(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20231214BHJP
B24B 23/02 20060101ALI20231214BHJP
B24B 55/05 20060101ALI20231214BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20231214BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B25F5/02
B24B23/02
B24B55/05
B24B49/10
B25F5/00 A
B25F5/00 C
(21)【出願番号】P 2020071242
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸
(72)【発明者】
【氏名】小辻 孝文
(72)【発明者】
【氏名】大谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 史佳
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180083(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272494(US,A1)
【文献】国際公開第2017/051893(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B24B 23/02
B24B 55/05
B24B 49/10
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具であって、
第1の付属品と、
前記第1の付属品を着脱可能に選択的に取り付けるための少なくとも2つの第1の取付部と、
前記少なくとも2つの第1の取付部に共通して設けられた単一の第1の中間部材であって、前記少なくとも2つの第1の取付部のうちから任意に選択される1つの第1の取付部に前記第1の付属品が取り付けられたときに該第1の付属品に直接的または間接的に押圧される少なくとも1つの被押圧部を有し、該少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに変位されるように構成された単一の第1の中間部材と、
前記第1の中間部材が変位されたことを検知するように構成された単一の第1のセンサと
を備える工具。
【請求項2】
請求項1に記載の工具であって、
前記第1の中間部材を、前記第1の付属品に直接的または間接的に押圧されていないときの位置に向けて付勢する付勢部材を備える
工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の工具であって、
前記少なくとも1つの被押圧部は、前記第1の付属品が直接的または間接的に前記少なくとも1つの被押圧部を押圧する押圧方向とは異なる方向に前記第1の中間部材が変位するように、前記押圧方向に対して角度付けられた被押圧面を備える
工具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の工具であって、
前記第1の中間部材は、環または部分的な環の形状を有する第1の中間部材本体を備え、
前記少なくとも2つの第1の取付部は、前記環または前記部分的な環の周方向に互いに離間した位置にそれぞれ配置されている
工具。
【請求項5】
請求項4に記載の工具であって、
前記少なくとも1つの被押圧部は、前記少なくとも2つの第1の取付部の位置にそれぞれ対応する少なくとも2つの位置にそれぞれ設けられた
工具。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の工具であって、
前記少なくとも1つの被押圧部は、前記第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出している
工具。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の工具であって、
前記第1の中間部材は、前記少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに前記周方向に回転するように構成された
工具。
【請求項8】
少なくとも請求項2を従属元に含む請求項7に記載の工具であって、
前記第1の中間部材本体は、前記周方向に沿って部分的に切り欠かれた切欠部を備え、
前記付勢部材は、前記切欠部内に収容された
工具。
【請求項9】
請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の工具であって、
前記第1の中間部材は、
傾動軸線を有し、
前記少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに前記傾動軸線を中心に傾動するように構成された
工具。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の工具であって、
前記第1の中間部材は、第1の磁石と、該第1の磁石を保持する磁石保持部と、を備え、
前記第1のセンサは、前記第1の磁石の変位を検知する磁気センサである
工具。
【請求項11】
少なくとも請求項7を従属元に含む請求項10に記載の工具であって、
前記磁石保持部は、前記第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出している
工具。
【請求項12】
請求項11に記載の工具であって、
前記磁石保持部は、前記周方向における前記少なくとも1つの被押圧部とは異なる位置に設けられた
工具。
【請求項13】
少なくとも請求項9を従属元に含む請求項10に記載の工具であって、
前記傾動軸線は、前記第1の中間部材本体よりも径方向外側に位置し、
前記第1の磁石は、前記第1の中間部材本体よりも径方向外側、かつ、第1の中間部材本体を間に挟んで前記傾動軸線と略対向する位置に配置された
工具。
【請求項14】
請求項13記載の工具であって、
前記磁気センサおよび前記第1の磁石は、前記傾動軸線が延在する方向に前記磁気センサと前記第1の磁石とが対面するように配置された
工具。
【請求項15】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の工具であって、
前記第1のセンサはマイクロスイッチであり、
前記第1の中間部材は、変位されたときに前記マイクロスイッチに接触して該マイクロスイッチをオン状態にするための接触部を備える
工具。
【請求項16】
少なくとも請求項5を従属元に含む請求項15に記載の工具であって、
前記接触部は、前記周方向における前記少なくとも1つの被押圧部とは異なる位置に設けられた
工具。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載の工具であって、
第2の付属品と、
前記第2の付属品を着脱可能に取り付けるための第2の取付部と、
前記第2の取付部に前記第2の付属品が取り付けられたときに該第2の付属品に直接的または間接的に押圧されて、枢動するように構成された第2の中間部材と
前記第2の中間部材が枢動したことを検知するように構成された第2のセンサと
を備える
工具。
【請求項18】
請求項17に記載の工具であって、
前記第2の中間部材は第2の磁石を備え、
前記第2のセンサは、前記第2の磁石の変位を検知するように構成された磁気センサである
工具。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の工具であって、
電動モータと、
前記電動モータの駆動を制御するように構成されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記少なくとも2つの第1の取付部のうちのいずれかに前記第1の付属品が取り付けられたことが前記第1のセンサによって検知されることである第1の条件と、前記第2の取付部に前記第2の付属品が取り付けられたことが前記第2のセンサによって検知されることである第2の条件と、の両方が満たされたときに、前記電動モータの駆動を許可し、
前記第1の条件および前記第2の条件のうちの少なくとも一方が満たされないときは、前記電動モータの駆動を禁止する
工具。
【請求項20】
請求項19に記載の工具であって、
前記電動モータのモータシャフトを回転可能に支持する軸受と、
前記軸受を収容するとともに支持する円筒部を有するハウジングと
を備え、
前記第1の中間部材は、前記第1の中間部
材が前記円筒部の外周を取り囲むように配置された
工具。
【請求項21】
請求項20に記載の工具であって、
前記工具は、前記電動モータによって回転されるように構成された先端工具を備えるグラインダであり、
前記第1の付属品は、サイドグリップであり、
前記第2の付属品は、前記先端工具を部分的に覆うカバーである
工具。
【請求項22】
グラインダであって、
電動モータと、
前記電動モータによって回転されるように構成された先端工具と、
サイドグリップと、
前記サイドグリップを着脱可能に選択的に取り付けるための少なくとも2つの第1の取付部と、
前記少なくとも2つの第1の取付部に共通して設けられた単一の第1の中間部材であって、環または部分的な環の形状を有する第1の中間部材本体と、前記少なくとも2つの第1の取付部の位置にそれぞれ対応する少なくとも2つの位置に配置され、前記少なくとも2つの第1の取付部のうちから任意に選択される1つの第1の取付部に前記サイドグリップが取り付けられたときに該サイドグリップに直接的または間接的に押圧される少なくとも2つの被押圧部と、を有し、該少なくとも2つの被押圧部のいずれかが押圧されたときに前記環または前記部分的な環の周方向に回転されるように構成された単一の第1の中間部材と、
前記第1の中間部材を、前記サイドグリップに直接的または間接的に押圧されていないときの位置に向けて付勢する付勢部材と、
前記第1の中間部材が回転されたことを検知するように構成された単一の第1のセンサと
を備え、
前記少なくとも2つの第1の取付部は、前記周方向に互いに離間した位置にそれぞれ配置されており、
前記少なくとも2つの被押圧部の各々は、
前記サイドグリップが直接的または間接的に該被押圧部を押圧する押圧方向とは異なる方向に前記第1の中間部材が回転されるように、前記押圧方向に対して角度付けられた被押圧面を備え、
前記第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出している
工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属品を着脱可能に取り付けられるように構成された工具に関する。
【背景技術】
【0002】
工具には、各種の付属品が着脱可能に取り付けられることがある。例えば、回転駆動するように構成された先端工具を有するグラインダでは、着脱可能な付属品としてサイドハンドルが用意されている。サイドハンドルは、ユーザが一方の手でグラインダのハンドルを把持するときに他方の手で把持するために取り付けられる。
【0003】
このようなグラインダでは、付属品が装着されていない状態でグラインダが使用されることを防止するという要望がある。例えば、下記の特許文献1は、サイドハンドルが装着されているか否かを検知するセンサを備えるグラインダを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/272494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グラインダは、通常、複数箇所に対して選択的にサイドハンドルを取り付け可能に構成される。サイドハンドルの取付箇所ごとに個別のセンサを設けると、部品数やコストの増加につながる。特に、大型のグラインダは3つの取付箇所を有しているので、この問題は顕著になる。このような問題は、グラインダに限らず、複数箇所のいずれかに付属品が選択的に取り付けられたか否かを検知する任意の工具に共通する。このため、複数箇所に対して選択的に付属品を取り付け可能に構成された工具において、当該付属品の取付けの有無を検知するためのセンサの数を低減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、工具が提供される。この工具は、第1の付属品と、第1の付属品を着脱可能に選択的に取り付けるための少なくとも2つの第1の取付部と、少なくとも2つの第1の取付部に共通して設けられた単一の第1の中間部材であって、少なくとも2つの第1の取付部のうちから任意に選択される1つの第1の取付部に第1の付属品が取り付けられたときに第1の付属品に直接的または間接的に押圧される少なくとも1つの被押圧部を有し、少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに変位されるように構成された単一の第1の中間部材と、第1の中間部材が変位されたことを検知するように構成された単一の第1のセンサと、を備えている。
【0007】
この工具によれば、少なくとも2つの第1の取付部のいずれに第1の付属品が取り付けられても、少なくとも2つの第1の取付部に共通して設けられた単一の第1の中間部材が変位する。このため、この第1の中間部材の変位を単一の第1のセンサで検知することができる。つまり、付属品の取付けの有無を検知するためのセンサを少なくとも2つの第1の取付部の各々に対して個別に設ける必要がないので、センサの数を低減できる。
【0008】
本発明の一態様によれば、工具は、第1の中間部材を、第1の付属品に直接的または間接的に押圧されていないときの位置に向けて付勢する付勢部材を備えていてもよい。この態様によれば、第1の付属品が取り外されたときには、第1の中間部材は、付勢部材の付勢力によって、変位前の位置に自動的に戻ることができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの被押圧部は、第1の付属品が直接的または間接的に少なくとも1つの被押圧部を押圧する押圧方向とは異なる方向に第1の中間部材が変位するように、押圧方向に対して角度付けられた被押圧面を備えていてもよい。この態様によれば、第1の中間部材を所望の方向に容易に変位させることができる。
【0010】
本発明の一態様によれば、第1の中間部材は、環または部分的な環の形状を有する第1の中間部材本体を備えていてもよい。少なくとも2つの第1の取付部は、環または部分的な環の周方向に互いに離間した位置にそれぞれ配置されていてもよい。この態様によれば、第1の中間部材は、少なくとも2つの第1の取付部の配置に対応した形状を有しているので、簡単な構成で、少なくとも2つの第1の取付部に対して単一の第1の中間部材を共用化できる。
【0011】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの被押圧部は、少なくとも2つの第1の取付部の位置にそれぞれ対応する少なくとも2つの位置にそれぞれ設けられてもよい。この態様によれば、少なくとも1つの被押圧部は必要な箇所のみに配置されるので、少なくとも1つの被押圧部を、連続的な1つの部分として形成する場合と比べて、少なくとも1つの被押圧部をコンパクト化できる。
【0012】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの被押圧部は、第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出していてもよい。この態様によれば、第1の付属品に直接的または間接的に押圧される形状を形成しやすい。また、第1の中間部材本体を小径化できる。
【0013】
本発明の一態様によれば、第1の中間部材は、少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに周方向に回転するように構成されてもよい。この態様によれば、第1の中間部材を変位させやすい。また、第1の中間部材の回転軸線が延在する方向に第1の中間部材の変位スペースを確保する必要が無いので、当該方向における工具サイズをコンパクトにできる。
【0014】
本発明の一態様によれば、第1の中間部材本体は、周方向に沿って部分的に切り欠かれた切欠部を備えていてもよい。付勢部材は、切欠部内に収容されていてもよい。この態様によれば、付勢部材の設置に起因して工具サイズが大きくなることがない。
【0015】
本発明の一態様によれば、第1の中間部材は傾動軸線を有していてもよい。第1の中間部材は、少なくとも1つの被押圧部が押圧されたときに、傾動軸線を中心に傾動するように構成されてもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、第1の中間部材は、第1の磁石と、第1の磁石を保持する磁石保持部と、を備えていてもよい。第1のセンサは、第1の磁石の変位を検知する磁気センサであってもよい。
【0017】
本発明の一態様によれば、磁石保持部は、第1の中間部材本体から径方向外側に向けて突出していてもよい。この態様によれば、第1の中間部材が回転するように構成される場合において、第1の中間部材の回転軸線から第1の磁石までの距離を大きくできる。このため、第1の中間部材の同一の回転角度に対して第1の磁石の変位量が大きくなり、その結果、磁気センサの検出精度を確保しやすい。
【0018】
本発明の一態様によれば、磁石保持部は、周方向における少なくとも1つの被押圧部とは異なる位置に設けられてもよい。この態様によれば、少なくとも1つの被押圧部の位置以外の周方向の任意の位置に磁石保持部を形成することができるので、磁気センサの配置の自由度が向上する。換言すれば、工具サイズが大きくならないように、磁気センサの配置を決定することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、傾動軸線は、第1の中間部材本体よりも径方向外側に位置していてもよい。第1の磁石は、第1の中間部材本体よりも径方向外側、かつ、第1の中間部材本体を間に挟んで傾動軸線と略対向する位置に配置されてもよい。この態様によれば、第1の中間部材の傾動軸線から第1の磁石までの距離を大きくできる。つまり、第1の中間部材の同一の傾動角度に対して、第1の磁石の変位量を大きくできる。このため、磁気センサの検出精度を確保しやすい。
【0020】
本発明の一態様によれば、磁気センサおよび第1の磁石は、傾動軸線が延在する方向に磁気センサと第1の磁石とが対面するように配置されてもよい。この態様によれば、交番磁界動作タイプの磁気センサを用いて第1の磁石の変位を精度よく検知できる。
【0021】
本発明の一態様によれば、第1のセンサはマイクロスイッチであってもよい。第1の中間部材は、変位されたときにマイクロスイッチに接触してマイクロスイッチをオン状態にするための接触部を備えていてもよい。
【0022】
本発明の一態様によれば、接触部は、周方向における少なくとも1つの被押圧部とは異なる位置に設けられてもよい。この態様によれば、少なくとも1つの被押圧部の位置以外の周方向の任意の位置に接触部を形成することができるので、マイクロスイッチの配置の自由度が向上する。換言すれば、工具サイズが大きくならないように、マイクロスイッチの配置を決定することができる。
【0023】
本発明の一態様によれば、工具は、第2の付属品と、第2の付属品を着脱可能に取り付けるための第2の取付部と、第2の取付部に第2の付属品が取り付けられたときに第2の付属品に直接的または間接的に押圧されて、枢動するように構成された第2の中間部材と、第2の中間部材が枢動したことを検知するように構成された第2のセンサと、を備えていてもよい。この態様によれば、第2の付属品の取付けの有無も検知することができる。
【0024】
本発明の一態様によれば、第2の中間部材は第2の磁石を備えていてもよい。第2のセンサは、第2の磁石の変位を検知するように構成された磁気センサであってもよい。
【0025】
本発明の一態様によれば、工具は、電動モータと、電動モータの駆動を制御するように構成されたコントローラと、を備えていてもよい。コントローラは、少なくとも2つの第1の取付部のうちのいずれかに第1の付属品が取り付けられたことが第1のセンサによって検知されることである第1の条件と、第2の取付部に第2の付属品が取り付けられたことが第2のセンサによって検知されることである第2の条件と、の両方が満たされたときに、電動モータの駆動を許可し、第1の条件および第2の条件のうちの少なくとも一方が満たされないときは、電動モータの駆動を禁止してもよい。
【0026】
本発明の一態様によれば、工具は、電動モータのモータシャフトを回転可能に支持する軸受と、軸受を収容するとともに支持する円筒部を有するハウジングと、を備えていてもよい。第1の中間部材は、第1の中間部材本体が円筒部の外周を取り囲むように配置されてもよい。この態様によれば、第1の中間部材を支持するための特別な部材が必要ないので、工具サイズをコンパクト化できる。
【0027】
本発明の一態様によれば、工具は、電動モータによって回転されるように構成された先端工具を備えるグラインダであってもよい。第1の付属品は、サイドグリップであってもよい。第2の付属品は、先端工具を部分的に覆うカバーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態によるグラインダの斜視図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図2】グラインダの斜視図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図3】グラインダの斜視図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図4】グラインダの縦断面図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図6】グラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図7】グラインダの内部構造を示す斜視図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図8】グラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図9】グラインダの内部構造を示す斜視図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図10】本発明の第2実施形態によるグラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図11】第2実施形態によるグラインダの内部構造を示す図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図12】第2実施形態による第1の中間部材の斜視図である。
【
図13】本発明の第3実施形態によるグラインダの部分縦断面図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図14】第3実施形態によるグラインダの部分縦断面図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図15】第3実施形態によるグラインダの内部構造を示す斜視図であり、サイドグリップが取り外された状態を示している。
【
図16】第3実施形態によるグラインダの内部構造を示す斜視図であり、サイドグリップが取り付けられた状態を示している。
【
図17】第3実施形態による第1の中間部材の斜視図である。
【
図20】第1の中間部材、センサケースおよび抜止部材の配置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
A.第1実施形態:
以下、
図1~9を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、工具として手持ち式の電動ディスクグラインダ(以下、単にグラインダという)10を例示する。
【0030】
まず、
図1~4を参照して、グラインダ10の概要について説明する。
図4に示すように、グラインダ10は、スピンドル25に装着された略円盤状の先端工具28を回転駆動するように構成されている。スピンドル25は、電動モータ31によって提供される回転駆動力によって回転される。グラインダ10に装着可能な先端工具28として、砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が用意されている。使用者は、所望の加工作業に応じて適切な先端工具28を選択し、グラインダ10に装着する。グラインダ10によれば、先端工具28の種類に応じて、被加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業を行うことができる。
【0031】
以下の説明では、電動モータ31の回転軸線AX1(換言すれば、モータシャフト32)が延在する方向をグラインダ10の前後方向と定義する。前後方向のうち、先端工具28が位置する側を前側と定義し、その反対側を後側と定義する。また、スピンドル25の回転軸線AX2(換言すれば、先端工具28の回転軸線)が延在する方向をグラインダ10の上下方向と定義する。上下方向のうち、先端工具28が位置する側を下側と定義し、その反対側を上側と定義する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、グラインダ10の左右方向と定義する。左右方向のうち、後側から前側を見たときの右側をグラインダ10の右側と定義し、その反対側をグラインダ10の左側と定義する。
【0032】
図1~4に示すように、グラインダ10は、ギアハウジング20と、モータハウジング30と、ハンドルハウジング40と、を備えている。
図4に示すように、前後方向、すなわち、グラインダ10の長手方向においてギアハウジング20とハンドルハウジング40との間に位置するモータハウジング30内には、電動モータ31が収容されている。電動モータ31は、ギアハウジング20内に収容された軸受34と、モータハウジング30の後端付近においてモータハウジング30内に収容された軸受35と、によって回転可能に支持されている。電動モータ31は、外部から供給される電力(本実施形態では交流電力であるが、直流電力であってもよい)によって駆動される。
【0033】
図4に示すように、モータハウジング30内には、さらに、モータハウジング30の後端かつ下端の付近において、コントローラ33が収容されている。コントローラ33は、電動モータ31への供給電力を制御することによって、電動モータ31の駆動を制御する。コントローラ33は、前後方向において、電動モータ31に隣接しており、電動モータ31の後側に配置されている。
【0034】
ギアハウジング20内には、電動モータ31の回転駆動力を先端工具28に伝達するための機構が収容されている。具体的には、ギアハウジング20内には、小ベベルギア23と、大ベベルギア24と、スピンドル25と、が収容されている。小ベベルギア23は、電動モータ31のモータシャフト32の前端部において、モータシャフト32の周りに固定されている。スピンドル25は、上下方向に離間して配置された軸受によって、回転軸線AX2を中心に回転可能に支持されている。回転軸線AX2は、電動モータ31の回転軸線AX1と交差(より具体的には、直交)している。大ベベルギア24は、スピンドル25の上側において、スピンドル25の周りに固定されており、小ベベルギア23と噛み合っている。ギアハウジング20は、その下端部に、カバー400を着脱可能に取り付けるための第2の取付部22を有している。第2の取付部22は、上下方向に延在する円筒の形状を有している。スピンドル25は、ギアハウジング20内を上下方向に延在し、下側においてギアハウジング20(より具体的には、第2の取付部22)から延出している。
【0035】
ギアハウジング20から延出したスピンドル25の下端部において、スピンドル25の周りにはインナーフランジ26が取り付けられている。スピンドル25のうちのインナーフランジ26よりも下方には、雄ネジ部が形成されており、当該雄ネジ部には、ロックナット27が取り付けられている。インナーフランジ26とロックナット27との間に先端工具28を挟み、ロックナット27を締め付けることによって、スピンドル25に対する先端工具28の位置が固定される。
【0036】
ギアハウジング20は、その後端において、前後方向に延在する円筒部21を有している。上述の軸受34は、円筒部21に収容され、円筒部21によって支持されている。
【0037】
ハンドルハウジング40は、グラインダ10の使用時にユーザが一方の手で把持するための部分である。ハンドルハウジング40は、概ね前後方向に延在する円筒状の形状を有している。ハンドルハウジング40の内部には、電動モータ31を駆動するためのスイッチ41が収容されている。ハンドルハウジング40の下側には、スイッチ41をオフ状態にするオフ位置と、スイッチ41をオン状態にするオン位置と、の間で変位可能に構成された操作部材50が設けられている。前後方向における操作部材50の前端付近には、操作部材50をオフ位置に係止させて、オン位置への変位を阻止するためのロックオフスイッチ57が設けられている。
【0038】
ユーザによって操作部材50がオフ位置からオン位置へ操作されると、スイッチ41が、それを検知して、検知信号をコントローラ33に送出する。コントローラ33は、この検知信号を受信すると、電動モータ31に電力を供給して、電動モータ31を駆動する。電動モータ31が駆動されると、モータシャフト32の回転が、小ベベルギア23および大ベベルギア24を介して、減速されつつ、スピンドル25に伝達される。このとき、回転運動の方向も、モータシャフト32周りの方向から、スピンドル25の回転軸線AX2周りの方向へと変換される。この機構によれば、モータシャフト32の回転に伴って、スピンドル25が回転軸線AX2周りに回転され、その結果、インナーフランジ26およびロックナット27によって固定された先端工具28がスピンドル25とともに回転される。
【0039】
図1に示すように、グラインダ10は、さらに、その付属品として、サイドハンドル300とカバー400とを備えている。サイドハンドル300は、ユーザが、ハンドルハウジング40を把持する手と反対の手で把持するために用意されている。サイドハンドル300を使用することにより、ユーザは、グラインダ10をより安定的に保持することができる。サイドハンドル300は、ユーザが把持するためのグリップ部310と、ギアハウジング20に取り付けるための取付部320と、を備えている。取付部320は、サイドハンドル300の長手方向に延在する円柱形状を有しており、サイドハンドル300の長手方向におけるグリップ部310の一端から延出している。取付部320の外周面には、雄ネジが形成されている。
【0040】
図1,2に示すように、ギアハウジング20は、サイドハンドル300を着脱可能に取り付けるための3つの第1の取付部29a~29cを有している。第1の取付部29a~29cは、回転軸線AX1周りの周方向に互いに離間した位置に配置されている。より具体的には、第1の取付部29aは、ギアハウジング20の左側面に形成され、第1の取付部29bは、ギアハウジング20の上面に形成され、第1の取付部29cは、ギアハウジング20の右側面に形成されている。3つの第1の取付部29a~29cは、回転軸線AX1に対して回転対称の位置にそれぞれ設けられている。第1の取付部29a~29cの各々は、ギアハウジング20の内部と外部とを連通させる貫通孔の形態である。当該貫通孔を形成する内面には、取付部320の雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。
【0041】
3つの第1の取付部29a~29cから選択される1つにサイドハンドル300の取付部320をねじ込むことによって、サイドハンドル300をギアハウジング20に取り付けることができる。ユーザは、グラインダ10を用いて行う作業の種類に応じて、または、右利きか、もしくは、左利きかに応じて、サイドハンドル300の取付け箇所を第1の取付部29a~29cから任意に選択可能である。本実施形態では、3つの第1の取付部29a~29cが設けられているが、第1の取付部の数は、特に限定されるものではなく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。例えば、2つの第1の取付部29a,29cのみが設けられてもよい。
【0042】
図1に示すように、カバー400は、先端工具28の一部分を覆うカバー本体410と、第2の取付部22に取り付けるための取付部420と、を備えている。カバー本体410は、先端工具28の後側略半分を覆っている。本実施形態では、カバー本体410は、先端工具28の上面と周面とを覆っているが、使用される先端工具28の種類によっては、上面と、下面と、上面と下面との間の周面と、を覆っていてもよい。取付部420は、開いた略円環状の形状を有しており、カバー本体410の上面から上方に向けて延在している。
図2に示すように、取付部420は、周方向の2つの先端のところに、対向する2つのフランジ421,422を有している。取付部420がギアハウジング20の第2の取付部22を取り囲むように配置された状態で、フランジ421,422に形成されたネジ孔にボルト423を挿入して締め付けることによって、取付部420の円環形状の半径が小さくなり、取付部420が第2の取付部22に固定される。
【0043】
上述したグラインダ10は、サイドハンドル300がギアハウジング20の第1の取付部29a~29cのいずれかに取り付けられた状態においてのみ、電動モータ31を駆動させることができる。サイドハンドル300が取り付けられていない状態では、ユーザが操作部材50をオン位置に操作し、スイッチ41からコントローラ33に検知信号が送出されたとしても、コントローラ33は、電動モータ31の駆動を禁止する。サイドハンドル300の取付けの有無は、後述する単一のセンサ70によって検知される。以下、この検知のための構成について、図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図4に示すように、グラインダ10は、第1の中間部材60と、センサ70と、を備えている。第1の中間部材60は、略環状の形状を有しており、ギアハウジング20の円筒部21の外周を取り囲むように配置される(
図4,6,7参照)。この第1の中間部材60は、サークリップ69によって抜け止めされた状態で、円筒部21に支持されている(
図6,7参照)。このような配置によれば、第1の中間部材60を支持するための特別な部材が必要ないので、グラインダ10のサイズをコンパクト化できる。
【0045】
第1の中間部材60は、第1の取付部29a~29cのいずれかにサイドハンドル300を取り付けることによってサイドハンドル300の取付部320に押圧され、変位されるように構成される。第1の中間部材60は、本実施形態では、このような変位動作として、回転軸線AX1を中心として所定の角度だけ回転する。サイドハンドル300がギアハウジング20の第1の取付部29a~29cのいずれにも取り付けられていないときの第1の中間部材60の位置を非取付位置(
図6,7参照)とも呼ぶ。サイドハンドル300が第1の取付部29a~29cのいずれかに取り付けられたときの第1の中間部材60の位置を取付位置(
図8,9参照)とも呼ぶ。
【0046】
図5に示すように、第1の中間部材60は、単一の部材であり、第1の取付部29a~29cに対して共通して設けられる。第1の中間部材60は、第1の中間部材本体61を備えている。第1の中間部材本体61は、本実施形態では、電動モータ31の回転軸線AX1を中心とする環の形状を有している。ただし、第1の中間部材60は、部分的な環の形状(換言すれば、閉じられてない環の形状)を有していてもよい。第1の中間部材本体61の中央部には、円筒部21が貫通する貫通孔が形成されている。
【0047】
第1の中間部材60は、さらに、3つの被押圧部62a~62cを備えている。3つの被押圧部62a~62cは、周方向に互いに離間して配置されている。被押圧部62aは、ギアハウジング20の第1の取付部29aにサイドハンドル300が取り付けられたときにサイドハンドル300(より具体的には、取付部320の先端)に押圧される部分である。同様に、被押圧部62bは、第1の取付部29bにサイドハンドル300が取り付けられたときにサイドハンドル300に押圧される部分であり、被押圧部62cは、第1の取付部29cにサイドハンドル300が取り付けられたときにサイドハンドル300に押圧される部分である。このため、被押圧部62a~62cは、第1の取付部29a~29cの角度位置に対応する角度位置にそれぞれ配置されている(
図6,7参照)。
【0048】
被押圧部62a~62cの各々は、第1の中間部材本体61から径方向外側に突出している。このため、サイドハンドル300によって押圧される形状を形成しやすい。また、第1の中間部材本体61を小径化できる。
【0049】
図6および
図7に示すように、被押圧部62aは、第1の取付部29aを構成する貫通孔が延在する方向(換言すれば、サイドハンドル300の取付方向、あるいは、第1の取付部29aにサイドハンドル300が取り付けられたときにサイドハンドル300が被押圧部62aを押圧する方向)に対して角度付けられた被押圧面63aを有している。同様に、被押圧部62bは、第1の取付部29bを構成する貫通孔が延在する方向に対して角度付けられた被押圧面63bを有している。同様に、被押圧部62cは、第1の取付部29cを構成する貫通孔が延在する方向に対して角度付けられた被押圧面63cを有している。本実施形態では、被押圧面63a~63cは、サイドハンドル300が被押圧部62a~62cを押圧する方向に対して、約45度で角度付けられている(
図6参照)。この角度は、サイドハンドル300が被押圧部62a~62cを押圧する方向とは異なる方向に第1の中間部材60が変位するように、任意の角度で設定され得る。代替形態では、この角度は、30度以上、60度以下の範囲内で設定されてもよい。このように角度付けられた被押圧面63a~63cによれば、第1の中間部材60を容易に回転させることができる。さらに、被押圧面63a~63cは、第1の中間部材本体61よりも前側に突出した位置まで延在している。このため、被押圧面63a~63cと、サイドハンドル300の取付部320と、の接触面積が増大し、被押圧面63a~63cがサイドハンドル300によって確実に押圧され得る。
【0050】
図6,7と
図8,9とを比べると、第1の取付部29aにサイドハンドル300が取り付けられたことによって、被押圧部62aの被押圧面63aがサイドハンドル300の取付部320に押圧されて、第1の中間部材60が、
図6,7に示す位置から
図8,9に示す位置まで反時計回りに回転していることが分かる。
【0051】
図5に示すように、第1の中間部材60は、さらに、磁石67と、磁石67を保持する磁石保持部66と、を備えている。磁石67は、上述した第1の中間部材60の変位(つまり、回転動作)をセンサ70によって検知するために設けられる。このため、センサ70は、本実施形態では磁気センサである。
【0052】
図4,6に示すように、センサ70は、上下方向においては、ギアハウジング20の下端付近でギアハウジング20に固定されている。また、センサ70は、前後方向においては、第1の中間部材60と略同一の位置で、ギアハウジング20の後端付近に固定されている。センサ70は、モータハウジング30の底部に前後方向に沿って配置された信号線を介して、コントローラ33に接続されている。センサ70の検知結果は、コントローラ33へ出力される。本実施形態のように、コントローラ33およびセンサ70がグラインダ10の最下部付近に位置し、かつ、コントローラ33とセンサ70との間に電動モータ31が位置するように、コントローラ33およびセンサ70を配置すれば、グラインダ10のサイズの増大を抑制でき、また、配線を効率化することができる。
【0053】
このセンサ70の位置に合わせて、磁石保持部66は、第1の中間部材本体61の最下部付近に設けられている(
図6参照)。
図5に示すように、磁石保持部66は、略直方体の形状を有しており、第1の中間部材本体61から、回転軸線AX1の径方向の外側に向けて突出している。磁石保持部66は、磁石67とセンサ70とが上下方向に対面するように磁石67を保持している。
【0054】
この構成により、センサ70は、サイドハンドル300の取付けの有無に起因する磁石67の位置の違いを検知できる。換言すれば、センサ70は、第1の中間部材60が、
図6,7に示す非取付位置にあるのか、それとも、
図8,9に示す取付位置にあるのかを検知できる。センサ70および磁石67は、第1の中間部材60が非取付位置にあるときのみにセンサ70が磁界を検出するように構成されてもよい。あるいは、センサ70および磁石67は、第1の中間部材60が取付位置にあるときのみにセンサ70が磁界を検出するように構成されてもよい。あるいは、センサ70および磁石67は、第1の中間部材60が取付位置と非取付位置との間で移動して、磁石67がセンサ70を横切ったときに、センサ70が磁界を検出するように構成されてもよい。
【0055】
上述したように磁石保持部66が第1の中間部材本体61から径方向外側に向けて突出していることにより、第1の中間部材本体61の回転軸線(換言すれば、回転軸線AX1)から磁石67までの距離を大きくできる。このため、第1の中間部材本体61の同一の回転角度に対して磁石67の変位量が大きくなり、その結果、センサ70の検出精度を確保しやすい。さらに、磁石67は、周方向における被押圧部62a~62cとは異なる位置に設けられているので、センサ70の配置の自由度が向上する。その結果、上述のようにセンサ70を配置でき、グラインダ10のサイズの増大を抑制できる。ただし、磁石67およびセンサ70の配置は、任意に設定可能である。例えば、磁石67は、第1の中間部材本体61に保持されていてもよいし、あるいは、被押圧部62a~62cのいずれかに保持されていてもよい。
【0056】
図5に示すように、第1の中間部材60は、さらに、2つの切欠部64を備えている。切欠部64は、周方向に沿って部分的に切り欠かれた部分である。2つの切欠部64は、回転軸線AX1に対して180度回転対称に設けられている。切欠部64は、本実施形態では第1の中間部材本体61の内周側に位置しているが、第1の中間部材本体61の外周側に位置していてもよい。
【0057】
2つの切欠部64の各々において、切欠部64を形成する第1の中間部材本体61の周方向側面からは、突起65が、非取付位置から取付位置に向かう方向に向けて略周方向に延在している。突起65は、
図6~9に示すように、付勢部材としてのバネ68を切欠部64内に保持するために設けられる。バネ68は、コイルバネの形態であり、突起65を取り囲むように配置される。バネ68の一端は、切欠部64を形成する第1の中間部材本体61の周方向側面(突起65の基端側の側面)に着座している。バネ68の他端は、ギアハウジング20のバネ座20aに着座している。バネ座20aは、ギアハウジング20の前側から切欠部64内まで後側に向けて延在している(
図6~9では、上側の切欠部64に対応するバネ座20aのみ見えている)。
【0058】
このバネ68は、取付位置から非取付位置に向かう方向に第1の中間部材60を付勢している。このため、第1の中間部材60は、サイドハンドル300が取り付けられるときには、バネ68の付勢力に抗って非取付位置から取付位置まで反時計回りに回転するが、サイドハンドル300が取り外されると、バネ68の付勢力によって取付位置から非取付位置まで自動的に戻る。バネ68を切欠部64内に配置することにより、付勢部材の設置スペースの確保に起因するグラインダ10のサイズの増大を防止できる。
【0059】
上述したグラインダ10によれば、第1の取付部29a~29cのいずれにサイドハンドル300が取り付けられた場合であっても、第1の取付部29a~29cに対して共通して設けられた単一の第1の中間部材60が変位(回転)する。そして、単一のセンサ70が、この第1の中間部材60の変位を検知することができる。したがって、サイドハンドル300の取付けの有無を検知するためのセンサを第1の取付部29a~29cごとに設置する必要がないので、センサの数を低減できる。
【0060】
B.第2実施形態:
本発明の第2実施形態について、
図10~12を参照して説明する。第2実施形態によるグラインダ100は、第1実施形態の第1の中間部材60およびセンサ70に代えて、第1の中間部材160およびセンサ170を備えている点のみが第1実施形態と異なっている。以下、第2実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図10,11において、第1実施形態と同一の構成要素には、第1実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0061】
図10および
図11に示すように、センサ170は、上下方向においては、ギアハウジング20の下端付近でギアハウジング20に固定されている。また、センサ170は、前後方向においては、第1の中間部材160と略同一の位置で、ギアハウジング20の後端付近に固定されている(図示省略)。センサ170は、マイクロスイッチの形態であり、アクチュエータ部171を備えている。
【0062】
図12に示すように、第1の中間部材160は、接触部166を備えている。接触部166は、センサ170のアクチュエータ部171に接触するための部分である。このため、接触部166は、センサ170の位置に合わせて、第1の中間部材本体61の最下部付近に設けられている。接触部166は、周方向における被押圧部62a~62cとは異なる位置に設けられているので、第1実施形態と同様に、センサ170の配置の自由度が向上する。ただし、接触部166およびセンサ170の配置は、任意に設定可能である。
【0063】
このグラインダ100では、サイドハンドル300が取り付けられていない状態では、第1の中間部材160は非取付位置(
図10)にあり、接触部166はアクチュエータ部171に接触していない。このため、センサ170はオフ状態にある。これに対して、サイドハンドル300が取り付けられて、第1の中間部材160が取付位置(
図11)まで回転すると、接触部166がアクチュエータ部171に接触して、センサ170がオン状態になる。このようにして、単一のセンサ170によってサイドハンドル300の取付けの有無を検知することができる。
【0064】
C.第3実施形態:
本発明の第3実施形態について、
図13~20を参照して説明する。第3実施形態によるグラインダ200は、第1実施形態の第1の中間部材60およびセンサ70に代えて、第1の中間部材260および第1のセンサ270を備えている点と、カバー400の取付けの有無についても検知を行う点と、が主に第1実施形態と異なっている。以下、第3実施形態について、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図13~20において、第1実施形態と同一の構成要素には、第1実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
図13および
図14に示すように、第1の中間部材260は、第1実施形態と同様に、第1の中間部材本体261が円筒部21の外周を取り囲むように配置される。また、
図17および
図20に示すように、第1の中間部材260は、第1実施形態と同様に、環状の第1の中間部材本体261と、第1の取付部29a~29cに対応する周方向位置に分散配置された被押圧部262a~262cと、を備えている。被押圧部262a~262cには、前側かつ径方向外側に向けられた被押圧面263a~263cが形成されている。第1の中間部材260は、さらに、第1の中間部材本体261の最下部から径方向外側に向けて突出する突出部264を備えている。突出部264の右面および左面の各々からは、傾動軸265が左右方向に延在している。傾動軸265は、左右方向に延在する傾動軸線AX3を有している。突出部264は、第1の中間部材本体261よりも径方向外側に位置しているので、傾動軸線AX3も、第1の中間部材本体261よりも径方向外側に位置している。
【0066】
傾動軸265は、第1の中間部材260が傾動軸265を中心として傾動(換言すれば、枢動)可能となるように、抜止部材280を用いてギアハウジング20に取り付けられる。抜止部材280は、
図19に示すように、本体281と突出部282,283とを備えている。本体281は、前後方向に対して直交する矩形平板の形状を有している。突出部282,283は、本体281の前面から前側に向けて突出しており、左右方向に離間して配置されている。突出部282,283には、左右方向に延在する半円状の溝282a,283aがそれぞれ形成されている。本体281は、左右方向におけるその両端に、貫通孔284,285を有している。抜止部材280は、
図15,16に示すように、貫通孔284,285を通るようにボルト286をギアハウジング20に形成されたネジ穴に挿入して締め付けることによって、ギアハウジング20に固定される。
【0067】
第1の中間部材260の傾動軸265は、抜止部材280の取付け前に、ギアハウジング20に形成された半円形状の溝(図示省略)内に後側から挿入される。この状態で、後側から抜止部材280をギアハウジング20に取り付けると、ギアハウジング20の半円形状の溝と、抜止部材280の溝282a,283aと、によって円形の孔が形成される。傾動軸265は、この孔内で枢動可能に保持される。
【0068】
図13,14に示すように、第1の中間部材260は、さらに、第1の中間部材本体61から後側に向けて延在する突起268を備えている。突起268は、被押圧部262bの近傍に位置している。突起268の周囲には、コイルバネの形態のバネ266が、バネ266の内部に突起268が挿入されるように配置される。バネ266の一端は、第1の中間部材本体261の後面に着座し、他端は、後述するセンサケース271の抜止部272の前面に着座する。バネ266は、第1の中間部材260を前側に向けて付勢する。
【0069】
サイドハンドル300が取り付けられていない状態では、第1の中間部材260は、
図13および
図15に示すように、縦断面視で、回転軸線AX1に対して略直交する角度で配置されている。これに対して、第1の取付部29a~29cのいずれかにサイドハンドル300が取り付けられると、サイドハンドル300の取付箇所に対応する被押圧面263a~263cのいずれかが押圧される。被押圧面263a~263cは、上述の通り、いずれも前側かつ径方向外側に向けられているので、径方向外側から回転軸線AX1に向けてサイドハンドル300が取り付けられると、後ろ向きの力を受ける。これによって第1の中間部材260は、
図14および
図16に示すように、バネ266の付勢力に抗って、傾動軸265を中心として後ろ側に傾動する。一方、サイドハンドル300が取り外されると、第1の中間部材260は、バネ266の付勢力によって、
図13および
図15に示す位置に戻る。
【0070】
図17に示すように、被押圧部262bの右側面には第1の磁石267が保持されている。サイドハンドル300の取付けによって第1の中間部材260が傾動すると、第1の中間部材260に保持された第1の磁石267も一緒に変位することになる。この変位は、磁気センサの形態の第1のセンサ270によって検知される。このようにして、サイドハンドル300の取付けの有無を単一の第1のセンサ270によって検知できる。第1の磁石267は、第1の中間部材本体261よりも径方向外側に位置し、かつ、第1の中間部材本体261を間に挟んで傾動軸線AX3と略対向しているので、傾動軸線AX3から第1の磁石267までの距離を大きくできる。つまり、第1の中間部材260の同一の傾動角度に対して、第1の磁石267の変位量を大きくできる。このため、第1のセンサ270の検出精度を確保しやすい。
【0071】
第1のセンサ270は、
図20に示すように、センサケース271に収納された状態で設置される。
図18に示すように、センサケース271は、抜止部272と、センサ収容部273と、取付部274,275と、を備えている。抜止部272は、前後方向に対して直交する矩形平板の形状を有している。抜止部272は、
図13,14,20に示すように、バネ266の後端を支持する。また、抜止部272は、
図15および
図16に示すように、第1の中間部材本体261の上端よりも下方に及ぶように配置されることによって、第1の中間部材260の抜け止めとしても機能する。
【0072】
センサ収容部273は、抜止部272の上側かつ右側に位置しており、抜止部272から前側に向けて延在する箱形の形状を有している。センサ収容部273の内部には、第1のセンサ270が収容される。取付部274,275は、抜止部272の左右端から右側または左側にそれぞれ延在している。取付部274,275は、前後方向に延在する貫通孔276,277をそれぞれ有している。
図15,16に示すように、貫通孔276,277を通るようにボルト278をギアハウジング20に形成されたネジ穴に挿入して締め付けることによって、センサケース271はギアハウジング20に固定される。
【0073】
このセンサケース271によれば、
図20に示すように第1のセンサ270と第1の磁石267とが左右方向(換言すれば、傾動軸線AX3が延在する方向)に対面するように、第1のセンサ270が保持される。このため、第1のセンサ270として交番磁界動作タイプの磁気センサを用いて第1の磁石267の前後方向の変位を精度よく検知できる。ただし、第1のセンサ270および第1の磁石267の配置、ならびに、第1のセンサ270の形式は特に限定されない。例えば、代替実施形態では、第1のセンサ270と第1の磁石267とが前後方向に対面するように配置され、第1のセンサ270として一方向動作タイプの磁気センサが採用されてもよい。
【0074】
図13および
図14に示すように、グラインダ200は、さらに、カバー400の取付けの有無を検知するために、第2の中間部材290と、第2の磁石294と、第2のセンサ296と、を備えている。第2の中間部材290は、第2の磁石294を保持する磁石保持部291と、カバー400が取り付けられたときにカバー400の取付部420によって押圧される被押圧部292と、を備えている。磁石保持部291および被押圧部292は、左右方向に見て、略L字形状を形成している。磁石保持部291と被押圧部292との連結部には、左右方向に延在する貫通孔293が形成されている。磁石保持部291は、その先端(上記連結部と反対側の端部)において第2の磁石294を保持している。
【0075】
グラインダ200は、さらに、第2の中間部材290と第2のセンサ296とを保持する一体的なケース297を備えている。ケース297は、一部が開放された箱形の形状を有しており、その上側の内面には、第2のセンサ296が第2の磁石294と対面するように固定される。さらに、ケース297は、右面および左面を有している(図示省略)。その右面および左面は、左右方向に延在する貫通孔をそれぞれ有している。これらの貫通孔と貫通孔293とを貫通するようにピンが挿入されることによって、第2の中間部材290は、当該ピンを中心として枢動可能にケース297に保持される。このように、共通する一体的なケース297に第2のセンサ296と第2の中間部材290とを取り付けることにより、第2のセンサ296と第2の中間部材290(より具体的には、第2の磁石294)との相対位置が定まるので、グラインダ200の組み立て時において両者の相対位置を調整する必要がない。
【0076】
被押圧部292と、ケース297の上側の内面と、の間には、バネ295が配置される。このバネ295は、被押圧部292を下側に向けて付勢している。このため、カバー400が取り付けられていない状態では、被押圧部292は、縦断面視で、前後方向に略平行な方向に延在する(図示省略)。これに対して、ギアハウジング20の第2の取付部22にカバー400が取り付けられると、
図13,14に示すように、被押圧部292の先端が取付部420によって上側に押圧され、第2の中間部材290がバネ295の付勢力に抗って時計回りに枢動する。これによって、第2の磁石294も前後方向に変位する。この変位を第1のセンサ270によって検知することによって、カバー400の取付けの有無を検知することができる。
【0077】
第1のセンサ270および第2のセンサ296の検出結果は、それぞれ、コントローラ33に出力される。本実施形態では、コントローラ33は、第1のセンサ270から入力された信号が、サイドハンドル300が取り付けられていることを表しており、かつ、から入力された信号が、カバー400が取り付けられていることを表している場合にのみ、電動モータ31の駆動を許可するように構成される。サイドハンドル300およびカバー400の少なくとも一方が取り付けられていない状態では、ユーザが操作部材50をオン位置に操作し、スイッチ41からコントローラ33に検知信号が送出されたとしても、コントローラ33は、電動モータ31の駆動を禁止する。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0079】
例えば、上述したグラインダ10の構成部品の形状および形態は、例示に過ぎず、その構成部品の作用が確保される限り、任意の変更が可能である。例えば、第1の中間部材60の被押圧部62a~62cは、径方向外側に突出する代わりに、前側または後側のみに突出していてもよい。あるいは、第3実施形態において、被押圧部は、第1の中間部材本体261の外周に沿って被押圧部262aの位置から被押圧部262cの位置まで連続的に延在する1つの部分であってもよい。
【0080】
さらに、第1の中間部材60,160,260は、サイドハンドル300が取り付けられたときに、サイドハンドル300によって間接的に押圧されてもよい。つまり、サイドハンドル300によって押圧されて変位される追加的な部材が設けられ、この追加的な部材によって、第1の中間部材60,160,260が変位されてもよい。同様に、第2の中間部材290は、カバー400が取り付けられたときに、カバー400によって間接的に押圧されてもよい。
【0081】
さらに、第3実施形態として例示した第2の中間部材290、第2の磁石294および第2のセンサ296を備える構成を第1または第2実施形態に適用してもよい。
【0082】
センサ70,170,270は、磁気センサまたはマイクロスイッチに限らず、第1の中間部材60,160,260の変位を検知可能な任意の形式のセンサであってもよい。例えば、センサは、光電センサ、超音波式の距離センサなどであってもよい。
【0083】
さらに、サイドハンドル300(または、サイドハンドル300およびカバー400)の取付状態に応じて、電動モータ31の駆動を許可または禁止する構成に代えて、または、加えて、グラインダ10,100,200は、サイドハンドル300(または、サイドハンドル300およびカバー400)が取り付けられていないことをユーザに報知するための報知部を備えていてもよい。報知の態様は、発光、発音、文字表示、または、これらの組み合わせであってもよい。例えば、報知部は、LEDなどの発光素子、GUI画面、スピーカのうちの少なくとも1つを備えていてもよい。
【0084】
さらに、上述の実施形態は、グラインダ10に限らず、数箇所に対して選択的に付属品を取り付け可能に構成された任意の工具に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10,100,200...グラインダ
20...ギアハウジング
20a...バネ座
21...円筒部
22...第2の取付部
23...小ベベルギア
24...大ベベルギア
25...スピンドル
26...インナーフランジ
27...ロックナット
28...先端工具
29a~29c...第1の取付部
30...モータハウジング
31...電動モータ
32...モータシャフト
33...コントローラ
34,35...軸受
40...ハンドルハウジング
41...スイッチ
50...操作部材
57...ロックオフスイッチ
60,160,260...第1の中間部材
61,261...第1の中間部材本体
62a~62c,262a~262c...被押圧部
63a~63c,263a~263c...被押圧面
64...切欠部
65...突起
66...磁石保持部
67...磁石
68...バネ
69...サークリップ
70,170...センサ
166...接触部
171...アクチュエータ部
264...突出部
265...傾動軸
266...バネ
267...第1の磁石
268...突起
270...第1のセンサ
271...センサケース
272...抜止部
273...センサ収容部
274,265...取付部
276,267...貫通孔
278...ボルト
280...抜止部材
281...本体
282,283...突出部
282a,283a...溝
284,285...貫通孔
286...ボルト
290...第2の中間部材
291...磁石保持部
292...被押圧部
293...貫通孔
294...第2の磁石
295...バネ
296...第2のセンサ
297...ケース
300...サイドハンドル
310...グリップ部
320...取付部
400...カバー
410...カバー本体
420...取付部
421,422...フランジ
423...ボルト
AX1,AX2...回転軸線
AX3...傾動軸線