する。下流側加圧ポンプ90は、ケーシング170と、羽根部172と、シャフト174と、ロータ176と、コイル178と、第1軸受180と、第2軸受182と、を備える。ケーシング170には、吸込口170aと、吐出口170bと、が設けられている。吸込口170aから矢印A1の方向に水が吸い込まれ、吐出口170bから矢印A2の方向に水が吐出される。羽根部172は、シャフト174に接続されている。シャフト174の前方側には、第1軸受180が設けられており、シャフト174の後方側には、第2軸受182が設けられている。通常状態において、シャフト174の前端部174aは、第1軸受180に接触しており、シャフト174の後端部174bと第2軸受182との間には、第1隙間S1が設けられている。なお、上流側加圧ポンプ88及び循環ポンプ30は、下流側加圧ポンプ90と同様の構造を有する。
【0023】
(制御装置150の構成)
図1~
図3に示す制御装置150は、熱源ユニット10、微細気泡発生ユニット50の各構成要素の動作を制御する。制御装置150は、ユーザによって操作可能なリモコン(図示省略)と通信可能に構成されている。制御装置150は、メモリ152を備える。制御装置150は、ユーザによるリモコンへの操作に応じて、追い焚き運転、微細気泡供給運転等を実行することができる。
【0024】
(風呂システム2の動作)
続いて、風呂システム2の動作について説明する。以下では、風呂システム2が実施する追い焚き運転、及び、微細気泡供給運転について順に説明する。追い焚き運転、及び、微細気泡供給運転が開始される時点において、第1切替弁80、第2切替弁82は、それぞれ、第3連通状態、第5連通状態である(
図3参照)。また、循環ポンプ30、上流側加圧ポンプ88、及び、下流側加圧ポンプ90の駆動は停止されており、湯張り弁26、給水制御弁86、空気制御弁102は閉状態である。なお、追い焚き運転では、第1切替弁80、第2切替弁82は、それぞれ、第3連通状態、第5連通状態に維持される。
【0025】
(追い焚き運転)
追い焚き運転は、第1切替弁80が第3連通状態であり、かつ、第2切替弁82が第5連通状態である場合(
図3の追い焚き状態)において、浴槽130内の水を、熱源機12によって加熱する運転である。ユーザによって追い焚き運転の実行を指示するための操作がリモコンに実行されると、追い焚き運転が開始される。制御装置150は、循環ポンプ30及び熱源機12を駆動させる。これにより、
図3に示すように、浴槽130内の水が、循環接続具132、第3戻り水路62、連通水路66、第2戻り水路60、第1戻り水路22を通って熱源機12に供給される。そして、熱源機12によって加熱された水は、第1往き水路24、第2往き水路68、第3往き水路70、循環接続具132を通って、浴槽130に供給される。制御装置150は、浴槽130内の温度が設定温度に達するか、又は、追い焚き運転時間を実行する時間として予め設定されている追い焚き運転時間が経過すると、熱源機12及び循環ポンプ30の駆動を停止させる。これによって、追い焚き運転は終了する。
【0026】
(微細気泡供給運転)
微細気泡供給運転は、タンク52内で空気溶解加圧水を生成し、生成された空気溶解加圧水を浴槽130に供給する運転である。ユーザによって微細気泡供給運転の実行を指示するための操作がリモコンに実行されると、微細気泡供給運転が開始される。微細気泡供給運転が開始される場合において、第1切替弁80、第2切替弁82は、それぞれ、第3連通状態、第5連通状態である(
図3参照)。また、循環ポンプ30、上流側加圧ポンプ88、及び、下流側加圧ポンプ90の駆動は停止されており、湯張り弁26、給水制御弁86、空気制御弁102は閉状態である。微細気泡供給運転が開始されると、制御装置150は、
図6に示す処理を実行する。
【0027】
S10において、制御装置150は、タンク52に空気を導入する空気導入運転を実行する。具体的には、制御装置150は、空気制御弁102を開状態に切替え、第1切替弁80を第2連通状態に切替え、第2切替弁82を第5連通状態に維持し、給水制御弁86を閉状態に維持する。これにより、風呂システム2が空気導入状態(
図2参照)になる。なお、後述するS42を経た後のS10において、制御装置150は、第2切替弁82を第5連通状態に切替える。次いで、制御装置150は、循環ポンプ30を駆動する。これによって、
図2に示すように、タンク52から水が吸い出されるとともに、空気導入路100を介してタンク52に空気が導入される。タンク52から吸い出された水は、噴出水路64、第1切替弁80、連通水路66、第2戻り水路60、第1戻り水路22、熱源機12、第1往き水路24、第2往き水路68、第2切替弁82、第3往き水路70、及び、循環接続具132を経由して、浴槽130に排出される。
【0028】
S12において、制御装置150は、タンク52の水位が下限水位よりも低くなることを監視する。制御装置150は、タンク52の水位が下限水位よりも低くなる場合に、S12でYESと判断し、処理はS14に進む。
【0029】
S14において、制御装置150は、空気制御弁102を閉状態に切替え、空気導入運転を終了する。S14が終了すると、処理はS20に進む。
【0030】
S20において、制御装置150は、給水運転を開始する。制御装置150は、第1切替弁80を第1連通状態に切替え、第2切替弁82を第4連通状態に切替え、給水制御弁86を開状態に切替える。これにより、風呂システム2が給水状態(
図1参照)になる。
【0031】
S22において、制御装置150は、下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させる。制御装置150は、下流側加圧ポンプ90の回転数である下流側ポンプ回転数が所定回転数となるように、下流側加圧ポンプ90の動作を制御する。所定回転数は、下流側加圧ポンプ90の最大回転数よりも小さい回転数であり、例えば、最大回転数の約半分の回転数である。
【0032】
S24において、制御装置150は、下流側ポンプ回転数が所定回転数に到達することを監視する。制御装置150は、下流側ポンプ回転数が所定回転数に到達する場合に、S24でYESと判断し、処理はS26に進む。
【0033】
S26において、制御装置150は、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させる。制御装置150は、上流側加圧ポンプ88の回転数である上流側ポンプ回転数が最大回転数となるように、上流側加圧ポンプ88の動作を制御する。このように、制御装置150は、空気導入運転の終了後、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90を、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90の駆動が停止されている停止状態から、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90が駆動している駆動状態に切替える。
【0034】
S28において、制御装置150は、下流側ポンプ回転数が最大回転数となるように下流側加圧ポンプ90を駆動する。これにより、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90が最大回転数で駆動する。そして、
図1に示すように、浴槽130の水が、循環接続具132、第3往き水路70、第2切替弁82、連通水路66、第2戻り水路60、第1戻り水路22、循環ポンプ30、熱源機12、第1往き水路24、第2往き水路68、水供給水路74を経由して、タンク52に供給される。この際に、水供給水路74からタンク52には、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90で加圧された水が供給される。タンク52の内部において、水に空気が加圧溶解される。そして、空気溶解加圧水は、タンク52から、噴出水路64、第1切替弁80、第3戻り水路62、循環接続具132を経由して、浴槽130に供給される。空気溶解加圧水は、循環接続具132内の微細気泡吐出ノズル134を通過する際に、大気圧以下まで減圧され、浴槽130に噴出される際に、大気圧まで増圧されて、浴槽130の水に微細気泡が発生する。
【0035】
S30において、制御装置150は、タンク52の水位が上限水位以上になることを監視する。制御装置150は、タンク52の水位が上限水位以上になる場合に、S30でYESと判断し、処理はS32に進む。
【0036】
S32において、制御装置150は、給水制御弁86を閉状態に切替え、循環ポンプ30、上流側加圧ポンプ88、及び、下流側加圧ポンプ90を停止して、給水運転を終了する。
【0037】
S40において、制御装置150は、サイクル数を1増加させる。
【0038】
S42において、制御装置150は、現在のサイクル数が設定回数(例えば、5回)に達したのか否かを判断する。制御装置150は、サイクル数が設定回数に達した場合に、S42でYESと判断して、
図6の処理を終了する。なお、制御装置150は、
図6の処理を終了する場合に、第1切替弁80を第3連通状態に切替え、第2切替弁82を第5連通状態に切替える。一方、制御装置150は、サイクル数が設定回数に到達していない場合に、S42でNOと判断して、処理はS10に戻る。
【0039】
(本実施例の効果)
本実施例の効果を説明する前に、比較例の風呂システムの動作について説明する。比較例の風呂システムの構成は、本実施例の風呂システム2の構成(
図1~
図4)と同様である。比較例の風呂システムは、本実施例の風呂システム2と同様に、追い焚き運転、微細気泡供給運転(空気導入運転及び給水運転)等を実行することができる。そして、比較例の風呂システムによって実行される空気導入運転は、本実施例の風呂システム2によって実行される空気導入運転(
図6のS10~S14)と同じである。しかしながら、比較例の風呂システムは、給水運転において、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90を停止状態から駆動状態に切替える場合の上流側ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させる順番が、本実施例の風呂システム2とは異なる(S22~S28)。比較例の風呂システムは、給水運転において、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90を停止状態から駆動状態に切替える場合に、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させた後、下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させるように構成されている。このような構成によると、駆動している上流側加圧ポンプ88によって加圧された水が停止している下流側加圧ポンプ90に流れ込むことになる。この場合、
図5に示すように、加圧された水によって、下流側加圧ポンプ90の羽根部172、及び、シャフト174が、後方側に押し下げられ、シャフト174の後端部174bが第2軸受182に接触するようになる。なお、シャフト174の前端部174aと第1軸受180との間には第2隙間S2が設けられる。通常、下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させた後において、下流側ポンプ回転数が大きくなるにつれて、羽根部172、及び、シャフト174が前方側に移動していき、シャフト174の前端部174aが前方側の第1軸受180に接触するようになる。しかしながら、比較例の風呂システムのように、下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させる際に、上流側加圧ポンプ88が既に駆動している場合、シャフト174の後端部174bが第2軸受182に接触している状態が維持されたまま、下流側加圧ポンプ90の駆動が継続されることがある。この場合、第2軸受182が第1軸受180よりも摩耗しやすいために、第2軸受182が摩耗していく。このように、比較例の風呂システムでは、給水運転が繰り返し実行されることによって、第2軸受182の摩耗量が大きくなっていって、羽根部172がケーシング170内に収容されている部品(例えば、コイル178)に接触してしまう可能性がある。
【0040】
そこで、本実施例の風呂システム2では、制御装置150は、給水運転において、上流側加圧ポンプ88及び下流側加圧ポンプ90を停止状態から駆動状態に切替える場合に、下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させた後、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させるように構成されている。このような構成によると、駆動している上流側加圧ポンプ88によって加圧された水が停止している下流側加圧ポンプ90に流れ込むことが無く、その状況から下流側加圧ポンプ90の駆動を開始させることがない。従って、下流側加圧ポンプ90を構成する部品(詳細には第2軸受182)が摩耗することを抑制することができ、下流側加圧ポンプ90の耐久性を向上させることができる。
【0041】
また、制御装置150は、給水運転において、下流側加圧ポンプ90の下流側ポンプ回転数が、所定回転数に到達する場合(S24でYES)に、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させている。この場合、下流側加圧ポンプ90の下流側ポンプ回転数が最大回転数に到達する場合に、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させる構成と比較して、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させる前に、上流側加圧ポンプ88から下流側加圧ポンプ90側に引き込まれる水の量を少なくすることができる。このため、上流側加圧ポンプ88内に比較的に多くの水が残っている状況において、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させることができる。従って、上流側加圧ポンプ88が空回りして騒音が発生することを抑制することができる。
【0042】
(対応関係)
風呂システム2が、「風呂装置」の一例である。第1戻り水路22、第1往き水路24、第2戻り水路60、第2往き水路68、連通水路66、水供給水路74、噴出水路64、第3戻り水路62、及び、第3往き水路70が、「循環路」の一例である。下流側加圧ポンプ90、上流側加圧ポンプ88が、それぞれ、「第1ポンプ」、「第2ポンプ」の一例である。空気が、「気体」の一例である。空気導入路100、及び、空気制御弁102が、「気体導入部」の一例である。空気導入運転が、「気体導入運転」の一例である。
【0043】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0044】
(第1変形例)上記の実施例では、水供給水路74に2個の加圧ポンプ88、90が設けられている。水供給水路74に設けられている加圧ポンプの数は、3個以上であってもよい。この場合、制御装置150は、給水運転において、下流側の加圧ポンプから順番に駆動を開始させればよい。
【0045】
(第2変形例)上記の実施例では、
図6の微細気泡供給運転において、制御装置150は、循環ポンプ30の駆動を継続している。制御装置150は、
図6のS14において、循環ポンプ30の駆動を停止させてもよい。本変形例では、制御装置150は、S26の後に、循環ポンプ30の駆動を開始させ、その後にS28以降の処理を実行する。即ち、制御装置150は、循環ポンプ30、上流側加圧ポンプ88、及び、下流側加圧ポンプ90を停止状態から駆動状態に切替える場合に、下流側のポンプから順番に駆動を開始させる。
【0046】
(第3変形例)
図6のS24、S28を省略可能である。本変形例では、制御装置150は、S22において、下流側ポンプ回転数が最大回転数となるように下流側加圧ポンプ90を駆動する。また、別の変形例では、制御装置150は、
図6のS24でYESの後に、上流側加圧ポンプ88の駆動を開始させ、上流側ポンプ回転数が所定回転数となるように上流側加圧ポンプ88の動作を制御してもよい。本変形例では、制御装置150は、上流側ポンプ回転数が所定回転数に到達する場合に、下流側ポンプ回転数が最大回転数となるように下流側加圧ポンプ90を駆動する。そして、制御装置150は、下流側ポンプ回転数が最大回転数に到達する場合に、上流側ポンプ回転数が最大回転数となるように上流側加圧ポンプ88を駆動する。
【0047】
(第4変形例)「気体導入部」は、空気導入路100、及び、空気制御弁102に限定されず、空気導入路100、及び、空気導入路100に接続されるエアポンプ等であってもよい。
【0048】
(第5変形例)上記の実施例では、タンク52に空気が導入されている。変形例では、空気に代えて、炭酸ガス、水素、酸素等の気体がタンク52に導入されてもよい。この場合、気体が充填されているタンクを空気導入路100の上流端に配設するとよい。
【0049】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
2 :風呂システム
10 :熱源ユニット
12 :熱源機
20 :給水路
22 :第1戻り水路
24 :第1往き水路
26 :湯張り弁
30 :循環ポンプ
32 :水流スイッチ
50 :微細気泡発生ユニット
52 :タンク
52a :低水位電極
52b :高水位電極
60 :第2戻り水路
62 :第3戻り水路
64 :噴出水路
66 :連通水路
68 :第2往き水路
70 :第3往き水路
74 :水供給水路
80 :第1切替弁
82 :第2切替弁
84 :逆止弁
86 :給水制御弁
88 :上流側加圧ポンプ
90 :下流側加圧ポンプ
100 :空気導入路
102 :空気制御弁
130 :浴槽
132 :循環接続具
150 :制御装置
152 :メモリ
170 :ケーシング
170a :吸込口
170b :吐出口
172 :羽根部
174 :シャフト
174a :前端部
174b :後端部
176 :ロータ
178 :コイル
180 :第1軸受
182 :第2軸受
200 :給水源