(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ウオッチケースを接続するための要素を備えるデュワー機器のケーシング
(51)【国際特許分類】
G04B 43/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G04B43/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021190784
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ペリュショ
(72)【発明者】
【氏名】フローラン・コザンディエ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】実公昭3-4634(JP,Y1)
【文献】実公昭15-4828(JP,Y1)
【文献】実開昭56-53309(JP,U)
【文献】特開2013-130317(JP,A)
【文献】特開平5-315627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウオッチ(3)の機械的および/または機能的構成部品(2)用のデュワー機器(1)であって、前記機器(1)は、バンドおよびケーシング(4)を具備し、前記ケーシング(4)は、中に前記ウオッチ(3)のケース(6)を配列することができる密閉箱(5)、およびこの前記密閉箱(5)を画定する、前記ケーシング(4)のすべての要素(10a、10b、10c)から遠く離して前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)を保ちながら前記ケーシング(4)の前記密閉箱(5)内で前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)を固定する少なくとも1つの接続要素(7)を含み、前記少なくとも1つの接続要素(7)は、少なくとも1つの凹部領域(9)を含む構造(8)を形成する本体を具備し、前記凹部領域(9)は、前記接続要素(7)の貫通開口部、または、前記接続要素(7)の片方が塞がった開口部、または、前記接続要素(7)の前記本体に備わった穴の開いた領域である、デュワー機器(1)。
【請求項2】
前記構造(8)は、複数の実質的に異なる、または厳密に異なる形状を有する凹部領域(9)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデュワー機器(1)。
【請求項3】
前記構造(8)は、実質的に類似する、または厳密に類似する形状を有する複数の凹部領域(9)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデュワー機器(1)。
【請求項4】
前記構造(8)は格子構造であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項5】
前記構造(8)はトレリス(trellis)構造であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接続要素(7)は、前記ケーシング(4)の前記密閉箱(5)の内周壁(12)への前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)の可逆的固定を提供することを特徴とする、請求項5に記載のデュワー機器(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続要素(7)は、前記ケーシング(4)の背面への前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)の可逆的固定を提供することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接続要素(7)は、前記ケーシング(4)の前記密閉箱(5)内で前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)の可逆的固定を確実にする唯一の前記接続要素(7)であることを特徴とする、請求項7に記載のデュワー機器(1)。
【請求項9】
前記密閉箱(5)は真空下にある、またはほとんど真空下にあることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項10】
前記ケーシング(4)は、表面が前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)のガラスぶた(11)よりも実質的に大きな、または厳密に大きなガラスぶた(10a)を備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項11】
前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)が前記密閉箱(5)内に配列されたとき、前記ウオッチ(3)の前記ケース(6)の
ガラスぶた(11)は、前記ケーシング(4)の
ガラス
ぶた(10a)に対向して配置されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項12】
前記バンドが固定される中央部(10c)を備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【請求項13】
前記密閉箱(5)を画定する前記ケーシング(4)の要素は、この前記ケーシング(4)のガラスぶた(10a)、中央部(10c)、および
背面(10b)であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のデュワー機器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詳細には極限の温度の下で動作するように適合されたウオッチの機械的および/または機能的構成部品用のデュワー機器に関し、デュワー機器は、そのケーシング内にウオッチのケースを配列するための少なくとも1つの接続要素を備える。
【背景技術】
【0002】
電子ウオッチは、従来はバンドと、いくつかの電気部品または電子部品を含むウオッチケースとを備える。従来技術では、これらの部品のいくつかは、極限の温度に耐えることができず、これらの温度で適切に動作しなくなることが公知である。典型的には、発光ダイオードまたは水晶を使用する液晶表示装置LCDの画面は、ほぼ80℃(摂氏温度)を超えず、かつ0℃以下に低下しない温度を許容する。しかしながら、たとえば宇宙または月のミッションなどの特定の環境では、温度は、実質的に-150℃~+125℃のオーダーの値に頻繁に到達する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、そのような極限の温度が優勢である可能性がある環境でウオッチを、詳細には電子ウオッチを使用することができる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、本発明は、ウオッチの機械的および/または機能的構成部品用のデュワー機器に関し、前記機器は、バンドおよびケーシングを具備し、ケーシングは、中に前記ウオッチのケースを配列することができる密閉箱、およびこの密閉箱を画定する、ケーシングのすべての要素から遠く離して前記ウオッチケースを保ちながらケーシングの前記密閉箱の中に前記ウオッチケースを固定する少なくとも1つの可逆的接続要素を含み、前記少なくとも1つの可逆的接続要素は、少なくとも1つの凹部領域を含む構造を形成する本体を具備する。
【0005】
ケーシングおよびウオッチケースにより形成されたデュワー機器のおかげで、ウオッチの機械的および/または機能的構成部品は、前記機器の外側で優勢であることがある、-150℃~+125℃の間のどんな極限の温度からも保護される。追加で、ケーシングへのウオッチケースの固定を確実にする前記少なくとも1つの接続要素は、詳細には放熱によるこのウオッチケース6のどんな熱損失も防止することにより、ケースの非常に良好な断熱を確実にすることに寄与する。その結果、そのようなデュワー機器により、たとえば、惑星である火星の探索または月の探索などの宇宙探索ミッションの間など、温度が極限になる可能性がある状況および環境で機械的および/または機能的構成部品を使用することができるようになる。これによりさらにまた、費用を合理化できるようになるだけではなく、そのようなミッションのために取り組まれたウオッチで使用される構成部品に関して合理的複雑性を維持できるようにもなる。
【0006】
他の実施形態では、
-構造は、複数の実質的に異なる、または厳密に異なる凹部領域を備え、
-構造は、実質的に類似する、または厳密に類似する形状を有する複数の凹部領域を備え、
-構造は格子構造であり、
-前記構造はトレリス(trellis)構造であり、
-少なくとも1つの接続要素は、ケーシングの密閉箱の内周壁へのウオッチケースの可逆的固定を提供し、
-前記少なくとも1つの接続要素は、ケーシングの背面へのウオッチケースの可逆的固定を提供し、
-前記少なくとも1つの接続要素は、ケーシングの密閉箱内でウオッチケースの可逆的固定を確実にする唯一の接続要素であり、
-前記密閉箱は真空下にあり、またはほとんど真空下にあり、
-ケーシングは、表面がウオッチケースのガラスぶたよりも実質的に大きい、または厳密に大きいガラスぶたを備え、
-ウオッチケースのガラスぶたは、ウオッチケースが前記密閉箱内に配列されたとき、ケーシングのガラスぶたに対向して配置され、
-機器は、前記バンドが固定される中央部を備え、
-前記密閉箱を画定する前記ケーシング要素は、このケーシングのガラスぶた、中央部の内周壁、および背面を備える。
【0007】
他の特殊性および有利な利点は、暗示する手法で、かつ限定しない手法で、添付図面を参照して以下に示す記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による、ウオッチの機械的および/または機能的構成部品用のデュワー機器の略図の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、前記機器のケーシング内にウオッチケースを固定することができる可逆的接続要素に属する少なくとも1つの凹部領域を備える構造を形成する本体のより大きなスケールの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、デュワー時計機器、または本明細書の残りの部分でより簡単に「デュワー機器」とも呼ばれる、ウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2用の等温時計機器1を示す。ウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2用のそのようなデュワー機器1は、ウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2に良好な断熱を与えることに関与するができ、ウオッチ3のケース6は、これらの構成部品2に対してそのような隔離を確実にするために、機器1のこのケーシング4内に配列されなければならない。換言すれば、このデュワー機器1は、これらの機械的および/または機能的構成部品2に適した断熱を達成するために、詳細にはデュワー機器1のケーシング4とウオッチ3のケース6の組合せにより形成される。この構成では、ウオッチ3のケース6は、この前記密閉箱5を画定するケーシング4のすべての要素10a~10c、すなわち、このケーシング4のガラスぶた10a、中央部10cの内周壁12、および背面10bから遠く離して、または距離を置いて維持されながら前記密閉箱5内に配列される。この内周壁12はまた、前記密閉箱5の内周壁でもあることが留意されよう。
【0010】
このように遠く離れていることまたはこの距離は、中央部10cの内周壁、ならびに/または背面10bおよび/もしくはガラスぶた10aとウオッチ3のケース6との間で、詳細にはこのケース6の外面との間でどんな熱伝導も低減する(低減すること)、またはさらにはなくする(なくすることに関与する)ために、以下で記述する少なくとも1つの接続要素7から構成される。この外面は、このウオッチ3のケース6のガラスぶた、中央部、および背面の外表面を含む。
【0011】
そのようなケース6は、電子ウオッチ、たとえば水晶ウオッチ、または機械式ウオッチとすることができるウオッチ3に備わっていることが留意されよう。
【0012】
上記で言及するウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2は、限定せず、かつ網羅的ではなくウオッチのムーブメント、文字板、針、輪、継ぎ目、ならびに/または電子部品および/もしくは電気部品2を備える。詳細にはそのような電子部品および/または電気部品は、たとえば表示装置、プロセッサ、メモリ、電力貯蔵構成部品、モータ、集積回路、および電子振動子などを含むことが留意されよう。
【0013】
したがって、この構成では、このデュワー機器1は、従来技術で周知のデュワー管/フラスコと同じ性質および特徴を有することが理解される。これまで言及してきたように、このデュワー機器1の性質および特徴は、そのような機器1が位置する可能性がある外部環境で優勢であることがある、詳細には極限の温度に対して良好な断熱をデュワー機器1に与えるのに役立つ。
【0014】
したがって、これに関連してこの機器1は、この機器1のユーザがこの機器1を装着することができるようにするバンドが搭載される中央部10cを含むケーシング4を備える。このケーシング4はまた、上記で言及するガラスぶた10aおよび背面10bを含む。この機器1では、ガラスぶた10aは、好ましくはウオッチ3のケース6のガラスぶた11よりも実質的に大きな、または厳密に大きな表面を備えることが留意されよう。
【0015】
すでに理解されるように、この機器1のガラスぶた10a、中央部10c、および背面10bは、ウオッチ3のケース6を受け入れることができる、このケーシング4の密閉箱5を一緒に画定する。ケーシング4のこれら3つの要素10a~10c、すなわち中央部10c、ガラスぶた10a、および背面10bは、この密閉箱5を構築するために一緒に連結される別個の要素とすることができる。あるいは、ケーシング4の中央部10cおよび背面10bは、単一片を一緒に形成することができ、前記単一片は、可逆的かつ密閉された手法でガラスぶた10aにより閉じられることができる、背面10bに対向する開口部を画定する。別の代わりの手法では、ケーシング4の中央部10cおよびガラスぶた10aは、単一片を一緒に形成することができ、前記単一片は、同じく可逆的かつ密封された手法で背面10bにより閉じられることができる、ガラスぶた10aに対向する開口部を画定する。
【0016】
中央部10cおよび背面10bは、好ましくは、限定せず、かつ網羅的ではなく金属材料から、ガラスから、または炭素もしくはガラス繊維で強化された熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー樹脂から、またはセラミック材料から作られる。中央部10cおよび背面10bが透明または半透明であり、たとえばガラスから作られているとき、中央部10cの周壁12、および背面10bの内面は、たとえば銀の層などの金属反射性コーティングなどでめっきすることができることが留意されよう。
【0017】
追加で、機器1は、ケーシング4の外面上に、すなわち、このウオッチ3のケース6の、中央部10cの外周壁、ならびに/またはガラスぶた10aおよび背面10bの外面上に配列された干渉計フィルタを備えてよい。この干渉計フィルタは、ケーシング4のこの外面上にめっきを形成するグリッドまたはトレリスとすることができる。このグリッドまたはトレリスは、寸法が電磁スペクトルのある種の所定の波長だけを、典型的には可視領域の波長だけを通過させることができるようにするメッシュを有する。そのようなフィルタは、放熱による熱損失を遮断すること、詳細には赤外線の波を遮断することに寄与し、一方では、一般に約600nm未満の可視波長が通過できるようにしながらウオッチの文字板を読み取ることに寄与することに留意されたい。
【0018】
その上、この機器1では、ウオッチ3のケース6がケーシング4の密閉箱5内に配列されるとき、このケース6と中央部10cの内周壁12、背面10b、およびガラスぶた10aとの間に画定される空間には物質がない、またはほとんど物質がない。換言すれば、密閉箱5は賃空下にある、またはほとんど真空下にある。
【0019】
この密閉箱5の中にウオッチ3のケース6を維持することを確実にすることをめざして、デュワー機器1および詳細にはケーシング4は、このケーシング4の内周壁12上で、および/または背面上でウオッチ3のケース6の可逆的固定を提供する少なくとも1つの接続要素7を備える。「可逆的接続要素」とも呼ばれるこの接続要素7は、2つの端部を備え、2つの端部のうち第1の端部は、ケーシング4に接続される。そのような接続要素7は、ケーシング4とウオッチ3のケース6の間の熱伝導の低減に関与するように構成される。以下で理解されるように、この要素7の本体は、デュワー機器の外部環境への熱損失の低減を確実にすることに寄与し、したがって、ウオッチ3のケース6内で安定した内部温度を確実にするための特定の構造8を有する。換言すれば、温度は、ウオッチ3の構成部品2の最適動作を許可する、または可能にする。
【0020】
より具体的には、この第1の端部は、
-たとえばクリップで留める、または互いにかみ合うことにより、このケーシング4の内周壁12上で、および/または背面上で取外し可能な手法で、
-ケーシング4のこの内周壁12上で、および/またはこの背面上で、取り外しできない、すなわち固定された、または動かせない手法で
接続することができる。
【0021】
この接続要素7の第1の端部は、動かせないように内周壁12および/または背面10bに接続されるとき、この場合たとえば接着または溶接により、内周壁12および/または背面10bに固定されることが留意されよう。
【0022】
ウオッチ3のケース6に接続されることが意図される、接続要素7の第2の端部は、好ましくは取外し可能に接続される。この目的のために、第2の端部は、このウオッチ3のバンドの代わりに、ウオッチ3のケース6の付着領域に接続されるように構成される固定領域を含む。例として、この第2の端部のこの固定領域は、このウオッチ3のこの付着領域に備わった棒上への可逆的固定を確実にすることができる、またはこの棒を置換することができる。
【0023】
この接続要素7は、少なくとも1つの凹部領域9を含む構造8を形成する/備える本体を具備する。この凹部領域9は、この接続要素7の本体の何も入っていない部分、またはこの要素7の本体の残りの部分を構成する材料から得られるくぼんだ部分である。換言すれば、各凹部領域9は、貫通開口部、片方が塞がった開口部、またはこの要素7の本体に備わった穴の開いた領域である。したがって、そのような接続要素7の構造8は、前記少なくとも1つの凹部領域9だけではなく、この本体の非凹部領域も備える。
【0024】
図2を参照すると、そのような構造8は、複数の凹部領域を備えることができる。この構造8では、凹部領域は、類似する形状を有する。他の変形形態では、凹部領域は、異なる形状を有してよいことが理解される。これに関連して、いくつかの凹部領域を備えるそのような構造8は、マイクロ格子構造、ナノ格子構造、または三角形システムとも呼ばれることがあるトレリス構造8などの格子構造8とすることができる。
【0025】
接続要素7のそのような構造8は、詳細には、たとえば衝突の間にこのデュワー機器1が受ける加速、減速、および/または突然の/激しい/不意の方向変化が加えられる間に、デュワー機器1を使用する枠組みでそのような接続要素7が受けがちなどんな応力に対しても非常に良好な機械抵抗を有することにより、ケーシング4内でのウオッチ3のケース6の抵抗力を改善する。その上、そのような構造8は、本発明の接続要素7に実質的に類似する、または厳密に類似する質量を有する従来技術の要素よりも大きな機械的強度をこの接続要素7に与えることが留意されよう。
【0026】
追加で、この構造8は、この要素7の第1の端部およびウオッチ3のケース6が固定される内周壁12および/または背面10bの間でこの接続要素7が熱を放散させる能力を低減することができる、すなわち、熱伝導率を低減または制限することができる。そのような構造8では、非凹部領域の1つまたは複数の部分の縮小した区域、および/またはこの接続要素7の2つの端部の間にある前記非凹部領域の1つまたは複数の部分により画定される1つまたは複数の熱経路の長さは、ウオッチ3のケース6からどんな熱損失も制限する、またはさらには防止することに関与する。
【0027】
そのような構造が接続要素7に提供するこれらの有利な点を改善するために、この構造を製造するために使用する材料はまた、好ましくは低い熱伝導率および/または高い機械的強度の性質を有する。たとえば、これらの材料は、鋼鉄、チタニウム、セラミック、またはポリマーを備えることができる。
【0028】
図1に示す本実施形態では、ケーシング4は、好ましくはこのケーシング4の中央部10cの内周壁12上にウオッチ3のケース6を固定する2つの可逆的接続要素7を備える。これらの接続要素7は、ガラスぶた10aから、およびケーシング4の背面10bから、および密閉箱5の内周壁である、中央部10cの内周壁12からも距離を置いてウオッチ3のケース6を保つ。換言すれば、これら2つの接続要素7は、ウオッチ3のケース6とガラスぶた10a、背面10b、および中央部10cのこの内周壁12との間のどんな直接接触も回避する。
【0029】
そのような距離は、
-ガラスぶた10aとケーシング4の背面10bの間にある中央部10cの内周壁12上の第1の端部の位置、ならびに/または
-各接続要素7の形状、すなわち、この接続要素7の2つの端部の間に画定される/伸展する構造8を形成する本体の形状、ならびに/または
-接続要素7のこれら2つの端部の間に伸展する構造8を形成する本体の長さ
に従って構成される。
【0030】
追加で、これらの接続要素7は、デュワー機器1を装着するユーザがケーシング4の透明なガラスぶた10aを通してこのウオッチ3の文字板および/または表示インタフェース上に備わった情報を認めることができるように、このウオッチ3のケース6のガラスぶた11がケーシング4のガラスぶた10aに対向して配列されるように、このケーシング4内にウオッチ3のケース6を配列することに寄与する。
【0031】
その結果、そのようなデュワー機器1は、長期間ウオッチケース6の中に配列された構成部品の放熱による熱損失を低減する、またはさらには防止することにより、外部環境に関して非常に良好な断熱をウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2に提供する。その結果、機器1の外部の温度が、典型的には-125℃~+125℃のオーダーの極限値に到達するとき、その結果として密閉箱5の内側の温度は、ウオッチ3のケース6がケーシング4内に配列されたときにウオッチ3のケース6内に存在する、典型的には20℃のオーダーの温度に実質的に等しいままである。デュワー機器1の環境で優勢な温度条件とは無関係に、ウオッチ3のケース6内に存在する温度は、ウオッチの適切な動作を妨げない温度であることに留意されたい。この温度は、そのような特に極限の温度が優勢であるそのような環境内に直接に位置することにより(すなわち、デュワー機器のケーシングの外側に位置することにより)そのようなウオッチケースがその構成部品2の動作温度を保持することができる期間よりも5~18倍長い期間にわたり維持される。その結果、そのような構成は、ウオッチ3の機械的および/または機能的構成部品2を保護することができるようにするだけではなく、極限の外部温度条件で、最適な手法で機械的および/または機能的構成部品2の動作を確実にすることに関与することができるようにすることも理解することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 デュワー機器
2 構成部品
3 ウオッチ
4 ケーシング
5 密閉箱
6 ケース
7 接続要素
8 構造
9 凹部領域
10a ガラスぶた
10b 背面
10c 中央部
11 ガラスぶた
12 内周壁