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特許7402831有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイス
(51)【国際特許分類】
   C07D 409/12 20060101AFI20231214BHJP
   C07D 307/77 20060101ALI20231214BHJP
   C07D 333/50 20060101ALI20231214BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20231214BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231214BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
C07D409/12 CSP
C07D307/77
C07D333/50
C07D405/12
H05B33/14 A
H05B33/22 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020573315
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 KR2019007999
(87)【国際公開番号】W WO2020009398
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0077190
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078713
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン、トゥヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソミ
(72)【発明者】
【氏名】パク、トヨン
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0030289(KR,A)
【文献】特表2019-534254(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0011980(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0139159(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0130737(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0096770(KR,A)
【文献】特開2011-029220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 409/12
C07D 307/77
C07D 333/50
C07D 405/12
H10K 50/10
H10K 50/15
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物:
【化1】
(式中、
XはO又はSを表し;
Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し、ただし、Ar ~Ar は、
【化2】
(式中、*は窒素原子への結合部位である。)
のいずれでもなく
及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
aは1~4の整数を表し、bは1~5の整数を表し、a及びbが2以上の整数である場合には、各R及び各Rは同じであっても異なっていてもよく;
p及びqは、pとqの合計が1又は2であることを条件としてそれぞれ独立して0又は1を表し、pとqの合計が2である場合には、LとL、及びAr~Arは同じであっても異なっていてもよい)。
【請求項2】
前記置換(C1~C30)アルキル、前記置換(C6~C30)アリール(エン)、前記置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、前記置換(C3~C30)シクロアルキル、前記置換(C1~C30)アルコキシ、前記置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、前記置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、前記置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、前記置換トリ(C6~C30)アリールシリル、前記置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、前記置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び前記置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノの前記置換基が、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、(3~30員)ヘテロアリール置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル-置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つを表す、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項3】
前記式1が、以下の式2~4でのいずれか1つで表される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化3】
(式中、
p及びqは、それぞれ独立して0又は1を表し、pとqの合計は1であり;
X、Ar~Ar、L、L、R、R、a、及びbは、請求項1で規定した通りである)。
【請求項4】
Ar~Arが、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C20)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C25)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル(C6~C25)アリールアミノを表し;
及びLが、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換の(C6~C25)アリーレン又は置換若しくは無置換の(3~25員)ヘテロアリーレンを表し;
及びRが、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリールを表し;
p及びqは、pとqの合計が1であることを条件としてそれぞれ独立して0又は1を表す;
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物。
【請求項5】
前記式1によって表される前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項6】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセント材料。
【請求項7】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネセント化合物が正孔輸送帯に含まれる、請求項7に記載の有機エレクトロルミネセントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセント化合物及びこれを含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光層及び電荷輸送層で構成されている緑色発光のTPD/Alq二層小分子有機エレクトロルミネセントデバイスは、1987年にEastman KodakのTangらによって最初に開発された。その後、有機エレクトロルミネセントデバイスに関する研究は、急速に商業化されてきた。有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)は、有機エレクトロルミネセント材料に電気を印加することによって電気エネルギーを光に変換し、通常、アノード、カソード、及び2つの電極間に形成された有機層を含む。有機エレクトロルミネセントデバイスは、その効率及び安定性を改良するために、正孔輸送帯、発光層、及び電子輸送帯等を備える複数層構造を有する。
【0003】
更に、有機エレクトロルミネセントデバイスの性能はその各帯域又は層に含まれる化合物に大きく依存するため、有機エレクトロルミネセントデバイスの性能を改善できる新規な化合物の研究が活発に行われてきた。例えば、銅フタロアシアニン(CuPc)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が有機エレクトロルミネセントデバイス内の正孔輸送帯に含まれる化合物として使用されていた。しかしながら、これらの材料を使用する有機エレクトロルミネセントデバイスは、発光効率及び寿命の低下という問題を有する。それは、有機エレクトロルミネセントデバイスが高電流下で駆動されるとき、アノードと正孔注入層との間に熱応力が生じ、それによってこのような熱応力がデバイスの寿命を著しく低下させるからである。更に、正孔輸送帯で使用される有機材料は正孔移動度が非常に高いため、正孔と電子の電荷バランスが崩れ、量子効率(cd/A)が低下するという問題を有していた。そのため、正孔輸送帯で使用される従来の化合物を置き換えることができる新規な化合物が必要とされている。加えて、有機エレクトロルミネセントデバイスの発光効率、駆動電圧、及び/又は寿命特性を改善するための様々な材料及びデバイスに関する研究が行われてきた。
【0004】
韓国特許出願公開第2017-0096770A号明細書は、有機エレクトロルミネセントデバイスの正孔輸送層に含まれる化合物として、アミンがベンゾナフトチオフェン又はベンゾナフトフランの特定の位置に結合している化合物を開示しているに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、低い駆動電圧及び/又は高い発光効率及び/又は長い寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを製造するために有効な有機エレクトロルミネセント化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、韓国特許出願公開第2017-0096770A号明細書で開示された化合物と比較して、三重項エネルギーを大きく変えることなしに、分子の立体障害により自由回転の程度を低下させて分子の剛性を高める、以下の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物により、前述した目的を達成することができ、本発明を完成できることを見出した。
【化1】
【0007】
式1において、
XはO又はSを表し;
Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;又はArとAr及びArとArが互いに連結して環を形成していてもよく;
及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;
aは1~4の整数を表し、bは1~5の整数を表し、a及びbが2以上である場合には、各R及び各Rは同じであっても異なっていてもよく;
p及びqは、pとqの合計が1又は2であることを条件としてそれぞれ独立して0又は1を表し、pとqの合計が2である場合には、LとL、及びAr~Arは同じであっても異なっていてもよい。
【0008】
発明の有利な効果
本開示による有機エレクトロルミネセント化合物は、低い駆動電圧、高い発光効率、及び/又は長い寿命を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以降で本開示を詳しく説明する。しかしながら、以下の説明は、本発明を説明することを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0010】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント化合物」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得、且つ必要に応じて有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の材料層に含まれ得る化合物を意味する。
【0011】
本開示における用語「有機エレクトロルミネセント材料」は、有機エレクトロルミネセントデバイスに使用され得る、且つ少なくとも1つの化合物を含み得る材料を意味する。有機エレクトロルミネセント材料は、必要に応じて、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する任意の層に含まれ得る。例えば、有機エレクトロルミネセント材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、又は電子注入材料等であり得る。
【0012】
「正孔輸送帯」という用語は、正孔が第1の電極と発光層との間を移動する帯域を意味する。例えば、正孔輸送帯は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、及び電子阻止層のうちの少なくとも1つを含み得る。正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、及び電子阻止層は、それぞれ単層であってもよく、又は2つ以上の層が積層された複層であってもよい。一実施形態によれば、正孔輸送帯は、第1の正孔輸送層と第2の正孔輸送層とを含み得る。第2の正孔輸送層は、複数の正孔輸送層の少なくとも1つの層であり得、正孔補助層、発光補助層、及び/又は電子阻止層のうちの少なくとも1つを含み得る。更に、別の実施形態によれば、正孔輸送帯は、第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層を含み得る。 第1の正孔輸送層は、第1の電極と発光層との間に配置され得、第2の正孔輸送層は、第1の正孔輸送層と発光層との間に配置され得る。第2の正孔輸送層は、正孔輸送層、発光補助層、正孔補助層、及び/又は電子阻止層の役割を有し得る。
【0013】
正孔輸送層は、アノード(又は正孔注入層)と発光層との間に配置されていてもよく、アノードから発光層に伝達された正孔をスムーズに移動させ、カソードから伝達される電子を遮断して発光層に留めるように機能することができる。発光補助層は、アノードと発光層との間、又はカソードと発光層との間に配置され得る。発光補助層がアノードと発光層との間に配置される場合、それは、正孔注入及び/若しくは正孔輸送を促進するために、又は電子のオーバーフローを防止するために使用することができる。発光補助層がカソードと発光層との間に配置される場合、それは、電子注入及び/若しくは電子輸送を促進するために、又は正孔のオーバーフローを防止するために使用することができる。加えて、正孔補助層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、正孔輸送速度(又は正孔注入速度)を促進又は阻止するのに有効であり得、それによって電荷バランスが制御されることを可能にする。
【0014】
また、電子阻止層は、正孔輸送層(又は正孔注入層)と発光層との間に配置され得、発光層からの電子のオーバーフローを阻止することによって励起子を発光層内に閉じ込めて発光漏れを防ぐことができる。有機エレクトロルミネセントデバイスが2つ以上の正孔輸送層を含む場合、更に含まれる正孔輸送層は、発光補助層、正孔補助層、及び電子阻止層等として使用され得る。発光補助層、正孔補助層、及び/又は電子阻止層は、有機エレクトロルミネセントデバイスの発光効率及び/又は寿命を改善するという効果を有し得る。
【0015】
本明細書において、「(C1~C30)アルキル」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状アルキルであることを意味し、ここで、炭素原子の数は、好ましくは、1~20個、より好ましくは1~10個である。上記アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどを挙げることができる。「(C2~C30)アルケニル」は、鎖を構成する1~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキルであり、炭素原子の数は、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個であり、これらとしては、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルブト-2-エニルなどが挙げられる。「(C2~C30)アルキニル」は、鎖を構成する2~30個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキニルであり、炭素原子の数は、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個であり、これらとしては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチルペント-2-イニルなどが挙げられる。「(C3~C30)シクロアルキル」は、3~30個の環骨格炭素原子を有する単環式又は多環式の炭化水素であり、炭素原子の数は、好ましくは3~20個、より好ましくは3~7個である。上記シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを挙げることができる。「(3~7員)ヘテロシクロアルキル」は、B、N、O、S、Si、及びP、好ましくはO、S、及びNからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~7個の環骨格原子を有するシクロアルキルであり、環骨格原子の数は好ましくは5~7個である。上記ヘテロシクロアルキルとしては、テトラヒドロフラン、ピロリジン、チオラン、テトラヒドロピランなどを挙げることができる。「(C6~C30)アリール(エン)」は、6~30個の環骨格炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導される単環式又は縮合環のラジカルであり、環骨格炭素原子の数は、好ましくは6~20個であり、より好ましくは6~15個であり、部分的に飽和されていてもよく、またスピロ構造を含んでいてもよい。アリールの例としては、具体的には、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、ナフチルフェニル、フルオレニル、フェニルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、ジフェニルフルオレニル、ベンゾフルオレニル、ジフェニルベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、フェニルフェナントレニル、アントラセニル、ベンズアントラセニル、インデニル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニル、クリセニル、ベンゾクリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、スピロ[フルオレン-フルオレン]イル、スピロ[フルオレン-ベンゾフルオレン]イル、アズレニル等が挙げられる。より具体的には、アリールは、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-キシリル、メシチル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、p-t-ブチルフェニル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4”-t-ブチル-p-テルフェニル-4-イル、o-ビフェニル、m-ビフェニル、p-ビフェニル、o-テルフェニル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-クアテルフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-フルオレニル、2-フルオレニル、3-フルオレニル、4-フルオレニル、9-フルオレニル、9,9-ジメチル-1-フルオレニル、9,9-ジメチル-2-フルオレニル、9,9-ジメチル-3-フルオレニル、9,9-ジメチル-4-フルオレニル、9,9-ジフェニル-1-フルオレニル、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル、9,9-ジフェニル-3-フルオレニル、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル、1-クリセニル、2-クリセニル、3-クリセニル、4-クリセニル、5-クリセニル、6-クリセニル、ベンゾ[c]フェナントリル、ベンゾ[g]クリセニル、1-トリフェニレニル、2-トリフェニレニル、3-トリフェニレニル、4-トリフェニレニル、3-フルオランテニル、4-フルオランテニル、8-フルオランテニル、9-フルオランテニル、ベンゾフルオランテニルなどであってもよい。
【0016】
本明細書において、「(3~30員)ヘテロアリール(エン)」は、B、N、O、S、Si、P、及びGeからなる群から選択される少なくとも1つ、好ましくは1~4個のヘテロ原子を含む3~30個の環骨格原子を有するアリールであり、環骨格原子の数は好ましくは5~25個である。上記ヘテロアリールは、単環式環であってもよく、或いは少なくとも1つのベンゼン環と縮合した縮合環であってもよく;また部分的に飽和であってもよい。上記ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換の(5~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換の(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換のトリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換のジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換のトリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つの置換基と連結していてもよい。更に、上記ヘテロアリールは、単結合を介してヘテロアリール基に少なくとも1つのヘテロアリール又はアリール基を結合することにより形成されたものであってもよく;またスピロ構造を含んでいてもよい。ヘテロアリールの例としては、具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどの単環型ヘテロアリール;及び、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾピリジニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾインドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アザカルバゾリル、ベンゾカルバゾリル、ジベンゾカルバゾリル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、ベンゾジオキソリル、インドリジジニル、アクリリジニル、シラフルオレニル、ゲルマフルオレニルなどの縮合環型ヘテロアリールを挙げることができる。より具体的には、ヘテロアリールは、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアジン-4-イル、1,2,4-トリアジン-3-イル、1,3,5-トリアジン-2-イル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、1-ピラゾリル、1-インドリジジニル、2-インドリジジニル、3-インドリジジニル、5-インドリジジニル、6-インドリジジニル、7-インドリジジニル、8-インドリジジニル、2-イミダゾピリジニル、3-イミダゾピリジニル、5-イミダゾピリジニル、6-イミダゾピリジニル、7-イミダゾピリジニル、8-イミダゾピリジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、2-フリル、3-フリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフラニル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、アザカルバゾール-1-イル、アザカルバゾール-2-イル、アザカルバゾール-3-イル、アザカルバゾール-4-イル、アザカルバゾール-5-イル、アザカルバゾール-6-イル、アザカルバゾール-7-イル、アザカルバゾール-8-イル、アザカルバゾール-9-イル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、3-フラザニル、2-チエニル、3-チエニル、2-メチルピロール-1-イル、2-メチルピロール-3-イル、2-メチルピロール-4-イル、2-メチルピロール-5-イル、3-メチルピロール-1-イル、3-メチルピロール-2-イル、3-メチルピロール-4-イル、3-メチルピロール-5-イル、2-t-ブチルピロール-4-イル、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル、2-メチル-1-インドリル、4-メチル-1-インドリル、2-メチル-3-インドリル、4-メチル-3-インドリル、2-t-ブチル-1-インドリル、4-t-ブチル-1-インドリル、2-t-ブチル-3-インドリル、4-t-ブチル-3-インドリル、1-ジベンゾフラニル、2-ジベンゾフラニル、3-ジベンゾフラニル、4-ジベンゾフラニル、1-ジベンゾチオフェニル、2-ジベンゾチオフェニル、3-ジベンゾチオフェニル、4-ジベンゾチオフェニル、1-シラフルオレニル、2-シラフルオレニル、3-シラフルオレニル、4-シラフルオレニル、1-ゲルマフルオレニル、2-ゲルマフルオレニル、3-ゲルマフルオレニル、及び4-ゲルマフルオレニル等であってもよい。「ハロゲン」にはF、Cl、Br、及びIが含まれる。
【0017】
本明細書において、「オルト(o)」、「メタ(m)」及び「パラ(p)」は、全ての置換基の置換位置を示すことを意味する。オルト位は、例えば、ベンゼンの1位及び2位で互いに隣接している置換基を有する化合物である。メタ位は、直接隣接する置換位置の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び3位に置換基を有する化合物である。パラ位は、メタ位の次の置換位置であり、例えばベンゼンの1位及び4位に置換基を有する化合物である。
【0018】
更に、表現「置換若しくは無置換」における「置換」は、特定の官能基中の水素原子が別の原子又は別の官能基、即ち置換基で置き換えられていることを意味する。置換(C1~C30)アルキル、置換(C6~C30)アリール(エン)、置換(3~30員)ヘテロアリール(エン)、置換(C3~C30)シクロアルキル、置換(C1~C30)アルコキシ、置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノの置換基は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ、カルボキシル、ニトロ、ヒドロキシ、(C1~C30)アルキル、ハロ(C1~C30)アルキル、(C2~C30)アルケニル、(C2~C30)アルキニル、(C1~C30)アルコキシ、(C1~C30)アルキルチオ、(C3~C30)シクロアルキル、(C3~C30)シクロアルケニル、(3~7員)ヘテロシクロアルキル、(C6~C30)アリールオキシ、(C6~C30)アリールチオ、(C6~C30)アリール置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、(3~30員)ヘテロアリール置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、トリ(C1~C30)アルキルシリル、トリ(C6~C30)アリールシリル、ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、アミノ、モノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、(C1~C30)アルキル置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノ、(C1~C30)アルキルカルボニル、(C1~C30)アルコキシカルボニル、(C6~C30)アリールカルボニル、ジ(C6~C30)アリールボロニル、ジ(C1~C30)アルキルボロニル、(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールボロニル、(C6~C30)ar(C1~C30)アルキル、及び(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールからなる群から選択される少なくとも1つである。一実施形態によれば、置換基はそれぞれ独立して(C1~C20)アルキル及び/又は(C6~C25)アリールを表す。別の実施形態によれば、置換基は、それぞれ独立して、(C1~C10)アルキル及び(C6~C18)アリールのうちの少なくとも1つを表す。例えば、置換基は、それぞれ独立して、メチル、フェニル、ナフチル、及びビフェニルのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0019】
本明細書において、「隣接する置換基に結合して形成される環」とは、置換若しくは無置換(3~30員)の単環式又は多環式の脂肪族環、芳香族環、或いはこれらの組み合わせを意味し、2つ以上の隣接する置換基を連結又は縮合することにより形成され;好ましくは、置換若しくは無置換(3~26員)の単環式又は多環式の脂肪族環、芳香族環、或いはこれらの組み合わせであり得る。更に、形成された環は、B、N、O、S、Si、及びPから、好ましくはN、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0020】
本開示の式において、ヘテロアリール(エン)及びヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、B、N、O、S、Si P、及びGeからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい。更に、上記ヘテロ原子は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、及び置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノからなる群から選択される少なくとも1つの置換基と連結していてもよい。
【0021】
式1で表される化合物は、以下の式2~4のいずれか1つで表すことができる。
【化2】
【0022】
式2~4において、X、Ar~Ar、L、L、R、R、a、b、p、及びqは、式1で定義した通りである。一実施形態によれば、pとqの合計は1であってもよい。
【0023】
式1~4において、XはO又はSを表す。
【0024】
式1~4において、Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換の(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換の(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C1~C30)アルキルアミノ、置換若しくは無置換のモノ-若しくはジ-(C6~C30)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換の(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表すか;又はArとArが互いに連結して環を形成していてもよく、ArとArが互いに連結して環を形成していてもよい。一実施形態によれば、Ar~Arは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C1~C20)アルキルアミノ、置換若しくは無置換モノ-若しくはジ-(C6~C25)アリールアミノ、又は置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル(C6~C25)アリールアミノを表す。別の実施形態によれば、Ar~Arは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換(C1~C10)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールを表す。例えば、Ar~Arは、それぞれ独立して、無置換フェニル、無置換ナフチル、無置換ビフェニル、無置換フェナントレニル、無置換ナフチルフェニル、フェニル置換若しくは無置換ジメチルフルオレニル、無置換ジフェニルフルオレニル、無置換テルフェニル、スピロビフルオレニル、フェニル置換若しくは無置換ジベンゾチオフェニル、ジベンゾフラニル、又は少なくとも1つのフェニル及び/若しくは少なくとも1つのビフェニルで置換されたカルバゾリルであってもよい。
【0025】
一実施形態によれば、ArとAr、又はArとArは、それぞれ独立して、以下の群から選択することができる。例えば、Arがフェニルである場合、Arは以下の化合物のうちのいずれか1つであってもよい。
【化3】
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
式1~4において、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C30)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリーレンを表し;一実施形態によれば、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは無置換(C6~C25)アリーレン、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリーレンを表し;別の実施形態によれば、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、無置換(C6~C18)アリーレン、又は無置換(3~18員)ヘテロアリーレンを表す。例えば、L及びLは、それぞれ独立して、単結合、無置換フェニレン、又は無置換ナフチレンであってもよい。
【0031】
式1~4において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、置換若しくは無置換(3~30員)ヘテロアリール、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシ、置換若しくは無置換トリ(C1~C30)アルキルシリル、置換若しくは無置換ジ(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキルジ(C6~C30)アリールシリル、置換若しくは無置換トリ(C6~C30)アリールシリル、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル(C6~C30)アリールアミノを表し;一実施形態によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは無置換(C1~C20)アルキル、置換若しくは無置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは無置換(3~25員)ヘテロアリールを表し;別の実施形態によれば、R及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、シアノ、無置換(C1~C10)アルキル、無置換(C6~C25)アリール、又は置換若しくは無置換(5~25員)ヘテロアリールを表す。例えば、R及びRは水素であり得る。
【0032】
式1~4において、aは1~4の整数を表し、bは1~5の整数を表し、aとbがそれぞれ2以上の場合には、各R及び各Rは同じであっても異なっていてもよく;一実施形態によれば、a及びbは1であってもよい。
【0033】
式1~4において、p及びqは、pとqの合計が1又は2であることを条件としてそれぞれ独立して0又は1を表し、pとqの合計が2である場合には、各置換基は同じであっても異なっていてもよく;一実施形態によれば、pとqの合計は1であってもよい。例えば、pが0である場合にはqは1であり;pが1の場合にはqは0である。
【0034】
式1で表される化合物は以下の化合物によってより具体的に示すことができるが、それらに限定されない。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0035】
本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、当業者に公知の合成方法によって製造することができる。例えば、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、以下の反応スキーム1~3で表される通りに合成することができるが、これらに限定されない。
【0036】
[反応スキーム1]
【化11】
【0037】
[反応スキーム2]
【化12】
【0038】
[反応スキーム3]
【化13】
【0039】
反応スキーム1~3において、X、Ar~Ar、L、L、R、R、a、b、p、及びqは、式1で定義した通りである。
【0040】
上述のように、一実施形態による式2~4によって表される化合物の例示的な合成例は説明されるが、それらは、バックワルド-ハートウィグクロスカップリング反応、ウィッティヒ反応、ウルマンカップリング反応、鈴木クロスカップリング反応、N-アリール化反応、H-mont媒介エーテル化反応、宮浦ホウ素化反応、分子内酸誘起環化反応、Pd(II)触媒酸化環化反応、グリニャール反応、ヘック反応、環状脱水反応、SN置換反応、SN置換反応、及びホスフィン媒介還元環化反応等に基づいている。上記の反応は、具体的な合成例に記載された置換基以外の式2~4において定義された他の置換基が結合している場合でも進行することが当業者によって理解されるであろう。
【0041】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができるドーパントは、少なくとも1つのリン光性又は蛍光性ドーパント、好ましくはリン光性ドーパントであり得る。リン光性ドーパントは、これらに限定されないが、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子の金属化錯体化合物、好ましくはイリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、銅(Cu)、及び白金(Pt)から選択される金属原子のオルト金属化錯体化合物、更により好ましくはオルト金属化イリジウム錯体化合物であり得る。
【0042】
ドーパントは、以下の式101~103のいずれか1つで表される化合物を使用できるが、これらに限定されない:
【化14】
(式中、Lは以下の構造1又は2:
【化15】
から選択され、R100は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、又は置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキルを表し;
101~R109及びR111~R123は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、重水素若しくはハロゲン置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、置換若しくは無置換(C6~C30)アリール、シアノ、又は置換若しくは無置換(C1~C30)アルコキシを表すか;又は隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく;具体的にはR106~R109は、隣接する置換基に結合して、環、例えばアルキル置換若しくは無置換インデン環、アルキル置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環、又はアルキル置換若しくは無置換ベンゾフラン環を形成していてもよく;R120~R123は、隣接する置換基と連結して環を形成していてもよく、例えばR120とR121は、互いに連結して、アルキル-、アリール-、アラルキル-、及びアルキルアリール-置換若しくは無置換ベンゼン環のうちの少なくとも1つ、又は少なくとも1つのアルキル置換若しくは無置換フルオレン環、ジベンゾフラン環、又はジベンゾチオフェン環を形成していてもよく;
124~R127は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、又は置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;又は隣接する置換基に連結して環、例えばアルキル置換若しくは無置換インデン環、アルキル置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環、又はアルキル置換若しくは無置換ベンゾフラン環を形成していてもよく;
201~R211は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、重水素-又はハロゲン-置換若しくは無置換(C1~C30)アルキル、置換若しくは無置換(C3~C30)シクロアルキル、又はアルキル-若しくは重水素-置換若しくは無置換(C6~C30)アリールを表すか;又は隣接する置換基に連結して環、例えばアルキル置換若しくは無置換インデン環、アルキル置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環、又はアルキル置換若しくは無置換ベンゾフラン環を形成していてもよく;
rはそれぞれ独立して1~3の整数を表し;rが2以上である場合には、各R100は同じであっても異なっていてもよく;
nは1~3の整数を表す)。
【0043】
ドーパント化合物の具体的な例としては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【0044】
本開示の式1で表される化合物は、有機エレクトロルミネセントデバイスを構成する少なくとも1つの層、例えば正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層に含まれていてもよい。更に、本開示の式1で表される化合物は、正孔輸送帯、好ましくは正孔輸送帯の第2の正孔輸送層に含まれていてもよいが、これに限定されない。
【0045】
有機エレクトロルミネセント材料、例えば正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔補助材料、発光補助材料、電子阻止材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔阻止材料、電子輸送材料、及び電子注入材料のうちの少なくとも1つの材料は、上の式1によって表される化合物を含むことができる。材料は、正孔輸送帯材料であってもよい。正孔輸送帯材料は、式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物のみから構成されていてもよく、或いは有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料を更に含んでいてもよい。
【0046】
一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、白色有機発光デバイスのための発光材料として使用され得る。白色有機発光デバイスは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)又はYG(黄緑色)の発光ユニットの配置に応じて、平行並列配置法、積層配置法又はCCM(色変換材料)法などの様々な構造が提案されている。加えて、一実施形態による有機エレクトロルミネセント材料は、QD(量子ドット)を含む有機エレクトロルミネセントデバイスにも適用され得る。
【0047】
本開示による有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極と;第2の電極と;第1の電極と第2の電極の間に挟まれた少なくとも1つの有機層とを含む。第1の電極及び第2の電極の一方は、アノードであり得、他方は、カソードであり得る。ここで、第1の電極及び第2の電極は、それぞれ透過性導電材料、半透過性導電材料、又は反射性導電材料として形成され得る。有機エレクトロルミネセントデバイスは、第1の電極及び第2の電極を形成する材料の種類に従ってトップエミッション型、ボトムエミッション型又は両面エミッション型であり得る。有機層は、少なくとも1つの発光層を含むことができ、正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光補助層、電子輸送層、電子緩衝層、電子注入層、中間層、正孔阻止層、及び電子阻止層から選択される少なくとも1つの層を更に含むことができる。
【0048】
本開示の層による有機エレクトロルミネセントデバイスは、上の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物を含むことができ、更に、有機エレクトロルミネセント材料に含まれる従来の材料も含んでいてもよい。上の式1で表される有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、高い発光効率及び/又は長い寿命特性を示すことができる。
【0049】
また、本開示は、式1によって表される化合物を用いることにより、ディスプレイデバイスを提供することができる。即ち、本開示の化合物を用いることにより、ディスプレイデバイス又は照明デバイスを製造することが可能である。具体的には、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物は、スマートフォン、タブレット、ノートブック、PC、TV等のディスプレイデバイス、或いは車用のディスプレイデバイス、或いは屋外又は屋内照明等の照明デバイスの製造のために使用することができる。
【0050】
以降では、本開示を詳細に理解するために、本開示の化合物の調製方法及びそれらの特性について本開示の代表的な化合物を参照しながら詳しく説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されない。
【実施例
【0051】
[実施例1]化合物C-123の調製
【化21】
【0052】
1)化合物1-1の調製
化合物A(37g、205.05mmol)、2-ブロモ-6-クロロベンズアルデヒド(30g、136.7mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.7g、4.1mmol)、炭酸カリウム(47.2g、341.75mmol)、400mLのテトラヒドロフラン、及び100mLの蒸留水を反応容器に入れ、100℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、これから溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後、残りの生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物1-1(35g、収率:94%)を得た。
【0053】
2)化合物1-2の調製
350mLのテトラヒドロフラン中、化合物1-1(35g、128.32mmol)及び(メトキシメチル)トリフェニルホスフィニウムクロリド(66g、192.48mmol)を反応容器の中に入れた。その後、193mLのカリウムtert-ブトキシド(1M)を0℃で混合物に滴下した。滴下が完了した後、反応温度をゆっくりと室温まで上げ、混合物を更に2時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。 その後、ロータリーエバポレーターでこれから溶媒を除去し、次いで残りの生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物1-2(31g、収率:80%)を得た。
【0054】
3)化合物1-3の調製
化合物1-2(31g、103.06mmol)をクロロベンゼンに溶解した後、3.1mLのイートン試薬を反応容器にゆっくりと滴下した。滴下が完了した後、混合物を更に2時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を蒸留水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、これから溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後、残りの生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物1-3(24.4g、収率:88%)を得た。
【0055】
4)化合物C-123の調製
化合物1-3(3.5g、13.02mmol)、N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-2-アミン(4.8g、14.33mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.6g、0.65mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン(0.3mL、1.30mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.9g、19.53mmol)、及び65mLのトルエンを反応容器に入れ、1時間還流した。反応混合物を室温に冷却し;次いで固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物C-123(6g、収率:81%)を得た。
【0056】
【表5】
【0057】
[実施例2]化合物C-124の調製
【化22】
化合物1-3(3.0g、11.16mmol)、N-([1,1’-ビフェニル]-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-2-アミン(5.0g、12.28mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.5g、0.56mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン(0.3mL、1.12mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.6g、16.74mmol)、及び56mLのトルエンを反応容器に入れ、1時間還流した。反応混合物を室温に冷却し;次いで固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物C-124(2g、収率:28%)を得た。
【0058】
【表6】
【0059】
[実施例3]化合物C-125の調製
【化23】
化合物1-3(3.5g、13.02mmol)、N-([1,1’-ビフェニル]-2-イル)-9,9’-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(5.2g、14.33mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.6g、0.65mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン(0.3mL、1.30mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.9g、19.53mmol)、及び65mLのトルエンを反応容器に入れ、1時間還流した。反応混合物を室温に冷却し;次いで固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製することで、化合物C-125(1.3g、収率:17%)を得た。
【0060】
【表7】
【0061】
以降で、本開示を詳細に理解するために、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの特性について説明する。しかしながら、以下の実施例の説明は、本開示を詳細に理解するために本開示によるOLEDの特性を説明することを意図しており、本開示は、以下の実施例に限定することを意味するものではない。
【0062】
[デバイス実施例1~3]本開示による有機エレクトロルミネセント化合物を含むOLEDの製造
本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を使用してOLEDを製造した。まず、OLED用ガラス基板(ジオマテック株式会社、日本)の透明電極である酸化インジウム錫(ITO)薄膜(10Ω/sq)をアセトン及びイソプロパノールで順次超音波洗浄し、次いでイソプロパノール中に保存した。次に、ITO基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。化合物HI-1を真空蒸着装置のセルに導入し、次いで装置のチャンバー中の圧力を10-6トールに制御した。その後、セルに電流を流して、導入された物質を蒸発させて、これによりITO基板に厚さ90nmの第1の正孔注入層を形成した。次いで、化合物HI-2を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して、導入された物質を蒸発させて、これにより第1の正孔注入層上に厚さ5nmの第2の正孔注入層を形成した。次に、化合物HT-1を真空蒸着装置の別のセルに導入した。その後、セルに電流を流して、導入された物質を蒸発させて、これにより第2の正孔注入層に厚さ10nmの第1の正孔輸送帯を形成した。次いで、下記の表1の化合物(第2の正孔輸送材料)を真空蒸着装置の別のセルに導入し、セルに電流を流して、導入された物質を蒸発させて、これにより第1の正孔輸送帯上に厚さ60nmの第2の正孔輸送帯(補助層)を形成した。正孔注入層及び正孔輸送帯を形成した後、発光層を以下の通り蒸着させた。ホストとして化合物H-1を真空蒸着装置の1つのセルに導入し、ドーパントとして化合物D-71を装置の別のセルに導入した。ドーパントは、ホストとドーパントとの総量に基づいて2重量%のドーピング量で蒸着し、正孔輸送層上に40nmの厚さの発光層を形成した。次に、化合物ET-1及びEI-1を別のセルに導入し、1:1の割合で蒸発させ、蒸着させて、発光層上に35nmの厚さを有する電子輸送層を形成した。次に、電子輸送層に、厚さ2nmの電子注入層として化合物EI-1を蒸着し、他の真空蒸着装置により電子注入層に厚さ1500nmのAlカソードを蒸着し、それによりOLEDを製造した。
【0063】
[比較例1及び2]本開示によらない化合物を使用したOLEDの製造
次の表1の化合物を第2の正孔輸送帯で使用したことを除いては、OLEDをデバイス実施例1~3と同じ方法で製造した。
【0064】
デバイス実施例1~3並びに比較例1及び2で使用した化合物は以下の通りである。
【化24】
【0065】
上述した通りに製造したOLEDの1,000nitの輝度での駆動電圧、電力効率、及びCIE色座標の結果を以下の表1に示す。
【0066】
【表8】
【0067】
更にデバイス実施例2と比較例1の5,000nitの輝度に基づく定電流で98%まで減少するのに要する時間(寿命;T98)は、それぞれ98時間及び18時間である。
【0068】
上のデバイス実施例及び比較例において、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、本開示の化合物を含まない有機エレクトロルミネセントデバイスと比較して、低い駆動電圧及び/又は高い電力効率を有することが確認された。それと同時に又は選択的に、本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスは、改善された寿命特性を有することができる。