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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】圧力感知電気シェーバ
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/38 20060101AFI20231214BHJP
   B26B 19/14 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B26B19/38 Z
B26B19/14 M
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021559801
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020060302
(87)【国際公開番号】W WO2020212276
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】19170323.0
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】エイケルカンプ マルクス フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ソレリオ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ネンゲルマン ヨースト ウィレム フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ファン ズトフェン マルタイン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ヨープ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-505696(JP,A)
【文献】特開平07-265559(JP,A)
【文献】特開平07-313749(JP,A)
【文献】特開2017-018268(JP,A)
【文献】特開2019-171060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/38
B26B 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気シェーバであって、
本体と、
前記シェーバのシェービング面上に露出された少なくとも2つの切断ユニットを持つシェービングユニットであって、各前記シェービングユニットは、前記シェービングユニットの切断ユニット担体に装着され、外部切断ガード及び内部切断部材を有する、シェービングユニットと、
前記本体に対して固定された位置に装着された第1のセンサユニット、及びセンサユニット担体に対して固定された位置に装着された第2のセンサユニット、を有するセンサであって、前記シェービング面を横切る向きのz軸に平行な方向における前記第1のセンサユニットに対する前記第2のセンサユニットの距離を示す信号を出力するよう構成された、センサと、
前記シェーバの前記シェービング面にかけられた押圧力に応答して、前記z軸に沿って押圧位置へと前記本体に向かって静置位置からともに変位するよう前記本体に対して前記シェービングユニット及び前記センサユニット担体を懸架する少なくともつの懸架アームとを有し、
前記少なくともつの懸架アームが、前記押圧位置から前記静置位置への方向に前記シェービングユニットを付勢する前記z軸に沿った弾性力をかけるよう構成され、
前記第1のセンサユニット及び前記第2のセンサユニットは、前記z軸に垂直に延在するx軸に平行な方向において或る距離だけ前記z軸からオフセットされた位置に配置された、電気シェーバにおいて、
前記少なくともつの懸架アームは、前記z軸に沿って互いに離間して配置される前記懸架アームにより形成される対を含み、前記対が、z軸に沿った前記静置位置と前記押圧位置との間の前記シェービングユニットの動きの間、少なくとも前記x軸及び前記z軸に垂直に延在するy軸を中心とした傾斜に抗して、前記本体に対して少なくとも前記センサユニット担体をガイドする、電気シェーバ。
【請求項2】
前記切断ユニットを担持する前記切断ユニット担体は、前記センサユニット担体に対して傾斜可能であり、それにより、前記z軸に沿った前記本体に対する少なくとも前記センサユニット担体の変位を引き起こすことなく、前記センサユニット担体に対する前記切断ユニットの傾斜を可能とする、請求項1に記載のシェーバ。
【請求項3】
前記切断ユニット担体は、前記切断ユニット担体に装着された第1の結合部材と、前記センサユニット担体に装着された第2の結合部材と、を有する解放可能な結合構造によって前記センサユニット担体に解放可能に結合された、請求項1に記載のシェーバ。
【請求項4】
前記切断ユニット担体は更に、前記切断ユニットの前記内部切断部材を共通して駆動するための主駆動シャフトを介して前記本体に接続された、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシェーバ。
【請求項5】
前記主駆動シャフトは、前記切断ユニット間の中央に前記z軸に沿って延在する回転軸を持つ、請求項4に記載のシェーバ。
【請求項6】
前記少なくともつの懸架アームが、
第1の位置において前記本体に装着され、第2の位置において前記センサユニット担体に装着された、第1の懸架アームであって、前記第1の懸架アームは、前記第1の位置と前記第2の位置との間に延在する、第1の懸架アームと、
第3の位置において前記本体に装着され、第4の位置において前記センサユニット担体に装着された、第2の懸架アームであって、前記第2の懸架アームは、前記第3の位置と前記第4の位置との間に延在する、第2の懸架アームとを有し、
前記第1及び第2の懸架アームは、前記z軸に平行な方向に弾性変形可能であり、
前記第1の位置と前記第3の位置とは、前記z軸に平行な方向に少なくとも1つの成分を持つ第1の距離だけ互いに離隔され、前記第2の位置と前記第4の位置とは、前記z軸に平行な方向に少なくとも1つの成分を持つ第2の距離だけ互いに離隔され、前記第1の距離の前記z軸に平行な方向における成分は、前記第2の距離の前記z軸に平行な方向における成分の長さと等しい長さを持つ、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシェーバ。
【請求項7】
前記第1の懸架アームのうちの2つ及び/又は前記第2の懸架アームのうちの2つを有する、請求項6に記載のシェーバ。
【請求項8】
前記2つの第1の懸架アーム及び/又は前記2つの第2の懸架アームは、前記x軸及び前記z軸により定義される平面の対向する側に配置された、請求項7に記載のシェーバ。
【請求項9】
前記2つの第1の懸架アーム及び/又は前記2つの第2の懸架アームは、前記第1の及び/又は前記第2の懸架アームに固定的に接続された又は一体的に形成されたブリッジにより相互接続された、請求項7又は8に記載のシェーバ。
【請求項10】
前記2つの第1の懸架アーム及び/又は前記2つの第2の懸架アームは、前記x軸及び前記y軸に平行に延在する平面で見て互いに向かって又は互いから離れるように分岐した、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のシェーバ。
【請求項11】
前記第1の位置と前記第3の位置とは、前記y軸及び前記z軸により定義される平面の共通する側に配置された、請求項6乃至10のいずれか一項に記載のシェーバ。
【請求項12】
前記第1の位置と前記第3の位置とは、前記y軸及び前記z軸により定義される平面に平行な平面に配置された、請求項6に記載のシェーバ。
【請求項13】
前記第1及び前記第2の懸架アームの少なくとも一方は、前記第1の位置から前記第2の位置への方向、又は前記第3の位置から前記第4の位置への方向において長さを持ち、前記y軸に平行な方向に幅を持つ、平板ばねである、請求項6乃至12のいずれか一項に記載のシェーバ。
【請求項14】
前記平板ばねは、前記z軸に平行な平面において曲げに抗する該平板ばねの剛性の少なくとも3倍である、前記z軸に垂直な平面において曲げに抗する剛性を持つ、請求項13に記載のシェーバ。
【請求項15】
前記主駆動シャフトの回転軸は、前記2つの第1の懸架アーム間及び/又は前記2つの第2の懸架アーム間に延在する、請求項4に直接又は間接的に従属する請求項7に記載のシェーバ。
【請求項16】
前記第1のセンサユニットは、遮蔽部により環境から遮蔽された位置に装着され、前記第2のセンサユニットは、前記遮蔽部の外側の位置に装着された、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のシェーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、請求項1の冒頭部分に記載のシェーバに関する。斯かるシェーバは、国際特許出願公開WO2015/025064から知られている。
【背景技術】
【0002】
シェービング中、ユーザは一般に、皮膚の刺激及び皮膚の損傷を回避しながら、短時間できれいなシェービングを達成しようとする。皮膚刺激及び傷害は、毛切断部材が皮膚と過度に強く接触するときに起こり、このことは特に、ユーザが過剰な力で皮膚に対して毛切断部材を押圧するときに起こる。特に、ユーザが過大な力で皮膚に毛切断部材を押しつけると、皮膚に強く触れてしまう。特に、1つのシステムから他のシステムに最近切り替えたユーザ、又は経験のないユーザは、剃られる身体部分の形状に従いながら、適切な圧力範囲の圧力でシェービングヘッドを皮膚に押し付けることが困難になる傾向がある。適切な圧力の範囲はまた、皮膚の厚さによって変化し得る。
【0003】
米国特許US5983502Aは、毛切断ユニット(シェービングヘッドと呼ばれることもある)が毛切断体に押し込まれる程度を測定することによって皮膚に対する圧力を測定するシェーバを開示している。センサが毛切断ユニットの内側への変位が大きすぎることを信号すると、シェービング圧力が高すぎるという警告が発せられる。各毛切断ユニットのセンサは、結合ピンに固定される環状永久磁石と、磁石の下に配置され、本体に固定されるホールセンサと、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切断ユニットの内側への変位は制限され、大部分は、毛切断体に対して切断ユニットを傾斜させることによって、剃られる皮膚表面の曲率に対する切断ユニットの向きに適応するために使用される。従って、加えられた圧力の指標は、剃られる皮膚の曲率に適応しながら、毛切断ユニットの傾斜によっても影響を受け、圧力測定に利用可能な変位の範囲は、傾斜を可能にするために必要な変位の範囲によって低減される。
【0005】
国際特許出願公開WO2015/025064によるシェーバでは、この問題は、本体に対する毛切断体(切断ユニットを含む)の変位及び傾斜に従ってシェービング圧力を測定することによって解決されている。これにより、シェービング圧力測定を妨げることなく、皮膚の形状に合わせながら、切断ユニットを傾けて押し込むことができる。しかしながら、国際特許出願公開WO2015/025064によるシェービング圧力信号化を有するシェーバは、比較的複雑であり、製造コストが高い。また、懸架装置が径方向に比較的大きい。
【0006】
本発明の目的は、シェービング圧力の正確な表示を提供しつつ、より単純でコンパクトな構造のシェーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、本目的は、請求項1に記載のシェーバを提供することによって達成される。
【0008】
弾力性部材に加えて、少なくともx軸及びz軸に垂直なy軸回りの傾斜に対して本体に対してセンサユニット担体をガイドする傾斜防止ガイドが設けられているので、z方向における第1のセンサユニットと第2のセンサユニットとの間の距離に強く影響する傾斜が少なくとも実質的に低減される。従って、シェービングユニットの変位、従って、シェービングユニットの傾斜による影響を全く又はほとんど伴わずに、第1及び第2のセンサユニット間の距離をz軸の方向に測定するために配置及び構成される必要があるだけで、コンパクトなシェーバにおいてさえ、センサユニットを収容するための空間が利用可能である、z軸からx方向に或る距離で都合よく配置され得る、1つの単純なセンサによって、加えられたシェービング圧力を引き起こす加えられた力が測定され得る。
【0009】
傾斜防止ガイドは、センサユニット担体のx軸のまわりのy軸及びz軸に垂直な傾斜を可能にし、センサユニット担体のz軸のまわりの枢動を可能にし得る。傾斜に対するガイドは、一般に、ある程度の遊び及び/又は弾力性を許容し得るので、y軸を中心に傾斜させることは、傾斜防止ガイドによって実質的に低減されるが、必ずしも完全に排除されるわけではない。
【0010】
本発明の特定の詳細及び実施例は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明の更なる特徴、効果、及び詳細は、詳細な説明及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるシェーバの例の一部が切り取られた側面図である。
図2図1に示されたシェーバの本体の上部の断面図である。
図3】センサユニット担体、並びに図1及び2に示されたシェーバの本体に対して少なくともセンサユニット担体をガイドするためのガイドの側面図である。
図4図3に示されたセンサユニット担体及びガイドの上部平面図である。
図5図3及び4に示されたセンサユニット担体及びガイドの斜視図である。
図6】本発明によるシェーバのガイドの他の例のアームを形成するための懸架アームの上部平面図である。
図7】本発明によるシェーバのセンサユニット担体及びガイドの他の例の斜視図である。
図8】本発明によるシェーバのセンサユニット担体及びガイドの更に他の例の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明によるシェーバ1の一例を示す。図1に示すシェーバ1は、シェーバのユーザが保持するのに適した本体2を有する。図1では、簡略化のため、本体2及びその構成要素を模式的に示している。シェーバ1は更に、シェービングユニット3を有し、該ユニットは、シェービングされる毛を有する皮膚の領域に接触するのに適しており、皮膚上を滑るように、この領域上を好適に動かすことができる。本例において、シェービングユニット3は、本体2の上端部5を示す図2に示す中央結合部材4を介して本体2に接続されている。図2において、シェービングユニット3は、本体2から取り外されているため、図示しない。中央結合部材4の断面寸法は、シェービングユニット3の断面寸法よりもかなり小さく、シェービングユニット3は、本体2の上端部5から離れた位置に配置されている。その結果、本体2とシェービングユニット3との接続部は、スリムな外観を有し、かつシェービングユニット3は、本体2に対して上昇した位置を有し、使用時には、シェービングユニット3が本体2によって視界から最小限に隠されるようになっている。
【0014】
シェービングユニット3は、3つの切断ユニット6(そのうち図1では2つしか見えない)を有し、これらの切断ユニットは、三角形状に配置され、シェーバ1のシェービング面11上に露出されている。切断ユニットの数は、2つ又は3つ以上であっても良い。切断ユニット6は、切断ユニット6が、剃られる皮膚の領域の湾曲した又は平坦な輪郭に適応する構成に付勢され得るように、ある程度可動であるように構成されても良い。例えば、切断ユニット6は、切断ユニット6がそれを介して本体2に対して支持される切断ユニット担体9に対して限られた範囲で、個別に押し下げ可能であり、それによって傾斜可能であっても良い。各切断ユニット6は、切断ユニット6の外面を形成するキャップ状の外部切断素子8を有し、かつ、毛を削り落とすための複数の開口を有する。外部切断要素8は、それぞれ押し下げ可能であり、それによって切断ユニット担体9に対して傾斜可能である。各キャップ形状の外部切断要素8の直ぐ内側には、内部切断要素7が回転可能に配置されている。作動中、内部切断要素7の切断端は、ばね力を受けてキャップ状の外部切断要素8に押し付けられ、各々は、外部切断要素8のうちの関連付けられた1つの内部表面に沿って摺動する。本例のように、シェービング面11は必ずしも平坦ではなく、切断ユニット6は、静置位置にあるとき、及びシェービング中に傾斜してシェービングされる皮膚表面の形状に適応するとき、わずかに異なる収束方向又は発散方向に面することができる。
【0015】
本例では、切断ユニット担体9は、更に、ギアホイール(図示されていない)を介して切断ユニット6の内部切断部材7を一般的に駆動する主駆動シャフト12を介して本体2に連結されている。主駆動シャフト12は、本体2内のモータ13に連結されている。駆動シャフト12上のギアホイール18は、モータ13の出力駆動シャフト19上の駆動ギアホイール14によって係合される。連結部材4は、ギアホイールと係合する中央ギアホイール(図示せず)の連結部材と係合する。本例では、切断ユニットは、シェーバが使用されているときに回転運動する内部切断要素を有するが、本発明は、第1及び第2の端位置間を揺動形式で直線的に前後移動する内部切断要素を有する切断要素を有するシェーバにも適用可能である。
【0016】
モータ13への電力供給のために、バッテリ42が設けられ、モータコントローラ43が接続されているモータ13への電力供給を制御するモータコントローラ43に接続されている。モータコントローラ43は、ユーザからの制御入力を受け付けるスイッチを備えていても良い。
【0017】
シェービングユニット3は、シェーバ1のシェービング面11に加えられる押圧力に応じて、図示のような静止位置からシェービング面11に横向きのz軸に沿って本体2に向かって、図1に示す位置よりも本体2に若干近い押圧位置まで変位させるために本体2に吊り下げられている。シェービングユニット3は、シェービングユニット3とセンサユニット担体が同時にz方向に移動するように、第2のセンサユニット17が取り付けられたセンサユニット担体22に接続されている。この例において、結合部材4は、センサユニット担体22の一部であり、シェービングユニット3の切断ユニット担体9に結合するために配置されている。
【0018】
シェービングユニットは、シェービング面の向きをシェービングされる皮膚表面の向きに容易に適応させることを可能にするために、センサユニット担体に対して全体的に又は部分的に傾斜可能であっても良い。その代わりに、シェービングユニットをセンサユニット担体に対して固定し、脱着可能ではなく、本例のように、シェービングユニットをセンサユニット担体に永久的に固定しても良く、又はセンサユニット担体と一体的に形成しても良い。更に、この例では、センサユニット担体22は本体2の一部であるが、代わりにシェービングユニットの一部であっても良い。
【0019】
センサ15は、本体2に対して固定された位置に取り付けられた第1のセンサユニット16と、センサユニット担体22に対して固定された位置に取り付けられた第2のセンサユニット17とを持つ。第1のセンサユニット16及び第2のセンサユニット17は、z方向に垂直なx方向に距離dだけ、z軸からオフセットされている。センサ15は、更に、第1のセンサユニット16に接続された信号処理ユニット20と、信号処理ユニット20の出力ポートに接続された音声発生器21と、を持つ。センサ15は、第2のセンサ部17の距離を示す信号を第1のセンサ部16に出力するように構成されている。本例では、第1のセンサユニット16はホールセンサであり、第2のセンサユニット17は磁石である。国際特許出願公開2015/025064に記載されているような光学センサ又は誘導センサなどの他のタイプの距離センサユニットも考えられる。音声発生器の代わりに、又は音声発生器に加えて、他の信号出力手段を使用することができる。生成された警告信号は、好ましくはリアルタイム又は略リアルタイムで、シェーバの信号出力送信機から警告出力信号を受信することに応答して人間が知覚可能な警告信号を生成する信号処理装置の受信機によって受信されることになるタイプのものであっても良い。
【0020】
図2乃至5に見られるように、センサユニット担体22と共に本体2に固定された弾力性部材24、25、26、27がポスト28、29を相互接続する。これらの弾力性部材は、押圧位置22'(図2参照)から静置位置22に向かう方向に、センサユニット担体22と同様に、切断ユニット担体9と共にシェービングユニット3を付勢するz軸に沿った力を働かせるように、形状及び寸法が決められている。
【0021】
弾力性部材24、25、26、27は、毛切断ユニット6の皮膚ガード8の開口部内への皮膚の過度の膨らみによる皮膚の刺激を回避するために推奨されるよりも大きいシェービング中に皮膚に及ぼされる圧力に対応する、シェービング面11に及ぼされるz方向の力にのみ応答して、センサユニット担体22が静置位置22から押圧位置22'(図2参照)に移動するような形状及び寸法にされる。斯かる押圧位置への移動は、第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17との間のz方向の距離の著しい減少をもたらし、それに応じて、第1のセンサユニット16から信号処理ユニット20に出力される受信信号の距離の変化をもたらす。信号処理部は、センサユニット担体22が押圧位置22'にある場合に、第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17との間のz方向の距離に関連する値よりも僅かに高い予め設定された値よりも受信された距離信号が低い場合に、音声信号を発生して音声発生器21に出力するように構成されている。音声発生器21は、信号処理部20から受信した音信号に応じて、容易に聞こえる警告信号を発生するように構成されている。従って、シェービング面11を介してシェービング圧力が加えられるような大きさのz方向の力を加えると、これは、望ましい最大シェービング圧力を超え、センサユニット担体22が押圧位置22'に押し込まれ、音声発生器21によって警告信号が生成される。このことは、過度の力、従って過度のシェービング圧力が加えられたことをユーザに警告する。しばらくすると、ユーザは、過剰なシェービング圧力アラームを引き起こすことなく、どのような力を加えることができるかを知ることになる。
【0022】
逆に、測定された変位、従ってz方向に及ぼされた力を使用して、きれいなシェービングを達成するのに十分に高いシェービング圧力を生成するには小さすぎる力の及ぼしを検出することもできる。シェービング圧が低すぎることに応答して、第2の警告信号を生成して、クリーンなシェービングが達成されるべきである場合に、より多くの圧力を発揮すべきであることをユーザに警告することができる。
【0023】
本例では、アーム24、25及び26、27の各対のうちの第2(又は第1)の1つは、静止位置22と押圧位置22'との間のシェービングユニット3をz軸に沿って移動させる際に、x軸及びz軸に直交するy軸を中心に傾斜することに抗して本体2に対してセンサユニット担体22をガイドする傾斜防止ガイドを構成する。アーム24、25及び26、27の各対は、y方向の軸の周りの傾斜に対して高い程度の剛性を有するガイダンスを提供する。
【0024】
センサユニット担体22のy軸回りの傾きが実質的に小さくなるので、傾くことによる第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17との距離の乱れが実質的に小さくなる。第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17とは、z軸からx方向に距離dだけオフセットされているため、センサユニット担体22のy軸回りの傾斜は、第2のセンサユニット17を主にz方向に移動させることになり、斯かる傾斜による第2のセンサユニット17の実質的な全移動は、z方向であり、従って、第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17との間の距離が測定される方向になる。実質的にy軸を中心とした傾きを小さくすることにより、第1のセンサユニット16と第2のセンサユニット17との距離に対する傾きの影響が大きくなるようなことが回避される。
【0025】
例えば、z方向における弾力性部材の剛性が、静止位置から押し込まれた位置に向かってz方向に及ぼされる力と、その方向における変位と、の間の比が、10N/mmと16N/mmとの間であるようなものである場合、及び/又は、切断ユニット担体9を押圧位置に向かって完全に押すために必要とされる力が、4Nと10Nとの間であるようなものである場合、傾斜防止ガイドの存在下で達成されるy軸の周りの傾斜に対する全体的な剛性は、好ましくは、シェービング面11に及ぼされる摩擦力と、y軸の周りの傾斜によるz方向における第2のセンサユニット17の変位と、の間の比が、15N/mmを超え、より好ましくは、20N/mmを超えるようなものである。
【0026】
好ましくは、毛切断ユニット6を担持する切断ユニット担体9は、センサユニット担体22に対して傾斜可能とされており、センサユニット担体22に対して毛切断ユニット6及びシェービング面11がz軸に沿って本体2に対して位置ずれを生じることなく、センサユニット担体22に対して傾斜可能とされている。これにより、第1のセンサ部16が信号処理部20に出力する信号の形をとるシェービング圧力の読み取り値に大きな影響を与えることなく、シェービングされる肌の向きにシェービング面11の向きを合わせるための毛切断ユニット6の傾斜を達成することができる。
【0027】
主駆動シャフト12は、切断ユニット6の間でz軸に沿って中央に延びる回転軸を持つ。これにより、モータ13によって駆動される回転を簡易に切断ユニット6に均等に振り分けることができる。更に、駆動シャフト12をシェービングユニット3、切断ユニット担体9及びセンサユニット担体22のz軸に沿って中央に配置することで、駆動シャフト12が便利にも、これらの部分を中心に延在し、またz軸も切断ユニット6間で中央に延在する。従って、切断ユニット6上に均等に分散されたシェービング圧力は、z軸に沿って働き、従って、z軸の周りに曲げモーメントが働くことはない。実際には、集合されたシェービング圧力の合力は、中央のz軸の周りの領域内を動くであろう線に沿って作用され、それによって、切断ユニット6の間のz軸を中央とするとともに、作用される最大曲げモーメントも最小限に抑えられる。
【0028】
この例では、第1の懸架アーム24、26は、第1の位置31、35で本体2に取り付けられ、第2の位置32、36でセンサユニット担体22に取り付けられる。アーム24、26はそれぞれ、第1の位置31、35と第2の位置32、36との間に延在する。
この懸架では、転倒防止ガイドは、第3の位置33(図面のいずれにおいても見えない1つの位置)で本体2に取り付けられ、第4の位置34、38でセンサユニット担体22に取り付けられた第2の懸架アーム25、27によって、非常に効果的かつ原理的に摩擦のない方法で提供される。また、これらのアーム25、27は、第3の位置33と第4の位置34、38との間に延在する。全ての懸架アームは、z軸に平行な平面において、弾性変形可能であり、特に曲げ可能である。
【0029】
第1及び第3の位置31、35、33は、z軸に平行な方向に少なくとも成分を有する第1の距離だけ互いに離間している。第2及び第4の位置32、36及び34、38は、同じくz軸に平行な方向の構成要素を有する第2の距離だけ互いに離間している。第1の距離のz軸に平行な方向の成分は、第2の距離のz軸に平行な方向の成分の長さと同一の長さである。従って、センサユニット担体22の懸架は、z方向には柔軟であるが、y軸を中心に傾斜しないように非常に堅く、また、x軸を中心に傾斜し、z軸を中心に旋回するように十分に堅いものが得られる。x軸を中心に傾斜し、z軸を中心に旋回することは、第1のセンサ16と第2のセンサ17との間の距離に影響を及ぼし、y軸を中心に傾斜するよりもはるかに少ない程度であるが、斯かる傾斜及び旋回に対する剛性は、z方向のシェービング圧力の測定値の乱れを回避するためにも有利である。
【0030】
この例では、懸架は、2つの第1の懸架アーム24、26と、2つの第2の懸架アーム25、27とを含む。第1の懸架アーム24、26のうちの少なくとも2つ、又は第2の懸架アーム25、27のうちの少なくとも2つを設けることは、特に、センサユニット担体22に隣接して利用可能な限られた空間を考慮して比較的細い懸架アームが設けられる場合に、z軸の周りの傾斜及び枢動を更に妨げるのに有利である。
【0031】
更に、2つの第1の懸架アーム24、26及び2つの第2の懸架アーム25、27は、x軸及びz軸によって画定される平面の両側に配置される。このようにして、2つの第1の懸架アーム24、26と2つの第2の懸架アーム25、27が切断ユニット担体9に沿って遠く離れて配置され得る、懸架アーム24、26と25、27のほぼ対称的な配置が得られる。
【0032】
コンパクトな構造での傾斜に対する更なるガイダンスを得るために、2つの第1の懸架アーム24、26及び2つの第2の懸架アーム25、27は、懸架アームの相互接続された対24、26及び25、27に固定的に接続されたブリッジ37によって相互接続される。このことは、傾斜に対する複合懸架アームの剛性を更に増大させる。
【0033】
2つの第1の懸架アーム24、26並びに2つの第2の懸架アーム25、27は、y軸及びz軸によって画定される平面に向かって、又はそこから離れるように分岐し、その結果、懸架はまた、z軸を横切るy方向の並進変位に対しても剛性である。
【0034】
コンパクトな構造で、y軸を中心に傾斜に対して特に高い剛性を達成するために、懸架アーム24、27が本体2に取り付けられている第1の位置31、35及び第3の位置33は、y軸及びz軸によって画定される平面の共通側に位置決めされ、従って、アームの対24、25及び26、27、並びにこれらのアームが接続されている要素22、28及び29は、一般に、z方向の平面において平行四辺形を形成し、従って、一般に、x方向に対して高い剛性を提供する。弾力性部材24、25と26、27との間の距離は、例えば5乃至10mmとすることができる。
【0035】
z方向の特に正確なガイドのために、懸架アーム24乃至27が本体2に取り付けられる第1の位置31、35及び第3の位置33が、y軸及びz軸によって画定される平面に平行な平面内に配置されることが更に有利である。
【0036】
この例では、第1及び第2の懸架アーム24乃至27は、第1の位置31、35から第2の位置34、36への方向、又は第3の位置33から第4の位置34、38への方向の長さと、y軸に平行な方向の幅とをそれぞれ有する平板ばねの形成で設けられているので、傾斜に対するガイダンスは、特に簡単な方法で、懸架において遊びなしに達成される。これらの効果は、斯かる板ばねの形態の1つ以上のアームのみを設けることによって、(個々のアームについてのみ)より少ない程度で達成することができる。
【0037】
板ばねは、好ましくは、z方向へのセンサ担体22の動きを可能にするために比較的柔軟であり、一方、z方向以外の方向への動きを制限するために十分に正確なガイダンスを提供するために、z方向に垂直な平面において十分に剛性である。この目的のために、平坦なばねは、z軸に垂直な平面での曲げに対する剛性をそれぞれ有することが好ましく、この剛性は、z軸に平行な平面での曲げに対する板ばねの剛性の少なくとも3倍、より好ましくは、少なくとも5倍又は少なくとも7倍である。
【0038】
主駆動シャフト12の回転軸は、それぞれの懸架アームの対の懸架アーム24、25及び26、27の間を通る。従って、細長い懸架アームがセンサユニット担体22に沿って反対側に延在するので、コンパクトな構造が達成される。更に、本体2の(ポスト29、29)への固定アタッチメント31、33、35間のx方向の距離と、主駆動シャフト12の回転軸に沿ったシェービング圧力の平均中心とは、主にx方向にも配向されている懸架アーム24乃至27の長さよりもはるかにより短い。従って、十分に長い懸架アーム24乃至27は、センサユニット担体22を押圧位置22'から静置位置22に向かって付勢するために必要なばねの移動量を与えるために収容することができるが、固定アタッチメント31、33、35と本体2との間のx方向の距離及びシェービング圧力の平均中心は、懸架アーム24乃至27の長さよりもはるかに短くすることができ、その結果、懸架アーム24乃至27に加えられる曲げモーメントの結果として、y軸の回りに傾くことが更に減少する。
【0039】
本例では、傾動防止ガイド24、26又は25、27を形成する板ばねもまた、センサユニット担体22を押込位置22'から静止位置22に向かって付勢する弾力性部材を構成するので、比較的小さい部品数で特に簡単な構成が達成される。また、本発明の他の実施例では、傾斜防止ガイドを形成するばね部材が、センサユニット担体22を押圧位置22'から静置位置22に向かって付勢する弾力性部材も形成する場合、構造の簡素化及び部品点数の削減に有利である。
【0040】
シェーバ1の確実な動作のために、特にシェーバ1も湿式シェービングのために配置される場合には、本例のように、第1のセンサユニット16が、環境から気密かつ埃のない状態で分離されるように、遮蔽部39によって環境から遮蔽された位置に取り付けられていれば有利である。第2のセンサユニット17は、その遮蔽部39の外側の位置に取り付けられている。これにより、動きセンサユニット担体22を遮蔽部39の完全な外部に配置することができ、斯かる動きを測定するためのz方向の動きを移送するための可動部分が遮蔽部39を通って延在しなければならないことがなくなるので、斯かる可動部分を遮蔽部に対して封止する必要が回避される。
【0041】
図6では、図1乃至5に示す例の懸架アームの代わりに設けることができる代替のばね部材124を示す。斯かるばね部材131のうちの2つをz方向に間隔をおいて共に配置し、外周131を本体に対して固定して取り付け、中央部分132をセンサユニット担体の相応に設計されたバージョンに取り付けることによって、切断ユニット担体をその静置位置に向かって付勢する弾力性部材と、第1又は第2のばね部材124の形で、y軸の周りの傾斜に抗するガイドと、の両方を提供する懸架が得られる。
【0042】
図7には、本発明によるシェーバの更なる例のセンサユニット担体222の懸架が示されている。この例では、懸架アーム224、225及び226、227の上側のもの224、226は、アーム224、226の端部に取り付け位置231、232、235、236でヒンジ止めされた本質的に剛体のアームの形で設けられている。本実施例では、上側のアーム224、226は、傾斜防止ガイドを形成する。図1乃至5に示す例のように、下側懸架アーム225、227は、板ばねの形で設けられ、また弾力性部材を形成する。しかしながら、この例では、下部懸架アーム225、227は、本体202のポスト228に固定された懸架アーム225、227側の懸架アーム225、227間のブリッジ部240と一体に形成されている。また、ヒンジ式懸架アーム224、226は、ブリッジ部分241と一体に形成されている。該ブリッジ部分はまた、本体202のポスト228に結合(ここではヒンジ結合)された懸架アーム224、226の側部に配置されている。懸架アームと一体的に形成されたブリッジ部分もまた、又は代替的に、センサユニット担体222に結合された懸架アームの側部に設けられても良い。懸架アームと一体に形成されたブリッジ部分の特別な利点は、懸架アーム間の特に剛体接続が得られること、及び2つの上部又は下部懸架アームが単一の部品を構成し、部品の組み立て及び取り扱いを容易にすることである。
【0043】
図8には、本発明によるシェーバ内の本体302に対してセンサユニット担体322を吊り下げるための懸架の更に別の例が示されている。この例では、弾力性部材は、図6に示すばね部材と同様のばね部材324によって形成される。その外周331において、スプリング部材324は、本体302の環状突起329に固定されている。傾斜防止ガイドは、センサユニット担体322の円筒状の外壁面と近い摺接する円筒状の内壁面を有するリング326の形成で設けられる。リング326の外側円筒壁面は、本体302の環状突起329の内側円筒壁面に密着して摺動する。これにより、センサユニット担体322は、本体部302に対して伸縮自在にガイドされ、センサユニット担体322の傾きが打ち消されるようになっている。
【0044】
図示の例では、弾力性部材はばねであるが、相互に反発する一対の磁石又は空気圧シリンダのような他の形態の弾力性部材も考えられる。
【0045】
本発明は、前述の説明及び図面において詳細に説明及び例示されてきたが、そのような説明及び例示は、例示するもの及び/又は説明するものであり、限定するものではないと考えられるべきであり、本発明は、開示された実施例に限定されるものではない。
【0046】
幾つかの特徴が、同じ又は別個の実施例の一部として記載されている。しかしながら、本発明の範囲は、実施例において実施される特徴の特定の組み合わせ以外のこれらの特徴の全て又は幾つかの組み合わせを有する実施例も含むことが理解されるであろう。
【0047】
開示された実施例に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、単語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a又はan)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙される幾つかのアイテムの機能を満たすことができる。明確化及び簡潔な説明のために、特徴は、ここでは、同じ又は別個の実施例の一部として開示されるが、本発明の範囲は、開示される特徴のすべて又は幾つかの組合せを有する実施例を含むことができることが理解されるであろう。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8