(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】加工機
(51)【国際特許分類】
B62B 5/04 20060101AFI20231214BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20231214BHJP
【ＦＩ】
B62B5/04 C
B62B3/02 C
【請求項の数】
3
(21)【出願番号】P 2022068428
(22)【出願日】2022-04-18
(65)【公開番号】P2023158531
(43)【公開日】2023-10-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000238049
【氏名又は名称】冨士電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 敬
(72)【発明者】
【氏名】厚美 優真
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭５１－５３６９１（ＪＰ，Ａ）
【文献】米国特許第５７２２５０３（ＵＳ，Ａ）
【文献】米国特許出願公開第２０１９／０３２９６９７（ＵＳ，Ａ１）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６２Ｂ ５／０４
Ｂ６２Ｂ ３／０２
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置と、前記加工装置を載置するための支持台と、
前記支持台に固定された、複数のキャスターと、
前記支持台に固定された、強磁性体を含む床に対して前記支持台を固定するための固定部と、
を有し、
前記固定部は、
前記支持台に固定された円筒部、および前記円筒部に斜めに形成されたスリットを有する、ガイド部と、
前記円筒部内に回転可能に配置された軸体、前記円筒部外に配置された、マグネットを保持するマグネット保持部、ならびに前記軸体および前記マグネット保持部を接続し、かつ前記スリット内を移動可能な接続部、を有する可動マグネット部と、
前記可動マグネット部の移動を制限するためのロック機構と、
を有し、
前記ロック機構が前記可動マグネット部の移動を制限していないとき、前記マグネット保持部は、前記床に対して前記支持台を固定するための近接位置、および前記近接位置よりも前記床から離れた、前記床に対して前記支持台を移動可能にするための非近接位置に、前記スリットに沿って移動可能である、
加工機。
【請求項2】
請求項１の加工機において、前記ロック機構は、押圧部および前記押圧部を位置決めする位置決め部を有し、
前記可動マグネット部は、前記押圧部の少なくとも一部を挿入可能な被挿入部、前記押圧部により押圧可能な被押圧部をさらに有し、
前記非近接位置にある前記マグネット保持部の移動を制限するとき、前記ロック機構は前記押圧部を前記可動マグネット部の前記被挿入部に挿入し、
前記近接位置にある前記マグネット保持部の移動を制限するとき、前記ロック機構は前記押圧部で前記被押圧部を下方に押圧する、
加工機。
【請求項3】
請求項１の加工機において、前記支持台が、昇降機構をさらに有する、
加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の物品を製造する工場において、特定の加工機を、複数のラインで共有したり、工場内のレイアウト変更によって、加工機を他の場所に移動させたりすることがある。しかしながら、一般的な加工機は、容易に移動させることができない。そこで、例えば、加工機にキャスターを取り付け、移動可能にすることが行われている（例えば特許文献１～３）。
これらの特許文献の技術では、加工機を所定の位置に設置する際、複数の伸縮可能な支柱を加工機の下方に配置し、キャスターによる加工機の移動を抑制している。
これらの特許文献の技術では、加工機を所定の位置に設置する際、複数の伸縮可能な支柱を加工機の下方に配置し、キャスターによる加工機の移動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１９－１６９９５５号公報
【文献】国際公開第２０１８／１４２５１２号
【文献】特開２０２１－８４１４０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献のように、加工機の下方に支柱を配置しただけでは、加工機の固定が不十分なことがある。また特に加工機の重心が高い場合には、加工機が倒れやすく、安全性の観点で課題があった。さらに加工機を固定する際や、再度移動させる際に、複数の支柱を伸縮させる等の煩雑な作業が必要であり、より簡便な方法で、加工機を床に固定する方法が求められていた。
そこで、本発明の主な目的は、容易に移動が可能であり、設置の際には、床に簡便にかつ強固に固定可能な加工機を提供することにある。
そこで、本発明の主な目的は、容易に移動が可能であり、設置の際には、床に簡便にかつ強固に固定可能な加工機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため技術的検討を重ね、強磁性体を含む床に対して、磁力を利用して加工機を固定することで、加工機の固定を容易に行えること、また煩雑な作業を行うことなく、加工機を移動可能であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明によれば、
加工装置と、
前記加工装置を載置するための支持台と、
前記支持台に固定された、複数のキャスターと、
前記支持台に固定された、強磁性体を含む床に対して前記支持台を固定するための固定部と、
を有し、
前記固定部は、
前記支持台に固定された円筒部、および前記円筒部に斜めに形成されたスリットを有する、ガイド部と、
前記円筒部内に回転可能に配置された軸体、前記円筒部外に配置された、マグネットを保持するマグネット保持部、ならびに前記軸体および前記マグネット保持部を接続し、かつ前記スリット内を移動可能な接続部、を有する可動マグネット部と、
前記可動マグネット部の移動を制限するためのロック機構と、
を有し、
前記ロック機構が前記可動マグネット部の移動を制限していないとき、前記マグネット保持部は、前記床に対して前記支持台を固定するための近接位置、および前記近接位置よりも前記床から離れた、前記床に対して前記支持台を移動可能にするための非近接位置に、前記スリットに沿って移動可能である、
加工機が提供される。
加工装置と、
前記加工装置を載置するための支持台と、
前記支持台に固定された、複数のキャスターと、
前記支持台に固定された、強磁性体を含む床に対して前記支持台を固定するための固定部と、
を有し、
前記固定部は、
前記支持台に固定された円筒部、および前記円筒部に斜めに形成されたスリットを有する、ガイド部と、
前記円筒部内に回転可能に配置された軸体、前記円筒部外に配置された、マグネットを保持するマグネット保持部、ならびに前記軸体および前記マグネット保持部を接続し、かつ前記スリット内を移動可能な接続部、を有する可動マグネット部と、
前記可動マグネット部の移動を制限するためのロック機構と、
を有し、
前記ロック機構が前記可動マグネット部の移動を制限していないとき、前記マグネット保持部は、前記床に対して前記支持台を固定するための近接位置、および前記近接位置よりも前記床から離れた、前記床に対して前記支持台を移動可能にするための非近接位置に、前記スリットに沿って移動可能である、
加工機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に移動が可能であり、設置の際には、床に簡便かつ強固に固定可能な加工機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る加工機の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る加工機を例に、本発明の加工機について説明する。ただし、本発明の加工機は、以下に示す実施形態に限定されない。また、本実施形態の加工機について、図１～図４を用いて説明するが、これらは模式図であり、実際の寸法を示すものではない。
【0010】
本実施形態の加工機１００は、主に床が強磁性体を含む環境、例えば床が鉄板等である工場や作業場等で好適に使用される。当該加工機１００は、加工装置１０、支持台２０、キャスター３０、および固定部４０を有していればよく、本実施形態の目的および効果を損なわない範囲でこれら以外の構成を有していてもよい。例えば、加工機１００を移動させる際に作業者が把持するハンドル９０等をさらに有していてもよい。
【0011】
上記加工装置１０の種類は特に制限されない。加工装置１０の一例として、口出し装置が挙げられる。口出し装置は、導体を伸線機等によって伸線する際に、導体の先端がダイスの開口径より細くなるように、導体の先端を切削加工するための装置である。このような口出し装置は、各種伸線機に対応可能である。そのため、複数の伸線機で同一の口出し装置を使用することがある。つまり、口出し装置は、高い頻度で移動させたり、所望の位置で固定したりする必要があるため、本実施形態の加工機１００の加工装置１０として好適である。なお、口出し装置の構成は特に制限されず、一般的な口出し装置の構成と同様である。当該口出し装置（加工装置１０）は、支持台２０の上に配置されていればよく、固定されていてもよい。
【0012】
一方、上記加工装置１０を支持する支持台２０は、上記加工装置１０を載置可能であり、かつ移動時の衝撃や作業時の振動等に対して十分な強度を有し、かつ後述のキャスター３０や固定部４０を固定可能であれば特に制限されない。
当該支持台２０は、平板状の部材等であってもよいが、本実施形態の支持台２０は、第１支持台２１と、第２支持台２３と、上記第１支持台２１を第２支持台２３に対して略垂直に上下動させるための昇降機構２５と、を有する。加工機１００が昇降機構２５を有すると、加工装置１０を、所望の高さに配置することが可能となる。
当該支持台２０は、平板状の部材等であってもよいが、本実施形態の支持台２０は、第１支持台２１と、第２支持台２３と、上記第１支持台２１を第２支持台２３に対して略垂直に上下動させるための昇降機構２５と、を有する。加工機１００が昇降機構２５を有すると、加工装置１０を、所望の高さに配置することが可能となる。
【0013】
第１支持台２１および第２支持台２３は、それぞれ略平板状の部材である。
昇降機構２５は、第１支持台２１および第２支持台２３を連結する複数のアーム２５１と、複数のアーム２５１を連結する支軸２５２と、第１支持台２１を上下動させるための油圧部（図示せず）と、油圧部に連結された足踏ペダル２５３およびリリースレバー２５５と、を有する。
複数（例えば４つ）のアーム２５１は、それぞれの一端が、第１支持台２１および第２支持台２３のいずれか一方に回転可能に取り付けられており、他端が第１支持台２１および第２支持台２３の他方に回転可能かつスライド可能に取り付けられている。また、複数のアーム２５１は、その長さ方向の中心で、支軸２５２によって連結されている。
油圧部、足踏ペダル２５３、およびリリースレバー２５５は、一般的な油圧ジャッキと同様の構成を有している。足踏ペダル２５３を操作すると、油圧シリンダーが、第１支持台２１を上昇させるように支軸２５２に作用し、アーム２５１の他端をスライドさせる。一方、リリースレバー２５５を操作すると、油圧シリンダーが、第１支持台２１を下降させるように支軸２５２に作用し、アーム２５１の他端をスライドさせる。ただし、昇降機構２５は当該構造に限定されず、電動式の昇降機構等であってもよい。本実施形態では、加工機１００の重量を軽くし、加工機１００の移動を容易にするとの観点で、手動式としている。
昇降機構２５は、第１支持台２１および第２支持台２３を連結する複数のアーム２５１と、複数のアーム２５１を連結する支軸２５２と、第１支持台２１を上下動させるための油圧部（図示せず）と、油圧部に連結された足踏ペダル２５３およびリリースレバー２５５と、を有する。
複数（例えば４つ）のアーム２５１は、それぞれの一端が、第１支持台２１および第２支持台２３のいずれか一方に回転可能に取り付けられており、他端が第１支持台２１および第２支持台２３の他方に回転可能かつスライド可能に取り付けられている。また、複数のアーム２５１は、その長さ方向の中心で、支軸２５２によって連結されている。
油圧部、足踏ペダル２５３、およびリリースレバー２５５は、一般的な油圧ジャッキと同様の構成を有している。足踏ペダル２５３を操作すると、油圧シリンダーが、第１支持台２１を上昇させるように支軸２５２に作用し、アーム２５１の他端をスライドさせる。一方、リリースレバー２５５を操作すると、油圧シリンダーが、第１支持台２１を下降させるように支軸２５２に作用し、アーム２５１の他端をスライドさせる。ただし、昇降機構２５は当該構造に限定されず、電動式の昇降機構等であってもよい。本実施形態では、加工機１００の重量を軽くし、加工機１００の移動を容易にするとの観点で、手動式としている。
【0014】
一方、複数のキャスター３０は、加工機１００の支持台２０の移動を容易にするための構成であり、本実施形態では、上記支持台２０（本実施形態では第２支持台２３）の四隅に、１つずつ固定されている。当該キャスター３０の構造は特に制限されず、車輪３０１を有していればよく、車輪３０１の回転を抑制するためのストッパ３０２や、その他の機構（図示せず）をさらに有していてもよい。当該キャスター３０は、公知のキャスターであってもよい。また、キャスター３０の個数や大きさは、特に制限されず、加工機１００の重量や、構造等に合わせて適宜選択される。
【0015】
固定部４０は、加工機１００を、床に固定するための構成である。固定部４０は、ガイド部４１、可動マグネット部４３、およびロック機構４５を有する。
【0016】
図２は、ガイド部４１の構成を模式的に表したものであり、図２Ａは正面図、図２Ｂは平面図、図２Ｃは右側面図である。
ガイド部４１は、略円筒状の円筒部４１１と、当該円筒部４１１に斜めに形成されたスリット４１３とを有する。なお、本実施形態では、ガイド部４１が、円筒部４１１の上端に鍔部４１５をさらに有しており、当該鍔部４１５が第２支持台２３にビス等で固定されている。ただし、円筒部４１１を支持台２０に固定可能であれば、当該構造に限定されない。
ガイド部４１は、略円筒状の円筒部４１１と、当該円筒部４１１に斜めに形成されたスリット４１３とを有する。なお、本実施形態では、ガイド部４１が、円筒部４１１の上端に鍔部４１５をさらに有しており、当該鍔部４１５が第２支持台２３にビス等で固定されている。ただし、円筒部４１１を支持台２０に固定可能であれば、当該構造に限定されない。
【0017】
円筒部４１１は、後述の可動マグネット部４３の軸体４３１を回転可能に収容するための構成である。円筒部４１１の内径は、可動マグネット部４３の軸体４３１の外径に合わせて適宜選択され、軸体４３１を回転可能に収容できれば特に制限されない。また、その高さは、他の部材と干渉しない高さであればよく、特に制限されない。
【0018】
一方、スリット４１３は、円筒部４１１の周面に、鉛直方向に対して斜めに形成された貫通部であり、後述の可動マグネット部４３の接続部４３３を移動させるための領域である。可動マグネット部４３の抜け落ちを抑制する観点で、当該スリット４１３の鉛直方向上側および下側の端部は外部と連通していないことが好ましい。なお、スリット４１３の鉛直方向上側の端部には水平部４１３ａが配置されており、当該水平部４１３ａに可動マグネット部４３の接続部４３３を一時的に保持可能となっている。ガイド部４１と可動マグネット部４３とを接続する際には、上記円筒部４１１内に可動マグネット部４３の軸体４３１を収容し、その後、当該軸体４３１に、円筒部４１１の外部から、上記スリット部４１３を介して接続部４３３を接続すればよい。
なお、スリット４１３の幅（円筒部４１１の高さ方向の距離）は、可動マグネット部４３の接続部４３３の径や形状に応じて適宜選択される。また、スリット４１３の斜め方向の長さは、可動マグネット部４３の所望の可動域に応じて適宜選択される。下端は、少なくとも可動マグネット部４３のマグネット保持部４３５の底面が床に接触するように設定することが好ましい。一方、上端は、マグネット保持部４３５内のマグネットと床とが作用しない位置まで、マグネット保持部４３５を移動できるように設定することが好ましい。
さらに、スリット４１３の長手方向と水平面との角度（図２Ａにおいてβで表される角度）は、可動マグネット部４３の重量や形状に応じて適宜選択される。当該角度βが大きすぎると、マグネット保持部４３５を上方に移動させる際に、大きな力が必要となる。これに対し、当該角度βが適度な角度であると、可動マグネット部４３を当該スリット４１３に沿って小さい力で上方に移動させやすくなる。
なお、スリット４１３の幅（円筒部４１１の高さ方向の距離）は、可動マグネット部４３の接続部４３３の径や形状に応じて適宜選択される。また、スリット４１３の斜め方向の長さは、可動マグネット部４３の所望の可動域に応じて適宜選択される。下端は、少なくとも可動マグネット部４３のマグネット保持部４３５の底面が床に接触するように設定することが好ましい。一方、上端は、マグネット保持部４３５内のマグネットと床とが作用しない位置まで、マグネット保持部４３５を移動できるように設定することが好ましい。
さらに、スリット４１３の長手方向と水平面との角度（図２Ａにおいてβで表される角度）は、可動マグネット部４３の重量や形状に応じて適宜選択される。当該角度βが大きすぎると、マグネット保持部４３５を上方に移動させる際に、大きな力が必要となる。これに対し、当該角度βが適度な角度であると、可動マグネット部４３を当該スリット４１３に沿って小さい力で上方に移動させやすくなる。
【0019】
図３は、可動マグネット部４３の構成を模式的に表したものであり、図３Ａは正面図、図３Ｂは平面図、図３Ｃは右側面図である。
可動マグネット部４３は、軸体４３１、接続部４３３、およびマグネット保持部４３５を有する。当該可動マグネット部４３では、軸体４３１が上述のガイド部４１の円筒部４１１内で回転することで、接続部４３３がガイド部４１のスリット４１３に沿って移動する。これにより、マグネット保持部４３もガイド部４１のスリット４１３に沿って移動する。そして、マグネット保持部４３が、支持台２０を床に固定するための位置（本明細書では、「近接位置」とも称する）や、近接位置よりも床から離れ、床に対して支持台を移動可能にするための位置（本明細書では「非近接位置」とも称する）に移動する。
可動マグネット部４３は、軸体４３１、接続部４３３、およびマグネット保持部４３５を有する。当該可動マグネット部４３では、軸体４３１が上述のガイド部４１の円筒部４１１内で回転することで、接続部４３３がガイド部４１のスリット４１３に沿って移動する。これにより、マグネット保持部４３もガイド部４１のスリット４１３に沿って移動する。そして、マグネット保持部４３が、支持台２０を床に固定するための位置（本明細書では、「近接位置」とも称する）や、近接位置よりも床から離れ、床に対して支持台を移動可能にするための位置（本明細書では「非近接位置」とも称する）に移動する。
【0020】
軸体４３１は、上述のガイド部４１の円筒部４１１内に収容される略円柱状もしくは円筒状の部材である。軸体４３１の外径は、円筒部４１１の内径と略同等であればよい。また軸体４３１の高さは、他の部材と干渉しない高さであればよい。
【0021】
接続部４３３は、上記軸体４３１および後述のマグネット部４３５を接続し、上述のガイド部４１のスリット４１３を移動することが可能な部材であればよい。本実施形態では、接続部４３３が円柱状の部材であるが、その形状は特に制限されない。例えば角柱状や多角柱状の部材であってもよい。また、当該接続部４３３は、直線状でなくてもよく、湾曲していてもよい。
【0022】
マグネット保持部４３５は、マグネットを保持しており、かつその磁力によって支持体２０を床に固定するための構成である。当該マグネット保持部４３５は、マグネット（図示せず）を保持する本体部４３５ａ、本体部４３５ａと接続部４３３とを接続する取付部４３５ｂ、および後述のロック機構４５によって可動マグネット部４３の移動を制限するための被ロック部４３５ｃを有する。
【0023】
本体部４３５ａは、マグネットを保持可能であればその構造は特に制限されず、本実施形態では、略四角柱状の構造体である。ただし、本体部４３５ａの形状は当該構造に限定されず、例えば円柱状や多角柱状、円錐台状、角錐台状等、いずれの形状であってもよい。ただし、本体部４３５ａの底面は、床と密着可能な形状（例えば平面状）であることが好ましい。
本体部４３５ａの内部に保持されるマグネットは、常磁石であってもよく、電磁石であってもよいが、本体部４３５ａの構成を簡易な構成とできる点で、常磁石が好ましい。
本体部４３５ａは、作業者が把持するための把持部４３５２を有していてもよい。把持部４３５２は、可動マグネット部４３を移動させる際に、作業者が把持するための構成である。本実施形態では、把持部４３５２を、本体部４３５ａから外部に突出した部材としているが、把持部４３５２の形状は特に制限されず、例えば、本体部４３５ａの表面に設けられた窪み等であってもよい。
さらに、本体部４３５ａは、本体部４３５ａ内でマグネットの位置を移動させるためのレバー４３５３を有していてもよい。本体部４３５ａ内部でマグネットの移動が可能であると、マグネット保持部４３５（ひいては支持体２０）を磁力によって床に強固に固定しやすくなったり、マグネット保持部４３５を床から離しやすくなったりする。例えば、レバー４３５３の操作によって、本体部４３５ａの底部側にマグネットを移動させると、マグネットと床とが強く作用する。その結果、床とマグネット保持部４３５（ひいては支持体２０）との固定力が高まる。一方、レバー４３５３の操作によって、本体部４３５ａの上方にマグネットを移動させると、マグネットと床との間に働く磁力が弱まる。その結果、マグネット保持部４３５（本体部４３５ａ）が床から離れやすくなり、支持体２０を移動させやすくなる。
本体部４３５ａの内部に保持されるマグネットは、常磁石であってもよく、電磁石であってもよいが、本体部４３５ａの構成を簡易な構成とできる点で、常磁石が好ましい。
本体部４３５ａは、作業者が把持するための把持部４３５２を有していてもよい。把持部４３５２は、可動マグネット部４３を移動させる際に、作業者が把持するための構成である。本実施形態では、把持部４３５２を、本体部４３５ａから外部に突出した部材としているが、把持部４３５２の形状は特に制限されず、例えば、本体部４３５ａの表面に設けられた窪み等であってもよい。
さらに、本体部４３５ａは、本体部４３５ａ内でマグネットの位置を移動させるためのレバー４３５３を有していてもよい。本体部４３５ａ内部でマグネットの移動が可能であると、マグネット保持部４３５（ひいては支持体２０）を磁力によって床に強固に固定しやすくなったり、マグネット保持部４３５を床から離しやすくなったりする。例えば、レバー４３５３の操作によって、本体部４３５ａの底部側にマグネットを移動させると、マグネットと床とが強く作用する。その結果、床とマグネット保持部４３５（ひいては支持体２０）との固定力が高まる。一方、レバー４３５３の操作によって、本体部４３５ａの上方にマグネットを移動させると、マグネットと床との間に働く磁力が弱まる。その結果、マグネット保持部４３５（本体部４３５ａ）が床から離れやすくなり、支持体２０を移動させやすくなる。
【0024】
一方、取付部４３５ｂは、上述の本体部４３５ａを接続部４３３に取り付けるための構成である。なお、取付部４３５ｂを介さずに、上記本体部４３５ａを上記接続部４３３に接続してもよいが、本体部４３５ａと接続部４３３との間に、取付部４３５ｂを介在させると、本体部４３５ａを取り外したり、交換したりすることが容易になる。本実施形態では、取付部４３５ｂがＬ字状に折り曲げられた板状の部材であるが、取付部４３５ｂの形状は、本体部４３５ａの形状に合わせて適宜選択され、当該構造に限定されない。
【0025】
被ロック部４３５ｃは、可動マグネット部４３の位置を固定する際に、後述のロック機構４５の押圧部４５１を挿入したり、当該押圧部４５１によって押圧されたりするための構成である。本実施形態の被ロック部４３５ｃは、取付部４３５ｂの上面に固定された、本体部４３５ａより前方に突出した円弧状のプレートである。ただし、被ロック部４３５ｃの形状や位置は、ロック機構４５の位置や形状に合わせて適宜選択され、当該位置や形状に制限されない。
本実施形態の被ロック部４３５ｃは、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入するための被挿入部Ｘ１を有している。マグネット保持部４３５が非近接状態にあるときに、当該被挿入部Ｘ１内に、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入すると、マグネット保持部４３５の移動が抑制される。なお、被挿入部Ｘ１の形状は、押圧部４５１の少なくとも一部を挿入可能な形状であればよく、本実施形態では貫通孔であるが、有底の凹部であってもよい。ただし、マグネット保持部４３５の移動を確実に抑制するとの観点では、貫通孔が好ましい。
一方、被ロック部４３５ｃは、ロック機構４５の押圧部４５１によって押圧されるための被押圧部Ｘ２も有している。マグネット保持部４３５が近接状態にあるときに、当該被押圧部Ｘ２が、ロック機構４５の押圧部４５１によって押圧されると、マグネット保持部４３５の移動が抑制される。当該被押圧部Ｘ２は、押圧部４５１によってマグネット保持部４３５を床方向に押し付け可能な形状であればよく、本実施形態では平面状であるが、有底の凹部等であってもよい。
本実施形態の被ロック部４３５ｃは、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入するための被挿入部Ｘ１を有している。マグネット保持部４３５が非近接状態にあるときに、当該被挿入部Ｘ１内に、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入すると、マグネット保持部４３５の移動が抑制される。なお、被挿入部Ｘ１の形状は、押圧部４５１の少なくとも一部を挿入可能な形状であればよく、本実施形態では貫通孔であるが、有底の凹部であってもよい。ただし、マグネット保持部４３５の移動を確実に抑制するとの観点では、貫通孔が好ましい。
一方、被ロック部４３５ｃは、ロック機構４５の押圧部４５１によって押圧されるための被押圧部Ｘ２も有している。マグネット保持部４３５が近接状態にあるときに、当該被押圧部Ｘ２が、ロック機構４５の押圧部４５１によって押圧されると、マグネット保持部４３５の移動が抑制される。当該被押圧部Ｘ２は、押圧部４５１によってマグネット保持部４３５を床方向に押し付け可能な形状であればよく、本実施形態では平面状であるが、有底の凹部等であってもよい。
【0026】
ロック機構４５は、図４に示すように、押圧部４５１および当該押圧部４５１を位置決めするための位置決め部４５３を有する。
【0027】
押圧部４５１は、上述の被ロック部４３５ｃの被挿入部Ｘ１に挿入されたり、上述の被ロック部４３５ｃの被押圧部Ｘ２を床５００側に押圧したりするための部材である。本実施形態では、位置決め部４５３によって一端が支持された、棒状の部材であるが、当該構造に限定されない。
【0028】
一方、位置決め部４５３は、上記押圧部４５１の位置を変化させて、可動マグネット部４３の移動を制限したり、その制限を解除したりすることが可能な構造であればよい。本実施形態における位置決め部４５３はトグルクランプであるが、これに限定されない。
【0029】
以下、当該加工機１００の移動および固定方法について説明する。
本実施形態の加工機１００を、所望の位置に移動させる場合、キャスター３０のストッパ３０２を解除し、車輪３０１を回転可能にする。さらに、図４Ａに示すように、可動マグネット部４３のマグネット保持部４３５を、非近接位置、すなわちマグネット保持部４３５が床から離れた位置に配置し、ロック機構４５によって、その移動を制限する。
具体的には、可動マグネット部４３の接続部４３３を、ガイド部４１のスリット４１３の上方（水平部４１３ａ）に配置する。またこのとき、ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作して、被ロック部４３５ｃの被挿入部Ｘ１に、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入する。被挿入部Ｘ１に押圧部４５１を挿入することで、可動マグネット部４３（軸体４３１）の回転が抑制され、マグネット保持部４３５が、ガイド部４１のスリット４１３に沿って自重で落下し難くなる。その結果、加工機１００を所望の位置に移動させることが可能となる。
本実施形態の加工機１００を、所望の位置に移動させる場合、キャスター３０のストッパ３０２を解除し、車輪３０１を回転可能にする。さらに、図４Ａに示すように、可動マグネット部４３のマグネット保持部４３５を、非近接位置、すなわちマグネット保持部４３５が床から離れた位置に配置し、ロック機構４５によって、その移動を制限する。
具体的には、可動マグネット部４３の接続部４３３を、ガイド部４１のスリット４１３の上方（水平部４１３ａ）に配置する。またこのとき、ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作して、被ロック部４３５ｃの被挿入部Ｘ１に、ロック機構４５の押圧部４５１を挿入する。被挿入部Ｘ１に押圧部４５１を挿入することで、可動マグネット部４３（軸体４３１）の回転が抑制され、マグネット保持部４３５が、ガイド部４１のスリット４１３に沿って自重で落下し難くなる。その結果、加工機１００を所望の位置に移動させることが可能となる。
【0030】
一方、加工機１００を所定の位置に固定する場合には、キャスター３０のストッパ３０２をかけ、図４Ｂに示すように、ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作する。具体的には、ロック機構４５の押圧部４５１を、被ロック部４３５ｃの被挿入部Ｘ１から抜き、マグネット保持部４３５の移動制限を解除する。この状態で、把持部４３５２を把持し、マグネット保持部４３５をガイド部４１のスリット４１３に沿って斜め下方に移動させる。これにより、マグネット保持部４３５が、回転しながら下方に移動し、マグネット保持部４３５の底面が、床５００に接触する。そして、図４Ｃに示すように、再度ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作して、押圧部４５１を下方に移動させる。つまり、押圧部４５１によって被ロック部４３５ｃの被押圧部Ｘ２を押圧し、マグネット保持部４３５の移動を制限する。
さらに、マグネット保持部４３５のレバー４３５３を操作し、マグネット保持部４３５（本体部４３５ａ）内のマグネットを、床に近づける。これにより、マグネット保持部４３５内のマグネットと床５００とが作用し、支持体２０が床５００に強固に固定される。なお、加工機１００を床に固定後、上述の昇降機構２５を操作して、加工装置１０の位置を所望の位置に調整してもよい。
さらに、マグネット保持部４３５のレバー４３５３を操作し、マグネット保持部４３５（本体部４３５ａ）内のマグネットを、床に近づける。これにより、マグネット保持部４３５内のマグネットと床５００とが作用し、支持体２０が床５００に強固に固定される。なお、加工機１００を床に固定後、上述の昇降機構２５を操作して、加工装置１０の位置を所望の位置に調整してもよい。
【0031】
一方で、再度、加工機１００を移動させる場合には、上述の手順を逆から行えばよい。具体的には、レバー４３５３を操作して、マグネット保持部４３５内のマグネットを、床５００から離す方向、すなわちマグネット保持部４３５（本体部４３５ａ）の上方に移動させる。そして、ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作して、押圧部４５１を上方に移動させ、押圧部４５１による被押圧部Ｘ２への押圧を解除する。その後、把持部４３５２を把持して、マグネット保持部４３５をガイド部４１のスリット４１３に沿って斜め上方に移動させ、水平部４１３ａ内に収容する。そして、ロック機構４５のトグルクランプ（位置決め部）４５３を操作して、押圧部４５１を下方に移動させる。これにより、被ロック部４３５ｃの被挿入部Ｘ１に押圧部４５１が挿入され、マグネット保持部４３５の移動が抑制される。
【0032】
（本発明の加工機の効果）
前述のように、従来の移動可能な加工装置では、特に加工機の重心を高くした場合に、不安定になりやすかった。また、加工機を移動させる際、および固定する際に、煩雑な作業が必要であり、より簡便な方法で、確実に加工機を固定したり、固定を解除したりすることが求められていた。
これに対し、本発明の加工機では、ロック機構の操作、およびマグネット保持部の移動によって、容易にかつ確実に強磁性体を含む床に加工機を固定することが可能である。また、加工機を移動させる際にも、容易に固定を解除できる。したがって、頻繁に移動が必要な加工機等にも適用が可能である。
前述のように、従来の移動可能な加工装置では、特に加工機の重心を高くした場合に、不安定になりやすかった。また、加工機を移動させる際、および固定する際に、煩雑な作業が必要であり、より簡便な方法で、確実に加工機を固定したり、固定を解除したりすることが求められていた。
これに対し、本発明の加工機では、ロック機構の操作、およびマグネット保持部の移動によって、容易にかつ確実に強磁性体を含む床に加工機を固定することが可能である。また、加工機を移動させる際にも、容易に固定を解除できる。したがって、頻繁に移動が必要な加工機等にも適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の加工機によれば、容易に移動が可能であり、設置の際には、床に簡便かつ強固に固定可能である。したがって、各種製造分野において、非常に有用である。
【符号の説明】
【0034】
１０ 加工装置
２０ 支持台
２１ 第１支持台
２３ 第２支持台
２５ 昇降機構
３０ キャスター
４０ 固定部
４１ ガイド部
４３ 可動マグネット部
４５ ロック機構
９０ ハンドル
１００ 加工機
２５１ 連結アーム
２５２ 支軸
２５３ 足踏ペダル
２５５ リリースレバー
３０１ 車輪
３０２ ストッパ
４１１ 円筒部
４１３ スリット
４１３ａ 水平部
４１５ 鍔部
４３１ 軸体
４３３ 接続部
４３５ マグネット保持部
４３５ａ 本体部
４３５ｂ 取付部
４３５ｃ 被ロック部
４３５２ 把持部
４３５３ レバー
Ｘ１ 被挿入部
Ｘ２ 被押圧部
４５１ 押圧部
４５３ 位置決め部
５００ 床
２０ 支持台
２１ 第１支持台
２３ 第２支持台
２５ 昇降機構
３０ キャスター
４０ 固定部
４１ ガイド部
４３ 可動マグネット部
４５ ロック機構
９０ ハンドル
１００ 加工機
２５１ 連結アーム
２５２ 支軸
２５３ 足踏ペダル
２５５ リリースレバー
３０１ 車輪
３０２ ストッパ
４１１ 円筒部
４１３ スリット
４１３ａ 水平部
４１５ 鍔部
４３１ 軸体
４３３ 接続部
４３５ マグネット保持部
４３５ａ 本体部
４３５ｂ 取付部
４３５ｃ 被ロック部
４３５２ 把持部
４３５３ レバー
Ｘ１ 被挿入部
Ｘ２ 被押圧部
４５１ 押圧部
４５３ 位置決め部
５００ 床
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】