(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F04D 27/00 20060101AFI20231214BHJP
F04D 17/04 20060101ALI20231214BHJP
F24F 1/0025 20190101ALI20231214BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20231214BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20231214BHJP
【FI】
F04D27/00 K
F04D17/04 B
F04D17/04 E
F24F1/0025
F24F1/0007 321
F24F11/74
(21)【出願番号】P 2020103359
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 政志
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/012525(WO,A1)
【文献】実開昭60-065397(JP,U)
【文献】特開2018-031577(JP,A)
【文献】特開2019-105435(JP,A)
【文献】特開2008-145090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 17/04
F24F 1/0025
F24F 1/0007
F24F 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向で所定間隔を有するように配置される複数の翼と、
複数の前記翼が固定される円環状の支持板と、
駆動源であるファンモータと、を有する貫流ファンを備えるとともに、
前記貫流ファンの付近に配置される室内熱交換器と、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンと、
前記ファンモータを制御する制御部と、
前記貫流ファン、前記室内熱交換器、前記ドレンパン、及び前記制御部を少なくとも収容する筐体と、を備え、
前記支持板を介して軸方向に連結される複数のファンブロックのうち少なくとも一つは、複数の前記翼として、前向き翼と、後向き翼と、が混在しており、
前記前向き翼は、断面視で円弧状を呈し、当該円弧状の曲率中心が、前記貫流ファンが正回転する場合において前記前向き翼の前方に位置し、
前記後向き翼は、断面視で円弧状を呈し、当該円弧状の曲率中心が、前記貫流ファンが正回転する場合において前記後向き翼の後方に位置し、
前記制御部は、前記筐体内を乾燥させる乾燥運転の少なくとも一部の期間で、前記貫流ファンを逆回転させる空気調和機。
【請求項2】
前記前向き翼と前記後向き翼とが混在している所定の前記ファンブロックにおいて、前記前向き翼と前記後向き翼とが周方向で隣り合っている箇所の個数が2箇所であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記前向き翼と前記後向き翼とが混在している所定の前記ファンブロックにおいて、前記後向き翼が存在する周方向の角度範囲の合計が180°以下であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記前向き翼と前記後向き翼とが混在している所定の前記ファンブロックは、前記貫流ファンの軸方向の一端及び他端のうち少なくとも一方に設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
複数の前記ファンブロックのうち、前記前向き翼と前記後向き翼とが混在している所定の前記ファンブロックが、前記貫流ファンの軸方向の一端及び他端の両方に設けられ、残りのそれぞれの前記ファンブロックは、複数の前記翼が前記前向き翼で構成されていること
を特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記前向き翼と前記後向き翼とが混在している所定の前記ファンブロックは、前記貫流ファンの軸方向の一端及び他端の両方に設けられ、
前記貫流ファンの軸方向の一端に設けられる前記ファンブロックにおいて前記後向き翼が存在する周方向の角度範囲と、前記貫流ファンの軸方向の他端に設けられる別の前記ファンブロックにおいて前記後向き翼が存在する周方向の角度範囲と、が異なっていること
を特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記ドレンパンは、前記貫流ファンの軸方向に対して平行に延びる水受け部と、前記水受け部の一端に連なる第1流下部と、前記水受け部の他端に連なる第2流下部と、を有し、
前記第1流下部及び前記第2流下部のうち少なくとも一方は、前記貫流ファンの軸方向において、複数の前記ファンブロックの外側に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
圧縮機、前記室内熱交換器、膨張弁、及び室外熱交換器を有する冷媒回路を備え、
前記制御部は、前記室内熱交換器を蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結又は結露させる処理を行った後、前記筐体内を乾燥させる前記乾燥運転の少なくとも一部の期間で、前記貫流ファンを逆回転させること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に用いられる貫流ファン(クロスフローファン)として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、クロスフローファンの回転に伴って各ブレードを逐次所定角度に可変動作させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、クロスフローファンの駆動中、各ブレードを可変動作させて所定方向に向けることで、クロスフローファンの正回転時におけるファン効率の向上を図っている。しかしながら、クロスフローファンは金型を用いた方法で量産されることが多く、各ブレードを可変動作させる機構を設けることが困難である可能性が高い。
【0005】
また、冷房運転中には室内熱交換器が結露するため、一般に空気調和機には、結露水を受けるためのドレンパンが設けられている。室内熱交換器からドレンパンに滴り落ちた結露水はドレンホースを介して排出されるが、水の表面張力でドレンパンに結露水が残ることが多く、カビ等の発生が懸念される。このようなドレンパンを清潔な状態で保つことが望ましいが、そのような技術について特許文献1には記載されていない。
【0006】
そこで、本発明は、ドレンパンを清潔な状態にする空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、周方向で所定間隔を有するように配置される複数の翼と、複数の前記翼が固定される円環状の支持板と、駆動源であるファンモータと、を有する貫流ファンを備えるとともに、前記貫流ファンの付近に配置される室内熱交換器と、前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンと、前記ファンモータを制御する制御部と、前記貫流ファン、前記室内熱交換器、前記ドレンパン、及び前記制御部を少なくとも収容する筐体と、を備え、前記支持板を介して軸方向に連結される複数のファンブロックのうち少なくとも一つは、複数の前記翼として、前向き翼と、後向き翼と、が混在しており、前記前向き翼は、断面視で円弧状を呈し、当該円弧状の曲率中心が、前記貫流ファンが正回転する場合において前記前向き翼の前方に位置し、前記後向き翼は、断面視で円弧状を呈し、当該円弧状の曲率中心が、前記貫流ファンが正回転する場合において前記後向き翼の後方に位置し、前記制御部は、前記筐体内を乾燥させる乾燥運転の少なくとも一部の期間で、前記貫流ファンを逆回転させることとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドレンパンを清潔な状態にする空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る空気調和機の構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る空気調和機が備える室内機の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る空気調和機の貫流ファン及びドレンパンの平面図である。
【
図5A】第1実施形態に係る空気調和機における、
図4のII-II線矢視断面図である。
【
図5B】第1実施形態に係る空気調和機における、
図5Aの領域J1の部分拡大図である。
【
図6A】第1実施形態に係る空気調和機における、
図4のIII-III線矢視断面図である。
【
図6B】第1実施形態に係る空気調和機における、
図6Aの領域J3の部分拡大図である。
【
図7】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る空気調和機が備える室内熱交換器の洗浄処理に関するフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る空気調和機が備える室内熱交換器の解凍中の状態を示す説明図である。
【
図10】第1の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファンの軸方向一端のファンブロックの縦断面図である。
【
図11】第2の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファンの軸方向一端のファンブロックの縦断面図である。
【
図12】第3の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファンの軸方向一端のファンブロックの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の構成図である。
なお、
図1の実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
一方、
図1の破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
空気調和機100は、暖房運転や冷房運転等の空調を行う機器である。
図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、膨張弁Eと、を備えている。また、空気調和機100は、前記した構成の他に、室内熱交換器14と、貫流ファン20(室内ファンともいう)と、四方弁Vと、を備えている。
【0011】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源である圧縮機モータ11aを備えている。このような圧縮機11として、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機等が用いられる。
室外熱交換器12は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン13から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
【0012】
室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンである。室外ファン13は、駆動源である室外ファンモータ13aを備え、室外熱交換器12の付近に配置されている。
膨張弁Eは、「凝縮器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器14の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁Eで減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器14の他方)に導かれる。
【0013】
室内熱交換器14は、その伝熱管g(
図2参照)を通流する冷媒と、貫流ファン20から送り込まれる室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
貫流ファン20は、室内熱交換器14に室内空気を送り込むファンである。貫流ファン20は、駆動源である室内ファンモータ21(ファンモータ:
図3参照)を備え、室内熱交換器14の付近に配置されている。
【0014】
四方弁Vは、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。例えば、冷房運転時(
図1の破線矢印を参照)には、冷媒回路Qにおいて、圧縮機11、室外熱交換器12(凝縮器)、膨張弁E、及び室内熱交換器14(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。一方、暖房運転時(
図1の実線矢印を参照)には、冷媒回路Qにおいて、圧縮機11、室内熱交換器14(凝縮器)、膨張弁E、及び室外熱交換器12(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。
【0015】
なお、
図1の例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、膨張弁E、及び四方弁Vが、室外機Uoに設置されている。一方、室内熱交換器14や貫流ファン20は、室内機Uiに設置されている。また、圧縮機11や室外ファン13の他、膨張弁E、貫流ファン20、四方弁V等は、後記する制御部40(
図3参照)によって制御される。
【0016】
図2は、室内機Uiの縦断面図である。
室内機Uiは、前記した室内熱交換器14や貫流ファン20の他に、筐体15と、ドレンパン16と、フィルタ17a,17bと、前面パネル18と、左右風向板19aと、上下風向板19bと、を備えている。
【0017】
室内熱交換器14は、例えば、クロスフィンチューブ型の熱交換器であり、複数のフィンfと、これらのフィンfを貫通する複数の伝熱管gと、を備えている。室内熱交換器14は、貫流ファン20を上側から覆うように、貫流ファン20の付近に配置されている。
図2の例では、室内熱交換器14は、貫流ファン20の前側に配置される前側室内熱交換器14aと、貫流ファン20の後側に配置される後側室内熱交換器14bと、を備えている。そして、前側室内熱交換器14aの上端部と、後側室内熱交換器14bの上端部と、が逆V字状に接続されている。
【0018】
貫流ファン20は、複数の翼wkや仕切板r(支持板)を備える円筒状のクロスフローファンである。複数の翼wkは、その移動によって空気にエネルギを与える薄板状の部材であり、縦断面視で円弧状を呈している。また、複数の翼wkは、周方向で所定間隔を有するように配置されている。なお、周方向における翼wkの間隔(ピッチ)は、等間隔であってもよいし、また、いわゆるランダムピッチであってもよい。これらの翼wkは、仕切板rの板面に対して略垂直に設置されている。
仕切板rは、複数の翼wkが固定される円環状の板であり、軸方向において所定間隔で複数設けられている(
図4も参照)。この仕切板rは、複数の翼wkの相対位置を固定する機能を有している。
【0019】
図2に示す筐体15は、貫流ファン20や室内熱交換器14の他、ドレンパン16や制御部40(
図3参照)の回路基板を少なくとも収容するものである。
図2に示すように、筐体15は、フロントノーズ15aと、バックノーズ15bと、を備えている。
フロントノーズ15aやバックノーズ15bは、貫流ファン20の回転で室内機Uiに取り込まれた空気を吹出風路h1に導くものである。
図2に示すように、フロントノーズ15aは、筐体15において、前側室内熱交換器14aの下端付近で貫流ファン20に近接している部分に設けられる。一方、バックノーズ15bは、筐体15において、後側室内熱交換器14bの下端付近で貫流ファン20に近接している部分に設けられる。
【0020】
ドレンパン16は、室内熱交換器14から滴り落ちる結露水を受けるものであり、室内熱交換器14の下側に配置されている。
図2の例では、前側室内熱交換器14aの下側にドレンパン16が配置されている。
【0021】
フィルタ17a,17bは、室内機Uiに吸い込まれる空気から塵埃を捕集するものである。一方のフィルタ17aは、室内熱交換器14の前側に配置され、他方のフィルタ17bは、室内熱交換器14の上側に配置されている。
前面パネル18は、前側のフィルタ17aを覆うように設置されるパネルであり、下端を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル18が回動しない構成であってもよい。
【0022】
左右風向板19aは、室内に吹き出される空気の左右方向の流れを調整する板状部材である。上下風向板19bは、室内に吹き出される空気の上下方向の流れを調整する板状部材である。
室内機Uiに取り込まれた空気は、室内熱交換器14の伝熱管gを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路h1に導かれる。そして、吹出風路h1を通流する空気は、左右風向板19a及び上下風向板19bによって所定方向に導かれて、空調室に吹き出される。
【0023】
図3は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図3に示す室内機Uiは、前記した室内ファンモータ21の他に、リモコン送受信部31と、室内温度センサ32と、室内熱交換器温度センサ33と、左右風向板用モータ34と、上下風向板用モータ35と、表示ランプ36と、室内制御回路41と、を備えている。
【0024】
リモコン送受信部31は、赤外線通信等によって、リモコン50との間で所定の情報をやり取りする。室内温度センサ32は、室内温度(空調室の温度)を検出するセンサであり、室内機Uiの所定箇所に設置されている。室内熱交換器温度センサ33は、室内熱交換器14の温度を検出するセンサであり、室内熱交換器14の所定箇所(又は、室内熱交換器14に接続された冷媒配管)に設置されている。リモコン送受信部31を介してリモコン50から受信した信号の他、室内温度センサ32や室内熱交換器温度センサ33の検出値は、室内制御回路41に出力される。
【0025】
室内ファンモータ21は、前記したように、貫流ファン20(
図2参照)の駆動源である。左右風向板用モータ34は、左右風向板19a(
図2参照)の左右方向の角度を調整するモータである。上下風向板用モータ35は、上下風向板19b(
図2参照)の上下方向の角度を調整するモータである。表示ランプ36は、所定の表示を行うランプであり、室内機Uiの所定箇所に設置されている。
【0026】
室内制御回路41は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0027】
図3に示すように、室内制御回路41は、記憶部41aと、室内制御部41bと、を備えている。記憶部41aには、所定のプログラムの他、リモコン送受信部31を介して受信したデータや、各センサの検出値等が格納される。室内制御部41bは、記憶部41aに格納されているデータに基づいて、室内ファンモータ21、左右風向板用モータ34、上下風向板用モータ35、表示ランプ36等を制御する。
【0028】
室外機Uoは、前記した構成(
図1参照)の他に、室外温度センサ37と、室外制御回路42と、を備えている。
室外温度センサ37は、室外温度を検出するセンサであり、室外機Uoの所定箇所に設置されている。室外温度センサ37の検出値は、室外制御回路42に出力される。
室外制御回路42は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、通信線を介して室内制御回路41に接続されている。
図4に示すように、室外制御回路42は、記憶部42aと、室外制御部42bと、を備えている。
【0029】
記憶部42aには、室内制御回路41から通信線を介して受信したデータの他、各センサの検出値や所定のプログラム等が格納される。室外制御部42bは、記憶部42aに格納されているデータに基づいて、圧縮機モータ11a、室外ファンモータ13a、膨張弁E、四方弁V等を制御する。以下では、室内制御回路41や室外制御回路42を総称して「制御部40」という。
【0030】
図4は、貫流ファン20及びドレンパン16の平面図である。
なお、
図4では、貫流ファン20とドレンパン16との間に存在するフロントノーズ15a(
図2参照)の図示を省略している。貫流ファン20は、前記した複数の翼wkや仕切板r、室内ファンモータ21の他に、一対の端板tp,tq(支持板)と、軸受22と、を備えている。
【0031】
図4に示すように、室内ファンモータ21は、モータ本体21aと、モータ軸21bと、を備えている。モータ本体21aは、図示はしないが、固定子及び回転子を有している。モータ軸21bは、モータ本体21aの回転子に固定され、この回転子と一体で回転する軸である。そして、室内ファンモータ21が駆動することで、貫流ファン20が回転するようになっている。
【0032】
なお、貫流ファン20は、正回転の他、逆回転することも可能である。ここで、「正回転」とは、通常の空調運転時と同じ向きに貫流ファン20が回転することである。一方、「逆回転」とは、「正回転」とは逆向きに貫流ファン20が回転することである。
【0033】
一対の端板tp,tqは、貫流ファン20の軸方向両端に設置される円環状の板である。一対の端板tp,tqのうち、貫流ファン20の軸方向一方側の端板tpは、ボス部tpaを有している。ボス部tpaは、室内ファンモータ21のモータ軸21bが設置される部分である。そして、所定の止めネジ(図示せず)を用いることで、ボス部tpaに対して、モータ軸21bが着脱自在になっている。
【0034】
なお、端板tpを室内ファンモータ21側から見ると、モータ軸21bが挿通される所定の孔(図示せず)が円板の中心付近に設けられた構成になっているが、このような構成も「円環状」であるものとする。同様に、貫流ファン20の軸方向他方側に設けられる端板tqも「円環状」を呈している。この端板tqは、軸受22が設置される軸部tqaを有している。なお、一対の端板tp,tq、及び、複数の仕切板rを総称して、「支持板」という。
【0035】
図4に示すように、貫流ファン20は、仕切板r(支持板)を介して軸方向に連結された複数のファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqを備えている。これらのファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqのうち、貫流ファン20の軸方向一端に設けられるファンブロックBpは、複数の翼wpを備えるとともに、仕切板r及び端板tpを備えている。複数の翼wpは、貫流ファン20の軸方向に細長く延びており、その一端が端板tpに固定され、他端が仕切板rに固定されている。なお、仕切板rや端板tpには、複数の翼wpの端部が嵌め込まれる所定の溝(図示せず)が設けられている。
【0036】
ファンブロックBpに隣り合う別のファンブロックBkは、複数の翼wkと、仕切板rと、を備えている。複数の翼wkの一端は、前記したファンブロックBpの仕切板rに固定され、他端は別の仕切板rに固定されている。このようにして、複数のファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqが、仕切板rを介して軸方向に順次に連結されている。
【0037】
貫流ファン20の軸方向他端に設けられたファンブロックBqは、複数の翼wqを備えるとともに、仕切板r及び端板tqを備えている。ファンブロックBqに含まれる複数の翼wqは、軸方向に細長く延びており、その一端が仕切板rに固定され、他端が端板tqに固定されている。
【0038】
軸受22は、軸方向に連結された複数のファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqを回転自在に軸支するものであり、前記したように、端板tqに設置されている。そして、室内ファンモータ21(
図4参照)の駆動に伴い、モータ軸21bの軸線Xを中心に、複数のファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqが一体で回転するようになっている。
【0039】
図4に示すように、ドレンパン16は、水受け部16aと、流下部16b,16cと、を備えている。水受け部16aは、室内熱交換器14(
図2参照)から滴り落ちる結露水を受ける部分であり、貫流ファン20の軸方向に対して平行に延びている。この水受け部16aは、前側室内熱交換器14a(
図2参照)の下端部の真下に設けられ、また、平面視(
図4参照)では、貫流ファン20に対向するように、貫流ファン20の前側に設けられている。なお、水受け部16aは、縦断面視において下に凸となるように所定に湾曲している。
【0040】
流下部16b(第1流下部)は、水受け部16aに滴り落ちた結露水を排水孔hbに導く部分であり、水受け部16aと略一体になっている。この流下部16bは、平面視において前後方向に細長く延びており、その前端部が水受け部16aの一端に連なっている。また、流下部16bは、貫流ファン20の軸方向において、複数のファンブロックBp等の外側(軸方向一方側)に設けられている。
【0041】
また、流下部16bは、後方に向かうにつれて、その高さが低くなるように所定に傾斜している。そして、流下部16bに設けられた溝(
図4には図示せず)を介して、結露水が排水孔hbに導かれるようになっている。このように排水孔hbに導かれた結露水は、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0042】
他方の流下部16c(第2流下部)は、水受け部16aに滴り落ちた結露水を排水孔hcに導くものであり、その前端部が水受け部16aの他端に連なっている。この流下部16cは、貫流ファン20の軸方向において、複数のファンブロックBq等の外側(軸方向他方側)に設けられている。なお、流下部16cの構成は、前記した流下部16bと同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0043】
図5Aは、
図4のII-II線矢視断面図である。
なお、
図5Aには、貫流ファン20が正回転する場合の向きを矢印で示している。
図5Aに示すように、モータ軸21b(
図4参照)の軸線Xを中心として、ファンブロックBkの複数の翼wkが、周方向で所定間隔を有するように配置されている。ちなみに、前記した
図2も、複数の翼wkを含む所定の平面で室内機Uiを切断した場合の断面図になっている。
【0044】
図5Bは、
図5Aの領域J1の部分拡大図である。
図5Bに示すように、複数の翼wkは、断面視で円弧状を呈している。そして、この円弧状の曲率中心a1が、貫流ファン20(
図5A参照)が正回転する場合において翼wkの前方に位置するように翼wkが配置されている。このように配置された翼wkを「前向き翼」という。
図5A、
図5Bに示すファンブロックBkの複数の翼wkは、それぞれ、「前向き翼」になっている。また、
図5A、
図5Bでは、複数のファンブロックBk,Bk,・・・,Bkのうちの一つ(
図4のII-II線に重なっている所定のファンブロックBk)の断面を示しているが、残りの各ファンブロックBkも同様の構成になっている。
【0045】
なお、
図5Bに示す翼wkにおいて、曲率中心a1に臨んでいる面を圧力面fk1といい、この圧力面fk1とは反対側の面を負圧面fk2という。
図5Bの例では、翼wkの厚み方向で、圧力面fk1と負圧面fk2との間の中央に位置する点の集合を円弧状の反り線L1とし、この反り線L1を基準として、翼wkの曲率中心a1を図示している。この反り線L1は、円弧状であればよく、厳密な円弧である必要は特にない。
【0046】
図6Aは、
図4のIII-III線矢視断面図である。
図6Aに示すように、モータ軸21b(
図4参照)の軸線Xを中心として、ファンブロックBpの複数の翼wpが、周方向で所定間隔を有するように配置されている。貫流ファン20の軸方向一端に設けられたファンブロックBp(
図4も参照)は、複数の翼wpとして、前向き翼wpaと、後向き翼wpbと、が混在した構成になっている。
【0047】
複数の前向き翼wpaは、モータ軸21b(
図4参照)の軸線Xを基準として、周方向で約270°の所定の角度範囲αに設けられている。一方、複数の後向き翼wpbは、周方向で約90°の角度範囲βに設けられている。また、
図6Aの例では、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが混在している所定のファンブロックBpにおいて、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが周方向で隣り合っている箇所Gの個数が、2箇所になっている。このような構成による作用・効果については後記する。
【0048】
なお、
図6Aにおいて、前向き翼wpaを含む領域J2の断面については、
図5B(
図5Aに示す領域J1)と同様の構成になっている。すなわち、前向き翼wpaは、断面視で円弧状を呈し、この円弧状の曲率中心が、貫流ファン20が正回転する場合において前向き翼wpaの前方に位置している。
【0049】
図6Bは、
図6Aの領域J3の部分拡大図である。
図6Bに示すように、後向き翼wpbは、断面視で円弧状を呈し、この円弧状の曲率中心a2が、貫流ファン20(
図6A参照)が正回転する場合において後向き翼wpbの後方に位置するように配置されている。
【0050】
なお、
図6Bに示す円弧状の反り線L2は、後向き翼wpbの厚み方向において、この後向き翼wpbの圧力面fp1と負圧面fp2との間の中央に位置する点の集合である。
図6Bでは、円弧状の反り線L2を基準として、後向き翼wpbの曲率中心a2を図示しているが、この反り線L2が厳密な円弧である必要は特にない。
【0051】
また、
図4のIV-IV線で切断した場合の断面(ファンブロックBqの断面)も、
図6Aと同様になっている。つまり、貫流ファン20の軸方向他端のファンブロックBq(
図4参照)も、複数の翼wqとして、前向き翼と後向き翼とが混在した構成になっている。このように、複数のファンブロックBp,Bk,Bk,…,Bk,Bqのうち、前向き翼と後向き翼とが混在している所定のファンブロックBp,Bqが、貫流ファン20の軸方向の一端及び他端の両方に設けられている。また、残りのそれぞれのファンブロックBk,Bk,…,Bkは、複数の翼wkが前向き翼で構成されている。
【0052】
図7は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、
図2、
図3参照)。
なお、
図7に示す「START」時には、空調運転が行われていないものとする。
図7のステップS101において制御部40は、乾燥運転の開始条件が満たされているか否かを判定する。ここで、「乾燥運転」(内部クリーンともいう。)とは、室内機Ui(
図2参照)の筐体15の内部を乾燥させる運転モードである。例えば、冷房運転時には、室内熱交換器14に低温の冷媒が流れるため、室内熱交換器14の他、筐体15の内壁面等で結露が生じることがある。また、室内熱交換器14からドレンパン16に結露水が滴り落ちるため、ドレンパン16の表面が濡れた状態になる。したがって、カビ等の発生を抑制するために、乾燥運転で筐体15の内部を乾燥させ、室内機Uiを清潔な状態で保つようにしている。
【0053】
乾燥運転の開始条件として、例えば、前回の乾燥運転の終了時からの空調運転の積算時間(和をとった値)が所定値に達した場合、ステップS101において制御部40は、乾燥運転の開始条件が満たされたと判定する。このように乾燥運転の開始条件が満たされている場合(S101:Yes)、制御部40の処理はステップS102に進む。一方、乾燥運転の開始条件が満たされていない場合(S101:No)、制御部40は、乾燥運転に関する処理を終了する(END)。
【0054】
ステップS102において制御部40は、室内機Uiの貫流ファン20を逆回転させる。つまり、制御部40は、室内ファンモータ21を駆動させ、通常の空調運転時とは逆向きに貫流ファン20を回転させる。このような貫流ファン20の逆回転に伴って、貫流ファン20の軸方向両端では、ファンブロックBp,Bq(
図4参照)の前向き翼及び後向き翼がそれぞれ移動する。
【0055】
例えば、軸方向一端のファンブロックBp(
図4参照)を例に説明すると、貫流ファン20の逆回転中、後向き翼wpb(
図6B参照)の圧力面fp1に空気が当たるため、この後向き翼wpbよって空気が所定に押し出される。一方、前向き翼wpa(
図6A参照)では、空気の流量に関する寄与が小さいものの、その負圧面(曲率中心に臨んでいる圧力面とは反対側の面)に空気が当たることで、後向き翼wpbと同様の向きに空気が押し出される。なお、軸方向他端のファンブロックBq(
図4参照)についても同様のことがいえる。
【0056】
その結果、貫流ファン20の軸方向の両端付近では、貫流ファン20から室内熱交換器14(
図2参照)を介して、フィルタ17a,17b(
図2参照)に向かうような空気の流れが生じる。ここで、フィルタ17a,17bは、多数の孔(図示せず)を有しているが、その通風抵抗が比較的大きい。したがって、フィルタ17a,17bに向かう空気の一部は、室内機Uiの外部に出ることなく、フィルタ17a,17bの裏面の他、筐体15の内壁面に沿って流れ、筐体15の内部を循環する。その結果、ドレンパン16の流下部16b,16c(
図4参照)にも空気が吹き込み、さらに、水受け部16aにも空気が吹き込む。これによってドレンパン16の乾燥が促進される。
【0057】
また、貫流ファン20の両端以外のファンブロックBk,Bk,・・・,Bkは、その翼wkが全て前向き翼で構成されているため、貫流ファン20の逆回転に伴い、それぞれの翼wkの負圧面fk2(
図5B参照)に空気が当たる。その結果、空気の流量は比較的小さいものの、ドレンパン16の水受け部16aにも空気が吹き込む。つまり、軸方向両端のファンブロックBp,Bqの他、残りのファンブロックBk,Bk,・・・,Bkもドレンパン16の乾燥に若干は寄与している。
【0058】
図7のステップS103において制御部40は、貫流ファン20の逆回転の開始時から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、貫流ファン20を逆回転させるための継続時間であり、予め設定されている。ステップS103において、貫流ファン20の逆回転の開始時から所定時間が経過していない場合(S103:No)、制御部40の処理はステップS102に戻る。一方、貫流ファン20の逆回転の開始時から所定時間が経過した場合(S103:Yes)、制御部40は、乾燥運転に関する一連の処理を終了する(END)。
【0059】
<効果>
第1実施形態によれば、貫流ファン20の軸方向一端のファンブロックBp(
図6A参照)は、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが混在した構成であり、また、軸方向他端のファンブロックBq(
図4参照)も同様である。このような構成の貫流ファン20を乾燥運転中に逆回転させることで、特にドレンパン16(
図4参照)の流下部16b,16cに十分な流量の空気を送り込むことができる。したがって、ドレンパン16におけるカビ等が発生を抑制し、ドレンパン16を清潔な状態にすることができる。
【0060】
また、ファンブロックBpにおいて、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが周方向で隣り合っている箇所G(
図6A参照)では、各翼が流れ場に対してする仕事が比較的小さいが、第1実施形態では、この箇所Gの個数を最小限の2箇所にしている。したがって、貫流ファン20の正回転時又は逆回転時でのファン効率の低下を抑制できる。
【0061】
また、前向き翼wpaが設けられている周方向の角度範囲α(
図6A参照)よりも、後向き翼wpbが設けられている周方向の角度範囲β(
図6A参照)の方が小さい。このような構成によれば、貫流ファン20の正回転時にも空気の流量を確保できる。
【0062】
次に、比較例として、それぞれのファンブロックの各翼が前向き翼であるものや、各翼が後向き翼であるものを用いて、その二次元流体解析の結果を説明する。
【0063】
【0064】
表1に示すように、各翼が前向き翼のファンブロック(図示せず)を正回転させた場合の空気の流量を100%とすると、逆回転時には流量の比率が2.1%になった。このようなファンブロックが連結された構成の貫流ファン(図示せず)では、乾燥運転中に逆回転させても空気の流量が不足し、ドレンパン16の乾燥が進みにくくなる。特にドレンパン16の流下部16b,16cは、互いに連結された複数のファンブロックの軸方向外側に設けられているため、流下部16b,16cの表面に水分が残った状態になりやすい。
なお、各翼が前向き翼の貫流ファンを正回転させた場合でも、室内機Uiの吹出風路h1(
図2参照)を介してそのまま空気が吹き出されるため、ドレンパン16の乾燥は進みにくい。
【0065】
一方、表1に別の比較例として示すように、各翼が後向き翼のファンブロックが連結された貫流ファン(図示せず)では、逆回転時における空気の流量の比率が34.5%になり、各翼が前向き翼のものを逆回転させた場合に比べて、空気の流量が大きくなっている。しかしながら、このような構成では、正回転時における空気の流量の比率が6.7%であり、各翼が前向き翼のもの正回転させた場合に比べて、空気の流量が大幅に小さくなっている。
【0066】
次に、ファンブロックの各翼が前向き翼である比較例の貫流ファンと、第1実施形態で説明した貫流ファン20と、に関する二次元流体解析の結果を、表2を用いて比較する。なお、表2において、各翼が前向き翼の場合については、表1のものと同一である。
【0067】
【0068】
表2に示すように、第1実施形態の構成では、貫流ファン20の正回転時における空気の流量の比率が64.2%となっており、各翼が後向き翼である場合(表1では、6.7%)に比べて、大幅に大きくなっている。また、貫流ファン20の逆回転時における空気の流量の比率が5.5%であり、各翼が前向き翼である場合(表1では、2.1%)に比べて、大幅に大きくなっている。
【0069】
このように、第1実施形態によれば、貫流ファン20の正回転時(通常運転時)における流量の低下を抑制できる。これによって、空気の逆流に伴う不安定現象の発生を抑制し、ひいては、吹出風路h1の結露や耳障りな異音の発生を抑制できる。また、貫流ファン20の逆回転時(乾燥運転時)には、所定の流量の空気がドレンパン16(特に、流下部16b,16c)に送り込まれるため、ドレンパン16の表面に残った水を蒸発させることができる。
【0070】
≪第2実施形態≫
第2実施形態では、室内熱交換器14(
図9参照)の凍結・解凍・乾燥が順次に行われる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他(貫流ファン20を含む空気調和機100の構成等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0071】
図8は、第2実施形態に係る空気調和機が備える室内熱交換器の洗浄処理に関するフローチャートである(適宜、
図1、
図3参照)。
なお、
図8の「START」時には、空調運転が行われていない状ものとする。
図8のステップS201において制御部40は、室内熱交換器14の洗浄処理の開始条件が満たされているか否かを判定する。ここで、洗浄処理とは、室内熱交換器14の凍結・解凍・乾燥を順次に行うことで、室内熱交換器14を清潔な状態にする処理である。
【0072】
洗浄処理の開始条件に関して、例えば、前回の洗浄処理の終了時からの空調運転の積算時間(和をとった値)が所定値に達した場合、制御部40は、洗浄処理の開始条件が満たされたと判定する。洗浄処理の開始条件が満たされている場合(S201:Yes)、制御部40の処理はステップS202に進む。一方、洗浄処理の開始条件が満たされていない場合(S201:No)、制御部40は、洗浄処理に関する一連の処理を終了する(END)。
【0073】
ステップS202においてにおいて制御部40は、室内熱交換器14を凍結させる。すなわち、制御部40は、室内熱交換器14を蒸発器として機能させ、空気中の水分を室内熱交換器14に着霜させて、室内熱交換器14を凍結させる。
【0074】
ステップS202の処理についてさらに詳しく説明すると、制御部40は、圧縮機11(
図1参照)を駆動し、さらに、膨張弁E(
図1参照)の開度を冷房運転時よりも小さい所定開度にする。これによって、低圧で蒸発温度の低い冷媒が室内熱交換器14に流入するため、空気中の水分が室内熱交換器14で着霜し、さらに、その霜i(
図9参照)が成長する。次に、ステップS203において制御部40は、室内熱交換器14を解凍する。
【0075】
図9は、室内熱交換器14の解凍中の状態を示す説明図である。
制御部40は、室内熱交換器14の凍結後、例えば、室内機Uiの圧縮機11(
図1参照)や貫流ファン20を停止状態にする。これによって、室内熱交換器14の霜iが室温で自然解凍され、この解凍に伴う水wがフィンfを伝ってドレンパン16に滴り落ちる。これによって、室内熱交換器14に付着した塵埃dが洗い流される。
【0076】
次に、
図8のステップS204,S205において制御部40は、乾燥運転を行い、室内機Uiの筐体15(
図2参照)の内部を乾燥させる。このような乾燥運転として、制御部40は、まず、ステップS204において貫流ファン20を逆回転させる。
【0077】
なお、第1実施形態と同様に、貫流ファン20は、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが混在した構成のファンブロックBpを軸方向一端に有するとともに(
図6A参照)、これと同様の構成のファンブロックBq(
図4参照)を軸方向他端に有している。このような構成の貫流ファン20を逆回転させることで(S204)、ドレンパン16の水受け部16a(
図4参照)の他、左右両側の流下部16b,16c(
図4参照)にも十分な流量の空気が送り込まれる。これによって、ドレンパン16に残っていた水が蒸発するため、ドレンパン16におけるカビ等の発生を抑制できる。
【0078】
次に、
図8のステップS205において制御部40は、貫流ファン20を正回転させる。これによって、逆回転時よりも大きな流量の空気が室内機Uiに取り込まれるため、室内熱交換器14の他、筐体15(
図2参照)の内壁面に残っている水分を蒸発させることができる。ステップS205の処理を行った後、制御部40は、洗浄処理に関する一連の処理を終了する(END)。
【0079】
<効果>
第2実施形態によれば、制御部40が洗浄処理を行うことで、室内熱交換器14の塵埃を洗い流すことができる。また、洗浄処理に含まれる乾燥運転の前半(S204)で、制御部40が貫流ファン20を逆回転させる。これによって、特にドレンパン16の流下部16b,16cに十分な流量の空気が送り込まれる。したがって、室内熱交換器14の解凍時に多量の水がドレンパン16に滴り落ちた場合でも、ドレンパン16に残っている水分を蒸発させることができる。
【0080】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では、ファンブロックBp(
図6A参照)において、後向き翼wpbが存在している周方向の角度範囲βが約90°である構成について説明したが、この角度範囲βを適宜に変更してもよい。このような例を
図10や
図11を用いて説明する。
【0081】
図10は、第1の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファン20Aの軸方向一端のファンブロックBApの縦断面図である。
図10の例では、前向き翼wpaの周方向の角度範囲αが約180°であり、また、後向き翼wpbの周方向の角度範囲βも約180°になっている。なお、貫流ファン20Aの軸方向他端のファンブロック(図示せず)も同様の構成である。また、残りの各ファンブロック(図示せず)は、各翼が前向き翼で構成されている。このような構成によれば、第1実施形態に比べて、貫流ファン20の逆回転時における空気の流量(特に、貫流ファン20の軸方向の両端付近における流量)を大きくすることができる。したがって、貫流ファン20を逆回転させることで、ドレンパン16の水分の蒸発が促進される。
【0082】
図11は、第2の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファン20Bの軸方向一端のファンブロックBBpの縦断面図である。
図10の例では、前向き翼wpaの周方向の角度範囲αが約90°であり、また、後向き翼wpbの周方向の角度範囲βが約270°になっている。なお、貫流ファン20Bの軸方向他端のファンブロック(図示せず)も同様の構成である。また、残りの各ファンブロック(図示せず)は、各翼が前向き翼で構成されている。このような構成によれば、第1の変形例に比べて、貫流ファン20の逆回転時における空気の流量をさらに大きくすることができる。
【0083】
図12は、第3の変形例に係る空気調和機が備える貫流ファン20Cの軸方向一端のファンブロックBCpの縦断面図である。
図12の例では、複数の前向き翼wpaが周方向で並んでいる角度範囲α(=約90°)が2つ設けられている。また、複数の後向き翼wpbが周方向で並んでいる角度範囲β(=約90°)が2つ設けられている。そして、周方向において、角度範囲α,β,α,βの順で並ぶように各翼が配置されている。なお、貫流ファン20Bの軸方向他端のファンブロック(図示せず)も同様の構成である。また、残りの各ファンブロック(図示せず)は、各翼が前向き翼で構成されている。
【0084】
また、
図12の例では、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが周方向で隣り合っている箇所Gの個数が4箇所になっている。なお、後向き翼wpbが存在している周方向の角度範囲β,βの合計は、第1の変形例(
図10参照)と同様に、約180°である。このような構成によれば、前記した箇所Gの個数が第1の変形例(
図10参照)よりも多いぶんファン効率が若干低くなるものの、第1の変形例と同様の効果が奏される。
【0085】
なお、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが混在しているファンブロックBCpにおいて、後向き翼wpbが存在する周方向の角度範囲β,βの合計が180°以下であることが好ましい。このような構成によれば、逆回転時における貫流ファン20Cの流量を確保しつつ、正回転時における流量の低下を抑制できる。
【0086】
また、第1実施形態では、貫流ファン20の軸方向一端のファンブロックBp(
図4、
図6A参照)、及び、軸方向他端のファンブロックBq(
図4参照)が、前向き翼及び後向き翼を有する構成について説明したが、これに限らない。例えば、ファンブロックBp,Bqのうち一方について、各翼の全てを前向き翼にしてもよい。つまり、前向き翼と後向き翼とが混在している所定のファンブロックが、貫流ファン20の軸方向の一端及び他端のうち少なくとも一方に設けられるようにしてもよい。
【0087】
また、前向き翼と後向き翼とが混在している所定のファンブロックBp,Bqが、貫流ファン20の軸方向の一端及び他端の両方に設けられる場合において、次のように構成してもよい。すなわち、貫流ファン20の軸方向の一端に設けられるファンブロックBpにおいて後向き翼が存在する周方向の角度範囲と、貫流ファン20の軸方向の他端に設けられる別のファンブロックBqにおいて後向き翼が存在する周方向の角度範囲と、が異なるようにしてもよい。このような構成によれば、前記した周方向の各範囲が互いに同一である場合に比べて、筐体15(特にフロントノーズ15a)における空気の圧力変動が抑えられるため、騒音の発生を抑制できる。
【0088】
また、第1実施形態では、乾燥運転中、制御部40が貫流ファン20を逆回転させる場合(
図7のS102)について説明したが、これに限らない。すなわち、乾燥運転の少なくとも一部の期間で、制御部40が貫流ファン20を逆回転させるようにしてもよい。このような構成でも、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0089】
また、各実施形態では、前向き翼wpaと後向き翼wpbとが混在しているファンブロックBp(
図4、
図6A参照)が貫流ファン20の軸方向一端に設けられ、同様の構成の別のファンブロックBqが軸方向他端に設けられる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、貫流ファン20において、支持板(端板tp,tq又は仕切板r)を介して軸方向に連結される複数のファンブロックのうち少なくとも一つが、前向き翼と後向き翼とが混在するように構成されていてもよい。このような構成でも、貫流ファン20が逆回転すると、後向き翼に当たった空気が、フィルタ17a,17bや筐体15の内壁面に沿って、ドレンパン16に導かれる。したがって、ドレンパン16に残っている水分を蒸発させることができる。
【0090】
また、各実施形態では、貫流ファン20(
図4参照)の軸方向において、流下部16b,16cの両方が複数のファンブロックの外側に配置される構成について説明したが、これに限らない。すなわち、流下部16b(第1流下部)及び流下部16c(第2流下部)のうち少なくとも一方が、貫流ファン20の軸方向において、複数のファンブロックの外側に配置されるようにしてもよい。このような構成でも、各実施形態と同様の効果が奏される。
【0091】
また、第2実施形態では、制御部40が室内熱交換器14を凍結させる場合(
図9のS202)について説明したが、これに限らない。すなわち、室内熱交換器14の凍結に代えて、制御部40が室内熱交換器14を結露させるようにしてもよい。そして、結露水で室内熱交換器14の塵埃を洗い流した後、制御部40が貫流ファン20を逆回転させるようにしてもよい。
【0092】
また、第2実施形態では、所定の乾燥運転において、制御部40が、貫流ファン20を逆回転させた後(
図9のS204)、正回転させる処理(S205)について説明したが、この順序を逆にしてもよい。また、乾燥運転中、制御部40が、貫流ファン20を正回転させることなく、逆回転を継続させるようにしてもよい。すなわち、室内熱交換器14を凍結(又は結露)させる処理を行った後、制御部40が、乾燥運転の少なくとも一部の期間で、貫流ファン20を逆回転させるようにしてもよい。
【0093】
また、乾燥運転において貫流ファン20を逆回転させているとき、制御部40が、上下風向板19bを閉じる(又は、上下風向板19bを水平方向よりも上向きにする)ようにしてもよい。これによって、貫流ファン20の逆回転中、上下風向板19bの付近の隙間を介して室内機Uiに空気を取り入れるとともに、ユーザの違和感を低減できる。
【0094】
また、各実施形態や第1、第2、第3の変形例は、適宜に組み合わせてもよい。例えば、貫流ファン20の軸方向一端のファンブロックBpと、軸方向他端のファンブロックBqと、が異なる構成であってもよい。
【0095】
また、各実施形態では、室内機Ui(
図1参照)及び室外機Uo(
図1参照)が一台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
また、各実施形態では、壁掛型の空気調和機100について説明したが、貫流ファンが用いられる他の種類の空気調和機にも適用することが可能である。
【0096】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0097】
100 空気調和機
11 圧縮機
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 室内熱交換器
15 筐体
16 ドレンパン
16a 水受け部
16b 流下部(第1流下部)
16c 流下部(第2流下部)
20,20A,20B,20C 貫流ファン
21 室内ファンモータ(ファンモータ)
40 制御部
a1 曲率中心(前向き翼の曲率中心)
a2 曲率中心(後向き翼の曲率中心)
Bk,Bp,BAp,BBp,BCp,Bq ファンブロック
E 膨張弁
G 箇所
r 仕切板(支持板)
tp,tq 端板(支持板)
wk,wp,wq 翼
wpa 前向き翼
wpb 後向き翼
α 角度範囲(前向き翼が存在している周方向の角度範囲)
β 角度範囲(後向き翼が存在している周方向の角度範囲)