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特許7402822エアロゾル発生システム用の起動貫通部材を有するカートリッジ組立品
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  • 特許-エアロゾル発生システム用の起動貫通部材を有するカートリッジ組立品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用の起動貫通部材を有するカートリッジ組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/30 20200101AFI20231214BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20231214BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20231214BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231214BHJP
【FI】
A24F40/30
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/465
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020564831
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019064542
(87)【国際公開番号】W WO2019234055
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】18176148.7
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ランチ アントニーノ
(72)【発明者】
【氏名】メルツ ハネス
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック シャルル
(72)【発明者】
【氏名】タウリーノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524353(JP,A)
【文献】特表2010-508034(JP,A)
【文献】国際公開第2017/032695(WO,A1)
【文献】特表2018-502586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0105451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品であって、前記カートリッジ組立品が、
長軸方向軸に沿って延びる少なくとも一つの区画を備えるカートリッジであって、前記少なくとも一つの区画が、エアロゾル発生化合物を含み、前記長軸方向軸に対して横断方向にそれぞれの平面で延びる第一の壊れやすいバリアによって第一の端にて密封されている、カートリッジと、
前記第一の壊れやすいバリアを破壊するように構成された少なくとも第一の貫通部材と、を備え、
前記第一の貫通部材が、
前記少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも40パーセントの断面積を有する第一の貫通体と、
前記第一の貫通体を通って前記カートリッジの前記長軸方向軸と平行に延び、入口および出口を有する第一のチャネルと、を備え、
前記第一の貫通部材が、前記長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能であり、
前記第一の貫通部材が前記第一の位置にある時、前記第一の貫通体が前記第一の壊れやすいバリアの前記平面から後退していて、
前記第一の貫通部材が前記第二の位置にある時、前記第一の貫通体が前記第一の壊れやすいバリアの前記平面を通って前記少なくとも一つの区画の中に延び、前記少なくとも一つの区画が、前記第一のチャネルの前記入口および前記出口と流体連通していて、
前記少なくとも一つの区画が、第二の壊れやすいバリアによって前記第一の端の反対側の端にて密封されていて、前記カートリッジ組立品が、前記第二の壊れやすいバリアを破壊するように構成された第二の貫通部材をさらに備え、前記第二の貫通部材が、
前記少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも40パーセントの断面積を有する第二の貫通体と、
前記第二の貫通体を通って前記カートリッジの前記長軸方向軸と平行に延び、入口および出口を有する第二のチャネルと、を備え、
前記第二の貫通部材が前記長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能であり、前記第二の貫通部材が前記第一の位置にある時、前記第二の貫通本体が前記第二の壊れやすいバリアの平面から後退していて、
前記第二の貫通部材が前記第二の位置にある時、前記第二の貫通体が、前記第二の壊れやすいバリアの前記平面を通って前記少なくとも一つの区画の中に延び、前記少なくとも一つの区画が、前記第二のチャネルの前記入口および前記出口と流体連通している、カートリッジ組立品。
【請求項2】
前記第一の貫通体の断面積が、の断面積の少なくとも50パーセントである、請求項1に記載のカートリッジ組立品。
【請求項3】
前記第一の貫通体の断面積が、前記少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも75パーセントである、請求項1に記載のカートリッジ組立品。
【請求項4】
マウスピースを備え、前記マウスピースが、上流マウスピース端壁と、前記上流マウスピース端壁にあるマウスピース空気吸込み口とを備え、前記マウスピース空気吸込み口が、前記チャネルの前記入口および前記出口と流体連通していて、前記マウスピースが、前記少なくとも一つの貫通部材を有する前記カートリッジの前記長軸方向軸に沿って移動可能であるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ組立品。
【請求項5】
前記少なくとも一つの区画が、前記カートリッジ内において、第一の区画と、前記第一の区画と平行に配設された第二の区画を備え、前記第一の貫通部材が第三の貫通体をさらに備え、前記第一の貫通体が前記カートリッジの前記第一の区画内に少なくとも部分的に受容されるために移動可能であるように構成されていて、前記第三の貫通体が、前記カートリッジの前記第二の区画内に少なくとも部分的に受容されるために前記第一の貫通体とともに移動可能であるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ組立品。
【請求項6】
前記第三の貫通体が、前記第二の区画の断面積の少なくとも40パーセントの断面積を有し、前記第一の貫通部材が、前記第三の貫通体を通って前記カートリッジの前記長軸方向軸と平行に延びる第三のチャネルをさらに備え、前記第三のチャネルが入口および出口を有する、請求項5に記載のカートリッジ組立品。
【請求項7】
前記マウスピースが、前記上流マウスピース端壁の下流に位置付けられた、かつ前記マウスピース空気吸込み口と流体連通しているマウスピースチャンバーを備え、前記マウスピースが、前記マウスピースチャンバーの下流端にマウスピース空気出口をさらに備える、請求項4に記載のカートリッジ組立品。
【請求項8】
前記マウスピースが、前記マウスピースの外部と前記マウスピースチャンバーの間の流体連通を提供する換気空気吸込み口をさらに備え、前記換気空気吸込み口が、前記上流マウスピース端壁と前記マウスピースチャンバーの前記下流端の間に位置付けられている、請求項7に記載のカートリッジ組立品。
【請求項9】
前記第一の区画内に位置付けられたニコチン供与源と、前記第二の区画内に位置付けられた酸供与源とをさらに備える、請求項に記載のカートリッジ組立品。
【請求項10】
前記カートリッジが、エアロゾル発生装置の発熱体を受容するための第三の区画をさらに備え、前記第三の区画が前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられていて、上流ハウジング端壁が、前記カートリッジが前記第二の位置にある時に、前記第三の区画と整列する開口部を備える、請求項に記載のカートリッジ組立品。
【請求項11】
前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられたサセプタを備える、請求項に記載のカートリッジ組立品。
【請求項12】
請求項に記載のカートリッジ組立品と、
前記カートリッジ組立品の上流端を受容するように構成された装置くぼみを備え、かつ前記カートリッジ組立品の前記カートリッジの前記第一の区画および前記第二の区画を加熱するためのヒーターを備えるエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記ヒーターが、前記装置くぼみの少なくとも一部分を囲む誘導ヒーターを備え、前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置付けられたサセプタを備える、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品と、そのカートリッジ組立品を含むエアロゾル発生システムとに関する。本発明には、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生するための、ニコチン供与源および酸供与源を備えるカートリッジ組立品としての特定の用途がある。
【背景技術】
【0002】
ニコチン供与源および送達促進化合物供与源を備える、ニコチンをユーザーに送達するための装置が周知である。例えば、国際特許公開公報第2008/121610A1号は、ニコチンおよび揮発性酸(ピルビン酸など)が気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されうるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する装置を開示している。
【0003】
こうした装置の中のニコチンおよび揮発性送達促進化合物の蒸気濃度の差は不都合なことに、好ましくない反応化学量論、またはユーザーへの過剰な反応物(未反応のニコチン蒸気または未反応の揮発性送達促進化合物蒸気など)の送達につながりかねない。周囲温度でのピルビン酸の蒸気圧は、ニコチンの蒸気圧よりも実質的に大きい。結果として、ピルビン酸蒸気およびニコチン蒸気の濃度のバランスを取って効率的な反応化学量論を得るには、国際特許公開公報第2008/121610A1号で開示されている装置のニコチン供与源およびピルビン酸供与源を異なる温度に加熱する必要がある。具体的には、ユーザーに送達するために十分なまたは一貫した量のピルビン酸ニコチン塩粒子を発生させるために、ニコチン供与源をピルビン酸供与源よりも高い温度に加熱する必要がある場合がある。このためには、ニコチン供与源およびピルビン酸供与源が物理的に別個のカートリッジの中で、または装置内のその他の構成要素の中で貯蔵されて加熱される必要がある。
【0004】
この問題の解決策は、国際特許公開公報第2015/197627A1号に開示されていて、これは、単一のヒーターがニコチン供与源と揮発性送達促進化合物供与源(乳酸供与源など)の両方を実質的に同一の温度に加熱するエアロゾル発生システムおよび方法を提供する。ニコチン蒸気と乳酸蒸気の間の反応化学量論は、ニコチン供与源を含む第一の区画と乳酸供与源を含む第二の区画を通した空気流量の比を制御することによって制御される。ニコチン供与源および乳酸供与源が、単一のヒーターによって加熱される別個の区画に保持されているエアロゾル発生システムの別の例は、国際特許公開公報第2016/046362A1号から周知である。
【0005】
国際特許公開公報第2015/197627A1号と第2016/046362号の両方は、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品の例を開示していて、こうした組立品は、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物源を収容するカートリッジ区画を密封するための密封材料の壊れやすいバリアを備える。適切な密封材料には、例としてアルミ箔および高密度ポリエチレンが含まれる。
【0006】
しかしながら、サイズの制約に起因して、貫通部材によって形成された開口の一つ以上は、壊れやすいバリアを貫通後に押しのけられた密封材料の部分によって、使用中に時々塞がれる場合がある。これは、カートリッジの区画中に収容された化合物が消費者に供給される比を変更しうる。さらに、これは、一部の未反応のニコチン蒸気または未反応の揮発性送達促進化合物が不必要にユーザーに送達されるように、好ましくない反応化学量論を時々もたらしうる。
【0007】
それ故に、エアロゾル発生システムで使用する改善されたカートリッジ組立品を提供することが望ましく、カートリッジは、使用前にカートリッジの区画を密封状態に維持するように構成されていて、これは有利なことに、カートリッジ組立品の貯蔵寿命を延ばす可能性があり、その結果、周知のカートリッジ組立品に関しては、カートリッジを通して確立された気流経路の閉塞の発生が低減される。さらに、こうしたカートリッジ組立品を備えるエアロゾル発生システムを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によると、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジ組立品が提供されていて、カートリッジ組立品は、長軸方向軸に沿って延びる少なくとも第一の区画を備えるカートリッジであって、第一の区画がエアロゾル発生化合物を含み、長軸方向軸に対して横断方向にそれぞれの平面で延びる第一の壊れやすいバリアによって第一の端にて密封されている、カートリッジと、第一の壊れやすいバリアを破壊するように構成された少なくとも第一の貫通部材とを備える。第一の貫通部材は、少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有する第一の貫通体と、第一の貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる第一のチャネルとを備え、第一のチャネルは入口および出口を有する。第一の貫通部材は長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能であり、第一の貫通部材が第一の位置にある時、第一の貫通体は第一の壊れやすいバリアの平面から引き込まれている。さらに、第一の貫通部材が第二の位置にある時、第一の貫通体は、第一の壊れやすいバリアの平面を通って少なくとも一つの区画の中に延び、少なくとも一つの区画は第一のチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0009】
少なくとも一つの区画は、第二の壊れやすいバリアによって第一の端の反対側の端にて密封されている。カートリッジ組立品は、第二の壊れやすいバリアを破壊するように構成された第二の貫通部材をさらに備える。第二の貫通部材は、少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有する第二の貫通体を備える。加えて、第二の貫通部材は、第二の貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる第二のチャネルを備え、第二のチャネルは入口および出口を有する。
【0010】
第二の貫通部材は、長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能である。それ故に、第二の貫通部材が第一の位置にある時、第二の貫通体は第二の壊れやすいバリアの平面から引き込まれている。さらに、第二の貫通部材が第二の位置にある時、第二の貫通体は、第二の壊れやすいバリアの平面を通って少なくとも一つの区画の中に延び、少なくとも一つの区画は第二のチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0011】
本発明の別の態様によると、上述のカートリッジと、カートリッジ組立品の上流端を受容するように構成された装置くぼみを備え、カートリッジ組立品のカートリッジの第一の区画および第二の区画を加熱するためのヒーターを備えるエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0012】
当然のことながら、本発明の一態様に関して説明した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用できる。
【0013】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する装置を指す。
【0014】
上記に簡潔に示した通り、本発明によるカートリッジ組立品は、長軸方向軸に沿って延びる区画を備え、区画はエアロゾル発生化合物を含み、かつ長軸方向軸に対して横断方向にそれぞれの平面で延びる壊れやすいバリアによって一つの端にて密封されている。さらに、カートリッジは、壊れやすいバリアを破壊するように構成された貫通部材を備える。
【0015】
エアロゾル発生システムで使用する周知のカートリッジ組立品とは対照的に、貫通部材は、少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有する第二の貫通体を備える。さらに、チャネルが貫通体の長軸方向の両端に入口および出口を有するように、貫通部材は、貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びるチャネルを備える。
【0016】
貫通部材は、長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能である。貫通部材が第一の位置にある時、貫通体は壊れやすいバリアの平面から引き込まれている。貫通部材が第二の位置にある時、貫通体は、壊れやすいバリアの平面を通って少なくとも一つの区画の中に延び、区画は第一のチャネルの入口および出口と流体連通している。実際問題には、貫通体を貫通するチャネルは、エアロゾル発生化合物が保持されている区画の内部容積と区画の外側の間で流体連通を確立する気流経路を画定する。
【0017】
貫通部材で壊れやすいバリアを貫通することによって、カートリッジを起動することは容易である。貫通部材の本体は、貫通部材が第二の位置に移動する時に、壊れやすいバリアを形成している材料を、カートリッジ区画の中央長軸方向軸から半径方向に離れて押すように構成およびサイズ設定されている。この配設のため、壊れやすいバリアの部分がカートリッジ区画の中央長軸方向軸に向かって外れるまたは折り畳まれることによって、気流経路を画定しているチャネルが塞がれる可能性は有利なことに、著しく低減される。
【0018】
カートリッジの起動は可逆的ではなく、そのため所与のカートリッジが起動されたかどうかを消費者が知ることは容易である。
【0019】
少なくとも一つの区画はまた、第二の壊れやすいバリアによって第一の端の反対側の端にて密封されていて、カートリッジ組立品は、第二の壊れやすいバリアを破壊するように構成された第二の貫通部材を備える。この目的のために、第二の貫通部材は、少なくとも一つの区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有する第二の貫通体を備える。さらに、第二の貫通部材は、第二の貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる第二のチャネルを備え、第二のチャネルは入口および出口を有する。第二の貫通部材はまた、長軸方向軸に沿って第一の位置から第二の位置に移動可能である。第一の位置にある時、第二の貫通部材は第二の壊れやすいバリアの平面から引き込まれている。第二の位置にある時、第二の貫通体は、第二の壊れやすいバリアの平面を通って少なくとも一つの区画の中に延び、少なくとも一つの区画は第二のチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0020】
第一の貫通体と同様に、こうしたかさばった第二の貫通体は、第二の壊れやすいバリアの材料を長軸方向軸(これに沿って第二の貫通部材が移動する)から離れるように、より効果的に押しのけることが理解される。これは有利なことに、第二の壊れやすいバリアの材料が第二の貫通部材を通って延びるチャネルを塞ぐ可能性を低減する。
【0021】
上述の通り、本発明によるカートリッジ組立品において、第一の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約40パーセントの断面積を有する。第一の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約50パーセントの断面積を有することが好ましい。第一の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約75パーセントの断面積を有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、第一の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約80パーセントの断面積を有する。
【0022】
理論に束縛されることを望むものではないが、よりかさばった貫通部材は、壊れやすいバリアを形成している材料のより大きい部分を、少なくとも一つの区画の中央長軸方向軸から離れるように押しのけることが理解される。同時に、貫通部材を通って延びるチャネルの入口および出口の周辺と、押しのけられた壊れやすいバリアの部分との間に、より大きい距離が定められうる。それ故に、押しのけられた壊れやすいバリア材料がチャネルを塞ぐ可能性は、なおもさらにまたは大幅に低減される。
【0023】
加えて、または別の方法として、第一の貫通体の断面積は、少なくとも一つの区画の断面積の約95パーセント未満である。第一の貫通体の断面積は、少なくとも一つの区画の断面積の約90パーセント未満であることがより好ましい。ギャップが貫通体の周辺と少なくとも一つの区画の内部表面との間に提供されることを確実にすることによって、貫通部材の滑らかで容易な動作が促進される。
【0024】
こうしたギャップの幅は、押しのけられた壊れやすいバリア材料を収容するように調整されてもよい。一例として、壊れやすいバリアの厚さが増大する時、または壊れやすいバリアの柔軟性が減少する時、ギャップの幅は増大しうる。
【0025】
カートリッジ組立品は、マウスピースを備え、マウスピースは上流マウスピース端壁および上流マウスピース端壁にあるマウスピース空気吸込み口を備え、マウスピース空気吸込み口はチャネルの入口および出口と流体連通していて、マウスピースは、少なくとも一つの貫通部材を有するカートリッジの長軸方向軸に沿って移動可能なように構成されていることが好ましい。
【0026】
第一の貫通体と同様に、よりかさばった第二の貫通体は、壊れやすいバリア材料を長軸方向軸(これに沿って第二の貫通部材が移動する)から離れるように、より効果的に押しのけることが理解され、これは第二の貫通部材を通って延びるチャネルを塞ぐ可能性の減少につながる。それ故に、第二の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約50パーセントの断面積を有することが好ましい。第二の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約75パーセントの断面積を有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、第二の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の少なくとも約80パーセントの断面積を有する。加えて、または別の方法として、第二の貫通体は、少なくとも一つの区画の断面の約95パーセント未満の断面積を有することが好ましく、少なくとも一つの区画の断面の約90パーセント未満の断面積を有することがなおより好ましい。
【0027】
第一の貫通部材および第二の貫通部材は、長軸方向軸に沿って、それぞれ反対の方向に移動するように構成されている。言い換えれば、第一の位置から第二の位置に移動する時、第一の(第二の)貫通部材は第二の(第一の)貫通部材に向かって移動する。第一の位置から第二の位置に移動する際、貫通部材はカートリッジの区画を少なくとも部分的に貫通するため、起動状態(つまり、両方の貫通部材がそれぞれの第二の位置にある時)のカートリッジ組立品の全長は、非起動状態(つまり、両方の貫通部材がそれぞれの第一の位置にある時)のカートリッジ組立品の全長よりも短い。
【0028】
好ましい実施形態において、カートリッジは、カートリッジ内の第一の区画と平行に配設された第二の区画を備える。これは、二つの別個のエアロゾル形成化合物(以下に、より詳細に記載される)がエアロゾル発生システムの単一の構成要素のそれぞれの区画中で保存および加熱されることを可能にする。これは、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物供与源が、装置内の物理的に分離された構成要素中で保存および加熱される先行技術の装置と比較して、本発明によるエアロゾル発生システムおよびカートリッジ組立品を製造する複雑さおよびコストを低減するという点で有利である。
【0029】
さらに、こうした好ましい実施形態において、第一の貫通部材は第三の貫通体を備え、第一の貫通体は、カートリッジの第一の区画内に少なくとも部分的に受容されるために移動可能なように構成されていて、第三の貫通体は、カートリッジの第二の区画内に少なくとも部分的に受容されるために第一の貫通体とともに移動可能なように構成されている。
【0030】
こうした実施形態において、第三の貫通体は第二の区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有し、第一の貫通部材は、第三の貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる第三のチャネルをさらに備え、第三のチャネルは入口および出口を有する。第一および第二の貫通体と同様に、同じ理由で、より大きい断面積が好ましい。それ故に、第三の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約50パーセントの断面積を有することが好ましい。第三の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約75パーセントの断面積を有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、第三の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約80パーセントの断面積を有する。加えて、または別の方法として、第三の貫通体は、第二の区画の断面の約95パーセント未満の断面積を有することが好ましく、第二の区画の断面の約90パーセント未満の断面積を有することがなおより好ましい。
【0031】
第一の貫通本体および第三の貫通体は、同じ第一の貫通部材の二つの部分として一緒に移動するため、カートリッジの一方の端の密封バリアは有利なことに、第一および第二の区画の両方に対応する場所で同時に貫通されうる。それ故に、二つのエアロゾル形成構成要素が組み合わせでユーザーに送達されうるように、気流経路は両方の区画に一度に確立される。
【0032】
第二の貫通部材は第四の貫通体を備え、第二の貫通体は、カートリッジの第一の区画内に少なくとも部分的に受容されるために移動可能なように構成されていて、第四の貫通体は、カートリッジの第二の区画内に少なくとも部分的に受容されるために第二の貫通体とともに移動可能なように構成されていることがなおより好ましい。
【0033】
第四の貫通体は第二の区画の断面積の少なくとも約40パーセントの断面積を有し、第二の貫通部材は、第四の貫通体を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる第四のチャネルをさらに備え、第四のチャネルは入口および出口を有する。第一、第二および第三の貫通体と同様に、同じ理由で、より大きい断面積が好ましい。それ故に、第四の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約50パーセントの断面積を有することが好ましい。第四の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約75パーセントの断面積を有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、第四の貫通体は、第二の区画の断面の少なくとも約80パーセントの断面積を有する。加えて、または別の方法として、第四の貫通体は、第二の区画の断面の約95パーセント未満の断面積を有することが好ましく、第二の区画の断面の約90パーセント未満の断面積を有することがなおより好ましい。
【0034】
第二の貫通本体および第四の貫通体は、同じ第二の貫通部材の二つの部分として一緒に移動するため、カートリッジのもう一方の端の密封バリアは有利なことに、第一および第二の区画の両方に対応する場所で同時に貫通されうる。それ故に、二つのエアロゾル形成構成要素を保持している区画の中に同時に空気が引き出されて、組み合わせでユーザーに送達されうるように、気流経路は両方の区画に一度に確立される。
【0035】
好ましい実施形態において、カートリッジは第一の区画および第二の区画を備え、ニコチン供与源は第一の区画内に位置付けられていて、酸供与源は第二の区画内に位置付けられている。ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩(ニコチン-HCl、ニコチン酒石酸塩、またはニコチン二酒石酸塩など)、またはニコチン誘導体のうちの一つ以上を含んでもよい。ニコチン供与源は天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン供与源は純粋なニコチン、水性溶媒もしくは非水性溶媒中のニコチン溶液、または液体たばこ抽出物を含んでもよい。
【0036】
ニコチン供与源は電解質形成化合物をさらに含んでもよい。電解質形成化合物はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0037】
例えば、ニコチン供与源は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化バリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸アンモニウムおよびこれらの組み合わせから成る群より選択された電解質形成化合物を含んでもよい。
【0038】
ある特定の実施形態において、ニコチン供与源はニコチン、ニコチン塩基、ニコチン塩、またはニコチン誘導体および電解質形成化合物の水溶液を含んでもよい。
【0039】
別の方法として、または追加的に、ニコチン供与源は、天然風味、人工風味、および酸化防止剤が挙げられるがこれに限定されない他の構成成分をさらに含んでもよい。
【0040】
ニコチン供与源は収着要素および収着要素上に収着されたニコチンを含んでもよい。
【0041】
収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。例えば、収着要素はガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0042】
収着要素は多孔性の収着要素としうる。例えば、収着要素は多孔性プラスチック材料、多孔性高分子繊維、多孔性ガラス繊維から成る群から選択される一つ以上の材料を含む多孔性収着要素であってもよい。
【0043】
収着要素はニコチンに対して化学的に不活性であることが好ましい。収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0044】
酸供与源は乳酸供与源であることが好ましい。乳酸供与源は収着要素および収着要素上に収着された乳酸を含んでもよい。
【0045】
収着要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせ(例えば上記に列挙した材料)で形成されうる。
【0046】
収着要素は乳酸に対して化学的に不活性であることが好ましい。収着要素は任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0047】
ある特定の実施形態において、収着要素は実質的に円筒状のプラグとしうる。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒状のプラグとしうる。他の実施形態において、収着要素は実質的に円筒状の中空管であってもよい。例えば、収着要素は多孔性の実質的に円筒状の中空管としうる。
【0048】
その他の実施形態において、収着要素は実質的に平行六面体のプラグとしうる。例えば、収着要素は多孔性の実質的に平行六面体のプラグとしうる。プラグの断面は、実質的に正方形または長方形の形状であってもよい。その他の実施形態において、収着要素は実質的に平行六面体の中空の管状要素としうる。例えば、収着要素は、長方形の断面を有する多孔性の実質的に平行六面体の中空の管状要素であってもよい。
【0049】
収着要素のサイズ、形状、および組成物は、所望の量の乳酸が収着要素上に収着されることを可能にするように選ばれてもよい。収着要素は有利なことに、乳酸の貯蔵部としての機能を果たす。
【0050】
カートリッジ組立品は、ニコチン蒸気と乳酸蒸気の間の反応化学量論が、第一の区画および第二の区画を通る空気流量の比によって均衡が取られ、制御されるように構成されていることが好ましい。より詳細には、第一の区画を通る空気流量と第二の区画を通る空気流量の比は、第二の区画と連通している空気吸込み口の数および寸法のうちの一つまたは両方に対する第一の区画と連通している空気吸込み口の数および寸法のうちの一つまたは両方の変化を通して制御されることが好ましい。
【0051】
好ましい実施形態において、第一の区画を通る空気流量と第二の区画を通る空気流量の比は、それぞれ第一の区画および第二の区画と連通している同等のサイズの空気吸込み口の異なる数を有することによって制御される。
【0052】
一般に、本発明によるカートリッジ組立品において、第一の区画および第二の区画を出入りする空気吸込み口は、貫通部材の貫通体を通って延びるチャネル(複数可)によって画定されている。それ故に、ニコチンと乳酸の間の望ましい1:1の化学量論を達成するために、本発明によるカートリッジ組立品の好ましい実施形態において、第三および第四の貫通体(すなわち、乳酸供与源を含有する区画と動作可能に結合されている貫通体)は、第一および第三の貫通体(すなわち、ニコチン供与源を含有する区画と動作可能に結合されている貫通体)の2倍の数のチャネルを備えることが好ましい。特に好ましい実施形態において、第一および第三の貫通体はそれぞれ二つのチャネルを備え、第二および第四の貫通体はそれぞれ四つのチャネルを備える。
【0053】
上述の通りのマウスピースを備える実施形態において、マウスピースは、上流マウスピース端壁の下流に位置付けられた、かつマウスピース空気吸込み口と流体連通しているマウスピースチャンバーを備えることが好ましい。さらに、マウスピースは、マウスピースチャンバーの下流端にマウスピース空気出口をさらに備えることが好ましい。
【0054】
こうした実施形態において、マウスピースは、マウスピースの外部とマウスピースチャンバーの間の流体連通を提供する換気空気吸込み口をさらに備えることが好ましく、換気空気吸込み口は、上流マウスピース端壁とマウスピースチャンバーの下流端の間に位置付けられている。
【0055】
さらに、カートリッジ組立品がマウスピースを備える場合、マウスピースはフィルターを備えてもよい。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有してもよい。
【0056】
一部の好ましい実施形態において、カートリッジ組立品は、エアロゾル発生装置の発熱体を受容するための第三の区画をさらに備え、第三の区画は第一の区画と第二の区画の間に位置付けられていて、上流ハウジング端壁は、カートリッジが第二の位置にある時に、第三の区画と整列する開口部を備える。
【0057】
単一のヒーターを使用してニコチン供与源および乳酸供与源を周囲温度よりも高い温度に加熱することは、ニコチン供与源および乳酸供与源からそれぞれ放出されるニコチン蒸気および乳酸蒸気の量の制御を可能にする。これによって、有利なことに、ニコチンおよび乳酸の蒸気濃度を制御し、かつ比例的に均衡を取って効率的な反応化学量論を得ることができる。これは有利なことに、エアロゾルの形成の効率、およびユーザーへのニコチン送達の一貫性を改善する。さらに、有利なことに、過剰な反応物(すなわち未反応のニコチン蒸気または未反応の乳酸蒸気)の、ユーザーへの望ましくない送達のリスクを低減する。
【0058】
発熱体は、第一の区画と第二の区画の間に位置付けられたサセプタとして提供されていることが好ましい。これは、カートリッジ組立品のエアロゾル形成構成要素の加熱が、誘導加熱によって非接触の方法で達成されることを可能にする。
【0059】
この目的で、本発明による一つのこうしたカートリッジ組立品は、熱を発生する渦電流をサセプタ材料に誘発する交流電磁場を発生するように構成されている誘導源を備えるエアロゾル発生装置で使用される。
【0060】
サセプタは、カートリッジ組立品の区画中のエアロゾル形成構成要素と熱的に近接して配設されている。加熱されたサセプタは次に、エアロゾル形成構成要素を加熱して揮発性化合物を放出し、エアロゾルを形成する。
【0061】
サセプタは第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含み、第一のサセプタ材料は第二のサセプタ材料と物理的に密着して配置されている。第二のサセプタ材料は500℃より低いキュリー温度を有することが好ましい。第一のサセプタ材料は、サセプタが変動する電磁場内に置かれた時に、サセプタを加熱するために主に使用されることが好ましい。任意の適切な材料が使用されうる。例えば、第一のサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄系材料であってもよい。第二のサセプタ材料は、サセプタが特定の温度(第二のサセプタ材料のキュリー温度である温度)に達した時を示すために主に使用されることが好ましい。第二のサセプタ材料のキュリー温度を使用して、動作中にサセプタ全体の温度を調節することができる。それ故に、第二のサセプタ材料のキュリー温度はエアロゾル形成基体の発火点未満である必要がある。第二のサセプタ材料に適切な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。
【0062】
ここで以下の図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、本発明によるカートリッジ組立品の分解斜視図である。
図2図2は、図1のカートリッジ組立品の側面断面図であり、貫通部材はそれぞれの第一の引き込み位置にある。
図3図3は、図1および2のカートリッジ組立品のさらなる側面断面図であり、貫通部材はそれぞれの第二の引き込み位置にある(起動されたカートリッジ)。
図4図4は、図3の平面A~Aにおけるカートリッジ組立品の概略断面図である。
図5図5は、図1~4のカートリッジ組立品を備えるエアロゾル発生装置の概略側面断面図である。
【0064】
図1図2および図3のカートリッジ組立品10は、一対の収着要素14、16をそれぞれ第一および第二の区画18、20の中に受容するように適合された実質的に円筒状のカートリッジ12を備える。第一の収着要素14はニコチン供与源が装填されていて、一方で第二の収着要素16は乳酸供与源が装填されている。両方の区画18、20は、カートリッジ12の上流端24に提供された第一の壊れやすいバリア22と、カートリッジ12の下流端28に提供された第二の壊れやすいバリア26とによって、それぞれの端にて密封されている。
【0065】
さらに、カートリッジ組立品10は、上流シェル部材30および下流シェル部材32を備える。上流シェル部材30および下流シェル部材32は、カートリッジ12に嵌合されるように適合されている。シェル部材30、32のそれぞれは、カートリッジ12を部分的に受容するように適合された管状の本体を備える。より詳細には、図1図2および図3に示した実施形態において、シェル部材30、32の管状の本体のそれぞれは、カートリッジの長さの約50パーセントを収容できるような長さを有する。
【0066】
シェル部材30、32は、カートリッジ12の側壁にある対応するスリットまたは溝にスナップ嵌めするよう適合された保持要素を備える。より詳細には、カートリッジの側壁は、シェル部材30、32のそれぞれが第一の位置(図2を参照)でカートリッジにスナップ嵌めできるように、スリットまたは溝の二つの対34、36を備え、シェル部材30、32は互いから離れていて、第二の位置(図3を参照)にあり、シェル部材は実質的に隣接関係にある。それ故に、シェル部材30、32は、第一の位置から第二の位置に長軸方向に移動可能である。
【0067】
上流シェル部材30は、第一の壊れやすいバリア22を破壊するように構成された第一の貫通部材38を備える。第一の貫通部材38は、第一の貫通体40および第二の貫通体42を備える。第一の貫通部材38は、上流シェル部材28の一部として第一の位置から第二の位置に移動可能である。第一の位置(図2を参照)にある時、第一の貫通部材38は第一の壊れやすいバリア22の平面から引き込まれている。第二の位置(図3を参照)にある時、第一の貫通部材38の第一および第二の貫通体40、42はそれぞれ第一および第二の区画18、20の中に延びる。
【0068】
第一および第二の貫通体40、42のそれぞれは、それぞれの区画18または20の断面積の約90パーセントの断面積を有する。
【0069】
さらに、第一の貫通部材38は、第一の貫通体40を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる二つのチャネル381、382(図4参照)と、第二の貫通体42を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる四つのチャネル383、384、385、386とを備える。こうしたチャネルは、それぞれの入口および出口を有する。
【0070】
それ故に、第一および第二の貫通体40、42が第二の位置(図3を参照)にある時、第一および第二の区画18、20は独立して、それぞれの貫通体40、42を通って延びるチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0071】
下流シェル部材32は、第二の壊れやすいバリア26を破壊するように構成された第二の貫通部材44を備える。第二の貫通部材44は、第三の貫通体46および第四の貫通体48を備える。第二の貫通部材44は、下流シェル部材32の一部として第一の位置から第二の位置に移動可能である。第一の位置(図2を参照)にある時、第二の貫通部材44は第二の壊れやすいバリア26の平面から引き込まれている。第二の位置(図3を参照)にある時、第二の貫通部材44の第三および第四の貫通体46、48はそれぞれ第一および第二の区画18、20の中に延びる。
【0072】
第三および第四の貫通体46、48のそれぞれは、それぞれの区画18または20の断面積の約90パーセントの断面積を有する。
【0073】
さらに、第二の貫通部材44は、第三の貫通体46を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる二つのチャネルと、第二の貫通体48を通ってカートリッジの長軸方向軸と平行に延びる四つのチャネルとを備える。こうしたチャネルは、それぞれの入口および出口を有する。
【0074】
それ故に、第三および第四の貫通体46、48が第二の位置(図3を参照)にある時、第一および第二の区画18、20は独立して、それぞれの貫通体46、48を通って延びるチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0075】
カートリッジ組立品10は、下流シェル部材32の下流端に取り外し可能なように取り付けられたマウスピース50をさらに含む。そのため、マウスピース50は、第一の貫通部材38を有するカートリッジ12の長軸方向軸に沿って移動可能であるように構成されている。マウスピース50は、上流マウスピース端壁52と、上流マウスピース端壁52にあるマウスピース空気吸込み口54とを備える。マウスピース空気吸込み口54は、第一の貫通部材38のチャネルの入口および出口と流体連通している。
【0076】
さらに、マウスピース50は、上流マウスピース端壁52の下流に位置付けられた、かつマウスピース空気吸込み口54と流体連通しているマウスピースチャンバー56を備える。マウスピース50は、マウスピースチャンバー56の下流端60にマウスピース空気出口58をさらに備える。
【0077】
図の実施形態において、マウスピース50は、マウスピース50の外部とマウスピースチャンバー56の間の流体連通を提供する換気空気吸込み口62をさらに備える。より詳細には、換気空気吸込み口62は、上流マウスピース端壁52とマウスピースチャンバー56の下流端60の間に位置付けられている。
【0078】
カートリッジ組立品10をエアロゾル発生装置で使用するために、消費者は、壊れやすいバリア22、26が破壊されて、区画18、20がマウスピースおよび外部環境と流体連通して定置されるように、貫通部材38、44を第一の位置から第二の位置に移動させることによってカートリッジを起動する。
【0079】
図5に概略的に示す通り、エアロゾル発生装置100は、中にカートリッジ組立品10が部分的に受容されている実質的に円筒状のくぼみ104を備えるハウジング102を備える。図4に示す通り、カートリッジ組立品10がエアロゾル発生装置100の中に挿入されている時に、少なくともマウスピース50がくぼみ104から突出するように、くぼみ104の長さはカートリッジ組立品10の長さよりも短い。
【0080】
エアロゾル発生装置100は、カートリッジ組立品の区画18、20を加熱するように構成された加熱手段を備える。図4に概略的に示された実施形態において、エアロゾル発生装置100は、くぼみ104内の中央に位置付けられた、かつくぼみの主軸に沿って延びるヒーター106を備える。ヒーターは、ヒーターブレードの形態の細長い電気発熱体である。エアロゾル発生装置は、電池の形態の電源108と、電源108およびヒーター106に接続されている電子回路を備えるコントローラ(図示せず)とをさらに備える。
【0081】
図4に示す通り、ヒーターは、区画18と区画20の間の中央に延びるカートリッジ組立品10のくぼみ110の中に受容されている。カートリッジ組立品がエアロゾル発生装置100の中に挿入され、上述の通りに起動されると、ヒーター106はカートリッジ12中のニコチン供与源および乳酸供与源を約100℃の実質的に同一の温度に加熱する。
【0082】
使用中、消費者はカートリッジ組立品10のマウスピース50を吸い、カートリッジ12を通して空気を引き出す。引き出された空気がカートリッジ12を通過すると、ニコチン蒸気が第一の区画18中のニコチン供与源から放出され、乳酸蒸気が第二の区画20中の乳酸供与源から放出される。ニコチン蒸気が酸蒸気と気相で反応して、ニコチン乳酸塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピースチャンバー56およびマウスピース空気出口58を通ってユーザーに送達される。
図1
図2
図3
図4
図5