(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】光源装置および投射型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20231214BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20231214BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231214BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231214BHJP
F21V 29/51 20150101ALI20231214BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20231214BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20231214BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231214BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 311
F21S2/00 377
F21S2/00 375
F21V29/51
F21V29/67 100
F21V29/76
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021575750
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2021002894
(87)【国際公開番号】W WO2021157452
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2020017812
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中森 宏司
(72)【発明者】
【氏名】椎名 浩
(72)【発明者】
【氏名】鋪田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐輔
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-189440(JP,A)
【文献】特開2017-172876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0357790(US,A1)
【文献】特開2015-036708(JP,A)
【文献】特開2012-013897(JP,A)
【文献】特開2014-206581(JP,A)
【文献】特開2018-124443(JP,A)
【文献】特開2005-347263(JP,A)
【文献】特開2017-194675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・調査した分野 IPC
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
F21V23/00-99/00
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光を発する発光素子と、前記青色光を受けて所定の光を発する蛍光体と、を有する光源装置であって、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
を有し、
前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、
前記蛍光体は、前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部に埋め込まれた前記単数または複数のヒートパイプは、前記
区間において、前記発光素子を斜めに横断している、
光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置において、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられる、
光源装置。
【請求項3】
請求項2記載の光源装置において、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
光源装置。
【請求項4】
青色光を発する発光素子と、前記青色光を受けて所定の光を発する蛍光体と、を有する光源装置であって、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
を有し、
前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、
前記蛍光体は、前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられず、
前記第2の面の形状は、第1の辺、および前記第1の辺と対向する第2の辺を構成要素とする矩形であり、
前記発光素子は、前記第2の辺よりも前記第1の辺との距離が近くなるように配置され、
前記蛍光体は、前記第1の辺よりも前記第2の辺との距離が近くなるように配置され、
前記複数のヒートパイプは、
前記第1の辺から前記発光素子と対向する第1の区間を通って前記第1の辺に戻るように形成される第1のヒートパイプと、
前記第2の辺から前記発光素子と対向する第2の区間を通って前記第2の辺に戻るように形成される第2のヒートパイプと、
を有し、
前記第2のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
光源装置。
【請求項5】
請求項4記載の光源装置において、
前記第2の面における前記第1の辺と交差する辺を第3の辺、前記第3の辺と対向する辺を第4の辺として、
前記複数のヒートパイプは、さらに、
前記第1のヒートパイプおよび前記第2のヒートパイプと前記第3の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第3の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第3のヒートパイプと、
前記第1のヒートパイプおよび前記第2のヒートパイプと前記第4の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第4の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第4のヒートパイプと、
を有し、
前記第3のヒートパイプおよび前記第4のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
光源装置。
【請求項6】
青色光を発する発光素子と、前記青色光を受けて所定の光を発する蛍光体と、を有する光源装置であって、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
を有し、
前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、
前記蛍光体は、前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられず、
前記第2の面の形状は、第1の辺と、前記第1の辺と対向する第2の辺と、前記第1の辺と交差する第3の辺と、前記第3の辺と対向する第4の辺とで構成される矩形であり、
前記発光素子は、前記第2の辺よりも前記第1の辺との距離が近くなるように配置され、
前記蛍光体は、前記第1の辺よりも前記第2の辺との距離が近くなるように配置され、
前記複数のヒートパイプは、
前記第1の辺から前記発光素子と対向する第3の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第3のヒートパイプと、
前記第3のヒートパイプと前記第4の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第4の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第4のヒートパイプと、
を有し、
前記第3のヒートパイプおよび前記第4のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
光源装置。
【請求項7】
請求項4記載の光源装置において、
前記複数の冷却ファンは、
前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する領域が生じるように配置される第1の冷却ファンと、
前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する領域が生じるように配置される第2の冷却ファンと、
を有する、
光源装置。
【請求項8】
青色光を発する発光素子と、前記青色光を受けて所定の光を発する蛍光体と、を有する光源装置であって、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
を有し、
前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、
前記蛍光体は、前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記複数の冷却ファンは、
前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する領域が生じるように配置される第1の冷却ファンと、
前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する領域が生じるように配置される第2の冷却ファンと、
を有し、さらに、
前記発光素子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出結果に基づいて、前記第1の冷却ファンと前記第2の冷却ファンとに同一のファン回転数を指示する制御部と、
を有する、
光源装置。
【請求項9】
請求項4記載の光源装置において、
前記蛍光体は、前記青色光を受けて黄色光を発し、
前記光源装置は、前記青色光と前記黄色光とを混合することで白色光を生成する、
光源装置。
【請求項10】
請求項4記載の光源装置において、
前記底部において、前記発光素子の取り付け箇所の厚みと、前記蛍光体の取り付け箇所の厚みとは異なっている、
光源装置。
【請求項11】
青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成する光源装置と、
前記光源装置からの前記白色光に基づいて生成される光を表示素子で変調し、変調した光を外部の投射面へ投射する光学系と、
を有する投射型映像表示装置であって、
前記光源装置は、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、前記青色光を発する発光素子と、
前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、前記青色光を受けて前記黄色光を発する蛍光体と、
を有し、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部に埋め込まれた前記単数または複数のヒートパイプは、前記
区間において、前記発光素子を斜めに横断している、
投射型映像表示装置。
【請求項12】
請求項11記載の投射型映像表示装置において、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられる、
投射型映像表示装置。
【請求項13】
請求項12記載の投射型映像表示装置において、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
投射型映像表示装置。
【請求項14】
青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成する光源装置と、
前記光源装置からの前記白色光に基づいて生成される光を表示素子で変調し、変調した光を外部の投射面へ投射する光学系と、
を有する投射型映像表示装置であって、
前記光源装置は、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、前記青色光を発する発光素子と、
前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、前記青色光を受けて前記黄色光を発する蛍光体と、
を有し、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられず、
前記第2の面の形状は、第1の辺、および前記第1の辺と対向する第2の辺を構成要素とする矩形であり、
前記発光素子は、前記第2の辺よりも前記第1の辺との距離が近くなるように配置され、
前記蛍光体は、前記第1の辺よりも前記第2の辺との距離が近くなるように配置され、
前記複数のヒートパイプは、
前記第1の辺から前記発光素子と対向する第1の区間を通って前記第1の辺に戻るように形成される第1のヒートパイプと、
前記第2の辺から前記発光素子と対向する第2の区間を通って前記第2の辺に戻るように形成される第2のヒートパイプと、
を有し、
前記第2のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
投射型映像表示装置。
【請求項15】
請求項14記載の投射型映像表示装置において、
前記第2の面における前記第1の辺と交差する辺を第3の辺、前記第3の辺と対向する辺を第4の辺として、
前記複数のヒートパイプは、さらに、
前記第1のヒートパイプおよび前記第2のヒートパイプと前記第3の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第3の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第3のヒートパイプと、
前記第1のヒートパイプおよび前記第2のヒートパイプと前記第4の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第4の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第4のヒートパイプと、
を有し、
前記第3のヒートパイプおよび前記第4のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
投射型映像表示装置。
【請求項16】
青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成する光源装置と、
前記光源装置からの前記白色光に基づいて生成される光を表示素子で変調し、変調した光を外部の投射面へ投射する光学系と、
を有する投射型映像表示装置であって、
前記光源装置は、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、前記青色光を発する発光素子と、
前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、前記青色光を受けて前記黄色光を発する蛍光体と、
を有し、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられず、
前記第2の面の形状は、第1の辺と、前記第1の辺と対向する第2の辺と、前記第1の辺と交差する第3の辺と、前記第3の辺と対向する第4の辺とで構成される矩形であり、
前記発光素子は、前記第2の辺よりも前記第1の辺との距離が近くなるように配置され、
前記蛍光体は、前記第1の辺よりも前記第2の辺との距離が近くなるように配置され、
前記複数のヒートパイプは、
前記第1の辺から前記発光素子と対向する第3の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第3のヒートパイプと、
前記第3のヒートパイプと前記第4の辺との間の位置で、前記第1の辺から前記発光素子と対向する第4の区間を通って前記第2の辺に向かうように形成される第4のヒートパイプと、
を有し、
前記第3のヒートパイプおよび前記第4のヒートパイプには、前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する区間が設けられない、
投射型映像表示装置。
【請求項17】
請求項14記載の投射型映像表示装置において、
前記複数の冷却ファンは、
前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する領域が生じるように配置される第1の冷却ファンと、
前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する領域が生じるように配置される第2の冷却ファンと、
を有する、
投射型映像表示装置。
【請求項18】
青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成する光源装置と、
前記光源装置からの前記白色光に基づいて生成される光を表示素子で変調し、変調した光を外部の投射面へ投射する光学系と、
を有する投射型映像表示装置であって、
前記光源装置は、
底部と、前記底部から延伸する複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、
前記ヒートシンクの前記底部に取り付けられ、前記青色光を発する発光素子と、
前記ヒートシンクの前記底部に、前記発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、前記青色光を受けて前記黄色光を発する蛍光体と、
を有し、
前記底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記底部の厚み方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記底部には、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とが形成され、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の面から並んで延伸し、
前記発光素子は、前記底部の前記第2の面上に配置され、
前記蛍光体は、前記底部の前記第2の面上に前記発光素子から所定の間隔を空けて配置され、
前記単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する区間が設けられ、
前記複数の冷却ファンは、
前記第2の面の法線方向で前記発光素子と対向する領域が生じるように配置される第1の冷却ファンと、
前記第2の面の法線方向で前記蛍光体と対向する領域が生じるように配置される第2の冷却ファンと、
を有し、さらに、
前記発光素子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出結果に基づいて、前記第1の冷却ファンと前記第2の冷却ファンとに同一のファン回転数を指示する制御部と、
を有する、
投射型映像表示装置。
【請求項19】
請求項14記載の投射型映像表示装置において、
前記底部において、前記発光素子の取り付け箇所の厚みと、前記蛍光体の取り付け箇所の厚みとは異なっている、
投射型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置および投射型映像表示装置に関し、例えば、光源装置の冷却技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、青色光源装置と、赤色光源装置と、青色光源装置からの青色光を受けて緑色光を発すると共に青色光を拡散する蛍光ホイールとを有するプロジェクタが示される。当該プロジェクタでは、青色光源装置を冷却するためのヒートシンクおよび冷却ファンと、赤色光源装置を冷却するための別のヒートシンクおよび冷却ファンと、蛍光ホイールを冷却するための更に別の冷却ファンとが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1等に示されるように、青色光を発する発光素子と、当該青色光を受けて所定の色の光を発する蛍光体と、を有する光源装置が知られている。このような光源装置の一つとして、一般的に、黄色光を発する蛍光体を用い、青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成するようなものが知られている。ここで、発光素子は、通常、発熱に伴い光量が低下するため、冷却される必要がある。
【0005】
発光素子を冷却する方式として、特許文献1に示されるように、発光素子に対してヒートシンクおよび冷却ファンを設ける方式が知られている。しかし、発光素子に対して単純にヒートシンクおよび冷却ファンを設けるだけでは、発熱量が大きい発光素子を十分に冷却するために冷却ファンを高回転で回す必要性が生じ得る。その結果、冷却ファンの騒音が増大する恐れがある。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、冷却ファンによって冷却が行われる光源装置、および当該光源装置を含んだ投射型映像表示装置において、冷却ファンの騒音を低減することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の態様では、例えば、青色光を発する発光素子と、青色光を受けて所定の光を発する蛍光体と、底部および底部から延伸する複数の放熱フィンを備えるヒートシンクと、ヒートシンクの複数の放熱フィンを冷却するように配置されている単数または複数の冷却ファンと、を有し、発光素子は、ヒートシンクの底部に取り付けられ、蛍光体は、ヒートシンクの底部に、発光素子から所定の間隔を空けて取り付けられ、底部には、作動液の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導する単数または複数のヒートパイプが埋め込まれ、単数または複数のヒートパイプのそれぞれには、底部の厚み方向で発光素子と対向する区間が設けられる、ように構成されればよい。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、冷却ファンによって冷却が行われる光源装置、および当該光源装置を含んだ投射型映像表示装置において、冷却ファンの騒音を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1による投射型映像表示装置の内部構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1における光源装置および光学系の詳細な構成例を示す図である。
【
図3A】
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
【
図3B】
図3AにおけるA-A’間の構成例を示す断面図である。
【
図3C】
図3AにおけるB-B’間の構成例を示す断面図である。
【
図3D】
図3AにおけるC-C’間の構成例を示す断面図である。
【
図4】
図2における発光ユニットの冷却制御方式の一例を示す図である。
【
図5】
図4の冷却制御方式を用いた場合の実測結果の一例を示す図である。
【
図6A】冷却ファンの回転数に対する騒音の特性例を示す図である。
【
図6B】2個の冷却ファンによる合成騒音の特性例を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態2による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態3による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3による光源装置において、
図2における発光ユニットの別の詳細な構成例を示す平面図である。
【
図10A】本発明の実施の形態4による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
【
図11A】本発明の実施の形態5による光源装置において、
図3Aの発光ユニットのA-A’間の構成例を示す断面図である。
【
図15A】
図3Bの発光ユニットを用いた場合の蛍光体への光照射領域を示す模式図である。
【
図15B】
図12の発光ユニットを用いた場合の蛍光体への光照射領域を示す模式図である。
【
図15C】
図11Aの発光ユニットを用いた場合の蛍光体への光照射領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
(実施の形態1)
《投射型映像表示装置の概略》
図1は、本発明の実施の形態1による投射型映像表示装置の内部構成例を示すブロック図である。
図1の投射型映像表示装置100は、例えば、プロジェクタ等であり、光源装置2、光学系11、表示素子駆動部105、電源回路106、操作入力部107、不揮発性メモリ108、メモリ109、および制御部110を備える。さらに、投射型映像表示装置100は、通信部131、映像信号入力部132、音声信号入力部133、映像信号出力部134、音声信号出力部135、スピーカー140、画像調整部160、ストレージ部170、姿勢センサ180、およびカメラ190などを備えてもよい。
【0013】
光源装置2は、詳細は後述するが、青色光を発する発光素子と、当該青色光を受けて所定の光(この例では黄色光)を発する蛍光体(黄色蛍光体)と有し、青色光と黄色光とを混合することで白色光を生成する。また、光源装置2は、発光素子および蛍光体を冷却するための冷却機構を含んでいる。電源回路106は、外部から入力されるAC電力をDC電力に変換して、光源装置2に電源(DC電力)を供給する。さらに、電源回路106は、その他の各部にそれぞれ必要な電源(DC電力)を供給する。
【0014】
光学系11は、照明光学系3と、色分離光学系4と、表示素子6と、投射光学系10とを有し、概略的には、光源装置2からの白色光に基づいて生成される光を表示素子6で変調し、変調した光を外部の投射面200へ投射する、照明光学系3は、光源装置2からので白色光を集光し、より均一化して色分離光学系4へ照射する。色分離光学系4は、照射された白色光を、赤色光と緑色光と青色光とに分離する。
【0015】
表示素子6は、分離された赤色光、緑色光、青色光を透過または反射し、その際に、各色の光の強度をそれぞれ変調する。表示素子駆動部105は、表示素子6に、映像信号に応じた駆動信号(変調信号)を送信し、表示素子6は、当該駆動信号に応じて各色の光を変調する。投射光学系10は、表示素子6からの変調された各色の光をカラー映像光として合成し、カラー映像光を投射面200へ拡大投射する。
【0016】
ここで、表示素子駆動部105が参照する映像信号は、映像信号入力部132を介して外部から入力される入力映像信号でもよく、当該入力映像信号に対して画像調整部160が画像調整を行った後の映像信号でもよく、これらの映像信号にOSD画像信号を重畳した後の信号であってもよい。この際に、例えば、制御部110は、不揮発性メモリ108やストレージ部170に格納された画像を用いることで、映像信号にOSD画像信号を重畳した信号を生成することができる。
【0017】
姿勢センサ180は、重力センサまたはジャイロセンサ等により構成され、投射型映像表示装置100の設置姿勢を検出する。例えば、制御部110は、検出された設置姿勢に関する情報を用いて、表示素子6に表示する映像の方向を回転し、自動的に設置状態と違和感のない表示方向とする制御を行ってもよい。
【0018】
カメラ190は、例えば、赤外線を主な検出波長とする赤外線カメラである。この場合、カメラ190は、赤外線を発光または反射するポインター装置を用いて示される投射面200上のポインティング位置を検出してもよい。さらに、カメラ190は、投射映像の光出力を下げるなどの防眩制御等を行うために、投射面200の前に立つ人物の検出等を行ってもよい。また、カメラ190は、可視光カメラであってもよい。この場合、カメラ190は、例えば、投射面200周辺の映像を記録または外部に出力するために用いられる。
【0019】
操作入力部107は、操作ボタンやリモコンの受光部であり、ユーザからの操作信号を入力する。スピーカー140は、音声信号入力部133に入力された音声データに基づいた音声出力を行うことが可能である。また、スピーカー140は、内蔵の操作音やエラー警告音を出力してもよい。通信部131は、有線または無線のインターフェースを介して外部機器、ネットワーク、またはサーバ等と、制御データやコンテンツなどの各種データを通信する。
【0020】
不揮発性メモリ108は、プロジェクタ機能で用いる各種データを格納する。メモリ109は、投射する映像データや装置の制御用データを記憶する。メモリ109または不揮発性メモリ108は、GUI(Graphical User Interface)画像の生成に用いられる画像データを記憶しておいてもよい。制御部110は、バスを介して接続される各部の動作を制御する。
【0021】
画像調整部160は、映像信号入力部132で入力された映像データに対して画像処理を行うものである。当該画像処理としては、例えば、画像の拡大、縮小、変形などを行うスケーリング処理、輝度を変更するブライトネス調整処理、画像のコントラストカーブを変更するコントラスト調整処理、画像の階調特性を示すガンマカーブを変更するガンマ調整処理、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更するレティネックス処理などがある。
【0022】
ストレージ部170は、映像、画像、音声、各種データなどを記録するものである。例えば、製品出荷時に予め映像、画像、音声、各種データなどを記録しておいてもよく、通信部131を介して外部機器や外部のサーバなどから取得した映像データ、画像データ、音声データ、その他データなどの各種データを記録してもよい。ストレージ部170に記録された映像、画像、各種データなどは、表示素子6と投射光学系10とを介して投射映像として出力可能である。ストレージ部170に記録された音声は、スピーカー140から音声として出力可能である。
【0023】
映像信号入力部132は、有線または無線のインターフェースを介して外部機器から映像信号を入力する。音声信号入力部133は、有線または無線のインターフェースを介して外部機器から音声信号を入力する。映像信号出力部134は、有線または無線のインターフェースを介して外部機器へ映像信号を出力する。なお、映像信号出力部134は、映像信号入力部132を介して第1の外部機器から入力された映像信号をそのまま第2の外部機器に出力する機能を有してもよい。また、映像信号出力部134は、ストレージ部170に記録されている映像データに基づく映像信号を外部機器に出力する機能や、カメラ190で撮像した映像に基づく映像信号を外部機器に出力する機能を有してもよい。
【0024】
音声信号出力部135は、有線または無線のインターフェースを介して外部機器へ音声信号を出力する。なお、音声信号出力部135は、音声信号入力部133を介して第1の外部機器から入力された音声信号をそのまま第2の外部機器に出力する機能を有してもよい。また、音声信号出力部135は、ストレージ部170に記録されている音声データに基づく音声信号を外部機器に出力する機能を有してもよい。
【0025】
以上説明したように、投射型映像表示装置100には様々な機能を載せることが可能である。
【0026】
《光源装置および光学系の詳細》
図2は、
図1における光源装置および光学系の詳細な構成例を示す図である。
図2において、光源装置2は、発光ユニット20と、光源光学系21とを有する。発光ユニット20は、1個のヒートシンクHSと、1個のヒートシンクHSに対して配置される発光素子(言い換えれば光源)22および蛍光体28と、ヒートシンクHS(詳細にはその放熱フィン)を冷却する2個の冷却ファンFN1,FN2とを備える。ヒートシンクHSおよび冷却ファンFN1,FN2は、発光素子22および蛍光体28の冷却機構である。発光ユニット20の詳細については後述する。また、光源光学系21は、反射ミラー23と、ダイクロイックミラー24と、集光レンズ25,27と、拡散板26とを備える。
【0027】
発光素子22は、青色光を発するLD(Laser Diode)素子またはLED(Light Emitting Diode)素子である。反射ミラー23は、発光素子22からの青色光をダイクロイックミラー24に向けて反射する。ダイクロイックミラー24は、発光素子22からの青色光を反射および透過する。ダイクロイックミラー24で透過された青色光は、集光レンズ25によって集光され、例えば、アルミナセラミック板等の拡散板26に照射される。これを受けて、拡散板26は、集光された青色光を拡散する。
【0028】
一方、ダイクロイックミラー24で反射された青色光は、集光レンズ27で集光され、蛍光体28へ照射される。蛍光体28は、集光された青色光を励起光として黄色光を発する。ここで、当該黄色光は、詳細には、緑色帯域の光と赤色帯域の光を含む黄色蛍光である。蛍光体28が発した黄色光YYは、集光レンズ27を介してダイクロイックミラー24に向かう。また、拡散板26で拡散された青色光BBは、集光レンズ25を介してダイクロイックミラー24に向かう。ダイクロイックミラー24は、黄色光YYを透過し、青色光BBを反射する。その結果、光源装置2は、青色光BBと黄色光YYとの混合によって生成された白色光を照明光学系3に照射する。
【0029】
照明光学系3は、マルチレンズ31,32と、偏光変換素子33と、集光レンズ34とを備える。光源装置2からの白色光は、マルチレンズ31の複数のレンズセルにより複数の光に分割され、効率よくマルチレンズ32と偏光変換素子33に導かれる。そして、偏光変換素子33により、光が所定の偏光方向に偏光される。偏光された光は、集光レンズ34により集光され、色分離光学系4に照射される。
【0030】
色分離光学系4は、ダイクロイックミラー41B,41Gと、反射ミラー42a,42b,42cと、リレーレンズ43,44とを備える。ダイクロイックミラー41Bは、照明光学系3から照射された白色光のうち、青色光(青色帯域の光)を反射し、緑色光(緑色帯域の光)および赤色光(赤色帯域の光)を透過する。反射された青色光は、反射ミラー42aにより反射され、集光レンズ5Bを介して表示素子6Bに入射される。
【0031】
ダイクロイックミラー41Gは、ダイクロイックミラー41Bを透過した緑色光および赤色光を受けて、緑色光を反射し、赤色光を透過する。反射された緑色光は、集光レンズ5Gを介して表示素子6Gに入射される。また、ダイクロイックミラー41Gを透過した赤色光は、リレーレンズ43により集光され、その後、反射ミラー42bにより反射される。当該反射された赤色光は、再びリレーレンズ44により集光され、反射ミラー42cにより反射される。当該反射された赤色光は、集光レンズ5Rを介して表示素子6Rに入射される。
【0032】
表示素子6B,6G,6Rは、それぞれ、入射された青色光LB、緑色光LG、赤色光LRに対し、
図1の表示素子駆動部105からの駆動信号(変調信号)に応じて画素ごとに光強度変調を行うことで、所定の映像を得るための出射光を生成する。表示素子6B,6G,6Rは、具体的には、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、またはDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)パネルなどが用いられ、
図2の例では、透過型液晶パネルが用いられる。
【0033】
表示素子6B,6G,6Rの各出射光である青色光、緑色光、赤色光は、光合成プリズム7および投射レンズ8を備える投射光学系10に入射される。光合成プリズム7は、入射された青色光、緑色光、赤色光をカラー映像光として合成する。投射レンズ8は、当該カラー映像光を、
図1の投影面200に拡大投射する。
【0034】
《前提となる問題点》
図2の発光ユニット20のように、一つのヒートシンクHSに対して、発光素子22と蛍光体28とを近接して配置することで、例えば、発光素子と蛍光体とを離れた位置に配置し、それぞれに対して個別に冷却機構を設けるような場合と比較して、発光ユニット20ひいては光源装置2の小型化が可能になる。また、発光素子22と蛍光体28とでヒートシンクHSを併用することで、特に発熱が大きい発光素子22に対して、サイズが大きいヒートシンクHSを無駄なく配置することができるため、発光素子22の冷却効率が高まることが期待される。
【0035】
しかし、実際上、ヒートシンクHSの熱伝導率によっては、ヒートシンクHSにおける発光素子22に近い一部の領域のみに熱が偏るような事態が生じ得る。この場合、冷却ファンFN2(およびその冷却対象領域に位置する放熱フィン)を有効に活用することができず、実質的に、冷却ファンFN1のみでヒートシンクHS(ひいては発光素子22)の冷却が行われる。その結果、冷却ファンFN1を高回転で回転させる必要性が生じ、冷却ファンFN1の騒音が増大する恐れがある。そこで、以下に説明する発光ユニットを用いることが有益となる。
【0036】
《発光ユニットの詳細》
図3Aは、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
図3Bは、
図3AにおけるA-A’間の構成例を示す断面図である。
図3Cは、
図3AにおけるB-B’間の構成例を示す断面図である。
図3Dは、
図3AにおけるC-C’間の構成例を示す断面図である。
【0037】
ヒートシンクHSは、
図3C(および
図3A)に示されるように、面211aと面211aと対向する面211bとが形成される底部212と、面211aから並んで延伸する複数の放熱フィン213とを備える。ヒートシンクHSの材質は、代表的には、アルミ合金等である。面211bの形状は、
図3Aに示されるように、短手方向の辺210aと、辺210aと対向する辺210bと、辺210aと交差する長手方向の辺210cと、辺210cと対向する辺210dとで構成される矩形(詳細には長方形)である。
【0038】
明細書では、
図3Aに示される面211bの長手方向および短手方向をそれぞれX軸方向およびY軸方向とし、面211bの法線方向をZ軸方向とする。
図3Aに示されるように、発光素子(言い換えれば光源)22は、底部212の面211b上にグリス等を介して配置(または固着)される。蛍光体28は、底部212の面211b上に、発光素子22から所定の間隔を空けて、グリス等を介して配置(または固着)される。詳細には、発光素子22は、辺210bよりも辺210aとの距離が近くなるように配置され、蛍光体28は、辺210aよりも辺210bとの距離が近くなるように配置される。
【0039】
冷却ファンFN1,FN2は、
図3B、
図3Cおよび
図3Dに示されるように、ヒートシンクHSの複数の放熱フィン213を冷却するように、ヒートシンクHSに対してZ軸方向に配置されている。冷却ファンFN1は、
図3C(および
図3A)に示されるように、Z軸方向で発光素子22と対向する領域が生じるように配置される。冷却ファンFN2は、
図3D(および
図3A)に示されるように、Z軸方向で蛍光体28と対向する領域が生じるように配置される。
【0040】
ここで、
図3A、
図3B、
図3Cおよび
図3Dに示されるように、ヒートシンクHSの底部212には、単数または複数(この例では2本)のヒートパイプHP1,HP2が埋め込まれている。ヒートパイプHP1,HP2は、代表的には、銅等の材質で構成され、内部に封入される作動液(純水やフロン等)の気化と液化とを繰り返すことで熱を伝導するものである。そして、複数のヒートパイプHP1,HP2のそれぞれには、Z軸方向で発光素子22と対向する区間SE1,SE2が設けられるが、Z軸方向で蛍光体28と対向する区間は設けられない。
【0041】
具体的には、
図3Aに示されるように、ヒートパイプHP1は、辺210aから発光素子22と対向する区間SE1を通って辺210aに戻るように形成される。一方、ヒートパイプHP2は、辺210bから発光素子22と対向する区間SE2を通って辺210bに戻るように形成される。これにより、ヒートパイプHP1の作動液は、発光素子22での発熱に応じて区間SE1で気化したのち辺210aの方向に向かう。同様に、ヒートパイプHP2の作動液は、発光素子22での発熱に応じて区間SE2で気化したのち辺210bの方向に向かう。また、気化された作動液は、熱の伝導先で液化され、区間SE1,SE2の方向に戻る。
【0042】
これにより、発光素子22からの熱を、ヒートシンクHSの広範囲に伝導することが可能になる。また、この際に、蛍光体28では、
図2で述べたような青色光(例えばレーザ光)の照射に伴いある程度の発熱(ただし、発光素子22よりは十分に小さい発熱)が生じる。ただし、ヒートパイプHP2には、蛍光体28と対向する区間が設けられない。このため、区間SE2と、辺210bの近辺との温度差が大きくなり、発光素子22からの熱を、より効率的に伝導することが可能になる。
【0043】
ここで、一例として、
図3Aの面211bにおけるX軸方向のサイズは15cm程度であり、Y軸方向のサイズは6cm程度である。また、発光素子22のX軸方向のサイズは3.5cm程度であり、Y軸方向のサイズは3cm程度である。蛍光体28のX軸方向およびY軸方向のサイズは、それぞれ2cm程度である。なお、厳密には、蛍光体28自体のサイズは、例えば、数mm角等であり、それを搭載する銅板等のサイズが2cm角程度である。発光素子22の中心点と蛍光体28の中心点との距離は、6cm程度である。
【0044】
また、ヒートパイプHP1,HP2の外径は、5mm程度である。ここで、ヒートパイプHP1,HP2は、銅板等のヒートスプレッダと一体的に構成されてもよい。すなわち、例えば、
図3Aにおいて、面211b上は露出しているヒートパイプHP1,HP2の領域は、ヒートパイプHP1,HP2に取り付けられたヒートスプレッダであってもよい。この場合、当該ヒートスプレッダに沿って、そのZ軸方向にヒートパイプHP1,HP2が設けられる。また、ヒートスプレッダの線幅は、8mm程度であってもよい。
【0045】
《発光ユニットの冷却制御方式》
図4は、
図2における発光ユニットの冷却制御方式の一例を示す図である。
図4には、
図3Bの構成を備えた発光ユニットに加えて、温度センサ215と、
図1に示した制御部110とが示される。温度センサ215は、発光素子22に設置され、発光素子22の温度を検出する。制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を用いたプログラム処理等によって実装され、温度センサ215の検出結果に基づいて、2個の冷却ファンFN1,FN2に同一のファン回転数Rを指示する。
【0046】
仮に、ヒートパイプが埋め込まれないヒートシンクを用いる場合を想定する。この場合、熱に偏りが生じるため、例えば、発光素子22と蛍光体28のそれぞれに温度センサを設置し、発光素子22の温度およびその許容値に応じて冷却ファンFN1のファン回転数を制御し、蛍光体28の温度およびその許容値に応じて冷却ファンFN2のファン回転数を制御するような方式となり得る。この場合、冷却ファンFN1,FN2のファン回転数に隔たりが生じ(具体的には、冷却ファンFN1のみがかなりの高回転となり)、冷却ファンFN1,FN2全体としての騒音が増大する恐れがある。
【0047】
一方、
図4のように、ヒートパイプHP1,HP2が埋め込まれたヒートシンクHSを用いる場合、ヒートシンクHS内で熱を均一化できる。この場合、2個の冷却ファンFN1,FN2は、共に、同程度の発熱を冷却することになるため、同一のファン回転数Rに制御されてよい。2個の冷却ファンFN1,FN2を同一のファン回転数Rに制御することで、冷却ファンFN1,FN2全体としての騒音を低減できる。また、蛍光体28に温度センサを設ける必要性も生じず、コスト等を低減できる。
【0048】
図5は、
図4の冷却制御方式を用いた場合の実測結果の一例を示す図である。
図5では、ヒートパイプ無しのヒートシンクを用いる場合と、ヒートパイプHP1,HP2有りのヒートシンクHSを用いる場合とで比較を行っている。また、実測の際には、発光素子22および蛍光体28の発熱量を、それぞれ、100[W]および25[W]と仮定し、発光素子22および蛍光体28の代わりに、当該発熱量のヒータをそれぞれ用いている。
【0049】
図5に示されるように、冷却ファンFN1,FN2のファン回転数を共に2750[rpm]に設定した場合、ヒートパイプ有り時には、ヒートパイプ無し時と比べて、発光素子22の温度を5.4℃だけ下げることができた。また、冷却ファンFN1,FN2のファン回転数を共に5250[rpm]に設定した場合、ヒートパイプ有り時には、ヒートパイプ無し時と比べて、発光素子22の温度を4.9℃だけ下げることができた。
【0050】
さらに、冷却ファンFN1,FN2のファン回転数がいずれの場合も、ヒートパイプ有り時には、ヒートパイプ無し時と比べて、発光素子22の温度と蛍光体28の温度との隔たりが小さくなっている。これにより、ヒートシンクHS内で熱が均一化されていることが判る。なお、
図5における熱抵抗[℃/W]は、発光素子22(または蛍光体28)の温度と外気温度との差分ΔT[℃]を、発光素子22および蛍光体28の合計発熱量(125[W])で除算した値である。
【0051】
図6Aは、冷却ファンの回転数に対する騒音の特性例を示す図である。
図6Bは、2個の冷却ファンによる合成騒音の特性例を示す図である。
図6Aに示されるように、冷却ファンの回転数[rpm]が高くなるにつれて騒音[dB]は増大する。
図6Bには、一方の冷却ファンFN2の騒音を20[dB]に固定した状態で、他方の冷却ファンFN1の騒音を増加させた場合(すなわちファン回転数を高くした場合)における合成騒音の特性例が示される。合成騒音L[dB]は、冷却ファンFN1の騒音をL1[dB]とし、冷却ファンFN2の騒音をL2[dB]として、式(1)で算出される。
L=10log
10(10
(L1/10)+10
(L2/10)) …(1)
【0052】
図6Bから判るように、合成騒音L[dB]は、2個の冷却ファンFN1,FN2のそれぞれの騒音の内、大きい方の騒音に基づいてほぼ決定される。したがって、騒音を最小化するためには、2個の冷却ファンFN1,FN2のそれぞれの騒音が等しくなるようにすればよい。そこで、
図4に示したような冷却制御方式を用いることで、ヒートシンクHS(ひいては発光素子22)を2個の冷却ファンFN1,FN2によって効率的に冷却できると共に、騒音の最小化を図ることが可能になる。
【0053】
《実施の形態1の主要な効果》
以上、実施の形態1の光源装置および投射型映像表示装置を用いることで、代表的には、光源装置2に含まれる発光素子(光源)22を効率的に冷却することが可能になり、また、光源装置2の冷却機構を構成する冷却ファンの騒音を低減することが可能になる。さらに、光源装置2の小型化も実現できる。なお、この例では、蛍光体28として黄色蛍光体を用いる場合を例としたが、例えば、緑色蛍光体を用いる場合等であっても、同様の冷却方式が適用可能である。
【0054】
また、この例では、光源装置2は、
図1の投射型映像表示装置100の一部であるが、これに限らず、光を用いる様々な装置の一部であってもよく、さらには、装置の一部ではなく照明器具等のように独立した単体のものであってもよい。例えば、液晶テレビ等のバックライト用の光源装置として適用することや、車両のヘッドランプ用の光源装置として適用すること等が可能である。
【0055】
(実施の形態2)
《発光ユニットの詳細》
図7は、本発明の実施の形態2による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す断面図である。
図7に示す発光ユニットは、
図3Bの構成例における2個の冷却ファンFN1,FN2を1個の冷却ファンFNに置き換えたような構成を備える。
【0056】
実施の形態1で述べたように、ヒートシンクHSにヒートパイプHP1,HP2を埋め込むことで、発光素子22の発熱をヒートシンクHS全体に分散させることができる。その結果、ヒートシンクHSが備える放熱フィン213全体を冷却機構として有効に活用できるため、ヒートパイプが埋め込まれない場合と比較して、発光素子22の冷却効率を高めることができる。そして、このように、放熱フィン213を有効に活用できると、
図7のように1個の冷却ファンFNで足りる場合がある。
【0057】
《実施の形態2の主要な効果》
以上、実施の形態2の光源装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られ、例えば、ヒートパイプ無しのヒートシンクHSに1個の冷却ファンを配置する場合と比較して、放熱フィン213全体を有効活用できる分だけ冷却ファンFNの回転数を下げることができ、騒音を低減することが可能になる。また、実施の形態1の方式と比較して、冷却ファンが1個で足りるため、コストの低減や、消費電力の低減等が図れる。ただし、発光素子22の温度を所定値以下に保つ場合、通常、2個の冷却ファンを用いる方が、1個の冷却ファンを用いる場合よりもファン回転数を下げられるため、騒音をより低減する観点では実施の形態1の方式が有益となる。
【0058】
(実施の形態3)
《発光ユニットの詳細》
図8は、本発明の実施の形態3による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
図8に示す発光ユニットでは、ヒートシンクHS(詳細には、その底部212(
図3B参照))に、
図3Aの構成例とは異なる形状の複数のヒートパイプHP3,HP4が埋め込まれている。複数のヒートパイプHP3,HP4のそれぞれには、
図3Aの場合と同様に、Z軸方向で発光素子22と対向する区間SE3,SE4が設けられるが、Z軸方向で蛍光体28と対向する区間は設けられない。
【0059】
具体的には、
図8に示されるように、ヒートパイプHP3は、辺210aから発光素子22と対向する区間SE3を通って辺210bに向かうように形成される。一方、ヒートパイプHP4は、ヒートパイプHP3と辺210dとの間の位置で、辺210aから発光素子22と対向する区間SE4を通って辺210bに向かうように形成される。また、ヒートハイプHP3とヒートハイプHP4は、発光素子22の中心点と蛍光体28の中心点とを通るX軸方向の線を基準線220として、線対称となるように形成される。当該基準線220は、辺210c,210dと平行であり、辺210cと辺210dの中間に位置する。
【0060】
図9は、本発明の実施の形態3による光源装置において、
図2における発光ユニットの別の詳細な構成例を示す平面図である。
図9に示す発光ユニットは、
図3Aに示したヒートパイプHP1,HP2と、
図8に示したヒートパイプHP3,HP4とを組み合わせたような構成となっている。ヒートパイプHP3は、ヒートパイプHP1,HP2と辺210cとの間の位置で、辺210aから発光素子22と対向する区間SE3を通って辺210bに向かうように形成される。一方、ヒートパイプHP4は、ヒートパイプHP1,HP2と辺210dとの間の位置で、辺210aから発光素子22と対向する区間SE4を通って辺210bに向かうように形成される。
【0061】
《実施の形態3の主要な効果》
以上、実施の形態3の光源装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。また、
図9の構成例を用いた場合、
図3Aの構成例または
図8の構成例と比較して、ヒートパイプの数の増大に伴いコストの増大が生じ得るが、ヒートシンクHSの熱をより均一化することが可能になる。その結果、冷却効率がより高まり、結果として、冷却ファンの騒音をより低減することが可能になる。
【0062】
(実施の形態4)
《発光ユニットの詳細》
図10Aは、本発明の実施の形態4による光源装置において、
図2における発光ユニットの詳細な構成例を示す平面図である。
図10Aに示す発光ユニットでは、ヒートシンクHS(詳細には、その底部212(
図3B参照))に、
図3Aの構成例とは数と形状が異なるヒートパイプHP5が埋め込まれている。ヒートパイプHP5には、
図3Aの場合と同様に、Z軸方向で発光素子22と対向する区間SE5が設けられるが、Z軸方向で蛍光体28と対向する区間は設けられない。ヒートパイプHP5は、辺210aの辺210d寄りの箇所から区間SE5を通って辺210bの辺210c寄りの箇所に向かうように形成される。
【0063】
図10Bは、
図10Aを変形した構成例を示す平面図である。
図10Bに示す発光ユニットでは、ヒートシンクHS(その底部212)に、
図10Aの場合とほぼ同様のヒートパイプHP6が埋め込まれている。例えば、ヒートパイプHP6は、
図10Aの場合と異なり、辺210aの辺210c寄りの箇所から区間SE6を通って辺210bの辺210d寄りの箇所に向かうように形成される。
【0064】
《実施の形態4の主要な効果》
以上、実施の形態4の光源装置を用いることで、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。また、実施の形態1の場合と比較して、特に、ヒートシンクHSにおけるY軸方向の熱の均一性が低下し得るが、ヒートパイプの数の低減に伴いコストの低減が可能になる。
【0065】
【0066】
具体的には、
図3Bの構成例では、底部212の面211bは、平坦な形状となっており、これに伴い、底部212のZ軸方向、すなわち厚み方向のサイズは、均一となっている。一方、
図11A~
図11Iの構成例では、底部212の面211bを、3個の領域230a,230b,230cに区切った場合に、少なくともいずれか一つの領域230a,230b,230cに段差が形成される。これに伴い、
図11A~
図11Iの構成例では、底部212の厚み方向のサイズは、不均一となっている。
【0067】
領域230aは、X軸方向において、辺210aと発光素子22とで区切られる領域である。領域230bは、X軸方向において、発光素子22と蛍光体28とで区切られる領域である。領域230cは、X軸方向において、蛍光体28と辺210bとで区切られる領域である。辺210a,210bは、
図3Aに示したように、Y軸方向に延伸する辺である。
【0068】
複数のヒートパイプHP1,HP2は、このように厚みが不均一となっている底部212に埋め込まれる。ただし、複数のヒートパイプHP1,HP2の埋め込み箇所に関しては、
図3Aおよび
図3B等の場合と同様である。すなわち、複数のヒートパイプHP1,HP2のそれぞれは、底部212の厚み方向で発光素子22と対向する区間が設けられるように、底部212に埋め込まれる。また、複数のヒートパイプHP1,HP2のそれぞれは、底部212の厚み方向で蛍光体28と対向する区間が設けられないように、底部212に埋め込まれる。
【0069】
図11Aの構成例では、底部212において、発光素子22の取り付け箇所の厚みが蛍光体28の取り付け箇所の厚みに比べて厚くなるように、領域230bに段差が形成される。
図11Bの構成例では、
図11Aの構成例に加えて、さらに、底部212において、辺210aの部分の厚みが発光素子22の取り付け箇所の厚みに比べて厚くなるように、領域230aに段差が形成される。
図11Cの構成例では、
図11Bの構成例とは反対に、底部212において、辺210aの部分の厚みが発光素子22の取り付け箇所の厚みに比べて薄くなるように、領域230aに段差が形成される。
【0070】
図11D、
図11Eおよび
図11Fの構成例では、それぞれ、
図11A、
図11Bおよび
図11Cの構成例に加えて、さらに、底部212において、辺210bの部分の厚みが蛍光体28の取り付け箇所の厚みに比べて厚くなるように、領域230cに段差が形成される。
図11G、
図11Hおよび
図11Iの構成例では、それぞれ、
図11D、
図11Eおよび
図11Fの構成例とは反対に、底部212において、辺210bの部分の厚みが蛍光体28の取り付け箇所の厚みに比べて薄くなるように、領域230cに段差が形成される。
【0071】
図12は、
図11A~
図11Iを変形した構成例を示す断面図である。
図12の構成例では、
図11Aの構成例とは反対に、底部212において、発光素子22の取り付け箇所の厚みが蛍光体28の取り付け箇所の厚みに比べて薄くなるように、領域230bに段差が形成される。
図12では、段差は、領域230bのみに形成されるが、
図11B~
図11Iの場合と同様に、領域230bに加えて領域230a,230cに形成されてもよい。
【0072】
図13、
図14のそれぞれは、
図11A~
図11Iおよび
図12を変形した構成例を示す断面図である。
図13の構成例では、領域230bに凸状の段差が形成される。一方、
図14の構成例では、領域230bに凹状の段差が形成される。
図13および
図14の場合、底部212において、発光素子22の取り付け箇所の厚みは、蛍光体28の取り付け箇所の厚みと同等となる。なお、
図13および
図14では、領域230bに加えて領域230a,230cの一方または両方に、凸状、凹状、または
図11B~
図11Iの場合と同様のステップ状の段差が形成されてもよい。また、
図3Bの構成例に対して、領域230a,230cの一方または両方に段差が形成されてもよい。
【0073】
以上のように、底部212の面211bに段差を形成することで、例えば、次の第1~第3のような活用を図れる場合がある。第1の活用として、
図2の光源装置2のレイアウト効率を高められる場合がある。一例として、
図2の光源装置2において、冷却ファンFN1,FN2の他に別の冷却機構を発光ユニット20周りに設置する場合、底部212の厚みを薄くする段差を利用して、別の冷却機構を効率的に配置することができる。
【0074】
第2の活用として、例えば、底部212の厚みを厚くする段差を形成することで、底部212の熱抵抗が下がり、冷却効率を高められる場合がある。第3の活用として、集光レンズ27と併用して蛍光体28への光照射領域を適切に調整できる場合がある。
図15A、
図15Bおよび
図15Cは、それぞれ、
図3B、
図12および
図11Aの発光ユニットを用いた場合の蛍光体への光照射領域を示す模式図である。ここでは、前提として、
図15Aに示されるように、
図3Bの構成例を用いた場合に集光レンズ27に伴う蛍光体28への光照射領域240が最小となる場合を想定する。
【0075】
このような前提で、
図12の構成例を用いた場合、集光レンズ27と蛍光体28とのZ軸方向の距離は、
図3Bの場合と比較して短くなる。その結果、
図15Bに示されるように、蛍光体28への光照射領域240は、
図15Aの場合と比較して大きくなる。一方、
図11Aの構成例を用いた場合、集光レンズ27と蛍光体28とのZ軸方向の距離は、
図3Bの場合と比較して長くなる。その結果、
図15Cに示されるように、蛍光体28への光照射領域240は、
図15Aの場合と比較して大きくなる。このように光照射領域240を調整することで、例えば、蛍光体28の耐久性を高められる場合がある。
【0076】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0077】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0078】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0079】
2:光源装置、6:表示素子、11:光学系、20:発光ユニット、22:発光素子、28:蛍光体、100:投射型映像表示装置、110:制御部、210a~210d:辺、211a,211b:面、212:底部、213:放熱フィン、215:温度センサ、FN,FN1,FN2:冷却ファン、HP1~HP6:ヒートパイプ、HS:ヒートシンク、SE1~SE6:区間