(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光活性巨大分子及びその使用
(51)【国際特許分類】
C09B 69/10 20060101AFI20231214BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20231214BHJP
G01N 33/533 20060101ALI20231214BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20231214BHJP
C08G 61/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C09B69/10 Z
C09K11/06 610
C09K11/06 680
G01N33/533
G01N33/543 597
C08G61/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021116347
(22)【出願日】2021-07-14
(62)【分割の表示】P 2021063576の分割
【原出願日】2017-04-14
【審査請求日】2021-07-14
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アランクマール イーシュワラン
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ グルニック
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 69/10
C09K 11/06
G01N 33/533
G01N 33/543
C08G 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【化2】
の構造を有する水溶性蛍光ポリマーを含むタンデムポリマー染料であって、
ここで、
各Xは、C及びSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、及びSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、
Yが結合のとき、Xは両方の環に直接結合され、
各Xは、スルホンアミドオリゴエーテル及び
【化1R1】
からなる群から独立して選択されるR
1基で置換されており、
YがCR
1
R
2
又はSiR
1
R
2
であるとき、各Y
中のR
1
基は、ポリエチレングリコール(PEG)、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化1R1】
からなる群から独立して選択される
基で
あり、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化1R2】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、CH
2、O、及びNHからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、及びCH
2からなる群から独立して選択され、
各Mは、独立して、ポリマーバンドギャップを変更することができる電子豊富なリンカーユニットであり、かつ、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布し、かつ、
【化1P2】
【化1P3】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
ここで、
各R
4は、10mg/mLを超えての水中での可溶性を付与することができる非イオン性側鎖であり、かつ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、各x’は独立して0~20の整数であり、各y’は独立して0~50の整数である(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3、及びC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群からそれぞれ独立して選択され、
それぞれのリンカーLは、独立して、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール基であり、かつ、別の基質、受容体染料、又は結合剤への連結のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換され、ここで、少なくとも1つのLは、受容体染料に連結され、そしてここで、
【化2A】
は、前記受容体染料であり、
G
1及びG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、アリール又はヘテロアリール(アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されている)からなる群からそれぞれ独立して選択され、必要に応じて基質又は結合剤に連結され、
a、c、及びdは、均一に又は不規則にそれぞれ繰り返され得る前記構造内のそれぞれのユニットのモル%を定義し、aは10~100%のモル%であり、cは0~90%のモル%であり、各dはモル%であり、ここで、0<d≦25%であり、
各bは、独立して0又は1であり、
mは、1~10,000の整数であり、そして
各nは、独立して1~20の整数である、
タンデムポリマー染料。
【請求項2】
各Xが、Cであり、そして
各Yが、CR
1R
2である、
請求項1に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項3】
各Xが、Cであり、そして
各Yが、結合であり、ここで、Xは両方の環に直接結合される、
請求項1に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項4】
R
1及びR
2がそれぞれ独立して
【化5】
である、請求項3に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項5】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、前記水溶性蛍光ポリマーが、式III:
【化7】
の構造を含み、
ここで、
各fは、独立して0~50の整数であり、そして
各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、
タンデムポリマー染料。
【請求項6】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、前記水溶性蛍光ポリマーが、式IV:
【化8】
の構造を含み、
ここで、
各fは、独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、
タンデムポリマー染料。
【請求項7】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、前記水溶性蛍光ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VI:
【化9】
の構造を含み、
ここで、
g及びaは共に、10~100%のモル%である、
タンデムポリマー染料。
【請求項8】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、前記水溶性蛍光ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VII:
【化10】
の構造を含み、
ここで、
各g及びaは共に、10~100%のモル%であり、そして
各fは、独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、
タンデムポリマー染料。
【請求項9】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、前記水溶性蛍光ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VIII:
【化11】
の構造を含み、
ここで、
各g及びaは共に、10~100%のモル%であり、そして
各fは、独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、
タンデムポリマー染料。
【請求項10】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、各Lが、
【化12-1】
【化12-2】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
ここで、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で必要に応じて置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、そして
各nは、独立して1~20の整数である、
タンデムポリマー染料。
【請求項11】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、G
1及びG
2が、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール、及び官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される、タンデムポリマー染料。
【請求項12】
請求項1に記載のタンデムポリマー染料であって、ここで、G
1及びG
2が、
【化14】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
ここで、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で必要に応じて置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、そして
各nは、独立して1~20の整数である、
タンデムポリマー染料。
【請求項13】
前記受容体染料が、FITC、CY3B、Cy55、Alexa 488、Texas
red、Cy5、Cy7、Alexa 750、及び800CWからなる群から選択される、請求項1に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項14】
前記水溶性蛍光ポリマーに連結された結合剤を更に含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項15】
前記結合剤が抗体である、請求項14に記載のタンデムポリマー染料。
【請求項16】
試料中の検体を検出するための方法であって、
前記検体の含有が疑われる試料を提供することと、
請求項1~15のいずれか1項に記載のタンデムポリマー染料に連結された結合剤と前記試料を接触させることと
を含み、
ここで、前記結合剤は、前記検体又は標的関連生体分子と相互作用することができる、方法。
【請求項17】
前記結合剤が、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体フラグメント、糖、脂質、核酸又はアプタマーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合剤が抗体である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記方法がフローサイトメトリー用に構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記結合剤が基質に結合されている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記検体が、細胞表面上で発現されたタンパク質である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、イムノアッセイとして構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、追加の検体を同時に検出するための追加の結合剤を提供することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月15日に出願された、米国仮特許出願第62/323,444号に対する優先権を主張し、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、試料中の検体を検出するための複合体及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水溶性蛍光ポリマーは、リアルタイムで監視することが可能なシグナルを生成することによって様々な生物学的用途で使用されることができ、生物学的な標的及び事象を検出するための単純かつ短時間の方法を提供することができる。
【0004】
染料の明るさは、消光係数(ε、特定波長で吸収された光の量の尺度)及び蛍光量子収率(Φ、一重項励起状態から放射の形態で放出された光の尺度)からの全体的な寄与である。クマリン、BODIPY、シアニン、スクアラインなどの報告された有機紫色染料の多くは単一分子であり、405nmにおいて10,000~70,000M-1cm-1の範囲内の比較的に小さい消光係数を示す。複数の発色団を有する分子は、様々な発色団からの全体的な寄与に起因してより大きいε値を呈することが明らかになっている。単一分子が複数の発色団を含有する、デンドリマー骨格鎖及びポリマー骨格鎖のアプローチに基づいた様々な報告が存在する。
【0005】
しかしながら、これまでに報告されたポリマー染料の多くは疎水性の高いものであり、発光ダイオード、太陽電池などの材料用途に使用されている。このため、多くのポリマー染料は、溶解性、明るさ、及びスペクトルの広がりが貧弱であることから、水性条件下において有用ではない。ほんの少数の報告のみが、405nm及び355nmレーザーで励起可能である生物学的用途のための水溶性蛍光ポリマーを扱っている。したがって、検体の検出用も含めて、生物学的用途のための水溶性ポリマー染料の集積を拡大するために、新規なポリマーコアの識別が必要とされる。
【0006】
本発明は、試料中の検体を検出するための従来技術の複合体及び方法のこれらの及び他の不利益に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全般的には、結合剤に共役された蛍光ポリマーを含む複合体を使用して試料中の検体を検出するための新規な水溶性蛍光ポリマー及び方法を提供する。
【0008】
第1の実施形態では、本発明は、式Iの構造を有する水溶性蛍光ポリマーであって、
【化1】
式中、
各Xは、C及びSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、及びSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、
Yが結合のとき、Xは両方の環に直接結合され、
各R
1は、ポリエチレングリコール(PEG)、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化2】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化3】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEGからなる群から独立して選択され、
各Zは、C、O、及びNからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、及びCH
2からなる群から独立して選択され、
各Mは、独立して、ポリマーバンドギャップを変更することができる電子豊富なリンカーユニットであり、かつ、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布し、かつ、
【化4】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
4は、10mg/mLを超えての水中での可溶性を付与することができる非イオン性側鎖であり、かつ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、各x’は独立して0~20の整数であり、各y’は独立して0~50の整数である(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3、及びC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群からそれぞれ独立して選択され、
それぞれの任意追加のリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール(hetroaryl)基であり、かつ、別の基質、受容体染料、
分子又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換され、
各G
1及びG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、任意追加的に置換されたアリール、任
意追加的に置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、任意追加的に置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、任意追加的に置換されたフルオレン、基質又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール又はヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、及びdは、構造内のそれぞれのユニットのモル%を定義し、これらのユニットはそれぞれ、均一に又は不規則に繰り返されることができ、aは10~100%のモル%であり、cは0~90%のモル%であり、各dは0~25%のモル%であり、
各bは、独立して0又は1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、水溶性蛍光ポリマーを提供する。
【0009】
いくつかの事例では、ポリマーは式IIの構造を有する
【化5】
。
【0010】
いくつかの事例では、ポリマーは式IIIの構造を有し、
【化6】
式中、各fは独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、
C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0011】
いくつかの事例では、ポリマーは式IVの構造を有する
【化7】
。
【0012】
いくつかの事例では、ポリマーは式Vの構造を有する
【化8】
。
【0013】
いくつかの事例では、ポリマーはコポリマーであり、かつ、式VIの構造を有し、
【化9】
式中、g及びaは共に、10~100%のモル%である。
【0014】
いくつかの事例では、ポリマーはコポリマーであり、かつ、式VIIの構造を有し、
【化10】
式中、各g及びaは共に、10~100%のモル%であり、各fは独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0015】
いくつかの事例では、ポリマーは、式VIIIの構造を有するコポリマーである
【化11】
。
【0016】
いくつかの事例では、ポリマーはコポリマーであり、かつ、式IXの構造を有する
【化12】
。
【0017】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化13】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で任意追加的に置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である。
【0018】
いくつかの実施形態では、G1及びG2は、任意追加的に置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、任意追加的に置換されたフルオレン、官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール、及び官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、G
1及びG
2は、
【化14】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で任意追加的に置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、試料中の検体を検出するための方法であって、
検体の含有が疑われる試料を提供することと、
式Iの構造を有する水溶性ポリマーに共役された結合剤と前記試料を接触させることであって、
【化15】
式中、
各Xは、C及びSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、及びSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、
Yが結合のとき、Xは両方の環に直接結合され、
各R
1は、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化16】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化17】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEGからなる群から独立して選択され、
各Zは、C、O、及びNからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、及びCH
2からなる群から独立して選択され、
各Mは、独立して、ポリマーバンドギャップを変更することができる電子豊富なリンカーユニットであり、かつ、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布し、かつ、
【化18】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
4は、10mg/mLを超えての水中での可溶性を付与することができる非イオン性側鎖であり、かつ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、各x’は独立して0~20の整数であり、各y’は独立して0~50の整数である(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3、及びC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群からそれぞれ独立して選択され、
それぞれの任意追加のリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール基であり、かつ、別の基質、受容体染料、分子又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換され、
G
1及びG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、任意追加的に置換されたアリール、任意追加的に置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、任意追加的に置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、任意追加的に置換されたフルオレン、基質又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール又はヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、及びdは、構造内のそれぞれのユニットのモル%を定義し、これらのユニットはそれぞれ、均一に又は不規則に繰り返されることができ、aは10~100%のモル%であり、cは0~90%のモル%であり、
各dは0~25%のモル%であり、
各bは、独立して0又は1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、ことと、を含み、
結合剤は、検体又は標的関連生体分子と相互作用することができる、方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、ポリマーを励起することができる光源を試料に適用することと、光が共役ポリマー複合体から放出されているかどうかを検出することと、を更に含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、結合剤は、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体フラグメント、糖、脂質、核酸又はアプタマーである。いくつかの実施形態では、結合剤は抗体である。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、フローサイトメトリー用に構成されている。いくつかの実施形態では、結合剤は基質に結合される。いくつかの実施形態では、検体は、細胞表面上で発現されたタンパク質である。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、イムノアッセイとして構成されている。いくつかの実施形態では、方法は、追加の検体を同時に検出するための追加の結合剤を提供することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】フルオレン(FF)、ジヒドロフェナントレン(DD)及びフルオレン-DHP(DF)ポリマーの蛍光発光スペクトルの比較を示す。
【0026】
【
図2】FFポリマーとDDポリマーの両方の吸収スペクトルを示す。グラフは390及び410nmにおいてDDポリマー(黒色の曲線)の吸収を示しているが、FF(灰色の曲線)ポリマーはおよそ401nmで最大を示している。試料は、異なる濃度下で測定された。
【0027】
【
図3】新しいポリマーで標識された抗ヒトCD4及びPacific Blueで標識されたCD4により染色された溶解全血のフローサイトメトリー解析を示す。ポリマー染料の陽性シグナル強度は、Pacific Blueよりもほぼ5倍大きかった。
【0028】
【
図4】本発明のポリマーが、抗体などに共役されたとき、吸収、蛍光、明るさ、分子量、多分散性、染料対タンパク質比の一定の物理的及び化学的特性を有することを示す。これらのパラメーターの好ましい範囲が、この表に示されている。
【0029】
【
図5】タンデムポリマーの励起及び発光スペクトルを示す。励起はポリマーの最大(405nm)で行われ、発光は骨格鎖に取り付けられた様々な受容体染料から観測された。染料1-FITC、染料2-Cy3B、染料3-Cy55。
【発明を実施するための形態】
【0030】
I.概要
本発明は、結合剤に共役された蛍光ポリマーを含む複合体を使用して試料中の検体を検出するための新規な水溶性蛍光ポリマー及び方法を提供する。本発明の水溶性共役ポリマーは、他の染料と比較して有意に増加した明るさを実証する。
II.定義
【0031】
本明細書で使用される略語は、化学生物学分野の範囲内でのそれらの従来の意味を有する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「アンモニウム」という用語は、式NHR3
+を有するカチオンを指し、各R基は、独立して、水素又は置換若しくは非置換のアルキル、アリール、アラルキル、若しくはアルコキシ基である。好ましくは、R基のそれぞれは水素である。
【0033】
本明細書で使用するとき、「オリゴエーテル」は、エーテル官能性を有する構造反復ユニットを含有するオリゴマーを意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「オリゴマー」は、同じ又は異なる式の1つ以上の識別可能な構造反復ユニットを含有する分子を意味すると理解される。
【0034】
「スルホネート官能基」又は「スルホネート」という用語は、本明細書で使用するとき、遊離スルホネートアニオン(-S(=O)2O-)とその塩類の両方を指す。したがって、スルホネートという用語は、ナトリウム、リチウム、カリウム及びアンモニウムスルホネートなどのスルホネート塩類を包含する。
【0035】
本明細書で使用するときの「スルホネート」という用語は、式-SO2NR-の基を指し、Rは水素、アルキル又はアリールである。
【0036】
本明細書で使用するときの「アルキル」という用語は、指定された炭素原子数を有する直線状又は分岐状の飽和脂肪族ラジカルを指す。例えば、C1~C6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。他のアルキル基としては、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキルは、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、2~3、2~4、2~5、2~6、3~4、3~5、3~6、4~5、4~6及び5~6の任意の数の炭素を含むことができる。アルキル基は、典型的には一価であるが、アルキル基が2つの部分を共に連結する場合など、二価であってもよい。
【0037】
本明細書で使用するときの「シクロアルキル」という用語は、3~12個の環原子を含有する飽和若しくは部分飽和の一環式、縮合二環式若しくは架橋多環式の環集合体、又は例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチル、及びシクロペンチルを含む、原子の数が指定された一環式の環を指す。二環式及び多環式の環としては、例えば、ノルボルナン、デカヒドロナフタレン及びアダマンタンが挙げられる。例えば、C3~8シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル
、シクロペンチル、シクロペンチル、及びノルボルナンが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用するときの「ハロアルキル」という用語は、一部又は全ての水素原子がハロゲン原子に置換されている、上に定義したアルキルを指す。ハロゲン(ハロ)は、好ましくは塩化又はフッ化を表すが、臭化又はヨウ化であってもよい。例えば、ハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、フルオロメチル(flouromethyl)、1,2,3,4,5-ペンタフルオロ-フェニルなどが挙げられる。「ペルフルオロ」という用語は、フッ素で置換された少なくとも2つの利用可能な水素を有する化合物又はラジカルを定義する。例えば、ペルフルオロフェニルは、1,2,3,4,5-ペルフルオロフェニルを指し、ペルフルオロメタンは、1,1,1-トリフルオロメチルを指し、ペルフルオロメトキシは、1,1,1-トリフルオロメトキシを指す。
【0039】
本明細書で使用するとき、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0040】
本明細書で使用するときの「アルコキシ」という用語は、アルキル基を取り付け点に接続する酸素原子を有する、上に定義したアルキル基を指す。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ-プロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、本明細書内に記載の様々な置換基で更に置換されることができる。例えば、アルコキシ基は、ハロゲンで置換されて「ハロ-アルコキシ」基を形成することができる。
【0041】
本明細書で使用するときの「アルケン」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖又は分岐状のいずれかの炭化水素を指す。アルケン基の例としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、又は1,3,5-ヘキサトリエニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケン基は、典型的には一価であるが、アルケン基が2つの部分を共に連結する場合など、二価であってもよい。
【0042】
本明細書で使用するときの「アルキン」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有する、直鎖又は分岐状のいずれかの炭化水素を指す。アルキニル基の例としては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、sec-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル、又は1,3,5-ヘキサトリイニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、典型的には一価であるが、アルキニル基が2つの部分を共に連結する場合など、二価であってもよい。
【0043】
本明細書で使用するときの「アリール」という用語は、6~16個の環炭素原子を含有する、一環式若しくは縮合二環式、三環式又はそれ以上の芳香環集合体を指す。例えば、アリールは、フェニル、ベンジル又はナフチル、好ましくはフェニルであってよい。「アリーレン」は、アリール基から誘導された二価のラジカルを意味する。アリール基は、アルキル、アルコキシ、アリール、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、アミノ-アルキル、トリフルオロメチル、アルキレンジオキシ及びオキシ-C2-C3-アルキレンから選択される1、2又は3個のラジカルによって一、二又は三置換されることができ、こ
れらの全ては、任意追加的に、例えば、上に定義したもの、又は1-若しくは2-ナフチル、又は1-若しくは2-フェナントレニルとして、更に置換される。アルキレンジオキシは、フェニルの2つの隣接する炭素原子に取り付けられた二価の置換体、例えば、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシである。オキシ-C2-C3-アルキレンもまた、フェニルの2つの隣接する炭素原子に取り付けられた二価の置換体、例えば、オキシエチレン又はオキシプロピレンである。オキシ-C2-C3-アルキレン-フェニルの例は、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イルである。
【0044】
アリールとして好ましいのは、ナフチル、フェニル又はアルコキシ、フェニル、ハロゲン、アルキル若しくはトリフルオロメチルによって一置換若しくは二置換されたフェニル、とりわけ、フェニル又はアルコキシ、ハロゲン若しくはトリフルオロメチルによって一置換若しくは二置換されたフェニル、及び特にフェニルである。
【0045】
本明細書で使用するときの「アリールオキシ」という用語は、O-アリール基を指し、アリールは上に定義したとおりである。アリールオキシ基は、置換されなくても、1つ又は2つの好適な置換基で置換されてもよい。「フェノキシ」という用語は、アリール部分がフェニル環であるアリールオキシ基を指す。本明細書で使用するときの「ヘテロアリールオキシ」という用語は、-O-ヘテロアリール基を意味し、ヘテロアリールは以下に定義するとおりである。「(ヘテロ)アリールオキシ」という用語は、部分がアリールオキシ基又はヘテロアリールオキシ基のいずれかであることを示すために使用される。
【0046】
本明細書で使用するときの「ポリエチレングリコール」又は「PEG」という用語は、エチレングリコールモノマーユニットをベースにした生体適合性の水溶性化直鎖ポリマーの群を指す。
【0047】
本明細書で使用するときの「ヘテロアリール」という用語は、5~16個の環原子を含有する一環式又は縮合二環式又は三環式の芳香環集合体を指し、環原子のうちの1~4個はそれぞれへテロ原子N、O又はSである。例えば、ヘテロアリールとしては、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、又は例えばアルキル、ニトロ若しくはハロゲンによって置換された、特に一置換若しくは二置換された、任意の他のラジカルが挙げられる。ピリジルは、2-、3-又は4-ピリジル、有利には2-又は3-ピリジルを表す。チエニルは、2-又は3-チエニルを表す。キノリニルは、好ましくは2-、3-又は4-キノリニルを表す。イソキノリニルは、好ましくは1-、3-又は4-イソキノリニルを表す。ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、好ましくは3-ベンゾピラニル又は3-ベンゾチオピラニルをそれぞれ表す。チアゾリルは、好ましくは2-又は4-チアゾリルを表し、最も好ましいのは4-チアゾリルである。トリアゾリルは、好ましくは1-、2-又は5-(1,2,4-トリアゾリル)である。テトラゾリルは、好ましくは5-テトラゾリルである。
【0048】
好ましくは、ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、キノリニル、ピロリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、インダゾリル、又は置換された、特に一置換若しくは二置換された、任意のラジカルである。
【0049】
同様に、アリール基及びヘテロアリール基の置換基は様々であり、0~芳香環系上の開いている原子価の合計数の範囲の数で、-ハロゲン、-OR’、-OC(O)R’、-NR’R”、-SR’、-R’、-CN、-NO2、-CO2R’、-CONR’R”、-
C(O)R’、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR”C(O)2R’、、-NR’-C(O)NR”R”’、-NH-C(NH2)=NH、-NR’C(NH2)=NH、-NH-C(NH2)=NR’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-N3、-CH(Ph)2、ペルフルオロ(C1~C4)アルコキシ、及びペルフルオロ(C1~C4)アルキルから選択され、R’、R”及びR”’は、水素、(C1~C8)アルキル及びヘテロアルキル、非置換のアリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-(C1~C4)アルキル、並びに(非置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから独立して選択される。
【0050】
アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上にある置換基のうちの2つは、式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で任意追加的に置き換えられてよく、T及びUは、独立して、-NH-、-O-、-CH2-又は単結合であり、qは0~2の整数である。代替的に、アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上にある置換基のうちの2つは、式-A-(CH2)r-B-の置換基で任意追加的に置き換えられてよく、A及びBは、独立して、-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-又は単結合であり、rは1~3の整数である。そのように形成された新しい環の単結合のうちの1つは、任意追加的に二重結合で置き換えられてよい。代替的に、アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上にある置換基のうちの2つは、式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で任意追加的に置き換えられてよく、s及びtは、独立して0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、又は-S(O)2NR’-である。-NR’-及び-S(O)2NR’-中の置換基R’は、水素又は非置換の(C1~C6)アルキルから選択される。
【0051】
本明細書で使用するときの「(ヘテロ)アリールアミノ」という用語は、アリール基(例えば、-NH-アリール)で置換されたアミンラジカルを指す。アリールアミノはまた、アミン基(例えば、-アリール-NH2)で置換されたアリールラジカルであってもよい。アリールアミノは、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0052】
本明細書で使用するときの「アミン」という用語は、1つ以上のアミノ基を有する、本明細書内で定義されるようなアルキル基を指す。アミノ基は、一級、二級、又は三級であり得る。アルキルアミンは、ヒドロキシ基で更に置換され得る。本発明において有用なアミンとしては、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。アミノ基は、化合物の残り部分と共にアルキルアミンを取り付け点に連結し得る、アルキル基のオメガ位にあり得る、又はアルキル基の少なくとも2つの炭素原子を共に連結し得る。本発明において他のアルキルアミンが有用であることは、当業者なら理解するであろう。
【0053】
本明細書で使用するときの「カルバメート」という用語は、構造-NR”CO2R’を有する官能基を指し、R’及びR”は、水素、(C1~C8)アルキル及びヘテロアルキル、非置換のアリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-(C1~C4)アルキル、並びに(非置換アリール)オキシ-(C1~C4)アルキルから独立して選択される。カルバメートの例としては、t-Boc、Fmoc、ベンジルオキシ-カルボニル、alloc、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-(2-sulfb)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、Tbfmoc、Climoc、Bimoc、DBD-Tmoc、Bsmoc、Troc、Teoc、2-フェニルエチルカルバメート、Adpoc、2-クロロエチルカルバメート、l,l-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、DB-t-BOC、TCBOC、Bpoc、t-Bumeoc、Pyoc、Bnpeoc、_V-(2-ピバロイルアミノ)-1,1-ジメチルエチルカルバメート、NpSSPeocが挙げられる。
【0054】
本明細書で使用するときの「カルボキシレート」という用語は、カルボン酸の共役塩基を指し、これは一般に、式RCOOによって表されることができる。例えば、「マグネシウムカルボキシレート」は、カルボン酸のマグネシウム塩を指す。
【0055】
本明細書で使用するときの「活性化エステル」という用語は、アミノ酸誘導体の遊離アミノ基とカルボキシル基の容易な縮合を促進するために使用されるカルボキシル活性化基を指す。これらのカルボキシル活性化基の説明は、ペプチド化学の一般の教科書、例えば、K.D.Kopple,「Peptides and Amino Acids」,W.A.Benjamin,Inc.,New York,1966,pp.50~51及びE.Schroder and K.Lubke,「The Peptides」;Vol.1,Academic Press,New York,1965,pp.77~128に見出される。
【0056】
「ヒドラジン」及び「ヒドラジド」という用語は、単結合された窒素を含有する化合物を指し、これらの窒素の一方は一級アミン官能基である。
【0057】
本明細書で使用するときの「アルデヒド」という用語は、-CHO基を有する化学化合物を指す。
【0058】
本明細書で使用するときの「チオール」という用語は、イオウ-水素結合からなる官能基を含有する化合物を指す。チオール官能基の一般化学構造はR-SHであり、式中、Rは、アルキル、アルケン、アリール、又は他の炭素含有原子団を表す。
【0059】
本明細書で使用するときの「シリル」という用語は、Si(Rz)3を指し、式中、各Rzは、独立して、アルキルアリール又は他の炭素含有原子団である。
【0060】
本明細書で使用するときの「ジアゾニウム塩」という用語は、構造R-N2
+X-を有する有機化合物の基を指し、式中、Rは任意の有機残基(例えば、アルキル又はアリール)であり得、Xは無機又は有機アニオン(例えば、ハロゲン)である。
【0061】
「トリフレート」という用語はまた、トリフルオロメタンスルホネートとも称され、式CF3SO3を有する基である。
【0062】
本明細書で使用するときの「ボロン酸」という用語は、構造-B(OH)2を指す。消光剤の合成における様々な段階においてボロン酸がボロネートエステルとして存在し得ることは、当業者によって理解される。ボロン酸は、このようなエステルを含むものであることが意図されている。本明細書で使用するときの「ボロン酸エステル」又は「ボロネートエステル」という用語は、-B(Z1)(Z2)部分を含有する化学化合物を指し、式中、Z1及びZ2は共に、それぞれの事例においてホウ素に取り付けられた原子が酸素原子である部分を形成する。いくつかの実施形態では、ボロン酸エステル部分は5員環である。いくつかの他の実施形態では、ボロン酸エステル部分は6員環である。いくつかの他の実施形態では、ボロン酸エステル部分は、5員環と6員環の混合である。
III.組成物
ポリマー
【0063】
本発明の化合物は、式I~XIIIの構造を有する水溶性蛍光ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリマーは、式Iに示されているように、ジヒドロフェナントレン(DHP)、フルオレン、並びにDHP及びフルオレンモノマーの組み合わせを利用する
【化19】
。
【0064】
本発明のポリマー複合体は、ポリマーバンドギャップを変更することができるユニットを含有し得、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布している。これらのユニットは、式I中にMとして表されている。本発明のポリマー複合体はまた、式I中にLとして表されているリンカーも含有し得る。それぞれの任意追加のリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール基であり、かつ、基質又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されている。
【0065】
本発明のポリマー複合体はまた、式I中にそれぞれG1及びG2として表されている末端保護ユニットも含有し、これらのユニットは、水素、ハロゲン、アルキン、任意追加的に置換されたアリール、任意追加的に置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、任意追加的に置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、任意追加的に置換されたフルオレン、基質又は結合剤への共役のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール又はヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0066】
いくつかの事例では、ポリマーは式IIの構造を有する
【化20】
。
【0067】
いくつかの事例では、ポリマーは式IVの構造を有する
【化21】
。
【0068】
いくつかの事例では、ポリマーは式Vの構造を有する
【化22】
。
【0069】
いくつかの事例では、ポリマーはコポリマーであり、式VIの構造を有する
【化23】
。
【0070】
いくつかの事例では、ポリマーはコポリマーであり、式VIIの構造を有する
【化24】
。
【0071】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリマー骨格鎖を励起し、エネルギー伝達による骨格鎖に取り付けられた受容体染料の発光を監視することを可能にする、骨格鎖に取り付けられた受容体染料を有する。本発明において有用な受容体染料としては、FITC、CY3B、Cy55、Alexa 488、Texas red、Cy5、Cy7、Alexa 750、及び800CWが挙げられる。例えば、本発明の受容体染料を有するポリマーとしては、
【化25】
が挙げられる。
モノマー
【0072】
本発明のモノマーは、ジヒドロフェナントレン(DHP)モノマー及びフルオレン系モノマーを含む。例えば、本発明のモノマーとしては、
【化26】
が挙げられる。
これらのモノマーの両末端は、独立して又は両方とも、Pd又はニッケル塩触媒重合反応を起こすことができるハロゲン原子、ボロン酸エステル若しくはボロン酸、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、スルホネート、又はリン酸塩である。R
1は独立して、水/緩衝液中での可溶性を付与することができる側鎖であり、各R
1は、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化27】
からなる群から独立して選択され、各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化28】
からなる群から独立して選択され、各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEGからなる群から独立して選択され、各Zは、C、O、及びNからなる群から独立して選択され、各Qは、結合、NH、NR
4及びCH
2からなる群から独立して選択され、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明のモノマーはまた、架橋モノマーも含む。例えば、本発明の架橋モノマーとしては、
【化29】
が挙げられる。
合成
【0074】
本発明のDHPモノマーは、以下に示すように作製することができる。
【化30】
【0075】
例えば、2,7-ジブロモ-トランス-9,10-ジヒドロフェナントレン-9,10-ジオール(DHP-OH)は、以下のように調製することができる。三角フラスコ(2000L)内で、約26gのNaBH4を撹拌中の水-エタノール混合物(120mL+780mL)に添加する。この溶液に、約24gの2,7-ジブロモフェナントレン,9,10-ジオンを少しずつだが短時間で(5分で)添加する。反応混合物は1日撹拌した。溶液の色は、反応の終わりまでに橙赤色から淡黄色、白色へと変化する。反応を停止させ、反応混合物を希塩酸で中和する。中和後、白色の沈殿物を濾過し、過剰な水で洗浄する。結果として得られた白色の沈殿物は、非常に冷たい(<-15℃)エタノール(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄された。
【0076】
DHP-OSO3Hは、以下のように調製することができる。2口丸底フラスコ内で、DHP-OH(3.6g)及び18C6(500)を120mLのTHF中に溶解させた。溶液を窒素でパージし(20分)、窒素パージを続けながらNaH(2g)を添加した。溶液の色は、10~15分で無色から薄い桃色、濃い桃色、茶色及び濃い緑色へと変化する。別のRB内で、12gの1,3プロパンスルトンを20mLのTHF中に溶解させ、窒素パージした。このスルトン溶液を滴下ロートによって20~30分間にわたってD
HP-OH溶液に添加した。反応物は室温で4~5時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、沈殿物を水中に溶解させた。アセトンを添加して、DPSの白色の沈殿物をジナトリウム塩の形態で得た。沈殿物を濾過し、水(最小限の量)中に再溶解させ、HClで中和し、再びアセトン内で沈殿させた。沈殿の繰り返し(2~3回)の後に続く遠心分離により、白色の固体としてDPSが得られる。
【0077】
DHP-OSO2Clは、以下のように調製することができる。5gのDHP-OSO3Hを丸底フラスコ内に入れ、25mLのDMFと混合した。これに約10mLのSOCl2を滴下添加し、混合物を一晩撹拌した。翌朝、反応混合物を200mLの水中に注ぎ、沈殿物を濾過し、乾燥させた。
【0078】
DHP-スルホンアミドPEGは、以下のように調製することができる。DHP-OSO2Clをジクロロメタン/TEA混合中の2.2当量のPEGアミンと混合した。3時間の超音波処理反応後、ジクロロメタン中で粗生成物を抽出し、続いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH-CHCl3)を行った。
【0079】
DHP-スルホンアミドPEGのジボロン酸エステルは、以下のように調製することができる。ジブロモ化合物を窒素下でDMSOと混合し、これに3当量のビスピナコラトジボロンを添加した。試薬を12当量の酢酸カリウム及び4当量のPd(dppf)Cl2触媒と80度で5時間反応させた。反応混合物を冷まし、CHCl3/水で抽出した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH-CHCl3)によって有機層を濃縮し、精製した。
【0080】
同様に、本発明のフルオレンモノマーは、以下に記載するように作製することができる。例えば、FL-OSO3Hは、以下のように調製することができる。2口丸底フラスコ内で、5gのフルオレンを70のDMSOと混合した。溶液を窒素でパージし(20分)、窒素パージを続けながら50%NaOH(12当量)を添加した。溶液の色は、無色から濃い茶色に変化する。プロパンスルトン(3当量)を計量し、DMSO中に溶解させた。これをフルオレン反応混合物に5分間にわたって滴下添加した。反応物は室温で4~5時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、沈殿物を水中に溶解させた。アセトンを添加して、DPSの白色の沈殿物をジナトリウム塩の形態で得た。沈殿物を濾過し、水(最小限の量)中に再溶解させ、HClで中和し、再びアセトン内で沈殿させた。沈殿の繰り返し(2~3回)の後に続く遠心分離により、白色の固体としてFL-OSO3Hが得られる。
【0081】
FL-OSO2Clは、以下のように調製することができる。5gのFL-OSO3Hを丸底フラスコ内に入れ、25mLのDMFと混合した。これに約10mLのSOCl2を滴下添加し、混合物を一晩撹拌した。翌朝、反応混合物を200mLの水中に注ぎ、沈殿物を濾過し、乾燥させた。
【0082】
FL-スルホンアミドPEGは、以下のように調製することができる。FL-OSO2Clをジクロロメタン/TEA混合中の2.2当量のPEGアミンと混合した。3時間の超音波処理反応後、ジクロロメタン中で粗生成物を抽出し、続いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH-CHCl3)を行った。
【0083】
FL-スルホンアミドPEGのジボロン酸エステルは、以下のように調製することができる。ジブロモ化合物を窒素下でDMSOと混合し、これに3当量のビスピナコラトジボロンを添加した。試薬を12当量の酢酸カリウム及び4当量のPd(dppf)Cl2触媒と80度で5時間反応させた。反応混合物を冷まし、CHCl3/水で抽出した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、MeOH-CHCl3)によって有機層を濃縮し、精製した。
重合
【0084】
上述の実施形態に記載の化合物は、当該技術分野において既知の手順を使用して作製されてよい。いくつかの実施形態では、蛍光ポリマーは、電子豊富なリンカーユニットと結合されたジヒドロフェナントレン(DHP)モノマーから作製することができる。いくつかの実施形態では、明るいポリマー染料は、電子豊富なリンカーユニットと結合されたフルオレンモノマーから作製することができる。いくつかの実施形態では、明るいポリマー染料は、電子豊富なリンカーユニットと結合されたDHP及びフルオレンモノマーの組み合わせから作製することができる。
【0085】
一般に、上述の重合モノマーユニットは、本明細書に記載の方法と組み合わせて、当業者にとって既知の重合技術を使用して又は当該技術分野において既知の方法を使用して達成することができる。例えば、ジハライドモノマーからのジボロン酸エステル誘導体の合成は、ビス(ピナコラート)ジボロンとの鈴木カップリングによって達成することができる。
【化31】
同様に、重合もまた、鈴木カップリングによって達成することができる。
【化32】
J
1及びJ
2は、独立して、H、Br、B(OH)
2、又はボロン酸エステルである。
【0086】
例えば、重合は以下のように進行することができる。丸底フラスコ内で、ブロモモノマーとボロン酸モノマーの両方を(DMF-水)混合中に入れ、窒素で10分間パージした。窒素下において、約20当量のCsF及び10%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法及びSECクロマトグラフィーを使用して重合を監視した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマ
ーを除去した。
末端保護ユニット
【0087】
リンカー及び末端保護ユニットは、前述したように類似のメカニズムによって本発明のポリマー骨格鎖に共役させることができる。例えば、末端保護ユニットのブロモエステル及びボロン酸エステルは、ポリマーの一方又は両方の端部を付加するために使用することができる。末端保護ユニットのブロモエステル及びボロン酸エステルの両方を利用することは、ポリマーの両端部を付加することになる。一方の形態のみ、すなわち、末端保護ユニットのブロモエステル又はボロン酸エステルのいずれか、を利用することは、その対応の補体で終端された端部のみを付加することになり、これは、対称性を有する重合の場合、ポリマーの一方の端部のみを統計的に修正するために使用することができる。非対称のポリマーの場合、このアプローチは、ポリマーが単鎖末端でのみ修正されることを化学的に確実にするために使用される。末端保護ユニットはまた、最初にブロモ末端保護ユニットを、Y端部を有するポリマーと反応させ、続いてポリマーをボロン酸エステル末端保護ユニットと反応させることによって、非対称的に付加されることもできる。
【0088】
例えば、本発明の末端保護剤は、以下に示すように作製することができる。
【化33】
結合剤
【0089】
本発明の「結合剤」は、標的検体に特異的に結合できる任意の分子又は分子の複合体であり得る。本発明の結合剤としては、例えば、タンパク質、小有機分子、炭水化物(多糖類を含む)、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、親和性リガンド、抗体、抗体フラグメント、アプタマーなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、結合剤は、抗体又はそのフラグメントである。本発明のコンテキストにおける特異的結合は、異種集団の存在下で標的検体の存在の決定要因である結合反応を指す。このように、指定されたアッセイ条件下において、指定の結合剤は、特定のタンパク質又は特定のタンパク質のイソ型に優先的に結合し、試料中に存在する他のタンパク質又は他のイソ型に有意な量では結合しない。
【0090】
結合剤が抗体である場合、それらはモノクローナル又はポリクローナル抗体であってもよい。本明細書で使用するとき、抗体という用語は、免疫グロブリン及び免疫グロブリン
(Ig)分子の免疫学的に活性な部分を指す。このような抗体としては、限定するものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異的ポリクローナル抗体、抗体模倣、キメラ、単鎖、Fab、Fab’及びF(ab’)2フラグメント、Fv、並びにFab発現ライブラリが挙げられる。
複合体
【0091】
概して、本発明の蛍光ポリマーは、本明細書に記載の方法と組み合わせて、当業者にとって既知の技術を使用して又は当該技術分野において既知の方法を使用して結合剤に共役させることができる。
【化34】
【0092】
例えば、ポリマーNHSエステルの調製は、以下のように進行することができる。5mgのポリマーを清潔なバイアルに入れ、1mLの乾燥CH3CN中に溶解させる。これに15mgのTSTUを添加し、更に2分間撹拌する。これに100μLのDIPEAを添加し、パラフィルムで封止されたキャップを付けて一晩撹拌し続ける。その後、反応混合物中の有機溶媒を蒸発させ、粗NHSを約750μLの1倍BBS緩衝液(pH8.8)中に短時間のボルテックスによって溶解させ、それをZebaカラム40K MWCOに移す。試料を2200RPMで2分間スピンダウンし、このポリマーNHSをすぐに使用する。
【0093】
ポリマーNHSのCD4との共役は、以下のように進行することができる。スピンダウンしたポリマーNHSを1倍BBS(~800μL)中に入れ、0.6mgのCD4に添加し、100μLの0.5Mホウ酸塩緩衝液(pH9.0)と混合した。素早く30秒間ボルテックスし、コールターミキサー中で3~4時間混合させる。
【0094】
Histrap HPカラムによる共役体の精製は、以下のように進行することができる。アプローチ1:粗反応後、Histrap HPカラムを使用して共役体を精製する。1倍PBS緩衝液を使用して試料をロードし、非結合分画を収集する。これは、20CVの緩衝液を使用して行うことができる。その後、緩衝液を変更して共役体と遊離抗体の両方を有する非結合分画を洗浄する。これは、0.25Mイミダゾールを含む10CV流れる1倍PBSを使用して行うことができる。
【0095】
アプローチ2:Hitrap SP Sepharose FFカラム。カラムを平衡化し、20mMシトレート緩衝液pH3.5を使用して試料をロードし、非結合分画を収集する。これは、20CVの緩衝液を使用して行うことができる。その後、緩衝液を変更して共役体と遊離抗体の両方を有する非結合分画を溶出させる。これは、20CV流れる20mMトリス緩衝液pH8.5を使用して行うことができる。
アプローチ3:300K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗共役体をロードする。共役体は、濾液が405nmでの吸収を示さなくなるまで1倍PBSを使用して洗浄する。その後、化合物を濃縮する。
【0096】
SECカラムによる共役体の精製は、以下のように進行することができる。1倍PBS
を使用して、遊離抗体を含有する粗共役体をサイズ排除カラムにロードする。吸収スペクトルをチェックした後にチューブをプールし、30KDa MWCO遠心濃縮器を有するAmicon Ultra-15で濃縮する。
IV.検体を検出する方法
概要
【0097】
本発明は、試料中の検体を検出するための方法であって、検体の含有が疑われる試料を提供することと、水溶性共役ポリマーに連結された結合剤を含む、共役ポリマー複合体を提供することと、を含む、方法を提供する。結合剤は、検体と相互作用することができる。ポリマーを励起することができる光源が試料に適用され、共役ポリマー複合体から放出された光が検出される。典型的なアッセイでは、本発明の蛍光ポリマーは、約395nm~約415nmの波長を有する光で励起可能である。放出された光は、典型的には約415nm~約475nmである。代替的に、励起光は、約340nm~約370nmの波長を有することができ、放出された光は、約390nm~約420nmである。
試料
【0098】
本発明の方法における試料は、例えば、血液、骨髄、脾臓細胞、リンパ節細胞、骨髄穿刺液(又は骨髄から得た任意の細胞)、尿(洗浄)、血清、唾液、脳脊髄液、尿、羊水、間質液、糞便、粘液、又は組織(例えば、腫瘍試料、分離した組織、分離した充実性腫瘍)であり得る。特定の実施形態では、試料は血液試料である。いくつかの実施形態では、血液試料は全血である。標準的な臨床手順を使用して、被験者から全血を得ることができる。いくつかの実施形態では、試料は、全血の1つ以上の細胞のサブセット(例えば赤血球、白血球、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞又はNK細胞)、食細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、塩基好性白血球、好中球、好酸球、血小板、又は1つ以上の検出可能なマーカーを有する任意の細胞)である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞培養由来であり得る。
【0099】
被験体は、ヒト(例えば、疾病に罹患した患者)、商業的に有意な哺乳動物、例えば、サル、ウシ、又はウマであり得る。また、試料は、例えば、イヌ又はネコを含む家庭で飼育されるペットから得ることもできる。いくつかの実施形態では、被験体は、疾患の動物モデルとして使用される又は薬物スクリーニング用の実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、又はモルモットである。
検体
【0100】
本明細書で使用するときの「検体」は、存在量/濃度がいくつかの解析手順によって決定される物質、例えば、分子を指す。例えば、本発明では、検体は、タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物又は小分子であり得る。
【0101】
標的検体は、例えば、核酸(DNA、RNA、mRNA、tRNA、又はrRNA)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、イオン、モノサッカライド、オリゴサッカライド、ポリサッカライド、リポタンパク質、糖タンパク質、糖脂質、又はそれらのフラグメントであってよい。いくつかの実施形態では、標的検体はタンパク質であり、例えば、構造的なマイクロフィラメント、微小管、及び中間径フィラメントタンパク質、オルガネラに特異的なマーカー、プロテアソーム、膜貫通型タンパク質、表面受容体、核膜孔タンパク質、タンパク質/ペプチドトランスロカーゼ、タンパク質フォールディングシャペロン、シグナル伝達スカフォールド、並びにイオンチャネルなどであり得る。タンパク質は、転写因子、DNA及び/又はRNA結合及び修飾タンパク質、核内輸送及び核外搬出受容体、並びにアポトーシス又は生存の制御因子などが挙げられるがこれらに限定されない、活性化可能なタンパク質、又は疾病若しくは異常細胞において差次的に発現又は活性化されるタンパク質であり得る。
アッセイ
【0102】
結合した分子を定量化するための結合剤及び蛍光標識を利用したアッセイシステムは、周知である。このようなシステムの例としては、フローサイトメーター、スキャニングサイトメーター、イメージングサイトメーター、蛍光顕微鏡、及び共焦点蛍光顕微鏡が挙げられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、蛍光を検出するためにフローサイトメトリーが使用される。この用途に好適な多くのデバイスが使用可能であり、当業者に既存である。例としては、BCI Navios、Gallios、Aquios、及びCytoFLEXフローサイトメーターが挙げられる。
【0104】
他の実施形態では、アッセイはイムノアッセイである。本発明において有用なイムノアッセイの例としては、フルオロルミネセンスアッセイ(FLA)などが挙げられるが、これらに限定されない。アッセイはまた、タンパク質アレイ上で行うこともできる。
【0105】
結合剤が抗体のとき、抗体アッセイ又は多抗体サンドイッチアッセイもまた使用することができる。サンドイッチアッセイは、様々な結合剤及び報知要素の層を構築して特定の検体の存在をシグナル伝達する連続した認識イベントの使用を指す。サンドイッチアッセイの実施例は、米国特許第4,486,530号に、及びそこに記載されている参考文献に開示されている。
V.実施例
実施例1:DHPポリマー複合体の調製
【化35】
【0106】
方法1:丸底フラスコ内で、ジブロモDHPモノマーとジボロン酸DHPモノマーの両方(1:1)を(DMF-水)混合中に入れ、窒素で10分間パージした。窒素下において、約20当量のCsF及び10%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法及びSECクロマトグラフィーを使用して重合を監視した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0107】
方法2:代替的に、重合は、DHP分子のブロモ-ボロン酸エステルを自己重合させることによってなされ得る。丸底フラスコ内で、DHPブロモボロン酸エステルを(DMF-水)混合中に入れ、窒素で10分間パージした。窒素下において、約10当量のCsF及び5%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法及びSE
Cクロマトグラフィーを使用して重合を監視した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0108】
方法3:丸底フラスコ内で、ジブロモジヒドロフェナントレンモノマーとジボロン酸ジヒドロフェナントレン(dihydrophanenthrene)モノマーの両方(1:1)を、10当量
のK2CO3及び3%Pd(PPh3)4を含有するTHF-水(4:1)混合中に入れ、溶解させた。反応混合物をSchlenkラインに投入し、3回の凍結脱気サイクルで脱気し、次いで、18時間にわたって激しく撹拌しながら窒素下で80℃に加熱した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を過剰な窒素圧下でカニューレを介して添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0109】
方法4:代替的に、重合は、ジヒドロフェナントレン分子のブロモ-ボロン酸エステルを自己重合させることによってなされ得る。丸底フラスコ内で、ジヒドロフェナントレンブロモボロン酸エステルを、10当量のK
2CO
3及び3%Pd(PPh
3)
4を含有するTHF-水(4:1)混合中に入れ、溶解させた。反応混合物をSchlenkラインに投入し、3回の凍結脱気サイクルで脱気し、次いで、18時間にわたって激しく撹拌しながら窒素下で80℃に加熱した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を過剰な窒素圧下でカニューレを介して添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
実施例2:フルオレン-DHPコポリマー複合体の調製
【化36】
【0110】
方法1:丸底フラスコ内で、ジブロモDHPモノマーとジボロン酸フルオレンモノマーの両方(1:1)を(DMF-水)混合中に入れ、窒素で10分間パージした。窒素下において、約20当量のCsF及び10%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法及びSECクロマトグラフィーを使用して重合を監視した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマー
を通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0111】
方法2:丸底フラスコ内で、ジブロモフルオレンモノマーとジボロン酸DHPモノマーの両方(1:1)を(DMF-水)混合中に入れ、窒素で10分間パージした。窒素下において、約20当量のCsF及び10%のPd(OAc)2を混合し、80℃で加熱した。UV-Vis分光法及びSECクロマトグラフィーを使用して重合を監視した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0112】
方法3:丸底フラスコ内で、ジブロモジヒドロフェナントレンモノマーとジボロン酸フルオレンモノマーの両方(1:1)を、10当量のK2CO3及び3%Pd(PPh3)4を含有するTHF-水(4:1)混合中に入れ、溶解させた。反応混合物をSchlenkラインに投入し、3回の凍結脱気サイクルで脱気し、次いで、18時間にわたって激しく撹拌しながら窒素下で80℃に加熱した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を過剰な窒素圧下でカニューレを介して添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
【0113】
方法4:丸底フラスコ内で、ジブロモフルオレンモノマー及びジボロン酸ジヒドロフェナントレンモノマー(1:1)を、10当量のK2CO3及び3%Pd(PPh3)4を含有するTHF-水(4:1)混合中に入れ、溶解させた。反応混合物をSchlenkラインに投入し、3回の凍結脱気サイクルで脱気し、次いで、18時間にわたって激しく撹拌しながら窒素下で80℃に加熱した。その後、反応混合物に、適当な官能基を含有する(G1から選択された)末端保護剤を過剰な窒素圧下でカニューレを介して添加し、その3時間後に、(G2から選択された)第2の末端保護剤を添加した。反応後、粗反応混合物を蒸発させ、ゲル濾過カラムに通して、小有機分子及び低MWオリゴマーを除去した。その後、100K MWCO膜を装備したタンジェント流濾過システムに粗ポリマーを通した。濾液の吸収が小さくなるまで、20%エタノールを使用してこれを洗浄した。
実施例3 蛍光発光スペクトルの比較
【0114】
フルオレン(Fl-Fl)、ジヒドロフェナントレン(DHP-DHP)及びフルオレン-DHP(DHP-Fl)ポリマーの蛍光発光スペクトルの比較を行った。DHP含有ポリマーは、426~428nmであるそれらの蛍光最大に顕著な差を示しているが、フルオレン系ポリマーは421nmの最大を示している(
図1)。
実施例4 吸収スペクトルの比較
【0115】
フルオレン(Fl-Fl)ポリマーとジヒドロフェナントレン(DHP-DHP)ポリマーの両方の吸収スペクトルを測定した。グラフは390及び410nmにおいてDHP-DHPポリマー(黒色の曲線)の吸収を示しているが、Fl-Fl(灰色の曲線)ポリマーはおよそ400nmで最大を示している。試料は、異なる濃度下で測定された(
図2)。
実施例5 CD4シグナル対雑音比
【0116】
新しいポリマーで標識された抗ヒトCD4及びPacific Blueで標識された
CD4により染色された溶解全血のフローサイトメトリー解析を行った。ポリマー染料の陽性シグナル強度は、Pacific Blueよりもほぼ5倍大きかった(
図3)。
実施例6
【0117】
本発明のポリマーは、抗体などに共役されたとき、吸収、蛍光、明るさ、分子量、多分散性、染料対タンパク質比の一定の物理的及び化学的特性を有することが分かった。これらのパラメーターの好ましい範囲が、
図4の表に示されている。
【0118】
タンデムポリマーの励起及び発光スペクトルを測定した。励起はポリマーの最大(405nm)で行われ、発光は骨格鎖に取り付けられた様々な受容体染料から観測された(
図5)。
【0119】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示的な目的のみのものであり、その範囲内での様々な改良又は変更は、当業者に対して示唆され、また、本出願の趣旨及び範囲内に、かつ添付された請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書に記載の全ての公開、特許、及び特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式Iの構造を有する水溶性蛍光ポリマーであって、
【化1】
式中、
各Xは、C及びSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、及びSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、
Yが結合のとき、Xは両方の環に直接結合され、
各R
1は、ポリエチレングリコール(PEG)、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化2】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化3】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、C、O、及びNからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、及びCH
2からなる群から独立して選択され、
各Mは、独立して、ポリマーバンドギャップを変更することができる電子豊富なリンカーユニットであり、かつ、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布し、かつ、
【化4】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
4は、10mg/mLを超えての水中での可溶性を付与することができる非イオン性側鎖であり、かつ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、各x’は独立して0~20の整数であり、各y’は独立して0~50の整数である(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3、及びC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群からそれぞれ独立して選択され、
それぞれの必要に応じたリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール基であり、かつ、別の基質、受容体染料、分子又は結合剤への連結のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換され、
G
1及びG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、基質又は結合剤への連結のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール又はヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、及びdは、均一に又は不規則にそれぞれ繰り返され得る前記構造内のそれぞれのユニットのモル%を定義し、aは10~100%のモル%であり、cは0~90%のモル%であり、各dは0~25%のモル%であり、
各bは、独立して0又は1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、水溶性蛍光ポリマー。
(項2)
前記ポリマーが、式IIの構造を有する、上記項1に記載のポリマー
【化5】
。
(項3)
前記ポリマーが、式IIIの構造を有し、
【化6】
式中、
各fは、独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項4)
前記ポリマーが、式IVの構造を有する、上記項1に記載のポリマー
【化7】
。
(項5)
前記ポリマーが、式Vの構造を有する、上記項1に記載のポリマー
【化8】
。
(項6)
前記ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VIの構造を有し、
【化9】
g及びaは共に、10~100%のモル%である、上記項1に記載のポリマー。
(項7)
前記ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VIIの構造を有し、
【化10】
式中、
各g及びaは共に、10~100%のモル%であり、
各fは、独立して0~50の整数であり、各R
5は、H、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、及びC
1~C
12アルコキシからなる群から独立して選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項8)
前記ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式VIIIの構造を有する、上記項1に記載のポリマー
【化11】
。
(項9)
前記ポリマーが、コポリマーであり、かつ、式IXの構造を有する、上記項1に記載のポリマー
【化12】
。
(項10)
Lが、
【化13】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で必要に応じて置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、上記項1に記載のポリマー。
(項11)
G
1及びG
2が、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール、及び官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項12)
G
1及びG
2が、
【化14】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
6は、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルコキシ、又は(OCH
2CH
2)
fOCH
3で必要に応じて置換されたH、OH、SH、NHCOO-t-ブチル、(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nCOOCH
3、(CH
2)
nNH
2、(CH
2)
nNH-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOH、(CH
2)
nNHCO-(CH
2)
n-CO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOO-(CH
2)
n-CH
3、(CH
2)
nNHCOOC(CH
3)
3、(CH
2)
nNHCO(C
3~C
12)シクロアルキル、(CH
2)
nNHCO(CH
2CH
2O)
f、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOOH、(CH
2)
nNHCO(CH
2)
nCOO(CH
2)
nCH
3、(CH
2)
n(OCH
2CH
2)
fOCH
3、N-マレイミド、ハロゲン、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12(ヘテロ)アリール、C
1~C
12(ヘテロ)アリールアミノ、及びベンジルからなる群から独立して選択され、
各fは、独立して0~50の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、上記項1に記載のポリマー。
(項13)
前記ポリマーに連結された結合剤を更に含む、上記項1に記載のポリマー。
(項14)
前記結合剤が抗体である、上記項13に記載のポリマー。
(項15)
試料中の検体を検出するための方法であって、
前記検体の含有が疑われる試料を提供することと、
式Iの構造を有する水溶性ポリマーに連結された結合剤と前記試料を接触させることであって、
【化15】
式中、
各Xは、C及びSiからなる群から独立して選択され、
各Yは、結合、CR
1R
2、及びSiR
1R
2からなる群から独立して選択され、
Yが結合のとき、Xは両方の環に直接結合され、
各R
1は、PEG、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化16】
からなる群から独立して選択され、
各R
2は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、PEG基、アンモニウムアルキル塩、アンモニウムアルキルオキシ塩、アンモニウムオリゴエーテル塩、スルホネートアルキル塩、スルホネートアルコキシ塩、スルホネートオリゴエーテル塩、スルホンアミドオリゴエーテル、及び
【化17】
からなる群から独立して選択され、
各R
3は、H、アルキル、アルケン、アルキン、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(ヘテロ)アリールオキシ、アリール、(ヘテロ)アリールアミノ、及びPEG基からなる群から独立して選択され、
各Zは、C、O、及びNからなる群から独立して選択され、
各Qは、結合、NH、NR
4、及びCH
2からなる群から独立して選択され、
各Mは、独立して、ポリマーバンドギャップを変更することができる電子豊富なリンカーユニットであり、かつ、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布し、かつ、
【化18】
からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、
各R
4は、10mg/mLを超えての水中での可溶性を付与することができる非イオン性側鎖であり、かつ、ハロゲン、ヒドロキシル、C
1~C
12アルキル、C
2~C
12アルケン、C
2~C
12アルキン、C
3~C
12シクロアルキル、C
1~C
12ハロアルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールオキシ、C
2~C
18(ヘテロ)アリールアミノ、各x’は独立して0~20の整数であり、各y’は独立して0~50の整数である(CH
2)
x’(OCH
2-CH
2)
y’OCH
3、及びC
2~C
18(ヘテロ)アリール基からなる群からそれぞれ独立して選択され、
それぞれの必要に応じたリンカーLは、ポリマー主鎖に沿って均一に又は不規則に分布したアリール又はヘテロアリール基であり、かつ、別の基質、受容体染料、分子又は結合剤への連結のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基からなる群から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換され、
G
1及びG
2は、水素、ハロゲン、アルキン、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、ハロゲン置換アリール、シリル、ジアゾニウム塩、トリフレート、アセチルオキシ、アジド、スルホネート、リン酸塩、ボロン酸置換アリール、ボロン酸エステル置換アリール、ボロン酸エステル、ボロン酸、必要に応じて置換されたジヒドロフェナントレン(DHP)、必要に応じて置換されたフルオレン、基質又は結合剤への連結のために、アミン、カルバメート、カルボン酸、カルボキシレート、マレイミド、活性化エステル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、アルキン、アルデヒド、チオール、及びこれらの保護された基から選択される官能基で終端された1つ以上のペンダント鎖で置換されたアリール又はヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
a、c、及びdは、均一に又は不規則にそれぞれ繰り返され得る前記構造内のそれぞれのユニットのモル%を定義し、aは10~100%のモル%であり、cは0~90%のモル%であり、各dは0~25%のモル%であり、
各bは、独立して0又は1であり、
mは、1~約10,000の整数であり、
各nは、独立して1~20の整数である、ことと、を含み、
前記結合剤は、前記検体又は標的関連生体分子と相互作用することができる、方法。
(項16)
前記結合剤が、タンパク質、ペプチド、親和性リガンド、抗体、抗体フラグメント、糖、脂質、核酸又はアプタマーである、上記項15に記載の方法。
(項17)
前記結合剤が抗体である、上記項15に記載の方法。
(項18)
前記方法がフローサイトメトリー用に構成されている、上記項17に記載の方法。
(項19)
前記結合剤が基質に結合されている、上記項17に記載の方法。
(項20)
前記検体が、細胞表面上で発現されたタンパク質である、上記項17に記載の方法。
(項21)
前記方法が、イムノアッセイとして構成されている、上記項17に記載の方法。
(項22)
前記方法が、追加の検体を同時に検出するための追加の結合剤を提供することを更に含む、上記項17に記載のアッセイ方法。