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特許7402749静電センサ、制御装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】静電センサ、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20231214BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231214BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/041 500
G06F3/044 120
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020095691
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021189856
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 勝洋
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111340(JP,A)
【文献】特開2013-084437(JP,A)
【文献】特開2015-026501(JP,A)
【文献】特開2009-111996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0101417(US,A1)
【文献】特開2009-295283(JP,A)
【文献】特開2006-127975(JP,A)
【文献】特開2015-053123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0354
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一検出領域および第二検出領域を有する被操作体と当該第一検出領域および当該第二検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量を検出する検出装置と、
前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記第一検出領域と前記第二検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する制御装置と、
を備えており、
前記第一検出領域は、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記第二検出領域との間に配置されており
記制御装置は、前記第二検出領域と前記第二領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回る場合に、前記第一検出領域に対して操作がなされていないと判断する、
静電センサ。
【請求項2】
記制御装置は、前記第二領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回っても、前記第一領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回れば、前記第一検出領域に対して操作がなされたと判断する、
請求項に記載の静電センサ。
【請求項3】
前記第一領域の面積は、前記第二領域の面積よりも大きい、
請求項1または2に記載の静電センサ。
【請求項4】
前記第一領域の面積は、前記被操作体に対して操作を行なう物体について想定される接触面積よりも大きい、
請求項1からのいずれか一項に記載の静電センサ。
【請求項5】
移動体に搭載されるように構成されている、
請求項1からのいずれか一項に記載の静電センサ。
【請求項6】
第一検出領域および第二検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置であって、
前記被操作体と前記第一検出領域および前記第二検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付ける受付部と、
前記検出情報に対応する静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記第一検出領域と前記第二検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する処理部と、
を備えており、
前記第一検出領域は、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記第二検出領域との間に配置されており
記処理部は、前記検出情報に対応する前記第二検出領域と前記第二領域の静電容量が前記閾値を上回る場合に、前記第一検出領域に対して操作がなされていないと判断する、
制御装置。
【請求項7】
第一検出領域および第二検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記第一検出領域は、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記第二検出領域との間に配置されており、
実行されることにより、前記制御装置に
前記被操作体と前記第一検出領域および前記第二検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付けさせ、
前記検出情報が示す前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記第一検出領域と前記第二検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断させ
記検出情報に対応する前記第二検出領域と前記第二領域の静電容量が前記閾値を上回る場合に、前記第一検出領域に対して操作がなされていないと判断させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサに関連する。本発明は、当該静電センサの動作を制御する制御装置、および当該制御装置により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、静電センサを開示している。当該静電センサにおいては、電極により生成される電界内に位置する被操作体にユーザの指などが近づくことによって疑似的なコンデンサが形成され、電極と被操作体の間の静電容量が増加する。この静電容量の増加が検出されることにより、ユーザによる被操作体への操作がなされたかが判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-210811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための第一態様は、静電センサであって、
複数の検出領域を有する被操作体と当該複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量を検出する検出装置と、
前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する制御装置と、
を備えており、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記制御装置は、前記第二領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされていないと判断する。
【0006】
上記の目的を達成するための第二態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置であって、
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付ける受付部と、
前記検出情報に対応する静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する処理部と、
を備えており、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記処理部は、前記検出情報に対応する前記第二領域の静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされていないと判断する。
【0007】
上記の目的を達成するための第三態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
実行されることにより、前記制御装置に
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付けさせ、
前記検出情報が示す前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断させ、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記検出情報に対応する前記第二領域の静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされていないと判断させる。
【0008】
第一態様から第三態様の各々に係る構成によれば、複数の検出領域のうち第一領域と第二領域を有する検出領域については、第一領域と他の検出領域の間に配置された第二領域に対応付けられた電極と被操作体との間の静電容量が閾値を上回っても、当該検出領域に対して操作がなされたと判断されない。したがって、ある検出領域に対して操作体による操作がなされているときに当該操作体が意図せず第一領域を有する検出領域に接触または接近しても、第二領域への接触または接近を伴うので、当該接触または接近が第一領域を有する検出領域に対する操作として検出される事態の発生を抑制できる。したがって、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0009】
上記の目的を達成するための第四態様は、静電センサであって、
複数の検出領域を有する被操作体と当該複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量を検出する検出装置と、
前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する制御装置と、
を備えており、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記制御装置は、前記第一領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされたと判断する。
【0010】
上記の目的を達成するための第五態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置であって、
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付ける受付部と、
前記検出情報に対応する静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する処理部と、
を備えており、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記処理部は、前記検出情報に対応する前記第一領域の静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされたと判断する。
【0011】
上記の目的を達成するための第六態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記複数の検出領域の少なくとも一つは、第一領域と第二領域を有しており、
前記第二領域は、前記第一領域と前記複数の検出領域の他の少なくとも一つとの間に配置されており、
実行されることにより、前記制御装置に
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する検出情報を受け付けさせ、
前記検出情報に対応する静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断させ、
前記第一領域と前記第二領域を含む前記複数の検出領域の少なくとも一つについては、前記第一領域について検出された前記静電容量が前記閾値を上回る場合に、当該検出領域に対して操作がなされたと判断させる。
【0012】
第四態様から第六態様の各々に係る構成によれば、複数の検出領域のうち第一領域と第二領域を有する検出領域については、他の検出領域との間に第二領域を挟む第一領域に対応付けられた電極と被操作体との間の静電容量が閾値を上回れば、当該検出領域に対して操作がなされたと判断される。操作体が意図せず複数の検出領域に跨って接触または接近する場合、第二領域への接触または接近を伴うので、第一領域への接触または接近が検出された場合、第一領域を含む検出領域に対して意図的な操作がなされている可能性が高い。したがって、第一領域を含む検出領域に対する操作を正確に検出しやすくなり、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0013】
上記の目的を達成するための第七態様は、静電センサであって、
複数の検出領域を有する被操作体と当該複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量を検出する検出装置と、
前記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する制御装置と、
を備えており、
前記検出装置は、前記複数の検出領域の間に配置された検出電極に対する操作体の接触または接近を検出し、
前記制御装置は、前記検出電極に対する前記操作体の接触または接近が検出された場合に、前記被操作体に対して操作がなされていないと判断する、
静電センサ。
【0014】
上記の目的を達成するための第八態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置であって、
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する第一検出情報を受け付ける受付部と、
前記第一検出情報に対応する静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断する処理部と、
を備えており、
前記受付部は、前記複数の検出領域の間に配置された検出電極に対する操作体の接触または接近を示す第二検出情報を受け付け、
前記処理部は、前記受付部により前記第二検出情報を受け付けられた場合に、前記被操作体に対して操作がなされていないと判断する。
【0015】
上記の目的を達成するための第九態様は、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの動作を制御する制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置に
前記被操作体と前記複数の検出領域の各々に対応付けられた領域を有する電極との間の静電容量に対応する第一検出情報を受け付けさせ、
前記複数の検出領域の間に配置された検出電極に対する操作体の接触または接近を示す第二検出情報を受け付けさせ、
前記第一検出情報に対応する記静電容量が閾値を上回るかに基づいて、前記複数の検出領域の各々に対して操作がなされたかを判断させ、
前記第二検出情報が受け付けられた場合、前記被操作体に対して操作がなされていないと判断させる。
【0016】
第七態様から第九態様の各々に係る構成によれば、複数の検出領域のいずれかに対応付けられた電極と被操作体との間の静電容量が閾値を上回っても、両検出領域の間に配置された検出電極に対する操作体の接触または接近が検出されている場合、被操作体に対して操作がなされたと判断されない。一方の検出領域に対して操作をしている操作体が意図せず他方の検出領域に接触または接近した場合、検出電極に対する接触または接近を伴うので、当該接触または接近が他方の検出領域に対する操作として検出される事態の発生を抑制できる。したがって、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係る静電センサの機能構成を例示している。
図2図1の静電センサが搭載される車両を例示している。
図3図1の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
図4図1の静電センサの動作を説明するための図である。
図5図1の静電センサの動作を説明するための図である。
図6】第二実施形態に係る静電センサの機能構成を例示している。
図7図6の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
図8図6の静電センサの動作を説明するための図である。
図9図6の静電センサの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る静電センサ10の機能構成を例示している。
【0019】
図2に例示されるように、静電センサ10は、車両20に搭載されるように構成されている。例えば、静電センサ10は、車両20の車室内におけるステアリングホイール21やセンタクラスタ22に設置されうる。静電センサ10は、車両20の乗員による操作を受け付け、当該操作に基づいて車両20に搭載されている被制御装置を遠隔操作するように構成されている。被制御装置の例としては、空調装置、照明装置、映像音響設備、パワーウインドウ装置、シート装置などが挙げられる。車両20は、移動体の一例である。
【0020】
図1に例示されるように、静電センサ10は、被操作体11を備えている。被操作体11は、車両20の乗員の指30による操作を受け付けるように構成されている。
【0021】
被操作体11は、その表面に第一検出領域111と第二検出領域112を有している。第一検出領域111と第二検出領域112の各々は、被制御装置40における特定の機能を有効にするための指30による操作を受け付け可能な領域である。これらの領域は、当該表面に溝や段差が形成されることによって構造的に区画されるのではなく、当該表面に色が異なる部分、マーク、操作に影響の小さい凹凸などの少なくとも一つが便宜的に施されることによって、各領域の位置を乗員に認知させている。本例においては、第一検出領域111と第二検出領域112は、隣接している。
【0022】
第一検出領域111は、メイン領域111aとサブ領域111bを含んでいる。サブ領域111bは、メイン領域111aと第二検出領域112の間に配置されている。メイン領域111aは、第一領域の一例である。サブ領域111bは、第二領域の一例である。
【0023】
静電センサ10は、第一電極121、第二電極122、および第三電極123を備えている。第一電極121は、被操作体11の第一検出領域111におけるメイン領域111aに対応付けられた領域を有している。第二電極122は、被操作体11の第一検出領域111におけるサブ領域111bに対応付けられた領域を有している。第三電極123は、被操作体11の第二検出領域112に対応付けられた領域を有している。
【0024】
静電センサ10は、検出装置13を備えている。検出装置13は、被操作体11と第一電極121との間の静電容量、被操作体11と第二電極122との間の静電容量、および被操作体11と第三電極123との間の静電容量を、それぞれ検出するように構成されている。
【0025】
具体的には、検出装置13は、充放電回路を備えている。充放電回路は、充電動作と放電動作を行ないうる。充電動作時の充放電回路は、不図示の電源から供給される電流を第一電極121、第二電極122、および第三電極123へ供給する。放電動作時の充放電回路は、各電極から電流を放出させる。各電極に供給された電流により、被操作体11の周囲に電界が発生する。指30がこの電界に近づくと、特定の電極との間に疑似的なコンデンサが形成される。これにより、当該特定の電極と被操作体11の間の静電容量が増加する。静電容量が増加すると、放電動作時に当該特定の電極から放出される電流が増加する。
【0026】
すなわち、検出装置13は、被操作体11と各電極の間の静電容量を検出することにより、被操作体11におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを検出できる。検出装置13は、被操作体11におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを示す検出情報Sを出力するように構成されている。検出情報Sは、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。
【0027】
静電センサ10は、制御装置14を備えている。制御装置14は、受付部141、処理部142、および出力部143を備えている。
【0028】
受付部141は、検出装置13から出力された検出情報Sを受け付けるインターフェースとして構成されている。検出情報Sがアナログデータの形態である場合、受付部141は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含むように構成される。
【0029】
前述のように、検出情報Sは、被操作体11におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを示しうる。処理部142は、検出情報Sに基づいて、被操作体11における第一検出領域111または第二検出領域112に指30が接触または接近したことを判断するように構成されている。
【0030】
出力部143は、被制御装置40の動作を制御する制御情報Cを出力するインターフェースとして構成されている。処理部142は、指30の接触または接近が検出された被操作体11上の位置に基づいて、出力部143から制御情報Cを出力するように構成されている。制御情報Cは、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。制御情報Cがアナログデータの形態である場合、出力部143は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含むように構成される。
【0031】
例えば、検出情報Sに基づいて第二検出領域112に指30が接触または接近したことが検出されると、処理部142は、被制御装置40の一機能を有効にする制御情報Cを出力部143から出力する。
【0032】
図3を参照しつつ、制御装置14の処理部142によって実行されるより具体的な処理の流れについて説明する。
【0033】
処理部142は、検出情報Sに基づいて、検出装置13により検出された被操作体11との間の静電容量が閾値を上回る電極に対応付けられた検出領域があるかを判断する(STEP11)。該当する検出領域が見つかるまで当該判断が繰り返される(STEP11においてNO)。
【0034】
被操作体11との間の静電容量が閾値を上回る電極に対応付けられた検出領域があると判断されると(STEP11においてYES)、処理部142は、当該検出領域がサブ領域を含む検出領域であるかを判断する(STEP12)。本例においては、当該検出領域がとサブ領域111bを有する第一検出領域111であるかが判断される。
【0035】
当該検出領域がサブ領域111bを含む第一検出領域111であると判断されると(STEP12においてYES)、処理部142は、サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回るのかを判断する(STEP13)。
【0036】
サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回ると判断された場合(STEP13においてYES)、処理部142は、第一検出領域111に操作がなされていないと判断する(STEP14)。その後、処理はSTEP11に戻る。
【0037】
サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回らないと判断された場合(STEP13においてNO)、換言するとメイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回ると判断された場合、処理部142は、第一検出領域111に操作がなされたと判断する(STEP15)。その後、処理は終了する。
【0038】
被操作体11との間の静電容量が閾値を上回る電極に対応付けられた検出領域がサブ領域111bを含まない検出領域であると判断されると(STEP12においてNO)、処理部142は、当該検出領域に操作がなされたと判断する(STEP15)。本例においては、第二検出領域112に操作がなされたと判断される。その後、処理は終了する。
【0039】
図4図5を参照しつつ、上記のように構成された静電センサ10の動作の一例を説明する。図4においては、ユーザの指30が被操作体11の第一検出領域111におけるメイン領域111aのみに接触している。
【0040】
この場合、メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が、閾値を上回る(図3のSTEP11においてYES、STEP12においてYES)。他方、サブ領域111bに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量は、閾値を上回らない(図3のSTEP13においてNO)。したがって、制御装置14の処理部142は、第一検出領域111に操作がなされたと判断する(図3のSTEP15)。
【0041】
図5においては、ユーザの指31が被操作体11の第二検出領域112に接触しているとともに、ユーザの別の指32が被操作体11の第一検出領域111におけるサブ領域111bに接触している。
【0042】
この場合、第二検出領域112に対応付けられた第三電極123と被操作体11との間の静電容量が、閾値を上回る(図3のSTEP11においてYES)。第二検出領域112はサブ領域を有していないので(図3のSTEP12においてNO)、制御装置14の処理部142は、第二検出領域112に操作がなされたと判断する(図3のSTEP15)。
【0043】
他方、第一検出領域111のサブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が、閾値を上回る(図3のSTEP11においてYES、STEP12においてYES、STEP13においてYES)。したがって、制御装置14の処理部142は、第一検出領域111に操作がなされていないと判断する(図3のSTEP14)。
【0044】
上記のような構成によれば、メイン領域111aと第二検出領域112との間にサブ領域111bを有する第一検出領域111については、サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回っても、第一検出領域111に対して操作がなされたと判断されない。したがって、第二検出領域112に対して操作がなされているときに意図せず乗員の身体の一部が第一検出領域111に接触または接近した場合、当該接触または接近が第一検出領域111に対する操作として検出される事態の発生を抑制できる。したがって、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0045】
図3に例示されるように、サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回ると判断された場合(STEP13においてYES)、処理部142は、メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回るかを判断しうる(STEP16)。
【0046】
メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回らないと判断された場合(STEP16においてNO)、処理部142は、第一検出領域111に操作がなされていないと判断する(STEP14)。その後、処理はSTEP11に戻る。
【0047】
メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回ると判断された場合(STEP16においてYES)、処理部142は、第一検出領域111に操作がなされたと判断する(STEP15)。その後、処理は終了する。
【0048】
すなわち、サブ領域111bに対応付けられた第二電極122と被操作体11と間の静電容量が閾値を上回っていても、メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回っていれば、第一検出領域111に対して意図的に操作がなされている蓋然性が高いと判断する。このような構成によれば、意図的に第一検出領域111が操作されている場合と、意図せず第一検出領域111が操作されている場合との区別を容易にできる。第一検出領域111に対する操作がなされていないと判断される頻度が低下するので、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0049】
処理部142は、図3におけるSTEP13の処理に代えて、STEP16の処理のみを行なってもよい。すなわち、処理部142は、メイン領域111aに対応付けられた第一電極121と被操作体11との間の静電容量が閾値を上回っていれば第一検出領域111に対して操作がなされたと判断し、当該静電容量が当該閾値を上回っていなければ第一検出領域111に対して操作がなされていないと判断しうる。
【0050】
指30が意図せず第一検出領域111と第二検出領域112に跨って接触または接近する場合、サブ領域111bへの接触または接近を伴うので、メイン領域111aへの接触または接近が検出された場合、第一検出領域111に対して意図的な操作がなされている可能性が高い。このような構成によれば、第一検出領域111に対する操作を正確に検出しやすくなり、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0051】
図4に例示されるように、メイン領域111aの面積は、サブ領域111bの面積よりも大きい。
【0052】
このような構成によれば、ユーザの身体部位が第一検出領域111に対して意図しない接触や接近をした場合において第一検出領域111が操作されたと判断される事態の発生を抑制しつつも、第一検出領域111に対する操作性の低下を抑制できる。この効果は、各検出領域の面積と隣接する検出領域間の距離の少なくとも一方が小さくなるほど顕著となる。
【0053】
これまで説明した各機能を有する処理部142は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0054】
処理部142は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部142は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0055】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0056】
上記の実施形態においては、被操作体11は、二つの検出領域を有している。しかしながら、検出領域の数は三つ以上でもよい。各検出領域の被操作体11における位置、形状、大きさ、受け付け可能な操作の種別は、動作を制御される被制御装置40の機能に応じて適宜に定められうる。
【0057】
一例として、図4に示されるように、被操作体11は、第三検出領域113を有しうる。第三検出領域113は、第一検出領域111と隣接している。この場合、第一検出領域111は、サブ領域111cを有しうる。サブ領域111cは、メイン領域111aと第三検出領域113の間に配置される。これに加えてあるいは代えて、第三検出領域113は、メイン領域113aとサブ領域113bを含みうる。この場合、サブ領域113bは、メイン領域113aと第一検出領域111の間に配置される。サブ領域111bを参照して説明した処理が、サブ領域111cとサブ領域113bについても適用されうる。サブ領域111cとサブ領域113bの各々は、第二領域の一例である。
【0058】
上記の実施形態においては、検出された静電容量の絶対値が閾値との比較に供され、被操作体11の検出領域に対して操作がなされたかが判断されている。しかしながら、被操作体11の状態に応じて常時変化しうる基準静電容量からの変化量に基づいて検出領域に対する操作がなされたかが判断されてもよい。この場合、当該変化量について規定された閾値が使用される。
【0059】
上記の実施形態においては、被操作体11と乗員の指30の間の静電容量が検出されている。被操作体11に対する操作の入力に伴う静電容量の変化が検出できるのであれば、操作の入力は他の身体部位において行われてもよいし、身体部位と被操作体11の間に衣料品や道具が介在してもよい。
【0060】
その場合、図4に例示されるように、第一検出領域111のメイン領域111aの面積は、被操作体11に対して操作を行なう物体について想定される接触面積Aよりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、当該物体が第一検出領域111に対して意図しない接触や接近をした場合において第一検出領域111が操作されたと判断される事態の発生を抑制しつつも、第一検出領域111に対する操作性の低下を抑制できる。この効果は、各検出領域の面積と隣接する検出領域間の距離の少なくとも一方が小さくなるほど顕著となる。
【0061】
静電センサ10は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。静電センサ10は、ユーザによる携帯が可能なモバイル装置に搭載されてもよい。モバイル装置もまた、移動体の一例である。このような移動体に静電センサ10が設けられる場合、移動体の動きや振動に起因して、ユーザの身体の一部が意図せぬ検出領域に接触または接近しやすい。したがって、上記のような構成を有する静電センサ10の有用性がさらに高まる。
【0062】
静電センサ10は、移動体に搭載されることを要しない。被操作体11への操作を通じて被制御装置40の動作の制御が可能であれば、据置型の機器、住宅や施設などの建造物など、任意の用途への適用が可能である。
【0063】
図6は、第二実施形態に係る静電センサ50の機能構成を例示している。静電センサ50は、第一実施形態に係る静電センサ10と同様に、図2に例示される車両20に搭載されるように構成されている。
【0064】
図6に例示されるように、静電センサ50は、被操作体51を備えている。被操作体51は、車両20の乗員の指30による操作を受け付けるように構成されている。指30は、操作体の一例である。
【0065】
被操作体51は、その表面に第一検出領域511と第二検出領域512を有している。第一検出領域511と第二検出領域512の各々は、被制御装置40における特定の機能を有効にするための指30による操作を受け付け可能な領域である。本例においては、第一検出領域511と第二検出領域512は、隣接している。
【0066】
静電センサ50は、第一電極521と第二電極522を備えている。第一電極521は、被操作体51の第一検出領域511に対応付けられた領域を有している。第二電極522は、被操作体11の第二検出領域512に対応付けられた領域を有している。
【0067】
静電センサ50は、検出装置53を備えている。検出装置53は、被操作体51と第一電極521との間の静電容量、および被操作体51と第二電極522との間の静電容量を、それぞれ検出するように構成されている。
【0068】
具体的には、検出装置53は、充放電回路を備えている。充放電回路は、充電動作と放電動作を行ないうる。充電動作時の充放電回路は、不図示の電源から供給される電流を第一電極521と第二電極522へ供給する。放電動作時の充放電回路は、各電極から電流を放出させる。各電極に供給された電流により、被操作体51の周囲に電界が発生する。指30がこの電界に近づくと、特定の電極との間に疑似的なコンデンサが形成される。これにより、当該特定の電極と被操作体51の間の静電容量が増加する。静電容量が増加すると、放電動作時に当該特定の電極から放出される電流が増加する。
【0069】
すなわち、検出装置53は、被操作体51と各電極の間の静電容量を検出することにより、被操作体51におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを検出できる。検出装置53は、被操作体51におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを示す第一検出情報S1を出力するように構成されている。第一検出情報S1は、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。
【0070】
静電センサ50は、制御装置54を備えている。制御装置54は、受付部541、処理部542、および出力部543を備えている。
【0071】
受付部541は、検出装置53から出力された第一検出情報S1を受け付けるインターフェースとして構成されている。第一検出情報S1がアナログデータの形態である場合、受付部541は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含むように構成される。
【0072】
前述のように、第一検出情報S1は、被操作体51におけるいずれの箇所に指30が接近または接触したかを示しうる。処理部542は、第一検出情報S1に基づいて、被操作体51における第一検出領域511または第二検出領域512に指30が接触または接近したことを判断するように構成されている。
【0073】
出力部543は、被制御部の動作を制御する制御情報Cを出力するインターフェースとして構成されている。処理部542は、指30の接触または接近が検出された被操作体51上の位置に基づいて、出力部543から制御情報Cを出力するように構成されている。制御情報Cは、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。制御情報Cがアナログデータの形態である場合、出力部543は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を含むように構成される。
【0074】
例えば、第一検出情報S1に基づいて第二検出領域512に指30が接触または接近したことが検出されると、処理部542は、被制御装置40の一機能を有効にする制御情報Cを出力部543から出力する。
【0075】
静電センサ50は、検出電極523を備えている。検出電極523は、被操作体51における第一検出領域511と第二検出領域512の間に配置されている。検出装置53は、検出電極523に対して指30が接触または接近したことを示す第二検出情報S2を出力するように構成されている。第二検出情報S2は、アナログデータの形態であってもよいし、デジタルデータの形態であってもよい。検出電極523に対する指30の接触または接近は、検出電極523に係る電気的特性(電位、電流、抵抗値など)の変化に基づく周知の手法により検出されうる。
【0076】
受付部541は、検出装置53から出力された第二検出情報S2も受け付けるインターフェースとして構成されている。第二検出情報S2がアナログデータの形態である場合、受付部541は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を含むように構成される。
【0077】
図7を参照しつつ、制御装置54の処理部542によって実行されるより具体的な処理の流れについて説明する。
【0078】
処理部542は、第一検出情報S1に基づいて、検出装置53により検出された被操作体51との間の静電容量が閾値を上回る電極に対応付けられた検出領域があるかを判断する(STEP21)。該当する検出領域が見つかるまで当該判断が繰り返される(STEP21においてNO)。
【0079】
被操作体51との間の静電容量が閾値を上回る電極に対応付けられた検出領域があると判断されると(STEP21においてYES)、処理部542は、第二検出情報S2に基づいて、検出電極523に対して指30が接触または接近しているかを判断する(STEP22)。
【0080】
検出電極523に対して指30が接触または接近していると判断された場合(STEP22においてYES)、処理部142は、当該検出領域に操作がなされていないと判断する(STEP23)。その後、処理はSTEP21に戻る。
【0081】
検出電極523に対して指30が接触または接近していないと判断された場合(STEP22においてNO)、処理部142は、当該検出領域に操作がなされたと判断する(STEP24)。その後、処理は終了する。
【0082】
図8図9を参照しつつ、上記のように構成された静電センサ50の動作の一例を説明する。図8においては、ユーザの指30が被操作体51の第一検出領域511のみに接触している。
【0083】
この場合、第一検出領域511に対応付けられた第一電極521と被操作体51との間の静電容量が、閾値を上回る(図7のSTEP21においてYES)。他方、検出電極523に対する指30の接触または接近は検出されない(図7のSTEP22においてNO)。したがって、制御装置54の処理部542は、第一検出領域511に操作がなされたと判断する(図7のSTEP24)。
【0084】
図9においては、ユーザの指31が被操作体51の第二検出領域512に接触しているとともに、ユーザの別の指32が検出電極523に接触している。
【0085】
この場合、第二検出領域112に対応付けられた第二電極122と被操作体51との間の静電容量が、閾値を上回る(図7のSTEP21においてYES)。しかしながら、検出電極523に対する指30の接触が検出されているので(図7のSTEP22においてYES)、制御装置54の処理部542は、第二検出領域512に操作がなされていないと判断する(図7のSTEP23)。
【0086】
上記のような構成によれば、第一検出領域511に対応付けられた第一電極521と第二検出領域512に対応付けられた第二電極522のいずれかと被操作体51との間の静電容量が閾値を上回っても、第一検出領域511と第二検出領域512の間に配置された検出電極523に対する指30の接触または接近が検出されている場合、被操作体51に対して操作がなされたと判断されない。例えば、第二検出領域512に対して操作をしている指30が意図せず第一検出領域511に接触または接近した場合、検出電極523に対する接触または接近を伴うので、当該接触または接近が第一検出領域111に対する操作として検出される事態の発生を抑制できる。したがって、複数の検出領域を有する被操作体を備えた静電センサの操作性を高めることができる。
【0087】
図6に例示されるように、被操作体51は、絶縁部515を備えうる。絶縁部515は、第一検出領域511および第二検出領域512の各々と検出電極523とを電気的に絶縁する。
【0088】
このような構成によれば、指30の接触または接近に対する第一検出領域511および第二検出領域512の各々の電気的な反応と検出電極523の電気的な反応とを分離しやすい。したがって、検出電極523に係る前述の機能を確保しつつも、第一検出領域511および第二検出領域512の各々に対する操作性の低下を抑制できる。
【0089】
これまで説明した各機能を有する処理部542は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、通信ネットワークを介して外部サーバからダウンロードされて汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバは、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。
【0090】
処理部542は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している記憶媒体の一例である。処理部542は、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0091】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0092】
上記の実施形態においては、被操作体51は、二つの検出領域を有している。しかしながら、検出領域の数は三つ以上でもよい。各検出領域の被操作体51における位置、形状、大きさ、受け付け可能な操作の種別は、動作を制御される被制御装置40の機能に応じて適宜に定められうる。
【0093】
一例として、図8に示されるように、被操作体51は、第三検出領域513を有しうる。第三検出領域513は、第一検出領域511と隣接している。この場合、第一検出領域111と第三検出領域113の間に検出電極524が配置される。検出電極523を参照して説明した処理が、検出電極524についても適用される。
【0094】
上記の実施形態においては、検出された静電容量の絶対値が閾値との比較に供され、被操作体51の検出領域に対して操作がなされたかが判断されている。しかしながら、被操作体51の状態に応じて常時変化しうる基準静電容量からの変化量に基づいて検出領域に対する操作がなされたかが判断されてもよい。この場合、当該変化量について規定された閾値が使用される。
【0095】
上記の実施形態においては、被操作体51と乗員の指30の間の静電容量が検出されている。被操作体51に対する操作の入力に伴う静電容量の変化が検出できるのであれば、操作の入力は他の身体部位において行われてもよいし、身体部位と被操作体51の間に衣料品や道具が介在してもよい。他の身体部位、衣料品や道具などの物体もまた、操作体の一例である。
【0096】
その場合、図6に例示されるように、各検出領域の面積と絶縁部515の表面積の和は、被操作体51に対して操作を行なう操作体について想定される接触面積Aよりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、当該操作体が複数の検出領域のいずれかに対して意図しない接触や接近をした場合において当該検出領域が操作されたと判断される事態の発生を抑制しつつも、当該検出領域に対する操作性の低下を抑制できる。この効果は、各検出領域の面積と隣接する検出領域間の距離の少なくとも一方が小さくなるほど顕著となる。
【0097】
静電センサ50は、車両20以外の移動体にも搭載されうる。移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。静電センサ50は、ユーザによる携帯が可能なモバイル装置に搭載されてもよい。モバイル装置もまた、移動体の一例である。このような移動体に静電センサ50が設けられる場合、移動体の動きや振動に起因して、ユーザの身体の一部が意図せぬ検出領域に接触または接近しやすい。したがって、上記のような構成を有する静電センサ50の有用性がさらに高まる。
【0098】
静電センサ50は、移動体に搭載されることを要しない。被操作体51への操作を通じて被制御装置40の動作の制御が可能であれば、据置型の機器、住宅や施設などの建造物など、任意の用途への適用が可能である。
【符号の説明】
【0099】
10:静電センサ、11:被操作体、111:第一検出領域、111a:メイン領域、111b:サブ領域、111c:サブ領域、112:第二検出領域、113:第三検出領域、113a:メイン領域、113b:サブ領域、121:第一電極、122:第二電極、123:第三電極、13:検出装置、14:制御装置、141:受付部、142:処理部、20:車両、30、31、32:指、40:被制御装置、50:静電センサ、51:被操作体、511:第一検出領域、512:第二検出領域、515:絶縁部、521:第一電極、522:第二電極、523、524:検出電極、53:検出装置、54:制御装置、541:受付部、542:処理部、A:想定される接触面積、S:検出情報、S1:第一検出情報、S2:第二検出情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9