(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】走査LIDARにおけるデスキャン補正
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231214BHJP
G01S 7/499 20060101ALI20231214BHJP
G01S 17/86 20200101ALI20231214BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/499
G01S17/86
(21)【出願番号】P 2021521124
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 US2019052262
(87)【国際公開番号】W WO2020081188
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521095112
【氏名又は名称】エヴァ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】レズク ミナ
(72)【発明者】
【氏名】オザ ニール エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ガニエ キース
(72)【発明者】
【氏名】コカオグル オマー ピー
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503526(JP,A)
【文献】特表2012-502301(JP,A)
【文献】米国特許第05110207(US,A)
【文献】米国特許第04594000(US,A)
【文献】国際公開第2004/061476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出・測距(LIDAR)装置であって、
レーザビームを第1の方向に放出するよう構成されたレーザ源を有し、
前記レーザビームの第1の部分を前記第1の方向で標的に向かって通し、前記レーザビームの第2の部分を局所振動子信号として戻り経路中に戻し、そして標的信号を前記戻り経路中に戻すよう構成されたレンズ光学系を有し、
前記第1の方向に向けられた前記レーザビームを偏光させるとともに前記レンズ光学系を通って戻された前記標的信号を偏光させるよう構成された偏光波長板を有し、
偏光ビームスプリッタを有し、前記偏光ビームスプリッタは、第1の偏光状態の光を前記第1の方向で前記偏光ビームスプリッタに通し、第2の偏光状態の光を前記第1の方向とは異なる第2の方向に反射するよう構成され、前記偏光ビームスプリッタはさらに、前記局所振動子信号と前記標的信号との干渉を可能にして結合信号を発生させるよう構成され、
前記結合信号を前記第2の方向から受け取るよう構成された光検出器を有
し、前記光検出器は、前記偏光ビームスプリッタから反射された前記結合信号を種々の位置で受け取る多重モード導波管を備える、光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項2】
第2のレーザ源および第2の光検出器をさらに有する、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項3】
前記信号を波長に基づいて前記光検出器および第2の光検出器に方向づける波長分割マルチプレクサをさらに有し、前記レーザ源は、多重波長レーザビームを提供する、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項4】
前記偏光波長板は、四分の一波長板または半波長板のうちの一方から成る、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項5】
前記レーザビームを前記偏光ビームスプリッタに通して視準するレンズ系をさらに有する、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項6】
前記レーザ源および前記光検出器は、前記戻った光を前記光検出器に方向づけるための1つまたは複数のフォールドミラーを備えた1つまたは複数のプリント回路板上に設けられている、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項7】
前記フォールドミラーは、第1の波長の光を前記光検出器に向かって反射し、第2の波長の光を第2のフォールドミラーに通すとともに第2の光検出器に反射させることができる波長分割マルチプレクサコーティングをさらに有する、請求項6記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項8】
第2のレーザ源をさらに有し、前記レーザ源および前記第2のレーザ源は各々、多重波長レーザビームを提供する、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項9】
前記レンズ光学系は、前記戻り光を前記局所振動子信号として発生させるためにレフレクタまたはコーティングをさらに含む、請求項1記載の光検出・測距(LIDAR)装置。
【請求項10】
光検出・測距(LIDAR)システムであって、
レーザビームをラスターパターンをなして方向づけて環境を走査する高速走査ミラーを含み、
前記レーザビームを発生させるとともに受け取る光回路を含み、前記光回路は、
レーザビームを第1の方向に放出するよう構成されたレーザ源を有し、
前記レーザビームの第1の部分を前記第1の方向で標的に向かって通し、前記レーザビームの第2の部分を局所振動子信号として戻り経路中に戻し、そして標的信号を前記戻り経路中に戻すよう構成されたレンズ光学系を有し、
QWPを有し、前記QWPは、前記第1の方向に向けられた前記レーザビーム
の偏光状態および前記レンズ光学系を通って戻された前記標的信号
の偏光状態を変換して
、前記第1の方向に向けられた前記レーザビームの前記偏光状態が、前記レンズ光学系を通って戻された前記標的信号の前記偏光状態と直交するようにし、
偏光ビームスプリッタを有し、前記偏光ビームスプリッタは、偏光状態の光を前記第1の方向で前記ビームスプリッタに通し、偏光状態の光を前記第1の方向とは異なる第2の方向に直角に反射するよう構成され、前記偏光ビームスプリッタはさらに、前記局所振動子信号と前記標的信号との干渉を可能にして結合信号を発生させるよう構成され、
前記結合信号を受け取るよう構成された光検出器を有
し、前記光検出器は、前記偏光ビームスプリッタから反射された前記結合信号を種々の位置で受け取る多重モード導波管を備える、光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項11】
第2のレーザ源および第2の光検出器をさらに有する、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項12】
前記信号を波長に基づいて前記光検出器および第2の光検出器に方向づける波長分割マルチプレクサをさらに有し、前記レーザ源は、多重波長レーザビームを提供する、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項13】
前記レーザビームを前記偏光ビームスプリッタに通して視準するレンズ系をさらに有する、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項14】
前記レーザ源および前記光検出器は、前記戻った光を前記光検出器に方向づけるためのフォールドミラーを備えた同一のプリント回路板上に設けられている、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項15】
第2のレーザ源をさらに有し、前記レーザ源および前記第2のレーザ源は各々、多重波長レーザビームを提供する、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項16】
前記レンズ光学系は、前記戻り光を前記局所振動子信号として発生させるためにレフレクタまたはコーティングをさらに含む、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項17】
第2の高速走査ミラーをさらに含み、前記第1の高速走査ミラーは、第1の軸線を横切る方向に走査するためのものであり、前記第2の高速走査ミラーは、第2の軸線を横切る方向に走査するためのものである、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項18】
制御システムをさらに含み、前記制御システムは、
能動光回路の光ドライバを制御し、
前記高速走査ミラーの運動操作を制御し、
前記光検出器から受け取った信号を処理して三次元空間の点クラウドを発生させるための処理装置を含む、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【請求項19】
1つまたは2つ以上のイメージング装置をさらに含み、前記イメージング装置は、前記環境のイメージを捕捉する、請求項10記載の光検出・測距(LIDAR)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、一般に、2つの次元全体にわたってレンジおよび速度の同時測定を可能にする光検出・測距(light detection and ranging:LIDAR)に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2018年10月18日に出願された米国特許出願第16/164,566号の35U.S.C.§119(e)に基づく権益主張出願であり、この米国特許出願の記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
高速走査ミラーは、大抵の従来型LIDARシステムにおいてシーン(景色)を照明するために用いられる主要なコンポーネントである。
図1Aに示されているように、1つのミラーが典型的には、X方向(水平包囲角(左右方向の角度))に沿って迅速に走査し、別のミラーは、Y方向(仰角(上下方向の角度))に沿ってゆっくりと走査する。光放出および標的反射からの検出は、典型的には単一モードファイバにより同軸に実施される。集められた光は、レンジ情報および潜在的な速度情報を引き出すために用いられる測定遅延または変更後の周波数識別特性を有する。点毎(point-wise)に検出されたレンジ情報が走査ミラーからの角度位置フィードバックと組み合わされると、3D点クラウドを定めることができる。
【0004】
高いフレームレートを達成するため、ミラーの角速度、特に高速走査方向におけるスキャナ(本件事例ではXスキャナ)の角速度を増大させる。高い角速度(例えば、毎秒3000°を超える)および単一モードファイバを利用した検出方式を備えるミラーを用いる場合、遠方の物体からの標的信号が著しく劣化する。信号劣化は、主として、レーザ信号(パルス化またはスイープされた周波数)の発射時刻から遠方の散乱標的からの同一信号の収集時刻までのスキャナミラーの角度位置の差に起因している。この僅かな角度の変化により、ファイバ先端部のところの標的信号のウォークオフ(walk-off)が生じて結合効率が減少し、このことは、それ自体弱い信号検出として顕在化する。かかる劣化は、ファイバ直径が減少するにつれて、例えば、直径がほぼ10μmの単一モードファイバでは、あるいはミラーの角速度が増大するにつれてひどくなる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の例示の具体化例は、改良型走査LIDARシステムに関する。本発明の例示の具体化例は、伝統的なLIDARシステムの欠点および先行技術のFM・LIDARシステムの制約を解決するために周波数変調(FM)およびコヒーレント検出を用いる形式のLIDARに基づいている。歴史的には、FM・LIDARシステムは、ビームの戻り経路において著しい損失を来たしており、かくして、極めて嵩張っている場合が多いかかるシステムは、飛行時間(TOF)LIDARシステムと同等の距離を測定するためには高い平均ビーム出力電力を必要とする。また、レンジは、目に安全な出力電力を得るために動作距離によって制限される。
【0006】
本発明の例示の具体化例は、コヒーレント検出方式を用いてレンジと速度の両方を測定するよう構成されており、他のLIDARシステムからのクロストークの影響を受けにくいという追加の利点を有する。他の具体化例は、レンジ、フレームレート、または検出を向上させるためにインコヒーレントシステムと併用されるのが良い。例示の具体化例は、ビームの戻り経路中における光損失を最小限に抑え、それによりシステムの測定レンジを増大させる。加うるに、非劣化レーザ源を用いることによって、例示の具体化例は、一体形シリコンフォトニクス、コンパクトさおよび漸変する環境条件における相対的安定性のゆえに所望のプラットホームで用いられる場合が多い技術的に成熟した波長分割多重化(WDM)技術を活用することができる。
【0007】
上述したように、標的信号の戻りの際におけるファイバ先端部のところでの偏心は、結合効率の主要な劣化源である。本発明の例示の実施形態は、光検出を主要源ファイバから分離することによってファイバ先端部のところの偏心状態の戻り光の妨害作用を軽減する。システムを出た光を四分の一波長板(QWP)で偏光することができる。QWPの後、光の一部分は、反射されて局所振動子(LO)としてシステムに向かって戻され、他方、残りの光は、環境に向かって伝搬し、そしてこれをシステムの視野(FOV)内の1つまたは2つ以上の物体によって反射して戻すことができる。標的からの光が戻ると、この光は、LO信号に干渉して結合(組み合わせ)信号を形成する。結合信号が偏光されるので、この結合信号を偏光ビームスプリッタから反射してレーザ源とは別体である1つまたは2つ以上の光検出器に向けることができる。ビームは、光検出器の前に干渉しているとともに検出経路が源経路から切り離されているので、光検出器は、太いコアファイバまたは導波管、シリコンを利用した光検出器、または結合信号を検出することができる他形式の光検出器であって良い。
【0008】
かくして、本発明は、以下の例示の具体化例を含むが、これらには限定されない。
【0009】
幾つかの例示の具体化例は、光検出・測距(LIDAR)装置であって、LIDAR装置は、レーザビームを第1の方向に放出するよう構成されたレーザと、レーザビームの第1の部分を第1の方向で標的に向かって通し、レーザビームの第2の部分をLO信号として戻り経路中に戻し、そしてさらに外部標的からの信号を戻り経路中に集めるよう構成されたレンズ光学系と、偏光波長板とを有し、この偏光波長板は、第1の方向に向けられたレーザビームおよびレンズ光学系を通って戻された標的信号の偏光状態を変換してこれらの偏光が互いに直交するようにし、LIDAR装置は、偏光ビームスプリッタをさらに有し、偏光ビームスプリッタは、偏光状態の光を第1の方向で偏光ビームスプリッタに通し、偏光状態の光を第1の方向とは異なる第2の方向に直角に反射するよう構成され、偏光ビームスプリッタはさらに、局所振動子信号と標的信号との干渉を可能にして結合または混合信号を発生させるよう構成され、LIDAR装置はさらに、混合信号を受け取るよう構成された光検出器を有することを特徴とするLIDAR装置を提供する。
【0010】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、第2のレーザ源および第2の光検出器をさらに有する。
【0011】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、信号を多数の光検出器に方向づける波長分割マルチプレクサをさらに有し、レーザ源は、多重波長レーザビームを提供する。
【0012】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、偏光波長板は、四分の一波長板または半波長板のうちの一方から成る。
【0013】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、レーザビームを偏光ビームスプリッタに通して視準するレンズ系をさらに有する。
【0014】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レーザ源および光検出器は、戻った光を光検出器に方向づけるためのフォールドミラーを備えた同一のプリント回路板または一体形フォトニックチップ上に設けられている。
【0015】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、フォールドミラーは、第1の波長の光を光検出器に向かって反射し、第2の波長の光を第2のフォールドミラーに通すとともに第2の光検出器に反射させることができる波長分割マルチプレクサコーティングをさらに有する。
【0016】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、第2のレーザ源をさらに有し、レーザ源および第2のレーザ源は各々、多重波長レーザビームを提供する。
【0017】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系は、戻り光を局所振動子信号として発生させるためにレフレクタまたはコーティングをさらに含む。
【0018】
幾つかの例示の具体化例は、光検出・測距(LIDAR)装置であって、LIDARシステムは、レーザビームを方向づけて環境を走査する高速走査ミラーと、レーザビームを発生させるとともに受け取る光回路とを含み、光回路は、レーザビームを第1の方向に放出するよう構成されたレーザ源と、レーザビームの第1の部分を第1の方向で標的に向かって通し、レーザビームの第2の部分をLO信号として戻り経路中に戻し、そして標的信号を戻り経路中に戻すよう構成されたレンズ光学系と、QWPとを有し、QWPは、第1の方向に向けられたレーザビームおよびレンズ光学系を通って戻された標的信号の偏光状態を変換してこれら偏光が互いに直交するようにし、光回路は、偏光ビームスプリッタをさらに有し、偏光ビームスプリッタは、偏光状態の光を第1の方向でビームスプリッタに通し、偏光状態の光を第1の方向とは異なる第2の方向に直角に反射するよう構成され、偏光ビームスプリッタはさらに、LO信号と標的信号との干渉を可能にして結合または混合信号を発生させるよう構成され、光回路はさらに、混合信号を受け取るよう構成された光検出器を有することを特徴とするLIDARシステムを提供する。
【0019】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系は、第2のレーザ源および第2の光検出器をさらに有する。
【0020】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系は、多数の光検出器に方向づける波長分割マルチプレクサをさらに有し、レーザ源は、多重波長レーザビームを提供する。
【0021】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、光検出器は、多重モード導波管を含む。
【0022】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系は、レーザビームを偏光ビームスプリッタに通して視準するレンズ系をさらに有する。
【0023】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系、レーザ源、および光検出器は、戻った光を光検出器に方向づけるためのフォールドミラーと共に同一のプリント回路板またはフォトニック集積回路上に設けられている。
【0024】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、LIDARシステムは、第2のレーザ源をさらに有し、レーザ源および第2のレーザ源は各々、多重波長レーザビームを提供する。
【0025】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態では、レンズ光学系は、戻り光を局所振動子信号として発生させるためにレフレクタまたはコーティングをさらに含む。
【0026】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、第2の高速走査ミラーをさらに含み、第1の高速走査ミラーは、第1の軸線を横切る方向に走査するためのものであり、第2の高速走査ミラーは、第2の軸線を横切る方向に走査するためのものである。
【0027】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、制御システムをさらに含み、制御システムは、能動光回路素子の光ドライバを制御し、走査ミラーの運動操作を制御し、光検出器から受け取った信号を処理して三次元空間の点クラウドを発生させるための処理装置を含む。
【0028】
先行する例示の具体化例または先行する例示の具体化例の任意の組み合わせに係るLIDARシステムの幾つかの例示の実施形態は、1つまたは2つ以上のイメージング装置をさらに含み、イメージング装置は、イメージを捕捉する。
【0029】
本発明のこれらの特徴、観点、および利点ならびに他の特徴、他の観点、および他の利点は、以下に簡単に説明する添付の図と一緒に以下の詳細な説明を読むと明らかであろう。本発明は、本明細書に記載された2つ、3つ、4つまたは5つ以上の特徴または要素が明示的に組み合わされているかどうかあるいは本明細書において説明する特定の例示の具体化例に違った仕方で記載されているかどうかとは無関係に、かかる特徴または要素の任意の組み合わせを含む。本発明は、本発明の任意の分離可能な特徴または要素が本発明の別段の明示の指定がなければ、その観点および例示の具体化例のうちの任意のものに関し、組み合わせと見なされるべきであるように全体論的に読まれることが意図されている。
【0030】
したがって、この発明の概要の項は、本発明の幾つかの観点の基本的な理解を提供するよう幾つかの例示の実施形態を要約して記載する目的でのみ提供されていることが理解されよう。したがって、理解されるように、上述の例示の具体化例は、例示に過ぎず、本発明の範囲または精神を何ら狭めるものと解されてはならない。他の例示の具体化例、観点、および利点は、例示的に幾つかの説明する例示の実施形態の原理を説明する添付の図と関連して行われる以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0031】
かくして、例示の具体化例を一般論として説明するが、今、必ずしも縮尺通りには描かれていない添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】レーザビームの向きを操作してシーンを走査するための典型的な光検出・測距(LIDAL)システムの光走査システムの図であり、ファイバ先端部のところでの戻りレーザビームの偏心状態を示す図である。
【
図1B】レーザビームの向きを操作してシーンを走査するための典型的な光検出・測距(LIDAL)システムの光走査システムの図であり、ファイバ先端部のところでの戻りレーザビームの偏心状態を示す図である。
【
図2】本発明の例示の具体化例に係るLIDALシステムを示す図である。
【
図3】幾つかの例示の具体化例に従って
図2のLIDALシステムの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図4】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図5】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図6】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図7A】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図7B】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図8A】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図8B】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図9】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【
図10】幾つかの例示の具体化例に従ってLIDALの光回路および光走査システムの諸観点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、添付の図面を参照して本発明の幾つかの具体化例を以下において詳細に説明するが、図中、本発明の幾つかの、しかしながら全てではない具体化例が示されている。確かに、本発明の種々の具体化例は、多くの互いに異なる形態で具体化できるが、本明細書に記載した具体化例に限定するものと解されてはならず、これとは異なり、これら例示の具体化例は、本開示が徹底的でありかつ完全であり、しかも本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。例えば、本明細書では、量的な測定値、数値、関係など(例えば、平面状、同一平面状、垂直)を参照する場合がある。別段の指摘がなければ、これらのうちの全てではなくて任意の1つまたは2つ以上は、絶対値であっても良くあるいは起こりうる許容可能なばらつき、例えば工学的許容差などに起因したばらつきを考慮に入れるために近似値であっても良い。同一の参照符号は、本明細書全体にわたって同一の要素を示している。
【0034】
図2は、本発明の幾つかの具体化例に係るLIDALシステム100を示している。LIDALシステム100は、多くのコンポーネントの各々のうちの1つまたは2つ以上を含むが、
図2に示されたコンポーネントよりも少ないまたはこれに追加したコンポーネントを含んでも良い。LIDALシステム100は、任意の検出市場、例えば輸送システム、製造システム、計測学的システム、医療システム、およびセキュリティシステム(これらには限定されない)において実施可能である。例えば、自動車業界では、説明するビーム送出システムは、自動ドライバ支援システムまたは自動運転車両のための空間認識を助けることができるFMCW装置のフロントエンドになっている。図示のように、LIDARシステム100は、光回路101を含む。光回路101は、能動光コンポーネントと受動光コンポーネントの組み合わせを含むのが良い。能動光コンポーネントは、光信号などを発生させ、増幅し、または検出することができる。幾つかの実施例では、能動光回路は、互いに異なる波長のレーザ、1つまたは2つ以上の光増幅器、1つまたは2つ以上の光検出器などを含む。
【0035】
受動光回路は、光信号を送るとともに光信号を能動光回路の適当な入力/出力ポートに送ったり操作したりする1本または2本以上の光ファイバを含むのが良い。受動光回路は、1つまたは2つ以上のファイバコンポーネント、例えばタップ、波長分割マルチプレクサ、スプリッタ/コンバイナ、偏光ビームスプリッタ、コリメータなどをさらに含むのが良い。幾つかの実施例では、以下にさらに説明するように、受動光回路は、偏光状態を変換し、PBSを用いて受け取った偏光済みの光を光検出器に方向づけるコンポーネントを含むのが良い。
【0036】
光スキャナ102は、光信号の向きを操作して走査パターンに従って環境を走査するようそれぞれの直交軸線に沿って回転可能な1つまたは2つ以上の走査ミラーを含む。例えば、走査ミラーは、1つまたは2つ以上のガルバノメータによって回転可能であるのが良い。光スキャナ102はまた、環境内の任意の物体に入射した光を集めてこれを戻りレーザビームにし、この戻りレーザビームは、光回路101の受動光回路コンポーネントに戻される。例えば、戻りレーザビームは、偏光ビームスプリッタによって光検出器に方向づけられるのが良い。ミラーおよびガルバノメータに加えて、光走査システムは、例えば四分の一波長板、レンズ、反射防止膜が施された窓などのようなコンポーネントを含むのが良い。
【0037】
光回路101および光スキャナ102を制御するとともに支援するため、LIDARシステム100は、LIDAR制御系またはシステム110を含む。LIDAR制御システム110は、LIDARシステム100のための処理装置として機能することができる。幾つかの実施例では、LIDAR制御システム110は、信号処理機能112、例えばディジタル信号プロセッサを含むのが良い。LIDAR制御システム110は、ディジタル制御信号を出力して光ドライバ103を制御するよう構成されている。幾つかの実施例では、ディジタル制御信号は、信号を変換ユニット106によってアナログ信号に変換されるのが良い。例えば、信号変換ユニット106は、ディジタル‐アナログ変換器を含むのが良い。すると、光ドライバ103は、駆動信号を光回路101の能動コンポーネントに提供して光源、例えばレーザおよび増幅器を駆動することができる。幾つかの実施例では、幾つかの光ドライバ103および信号コリメート106が多数の光源を駆動するよう設けられるのが良い。
【0038】
LIDAR制御システム110はまた、光スキャナ102のためにディジタル制御信号を出力するよう構成されている。運動制御システム105がLIDAR制御システム110から受け取った制御信号に基づいて光スキャナ102のガルバノメータを制御するのが良い。例えば、ディジタル‐アナログ変換器がLIDAR制御システム110からの座標ルーティング情報を光スキャナ102のガルバノメータによって解釈可能な信号に変換するのが良い。幾つかの実施例では、運動制御システム105はまた、光スキャナ102のコンポーネントの位置および動作に関する情報をLIDAR制御システム110に戻すのが良い。例えば、アナログ‐ディジタル変換器がガルバノメータの位置に関する情報をLIDAR制御システム110によって解釈可能な信号に変換するのが良い。
【0039】
LIDAR制御システム110はさらに、到来するディジタル信号を分析するよう構成されている。この点に関し、LIDARシステム100は、光回路101によって受け取られた1つまたは2つ以上のビームを測定するよう光レシーバ(受光器)104を含む。例えば、基準ビームレシーバが能動光回路からの基準ビームの振幅を測定するのが良く、アナログ‐ディジタル変換器が基準レシーバからの信号をLIDAR制御システム110によって解釈可能な信号に変換する。標的レシーバがうなり周波数の形態をした標的のレンジおよび速度に関する情報を伝達する光信号、すなわち、変調済み光信号を測定する。反射ビームを局所振動子からの第2の信号とミックスするのが良い。光レシーバ104は、標的レシーバからの信号をLIDAR制御システム110によって解釈可能な信号に変換する高速アナログ‐ディジタル変換器を含むのが良い。
【0040】
幾つかの用途では、LIDARシステム100は、環境のイメージを捕捉するよう構成された1つまたは2つ以上のイメージング装置108、システムの地理的な位置(居場所)を提供するよう構成されたグローバルポジショニングシステム109、または他のセンサ入力をさらに含むのが良い。LIDARシステム100は、イメージ処理システム114をさらに含むのが良い。イメージ処理システム114は、イメージおよび居場所を受け取り、そしてこれらイメージおよびこれらに関連づけられた場所または情報をLIDAR制御システム110またはLIDARシステム100に接続された他のシステムに送るよう構成されているのが良い。
【0041】
幾つかの実施例に従って動作原理を説明すると、LIDARシステム100は、非劣化型レーザ源を用いて2つの次元全体にわたってレンズと速度を同時に測定するよう構成されている。この機能は、周囲環境のレンジ、速度、方位角、および仰角のリアルタイムのロングレンジ(長距離)測定を考慮に入れている。幾つかの例示の具体化例では、このシステムは、多数の変調済みレーザビームを同一の標的に差し向ける。
【0042】
幾つかの実施例では、走査プロセスは、光ドライバ103およびLIDAR制御システム110で始まる。LIDAR制御システム110は、光ドライバ103に命令を出して1つまたは2つ以上のレーザを別個独立に変調し、そして、これら変調済み信号は、受動光回路を通ってコリメータまで伝搬する。コリメータは、光を光走査システムに方向づけ、光走査システムは、運動制御サブシステムによって定められたあらかじめプログラムされたパターンにわたって環境を走査する。光回路は、光が光回路101を出るときに光の偏光を変換する四分の一波長板をさらに含む。偏光済みの光の一部分はまた、反射されて光回路101に戻されるのが良い。例えば、レンズ系または視準系は、固有の反射特性を有するのが良くまたは光の一部分を反射して光回路101に戻す反射膜(コーティング)を含むのが良い。
【0043】
環境から反射して戻った光信号は、光回路101を通ってレシーバに進む。光が偏光されるので、光は、反射して光回路101に戻された偏光済み光の上述の部分と一緒に偏光ビームスプリッタによって反射されるのが良い。したがって、反射光は、光源として同一のファイバまたは導波路に戻るのではなく、別々の光レシーバに反射される。これら信号は、互いに干渉して結合(組み合わせ)信号が生じる。標的から戻る各ビーム信号は、時間ずれした波形を生じさせる。2つの波形相互間の時間的位相差は、光レシーバ(光検出器)で測定されるうなり周波数を生じさせる。次に、結合信号を光レシーバ104に反射させるのが良い。ビームを偏光してこれらビームを光レシーバ104に方向づける光回路101の構成について以下にさらに説明する。
【0044】
ADCを用いて、光レシーバ104からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。次に、ディジタル信号をLIDAR制御システム110に送る。信号処理ユニット112は、ディジタル信号を受け取ってこれらディジタル信号を解釈する。幾つかの実施形態では、信号処理ユニット112はまた、運動制御システム105およびガルバノメータからの位置データならびにイメージ処理システム114からのイメージデータを受け取る。次に、信号処理ユニット112は、光スキャナ102が追加の点を走査しているときに環境中のレンジおよび速度に関する情報を含む3D点クラウドを生じさせることができる。信号処理ユニット112はまた、3D点クラウドデータをイメージデータと重ね合わせて周囲の領域内の物体の速度および距離を算定することができる。システムはまた、人工衛星を利用したナビゲーションに基づくロケーションデータを処理して正確なグローバルロケーションをもたらす。
【0045】
技術の背景および発明の概要の項で説明したように、伝統的なLIDARシステムは、光のフラッディング(flooding)をシーンに提供するかあるいはシーンをラスターパターンで走査するかのいずれかで行う。ラスターパターンを使用する場合、距離、速度および他のデータを提供するために戻り位置にレーザをパルス化して分析する。収集したデータ点を点クラウドの状態に組み合わせてシーンを生成するのが良い。シーンに関して生じたフレームレートは、少なくとも部分的には、レーザの走査速度の関数である。例えば、レーザがスキャンすることができる速度が速ければ速いほど、レーザがある期間で取ることができる点がそれだけ一層多くなる。代表的には、シーンを2つのミラーで生成させることができ、これらのうちの1つは、第1の軸線を横切る方向に走査し、もう1つが第2の軸線を横切る方向に走査する。しかしながら、これらシステムは、走査ミラーを高い角速度(毎秒3000°を超える速度)で回転させているとき標的信号の劣化を被る場合がある。チャープ(chirp)されたレーザパルス(周波数スイープ)が標的に達して走査システムに戻るのに要する時間の間、ミラーは、その高い角速度に起因して動き、高速走査ミラーのこの僅かな角度の狂いにより、ファイバ先端部のところに標的信号のウォークオフ(walk-off)が生じる。このウォークオフは、直径の小さなファイバ先端部についてはより大きな問題である。例えば、単一モードファイバ先端部は、ほぼ10μmの場合がある。かくして、ウォークオフの数ミクロンは、かかるシステムの検出された信号の強度に対して大きな影響を及ぼす場合がある。
【0046】
本発明の例示の具体化例は、源ファイバを光レシーバから分離している。この分離により、大径のファイバ、例えばマルチモードファイバがレシーバとして利用可能である。加うるに、他形式の光検出器を使用することができる。したがって、システムは、標的からのパルス化レーザ光を偏光ビームスプリッタ内の反射局所光と組み合わせることができる。局所的に戻された光および標的戻り光の各々は、光源によって生じた後に偏光されるのが良い。戻り時、偏光済み光を光学源ファイバではなく別個の光反射器に反射させるのが良い。偏光済み光は、戻り経路内ですでに干渉しているので、光検出器は、源経路内では単一モードファイバよりも大径の検出器であるのが良い。例えば、光検出器は、シリコンを利用した検出器、マルチモードファイバ、大面積検出器などであるのが良い。
【0047】
図3は、走査システムの光回路200の諸観点を示している。例えば、
図3の光回路200は、幾つかの例示の具体化例に従って、LIDARシステム100の上述の
図2に関して図示したLIDARシステム100の光回路101の一部であるのが良い。図示のように、ファイバ出力部202は、レーザビームをLIDARシステムの受動光コンポーネントに提供するよう構成されている。例えば、ファイバ出力部202は、レーザ源であるのが良い。レーザビームは、偏光されない光として偏光ビームスプリッタ206を追加することができる。偏光ビームスプリッタ206の通過後、レーザビームを1/4波長板208の使用によって偏光するのが良い。次に、レーザビームは、円偏光(回転偏光とも呼ばれる)で偏光される。レンズ系210を用いて光を集束させるのが良い。幾つかの実施形態では、レンズはまた、偏光済み光の一部をファイバ出力部202に向かって反射させるのが良い。幾つかの実施形態では、別個のミラー、マイクロレンズアレイ、フィルタ、または反射膜を使用することができる。光の反射部分は、標的からの戻り光との干渉のための局所振動子になる。
【0048】
レーザビームは、レンズ210の通過後、環境に伝送され、パルスの一部分は、1つまたは2つ以上の物体から反射して戻るのが良い。例えば、光を
図2を参照して説明したようにラスターパターンをなして1つまたは2つ以上の高速走査ミラーによって環境に伝送するのが良い。反射後の光の一部分をファイバ出力部202の方向に戻すのが良い。標的環境から戻った光およびレンズ210から反射された光が偏光されるので、これらが偏光ビームスプリッタ206に戻されたとき、光は、ファイバ出力部202に戻るのではなく、反射されて光検出器204に至る。上述したように、光検出器204は、シリコンを利用した検出器、マルチモードファイバ、大面積付き検出器などであるのが良い。局所振動子信号および標的からの信号は、結合信号を生じさせるよう干渉している。したがって、ファイバ内に2つの干渉を生じさせる必要はない。次に、結合信号を用いると、標的点のところの環境に関する距離、速度、または他の要因を解釈することができる。
【0049】
図4は、走査システムの光回路300の諸観点を示している。例えば、
図4の光回路300は、幾つかの例示の具体化例に従って、LIDARシステム100の上述の
図2に関して図示した光回路101の一部であるのが良い。図示のように、光回路300は、多数のファイバ出力部302および多数の光検出器304を含む。多数のファイバ出力部302および光検出器304は、単一の時間間隔の間、多数のデータ点を提供することができる。したがって、高速走査ミラーの回転をより少なくした状態で追加のデータを得ることができる。光回路300の残りの部分は、
図3を参照して上述した部分と同一であっても良くまたはこれとほぼ同一であって良い。例えば、光回路300は、光を偏光するための1/4波長板308、反射光を提供するためのレンズ系310などを含むのが良い。幾つかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ306のアライメントは、戻った光を反射させるときにファイバ出力部302と光検出器304が互いに整列するように設定されるのが良い。幾つかの実施形態では、多数のファイバ出力部302および多数の光検出器304が設けられるのが良いが、さらに多数の偏光ビームスプリッタ306が設けられるのが良い。光検出器304の各々のところで受け取った信号を別々に分析して一点のところでの距離または速度データを生じさせるのが良い。幾つかの実施形態では、ファイバ出力部402は、互いに異なる波長でレーザビームを提供することができる。
【0050】
図5は、走査システムの光回路400の諸観点を示している。例えば、
図5の光回路400は、幾つかの例示の具体化例に従って、LIDARシステム100の上述の
図2に関して図示した光回路101の一部であるのが良い。図示のように、光回路400は、多数のファイバ出力部402および多数の光検出器404を含む。多数のファイバ出力部402および光検出器404は、
図4を参照して光回路302について説明したように単一の時間間隔の間に多数のデータ点を提供することができる。
【0051】
加うるに、ファイバ出力部402は、多数の波長でレーザビームを提供する。したがって、追加のデータ点を互いに異なる波長から生じさせることができる。幾つかの実施形態では、波長は、互いに異なる光検出器404のところで検出可能である。したがって、波長は、回折格子412によって分離されるのが良い。これは、光の互いに異なる波長を有するレーザビームの各々をそれぞれ対応の光検出器404に方向づける。したがって、2つのファイバ出力部402について示したように、4つの光検出器404が分析のために信号を発生させることができる。これにより、全部で4つのデータ点および環境に関する追加の情報が得られる。幾つかの実施形態では、ミラー(図示せず)が波長分割マルチプレクサの後に設けられている。したがって、光検出器を
図5に示すような場所ではなく異なる場所に配置することができ、ミラーは、光を検出器に向かって方向づけることができる。これにより、発散波長ビームに光検出器404に達する前にさらに発散する距離が与えられ、その場合、検出器を偏光ビームスプリッタからさらに動かす必要はないという利点が得られる。
【0052】
図6は、走査システムの光回路600の諸観点を示している。例えば、
図6の光回路600は、幾つかの例示の具体化例に従って、LIDARシステム100の上述の
図2に関して図示した光回路101の一部であるのが良い。図示のように、光回路600は、多数のファイバ出力部602および多数の光検出器604を含むが、種々の実施形態では、光回路600は、これよりも少ないまたは追加のファイバ出力部602または光検出器604を含むことができる。四分の一波長板608が光回路600内の光の偏光状態を変換することができる。加うるに、光回路600は、偏光ビームスプリッタ606内でビームを視準するための1つまたは2つ以上のマイクロレンズアレイ614,616,618を含む。視準光は、偏光ビームスプリッタ606内におけるレーザビームのアライメントおよび公差を向上させることができる。例えば、第1のマイクロレンズアレイ614は、光ファイバ602を出た光を視準することができ、第2のマイクロレンズアレイ618は、光を標的環境中に非視準化することができる。次に、レーザをこれが偏光ビームスプリッタ606に入るときに視準することができる。
図6に示されているように、光回路は、波長分割マルチプレクサ612を含むが、光回路600内における光の視準は、単一波長ファイバ出力部602およびいまや波長分割マルチプレクサ612で実施できる。幾つかの実施形態では、光回路600は、レーザビームを光検出器604のところで集束させるためのマイクロレンズアレイ616を含む。
【0053】
図7Aは、本明細書において説明した光回路を具体化するための例示の構造の平面図である。光回路700は、ファイバ出力部702、光検出器704、偏光ビームスプリッタ706、四分の一波長板708、およびレンズ710を含む。幾つかの実施形態では、レンズは、四分の一波長板708または光の偏光後に幾分かの光を反射してファイバ出力部702に戻すための別の構造体の後にコーティング(被膜)を有するのが良い。追加の光が環境から受け取られて偏光ビームスプリッタ706内の局所振動子信号と干渉するのが良い。次に、偏光ビームスプリッタは、結合信号を反射してこれを光検出器704に至らせる。
図7Aおよび
図7Bに示されているように、この具体化例は、光出力部のための多数の単一モードファイバ712および光検出器のための多くのマルチモードファイバ714を有する。したがって、マルチモードファイバ714は、単一モードファイバ712よりも広い面積を有する。これにより、受光マルチモードファイバ712上でのウォークオフの可能性が減少する。
図7Bは、本明細書において説明した光回路を具体化するための例示のシリコン構造体700の側面図である。図示のように、偏光ビームスプリッタ706は、プリント回路板に取り付けられた状態でこのプリント回路板の表面の上方に延びている。
【0054】
図8Aは、本明細書において説明した光回路を具体化するための例示の構造体の略図である。光回路800は、ファイバ出力部802、光検出器804、偏光ビームスプリッタ806、四分の一波長板808、およびレンズ810を含む。図示のように、四分の一波長板808は、偏光ビームスプリッタ806上に被覆されている。幾つかの実施形態では、レンズ810は、四分の一波長板808または光の偏光後に幾分かの光を反射してファイバ出力部802に戻すための別の構造体、例えばマイクロレンズアレイの後に設けられたコーティングであるのが良い。追加の光が環境から受け取られて偏光ビームスプリッタ806内の局所振動子信号と干渉するのが良い。次に、偏光ビームスプリッタは、結合信号を反射してこれを光検出器804に至らせる。
図8Aに示されているように、この具体化例は、光出力部のための多数の単一モードファイバ812および光検出器のための多くのマルチモードファイバ814を有する。したがって、マルチモードファイバ814は、単一モードファイバ812よりも広い面積を有する。これにより、受光マルチモードファイバ814上でのウォークオフの可能性が減少する。
図8Bは、本明細書において説明した光回路を具体化するための例示のシリコン構造体800の側面図である。図示のように、偏光ビームスプリッタ806は、低プロフィールチップが得られるようプリント回路板の表面と一体化されている。これにより、光システムのためのコンパクトな具体化例を得ることができる。
【0055】
図9は、本明細書において説明した光回路を具体化するための例示のシリコン構造体900の略図である。図示のように、光源902および検出器904は、単一のプリント回路板914上に実装されている。光源902および検出器904の平べったい分布状態を達成するため、フォールド(fold)ミラー912が光回路900の設計に組み込まれている。したがって、偏光後の光が偏光ビームスプリッタ908のところで受け取られた後、この光は、反射されてフォールドミラー912に向かう。
図9に示された例示の構造体は、光源902を出て検出器904に戻された光を視準するマイクロレンズ914をさらに含むのが良い。
【0056】
追加の実施形態では、
図10に示されているように、光の互いに異なる波長は、光源1002によって提供できる。これらは、フォールドミラー1012のうちの第1のフォールドミラー上の波長分割マルチプレクサコーティングによって識別でき、他方、残りの波長は通される。フォールドミラー1012は、フォールドミラー1012を通過して、この場合、第2のフォールドミラー1014に至る光の回折を回避するためにプリズムではなくキューブ(cube)であるのが良い。幾つかの実施形態では、互いに異なる波長分割マルチプレクサを備えた追加のフォールドミラーを用いると、光の他の周波数をさらに識別することができる。加うるに、光回路1000は、多数の光検出器1003,1004を有するのが良い。幾つかの実施形態では、これらは各々、フォールドミラーおよび波長分割マルチプレクサに基づいて検出器に向かって方向づけられる光の特定の波長について最適化可能である。
図10に示された例示の構造体は、光源1002を出て検出器1003,1004に戻された光を視準するマイクロレンズ1016をさらに含むのが良い。
【0057】
本明細書に記載した本発明の多数の改造例および他の具体化例は、本発明と関連していて上記説明および関連した図に提供された教示の恩恵に浴する当業者に想到されよう。したがって、本発明は、開示した特定の具体化例には限定されず、改造例および他の具体化例が添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるようになっていることが理解されるべきである。さらに、上記説明および関連の図は、諸要素および/または諸関数のある特定の例示の組み合わせとの関係で例示の具体化例に関するが、理解されるべきこととして、諸要素および/または諸関数の種々の組み合わせが添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱しないで別の具体化例によって提供できる。この点に関し、例えば、上記において明記した諸要素および/または諸関数の組み合わせとは異なる諸要素および/または諸関数の組み合わせもまた、添付の請求項のうちの幾つかに記載されているものと想定される。特定の用語が本明細書において用いられているが、これら用語は、一般的かつ説明上の意味で用いられており、本発明を限定する目的で用いられているわけではない。