(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】3次元タッチモジュール及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231214BHJP
G06F 3/043 20060101ALI20231214BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231214BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06F3/041 500
G06F3/041 522
G06F3/041 602
G06F3/043
G06F3/044 128
G06F3/044 129
G06F3/045 C
(21)【出願番号】P 2020205694
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2020-12-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】202010229000.4
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515087721
【氏名又は名称】ティーピーケイ ユニヴァーサル ソリューションズ リミテッド
【住所又は居所原語表記】Suites 1204-07,12/F.,Shui On Centre,6-8 Harbour Road,Wanchai,Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】イェ ツァイジン
(72)【発明者】
【氏名】チュアン チーチェン
(72)【発明者】
【氏名】リー リエンシン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ツァイクエイ
(72)【発明者】
【氏名】リン スンポー
(72)【発明者】
【氏名】ワン レンフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユーチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン タイシー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ ヤン
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】岩間 直純
【審判官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0054826(US,A1)
【文献】特開2014-186711(JP,A)
【文献】特開2014-219963(JP,A)
【文献】特開2015-133090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御モジュールと、2次元入力アセンブリと、送信電極層と、圧力検出アセンブリとを含む3次元タッチモジュールに適用される検出方法であって、
ステップS1:入力信号を前記送信電極層に供給し、
ステップS2:第1出力信号を出力して、該第1出力信号を前記2次元入力アセンブリの受信電極層に接続された前記制御モジュールに送信し、第2出力信号を出力して、該第2出力信号を前記圧力検出アセンブリの導電層に接続された前記制御モジュールに送信し、前記圧力検出アセンブリの前記導電層は、前記2次元入力アセンブリの前記受信電極層から離間しており、
ステップS3:
前記制御モジュールは、前記第1出力信号に基づいてタッチ位置を決定し、
前記制御モジュールは、前記第2出力信号に基づいて圧力値を決定し、
前記第1出力信号と前記第2出力信号とは互いに独立しており、
前記第1出力信号は前記タッチ位置の容量検出信号に対応し、前記第2出力信号は前記圧力値の圧電信号に対応し、
前記2次元入力アセンブリ及び前記圧力検出アセンブリは、前記送信電極層を共有し、
前記2次元入力アセンブリは、電極層と、該電極層と前記送信電極層との間に設けられた接着層を含み、
前記第1出力信号と前記第2出力信号とが同一の時系列で出力される場合、ステップS3は、
ステップSa:前記制御モジュールは、前記2次元入力アセンブリによって出力された容量検出信号を受信して前記タッチ位置の検出を完了し、前記制御モジュールは、前記圧力検出アセンブリによって生成された圧電信号を受信して前記圧力値の検出を完了する、
ステップSaを含む、
3次元タッチモジュールの検出方法。
【請求項2】
前記圧力検出アセンブリは、前記導電層に積層された圧力層をさらに含む、
請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記導電層は、銀ナノワイヤ導電層、金属グリッド、又はインジウムスズ酸化物半導体透明導電膜である、
請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
制御モジュールと、それに電気的に接続された3次元タッチアセンブリとを含む3次元タッチモジュールであって、
前記3次元タッチアセンブリは、
カバープレートと、
前記カバープレートの下に配置され、受信電極層を含み、前記受信電極層が第1出力信号を送受信するように構成された2次元入力アセンブリと、
前記カバープレートの下に配置され、導電層を含み、前記導電層は第2出力信号を送受信するように構成された圧力検出アセンブリと、
前記2次元入力アセンブリと前記圧力検出アセンブリとの間に配置された送信電極層と、
を備え、
入力信号が前記送信電極層に供給されると、前記2次元入力アセンブリは第1出力信号を出力して、該第1出力信号を前記2次元入力アセンブリの受信電極層に接続された前記制御モジュールに送信し、前記圧力検出アセンブリは第2出力信号を出力して、該第2出力信号を前記圧力検出アセンブリの導電層に接続された前記制御モジュールに送信し、前記圧力検出アセンブリの前記導電層は、前記2次元入力アセンブリの前記受信電極層から離間しており、
前記第1出力信号と前記第2出力信号とは互いに独立しており、
前記第1出力信号は容量検出信号であり、前記第2出力信号は圧電信号であり、
前記2次元入力アセンブリ及び前記圧力検出アセンブリは、前記送信電極層を共有し、
前記2次元入力アセンブリは、電極層と、該電極層と前記送信電極層との間に設けられた接着層を含み、
前記第1出力信号と前記第2出力信号とが同一の時系列で出力される場合、
前記制御モジュールは、前記2次元入力アセンブリによって出力された容量検出信号を受信してタッチ位置の検出を完了し、前記制御モジュールは、前記圧力検出アセンブリによって生成された圧電信号を受信して圧力値の検出を完了する、
3次元タッチモジュール。
【請求項5】
前記圧力検出アセンブリは前記導電層に積層された圧力層を含み、前記圧力層及び前記導電層は積層され、前記圧力層は前記送信電極層に接続され、前記圧力層は前記第2出力信号を生成するように構成される、
請求項4に記載の3次元タッチモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月27日に出願された中国出願第202010229000.4号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、タッチ入力技術に関し、より詳細には、3次元タッチモジュール及びその検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タッチ技術の発展に伴い、タッチ機能を備えた表示装置は工業用電子機器や民生用電気製品への応用が成熟してきた。タッチポイントの検出については、静電容量式スクリーン上であれ抵抗式スクリーン上であれ、異なる原理を用いて、表示装置上のタッチポイントの2次元座標を決定し、2次元座標系(X、Y)を確立する。タッチポイントの検出は、タッチポイントのX軸方向の位置とY軸方向の位置を求めること、すなわち、タッチポイントの2次元座標を求めることと等価である。
【0004】
タッチ機能を有する表示装置をさらに充実させるために、一部の表示装置には、3次元入力システムとなる圧力センサが装備されている。例えば、異なる位置のタッチ点を介して異なる押圧力値を一致させる場合、対応する機能を設定することができる。このように、タッチポイント(X、Y)と圧力値(Z)とによって定義される3Dアーキテクチャからデザインを豊かにすることができ、それによって、3次元タッチモジュールを含む表示装置を形成することができる。
【0005】
しかし、3次元タッチモジュールにおける電気信号干渉は非常に深刻であり、タッチ位置と圧力値の測定精度を低下させる。したがって、タッチ信号と圧力信号を同時に抽出する方法は、制御モジュールにとって大きな挑戦である。従来技術で採用されている信号分離方法では、各タッチで発生する圧力信号及びタッチ信号を、増幅器による処理及びチップによるセンシングの前にフィルタリングする必要がある。
図1、2を参照する。
図2は、接点A、B、受信端Rx、タッチセンサ2、フロントエンドモジュール3、信号処理モジュール4、層構造5、圧電材料層10a、第1面6、第2面7、第1電極8、第2電極9、出力端子受信信号11a、増幅モジュール12a、圧力信号フィルタ14、容量信号フィルタ13、信号15、第1フィルタ信号16、及び第2フィルタ信号17を示す。この方法には、次の欠点がある。
【0006】
(1)抽出されたタッチ信号と圧力信号が混在するため、圧力信号の抽出がより困難になる。
【0007】
(2)信号処理技術は複雑で、制御モジュールに対する要求が高く、信号干渉問題が深刻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国特許出願公開第107209590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、タッチ信号及び圧力信号を検出するための低コストで効果的な非干渉3次元タッチアセンブリ及び検出方法をどのように提供するかが、産業界の人々によって解決されるべき重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術の問題を克服するために、本開示は、3次元タッチモジュール及びその検出方法を提供する。
【0011】
本開示の技術的課題に対する解決策は、3次元タッチモジュールの検出方法を提供することである。この検出方法は、制御モジュールと、2次元入力アセンブリと、送信電極層と、圧力検出アセンブリとを含む3次元タッチモジュールに適用される。検出方法は、ステップS1:入力信号を送信電極層に供給し、ステップS2:第1出力信号を出力して、該第1出力信号を2次元入力アセンブリによって制御モジュールに送信し、第2出力信号を出力して、該第2出力信号を圧力検出アセンブリによって制御モジュールに送信する、ステップS3:制御モジュールによる第1出力信号に基づいてタッチ位置を決定し、制御モジュールによる第2出力信号に基づいて圧力値を決定する。
【0012】
本開示の一実施形態では、第1出力信号と第2出力信号は互いに独立している。
【0013】
本開示の一実施形態では、2次元入力アセンブリは、容量入力アセンブリ、抵抗性入力アセンブリ、又は超音波入力アセンブリである。
【0014】
本発明の一実施形態では、第1出力信号はタッチ位置の容量検出信号に対応し、第2出力信号は圧力値の圧電信号に対応する。
【0015】
本開示の一実施形態では、第1出力信号と第2出力信号とが同一の時系列で出力される場合、ステップS3は、ステップSa:制御モジュールによって、2次元入力アセンブリによって出力された容量検出信号を受信してタッチ位置の検出を完了し、制御モジュールによって、圧力検出アセンブリによって生成された圧電信号を受信して圧力値の検出を完了する、を含む。
【0016】
本開示の一実施形態では、第1出力信号及び第2出力信号が異なる時系列で出力される場合、ステップS3は、ステップSi:制御モジュールによって、2次元入力アセンブリによって出力された容量検出信号を受信して、タッチ位置を決定し、ステップSj:2次元入力アセンブリ及び送信電極層を接地し、ステップSk:制御モジュールによって、圧力検出アセンブリによって出力された圧電信号を受信して、圧力値を決定する、を含む。
【0017】
本開示の一実施形態では、2次元入力アセンブリは、受信電極層を含み、圧力検出アセンブリは、積層された圧力層及び導電層を含む。
【0018】
本開示の一実施形態では、導電層は、銀ナノワイヤ導電層、金属グリッド、又はインジウムスズ酸化物半導体透明導電膜である。
【0019】
本開示の一実施形態では、2次元入力アセンブリ及び圧力検出アセンブリは、送信電極層を共有する。
【0020】
3次元タッチモジュールは、制御モジュールと、それに電気的に接続された3次元タッチアセンブリとを含む。3次元タッチアセンブリは、カバープレートと、カバープレートの下に配置され、第1出力信号を出力するように構成された2次元入力アセンブリと、カバープレートの下に配置され、第2出力信号を出力するように構成された圧力検出アセンブリと、前記2次元入力アセンブリと前記圧力検出アセンブリとの間に配置された伝達電極層とを含む。
【0021】
本開示の一実施形態では、2次元入力アセンブリは、受信電極層を含む。受信電極層は、第1出力信号を受信して出力するように構成される。圧力検出アセンブリは、圧力層及び導電層を含む。圧力層と導電層と歯積層されている。圧力層は、透過電極層に接続される。圧力層は、第2出力信号を生成するように構成される。導電層は、第2出力信号を受信して出力するように構成される。制御モジュールは、第1出力信号を受信するように構成される受信電極層に電気的に接続される。制御モジュールは、導電層に電気的に接続され、第2出力信号を受信するように構成される。
【0022】
本発明の一実施形態では、第1出力信号と第2出力信号とが同一の時系列で出力される場合、送信電極層は入力信号を受信し、受信電極層は第1出力信号を制御モジュールに出力してタッチ位置の検出を完了し、制御モジュールに対して導電層によって生成された第2出力信号を制御モジュールに送信して圧力値の検出を完了する。
【0023】
本発明の一実施形態では、第1出力信号と第2出力信号とが異なる時系列で出力される場合、第1時系列において、送信電極層は入力信号を受信し、受信電極層は第1出力信号を制御モジュールに出力してタッチ位置の検出を完了する。第2時系列では、送信電極層及び受信電極層が接地され、導電層は第2出力信号を制御モジュールに送信して圧力値の検出を完了する。
【0024】
本開示の一実施形態では、第1出力信号は、容量検出信号、抵抗信号、又は超音波信号である。第2出力信号は圧電信号である。
【0025】
本開示の一実施形態では、2次元入力アセンブリ及び圧力検出アセンブリは、送信電極層を共有する。
【0026】
従来技術と比較して、本開示の3次元タッチモジュール及びその検出方法は、以下の利点を有する。
【0027】
(1)3次元タッチモジュールに2次元入力アセンブリ及び圧力検出アセンブリを配置することにより、3次元タッチモジュールは、2次元入力アセンブリ及び圧力検出入力アセンブリをそれぞれ介して第1出力信号及び第2出力信号を出力することができ、制御モジュールは、第1出力信号及び第2出力信号を直接分析して、第1出力信号に対応するタッチ位置及び第2出力信号に対応する圧力値を得ることができる。これにより、制御モジュールの構成要件が低減され、3次元タッチモジュールの製造及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0028】
(2)第1出力信号と第2出力信号とは互いに独立しているので、制御モジュールの信号抽出処理における2つの信号間の干渉を効果的に低減し、信号抽出の精度を向上させることができる。
【0029】
(3)第1出力信号はタッチ位置に対応し、第2出力信号は圧力値に対応する。2種類の信号を設定することにより、制御モジュールによる信号処理の難しさが大幅に軽減され、この3次元タッチアセンブリにより多くの異なる種類の制御モジュールを適応させることができる。すなわち、3次元タッチアセンブリの適用範囲を広げることができ、制御モジュールの製造コスト及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0030】
(4)2次元入力アセンブリと圧力検出アセンブリとは、同一の送信電極層を共有しているので、送信電極層を介して異なる入力信号が構成され、第1出力信号と第2出力信号とを順次又は同時に生成することができる。
【0031】
(5)制御モジュールは、第1出力信号と第2出力信号とを同時に検出して処理するので、3次元タッチアセンブリの応答速度を効果的に改善することができる。
【0032】
(6)制御モジュールは、第1出力信号と第2出力信号とを異なる時系列で検出して処理することにより、2つの信号をより正確に検出することができる。同時に、異なる時系列の検出及び処理方法は、制御モジュールの構成に対する要求がより低く、3次元タッチアセンブリの製造及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0033】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明のいずれも例示であり、請求される開示のさらなる説明を提供することを意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【0035】
【
図1】従来技術における3次元入力モジュールの信号検出の概略図である。
【0036】
【
図2】従来技術における3次元入力モジュールの信号処理フローの概略図である。
【0037】
【
図3】従来技術における3次元入力モジュールの信号検出結果の概略図である。
【0038】
【
図4】本開示の第1実施形態の3次元タッチモジュールの概略図である。
【0039】
【
図5】本開示の第1実施形態に係る3次元タッチモジュールの3次元タッチアセンブリの積層構造の概略図である。
【0040】
【
図6】本開示の第1実施形態に係る3次元タッチモジュールの制御モジュールによる同一の時系列における出力信号の検出の流れの概略図である。
【0041】
【
図7】本開示の第1実施形態に係る3次元タッチモジュールの制御モジュールによる異なる時系列における出力信号の検出の流れの概略図である。
【0042】
【
図8】本開示の第1実施形態の3次元タッチモジュールの3次元タッチアセンブリの第1変形例の積層構造の概略図である。
【0043】
【
図9】本開示の第1実施形態の3次元タッチモジュールの3次元タッチアセンブリの第2変形例の積層構造の概略図である。
【0044】
【
図10】本開示の第2実施形態に係る3次元タッチモジュールの検出方法の概略フローチャートである。
【0045】
【
図11】本開示の第2実施形態に係る3次元タッチモジュールの制御モジュールによる異なる時系列における出力信号の検出の流れの概略図である。
【0046】
【
図12】本開示の第2実施形態に係る3次元タッチモジュールの信号検出結果の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付図面に例示されている本開示の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面及び説明において同一の参照番号を使用して、同一又は類似の部分を参照する。しかしながら、ここで開示される特定の構造的及び機能的詳細は、例示的な実施形態を説明する目的のために単に代表的なものであり、多くの代替的な形態で具現化することができ、ここに記載される例示的な実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はないが、反対に、例示的な実施形態は、開示の範囲内にあるすべての改変、均等物、及び代替物をカバーするものであることを理解されたい。
【0048】
図5を参照しながら、
図4を参照する。本実施形態の第1実施形態は、制御モジュール11及び3次元タッチアセンブリ12を含む、3次元タッチモジュール10を提供する。制御モジュール11は、3次元タッチアセンブリ12に電気的に接続され、3次元タッチアセンブリ12によって出力された信号が制御モジュール11に送信される。
【0049】
3次元タッチアセンブリ12は、カバープレート121と、第1接着層131と、2次元入力アセンブリ122と、送信電極層124と、圧力検出アセンブリ123とを順次積層して構成されている。2次元入力アセンブリ122は、積層された受信電極層1221及び第2接着層132を含む。圧力検出アセンブリ123は、積層された第3接着層133、圧力層1231、及び導電層1232を含む。
【0050】
具体的には、2次元入力アセンブリ122は、第1出力信号を生成して出力するように構成される。圧力検出アセンブリ123は、第2出力信号を生成して出力するように構成される。送信電極層124は、入力信号を受信するように構成されている。
【0051】
制御モジュール11は、2次元入力アセンブリ122及び圧力検出アセンブリ123に電気的に接続され、2次元入力アセンブリ122によって出力された第1出力信号及び圧力検出アセンブリ123によって出力された第2出力信号を受信するように構成される。したがって、制御モジュール11は、受信した第1出力信号を介してタッチ位置を決定し、受信した第2出力信号を介して圧力値を決定することができる。
【0052】
カバープレート121は、3次元タッチアセンブリ12上のタッチカバーとみなすことができる。いわゆるカバープレート121は、タッチ操作面とアセンブリ取付面とを有する。タッチ操作面は、指やスタイラスによるタッチ操作に用いられる。アセンブリ取付面は、3次元タッチアセンブリ12又は表示モジュールを取り付けるために使用される。
【0053】
カバープレート121の材料は、ガラスであってもよく、また、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエチレンスクシネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、又は上記材料のうちの任意の2つの複合体であってもよい。
【0054】
第1接着層131、第2接着層132及び第3接着層133は、OCA(光学透明接着剤)又はLOCA(液状光学透明接着剤)から選択することができる。
【0055】
一実施形態として、送信電極層124は、2次元入力アセンブリ122及び圧力検出アセンブリ123によって共有され得る。
【0056】
図5を参照しながら、
図4を参照する。本実施形態では、2次元入力アセンブリ122は、受信電極層1221を介して、制御モジュール11と電気的に接続されており、制御モジュール11は、受信電極層1221によって出力される第1出力信号を受信することができる。
【0057】
圧力検出アセンブリ123は、導電層1232を介して、制御モジュール11と電気的に接続されており、制御モジュール11は、導電層1232によって出力される第2出力信号を受け取ることができる。
【0058】
具体的には、受信電極層1221によって出力される第1出力信号は、容量検出信号、抵抗信号、又は超音波信号であり得る。この実施形態では、第1出力信号は容量検出信号である。導電層1232によって出力される第2出力信号は圧電信号である。圧力層1231の力変形により圧電信号が生成され、圧電信号は、導電層1232に伝達されて導電層1232によって出力される。
【0059】
本実施形態では、送信電極層124及び受信電極層1221の材料として、導電性及び透明性に優れた酸化インジウムスズ(ITO)を用いている。したがって、この材料を送信電極層124及び受信電極層1221として用いることにより、機能上の要求を満たすだけでなく、3次元タッチアセンブリ12の表示効果にもできるだけ影響を与えない。
【0060】
一実施形態として、送信電極層124及び受信電極層1221の厚さは、約35μm~約180μmである。また、送信電極層124及び受信電極層1221の厚さは、50μm~150μm程度であり得る。具体的には、送信電極層124及び受信電極層1221の厚さは、約50μm、60μm、75μmとすることができる。本実施形態では、送信電極層124及び受信電極層1221の厚さは、約50μmである。
【0061】
圧力層1231に使用される材料は、没食子酸リチウム、ゲルマニウム酸リチウム、圧電セラミック、ポリフッ化ビニリデン、又はインクであってよい。この実施形態では、圧力層1231に用いられる材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。PVDF膜の変形により圧電誘導が発生する原理を利用して、PVDF膜を圧力層1231として作製し、使用時の圧力に応じて圧力層1231が変形したときに圧電信号を発生させることができる。
【0062】
導電層1232は、銀ナノワイヤ導電層、金属グリッド、又はインジウムスズ酸化物半導体透明導電膜(ITO膜)とすることができる。本実施形態では、導電層1232は、銀ナノワイヤ導電層1232である。本実施形態の1つの解決策では、圧力層1231は、より光透過率の良いポリフッ化ビニリデンで作製され、銀ナノワイヤ導電層1232と組み合わされるので、圧力検出アセンブリ123は、良好な光透過率を有し、3次元タッチアセンブリ12の表示効果に対する影響を効果的に低減することができる。
【0063】
図5を参照しながら、
図4を参照する。本開示によって提供される3次元タッチモジュール10を用いてタッチ位置検出及び圧力検出を行うプロセスは、以下のとおりである。カバープレート121上で指又はスタイラスが操作されると、送信電極層124が入力信号を受信し、2次元入力アセンブリ122の受信電極層1221が特定の操作信号に基づいて第1出力信号を生成し、該第1出力信号を制御モジュール11に出力する。圧力検出アセンブリ123の圧力層1231は、圧力によって変形され、第2出力信号を生成し、第2出力信号は導電層1232から制御モジュール11に出力される。制御モジュール11は、2次元入力アセンブリ122及び圧力検出アセンブリ123に電気的に接続され、2次元入力アセンブリ122によって出力された第1出力信号及び圧力検出アセンブリ123によって出力された第2出力信号を得る。そして、制御モジュール11は、得られた第1出力信号と第2出力信号とを処理して、第1出力信号に対応するタッチ位置と、第2出力信号に対応する圧力値とを得る。
【0064】
なお、上記の処理において、第1出力信号と第2出力信号との出力は、同一の時系列で行ってもよいし、異なる時系列で行ってもよい。
【0065】
具体的には、
図6を参照する。第1出力信号と第2出力信号とが同一の時系列で出力された場合、具体的には、送信電極層124が入力信号を受信し、受信電極層1221が特定の動作信号に基づいて容量検出信号を生成し、容量検出信号を制御モジュール11に出力して、タッチ位置の検出を完了する。同時に、導電層1232で生成された圧電信号が制御モジュール11に伝達され、圧力値の検出が完了する。
【0066】
図7を参照する。第1出力信号と第2出力信号とが異なる時間系列で出力される場合、具体的には、第1時間系列では、送信電極層124が入力信号を受信し、受信電極層1221が特定の動作信号に基づいて第1出力信号を生成し、該第1出力信号を制御モジュール11に出力してタッチ位置の検出を完了する。第2時系列では、送信電極層124と受信電極層1221が接地され、圧力層1231が圧力により変形して圧電信号を生成し、導電層1232が圧電信号を制御モジュール11に送信して圧力値の検出を完了する。
【0067】
一実施形態として、第1出力信号と第2出力信号とが異なる時系列で出力される場合、第1時系列と第2時系列との間に時間間隔がない。つまり、第1時系列のステップが完了した後、第2時系列のステップがすぐに開始される。
【0068】
別の実施形態として、第1出力信号と第2出力信号とが異なる時系列で出力される場合、第1時系列と第2時系列との間に時間間隔が設定される。すなわち、第1時系列におけるステップが完了した後、第2時系列におけるステップは、所定の時間間隔後に開始する。時間間隔は、0.05秒、0.1秒、0.3秒であり得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
図8を参照する。変形例として、圧力検出アセンブリ123は、カバープレート121と2次元入力アセンブリ122との間に配置されてもよい。すなわち、3次元タッチアセンブリ12は、カバープレート121と、第1接着層131と、圧力検出アセンブリ123と、送信電極層124と、2次元入力アセンブリ122とを順次積層して構成されている。圧力検出アセンブリ123は、積層された導電層1232、圧力層1231、及び第2接着層132を含む。2次元入力アセンブリ122は、積層された第3接着層133及び受信電極層1221を含む。
【0070】
図9を参照する。変形例として、3次元タッチアセンブリ12は、カバープレート121と、第1接着層131と、2次元入力アセンブリ122と、送信電極層124と、圧力検出アセンブリ123とを順次積層して含む。2次元入力アセンブリ122は、積層された受信電極層1221、第1支持層141、及び第2接着層132を含む。圧力検出アセンブリ123は、積層された第2支持層142、第3接着層133、圧力層1231、導電層1232、及び第3支持層143を含む。
【0071】
第1支持層141、第2支持層142及び第3支持層143の材料としては、ガラス、強化ガラス、サファイアガラス、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリベンズイミダゾールポリブテン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエステル(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルイミド、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、L型ポリ乳酸(PLLA)等のフレキシブル基板又は硬質基板を用いることができる。本実施形態において、支持層の材料はポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0072】
別の変形例として、圧力層1231がポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作製され、導電層1232が銀ナノワイヤ導電層である場合、第3支持層143は省略され得る。
【0073】
図10を参照する。本開示の第2実施形態に係る3次元タッチモジュールの検出方法は、上述した第1実施形態に係る3次元タッチモジュール10に適用される。3次元タッチモジュール10は、制御モジュール11と、2次元入力アセンブリ122と、送信電極層124と、圧力検出アセンブリ123とを含む。検出方法は、以下を含む。
【0074】
ステップS1:入力信号を送信電極層124に供給する。
【0075】
ステップS2:第1出力信号を出力して2次元入力アセンブリ122によって制御モジュール11に送信し、第2出力信号を出力して圧力検出アセンブリ123によって制御モジュール11に送信する。
【0076】
ステップS3:制御モジュール11による第1出力信号に基づいてタッチ位置を決定し、制御モジュール11による第2出力信号に基づいて圧力値を決定する。
【0077】
すなわち、上記ステップS2では、第1出力信号と第2出力信号とが互いに独立している。
【0078】
本実施形態では、第1出力信号はタッチ位置の容量検出信号に対応し、検出アプローチは容量検出を含む。第2出力信号は圧力値の圧電信号に対応し、検出アプローチは圧電検出を含む。
【0079】
一実施形態として、2次元入力アセンブリ122及び圧力検出アセンブリ123は、送信電極層124を共有する。
【0080】
第1出力信号と第2出力信号とが同一の時系列で出力される場合、ステップS3は、以下を含む。
【0081】
ステップSa:制御モジュール11は、2次元入力アセンブリ122により出力された容量検出信号を受信してタッチ位置の検出を完了し、制御モジュール11は、圧力検出アセンブリ123によって生成された圧電信号を受信して圧力値の検出を完了する。
【0082】
図11を参照する。第1出力信号と第2出力信号とが異なる時間系列で出力される場合、ステップS3は、以下を含む。
【0083】
ステップSi:制御モジュール11によって、2次元入力アセンブリ122によって出力された容量検出信号を受信して、タッチ位置を決定する。
【0084】
ステップSj:2次元入力アセンブリ122及び送信電極層124を接地する。
【0085】
ステップSk:制御モジュール11によって、圧力検出アセンブリ123によって出力された圧電信号を受信して、圧力値を決定する。
【0086】
具体的には、本実施形態では、2次元入力アセンブリ122は、受信電極層1221をさらに含む。圧力検出アセンブリ123は、さらに、積層された圧力層1231と導電層1232とを含む。圧力層1231は、圧電信号を生成し、圧電信号を導電層1232に伝達するように構成され、圧電信号は導電層1232によって出力される。
【0087】
本実施形態では、2次元入力アセンブリ122は、容量入力アセンブリである。変形例として、2次元入力アセンブリ122は、抵抗入力アセンブリ又は超音波入力アセンブリであってもよい。
【0088】
先行技術に関連して本開示によって提供される3次元タッチモジュール10の有益な効果をさらに説明するために、以下の試験結果を参照することができる。
図12と
図3とを比較すると、横軸は圧力値、縦軸は電圧差である。
図12に示すように、本開示の第1実施形態に係る3次元タッチモジュール10と、本開示の第2実施の形態に係る3次元タッチモジュール10の検出方法とを用いると、指又はスタイラスによってカバープレート121に加えられる圧力が増加するにつれて制御モジュール11によって検出される圧電信号は大きく変化する。圧力値が40gに達すると、電圧差は0.13Vに対応する。
図3と比較すると、従来技術では、カバープレート121上で指又はスタイラスによって加えられる圧力が増加するにつれて制御モジュール11によって検出される圧電信号の変化は比較的小さい。圧力値が40gのとき、電圧差は0.042Vであった。
【0089】
図12を参照する。本開示では、圧力値が0gから60gの間である場合、圧力値が連続的に変化するにつれて、電圧差はより明白に変化する。圧力値が10g増加すると、電圧差は0.01V以上変化する。
図3と比較すると、従来技術では、圧力値が0gから60gの間の場合、圧力値が10g増加するごとに、電圧差は0.01V未満変化する。
【0090】
上記2セットのデータから、従来技術と比較して、本開示によって提供される3次元タッチモジュール10は、圧力値検出により敏感であり、比較的正確であると結論できる。
【0091】
従来技術と比較して、本開示の3次元タッチモジュール及びその検出方法は、以下の利点を有する。
【0092】
(1)3次元タッチモジュールに2次元入力アセンブリ及び圧力検出アセンブリを配置することにより、3次元タッチモジュールは、2次元入力アセンブリ及び圧力検出入力アセンブリをそれぞれ介して第1出力信号及び第2出力信号を出力することができ、制御モジュールは、第1出力信号及び第2出力信号を直接分析して、第1出力信号に対応するタッチ位置及び第2出力信号に対応する圧力値を得ることができ、制御モジュールの構成要件が低減され、3次元タッチモジュールの製造及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0093】
(2)第1出力信号と第2出力信号とは互いに独立しているので、制御モジュールの信号抽出処理における2つの信号間の干渉を効果的に低減し、信号抽出の精度を向上させることができる。
【0094】
(3)第1出力信号はタッチ位置に対応し、第2出力信号は圧力値に対応する。2種類の信号を設定することにより、制御モジュールによる信号処理の難しさが大幅に軽減され、この3次元タッチアセンブリにより多くの異なる種類の制御モジュールを適応させることができる。すなわち、3次元タッチアセンブリの適用範囲を広げることができ、制御モジュールの製造コスト及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0095】
(4)2次元入力アセンブリと圧力検出アセンブリとは、同一の送信電極層を共有しているので、送信電極層を介して異なる入力信号が構成され、第1出力信号と第2出力信号とを順次又は同時に生成することができる。
【0096】
(5)制御モジュールは、第1出力信号と第2出力信号とを同時に検出して処理するので、3次元タッチアセンブリの応答速度を効果的に改善することができる。
【0097】
(6)制御モジュールは、第1出力信号と第2出力信号とを異なる時系列で検出して処理することにより、2つの信号をより正確に検出することができる。同時に、異なる時系列の検出及び処理方法は、制御モジュールの構成に対する要求がより低く、3次元タッチアセンブリの製造及び使用コストを効果的に低減することができる。
【0098】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0099】
本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。以上のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正及び変形をカバーすることを意図している。