(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】スクリーン及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
B07B 1/46 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B07B1/46 D
B07B1/46 A
B07B1/46 Z
(21)【出願番号】P 2020123496
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019138557
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】魚崎 一彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良也
(72)【発明者】
【氏名】池田 整宏
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅英
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161646(JP,A)
【文献】特開昭61-153183(JP,A)
【文献】特開平07-080412(JP,A)
【文献】特開2019-209323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状物や分粒状物を篩い分けす
るための振動篩機の、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に取り付けられる、スクリーンであって、
網目状の、弾性材で作製された網部と、
前記網部と一体形成され、前記被係合部材側に仮固定される、スクリーン取付補助部と、を備
え、
前記網部は、複数の縦ロープと複数の横ロープとを交差させて形成されており、
前記スクリーン取付補助部は、前記複数の縦ロープ及び前記複数の横ロープ、の少なくとも1つと一体形成された、線条部材を有することを特徴とする、スクリーン。
【請求項2】
前記線条部材の端部には、前記被係合部材側に取り付けられる取付部が形成又は設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記取付部は、前記線条部材の端部を輪状に形成したことを特徴とする、
請求項2に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記取付部は、前記被係合部材の近辺に配置された強磁性体、又は、強磁性体を含む前記被係合部材に、磁力により取り付けられる、磁石であることを特徴とする、
請求項2に記載のスクリーン。
【請求項5】
網目状のスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンは、
網目状の、弾性材で作製された網部と、
前記網部と一体形成され、前記被係合部材側に仮固定される、スクリーン取付補助部とを有し、
前記網部は、複数の縦ロープと複数の横ロープとを交差させて形成されており、
前記スクリーン取付補助部は、
前記複数の縦ロープ及び前記複数の横ロープ、の少なくとも1つと一体形成された、線条部材と、
前記線条部材の端部に形成又は設けられた、前記被係合部材側に取り付けられる取付部と、を有し、
前記スクリーン取付補助部
の前記取付部を、前記被係合部材側に取付ける第1手順と、
前記第1手順により、前記スクリーンが前記スクリーン取付補助部を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第2手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網目状の弾性部材で作製されたスクリーン及びその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分け対象物を篩い分けする際、スクリーン(網)が用いられる。従来は、金属製のスクリーンが使用されていたが、近年では、弾性材を用いたスクリーン(ラバースクリーン)が主流となっている。
【0003】
ラバースクリーンは、寿命、騒音問題、耐摩耗性、振動篩機への取付け易さなどの点で、金属製のスクリーンよりも優れている。ラバースクリーンは、スチールコードや繊維コードなどからなる抗張体を弾性材で覆うことで形成されたロープと、これと同じまたは弾性材のみからなるロープとを、交錯積層(網目状)させて、その交錯部を溶着することで形成されている。スクリーンは、主に振動篩機(
図1参照)に設置して篩い分けを行う。スクリーンは、スクリーンの端に取り付けられたフックにて、所定の高さ位置に設けられた振動篩機の支持枠(クランピングバー)に取り付けられる。篩い分け対象物は、スクリーンの一方端からスクリーンの上面に投入されて、スクリーンの他方端に移動しつつ篩い分けられる。
【0004】
振動篩機においてスクリーンの取り付けは、特許文献1及び特許文献2のように、スクリーンの端に取り付けられたフックを、振動篩機のクランピングバーとサイドフレームとの間に挟んで取り付ける方法が採られている(特許文献2の
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実昭61-175280号公報
【文献】特開平7-265796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分けに使用されるスクリーンは、1枚あたりのサイズが幅900~3000mm、長さ600~1200mmと比較的大きなものが使用される。そのため、弾性材を用いたスクリーン(ラバースクリーン)の場合、振動篩機の設置や補修などにおいて、スクリーンを取り付けたり、取り替えたりする際に、スクリーンのサイズが大きいうえに剛性がないため、スクリーンの端に取り付けられたフックの重量の影響により、スクリーンの端(フックの部分)が、振動篩機の支持枠(クランピングバー)とスクリーンを所定の高さ位置で支持する支持フレームとの間に、手が届かない位置まで落ち易い(
図2参照)。そのため、1人がスクリーンの下でスクリーンの端を持ち上げて支え、もう1人がスクリーン上で、スクリーンの取り付け作業を行わなければならず、作業人員が複数必要であった。また、1人でスクリーンの取付作業を行う場合には、スクリーンを高所に保持して仮固定する補助具が必要になるが、補助具などを別個用意するとなると保管・管理の手間がかかる。
【0007】
そこで、本発明では、スクリーンの端が、振動篩機の支持枠と支持フレームとの間に落ちることなく、1人であっても容易にスクリーンの取り付け作業ができて、且つ、取付作業を補助する道具などを極力用いること無く、また、取付作業に要する手間を極力設ける必要が無いスクリーン及びその取付方法を提供する。を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つは、塊状物や分粒状物を篩い分けするめの振動篩機の、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に取り付けられる、スクリーンであって、
網目状の、弾性材で作製された網部と、
前記網部と一体形成され、前記被係合部材側に仮固定される、スクリーン取付補助部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
比較的大きく、弾性を有するスクリーンを、ある程度高所に設けられた被係合部材に係合する場合、スクリーンの弾性によりスクリーンの端が落ち込むことから、従来は、1人がスクリーンの端を下から持ち上げて支え、もう1人がスクリーンの上からスクリーンを被係合部材に係合して取り付けなければならず、作業人員が複数必要であった。また、1人でスクリーンの取付作業を行う場合には、スクリーンを高所に保持して仮固定する補助具が必要になるが、補助具などを別個用意するとなると保管・管理の手間がかかる。
上記構成によれば、スクリーンを、網部と一体形成されたスクリーン取付補助部を介して、振動篩機の被係合部材側に仮固定した状態で、スクリーンを、振動篩機の、所定高さ位置に設けられた被係合部材に取り付け固定することができる。
これにより、スクリーンの弾性によりスクリーンが落ち込むのを防止できることから、従来の作業で必要とされた、「1人がスクリーンの端を下から持ち上げて支える作業」を省くことができ、従来の2人以上での作業から1人での作業が可能になる。
また、「1人がスクリーンの端を下から持ち上げて支える作業」を省くことができることから、人がスクリーンの下側に入り込む必要がなくなり、作業の安全性も高めることができる。
更に、スクリーン取付補助部が、スクリーンの網部と一体形成されていることから、スクリーンを高所に保持して仮固定する補助具などを別個用意する必要がなくなり、スクリーンの取付作業に要する手間を省くことができる。
【0010】
また、本発明の1つは、上記スクリーンにおいて、前記網部が、複数の縦ロープと複数の横ロープとを交差させて形成されており、
前記スクリーン取付補助部は、前記複数の縦ロープ及び前記複数の横ロープ、の少なくとも1つと一体形成された、線条部材を有することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、スクリーン取付補助部を、網部の縦ロープや横ロープから延長させた線条部材を有する構成にすることができる。即ち、スクリーン取付補助部の線条部材を、縦ロープや横ロープと同形状・同材料にすることができる。これによりスクリーンの製造コストを減らすことができる。
【0012】
また、本発明の1つは、上記スクリーンにおいて、前記線条部材の端部には、前記被係合部材側に取り付けられる取付部が形成又は設けられていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、線条部材の端部に取付部を形成又は設けることにより、スクリーン取付補助部を、被係合部材側に取り付ける際の取り扱い性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の1つは、上記スクリーンの、前記取付部において、前記線条部材の端部を輪状に形成したことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、輪状の取付部を、例えば、被係合部材側に設けられた鉤状のフックにかけることができる。これにより、スクリーンの取付作業の簡易化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の1つは、上記スクリーンにおいて、前記取付部が、前記被係合部材の近辺に配置された強磁性体、又は、強磁性体を含む前記被係合部材に、磁力により取り付けられる、磁石であることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、取付部の被係合部材側への取り付けを磁石により簡単に行うことができる。
【0018】
また、本発明の1つは、網目状のスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンは、
網目状の、弾性材で作製された網部と、
前記網部と一体形成され、前記被係合部材側に仮固定される、スクリーン取付補助部とを有し、
前記スクリーン取付補助部を、前記被係合部材側に取付ける第1手順と、
前記第1手順により、前記スクリーンが前記スクリーン取付補助部を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第2手順と、を含むことを特徴としている。
【0019】
上記方法によれば、スクリーンを、網部と一体形成されたスクリーン取付補助部を介して被係合部材側に仮固定した状態で、スクリーンの係合部材を被係合部材に係合することができる。
これにより、スクリーンの弾性により係合部材が落ち込むのを防止できることから、従来の作業で必要とされた、「1人がスクリーンの係合部材を下から持ち上げて支える作業」を省くことができ、従来の2人以上での作業から1人での作業が可能になる。
また、「1人がスクリーンの係合部材を下から持ち上げて支える作業」を省くことができることから、人がスクリーンの下側に入り込む必要がなくなり、作業の安全性も高めることができる。
更に、スクリーン取付補助部が、スクリーンの網部と一体形成されていることから、スクリーンを高所に保持して仮固定する補助具などを別個用意する必要がなくなり、スクリーンの取付作業に要する手間を省くことができる。
【0020】
また、本発明の1つは、上記スクリーンの取付方法において、
前記網部は、複数の縦ロープと複数の横ロープとを交差させて形成されており、
前記スクリーン取付補助部は、
前記複数の縦ロープ及び前記複数の横ロープ、の少なくとも1つと一体形成された、線条部材と、
前記線条部材の端部に形成又は設けられた、前記被係合部材側に取り付けられる取付部と、を有し、
前記第1手順では、前記スクリーン取付補助部の前記取付部を、前記被係合部材側に取付けることを特徴としている。
【0021】
上記方法によれば、スクリーン取付補助部を、被係合部材側に取り付ける際の取り扱い性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
スクリーンの端が、振動篩機の支持枠と支持フレームとの間に落ちることなく、1人であっても容易にスクリーンの取り付け作業ができて、且つ、取付作業を補助する道具などを極力用いること無く、また、取付作業に要する手間を極力設ける必要が無いスクリーン及びその取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】従来の振動篩機へのスクリーンの取付方法で生じる問題の説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る振動篩機のスクリーンが備えるスクリーン取付補助部の説明図である。
【
図4】第1実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図5】(A)第3実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。(B)第4実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図7】(A)第2実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。(B)第2実施形態の変形例に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図8】(A)第2実施形態の変形例に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。(B)第2実施形態の変形例に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図9】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図10】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図11】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図12】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図13】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図14】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図15】第6実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図16】(a)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具の斜視図である。(b)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具の側面図である。(c)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具の正面図である。(d)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具で使用するボルトネジの正面図である。
【
図17】(A)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具の第1壁部に対する取付例の1つを説明する説明図である。(B)第7実施形態に係るスクリーン取付補助部に備わる固定治具の第1壁部に対する取付例の1つを説明する説明図である。
【
図18】(A)第8実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。(B)第9実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【
図19】第8実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図20】第10実施形態に係る、スクリーン取付補助部を備えたスクリーンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
まず、スクリーン10が取り付けられた、振動篩機1について説明する。振動篩機1は、スクリーン10上に、鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分け対象物を投入し、スクリーン10を振動させることにより、投入された篩い分け対象物をスクリーン10の網目の大小で篩い分けする電動装置である(
図1参照)。
【0025】
(振動篩機1)
振動篩機1は、
図14に示すように、第1壁部2の所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材4と、第2壁部3の所定の高さ位置に設けられた第2被係合部材5と、第1壁部2に平行な複数の支持フレーム6と、両端に第1被係合部材4に係合された第1係合部材7及び第2被係合部材5に係合された第2係合部材8を有する網目状の網部材9で構成されたスクリーン10とを有し、更に、スクリーン10を振動させる電動振動機(図示せず)を備えている。
【0026】
第1壁部2と第2壁部3とは互いに対向した状態で配置されており、背面(裏側)に、それぞれフック21及びフック31が設けられている。また、第1壁部2及び第2壁部3の組成物としては強磁性体(鉄、ニッケルなど)を含んでいる。
【0027】
第1被係合部材4は、
図3や
図14に示すように、第1壁部2に平行して設けられたサイドプレート41と、支持フレーム6と同じ高さ位置でサイドプレート41から第2壁部3側に水平に突き出たサポートフレーム42と、サイドプレート41の上部に配置され、第1係合部材7と係合する断面視コの字形状のクランピングバー43と、サイドプレート41に設けられた螺子穴及びクランピングバー43に設けられた螺子穴に螺合される螺子44と、螺子44に螺合されるナット45とを備えている。そして、スクリーン10の第1係合部材7とクランピングバー43とが係合され、第1係合部材7がクランピングバー43とサポートフレーム42との間で挟まれた状態で、ナット45で螺子44を締めることで、クランピングバー43がサイドプレート41側に移行する。これにより、第1係合部材7と第1被係合部材4とが係合されたうえで強固に固定される。
【0028】
第2被係合部材5は、
図14に示すように、第2壁部3に平行して設けられたサイドプレート51と、支持フレーム6と同じ高さ位置でサイドプレート51から第1壁部2側に水平に突き出たサポートフレーム52と、サイドプレート51の上部に配置され、第2係合部材8と係合する断面視逆コの字形状のクランピングバー53と、サイドプレート51に設けられた螺子穴及びクランピングバー53に設けられた螺子穴に螺合される螺子54と、螺子54に螺合されるナット55とを備えている。そして、スクリーン10の第2係合部材8とクランピングバー53とが係合され、第2係合部材8がクランピングバー53とサポートフレーム52との間で挟まれた状態で、ナット55で螺子54を締めることで、クランピングバー53がサイドプレート51側に移行する。これにより、第2係合部材8と第2被係合部材5とが係合されたうえで強固に固定される。
【0029】
支持フレーム6は、第1壁部2と第2壁部3との間に、第1壁部2に平行に所定間隔で複数設けられている。支持フレーム6は、スクリーン10を下側から支える役割を果たす。
【0030】
(スクリーン10)
スクリーン10は、
図3及び
図4に示すように、所定間隔で平行に配置された複数の横ロープ91と、所定間隔で平行に配置された複数の縦ロープ92とを直交させて、直交させた交差部分を溶着させて網目状に形成した網部材9を備えている。
【0031】
ここで、網部材9において、第1係合部材7に最も近い縦ロープ92A(
図4参照)は、少なくともその一端が他の縦ロープ92より長く延長されており、この延長部分が線条部材931として構成されている。この線条部材931の端部には、線条部材931の先端を輪状にしてカシメ金具により圧着固定した取付部932が形成されている。この取付部932は、第1壁部2の背面に設けられたフック21に引っ掛けられる。このように、本実施形態では、縦ロープ92Aから延長された線条部材931及び取付部932により、網部材9と一体形成され、第1被係合部材4側に仮固定される、スクリーン取付補助部93が形成されている。なお、
図4では、縦ロープ92Aの一端にだけスクリーン取付補助部93が形成されている構成を例示したが、縦ロープ92Aの他端にもスクリーン取付補助部93が形成されている構成でもよい。この場合、第1壁部2の背面に設けられた、2つのフックに、縦ロープ92Aの一端に形成されたスクリーン取付補助部93及び縦ロープ92Aの他端に形成されたスクリーン取付補助部93が取り付けられる。
【0032】
同様に、網部材9において、第2係合部材8に最も近い縦ロープ92B(
図4参照)は、少なくともその一端が他の縦ロープ92より長く延長されており、この延長部分が線条部材941として構成されている。この線条部材941の端部には、線条部材941の先端を輪状にしてカシメ金具により圧着固定した取付部942が形成されている。この取付部942は、第2壁部3の背面に設けられたフック31に引っ掛けられる。このように、本実施形態では、縦ロープ92Bから延長された線条部材941及び取付部942により、網部材9と一体形成され、第2被係合部材5側に仮固定される、スクリーン取付補助部94が形成されている。なお、
図4では、縦ロープ92Bの一端にだけスクリーン取付補助部94が形成されている構成を例示したが、縦ロープ92Bの他端にもスクリーン取付補助部94が形成されている構成でもよい。この場合、第2壁部3の背面に設けられた、2つのフックに、縦ロープ92Bの一端に形成されたスクリーン取付補助部94及び縦ロープ92Bの他端に形成されたスクリーン取付補助部94が取り付けられる。
【0033】
横ロープ91、縦ロープ92、及び、スクリーン取付補助部93・94(線条部材931・941、取付部932・942)は、抗張体及び抗張体を覆う弾性材によって構成されている。抗張体は、屈曲性を有するコードである。抗張体は、例えば、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエステル繊維、ガラス繊維等からなる繊維コード、または、スチールコードが用いられる。繊維コードは、撚糸であってもよい。スクリーン10を振動篩機1に取り付けた場合、横ロープ91には大きなテンションがかかるため、横ロープ91の抗張体としては、芳香族ポリアミドの繊維コードまたはスチールコードを用いることが好ましい。一方、縦ロープ92は、横ロープ91ほどの引張強度は必要ないことから、縦ロープ92の抗張体は、上述のどの繊維コードであってもよく、スチールコードであってもよい。
【0034】
横ロープ91、縦ロープ92、及び、スクリーン取付補助部93・94に使用する弾性材は、主成分として。熱可塑性ポリウレタンを含む。熱可塑性ポリウレタンは、耐摩耗性に優れている。なお、弾性材の主成分は、ゴムであってもよい。横ロープ91の弾性材の材質は、縦ロープ92の弾性材の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
また、スクリーン10は、
図4及び
図14に示すように、網部材9の横ロープ91の方向の両端に第1係合部材7及び第2係合部材8が取り付けられている。第1係合部材7及び第2係合部材8は、断面視フック形状をしており、網部材9の縦ロープ92の方向に延伸した形状をしている。この第1係合部材7及び第2係合部材8は、第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合されることから剛性が求められ、その素材としては鉄などが使用される。
【0036】
詳細には、第1係合部材7及び第2係合部材8は、
図6に示すように、金属製の断面L字フックと横ロープ91の抗張体とを埋設したポリウレタン弾性体で構成されている。
【0037】
(スクリーン10の製造方法:縦ロープの延長部分をスクリーン取付補助部として構成)
次に、上記スクリーン取付補助部93・94を備えたスクリーン10の製造方法について説明する。
【0038】
まず、縦ロープ92および横ロープ91の元となるロープは、押出成形機により抗張体(スチールコード)を成形機より引き出しながら、同時に弾性材を被覆することにより形成される。
【0039】
次に、所望の網部材9の大きさに相当する様、予め、上記形成したロープから、複数の横ロープ91と複数の縦ロープ92とを所要の長さに切りそろえる。ただし、網部材9の両端に配置する、縦ロープ92A及び縦ロープ92Bは、スクリーン取付補助部93・94を形成するために突出した長さに切っておく。ここで、スクリーン取付補助部93・94を形成する縦ロープ92A及び縦ロープ92Bの突出した長さとは、最終的に完成したスクリーン10を振動篩機1に取付ける際に仮固定するために必要な長さに応じて適宜寸法が決められる。
【0040】
次に、所要の長さに切りそろえられた複数の横ロープ91を等間隔で並列状に引き揃える。
【0041】
次に、複数の縦ロープ92を、並列に並んだ複数の横ロープ91の上部、若しくは下部に、複数の横ロープ91と直交して等間隔並列状に積層し(なお、縦ロープ92A及び縦ロープ92Bは両端に配置する)、横ロープ91と縦ロープ92との交差部分を加熱溶融することによって、交差部分を強固に溶着する。なお、その他には、横ロープ91と縦ロープ92との交差部分を接着剤によって接着するか、または、横ロープ91及び縦ロープ92を構成する弾性材がゴムの場合は横ロープ91と縦ロープ92とを同様に積層交錯させた後、オーブン加硫するか、或いは、横ロープ91と縦ロープ92とを積層した形状溝を有する金型内で加硫接着してもよい。更に、横ロープ91及び縦ロープ92を構成する弾性材がゴムや液状ポリウレタンの場合は、横ロープ91と縦ロープ92とを積層交錯した形状溝を有する金型内に、抗張体(スチールコード)を配置した後、この空間に未加硫ゴムや液状ポリウレタンをトランスファー成型もしくは注型法によって充填した後、加硫やキュアーしてもよい。
【0042】
更に、本実施形態のように、抗張体にスチールコードを用いたロープを使用した場合は、スクリーン取付補助部93・94の線条部材931・941の先端において、被覆された弾性材を除去して、スチールコードを露出させることにより、線条部材931・941の先端部をカシメ金具を用いて、輪状の取付部932・942を形成する。そうすることで、スクリーン取付補助部93の線条部材931の端部に、第1壁部2の背面に設けられたフック21(第1被係合部材4側)に引っ掛けるための取付部932を形成し、スクリーン取付補助部94の線条部材941の端部に、第2壁部3の背面に設けられたフック31(第2被係合部材5側)に引っ掛けるための取付部942を形成することができる。このように、スクリーン取付補助部93・94に取付部932・942を形成することにより、第1壁部2・第2壁部3に取り付ける際の取り扱い性を向上させることができる。更に、取付部932・942を輪状に形成していることにより、第1壁部2・第2壁部3に設けられた鉤状のフック21・31にかけることができる。これにより、スクリーン10の取付作業の簡易化を図ることができる。
【0043】
その後、横ロープ91の両端部において弾性材を、所要の位置(
図6のGの位置)で切削切除して抗張体を露出し、抗張体の両端部の撚りをもどしてばらばらにしてときほぐした状態にする。
【0044】
次いで、抗張体の上に、千鳥状の貫通孔を設けた金属製の断面L字フックを配置し、断面L字フックに抗張体を沿わすように折り曲げた上で、これに液状ポリウレタン(熱硬化性)を注型して硬化させることにより、横ロープ91の端部とその抗張体、およびL字フックが埋設して、一体化された第1係合部材7及び第2係合部材8が備わったスクリーン10が得られる。
【0045】
(スクリーン10の取り付け方法)
次に、スクリーン10の振動篩機1への取付方法について説明する。
【0046】
(1)まず、
図9に示すように、作業者が支持フレーム6の上に乗って、ロール状に巻かれたスクリーン10を、支持フレーム6上に載せる。このとき、スクリーン10の第1係合部材7が第1被係合部材4の近くに配置されるように、スクリーン10を支持フレーム6上に載せる。
【0047】
(2)次に、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10の半分程度が広がるように、複数の支持フレーム6上でスクリーン10を広げる。
【0048】
(3)次に、
図10に示すように、作業者は、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側に設けられたスクリーン取付補助部93の輪状の取付部932を、第1壁部2の裏側に設けられたフック21に引っ掛ける。これにより、スクリーン取付補助部93によって、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。
【0049】
(4)次に、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10を全て広げる。
【0050】
(5)次に、
図11に示すように、作業者は、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側に設けられたスクリーン取付補助部94の輪状の取付部942を、第2壁部3の裏側に設けられたフック31に引っ掛ける。これにより、スクリーン取付補助部94によって、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0051】
(6)次に、
図12に示すように、作業者は、螺子44を外して、第1被係合部材4のクランピングバー43をサイドプレート41から取り外し、スクリーン10の第1係合部材7をサポートフレーム42の上に載せ、
図13に示すように、クランピングバー43をサイドプレート41に取り付け、第1係合部材7がクランピングバー43とサポートフレーム42との間に挟まれた状態となることで、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合され、さらに、螺子44でナット45を締めることにより、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合された上で強固に固定される。
【0052】
(7)同様に、
図12に示すように、作業者は、螺子54を外して、第2被係合部材5のクランピングバー53をサイドプレート51から取り外し、スクリーン10の第2係合部材8をサポートフレーム52の上に載せ、
図13に示すように、クランピングバー53をサイドプレート51に取り付け、第2係合部材8がクランピングバー53とサポートフレーム52との間に挟まれた状態となることで、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合され、さらに、螺子54でナット55を締めることにより、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合された上で強固に固定される。なお、第1被係合部材4の螺子44、及び、第2被係合部材5の螺子54の締め付け具合により、スクリーン10のテンション強度が微調整される。
【0053】
(8)最後に、
図14に示すように、作業者は、フック21からスクリーン取付補助部93の取付部932を外した上で、線条部材931の網部材9側の根本を切断することにより、スクリーン取付補助部93を回収する。同様に、作業者は、フック31からスクリーン取付補助部94の取付部942を外した上で、線条部材941の網部材9側の根本を切断することにより、スクリーン取付補助部94を回収する。
【0054】
上記構成によれば、スクリーン10を、網部材9と一体形成されたスクリーン取付補助部93及びスクリーン取付補助部94を介して、第1壁部2及び第2壁部3に仮固定した状態で、スクリーン10を、振動篩機1の、所定高さ位置に設けられた第1被係合部材4及び第2被係合部材5に取り付け固定することができる。
これにより、スクリーン10の弾性によりスクリーン10が落ち込むのを防止できることから、従来の作業で必要とされた、「1人がスクリーン10の端を下から持ち上げて支える作業」を省くことができ、従来の2人以上での作業から1人での作業が可能になる。
また、「1人がスクリーン10の端を下から持ち上げて支える作業」を省くことができることから、人がスクリーン10の下側に入り込む必要がなくなり、作業の安全性も高めることができる。
更に、スクリーン取付補助部93及びスクリーン取付補助部94が、スクリーン10の網部材9と一体形成されていることから、スクリーン10を高所に保持して仮固定する補助具などを別個用意する必要がなくなり、スクリーン10の取付作業に要する手間を省くことができる。
【0055】
また、上記構成によれば、スクリーン取付補助部93を、網部材9の縦ロープ92Aから延長させた線条部材931を有する構成にすることができる。即ち、スクリーン取付補助部93の線条部材931を、縦ロープ92Aと同形状・同材料にすることができる。これによりスクリーン10の製造コストを減らすことができる。
【0056】
<第2実施形態>
上記第1実施形態のスクリーン取付補助部93・94は、縦ロープ92の延長部分に形成されていたが、スクリーン取付補助部95・96は、横ロープ91の延長部分に形成してもよい。
【0057】
具体的には、
図7(A)に示すように、網部材9において、複数の横ロープ91の中で真ん中に配置された横ロープ91Aは、その両端が他の横ロープ91より長く延長されており、この延長部分の一端が線条部材951として構成され、他端が線条部材961(不図示)として構成されている。この線条部材951の端部には、線条部材951の先端を輪状にしてカシメ金具により圧着固定した取付部952が形成されている。この取付部952は、第1壁部2の背面に設けられたフック21に引っ掛けられる。このように、第2実施形態の網部材9では、横ロープ91Aから延長された線条部材951及び取付部952により、網部材9と一体形成され、第1被係合部材4側に仮固定される、スクリーン取付補助部95が形成されている。
【0058】
同様に、図示しないが、線条部材961の端部には、線条部材961の先端を輪状にしてカシメ金具により圧着固定した取付部962が形成されている。この取付部962は、第2壁部3の背面に設けられたフック31に引っ掛けられる。このように、本実施形態では、横ロープ91Aから延長された線条部材961及び取付部962により、網部材9と一体形成され、第2被係合部材5側に仮固定される、スクリーン取付補助部96が形成されている。
【0059】
なお、
図7(B)に示すように、線条部材951及び線条部材961を含む横ロープ91Aのみ径(抗張体の径を含む)を、他の横ロープ91よりも太くしてもよい。例えば、抗張体に、一般的なワイヤーロープ(例えば径がφ3~8mmのスチールコード)を用いてもよい。
【0060】
スクリーン10の取り付け方法としては、第1実施形態と同様に、作業者は、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側に設けられたスクリーン取付補助部95の輪状の取付部952を、第1壁部2の裏側に設けられたフック21に引っ掛ける。同様に、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側に設けられたスクリーン取付補助部96の輪状の取付部962を、第2壁部3の裏側に設けられたフック31に引っ掛けることにより、スクリーン10を、網部材9と一体形成されたスクリーン取付補助部95及びスクリーン取付補助部96を介して、第1壁部2及び第2壁部3に仮固定する。
【0061】
また、
図8(A)に示すように、網部材9において、複数の横ロープ91の中で両端に配置された、横ロープ91B及び横ロープ91Cは、その両端が他の横ロープ91より長く延長されていてもよい。この場合、横ロープ91Bの延長部分の一端が、線条部材951B及び取付部952Bを含むスクリーン取付補助部95Bとして構成され、他端が線条部材961B及び取付部962Bを含むスクリーン取付補助部96B(不図示)として構成されている。同様に、横ロープ91Cの延長部分の一端が、線条部材951C及び取付部952Cを含むスクリーン取付補助部95Cとして構成され、他端が線条部材961C及び取付部962Cを含むスクリーン取付補助部96C(不図示)として構成されている。
【0062】
このように、スクリーン取付補助部を設けた横ロープ91を2本にする場合(横ロープ91B及び横ロープ91C)、スクリーン10の篩い分け対象物が流れていく方向の、上流側と下流側の上下対称の位置(上下から同じ距離を有する位置)にそれぞれ近い横ロープを、スクリーン取付補助部と一体化させることが望ましい。
【0063】
なお、
図8(B)に示すように、線条部材951B及び線条部材961Bを含む横ロープ91B、及び、線条部材951C及び線条部材961Cを含む横ロープ91Cのみ径(抗張体の径を含む)を、他の横ロープ91よりも太くしてもよい。
【0064】
また、本実施形態のように、スクリーン取付補助部95及びスクリーン取付補助部96を、横ロープ91Aの延長部分に形成する場合、横ロープ91Aは、第1係合部材7及び第2係合部材8を構成する、ポリウレタン弾性体には埋設されず露出させた状態である。
【0065】
スクリーン10の取り付け方法としては、第1壁部2の裏側には、第1フック21A及び第2フック21B(図示せず)が設けられ、第2壁部3の裏側には、第1フック31A及び第2フック31Bが設けられていることを前提に、作業者は、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側に設けられた、スクリーン取付補助部95Bの輪状の取付部952B、及び、スクリーン取付補助部95Cの輪状の取付部952Cを、第1壁部2の裏側に設けられた、第1フック21A及び第2フック21Bに引っ掛ける。同様に、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8に設けられた、スクリーン取付補助部96Bの輪状の取付部962B、及び、スクリーン取付補助部96Cの輪状の取付部962Cを、第2壁部3の裏側に設けられた、第1フック31A及び第2フック31Bに引っ掛けることにより、スクリーン10を、網部材9と一体形成されたスクリーン取付補助部95B、スクリーン取付補助部95C、スクリーン取付補助部96B、及び、スクリーン取付補助部96Cを介して、第1壁部2及び第2壁部3に仮固定する。
【0066】
(スクリーン10の製造方法:横ロープの延長部分をスクリーン取付補助部として構成)
次に、上記スクリーン取付補助部95を備えたスクリーン10の製造方法について説明する。
【0067】
まず、縦ロープ92および横ロープ91の元となるロープは、押出成形機により抗張体(スチールコード)を成形機より引き出しながら、同時に弾性材を被覆することにより形成される。
【0068】
次に、所望の網部材9の大きさに相当する様、予め、上記形成したロープから、複数の横ロープ91と複数の縦ロープ92とを所要の長さに切りそろえる。ただし、網部材9の真ん中に配置する、横ロープ91Aは、スクリーン取付補助部95及びスクリーン取付補助部96を形成するために突出した長さに切っておく。ここで、スクリーン取付補助部95及びスクリーン取付補助部96を形成する横ロープ91Aの突出した長さとは、最終的に完成したスクリーン10を振動篩機1に取付ける際に仮固定するために必要な長さに応じて適宜寸法が決められる。
【0069】
次に、所要の長さに切りそろえられた横ロープ91を等間隔で並列状に引き揃え、その真ん中に横ロープ91Aを配置する。
【0070】
次に、複数の縦ロープ92を、並列に並んだ複数の横ロープ91の上部、若しくは下部に、複数の横ロープ91と直交して等間隔並列状に積層し、横ロープ91と縦ロープ92との交差部分を加熱溶融することによって、交差部分を強固に溶着する。なお、その他には、横ロープ91と縦ロープ92との交差部分を接着剤によって接着するか、または、横ロープ91及び縦ロープ92を構成する弾性材がゴムの場合は横ロープ91と縦ロープ92とを同様に積層交錯させた後、オーブン加硫するか、或いは、横ロープ91と縦ロープ92とを積層した形状溝を有する金型内で加硫接着してもよい。更に、横ロープ91及び縦ロープ92を構成する弾性材がゴムや液状ポリウレタンの場合は、横ロープ91と縦ロープ92とを積層交錯した形状溝を有する金型内に、抗張体(スチールコード)を配置した後、この空間に未加硫ゴムや液状ポリウレタンをトランスファー成型もしくは注型法によって充填した後、加硫やキュアーしてもよい。
【0071】
その後、横ロープ91の両端部において弾性材を、所要の位置(
図6のGの位置)で切削切除して抗張体を露出し、抗張体の両端部の撚りをもどしてばらばらにしてときほぐした状態にする。
【0072】
次いで、横ロープ91Aを除いた、抗張体の上に、千鳥状の貫通孔を設けた金属製の断面L字型フックを配置し、断面L字フックに抗張体を沿わすように折り曲げた上で、これに液状ポリウレタン(熱硬化性)を注型して硬化させることにより、横ロープ91Aを除いた、横ロープ91の端部とその抗張体、およびL字フックが埋設して、一体化された第1係合部材7及び第2係合部材8が備わったスクリーン10が得られる。
【0073】
更に、スクリーン取付補助部95・96の線条部材951・961の先端において、被覆された弾性材を除去して、スチールコード(抗張体)を露出させることにより、線条部材951・961の先端部をカシメ金具を用いて、輪状の取付部952・962を形成する。そうすることで、スクリーン取付補助部95の線条部材951の端部に、第1壁部2の背面に設けられたフック21(第1被係合部材4側)に引っ掛けるための取付部952を形成し、スクリーン取付補助部96の線条部材961の端部に、第2壁部3の背面に設けられたフック31(第2被係合部材5側)に引っ掛けるための取付部962を形成することができる。
【0074】
上記構成によれば、スクリーン取付補助部95を、網部材9の横ロープ91Aから延長させた線条部材951を有する構成にすることができる。即ち、スクリーン取付補助部95の線条部材951を、横ロープ91Aと同形状・同材料にすることができる。これによりスクリーン10の製造コストを減らすことができる。
【0075】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、他の縦ロープ92より長い、縦ロープ92A及び縦ロープ92Bを使用して、スクリーン取付補助部93及びスクリーン取付補助部94を作成していた。しかし、
図5(A)に示すように、他の縦ロープ92よりも、一方の端が僅かに長い(15cmくらい、これを耳部934Eを称す)縦ロープ92Eを用いて、この耳部934Eに、輪状の取付部932Eが形成された線条部材931Eを、金具933Eを使ってかしめることで、縦ロープ92Eの耳部934Eに線条部材931Eを接合して、スクリーン取付補助部93Eを形成してもよい。なお、線条部材931Eとしては、横ロープ91又は縦ロープ92と同じ素材を使用してもよいし、まったく他の素材を使用してもよい。
【0076】
<第4実施形態>
また、
図5(B)に示すように、他の縦ロープ92よりも、両端が僅かに長い(これを耳部934F及び耳部934Gと称す)縦ロープ92Fを用いて、一方の耳部934Fに、線条部材931Fを、金具933Fを使ってかしめることで、縦ロープ92Fの耳部934Fに線条部材931Fを接合して、スクリーン取付補助部93Fを形成し、他方の耳部934Gに、線条部材931Gを、金具933Gを使ってかしめることで、縦ロープ92Fの耳部934Gに線条部材931Gを接合して、スクリーン取付補助部93Gを形成してもよい。このように、縦ロープ92Fの両端に、スクリーン取付補助部93F及びスクリーン取付補助部93Gを設けたほうが、スクリーン10の第1壁部2及び第2壁部3への取付作業の際にスクリーン10が傾いたりすることなく、バランスよく仮固定することができる。
【0077】
<第5実施形態>
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、横ロープ91及び縦ロープ92の抗張体にスチールコードを使用した場合について説明したが、抗張体に繊維コードを使用してもよい。この場合、抗張体がスチールコードの場合と異なり、横ロープ91・縦ロープ92の屈曲性は高く柔軟性があるので、例えば、抗張体に繊維コードを使用した、縦ロープ92Aから延長された線条部材931の端部を、輪状に結んだ取付部932を形成したり、第1被係合部材4側の部材(フック21など)に直接結びつけたりすることが可能になる。また、線条部材931の端部を輪状にする他の方法としては、カシメ金具をつかった公知技術により、線条部材931を折り返してかしめることで、輪状が形成される。なお、これら輪状にした部分には、鉤状のフックを装着して取付部にしてもよい。
【0078】
<第6実施形態>
また、
図15に示すように、スクリーン取付補助部93の輪状の取付部932には、片面にフック331がついた、円盤形状の磁石33を取り付けてもよい(取付部932及び磁石33を含めて取付部に相当)。このように、取付部として磁石33を使用すれば、第1被係合部材4の近辺に配置した、強磁性体を含む第1壁部2や、鉄製の第1被係合部材4のサイドプレート41に対する、スクリーン取付補助部93の取り付けを磁石により簡単に行うことができる。なお、スクリーン取付補助部94についても同様である。また、磁石33としては、ON・OFFの切り替えができる電磁石を使用してもよい。また、磁石33の形状としては、特に限定はなく、四角形状、三角形状、半球形状、円柱形状でもよい。
【0079】
<第7実施形態>
第6実施形態では、スクリーン取付補助部93の輪状の取付部932に磁石33を取り付けているが、スクリーン取付補助部95の輪状の取付部952に、
図16に示すような固定治具133を取り付けてもよい(スクリーン取付補助部96についても同様)。
【0080】
固定治具133は、
図16に示すように、長方体で断面がコの字型になるようにくり抜かれた形状をしている。この断面がコの字型にくり抜かれた空間134の幅Wの大きさは、第1壁部2及び第2壁部3の厚みTより大きい。また、固定治具133の表面135には、螺子穴135Aが設けられており、この螺子穴135Aにワッシャー136を介してボルトネジ137が螺合される。また、固定治具133の上面138には、輪状の取付部952が取り付けられる通し穴139(なお、フックでもよい)が溶着されている。また、固定治具133の素材としては、鉄、ステンレス等の金属が使用される。なお、線条部材951の先端を、通し穴139に通し、輪状にしてカシメ金具により圧着固定することによって、スクリーン取付補助部95の輪状の取付部952と固定治具133は連結される。
【0081】
固定治具133を備えたスクリーン取付補助部95の取付方法としては、例えば、
図17(A)に示すように、作業者は、固定治具133の断面がコの字型にくり抜かれた空間134部分を、第1壁部2の上端部に被せて、ボルトネジ137を締めることにより、スクリーン取付補助部95の固定治具133を第1壁部2に取り付ける。
【0082】
なお、
図17(B)に示すように、第1壁部2において、上端部が外側(水平方向)に突き出た形状である場合でも、固定治具133の空間134部分を、第2壁部3の上端部に被せて、ボルトネジ137を締めることにより、スクリーン取付補助部95の固定治具133を第2壁部3に取り付けることができる。
【0083】
上記によれば、スクリーン取付補助部95及びスクリーン取付補助部96の第1壁部2や第2壁部3への取り付けを固定治具133の螺合により強固に行うことができる。これにより、スクリーン10の重量が重いものでも、確実に仮固定することができる。
【0084】
<第8実施形態>
第6実施形態では、スクリーン取付補助部93の輪状の取付部932に磁石33を取り付けられた構成で説明した。しかし、スクリーン10が比較的重く、磁石33の磁力だけでは、第1壁部2に十分に仮固定できない場合がある。
【0085】
そこで、スクリーン10が比較的重い場合でも使用可能な、金具Aを備えたスクリーン取付補助部95について説明する。
【0086】
スクリーン取付補助部95は、
図18(A)に示すように、輪状の取付部952に取り付けられた金具Aを有している。
【0087】
金具Aは、第1壁部2に形成された、円形状をした係合孔29の直径(
図19参照)よりも大きい形状をしたプレート351と、プレート351に形成され、係合孔29を挿通可能な凸部352と、凸部352に形成された螺子溝に螺合するナットキャップ353とを有している。なお、スクリーン取付補助部95の取付部952は、凸部352に挿通可能な大きさの輪状に形成されている。
【0088】
次に、金具Aを備えたスクリーン取付補助部95を使用したスクリーン10の取付方法を説明する。なお、第1実施形態等と同じ手順については省略し、金具Aを第1壁部2に取り付ける手順について詳細する。
【0089】
作業者は、
図19に示すように、プレート351に形成された凸部352を、第1壁部2に形成された係合孔29に挿通させる。そして、係合孔29から突出した凸部352に、スクリーン取付補助部95の輪状の取付部952を挿通させた上で、ナットキャップ353を凸部352に形成された螺子溝に螺合する。これにより、スクリーン取付補助部95と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。同様に、第2壁部3においても、金具Aを備えたスクリーン取付補助部96を使用して、スクリーン取付補助部96と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0090】
なお、係合孔29は、第1被係合部材4のサイドプレート41に形成されていてもよい。
【0091】
<第9実施形態>
次に、スクリーン10が比較的重い場合でも使用可能な、補助棒450を備えた、スクリーン取付補助部93F及びスクリーン取付補助部93Gについて説明する。
【0092】
補助棒450は、
図18(B)に示すように、両端に第1凸部451及び第2凸部452が形成されており、この第1凸部451及び第2凸部452は、補助棒450の軸方向に直交する方向に突出している。そして、第1凸部451には、ナットキャップ453が螺合される螺子溝が形成されている。同様に、第2凸部452には、ナットキャップ454が螺合される螺子溝が形成されている。また、第1凸部451及び第2凸部452は、第1壁部2に形成された、円形状をした2つの係合孔29に挿通可能な大きさである。なお、スクリーン取付補助部93Fの取付部932F(スクリーン取付補助部93Gの取付部932G)は、第2凸部452(第1凸部451)に挿通可能な大きさの輪状に形成されている。
【0093】
次に、補助棒450、スクリーン取付補助部93F及びスクリーン取付補助部93Gを使用したスクリーン10の取付方法を説明する。なお、第1実施形態等と同じ手順については省略し、補助棒450を第1壁部2に取り付ける手順について詳細する。
【0094】
作業者は、補助棒450の第1凸部451及び第2凸部452を、第1壁部2に形成された2つの係合孔29に挿通させる。そして、2つの係合孔29から突出した第1凸部451と第2凸部452とに、スクリーン取付補助部93Gの輪状の取付部932Gとスクリーン取付補助部93Fの輪状の取付部932Fを挿通させた上で、ナットキャップ453とナットキャップ454とを、第1凸部451に形成された螺子溝と第2凸部452に形成された螺子溝とに螺合する。これにより、スクリーン取付補助部93F及びスクリーン取付補助部93Gと、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。同様に、第2壁部3においても、補助棒450を使用して、スクリーン10と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0095】
なお、2つの係合孔29は、第1被係合部材4のサイドプレート41に形成されていてもよい。
【0096】
<第10実施形態>
上記第3実施形態(
図5(A)参照)では、他の縦ロープ92よりも、一方の端が僅かに長い縦ロープ92Eの耳部934Eに、線条部材931Eを、金具933Eを使ってかしめることで、縦ロープ92Eの耳部934Eに線条部材931Eを接合して、スクリーン取付補助部93Eを形成している。しかし、一方の端が僅かに長い縦ロープ92Eを使用しない形態でもよい。具体的には、
図20に示すように、篩い分け対象物の篩い分けの機能を果たすスクリーンの網目を構成する縦ロープ92とは別に、縦ロープ92と同じ構成の縦ロープ92Hを、縦ロープ92と平行に、第1係合部材7の近くに配置する。そして、
図20に示すように、縦ロープ92Hの一部を切断する。そして、その切断した縦ロープ92Hの一端を、耳部934Hとして、この耳部934Hに、輪状の取付部932Hが形成された線条部材931Hを、金具933Hを使ってかしめることで、縦ロープ92Hの耳部934Hに、線条部材931Hを接合して、スクリーン取付補助部93Hを形成する。なお、第2係合部材8の近くにも、縦ロープ92Hを配置して、同様に、スクリーン取付補助部93H(不図示)を形成する。
【0097】
上記のように、縦ロープ92Hに、スクリーンの網目を構成する縦ロープ92と同じものを使用していることから、第3実施形態のように、他の縦ロープ92よりも、一方の端が僅かに長い縦ロープ92Eを別個用意する必要がないので、製造に係る手間(別規格の縦ロープ92Eを用意する手間)を省くことができる。また、スクリーンの網目を構成する縦ロープ92とは別の縦ロープ92Hを切断して、スクリーン取付補助部93Hを形成していることから、スクリーンの網目が規格の寸法より広がることもなく、スクリーンの篩い分け機能が低下することもない。また、第10実施形態のスクリーンと、線条部材931Hと、金具933Hとを、振動篩機1に取り付ける作業現場に持って行けば、作業者の判断で、必要に応じて、縦ロープ92Hを切断して、スクリーン取付補助部93Hを簡単に形成することができる。
【0098】
なお、上記第10実施形態では、縦ロープ92に平行して配置した縦ロープ92Hを切断して、スクリーン取付補助部93Hを形成したが、横ロープ91に平行して配置した横ロープ91Hを切断して、スクリーン取付補助部93Hを形成してもよい。また、上記第10実施形態では、縦ロープ92Hを一か所切断して、スクリーン取付補助部93Hを1つ形成しているが、縦ロープ92を二か所切断して、スクリーン取付補助部93Hを2つ形成してもよい。また、第10実施形態では、線条部材として、輪状の取付部932Hが形成された線条部材931Hを例示して説明したが、上記第1~第9実施形態で例示した線条部材を採用してもよい。
【0099】
(その他の実施形態)
(1)上記実施形態では、スクリーン取付補助部の取付部を輪状に形成しているが、これに限らず、スクリーン取付補助部の線条部材の端部を、第1被係合部材4(第2被係合部材5)に取付けたアイボルト(またはフック、または係合孔)に結びつけることによって、スクリーン10と第1被係合部材4(第2被係合部材5)とを仮固定してもよい。なお、結び方は公知の方法であればよい。
【0100】
(2)スクリーン取付補助部93には、線条部材931を手動又は電動により巻取り可能な、巻取機構が備わっていてもよい。これにより、線条部材931に相当する部分の長さを調節したり、張力を与えたりすることが可能になる。また、巻取機構を使用すれば、重量の大きなスクリーン10の第1係合部材7を所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材4に容易に位置合せすることが可能になるために、取付作業の作業性が向上する。
【符号の説明】
【0101】
1 振動篩機
2 第1壁部
3 第2壁部
4 第1被係合部材
5 第2被係合部材
6 支持フレーム
7 第1係合部材
8 第2係合部材
9 網部材
91 横ロープ
92 縦ロープ
93 スクリーン取付補助部
931 線条部材
932 取付部
10 スクリーン