(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】グルコース輸送体(GLUT)の阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 491/08 20060101AFI20231214BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20231214BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20231214BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231214BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231214BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20231214BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 33/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231214BHJP
A61K 31/529 20060101ALI20231214BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20231214BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C07D491/08 CSP
A61P3/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P37/06
A61P35/00
A61P35/04
A61P35/02
A61P3/10
A61P5/50
A61P3/06
A61P3/04
A61P9/12
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/00
A61P27/16
A61P1/04
A61P11/04
A61P11/06
A61P11/14
A61P31/18
A61P11/02
A61P19/10
A61P17/00
A61P31/00
A61P17/16
A61P37/08
A61P37/04
A61P43/00 101
A61P43/00 105
A61P13/12
A61P7/06
A61P17/14
A61P21/04
A61P1/00
A61P17/06
A61P1/16
A61P33/04
A61P17/10
A61P31/04
A61P17/02
A61P7/10
A61P19/08
A61P31/10
A61P33/02
A61P31/12
A61K31/529
A61P33/10
A61P31/22
A61P25/08
A61P17/04
A61P1/12
(21)【出願番号】P 2021512771
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2019073761
(87)【国際公開番号】W WO2020049124
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-17
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513050132
【氏名又は名称】リード ディスカバリー センター ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】501497655
【氏名又は名称】マックス プランク ゲゼルシャフト ツゥアー フェデルゥン デル ヴィッセンシャフテン エー フォー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルドマン ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】ツィッシンスキー ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ヌスバウマー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー スラヴァ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルフェンベルク メラニー
(72)【発明者】
【氏名】セラヘリア ハビエル デュ セバージョス
(72)【発明者】
【氏名】レクツェー エレナ サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】カラジョージス ゲオルク
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-507910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、または一般式(I)の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異
性体、水和物、溶媒和物
、またはそれらの薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
式中、
X
1は、-O-または-NR
N-であり、
R
Nは、-H,-CH
3,-CH
2CH
3,-CH
2CH
2CH
3,-CH(CH
3)
2,-シクロ-C
3H
5,-C
4H
9,-CH
2CH(CH
3)
2,-C(CH
3)
3,または-シクロ-C
4H
7、
X
2は、
【化2】
であり、
Yは、結合、-O-または-S-であり、
R
1は-(CH
2)
m-Aを表し、
mは、0,1,2,または3から選択される整数であり、
Aは、C
3~C
12モノ,バイ,トリ,テトラ
,またはペンタシクロアルキル,または
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
を表し、
ここで、これらの残基は、Z
1,Z
2,Z
3から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができ、
R
2は、-H,-CH
3,または-CH
2CH
3を表し、
R
3,R
4,R
5,R
6およびR
7は、互いに独立して-H,-F,-Cl,-CN,-CH
3または-CF
3を表し、
R
8は、-CO-O-(CH
2)
n-B,-CO-O-(CH
2)
n-OB,-CO-NR’-(CH
2)
n-B,-CO-NR’-(CH
2)
n-OB,-CO-B
*または-R
7を表し、
R’は、-Hまたは-CH
3を表し、
nは、0,1,2または3から選択される整数であり、
B
*は、
【化4】
を表し、
ここで、これらの残基は、Z
4,Z
5,Z
6から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができ、
Bは、C1~C7-アルキル,C3~C6-シクロアルキル、
【化5】
を表し、
R
9,R
10,R
11,およびZ
1~Z
9は、互いに独立して、-H,-F,-Cl,-CN,-NO
2,-NH
2,-CF
3,-CH
3,-CH
2CH
3,-CH
2CH
2CH
3,-CH(CH
3)
2,-C(CH
3)
3,-シクロ-C
3H
5、または
R
9およびR
10、またはR
10およびR
11は、共に
【化6】
を形成し
ここで、これらの残基は、Z
7,Z
8,Z
9から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができる、
一般式(I)の化合物、または一般式(I)の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異
性体、水和物、溶媒和物
、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここで前記化合物は、式(II)
【化7】
を有し、
式中、R
2~R
8,X
1,X
2およびZ
1~Z
3は、請求項1に定義される通りの意味を有する、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、ここで前記化合物は、式(III)
【化8】
を有し、
式中、R
1~R
5,R
9~R
11,X
1,X
2およびYは、請求項1に定義される通りの意味を有する、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、ここで前記化合物は、式(IV)
【化9】
を有し、
式中、R
1~R
8およびYは、請求項1に定義される通りの意味を有する、化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、ここで前記化合物は、式(V),(Va),(Vb),および(Vc)
【化10】
のいずれかを有し、
式中、R
1~R
5,R
9~R
11およびYは、請求項1に定義される通りの意味を有し、およびLは、-CH
2-CH
2-,-CH
2-CH
2-CH
2-,または-CH
2-CH
2-O-を有する、化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、ここで前記化合物は、式(VI)
【化11】
を有し、
式中、R
1~R
8,X
1,X
2およびYは、請求項1に定義される通りの意味を有する、化合物。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の化合物であって、ここでR
1は、
【化12】
を表し、
式中、Z
1,Z
2,およびZ
3は、請求項1に定義される通りの意味を有する、化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-10-((2-メチルベンジル)オキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-10-((4-ニトロベンジル)オキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-((3-クロロベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-((4-シアノベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-((4-(tert-ブチル)ベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(フラン-2-イルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(シクロプロピルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-4-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-3-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-2-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-((2-アミノピリジン-3-イル)メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリミジン-5-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-10-((5-メチルピリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(2-メチル-10-((1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(3-(1H-インドール-1-カルボニル)フェニル)-10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-4(3H)-オン、
10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(3-(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)フェニル)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-4(3H)-オン、
10-(ベンジルオキシ)-3-(3-(インドリン-1-カルボニル)フェニル)-2-メチル-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-4(3H)-オン、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-メチル-N-(2-フェノキシエチル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(2-フェノキシエチル)ベンズアミド、
4-メチルフェネチル3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)ベンゾエート、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-メチル-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)ベンズアミド、
2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)ベンゾエート、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)ベンズアミド、
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)ベンゾエート、
3-(10-(シクロブチルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(シクロペンチルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(シクロヘキシルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル-メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジ-ヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル-メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジ-ヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g]-[1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(3-フェニルプロピル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(1-キノリン-6-イル-エチル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(2-(4-メチルフェノキシ)エチル)ベンズアミド、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(フェネチル)ベンズアミド、
メチル3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)ベンゾエート、
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(エチル)ベンズアミド、および
3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(ベンジル)ベンズアミド
からなる群から選択される、化合物。
【請求項9】
薬剤として使用するための、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌または癌の転移の予防または治療において使用するための、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の使用のための化合物であって、前記癌または癌の転移は、腺癌、脈絡膜メラノーマ、急性白血病、聴神経鞘腫、膨大部癌、肛門癌、星状細胞腫、基底細胞癌、膵臓癌、デスモイド腫瘍、膀胱癌、気管支癌、エストロゲン依存性および非依存性乳癌、バーキット(Burkitt’s)リンパ腫、コーパス(corpus)癌、CUP-症候群(原発不明の癌)、結腸直腸癌、小腸癌、小腸腫瘍、卵巣癌、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌型、ユーイング(Ewing’s)腫瘍、胃腸腫瘍、胃癌、胆嚢癌(gallbladder cancer)、胆嚢癌(gall bladder carcinomas)、子宮癌、子宮頸がん、神経膠芽細胞腫、婦人科腫瘍、耳、鼻、喉の腫瘍、血液学的腫瘍、毛様細胞白血病、尿道癌、皮膚癌、皮膚精巣癌、脳腫瘍(神経膠腫)、脳転移、睾丸癌、下垂体腫瘍、カルシノイド、カポシ(Kaposi’s)肉腫、喉頭癌、胚細胞腫瘍、骨癌、結腸直腸癌、頭頸部癌(耳、鼻、および喉の領域の腫瘍)、結腸癌、頭蓋咽頭腫、口腔癌(口の領域内および唇上の癌)、中枢神経系の癌、肝臓癌、肝臓転移、白血病、眼瞼腫瘍、肺癌、リンパ節癌(ホジキン(Hodgkin’s)/非ホジキン(Non-Hodgkin’s)リンパ腫)、リンパ腫、胃癌、悪性メラノーマ、悪性新生物、悪性腫瘍胃腸管、乳癌、直腸癌、髄芽細胞腫、メラノーマ、髄膜腫、ホジキン(Hodgkin’s)病、菌状息肉症、鼻癌、神経鞘腫、神経芽細胞腫、腎癌、腎細胞癌、非ホジキンリンパ腫、乏突起膠腫、食道癌、溶骨性癌および骨形成癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、形質細胞腫、前立腺癌、咽頭癌、直腸癌、網膜芽細胞腫、膣癌、甲状腺癌、シュニーバーガー(Schneeberger)病、食道癌、脊髄腫、T細胞リンパ腫(菌状息肉腫)、胸腺腫、管癌、眼腫瘍、尿道癌、泌尿器腫瘍、尿路上皮癌、外陰癌、疣贅外観、軟部組織腫瘍、軟部組織肉腫、ウィルムス(Wilm’s)腫瘍、頸部癌、舌癌、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫、中皮腫、脳幹神経膠腫、視床下部神経膠腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、神経外胚葉性腫瘍、松果体腫瘍、子宮肉腫、唾液腺癌、肛門腺癌、マスト細胞腫瘍、骨盤腫瘍、尿管腫瘍、遺伝性乳頭状腎癌、散発性乳頭状腎癌、眼内メラノーマ、肝細胞癌(線維層板異型を伴うまたは伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)、混合肝細胞胆管癌、扁平上皮癌、悪性メラノーマ、メルケル(Merkel)細胞皮膚癌、非メラノーマ皮膚癌、下咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌、口腔癌、扁平上皮癌、口腔メラノーマ、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、横紋筋肉腫、悪性組織球症、線維肉腫、血管肉腫、血管周囲細胞腫、平滑筋肉腫、イヌ乳癌、およびネコ乳癌からなる群から選択される、化合物。
【請求項12】
請求項10に記載の使用のための化合物であって、前記代謝性疾患は、糖尿病1型および2型、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高インスリン血症、脂質異常症、および高コレステロール血症、肥満、高血圧、網膜変性または網膜剥離からなる群から選択され、ここで、前記炎症は、中枢神経系の炎症性疾患、炎症性リウマチ性疾患、血管の炎症性疾患、中耳の炎症性疾患、炎症性腸疾患、皮膚の炎症性疾患、炎症性疾患ブドウ膜炎、および喉頭の炎症性疾患からなる群から選択される、化合物。
【請求項13】
請求項10に記載の使用のための化合物であって、ここで、前記免疫疾患および/または自己免疫疾患は、喘息、糖尿病、リウマチ性疾患、エイズ、移植された臓器および組織の拒絶反応、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、骨粗鬆症、潰瘍性大腸炎、副鼻腔炎、紅斑性狼瘡、再発性感染症、アトピー性皮膚炎/湿疹および職業性アレルギー、食物アレルギー、薬物アレルギー、重度のアナフィラキシー反応、アナフィラキシー、アレルギー性疾患の兆候、原発性免疫不全、抗体欠損状態、細胞介在性免疫欠損、重度の複合免疫欠損、ディジョージ(DiGeorge)症候群、高(Hyper)-IgE症候群、ウィスコット-アルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群、運動失調-毛細血管拡張症、免疫介在性癌、白色細胞欠損、自己免疫疾患、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、多発性硬化症、免疫介在性または1型糖尿病、免疫介在性糸球体腎炎、強皮症、悪性貧血、脱毛症、天疱瘡、尋常性天疱瘡、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、自己免疫性甲状腺疾患、橋本病、皮膚筋炎、グッドパスチャー(goodpastture)症候群、重症偽麻痺性筋無力症、交感性眼炎、ファコジェン(phakogene)ブドウ膜炎、慢性侵攻性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫溶血性貧血、およびウェルロフ(Werlof)病を含む、またはからなる群から選択される、化合物
【請求項14】
請求項12に記載の使用のための化合物であって、前記中枢神経系の炎症性疾患、前記炎症性リウマチ性疾患、前記血管の炎症性疾患、前記中耳の炎症性疾患、前記炎症性腸疾患、前記皮膚の炎症性疾患、前記炎症性疾患ブドウ膜炎、前記喉頭の炎症性疾患は、膿瘍、アカントアメバ(acanthameba)、アカントアメバ症(acanthamebiasis)、尋常性ざ瘡、放線菌症、急性炎症性皮膚症、成人の急性喉頭感染症、急性多発性プラコイド色素性上皮症、急性熱損傷、急性網膜壊死、急性化膿性中耳炎、アルガル(algal)疾患、アレルギー性接触皮膚炎、アミロイドーシス血管性浮腫、強直性脊椎炎、アスペルギルス症、アトピー性皮膚炎、オーエスキー(Aujeszky’s)病、血管炎の自己抗体、バベシア症、細菌性疾患、細菌性喉頭炎、細菌性髄膜炎、ベーチェット(Behcet’s)病、バードショット(birdshot)脈絡膜症、ブラストミセス症(blastomycosis)、ボルナ(borna)病、ブルセラ病(brucellosis)、水疱性鼓膜炎、滑液包炎、カンジダ症、イヌジステンパー脳脊髄炎、幼若動物におけるイヌジステンパー脳脊髄炎、イヌエールリヒア症、イヌヘルペスウイルス脳脊髄炎、胆脂腫、慢性肉芽腫性疾患、慢性炎症性皮膚症、慢性再発性脳脊髄炎、慢性化膿性中耳炎、瘢痕性類天疱瘡、コクシジウム症、コクシジオイデス症、一般的な上気道感染症、接触潰瘍および肉芽腫、クローン病、クリプトコッカス症、嚢虫症、皮膚筋炎、ジフテリア、円盤状紅斑性狼瘡、薬物誘発性血管炎、薬物または過敏性反応、エンセファリトゾーン症(encephalitozoonosis)、好酸球性髄膜脳炎、多形性紅斑、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ感染性腹膜炎、ネコ灰白脳脊髄炎、ネコ海綿状脳症、線維筋炎、フックス(Fuch’s)虹彩異色性毛様体炎、胃食道逆流症、巨細胞性動脈炎、鼻疽、緑内障毛様体発症、淋病 顆粒状鼓膜炎(gonorrhea granular myringitis)、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、単純ヘルペス、ヒストプラズマ症、特発性疾患、特発性炎症性疾患、免疫および特発性疾患、免疫低下宿主における感染症、イヌ感染性肝炎、吸入喉頭炎、間質性腎炎、刺激性接触皮膚炎、若年性関節リウマチ、川崎病、ラクロス(La Crosse)ウイルス脳炎、喉頭膿瘍、喉頭気管炎、リーシュマニア症(leishmaniasis)、水晶体原性ぶどう膜炎、ハンセン病、レプトスピラ症(leptospirosis)、白血病、扁平苔癬、ループス(lupus)、ライム病、リンパ腫、髄膜炎、顕微鏡的多発性血管炎、多巣性脈絡膜炎、成熟動物における多巣性ジステンパー脳脊髄炎、多発性硬化症、筋緊張性発声障害、真菌性疾患、壊死性脳炎、ネオスポラ病(neosporosis)、老犬脳炎、オンコセルカ症(onchocerciasis)、寄生性脳脊髄炎、寄生虫感染症、毛様体扁平部炎、パルボウイルス脳炎、小児喉頭炎、汚染および吸入アレルギー、多発性筋炎、ワクチン接種後の犬ジステンパー脳炎、ワクチン接種後の狂犬病、プリオンタンパク質誘発性疾患、プロトテカ症(protothecosis)、原生動物脳炎-脳脊髄炎、乾癬、乾癬性関節炎、パグ犬脳炎、化膿性肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、狂犬病、放射線障害、放射線喉頭炎、放射線壊死、再発性多発性軟骨炎、ライター(Reiters’s)症候群、網膜色素変性症、網膜芽細胞腫、関節リウマチ、リケッチア疾患、ロッキー山紅班熱、サケ中毒、肉胞子虫症、サルコイドーシス、住血吸虫症、強皮症、硬腫、匍行性脈絡膜症、シェーカードッグ(shaker dog)病、シェーグレン(Sjogren’s)症候群、痙性クループ、スピロケチン性髄膜炎、スピロヘータ(梅毒)病、海綿状皮膚炎、スポロトリクム症、ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎、スティーブンス-ジョンソン(Stevens-Johnson)症候群、声門上炎、交感性眼炎、シンガムス喉頭炎(syngamus laryngeus)、梅毒、全身性紅斑性狼瘡、サルコイドーシスにおける全身性血管炎、高安動脈炎、腱炎、閉塞性血栓血管炎、犬のダニ媒介脳炎、中毒性表皮壊死症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、外傷、外傷性喉頭炎、旋毛虫病、トリパノソーマ症、結核、野兎病、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、血管炎、血管炎および悪性腫瘍、血管炎および関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡における血管炎、特発性炎症性筋疾患における血管炎、中枢神経系の血管炎、細菌性、真菌性、ウイルス性疾患に続発する血管炎、ウイルス性喉頭炎、白斑、音声酷使、声帯出血、フォークト(Vogt)小柳原田症候群、ウェゲナー(Wegener’s)肉芽腫症、およびウィップル(Whipple’s)病からなる群から選択される、化合物。
【請求項15】
有効成分として請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、グルコース輸送体1および3(GLUT1および3)の選択的阻害剤としての2,6-メタノベンゾ[g][1]オキサシン-4-オン化合物およびそれらの類似体化合物、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩に関し、前記化合物を調製する方法に関し、および特に代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌、および癌の転移の予防および/または治療のための、薬学的な活性剤としてのそれらの使用に関する。さらに、本発明は、2,6-メタノベンゾ[g][1]オキサシン-4-オン化合物およびそれらの類似体化合物のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
グルコースは、ほとんどの細胞の代謝に不可欠な基質である。グルコースは極性分子であるため、生体膜を通って輸送するには特定の輸送タンパク質が必要である。基礎グルコース輸送体(GLUT)は、グルコースチャネルとして機能し、細胞の基本的なグルコース必要性を維持するために必要である。これらのGLUTは、細胞内で恒常的に発現および機能し、インスリンによって調節されない(またはインスリンに感受性がない)。全ての細胞は、ミトコンドリアで解糖および酸化的リン酸化の両方を使用するが、酸素が豊富な場合は、酸化的リン酸化に圧倒的に依存し、癌において起こるように、酸素欠乏(低酸素)時に解糖に切り替わる。解糖系では、グルコースはピルビン酸に変換され、その過程で2つのATP分子が生成される。癌細胞は、増殖速度が速いために、主に低酸素(hypoxic)(低酸素)状態にある。したがって、癌細胞は、解糖(乳酸形成)を主要なグルコース代謝経路として使用する。当該解糖スイッチは、転移および浸潤の可能性がより高い癌を与えるだけでなく、解糖において外部干渉に対する癌の脆弱性を高める。基礎グルコース輸送の減少は、癌細胞へのグルコース供給を制限する可能性が高く、癌細胞の成長を遅らせる、または癌細胞を飢餓状態にするグルコース欠乏をもたらす。
【0003】
癌細胞が、グルコースの取り込みの増加およびグルコース代謝の増加を示すことは長い間認識されている。グルコース代謝の律速段階において、グルコース輸送体(GLUT)タンパク質は、原形質膜を通過するグルコースの取り込みを容易にする。GLUTタンパク質ファミリーの14のメンバーは、ヒトにおいて同定されている。
【0004】
GLUTアイソフォーム発現の組織特異的パターンは、様々な組織によるグルコース輸送のために様々な必要性を反映する可能性がある。筋細胞は、代謝需要の増加に迅速に対応しなければならない。基礎アイソフォームであるGLUT1、およびインスリン調節可能なグルコース輸送体であるGLUT4は、ヒトの筋細胞において実証されている。GLUT3はグルコースに対して高い親和性を有し、ヒト心筋細胞に存在する。
【0005】
悪性細胞は、加速された代謝、高いグルコース要求性、および増加したグルコース取り込みを有することが知られている。哺乳動物細胞の原形質膜を通過するグルコースの輸送は、グルコース代謝の最初の律速段階であり、促進性グルコース輸送体(GLUT)タンパク質によって媒介される。悪性細胞におけるグルコース輸送の増加は、グルコース輸送体タンパク質の発現の増加および脱調節と関連しており、特性としてGLUT1および/またはGLUT3の過剰発現を伴う。培養哺乳動物細胞における発癌性形質転換は、GLUT1プロモーターエンハンサー要素との相互作用を介して、グルコース輸送およびGLUT1発現の急速な増加を引き起こす。ヒトの研究において、腫瘍における高レベルのGLUT1発現は、生存率の低下と関連している。研究によると、乳がんにおけるグルコース輸送は、GLUT1またはGLUT3の発現によって完全には説明されておらず、他のグルコース輸送体の関与を示唆することを示す。低酸素症は、GLUT1レベルおよびグルコース取り込みを増加させることができる。エストラジオールおよび上皮成長因子は、両方とも乳がん細胞の成長に関与し、グルコース消費を増加させることができる。
【0006】
グルコース取り込みはグルコース輸送体(GLUT)によって媒介され、クラス1 GLUT(GLUT-1~4)は様々な腫瘍において上方調節される。GLUT-1およびGLUT-3は、大多数の癌、例えば、肺、脳、乳房、膀胱、頸部、大腸、食道、肝細胞、卵巣腎細胞、膵臓、前立腺などにおいて、強く上方調節される。さらに、GLUT-1およびGLUT-3は生存率の低下および腫瘍の攻撃性に関連している。
【0007】
グルコースの取り込みは、促進性グルコース輸送体のGlutファミリーを介して重要な代謝制御ポイントを提供する。インビトロ(In vitro)で刺激されたマウスおよびヒトT細胞は、高レベルのGLUT1を発現する。CD4T細胞活性化は、免疫を媒介または制御するエフェクター細胞(Teff;Th1、Th2、およびTh17を含む)または制御性(Treg)細胞への急速な増殖および分化をもたらす。Teff細胞は、Tregよりも高いレベルのGLUT1を維持する。トランスジェニックGLUT1の過剰発現は、Teff頻度を選択的に増加させ炎症性疾患をもたらすように、GLUT1は、Teffを促進することができる(Jacobs SR,et al.,J.Immunol.2008,180,pp.4476-4486;Michalek RD.etal.,J.Immunol.2011,186,pp.3299-3303;Andrew N.Macintyre et al.,Cell Metab.2014,20(1),pp.61-72)。
【0008】
本発明の目的は、GLUT阻害剤、好ましくはクラス1 GLUT(GLUT1~4および14)、特にGLUT1および3の選択的阻害剤、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩を提供することであり、それらは、薬学的活性剤として、特に、代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌、および癌の転移の予防および/または治療のために使用されることができ、並びに、薬学的に有効な成分としてそれらの化合物の少なくとも一つを含む組成物、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、独立請求項の教示によって解決される。本発明のさらに有利な特徴、態様および詳細は、本出願の従属請求項、説明、図、および例から明らかである。
【0010】
[発明の説明]
本発明に係る1,3,5-ベンゾキサジアゾシン-4-オン(またはクロモピノン)化合物は、一般式(I)によって定義され、
【0011】
【0012】
式中、
X1は、-O-または-NRN-であり、
RNは、-H,-CH3,-CH2CH3,-CH2CH2CH3,-CH(CH3)2,-シクロ-C3H5,-C4H9,-CH2CH(CH3)2,-C(CH3)3,または-シクロ-C4H7であり、
X2は、
【0013】
【0014】
Yは、結合、-O-または-S-であり、
R1は-(CH2)m-Aを表し、
mは、0,1,2,または3から選択される整数であり、
Aは、C3~C12モノ,バイ,トリ,テトラ,またはペンタシクロアルキル,または
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
ここで、これらの残基は、Z1,Z2,Z3から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができ、
R2は、-H,-CH3,または-CH2CH3を表し、
R3,R4,R5,R6およびR7は、互いに独立して-H,-F,-Cl,-CN,-CH3または-CF3を表し、
R8は、-CO-O-(CH2)n-B,-CO-O-(CH2)n-OB,-CO-NR’-(CH2)n-B,-CO-NR’-(CH2)n-OB,-CO-B*または-R7を表し、
R’は、-Hまたは-CH3を表し、
nは、0,1,2または3から選択される整数であり、
B*は、
【0020】
【0021】
ここで、これらの残基は、Z4,Z5,Z6から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができ、
Bは、C1~C7-アルキルまたはC3~C7-アルキル,C3~C6-シクロアルキル、
【0022】
【0023】
R9,R10,R11,およびZ1~Z9は、互いに独立して、-H,-F,-Cl,-CN,-NO2,-NH2,-CF3,-CH3,-CH2CH3,-CH2CH2CH3,-CH(CH3)2,-C(CH3)3,-シクロ-C3H5を表し;または
R9およびR10、またはR10およびR11は、共に
【0024】
【0025】
ここで、これらの残基は、Z7,Z8,Z9から選択される1~3個の置換基を用いて置換されることができる、
一般式(I)の化合物、または一般式(I)の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異生体、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0026】
置換基R9、R10、R11は、置換基Bについて定義された環式インドール部分または環式ベンゾピペリジン部分の環のいずれかに存在することができ、一般式
【0027】
【0028】
【化8】
に示されるような環結合に限定されず、ここで、R
10およびR
11は、芳香族ベンゾ環に結合され、およびR
9は非芳香族炭素環に結合される。
【0029】
本明細書で使用される用語「C3~C12モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-、またはペンタシクロアルキル」は、以下の残基を指す:
【0030】
【0031】
【0032】
本明細書で使用される用語「C3~C7-アルキル」は、以下の残基を指す:
-C3H7,-CH(CH3)2,-C4H9,-CH2-CH(CH3)2,-CH(CH3)-C2H5,-C(CH3)3,-C5H11,-CH(CH3)-C3H7,-CH2-CH(CH3)-C2H5,-CH(CH3)-CH(CH3)2,-C(CH3)2-C2H5,-CH2-C(CH3)3,-CH(C2H5)2,-C2H4-CH(CH3)2,-C6H13,-C7H15,-C3H6-CH(CH3)2,-C2H4-CH(CH3)-C2H5,-CH(CH3)-C4H9,-CH2-CH(CH3)-C3H7,-CH(CH3)-CH2-CH(CH3)2,-CH(CH3)-CH(CH3)-C2H5,-CH2-CH(CH3)-CH(CH3)2,-CH2-C(CH3)2-C2H5,-C(CH3)2-C3H7,-C(CH3)2-CH(CH3)2,-C2H4-C(CH3)3,-CH2-CH(C2H5)2,および-CH(CH3)-C(CH3)3。
【0033】
本明細書で使用される用語「C1~C7-アルキル」は、-CH3,-C2H5,およびC3~C7-アルキルを指す。
本明細書で使用される用語「C3~C6-シクロアルキル」は、以下の残基を指す:
【0034】
【0035】
式(I)に関連する化合物のプロドラッグも、本発明の範囲内である。これらの誘導体は、それ自体が薬理活性をほとんど有し得ない、または全く有し得ない。本明細書で使用される用語「プロドラッグ」は、一般式(I)に係る活性成分の前駆体を表し、ここで、前記前駆体は、生理学的条件下で切断されて式(I)の活性剤が形成される基を含む。プロドラッグの使用に関する情報は、例えば、T.HiguchiおよびW.Stellaによる「新規薬物輸送システムとしてのプロドラッグ(Pro-drugs as Novel Drug Delivery Systems)」,ACSシンポジウムシリーズ(Symposium Series)Vol.14,1975(ISBN13:9780841202917)で明らかにされ得る。
【0036】
当業者は、例えば、式(I)に係る化合物における官能基を特定の部分で置換することによって、プロドラッグを合成することができる。一級または二級アミノ官能基を含む式(I)に係る化合物のプロドラッグの例は、それらのアミド、カルバメートまたはアルキル誘導体のような部分が含まれるが、これらに限定されない。アミンのためのプロドラッグの使用に関するより多くの情報は、例えば、Molecules 2008,13,519-547(A.L.Simplicio et al.)またはJ.P.KriseおよびR.Oliyaiによる「アミンのプログラム(Prodrugs of Amines)」(Biotechnology:Pharmaceutical Aspects,2007,V巻、パートIII、801-831)で明らかにされ得る。
【0037】
互変異性体という表現は、互変異性化と呼ばれる化学反応によって相互変換可能である有機化合物として定義される。互変異性化は、好ましくは、塩基または酸または他の適切な化合物によって触媒されることができる。
【0038】
好ましくは、式(I-1)~(I-4)
【0039】
【化11】
のいずれかの化合物であり、
および、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
N、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。
【0040】
より好ましくは、一般式(IV)の化合物であり
【0041】
【0042】
式中、R1~R8、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有する。
さらにより好ましくは、式(I)、(II)、(IV)、(VI)、(I-1)、(I-2)、(I-3)、および(I-4)のいずれか一つの化合物であり、式中、Bは
【0043】
【化13】
を表し、および、より好ましくは、式中Bは、
【0044】
【0045】
さらに好ましくは、一般式(II)の化合物であり
【0046】
【0047】
式中、R2~R8、X1、X2、およびZ1~Z3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有する。
さらに好ましくは、一般式(III)の化合物であり
【0048】
【0049】
式中、R1~R5、R9~R11、X1、X2、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有する。
さらに好ましくは、一般式(V)、(Va)、(Vb)、および(Vc)のいずれかの化合物であり
【0050】
【0051】
式中、R1~R5、R9~R11、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有し、およびLは、-CH2-CH2-,-CH2-CH2-CH2-,または-CH2-CH2-O-を表す。
【0052】
さらに好ましくは、一般式(VI)の化合物であり
【0053】
【0054】
式中、R1~R8、X1、X2、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有する。
さらにより好ましくは、式(I)、(III-1)、(III-4)、(IV-1)、(IV-2)、(V)、(Va)、(Vb)、(Vc)、(VI-1)、(VI-2)、(I-1)、(I-2)、(I-3)および(I-4)のいずれか一つの化合物であり、式中、R1は、
【0055】
【0056】
式中、Z1、Z2、およびZ3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義された通りの意味を有する。
さらに好ましくは、式(II-1)~(II-6)のいずれかの化合物であり
【0057】
【化20】
および、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、X
1、X
2、およびZ
1~Z
3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。
【0058】
さらに好ましくは、式(III-1)~(III-6)のいずれかの化合物であり
【0059】
【0060】
【化21-2】
および、m、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
9、R
10、R
11、X
1、X
2、YおよびAは、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。
【0061】
さらに好ましくは、式(IV-1)~(IV-10)のいずれかの化合物であり
【0062】
【0063】
【化22-2】
および、m、A、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
N、YおよびZ
1~Z
3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。
【0064】
さらに好ましくは、式(V-1)および(V-2)のいずれかの化合物であり
【0065】
【化23】
および、R
2、R
3、R
4、R
5、R
9、R
10、R
11、およびZ
1~Z
3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。
【0066】
さらに好ましくは、式(VI-1)~(VI-16)のいずれかの化合物であり
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【化24-4】
および、m、A、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
N、YおよびZ
1~Z
3は、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有し、Lは、-CH
2-CH
2-,-CH
2-CH
2-CH
2-,または-CH
2-CH
2-O-を表す。
【0071】
さらに好ましくは、式(VII)および(VIII)の化合物であり
【0072】
【0073】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R9、R10、R11、X1、X2、およびYは、式(I)に定義された、または本明細書に定義されたのと同じ意味を有する。置換基R9、R10、R11は、環式インドール部分または環式ベンゾピペリジン部分の環のいずれかに存在することができ、一般式(VII)および(VIII)に示されるような環結合に限定されない。
【0074】
より好ましくは、R3は、
【0075】
【0076】
本発明のさらなる態様において、一般式(I)に係る新規化合物は、キラル化合物を表す。一般式(I)に係る新規化合物は、ラセミ体、またはSもしくはRエナンチオマーまたは異性体の混合物を表す。
【0077】
本発明のさらに他の好ましい実施形態において、一般式(I)に係る化合物は、以下の表1に示される化合物の群から選択される。
表1:
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
本発明の化合物は、有機もしくは無機の酸または有機もしくは無機の塩基を用いて塩を形成してもよい。このような酸付加塩形成に適した酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、スルホン酸、ホスホン酸、過塩素酸、硝酸、ギ酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、亜硝酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、スルファニル酸、カンファースルホン酸、チャイナ(China)酸、マンデル酸、o-メチルマンデル酸、水素-ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸、アジピン酸、d-o-トリル酒石酸、タルトロン酸、(o,m,p)-トルイル酸、ナフチルアミンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、および他のミネラルまたは当業者によく知られたカルボン酸である。塩は、従来の方法で、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて、塩を生成することによって調製される。
【0092】
本発明の化合物が酸性基を有する場合、塩は、無機塩基または有機塩基を用いて形成されることも可能である。適切な無機塩基または有機塩基の例は、例えば、NaOH、KOH、NH4OH、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、リジンまたはアルギニンなどである。塩は、当技術分野でよく知られた方法を使用して従来の方法で、例えば、一般式(I)の化合物の溶液を上記の群から選択される酸の溶液を用いて処理することによって、調製されてもよい。
【0093】
[化合物の合成]
本発明における独創的な1,3,5-ベンゾオキサジアゾシン-4-オン化合物は、スキーム1に示されるような一般的な合成方法に従って調製されることができる。
【0094】
3つの反応成分、すなわち、ベータケトエステル(1a)、置換尿素(2a)、および2-ヒドロキシベンズアルデヒド(3a)を、ステップB1に従ってワンポット(one pot)システムで反応させることができ、生成物(I)を良好な収率で得ることができる。あるいは、中間化合物(Ia)を、ワンポットシステムにおいてベータケトエステル(1a)、置換尿素(2a)、および2-ヒドロキシベンズアルデヒド(3b)の3成分反応によって調製することができ、前記中間化合物(Ia)を、試薬R3-L(4a)とさらに反応させ、生成化合物(I)を得ることができる。
【0095】
出発材料ベータケトエステル1a、尿素2a、ベンズアルデヒド3aおよび/または3bは市販されており、または文献の手順に従って、もしくは文献の手順と同様に合成することができる。したがって、スキーム1に係る合成アプローチは、本発明において開示される1,3,5-ベンゾオキサジアゾシン-4-オン化合物のいずれかの合成を可能にする。
【0096】
【0097】
したがって、本発明のさらなる態様は、一般式(I)の化合物を調製する方法であり、
A)ベータケトエステル(1a)および尿素(2a)を提供すること
【0098】
【化28】
B1)ベンズアルデヒド(3a)をベータケトエステル(1a)および尿素(2a)と反応させ
【0099】
【0100】
【0101】
【化31】
を有する、式(I-1)の化合物を得ること
【0102】
または
B2)ベンズアルデヒド(3b)をベータケトエステル(1a)および尿素(2a)と反応させ
【0103】
【0104】
【化33】
C)化合物R
3-L(4a)を化合物(Ia)と反応させ、式(I-1)の化合物であって
【0105】
【0106】
【化35】
を有する、式(I-1)の化合物を得ること
ここで、
【0107】
R’は:-OCH3,-OCH2CH3,-OCH2CH2CH3,-OCH(CH3)2,-OCH2CH2CH2CH3,-OCH2CH(CH3)2,-OC(CH3)3,-OPh,-OCH2Ph,
【0108】
【0109】
Lは、-Cl,-Br,-I,-OMs,-OTs,および-OSO2CF3からなる群から選択され、
並びに、R1,R2,R3,R4,R5,R6,X3,およびYは、本明細書に定義されるのと同じ意味を有する、
を含む。
【0110】
好ましくは、ステップB1)は、ステップB1-1)およびB1-2)を含み、これらのステップB1-1)およびB1-2)は、ワンポットシステムで行われる。ステップB1-2)は、スキーム2に示されるように、続くステップB1-2a)~B1-2d)をさらに含む。したがって、ステップB1)は、ステップB1-1)、B1-2a)、B1-2b)、B1-2c)およびB1-2d)を含む。ステップB1)において、全てのステップB1-1)、B1-2a)、B1-2b)、B1-2c)およびB1-2d)は、次の通りワンポットシステムで行われる:
B1-1)ベンズアルデヒド(3a)とベータケトエステル(1a)および尿素(2a)との三成分反応を行い、中間体化合物(Ib)を得ること、
【0111】
【化37】
B1-2a)(Ib)の-X
3-Ac基からアセチル基を除去し、中間体化合物(Ib-1)を得ること
【0112】
【化38】
B1-2b)中間体化合物(Ib-1)の分子内環化反応を行い、中間体化合物(Ib-2)を得ること
【0113】
【化39】
B1-2c)(Ib-2)のCO
2R’からR’基を除去し、中間体化合物(Ib-3)を得ること
【0114】
【化40】
B1-2d)中間体化合物(Ib-3)からCO
2H基を除去し、式(I-1)の化合物であって、
【0115】
【0116】
【化42】
を有する式(I-1)の化合物を得ること。
【0117】
あるいは、ステップB1-1)およびB1-2)を分離して行うことができる。この場合において、ステップB1-1)後に、中間体化合物(Ib)を単離してもよく、または任意にさらなる精製ステップB1-1a)を、中間体化合物(Ib)を得るために行ってもよく、ステップB1-1a)は得られた中間体化合物(Ib)を精製する。
【0118】
【0119】
【0120】
ステップB2)は、ステップB2-1)およびB2-2)を含み、これらのステップB2-1)およびB2-2)は、ワンポットシステムで行われる。ステップB2-2)は、スキーム3に示されるように、続くステップB2-2a)~B2-2d)をさらに含む。したがって、ステップB2)は、ステップB1-1)、B1-2a)、B1-2b)、B1-2c)およびB1-2d)を含む。ステップB1)において、全てのステップB1-1)、B1-2a)、B1-2b)、B1-2c)およびB1-2d)は、次の通りワンポットシステムで行われる:
B2-1)ベンズアルデヒド(3b)とベータケトエステル(1a)および尿素(2a)との三成分反応を行い、中間体化合物(Ib)を得ること、
【0121】
【化45】
B2-2a)(Ic)の-X
3-Ac基からアセチル基を除去し、中間体化合物(Ic-1)を得ること
【0122】
【化46】
B1-2b)中間体化合物(Ic-1)の分子内環化反応を行い、中間体化合物(Ic-2)を得ること
【0123】
【化47】
B1-2c)(Ic-2)のCO
2R’からR’基を除去し、中間体化合物(Ib-3)を得ること
【0124】
【化48】
B1-2d)中間体化合物(Ic-3)からCO
2H基を除去し、式(Ia)の化合物であって、
【0125】
【0126】
【化50】
を有する、式(Ia)の化合物を得ること。
【0127】
あるいは、ステップB2-1)およびB2-2)を分離して行うことができる。この場合において、ステップB2-1)後に、中間体化合物(Ic)を単離してもよく、または任意にさらなる精製ステップB2-1a)を、中間体化合物(Ib)を得るために行ってもよく、ステップB2-1a)は得られた中間体化合物(Ic)を精製する。
【0128】
したがって、本発明の化合物を、以下の合成ステップの組み合わせのいずれか1つによって生成してもよい。
ステップA)→B1);
ステップA)→B1-1)→B1-2);
ステップA)→B1-1)→B1-1a)→B1-2);
ステップA)→B1-1)→B1-2a)→B1-2b)→B1-2c)→B1-2d);
ステップA)→B1-1)→B1-1a)→B1-2a)→B1-2b)→B1-2c)→B1-2d);
ステップA)→B2)→C);
ステップA)→B2-1)→B2-2)→C);
ステップA)→B2-1)→B2-1a)→B2-2)→C);
ステップA)→B2-1)→B2-2a)→B2-2b)→B2-2c)→B2-2d)→C);
ステップA)→B2-1)→B2-1a)→B2-2a)→B2-2b)→B2-2c)→B2-2d)→C)。
【0129】
本発明の化合物を、スキーム4に示されるようにさらなる代替的な合成方法によって合成してもよい。
【0130】
【0131】
本発明の合成方法は、
A)ベータケトエステル(1a)および尿素(2b)を提供すること
【0132】
【化52】
B3)ベンズアルデヒド(3a)をベータケトエステル(1a)および尿素(2a)と反応させ
【0133】
【0134】
【0135】
【化55】
を表す、式(I-4)の化合物を得ること
D1)化合物(I-4)をX
6-(CH
2)
n-Bと反応させ、化合物(I-1)を得ること
【0136】
【0137】
ステップB1)、B1-1)、B2)、B2-1)、B3)の3成分反応は、触媒、特にクロロトリメチルシラン(TMSCl)の存在下、非プロトン性極性溶媒中で、0℃~40℃、好ましくは5℃~35℃、より好ましくは10℃~30℃、最も好ましくは15℃~25℃の範囲の温度で行われる。好ましくは、非プロトン性極性溶媒はDMFである。
【0138】
中間化合物を単離し得る場合、ステップB1-1a)またはB1-2a)を行ってもよい。ステップB1-2a)またはB2-2a)において、アセチル基は、極性溶媒中で塩基を用いて処理することにより除去される。好ましくは、ステップB1-2a)またはB2-2a)において、アセチル基は、MeOH中にNaHCO3を有する溶液を用いて、30℃~65℃、好ましくは35℃~50℃、より好ましくは35℃~45℃、最も好ましくは40℃の範囲の温度で処理することによって除去される。同じ条件下で、分子内環化反応工程B1-2b)またはB2-2b)を行う。
【0139】
ステップB1-2c)およびB2-2c)において、エステル基CO2R’は、水性溶媒中で塩基を用いて、30℃~65℃、好ましくは35℃~50℃、より好ましくは35℃~45℃、最も好ましくは40℃の範囲の温度で処理することによりCO2Hに変換される。好ましくは、塩基は、5当量~30当量、好ましくは10当量~20当量、より好ましくは13当量~17当量、最も好ましくは15当量のモル比でLiOHまたはNaOHであり、水性溶媒は、水およびTHFの混合物(1:1)である。
【0140】
ステップB1-2d)またはB2-2d)において、CO2H基は、40℃~100℃、好ましくは50℃~90℃、より好ましくは70℃~90℃、最も好ましくは80℃~85℃の範囲の温度で酸を用いて処理することによって除去される。好ましくは、酸はHClまたはH2SO4である。
【0141】
ステップC)において、化合物R3-L(4a)は、非プロトン性極性溶媒中、好ましくはアセトニトリル中、50℃~100℃、好ましくは60℃~90℃、より好ましくは70℃~90℃、最も好ましくは80℃~85℃の範囲内の温度で、塩基の存在下で化合物(Ia)と結合される。好ましくは、LはCl、Br、またはIであり、塩基はNa2CO3、またはK2CO3である。
【0142】
ステップD1)において、X6-(CH2)n-Bを有する化合物(I-4)は、カップリング試薬および塩基の存在下で中間化合物(I-4)と結合される。化合物(I-4)の官能基X5およびX6が、X4としてアミド結合を形成する場合、公知のカップリング試薬および塩基のいずれかを使用することができる。好ましいカップリング試薬は、HOSu、DCC、DIC、EDC、BOP、PyAOP、PyBOP、PyBrOP、TBTU、HBTU、HATU、COMU、またはTFFHである。好ましくは、塩基は、ジイソプロイルエチルアミン(DIPEA)、DMAPまたはN-メチルモルホリン(NMM)である。
【0143】
化合物(I-4)の官能基X5およびX6が、X4としてスルホンアミド結合を形成する場合、X5またはX6のスルホン酸(-SO3H)基は、好ましくは、塩化スルホニル(-SO2Cl)に活性化され、X6またはX5のアミンと結合される。
【0144】
[指示]
本発明の他の態様において、一般式(I)に係る化合物および一般式(I)に係る化合物の薬学的に許容可能な塩は、グルコース輸送体(GLUT)の阻害剤として使用される。前記グルコース輸送体は:GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、GLUT5、GLUT6、GLUT7、GLUT8、GLUT9-1、GLUT10、GLUT11-a、GLUT12、GLUT13(HMIT)およびGLUT14からなる群から選択され、好ましくは、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4およびGLUT14からなる群から選択され、より好ましくはGLUT1、GLUT3、およびGLUT4からなる群から選択され、最も好ましくはGLUT1およびGLUT3からなる群から選択される。
【0145】
したがって、一般式(I)に係る化合物および一般式(I)に係る化合物の薬学的に許容可能な塩は、複数のGLUT、好ましくはGLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4およびGLUT14、より好ましくはGLUT1、GLUT3およびGLUT4、最も好ましくはGLUT1およびGLUT3の阻害剤として使用される。
【0146】
驚くべきことに、一般式(I)に係る化合物および一般式(I)に係る化合物の薬学的に許容可能な塩は、他のグルコース輸送体、特にGLUT4と比較して、GLUT1およびGLUT3を選択的に阻害することが判明した。したがって、一般式(I)に係る化合物および一般式(I)に係る化合物の薬学的に許容可能な塩は、GLUT1およびGLUT3の選択的阻害剤として使用される。
【0147】
本明細書で使用されるように、グルコース輸送体「阻害剤」は、グルコース輸送体の量および/または活性を下方調節、減少、抑制、または他の方法で調節することができる任意の化合物に関する。これらのグルコース輸送体の阻害は、グルコース輸送体ポリペプチドに直接結合すること、グルコース輸送体を変性または他の方法で不活性化すること、またはグルコース輸送体をコードする遺伝子の発現を阻害すること(例えば、mRNAへの転写、新生ポリペプチドへの翻訳、および/または成熟タンパク質への最終的なポリペプチド修飾)を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の様々なメカニズムのいずれかによって達成されることができる。一般的に、グルコース輸送体阻害剤は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、または他の化学的部分であってもよい。
【0148】
本明細書で使用されるように、用語「阻害する」または「阻害」は、酵素の活性、または酵素もしくはタンパク質の発現、および/またはウイルス複製を少なくとも部分的に下方調節、減少、低減、抑制、不活性化、または阻害する化合物の能力に関する。
【0149】
本発明のさらなる態様において、一般式(I)に係る化合物は、薬剤として使用される。
好ましくは、一般式(I)に係る化合物は、GLUT1および/またはGLUT3によって引き起こされる、または関連する疾患の予防または治療に使用される。
【0150】
本発明の一実施形態は、代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、増殖性疾患、特に癌または癌の転移の予防または治療に使用するための一般式(I)の化合物に関する。
【0151】
[代謝性疾患]
代謝性疾患は、1型および2型糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高インスリン血症、脂質異常症、および高コレステロール血症、肥満、高血圧、網膜変性、または網膜剥離からなる群から選択される。
【0152】
[免疫疾患]
本発明の他の態様は、免疫疾患、神経免疫学的疾患、および自己免疫疾患の予防および/または治療のための、一般式(I)の化合物および/または一般式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0153】
免疫疾患は、例えば、喘息および糖尿病、リウマチ性および自己免疫性疾患、エイズ、移植された器官および組織の拒絶(以下を参照)、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、骨粗鬆症、潰瘍性大腸炎、副鼻腔炎、紅斑性狼瘡、再発性感染症、アトピー性皮膚炎/湿疹および職業性アレルギー、食物アレルギー、薬物アレルギー、重度のアナフィラキシー反応、アナフィラキシー、およびアレルギー性疾患の他の兆候など、並びに例えば、抗体欠乏状態を含む一次免疫不全、細胞媒介免疫不全(例えば、重度の複合免疫欠損、ディジョージ(DiGeorge)症候群、高(Hyper)-IgE症候群、ウィスコット-アルドリッチ(Wiskott-Aldrich)症候群、運動失調-毛細血管拡張症)、免疫介在性癌、および白色細胞欠損などのような珍しい疾患などである。
【0154】
自己免疫疾患において、例えば、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、免疫介在性または1型糖尿病、免疫介在性糸球体腎炎、強皮症、悪性貧血、脱毛症、天疱瘡、尋常性天疱瘡、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、自己免疫性甲状腺疾患、および橋本病、皮膚筋炎、グッドパスチャー(goodpastture)症候群、重症偽麻痺性筋無力症、交感性眼炎、ファコジェン(phakogene)ブドウ膜炎、慢性侵攻性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫溶血性貧血、ウェルロフ(Werlof)病などがあり、特定細胞が自身の組織および臓器を抑制不能に攻撃し(自己免疫)、炎症反応および他の重大な症状および病気を引き起こす。
【0155】
橋本甲状腺炎は、最も一般的な自己免疫疾患の1つである。「自己免疫疾患」は、内分泌腺(甲状腺など)から腎臓などの臓器、および消化器系まで、あらゆるものに影響を与え得る80を超える慢性疾患のカテゴリーに関する。
【0156】
多くの異なる自己免疫疾患があり、それらは、それぞれ異なる方法で体に影響を与え得る。例えば、自己免疫反応は、多発性硬化症の脳およびクローン病の腸に向けられる。全身性紅斑性狼瘡(狼瘡)などの他の自己免疫疾患において、影響を受ける組織や臓器は、同じ疾患を有する個々の間で異なってもよい。狼瘡を有する人は、皮膚および関節に影響を受け得るが、一方、別の人は、皮膚、腎臓、および肺に影響を受け得る。最終的に、免疫系による特定の組織への損傷は、1型糖尿病における膵臓のインスリン産生細胞の破壊と同様に、永続的であってもよい。
【0157】
[炎症]
さらに別の好ましい実施形態において、前記炎症は、好ましくは、サイトカインのTNF-α、IL-1β、GM-CSF、IL-6および/またはIL-8によって媒介される。
【0158】
上述のように、一般式(I)に係る化合物は、炎症性疾患の予防および/または治療のための薬学的に活性な薬剤である。したがって、これらの化合物は、ヒトを含む哺乳動物の炎症および炎症性疾患の予防および/または治療に使用される。
【0159】
炎症性疾患は、以下のリストに示されるように、侵入微生物による感染、または刺激性、外傷性、代謝性、アレルギー性、自己免疫性、もしくは特発性の原因から生じ得る感染性および非感染性の炎症状態から生じ得る。
I.急性感染症
A.ウイルス B.バクテリア
II.非感染性の原因
III.慢性(肉芽腫性)疾患
A.細菌 B.スピロヘータ
C.真菌性(真菌) D.特発性
IV.アレルギー性、免疫性、および特発性疾患
A.過敏性反応
B.免疫および特発性疾患
V.さまざまな炎症状態
A.寄生虫感染症
B.吸入原因:-急性(熱)傷害
-汚染および吸入アレルギー
-発がん性物質
C.放射線障害:-放射線壊死
したがって、本明細書に開示される化合物は、例えばウイルス、細菌、プリオン、および寄生虫などの侵入微生物によって引き起こされる炎症の予防および/または治療のために、並びに刺激性、外傷性、代謝性、アレルギー性、自己免疫性、または特発性の理由によって引き起こされる炎症の予防および/または治療のために使用されることができる。
【0160】
結果的に、開示された化合物は、炎症に関連する、または炎症に関与するウイルス、寄生虫、および細菌によって開始される、または引き起こされる炎症性疾患の予防および/または治療に有用である。
【0161】
次の細菌は、炎症性疾患を引き起こすことが知られている:肺マイコプラズマ(例えば慢性肺炎(CLD)、マウス慢性呼吸器疾患などの原因)、ウレアプラズマ ウレアリチカム(ureaplasma urealyticum)(新生児に肺炎を引き起こす)、肺炎マイコプラズマおよび肺炎クラミジア(慢性喘息を引き起こす)、C.ニューモニエ(pneumoniae)(アテローム性動脈硬化症、咽頭炎から蓄膿症を伴う肺炎、ヒト冠状動脈性心臓病を引き起こす)、ヘリコバクター ピロリ(ヒト冠状動脈性心臓病、胃潰瘍)。
【0162】
次のウイルスは炎症性疾患を引き起こすことが知られている:ヘルペスウイルス、特にサイトメガロウイルス(ヒト冠状動脈性心臓病を引き起こす)。
本明細書に開示される化合物は、前述の細菌またはウイルスによって引き起こされる、および/または誘発される、および/または開始される、および/または増強される炎症性疾患の予防および/または治療に有用である。
【0163】
さらに、式(I)の化合物は、中枢神経系(CNS)の炎症性疾患、炎症性リウマチ性疾患、血管の炎症性疾患、中耳の炎症性疾患、炎症性腸疾患、皮膚の炎症性疾患、炎症性疾患ブドウ膜炎、喉頭の炎症性疾患の予防および/または治療に有用である。
【0164】
中枢神経系(CNS)における炎症性疾患の例は、アルガル(algal)疾患、プロトテカ症(protothecosis)、細菌性疾患、膿瘍、細菌性髄膜炎、特発性炎症性疾患、好酸球性髄膜脳炎、ネコ灰白脳脊髄炎、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、髄膜炎、ステロイド反応性髄膜炎-動脈炎、様々な髄膜炎/髄膜脳炎、グレーハウンドにおける髄膜脳炎、壊死性脳炎、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、シェーカードッグ(shaker dog)病、CNSにおける真菌性疾患、寄生性脳脊髄炎、プリオンタンパク質誘発性疾患、ネコ海綿状脳症、原生動物性脳炎-脳脊髄炎、トキソプラズマ症、ネオスポラ症、肉胞子虫症、エンセファリトゾーン症、トリパノソーマ症、アカントアメバ症、バベシア症、リーシュマニア症、リケッチア疾患、ロッキー山紅班熱、イヌのエールリヒア症、サケ中毒、ウイルス性疾患、オーエスキー(aujeszky’s)病、ボルナ病、イヌのヘルペスウイルス脳脊髄炎、イヌのジステンパー脳脊髄炎、幼若動物におけるイヌのジステンパー脳脊髄炎、慢性再発性脳脊髄炎、ワクチン接種後イヌジステンパー脳炎、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ感染性腹膜炎、ネコ白血病ウイルス、感染性イヌ肝炎、ラクロス(La Crosse)ウイルス脳炎、パルボウイルス脳炎、狂犬病、ワクチン接種後狂犬病、である。
【0165】
炎症性リウマチ性疾患の例は、関節リウマチ、強皮症、ループス、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ライター(Reiters’s)症候群、若年性関節リウマチ、滑液包炎、腱炎(tendinitis)(腱炎(tendonitis))、および線維筋炎である。
【0166】
血管の炎症性疾患の例は、血管炎、血管炎における自己抗体、顕微鏡的多発性血管炎、巨細胞動脈炎、高安動脈炎、中枢神経系における血管炎、閉塞性血栓血管炎(バージャー(Buerger’s)病)、細菌、真菌、および寄生虫感染に続く血管炎、血管炎および関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡における血管炎、特発性炎症性筋疾患における血管炎、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシスにおける全身性血管炎、血管炎および悪性腫瘍、並びに薬物誘発性血管炎である。
【0167】
中耳の炎症性疾患の例は、急性化膿性中耳炎、水疱性鼓膜炎、顆粒性中耳炎、および慢性化膿性中耳炎であり、それらは、粘膜疾患、真珠腫、またはその両方として現れることができる。
【0168】
炎症性腸疾患の例は、潰瘍性大腸炎、クローン病である。
皮膚の炎症性疾患の例は、急性炎症性皮膚炎、じんましん(urticaria)(じんましん(hives))、海綿状皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、多形紅斑(EMマイナー(minor))、スティーブンス-ジョンソン(Stevens-Johnson)症候群(SJS、EMメジャー(major))、中毒性表皮壊死症(TEN)、慢性炎症性皮膚炎、乾癬、扁平苔癬、円板状紅斑性狼瘡、および尋常性ざ瘡である。
【0169】
ブドウ膜炎は、眼の中および/または眼の表面にある炎症であり、体の他の場所の炎症に関連してもよい。ほとんどの場合、患者は、体の他の場所の疾患の一部としてブドウ膜炎を患っており、その病気を認識する。ブドウ膜炎を有する患者の大多数は、明らかな関連する全身性疾患を持っていない。ブドウ膜炎の原因は、感染性の原因、仮面症候群、疑わしい免疫介在性疾患、および/または主に眼に限られた症候群であることができる。
【0170】
次のウイルスは炎症に関連している:ヒト免疫不全ウイルス-I、単純ヘルペスウイルス、帯状疱疹ウイルス、およびサイトメガロウイルス。
細菌またはスピロヘータによって引き起こされる、誘発される、開始される、および/または増強される炎症は、結核、ハンセン病、プロプリオノバクテリウム(proprionobacterium)、梅毒、ウィップル(Whipple’s)病、レプトスピラ症、ブルセラ症、およびライム病である。
【0171】
寄生虫(原生動物または蠕虫)によって引き起こされる、誘発される、開始される、および/または増強される炎症は、トキソプラズマ症、アカントアメバ(acanthameba)、トキソカラ症、嚢虫症、オンコセルカ症である。
【0172】
真菌によって引き起こされる、誘発される、開始される、および/または増強される炎症性疾患の例は、ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、カンジダ症、アスペルギルス症、スポロトリコーシス、ブラストミセス症、およびクリプトコッカス症である。
【0173】
仮面症候群は、例えば、白血病、リンパ腫、網膜色素変性症、および網膜芽腫である。
疑わしい免疫介在性疾患は、強直性脊椎炎、ベーチェット病、クローン病、薬物または過敏性反応、間質性腎炎、若年性関節リウマチ、川崎病、多発性硬化症、乾癬性関節炎、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシス、シェーグレン(Sjogren’s)症候群、全身性紅斑性狼瘡、潰瘍性大腸炎、血管炎、白斑、フォークト(Vogt)小柳原田症候群を含む群から選択されることができる。
【0174】
主に眼に限られる症候群は、例えば、急性多発性プラコイド色素性上皮症、急性網膜壊死、バードショット(birdshot)脈絡膜症、フックス(Fuch’s)虹彩異色性毛様体炎、緑内障毛様体炎発症、水晶体起因性ブドウ膜炎、多発性脈絡膜炎、毛様体扁平部炎、匍行性脈絡膜炎、交感性眼炎、および外傷である。
【0175】
喉頭の炎症性疾患の例は、胃食道(喉頭咽頭)逆流症、小児喉頭炎、成人の急性喉頭感染症、慢性(肉芽腫性)疾患、アレルギー性、免疫性、および特発性疾患、並びに様々な炎症状態である。
【0176】
小児喉頭炎は、例えば喉頭気管炎(クループ(croup))、声門上炎(喉頭蓋炎)、ジフテリアなどの急性(ウイルス性または細菌性)感染症として知られており、非感染性の原因は、例えば、痙性クループおよび外傷性喉頭炎である。
【0177】
成人の急性喉頭感染症は、例えば、ウイルス性喉頭炎、一般的な上気道感染症、喉頭気管炎、単純ヘルペス、細菌性喉頭炎、声門上炎、喉頭膿瘍、および淋病などである。
【0178】
慢性(肉芽腫性)疾患は、細菌性疾患、結核、らい病、硬化症、放線菌症、野兎病、鼻疽、スピロヘータ(梅毒)症、真菌性(真菌)疾患、カンジダ症、ブラストミセス症、ヒストプラズマ症、コクシジオイデス症、アスペルギルス症、特発性疾患、サルコイドーシス、およびウェゲナー(Wegener’s)肉芽腫症を含む群から選択され得る。
【0179】
アレルギー性、免疫性、および特発性疾患は、例えば、過敏反応、血管性浮腫、スティーブンス-ジョンソン(Stevens-Johnson)症候群、免疫性および特発性疾患、免疫抑制状態にある宿主における感染症、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、瘢痕性類天疱瘡、再発性多発性軟骨炎、シェーグレン(Sjogren’s)症候群、およびアミロイドーシスなどである。
【0180】
様々な炎症状態は、例えば、寄生虫感染症、旋毛虫症、リーシュマニア症、住血吸虫症、シンガムス喉頭炎(syngamus laryngeus)、吸入喉頭炎、急性(熱性)障害、汚染および吸入アレルギー、発癌物質、放射線障害、放射線喉頭炎、放射線壊死、音声酷使、声帯出血、筋肉緊張性発生障害、および接触潰瘍および肉芽腫などである。
【0181】
[増殖性疾患]
本明細書で使用される用語「増殖性疾患」は、腫瘍、癌、悪性腫瘍およびそれらの転移にも関する。さらに、良性増殖性疾患にも関し、良性増殖性疾患は、「質量効果」(重要な器官の圧迫または血管などの中空器官の閉鎖)を産生し有害になり得、または、内分泌組織の良性腫瘍にも関し、内分泌組織の良性腫瘍は、特定のホルモンを過剰産生し得る。
【0182】
増殖疾患および癌は、好ましくは、腺癌、脈絡膜メラノーマ、急性白血病、聴神経鞘腫、膨大部癌、肛門癌、星状細胞腫、基底細胞癌、膵臓癌、デスモイド腫瘍、膀胱癌、気管支癌、エストロゲン依存性および非依存性乳癌、バーキット(Burkitt’s)リンパ腫、コーパス(corpus)癌、CUP-症候群(原発不明の癌)、結腸直腸癌、小腸癌、小腸腫瘍、卵巣癌、子宮内膜癌、上衣腫、上皮癌型、ユーイング(Ewing’s)腫瘍、胃腸腫瘍、胃癌、胆嚢癌(gallbladder cancer)、胆嚢癌(gall bladder carcinomas)、子宮癌、子宮頸癌、神経膠芽細胞腫、婦人科腫瘍、耳、鼻、喉の腫瘍、血液学的腫瘍、毛様細胞白血病、尿道癌、皮膚癌、皮膚精巣癌、脳腫瘍(神経膠腫)、脳転移、睾丸癌、下垂体腫瘍、カルシノイド、カポシ(Kaposi’s)肉腫、喉頭癌、胚細胞腫瘍、骨癌、結腸直腸癌、頭頸部癌(耳、鼻、および喉の領域の腫瘍)、結腸癌、頭蓋咽頭腫、口腔癌(口の領域内および唇上の癌)、中枢神経系の癌、肝臓癌、肝臓転移、白血病、眼瞼腫瘍、肺癌、リンパ節癌(ホジキン(Hodgkin’s)/非ホジキン(Non-Hodgkin’s)リンパ腫)、リンパ腫、胃癌、悪性メラノーマ、悪性新生物、悪性腫瘍胃腸管、乳癌、直腸癌、髄芽細胞腫、メラノーマ、髄膜腫、ホジキン(Hodgkin’s)病、菌状息肉腫、鼻癌、神経鞘腫、神経芽細胞腫、腎癌、腎細胞癌、非ホジキンリンパ腫、乏突起膠腫、食道癌、溶骨性癌および骨形成癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、形質細胞腫、前立腺癌、咽頭癌、直腸癌、網膜芽細胞腫、膣癌、甲状腺癌、シュニーバーガー(Schneeberger)病、食道癌、脊髄腫、T細胞リンパ腫(菌状息肉腫)、胸腺腫、管癌、眼腫瘍、尿道癌、泌尿器腫瘍、尿路上皮癌、外陰癌、疣贅外観、軟部組織腫瘍、軟部組織肉腫、ウィルムス(Wilm’s)腫瘍、頸部癌、舌癌、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫、中皮腫、脳幹神経膠腫、視床下部神経膠腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、神経外胚葉性腫瘍、松果体腫瘍、子宮肉腫、唾液腺癌、肛門腺癌、マスト細胞腫瘍、骨盤腫瘍、尿管腫瘍、遺伝性乳頭状腎癌、散発性乳頭状腎癌、眼内メラノーマ、肝細胞癌(線維層板異型を伴うまたは伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)、混合肝細胞胆管癌、扁平上皮癌、悪性メラノーマ、メルケル(Merkel)細胞皮膚癌、非メラノーマ皮膚癌、下咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌、口腔癌、扁平上皮癌、口腔メラノーマ、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、横紋筋肉腫、悪性組織球症、線維肉腫、血管肉腫、血管周囲細胞腫、平滑筋肉腫、イヌ乳癌、およびネコ乳癌を含む、またはからなる群から選択される。
【0183】
好ましくは以下の癌の型である:慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、混合系統白血病を含むが限定されない白血病、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、結腸癌、大腸癌、胃(gastric)癌、肺癌、腎臓癌、メラノーマ、卵巣癌、膠芽細胞腫、膵臓癌、前立腺癌、胃(stomach)癌、皮膚癌、皮膚精巣癌、ホジキンリンパ腫、肝臓癌、肝臓転移および腎細胞癌。
【0184】
本発明のさらなる態様において、哺乳動物、特にヒトにおける前記代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主疾患、癌または転移を予防および/または治療するための方法が提供され、この方法は、前記代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主疾患、癌または転移を予防および/または治療するのに有効な、一般式(I)に係る少なくとも1つの化合物の特定の量を哺乳動物に投与することを含む。
【0185】
本発明のさらなる態様において、哺乳動物、特にヒトにおける代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌または転移を予防および/または治療するための複数の方法が提供され、それらの方法は、前記代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌または転移を予防および/または治療するのに有効な、一般式(I)および/または一般式(I)の薬学的に許容可能な塩に係る少なくとも1つの化合物の特定の量を哺乳動物に投与することを含む。
【0186】
したがって、本発明の他の態様は、一般式(I)に係る少なくとも1つの本発明の化合物および/または一般式(I)に係る少なくとも1つの本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩を、少なくとも1つの抗癌剤、特に少なくとも一つの上記薬物と共に含む薬物の組み合わせに関する。
【0187】
したがって、本発明の化合物は、代謝性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、炎症、移植片対宿主病、癌または転移の予防および/または治療のための医薬製剤の製造に使用される。
【0188】
本発明に係る医薬組成物または製剤は、有効成分として本発明に係る少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容可能(すなわち、非毒性の)担体、賦形剤および/または希釈剤と共に含む。本発明の医薬組成物は、従来の固体または液体の担体または希釈剤、および従来の薬学的に作製されたアジュバントで、適切な投与量レベルで、公知の方法で、調製されることができる。好ましい製剤は、経口投与に適合している。これらの投与形態は、例えば、ピル、錠剤、フィルム錠剤、被覆錠、カプセル、粉末および沈着物を含む。
【0189】
さらに、本発明は、皮膚、皮内(intradermal)、胃内、皮内(intracutan)、血管内、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、膣内、頬内、経皮、直腸、皮下、舌下、局所、または経皮投与を含む、非経口投与のための医薬製剤も含み、当該製剤は典型的なビヒクルおよび/または希釈剤に加えて、有効成分として本発明に係る少なくとも1つの化合物および/または本発明に係る少なくとも1つの化合物の薬学的に許容可能な塩を含む。
【0190】
有効成分として本発明に係る少なくとも1つの化合物および/または本発明に係る少なくとも1つの化合物の薬学的に許容可能な塩を含む本発明に係る医薬組成物は、一般的に、意図される投与形態に関して、すなわち、錠剤、カプセル(固体充填、半固体充填または液体充填のいずれか)、構成用粉末、ゲル、エリキシル、分散性顆粒、シロップ、懸濁液などの形態での経口投与のために選択された適切な担体材料と一緒に投与され、従来の製薬の慣行と一致するであろう。例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与のために、有効薬物成分を、任意の経口非毒性の薬学的に許容可能な担体と、好ましくはラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体充填カプセル)などの不活性担体と組み合わせてもよい。さらに、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤も、錠剤またはカプセルに組み込まれてもよい。粉末および錠剤は、有効成分として一般式(I)に係るピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン誘導体、または一般式(I)に係るピラゾロ[1,5-a][1,3,5]トリアジン誘導体の類似体化合物、またはそれぞれの薬学的に活性な塩を、約5重量%~約95重量%含んでもよい。
【0191】
適切な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびワックスなどの天然および合成ガムを含む。適切な潤滑剤の中には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられてもよい。適切な崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、グアーガムなどを含む。必要に応じて、甘味剤および香味剤並びに防腐剤も含まれてもよい。崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤などは、以下により詳細に記述される。
【0192】
さらに、本発明の医薬組成物は、治療効果、例えば抗ヒスタミン活性などを最適化するために、任意の1つ以上の成分または有効成分の速度制御放出を提供する徐放形態で製剤化されてもよい。徐放に適した剤形は、様々な崩壊速度の層を有する錠剤、または活性成分が含浸され、錠剤形態に成形された制御放出ポリマーマトリックス、または当該含浸された、もしくはカプセル化された多孔質ポリマーマトリックスを含むカプセルを含む。
【0193】
液体形態製剤は、溶液、懸濁液、およびエマルションを含む。一例として、非経口注射用の水または水/プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液、およびエマルション用の甘味料および乳白剤の添加が挙げられてもよい。液体形態製剤は、鼻腔内投与のための溶液も含んでもよい。
【0194】
吸入に適したエアロゾル製剤は、粉末形態の溶液および固体を含んでもよく、これらは、例えば不活性な圧縮ガス、例えば窒素などの薬学的に許容可能な担体と組み合わせて存在してもよい。
【0195】
坐剤を調製するために、カカオバターのような脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、最初に溶融され、次に有効成分は、例えば攪拌することによって、その中に均一に分散される。その後、溶融された均質な混合物を、都合のよいサイズの型に注ぎ、放冷することによって固化させる。
【0196】
経口投与または非経口投与用の液体形態の調製物に使用直前に変換されることを目的とする固体形態製剤も含まれる。当該液体形態は、溶液、懸濁液、およびエマルションを含む。
【0197】
本発明に係る化合物は、経皮的に送達されてもよい。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルションの形態を有してもよく、この目的のために当技術分野で公知のマトリックスまたは貯蔵(reservoir)型の経皮パッチに含まれてもよい。
【0198】
本明細書に記載のカプセルの用語は、有効成分を含む組成物を保持する、または含有するための、例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性ゼラチンまたはデンプンなどで作られた特定の容器またはエンクロージャ(enclosure)に関する。殻の堅いカプセルは、骨または豚皮からの比較的高いゲル強度のゼラチンを混合して作られる。カプセル自体は、少量の染料、不透明剤、可塑剤、および/または防腐剤を含んでもよい。
【0199】
錠剤において、圧縮された、または成形された固体剤形は、適切な希釈剤と共に有効成分を含むと理解される。錠剤は、湿式造粒、乾式造粒によって、または当業者によく知られた圧縮によって得られた混合物または顆粒物の圧縮によって調製されてもよい。
【0200】
経口ゲルは、親水性の半固体マトリックスに分散された、または可溶化された有効成分に関する。
構成用の粉末は、有効成分および適切な希釈剤を含む粉末混合物に関し、粉末混合物は、例えば、水またはジュースに懸濁されることができる。
【0201】
適切な希釈剤は、一般的に、組成物または剤形の大部分を構成する物質である。適切な希釈剤は、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトールなどの糖、小麦、トウモロコシ米、およびジャガイモに由来するデンプン、並びに微結晶性セルロースなどのセルロースを含む。組成物中の希釈剤の量は、全組成物の約5重量%~約95重量%、好ましくは約25重量%~約75重量%、およびより好ましくは約30重量%~約60重量%の範囲であることができる。
【0202】
崩壊剤の用語は、分解(崩壊)を支持し、薬剤の薬学的に活性な成分を放出するために組成物に添加される材料に関する。適切な崩壊剤は、デンプン、例えばカルボキシメチルデンプンナトリウムなどの「冷水溶性」修飾デンプン、例えばイナゴマメ、カラヤ、グアー、トラガカントおよび寒天などの天然および合成ガム、例えばメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、微結晶性セルロース、および例えばクロスカルメロースナトリウムなどの架橋結合微結晶性セルロース、例えばアルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、例えばベントナイトなどの粘土、および発泡性混合物を含む。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2重量%~約20重量%、より好ましくは約5重量%から約10重量%の範囲であってもよい。
【0203】
結合剤は、粉末粒子を結合する、または「接着する」、および顆粒を形成することによってそれらを凝集性にする物質であり、したがって、製剤において「接着剤」として機能する。結合剤は、希釈剤または充填剤においてすでに利用可能な凝集力を付加する。適切な結合剤は、スクロースなどの糖、小麦トウモロコシ米およびジャガイモに由来するデンプン、例えばアカシア、ゼラチンおよびトラガカントなどの天然ガム、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カルシウムアンモニウムなどの海藻の誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース材料、ポリビニルピロリドン、並びにマグネシウムアルミニウムシリケートなどの無機化合物を含む。組成物中の結合剤の量は、組成物の約2重量%~約20重量%、好ましくは約3重量%~約10重量%、およびより好ましくは約3重量%~約6重量%の範囲であってもよい。
【0204】
潤滑剤は、圧縮された後に錠剤顆粒などが摩擦または摩耗を低減することによって型(mould)または型(die)から放出することを可能にするために剤形に添加される物質のクラスに関する。適切な潤滑剤は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸カリウムなどの金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、高融点ワックス、並びに例えば塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびD,L-ロイシンなどの他の水溶性潤滑剤を含む。潤滑剤は、顆粒の表面に存在しなければならないので、圧縮前のまさに最後のステップで一般的に付加される。組成物中の潤滑剤の量は、組成物の約0.2重量%~約5重量%、好ましくは組成物の約0.5重量%~約2重量%、およびより好ましくは組成物の約0.3重量%~約1.5重量%の範囲であってもよい。
【0205】
流動促進剤は、医薬組成物の成分の粘結を防ぎ、顆粒の流動特性を改善して、流動が滑らかおよび均一になるようにする材料である。適切な流動促進剤は、二酸化ケイ素およびタルクを含む。組成物中の流動促進剤の量は、最終組成物の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.5重量%~約2重量%の範囲であってもよい。
【0206】
着色剤は、組成物または剤形に着色を提供する賦形剤である。当該賦形剤は、例えば粘土または酸化アルミニウムなどの適切な吸着剤に吸着された食品等級染料を含むことができる。着色剤の量は、組成物の約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~約1重量%で変化させてもよい。
【0207】
[実施例]
[化合物の調製]
本説明において使用される略語は、以下の意味を有する:
AcOH(酢酸),CDCl3(重水素化クロロホルム);cHex(シクロヘキサン);DCM(ジクロロメタン);DIPEA(N-エチル-N,N-ジイソプロピルアミン);DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、DMF(ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);eq(当量);ES(エレクトロスプレー);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);MeOH(メタノール);MeCN(アセトニトリル);MS(質量分析);NMR(核磁気共鳴);iPrOH(イソ-プロパノール);PCC(クロロクロム酸ピリジニウム);RT(室温);TMSCl(トリメチルシリルクロリド);TBTU[2(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート],THF(テトラヒドロフラン)。
【0208】
空気または水分に敏感な試薬または中間体を含む全ての反応は、窒素雰囲気下で標準的なシュレンクライン(Schlenk line)技術に従って実行され、全てのガラス器具を、使用前に高真空下で熱線銃によって乾燥させた。乾燥溶媒を、無水品質でアクロス(Acros)社から得て、さらに精製することなく使用した。全ての他の溶媒または試薬を、標準的な手順に従って精製し、または、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)社、アルファ エイサー(Alfa Aesar)社、アクロス(Acros)社、アクチベート サイエンティフィック(Activate Scientific)社、マトリックス サイエンティフィック(Matrix Scientific)社、コンビ ブロックス(Combi Blocks)社、フィッシャー サイエンティフィック(Fisher Scientific)社、メルク(Merck)社、およびTCI社から得たままで使用した。ミリ(Milli)-Q等級の水を、すべての実験に使用した。クロマトグラフィー用の溶媒は、工業等級であった。
【0209】
TLCを、プレ被覆されたメルク(Merck)シリカゲル60 F254ガラスプレートを使用して行い、化合物の検出を、UV254光および/またはKMnO4の溶液(400mLのH2O中に1.5g、5gNaHCO3)に浸し、続いて、熱線銃を用いて加熱することによって行った。カラムクロマトグラフィーを、アクロス オーガニクス(Acros Organics)社からのシリカゲル(40~65μm、230~400メッシュ)を使用して行った。溶媒混合物は、体積/体積として理解される。使用した溶離液は、各節に記述される。
【0210】
1H-NMRおよび13C-NMRは、溶媒としてCDCl3、DMSO-d6、またはCD3ODを用いて、ブルカー(Bruker)DRX400(400MHz)、ブルカー(Bruker)DRX500(500MHz)に記録され、およびイノーバ(INOVA)500(500MHz)またはイノーバ(INOVA)600に記録され、およびバリアン(Varian)社(マーキュリー(Mercury)400MHz)の装置に記録された。データは、次の単位で報告される:化学シフト(δ)値は、内部標準として溶媒共鳴を用いてppmで報告される(CDCl3:1Hの場合δ=7.26ppm、13Cの場合δ=77.16ppm)、(DMSO-d6:1Hの場合δ=2.50ppm、13Cの場合δ=39.52)、(CD3OD:1Hの場合δ=3.31ppm、13Cの場合δ=49.00ppm)、多重度はbs(ブロードシングレット)、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、dd(ダブレットダブレット)、dt(ダブレットトリプレット)で示される;結合定数(J)はヘルツ(Hz)で表される。特に明記されない限り、全てのNMRは室温で測定された。可能な場合、構造帰属を、標準2-D NMR技術(gCOSY、gHSQC、gHMBC)を使用して試みた。
【0211】
分取HPLC-MS:分離を、逆相C18カラムを備えた分取質量直結(mass-directed)HPLC(アジレント(Agilent)シリーズ,1100/LC/MSD VL,アジレント(Agilent)シリーズ)を用いて行った(流速20.0mL/分,溶媒A:水中に0.1%TFA,溶媒B:アセトニトリル中に0.1%TFA)。
【0212】
高分解能質量スペクトルは、アクセラ(Accela)HPLC-システム(HPLCカラム:ハイパーシル(Hypersyl)ゴールド(GOLD),50mm×1mm,粒子サイズ1.9μm、イオン化法:エレクトロスプレーイオン化)に連結されたLTQ オービトラップ(Orbitrap)質量分析計で記録された。
【0213】
旋光度を、シュミット+ヘンシュポーラトロニック(Schmidt+Haensch Polartronic)HH8旋光計で測定した。鏡像体過剰率を、キラル固定相カラムを使用するHPCL分析によって決定した(カラム:下記のとおり;溶離液:下記のとおり)。キラルHPLC法は、対応するラセミ混合物を用いて較正した。化学収率は、純粋に単離された物質に関する。
【0214】
[一般的な手順]
A.尿素形成
【0215】
【0216】
一般的な例において、KOCN(5ミリモル,5eq.)を、H2O-AcOH(2:1,10mL,0.1M)中にアミン(1ミリモル,1eq.)を有する撹拌溶液に加え、室温で撹拌した。18時間後、固体が形成され、反応混合物を0℃に冷却し、真空内で濾過した。無定形固体を、冷H2O(2×20mL)を用いて洗浄した。固体を収集し、乾燥させ、さらに精製することなく直接使用した。
【0217】
B.フェノールアセチル化
【0218】
【0219】
一般的な例において、無水酢酸(200μL,2.1mmol,1.05eq.)を、トルエンまたはCH2Cl2中に、フェノール(2mmol,1eq.)およびDMAP(24mg,0.2mmol,0.1eq.)を有する撹拌溶液に加え、混合物を室温で撹拌した。20時間後、反応混合物を真空内で濃縮し、シリカカラム(2mmolスケール、6cm×Φ2cm)に通して石油エーテル中に50%EtOAcを有する溶液(300mL)を用いて溶出して濾過した。溶離液を収集し、真空内で濃縮し、粗生成物を得て、これをさらに精製することなく直接使用した。
【0220】
C.ビギネリ反応
【0221】
【0222】
一般的な実施例において、トリメチルクロロシラン(770μL,6mmol,6eq.)を、DMF(1mL,1M)中に適切な尿素(1mmol,1eq.)、アルデヒド(1mmol,1eq.)およびメチルアセトアセテート(180μL,1.5mmol,1.5eq.)を有する攪拌溶液に滴下し、得られた混合物を室温で撹拌した。18時間後、反応を、H2O(2mL)を用いてクエンチし、およびEtOAc(40mL)を用いて希釈した。有機層を、H2O(5×20mL)、飽和LiCl水溶液(1×20mL)および飽和NaCl水溶液(1×20mL)を用いて連続的に抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮し、粗生成物を得た。
【0223】
D.脱保護、環化および脱カルボキシル化ワンポット(one-pot)工程
【0224】
【0225】
一般的な実施例において、飽和NaHCO3水溶液(10mL)を、MeOH(10mL)中にジヒドロピリミジノン(ビギネリ生成物、1mmol)を有する撹拌溶液に加え、得られた懸濁液を40℃に加熱した。16時間後、反応混合物を、室温に冷却し、真空内で濃縮した。粗生成物を、THF-H2O(1:1,10mL,0.1M)を用いて希釈し、LiOH(各メチルエステル基に対して15eq.)を加え、反応混合物を40℃に加熱した。18時間後、反応混合物を室温に冷却し、真空内で半分の容量まで濃縮した。反応混合物を、1M HCl水溶液をゆっくりと加えることによりpH=1~2に酸性化し、80℃(プローブ温度82℃)に加熱した。6時間後、反応混合物を室温に冷却し、CHCl3-MeOH(8:2,5×20mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮し、粗生成物を得た。
【0226】
E.手順CとおよびDのテレスコープ結合(Telescoped combination)
【0227】
【0228】
ビギネリ反応を、一般手順Cに概説されるように行った。18時間後、反応を、H2O(2mL)を用いてクエンチし、EtOAc(40mL)を用いて希釈した。有機層を、H2O(5×20 mL)、飽和LiCl水溶液(1×20mL)および飽和NaCl水溶液(1×20mL)を用いて連続的に抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮し、粗生成物を得て、粗生成物を一般手順Dに概説された条件に直接置いて、粗生成物を得た。
【0229】
F.アミドカップリング
【0230】
【0231】
一般的な実施例において、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU,1.5eq.)を、DMF(4mL,0.25M)中に酸(1mmol、1eq.)およびDIPEA(1.5eq.)を有する攪拌溶液に室温で加えた。1時間後、アミンを加え(1.2eq.)、得られた混合物を、室温で撹拌した。18時間後、H2O(20mL)を加え、混合物を、EtOAc(80mL)を用いて希釈し、層を分離した。有機層を、H2O(5×40mL)、飽和LiCl水溶液(1×40mL)および飽和NaCl水溶液(1×40mL)を用いて連続的に抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮し、粗生成物を得た。
【0232】
G.フェノールアルキル化
【0233】
【0234】
一般的な実施例において、芳香族/ヘテロ芳香族ハロゲン化アルキル(0.1mmol,1eq.)を、MeCN(200μL,0.5M)中にフェノール(0.1mmol,1eq.)およびK2CO3(0.2mmol,2eq.)を有する攪拌溶液に添加し、加熱還流した(プローブ温度85℃)。4時間後、反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮して粗生成物を得た。
【0235】
H.エナンチオ選択的ビギネリ反応
キラルリン酸74の調製
【0236】
【0237】
Klussmannらによって記述された工程(Synlett2010,2010(14),2189)に従って、キラルリン酸を、(S)-(-)-3,3’-ジブロモ-1,1’-ビ-2-ナフトールから、3ステップで52%の収率で調製した。ヨードメタン(560mL,9.0mmol)を、アセトン(21mL,0.11M)中にナフトール(1.00g,2.3mmol)および炭酸カリウム(1.03g,7.4mmol)を有する撹拌懸濁液に加え、得られた混合物を、加熱還流(83℃)した。18時間後、反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。粗生成物を、H2O(21mL)で再希釈し、室温で撹拌した。2時間後、混合物を濾過してH2O(2×10mL)を用いて溶出し、亜黄色の固体71を収集した(1.1g,99%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):d8.19(2H,s),7.74(2H,d,J8.4Hz),7.34(2H,dt,J7.4および1.1Hz),7.19(2H,dt,J7.4および1.1Hz),7.00(2H,d,J8.4Hz),3.43(6H,s)。
【0238】
メチル化ジブロモビナフトール71(1.1g,2.34mmol)をEt2O(14mL,0.17M)で希釈し、Ni(PPh3)2Cl2(153mg,0.23mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。フェニルマグネシウムブロミド(8.8mL、CPME中に1.6M)を10分かけて滴下し、得られた混合物を加熱還流した(37℃)。23時間後、反応混合物を室温に冷却し、その後0℃に冷却し、1M HCl水溶液(16mL)を注意深く滴下することによってクエンチした。混合物を、Et2O(4×10mL)を用いて抽出し、合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮して、粗生成物72を得て、粗生成物72をさらに精製することなく直接使用した。粗生成物を、乾燥CH2Cl2(59mL,0.04M)で希釈し、0℃に冷却した。BBr3(1.6mL,16.4mmol)を、アルゴン雰囲気下で反応混合物にゆっくりと滴下して加えた。得られた混合物を撹拌し、室温に温めた。18時間後、反応混合物を0℃に冷却し、反応を、H2O(20mL)を注意深く加えることによってクエンチした。得られたスラリーを、室温で1時間撹拌し、CH2Cl2(4×20mL)を用いて抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮して、粗生成物を得た。シクロヘキサン中に2~4%のEtOAcを有する溶液で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、ビス-フェニルビナフトール73(620mg,1.42mmol,60%)をわずかに黄色の無定形固体として得た。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.09(2H,s),7.98(2H,d,J8.1Hz),7.82-7.77(4H,m),7.57-7.51(4H,m),7.49-7.41(4H,m),7.40-7.34(2H,m),7.33-7.28(2H,m),5.42(2H,s)。ビス-フェニル-ビナフトール73(620mg,1.4mmol)をピリジン(2.8mL,0.5M)で希釈し、POCl3(390mL,4.3mmol)を加え、反応混合物を加熱還流した(120℃)。18時間後、反応混合物を室温に冷却し、およびH2O(2.8mL)を加え、得られたスラリーを加熱還流した(103℃)。3時間後、反応混合物を室温に冷却し、濃HCl溶液をゆっくりと加えることにより、pH約1に酸性化した。CH2Cl2(20mL)を加え、層を分離した。有機層を1M HCl溶液(4×20mL)を用いて洗浄し、後処理および抽出手順の間中ずっとpHが強酸性であることを確認して、生成物を遊離酸の形で分離した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮して、74を粗生成物として得て、74は、さらなる精製の必要はなかった。以前に報告されたものと一致する分光分析データを有する無定形固体(623mg,1.24mmol,88%)。(Hatano,M.et al.,Advanced Synthesis&Catalysis 2008,350(11-12),pp.1776.;Li,N.et al.,Journal of the American Chemical Society 2009,131(42)、pp.15301)1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.94(2H,m),7.55(4H,d,J7.8Hz),7.45(2H,app t,J7.8Hz),7.35(2H,d,J7.8Hz),7.29-7.22(4H,m),7.18-7.05(6H,m)。
【0239】
エナンチオ選択的ビギネリ反応
Li N.ら(Advanced Synthesis&Catalysis 2008,350(11-12),pp.1776)の方法によって、尿素2(194mg,1mmol)、アルデヒド3(312mg,1.5mmol)および(S)-(-)-3,3’-ビスフェニル-1,1’-ビ-2-ナフチルリン酸74(125mg,0.25mmol)を、PhMe(7.7mL,0.17M)中で、室温で撹拌した。1時間後、反応混合物を30℃に加熱した。1時間後、アセト酢酸メチル(540mL、5mmol)を加え、反応混合物を40℃に加熱した。6日後、反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮して粗生成物を得た。ヘキサン中に20~40%のEtOAcを有する溶液を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、エナンチオリッチ(enantioenriched)な(S)-DHMP,4を得た。
【0240】
【0241】
エナンチオリッチな生成物の合成
【0242】
【0243】
エナンチオリッチな(S)-DHMP,4(200mg,0.4mmol)は、2-(p-トリル)-エチルアミンを使用して、一般手順Eに供され、続いて一般手順Fを直接行った。H2O中に10-100%MeCNを有する(TFAなし)溶液を用いて溶出する分取HPLCによる精製により、ラセミ体クロモピノン-1のデータと一致する分光データを有するエナンチオリッチな(-)-(R,R)-クロモピノン-1を無色の無定形固体として得た(45mg,0.19mmol,4ステップで46%)。[α]D23=-0.26゜(c=0.019,CHCl3)。生成物の鏡像体過剰率(40%)を、ヘキサン中に70%~80%の勾配を有する溶液(CH2Cl2中に2%EtOH)を用いて溶出するキラルパック(CHIRALPAK)-IAカラムでキラルHPLC分析によって決定した。
【0244】
[実施例1-1:2-アセトキシ-5-クロロ-ベンズアルデヒド,1-1の調製]
【0245】
【0246】
一般手順Bによって、5-クロロサリチルアルデヒド(783mg,5mmol)を使用する。淡黄色の固体(944mg,4.8mmol,95%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ9.97(1H,s,ホルミル-H),7.77(1H,d,J 2.6,Ph-6H),7.50(1H,dd,J8.6および2.6Hz,Ph-4H),7.08(1H,d,J8.6Hz,Ph-3H),2.32(3H,s,Ac-2H3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ187.3(ホルミル-C),169.0(Ac-C1),150.1(Ph-C2),135.1(Ph-C6),132.3(Ph-C5),130.4(Ph-C4),129.0(Ph-C2),125.0(Ph-C3),20.7(Ac-C2)。HRMS(ESI):C9H8O3Cl[M+H]+;必要値:199,0156;実測値:199,0153。
【0247】
[実施例1-2:2-アセトキシ-4-メトキシ-ベンズアルデヒド,1-2の調製]
【0248】
【化68】
一般手順Bによって、4-メトキシサリチルアルデヒド(761mg,5mmol)を使用する。淡黄色油(893mg,4.6mmol,92%)。
1HNMR(500MHz,CDCl
3):δ9.93(1H,s,ホルミル-H),7.80(1H,d,J8.6,Ph-6H),6.89(1H,dd,J8.8および2.2Hz,Ph-5H),6.67(1H,d,J2.2Hz,Ph-3H),3.87(3H,s,J6.9,O-CH
3),2.38(3H,s,Ac-2H
3)。
13CNMR(125MHz,CDCl
3):δ187.4(ホルミル-C),169.0(Ac-C1),165.2(Ph-C4),153.2(Ph-C2),133.4(Ph-C6),121.7(Ph-C1),112.7(Ph-C5),108.9(Ph-C3),55.9(O-CH
3),20.7(Ac-C2)。HRMS(ESI):C
10H
11O
4[M+H]
+;必要値:195,0652;実測値:195,0651。
【0249】
[実施例1-3:2,3-ジアセトキシベンズアルデヒド,1-3の調製]
【0250】
【0251】
一般手順Bによって、2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド(552mg,4mmol)を使用する。淡黄色の無定形固体(732mg,3.29mmol,82%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ10.06(1H,s,CHO),7.75(1H,dd,J7.6および1.9Hz,Ph-6H),7.46(1H,dd,J8.1および1.9Hz,Ph-4H),7.41(1H,app t,J7.6Hz,Ph-5H),2.38(3H,s,2-OAc-CH3),2.31(3H,s,2-OAc-CH3)。HRMS(ESI):C11H10O5Na[M+Na]+;必要値:245.0420;実測値:245.0421。
【0252】
[実施例1-4:2-メルカプトベンズアルデヒド,1-4の調製]
【0253】
【0254】
Chun Ling Tungらの方法(Organic&Biomolecule Chemistry 2015,13(25),6922)によって,2-メルカプトベンジルアルコール(3.0g,21.5mmol)を、CH2Cl2(10mL)の溶液として、CH2Cl2(50mL)中にクロロクロム酸ピリジニウムの撹拌懸濁液に加え、反応混合物を室温で撹拌した。4時間後、反応混合物を、セライトパッドに通して濾過し、CH2Cl2(5×10mL)を用いて溶出し、濾液を収集し、真空内で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、DMF(50mL)を用いて希釈し、MeOH(50mL)およびH2O(30mL)を加えた。トリフェニルホスフィン(8.4g,32.1mmol)を溶液に加え、反応混合物を室温で撹拌した。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、撹拌した。30分後、H2O(50mL)およびEt2O(100mL)を加え、層を分離した。有機層をH2O(3×50mL)および飽和NaCl(2×50mL)を用いて洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮して、粗生成物を得た。石油エーテル中に10%EtOAc(Rf=0.32,90:10ぺトロール(Petrol)-EtOAc)を有する溶液を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、表題化合物を無色の液体として得た(2.01g,14.6mmol,2ステップで68%)。1HNMR(500MHz,CDCl3,以前に報告されたものと一致する):δ10.04(1H,s,CHO),7.71(1H,dd,J7.4および1.8Hz,Ph-6H),7.32-7.22(3H,m,Ph-4H,Ph-3HおよびPh-2H)。
【0255】
[実施例1-5:エタンチオ酸,S-(2-ホルミルフェニル)エステル、1-5の調製]
【0256】
【0257】
一般手順Bにより、2-メルカプトベンズアルデヒド(800mg,5.8mmol)を使用する。淡黄色の無定形固体(855mg,4.75mmol,82%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ10.26(1H,s,CHO),8.06(1H,dd,J7.7および1.6Hz,Ph-6H),7.65(1H,app dt,J7.7および1.6Hz,Ph-6H),7.60(1H,app t,J7.7,Ph-4H),7.52(1H,dd,J7.7および1.2Hz,Ph-3H),2.50(3H,s,S-Ac-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ192.5(S-Ac-C1),190.8(CHO),136.7(Ph-C1),136.5(Ph-C6),134.2(Ph-C5),131.0(Ph-C2),130.4(Ph-C4),129.2(Ph-C3),30.4(S-Ac-C2)。LCMS:MH+181.2。
【0258】
[実施例2-1:3-ウレイド安息香酸メチル,2-1の調製]
【0259】
【0260】
一般手順Aにより、3-アミノ安息香酸メチル(1.51g,10mmol)を使用する。無色の無定形固体(1.66g,8.55mmol,86%)。1HNMR(500MHz,MeOD):δ8.07(1H,t,J2.0Hz,Ph-2H),7.67-7.63(2H,m,Ph-4HおよびPh-6H),7.38(1H,app t,J7.9Hz,Ph-5H),3.91(3H,s,CO2CH3)。13CNMR(125MHz,MeOD):δ167.1(CO2CH3),157.8(NH2CONH),140.0(Ph-C1),130.5(Ph-C3),128.6(Ph-C5),123.2(Ph-C4またはPh-C6),123.0(Ph-C6またはPh-C4),119.5(Ph-C2),51.2(CH3)。HRMS(ESI):C9H10O3N2Na[M+Na]+;必要値:217.0584;実測値:217.0586。
【0261】
[実施例2-2:N-(4-メチルフェネチル)-3-ウレイドベンズアミド,2-2の調製]
【0262】
【0263】
一般手順Fにより、3-アミノ安息香酸塩(1.1g,8mmol,1.6当量)および2-(p-トリル)-エチルアミン(727μL,5mmol,1当量)を使用して、続いて一般手順Aを行い、さらなる精製は必要ない。無色の無定形固体(1.33g,4.5mmol,2ステップで90%)。1HNMR(500MHz,MeOD,NHは観察されない):δ7.78(1H,s,Bn-2H),7.54(1H,d,J7.8Hz,Bn-4H),7.38(1H,d,J8.2Hz,Bn-6H),7.43(1H,app t,J7.9Hz,Bn-5H),7.18-7.09(4H,m,Ph-2HおよびPh-3H),3.61-3.54(2H,m,N-Et-1H2),2.91-2.85(2H,m,N-Et-2H2),2.31(3H,s,Ph-4-CH3)。13CNMR(125MHz,MeOD):δ168.9(CONH),158.8(NH2CONH),139.8(Bn-C1),136.1(Ph-C4),135.5(Ph-C1),135.2(Bn-C3),128.7(Ph-C2),128.6(Ph-C3),128.4(Bn-C5),121.8(Bn-C4),120.8(Bn-C6),117.7(Bn-C2),41.4(N-Et-C1),31.8(N-Et-C2),19.3(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C17H20N3O2[M+H]+;必要値:298.1550;実測値:298.1556。
【0264】
[実施例2-3:3-チオウレイド安息香酸メチル,2-3の調製]
【0265】
【0266】
一般手順Aにより、3-アミノ安息香酸メチル(756g,5mmol)およびKSCN(1.95g,20mmol)を使用して、80℃に72時間加熱した。0℃に冷却した。無色の無定形固体(503mg,2.4mmol,48%)。1HNMR(500MHz,MeOD):δ8.02(1H,t,J1.8Hz,Bn-2H),7.84(1H,ddd,J7.7,1.6および2.1Hz,Bn-4H),7.64(1H,ddd,J8.0,1.6および2.1Hz,Bn-4H),7.38(1H,app t,J7.9Hz,Ph-5H),3.91(3H,s,CO2CH3)。13CNMR(125MHz,MeOD):δ181.6(NH2CONH),167.1(CO2CH3),140.0(Ph-C1),130.5(Ph-C3),128.6(Ph-C5),123.2(Ph-C4またはPh-C6),123.0(Ph-C6またはPh-C4),119.5(Ph-C2),51.2(CH3)。HRMS(ESI):C9H11N2O2S[M+H]+;必要値:211.0536;実測値:211.0536。
【0267】
[実施例2-4:N-(4-メチルフェネチル)-3-チオウレイドベンズアミド,2-4の調製]
【0268】
【0269】
水酸化リチウム(360mg,15mmol)を、THF-H2O(1:1,10mL,0.1M)中にエステル2-3(201mg,1mmol)を有する撹拌溶液に室温で加えた。19時間後、反応混合物を真空内で濃縮し、THFを除去し、1M HCl水溶液をゆっくり加えることによって、pH=0~1に酸性化し、粗混合物を凍結乾燥させた。粗生成物を、DMF(2.5mL,0.4M)を用いて、一般手順Fによって希釈し、その後、CH2Cl2中に2~4%MeOH(Rf=0.31,95:5 CH2Cl2-MeOH)を有する溶液を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。無色の無定形固体(350mg,0.88mmol,73%)。1HNMR(500MHz,MeOD,NHは観察されない):δ7.71(1H,app s,Bn-2H),7.57(1H,d,J7.9Hz,Bn-4H),7.50(1H,d,J8.1Hz,Bn-6H),7.43(1H,app t,J7.9Hz,Bn-5H),7.14-7.06(4H,m,Ph-2HおよびPh-3H),3.55(2H,d,J6.8Hz,N-Et-1H2),2.85(2H,d,J6.8Hz,N-Et-2H2),2.27(3H,s,Ph-4-CH3)。13C NMR(125MHz,MeOD):δ181.1(NH2CONH),168.1(CONH),139.8(Bn-C1),136.1(Ph-C4),135.5(Ph-C1),135.2(Bn-C3),128.7(Ph-C2),128.6(Ph-C3),128.4(Bn-C5),121.8(Bn-C4),120.8(Bn-C6),117.7(Bn-C2),41.4(N-Et-C1),31.8(N-Et-C2),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C17H20N3OS[M+H]+;必要値:314.1322;実測値:314.1322。
【0270】
[実施例2-5:3-(10-ヒドロキシ-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,2-5の調製]
【0271】
【0272】
一般手順Eにより、尿素5(149mg,0.5mmol)、アルデヒド1-3(111mg,0.5mmol)、アセト酢酸メチル(90μL,0.75mmol)、およびTMSCl(380μL,3mmol)を使用して、続いて、H2O中に10%~100%MeCN(TFAなし)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによる精製を行った。無色の無定形固体(122mg,0.27 mmol,4ステップで53%)。1HNMR(500MHz,MeOD,NHは観察されない):δ7.63(1H,dt,J7.9および1.3Hz,Bn-6H),7.44(1H,app s,Bn-2H),7.38(1H,app t,J7.9Hz,Bn-5H),7.26(1H,d,J7.9Hz,Bn-4H),7.03(2H,d,J8.0Hz,Ph-3H),6.98(2H,d,J8.0Hz,Ph-2H),6.75-6.71(2H,m,8Hおよび7H),6.68(1H,dd,J7.6および1.4Hz,9H),4.32(1H,t,J3.0Hz,6H),3.49-3.43(2H,m,N-Et-1H2),2.78-2.74(2H,m,N-Et-2H2),2.53(1H,dd,J13.3および3.0Hz,g-H2
1),2.35(1H,dd,J13.3および3.0Hz,g-H2
1),2.18(3H,s,Ph-4-CH3),1.40(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,MeOD):δ168.4(CONH),156.7(C4),145.8(C10),138.7(C10α),138.1(Bn-C1),136.0(Ph-C1),135.5(Bn-C3),133.2(Bn-C4),128.7(Ph-C2),128.5(Bn-C2),128.4(Ph-C3),126.3(Bn-C6),125.8(C6α),121.4(C8),119.9(C9),115.5(C7),85.6(C2),44.3(C6),41.4(N-Et-C1),34.7(Cg),34.1(N-Et-C2),25.6(2-CH3),19.7(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C27H28N3O4[M+H]+;必要値:458.2074;実測値:458.2082。
【0273】
[実施例2-6:3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)安息香酸,2-6の合成]
【0274】
【0275】
一般手順Eにしたがって、2-(ベンジルオキシ)-6-ホルミルフェニルアセテートおよび3-ウレイド安息香酸メチル2-1を用いて出発して、カルボン酸2-6を得た。C25H22N2O5、精密質量:430.15,LCMS[M+H]+431.3。
【0276】
[実施例3-1:3-(10-(ベンジルオキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A01の調製]
【0277】
【0278】
一般手順Gにより、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および臭化ベンジル(12μL,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCにより精製した。無色の無定形固体(41mg,0.07mmol,75%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.80(1H,app s,Bn-6H),7.56(1H,app s,Bn-2H),7.48-7.42(4H,m,Bn-5H,10-CH2Ph-4Hおよび10-CH2Ph-3H),7.50(2H,app t,J7.5Hz,10-CH2Ph-2H),7.33(1H,app t,J7.7Hz,Bn-4H)7.12(2H,d,J8.0Hz,Ph-3H),7.08(2H,d,J8.0Hz,Ph-2H),6.94-6.89(2H,m,7Hおよび8H),6.84(1H,app d,J7.4Hz,9H),5.17(1H,d,J12.0 Hz,10-CH2
1),5.10(1H,d,J12.0Hz,10-CH2
1),4.40(1H,t,J2.9Hz,6H),3.61-3.55(2H,m,N-Et-1H2),2.80-2.73(2H,m,N-Et-2H2),2.68(1H,dd,J13.1および2.9Hz,g-H2
1),2.50(1H,dd,J13.1および2.9Hz,g-H2
1),2.34(3H,s,Ph-4-CH3),1.55(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.7(CONH),155.9(C4),147.9(C10),141.4(C10α),138.0(Bn-C1),137.0(10-CH2Ph-C1),135.9(Ph-C1),135.4(Bn-C3),133.1(Bn-C4),129.4(Bn-C2),129.2(10-CH2Ph-C4),129.1(Ph-C2),128.8(Ph-C3および10-CH2Ph-C1),128.6(10-CH2Ph-C3),128.0(10-CH2Ph-C2),127.1(Bn-C6),125.7(C6α),121.7(C8),120.5(C9),85.6(C2),71.6(10-CH2Ph),45.3(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.6(Cg),27.1(2-CH3),21.1(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C34H34N3O4[M+H]+;必要値:548.2544;実測値:548.2535。
【0279】
[実施例3-2:3-(2-メチル-10-((2-メチルベンジル)オキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A02の調製]
【0280】
【0281】
一般手順Gにより、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および2-メチルベンジルブロミド(14μL,0.1mmol)を使用し、続いてH2O中に10~100%MeCN(TFAなし)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(46mg,0.08mmol,82%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.81(1H,app s,Bn-6H),7.52(1H,app s,Bn-2H),7.46-7.42(2H,m,Bn-5HおよびBn-4H)7.26(1H,d,J7.2Hz,10-O-CH2-Ph-6H),7.23-7.20(2H,m,10-O-CH2-Ph-4H,および-Ph-5H),7.16(1H,d,J7.2Hz,10-O-CH2-Ph-3H),7.12(2H,d,J8.2Hz,Ph-3H),7.09-7.05(2H,m,Ph-2H),6.99(1H,d,J,7.8Hz,7H),6.95(1H,app t,J7.8Hz,8H),6.89(1H,d,J7.8Hz,9H),5.16(1H,d,J12.1Hz,10-O-CH2
1),5.06(1H,d,J12.1Hz,10-O-CH2
1),4.45(1H,app s,6H),3.63-3.52(2H,m,N-Et-1H2),2.83-2.71(2H,m,N-Et-2H2),2.69(1H,d,J13.1Hz,g-H2
1),2.51(1H,d,J13.1Hz,g-H2
1),2.40(10-O-CH2-Ph-2-CH3),2.35(3H,s,Ph-4-CH3),1.54(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.6(CONH,HMBCによって検証された),156.2(C4),147.9(C10),137.6(Bn-C1),136.3(10-O-CH2-Ph-C3),135.7(Ph-C4),134.8(Bn-C3),133.1(Bn-C4,HMBCによって検証された),130.4(10-O-CH2-Ph-C6),129.4(Ph-C2),129.3(10-O-CH2-Ph-C2),129.1(Bn-C2),128.7(Bn-C5),128.6(Ph-C3),128.3(10-O-CH2-Ph-C4),128.2(10-O-CH2-Ph-C5),126.1(Bn-C6),125.5(10-O-CH2-Ph-C1),121.9(C9),96.1(C7),85.6(C2),66.1(10-O-CH2 HSQCによって検証された),45.2(C6),41.3(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.6(Cg),27.0(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3),18.9(10-O-CH2-Ph-2-CH3)。HRMS(ESI):C35H36N3O4[M+H]+;必要値:562.2700;実測値:562.2694。
【0282】
[実施例3-3:3-(2-メチル-10-((4-ニトロベンジル)オキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A03の調製]
【0283】
【0284】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および4-ニトロベンジルブロミド(22mg,0.1mmol)を使用し、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1% TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,46mg,0.08mmol,77%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.26(2H,d,J8.0Hz,10-O-CH2-Ph-3H),7.69-7.64(3H,m,Bn-6Hおよび10-O-CH2-Ph-2H),7.43-7.40(2H,m,Bn-2HおよびBn-5H),7.18-7.08(5H,m,Bn-4H,Ph-3HおよびPh-2H),6.95-6.86(3H,m,7H,8Hおよび9H),5.27(1H,d,J12.6Hz,10-O-CH2
1),5.24(1H,d,J12.6Hz,10-O-CH2
1),4.44(1H,app s,6H),3.71-3.63(2H,m,N-Et-1H2),2.86-2.80(2H,m,N-Et-2H2),2.68(1H,d,J13.4Hz,g-H2
1),2.49(1H,d,J13.4Hz,g-H2
1),2.35(3H,s,Ph-4-CH3),1.51(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.7(CONH),156.1(C4),147.8(C10),147.4(10-O-CH2-Ph-C4),141.3(C10α),137.9(Bn-C1),136.1(Ph-C4),135.6(Ph-C1),133.1(Bn-C3,HSQCによって検証された),129.4(Ph-C2),129.0(Bn-C2),128.6(Bn-C5),127.4(Ph-C3),126.3(10-O-CH2-Ph-C3),125.7(10-O-CH2-Ph-C2),125.6(Bn-C6),123.8(10-O-CH2-Ph-C1),121.8(C9)115.5(C8),112.0(C7),85.6(C2),70.2(10-O-CH2),45.1(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.5(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C34H33N4O6[M+H]+;必要値:593.2395;実測値:593.2378。
【0285】
[実施例3-4:3-(10-((3-クロロベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A04の調製]
【0286】
【0287】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および3-クロロベンジルブロミド(13μL,0.1mmol)を使用し、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCにより精製した。無色の無定形固体(TFA塩,42mg,0.07mmol,72%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.77(1H,app s,Bn-6H),7.57(1H,app s,Bn-2H),7.49-7.45(2H,m,Bn-5HおよびBn-4H)7.34-7.30(3H,m,10-O-CH2-Ph-4H,-Ph-5H,および-Ph-6H),7.21-7.19(1H,app d,J2.5Hz,10-O-CH2-Ph-2H),7.14-7.09(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.96-6.90(2H,m,7Hおよび8H),6.87(1H,d,J7.1Hz,9H),5.13(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),5.09(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),4.42(1H,app s,6H),3.68-3.60(2H,m,N-Et-1H2),2.85-2.77(2H,m,N-Et-2H2),2.69(1H,d,J13.2Hz,g-H2
1),2.50(1H,d,J13.2Hz,g-H2
1),2.35(3H,s,Ph-4-CH3),1.56(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ167.9(CONH),155.9(C4),147.7(C10),141.5(10-O-CH2-Ph-C1),140.4(C10α),139.1(10-O-CH2-Ph-C3),137.8(Bn-C1),135.9(Ph-C4),135.5(Ph-C1),134.5(Bn-C3),133.1(Bn-C4),129.9(Ph-C2),129.3(10-O-CH2-Ph-C5),129.1(Bn-C2),128.7(Bn-C5),128.1(Ph-C3),127.2(10-O-CH2-Ph-C4),126.8(10-O-CH2-Ph-C6),126.6(Bn-C6),125.0(10-O-CH2-Ph-C5),121.8(C9およびC8),115.0(C7),85.6(C2),66.1(10-O-CH2 HSQCによって検証された),45.2(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.6(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C34H33ClN3O4[M+H]+;必要値:582.2154;実測値:582.2155。
【0288】
[実施例3-5:3-(10-((4-シアノベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、化合物A05の調製]
【0289】
【0290】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および4-クロロメチルベンゾニトリル(15mg,0.1mmol)を使用し、続いてH2O中に10%~100%MeCN(TFAなし)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCで精製した。無色の無定形固体(44mg,0.08mmol,77%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.71-7.68(3H,m,10-O-CH2-Ph-3HおよびBn-6H),7.63(1H,app s,Bn-2H),7.59(2H,d,J8.1Hz,10-O-CH2-Ph-2H),7.43-7.40(2H,m,Bn-4HおよびBn-5H),7.14(2H,d,J7.6Hz,Ph-3H)7.11(2H,d,J7.6Hz,Ph-2H),6.93(1H,app t,J8.1Hz,8H),6.88(2H,app d,J7.6Hz,7Hおよび9H),5.23-5.19(2H,m,10-O-CH2),4.45(1H,app s,6H),3.65-3.57(2H,m,N-Et-1H2),2.85-2.80(2H,m,N-Et-2H2),2.69(1H,dd,J13.1および2.4Hz,g-H2
1),2.50(1H,app d,J13.1Hz,g-H2
1),2.35(3H,s,Ph-4-CH3),1.55(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.7(CONH),156.2(C4),147.5(C10),142.6(10-O-CH2-Ph-C1),141.3(C10α),137.7(Bn-C1),136.1(Ph-C4),135.7(Ph-C1),133.1(Bn-C3,HSQCによって検証された),132.4(10-O-CH2-Ph-C3),129.4(Ph-C2),129.0(Bn-C2),128.7(Ph-C3およびBn-C5),127.3(10-O-CH2-Ph-C2),126.4(10-O-CH2-Ph-C4),125.6(Bn-C6),121.8(C9)118.6(C8),115.2(C7),111.2(CN),85.6(C2),70.4(10-O-CH2),45.1(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.5(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C35H33N4O4[M+H]+;必要値:573.2496;実測値:573.2489。
【0291】
[実施例3-6:3-(10-((4-(tert-ブチル)ベンジル)オキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A06の調製]
【0292】
【0293】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および4-tert-ブチルベンジルブロミド(18μL,0.1mmol)を使用し、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,41mg,0.07mmol,68%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.81(1H,app s,Bn-6H),7.55(1H,app s,Bn-2H),7.44(1H,app s,Bn-5H),7.41-7.38(3H,m,Bn-4Hおよび10-O-CH2-Ph-3H),7.36-7.32(2H,m,10-O-CH2-Ph-2H),7.16-7.06(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.95(1H,app d,J7.9Hz,7H),6.91(1H,app t,J7.5Hz,8H),6.85(1H,d,J7.5Hz,9H),5.15(1H,d,J12.1Hz,10-O-CH2
1),5.06(1H,d,J12.1Hz,10-O-CH2
1),4.42(1H,app s,6H),3.61-3.53(2H,m,N-Et-1H2),2.82-2.70(2H,m,N-Et-2H2),2.65(1H,d,J12.7Hz,g-H2
1),2.49(1H,d,J12.7Hz,g-H2
1),2.34(3H,s,Ph-4-CH3),1.54(3H,s,2-CH3)1.34(9H,s,tBu-(CH3)3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.7(CONH),156.3(C4),151.6(10-O-CH2-Ph-C4),151.1(10-O-CH2-Ph-C1),148.8(C10),141.4(C10α),137.6(Bn-C1),135.9(Ph-C4),135.5(Ph-C1),134.7(Bn-C3),131.1(Bn-C4),129.3(Ph-C2),129.1(Bn-C2),128.8(Bn-C5),128.7(Ph-C3),126.8(10-O-CH2-Ph-C3),125.8(10-O-CH2-Ph-C2),125.6(Bn-C6),121.8(C9およびC8),118.7(C7),85.5(C2),65.2(10-O-CH2),45.1(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.6(Cg),33.6(tBu-C),31.3(tBu-(CH3)3),27.0(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C38H42N3O4[M+H]+;必要値:604.3170;実測値:604.3157。
【0294】
[実施例3-7:3-(10-(フラン-2-イルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A07の調製]
【0295】
【0296】
メタンスルホニルクロリド(93μL,1.2mmol)を,CH2Cl2(10mL,0.1M)中にフルフリルアルコール(87μL,1mmol)およびトリメチルアミン(225μL,2mmol)を有する0℃に冷却された撹拌溶液に加え、反応混合物を室温に温めた。19時間後、反応混合物を、CH2Cl2(10mL)を用いて希釈し、1M HCl水溶液(20mL)を加えた。層を分離し、水層を、CH2Cl2(3×10mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、および真空内で濃縮して、粗生成物を得た。続いて、一般手順Gによって、フェノール52(46mg,0.1mmol)および粗メタンスルホン酸フルフリル(20mg)を使用し、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(34mg,0.06mmol,64%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.83(1H,s,Bn-6H),7.51(1H,app s,Bn-2H),7.46(1H,app t,J7.5Hz,Bn-5H),7.44-7.40(2H,m,Bn-4Hおよびフラン-5H),7.16-7.11(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.99(1H,app d,J8.2Hz,7H),6.92(1H ,app t,J7.9Hz,8H),6.87(1H,d,J7.4Hz,9H),6.41(1H,app s,フラン-3H),6.38(1H,app s,フラン-4H),5.11(2H,d,J13.0Hz,10-O-CH2
1),5.02(2H,d,J13.0Hz,10-O-CH2
1),4.40(1H,app s,6H),3.73-3.60(2H,m,N-Et-1H2),2.89-2.82(2H,m,N-Et-2H2),2.66(1H,d,J12.9Hz,g-H2
1),2.48(1H,d,J12.9Hz,g-H2
1),2.35(3H,s,Ph-4-CH3),1.52(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.8(CONH),156.0(C4),150.4(フラン-C2),147.3(C10),143.1(フラン-C5),141.9(C10α),137.7(Bn-C1),136.0(Ph-C4),135.9(Ph-C1),135.4(Bn-C3),133.1(Bn-C4),129.3(Ph-C2),129.1(Bn-C2),128.7(Ph-C3),127.1(Bn-C5),125.7(Bn-C6),122.0(C9),121.7(C8),110.6(C7),110.2(フラン-C3およびフラン-C4),85.6(C2),64.6(10-O-CH2),45.2(C6),41.5(N-Et-C1),35.3(N-Et-C2),34.7(Cg),27.0(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C32H32N3O5[M+H]+;必要値:538.2336;実測値:538.2345。
【0297】
[実施例3-8:3-(10-(シクロプロピルメトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A08の調製]
【0298】
【0299】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および1-(ブロモメチル)シクロプロパン(11μL,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(41mg,0.07mmol,75%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.69(1H,app s,Bn-6H),7.41(1H,app s,Bn-2H),7.38-7.34(2H,m,Bn-5HおよびBn-4H),7.07-7.02(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.85-6.82(2H,m,7Hおよび8H),6.74(1H,app s,9H),4.31(1H,d,J2.8Hz,6H),3.86-3.78(2H,m,10-CH2),3.68-3.62(1H,m,N-Et-1H2
1),3.54-3.49(1H,m,N-Et-1H2
1),2.81(2H,app t,J7.4Hz,N-Et-2H2),2.56(1H,dd,J12.8および2.8Hz,g-H2
1),2.40(1H,dd,J12.8および2.8Hz,g-H2
1),2.26(3H,s,Ph-4-CH3),1.43(3H,s,2-CH3),1.24-1.20(シクロプロピル-1H),0.57-0.51(2H,m,シクロプロピル-2H2
1およびシクロプロピル-2’H2
1),0.30-0.25(2H,m,シクロプロピル-2H2
1およびシクロプロピル-2’H2
1)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.9(CONH),156.3(C4),148.1(C10),141.5(C10α),137.7(Bn-C1),136.0(Ph-C1),135.9(Bn-C3),132.9(Bn-C4),129.4(Bn-C2),129.1(Ph-C2),128.7(Ph-C3),128.2(Ph-C4),126.9(Bn-C6),125.5(C6α),121.8(C8),120.0(C9),111.3(C7),85.5(C2),74.1(10-CH2),45.2(C6),41.6(N-Et-C1),35.4(N-Et-C2),34.6(Cg),27.0(2-CH3),21.1(Ph-4-CH3),10.4(シクロプロピル-C1),3.4(シクロプロピル-C2)3.3(シクロプロピル-C2’)。HRMS(ESI):C31H34N3O4[M+H]+;必要値:512.2544;実測値:512.2558。
【0300】
[実施例3-9:3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-4-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A09の調製]
【0301】
【0302】
一般手順Gによって、フェノール52(46mg,0.1mmol)および4-クロロメチルピリジン塩酸塩(17mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,48mg,0.09mmol,86%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.69(2H,d,J5.6Hz,Py-2H),7.90(2H,app s,Py-3H),7.62(1H,app s,Bn-2H),7.43(1H,app s,Bn-6H),7.33-7.26(2H,m,Bn-5HおよびBn-4H),7.06-7.00(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.89-6.83(3H,m,7H,8Hおよび9H),5.38(1H,d,J15.3Hz,10-O-CH2
1),5.23(1H,d,J15.3Hz,10-O-CH2
1),4.38(1H,app t,J2.9Hz,6H),3.52-3.43(2H,m,N-Et-1H2),2.75-2.71(2H,m,N-Et-2H2),2.59(1H,dd,J13.1および2.9Hz,g-H2
1),2.38(1H,dd,J13.1および2.9Hz,g-H2
1),2.25(3H,s,Ph-4-CH3),1.43(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ164.7(CONH),154.1(C4),144.9(C10およびPy-C4),140.8(Py-C2,およびC10α),139.6(Bn-C1),136.2(Ph-C1),134.2(Ph-C4),133.7(Bn-C3),133.6(Bn-C4),131.4(Bn-C5),127.5(Bn-C6およびPh-C2),126.9(Bn-C6),126.7(Ph-C3),124.0(C6α),123.6(Bn-C2),121.7(Py-C3),120.7(C9),119.9(C8),115.4(),113.1(C7),83.7(C2),67.4(10-O-CH2),42.9(C6),39.3(N-Et-C1),33.2(N-Et-C2),32.3(Cg),25.2(2-CH3),19.1(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C33H33N4O4[M+H]+;必要値:549.2496;実測値:549.2487。
【0303】
[実施例3-10:3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-3-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A10の調製]
【0304】
【0305】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および3-クロロメチルピリジン塩酸塩(17mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,48mg,0.09mmol,86%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.88(1H,app s,Py-2H),8.67(1H,d,J5.6Hz,Py-6H),8.34(1H,app,s,Py-5H),7.67(1H,app t,J5.6 Hz,Py-4H),7.64(1H,app s,Bn-2H),7.57(1H,app d,J7.5Hz,Bn-6H),7.40(1H,app t,J7.5Hz,Bn-5H),7.35(1H,app d,J8.2Hz,Bn-4H),7.11(1H,d,J7.8Hz,Ph-3H)7.08(1H,d,J7.8Hz,Ph-2H),6.97-6.92(2H,m,7H,および8H),6.90(1H,dd,J7.1および2.1Hz,9H),5.33(1H,d,J13.3Hz,10-O-CH2
1),5.23(1H,d,J13.3Hz,10-O-CH2
1),4.43(1H,app t,J3.2Hz,6H),3.56-3.51(2H,m,N-Et-1H2),2.82-2.78(2H,m,N-Et-2H2),2.66(1H,dd,J13.1および3.2Hz,g-H2
1),2.46(1H,dd,J13.1および3.2Hz,g-H2
1),2.32(3H,s,Ph-4-CH3),1.50(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.7(CONH),156.0(C4),147.1(C10),143.6(Py-C6),143.3(Py-C2),141.7(C10α),140.6(Py-C5),138.1(Bn-C1),136.1(Ph-C4),135.7(Bn-C3),135.6(Ph-C1),133.3(Bn-C4),129.4(Ph-C2),129.1(Bn-C2),128.9(Bn-C5),128.6(Ph-C3),125.9(Bn-C6),125.5(Py-C4),122.5(C9),121.9(C8),116.3(C7),85.7(C2),68.5(10-O-CH2),45.1(C6),41.3(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.5(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C33H33N4O4[M+H]+;必要値:549.2496;実測値:549.2493。
【0306】
[実施例3-11:3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリジン-2-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A11の調製]
【0307】
【0308】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および2-クロロメチルピリジン塩酸塩(17mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,43mg,0.08mmol,78%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.60(1H,d,J4.7Hz,Py-6H),7.92(1H,d,J5.6Hz,Py-4H),7.84(1H,app,s,Py-5H),7.67(1H,app t,J5.6Hz,Py-4H),7.60(1H,app d,J7.8Hz,Bn-6H),7.53(1H,app s,Bn-2H),7.37(1H,app t,J5.6Hz,Py-3H),7.32(1H,app t,J7.8Hz,Bn-5H),7.28(1H,app d,J7.8Hz,Bn-4H),7.02(1H,d,J7.8Hz,Ph-3H),6.98(1H,d,J7.8Hz,Ph-2H),6.88(1H,app d,J8.2Hz,7H),6.84(1H,app t,J7.8Hz,8H),6.79(1H,d,J7.8Hz,9H),5.30(2H,s,10-O-CH2),4.35(1H,app s,6H),3.50-3.43(2H,m,N-Et-1H2),2.73-2.67(2H,m,N-Et-2H2),2.56(1H,dd,J13.3および3.2Hz,g-H2
1),2.39(1H,dd,J13.3および3.2Hz,g-H2
1),2.24(3H,s,Ph-4-CH3),1.50(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ167.4(CONH),156.2(C4),147.8(C10),143.5(Py-C4),143.3(Py-C6),141.0(C10α),140.1(Py-C5),138.2(Bn-C1),136.5(Ph-C4),135.2(Bn-C3),135.1(Ph-C1),133.1(Bn-C4),129.2(Ph-C2),128.9(Bn-C2),128.6(Bn-C5),128.5(Ph-C3),125.5(Py-C3),125.2(Bn-C6),121.5(C9),121.0(C8),114.3(C7),85.4(C2),68.2(10-O-CH2),45.1(C6),41.1(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.8(Cg),27.0(2-CH3),19.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C33H33N4O4[M+H]+;必要値:549.2496;実測値:549.2508。
【0309】
[実施例3-12:3-(10-((2-アミノピリジン-3-イル)メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A12の調製]
【0310】
【0311】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および2-アミノ-3-クロロメチルピリジン塩酸塩(18mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,24mg,0.04mmol,43%)。1HNMR(500MHz,MeOD):δ8.12(1H,d,J7.1Hz,Py-6H),7.86(1H,d,J6.5Hz,Py-5H),7.74(1H,d,J8.1Hz,Bn-6H),7.61(1H,app s,Bn-2H),7.50-7.47(1H,m,Bn-4H),7.41-7.38(1H,m,Bn-5H),7.19(1H,d,J7.2Hz,Py-4H),7.13-7.08(4H,m,Ph-2HおよびPh-3H),7.07-7.01(2H,m,7Hおよび8H),6.94-6.92(1H,m,9H),5.22(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),5.12(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),4.51(1H,app s,6H),3.60-3.53(2H,m,N-Et-1H2),2.90-2.84(2H,m,N-Et-2H2),2.70(1H,dd,J13.4および2.8Hz,g-H2
1),2.48(1H,dd,J13.4および2.8Hz,g-H2
1),2.30(3H,s,Ph-4-CH3),1.52(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,MeOD):δ168.0(CONH),156.5(C4),152.9(Py-C2),147.9(C10),147.6(Py-C6),142.8(Py-C3),141.6(C10α),141.3(Py-C5),138.1(Bn-C1),135.9(Ph-C4),135.6(Bn-C3),135.0(Ph-C1),133.6(Bn-C4),129.2(Bn-C2),128.9(Ph-C2),128.6(Bn-C5),128.3(Ph-C3),126.6(Bn-C6),126.6(Py-C4),126.1(C6α),122.7(C9),121.7(C8),115.4(C7),85.9(C2),67.7(10-O-CH2),44.1(C6),41.4(N-Et-C1),34.7(Cg),33.9(N-Et-C2),25.8(2-CH3),19.7(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C33H34N5O4[M+H]+;必要値:564.2605;実測値:564.2611。
【0312】
[実施例3-13:3-(2-メチル-4-オキソ-10-(ピリミジン-5-イルメトキシ)-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A13の調製]
【0313】
【0314】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および3-クロロメチルピリミジン(14mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,46mg,0.08mmol,84%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ9.09(1H,s,Py-2H),8.76(2H,s Py-4HおよびPy-6H),7.54(1H,app d,J7.6Hz,Bn-6H),7.52(1H,s,Bn-2H),7.32(1H,app t,J7.8Hz,Bn-5H),7.28(1H,app d,J8.1Hz,Bn-4H),7.04(2H,d,J8.2Hz,Ph-3H),7.02(2H,d,J8.2Hz,Ph-2H),6.87(1H,d,J8.1Hz,7H),6.84(1H,app t,J7.6 Hz,8H),6.77(1H,d,J7.6Hz,9H),5.12(1H,d,J12.6Hz,10-O-CH2
1),5.02(1H,d,J12.6Hz,10-O-CH2
1),4.29(1H,app d,J3.2Hz,6H),3.54-3.44(2H,m,N-Et-1H2),2.73(2H,app t,J6.9Hz,N-Et-2H2),2.54(1H,dd,J13.7および3.2Hz,g-H2
1),2.33(1H,dd,J13.7および3.2Hz,g-H2
1),2.25(3H,s,Ph-4-CH3),1.41(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.6(CONH),158.3(Py-C2),156.1(Py-C4およびPy-C6),156.0(C4),147.1(C10),141.6(C10α),138.0(Bn-C1),136.0(Ph-C4),135.9(Bn-C3),135.6(Ph-C1),133.0(Bn-C4,HMBCによって検証された),130.7(Py-C5),129.4(Ph-C2),129.2(Bn-C2),128.9(Bn-C5),128.7(Ph-C3),126.2(Bn-C6),125.9(C6α),122.4(C9),121.7(C8),116.0(C7,HMBCによって検証された),85.7(C2),67.4(10-O-CH2),44.9(C6),41.4(N-Et-C1),35.2(N-Et-C2),34.5(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C32H32N5O4[M+H]+;必要値:550.2449;実測値:550.2431。
【0315】
[実施例3-14:3-(2-メチル-10-((5-メチルピリジン-3-イル)メトキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、化合物A14の調製]
【0316】
【0317】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および3-クロロメチル-5-メチルピリジン塩酸塩(18mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,40mg,0.07mmol,71%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ8.66(1H,s,Py-6H),8.47(1H,s,Py-2H),8.18(1H,s,Py-4H),7.58(1H,s,Bn-2H),7.52(1H,app d,J7.9Hz,Bn-6H),7.33(1H,app t,J7.9Hz,Bn-5H),7.28(1H,app d,J7.5Hz,Bn-4H),7.04(2H,d,J7.9Hz,Ph-3H),7.01(2H,d,J7.9Hz,Ph-2H),6.90-6.85(3H,m,7H,8H,および9H),5.28(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),5.16(1H,d,J12.9Hz,10-O-CH2
1),4.37(1H,app d,J3.0Hz,6H),3.49-3.44(2H,m,N-Et-1H2),2.74-2.71(2H,m,N-Et-2H2),2.54(1H,dd,J12.9および3.0Hz,g-H2
1),2.41-2.37(4H,m,g-H2
1およびPy-5-CH3),2.25(3H,s,Ph-4-CH3),1.44(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ166.6(CONH),,156.1(C4),147.0(C10),141.8(C10α),138.8(Py-C5),138.1(Bn-C1),137.0(Py-C3),136.2(Ph-C4),135.7(Bn-C3),135.6(Ph-C1),133.4(Bn-C4,HMBCによって検証された),129.4(Ph-C2),129.3(Bn-C2),128.9(Bn-C5),128.6(Ph-C3),126.0(Bn-C6),125.8(C6α),122.8(C9),121.9(C8),116.7(C7),85.7(C2),68.4(10-O-CH2),45.0(C6),41.3(N-Et-C1),35.1(N-Et-C2),34.4(Cg),27.1(2-CH3),21.0(Py-5-CH3),18.5(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C34H35N4O4[M+H]+;必要値:563.2653;実測値:563.2657。
【0318】
[実施例3-15:3-(10-((3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチル-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾ[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド,化合物A15の調製]
【0319】
【0320】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および3-クロロメチル-3,5-ジメチルイソオキサゾール(12μL,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(TFAなし)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(36mg,0.06mmol,64%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.67(1H,s,Bn-2H),7.41(1H,s,Bn-6H),7.34(1H,app t,J8.0Hz,Bn-5H),7.28(1H,app d,J7.9Hz,Bn-4H),7.06-7.02(4H,m,Ph-3HおよびPh-2H),6.90-6.85(2H,m,7H,および8H)6.83-6.81(1H,m,9H),4.77(1H,d,J11.7 Hz,10-O-CH2
1),4.74(1H,d,J11.7Hz,10-O-CH2
1),4.33(1H,app d,J3.2Hz,6H),3.65-3.58(2H,m,N-Et-1H2),2.79-2.74(2H,m,N-Et-2H2),2.57(1H,dd,J12.9および3.2Hz,g-H2
1),2.34(1H,dd,J12.9および3.2Hz,g-H2
1),2.26-2.22(6H,m,isox-3-CH3およびPh-4-CH3),2.18(3H,s,isox-5-CH3),1.40(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ167.7(CONH),159.8(isox-C3およびisox-C5),155.9(C4),147.0(C10),137.7(Bn-C1),136.0(Ph-C4),135.9(Bn-C3),135.5(Ph-C1),133.0(Bn-C4,HMBCによって検証された),129.5(Ph-C2),129.4(Bn-C2),129.1(Bn-C5),128.7(Ph-C3),126.8(Bn-C6),125.9(C6α),121.9(C9およびC8),110.4(C7),85.6(C2),62.0(10-O-CH2),45.1(C6),41.5(N-Et-C1),35.3(N-Et-C2),34.5(Cg),27.0(2-CH3),21.1(Ph-4-CH3),11.1(isox-3-CH3),10.2(isox-5-CH3)。HRMS(ESI):C33H35N4O5[M+H]+;必要値:567.2602;実測値:567.2609。
【0321】
[実施例3-16:3-(2-メチル-10-((1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ)-4-オキソ-5,6-ジヒドロ-2H-2,6-メタノベンゾの調製[g][1,3,5]オキサジアゾシン-3(4H)-イル)-N-(4-メチルフェネチル)ベンズアミド、化合物A16の調製]
【0322】
【0323】
一般手順Gによって、フェノール2-5(46mg,0.1mmol)および2-(クロロメチル)-1メチルイミダゾール塩酸塩(16mg,0.1mmol)を使用して、続いてH2O中に10%~100%MeCN(0.1%TFA)を有する溶液を用いて溶出する分取HPLCによって精製した。無色の無定形固体(TFA塩,36mg,0.07mmol,65%)。1HNMR(500MHz,CDCl3):δ7.51(1H,app d,J7.3Hz,Bn-6H),7.46(1H,s,Bn-2H),7.29(1H,app t,J7.6Hz,Bn-5H),7.20-7.17(2H,m,Bn-4Hおよびimid-4H),7.05-6.96(6H,m,Ph-3H,Ph-2H,imid-5H,および7H),6.87-6.82(2H,m,8Hおよび9H),5.44(2H,app s,10-O-CH2),4.32(1H,app s,6H),3.84(3H,imid-1-CH3),3.52-3.45(2H,m,N-Et-1H2),2.75-2.70(2H,m,N-Et-2H2),2.52(1H,dd,J13.3および2.7Hz,g-H2
1),2.35(1H,dd,J13.3および2.7Hz,g-H2
1),2.24(3H,s,Ph-4-CH3),1.36(3H,s,2-CH3)。13CNMR(125MHz,CDCl3):δ167.2(CONH),155.9(C4),145.8(C10),142.2(imid-C2),141.9(C10α),138.1(Bn-C1),136.2(Ph-C4),135.8(Bn-C3),135.6(Ph-C1),133.4(Bn-C4,HMBCによって検証された),129.4(Ph-C2およびBn-C2),128.9(Bn-C5),128.6(Ph-C3),126.1(Bn-C6),126.0(C6α),123.7(imid-C4),123.3(imid-C5),122.1(C9),120.1(C8),118.1(C7),85.7(C2),61.3(10-O-CH2),44.8(C6),41.4(N-Et-C1),35.1(N-Et-C2),35.0(imid-1-CH3),34.2(Cg),27.0(2-CH3),21.0(Ph-4-CH3)。HRMS(ESI):C32H34N5O4[M+H]+;必要値:552.2605;実測値:552.2597。
【0324】
[生物学的実施例]
[材料]
[細胞株]
CHOK1細胞:シグマ(Sigma)社,85050302
DLD-1細胞:ホリゾン ディスカバリー(Horizon Discovery)社
DLD-1-GLUT-1(-/-)細胞:ホリゾン ディスカバリー(Horizon Discovery)社,HD R00-024
安定した細胞株を過剰発現するCHO-hGLUT2:クリエイティブ バイオジェン(Creative Biogene)社
安定した細胞株を過剰発現するCHO-hGLUT4:クリエイティブ バイオジェン(Creative Biogene)社
[細胞培養培地]
RPMI1640(P04-22100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
RPMIw/oグルコースw/oフェノールレッド(P04-16530)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
FCS(P30-3302P+)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
L-グルタミン(200mM,P04-80100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
トリプシン/EDTA(P10-019100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
DMEM(P04-03550)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
DMEM w/o Glc w/o Gln(P04-01548S1)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
ピルビン酸ナトリウム(100mM,P04-43100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
L-グルタミン(200mM,P04-80050)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
トリプシン/EDTA(P10-023100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
ペニシリン-ストレプトマイシン(P06-07100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
FBS(10500-084)-インビトロジェン(Invitrogen)社
非必須アミノ酸(P08-32100)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
RPMI1640(P04-16500)-パン-バイオテック(PAN-Biotech)社
ウシ膵臓からのインスリン(I6634,シグマ(SIGMA)社)MW:5734Da
[細胞培養]
DLD-1、DLD-1-GLUT-1(-/-)およびCHOK1細胞を、10%FBSおよび2mM L-グルタミンを含むRPMI1640を使用して、5%CO2で37°Cで培養した。全ての細胞株は、定期的にマイコプラズマについて分析され、マイコプラズマが存在しないことが確認された。
【0325】
[SLC2A4-過剰発現CHOK1細胞株の生成]
CHOK1-SLC2A4細胞を、供給者の指示に従ってリポフェクトアミン2000を使用して、pCMV6-エントリー(Entry)-GLUT4(オリジーン社(Origene)#SC125240)を用いてCHOK1細胞へのトランスフェクションによって生成した。簡潔に説明すると、1.5E5細胞/ウェルのCHOK1細胞を、6-ウェル細胞培養プレートに播種した。一晩インキュベーションした後、DNA-脂質複合体(2μgのプラスミドDNA、DNA:脂質の比1:10)をOptiMEMで調製し、その後、細胞に添加した。5日間インキュベーションした後、800μgのG418を培養培地に添加し、安定したポリクローンを生成した。モノクローナル選択のために、単一細胞を、96ウェルプレートに再度播種し、導入遺伝子の過剰発現および機能的性能によって拡大および選択した。
【0326】
[実施例8-1:GLUTに対する阻害活性の測定]
GLUT1、2、3および4輸送体活性分析
分析は、Kapoor et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences 2016,113(17)4711-4716によって報告された特異性アッセイに基づいて行われた。GLUT1、GLUT2、GLUT3、およびGLUT4の特異性試験のために、DLD1、CHO-hGLUT2、DLD-1-GLUT1-/-、およびCHO-hGLUT4細胞株を使用した。
【0327】
GLUT1、3および4に対する本発明の化合物の阻害活性を評価するために、IC50[nM]について次の範囲を適用した:
IC50≦300nM ++++
300nM<IC50≦1,000nM +++
1,000nM<IC50≦4,000nM ++
4,000nM<IC50≦10,000nM +
10,000nM<IC50≦25,000nM o
IC50>25,000nM oo
【0328】
【0329】
[実施例8-2:2-デオキシ-グルコース(2-DG)取り込みアッセイ]
2-DG取り込み分析を、山本 N.らによって記載されたのからわずかに変更を加えて実施した。(Crane,EA;Gademann,K.,化学合成による天然物フラグメントの生物活性の捕捉(Capturing Biological Activity in Natural Product Fragments by Chemical Synthesis).Angewandte Chemie International Edition 2016,55(12),3882-3902;Murray,CW;Rees,D.C,フラグメントに基づく創薬の進歩(The rise of fragment-based drug discovery).Nature Chemistry 2009,1(3),187-192)。簡潔に説明すると、40,000個のHCT116またはCHO細胞を、黒色の透明な底の96ウェルプレートに播種し、一晩付着させた。細胞を、化合物および1mM 2-DG、あるいはDMSOおよび1mM 2-DGと共に、グルコースを含まないKRBバッファー(20mM HEPES,5mM KH2PO4,1mM MgSO4,1mM CaCl2,136mM NaCl,0.1%BSA,pH7.4)中で、30分間インキュベートした。GLUT-4をトランスフェクションした細胞の場合、インスリン(100μg/mL)をバッファーに添加した。その後、細胞を洗浄し、0.06M HClおよび1%CHAPS中に、15分間65℃で振とうしながら溶解した。溶解物中の2-DGの量を、酵素結合アッセイによって測定した。この6.4U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼのために、0.2U/mLジアホラーゼ、0.1mM NADP+、および0.025mg/mLレザズリンを溶解物に添加した。レゾルフィン蛍光を、テカン(Tecan) インフィニト(Infinite) M200プレートリーダー(テカン(Tecan)社)を使用して、ex/em535/590nmでの2-DG取り込みを測定して決定した。ブランク値を、すべての読み取り値から差し引き、値をDMSO対照に対して正規化した。
【0330】
DLD1もしくはDLD1-Glut1(-/-)細胞、または7,000個のCHOK1-SLC2A4細胞株を用いた2-デオキシ-グルコース(2-DG)取り込みアッセイの分析プロトコル:
14,000個のDLD1もしくはDLD1-Glut1(-/-)細胞、または7,000個のCHOK1-SLC2A4細胞を、黒色の透明な底の384ウェルプレートに、1%FCSおよび2mM L-グルタミンを添加されたグルコースおよびフェノールレッドを含まないRPMI1640培地に播種し、一晩付着させた。翌日、細胞を洗浄し、化合物および1mM 2-DG、あるいはDMSOおよび1mM 2-DGと共に、グルコースおよびフェノールレッドを含まないRPMI1640培地で30分間インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、0.06M HClおよび1%CHAPS中に15分間65℃で溶解した。溶解物中の2-DGの量は、酵素結合アッセイによって測定した。この16U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼのために、0.2U/mLジアホラーゼ、0.1mM NADP+、および10μMレザズリンを溶解物に添加した。レゾルフィン蛍光を、ビクター(Victor) マルチラベル(Multilabel)プレートリーダー(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社)を用いて、ex/em535/590nmでの2-DG取り込みを測定して決定した。ブランク値を、すべての読み取り値から差し引き、値をDMSO対照に対して正規化した。
【0331】
[2-DG取り込みアッセイ]
GLUT1、3および4に対する本発明の化合物の阻害活性を評価するために、IC50[μM]について次の範囲を適用した:
IC50≦5μM +++
5μM<IC50≦10μM ++
10μM<IC50≦30μM +
IC50>30μM o
【0332】
【0333】
[実施例8-3:細胞内ATPレベルの定量化によるGLUT2(SLC2A2)活性の間接測定]
ミトコンドリアの電子伝達鎖における小分子阻害剤とグルコース異化との組み合わせは、相乗的にATP産生を抑制し、細胞生存性を損なう(Ulanovskaya et al.,2008,2011;Liu,et al.2001)。したがって、我々は、SLC2A2を過剰発現するCHOK1細胞(CHOK1-SLC2A2)を酸化的リン酸化阻害剤(ロテノン)と組み合わせて使用して、GLUT2阻害剤を特定した。CHOK1-SLC2A2細胞を、クリエイティブバイオジーン(creative biogene)社(カタログNo:CSC-SC014484)から購入し、10%FBSおよび2mML-グルタミンを添加したRPMI1640を用いて維持した。Glut2-ATP-分析のために、7,500個の細胞を、黒色の透明な底の384ウェルプレートに直接的に、1%FCSおよび2mM L-グルタミンを添加されたグルコースおよびフェノールレッドを含まないRPMI1640培地に播種し、一晩付着させた。翌日、細胞を洗浄し、1mMロテノン、化合物および2.5mMフルクトース、あるいは1mMロテノン、DMSOおよび2mMフルクトースと共に、グルコースおよびフェノールレッドを含まないRPMI1640培地で30分間インキュベートした。プロメガ(Promega)社からのセルタイター(CellTiter)-Glo(登録商標)発光生存率分析を使用して、ATPレベルを測定した。
【0334】
発光を、ビクター(Victor) マルチラベル(Multilabel)プレートリーダー(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社)を用いて測定した。ブランク値を、すべての読み取り値から差し引き、値をDMSO対照に対して正規化した。