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▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光制御端部を有する光学フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20231214BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231214BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20231214BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231214BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231214BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231214BHJP
【FI】
G02B5/02 C
F21V5/00 530
F21V5/00 610
F21V5/02 100
F21V5/02 300
G02F1/13357
G09F9/00 313
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020565428
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2019054153
(87)【国際公開番号】W WO2019224698
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】62/675,031
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】サイス,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ファム,トリ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ,ブラッドリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ボッツェット,スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チンビン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シュウ-チン
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-202411(JP,A)
【文献】特開2005-37884(JP,A)
【文献】特開2001-74914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00
F21V 5/02
F21Y 115/10
G02B 5/02
G02F 1/13357
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化表面上の軸に沿って延びる一連のプリズムと、輝度向上フィルムの端部に配置された光制御層と、を含む輝度向上フィルムの製造方法であって、
第1の表面と、反対側を向いた第2の表面と、第2の表面上の軸に沿って延びる一連のプリズムと、前記第1の表面及び前記第2の表面に垂直な厚さと、を有する光学フィルムをカットして、輝度向上フィルム部分とカットオフ部分とを少なくとも部分的に分離することであって、前記カットすることは前記光学フィルムの前記厚さを少なくとも部分的に通るチャネルを形成する、カットすることと、
前記光学フィルムの表面に近接して光制御材料を印刷することであって、前記光制御材料は毛管運動によって前記チャネルを通って横断する、印刷することと、
前記カットオフ部分を取り除くことで、輝度向上フィルムの端部に配置された光制御層を含む輝度向上フィルムを得ることと、を含む、製造方法。
【請求項2】
前記光制御材料が前記チャネルを通って又は前記光学フィルムの前記第1の表面上に所定の距離を移動するように、前記光制御材料の移動を制御することを更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記光学フィルムを切ることが、回転ダイカット、プラテンカット、又はレーザーカットを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記光学フィルムの前記第1の表面上に基準マークを形成することと、
前記光制御材料を前記基準マークと位置合わせして印刷することと、を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記光制御材料を印刷することが、フレキソ印刷又はインクジェット印刷を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記光制御材料を印刷することが、光吸収インクを印刷すること、又は光反射インクを印刷することを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記光制御材料の前記移動を制御することが、前記光制御材料を部分的に硬化させることを含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記光制御材料の前記移動を制御することが、前記チャネルを通る前記光制御材料の前記毛管運動を制御することを含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記光制御材料の前記移動を制御することが、前記光制御材料の粘度を変化させることを含む、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイシステムの光源によって放出される光を制御するために、様々な種類の光学フィルムが有用であり得る。例えば、テレビ、ラップトップコンピュータ、タブレット、及び電話機などの電子デバイスでは、輝度向上フィルムは、120%までのディスプレイシステムの輝度利得を提供することができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、光学フィルムの光制御の方法を含む。第1の表面と、反対側を向いた第2の表面と、第1の表面及び第2の表面に垂直な厚さと、を有する光学フィルムをカットし、カットすることはフィルムの厚さを少なくとも部分的に通るチャネルを形成する。光制御材料はフィルムの表面に近接して印刷される。光制御材料は毛管運動によってチャネルを通って横断する。
【0003】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1の表面と、微細構造を含む反対側を向いた第2の表面と、第1の表面及び第2の表面に垂直な厚さと、とを有する光学フィルムをカットすることを含む。光学フィルムをカットすることにより、フィルムの厚さを通るチャネルを形成する。光制御インクはフィルムの第1の表面に向けて印刷される。インクは、毛管移動によってチャネルを通って、かつ第2の表面の微細構造の間を横断する。インクの毛管移動は、インクが第2の表面の微細構造の間をチャネルから所定の距離を移動するように制御される。
【0004】
いくつかの実施形態は、光学フィルムの使用方法に関する。本方法によれば、光は、構造化表面と、反対側を向いた表面と、構造化表面と反対側を向いた表面との間に延びる1つ以上の端部と、を有する光学フィルムで受光される。光学フィルムの構造化表面の微細構造において内部全反射の臨界角以上の角度で受光された光を反射する。内部全反射の臨界角未満の角度で受光された光を光学フィルムの構造化表面から放出する。光学フィルムの端部に配置されたインク層によって光を吸収又は反射する。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、光学フィルムは、第1の表面と、反対側を向いた第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間の端部と、を含む。インクを含む光制御層は、端部上に配置される。光制御層は光を吸収又は反射する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】開示される実施形態に係る、光制御層を有し得る光学フィルムを含むバックライトシステムの一部分の断面図を示す。
図2図1に示すような光制御層を含む光学フィルムを使用するプロセスを示すフロー図である。
図3A】いくつかの実施形態に係る、フィルムの端部に配置された光制御層を有するBEFの斜視図を示す。
図3B】いくつかの実施形態に係る、フィルムの端部にかつ部分的にフィルムの表面上に配置された光漏れ制御層を有する光学フィルムの斜視図を示す。
図4】いくつかの実施形態に係る、光漏れ制御層を形成するプロセスのフロー図である。
図5】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図6】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図7】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図8】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図9】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図10】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図11】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。
図12】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図13】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図14】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図15】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図16】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図17】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出領域上に印刷することを含む、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。
図18】いくつかの実施形態に係る、積層体に端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。
図19】いくつかの実施形態に係る、積層体に端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。
図20】いくつかの実施形態に係る、積層体に端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。
図21】いくつかの実施形態に係る、積層体に端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。
図22】いくつかの実施形態に係る、積層体に端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。
図23】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図24】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図25】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図26】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図27】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図28】いくつかの実施形態に係る、フィルムの露出表面上に印刷することを含む、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。
図29】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を適用するプロセスを示す。
図30】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を適用するプロセスを示す。
図31】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を適用するプロセスを示す。
図32】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を適用するプロセスを示す。
図33】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を適用するプロセスを示す。
図34】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する例示的な光学フィルムの写真である。
図35】いくつかの実施形態に係る、端部光制御層を有する例示的な光学フィルムの写真である。
図36】いくつかの実施形態に係る、インクの毛管現象を示す。
図37】いくつかの実施形態に係る、インクの毛管現象を示す。
【0007】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、概して、フィルムの端部での漏れ光を制御するフィルムの端部に沿って配置された1つ以上の層を有する光学フィルム、並びにそのようなフィルムを作製及び使用する方法に関する。輝度向上フィルム(brightness enhancing film)(BEF)は、特にBEFがディスプレイシステムに配置されるときに、端部光漏れ制御層が有用であり得る光学フィルムの一例である。液晶ディスプレイ(liquid crystal display)(LCD)設計では、ディスプレイの端部に配置され得る個別の発光ダイオード(light emitting diode)(LED)を使用することが一般的である。LCD照明設計の目標は、個別のLEDからの光を、光学フィルムを通してディスプレイの放出面から外へ誘導することであるため、個々の液晶カラー素子のためのバックライトを提供する照明「シート」を提供することである。端部に位置決めされたLEDから面へと光を誘導するフィルムは、光ガイドと称されることもある。光ガイドからの端部発光は、ディスプレイの周辺部の周りにエッジグローを生じさせることがあり、これは、望ましくない光学現象であり、ディスプレイの照明効率も低下させる。本明細書で論じられる実施形態は、端部から放出される光を吸収する(エッジグローを低減する)か、又は端部から放出され、光ガイド内へと戻る光を反射する(照明効率を高める)かのいずれかのために、光ガイドと併せて使用される導光フィルム自体及び/又は光学フィルムなどの光学フィルムの端部をコーティングすることを含むデバイス及び方法に関する。本明細書で論じられる端部光漏れ制御手法を利用し得る光学フィルムは、例えば、導光フィルム、転向フィルム、輝度向上フィルム、鏡面反射フィルム、拡散フィルム、導光フィルム、微細構造化表面を含むフィルム、及び光学フィルムの積層体を含む複合多層フィルムのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0009】
本明細書に記載の光漏れ制御層を有する光学フィルムを作製するいくつかの方法は、ラミネート(laminate)光学積層体をカットすることと、次いで、光制御材料をカット片と位置合わせして重ね刷りすることと、を含む。カットすることは、例えば、回転ダイカット、プラテンダイカット、又はレーザーカットによって実施してもよい。印刷することは、例えば、インクジェット印刷又はフレキソ印刷によって実施してもよい。いくつかの実施形態では、片をカットすることと同時に作製され得る基準マークの使用は、カット片上への印刷の位置合わせのために使用される。いくつかの実施形態では、光制御材料の硬化速度は、光制御材料がカットチャネルを通って、及び/又はカット部分の表面(surfaces the cut parts)上に移動するように制御される。例えば、光制御材料の流れは、光制御材料がカットされたチャネルを通って移動するが、カット部分の表面を実質的にコーティングしないように制御することができる。いくつかの実施形態では、光制御材料の流れは、フィルム端部から所定の距離であるフィルムの表面上の領域を実質的にコーティングするように制御されてもよい。例えば、所定の距離は、50μm以下、約50μm~100μm、約100μm~約200μm、約50μm~500μm、又は最大約5000μmであってもよい。
【0010】
図1は、BEF130の端部137に配置された、開示される実施形態に係る、光制御層150を有し得るBEF130を含むバックライトシステム100の一部分の断面図を示す。光制御層150は、そうでなければ端部137から放出される漏れ光を制御するように構成される。バックライトシステム100は、発光ダイオード(図示せず)などの1つ以上の光源、及び光ガイド層120を含んでもよい。図示した実施形態では、光ガイド層120は、反射体110とBEF130との間に配置される。この特定の実施例では、BEF130は、第1の主面135と、反対側を向いた、構造化された第2の主面136と、を含む。図示の例では、第2の主面136は、細長い山部132を有するプリズム131を含む微細構造を有する。山部132は、図1の図示された実施形態では、光ガイド層120から離れる方向に面しているが、あるいは、別の実施形態では、光ガイド層に向かって面してもよい。BEF130の反対側を向いた端部137、138は、第1の主面135と第2の主面136との間に延びる。端部137、138の1つ以上は、光制御層150を含んでもよい。図1では、光制御層150はBEF130の左端部137に配置され、光制御層はBEF130の右端部には配置されていない。
【0011】
バックライト100は、他の層、例えば、光学拡散層、偏光子フィルムなどを含むことができる。バックライト100の層のいずれかは、本明細書に記載されるように、フィルム端部に光漏れ制御層を含んでもよい。輝度向上フィルムは、光漏れ制御層に関して開示される実施形態を例示するために使用されるが、本明細書に記載される手法は、光漏れ制御が所望される任意の光学フィルムに一般的に適用可能である。開示された手法による端部光漏れ制御層を含み得る光学フィルムのいくつかの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,984,144号、同第5,190,370号、同第5,783,120号、同第5,825,543号、同第5,828,488号、同第5,882,774号、同第5,965,247号、同第6,025,897号、同第6,322,236号、同第6,354,709号、同第6,707,611号、及び同第7,622,164号に記載されている。多くの他の光学フィルムは、本明細書で開示されるように、端部漏れ制御層を組み込んでもよい。
【0012】
BEF130は、バックライト100の効率を高めるために屈折及び反射を利用する。光191は、光ガイド層120からBEF130に向かって放出される。BEF130は、光ガイド層120からの光192の一部を屈折させて放出する。放出された光192は、観察者に向かって視野円錐196内の角度(例えば、垂直から最大35°まで)で放出される。視野円錐196の外側にある光ガイド層120からの光191の一部分193は、光ガイド層120及び反射体110に向かって戻るように反射される。光ガイド層120からの光191の一部分194は、隣接するプリズム131を通ってBEFプリズム131の面によって屈折され、光ガイド層120及び反射体110に向かって戻る。光193、194は、BEF130と反射体110との間で、再利用光195がBEF130を出るのに適切な角度を達成するまで再利用される。
【0013】
図1のバックライト100におけるBEF130の端部における光漏れの現象を示すために、BEF130の左端部137は、本明細書で開示されるような端部光制御層150を有し、BEF130の右端部138は、端部光制御層を有さない。BEF137の右端部138に端部光制御がないと、光ガイド120からの光は、端部138を通ってBEF137から出ることができる。漏れ光197は、観察者にとって不快なエッジグロー効果を引き起こす。エッジグローは、BEF137の垂直端部の一方又は両方から、及び垂直端部付近のプリズム131の表面から生じ得る。本明細書に記載される端部光制御手法は、端部漏れ光の量を低減する。
【0014】
図2は、図1に示すような光制御層150を含む光学フィルム130を使用するプロセスを示すフロー図である。光ガイド層120からの光191は、光学フィルム130によって受光され、この光学フィルム130は、構造化表面136と、反対側を向いた表面135と、構造化表面136と反対側を向いた表面135との間に延びる1つ以上の端部137、138と、を有する(210)。内部全反射(TIR)の臨界角以上の角度で構造化表面136の微細構造131に入射する光193は、構造化表面136によって反射される(220)。TIRの臨界角未満の角度で構造化表面136の微細構造131に入射する光192は、光学フィルム130の構造化表面136から放出される(230)。光学フィルム130の端部137に配置された光制御層150上に入射する光198は、減衰されるか、又は光学フィルム130から放出されない。光198は、例えば、光制御層150によって吸収又は反射されてもよい(240)。いくつかのシナリオでは、光制御層150は、光198のTIRを提供する。
【0015】
図3Aは、いくつかの実施形態に係る、フィルム300aの端部302aに配置された光制御層312aを有するBEF300aの斜視図を示す。前述したように、BEF300aは、光制御層312aを例示するために使用されるが、本明細書に記載される光制御手法は、任意の種類の光学フィルムに適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0016】
BEF300aは、第1の主面303aと、構造化された第2の主面304aと、を含む。構造化表面304aは、図3に示されるように、BEF300aのx軸に沿って延びる細長い山部332a及び谷部333aを有する一連のプリズム331aを含む。BEF300aの端部301a、302a、305aは、第1の主面303aと第2の主面304aとの間に延びる。この実施形態では、インク層を含む光制御層312aは、BEF300aの右端部302aに配置されている。光制御層312aは、インクの毛管運動によって形成される。毛管運動は、光制御層312aが、x及び/又はz方向に沿ってBEF端部302aのある部分、大部分、又は全てを覆って延びるように制御されてもよい。図3Aに示すように、インクの移動は、光制御層312aが端部302aのうちの所定の距離(D1)を実質的に覆うように制御されてもよい。
【0017】
図3Bは、いくつかの実施形態に係る、フィルム300bの端部305bに及びフィルム300bの表面上に配置された光制御層315bを有するBEF300bの斜視図を示す。BEF300bは、第1の主面303bと、構造化された第2の主面304bと、を含む。構造化表面304bは、図3Bに示されるように、BEF300bのx軸に沿って延びる細長い山部332b及び谷部333bを有する一連のプリズム331bを含む。BEF300bの端部301b、302b、305bは、第1の主面303bと第2の主面304bとの間に延びる。この実施形態では、インク層を含む光制御層315bは、BEF300bの前端部305bに配置されている。光制御層315bは、インクが第1の(非構造化)表面303bに近接して堆積された後にインクの毛管運動によって形成される。毛管運動は、光制御層315bが、y及び/又はz方向に沿ってBEF端部305bのある部分、大部分、又は全てを覆って延びるように制御されてもよい。いくつかのシナリオでは、光制御層315bのインクは、第2の(構造化)主面304bの微細構造331bの谷部333b(x軸に沿う)内の毛管運動によって移動してもよい。図3Bに示すように、インクの移動は、光制御層315bが、端部305bから測定して、フィルム300bの構造化表面304bの所定の距離(D2)を実質的に覆うように制御されてもよい。
【0018】
図4は、いくつかの実施形態に係る、光漏れ制御層を形成するプロセスのフロー図である。第1の主面と、反対側を向いた第2の主面と、を有する光学フィルムをカットして、第1の主面と第2の主面との間のフィルムの厚さを少なくとも部分的に通って延びるチャネルを形成する(410)。インク、接着剤、又は他の流動性光制御材料を、光学フィルムの第1の表面に近接して配置する(420)。(インク、接着剤、及び/又は他の流動性光制御材料は、本開示において「流動性光制御材料」又は「インク」と総称される。)インクは毛管運動によってチャネルを少なくとも部分的に通って横断する(430)。インクが毛管チャネルを通って部分的に若しくは完全に移動するか、又はフィルムの第2の表面上の微細構造の谷部によってフィルムの第2の表面上に形成された毛管チャネルを通って移動するように、インクの移動を制御する(440)。例えば、インクの移動は、インク移動を促進する量のインク及び/又は硬化速度を使用して、フィルムの端部に沿ってインクで所定の距離を実質的に覆うように制御されてもよい。インクの移動は、インク移動を促進する量のインク及び/又はインク硬化速度を使用して、フィルム端部から所定の距離まで、インクでフィルムの構造化表面を実質的に覆うように制御されてもよい。例えば、所定の距離は、50μm以下、約50μm~100μm、約100μm~約200μm、又は約50μm~500μm、又は約500~5000μmであってもよい。
【0019】
インクは、加熱、乾燥、紫外線への曝露などによって硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、インクは、例えば紫外線によって硬化されてもよい。毛管チャネルの幅、インクの量及び/又は粘度、硬化エネルギーの強度、並びに印刷と硬化エネルギーへの曝露との間の時間(例えば、強度及び/又は硬化エネルギーに対する曝露時間)は、インクの移動量に影響を及ぼすパラメータである。例えば、インクを低強度のUV光(例えば、385nmの波長で約100mW/cmの強度を有する)に露出して、インクを「留める」ことができる。本明細書で使用するとき、用語「インクを留める」は、硬化プロセスを開始し、インクを部分的に硬化/架橋することによって、インク粘度を上昇させるプロセスを表す。本方法は、250~300マイクロメートルの吸い上げ範囲からより一定の50マイクロメートルの吸い上げラインまで、光学フィルム上の吸い上げラインを減少させることが示されている。追加的に又は代替的に、インクが移動する距離は、インク粘度、基材表面の質感、吸い上げチャネルのサイズ(側壁間の間隙)、及び基材の表面エネルギーなどの技術によって制御されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、インク流は、インクがフィルムの構造化表面をコーティングしないように制御されてもよい。いくつかの実施形態では、インク流は、インクがフィルムの構造化表面より小さい面積を実質的にコーティングするように制御されてもよい。
【0021】
開示される実施形態に有用な流動性光制御材料としては、光学的吸収性材料又は光学的反射性材料が挙げられる。本明細書で論じられる光制御層に好適な流動性光制御材料の例としては、実質的に不透明(硬化されると、可視スペクトルにおいて<20%の透過性)のインク、又は可視スペクトルにおいて実質的に反射性のインクが挙げられる。
【0022】
図5図11は、いくつかの実施形態に係る、光学フィルムの端部からの漏れ光を制御する端部光制御層を有する光学フィルムを形成するプロセスを示す。図5は、光制御層が設置される前のBEF500を示す。この特定の実施例では、BEF500は、第1の主面501と、構造化された反対側を向いた第2の主面502と、を含む。図6に示すように、第1及び第2のプレマスクライナー601、602は、BEF500の主面501、502上に配置される。次に、図6に示されるサブアセンブリ600は、第1のライナー601及びBEF500を通って第2のライナー602まで、キスカットすることによって、例えば、回転若しくはプラテンダイカットすることによって、及び/又はレーザーカットによって加工される。図7は、サブアセンブリ600をカットするように用意ができているナイフ刃(ダイ)701を示す。図8は、刃701が第1のライナー601及びBEF500を通って第2のライナー602までキスカットする工程を示す。第2のライナー602は無傷のままであり、カットオフ領域801をサブアセンブリ600の主要部分802に取り付けられた状態に保持する。サブアセンブリ600をカットすることは、図9に示されるように、サブアセンブリ500のカットオフ領域801と主要部分802との間に毛管チャネル901を生成する。
【0023】
黒色インク1001、接着剤、又は他の流動性光制御材料(本明細書では「インク」と総称される)は、第1のライナー601(図10)の上に、例えば、印刷又は他の好適な堆積方法によって配置される。インクを印刷することは、例えば、フレキソ印刷若しくはインクジェット印刷によって、又は任意の他の好適な印刷方法によって達成されてもよい。インク1001は、毛管運動によってチャネル901を通って吸い上げられる。インク1001の移動は、インク1001がチャネル901を通る毛管運動によって移動し、インクでチャネル901の所定の距離を覆うように制御される。前述したように、いくつかのシナリオでは、インク1001の移動は、インク1001がBEF500の構造化表面502の微細構造1003の谷部1002に沿って毛管運動によって移動するように制御されてもよい。これらのシナリオでは、インクの流れは、フィルムの端部から所定の距離である構造化表面の領域を覆うように制御されてもよい。図11は、端部光制御層1100を有するBEF500を示す。インクの移動は、インクの粘度を増加させるためにチャネル901付近に位置決めされたUV光源1050を使用してインクを部分的にUV硬化させることによって、少なくとも部分的に制御されてもよい。図11では、BEF500、及びBEF端部503に沿って配置された光制御層1100を残して、BEFの両方のライナー(図10の601、602を参照)及びBEFのカットオフ部分(図10の801を参照)が取り除かれている。
【0024】
いくつかの実施態様では、フィルムの端部付近の更なる光漏れ制御を提供するために、光制御層をフィルムの端部及び第1の主面の部分に適用することが有用であり得る。図12図17は、いくつかの実施形態に係る、光制御層を光学フィルムに適用するプロセスを示す。図12は、サブアセンブリ600をカットするように用意ができている第1の刃1201及び第2の刃1202を有するカットナイフ(ダイ)1200を示す。サブアセンブリ600は、BEF500の第1の主面501上に配置された第1のライナー601、及びBEF500の第2の主面502上に配置された第2のライナー602を有するBEF500を含む。
【0025】
図13は、サブアセンブリ600をカットするナイフ1200を示す。第1の刃1201は、第1のライナー601を通ってBEF500の第1の表面501までキスカットする。第2の刃1201は、第1のライナー601及びBEF500を通って第2のライナー602までキスカットする。カットすることは、サブアセンブリ600の主要部分1306からカットオフされた第1の部分1303及び第2の部分1302を生成する。第1のナイフによりカットすることは、第1のライナー601の第1のカットオフ部分1303を生成する。第2のナイフによりカットすることは、第2のカットオフ部分1302を生成する。第2のカットオフ部分1302は、第1のライナー601の第2のカットオフ部分1304と、BEF500の第1のカットオフ部分1305と、を備える。(カットオフ部分1303、1304、1305はまた、「ウィード」とも称される。)図14は、ナイフ1200が取り除かれたサブアセンブリ600を示す。カットすることは、サブアセンブリ600の第2のカットオフ部分1302と主要部分1306との間に毛管チャネル1401を生成する。図15は、カットオフライナー部分1303、1304が取り除かれた後のサブアセンブリ600を示す。
【0026】
図16に示すように、流動性インク1601は、第1のライナー601の表面の一部分、及びカットオフライナー部分1303を取り除くことによって露出されたBEF500の第1の表面501の部分1501に適用される。インク1601は、毛管運動によってサブアセンブリ600のBEFカットオフ部分1305と主要部分1306との間のチャネル1401を少なくとも部分的に通って移動する。
【0027】
図17は、第1のライナー601及び第2のライナー602、並びにカットオフ部分1305を取り除いた後のサブアセンブリ600を示し、BEF500の右端部に沿って配置されたインク1601と、カットオフ部分1303を取り除くことによって露出されたBEF500の部分1501と、を示す。
【0028】
多くの実施態様では、光学フィルムを積層することが有用である。光学フィルムの積層体は、同じ種類又は異なる種類のフィルムを含んでもよい。いくつかの実施態様では、BEFの第1層及び第2層は、第2のBEFのプリズム軸に対して、例えば、45度、90度などの角度で配向された第1のBEFのプリズム軸で積層されてもよい。図18図28は、いくつかの実施形態に係る、光漏れ制御端部としてのインクを光学フィルム積層体に適用するプロセスを示す。
【0029】
図18図22は、いくつかの実施形態に係る、積層体の端部光制御を提供する光学フィルム積層体の端部にインク層を形成するプロセスの工程を示す。図18は、第1のBEF500-1及び第2のBEF500-2を含む光学フィルム積層体1805を含むサブアセンブリ1800を示す。いくつかの実施態様では、BEF500-1、500-2は、第1のBEF500-1及び第2のBEF500-2の線形プリズムの軸が互いに対してある角度で配置されるように積層されてもよい。第1のライナー1801は、光学フィルム積層体1805の第1の表面1806上に配置され、第2のライナー1802は、光学フィルム積層体1805の第2の表面1807上に配置される。図18は、光学フィルム積層体1805をカットするように用意ができている単刃ナイフ1803を示す。図19は、ナイフ刃1803が第1のライナー1801及び光学フィルム積層体1805を通って第2のライナー1802までキスカットした後のサブアセンブリ1800を示す。図20は、ナイフ1803が引き抜かれた後のサブアセンブリ1800を示す。カットすることは、サブアセンブリ1800のカットオフ部分2002と主要部分2003との間に光学フィルム積層体1805を通る毛管チャネル2001を作製する。
【0030】
インク2101は、図21に示すように第1のライナー1801上に配置され、チャネル2001を通る毛管運動によって流れる。毛管チャネルを通るインク2101の移動の程度を制御することができる。例えば、インク2101の移動は、インクの粘度及び毛管チャネル2001の幅と併せてインクの硬化速度を制御することによって制御することができる。これらのパラメータは、インクが流動可能であり、チャネル2001内で、及び/又は光学フィルム積層体1805の第2の表面1807上の微細構造間に形成された毛管チャネルを通って移動する距離を制御する。図22は、第1及び第2のライナーが取り除かれた後のサブアセンブリ1800を示す。光学フィルム積層体1805の右側端部は、光学フィルム積層体1805の端部漏れ光制御を提供するインク層2101を含む。
【0031】
図23図28は、いくつかの実施形態に係る、光学フィルム積層体の端部でインク層を形成するプロセスを示す。図23は、第1のBEF500-1及び第2のBEF500-2を含む光学フィルム積層体1805を含むサブアセンブリ2300を示す。いくつかの実施態様では、BEF500-1、500-2は、第1のBEF及び第2のBEFの線形プリズムの軸が互いに対してある角度で配置されるように積層されてもよい。第1のライナー2301は、光学フィルム積層体1805の第1の表面1806上に配置され、第2のライナー2302は、光学フィルム積層体1805の第2の表面1807上に配置される。図23は、光学フィルム積層体1805をカットするように用意ができている第1の刃2304及び第2の刃2305を有するナイフ2303を示す。第1の刃2304は、第2の刃2305よりも短い。
【0032】
図24は、サブアセンブリ2300をカットするナイフ2303を示す。第1の刃2304は、第1のライナー2301を通って光学フィルム1805の第1の表面1806までキスカットする。第2の刃2305は、第1のライナー2301及び光学フィルム1805を通って第2のライナー2302までキスカットする。カットすることは、サブアセンブリ2300の主要部分2406からカットオフされた部分2401、2402を生成する。第1のカットオフ部分2401は、第1のライナー2301の一部分を含む。第2のカットオフ(cut of)部分2402は、第1のライナー2301の第2のカットオフ部分2404と、光学フィルム1805のカットオフ部分2405と、を備える。図25は、ナイフ2303が取り除かれたサブアセンブリ2300を示す。カットすることは、光学フィルム1805のカットオフ部分2405とサブアセンブリ2300の主要部分2503との間に毛管チャネル2501を生成する。
【0033】
図26は、カットオフされた第1のライナー部分2401、2404が取り除かれた後のサブアセンブリ2300を示す。カットオフされたライナー部分2401取り除くことによって、光学フィルム1805の第1の表面1806の一部分2601を露出させる。光学フィルム1805のカットオフ部分2405は、第2のライナー2302に付着しているため残る。毛管チャネル2501は、サブアセンブリ2300のカットオフ部分2405と主要部分2503との間に配置される。
【0034】
図27に示すように、流動性光制御インク2701は、第1のライナー2301の表面、及び第1のカットオフされたライナー部分2401を取り除くことによって露出された光学フィルム1805の第1の表面1806の部分2601に適用される。インク2701は、サブアセンブリ2300のカットオフ部分2405と主要部分2503との間のチャネル2501を少なくとも部分的に通る毛管運動によって移動する。いくつかのシナリオでは、インクは、光学フィルム積層体1805の第2の表面1807の微細構造の谷部によって形成された毛管チャネル1809を通って吸い上げられてもよい。
【0035】
毛管チャネル2501、1809を通るインク2701の移動の程度は、例えば、インクがチャネル2501、1809内で移動する距離を制御する硬化速度(curing rate)でインクを硬化させることによって制御することができる。図28は、第1のライナー2301及び第2のライナー2302を取り除いた後のサブアセンブリ2300を示し、光学フィルム積層体1805の端部に沿って、かつ光学フィルム積層体1805の第1の表面1806の以前に露出した部分2601上に配置されたインク2701を示す。
【0036】
図5図28に示されるプロセスは、コーティングされることを意図しない光学フィルムの表面を保護する第1のライナーの存在により、精度の低いインク堆積技術に対応することができる。上部ライナーの使用により、インクの毛管現象を促進することがあり、光学フィルムの表面上により大きいコーティングされた端部を残す場合がある。印刷が上部ライナーなしでBEFの上面上に直接実施される場合、BEFの上面上のコーティングされた端部を低減することができる。しかし、この方法は、上部ライナーを利用する方法よりも、印刷パターンを以前にダイカットされた部分へより近く位置合わせすることを伴う。端部光制御層(インク)を適用するためのいくつかのプロセスは、図29図33を参照して説明されるように、より高精度な堆積技術を使用する。
【0037】
図29は、端部光漏れ制御層が設置される前の、第1の主面501と、第2の主面502と、を有する光学フィルム500を備えるサブアセンブリ2900を示す。ライナー2902は、光学フィルム500の第2の主面502上に配置される。ライナーは、第1の主面501上に設置されても、又はされなくてもよい。図30に示すように、サブアセンブリ2900は、(例えば、ダイカット又はレーザーカットによって)第1のライナーを通って(存在する場合)、光学フィルム500を通って、第2のライナー2902までキスカット技術でカットすることによって加工される。切り込み間の距離は、サブアセンブリ2900が設置される特定のアセンブリに対応するように寸法決めされる。加工プロセスはまた、光学フィルム500の第1の表面501上に基準マークを置く。図30では、矢印3091及び3092は、サブアセンブリ2900に作製された切り込みの場所を示す。矢印3093は、光学フィルム500の第1の表面501上に作製された基準マークの場所を示す。
【0038】
図31に示すように、加工プロセスは、光学フィルム500を通して毛管チャネル3106、3107を切り込み、光学フィルム500の第1の表面501上の基準マーク3105を作製する。チャネル3106、3106は、光学フィルム500を、サブアセンブリ2900の主要部分3101、第1のカットオフ部分3102、及び第2のカットオフ部分3103に分割する。第1の毛管チャネル3106は、サブアセンブリ2900の主要部分3101と第1のカットオフ部分3102との間に配置される。第2の毛管チャネル3107は、サブアセンブリ2900の主要部分3101と第2のカットオフ(cut of)部分3103との間に配置される。これらの部分3101、3102、3105のそれぞれにおいて、第2のライナー2902は光学フィルム500に接着されたままであるため、サブアセンブリ2900は後続の印刷工程では無傷のままである。
【0039】
基準マーク3105と位置合わせすると、インク3201が、図32に示されるように、第1及び/又は第2の毛管チャネル3106、3107付近の光学フィルム500の第1の表面501に適用される。インク3201は毛管チャネル3106、3107を通る毛管運動によって移動し、光学フィルム500の第2の表面502上の微細構造の間の谷部によって形成された毛管チャネル3202を通って移動し得る。毛管チャネル3106、3107、3202を通るインク3201の移動の程度は、例えば、インクがチャネル3106、3107、3202内で流れることができる距離を設定する硬化速度でインクを硬化させることによって制御することができる。図33は、第2のライナー2802、並びに第1のカットオフ部分3102及び第2のカットオフ部分3103を取り除いた後のサブアセンブリ2900を示す。インク3201は、光学フィルム500の端部に沿って配置され、光学フィルム500の第2の表面502上に距離を延ばす。
【0040】
実施例1
光学フィルムアセンブリ(上部ライナー、BEF、及び底部ライナーを含む3つの層からなる)を、プラテンダイにより上部ライナー及びBEFの3つの層を通ってキスカットすることにより加工した。上部ライナーはBEFの大部分の上に留まり、光学フィルムは、無傷の底部ライナーに付着したままであった。カットフィルムにおいて、スクリーンフィルムとウィードとの間のスリット内に、青色UV硬化性(3M(商標)UV Inkjet Ink 1504 Cyan)インクの線をインクジェット重ね刷りした。単一ラインを、Fuji,DMP 2800 Desktop Material Jetting systemを使用して、10pLヘッド(Fuji PN 21002011-46)及び1200dpiで、ダイカット部分の露出した端部上に印刷した。
【0041】
図34は、印刷後の部分の写真である。画像は、フィルムの1つの面上のBEF構造(写真の下部の斜めの特徴部3401)を示す。インクジェットインクの粘度が比較的低いため、噴出されたインクは、フィルムの下に染み出し(毛管現象による吸い上げ)、高精細構造体を移動し続け、ギザギザの端部を得た。この移動がもたらす距離の大きさは、516μmから約294μmまで変化した。
【0042】
実施例2
実施例1で前述した光学フィルムを実施例1と同様に加工した。上部ライナーを完全に取り除いた。フィルムに黒色UV硬化性インクの線を重ね刷りした。露出したBEFに黒色インクをフレキソ印刷で重ね刷りし、位置合わせされた印刷で部分の端部付近の小さな表面エリアをインクで覆った。
【0043】
図35は、本実施例の印刷されたBEFの端部の写真である。画像は、フィルムの1つの面上のBEF構造(写真の下部の斜めの特徴部3501)を示す。フィルムの端部3502は、インクによって実質的に覆われて示されている。コーティングされていない拡散層3503は、写真の上端に示される。光学フィルムの拡散層は、底部ライナーと密接に接触しているため、コーティングされなかった。BEFの斜めの特徴部3501への移動は、約50μm未満に制限された。この吸い上げは、「留める」プロセス(印刷直後のUV硬化ユニット)によって制限された。
【0044】
実施例3:
インクの毛管現象の機構は、図36及び図37を参照して説明される。
【0045】
フレキソ印刷は、上部ライナー3650、ASOCフィルム3670、及び底部ライナー3660の予めカットされたフィルム積層体上で実施した。印刷パターンは、カットエリア付近の上部ライナー上に置かれた。インクは、予めカットされた線付近のエリアに制限された。印刷直後に、インクはBEF構造中に「移動」し始めた。フィルム3670の構造3671の高さ及びピッチは、90/24輝度向上フィルム(BEF)溝として一般的に識別される断面を有する一連の溝(高さ90マイクロメートルの三角形特徴部で、各三角形特徴部間のピッチが24マイクロメートル)を画定する。
【0046】
閉鎖チャネル内の流体の毛管流は、より広範な流体力学の科学内の対象である。幅w及び高さdの矩形の閉鎖チャネル3701における毛管流を説明する関係は、図37を参照して以下の式1及び2によって提供される。チャネル3701内の液体3702は、表面張力、
【数1】
を有する。
【数2】
【0047】
90/24BEF溝は矩形の代わりに三角形であるが、式1及び式2に提供される時間に対する毛管流の位置に関する基本関係が適用可能である。
【0048】
この実施例では、300cpsのインクでは、印刷後15秒の硬化時間での溝内のインクの前端部の位置3699は、約250マイクロメートルの付近であった。上記式1及び式2から導出される関係によれば、印刷後の急速硬化(例えば、最初の15秒の代わりに1秒)では、250マイクロメートルの
【数3】
または250マイクロメートルを約3.87で割った第2の毛管位置(例えば、64マイクロメートル)になるはずである。
【0049】
この開示に記載される項目は、以下の通りである。
【0050】
項目1.
第1の表面と、反対側を向いた第2の表面と、第1の表面及び第2の表面に垂直な厚さと、を有する光学フィルムをカットすることであって、カットすることはフィルムの厚さを少なくとも部分的に通るチャネルを形成する、カットすることと、
フィルムの第2の表面に近接して光制御材料を印刷することであって、このような材料は毛管運動によってチャネルを通って横断する、印刷することと、を含む、方法。
【0051】
項目2.材料がチャネルを通って又はフィルムの第1の表面上に所定の距離を移動するように、光制御材料の移動を制御することを更に含む、項目1に記載の方法。
【0052】
項目3.光学フィルムを切ることが、回転ダイカット、プラテンカット、又はレーザーカットを含む、項目1又は2に記載の方法。
【0053】
項目4.カットすることの前に、光学フィルムの第1の表面にマスク層を適用することを更に含む、項目1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
項目5.第1の表面に近接して光制御材料を印刷することが、光制御材料をマスク層上に印刷することを含む、項目4に記載の方法。
【0055】
項目6.
第1の表面の露出領域を画定するためにマスク層をカットすることを更に含み、
フィルムをカットすること及びマスク層をカットすることは、実質的に同時に行われ、
光制御材料を印刷することは、光制御材料をマスク層上及び第1の表面の露出領域上に印刷することを含む、項目4に記載の方法。
【0056】
項目7.フィルムをカットすること及びマスク層をカットすることが、フィルム及びマスク層を同じダイでカットすることを含む、項目4に記載の方法。
【0057】
項目8.
フィルムの第1の表面上に基準マークを形成することと、
光制御材料を基準マークと位置合わせして印刷することと、を更に含む、項目1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
項目9.
フィルムをカットすることが、フィルムをレーザーカットすることを含み、
基準マークを形成することが、フィルムをレーザーカットすることと同時に基準マークをレーザー形成することを含む、項目8に記載の方法。
【0059】
項目10.光制御材料を印刷することが、フレキソ印刷又はインクジェット印刷を含む、項目1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
項目11.光制御インクを印刷することが、光吸収インクを印刷すること、又は光反射インクを印刷することを含む、項目1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
項目12.光学フィルムが、導光フィルム、微細構造を含む輝度向上フィルム、鏡面反射フィルム、及び拡散フィルムのうちの1つ以上を含む、項目1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
項目13.光制御材料の移動を制御することが、材料を部分的に硬化させることを含む、項目1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
項目14.光制御材料を硬化させることが、紫外線(UV)光をUV光源からチャネル付近の領域内のフィルムに向けることを含む、項目13に記載の方法。
【0064】
項目15.光制御材料の移動を制御することが、硬化領域におけるUV光の強度及び硬化領域がUV光に曝露される時間のうちの一方又は両方を制御することを含む、項目14に記載の方法。
【0065】
項目16.光制御材料を硬化させることが、乾燥、加熱、及びUV光曝露のうちの1つ以上によって光制御材料を部分的に硬化させることを含む、項目13に記載の方法。
【0066】
項目17.光制御材料の移動を制御することが、チャネルを通る光制御材料の毛管運動を制御することを含む、項目1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
項目18.光制御材料の移動を制御することが、光制御材料の粘度を変化させることを含む、項目1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
項目19.光制御材料の移動を制御することが、第2の表面上の光制御材料の移動を、フィルムの端部から100μm以内に制限することを含む、項目1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
項目20.フィルムをカットすることが、第1の部分及び第2の部分を画定するためにフィルムをカットすることを含み、チャネルの側面は、第1の部分及び第2の部分の端部を形成する、項目1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
項目21.
第1の表面と、微細構造を含む反対側を向いた第2の表面と、第1の表面及び第2の表面に垂直な厚さと、を有する光学フィルムをカットすることであって、光学フィルムをカットすることは、フィルムの厚さを通るチャネルを形成する、カットすることと、
光制御インクをフィルムの第1の表面に向けて印刷することであって、インクは、毛管運動によってチャネルを通って、かつ第2の表面の微細構造の間を横断する、印刷することと、
インクが第2の表面の微細構造の間をチャネルから所定の距離移動するように、インクの毛管移動を制御することと、を含む、方法。
【0071】
項目22.微細構造が線形三角プリズムを備える、項目21に記載の方法。
【0072】
項目23.光学フィルムが、
第1のフィルム層と、
第2のフィルム層と、を含み、第1のフィルム層は第1の表面を含み、第2のフィルム層は第2の表面を含む、多層フィルムである、項目21又は22に記載の方法。
【0073】
項目24.
第2のフィルム層が微細構造を含み、
インクの毛管移動を制御することが、第1のフィルム層の微細構造の間及び第2のフィルム層の微細構造の間におけるインクの毛管移動を制御することを含む、項目23に記載の方法。
【0074】
項目25.
第2のフィルム層が微細構造を含み、
第1のフィルム層の微細構造が、第2のフィルム層の微細構造に対してある角度で配置される、項目23に記載の方法。
【0075】
項目26.
光学フィルムが多層光学フィルムであり、
チャネルをカットすることが、多層光学フィルムの複数の層を通るようにチャネルをカットすることを含む、項目21~25のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
項目27.光学フィルムを使用する方法であって、
構造化表面と、反対側を向いた表面と、構造化表面と反対側を向いた表面との間に延びる1つ以上の端部と、を有する光学フィルムで光を受光することと、
光学フィルムの構造化表面の微細構造において内部全反射の臨界角以上の角度で受光された光を反射することと、
内部全反射の臨界角未満の角度で受光された光を光学フィルムの構造化表面から放出することと、
光学フィルムの端部に配置されたインク層によって光を吸収又は反射することと、を含む、方法。
【0077】
項目28.
第1の表面と、
反対側を向いた第2の表面と、
第1の表面と第2の表面との端部と、
端部上に配置されている、遮光インク層と、を備える、光学フィルム。
【0078】
項目29.第2の表面が微細構造を含む、項目28に記載の光学フィルム。
【0079】
項目30.遮光インク層が光学フィルムの端部上及び第2の表面上に配置されている、項目(claims)28又は29に記載の光学フィルム。
【0080】
別途断りがない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0081】
上述の実施形態の様々な修正及び変更が、当業者には明らかとなるものであり、本開示は、本明細書に記載されている例示的実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。読者には、別段の指示のない限り、開示される1つの実施形態の特徴はまた、開示される全ての他の実施形態にも適用することができる点を想定されたい。また、本明細書で参照される全ての米国特許、特許出願、特許出願公開、並びに他の特許文献及び非特許文献は、上記の開示に矛盾しない範囲内で、参照により本明細書に組み込まれることも理解されたい。
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