(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231214BHJP
【FI】
H02M7/48 R
(21)【出願番号】P 2020168402
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】舩坂 剛
(72)【発明者】
【氏名】脇 昌裕
(72)【発明者】
【氏名】松本 誠
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012588(WO,A1)
【文献】特開2019-030199(JP,A)
【文献】特開2002-017091(JP,A)
【文献】特開2015-027197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源及び交流の電力系統に接続され、前記直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換し、前記交流電力を前記電力系統に供給する変換器と、
前記電力系統と前記変換器との間に設けられたフィルタコンデンサと、
前記フィルタコンデンサと前記電力系統との間に設けられ、前記フィルタコンデンサを前記電力系統に接続した第1状態と、前記フィルタコンデンサを前記電力系統から切り離した第2状態と、を切り替える切替部と、
前記変換器における前記直流電力から前記交流電力への変換を制御するとともに、前記切替部の前記第1状態及び前記第2状態の切り替えを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記変換器から前記電力系統への前記交流電力の供給を一時的に停止する連系待機状態に前記変換器を設定するための条件を満たした場合に、前記変換器から前記電力系統への前記交流電力の供給を一時的に停止させるとともに、前記切替部を前記第1状態から前記第2状態に切り替えることにより、前記フィルタコンデンサを前記電力系統から切り離
し、
前記制御部は、前記直流電源及び前記変換器が前記電力系統から切り離された状態で運転を継続している単独運転の検出を行う単独運転検出部を有し、前記単独運転検出部が前記単独運転を検出した際に、前記条件を満たしたと判定する電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、入力装置と接続され、入力装置からの入力に基づいて、前記条件を設定する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、外部データを取得し、前記外部データを基に、前記条件を満たしたか否かを判定する
請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記直流電源の直流電圧を前記外部データとして取得し、前記直流電圧が所定電圧以下となった際に、前記条件を満たしたと判定する
請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電力系統の電力を前記外部データとして取得し、前記電力系統の電力が所定電力以下となった状態が所定時間継続された際に、前記条件を満たしたと判定する
請求項3又は4に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルなどの直流電源から入力された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を交流の電力系統に供給する電力変換装置がある。こうした電力変換装置は、例えば、パワーコンディショナーと呼ばれる。
【0003】
電力変換装置は、高調波成分を抑制するためのフィルタコンデンサを交流側に有している。電力変換装置が電力系統への交流電力の供給を停止した連系待機時においては、フィルタコンデンサが電力系統と直接繋がり、電力系統側に無効電力を供給してしまう。このため、例えば、電力系統が弱い発電所などである場合には、位相跳躍や電圧降下といった系統異常が発生したり、発電所の周辺でLC共振によるフリッカ(電灯のちらつき)が発生したりしてしまう可能性がある。
【0004】
従って、電力変換装置では、連系待機時における電力系統側への無効電力の供給を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、連系待機時における電力系統側への無効電力の供給を抑制した電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、直流電源及び交流の電力系統に接続され、前記直流電源から供給された直流電力を交流電力に変換し、前記交流電力を前記電力系統に供給する変換器と、前記電力系統と前記変換器との間に設けられたフィルタコンデンサと、前記フィルタコンデンサと前記電力系統との間に設けられ、前記フィルタコンデンサを前記電力系統に接続した第1状態と、前記フィルタコンデンサを前記電力系統から切り離した第2状態と、を切り替える切替部と、前記変換器における前記直流電力から前記交流電力への変換を制御するとともに、前記切替部の前記第1状態及び前記第2状態の切り替えを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記変換器から前記電力系統への前記交流電力の供給を一時的に停止する連系待機状態に前記変換器を設定するための条件を満たした場合に、前記変換器から前記電力系統への前記交流電力の供給を一時的に停止させるとともに、前記切替部を前記第1状態から前記第2状態に切り替えることにより、前記フィルタコンデンサを前記電力系統から切り離し、前記制御部は、前記直流電源及び前記変換器が前記電力系統から切り離された状態で運転を継続している単独運転の検出を行う単独運転検出部を有し、前記単独運転検出部が前記単独運転を検出した際に、前記条件を満たしたと判定する電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
連系待機時における電力系統側への無効電力の供給を抑制した電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、主回路部12と、制御部14と、を備える。主回路部12は、変換器20と、遮断器21、22と、フィルタコンデンサ24、25と、フィルタリアクトル26と、切替部28と、電圧検出器31~33と、電流検出器36~38と、を有する。
【0012】
変換器20は、遮断器21を介して直流電源2に接続されている。また、変換器20は、遮断器22を介して交流の電力系統4に接続されている。変換器20は、直流電源2から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を電力系統4に供給する。
【0013】
直流電源2は、例えば、太陽光発電機である。この場合、電力変換装置10は、パワーコンディショナーと呼ばれる場合もある。直流電源2は、太陽光発電機に限ることなく、直流電力を電力変換装置10に供給可能な任意の発電機や電源でよい。
【0014】
電力系統4の交流電力は、単相交流電力でもよいし、三相交流電力などでもよい。変換器20は、直流電力を単相交流電力に変換してもよいし、直流電力を三相交流電力に変換してもよい。
【0015】
変換器20は、例えば、複数のスイッチング素子40と、各スイッチング素子40のそれぞれに逆並列に接続された複数の整流素子41と、を有する。変換器20は、各スイッチング素子40のオン・オフにより、直流電力を交流電力に変換する。変換器20は、いわゆるインバータである。
【0016】
変換器20は、例えば、三相ブリッジ接続された6つのスイッチング素子40を有し、各スイッチング素子40のオン・オフにより、直流電力を三相交流電力に変換する。各スイッチング素子40には、例えば、GTO(Gate Turn-Off thyristor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの自己消弧型の半導体素子が用いられる。
【0017】
各スイッチング素子40は、例えば、一対の主端子と、制御端子と、を有する。制御端子は、例えば、ゲート端子である。各スイッチング素子40は、制御端子の電圧に応じて、オン状態とオフ状態とを切り替える。各スイッチング素子40の制御端子は、制御部14に接続されている。制御部14は、各スイッチング素子40のオン・オフを切り替えることにより、変換器20における直流電力から交流電力への変換を制御する。
【0018】
遮断器21は、直流電源2と変換器20との間に設けられている。遮断器21は、変換器20を直流電源2に接続した状態と、変換器20を直流電源2から切り離した状態と、を切り替える。遮断器22は、電力系統4と変換器20との間に設けられている。遮断器22は、変換器20を電力系統4に接続した状態と、変換器20を電力系統4から切り離した状態と、を切り替える。各遮断器21、22の各状態の切り替えは、例えば、制御部14によって制御される。各遮断器21、22は、例えば、電流値や電圧値などに応じて自動的に各状態の切り替えを行ってもよい。各遮断器21、22は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0019】
フィルタコンデンサ24は、直流電源2と変換器20との間に設けられる。この例において、フィルタコンデンサ24は、遮断器21と変換器20との間に設けられる。フィルタコンデンサ24は、例えば、直流電源2からの直流電力に含まれるノイズを抑制する。換言すれば、フィルタコンデンサ24は、直流電圧を平滑化する。
【0020】
フィルタコンデンサ25及びフィルタリアクトル26は、電力系統4と変換器20との間に設けられる。この例において、フィルタコンデンサ25及びフィルタリアクトル26は、遮断器22と変換器20との間に設けられる。
【0021】
フィルタコンデンサ25及びフィルタリアクトル26は、変換器20から出力される出力電圧VOUT及び出力電流IOUTの高調波成分を抑制し、出力電圧波形及び出力電流波形をより正弦波に近付ける。
【0022】
フィルタリアクトル26の一端は、変換器20の交流出力端子に接続される。フィルタリアクトル26の他端は、遮断器22に接続される。換言すれば、フィルタリアクトル26は、電力系統4と変換器20との間に直列に接続される。
【0023】
主回路部12は、局所系統44を有する。局所系統44は、変換器20と電力系統4との間を接続する。局所系統44は、例えば、変換器20と電力系統4の系統側遮断器との間を接続する。フィルタリアクトル26は、局所系統44の経路上に設けられる。一方、フィルタコンデンサ25は、局所系統44に対して並列的に設けられる。
【0024】
この例では、便宜的に、1つのフィルタコンデンサ25及び1つのフィルタリアクトル26を図示している。例えば、電力系統4の交流電力が三相交流電力である場合には、フィルタコンデンサ25及びフィルタリアクトル26は、交流電力の各相に対応して設けられる。すなわち、三相交流電力の場合、フィルタコンデンサ25及びフィルタリアクトル26は、それぞれ3つずつ設けられる。
【0025】
切替部28は、フィルタコンデンサ25と電力系統4との間に設けられる。切替部28は、例えば、フィルタコンデンサ25と局所系統44との間に設けられる。切替部28は、フィルタコンデンサ25を電力系統4(局所系統44)に接続した第1状態と、フィルタコンデンサ25を電力系統4(局所系統44)から切り離した第2状態と、を切り替える。切替部28は、制御部14と接続されている。切替部28の第1状態及び第2状態の切り替えは、制御部14によって制御される。
【0026】
この例では、フィルタコンデンサ25が、局所系統44に対して並列的に設けられ、切替部28が、フィルタコンデンサ25と局所系統44との間に設けられている。これにより、切替部28では、変換器20を電力系統4から切り離すことなく、フィルタコンデンサ25のみを電力系統4から切り離すことができる。
【0027】
切替部28は、例えば、遮断器である。例えば、遮断器である切替部28を投入することによって第1状態となり、遮断器である切替部28を開放することによって第2状態となる。第2状態は、より詳しくは、上記のように、変換器20を電力系統4から切り離すことなく、フィルタコンデンサ25のみを電力系統4から切り離した状態である。但し、切替部28の構成は、上記に限ることなく、第1状態と第2状態とを適切に切り替えることができる任意の構成でよい。
【0028】
電圧検出器31は、直流電源2と遮断器21との間に設けられている。電圧検出器31は、制御部14に接続されている。電圧検出器31は、直流電源2の直流電圧VDCを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0029】
電圧検出器32は、フィルタリアクトル26と遮断器22との間に設けられている。電圧検出器32は、制御部14に接続されている。電圧検出器32は、変換器20の出力電圧VOUTを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0030】
電圧検出器33は、遮断器22と電力系統4との間に設けられている。電圧検出器33は、制御部14に接続されている。電圧検出器33は、電力系統4の交流電圧VACを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0031】
また、変換器20の出力電圧VOUT及び電力系統4の交流電圧VACが三相交流電圧である場合、電圧検出器32及び電圧検出器33は、三相交流電圧の各相の電圧値を検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0032】
電流検出器36は、遮断器21と変換器20との間に設けられている。電流検出器36は、制御部14に接続されている。電流検出器36は、直流電源2の直流電流IDCを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0033】
電流検出器37は、変換器20とフィルタリアクトル26との間に設けられている。電流検出器37は、制御部14に接続されている。電流検出器37は、変換器20の出力電流IOUTを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0034】
電流検出器38は、フィルタリアクトル26と遮断器22との間に設けられている。電流検出器38は、制御部14に接続されている。電流検出器38は、電力系統4の交流電流IACを検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0035】
変換器20の出力電流IOUT及び電力系統4の交流電流IACが三相交流電流である場合、電流検出器37及び電流検出器38は、三相交流電流の各相の電流値を検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0036】
制御部14は、制御回路60と、PWM(Pulse Width Modulation)制御器62と、ゲート基板64と、を有する。制御回路60には、各電圧検出器31~33及び各電流検出器36~38のそれぞれの検出結果が入力される。また、制御回路60には、変換器20の出力電流IOUTの電流指令値が入力される。出力電流IOUTの電流指令値は、換言すれば、電力系統4の交流電流IACの電流指令値である。電流指令値は、例えば、dq変換後の実効値換算値である。電流指令値は、例えば、正弦波状の信号でもよい。電流指令値は、予め決められた一定の値でもよいし、上位のコントローラからの入力などによって変化させてもよい。
【0037】
制御回路60は、入力された各電圧検出器31~33の検出結果、各電流検出器36~38の検出結果、及び電流指令値を基に、出力電流IOUTを電流指令値に近付けるための電圧基準を生成する。そして、制御回路60は、生成した電圧基準をPWM制御器62に入力する。電圧基準は、例えば、正弦波状の信号である。変換器20の出力が三相交流電力である場合には、制御回路60は、各相毎に電圧基準を生成する。
【0038】
PWM制御器62は、入力された電圧基準を基に、変換器20の各スイッチング素子40のオン・オフを切り替えるためのPWM信号を生成する。PWM制御器62は、電圧基準とキャリア信号とを比較することによって、PWM信号を生成する。キャリア信号は、例えば、三角波状の信号である。PWM制御器62は、例えば、各スイッチング素子40に対応する複数のPWM信号を生成する。PWM制御器62は、生成した各PWM信号をゲート基板64に入力する。
【0039】
ゲート基板64は、PWM制御器62に接続されるとともに、各スイッチング素子40の制御端子に接続されている。ゲート基板64は、入力された各PWM信号から各スイッチング素子40毎の複数のゲート信号(駆動信号)を生成し、生成した各ゲート信号を各スイッチング素子40のそれぞれの制御端子に入力する。これにより、制御部14は、各スイッチング素子40のオン・オフを制御する。
【0040】
制御部14は、単独運転検出部66を、さらに有する。単独運転検出部66は、例えば、制御回路60に設けられる。単独運転検出部66は、直流電源2及び変換器20が電力系統4から切り離された状態で運転を継続している単独運転の検出を行う。
【0041】
単独運転検出部66は、例えば、電圧検出器33や電流検出器38の検出結果を基に、電力系統4(局所系統44)の電圧や周波数などを監視することにより、単独運転の検出を行う。単独運転検出部66による単独運転の検出方法は、受動方式でもよいし、能動方式でもよい。
【0042】
受動方式は、例えば、電力系統4から切り離される局所系統44において、系統連系点(系統側遮断器)での潮流が0に変化することにより、局所系統44の電圧や周波数が変化することを利用する方式である。
【0043】
能動方式は、例えば、変換器20の出力に付加された能動信号(例えば、無効電力、有効電力、又は高調波等)を電力系統4に注入し、単独運転時に現れる系統情報(例えば、系統周波数又は系統電圧等)の変化から単独運転を検出する。能動方式の一例としては、周波数シフト方式、スリップモード周波数シフト方式、無効電力変動方式、及び周波数フィードバック方式などが挙げられる。
【0044】
周波数シフト方式は、変換器20の内部発信器等に予め周波数バイアスを与え、単独運転移行時に現れる局所系統44の周波数変化を検出する方式である。スリップモード周波数シフト方式は、変換器20に周波数変化に対する出力電流位相急変特性を持たせ、単独運転移行時に局所系統44に生じる微小周波数変化を正帰還することにより、局所系統44の周波数を、発散傾向を示すように変化させて単独運転を検出する方式である。無効電力変動方式は、変換器20の出力に周期的な無効電力変動を与え、単独運転移行時に現れる局所系統44の周波数変化を検出する方式である。周波数フィードバック方式は、単独運転移行時に局所系統44の周波数変化を増長させる無効電力を変換器20から電力系統4に注入することで、より高速に単独運転を検出する方式である。
【0045】
但し、単独運転検出部66による単独運転の検出方法は、上記に限るものではない。単独運転検出部66による単独運転の検出方法は、例えば、系統側遮断器が送信した転送遮断信号を受信する方法などでもよい。単独運転検出部66による単独運転の検出方法は、直流電源2及び変換器20の単独運転を適切に検出することができる任意の方法でよい。
【0046】
また、単独運転検出部66は、制御回路60と別に設けてもよい。単独運転検出部66の構成は、直流電源2及び変換器20の単独運転を適切に検出することができる任意の構成でよい。
【0047】
制御部14は、入力装置68と接続されている。入力装置68は、例えば、制御回路60と接続される。入力装置68は、制御部14を動作させたまま変換器20から電力系統4への交流電力の供給を一時的に停止する連系待機状態に変換器20を設定するための条件を制御部14に入力する。制御部14は、入力装置68からの入力に基づいて、連系待機状態に変換器を設定するための条件を設定する。
【0048】
入力装置68は、例えば、キーボードやタッチパネルなど、電力変換装置10の管理者などが条件を手動で入力するための入力装置である。また、入力装置68は、例えば、上位のコントローラなどと通信を行い、通信によって取得した条件を制御部14に入力する入力装置(通信装置)などでもよい。入力装置68は、電力変換装置10が備えてもよいし、電力変換装置10に接続して使用される別の装置でもよい。
【0049】
制御回路60は、各電圧検出器31~33の検出結果、及び各電流検出器36~38の検出結果などを基に、連系待機状態を設定する条件を満たしたか否かを判定する。制御回路60は、例えば、電圧検出器31によって検出された直流電源2の直流電圧VDCが所定電圧以下となった際に、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定する。また、制御回路60は、例えば、電圧検出器33や電流検出器38の検出結果を基に、電力系統4の電力を検出し、電力系統4の電力が所定電力以下となった状態が所定時間継続された際に、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定する。また、制御回路60は、例えば、単独運転検出部66が直流電源2及び変換器20の単独運転を検出した際に、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定する。
【0050】
このように、制御回路60は、例えば、直流電圧VDCが所定電圧以下となった際、電力系統4の電力が所定電力以下となった状態が所定時間継続された際、及び単独運転検出部66が単独運転を検出した際の、いずれかの条件を満たした際に、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定する。
【0051】
制御回路60は、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定すると、変換器20による電力の変換を停止させ、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を一時的に停止させる。制御回路60は、上記の条件を満たさない状態に戻った際には、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を再開させる。これにより、例えば、電力変換装置10の管理者などが変換器20の動作の停止や動作の再開などを制御回路60に逐一指示する必要が無く、変換器20から電力系統4への交流電力の供給の効率を高めることができる。
【0052】
例えば、直流電源2が太陽光発電機である場合には、夜などの発電量(直流電圧VDC)の低下に応じて自動的に変換器20の動作を停止させ、朝などの発電量の復帰に応じて自動的に変換器20の動作を再開させることができる。これにより、例えば、発電効率を高めることができる。
【0053】
入力装置68は、例えば、上記のような複数の条件のうちのいずれを採用するかを設定したり、直流電圧VDCの所定電圧の電圧値、電力系統4の電力の所定電力の電力値、及び所定時間の値などを設定したりする際に用いられる。
【0054】
なお、連系待機状態を設定する条件は、上記に限ることなく、変換器20を連系待機状態に設定する必要のある任意の条件でよい。また、連系待機状態を設定する条件は、入力装置68から制御部14への入力に限ることなく、例えば、制御部14に予め記憶保持されていてもよい。
【0055】
図2は、実施形態に係る電力変換装置の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
制御部14の制御回路60は、動作を開始すると、各スイッチング素子40のスイッチングを制御することにより、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を開始する(
図2のステップS101)。
【0056】
この際、制御回路60は、フィルタコンデンサ25を電力系統4に接続した第1状態に切替部28を設定する。これにより、変換器20から出力される出力電圧VOUT及び出力電流IOUTの高調波成分を抑制し、出力電圧波形及び出力電流波形をより正弦波に近付けることができる。
【0057】
制御回路60は、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を開始した後、入力装置68から入力された連系待機状態を設定する条件を満たしたか否かを判定する(
図2のステップS102)。前述のように、制御回路60は、例えば、直流電圧V
DCが所定電圧以下となった際、電力系統4の電力が所定電力以下となった状態が所定時間継続された際、及び単独運転検出部66が単独運転を検出した際の、いずれかの条件を満たした際に、連系待機状態を設定する条件を満たしたと判定する。
【0058】
制御回路60は、条件を満たしていないと判定した場合には、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を継続し、ステップS101及びステップS102の処理を繰り返す。
【0059】
一方、制御回路60は、条件を満たしたと判定した場合には、変換器20を連系待機状態に設定して変換器20による電力の変換を停止させ、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を一時的に停止させる(
図2のステップS103)。
【0060】
また、制御回路60は、条件を満たしたと判定した場合には、変換器20を連系待機状態に設定するとともに、切替部28を第1状態から第2状態に切り替えることにより、フィルタコンデンサ25を電力系統4から切り離す(
図2のステップS104)。
【0061】
なお、切替部28を第1状態から第2状態に切り替えるタイミングは、変換器20を連系待機状態に設定するタイミングと実質的に同じタイミングでもよいし、変換器20を連系待機状態に設定するタイミングの前でもよいし、変換器20を連系待機状態に設定するタイミングの後でもよい。切替部28を第1状態から第2状態に切り替えるタイミングは、条件を満たしたと判定した後の任意のタイミングでよい。
【0062】
制御回路60は、変換器20を連系待機状態に設定し、切替部28を第1状態から第2状態に切り替えた後、連系待機状態を設定する条件を満たさない状態に戻ったか否かを判定する(
図2のステップS105)。
【0063】
制御回路60は、条件を満たさない状態に戻っていないと判定した場合には、変換器20を連系待機状態に設定し、切替部28を第1状態から第2状態に切り替えた状態を継続する。
【0064】
一方、制御回路60は、条件を満たさない状態に戻ったと判定した場合には、切替部28を第2状態から第1状態に切り替えることにより、フィルタコンデンサ25を電力系統4に接続する(
図2のステップS106)。
【0065】
そして、制御回路60は、ステップS101の処理に戻り、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を開始する。なお、第1状態から第2状態への切り替えと同様に、切替部28を第2状態から第1状態に切り替えるタイミングは、条件を満たさない状態に戻ったと判定した後の任意のタイミングでよい。
【0066】
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、連系待機状態を設定する条件を満たした場合に、変換器20を連系待機状態に設定し、変換器20から電力系統4への交流電力の供給を一時的に停止させるとともに、切替部28を第1状態から第2状態に切り替えることにより、フィルタコンデンサ25を電力系統4から切り離す。これにより、変換器20を連系待機状態に設定した際にも、フィルタコンデンサ25に起因する無効電力が、電力系統4側に供給されてしまうことを抑制することができる。連系待機時における電力系統4側への無効電力の供給を抑制した電力変換装置10を提供することができる。また、電力系統4側への無効電力の供給を抑制することにより、例えば、売電及び買電割引率を改善することもできる。
【0067】
例えば、直流電圧VDCが所定電圧以下となった際に、変換器20を連系待機状態に設定するとともに、切替部28を第1状態から第2状態に切り替える。これにより、例えば、太陽光発電機である直流電源2の発電量の低い時間帯など、直流電源2に異常がある場合などに、正常に動作している電力系統4に対してフィルタコンデンサ25に起因する無効電力を供給してしまうことを抑制することができる。
【0068】
例えば、電力系統4の電力が所定電力以下となった状態が所定時間継続された際に、変換器20を連系待機状態に設定するとともに、切替部28を第1状態から第2状態に切り替える。これにより、例えば、変換器20及びフィルタコンデンサ25が電力系統4に接続されている状態で電力系統4に異常が生じた際に、異常の生じている電力系統4に対して、変換器20の交流電力及びフィルタコンデンサ25に起因する無効電力を供給してしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、例えば、単独運転検出部66が単独運転を検出した際に、変換器20を連系待機状態に設定するとともに、切替部28を第1状態から第2状態に切り替える。これにより、例えば、変換器20が電力系統4から切り離されている状態で、変換器20から局所系統44などに交流電力を供給してしまうことを抑制できるとともに、変換器20が停止している状態で電力系統4との接続が復帰した際(単独運転の状態が解消された際)に、フィルタコンデンサ25に起因する無効電力を電力系統4に供給してしまうことを抑制することができる。
【0070】
上記の実施形態では、制御部14が取得する外部データの一例として、直流電源2の直流電圧VDC、及び電力系統4の電力を表している。但し、制御部14が取得する外部データは、これに限ることなく、連系待機状態を設定する条件を満たしたか否かを判定可能な任意のデータでよい。例えば、連系待機状態の設定を示す制御信号を外部データとして上位のコントローラなどから取得し、制御信号を基に、連系待機状態を設定する条件を満たしたか否かを判定してもよい。制御部14の構成は、外部データを取得し、外部データを基に、連系待機状態を設定する条件を満たしたか否かを判定する任意の構成でよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
2…直流電源、 4…電力系統、 10…電力変換装置、 12…主回路部、 14…制御部、 20…変換器、 21…遮断器、 22…遮断器、 24…フィルタコンデンサ、 25…フィルタコンデンサ、 26…フィルタリアクトル、 28…切替部、 31…電圧検出器、 32…電圧検出器、 33…電圧検出器、 36…電流検出器、 37…電流検出器、 38…電流検出器、 40…スイッチング素子、 41…整流素子、 44…局所系統、 60…制御回路、 62…PWM制御器、 64…ゲート基板、 66…単独運転検出部、 68…入力装置