(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】内装材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/10 20060101AFI20231214BHJP
E04F 15/16 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
E04F15/10 104B
E04F15/10 104A
E04F15/10 104E
E04F15/16 A
E04F15/16 C
(21)【出願番号】P 2020062935
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019167307
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森原 將史
(72)【発明者】
【氏名】若本 隆
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-007332(JP,A)
【文献】特開2001-254504(JP,A)
【文献】特開2015-019908(JP,A)
【文献】特開2019-157576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体を有し、
前記シート体の表面には、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する第1凝集部分と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分とは異なる色彩を呈する第2凝集部分と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分の色彩と第2凝集部分の色彩が混ざった色彩を呈する混在凝集部分と、前記第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分のそれぞれに形成された凹部と、を有し、
前記凹部の表面に、塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が集まって付着されている、内装材。
【請求項2】
前記第1凝集部分と前記混在凝集部分の境界及び前記第2凝集部分と前記混在凝集部分の境界がそれぞれ前記第1凝集部分及び第2凝集部分の塩化ビニル樹脂粒子の色彩が混色してグラデーションを成している部分を有する、請求項1に記載の内装材。
【請求項3】
前記充填剤微粒子が、炭酸カルシウムを含む、請求項1または2に記載の内装材。
【請求項4】
着色された塩化ビニル樹脂粒子の表面にその粒子よりも小さい充填剤微粒子が点在されている原料粒子であって、色彩が異なる原料粒子を2種以上製造する工程、
前記原料粒子の中の1種からなる第1材料又は前記原料粒子の2種以上を所定の比率で配合した第1材料を準備する工程、
前記原料粒子の中の1種からなり且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料又は前記原料粒子の2種以上を所定の比率で配合し且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料を準備する工程、
前記第1材料と、前記第2材料と、前記第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給し、加熱加圧してシート状に成形することにより、シート体を作製する工程、を有する内装材の製造方法。
【請求項5】
前記各材料をコンベア上に供給する際に、互いに独立した第1収納部と第2収納部を有し、出口で前記第1収納部と第2収納部が連通されているホッパーを用い、
前記ホッパーの第1収納部に前記第1材料を入れ、前記ホッパーの第2収納部に前記第2材料を入れ、それらを前記出口からコンベア上に供給する、請求項4に記載の内装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に見ると雲状模様の外観を有し且つ凝視すると砂目調模様の外観を有する内装材などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の床材、壁材、天井材などの建築物用の内装材として、いわゆる砂目調模様を有する樹脂製内装材が知られており、特に、床材として根強い人気がある。
ここで、内装材における砂目調模様は、チップやフレークでシートを形成する方法、或いは、透明な表面層にバックプリントを行うことによって砂目調模様をデザインする方法によって作製された、砂地のような模様をいう。砂目調模様を有する樹脂製内装材は、砂目調模様が樹脂材料で人工的に再現された内装材と言える。
このような砂目調模様を有する樹脂製内装材は、着色された塩化ビニル樹脂シートを粉砕し、この粉砕物を集めて圧延又は加圧することによって得られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
砂目調模様が再現された内装材は、砂地のような、微細な砂を撒いたような外観(微細な砂目調模様)を有し、看者に落ち着いた印象を与える。
しかしながら、砂目調模様を印刷で再現した場合、平面的な模様に見え、立体的な砂粒を有するような外観が得られない。
一方、特許文献1のように、樹脂シートの粉砕物を溶融させて圧延し、そのままシート状にする場合、粉砕物が溶融しすぎて立体的な砂粒を再現できないおそれがある。
また、微細な砂目調模様の外観の内装材のみならず、市場においては、さらに趣向を凝らした外観を有する内装材が求められている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、全体的に見ると雲状のような外観を有し且つ凝視すると微細な砂を撒いたような外観を有する内装材及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内装材は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体を有し、前記シート体の表面には、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する第1凝集部分と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分とは異なる色彩を呈する第2凝集部分と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分の色彩と第2凝集部分の色彩が混ざった色彩を呈する混在凝集部分と、前記第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分のそれぞれに形成された凹部と、を有し、前記凹部の表面に、塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が集まって付着されている。
好ましくは、前記第1凝集部分と前記混在凝集部分の境界及び前記第2凝集部分と前記混在凝集部分の境界がそれぞれ前記第1凝集部分及び第2凝集部分の塩化ビニル樹脂粒子の色彩が混色してグラデーションを成している部分を有する。
好ましくは、前記充填剤微粒子が、炭酸カルシウムを含む。
【0007】
本発明の別の局面によれば、内装材の製造方法を提供する。
本発明の内装材の製造方法は、着色された塩化ビニル樹脂粒子の表面にその粒子よりも小さい充填剤微粒子が点在されている原料粒子であって、色彩が異なる原料粒子を2種以上製造する工程、前記原料粒子の中の1種からなる第1材料又は前記原料粒子の2種以上を所定の比率で配合した第1材料を準備する工程、前記原料粒子の中の1種からなり且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料又は前記原料粒子の2種以上を所定の比率で配合し且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料を準備する工程、前記第1材料と、前記第2材料と、前記第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給し、加熱加圧してシート状に成形することにより、シート体を作製する工程、を有する。
【0008】
本発明の好ましい内装材の製造方法は、前記各材料をコンベア上に供給する際に、互いに独立した第1収納部と第2収納部を有し、出口で前記第1収納部と第2収納部が連通されているホッパーを用い、前記ホッパーの第1収納部に前記第1材料を入れ、前記ホッパーの第2収納部に前記第2材料を入れ、それらを前記出口からコンベア上に供給する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の内装材は、全体的に見ると雲状のような外観を有し且つ凝視すると微細な砂を撒いたような外観を有する。かかる内装材は、従来にない斬新なデザインである。
また、本発明の製造方法によれば、全体的に見ると雲状のような外観を有し且つ凝視すると微細な砂を撒いたような外観を有する内装材を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態の内装材の一部省略平面図。
【
図6】内装材のシート体の表面を拡大した平面図(
図1のVI部の拡大平面図)。
【
図8】内装材のシート体の表面に表出した第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分の配置を参考的に表した参考平面図。
【
図12】第1材料及び第2材料をコンベアに供給する供給機の概略図であって、ホッパー内に第1材料及び第2材料を投入した状態を示す概略図。
【
図14】供給機の供給ロールを上側から見た平面図(但し、同じ形状が連続している中央部を省略している)。
【
図16】供給機の供給ロールにおいて、第1変形例のセルを有するロールを上側から見た平面図(但し、同じ形状が連続している右側を省略している)。
【
図18】第2変形例のセルを有するロールを上側から見た平面図(但し、同じ形状が連続している右側を省略している)。
【
図19】第3変形例乃至第5変形例のセルを有するロールを上側から見た平面図(但し、同じ形状が連続している右側を省略している)。
【
図20】製法の第2実施形態で使用する第1例のホッパーの斜視図。
【
図21】前記第1例のホッパーを有する供給機の概略図であって、ホッパー内に第1材料及び第2材料を投入した状態を示す概略図。
【
図22】製法の第2実施形態で使用する第2例のホッパーの斜視図。
【
図25】同第5例のホッパーを有するシート体の製造装置の概略図。
【
図26】製法の第3実施形態の受け板を有するシート体の製造装置の概略図。
【
図27】同第3実施形態の受け板及びホッパーの斜視図。
【
図28】同第3実施形態の整流凸部が設けられた受け板の斜視図。
【
図29】製法の第4実施形態の第1例の粗面化処理部を有するシート体の製造装置の概略図。
【
図30】(a)は、同第1例の粗面化処理ロール(粗面化処理部)を上側から見た平面図、(b)は、同粗面化処理ロールを軸芯方向から見た側面図。
【
図31】(a)は、同第2例の粗面化処理部を有するシート体の製造装置の概略図、(b)は、同粗面化処理ロールを軸芯方向から見た側面図。
【
図32】同第3例の粗面化処理部を有するシート体の製造装置の概略図。
【
図33】(a)は、製法の第5実施形態で使用する供給ロールを上側から見た平面図、(b)は、同供給ロールを軸芯方向から見た側面図。
【
図37】実施例1で作製したシート体の表面の写真図。
【
図38】実施例1で作製したシート体の表面の拡大写真図。
【
図39】実施例2で作製したシート体の表面の写真図。
【
図40】実施例3で作製したシート体の表面の写真図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、平面視は、シート体(内装材)の表面に対して直交する方向から見ることをいい、平面視形状は、その方向から見たときの形状をいう。また、断面視形状は、シート体(内装材)を厚み方向で切断したときの形状をいう。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
各図に表された層の厚み及び長さ、粒子の大きさなどの寸法並びに粒子の形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0012】
[内装材の概要]
図1及び
図2において、本発明の内装材1は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体2を有する。
本発明の内装材1は、
図1に示すように、長尺帯状に形成されていてもよく、或いは、特に図示しないが、枚葉状に形成されていてもよい。前記長尺帯状は、1つの方向の長さが他の方向よりも十分に長い平面視略長方形状をいう。長尺帯状の内装材1は、例えば、第1方向の長さが1000mm~4000mmで、第2方向の長さが5m以上であり、好ましくは、第2方向の長さが10m以上である。なお、第1方向は、第2方向と直交する方向である。
前記枚葉状は、例えばタイル床材のような平面視で略矩形状などの略多角形状などの所定形状に形成されているものであり、一般に、積み重ねて保管・運搬できる形状をいう。枚葉状の内装材1は、例えば、第1方向の長さが200mm~1000mm、第2方向の長さが200mm~1000mmの略矩形状などが挙げられる。
本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。略長方形状、略正方形状、略矩形状などの「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、略楕円形状又は略円形状の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
【0013】
図2は、第1実施形態の内装材を示し、
図3は、第2実施形態の内装材を示し、
図4は、第3実施形態の内装材を示し、
図5は、第4実施形態の内装材を示す。
第2乃至第4実施形態の内装材の各平面図は、
図1と同様であるので省略している。
図2において、第1実施形態の内装材1は、シート体2のみから構成されている。換言すると、この内装材1は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体2のみからなる単層構造であり、シート体2の表面及び裏面が、内装材1の最表面及び最裏面を成している。
図3において、第2実施形態の内装材1は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体2と、前記シート体2の表面に積層された表面保護層3と、から構成されている。この内装材1は、表面保護層3の表面が内装材1の最表面を成し、シート体2の裏面が内装材1の最裏面を成している。
図4において、第3実施形態の内装材1は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体2と、前記シート体2の裏面に積層されたバック層4と、から構成されている。この内装材1は、シート体2の表面が内装材1の最表面を成し、バック層4の裏面が内装材1の最裏面を成している。
図5において、第4実施形態の内装材1は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含むシート体2と、前記シート体2の表面に積層された表面保護層3と、前記シート体2の裏面に積層されたバック層4と、から構成されている。この内装材1は、表面保護層3の表面が内装材1の最表面を成し、バック層4の裏面が内装材1の最裏面を成している。
【0014】
<シート体>
シート体2は、柔軟性を有する。シート体2は、例えば、直径20cmの芯材にロール状に巻き取ることができるような柔軟性を有する。シート体2は、非発泡体から構成されている。なお、
図4及び
図5に示すようなシート体2にバック層4などが積層されている内装材1も、シート体2と同様な柔軟性を有することが好ましい。
シート体2の厚みは、特に限定されず、例えば、0.5mm~8mmであり、好ましくは、1.0mm~5.0mmである。第1及び第2実施形態のように、シート体2の裏面にバック層4が積層されない場合には、シート体2の厚みは、比較的大きいことが好ましく、例えば、1.0mm~8mmであり、好ましくは、1.2mm~5mmである。また、第3及び第4実施形態のように、シート体2の裏面にバック層4が積層される場合には、シート体2の厚みを比較的小さくすることもできる。
【0015】
シート体2は、塩化ビニル樹脂、着色剤及び充填剤を含み、さらに、可塑剤などの添加剤を含んでいてもよい。塩化ビニル樹脂、着色剤、充填剤及び可塑剤などの添加剤の詳細は、[内装材の製造方法]の欄で詳細に述べる。
シート体2の表面側には、着色された塩化ビニル樹脂粒子が凝集した部分が形成され、塩化ビニル樹脂粒子が凝集した部分に、凹部が形成され、その凹部の表面に、塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が集まって付着されている。
以下、前記塩化ビニル樹脂粒子が凝集した部分を「凝集部分」という場合がある。
凝集部分は、複数個の塩化ビニル樹脂粒子が集まり且つ接合して層を成しており、シート体2の少なくとも表面側に延在されている。
着色された塩化ビニル樹脂粒子は、粒子状を成し且つ着色剤によって着色された塩化ビニル樹脂を意味し、充填剤微粒子は、粒子状を成している充填剤を意味する。
【0016】
前記シート体2の表面には、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する凝集部分(以下、「第1凝集部分」という)と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分とは異なる色彩を呈する凝集部分(以下、「第2凝集部分」という)と、前記各凝集部分のそれぞれに形成された凹部と、を有し、前記凹部の表面に、塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が集まって付着されている。好ましくは、前記シート体2の表面には、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出された凝集部分であって、前記第1凝集部分の色彩と第2凝集部分の色彩が混ざった色彩を呈する混在凝集部分を有し、この混在凝集部分に形成された凹部の表面に、塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が集まって付着されている。
前記混在凝集部分は、シート体2の表面において、第1凝集部分と第2凝集部分の間に介在するように設けられていることが好ましい。
以下、第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分を総称して、単に「凝集部分」という。
まず、塩化ビニル樹脂粒子及び充填剤微粒子からなる凝集部分の概念及び構造について説明した後、第1凝集部分及び第2凝集部分について説明する。
【0017】
<<塩化ビニル樹脂粒子及び充填剤微粒子からなる凝集部分>>
図6は、シート体2の表面に表出している塩化ビニル樹脂粒子5及び充填剤微粒子6を判りやすく示すために、シート体2の表面を大きく拡大した平面図であり、
図7は、その断面図である。
図6及び
図7を参照して、上述のように、シート体2の表面側には、着色された塩化ビニル樹脂粒子5が凝集した部分(凝集部分)が形成され、その凝集部分に、凹部21が形成され、その凹部21の表面に、塩化ビニル樹脂粒子5よりも小さい充填剤微粒子6が集まって付着されている。
前記塩化ビニル樹脂粒子5の表面には、充填剤微粒子6が点在されており、凝集部分の凹部21の表面に、充填剤微粒子6が集まっている。従って、凝集部分には、塩化ビニル樹脂粒子5が表出している部分と、充填剤微粒子6が表出している部分と、が混在しており、特に充填剤微粒子6は、凹部21に集中的に存在している。
【0018】
図6及び
図7を参照して、シート体2の表面側は、複数の塩化ビニル樹脂粒子5が凝集されている部分を有し、前記各塩化ビニル樹脂粒子5の表面に、充填剤微粒子6が点在されている。
充填剤微粒子6の大きさは、塩化ビニル樹脂粒子5よりも小さい。なお、充填剤微粒子6は小さいため、
図6及び
図7において、個々の充填剤微粒子を図示していない。
凝集部分はシート体2の表面の一部分に形成されていてもよいが、好ましくは、シート体2の表面全体に亘って凝集部分が形成され、より好ましくは、シート体2の全体が凝集部分で形成されている。
【0019】
凝集部分においては、複数の塩化ビニル樹脂粒子5が隣接し、隣接した塩化ビニル樹脂粒子同士が接合されて層を成している。なお、
図7では、隣接する塩化ビニル樹脂粒子5の間が、明確な実線で表されているが、隣接する塩化ビニル樹脂粒子5は、接合(融合)により、明確な境界を有さないことがあることに留意されたい。
【0020】
表出されている各塩化ビニル樹脂粒子5の平面視形状(表出している部分の平面視形状)は、
図6に示すように、比較的多くが不定形(不定形は、形状が無秩序であり、特定の形状を認定できない状態である)であるが、一部の塩化ビニル樹脂粒子5は、平面視略楕円形状又は略円形状を成して表出している。つまり、それぞれの塩化ビニル樹脂粒子5の平面視形状は、一様ではないが、凝集部分は、表出形状が平面視略楕円形状又は略円形状である塩化ビニル樹脂粒子5を有している。平面視略楕円形状及び略円形状以外の塩化ビニル樹脂粒子5の平面視形状は、特定できない。
換言すると、前記凝集部分の表面における塩化ビニル樹脂粒子5は、平面視略楕円形状又は略円形状を成して表出している塩化ビニル樹脂粒子5と、平面視不定形を成して表出している塩化ビニル樹脂粒子5と、からなる。なお、各塩化ビニル樹脂粒子5の立体形状は、
図7に示すように、不定形である。
【0021】
前記凝集部分において、表出している塩化ビニル樹脂粒子5の、大きさ及び個数(割合)は、次の(a)乃至(c)の少なくとも何れか1つを満たしていることが好ましい。
(a)表出している部分の最大長さが50μm~100μmの範囲である塩化ビニル樹脂粒子が、1平方mmの中に16個以上、好ましくは30個以上、より好ましくは40個以上である。前記50μm~100μmの範囲である塩化ビニル樹脂粒子の個数の上限は特にないが、例えば、400個以下、さらには、300個以下である。
(b)表出している部分の最大長さが100μmを超え150μm以下の範囲である塩化ビニル樹脂粒子が、1平方mmの中に12個以上、好ましくは18個以上、より好ましくは30個以上である。前記100μmを超え150μm以下の塩化ビニル樹脂粒子の個数の上限は特にないが、例えば、100個以下、さらには、80個以下である。
(c)表出している部分の最大長さが150μmを超え200μm以下の範囲である塩化ビニル樹脂粒子が、1平方mmの中に8個以上、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上である。前記150μmを超え200μm以下の塩化ビニル樹脂粒子の個数の上限は特にないが、例えば、50個以下、さらには、40個以下である。
【0022】
ただし、前記塩化ビニル樹脂粒子5の大きさ及び個数は、凝集部分の表面におけるSEM画像から計測できる。
凝集部分の表面の任意の箇所を、100倍で撮像してSEM写真を得、そのSEM画像の中の任意の1平方mmの中から、表出している塩化ビニル樹脂粒子を抽出する。その抽出した全ての塩化ビニル樹脂粒子の表出している部分の最大長さを計測することにより、上記(a)、(b)及び(c)を特定できる。
なお、表出している部分の最大長さは、表出している部分の面内を通り且つその部分の対向縁に交差する直線のうちの最大値をいう。
図6に、表出している部分の最大長さとなる箇所を、幾つかの塩化ビニル樹脂粒子に符号Wで示している。
【0023】
また、凝集部分の表面(シート体2の表面)には、
図7に示すように、僅かな凹部21が形成されている。前記凹部21は、凝集部分の表面側において、隣接する塩化ビニル樹脂粒子5の間に形成されている。前記凹部21は、隣接する塩化ビニル樹脂粒子5の外面が互いに押し合うことによって形成されるものであり、塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aの周囲に形成されている。
凹部21の平面視形状は、不定形であるが、凹部21は、平面視において塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aを取り囲むように、無秩序に折れ曲がった平面視線状に形成されている。凹部21の断面視形状も不定形である。
凹部21の深さは、特に限定されないが、余りに大きいと凝集部分の表面が粗面化され過ぎ、余りに小さいと、実質的に凹部21と成り得ない。かかる点を考慮すると、凹部21の深さは、0を超え150μmが好ましく、0.05μm~30μmがより好ましい。別の観点では、凹部21の深さは、塩化ビニル樹脂粒子5の粒径の1/5倍以下が好ましく、1/6倍以下がより好ましい。
【0024】
また、前記凹部21との相対的な関係として、凝集部分の表面には、凸部が形成されている。凸部は、主として各塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aから構成されている。
前記各塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aは、
図7に示すように、平坦状の部分を有することが好ましく、さらに、露出部5aの全体が略平坦状に形成されていることがより好ましい。
なお、シート体2の表面及び/又は裏面に、エンボス加工による凹凸(図示せず)が施されていてもよい。エンボス加工による凹凸は、前記凹部21よりも大きい。
【0025】
複数の塩化ビニル樹脂粒子5の表面には、複数の充填剤微粒子6が点在されている。充填剤微粒子6が点在されているとは、塩化ビニル樹脂粒子5の表面全体を覆っておらず、複数の充填剤微粒子6が塩化ビニル樹脂粒子5の表面の所々に付着されていることをいう。
なお、
図6において、複数の充填剤微粒子6が付着した部分を網掛けで示しており、
図6の無地は塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aを示している。
特に、充填剤微粒子6は、前記凹部21の表面に集まって付着されている。複数の充填剤微粒子6が集まって付着された領域では、塩化ビニル樹脂粒子5の表面が充填剤微粒子6によって被覆されている。
【0026】
図6を参照して、凝集部分においては、平面視で、充填剤微粒子6が集まって付着した領域を海とし、塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aを島とする、海島構造を成している。なお、塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aの一部に、充填剤微粒子6が付着されている場合もあり、前記海島構造は、厳密な意味ではなく、概ね海島状を成しているという意味である。
充填剤微粒子6は、塩化ビニル樹脂粒子5よりも粒径が小さいので、光を乱反射させる効果に優れている。このため、前記海島構造のように塩化ビニル樹脂粒子5の露出部5aの周りに充填剤微粒子6が額縁のように集まって付着していることにより、塩化ビニル樹脂粒子5の色彩及び立体感を強く視認できるようになる。
充填剤微粒子6は、
図7に示すように、シート体2の内部においても、隣接する塩化ビニル樹脂粒子5の間に存在している。なお、
図7に示す無地部分は、シート体2の内部に生じた気泡を表している。
【0027】
表出された充填剤微粒子6の平面視形状及び立体形状は、不定形である。
充填剤微粒子6は、塩化ビニル樹脂粒子5に比して随分と小さい。
凝集部分において点在し且つ表出している充填剤微粒子6は、例えば、最大長さが20μm以下であり、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは6μm以下である。前記最大長さが20μm以下であるとは、下記計測法に従い、表出している充填剤微粒子6の実質的に全てが、最大径20μm以下のものであることを意味する。
前記充填剤微粒子6の最大長さは、凝集部分の平面視におけるSEM画像から計測できる。
凝集部分の表面の任意の箇所を、1000倍で撮像してSEM写真を得、そのSEM画像の中の任意の100平方μmの中の表出している充填剤微粒子の中から、比較的大きいものを幾つか抽出する。その抽出した全ての充填剤微粒子の最大長さを計測する。
なお、表出している充填剤微粒子の最大長さは、上記表出している塩化ビニル樹脂粒子の最大長さと同様に、平面視で充填剤微粒子の面内を通り且つ対向縁に交差する直線のうちの最大値をいう。
【0028】
<<第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分>>
上述のように、第1凝集部分は、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する凝集部分であり、第2凝集部分は、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ第1凝集部分とは異なる色彩を呈する凝集部分であり、混在凝集部分は、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ第1凝集部分の色彩と第2凝集部分の色彩が混ざった色彩を呈する凝集部分である。第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分には、それぞれ凹部が形成されており、それらの凹部の表面に塩化ビニル樹脂粒子よりも小さい充填剤微粒子が付着されている。
【0029】
第1凝集部分は、全体的に見ると所定の色彩に視認でき、第2凝集部分は、全体的に見ると前記第1凝集部分とは異なる色彩に視認でき、混在凝集部分は、全体的に見ると第1凝集部分及び第2凝集部分とは異なる色彩であって第1凝集部分及び第2凝集部分が混じった色彩に視認できる。一方、第1凝集部分、第2凝集部分及び混在凝集部分は、凝視すると、いずれも微細な砂目調模様を視認できる。
「全体的に見る」とは、正常な視覚を有する標準視力の成人の目視により、室内蛍光灯の下、内装材1(シート体2)の表面の比較的大面積の領域を、内装材1(シート体2)の表面から100cm離れて漫然と見ることをいう。「凝視する」とは、正常な視覚を有する標準視力の成人の目視により、室内蛍光灯の下、内装材1(シート体2)の表面の比較的小面積の領域を、その表面に近づいて集中的に見ることをいう。「異なる色彩(又は色彩が異なる)」は、前記成人の目視によって同じ色でないと認識される程度に異なっていることをいう。例えば、本明細書において、正常な視覚を有する20才~40才の成人10人のうち8人以上が2つの色を見比べて同じ色でないと認識したときには「異なる色彩」である。なお、「色彩」は、色相、明度及び彩度の三属性によって定められ、例えば、色相が同じであっても明度が異なれば「異なる色彩」となる場合もある。
【0030】
第1凝集部分は、(a)所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子のみが凝集していてもよく、或いは、(b)異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子が混ざって凝集しているものでもよい。
(a)所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子のみが凝集している第1凝集部分は、その塩化ビニル樹脂粒子の色彩を呈する。
(b)異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子が凝集している第1凝集部分は、それらの塩化ビニル樹脂粒子の色彩が混ざった色彩を呈する。
【0031】
第2凝集部分は、(c)所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子のみが凝集していてもよく、或いは、(d)異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子が混ざって凝集しているものでもよい。
(c)所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子のみが凝集している第2凝集部分は、その塩化ビニル樹脂粒子の色彩を呈する。ただし、(c)の第2凝集部分が呈する色彩は、第1凝集部分が呈する色彩とは異なる。
(d)異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子が凝集している第2凝集部分は、それらの塩化ビニル樹脂粒子の色彩が混ざった色彩を呈する。ただし、(d)の第2凝集部分が呈する色彩は、第1凝集部分が呈する色彩とは異なる。
【0032】
例えば、(a)の第1凝集部分と(c)の第2凝集部分との組み合わせの場合には、第1凝集部分を構成する1種の塩化ビニル樹脂粒子は、第2凝集部分を構成する1種の塩化ビニル樹脂粒子に対して色彩において異なっている。
(a)の第1凝集部分と(d)の第2凝集部分との組み合わせの場合には、第1凝集部分を構成する1種の塩化ビニル樹脂粒子は、第2凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子のいずれとも色彩において異なっていてもよく、或いは、第2凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子の中の1種と同じ色彩であってもよい。
(b)の第1凝集部分と(c)の第2凝集部分との組み合わせの場合には、第2凝集部分を構成する1種の塩化ビニル樹脂粒子は、第1凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子のいずれとも色彩において異なっていてもよく、或いは、第1凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子の中の1種と同じ色彩であってもよい。
【0033】
(b)の第1凝集部分と(d)の第2凝集部分との組み合わせの場合には、第1凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子は、第2凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子のいずれとも色彩において異なっていてもよく、或いは、第1凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子のうちの少なくとも1種と第2凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子のうちの少なくとも1種が色彩において異なっていてもよく、或いは、第1凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子と第2凝集部分を構成する2種以上の塩化ビニル樹脂粒子はいずれも色彩において同じで且つそれらの配合比率が異なっていてもよい。
第1凝集部分が1種の塩化ビニル樹脂粒子からなる場合又は2種以上の塩化ビニル樹脂粒子からなる場合でも、第2凝集部分と色彩において異なっていればよい。
【0034】
混在凝集部分は、第1凝集部分を構成する塩化ビニル樹脂粒子と第2凝集部分を構成する塩化ビニル樹脂粒子が混じって凝集している。従って、混在凝集部分が呈する色彩は、第1凝集部分が呈する色彩とは異なり且つ第2凝集部分が呈する色彩とも異なる。
なお、第1凝集部分を構成する塩化ビニル樹脂粒子及び第2凝集部分を構成する塩化ビニル樹脂粒子は、その組成が同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。
【0035】
一例として、所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子(以下、第1塩化ビニル樹脂粒子という)のみが凝集している第1凝集部分と、所定の色彩に着色された1種の塩化ビニル樹脂粒子であって前記第1塩化ビニル樹脂粒子とは異なる色彩の塩化ビニル樹脂粒子(以下、第2塩化ビニル樹脂粒子という)のみが凝集している第2凝集部分と、これら2種類の塩化ビニル樹脂粒子(第1塩化ビニル樹脂粒子及び第2塩化ビニル樹脂粒子)が混在して凝集している混在凝集部分と、を有するシート体2を説明する。
【0036】
図8は、シート体2の表面に表出している複数の第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52(塩化ビニル樹脂粒子5)の配置を判りやすく示した参考平面図である。なお、第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52の配置を参考的に表した
図8においては、便宜上、各第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52を全て同形同大の楕円形で表しているが、実際には、表出している第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52(塩化ビニル樹脂粒子5)は、上記<<塩化ビニル樹脂粒子及び充填剤微粒子からなる凝集部分>>で説明したように、
図6のような不定形であることに留意されたい。
また、
図8において、複数の充填剤微粒子6が付着した部分を網掛けで示しており、表出した第1塩化ビニル樹脂粒子51をドットで示し、第2塩化ビニル樹脂粒子52を無地で示している。
【0037】
図8を参照して、シート体2の表面には、複数の第1塩化ビニル樹脂粒子51(塩化ビニル樹脂粒子5)が凝集した第1凝集部分71と、複数の第2塩化ビニル樹脂粒子52(塩化ビニル樹脂粒子5)が凝集した第2凝集部分72と、第1塩化ビニル樹脂粒子51と第2塩化ビニル樹脂粒子52が混在しつつそれらが凝集した混在凝集部分73と、を有する。
シート体2の厚み方向においては、上記
図7と同様に、第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52などの塩化ビニル樹脂粒子5が積み重なり、シート体2が構成されている。
【0038】
第1凝集部分71の表面側において、隣接する第1塩化ビニル樹脂粒子51(塩化ビニル樹脂粒子5)の間に凹部21が形成されており、その凹部21に充填剤微粒子6が集まって付着されている。
第1凝集部分71においては、平面視で、充填剤微粒子6が集まって付着した領域を海とし、第1塩化ビニル樹脂粒子51の露出部を島とする、海島構造を成している。
第1凝集部分71を構成する第1塩化ビニル樹脂粒子51の数は、特に限定されず、後述するように樹脂粒子の大きさは非常に小さいので、一例では数十~数百と言えるが、特にこの数値に限定されない。
第1凝集部分71は、概ね第1塩化ビニル樹脂粒子51によって構成されており、僅かに第2塩化ビニル樹脂粒子52及びその他の塩化ビニル樹脂粒子を含んでいる場合もある。全体的には、第1凝集部分71は、成人の目視により、第1塩化ビニル樹脂粒子51の色彩に見える部分である。
【0039】
第2凝集部分72の表面側において、隣接する第2塩化ビニル樹脂粒子52(塩化ビニル樹脂粒子5)の間に凹部21が形成されており、その凹部21に充填剤微粒子6が集まって付着されている。
第2凝集部分72においては、平面視で、充填剤微粒子6が集まって付着した領域を海とし、第2塩化ビニル樹脂粒子52の露出部を島とする、海島構造を成している。
第2凝集部分72を構成する第2塩化ビニル樹脂粒子52の数は、特に限定されず、後述するように樹脂粒子の大きさは非常に小さいので、一例では数十~数百と言えるが、特にこの数値に限定されない。
第2凝集部分72は、概ね第2塩化ビニル樹脂粒子52によって構成されており、僅かに第1塩化ビニル樹脂粒子51及びその他の塩化ビニル樹脂粒子を含んでいる場合もある。全体的には、第2凝集部分72は、成人の目視により、第2塩化ビニル樹脂粒子52の色彩に見える部分である。
【0040】
混在凝集部分73の表面側において、隣接する第1及び第2塩化ビニル樹脂粒子51,52の間に凹部21が形成されており、その凹部21に充填剤微粒子6が集まって付着されている。
混在凝集部分73においては、平面視で、充填剤微粒子6が集まって付着した領域を海とし、第1塩化ビニル樹脂粒子51の露出部及び第2塩化ビニル樹脂粒子52の露出部を島とする、海島構造を成している。
混在凝集部分73を構成する第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52の数は、特に限定されず、後述するように樹脂粒子の大きさは非常に小さいので、一例では数十~数百と言えるが、特にこの数値に限定されない。
混在凝集部分73は、第1塩化ビニル樹脂粒子51と第2塩化ビニル樹脂粒子52が表面において分散している点で、第1塩化ビニル樹脂粒子51が集中した第1凝集部分71及び第2塩化ビニル樹脂粒子52が集中した第2凝集部分72とは異なる。
混在凝集部分73は、概ね第1塩化ビニル樹脂粒子51及び第2塩化ビニル樹脂粒子52によって構成されており、僅かにその他の塩化ビニル樹脂粒子を含んでいる場合もある。全体的には、混在凝集部分73は、成人の目視により、第1塩化ビニル樹脂粒子51の色彩と第2塩化ビニル樹脂粒子52の色彩が混じった色彩に見える部分である。
【0041】
第1凝集部分71、第2凝集部分72及び混在凝集部分73は、それぞれ複数あり、それらの配置は特に限定されず、任意である。第1凝集部分71と第2凝集部分72の間に混在凝集部分73が位置していることが多いが、それらの配置は、不定である。
第1凝集部分71、第2凝集部分72、及び混在凝集部分73の面積は、特に限定されないが、目視で視認可能な面積である約1mm
2以上であり、さらに、約4mm
2以上が好ましい。
第1凝集部分71、第2凝集部分72及び混在凝集部分73の境界は、外観上、明瞭ではないが、全体的に、第1塩化ビニル樹脂粒子51の色彩が濃く見える部分が第1凝集部分71であり、第2塩化ビニル樹脂粒子52の色彩が濃く見える部分が第2凝集部分72であり、両粒子51,52の色彩が混色し且つグラデーションを成している部分が混在凝集部分73である。
図8において、参考的に、第1凝集部分71を一点鎖線で囲い、混在凝集部分73を二点鎖線で囲っている。
【0042】
<表面保護層>
表面保護層3は、シート体2の表面を保護する目的で、必要に応じて設けられる。
表面保護層3は、有色透明でもよいが、無色透明であることが好ましい。表面保護層3は、非発泡である。
表面保護層3は、主成分樹脂を含み、必要に応じて、主成分樹脂以外の樹脂及び難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤などの添加剤が含まれていてもよい。
ここで、本明細書において、主成分樹脂は、その層を構成する樹脂成分中で最も多い樹脂成分(重量比)をいう。
表面保護層3を形成する主成分樹脂としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂などの電離線硬化型樹脂などが挙げられる。耐傷付き性などの観点から、表面保護層3は、紫外線硬化型樹脂などの電離線硬化型樹脂から形成されていることが好ましい。
電子線硬化型樹脂としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物などの不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレートなどのメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレートなどの紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。
表面保護層3の厚みは、特に限定されず、可及的に小さいことが好ましく、例えば、3μm~50μmであり、好ましくは5μm~40μmである。
【0043】
<バック層>
バック層4は、従来公知の床材、壁材及び天井材に使用されているものを適宜用いることができる。前記バック層4としては、公知の床材、壁材及び天井材の中から表層(化粧層を含む)を除いたものを用いることができ、例えば、発泡樹脂層、非発泡樹脂層、ゴム層、人工又は天然石材、木材、布材などが挙げられる。
例えば、
図4及び
図5では、バック層4は、シート体2の裏面に積層された上側樹脂層41及び下側樹脂層43と、前記上側樹脂層41及び下側樹脂層43の間に介在された繊維補強層42と、を有する。
上側樹脂層41及び下側樹脂層43の形成材料としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニルや塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル樹脂、エチレン-メタクリレート樹脂などのアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エステル樹脂などの熱可塑性樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種の熱可塑性エラストマー;イソプレンゴムなどのゴム;などが挙げられる。
シート体2に対して良好に接着することから、少なくとも上側樹脂層41は主成分樹脂として塩化ビニル樹脂を含む材料から形成されていることが好ましく、さらに、上側樹脂層41及び下側樹脂層43が主成分樹脂として塩化ビニル樹脂を含む材料から形成されていることがより好ましい。
繊維補強層42としては、繊維を含んでいれば特に限定されず、不織布、織布などが挙げられる。前記不織布や織布を構成する繊維の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
バック層4の厚みは、特に限定されず、例えば、0.5mm~10mmである。
【0044】
[内装材の製造方法の第1実施形態]
本発明の内装材は、例えば、次のような方法で得ることができる。ただし、本発明の内装材は、下記製法によって得られるものに限定されるわけではない。
本発明の内装材は、着色された塩化ビニル樹脂粒子の表面に、その粒子よりも小さい充填剤微粒子が点在されている原料粒子を製造する工程、前記原料粒子を集めて加熱加圧してシート状に成形する工程、を経て得られる。
【0045】
具体的には、本発明の内装材の製造方法は、着色された塩化ビニル樹脂粒子の表面にその粒子よりも小さい充填剤微粒子が点在されている原料粒子であって、色彩が異なる原料粒子を2種以上製造する工程、前記原料粒子の中の1種からなる第1材料又は前記原料粒子の中の2種以上を所定の比率で配合した第1材料を準備する工程、前記原料粒子の中の1種からなり且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料又は前記原料粒子の中の2種以上を所定の比率で配合し且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈する第2材料を準備する工程、前記第1材料と、前記第2材料と、前記第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給し、加熱加圧してシート状に成形することにより、シート体を作製する工程、を有する。
【0046】
本明細書の製造方法において、上記内装材1に形成された後の塩化ビニル樹脂粒子5及び充填剤微粒子6と、その内装材を形成する前の原料としての塩化ビニル樹脂粒子及び充填剤微粒子とを、用語上区別するという目的で、原料粒子を構成する塩化ビニル樹脂粒子及び充填剤微粒子を、「原料樹脂粒子」及び「原料充填剤微粒子」と記す。
【0047】
<原料粒子の製造>
原料粒子Aは、
図9に示すように、着色された塩化ビニル樹脂粒子Bの表面にその粒子Bよりも小さい充填剤微粒子Cが点在されているものである。
図9において、複数の充填剤微粒子Cが付着した部分を網掛けで示しており、
図9の無地は、塩化ビニル樹脂粒子Bの表面が露出した部分を示している。
【0048】
原料粒子Aの製造は、例えば、塩化ビニル樹脂を用いて粒子を作製する工程と、塩化ビニル樹脂を着色する工程と、原料樹脂粒子Bに原料充填剤微粒子Cを付着させる工程と、を有する。これらの工程は、それぞれ独立して行ってもよく、或いは、これらの工程から選ばれる少なくとも2つの工程を同時に行ってもよい。例えば、塩化ビニル樹脂から粒子を作製するときに、塩化ビニル樹脂を着色してもよい。或いは、塩化ビニル樹脂の粒子を作製した後、その粒子を着色すると共に原料充填剤微粒子Cを付着させてもよい。工程を少なくできることから、2つの工程を同時に行うことが好ましい。
以下、塩化ビニル樹脂の粒子を作製した後、その粒子を着色すると共に原料充填剤微粒子Cを付着させることによって、原料粒子Aを製造する場合を例にとって説明する。
【0049】
塩化ビニル樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで製造されたものが挙げられる。粒子状に形成し易いことから、乳化重合法、又は、懸濁重合法で得られる塩化ビニル系樹脂が好ましく、特に、懸濁重合法で得られる塩化ビニル樹脂が好ましい。
前記懸濁重合法は、水と懸濁剤を入れた反応器内に圧力をかけて液化させた塩化ビニルモノマーを入れ、高速で攪拌することにより、前記モノマーを極めて微小な液滴にした後、重合開始剤を反応器に入れ、所定気圧及び温度で反応させることにより、塩化ビニル樹脂を作製する方法である。懸濁重合法によって得られる塩化ビニル樹脂は、通常、数十μm~数百μmの粒子となっているので、これを脱水・乾燥することにより、塩化ビニル樹脂からなる粒子を取り出すことができる。
【0050】
上述のように、懸濁重合法で得られる塩化ビニル樹脂の粒子は、数十μm~数百μmであるので、そのまま原料樹脂粒子Bとして使用してもよい。良好な砂目調模様の内装材を形成するために、適切な大きさで且つ粒径の揃った原料樹脂粒子Bを選別することが好ましい。
例えば、前記懸濁重合法で得られた塩化ビニル樹脂からなる粒子を、スクリーンを用いて篩い分けし、所望の粒径の原料樹脂粒子Bを取り出す。
図10は、原料樹脂粒子Bの正面図を示す。原料樹脂粒子Bは、真球に比べると歪な部分を所々に有するが、概ね球形を成している。
原料樹脂粒子Bの好ましい体積平均粒径(50%径)は、20μm~300μmであり、好ましくは30μm~250μmであり、より好ましくは50μm~200μmである。
前記原料樹脂粒子Bの体積平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定できる。
【0051】
原料樹脂粒子Bを構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、例えば、650~1000であり、好ましくは、700~900である。
前記平均重合度は、JIS K 6721のウベローデ粘度計を用いた溶液粘度測定法により測定できる。
また、前記塩化ビニル樹脂のK値は、特に限定されないが、例えば、58~70であり、好ましくは、60~65である。
前記K値は、JIS K 7367-2に準じて測定できる。
前記塩化ビニル樹脂の見掛け密度は、特に限定されないが、例えば、0.45~0.75であり、好ましくは、0.5~0.7である。
前記見掛け密度は、JIS K 7365に準じて測定できる。
【0052】
原料充填剤微粒子Cは、標準状態(標準状態は、25℃、1気圧)で固形状を成している無機充填剤を適宜用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、マイカなどの各種の無機充填剤が挙げられる。
安価であることから、原料充填剤微粒子Cは、炭酸カルシウムの微粒子を用いることが好ましい。
【0053】
原料充填剤微粒子Cは、原料樹脂粒子Bよりも粒径の小さいものが用いられる。原料充填剤微粒子Cは、球状などの定形、或いは、不定形など任意の形状を用いることができるが、光を乱反射させる効果が高いことから不定形が好ましい。
原料樹脂粒子Bの内部に埋没し難くして原料樹脂粒子Bの表面により多くの原料充填剤微粒子Cを付着させることができることから、適切な大きさの原料充填剤微粒子Cを用いることが好ましい。
原料充填剤微粒子Cの体積平均粒径(50%径)は、例えば、0.05μm~20μmであり、好ましくは、1μm~10μmであり、より好ましくは、2μm~6μmである。
前記原料充填剤微粒子Cの体積平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定できる。なお、原料充填剤微粒子Cは、略扁平状になっているものも多いので、前記原料充填剤微粒子Cの体積平均粒径は、球相当径の体積平均値を表す。
【0054】
原料粒子Aの全表面に対する、原料充填剤微粒子Cの被覆面積の割合は、特に限定されないが、3%~50%であることが好ましく、5%~20%であることがより好ましい。原料充填剤微粒子Cの被覆面積の割合は、(原料充填剤微粒子Cの被覆面積/原料粒子Aの表面積)×100で求められる。
【0055】
着色剤は、従来公知の顔料、染料を用いることができる。また、原料樹脂粒子Bに混じり易くなることから、着色剤として、トナーを用いることが好ましい。ここで、トナーは、微細な樹脂に顔料などが付着された微粒子、又は、この微粒子を液状物に分散させたものである。
可塑剤は、特に限定されず、従来より塩化ビニル系樹脂などに添加されているものを適宜用いることができ、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)、ジオクチルイソフタレート(DOIP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOTP)などが挙げられる。特に、標準状態下で液状の可塑剤を用いることが好ましい。
その他の添加剤としては、安定剤、加工助剤、防かび剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0056】
上記原料樹脂粒子B、原料充填剤微粒子C、着色剤、可塑剤及び必要に応じて添加剤を混合することにより、原料粒子Aを得ることができる。
原料粒子Aは、異なる色彩に着色された少なくとも2種類作製する。
色彩の異なる複数種(例えば2種類)の原料粒子Aは、着色剤に起因する色彩が異なることを条件として、その組成は同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。原料粒子Aの組成が異なるとは、塩化ビニル樹脂及びその配合量、原料充填剤微粒子C及びその配合量、可塑剤及びその配合量、並びに、添加剤及びその配合量の中から選ばれる少なくとも1つが異なっているという意味である。
製造容易であることから、色彩の異なる複数種の原料粒子Aは、着色剤を除いて、その組成が同じであることが好ましい。
【0057】
原料充填剤微粒子Cの配合量は、特に限定されないが、余りに多いと原料樹脂粒子Bの表面の略全体に原料充填剤微粒子Cが付着するおそれがあり、余りに少ないと原料樹脂粒子Bの表面が露出し過ぎる。かかる観点から、原料充填剤微粒子Cの配合量は、原料樹脂粒子Bの100重量部に対して、1重量部~100重量部であり、好ましくは、1重量部~50重量部である。
可塑剤の配合量は、特に限定されず、例えば、原料樹脂粒子Bの100重量部に対して、20重量部~50重量部であり、好ましくは、30重量部~40重量部である。
着色剤の配合量は、その着色剤の種類に応じて適宜設定でき、例えば、原料樹脂粒子Bの100重量部に対して、0.1重量部~10重量部であり、好ましくは、1重量部~5重量部である。
添加剤の配合量は、従来と同様であり、通常、微量である。
【0058】
前記原料樹脂粒子Bや原料充填剤微粒子Cなどの混合は、スーパーミキサーなどの従来公知のミキサーを用いて実施できる。
混合時間は、ミキサーの規模及び投入量によって適宜設定されるが、その目安としては、例えば、300秒~3000秒である。
【0059】
原料樹脂粒子B、原料充填剤微粒子C、着色剤、可塑剤及び必要に応じて添加剤を混合する際には、室温(25℃)よりも十分に高い温度であって、塩化ビニル樹脂が溶融しない温度以下で行うことが重要である。
例えば、前記混合は、80℃~140℃の温度範囲で行うことが好ましく、100℃~130℃がより好ましく、110℃~125℃がさらに好ましい。
また、前記混合は、常圧(特に、外部から圧力を加えない状態)で行うことが好ましい。
【0060】
加熱装置及び冷却装置を用いて、混合温度を前記温度範囲に設定してもよい。また、混合時に材料から生じる摩擦熱などによって、混合温度が前記温度範囲となるようであれば、特に加熱及び/又は冷却しないで、混合を行ってもよい。
前記温度範囲で混合することにより、原料樹脂粒子Bは、溶融せずに概ね球形を保持しつつ少し軟らかくなり、その原料樹脂粒子Bの表面に、原料充填剤微粒子C及び着色剤などが接触する。
標準状態で液状の可塑剤は、原料樹脂粒子Bと混ざりやすく、可塑剤によって、原料樹脂粒子Bが軟らかくなる。着色剤は、微細であるため、軟らかくなった原料樹脂粒子Bの表面からその内部に埋没していくようになり、原料樹脂粒子Bが着色される。必要に応じて添加される微量の添加剤も、原料樹脂粒子Bの内部に取り込まれる、又は、原料樹脂粒子Bの表面に付着する。
【0061】
原料充填剤微粒子Cは、前記添加剤などに比して大きく、その一部が原料樹脂粒子Bの内部に入り込むこともあるが、その多くが又は全てが軟らかくなった原料樹脂粒子Bの表面に付着するようになる。例えば、混合した原料充填剤微粒子Cのうち、原料樹脂粒子Bの表面に付着している割合は、混合した原料充填剤微粒子Cの全量を100重量%として、60重量%~100重量%であり、好ましくは80重量%以上100重量%未満である。
このようにして、
図9に示すような、着色された原料樹脂粒子Bの表面に、その粒子よりも小さい原料充填剤微粒子Cが点在されている原料粒子Aを得ることができる。得られた原料粒子Aを構成する原料樹脂粒子Bは、混合前の原料樹脂粒子Bに比して、歪度合いが大きくなるが、概ね球形を保っている。
着色剤を適宜変更して同様に混合することにより、色彩の異なる複数種の原料粒子Aを得ることができる。
なお、着色剤を配合しないことを除いて、同様に混合することにより、無着色の原料粒子を得ることもできる。
【0062】
色彩の異なる原料粒子Aの各色彩は、特に限定されず、適宜設定できる。
例えば、色彩の異なる2種類(例えば、黒、白)の原料粒子Aを作製し、これを用いてシート体を作製してもよく、或いは、色彩の異なる数種類(例えば、黒、白、赤、青、黄の5種類)の原料粒子Aを予め準備しておき、そこから少なくとも2種類の原料粒子を選択して、シート体を作製してもよい。
色彩の異なる原料粒子Aの種類は、特に限定されないが、製造が煩雑にならないために、4種類~5種類が好ましく、明度の違いを出しやすいので黒色を呈するものと白色を呈するものを含む4種類~5種類がより好ましい。
【0063】
<シート体の製造>
前記原料粒子Aの中から第1材料及び第2材料を準備する。
第1材料は、前記原料粒子Aの中の1種からなる、又は、前記原料粒子Aの2種以上を所定の比率で配合し且つ十分に混合したものからなる。
第2材料は、前記原料粒子Aの中の1種からなり且つ前記第1材料とは異なる色彩を呈するもの、又は、前記原料粒子Aの2種以上を所定の比率で配合し且つ十分に混合したものであって前記第1材料とは異なる色彩を呈するものからなる。
第1材料は、製造対象物であるシート体2の第1凝集部分を形成するものであり、第2材料は、製造対象物であるシート体2の第2凝集部分を形成するものである。従って、第1材料は、第1凝集部分と同様な色彩を呈し、第2材料は、第2凝集部分と同様な色彩を呈する。
【0064】
例えば、第1材料は、所定の色彩(例えば、黒色)を呈する1種の原料粒子Aからなり、第2材料は、前記とは異なる色彩(例えば、白色)を呈する1種の原料粒子Aからなる。
例えば、第1材料は、1つの色彩(例えば、赤色)を呈する原料粒子Aの複数ともう1つの色彩(例えば、白色)を呈する原料粒子Aの複数とが所定の比率で配合されたものからなり、第2材料は、もう1つの色彩(例えば、青色)を呈する原料粒子Aの複数ともう1つの色彩(例えば、白色)を呈する原料粒子Aの複数とが所定の比率で配合されたものからなる。
例えば、第1材料は、1つの色彩(例えば、赤色)を呈する原料粒子Aの複数ともう1つの色彩(例えば、白色)を呈する原料粒子Aの複数とが所定の比率で配合され且つ十分に混合されたものからなり、第2材料は、同じ色彩(例えば、赤色)を呈する原料粒子と同じ色彩(例えば、白色)とが前記第1材料とは異なる比率で配合され且つ十分に混合されたものからなる。
【0065】
第1材料及び第2材料を選択準備した後、前記第1材料と、前記第2材料と、前記第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給し、加熱加圧してシート状に成形することにより、シート体を作製する。
前記第1材料と第2材料をコンベア上に供給する際に、容易に且つ略同時に混合材料をコンベア上に供給できることから、互いに独立した第1収納部と第2収納部を有し、出口で前記第1収納部と第2収納部が連通されているホッパーを用いることが好ましい。
前記ホッパーの第1収納部に前記第1材料を入れ、前記ホッパーの第2収納部に前記第2材料を入れ、それらを前記出口から排出する際に、第1材料と第2材料を部分的に合流させて混合材料を生じさせる。このようにすれば、第1材料のみ、第2材料のみ及び混合材料をそれぞれ略同時にコンベア上に供給できる。
【0066】
以下、詳しく説明するが、便宜上、第1材料が、所定の色彩を呈する1種の原料粒子A(第1原料粒子A1という)からなり、第2材料が、前記第1材料とは異なる色彩(例えば、白色)を呈する1種の原料粒子A(第2原料粒子A2という)からなる場合を例に採って説明する。
【0067】
図11は、本発明のシート体2(内装材1)を製造するための製造装置9の概略図を示す。
製造装置9は、コンベア91と、前記コンベア91上に原料粒子Aを供給する供給機8と、加熱装置92と、加圧装置93と、を有する。
コンベア91は、原料粒子Aなどを搬送する搬送装置である(
図11の白抜き矢印は、コンベア91の動く向きを示す)。コンベア91としては、例えば、エンドレスのシートコンベアなどを用いることができる。
コンベア91の水平移動領域には、上流側から順に、供給機8、加熱装置92、加圧装置93、エンボスロール94及び塗布機95が配置されている。供給機8からコンベア91上に供給された原料粒子Aは、加熱加圧されることによってシート状に成形されてシート体2とされた後、さらに、必要に応じてエンボス加工及び表面保護層の形成後、巻き取り機96に巻き取られる。
【0068】
供給機8は、複数の第1原料粒子A1からなる第1材料と、複数の第2原料粒子A2からなる第2材料と、第1材料及び第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア91上に供給できるものが用いられる。
本実施形態では、供給機8は、ホッパー811と、一対の供給ロール82,83と、を有する。ホッパー811に入れられた第1材料(第1原料粒子A1のみからなる第1材料)及び第2材料(第2原料粒子A2のみからなる第2材料)は、ホッパー811の出口から一対の供給ロール82,83の隙間84を通過して、コンベア91上に導入される。
図12は、供給機8の概略図であり、
図13は、供給機8のホッパー811の斜視図であり、
図14は、一対の供給ロール82,83の平面図(同じ形状が連続している中央部を省略している平面図)であり、
図15は、供給ロール83の周面に形成されているセル88の断面図である。
【0069】
図11及び
図12を参照して、ホッパー811は、複数(例えば4つ)の壁面部と、その壁面部の上方に設けられた投入口と、壁面部の下方に設けられた出口と、前記壁面部で囲われた内部に形成され且つ前記投入口及び出口に通じる収納部(空間)と、を有し、さらに、前記壁面部の内側には仕切り壁部8111が設けられている。前記仕切り壁部8111によって、ホッパー811内の収納部は、2つの空間(第1収納部8116及び第2収納部8117に分離されている。収納部は、下方に向かうに従ってその容積が小さくなっている。
具体的には、ホッパー811は、
図13にも示すように、4つの壁面部8112,8113,8114,8115によって囲われた本体部と、本体部の内部に設けられた仕切り壁部8111と、を有する。本体部の上方及び下方には、投入口及び出口が開口されており、本体部の内部は、仕切り壁部8111によって第1収納部8116と第2収納部8117に区画されている。第1収納部8116は、搬送方向下流側に位置し、第2収納部8117は、搬送方向上流側に位置する。
ホッパー811(本体部)は、平面視略長方形状に形成されている。前記略長方形状は、搬送方向と直交する方向(以下、搬送方向と直交する方向を幅方向という)を長軸とする略長方形状である。前記仕切り壁部8111は、幅方向に延在する。
【0070】
図11乃至
図15を参照して、一対のロール82,83(以下、第1ロール82,第2ロール83という場合がある)は、その軸芯がコンベア91の搬送方向と直交するように向けて、ホッパー811の出口側に配置されている。第1及び第2ロール82,83は、所定の隙間84を開けて向かい合って配置されている。第1ロール82は、コンベア91の搬送方向下流側に配置され、第2ロール83は、コンベア91の搬送方向上流側に配置されている。前記第1ロール82と第2ロール83の隙間84の幅は、特に限定されないが、余りに大きいと、ホッパー811内に入れた第1及び第2原料粒子A1,A2(原料粒子A)がロール82,83の無回転時にもコンベア91に落下するおそれがあり、余りに小さいと第1及び第2原料粒子A1,A2(原料粒子A)をコンベア91に落とすことができないおそれがある。かかる観点から、前記隙間84の幅84W(
図14参照)は、例えば、0.5mm~20mmであり、好ましくは、1mm~10mmである。
第1及び第2ロール82,83の上方に配置されたホッパー811の一方の壁面部8112の下端8112aは、第1ロール82の周面に接し又は近接し、ホッパー811のもう一方の壁面部8113の下端8113aは、第2ロール83の周面に接し又は近接している。ホッパー811の仕切り壁部8111の下端8111aは、第1及び第2ロール82,83の隙間84の上方に配置されている。仕切り壁部8111の下端811aから一対の供給ロール82,83の中心を結んだ仮想線Lまでの高さ8111H(
図12参照)は、例えば、0.5cm~15cmである。
【0071】
第1及び第2ロール82,83の周面は、平滑な面であってもよく、或いは、凹凸を有していてもよい。
例えば、第1ロール82は、その周面が平滑な面とされたロールであり、第2ロール83は、その周面が凹凸面とされたロールである。
詳しくは、第1ロール82は、幅方向に延びる金属製の支持軸821(支持軸の延びる方向がロールの軸芯である)と、支持軸821に固定された円筒状のロール本体部822と、を有する。ロール本体部822は、金属製、合成樹脂製、ゴム製などであり、或いは、金属の周囲に合成樹脂又はゴムなどが被覆されているものでもよい。耐久性に優れるので、金属製が好ましい。ロール本体部822の周面は、実質的に凹凸のない平滑面である。
【0072】
第2ロール83は、幅方向に延びる金属製の支持軸831(支持軸の延びる方向がロールの軸芯である)と、支持軸831に固定され且つ周面に複数のセル88が形成されたロール本体部832と、を有する。ロール本体部832は、金属製、合成樹脂製、ゴム製などであり、或いは、金属の周囲に合成樹脂又はゴムなどが被覆されているものでもよい。耐久性に優れるので、金属製が好ましい。複数のセル88が形成されたロール本体部832の周面は、凹凸面である。
【0073】
図15を参照して、セル88は、軸芯に向かって窪んだ凹みである。換言すると、ロール本体部832の周面には、径外方向に開放した筒状壁部87が突設されており、その筒状壁部87で囲われた空間がセル88である。従って、第2ロール83の最外部は、前記筒状壁部87の上端の集合から構成される。なお、セル88が平面視六角形状である場合には、前記筒状壁部87は、六角筒状である。
複数のセル88は、異形同大、同形異大、或いは、異形異大でもよいが、図示例では、同形同大である。異形は、セル88の平面視形状が異なっていることをいい、異大は、セル88の容積が異なっていることをいう。複数のセル88は、ランダムに配置されていてもよいが、通常、規則的に並んで配置される。
セル88の平面視形状は、特に限定されず、図示例のような六角形のほか、その他、図示しないが、正六角形、四角形(長方形、正方形、菱形など)、三角形(正三角形、二等辺三角形など)、円形、楕円形などが挙げられる。
セル88の容積は、特に限定されず、適宜設定でき、例えば、1mm
3~100mm
3である。
セル88の深さは、特に限定されないが、例えば、1mm~5mmである。
【0074】
ホッパー811の投入口から第1収納部8116に、第1原料粒子A1のみからなる第1材料を入れ、第2収納部8117に第2原料粒子A2のみからなる第2材料を入れる。ホッパー811内には、仕切り壁部8111が設けられているので、ホッパー811内で第1材料と第2材料は混じり合うことはない。
なお、異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子からなる第1材料を使用する場合には、事前にそれら2種以上の塩化ビニル樹脂粒子を十分に混合した上で、第1収納部8116に入れる。同様に、異なる色彩に着色された2種以上の塩化ビニル樹脂粒子からなる第2材料を使用する場合には、事前にそれら2種以上の塩化ビニル樹脂粒子を十分に混合した上で、第2収納部8117に入れる。
【0075】
一対の供給ロール82,83は、同じ向きに回転してもよく、或いは、異なる向きに回転してもよい。また、一対の供給ロール82,83は、同じ速度で回転してもよく、或いは、何れか一方が他方に比して速く回転してもよい。
好ましくは、第1ロール82を
図12に示す紙面右回りに回転させ且つ第2ロール83を
図12に示す紙面左回りに回転させることにより、第1及び第2材料(第1及び第2原料粒子A1,A2)がホッパー811の出口からロール82,83の隙間84を通じてコンベア91上に供給される。
また、一対の供給ロール82,83は、一定の回転速度を維持して回転してもよく、回転速度を経時的に変化させてもよい。回転速度を経時的に変化させることによって、搬送方向において第1凝集部分71、混在凝集部分73及び第2凝集部分72が連なった複雑な模様のシート体2を容易に得ることができる。
上述のように、ホッパー811内は仕切り壁部8111によって分離されているので、第1材料と第2材料は、ホッパー811の出口で合流し、ロール82,83の隙間84から排出される。このため、
図12に示すように、第1ロール82に近い側では、複数の第1原料粒子A1のみからなる第1材料が排出され、第2ロール83に近い側では、複数の第2原料粒子A2のみからなる第2材料が排出され、それらの間では第1材料と第2材料が混ざった混合材料(第1原料粒子A1と第2原料粒子A2の混合物)が排出され、それらが略同時にコンベア91に落下して供給される。なお、
図12において、第1材料のみの箇所を右上から左下への斜線で、第2材料のみの箇所を左上から右下への斜線で、第1材料と第2材料が混じっている箇所をドットで表している。
【0076】
特に、第2ロール83はセル88を有するので、第2材料はセル88に入った状態で前記隙間84に移送され、そのセル88に入った第2材料は第1材料と混ざることなく排出される。なお、必要に応じて、第1ロール82もセル88を有するロールを使用してもよい。例えば、セル88を有する第1ロール82と周面が平滑な第2ロール83を使用してもよく、或いは、セル88を有する第1ロール82とセル88を有する第2ロール83を使用してもよい。また、第1ロール82及び第2ロール83ともに、周面が平滑なロールを使用することもできるが、少なくとも一方のロールはセル88を有するものを用いることが好ましい。
【0077】
また、上記では、セルを有するロールとして、
図14に示すように周面全体にセルを有するロールを例示したが、これに限定されず、周面の所々にセルが形成されているロールを用いてもよい。この場合、セルは、周面に規則的に配置されていてもよく、或いは、ランダムに配置されていてもよい。
例えば、
図16及び
図17に示すように、セル88が周面にらせん状に配置されているロール85を用いてもよい。かかるロール85は、第1ロール82及び/又は第2ロール83として用いられる。また、
図18に示すように、セル88が平面視で略>字状に配置されているロール85を用いてもよい。さらに、
図19(a)に示すように、セル88が周面に右周りらせん状と左回りらせん状に配置されているロール85を用いてもよい。また、同図(b)に示すように、セル88が軸芯方向及び周方向に断続的に配置されているロール85を用いてもよい。さらに、同図(c)に示すように、セル88が額縁状に集合するように配置されているロール85を用いてもよい。
図16乃至
図19に示す各変形例のロール85を用いて形成されるシート体2は、
図14のセル付きロールを用いて形成されるシート体2とは異なる模様となる。
【0078】
前記供給機8からコンベア91に略同時に供給される第1材料、第2材料及び混合材料の各量は、仕切り壁部8111の下端8111aの位置(仕切り壁部8111の下端88111aからロール中心を結んだ仮想線Lまでの高さ8111H)、第1及び第2ロール82,83の隙間84の幅、セル88の深さ、第1ロール82の回転速度及び第2ロール83の回転速度によって適宜設定できる。すなわち、仕切り壁部8111の下端8111aの位置、ロール82,83の隙間84の幅、セル88の深さ、第1ロール82の回転速度及び第2ロール83の回転速度から選ばれる少なくとも1つを変えることにより、第1材料、第2材料及び混合材料の各量が変化する。例えば、第1材料の量が、第2材料及び混合材料の各量よりも相対的に多い場合には、表出された第1凝集部分71の面積が比較的大きいシート体2が得られる。第2材料の量が、第1材料及び混合材料の各量よりも相対的に多い場合には、表出された第2凝集部分72の面積が比較的大きいシート体2が得られる。混合材料の量が、第1材料及び第2材料の各量よりも相対的に多い場合には、表出された混在凝集部分73の面積が比較的大きいシート体2が得られる。
【0079】
図11及び
図12を参照して、供給機8から排出された第1材料、混合材料及び第2材料は、コンベア91上に散布されて供給される。散布された第1材料、混合材料及び第2材料がコンベア91上に堆積する。コンベア91の移動先には、ならし具97が配置されており、堆積された第1材料(複数の第1原料粒子A1の塊)、混合材料(複数の第1原料粒子A1及び第2原料粒子A2の混合物の塊)及び第2材料(複数の第2原料粒子A2の塊)が、略均等な厚みで拡がったシート状の集積物98となる。この集積物98は、各原料粒子Aが堆積したものであり、隣接する原料小塊Aは結合しておらず接している状態である。ならし具97を通過した後に形成されるシート状の集積物98の厚みは、製造対象物であるシート体2の厚みより大きければよく、例えば、得ようとするシート体2の1.5倍~2倍である。具体的寸法では、前記集積物98の厚みは、例えば、3mm~4mmである。
前記集積物98を、オーブンなどの加熱装置92にて加熱し、原料小塊Aの塩化ビニル樹脂を溶融させる。なお、
図11の実線矢印は、集積物98及びシート体2の搬送方向を示す。
前記加熱温度は、塩化ビニル樹脂が溶融する温度以上であればよく、例えば、170℃以上であり、好ましくは、180℃以上である。また、余りに温度が高すぎると、原料充填剤微粒子Cが原料樹脂粒子Bの内部に埋没し易くなるおそれがあることから、前記加熱温度は、例えば、210℃以下であり、好ましくは、200℃以下である。
加熱時間は、100秒~3000秒程度が好ましい。
【0080】
加熱後、集積物98を厚み方向に加圧して、シート状に加工する。圧力は、特に限定されず、例えば、1.5kgf/cm2~5kgf/cm2である。加圧は、プレス機を用いてもよいが、図示のような連続的に製造する装置9を用いる場合には、加圧装置93である加圧ロールを用い、一対の加圧ロール間に集積物98を通過させることによって、シート状に加工することが好ましい。
溶融された原料粒子Aが加圧されることにより、原料樹脂粒子Bは不規則に変形して不定形になり、且つ隣接する原料樹脂粒子間において接合する。
その後、自然冷却又は強制冷却を行うことにより、上記のように、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する第1凝集部分71と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ第1凝集部分71とは異なる色彩を呈する第2凝集部分72と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ第1凝集部分71の色彩と第2凝集部分72の色彩が混ざった色彩を呈する混在凝集部分73と、各凝集部分71,72,73のそれぞれに形成された凹部21の表面に付着された充填剤微粒子6と、を有するシート体2が得られる。
【0081】
なお、加熱装置92と加圧装置93の間に、第2の加圧装置(図示せず)を設けてもよい。加熱装置92の後に複数の加圧装置を設けることによって、集積物98を多段階(例えば2段階)で加圧して厚みを段階的に薄くすることができ、集積物98中の塩化ビニル樹脂粒子が極端に変形することを抑制できるので、微細な砂を撒いたような外観を表すシート体2にすることが容易となる。2段階で加圧する場合、例えば、第2の加圧装置で厚み3mm~4mmの集積物98が厚み2.2mm~2.3mmに加圧され、加圧装置93で厚み2mmのシート体に成形される。必要に応じて、第2の加圧装置と加圧装置93の間に、第2の加熱装置(図示せず)を設けてもよい。
また、必要に応じて、エンボスロール94を用いて、シート体2の表面又は/及び裏面に、エンボスを形成してもよい。前記エンボスとしては、平滑な鏡面エンボス、梨地模様などの凹凸エンボスなどが挙げられる。
また、必要に応じて、シート体2の表面に、塗布機95を用いて表面保護層を形成してもよい。塗布機95は、表面保護層形成材料をシート体2の表面に塗布し、この材料を固化させるものであり、例えば、紫外線硬化型樹脂などの電離線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成する場合には、前記電離線硬化型樹脂を塗布する塗布部と、その樹脂を硬化させる紫外線などの光線照射部と、を有する。
得られたシート体2は、巻き取り機96に巻き取られ、製造装置9から分離される。
【0082】
[内装材の効果及び用途]
本発明の内装材1(シート体2)は、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ所定の色彩を呈する第1凝集部分71と、複数の塩化ビニル樹脂粒子が凝集して表出され且つ前記第1凝集部分71とは異なる色彩を呈する第2凝集部分72と、を有するので、全体的に見ると雲状のような外観を有する。さらに、前記第1凝集部分と第2凝集部分が混ざった色彩を呈する混在凝集部分73を有する場合には、特に、雲状模様に見えるようになる。前記雲状模様とは、空に広がる雲のようなまだら模様をいう。具体的には、第1凝集部分71と第2凝集部分72のそれぞれは、表出する色彩が異なって視認される。各凝集部分によって、濃淡や色ムラ、模様の変化が生じて、雲のようなまだら模様となる。
【0083】
また、本発明の内装材1(シート体2)は、第1凝集部分71及び第2凝集部分72(好ましくは、さらに、混在凝集部分73)のそれぞれに形成された凹部21の表面に充填剤微粒子6が付着されているので、凝視して見ると、恰も微細な砂を撒いたような立体的な外観(砂目調模様)を有する。この砂目調模様は、内装材1に表出している複数の塩化ビニル樹脂粒子に起因するものであり、凝視して見ると塩化ビニル樹脂粒子一粒の色彩を認識することができる。一方で、本発明の内装材は、全体的に見ると雲状のような外観を有しているため、視野を広げていくと次第に塩化ビニル樹脂粒子一粒一粒の色彩が混ざり合って雲状模様に転じていくという視覚効果が得られる。かかる内装材1は、従来にない斬新なデザインである。
【0084】
本発明の内装材1は、建築物の床面、壁面及び天井面などの施工面に施工される。内装材の施工面に対する取り付け方法は、特に限定されず、例えば、接着剤を用いて内装材の裏面を施工面に貼り付けることなどが挙げられる。
本発明の内装材1は、新設の施工面に施工してもよく、或いは、リフォームなどの既存の施工面に施工してもよい。
本発明の内装材1は、床材、壁材、天井材などに使用でき、特に、床材、壁材として好適に使用できる。
シート体2は、内装材の意匠を構成するが、所定の厚みを有し、靴底などで摩耗しても同様の模様が現れるので、耐久性に優れ、床材として最も好適に使用できる。
【0085】
以下、内装材の製造方法の第2実施形態などを説明するが、その説明に於いては、主として上述の実施形態と異なる構成及び効果について説明し、同様の構成などについては、用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある(第3実施形態以降も同様である)。
【0086】
[内装材の製造方法の第2実施形態]
第2実施形態は、ホッパーの様々な適用例に関する。
上記第1実施形態では、ホッパー811の収納部には、仕切り壁部8111が設けられているが、
図20に示すように、仕切り壁部が設けられていないホッパー812を用いてもよい。この場合、下流側から第1材料を前記ホッパー812に投入し、上流側から第2材料を前記ホッパー812に投入することにより、第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給できる。特に、同図に示すように、第1材料の投入具8121と第2材料の投入具8122を向かい合わせ、それぞれの投入具8121,8122から第1材料及び第2材料を出しながらホッパー812の幅方向に同期して移動させることが好ましい(投入具8121,8122の移動方向を太矢印で示す)。なお、投入具を二点鎖線で示す(以下、他の図においても、投入具は二点鎖線で示される)。この場合、前記投入具8121,8122を、ホッパー812の幅方向全体に亘って往復させながら、第1材料及び第2材料をホッパー812に投入することが好ましい。
前記投入具8121,8122としては、フレキシブルホースなどが挙げられる。このように第1材料及び第2材料を同期しながら仕切り壁部を有さないホッパー812に投入することにより、
図21に示すように、ホッパー812内において、第1材料の全部と第2材料の全部が混じり合うことなく、ホッパー812の収納部8124の上流側に第1材料を充填し、ホッパー812の収納部8124の下流側に第2材料を充填できる。ホッパー812内に仕切り壁部が存在しないので、第1材料と第2材料が混ざる割合を比較的大きくできる。また、各投入具8121,8122からの投入量を変化させることによって、ホッパー812内に占める第1材料及び第2材料の割合を変えることができ、より複雑な模様のシート体2を容易に得ることができる。
【0087】
なお、
図21において、第1材料のみの箇所を右上から左下への斜線で、第2材料のみの箇所を左上から右下への斜線で、第1材料と第2材料が混じっている箇所をドットで表している。
前記ホッパー812の上方部では、第1材料と第2材料が混じっている箇所が少ないが、下方(出口)に向かうに従って混合材料が占める容積が大きくなり、ホッパー812の形状に従いホッパー812の出口付近で混合材料の占める容積が小さくなり、第1材料及び第2材料が完全には混じり合わない状態で供給ローラ82,83を通じてコンベア91に供給される。
【0088】
また、上記第1実施形態では、幅方向に延在する仕切り壁部8111によってホッパー811の収納部が仕切られているが、例えば、
図22に示すように、搬送方向に延在する仕切り壁部8132を有するホッパー813を用いてもよい。このホッパー813にあっては、ホッパー813内が幅方向において複数の収納部8134,…に区画される。さらに、同図に示すように、幅方向に延在する仕切り壁部8131と搬送方向に延在する仕切り壁部8132を有するホッパーにあっては、幅方向及び搬送方向において複数の収納部8134,…に区画される。各収納部8134には、各々に投入具が設けられ第1材料と第2材料のいずれかが投入される。幅方向に隣接する収納部8134に、1つの材料のみ、すなわち第1材料又は第2材料を充填してもよく、或いは、第1材料と第2材料を交互に充填してもよい。例えば、同図に示すように、1つおきの収納部8134に第1材料を投入し且つ前記第1材料を入れた収納部の隣の収納部8134に第2材料を投入することにより、第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給できる。
図22の符号8135は、第1材料の投入具を示し、符号8136は、第2材料の投入具を示す。
なお、図示のように、搬送方向において隣接する2つの収納部8134(幅方向に延在する仕切り壁部8131を介して隣接する2つの収納部8134)の一方に第1材料を投入し且つもう一方に第2材料を投入することが好ましいが、搬送方向において隣接する2つの収納部8134のうち、一部の2つの収納部8134に、第1材料又は第2材料のみを投入してもよい。このようにすると、比較的大面積の第1凝集部分71(又は第2凝集部分72)が幅方向において点在したシート体2を得ることも可能である。
【0089】
また、1つのホッパーの内部に仕切り壁部を設ける場合に限定されず、例えば、
図23に示すように、独立した複数のホッパー814(例えば、逆円錐台状や漏斗状のホッパー)を幅方向に複数並べてもよく、及び/又は、独立した複数のホッパー814を搬送方向に複数並べてもよい。
図23符号8145は、第1材料の投入具を示し、符号8146は、第2材料の投入具を示す。このように複数のホッパー814を並べることによって、各ホッパー814の高さを変える、ホッパー列(幅方向に隣接する複数のホッパー814の列)を搬送方向において互い違いに並べるなど、工場内の設備の自由度を高めることができ、より複雑な模様のシート体2を得ることができる。また、独立した複数のホッパーを用いる場合には、ホッパーの配列や個数、大きさなどを自由に変更することができるので、同一の製造ラインで異なる模様のシート体2を得ることも容易となる。
【0090】
さらに、
図24に示すように、複数の逆円錐台状(又は漏斗状)のホッパー815を複数幅方向に並べ、その各ホッパー815に第1材料及び第2材料を投入してもよい。好ましくは、それぞれ独立した投入具8151,8152を向かい合わせ、投入具8151から第1材料をホッパー815内に投入し且つ前記第1材料の投入位置から離隔した位置にセットした投入具8152から第2材料をホッパー815内に投入すると共に、ホッパー815をその軸周りに緩やかに回転させる(回転方向を矢印で示す)。このようにすると、ホッパー815内において第1材料と第2材料がらせん状に積み重なり、第1材料と第2材料が混ざらない箇所を有しつつ、部分的に第1材料と第2材料が混ざった混合材料を生じ易くなる。このため、第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、を幅方向及び搬送方向に変化を付けながらコンベア上に供給することができる。これによって、幅方向と搬送方向の2方向において、第1凝集部分71、混在凝集部分73及び第2凝集部分72が連なった複雑な模様のシート体2を得ることができる。また、ホッパー815の回転速度を経時的に変化させることによって、搬送方向においてさらに変化した模様のシート体2を容易に得ることができる。
【0091】
さらに、
図25に示すように、ホッパー811が補助的なブレンダー816を具備していてもよい。前記ブレンダー816は、例えば、幅方向に延びる軸8161と、その軸8161の周りから径外方向に突設された翼部8162と、を有する。ブレンダー816は、例えば、ホッパー811の出口と供給ロール82,83の間に配置される。ブレンダーは、
図24に示す矢印にように、軸周りに回転する。ブレンダー816は、第1材料と第2材料が完全に混合されて均質にならないように、ゆっくりとした速度で回転する。ホッパー811の出口から出た第1材料及び第2材料は、ブレンダーによって緩やかにブレンドされた後、供給ロール82,83を通過してコンベア91上に供給される。ブレンダー816を用いることによって、第1材料と第2材料が混ざる割合を比較的大きくすることができる。また、ブレンダー816の回転速度を経時的に変化させることによって、搬送方向において第1凝集部分71、混在凝集部分73及び第2凝集部分72が連なった複雑な模様のシート体2を容易に得ることができる。
【0092】
なお、本実施形態において例示した様々なホッパー812乃至815を用いた場合には、供給ロール82,83を省略することも可能である。供給ロール82,83を省略した場合でも、ホッパーを利用して、第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア上に供給できる。もっとも、本実施形態のホッパー812乃至815を用いる場合にも、供給機8は、供給ロール82,83を有することが好ましい。
【0093】
[内装材の製造方法の第3実施形態]
第3実施形態は、受け板を用いて材料を供給する方法に関する。
上記実施形態では、コンベア上に第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれ供給する方法として、各種のホッパー811乃至815及び/又は供給ロール82,83を用いているが、例えば、
図26及び
図27に示すように、受け板86を用いてもよい。
図27は、
図26のホッパー812及び受け板86の斜視図である。
【0094】
受け板86は、ホッパー812の下方に配置されている。なお、
図26及び
図27では、平面視略長方形状で且つ仕切り壁部を有さないホッパー812を用いているが、他のホッパーを適宜用いてもよい。
例えば、第1材料を入れるホッパー812の下方に、第1受け板861が配置され、第2材料を入れるホッパー812の下方に第2受け板862が配置されている。必要に応じて、第3受け板863を配置してもよい。各受け板861乃至863は、上方から下方に下がる傾斜状に配置されている。
下方に傾斜した第1受け板861の後方部上にホッパー812の出口が位置するように、ホッパー812と第1受け板861が配置されている。下方に傾斜した第2受け板862の後方部上にホッパー812の出口が位置するように、ホッパー812と第2受け板862が配置されている。第1受け板861の先端縁がホッパー812と第2受け板862の先端縁の間上に位置するように、第1受け板861は配置されている。また、第2受け板862の先端縁が第2受け板862の中途部上に位置するように、第2受け板862は配置されている。
【0095】
ホッパー812の出口から出た第1材料は、第1受け板861上に載り、第1受け板861の傾斜に従いその先端縁へと流れていき、ホッパー812の出口から出た第2材料は、第2受け板862上に載り、第2受け板862の傾斜に従いその先端縁へと流れていく。第1材料は、第1受け板861の先端縁から第2受け板862上に落下し、第2材料と共に第2受け板862の先端縁へと流れ、第3受け板863上に落下し、さらに、第3受け板863の先端縁からコンベア上に落下する。第2受け板862や第3受け板863上で、第1材料と第2材料が混じる箇所と、第1材料のみの箇所と、第2材料のみの箇所が生じるので、第1材料と、第2材料と、第1材料と第2材料が混ざった混合材料と、をそれぞれコンベア91上に供給できる。
【0096】
第1受け板861、第2受け板862及び第3受け板863の各傾斜角度は、適宜設定することができる。受け板86は、第1材料及び第2材料を自重でその表面上を滑り落とさせることにより、両材料を移動させながら部分的な混合を行うものである。このため、各受け板86は、その傾斜角度が大きくなるに従って、第1材料及び第2材料の移動速度が速くなり、第1材料と第2材料が混ざる割合が小さくなる。反対に、各受け板86は、その傾斜角度が小さくなるに従って、第1材料及び第2材料の移動速度が遅くなり、第1材料と第2材料が混ざる割合が大きくなる。このように、傾斜角度の設定を変えることによって、シート体2の混在凝集部分73の面積を小さく又は大きくすることができる。
なお、第1受け板861、第2受け板862及び第3受け板863の傾斜角度は、全て同じでもよく、或いは、一部又は全てが異なっていてもよい。
【0097】
材料の移動を促進するため、必要に応じて、少なくとも1つの受け板86は、振動可能であってもよい。振動は、(a)左右への振動(幅方向に沿った往復振動)、(b)前後への振動(搬送方向に沿った往復振動)、(c)上下への振動(幅方向及び搬送方向と直交する方向に沿った往復振動)、(d)左右、前後及び上下から選ばれる2つ以上が組み合わされた振動、が挙げられる。
好ましくは、第1受け板861、第2受け板862及び第3受け板863は、いずれも振動可能であり、より好ましくは、前後へ振動可能である。
また、振動と停止を繰り返す、或いは、振動の強弱を経時的に変化させることによって、搬送方向において第1凝集部分71、混在凝集部分73及び第2凝集部分72が連なった複雑な模様のシート体2を容易に得ることができる。
【0098】
また、
図28に示すように、受け板86上に、整流凸部869が突設されていてもよい。前記整流凸部869は、受け板86上において材料の流れを分岐させ、材料の混ざり方に変化を与えることができる。具体的には、整流凸部869の直下では材料の量が減少し、整流凸部869の両側部では材料の量が増大する。また、整流凸部869は、受け板86上を流れる材料の移動速度を遅くさせると共に整流凸部869の両側部近辺で材料の流れに乱れを生じさせるので、混合を促進することができる。
【0099】
[内装材の製造方法の第4実施形態]
第4実施形態は、コンベア上に供給された材料の表面を粗面化する方法に関する。
図29に示すように、ホッパー及び供給ロール82,83を通じてコンベア91上に散布された第1材料、混合材料及び第2材料はコンベア91上に堆積する。コンベア91上の材料の表面(集積物99の表面)に、粗面化処理部89を接触させることにより、コンベア91上の材料の表面を小さな凹凸状に形成する。
粗面化処理部89は、特に限定されず、例えば、
図29及び
図30に示すように、周面の放射方向に凸部8911が突設された粗面化ロール891などを用いることができる。凸部8911としては、例えば、ゴム製のへら、ブラシ(刷毛)などを用いることができる。粗面化処理部89の下流側には、ならし具97(例えば、ならしロール)が配置されている。粗面化ロール891の回転方向は、特に限定されないが、
図29に示す例では、紙面で反時計周りに回転する。
図30(b)に示すように、凸部8911は、板状に形成されており、この凸部8911が周囲に突設された粗面化ロール891によって、コンベア91上の材料の表面を部分的に跳ね除けることができる。このようにすると、模様がなだらかに変化する部分を複数形成でき、これがアクセントとなってより複雑な模様を有するシート体2を得ることができる。
【0100】
また、
図31に示すように、先端部が湾曲した凸部8921を有する粗面化ロール892を使用してもよい。前記凸部8921は、側面視で湾曲形状に形成されており、コンベア91上の材料の表面をかき取り且つすくい上げることができる。これによって、コンベア91上の材料が削り取られたようになり、模様が急激に変化する部分を複数形成でき、これがアクセントとなって、より複雑な模様を有するシート体2を得ることができる。
【0101】
また、
図32は、粗面化処理部89として、上下動する叩き部893が用いられた例である。叩き部893は、集積物99の表面を軽く叩くように、上下動する。叩き部893の先端部(集積物99に接する先端部)には、ブラシなどが設けられる。叩き部893は、コンベア91上の材料の表面を局所的に混ぜるので、より複雑な模様を有するシート体2を容易に得ることができる。例えば、コンベア91上の材料の表面を叩き部893で軽く叩くと、材料が適度にばらけ、ぼかし調の模様を形成できる。
本実施形態のように、コンベア91上の材料を加熱する前に、その材料の表面を粗面化することにより、自然な起伏やザラつき感を表面に有する内装材1(シート体2)を得ることができる。
【0102】
[内装材の製造方法の第5実施形態]
第5実施形態は、供給ロールの様々な適用例に関する。
上記第1実施形態において、第1ロール82(一方の供給ロール)は周面が平滑なロールで、第2ロール83(もう一方の供給ロール)は周面が凹凸面とされたロールを具体的に図示したが、一方の供給ロール82,83は、いずれも周面が凹凸面されたロールであってもよく、或いは、いずれも周面が平坦面されたロールであってもよい。周面が平滑な供給ロールを用いることにより、第1材料及び第2材料が混合された混合材料の箇所が比較的小さくなり、変化の緩やかな雲状模様を有するシート体2を得ることができる。
また、上記第1実施形態においては、周面が凹凸面された供給ロール83の一例として、複数のセル88が形成されたロールを例示したが、これに限定されず、例えば、
図33に示すような供給ロール851を用いてもよい。この供給ロール851は、凸部8511と凹部8512が周方向に交互に配置されている。凸部8511は、軸芯方向に連続的に延在する長状凸部であり、凹部8512は、軸芯方向に連続的に延在する長状凹部である。
図33に示す供給ロール851は、軸芯方向において凹部8512が連続している点で、軸芯方向において凹部(セル88)が不連続である
図14に示す供給ロール83と異なっている。
図33に示すような供給ロール851を使用した場合、
図14に示す供給ロール83を使用した場合に比して、幅方向の模様の変化が緩やかなシート体2を得ることができる。また、前記供給ロール851の凸部8511の頂部及び凹部8512の底部は、
図33(b)に示す側面視で、尖状(略三角形状)に形成されているが、これに限られず、凸部8511の頂部及び凹部8512の底部が、いずれも側面視で弧状に形成されていてもよく、凸部8511の頂部及び凹部8512の底部のうち一方が側面視で弧状に形成されていてもよい。凸部8511の頂部及び凹部8512の底部の少なくとも一方が弧状に形成されていることにより、材料のコンベア上への供給量が緩やかに変動する。
【0103】
内装材の製造方法において、第1乃至第5実施形態から選ばれる2つ以上の構成(実施形態)を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記第1乃至第5実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を示し、本発明をさらに詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるわけではない。
【0105】
[使用材料]
<塩化ビニル樹脂(原料樹脂粒子)>
懸濁重合法による粒状の塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ株式会社製の商品名「ZEST 800Y」。平均重合度:760~860、K値:60.5~63.1、見掛け密度:0.53~0.63(カタログ値))。塩化ビニル樹脂の粒径は、概ね100μm~300μmのものを使用した。
図34は、使用した塩化ビニル樹脂のSEM写真(600倍拡大)を示す。
<充填剤>
粒状の炭酸カルシウム(三共製粉株式会社製の商品名「エスカロン#200」)。
図35は、使用した炭酸カルシウムのSEM写真(1000倍拡大)を示す。
<可塑剤>
DOP(汎用品)。
<着色剤>
赤色トナー(日弘ビックス株式会社製)。
黄色トナー(日弘ビックス株式会社製)。
青色トナー(日弘ビックス株式会社製)。
白色トナー(日弘ビックス株式会社製)。
黒色トナー(日弘ビックス株式会社製)。
【0106】
[原料粒子の準備]
<赤色原料粒子の作製>
標準状態下で、前記塩化ビニル樹脂100重量部に対し、20重量部の充填剤、35重量部の可塑剤、2重量部の赤色トナーを、ミキサーに投入し、外部から加熱しないで、約10分間混合した。混合開始から昇温し始め、概ね10分後に約120℃になった。
このようにして、赤色を呈する原料粒子(赤色原料粒子)を作製した。
図36は、作製した原料粒子のSEM写真(600倍拡大)を示す。
図36において、小さな粒状のものが、粒状の炭酸カルシウムであり、それが付着しているものが、粒状の塩化ビニル樹脂である。
【0107】
<黄色原料粒子の作製>
赤色トナーを黄色トナーに換えたこと以外は、上記赤色原料粒子の作製と同様にして、黄色を呈する原料粒子(黄色原料粒子)を作製した。
【0108】
<青色原料粒子の作製>
赤色トナーを青色トナーに換えたこと以外は、上記赤色原料粒子の作製と同様にして、青色を呈する原料粒子(青色原料粒子)を作製した。
【0109】
<白色原料粒子の作製>
赤色トナーを白色トナーに換えたこと以外は、上記赤色原料粒子の作製と同様にして、白色を呈する原料粒子(白色原料粒子)を作製した。
【0110】
<黒色の原料粒子の作製>
赤色トナーを黒色トナーに換えたこと以外は、上記赤色原料粒子の作製と同様にして、黒色を呈する原料粒子(黒色原料粒子)を作製した。
【0111】
[実施例1]
白色原料粒子、黒色原料粒子、黄色原料粒子及び青色原料粒子を、2:5:2:1の重量割合で混ぜ合わせ、これを第1材料とした。
白色原料粒子、黒色原料粒子、赤色原料粒子及び黄色の原料粒子を、8:0.5:0.5:1の重量割合で混ぜ合わせ、これを第2材料とした。
図11乃至
図15に示すような供給機8を有する製造装置9を用いてシート体を成形した。
【0112】
具体的には、上記第1材料をホッパー811の第1収納部8116に入れ、第2材料を第2収納部8117に入れ、第1ロール82及び第2ロール83を回転させることにより、それらの隙間から第1材料、第2材料及び混合材料をエンドレスシートコンベア91上に落とし、コンベア91の移送によってならし具97の下を通過させることによって厚み約3.8mmのシート状の集積物を形成した。コンベアの移送により、前記集積物を、200℃の熱風循環オーブンで5分間加熱溶融させた後、室温下の加圧ロールに通して概ね3kgf/cm2の圧力を加えて圧延することにより、厚み2mmのシート体を作製した。
なお、コンベアの搬送速度は、約1m/分とした。
【0113】
<実施例1で使用した供給機8の仕様>
第1ロール82:平滑な周面を有する、直径470mm、軸長700mmのロール。
第2ロール83:周面の全体に亘って平面視六角形のセル88(セル容積:約20mm3、セルの深さ:1.0mm)が形成されている、直径470mm、軸長700mmのロール。
第1ロール82と第2ロール83の隙間84の幅84W:3.0mm。
仕切り壁部8111の下端8111aから仮想線Lまでの高さ8111H:15cm。
【0114】
[実施例2]
白色原料粒子、黒色原料粒子及び赤色原料粒子を、1:6:3の重量割合で混ぜ合わせ、これを第1原料とした。
白色原料粒子、黒色原料粒子及び青色原料粒子を、8:0.5:1.5の重量割合で混ぜ合わせ、これを第2原料とした。
前記第1原料及び第2原料を使用したこと、及び、仕切り壁部8111の下端8111aの高さ8111Hを8cmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み2mmのシート体を作製した。
【0115】
[実施例3]
白色原料粒子のみを第1材料とした。黒色原料粒子のみを第2材料とした。
前記第1原料及び第2原料を使用したこと、及び、仕切り壁部8111の下端8111aの高さ8111Hを6cmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み2mmのシート体を作製した。
【0116】
図37は、実施例1で得られたシート体の表面の写真(拡大なし)を示し、
図38は、実施例1のシート体の表面のSEM写真(600倍拡大)を示す。
図39は、実施例2で得られたシート体の表面の写真(拡大なし)を示し、
図40は、実施例3で得られたシート体の表面の写真(拡大なし)を示す。なお、
図37、
図39及び
図40の紙面上下方向が、シート体の製造時の搬送方向である。
図37、
図39及び
図40のように、シート体の表面には、恰も雲状のような模様が表れていた。これらのシート体の表面に目を近づけて、任意の箇所を凝視すると、複数の塩化ビニル樹脂粒子に起因する砂目のような微細な点状が表れていた。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の内装材は、一般住宅、オフィスビル、ホテル、マンション、商業施設などの各種建築物の床材、壁材、天井材などに使用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 内装材
2 シート体
21 凹部
5,51,52 着色された塩化ビニル樹脂粒子
6 充填剤微粒子
71 第1凝集部分
72 第2凝集部分
73 混在凝集部分
A 原料粒子
A1 第1原料粒子
A2 第2原料粒子
B 原料粒子を構成する塩化ビニル樹脂粒子
C 原料粒子を構成する充填剤微粒子