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特許7402740リコメンドシステムおよびリコメンド方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】リコメンドシステムおよびリコメンド方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20231214BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020076289
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021174171
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 浩仁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬
(72)【発明者】
【氏名】江端 智一
(72)【発明者】
【氏名】堀 悟
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-203635(JP,A)
【文献】特開2002-015101(JP,A)
【文献】特表2010-537342(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049491(WO,A1)
【文献】特開2016-018299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0184063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末と通信する通信装置と、
打合せの開催に関する時期および場所を示す開催条件を含む打合せ候補情報を、前記通信装置を介して打合せ参加者それぞれの端末に配信する処理、前記打合せ候補情報が示す前記開催条件に対して前記打合せ参加者に生じる不効用の情報を、前記端末から受信する処理、前記端末から、当該打合せ参加者における、移動時間、参加費用、および打合せ時刻を含む時間帯、の各事象と不効用との対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、移動時間、参加費用、および打合せ時刻の不一致、の各事象に関する不効用関数を推定する処理、前記不効用関数により、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値を算定する処理、前記不効用の情報が示す、前記開催条件に対する不効用値と、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値とに基づいて、前記打合せ候補情報が示す各場所に関して、その近傍点への移動に関する不効用値に応じた、前記打合せ候補からの当該場所の除外又は、前記打合せ候補として前記近傍点への変更を行う処理、前記除外又は前記変更を経て、最も不効用値が小さい打合せ候補を、前記打合せ候補情報が示す各場所の間で、打合せ参加者全体の不効用が相対的に少なくなる打合せ場所として探索し端末に出力する処理、
を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とするリコメンドシステム。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記打合せ場所の探索に際し、前記打合せ参加者における移動に要する時間、費用、および開催時期と当該打合せ参加者の想定参加時刻の不一致、の各観点での前記不効用と、当該各観点に関する前記不効用の前記変化値を計算し、当該計算の結果に基づき、探索効率への影響度が相対的に大きい観点に関して前記探索を行うものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のリコメンドシステム。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記打合せの主催者の端末から、開催予定の打合せの情報を得て、当該打合せに関して会議IDを採番し、当該会議IDを含む開催情報を、前記主催者の端末に応答する処理と、前記主催者の端末から前記開催情報を含む開催案内を受けた前記打合せ参加者の端末より、アクセスを受けて当該打合せ参加者に関して個人IDを採番し、当該個人IDを前記打合せ参加者の端末に応答する処理と、前記個人IDを含む前記不効用の情報を前記打合せ参加者の端末から受信して、前記打合せ場所の探索を行い、当該打合せ場所の情報を前記主催者の端末に出力する処理を実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のリコメンドシステム。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記打合せ参加者の打合せに対する優先度評価を所定アルゴリズムにて行い、当該優先度に応じて期待参加者数の推定を実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のリコメンドシステム。
【請求項5】
ネットワークを介して端末と通信する通信装置を備えた情報処理装置が、
打合せの開催に関する時期および場所を示す開催条件を含む打合せ候補情報を、前記通信装置を介して打合せ参加者それぞれの端末に配信する処理、前記打合せ候補情報が示す前記開催条件に対して前記打合せ参加者に生じる不効用の情報を、前記端末から受信する処理、前記端末から、当該打合せ参加者における、移動時間、参加費用、および打合せ時刻を含む時間帯、の各事象と不効用との対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、移動時間、参加費用、および打合せ時刻の不一致、の各事象に関する不効用関数を推定する処理、前記不効用関数により、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値を算定する処理、前記不効用の情報が示す、前記開催条件に対する不効用値と、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値とに基づいて、前記打合せ候補情報が示す各場所に関して、その近傍点への移動に関する不効用値に応じた、前記打合せ候補からの当該場所の除外又は、前記打合せ候補として前記近傍点への変更を行う処理、前記除外又は前記変更を経て、最も不効用値が小さい打合せ候補を、前記打合せ候補情報が示す各場所の間で、打合せ参加者全体の不効用が相対的に少なくなる打合せ場所として探索し端末に出力する処理、
を実行することを特徴とするリコメンド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リコメンドシステムおよびリコメンド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人が社会生活を営む上で、他者との交流や連携は不可欠である。連携の際、昨今ではネット会議、電話会議などが用いられる事もあるが、重要案件の場合、直接面談するケースも多い。よって依然として、直接面談する打合せの重要性は変わらない。
一方で、ワークライフバランスの改善や労働生産性の向上を目的として、いわゆる「働き方改革」の動きが活発化している。こうしたワークライフバランスの観点で、仕事とプライベートの両立を考える場合、一日のスケジュール中で、仕事とプライベートの間での適宜な調整が必要となる。
【0003】
また、労働生産性の観点からは、無駄時間の削減に注力がなされている。無駄時間の1つには、例えば、打合せに伴って発生する移動時間が挙げられる。
【0004】
現状、打合せ場所を決める際には、参加者の誰かが所属する場所か、参加者間でおおよそ中間地点となる場所が経験的に選ばれる。しかしこの場合、本当に各人の移動時間が短い場所が選ばれているかは定かでない。
【0005】
こうした、移動時間の最小化に関する課題は古くから知られており、例えば以下の概念が存在する。すなわち、複数のミーティング参加者に対してミーティング位置を導出する方法であって、前記ミーティング参加者の各々の移動事情を特定するステップ、及び前記ミーティング参加者の各々が候補ミーティング場所の各々に向かう公平な移動負荷を持つように、複数の初期基準に基づいて該候補ミーティング場所のセットを選択するステップを備え、前記初期基準の少なくとも1つが、少なくとも前記移動事情から引き出される情報を用いて前記ミーティング参加者のうちの関連する一人に対して特定される値を持つものである、方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0006】
上記特許文献1においては、打合せ参加者の移動手段に徒歩、自動車、公共交通等様々なものがあり、地理空間的な中間点では各利用者に公平な中間地点にはならない事を挙げ、より公平な打合せ場所の推定方法を提示している。
【0007】
また、センシングデータに基づいて複数人のユーザ間の関係性の推定を行う関係性推定部と、前記推定の結果に基づいて前記複数人のユーザの行動計画を作成する行動計画作成部と、を備える情報処理装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0008】
上記特許文献2では、打合せ場所に限定せずに各利用者のスケジュールから、お互いの行動に共通する行動を推奨する手段を提示している。これにより待ち合わせや打合せ場所についての解決手段にもなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特表2010-537342
【文献】WO/2019/049491
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来においては、打合せ参加者の間でそれぞれの行動予定をすべて開示、もしくは共有することが前提となっている。例えば、打合せ参加者の滞在地点に関する入力が前提となっているケースや、打合せ参加者における1日の予定表の入力が前提となっているケースもある。
ところが、プライバシー意識の高まりにより、上述のように情報の開示、共有を強いることは困難になりつつある。特に、プライベートの予定を、打合せの日程調整のために広く開示する事は、忌避される傾向が強い。
【0011】
また他方、固定された企業間同士ではなく、状況に応じて様々な事業者同士が連携する機会も増えている。こうした場合、打合せ参加者は別組織に所属する者同士となる。そのため、各自の行動予定を互いに公開すれば、機微な営業情報等が他組織に漏洩する恐れも生じる。
【0012】
いずれにしても、上述のごとき各課題を最適化問題に置換するなどとして、情報処理装置でその解を算定する場合、打合せ参加者数の規模が大きくなるほど、また打合せ参加者の所属組織が異なるほど、演算時の制約条件が指数関数的に拡大し、現実的な時間内に適宜な解を得られないケースも生じうる。
【0013】
そこで本発明の目的は、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所を迅速かつ効率的に算定可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明のリコメンドシステムは、ネットワークを介して端末と通信する通信装置と、打合せの開催に関する時期および場所を示す開催条件を含む打合せ候補情報を、前記通信装置を介して打合せ参加者それぞれの端末に配信する処理、前記打合せ候補情報が示す前記開催条件に対して前記打合せ参加者に生じる不効用の情報を、前記端末から受信する処理、前記端末から、当該打合せ参加者における、移動時間、参加費用、および打合せ時刻を含む時間帯、の各事象と不効用との対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、移動時間、参加費用、および打合せ時刻の不一致、の各事象に関する不効用関数を推定する処理、前記不効用関数により、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値を算定する処理、前記不効用の情報が示す、前記開催条件に対する不効用値と、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値とに基づいて、前記打合せ候補情報が示す各場所に関して、その近傍点への移動に関する不効用値に応じた、前記打合せ候補からの当該場所の除外又は、前記打合せ候補として前記近傍点への変更を行う処理、前記除外又は前記変更を経て、最も不効用値が小さい打合せ候補を、前記打合せ候補情報が示す各場所の間で、打合せ参加者全体の不効用が相対的に少なくなる打合せ場所として探索し端末に出力する処理、を実行する演算装置を含むことを特徴とする。
また、本発明のリコメンド方法は、ネットワークを介して端末と通信する通信装置を備えた情報処理装置が、打合せの開催に関する時期および場所を示す開催条件を含む打合せ候補情報を、前記通信装置を介して打合せ参加者それぞれの端末に配信する処理、前記打合せ候補情報が示す前記開催条件に対して前記打合せ参加者に生じる不効用の情報を、前記端末から受信する処理、前記端末から、当該打合せ参加者における、移動時間、参加費用、および打合せ時刻を含む時間帯、の各事象と不効用との対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、移動時間、参加費用、および打合せ時刻の不一致、の各事象に関する不効用関数を推定する処理、前記不効用関数により、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値を算定する処理、前記不効用の情報が示す、前記開催条件に対する不効用値と、前記開催条件の単位変化あたりの不効用の変化値とに基づいて、前記打合せ候補情報が示す各場所に関して、その近傍点への移動に関する不効用値に応じた、前記打合せ候補からの当該場所の除外又は、前記打合せ候補として前記近傍点への変更を行う処理、前記除外又は前記変更を経て、最も不効用値が小さい打合せ候補を、前記打合せ候補情報が示す各場所の間で、打合せ参加者全体の不効用が相対的に少なくなる打合せ場所として探索し端末に出力する処理、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所を迅速かつ効率的に算定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態におけるリコメンドシステムの全体構成を示す図である。
図2】本実施形態における情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態における初期設定の処理手順を示したものである。
図4】本実施形態における初期情報を示す図である。
図5】本実施形態における開催情報を示す図である。
図6】本実施形態における参加者登録の処理手順を示す図である。
図7】本実施形態における開催案内を示す図である。
図8】本実施形態におけるアクセス情報を示す図である。
図9】本実施形態における調整の処理手順を示す図である。
図10】本実施形態における参加情報を示す図である。
図11】本実施形態における会議候補情報を示す図である。
図12】本実施形態における評価結果を示す図である。
図13】本実施形態における評価結果を記憶するテーブルを示す図である。
図14】本実施形態における評価結果の集計結果を示す図である。
図15】本実施形態における最終決定案を示す図である。
図16】本実施形態における最終決定通知を示す図である。
図17】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図18】本実施形態における交通ネットワークのデータ構造を示す図である。
図19】本実施形態における打合せ場所を記憶するテーブルを示す図である。
図20】本実施形態における打合せ候補の収束判定を示す図である。
図21】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図22】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図23】本実施形態における不効用評価の処理内容を示す図である。
図24】本実施形態における時間不一致不効用関数の設定画面を示す図である。
図25】本実施形態における費用不効用関数の設定画面を示す図である。
図26】本実施形態における時間不効用関数の設定画面を示す図である。
図27】本実施形態における不効用関数の推定方法を示す図である。
図28】本実施形態における参加の確からしさを集計するためのスコアリング方法を示す図である。
図29】本実施形態における評価確認画面を示す図である。
図30】本実施形態における評価確認画面を示す図である。
図31】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図32】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図33】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図34】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図35】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図36】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図37】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
図38】本実施形態における交通ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<システム構成例>>
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成および動作は同様であるものとする。
【0018】
本実施形態におけるリコメンドシステム1は、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所を迅速かつ効率的に算定可能とする情報処理システムである。このリコメンドシステム1は、図1で例示するように、ネットワーク5で通信可能に接続された、リコメンドサーバ10、打合せ主催者端末11、および打合せ参加者端末12から構成されている。
【0019】
このうちリコメンドサーバ10は、本実施形態のリコメンドシステム1を主として構成するサーバ装置であり、最適な打合せの時刻と場所の候補案を立案する機能を有している。
【0020】
また、リコメンドサーバ10は、プログラム群101、データ107、およびリコメン
ドサーバ管理機能113を有している。
【0021】
プログラム群101は、会議ID採番102、個人ID採番103、打合せ候補選定104、候補収束判定105、および最終決定案情報作成106の各プログラムを含むものとする。リコメンドサーバ10は、そのプロセッサにおいて、リコメンドサーバ管理機能113に従い、上述の各プログラムを適宜に呼び出し実行することで、当該機能を実装する。それぞれのプログラムにより実装される機能については後述する。
【0022】
また、データ107は、評価結果108、評価結果集計結果109、参加者数110、交通ネットワーク111、および打合せ場所112、の各データが格納されている。これらの各データは、リコメンドサーバ管理機能113からの要求に従い、プロセッサが読み出して適宜に処理し、打合せ主催者端末11や打合せ参加者端末12に出力されることとなる。
【0023】
一方、打合せ主催者端末11は、打合せ主催者とリコメンドサーバ10とのやり取りを可能とする端末である。この打合せ主催者端末11は、開催管理機能120、プログラム群121が格納されている。
【0024】
このプログラム群121には、開催案内作成122、および評価確認123のプログラムが含まれる。一方、開催管理機能120は、プロセッサを動かして端末内部処理や、バスを動かして外部との情報のやりとりを担う機能となる。
【0025】
他方、打合せ参加者端末12は、打合せ参加者とリコメンドサーバ10とのやり取りを可能とする端末である。この打合せ参加者端末12は、参加管理機能130、プログラム群131、および不効用関数135を有している。
【0026】
上記プログラム群131は、サイトアクセス132、不効用評価133、および不効用関数管理134のプログラムが含まれる。また、参加管理機能130は、端末内部処理や、バスを動かして外部との情報のやりとりを担う機能となる。
<<ハードウェア構成例>>
図2は、本実施形態における計算機200のハードウェア構成例を示す図である。ここで示す計算機200は、リコメンドサーバ10、打合せ主催者端末11、及び打合せ参加者端末12のそれぞれに対応するものとする。
【0027】
こうした計算機200は、補助記憶装置201、主記憶装置203、プロセッサ(演算装置)204、入力装置205、出力装置206、および通信装置207を備えている。
【0028】
このうち補助記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0029】
また、主記憶装置203は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0030】
また、演算装置204は、補助記憶装置201に保持されるプログラム202を主記憶装置203に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0031】
また、入力装置205は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける、キーボードやマウス、マイクなどの適宜な装置である。
【0032】
また、出力装置206は、演算装置204での処理データの表示を行うディスプレイ、
スピーカー等の適宜な装置である。
【0033】
また、通信装置207は、ネットワーク5と接続して他装置との通信処理を担うネットワークインターフェイスカードである。
【0034】
なお、補助記憶装置201内には、本実施形態のリコメンドシステム1を構成する情報処理装置として必要な機能を実装する為のプログラム202に加えて、処理に必要となる情報、或いは処理により得られた情報が少なくとも記憶されているものとする。
<<リコメンド方法:初期設定>>
図3は、本実施形態における初期設定の処理手順を示したものである。以下、打合せ主催者端末11、打合せ参加者端末12、およびリコメンドサーバ10の間のやりとりに従って説明する。
【0035】
なお打合せ主催者端末11は、各打合せ参加者への連絡用情報(例えばメールアドレス)を予め有して利用可能であることを前提とする。また打合せ参加者端末12は、本図では1つ、すなわち打合せ参加者が1名であるが、1名以上存在することを想定する。また、打合せ主催者は、打合せの日程調整を行うことを考えているとする。
【0036】
そこで、打合せ主催者端末11は、打合せ主催者が入力装置で指定した初期情報204を、リコメンドサーバ10に送信する。
【0037】
図4に、上述の初期情報204のデータ項目を示す。初期情報204において、そのデータ項目は、例えば、候補日、候補開始時間、候補終了時間、暫定場所、および最大参加者、を有している。また、これらデータ項目に対して値が設定されている。これらはいずれも打合せ開催者が設定したものである。
【0038】
なお、上述の送信は、例えばリコメンドサーバ10が開示しているURLに対し、打合せ主催者端末11がネットワーク5を介して、REST/JSONで上述の初期情報204を送ることが挙げられる。勿論、本発明において送信手段をこれに限定しない。以下、端末―サーバ間の種々のやりとりについては、同様な送信手段にて行うものとして説明を続ける。
【0039】
一方、リコメンドサーバ10は、上述の初期情報204を受信したことに伴い、会議ID採番205を実行する。ここでは、打合せ主催者に対する、今回の日程調整用の会議IDを採番する。上述の会議IDについては、他の問い合わせと重複しないよう、ユニークに採番する。
【0040】
リコメンドサーバ10は、採番した会議IDを開催情報206として、打合せ主催者端末11に返信する。図5に、当該開催情報206のデータ項目を示す。
【0041】
開催情報206は、データ項目として、例えば、会議URL、会議ID、およびアクセスIDを有している。
【0042】
このうち会議URLと会議IDは、今回の日程調整用に使うものである。また、アクセスIDは、打合せ参加者が会議URLにアクセスするための初期IDを備えている。
【0043】
上述のアクセスIDは、上述の初期情報204における参加者数に従って、重複なく割り当てられている。
【0044】
上述のアクセスIDは、この会議IDの中ではユニークであり、会議IDとアクセスI
Dを合わせたもので、他の打合せ主催者、打合せ参加者とのアクセスと区別できるものとなっている。これにより打合せ主催者は、打合せ参加者に日程調整用のURL、および会議IDを送ることができる。
<<リコメンド方法:参加者登録>>
図6は、本実施形態における参加者登録の処理手順を示す図である。この場合、打合せ主催者端末11の開催案内作成301は、リコメンドサーバ10から受け取った開催情報206に従い、各打合せ参加者端末12に開催案内302を送信する。
【0045】
図7は開催案内302のデータ項目を示した図である。開催案内302においては、例えば、データ項目として、会議URL、会議ID、アクセスID、打合せ内容、および任意/必須の各項目を有している。
【0046】
このうち、打合せ内容の項目については、今回の打合せの内容が格納されている。そのため、打合せ参加者は、この打合せ内容の値を確認することで、自分にとってどれだけ重要な打合せか判断することができる。
【0047】
また、必須/任意の項目は、打合せ主催者が打合せ参加者にどれだけ出席を期待しているのかを示した項目である。打合せ参加者は、この項目を参照することで、優先的に出たほうが良いか判断することができる。
【0048】
一方、打合せ参加者端末12のサイトアクセス303では、打合せ主催者端末11から受け取った上述の開催案内302に従って、リコメンドサーバ10にアクセス情報304を送信する。
【0049】
図8はアクセス情報304のデータ項目を示した図である。アクセス情報304は、例えば、データ項目として、会議URL、会議ID、およびアクセスIDを有している。打合せ参加者端末12は、会議URLと会議ID、および一時的な情報となるアクセスIDをキーに、リコメンドサーバ10にアクセス可能となる。
【0050】
ここで図6の説明に戻る。リコメンドサーバ10は、打合せ参加者端末12からアクセス情報304を受信し、これが示す会議IDとアクセスIDを確認し、本アクセスが正しい打合せ参加者からのものか判定する。
【0051】
また、リコメンドサーバ10の個人ID採番305は、本アクセスに対する個人IDの採番を行い、個人ID306を打合せ参加者端末12に返信する。
<<リコメンド方法:調整>>
図9は、本実施形態における調整の処理手順を示す図である。打合せ参加者端末12は、リコメンドサーバ10から上述の個人ID306を受け取り、当該個人ID306を使い、参加情報401としてリコメンドサーバ10に送信する。
【0052】
図10は、本実施形態における参加情報401のデータ項目を示したものである。この参加情報401のデータ項目としては、例えば、会議URL、会議ID、および個人IDを有している。
【0053】
このうち個人IDは、上述の参加者登録の際に採番された個人ID306である。この個人IDにより、リコメンドサーバ10側で、正当な打合せ参加者からのアクセスである事を確認できる。
【0054】
続いてリコメンドサーバ10は、すべての打合せ参加者端末12から参加情報401を受け取った後、打合せ候補選定402を行う。ここで選定する打合せ候補については、複
数、もしくは1つの候補を選定する。リコメンドシステム1は、選定した候補の情報を、各打合せ参加者端末12に対し、会議候補情報403として送信する。
【0055】
図11は、会議候補情報403のデータ項目を示した図である。この会議候補情報403のデータ項目としては、例えば、会議ID、候補ID、場所、交通アクセス、候補日、開始時刻、および終了時刻を有している。この会議候補情報403により、打合せ参加者端末12側で効用評価が可能となる。
【0056】
ここで、図9の説明に戻る。各打合せ参加者の打合せ参加者端末12は、上述の会議候補情報403が示す各候補に対して不効用評価403を行い、その結果を評価結果405としてリコメンドサーバ10に送信する。
【0057】
図12は評価結果405のデータ項目を示した図である。評価結果405のデータ項目は、例えば、会議ID、候補ID、個人ID、優先度、不効用、およびΔ不効用を有している。
【0058】
このうち優先度は、この打合せに対する打合せ参加者の優先度を示している。当該優先度のつけ方については後述する。
【0059】
また、不効用については、打合せ参加者の打合せ場所に対する不効用関数の値が格納されている。また、Δ不効用は、打合せ場所を少し変えた時の不効用変化(単位変化あたりの不効用の変化値)の値が格納されている。
【0060】
ここで図6の説明に戻る。続いて、リコメンドサーバ10は、各打合せ参加者端末12から受信した評価結果405に基づいて、評価集計406を行う。リコメンドシステム1は、この評価集計406の結果を、打合せ主催者端末11に送信する。
【0061】
図13に、リコメンドサーバ10が、各打合せ参加者端末12から送られてきた、各候補に対する評価結果405を格納するテーブル108の構成を示す。このテーブル108は、会議ID、候補ID、個人IDでユニークになるように採番されているため、本テーブルも会議ID、候補ID、個人IDを検索のキーとし、必須/任意、合計不効用、移動時間不効用、時間不一致不効用、費用不効用、疲労不効用、移動時間Δ不効用、時間不一致Δ不効用、費用Δ不効用、疲労Δ不効用、といった値を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0062】
本実施形態においては、複数の打合せ参加者端末12に対し、複数の候補の評価結果が必要なことから、会議ID、候補ID、個人IDでユニークになるように採番されている。そのため、本テーブル108も。会議ID、候補ID、個人IDを検索のキーとすることで、評価結果のレコードを一意に選択が可能である。
【0063】
また、
図14は評価結果406の集計結果すなわち評価集計406の結果を格納するテーブル109の構成を示したものである。このテーブル109は、全ての打合せ参加者からの評価結果に関する集計結果であるため、図13のテーブル108の中から、個人IDの項目を除く項目の値から構成されている。
【0064】
ここで図6の説明に戻る。打合せ主催者端末11は、各候補についてどの様な評価結果になっているか、評価確認407にて上述の評価集計406の結果を出力し、打合せ主催者に提示して確認に供する。
【0065】
一方、リコメンドサーバ10は、上述の評価集計406に引き続き、評価結果405から候補収束判定408にて収束判定を行い、候補が収束していなければ、打合せ候補選定402を再度実行し、処理を続行する。
【0066】
他方、候補が収束している場合、リコメンドサーバ10は、最終決定案情報作成409により最終決定案410の情報を作成し、これを最終決定案通知として打合せ主催者端末11に送信する。
【0067】
図15は最終決定案410のデータ項目を示したテーブルである。最終決定案410は、データ項目として、例えば、会議ID、候補ID、場所、交通アクセス、開催日、開始時間、終了時間、および参加者予測情報を含んでいる。このうち参加者予測情報については後述する。打合せ主催者端末11は、こうした最終決定案410を得て、これを出力して打合せ主催者に提示することとなる。この場合、打合せ主催者は、打合せ参加者全員の移動時間や負担の少ない、打合せの時間と場所を指定できたか判断可能となる。
【0068】
一方、打合せ主催者端末11は、打合せ主催者による上述の最終決定案410の確認指示を経て、当該打合せに対する打合せ主催者による補足入力を補足追加411で受け付けて、この補足追加を経たものを最終決定通知412として、各打合せ主催者端末11に送信する。
【0069】
図16は最終決定通知412のデータ項目を示したものである。最終決定案412のデータ項目としては、例えば、打合せを開催する場所、交通アクセス、開催日、開始時間、終了時間、打合せ内容、および任意/必須を含むものとする。
<<打合せ候補の場所を含む交通ネットワーク等について>>
ここで、図9のシーケンス図における、候補収束判定408の詳細説明に用いる、交通ネットワークの例等について予め説明しておく。図17は、打合せ候補の場所(会議室等)の最寄り駅や最寄りバス停と、それを繋ぐ鉄道路線やバス路線を、交通ネットワークとして示した例である。
【0070】
この交通ネットワークにおいて、鉄道路線1601は、太線(路線ごとに線種を変更)で表し、バス路線1602は細線で表している。また、矩形ノード1603は駅を示し、円形ノード1604はバスの停留所を示している。
【0071】
なお理解を容易にするため、交通手段を鉄道とバスの2種のみ示しているが、自家用車や自転車などその他の交通手段も、この交通ネットワークに含めるとしても良い。その場合には、主要な地点をノードにした交通ネットワークを追加することになるが、処理としては同様に行うことができる。
【0072】
図18は、上述の交通ネットワークをテーブル111のデータ構造とした例である。テーブル111におけるデータ構造としては、少なくとも、始点ID,終点ID,設定日、設定時刻、交通手段、所要時間、費用、および混雑度の各項目が必要となる。
【0073】
このうち始点ID,終点IDは、図17の各ノードに対応し、設定日・設定時刻は、とある日、時刻を示している。また交通手段は、その設定日・設定時刻に利用したと仮定したときの交通手段を示している。また、その交通手段を用いた際の不効用を、所要時間、費用、混雑度の不効用として含むものとなっている。
【0074】
打合せ参加者端末12やリコメンドサーバ10は、こうしたデータを使い、例えば、既知の交通ルート検索サービス等で検索したルートに沿って、各不効用を集計することで、任意の地点間の不効用を計算することができる。
【0075】
また、図19は打合せ場所を記憶するテーブル112を示したものである。テーブル112は、そのデータ構造として、少なくとも打合せ場所ID,部屋ID,開始時刻、終了時刻、収容人数、設備情報、および予約会議IDの項目が必要となる。
【0076】
このうち打合せ場所IDは、図18の交通ネットワークのテーブル111における始点IDもしくは終点IDとして使われているノードに対応している。また、予約会議IDは、日程調整している会議IDを示しており、これが入っていることによって、部屋ID、開始時刻、終了時刻で予約があるかないかが分かる。また開始時刻、終了時刻、収容人数、設備情報によって、探している打合せ場所に好適か判断することができる。
<<リコメンド方法:候補収束判定等>>
次に図9で例示した調整シーケンスの詳細な処理内容について説明する。図20は、候補収束判定408を中心に、打合せ候補選定402から候補収束判定408までの一連の処理の詳細な処理方法を示したものである。
【0077】
最初に、リコメンドサーバ10は、初期情報204にて送られてきた暫定場所を、打合せ候補として主記憶装置203に保持する(1091)。この打合せ候補は複数あっても良い。また、ここでの暫定場所すなわち打合せ候補のイメージを、図21の交通ネットワーク290の例中において、オブジェクト291~293として示す。
【0078】
次に、リコメンドサーバ10は、上述の各打合せ候補291~293について、打合せ参加者端末12に宛てて評価を打診する(1902)。リコメンドサーバ10は、その評価結果(不効用)を打合せ参加者端末12から取得し、集計を行う(1903)。
図22の例では、打合せ候補291~293のそれぞれについて、各参加者(の打合
せ参加者端末12)から得られた評価結果を、テーブル291T、292T、293Tとして例示している。ここで例示した評価結果は、当該打合せ候補までの移動時間、移動にかかる費用、および(参加者が想定する時間との)時間不一致、の値と、その効用変化となる。
【0079】
ここで図23は、打合せ参加者端末12において行う不効用評価404の詳細な処理内容を示したものである。打合せ参加者端末12は、予め保持する不効用関数を取得する(2001)。不効用関数については後述する。
【0080】
次に打合せ参加者端末12は、リコメンドサーバ10から送られてきた会議候補情報403から打合せ候補を取得する(2002)。そして打合せ参加者端末12は、各打合せ候補へのルート検索を実施する(2003)。
【0081】
また、打合せ参加者端末12は、上述のルート検索結果に基づき、各ルート内のそれぞれの移動について不効用を算出し、それをルートに基づいて合算することでルートの不効用を算出する(2004)。
【0082】
また、打合せ参加者端末12は、上述のルート検索に対し一単位変化させたときのΔ不効用の計算を行う(2005)。例えば、移動時間52分に対する不効用が620と算出された際に、設定された単位(1分)を減らした移動時間51分、に対する不効用が600とする。この時の差分は20となるため、移動時間Δ不効用は20(1分減らせば不効用は20改善見込みがある)となる。
【0083】
同様に打合せ時間をずらした時の時間不一致Δ不効用、費用を減らした時の費用Δ不効用、疲労を減らしたときの疲労Δ不効用を求めていく。
【0084】
ここで、上述の不効用を示す不効用関数について説明する。図24は、時間不一致不効用関数の設定画面を示すものである。この時間不一致不効用関数は、利用者が設定する時間不効用点の円形オブジェクト2101、各円形オブジェクト2101を結ぶ太線2102から構成されている。この太線2102は、時間不効用点の間の不効用値を推定した不効用関数の線分である。
【0085】
また縦軸2103は効用値の軸であり、横軸2104は空き時間の軸を示している。打合せ参加者は、この画面から、最初に余裕時間2109の設定を行う。これは0以上の時間を表しており、打合せ場所に行った後、実際に打合せが始まるまでの希望する余裕時間を示している。打合せ候補に関して、この余裕時間以上に余裕時間があれば本例では不効用を0、それより下回ると、不効用が発生するとしている。
【0086】
また、打合せ参加者は、重なり許容時間2110の設定を行う。これは打合せに途中から参加することに対する不効用をどこまで設定するかを表している。これを超えると(許容できないものとして)不効用が一番下になるものとする。
【0087】
これら不効用の中間点を、時間不効用点2101としていくつか設定することができる。例えば、打合せ参加者端末12の画面上で、打合せ参加者が長押し操作を行うと、打合せ参加者端末12は、時間不効用点を設定し、時間不効用点がドラッグ操作されると変更処理を行い、また時間不効用点が2度押し操作されると当該時間不効用点を削除する、としても良い。
【0088】
なお、連続した時間不効用点で時間幅を0とした時は効用が不連続になるが、それても良いものとする。例えば時間不効用点2107と2108は、同じ空き時間上にあるため、その点間では不効用は不連続で未定義となるが、それでも本発明においては構わない。一度、時間効用点の設定が完了した場合、不効用関数は各時間不効用点を通過するような関数を自動推定する。
【0089】
図25は費用不効用関数の設定画面を示したものである。この画面において、縦軸が不効用を表す効用値2201、横軸が費用2202となっている。
【0090】
この画面において、費用への許容度を示す許容度2203が設定されている。打合せ候補に関する費用がこの許容度2203の範囲を超えた場合、許容できない不効用になるものとする。
【0091】
また費用については、インセンティブも考慮してマイナス費用に対する不効用も設定できるようにする。不効用関数の求め方は図24で説明した時間不一致不効用関数と同じであるため省略する。こうして推定された不効用関数はグラフ2204のような線分を示すものとなる。
【0092】
図26は時間不効用関数の設定画面を示している。この画面において、縦軸が不効用2301を表しており、横軸が移動時間2302を示している。
【0093】
打合せ候補に関する移動時間が、許容度2303の範囲を越える場合、許容できない不効用値とする。なお移動時間の場合は、マイナスは定義できないため、移動時間は0以上で不効用をモデル化する。不効用関数の推定方法は図23で説明した時間不一致不効用関数と同じであるため省略する。
【0094】
図27は上記で述べた不効用関数の推定方法に関する処理内容を示すフロー図である。ここで、打合せ参加者端末12は、打合せ参加者の指定を入力装置で受けて、余裕時間を
設定し(2401)、同様に、重なり許容時間を設定する(2402)。
【0095】
次に、打合せ参加者端末12は、各時間不効用点の設定を打合せ参加者から受け付けて(2403)、各時間不効用点を空き時間順に順序付けを行う(2404)。また、打合せ参加者端末12は、最も空き時間の少ない(マイナスのところ)から、空き時間が増える方向で探索を行い、不連続な時間不効用点間を検出し、それまでの時間不効用点までの関数推定を行う(2405)。
【0096】
関数推定方法はいくつも考えられるが、例えば設定された時間不効用点の個数から最低限必要な関数の次数k=時間不効用点-1の個数とし、多項式近似(y=a_0+a_1
x+a_2x^2+a_3x^3+?+a_kx^k)での関数推定が可能である。
【0097】
図28は、参加の確からしさを集計するためのスコアリング方法を示すテーブル2501である。テーブル2501の左側列は選択肢を示しており、本例では(必ず行く、n番目の優先度で行く(ただしn<k)、n番目の優先度で行く(ただしn≧k)か、空いていたら行く、か行かない)の評価を付けられるようにしている。これに対するスコアリングは右列に示している。
【0098】
本例では「必ず行く」を1、「行かないを」0、「n番目かの優先度で行く」を1/n、ただし「n≧k」の時には1/K、「空いていたら行く」を1/Kとしている。
【0099】
打合せ参加者が持つスケジュール管理から、打合せ参加者端末12でスケジュールの重なりを見つけた際に、打合せ参加者に対し優先度を確認し、優先度結果からこのようなスコアリングをすることで、後で参加者全体の期待参加者数の推定が可能となる。
【0100】
図29図9で説明した調整の際、打合せ主催者端末11で確認できる評価確認407の様子を示している。この画面において、縦軸が件数2601であり、横軸がスコア2602を示している。また各スコア2603に対応付けて、棒グラフ2604で各スコアの件数を表している。これにより打合せ参加者の参加状況の概況を推測することができる。
【0101】
図30は、図29の評価確認407の画面で示すグラフを累積グラフにしたものである。累積はスコア1から左方向に加算したものであるが、加算する際にスコア値×件数を加算することで、より期待値に近づくようにしている。
【0102】
例えば、スコア1/2の件数が3であった場合、優先度2の参加者が3人であるため、1/2*3=1.5人が加算される。縦軸は期待参加者数2701を示し、横軸におけるスコア2702、2703は必ず参加する人の数、また、優先度iまで含めた場合の期待人数2704を示している。
【0103】
また、この累積グラフにおいて、推定参加者数2705のガイドを示しており、このガイドと縦軸の交点を期待参加者数とする。このガイドは、どのスコア値の参加者まで含めるかで変化するガイドであり、この可視化によって、打合せ主催者は、打合せ場所の収容人数が何人と考えるべきか推定が容易になる。
【0104】
ここで図20のフローの説明に戻る。リコメンドサーバ10は、各打合せ候補291~293の近傍点311~318を列挙する(1904)。近傍点311~318とは、交通ネットワークにおいて、打合せ候補291~293が所属する地点に対し、接続関係がある地点のことを指している(図31参照)。
【0105】
次に、リコメンドサーバ10は、上述の打合せ候補291~293から各近傍点311
~318への道のりについて、不効用計算を行う(1905)。このステップ1905では、各打合せ参加者の打合せ参加者端末12に問い合わせずに、リコメンドサーバ側で設定した標準的な不効用関数に基づき計算することを想定している。ただし代替案として、各打合せ参加者端末12に直接問い合わせてもよい。
【0106】
図32で例示する交通ネットワークにおいて、例えば、打合せ候補291から近傍点311に関する不効用計算のうち、移動時間に関するものは、各参加者が打合せ候補291まで要する移動時間に、当該打合せ候補291から近傍点311までに要する移動時間を加算する計算となる。
【0107】
また、打合せ候補291から近傍点311に関する不効用計算のうち、費用に関するものは、各参加者が打合せ候補291まで要する移動費用に、当該打合せ候補291から近傍点311までに要する移動費用を加算する計算となる。
【0108】
また、打合せ候補291から近傍点311に関する不効用計算のうち、時間不一致に関するものは、当該打合せ候補291に関して得ている時間不一致の値に、当該打合せ候補291から近傍点311までに要する移動時間の値を加算する計算となる。
【0109】
そうしてリコメンドサーバ10で得られた、各近傍点311~318に関する不効用計算の結果を、テーブル311T~318Tとして例示する。
【0110】
次に、リコメンドサーバ10は、ある打合せ候補pと、その近傍点(p,i)としたときに、不効用変化が最大となる近傍点(p,i_max)を特定する(1906)。図33の例では、例えば、打合せ候補291の近傍点311、312のうち、近傍点311を不効用変化が最大となる近傍点として特定している。この場合、近傍点ごとに不効用変化Δの値(移動時間、費用、時間不一致)を集計し、その集計値が最も大きいものを不効用変化最大の近傍点として特定することになる。
【0111】
そして、リコメンドサーバ10は、以下の式を満たす打合せ候補pについては、打合せ候補から削除する(1907)。当該式は、打合せ候補pの不効用-{打合せ候補pから、不効用変化最大の近傍点(p,i_max)に移動する際の不効用}>これまでの最小な不効用を持つ打合せ候補qの不効用、となる。
【0112】
各打合せ参加者の正確な位置が分からないため、打合せ候補pから、不効用変化最大の近傍点(p,i_max)に移動しても、全体の不効用が下がるか上がるかはわからないが、仮に不効用が下がったとしても求める解ではないことによるためである。
【0113】
例えば、図34において、これまでの最小の不効用値を持つ打合せ候補qを、打合せ候補291(=点α)とすると、この打合せ候補291の不効用値100と、打合せ候補293(=点γ)の不効用値120、およびその不効用変化最大の近傍点317の不効用値110の関係は、上記式を成立させる。つまり、打合せ候補293は打合せ候補から除外される対象となる。
【0114】
これは、打合せ候補293の不効用値120から、その不効用変化最大の近傍点317(=(γ,i_max))の不効用値110との差分10を差し引きした値110が、打合せ候補291の不効用値100より大きい故である。
【0115】
次に、リコメンドサーバ10は、ある打合せ候補rに対し、各候補者のΔ不効用最小となる観点(例えば費用)について、打合せ候補rから近傍点の最大不効用となる近傍点(r,j)の不効用を、各打合せ参加者端末12に打診する(1908)。図35の例では
、打合せ候補291(点α)に対する近傍点311、および打合せ候補292に対する近傍点314に関する打診を行ったものとしている。
【0116】
そして、リコメンドサーバ10は、この近傍点(r,j)、すなわち近傍点311、314が効用集計結果を改善する場合(rに対する不効用と(r,j)に対する不効用を比較し改善する場合)には、打合せ候補rから、近傍点(r,j)に打合せ候補を変更する(1909)。
【0117】
図36の例では、打合せ候補291と近傍点311に関しては、その関係に変化はないが、打合せ候補292と近傍点314に関しては、近傍点314を打合せ候補(点β)に変更している。
【0118】
リコメンドサーバ10は、こうした打合せ候補の変更が無くなったかを判定し(1910)、変更が無くなっていれば、最も不効用が少ない打合せ候補δを、打合せ場所と決定する(1912)。図37の例では、元の近傍点317が打合せ候補δとして決定された例を示している。
【0119】
一方、打合せ候補の変更が無くなっていない場合、リコメンドサーバ10は、打合せ候補の減少分について、新たな打合せ候補をランダムに選択し(1911)、再度計算を行う。図38の例では、打合せ候補295(点γ)を追加した形態を示している。
【0120】
この時、打合せ候補について候補計算したかどうか記憶しておくことで、一度解候補から漏れた打合せ候補を再度選ぶことがなくなり、より解収束することが期待できる。
【0121】
またほとんど同じ場所を示す候補についてはグループ化しておき、グループ単位で打合せ候補の管理(解候補として選択、解候補から削除済、未選択)をして収束性の改善をしても良い。
【0122】
以上述べた方法により、本発明の打合せ時間と位置のリコメンドシステムによって、打合せの各参加者に対し、無駄な移動時間をより少なくし、不公平感のない打合せ時間と場所を決定し提案することができる。また、打合せの日程調整の際に、開示するプライバシー情報をより少なくして日程調整することが可能となる。さらに、打合せ開催者に対しても、打合せ準備に対する準備の支援をすることができる。
【0123】
また本例では、打合せ参加者端末で不効用関数を設定することを説明したが、この不効用関数の設定については、各観点(移動時間、費用、時間不一致等)で各1つずつでもよく、各予定に設定しても良い。
【0124】
各予定に設定する場合には、スケジュールをクリックしたときに不効用関数の設定画面を立ち上げ、その予定に対する不効用関数を設定できるようにすること、各打合せ候補の問い合わせに対し、最も近い予定を特定し、その予定の不効用関数を利用すればよい。
【0125】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0126】
こうした本実施形態によれば、打合せの各参加者に対し、無駄な移動時間をより少なくし、不公平感のない打合せ時間と場所を決めることができる。また、打合せの日程調整の際に、開示するプライバシー情報をより少なくして日程調整を行うことができる。さらに、打合せ主催者に対しても、打合せ準備に対する準備の支援をすることができる。
【0127】
すなわち、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所を迅速かつ効率的に算定可能となる。
【0128】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せ場所の探索に際し、前記打合せ参加者における移動に要する時間、費用、および開催時期と当該打合せ参加者の想定参加時刻の不一致、の各観点での不効用と、当該各観点に関する前記不効用の変化値を計算し、当該計算の結果に基づき、探索効率への影響度が相対的に大きい観点に関して前記索を行うものである、としてもよい。
【0129】
これによれば、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。
【0130】
また、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せの主催者の端末から、開催予定の打合せの情報を得て、当該打合せに関して会議IDを採番し、当該会議IDを含む開催情報を、前記主催者の端末に応答する処理と、前記主催者の端末から前記開催情報を含む開催案内を受けた前記打合せ参加者の端末より、アクセスを受けて当該打合せ参加者に関して個人IDを採番し、当該個人IDを前記打合せ参加者の端末に応答する処理と、前記個人IDを含む前記不効用の情報を前記打合せ参加者の端末から受信して、前記打合せ場所の探索を行い、当該打合せ場所の情報を前記主催者の端末に出力する処理を実行するものである、としてもよい。
【0131】
これによれば、打合せ参加者における不効用の情報が、識別情報等をキーに打合せ主催者に感知されることがない。ひいては、打合せ参加者のプライバシーにより配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。
【0132】
また、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せ参加者の打合せに対する優先度評価を所定アルゴリズムにて行い、当該優先度に応じて期待参加者数の推定を実行するものである、としてもよい。
【0133】
これによれば、打合せ参加者らをその打合せ参加の意思の強さで分類し、最終的な参加者数を推定可能となる。ひいては、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。また、打合せ主催者における、打合せ用の準備等の参照情報が得られることになり、打合せ全体の効率化につながりうる。
【0134】
また、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せ参加者の端末から、当該打合せ参加者における、移動時間と不効用の対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、移動時間に関する不効用関数を推定し、前記不効用関数により前記単位変化あたりの不効用の変化値を算定するものである、としてもよい。
【0135】
これによれば、打合せ場所の探索が効率的となり、ひいては、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。
【0136】
また、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せ参加者の端末から、当該打合せ参加者における、打合せ時刻を含む当該打合せ時刻前後の時間帯と不効用の対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、打合せ時刻の不一致に関する不効用関数を推定し、前記不効用関数により前記単位変化あたりの不効用の変化値を算定するものである、としてもよい。
【0137】
これによれば、打合せ場所の探索が効率的となり、ひいては、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。
【0138】
また、本実施形態のリコメンドシステムにおいて、前記演算装置は、前記打合せ参加者の端末から、当該打合せ参加者における、打合せ参加に要する費用と不効用の対応関係に関する指定を受け付けて、当該対応関係に基づいて、不効用関数を推定し、前記不効用関数により前記単位変化あたりの不効用の変化値を算定するものである、としてもよい。
【0139】
これによれば、打合せ場所の探索が効率的となり、ひいては、打合せ参加者のプライバシーに配慮しつつ、各打合せ参加者に好適な打合せ場所をより迅速かつ効率的に算定可能となる。
【符号の説明】
【0140】
1 リコメンドシステム
5 ネットワーク
10 リコメンドサーバ
101 プログラム群
102 会議ID採番プログラム
103 個人ID採番プログラム
104 打合せ候補選定プログラム
105 候補収束判定プログラム
106 最終決定案情報作成プログラム
107 データ
108 評価結果のデータ
109 評価結果集計結果のデータ
110 参加者数のデータ
111 交通ネットワークのデータ
112 打合せ場所のデータ
113 リコメンドサーバ管理機能
11 打合せ主催者端末
120 開催管理機能
121 プログラム群
122 開催案内作成プログラム
123 評価確認プログラム
12 打合せ参加者端末
130 参加管理機能
131 プログラム群
132 サイトアクセスプログラム
133 不効用評価プログラム
134 不効用関数管理プログラム
135 不効用関数のデータ
200 計算機
201 補助記憶装置
202 プログラム
203 主記憶装置
204 演算装置
205 入力装置
206 出力装置
207 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38