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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231214BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231214BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20231214BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L29/78 617K
G09F9/30 338
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 618B
H01L29/78 618C
H01L29/78 618E
H01L29/78 619A
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/70
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022095643
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2021051400の分割
【原出願日】2016-02-17
(65)【公開番号】P2022137038
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2015032252
(32)【優先日】2015-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】須澤 英臣
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】花岡 一哉
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005732(JP,A)
【文献】特開2011-119688(JP,A)
【文献】特開2015-015458(JP,A)
【文献】特開2011-139055(JP,A)
【文献】特開2015-005740(JP,A)
【文献】特開2002-094058(JP,A)
【文献】特開2013-021317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
H10B 12/00
H10B 41/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層上のソース電極及びドレイン電極と、
前記第1の絶縁層の側面及び前記第1の酸化物半導体層の側面と接する領域を有する第2の絶縁層と、
前記第1の酸化物半導体層上の溝部を有する第3の絶縁層と、
前記溝部の内壁に沿って形成された第2の酸化物半導体層と、
前記溝部の内側において前記第2の酸化物半導体層に接する領域を有するゲート絶縁層と、
前記溝部の内側において前記ゲート絶縁層に接する領域を有するゲート電極と、を有し、
前記溝部の内壁は、前記ソース電極の側面及び前記ドレイン電極の側面と揃っており、
前記第3の絶縁層の膜厚は、前記ソース電極の膜厚及び前記ドレイン電極の膜厚より大きく、
前記第3の絶縁層の上面は、前記ゲート絶縁層、及び前記ゲート電極と同一平面上である半導体装置。
【請求項2】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上の第1の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層上のソース電極及びドレイン電極と、
前記第1の絶縁層の側面及び前記第1の酸化物半導体層の側面と接する領域を有する第2の絶縁層と、
前記第1の酸化物半導体層上の溝部を有する第3の絶縁層と、
前記溝部の内壁に沿って形成されたゲート絶縁層と、
前記溝部の内側において、前記ゲート絶縁層に接する領域を有するゲート電極と、を有し、
前記溝部の内壁は、前記ソース電極の側面及び前記ドレイン電極の側面と揃っており、
前記第3の絶縁層の膜厚は、前記ソース電極の膜厚及び前記ドレイン電極の膜厚より大きく、
前記第3の絶縁層の上面は、前記ゲート絶縁層、及び前記ゲート電極と同一平面上である半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、それらの
駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置ま
たはその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、
表示装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体膜を用いてトランジスタを構成する技術が注
目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のよう
な電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリ
コン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されて
いる。
【0004】
例えば、トランジスタの活性層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および
亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物半導体を用いたトランジスタが特許文献1に開示されて
いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表平11-505377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体素子を微細化していく中で、トランジスタ近傍の寄生容量が大きな問題となる。
【0007】
トランジスタ動作において、チャネル近傍(例えば、ソース電極-ドレイン電極間)に寄
生容量が存在する場合、寄生容量の充電に要する時間が必要となり、トランジスタの応答
性、ひいては半導体装置の応答性を低下させてしまう。
【0008】
また、トランジスタを形成する各種工程(特に成膜、加工など)は、微細化が進む度に、
その制御性は困難を増しており、製造工程によるばらつきが、トランジスタ特性、さらに
は信頼性に大きな影響を与えてしまう。
【0009】
また、微細化に伴い、加工に要求される精度も厳しくなってきており、加工の難易度が高
まってきている。
【0010】
したがって、本発明の一態様は、トランジスタ近傍の寄生容量を低減することを目的の一
つとする。または、電気特性が良好な半導体装置を提供することを目的の一つとする。ま
たは、信頼性の高い半導体装置を提供することを目的の一つとする。または、トランジス
タまたは半導体装置の、製造工程に起因した特性のばらつきを低減することを目的の一つ
とする。または、トランジスタの作製工程を安定化させることを目的の一つとする。また
は、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有する半導体装置を提供することを目的の一つと
する。または、簡易な工程で形成することができる半導体装置を提供することを目的の一
つとする。または、酸化物半導体層近傍の界面準位を低減することができる構成の半導体
装置を提供することを目的の一つとする。または、低消費電力の半導体装置を提供するこ
とを目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的の一つとす
る。または上記半導体装置の作製方法を提供することを目的の一つとする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の絶縁層と、第1の絶縁層上の第1の酸化物層と、第1の酸化物
層上の半導体層と、半導体層上のソース電極層およびドレイン電極層と、第1の絶縁層上
の第2の絶縁層と、第2の絶縁層、ソース電極層、およびドレイン電極層上の第3の絶縁
層と、半導体層上の第2の酸化物層と、第2の酸化物層上のゲート絶縁層と、ゲート絶縁
層上のゲート電極層と、第3の絶縁層、第2の酸化物層と、ゲート絶縁層、およびゲート
電極層上の第4の絶縁層と、を有する。第2の絶縁層は、第1の酸化物層、半導体層、ソ
ース電極層、およびドレイン電極層の側面と接する領域を有する。第2の絶縁層の上面は
、ソース電極層、およびドレイン電極層と同一平面上であって、第2の酸化物層は、第1
の酸化物層、ソース電極層、ドレイン電極層、第2の絶縁層、および第3の絶縁層の側面
と接する領域を有することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
本発明の別の一態様は、第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に第1の酸化物膜を形成
し、第1の酸化物膜上に半導体膜を形成し、半導体膜上に第1の導電膜を形成し、第1の
導電膜上に第1のマスクを形成し、第1のマスクを用いて第1の導電膜の一部をエッチン
グし、第1の導電層を島状に形成し、第1のマスク、および第1の導電層をマスクとして
用いて、第1の酸化物膜および半導体膜の一部をエッチングすることにより、第1の酸化
物層と、半導体層と、を島状に形成し、第1の絶縁層および第1の導電層上に第2の絶縁
膜を形成し、第1の導電層が露出するまで第2の絶縁膜に化学的機械的研磨処理を行うこ
とにより、第2の絶縁層形成し、第1の導電層、および第2の絶縁層上に第3の絶縁膜を
形成し、第3の絶縁膜上に第2のマスクを形成し、第2のマスクを用いて第3の絶縁膜の
一部をエッチングすることにより、ソース電極層と、ドレイン電極層と、および第3の絶
縁層とを形成し、第3の絶縁層、半導体層上に第2の酸化物膜を形成し、第2の酸化物膜
上に第4の絶縁膜を形成し、第4の絶縁膜上に第2の導電膜を形成し、第2の導電膜、第
4の絶縁膜、第2の酸化物膜に化学的機械的研磨処理を行うことにより、第2の酸化物層
、ゲート絶縁層、ゲート電極層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である
【0014】
また、半導体膜形成後に第1の加熱処理を行い、第3の絶縁層、第2の酸化物層、ゲート
絶縁層、ゲート電極層上に酸素を有する第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層形成時に、
第3の絶縁層と第4の絶縁層との混合層を形成し、かつ同時に混合層または第1の絶縁層
中に酸素を添加し、第2の加熱処理を行い、酸素を半導体層中に拡散させることが好まし
い。
【0015】
また、第3の絶縁膜は、酸素を有する絶縁膜であって、第4の絶縁層は、酸素ガスを用い
てスパッタリング法により形成することが好ましい。
【0016】
また、第3の絶縁膜は、酸化シリコン膜であって、第4の絶縁層は、酸素ガスを50体積
%以上用いて、かつ酸化アルミニウムターゲットを用いて、スパッタリング法により形成
することが好ましい。
【0017】
また、第2の加熱処理を300℃以上450℃以下で処理することが好ましい。
【0018】
本発明の別の一態様は、第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に第1の酸化物膜を形成
し、第1の酸化物膜上に半導体膜を形成し、半導体膜上に第1の導電膜を形成し、第1の
導電膜上に第2の絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜上に第1のマスクを形成し、第1のマス
クを用いて、第2の絶縁膜、および第1の導電膜の一部をエッチングし、第1の導電層お
よび第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層および半導体膜上に第2のマスクを形成し、第
2のマスクを用いて、第2の絶縁層、第1の導電層、第1の酸化物膜、および半導体膜の
一部をエッチングすることにより、第1の酸化物層、半導体層、ソース電極層、ドレイン
電極層、および第3の絶縁層を形成し、第1の絶縁層、第3の絶縁層、および半導体層上
に、第2の酸化物膜を形成し、第2の酸化物膜上に第3の絶縁膜を形成し、第3の絶縁膜
上に第2の導電膜を形成し、第2の導電膜上に第3のマスクを形成し、第3のマスクを用
いて、第2の酸化物膜、第3の絶縁膜、および第2の導電膜の一部をエッチングすること
により、第2の酸化物層、ゲート絶縁層、ゲート電極層を形成することを特徴とする半導
体装置の製造方法である。
【0019】
また、半導体膜形成後に第1の加熱処理を行い、第1の絶縁層、第3の絶縁層、ゲート電
極層上に酸素を有する第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層形成時に、第1の絶縁層と第
4の絶縁層との第1の混合層、および第3の絶縁層と第4の絶縁層との第2の混合層を有
し、かつ同時に第1の混合層、第2の混合層、第1の絶縁層、または第2の絶縁層中に酸
素を添加し、第2の加熱処理を行い、酸素を半導体層中に拡散させることが好ましい。
【0020】
また、第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜とは、酸素を有する絶縁膜であって、第4の絶縁層
は、酸素ガスを用いてスパッタリング法により形成することが好ましい。
【0021】
また、第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜は、酸化シリコン膜であって、第4の絶縁層は、酸
素ガスを50体積%以上用いて、かつ酸化アルミニウムターゲットを用いて、スパッタリ
ング法により形成することが好ましい。
【0022】
また、第2の加熱処理を300℃以上450℃以下で処理することが好ましい。
【0023】
本発明の別の一態様は、第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に第1の酸化物膜を形成
し、第1の酸化物膜上に半導体膜を形成し、半導体膜上に第1の導電膜を形成し、第1の
導電膜上に第2の絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜上に第3の絶縁膜を形成し、第3の絶縁
膜上に第1のマスクを形成し、第1のマスクを用いて、第3の絶縁膜と、第2の絶縁膜と
、第1の導電膜と、半導体膜と、および第1の酸化物膜と、の一部をエッチングすること
により、第1の酸化物層と、半導体層と、第2の絶縁層、第3の絶縁層を島状に形成し、
第1の絶縁層、第3の絶縁層上に、第4の絶縁膜を形成し、第3の絶縁層が露出するまで
第4の絶縁膜に化学的機械的研磨処理を行い、第4の絶縁層を形成し、第4の絶縁層、お
よび第3の絶縁層上に第2のマスクを形成し、第2のマスクを用いて、ソース電極層、ド
レイン電極層、第5の絶縁層、および第6の絶縁層を形成し、第4の絶縁層と、第6の絶
縁層と、および半導体層上に、第2の酸化物膜を形成し、第2の酸化物膜上に第5の絶縁
膜を形成し、第5の絶縁膜上に第2の導電膜を形成し、第2の導電膜、第5の絶縁膜、第
2の酸化物膜に化学的機械的研磨処理を行うことにより、第2の酸化物層、ゲート絶縁層
、ゲート電極層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0024】
また、半導体膜形成後に第1の加熱処理を行い、第3の絶縁膜形成時に、第2の絶縁膜と
第3の絶縁膜との混合層を形成し、かつ同時に混合層または第2の絶縁膜中に酸素を添加
し、第4の絶縁層、第6の絶縁層、第2の酸化物層、ゲート絶縁層、ゲート電極層上に第
7の絶縁層を形成し、第7の絶縁層形成時に、第4の絶縁層と第7の絶縁層との混合層を
形成し、かつ同時に混合層または第4の絶縁層中に酸素を添加し、第2の加熱処理を行い
、酸素を半導体層中に拡散させることが好ましい。
【0025】
また、第2の絶縁膜と、第4の絶縁膜は、酸素を有する絶縁膜であって、第3の絶縁膜と
、第7の絶縁層は、酸素ガスを用いてスパッタリング法により形成することが好ましい。
【0026】
また、第2の絶縁膜と、第4の絶縁膜は、酸化シリコン膜であって、第3の絶縁膜と、第
7の絶縁層は、酸素ガスを50体積%以上用いて、かつ酸化アルミニウムターゲットを用
いて、スパッタリング法により形成することが好ましい。
【0027】
また、第2の加熱処理を300℃以上450℃以下で処理することが好ましい。
【0028】
また、半導体装置と、マイクと、スピーカーと、筐体を用いた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様を用いることにより、トランジスタ近傍の寄生容量を低減することができ
る。または、電気特性が良好な半導体装置を提供することができる。または、信頼性の高
い半導体装置を提供することができる。または、トランジスタまたは半導体装置の、製造
工程に起因した特性のばらつきを低減することができる。または、トランジスタの製造工
程を安定化させることができる。または、酸素欠損の少ない酸化物半導体層を有する半導
体装置を提供することができる。または、簡易な工程で形成することができる半導体装置
を提供することができる。または、酸化物半導体層近傍の界面準位を低減することができ
る構成の半導体装置を提供することができる。または、低消費電力の半導体装置を提供す
ることができる。または、新規な半導体装置などを提供することができる。または上記半
導体装置の作製方法を提供することができる。
【0030】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図2】トランジスタを説明する断面図。
図3】トランジスタの拡大断面図およびバンド図。
図4】ALD成膜原理を示す模式図。
図5】ALD装置概要図。
図6】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図7】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図8】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図9】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図10】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図11】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図12】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図13】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図14】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図15】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図16】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図17】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図18】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図19】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図20】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図21】トランジスタの作製方法を説明する断面図。
図22】トランジスタの作製方法を説明する断面図。
図23】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図24】トランジスタを説明する上面図および断面図。
図25】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図26】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図27】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図28】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図29】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図30】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図31】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図32】トランジスタの作製方法を説明する上面図および断面図。
図33】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
図34】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
図35】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
図36】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
図37】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図38】半導体装置の断面図および回路図。
図39】半導体装置の断面図および回路図。
図40】撮像装置を示す平面図。
図41】撮像装置の画素を示す平面図。
図42】撮像装置を示す断面図。
図43】撮像装置を示す断面図。
図44】RFタグの構成例を説明する図。
図45】CPUの構成例を説明する図。
図46】記憶素子の回路図。
図47】表示装置の構成例を説明する図および画素の回路図。
図48】表示装置を説明する上面図および断面図。
図49】表示装置を説明する上面図および断面図。
図50】表示モジュールを説明する図。
図51】リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表す斜視図およびモジュールの構成を示す図。
図52】電子機器を説明する図。
図53】電子機器を説明する図。
図54】電子機器を説明する図。
図55】電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施
の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成
において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通
して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハ
ッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0033】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場
合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場
合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする
。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず
、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものと
する。
【0034】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0035】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0036】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイ
ッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか
流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択し
て切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、Xと
Yとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0037】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0038】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで
接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの
間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている
場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)と
が、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示
的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合
と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0039】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介
さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z
2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース
(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接
的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的
に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現
することが出来る。
【0040】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2
の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第
1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に
接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第
1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている
」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子な
ど)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など
)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様
な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トラン
ジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別
して、技術的範囲を決定することができる。
【0041】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)
は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、上記第1の接続経路は
、第2の接続経路を有しておらず、上記第2の接続経路は、トランジスタのソース(又は
第1の端子など)とトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)との間の経路であり
、上記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(又は第2
の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、上記第3
の接続経路は、上記第2の接続経路を有しておらず、上記第3の接続経路は、Z2を介し
た経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(又は第1
の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続
され、上記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、上記第2の接続経路は、
トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)
は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、上記第
3の接続経路は、上記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。また
は、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスに
よって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、上記第1の電気的パスは、第2の電気的
パスを有しておらず、上記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(又は第1の端子
など)からトランジスタのドレイン(又は第2の端子など)への電気的パスであり、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、
Z2を介して、Yと電気的に接続され、上記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有
しておらず、上記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)
からトランジスタのソース(又は第1の端子など)への電気的パスである。」と表現する
ことができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路につい
て規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又
は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
【0042】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0043】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び
電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電
気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場
合も、その範疇に含める。
【0044】
<図面を説明する記載に関する付記>
本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を
、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各
構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に
限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0045】
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接し
ていることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、
絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間
に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0046】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0047】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0048】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示し
たものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期す
ために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
【0049】
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、
図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
【0050】
また、「同一」とは、同一の面積を有してよいし、同一の形状を有してもよい。また、基
板面から垂直方向に同じ高さであってもよい。同じ高さは、同一平面と言い換えることが
できる。また、製造工程の関係上、完全に同一の形状、同一平面、同一の高さとならない
ことも想定されるので、略同一であっても同一であると言い換えることができる。
【0051】
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方
を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースと
ドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表
記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作
条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称について
は、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換
えることができる。
【0052】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限
定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、
その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配
線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0053】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む
少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン
領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャ
ネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことがで
きるものである。
【0054】
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるため
、いずれがソース又はドレインであるかを限定することが困難である。そこで、ソースと
して機能する部分、及びドレインとして機能する部分を、ソース又はドレインと呼ばず、
ソースとドレインとの一方を第1電極と表記し、ソースとドレインとの他方を第2電極と
表記する場合がある。
【0055】
なお本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同
を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0056】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Pri
nted Circuits)もしくはTCP(Tape Carrier Packa
ge)などが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)
方式によりIC(集積回路)が直接実装されものを、表示装置と呼ぶ場合がある。
【0057】
また、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0058】
<語句の定義に関する付記>
以下では、本明細書等における各語句の定義について説明する。
【0059】
本明細書において、「トレンチ」、または「溝」という用語を用いた場合、細い帯状の凹
みをいう。
【0060】
また、本明細書において、膜として例えば酸化窒化シリコンを示す場合、SiOxNyと
記載することがある。このとき、xおよびyは、自然数でもよいし、小数点を有する数で
もよい。
【0061】
<接続について>
本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているも
のの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接
続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき
、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0062】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形
態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、および/又は、一つ若しくは複数の別の実
施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換
えなどを行うことが出来る。
【0063】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて
述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0064】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、
その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、および/又は、一つ若しくは複
数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることによ
り、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0065】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置と、その製造方法について図面を用いて
説明する。
【0066】
図1(A)、図1(B)、図1(C)は、本発明の一態様のトランジスタ10の上面図お
よび断面図である。図1(A)は上面図であり、図1(B)は図1(A)に示す一点鎖線
A1-A2間、図1(C)はA3-A4間の断面図である。なお、図1(A)では、図の
明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。また、一点鎖線
A1-A2方向をチャネル長方向、一点鎖線A3-A4方向をチャネル幅方向と呼称する
場合がある。
【0067】
トランジスタ10は、基板100と、絶縁層110と、絶縁体121と、半導体層122
と、絶縁体123と、ソース電極層130と、ドレイン電極層140と、ゲート絶縁層1
50と、ゲート電極層160と、絶縁層175と、絶縁層173と、絶縁層170とを有
する。トランジスタ10は、基板100上に絶縁層110を有する。トランジスタ10は
、絶縁層110上に絶縁体121を有する。トランジスタ10は、絶縁体121上に半導
体層122を有する。トランジスタ10は、半導体層122上にソース電極層130、お
よびドレイン電極層140を有し、半導体層122と電気的に接続する。トランジスタ1
0は、絶縁層173を有し、絶縁層173は絶縁体121、半導体層122、絶縁体12
3、ソース電極層130、ドレイン電極層140の側面と接する領域を有する。トランジ
スタ10は、絶縁層173、ソース電極層130、ドレイン電極層140上に絶縁層17
5を有し、絶縁層175は絶縁体123の側面と接する領域を有する。トランジスタ10
は、半導体層122上に絶縁体123を有し、絶縁体123は図1(C)より、絶縁体1
21、絶縁層173および絶縁層175の側面と接する領域を有する。また、絶縁体12
3は、図1(B)より、絶縁層170の下面、絶縁層175、ソース電極層130、およ
びドレイン電極層140の側面と接する領域を有する。トランジスタ10は、絶縁体12
3上にゲート絶縁層150を有する。トランジスタ10は、ゲート絶縁層150上にゲー
ト電極層160を有する。
【0068】
<絶縁体について>
なお、絶縁体(例えば絶縁体121、絶縁体123)とは、基本的に絶縁性を有し、ゲー
ト電界又はドレイン電界が強くなった場合に半導体層との界面近傍において電流が流れる
ことのできる層をいう。
【0069】
また、上記に述べた構造は、半導体層122がソース電極層130、およびドレイン電極
層140とが接する領域ならびに、絶縁体123がソース電極層130、およびドレイン
電極層140とが接する領域を有するため、トランジスタ10の動作時に絶縁体121、
半導体層122、および絶縁体123内に生じる熱に対して、放熱効果が高い特徴を有す
る。
【0070】
また、トランジスタ10は、絶縁層170を成膜する際に、絶縁層175との界面に絶縁
層175の材料と絶縁層170の材料、または絶縁層170成膜時に用いたガスなどを有
した混合層が形成され、該混合層または絶縁層175に酸素(過剰酸素、exOという)
が添加される。さらに加熱処理を行うことで当該酸素が半導体層122まで拡散し、絶縁
体121、半導体層122中に存在する酸素欠損に対して当該酸素を補填することができ
る。これにより、トランジスタ特性(例えば、閾値、信頼性など)を向上させることがで
きる。
【0071】
なお、絶縁層170成膜時に添加される当該過剰酸素は、例えばスパッタリング法による
成膜時に印加された電圧、電力、プラズマ、または基板温度などの影響により、酸素ラジ
カル、酸素イオン、または酸素原子など、様々な状態で存在する。このとき、該過剰酸素
は、安定な状態に比してエネルギーを多く有した状態であり、絶縁層175中に入り込む
ことができる。
【0072】
なお、酸素が添加される方法は、上記方法に限定されず、絶縁層110成膜時に当該過剰
酸素を有してもよいし、成膜後に別の方法(例えば、イオン注入法、イオンプラズマ浸漬
法など)を用いてもよい。
【0073】
トランジスタ10は、図1(C)の一点鎖線A3-A4間の断面図に示すように、チャネ
ル幅方向において、ゲート電極層160はゲート絶縁層150を介して絶縁体121、半
導体層122、絶縁体123の側面と対向する。即ち、ゲート電極層160に電圧が印加
されると、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123は、チャネル幅方向においてゲ
ート電極層160の電界で囲まれる。ゲート電極層160の電界で半導体層122が囲ま
れるトランジスタの構造を、surrounded channel(s-channe
l)構造とよぶ。また、トランジスタ10は、溝を用いてセルフアラインでゲート電極層
、ソース電極層、ドレイン電極層を形成することができるため、位置合わせ精度が緩和さ
れ、微細なトランジスタを容易に作製することが可能となる。なお、本実施の形態で示す
このような構造をセルフアライン s-channel FET(Self Align
s-channel FET、SA s-channel FET)構造、またはトレ
ンチゲートs-channel FET(Trench gate s-channel
FET)構造、またはTGSA s-channel FET(Trench Gat
e Self Align FET)構造、またはGLSA s-channel FE
T(Gate Last Self Align FET)構造と呼ぶ。
【0074】
ここで、絶縁体121と、半導体層122と、絶縁体123を合わせて半導体層120と
した場合、TGSA構造のトランジスタにおいて、オン状態では半導体層120の全体(
バルク)にチャネルが形成されるため、オン電流が増大する。一方、オフ状態の場合、半
導体層120に形成されるチャネル領域の全領域を空乏化することができるため、オフ電
流をさらに小さくすることができる。
【0075】
また、トランジスタ10がTGSA構造を有することで、ゲート電極―ソース電極間、ま
たはゲート電極―ドレイン電極間で生じる寄生容量を低減し、トランジスタ10の遮断周
波数特性が向上するなど、トランジスタ10を高速応答させることが可能となる。
【0076】
また、本実施の形態では後述するように絶縁層175となる第2の絶縁膜をソース電極層
130、ドレイン電極層140が露出するまで平坦化処理を行った後に、絶縁層173と
なる第3の絶縁膜を成膜する際に、絶縁層173の上面と、ソース電極層130およびド
レイン電極層140の上面が、基板面と平行な同一平面であることが好ましい。これによ
り、ソース電極層130、ドレイン電極層140上の絶縁層173を基板面内で均一に成
膜することができ、溝部174の形成工程(例えば、エッチング処理時間など)を安定さ
せることができる。ひいては、トランジスタ10を安定して作製することができる。これ
により、トランジスタの形状を安定化させることができ、トランジスタ特性のばらつきを
抑えることができる。
【0077】
なお、ソース電極層130、またはドレイン電極層140の上面の位置は、ゲート電極層
160の底面の位置よりも低くてもよいし、同じでもよいし、高くてもよい。
【0078】
また、トランジスタ10はゲート電極層160の上面が絶縁層175の上面よりも下にあ
ってもよい。また、トランジスタ10は、ソース電極層130およびドレイン電極層14
0がチャネル長方向において半導体層122よりも短い形状を有してもよいし、長い形状
を有してもよい。
【0079】
<チャネル長について>
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域
、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)と
ドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトラン
ジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのト
ランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では
、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値
または平均値とする。
【0080】
<チャネル幅について>
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域の長さをいう。なお、一つのトランジス
タにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトラ
ンジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、
チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値ま
たは平均値とする。
【0081】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ三次元チャネルを含有するトランジスタでは、半導体の側
面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図におい
て示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル
幅の方が大きくなる。
【0082】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0083】
<SCWについて>
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる
領域における見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surroun
ded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単に
チャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す
場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャ
ネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ
上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を
解析することなどによって、値を決定することができる。
【0084】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0085】
<微細化における特性向上>
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタ
の微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、チャネル幅が縮
小するとオン電流が低下する。
【0086】
しかしながら、図1に示す本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように、チャネ
ルが形成される半導体層122を覆うように絶縁体123が形成されており、チャネル形
成層とゲート絶縁層が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶
縁層との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大
きくすることができる。
【0087】
また、本発明の一態様のトランジスタでは、チャネルとなる半導体層122のチャネル幅
方向を電気的に取り囲むようにゲート電極層160が形成されているため、半導体層12
2に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加され
る。すなわち、半導体層122の全体にゲート電界が印加されることとなり、電流は半導
体層122全体に流れるようになるため、さらにオン電流を高めることができる。
【0088】
また、本発明の一態様のトランジスタは、絶縁体123を絶縁体121、半導体層122
上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果や、半導体層122を中間に位置す
る層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そ
のため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S
値(サブスレッショルド係数)を小さくすることができる。したがって、Icut(ゲー
ト電圧VGが0V時の電流)を下げることができ、消費電力を低減させることができる。
また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向
上させることができる。
【0089】
なお、本実施の形態において、チャネルなどにおいて、半導体層120(半導体層122
)などを用いた場合の例を示したが、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない
。例えば、チャネルやその近傍、ソース領域、ドレイン領域などを、場合によっては、ま
たは、状況に応じて、シリコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウ
ム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガ
リウム、有機半導体、などを有する材料で形成してもよい。
【0090】
<トランジスタの構成>
以下に本実施の形態のトランジスタの構成について示す。
【0091】
《基板100》
基板100には、例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板など
を用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結
晶半導体基板、シリコンゲルマニウムからなる化合物半導体基板、SOI(Silico
n On Insulator)基板などを用いることも可能であり、これらの基板上に
半導体素子が設けられたものを用いてもよい。基板100は、単なる支持材料に限らず、
他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジ
スタのゲート電極層160、ソース電極層130、およびドレイン電極層140のうち少
なくとも一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
【0092】
また、基板100として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジス
タを設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタ
を剥離し、可撓性基板である基板100に転置する方法もある。その場合には、非可撓性
基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板100として、繊維を編
みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板100が伸縮性を有
してもよい。また、基板100は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性
質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板100の厚さ
は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さら
に好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板100を薄くすると、半導体装置
を軽量化することができる。また、基板100を薄くすることで、ガラスなどを用いた場
合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を
有する場合がある。そのため、落下などによって基板100上の半導体装置に加わる衝撃
などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0093】
可撓性基板である基板100としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、また
はそれらの繊維などを用いることができる。可撓性基板である基板100は、線膨張率が
低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板100としては、
例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5
/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフ
ィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリ
ル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などがある。特に、アラミドは、線膨張率
が低いため、可撓性基板である基板100として好適である。
【0094】
《絶縁層110》
絶縁層110は、基板100からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、半導体層
120(半導体層122)に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁
層110は酸素を含む絶縁膜であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む
絶縁膜であることがより好ましい。例えば、TDS法にて、酸素原子に換算しての酸素放
出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。なお、上記TDS分析
時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500
℃以下の範囲が好ましい。また、上述のように基板100が他のデバイスが形成された基
板である場合、絶縁層110は、層間絶縁膜としての機能も有する。その場合は、表面が
平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polishin
g)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
【0095】
《絶縁体121、123、半導体層122》
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123として用いることができる酸化物は
、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、
InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物を半導体として用いたトランジ
スタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好
ましい。代表的には、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In-Mg酸化物、Zn-
Mg酸化物、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、C
e、Mg、またはNd)がある。
【0096】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アル
ミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーと
しては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(
Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある
【0097】
なお、絶縁体123がIn-M-Zn酸化物であるとき、InおよびMの和を100at
omic%としたときの、InとMの原子の比率は、好ましくは、Inが25atomi
c%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくは、Inが34atomic%
以上、Mが66atomic%未満とする。
【0098】
絶縁体123中のインジウムやガリウムなどの含有量は、飛行時間型二次イオン質量分析
法(TOF-SIMS)や、X線電子分光法(XPS)、ICP質量分析(ICP-MS
)で比較できる。
【0099】
半導体層122は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より
好ましくは3eV以上であるため、トランジスタ10のオフ電流を低減することができる
【0100】
半導体層122の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm
以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0101】
絶縁体121、および絶縁体123は、半導体層122を構成する元素の一種以上から構
成される酸化物膜である。このため、半導体層122と絶縁体121、および絶縁体12
3との界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動
きが阻害されないため、トランジスタ10の電界効果移動度が高くなる。
【0102】
絶縁体121、絶縁体123は、代表的には、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、I
n-Mg酸化物、Ga-Zn酸化物、Zn-Mg酸化物、In-M-Zn酸化物(MはA
l、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd)であり、且つ半導体
層122よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、絶縁体12
1、絶縁体123の伝導帯下端のエネルギー準位と、半導体層122の伝導帯下端のエネ
ルギー準位との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0
.2eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下で
ある。即ち、絶縁体121、絶縁体123の電子親和力と、半導体層122との電子親和
力との差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.2eV
以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下である。な
お、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギー準位との差を示す。
【0103】
絶縁体121、絶縁体123として、Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、
Mg、またはNdを、Inより高い原子数比で有することで、以下の効果を有する場合が
ある。(1)絶縁体121、半導体層122および絶縁体123のエネルギーギャップを
大きくする。(2)絶縁体121、絶縁体123の電子親和力を小さくする。(3)外部
からの不純物を遮蔽する。(4)半導体層122と比較して、絶縁性が高くなる。(5)
Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNdは、酸素との結合力
が強い金属元素であるため、Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、ま
たはNdをInより高い原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
【0104】
なお、絶縁体121、絶縁体123は、半導体層122と比較して絶縁性が高いため、ゲ
ート絶縁層と同様の機能を有する。
【0105】
絶縁体121、絶縁体123がIn-M-Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いて
のInおよびMの原子数比率は、好ましくは、Inが50atomic%未満、Mが50
atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75at
omic%以上とする。
【0106】
また、絶縁体121、絶縁体123がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y
、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd)の場合、半導体層122と比較して、絶
縁体121、絶縁体123に含まれるM(Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、C
e、Mg、またはNd)の原子数比が高く、代表的には、半導体層122に含まれる上記
原子と比較して、1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上高い原
子数比である。前述のMで表した元素はインジウムよりも酸素と強く結合するため、酸素
欠損が絶縁体121、絶縁体123に生じることを抑制する機能を有する。即ち、絶縁体
121、絶縁体123は半導体層122よりも酸素欠損が生じにくい酸化物膜である。
【0107】
また、半導体層122は、絶縁体121、絶縁体123よりもインジウムの含有量を多く
するとよい。半導体としては、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、
Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多
い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が
高くなる。そのため、半導体層122にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで
、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
【0108】
また、半導体層122がIn-M-Zn酸化物(Mは、Al、Ti、Ga、Y、Zr、S
n、La、Ce、Mg、またはNd)の場合、半導体層122を成膜するために用いるタ
ーゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、
x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/
3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上
6以下とすることで、半導体層122としてCAAC-OS(C Axis Align
ed Crystalline Oxide Semiconductor)膜が形成さ
れやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1
:1:1、1:1:1.2、2:1:1.5、2:1:2.3、2:1:3、3:1:2
、4:2:3、4:2:4.1等がある。
【0109】
また、絶縁体121、絶縁体123がIn-M-Zn酸化物(Mは、Al、Ti、Ga、
Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd)の場合、絶縁体121、絶縁体123
を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x
2:y2:z2とすると、x2/y2<x1/y1であって、z2/y2は、1/3以上
6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z2/y2を1以上6以下
とすることで、絶縁体121、絶縁体123としてCAAC-OS膜が形成されやすくな
る。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、
1:3:4、1:3:6、1:3:8、1:4:4、1:4:5、1:4:6、1:4:
7、1:4:8、1:5:5、1:5:6、1:5:7、1:5:8、1:6:8、1:
6:4、1:9:6等がある。
【0110】
なお、絶縁体121、絶縁体123の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比の
プラスマイナス40%の変動を含む。
【0111】
また、絶縁体123は、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ガリウ
ム(GaOx)、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化ゲルマ
ニウム(GeOx)、または酸化ジルコニア(ZrOx)に置き換えることもできるし、
絶縁体123上に当該金属酸化物を有することもできる。
【0112】
なお、原子数比はこれらに限られず、必要とする半導体特性に応じて適切な原子数比のも
のを用いればよい。
【0113】
また、絶縁体121、絶縁体123は同じ組成でもよい。例えば、絶縁体121、絶縁体
123として、スパッタリング法で用いるターゲットの金属元素の原子数比がIn:Ga
:Zn=1:3:2、1:3:4、または1:4:5であるIn-Ga-Zn酸化物を用
いてもよい。
【0114】
または、絶縁体121、絶縁体123は異なった組成でもよい。例えば、絶縁体121と
して、スパッタリング法で用いるターゲットの金属元素の原子数比がIn:Ga:Zn=
1:3:4のIn-Ga-Zn酸化物を用い、絶縁体123としてターゲットの金属元素
の原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のIn-Ga-Zn酸化物を用いてもよい。
【0115】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123の厚さは、3nm以上100nm以
下、または3nm以上50nm以下とすることが好ましい。
【0116】
ここで、半導体層122の厚さは、少なくとも絶縁体121と比較して、薄く形成しても
よいし、同じとしてもよいし、厚く形成してもよい。たとえば、半導体層122を厚くし
た場合、トランジスタのオン電流を高めることができる。また、絶縁体121は、半導体
層122の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば
、半導体層122の厚さは、絶縁体121の厚さに対して、1倍よりも大きく、または2
倍以上、または4倍以上、または6倍以上とすることができる。また、トランジスタのオ
ン電流を高める必要のない場合には絶縁体121の厚さを半導体層122の厚さ以上とし
てもよい。例えば、絶縁層110、絶縁層170、絶縁層173、あるいは絶縁層175
が酸素を過剰に有した場合、加熱処理により、該酸素が拡散し、半導体層122に含まれ
る酸素欠損量を低減することができ、半導体装置の電気特性を安定させることができる。
【0117】
また、絶縁体123も絶縁体121と同様に、半導体層122の界面準位の生成を抑制す
る効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、絶縁体121と同等またはそれ以
下の厚さとすればよい。絶縁体123が厚いと、ゲート電極層160による電界が半導体
層122に届きにくくなる恐れがあるため、絶縁体123は薄く形成することが好ましい
。また、絶縁体123に含まれる酸素がソース電極層130、ドレイン電極層140に拡
散し、ソース電極層130、ドレイン電極層140が酸化するのを防ぐため、絶縁体12
3の膜厚は薄い方が好ましい。例えば、絶縁体123は半導体層122の厚さよりも薄く
すればよい。なお、これに限られず、絶縁体123の厚さはゲート絶縁層150の耐圧を
考慮して、トランジスタを駆動させる電圧に応じて適宜設定すればよい。
【0118】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123、それぞれの組成が異なる場合、界
面は、走査型透過電子顕微鏡STEM(Scanning Transmission
Electron Microscope)を用いて観察することができる場合がある。
【0119】
<水素濃度について>
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123に含まれる水素は、金属原子と結合
する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)
に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成さ
れる場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリ
アである電子を生成する場合がある。従って、水素が含まれている酸化物を半導体として
用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
【0120】
このため、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面におい
て、酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていることが好ましい。例えば、絶縁体
121、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面において二次イオン質量
分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry
)により得られる水素濃度は、1×1016atoms/cm以上2×1020ato
ms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1019ato
ms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以上1×1019
toms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上5×10
18atoms/cm以下とすることが望ましい。この結果、トランジスタ10は、し
きい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有することがで
きる。
【0121】
<炭素、シリコン濃度について>
また、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面において、
第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、絶縁体121、半導体層122
、および絶縁体123において酸素欠損が増加し、n型領域が形成されてしまう。このた
め、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面におけるシリ
コン、および炭素濃度は、低減することが望ましい。例えば、絶縁体121、半導体層1
22、絶縁体123、およびそれぞれの界面においてSIMSにより得られるシリコンや
炭素の濃度は、1×1016atoms/cm以上1×1019atoms/cm
下、好ましくは1×1016atoms/cm以上5×1018atoms/cm
下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以上2×1018atoms/c
以下とすることが望ましい。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧がプラス
となる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0122】
<アルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度について>
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物と結合するとキャリアを生成する
場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、絶縁体1
21、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面におけるアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。たとえば、絶縁体121、半導体
層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面において、SIMSにより得られるアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ま
しくは2×1016atoms/cm以下とすることが望ましい。この結果、トランジ
スタ10は、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を
有する。
【0123】
<窒素濃度について>
また、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面に窒素が含
まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型領域が形成され
てしまう。この結果、窒素が含まれている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン
特性となりやすい。従って、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123およびそれぞ
れの界面において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、絶縁体1
21、半導体層122、絶縁体123、およびそれぞれの界面においてSIMSにより得
られる窒素濃度は、1×1015atoms/cm以上5×1019atoms/cm
以下、好ましくは1×1015atoms/cm以上5×1018atoms/cm
以下、より好ましくは1×1015atoms/cm以上1×1018atoms/
cm以下、さらに好ましくは1×1015atoms/cm以上5×1017ato
ms/cm以下にすることが好ましい。この結果、トランジスタ10は、しきい値電圧
がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0124】
<キャリア密度について>
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123の不純物を低減することで、絶縁体
121、半導体層122、および絶縁体123のキャリア密度を低減することができる。
このため、絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、キャリア密度が1×
1015個/cm以下、好ましくは1×1013個/cm以下、さらに好ましくは8
×1011個/cm未満、より好ましくは1×1011個/cm未満、最も好ましく
は1×1010個/cm未満であり、1×10-9個/cm以上とする。
【0125】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123として、不純物濃度が低く、欠陥準
位密度の低い酸化物膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作
製することができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少
ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高
純度真性である酸化物は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることが
できる場合がある。従って、当該酸化物膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、
しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため
、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性
である酸化物膜をもちいたトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、ソース電極とドレ
イン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導
体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下という特性を得
ることができる。従って、当該酸化物膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電
気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。
【0126】
また、上述のように高純度化された酸化物膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタの
オフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、ま
たは、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を数y
A/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
【0127】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば非単結晶構造でもよい。
非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC-OS、多結晶構造、微結晶構造、または非
晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAA
C-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0128】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば微結晶構造でもよい。微
結晶構造の絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば、1nm以上
10nm未満のサイズの微結晶を膜中に含む。または、微結晶構造の酸化物膜は、例えば
、非晶質相に1nm以上10nm未満の結晶部を有する混相構造である。
【0129】
絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば非晶質構造でもよい。非
晶質構造の、絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば、原子配列
が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全
な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0130】
なお、絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123が、CAAC-OS、微結晶
構造、および非晶質構造の二以上の構造の領域を有する混合膜であってもよい。混合膜と
して、例えば、非晶質構造の領域と、微結晶構造の領域と、CAAC-OSの領域と、を
有する単層構造がある。または、混合膜として、例えば、非晶質構造の領域と、微結晶構
造の領域と、CAAC-OSの領域と、の積層構造がある。
【0131】
なお、絶縁体121、半導体層122、および絶縁体123は、例えば、単結晶構造を有
してもよい。
【0132】
半導体層122と比較して酸素欠損の生じにくい酸化物膜を半導体層122の上下に接し
て設けることで、半導体層122における酸素欠損を低減することができる。また、半導
体層122は、半導体層122を構成する金属元素の一以上を有する絶縁体121、絶縁
体123と接するため、絶縁体121と半導体層122との界面、半導体層122と絶縁
体123との界面における界面準位密度が極めて低い。例えば、絶縁層110に酸素を添
加した後、加熱処理を行うことで該酸素が絶縁体121を経由して半導体層122へ酸素
が移動するが、このときに界面準位において酸素が捕獲されにくく、効率よく絶縁体12
1に含まれる酸素を半導体層122へ移動させることが可能である。この結果、半導体層
122に含まれる酸素欠損を低減することが可能である。また、絶縁体121にも酸素が
添加されるため、絶縁体121の酸素欠損を低減することが可能である。即ち、少なくと
も半導体層122の局在準位密度を低減することができる。
【0133】
また、半導体層122が、構成元素の異なる絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜を含むゲー
ト絶縁層)と接する場合、界面準位が形成され、該界面準位はチャネルを形成することが
ある。このような場合、しきい値電圧の異なる第2のトランジスタが出現し、トランジス
タの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。しかしながら、半導体層122を構
成する金属元素を一種以上含む絶縁体121および絶縁体123が半導体層122と接す
るため、絶縁体121と半導体層122の界面、および絶縁体123と半導体層122の
界面に界面準位を形成しにくくなる。
【0134】
また、絶縁体121、絶縁体123は、それぞれ絶縁層110、ゲート絶縁層150の構
成元素が半導体層122へ混入して、不純物による準位が形成されることを抑制するため
のバリア膜としても機能する。
【0135】
例えば、絶縁層110、またはゲート絶縁層150として、シリコンを含む絶縁膜を用い
る場合、ゲート絶縁層150中のシリコン、または絶縁層110と、ゲート絶縁層150
中に混入されうる炭素が、絶縁体121または絶縁体123の中へ界面から数nm程度ま
で混入することがある。シリコン、炭素等の不純物が半導体層122中に入ると不純物準
位を形成し、不純物準位がドナーとなり電子を生成することでn型化することがある。
【0136】
しかしながら、絶縁体121、絶縁体123の膜厚が、数nmよりも厚ければ、混入した
シリコン、炭素等の不純物が半導体層122にまで到達しないため、不純物準位の影響は
低減される。
【0137】
よって、絶縁体121、絶縁体123を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧
などの電気特性のばらつきを低減することができる。
【0138】
また、ゲート絶縁層150と半導体層122が接して、その界面にチャネルが形成される
場合、該界面で界面散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなる。しかしな
がら、半導体層122を構成する金属元素を一種以上含む絶縁体121、絶縁体123が
半導体層122に接して設けられるため、半導体層122と絶縁体121、絶縁体123
との界面ではキャリアの散乱が起こりにくく、トランジスタの電界効果移動度を高くする
ことができる。
【0139】
本実施の形態においては、半導体層122の酸素欠損量、さらには半導体層122に接す
る絶縁体121、絶縁体123の酸素欠損量を低減することが可能であり、半導体層12
2の局在準位密度を低減することができる。この結果、本実施の形態に示すトランジスタ
10は、しきい値電圧の変動が少なく、信頼性が高い特性を有することができる。また、
本実施の形態に示すトランジスタ10は優れた電気特性を有する。
【0140】
なお、トランジスタのゲート絶縁層としては、シリコンを含む絶縁膜が多く用いられるた
め、上記理由により酸化物層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタの
ようにゲート絶縁層と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁層
と酸化物層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、ト
ランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸化物層の
チャネルとなる領域はゲート絶縁層から離すことが好ましいといえる。
【0141】
したがって、半導体層120を絶縁体121、半導体層122、絶縁体123の積層構造
とすることで、半導体層122にチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度お
よび安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
【0142】
なお、半導体層は必ずしも3層にする必要はなく、単層、2層、4層、さらには5層以上
の構成としてもよい。単層とする場合、本実施の形態に示す、半導体層122に相当する
層を用いればよい。
【0143】
<バンド図>
ここで、バンド図について説明する。バンド図は、理解を容易にするため絶縁層110、
絶縁体121、半導体層122、絶縁体123、およびゲート絶縁層150の伝導帯下端
のエネルギー(Ec)を示す。
【0144】
図3(A)、図3(B)に示すように、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123に
おいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、絶縁体121、半導体層
122、絶縁体123を構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい
点からも理解される。したがって、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123は組成
が異なる膜の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
【0145】
主成分を共通として積層された酸化物膜は、各層を単に積層するのではなく連続接合(こ
こでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸(U S
hape Well)構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラ
ップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層
構造を形成する。仮に、積層された多層膜の層間に不純物が混在していると、エネルギー
バンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしま
う。
【0146】
なお、図3(B)では、絶縁体121と、絶縁体123のEcが同様である場合について
示したが、それぞれが異なっていてもよい。
【0147】
図3(B)より、半導体層122がウェル(井戸)となり、トランジスタ10において、
チャネルが半導体層122に形成されることがわかる。なお、半導体層122を底として
伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化するU字型の井戸構造のチャネルを埋め込みチャ
ネルということもできる。
【0148】
なお、絶縁体121および絶縁体123と、酸化シリコン膜などの絶縁膜との界面近傍に
は、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。絶縁体121、絶縁体123
があることにより、半導体層122と当該トラップ準位とを遠ざけることができる。ただ
し、絶縁体121、または絶縁体123のEcと、半導体層122のEcとのエネルギー
差が小さい場合、半導体層122の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達する
ことがある。マイナスの電荷となる電子がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁膜界面
にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてし
まう。さらに、トランジスタの長期保存試験において、トラップが固定化されず、特性へ
の変動を起こす懸念がある。
【0149】
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、絶縁体121、および
絶縁体123のEcと、半導体層122のEcとの間にエネルギー差を設けることが必要
となる。それぞれの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好ましく、0.2eV以上が
より好ましい。
【0150】
なお、絶縁体121、半導体層122、絶縁体123には、結晶部が含まれることが好ま
しい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与す
ることができる。
【0151】
また、図3(B)に示すようなバンド図において、絶縁体123を設けず、半導体層12
2とゲート絶縁層150の間にIn-Ga酸化物(たとえば、原子数比がIn:Ga=7
:93のIn-Ga酸化物)を設けてもよいし、あるいは酸化ガリウムを設けてもよい。
また、絶縁体123を有する状態で絶縁体123とゲート絶縁層150の間にIn-Ga
酸化物を設けてもよいし、あるいは酸化ガリウムを設けてもよい。
【0152】
半導体層122は、絶縁体121、および絶縁体123よりも電子親和力の大きい酸化物
を用いる。例えば、半導体層122として、絶縁体121および絶縁体123よりも電子
親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、
さらに好ましくは0.2eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いることができる。
【0153】
本実施の形態に示すトランジスタは、半導体層122を構成する金属元素を一種以上含ん
でいる絶縁体121、絶縁体123を有しているため、絶縁体121と半導体層122と
の界面、および絶縁体123と半導体層122との界面に界面準位を形成しにくくなる。
よって絶縁体121、絶縁体123を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧な
どの電気特性のばらつきや変動を低減することができる。
【0154】
《ソース電極層130、ドレイン電極層140》
ソース電極層130、ドレイン電極層140には、銅(Cu)、タングステン(W)、モ
リブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(T
i)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)
、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(I
r)、ストロンチウム(Sr)などの材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを
主成分とする酸素、窒素、フッ素、シリコン、などの化合物を含む導電層の単層または積
層とすることが好ましい。例えば、積層する場合に、半導体層122と接触する下側の導
電層は酸素と結合しやすい材料を有し、上側の導電層には耐酸化性の強い材料を有するこ
とができる。また、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材
料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成する
ことが好ましい。さらに、Cu-Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化
マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。また
、窒化タンタルを用いた場合、水素、酸素の拡散を抑える効果(バリア性)を有し、また
窒化タンタル自体が酸化しにくい効果を有するので好ましい。
【0155】
また、酸素と結合しやすい導電材料と酸化物半導体層を接触させると、酸化物半導体層中
の酸素が、酸素と結合しやすい導電材料側に拡散する現象が起こる。酸化物半導体層のソ
ース電極層またはドレイン電極層と接触した近傍の領域に酸素欠損が発生し、膜中に僅か
に含まれる水素が当該酸素欠損に入り込むことにより当該領域は顕著にn型化する。した
がって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させるこ
とができる。
【0156】
たとえば、下側の導電層としてWを用いて、上側の導電層としてPtを用いた積層構造と
することで、接触した酸化物半導体をn型にしつつ、絶縁層175と接することによる導
電層の酸化を抑えることができる。
【0157】
《ゲート絶縁層150》
ゲート絶縁層150には、酸素(O)、窒素(N)、フッ素(F)、アルミニウム(Al
)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge
)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)
、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。
例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン
(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)
、窒化シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx
)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(La
Ox)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(
TaOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、ゲート絶縁層150は上
記材料の積層であってもよい。なお、ゲート絶縁層150に、ランタン(La)、窒素、
ジルコニウム(Zr)などを、不純物として含んでいてもよい。
【0158】
また、ゲート絶縁層150の積層構造の一例について説明する。ゲート絶縁層150は、
例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム
、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
【0159】
酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがっ
て、酸化シリコンを用いた場合と比べて、ゲート絶縁層150の膜厚を大きくできるため
、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいト
ランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶
質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の
小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好
ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明
の一態様は、これらに限定されない。
【0160】
ところで、結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面は、欠陥に起因した界面準位を有
する場合がある。該界面準位はトラップセンターとして機能する場合がある。そのため、
酸化ハフニウムがトランジスタのチャネル領域に近接して配置されるとき、該界面準位に
よってトランジスタの電気特性が劣化する場合がある。そこで、該界面準位の影響を低減
するために、トランジスタのチャネル領域と酸化ハフニウムとの間に、別の膜を配置する
ことによって互いに離間させることが好ましい場合がある。この膜は、緩衝機能を有する
。緩衝機能を有する膜は、ゲート絶縁層150に含まれる膜であってもよいし、酸化物半
導体膜に含まれる膜であってもよい。即ち、緩衝機能を有する膜としては、酸化シリコン
、酸化窒化シリコン、酸化物半導体などを用いることができる。なお、緩衝機能を有する
膜には、たとえば、チャネル領域となる半導体よりもエネルギーギャップの大きい半導体
または絶縁体を用いる。または、緩衝機能を有する膜には、たとえば、チャネル領域とな
る半導体よりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を用いる。または、緩衝機能を有
する膜には、たとえば、チャネル領域となる半導体よりもイオン化エネルギーの大きい半
導体または絶縁体を用いる。
【0161】
一方、上述した結晶構造を有する酸化ハフニウムの被形成面における界面準位(トラップ
センター)に電荷をトラップさせることで、トランジスタのしきい値電圧を制御できる場
合がある。該電荷を安定して存在させるためには、たとえば、チャネル領域と酸化ハフニ
ウムとの間に、酸化ハフニウムよりもエネルギーギャップの大きい絶縁体を配置すればよ
い。または、酸化ハフニウムよりも電子親和力の小さい半導体または絶縁体を配置すれば
よい。または、緩衝機能を有する膜には、酸化ハフニウムよりもイオン化エネルギーの大
きい半導体または絶縁体を配置すればよい。このような絶縁体を用いることで、界面準位
にトラップされた電荷の放出が起こりにくくなり、長期間に渡って電荷を保持することが
できる。
【0162】
そのような絶縁体として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンが挙げられる。ゲー
ト絶縁層150内の界面準位に電荷を捕獲させるためには、酸化物半導体膜からゲート電
極層160に向かって電子を移動させればよい。具体的な例としては、高い温度(例えば
、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート電
極層160の電位をソース電極層130やドレイン電極層140の電位より高い状態にて
1秒以上、代表的には1分以上維持すればよい。
【0163】
このようにゲート絶縁層150などの界面準位に所望の量の電子を捕獲させたトランジス
タは、しきい値電圧がプラス側にシフトする。ゲート電極層160の電圧や、電圧を印加
する時間を調整することによって、電子を捕獲させる量(しきい値電圧の変動量)を制御
することができる。なお、電荷を捕獲させることができれば、ゲート絶縁層150内でな
くても構わない。同様の構造を有する積層膜を、他の絶縁層に用いても構わない。
【0164】
《ゲート電極層160》
ゲート電極層160には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(C
r)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコ
ニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、タンタル(T
a)およびタングステン(W)などの導電膜を用いることができる。また、当該ゲート電
極層160は、積層とすることができる。また、上記材料の窒化物など、窒素を含んだ導
電膜を用いてもよい。また、窒化タンタルを用いた場合、水素、酸素の拡散を抑える効果
(バリア性)を有し、また窒化タンタル自体が酸化しにくい効果を有するので好ましい。
【0165】
《絶縁層170》
絶縁層170には、酸素(O)、窒素(N)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)、マ
グネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イ
ットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフ
ニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば
、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(Si
Ox)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化
シリコン(SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸
化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)
、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaO
x)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層170は上記材料の積層
であってもよい。
【0166】
また、絶縁層170には、In若しくはZnを含む酸化物を用いてもよい。代表的には、
In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In-Mg酸化物、Zn-Mg酸化物、In-M
-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd
)がある。
【0167】
絶縁層170には、酸化アルミニウム膜を含むことが好ましい。酸化アルミニウム膜は、
水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果を有する
ことができる。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作
製後において、トランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物の絶縁
体121、半導体層122への混入防止、主成分材料である酸素の絶縁体121、半導体
層122からの放出防止、絶縁層110からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保
護膜として用いることに適している。
【0168】
また、絶縁層170は、酸素供給能力を有する膜とすることが好ましい。絶縁層170と
なる絶縁膜170aを成膜する時に、絶縁層170と、絶縁層175との混合層が形成さ
れ、該混合層または絶縁層175に酸素が添加され、その後の加熱処理によって、酸素が
酸化物半導体中に拡散し、酸化物半導体中の酸素欠損に対して、酸素を補填することがで
き、トランジスタ特性(例えば、閾値、信頼性など)を向上させることができる。
【0169】
また、絶縁層170の上側、あるいは、下側に他の絶縁層を有してもよい。例えば、酸化
マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸
化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、
酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることが
できる。酸素(O)、窒素(N)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)、マグネシウム
(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム
(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(H
f)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有することができる。例えば、酸化アル
ミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸
化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化シリコン(
SiNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリ
ウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオ
ジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)を一種
以上含む絶縁膜を用いることができる。また、該絶縁層は上記材料の積層であってもよい
。該絶縁層は、化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。当該絶縁層から
放出される酸素はゲート絶縁層150を経由して半導体層120のチャネル形成領域に拡
散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填す
ることができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
【0170】
《絶縁層173および絶縁層175》
絶縁層173および絶縁層175には、酸素(O)、窒素(N)、フッ素(F)、アルミ
ニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマ
ニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、ネオ
ジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)などを有するこ
とができる。例えば、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化
窒化シリコン(SiOxNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOx)、窒化シリコン(S
iNx)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウ
ム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジ
ム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)、酸化ア
ルミニウム(AlOx)を一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁層17
3および絶縁層175は上記材料の積層であってもよい。当該絶縁層は、化学量論組成よ
りも多くの酸素を有することが好ましい。
【0171】
または、絶縁層173および絶縁層175は、低誘電率の材料(Low-k材料)を用い
てもよい。たとえば、数%のフッ素(F)を導入した酸化シリコン(SiOF)、数%の
炭素(C)を導入した酸化シリコン(SiOC)、フッ素化シリケートガラス(FSG)
、有機シリケートガラス(OSG)、水素化シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシル
セスキオキサン(MSQ)、有機ポリマー、ポリイミド、フッ素樹脂(ポリテトラフルオ
ロエチレン等)、フッ素を添加したアモルファスカーボンなどを用いて形成することがで
きる。絶縁層173および絶縁層175に、Low-k材料を用いることで、トランジス
タ10に係る容量をさらに低減することができる。
【0172】
<導電層165>
なお、トランジスタ10は、図2に示すように絶縁層110の下に導電層165を有する
ことができ、導電層165はボトムゲートとしての機能を有することができる。導電層は
図2(B)に示すようにゲート電極層160と同電位を与えることができるし、図2
D)に示すように異なる電位を与えることができる。導電層165には、例えば、銅(C
u)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、
マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(C
r)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、
白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)などの材料からなる単体、
もしくは合金、またはこれらを主成分とする酸素、窒素、フッ素、シリコン、などの化合
物を含む導電層の単層または積層とすることが好ましい。たとえば、導電層166には耐
酸化性の強い材料を有することができる。また、導電層167には耐熱性と導電性を両立
するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミ
ニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。
【0173】
<トランジスタの製造方法>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図6乃至図14を用いて説明する。
なお、上記トランジスタの構成において説明した部分と重複する部分については、省略す
る。また、図6乃至図14に示すA1-A2方向は図1(A)、図1(B)に示すチャネ
ル長方向と呼称する場合がある。また、図6乃至図14示すA3-A4方向は、図1(A
)および図1(C)に示すチャネル幅方向と呼称する場合がある。
【0174】
本実施の形態において、トランジスタを構成する各層(絶縁層、酸化物半導体層、導電層
等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆
積(PLD)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成するこ
とができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD
)法が代表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機
金属化学堆積)法やALD(原子層成膜)法を使ってもよい。
【0175】
<熱CVD法>
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成
されることが無いという利点を有する。
【0176】
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を
大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで
成膜を行ってもよい。
【0177】
また、MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示
された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In
-Ga-Zn-O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、
およびジメチル亜鉛を用いることができる。なお、トリメチルインジウムの化学式は、I
n(CHである。また、トリメチルガリウムの化学式は、Ga(CHである
。また、ジメチル亜鉛の化学式は、Zn(CHである。また、これらの組み合わせ
に限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(化学式Ga(C
)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(化学式Zn(C
)を用いることもできる。
【0178】
<ALD法>
従来のCVD法を利用した成膜装置は、成膜の際、反応のための原料ガス(プリカーサ)
の1種または複数種がチャンバーに同時に供給される。ALD法を利用した成膜装置は、
反応のためのプリカーサが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返す
ことで成膜を行う。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切
り替えて2種類以上のプリカーサを順番にチャンバーに供給し、複数種のプリカーサが混
ざらないように第1のプリカーサの後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを
導入し、第2のプリカーサを導入する。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気に
よって第1のプリカーサを排出した後、第2のプリカーサを導入することができる。
【0179】
図4(A)、(B)、(C)、(D)にALD法の成膜過程を示す。第1のプリカーサ6
01が基板の表面に吸着して(図4(A)参照)、第1の単一層が成膜される(図4(B
)参照)。この際、プリカーサ中に含有する金属原子等が基板表面に存在する水酸基と結
合することができる。金属原子にはメチル基やエチル基などのアルキル基が結合していて
もよい。第1のプリカーサ601を排気した後に導入される第2のプリカーサ602と反
応して(図4(C)参照)、第2の単一層が第1の単一層上に積層されて薄膜が形成され
る(図4(D)参照)。例えば、第2のプリカーサとして酸化剤が含まれていた場合には
第1のプリカーサ中に存在する金属原子または当該金属原子と結合したアルキル基と、酸
化剤との間で化学反応がおこり、酸化膜を形成することができる。また、第2のプリカー
サに水素を有するガスが用いられていれば、還元反応により金属膜を形成することができ
る。
【0180】
ALD法は表面化学反応に基づいた成膜方法であり、プリカーサが被成膜表面に吸着し、
自己停止機構が作用することで、一層形成される。例えば、トリメチルアルミニウムのよ
うなプリカーサと当該被成膜表面に存在する水酸基(OH基)が反応する。この時、熱に
よる表面反応のみが起こるため、プリカーサが当該被成膜表面と接触し、熱エネルギーを
介して当該被成膜表面にプリカーサ中の金属原子等が吸着することができる。また、プリ
カーサは、高い蒸気圧を有し、成膜前の段階では熱的安定であり自己分解しない、基板へ
化学吸着が速いなどの特徴を有する。また、プリカーサはガスとして導入されるため、交
互に導入されるプリカーサが十分に拡散する時間を有することができれば、高アスペクト
比の凹凸を有する領域であっても、被覆性よく成膜することができる。
【0181】
また、ALD法においては、ガス導入順序を制御しつつ、所望の厚さになるまで複数回繰
り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、繰り返
す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能である。また、排気能
力を高めることで成膜速度を高めることができ、さらに膜中の不純物濃度を低減すること
ができる。
【0182】
また、ALD法には、熱を用いたALD法(熱ALD法)、プラズマを用いたALD法(
プラズマALD法)がある。熱ALD法では、熱エネルギーを用いてプリカーサの反応を
行うものであり、プラズマALD法はプリカーサの反応をラジカルの状態で行うものであ
る。
【0183】
ALD法は、極めて薄い膜が精度よく成膜できる。凹凸を有する面に対しても、表面被覆
率が高く、膜密度が高い。
【0184】
<プラズマALD>
また、プラズマALD法により成膜することで、熱を用いたALD法(熱ALD法)に比
べてさらに低温での成膜が可能となる。プラズマALD法は、例えば、100℃以下でも
成膜速度を低下させずに成膜することができる。また、プラズマALD法では、N2をプ
ラズマによりラジカル化することができるため、酸化物のみならず窒化物を成膜すること
ができる。
【0185】
また、プラズマALDでは、酸化剤の酸化力を高めることができる。これによりALDで
膜形成を行う場合に膜中に残留するプリカーサ、あるいはプリカーサから脱離した有機成
分を低減することができ、また膜中の炭素、塩素、水素などを低減することができ、不純
物濃度の低い膜を有することができる。
【0186】
また、プラズマALDを行う場合には、ラジカル種を発生させ、ICP(Inducti
vely Coupled Plasma)などのように基板から離れた状態でプラズマ
を発生させることもでき、基板あるいは当該保護膜が形成される膜に対するプラズマダメ
ージを抑えることができる。
【0187】
上記より、プラズマALD法を用いることで、他の成膜方法に比べて、プロセス温度が下
げることができ、かつ表面被覆率を高めることができ、当該膜を成膜することができる。
これにより、外部からの水、水素の侵入を抑えることができる。したがって、トランジス
タ特性の信頼性向上することができる。
【0188】
<ALD装置に関する説明>
図5(A)にALD法を利用する成膜装置の一例を示す。ALD法を利用する成膜装置は
、成膜室(チャンバー1701)と、原料供給部1711a、原料供給部1711bと、
流量制御器である高速バルブ1712a、高速バルブ1712bと、原料導入口1713
a、原料導入口1713bと、原料排出口1714と、排気装置1715を有する。チャ
ンバー1701内に設置される原料導入口1713a、1713bは供給管やバルブを介
して原料供給部1711a、1711bとそれぞれ接続されており、原料排出口1714
は、排出管やバルブや圧力調整器を介して排気装置1715と接続されている。
【0189】
チャンバー内部にはヒータを備えた基板ホルダ1716があり、その基板ホルダ上に被成
膜基板1700を配置する。
【0190】
原料供給部1711a、原料供給部1711bでは、気化器や加熱手段などによって固体
の原料や液体の原料から原料ガスを形成する。或いは、原料供給部1711a、原料供給
部1711bは、原料ガスを供給する構成としてもよい。
【0191】
また、原料供給部1711a、原料供給部1711bを2つ設けている例を示しているが
特に限定されず、3つ以上設けてもよい。また、高速バルブ1712a、高速バルブ17
12bは時間で精密に制御することができ、原料ガスと不活性ガスのいずれか一方を供給
する構成となっている。高速バルブ1712a、1712bは原料ガスの流量制御器であ
り、且つ、不活性ガスの流量制御器とも言える。
【0192】
図5(A)に示す成膜装置では、被成膜基板1700を基板ホルダ1716上に搬入し、
チャンバー1701を密閉状態とした後、基板ホルダ1716のヒータ加熱により被成膜
基板1700を所望の温度(例えば、100℃以上または150℃以上)とし、原料ガス
の供給と、排気装置1715による排気と、不活性ガスの供給と、排気装置1715によ
る排気とを繰りかえすことで薄膜を基板表面に形成する。
【0193】
図5(A)に示す成膜装置では、原料供給部1711a、原料供給部1711bに用意す
る原料(揮発性有機金属化合物など)を適宜選択することにより、ハフニウム(Hf)、
アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)等から選択された一種
以上の元素を含む酸化物(複合酸化物も含む)を含んで構成される絶縁層を成膜すること
ができる。具体的には、酸化ハフニウムを含んで構成される絶縁層、酸化アルミニウムを
含んで構成される絶縁層、ハフニウムシリケートを含んで構成される絶縁層、又はアルミ
ニウムシリケートを含んで構成される絶縁層などを成膜することができる。また、原料供
給部1711a、原料供給部1711bに用意する原料(揮発性有機金属化合物など)を
適宜選択することにより、タングステン層、チタン層などの金属層や、窒化チタン層など
の窒化物層などの薄膜を成膜することもできる。
【0194】
例えば、ALD法を利用する成膜装置により酸化ハフニウム層を形成する場合には、溶媒
とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチル
アミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸
化剤としてオゾン(O)の2種類のガスを用いる。この場合、原料供給部1711aか
ら供給する第1の原料ガスがTDMAHであり、原料供給部1711bから供給する第2
の原料ガスがオゾンとなる。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf
[N(CHである。また、他の材料としては、テトラキス(エチルメチルアミ
ド)ハフニウムなどがある。なお、窒素は電荷捕獲準位を消失させる機能を有する。した
がって、原料ガスが窒素を含むことで、電荷捕獲準位密度の低い酸化ハフニウムを成膜す
ることができる。
【0195】
例えば、ALD法を利用する成膜装置により酸化アルミニウム層を形成する場合には、溶
媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(TMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化
剤としてHOの2種類のガスを用いる。この場合、原料供給部1711aから供給する
第1の原料ガスがTMAであり、原料供給部1711bから供給する第2の原料ガスがH
Oとなる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CHである。また、
他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナー
ト)などがある。
【0196】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサク
ロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O
、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
【0197】
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF
スとBガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF
ガスとHガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、Bガス
に代えてSiHガスを用いてもよい。
【0198】
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn-Ga-Zn-O
膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してIn-
O層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してGaO
層を形成し、更にその後Zn(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してZnO
層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜ
てIn-Ga-O層やIn-Zn-O層、Ga-Zn-O層などの混合化合物層を形成し
ても良い。なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH
ガスを用いても良いが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CH
ガスにかえて、In(Cガスを用いても良い。また、Ga(CH
ガスにかえて、Ga(Cガスを用いても良い。また、Zn(CHガスを
用いても良い。
【0199】
《マルチチャンバー成膜装置》
また、図5(A)に示す成膜装置を少なくとも一つ有するマルチチャンバーの製造装置の
一例を図5(B)に示す。
【0200】
図5(B)に示す製造装置は、積層膜を大気に触れることなく連続成膜することができ、
不純物の混入防止やスループット向上を図っている。
【0201】
図5(B)に示す製造装置は、ロード室1702、搬送室1720、前処理室1703、
成膜室であるチャンバー1701、アンロード室1706を少なくとも有する。なお、製
造装置のチャンバー(ロード室、処理室、搬送室、成膜室、アンロード室などを含む)は
、水分の付着などを防ぐため、露点が管理された不活性ガス(窒素ガス等)を充填させて
おくことが好ましく、望ましくは減圧を維持させる。
【0202】
また、チャンバー1704、1705は、チャンバー1701と同じALD法を利用する
成膜装置としてもよいし、プラズマCVD法を利用する成膜装置としてもよいし、スパッ
タリング法を利用する成膜装置としてもよいし、有機金属気相成長法(MOCVD:Me
tal Organic Chemical Vapor Deposition)法を
利用する成膜装置としてもよい。
【0203】
例えば、チャンバー1704としてプラズマCVD法を利用する成膜装置とし、チャンバ
ー1705としてMOCVD法を利用する成膜装置とし、積層膜を成膜する一例を以下に
示す。
【0204】
図5(B)では搬送室1720の上面図が六角形の例を示しているが、積層膜の層数に応
じて、それ以上の多角形としてより多くのチャンバーと連結させた製造装置としてもよい
。また、図5(B)では基板の上面形状を矩形で示しているが、特に限定されない。また
図5(B)では枚葉式の例を示したが、複数枚の基板を一度に成膜するバッチ式の成膜
装置としてもよい。
【0205】
<絶縁層110の形成>
まず、基板100上に絶縁層110を成膜する。絶縁層110は、プラズマCVD法、熱
CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはスパッタ法等により、例えば、酸化アルミ
ニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲル
マニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハ
フニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒
化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を
用いて形成することができる。また、上記材料の積層であってもよく、後に絶縁体121
となる第1の絶縁体膜と接する積層の上層は半導体層122への酸素の供給源となりえる
過剰な酸素を含む材料で形成することが好ましい。
【0206】
例えば、絶縁層110としてプラズマCVD法により厚さ100nmの酸化窒化シリコン
膜を用いることができる。
【0207】
次に、第1の加熱処理を行って、絶縁層110に含まれる水、水素等を脱離させてもよい
。この結果、絶縁層110に含まれる水、水素等の濃度を低減することが可能であり、加
熱処理によって、後に形成される第1の酸化物半導体膜への水、水素等の拡散量を低減す
ることができる。
【0208】
<第1の絶縁体膜、半導体膜の形成>
続いて、絶縁層110上に後に絶縁体121となる第1の絶縁体膜、後に半導体層122
となる半導体膜を成膜する。第1の絶縁体膜、半導体膜は、スパッタ法、MOCVD法、
PLD法などにより形成することができ、スパッタ法を用いて形成することがより好まし
い。スパッタ法としては、RFスパッタ法、DCスパッタ法、ACスパッタ法等を用いる
ことができる。また、スパッタ法において、対向ターゲット方式(対向電極方式、気相ス
パッタ方式、VDSP(Vapor Deposition Spattering)方
式ともいう)により形成することにより、成膜時のプラズマダメージを低減することがで
きる。
【0209】
例えば、第1の絶縁体膜をスパッタ法により形成する場合、スパッタ装置における各チャ
ンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポ
ンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空化(5×10-7Pa乃至1×10
-4Pa程度まで)できること、かつ、成膜される基板を100℃以上、好ましくは40
0℃以上に加熱できることが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを
組み合わせて排気系からチャンバー内に炭素成分や水分等を含む気体が逆流しないように
しておくことが好ましい。また、ターボ分子ポンプとクライオポンプを組み合わせた排気
系を用いてもよい。
【0210】
高純度真性酸化物半導体を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパ
ッタガスも高純度化することが好ましい。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴン
ガスは、露点が-40℃以下、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下
にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可
能な限り防ぐことができる。
【0211】
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、希ガスおよび酸素ガ
スの混合ガスを適宜用いる。なお、希ガスおよび酸素ガスの混合ガスの場合、希ガスに対
して酸素のガス比を高めることが好ましい。
【0212】
なお、酸化物半導体膜を形成する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合、基板温
度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましく
は200℃以上420℃以下として、酸化物半導体膜を成膜することで、CAAC-OS
膜を形成することができる。
【0213】
第1の絶縁体膜は、半導体膜よりも電子親和力が小さくなるように材料を選択することが
できる。
【0214】
また、半導体膜は、第1の絶縁体膜、第2の絶縁体膜よりもインジウムの含有量を多く有
してもよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、
Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがGaよりも
多い組成となる酸化物はInがGaと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動
度が高くなる。そのため、半導体層122にインジウムの含有量が多い酸化物を用いるこ
とで、高い移動度のトランジスタを実現することができる。
【0215】
また、第1の絶縁体膜、半導体膜において、例えばスパッタ法により成膜する場合、マル
チチャンバー方式のスパッタ装置を用いることで、第1の絶縁体膜と半導体膜は大気に露
出することなく連続成膜することができる。その場合、第1の絶縁体膜と半導体膜の界面
には余計な不純物などが入り込むことを抑えることができ、界面準位を低減することがで
きる。この結果として、トランジスタの電気特性、とりわけ信頼性試験において特性を安
定化させることができる。
【0216】
また、当該半導体膜中にダメージがあった場合に、第1の絶縁体膜があることにより主要
な電導パスとなる半導体膜をダメージ部から遠ざけることができ、結果としてトランジス
タの電気特性、とりわけ信頼性試験において特性を安定化させることができる。
【0217】
例えば、第1の絶縁体膜として、スパッタリング法により、In:Ga:Zn=1:3:
4(原子数比)のターゲットを用いて厚さ20nm成膜した酸化物半導体膜を用いること
ができる。また、半導体膜として、スパッタリング法により、In:Ga:Zn=1:1
:1(原子数比)のターゲットを用いて厚さ15nm成膜した酸化物半導体膜を用いるこ
とができる。
【0218】
また、第1の絶縁体膜、半導体膜成膜後に第2の加熱処理を行うことが好ましい。第2の
加熱処理を行うことで、半導体膜の酸素欠損量を低減することができる。
【0219】
第2の加熱処理の温度は、250℃以上基板歪み点未満、好ましくは300℃以上650
℃以下、更に好ましくは350℃以上550℃以下とする。
【0220】
第2の加熱処理は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、ま
たは窒素を含む不活性ガス雰囲気で行う。または、不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素
雰囲気または乾燥空気(露点が-80℃以下、好ましくは-100℃以下、好ましくは-
120℃以下である空気)雰囲気で加熱してもよい。または減圧状態で行えばよい。なお
、上記乾燥空気の他、不活性ガスおよび酸素ガスに水素、水などが含まれないことが好ま
しく、代表的には露点が-80℃以下、好ましくは-100℃以下であることが好ましい
。処理時間は3分から24時間とする。
【0221】
なお、第2の加熱処理において、電気炉の代わりに、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝
導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(
Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Ra
pid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal
Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタル
ハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ
、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱す
る装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて第2の加熱処理を行う装置である。
高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、不活性ガスが用いられる
【0222】
なお、第2の加熱処理は、後述する絶縁体121、半導体層122を形成するエッチング
の後に行ってもよい。
【0223】
例えば、窒素雰囲気において、450℃で1時間の加熱処理を行った後、酸素雰囲気にお
いて、450℃で1時間の加熱処理を行うことができる。
【0224】
以上の工程により、半導体膜の酸素欠損の低減、また水素、水などの不純物を低減するこ
とができる。また、局在準位密度が低減された半導体膜を形成することができる。
【0225】
<第1の導電膜の形成>
次に、半導体膜上にソース電極層130、ドレイン電極層140となる第1の導電膜を形
成する。第1の導電膜は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法(有機金属化学
堆積(MOCVD)法、メタル化学気相堆積法、原子層成膜(ALD)法あるいはプラズ
マ化学気相堆積(PECVD)法を含む。)、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法
等を用いて形成することができる。
【0226】
第1の導電膜の材料は、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(A
u)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、
ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(
Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(S
r)などの材料からなる単体、もしくは合金、またはこれらを主成分とする化合物を含む
導電膜の単層または積層とすることが好ましい。例えば、積層する場合に、半導体層12
2と接触する下側の導電層は酸素と結合しやすい材料を有し、上側の導電層には耐酸化性
の強い材料を有することができる。また、耐熱性と導電性を両立するタングステン(W)
やモリブデン(Mo)などの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウム(
Al)や銅(Cu)などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu-
Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを含む膜を形成し、酸化
マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
【0227】
例えば、厚さ20乃至100nmのタングステン膜をスパッタリング法により第1の導電
膜として形成することができる。
【0228】
なお、後の工程で第1の導電膜を加工して形成される導電層130bは、この後の工程に
おいて、ハードマスクとしての機能と、ソース電極層、ドレイン電極層の機能を有するこ
とができ、追加の成膜工程が不要であるため、半導体製造工程の短縮を図ることができる
【0229】
<絶縁体121、半導体層122の形成>
次に、リソグラフィ工程によりレジストマスクを形成し、当該レジストマスクを用いて、
第1の導電膜を選択的部分的にエッチングし、導電層130bを形成する。続いて、導電
層130b上のレジストを除去後、導電層130bをハードマスクとして、半導体膜、第
1の酸化物半導体膜をそれぞれ選択的にエッチングし、半導体層122、絶縁体121を
島状に形成することができる(図6参照)。なお、エッチング方法としては、ドライエッ
チング法を用いることができる。なお、導電層130bをハードマスクとして用いて半導
体膜、第1の絶縁体膜をエッチングすることで、レジストマスクのみを用いた場合と比比
較してエッチング後の酸化物半導体層のエッジラフネスを低減することができる。
【0230】
例えば、エッチングガスとして、メタンガス、アルゴンガスを用い、レジストマスクおよ
びハードマスクを用いて第1の酸化物半導体膜、半導体膜選択的にエッチングすることに
より、絶縁体121、半導体層122を形成することができる。なお、このとき絶縁層1
10が一部エッチングされてもよい。
【0231】
<絶縁膜の成膜>
次に、絶縁層110、導電層130b上に絶縁層173となる絶縁膜173aを成膜する
図7参照)。絶縁膜173aは、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、AL
D法)、スパッタ法、またはスピンコーティング法等により、例えば、酸化アルミニウム
(AlOx)、酸化マグネシウム(MgOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シ
リコン(SiOxNy)、酸化ガリウム(GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、
酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx
)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフニウム(HfOx)および酸化タンタル(Ta
Ox)などの酸化物絶縁膜、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxO
y)、窒化アルミニウム(AlNx)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)などの窒
化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いて形成することができる。また、上記材料の
積層であってもよい。
【0232】
または、絶縁膜173aは、低誘電率の材料(Low-k材料)を用いてもよい。たとえ
ば、数%のフッ素(F)を導入した酸化シリコン(SiOF)、数%の炭素(C)を導入
した酸化シリコン(SiOC)、フッ素化シリケートガラス(FSG)、有機シリケート
ガラス(OSG)、水素化シルセスキオキサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(
MSQ)、有機ポリマー、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、フ
ッ素を添加したアモルファスカーボンなどを用いて形成することができる。
【0233】
なお、第2の加熱処理は、絶縁膜173a成膜後に行ってもよい。
【0234】
<第2の絶縁膜の平坦化>
次に、導電層130bが露出するまで絶縁膜173aの平坦化処理を行い、絶縁層173
を形成する(図8参照)。平坦化処理は、CMP(Chemical Mechanic
al Polishing)法などを用いて行うことができる。これにより、後述する基
板面内の導電層130b上の絶縁膜175aの膜厚を均一にすることができる。
【0235】
なお、第2の加熱処理は、絶縁膜173aを平坦化した後に行ってもよい。
【0236】
<絶縁膜の成膜>
次に、絶縁層173、導電層130b上に絶縁層175となる第3の絶縁膜175aを成
膜する(図9参照)。
【0237】
絶縁膜175aは、絶縁膜173aと同様の材料、方法を用いて成膜することができる。
【0238】
<溝部の形成>
次に、絶縁膜175a上にリソグラフィ工程によりレジストマスク176を形成する(図
10参照)。なお、絶縁膜175a上に有機膜を塗布してから、あるいは、レジスト上に
有機膜を塗布してからリソグラフィ工程を行ってもよい。当該有機膜は、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、乳酸エチルなど、を有しており、露光時の反射防止膜(BA
RC、Bottom Anti Reflective Coating)としての機能
を有するほか、レジストと膜との密着性の向上、解像性の向上させることができる。
【0239】
なお、チャネル長が極めて短いトランジスタを形成する場合は、少なくともソース電極層
130、ドレイン電極層140となる導電層130bを分断する領域において、電子ビー
ム露光、液浸露光、EUV(EUV:Extreme Ultra- violet)露
光などの細線加工に適した方法を用いてレジストマスク加工を行い、エッチング工程によ
って当該領域をエッチングすればよい。なお、電子ビーム露光でレジストマスクを形成す
る場合、当該レジストマスクとしては、ポジ型レジストを用いれば、露光領域を最小限に
することができ、スループットを向上させることができる。このような方法を用いれば、
チャネル長を100nm以下、さらには30nm以下とするトランジスタを形成すること
ができる。または、X線等を用いた露光技術によって微細な加工を行ってもよい。
【0240】
当該レジストマスクを用いて、絶縁膜175aをドライエッチング法により一部をエッチ
ングより加工処理を行う。これにより、絶縁層175が形成されると同時に溝部174が
形成される。
【0241】
続いて、露出した導電層130bを分断する形で一部をエッチングし、ソース電極層13
0、ドレイン電極層140を形成することができる(図11参照)。
【0242】
なお、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成した後、エッチング残渣を除去
するため、洗浄処理を行ってもよい。この洗浄処理を行うことで、ソース電極層130、
ドレイン電極層140の短絡を抑制することができる。当該洗浄処理は、TMAH(Te
tramethylammonium Hydroxide)溶液などのアルカリ性の溶
液、希釈したフッ化水素酸、シュウ酸、リン酸などの酸性の溶液を用いて行うことができ
る。なお、洗浄処理により、半導体層122の一部がエッチングされ、半導体層122に
凹部が形成される。
【0243】
例えば、絶縁膜173aとして形成した酸化窒化シリコン膜を平坦化後、当該酸化窒化シ
リコン膜上にリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、当該レジストマスクと、炭
素、フッ素を有するガスとを用いてドライエッチングすることにより酸化窒化シリコンの
開口処理を行い、塩素、フッ素系のガスを用いて導電層130bをドライエッチングする
ことにより、ソース電極層130、ドレイン電極層140を形成することができる。
【0244】
<第2の絶縁体膜123aの形成>
次に、半導体層122、絶縁層175上に絶縁体123として用いられる第2の絶縁体膜
123aを成膜する。第2の絶縁体膜123aは、第1の絶縁体膜と同様の方法で成膜す
ることができ、第2の絶縁体膜123aは、半導体膜よりも電子親和力が小さくなるよう
に材料を選択することができる。
【0245】
例えば、第2の絶縁体膜123aとして、スパッタリング法により、In:Ga:Zn=
1:3:2(原子数比)のターゲットを用いて厚さ5nm成膜した酸化物半導体膜を用い
ることができる。
【0246】
<絶縁膜150aの形成>
次に、第2の絶縁体膜123a上にゲート絶縁層150となる絶縁膜150aを形成する
。絶縁膜150aには、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(M
gOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シ
リコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジル
コニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用い
ることができる。なお、絶縁膜150aは、上記材料の積層であってもよい。絶縁膜15
0aは、スパッタ法、CVD法(プラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、M
BE法、などを用いて形成することができる。また、絶縁膜150aは、絶縁層110と
同様の方法を適宜用いて絶縁膜を形成することができる。
【0247】
例えば、絶縁膜150aとしてプラズマCVD法により酸化窒化シリコンを10nm形成
することができる。
【0248】
<導電膜160aの形成>
次に、絶縁膜150a上にゲート電極層160となる導電膜160aを成膜する((図1
2参照)。導電膜160aとしては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、
クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y
)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、銀(Ag)、金
(Au)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、またはこれらを主成
分とする合金材料を用いることができる。導電膜160aは、スパッタ法やCVD法(プ
ラズマCVD法、MOCVD法、ALD法など)、MBE法、蒸着法、めっき法などによ
り形成することができる。また、導電膜160aとしては、窒素を含んだ導電膜を用いて
もよく、上記導電膜と窒素を含んだ導電膜の積層を用いてもよい。また、導電膜160a
は、単層でもよいし、積層でもよい。
【0249】
例えば、窒化チタンをALD法により厚さ10nm形成し、タングステンをメタルCVD
法により厚さ150nm形成した積層構造を用いることができる。
【0250】
<平坦化処理>
次に、平坦化処理を行う。平坦化処理は、CMP法、ドライエッチング法などを用いて行
うことができる。平坦化処理は、絶縁膜150aが露出した時点で終了してもよいし、第
2の絶縁体膜123aが露出した時点で終了してもよいし、絶縁層175が露出した時点
で終了してもよい。これにより、ゲート電極層160、ゲート絶縁層150、絶縁体12
3を形成することができる(図13参照)。
【0251】
なお、平坦化された絶縁層175上に第2の絶縁体膜123a、または絶縁膜150aを
有している場合には、新たにレジストマスクを用いて加工してもよい。第2の絶縁体膜1
23a、または絶縁膜150a上にリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。
当該マスクは、ゲート電極層160の上面部よりも広い面積を有しており、当該マスクに
より絶縁膜150aと、第2の絶縁体膜123aを選択的にエッチングし、ゲート絶縁層
150、絶縁体123を形成することができる。
【0252】
トランジスタ10においては、酸素欠損が生じにくい絶縁体123を設けることにより、
チャネル幅方向における絶縁体123の側面からの酸素の脱離が抑制され、酸素欠損の生
成を抑制することができる。その結果、電気的特性が向上され、信頼性の高いトランジス
タを実現できる。
【0253】
<絶縁層170の成膜>
次に、絶縁層173、絶縁体123、ゲート絶縁層150、およびゲート電極層160上
に絶縁層170を成膜する。
【0254】
絶縁層170は、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、またはス
パッタ法等により、例えば、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化マグネシウム(MgO
x)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、酸化ガリウム(
GaOx)、酸化ゲルマニウム(GeOx)、酸化イットリウム(YOx)、酸化ジルコ
ニウム(ZrOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化ハフ
ニウム(HfOx)および酸化タンタル(TaOx)などの酸化物絶縁膜、窒化シリコン
(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)、窒
化酸化アルミニウム(AlNxOy)などの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用
いて形成することができる。また、上記材料の積層であってもよい。また、絶縁層170
には、In若しくはZnを含む酸化物を用いてもよい。代表的には、In-Ga酸化物、
In-Zn酸化物、In-Mg酸化物、Zn-Mg酸化物、In-M-Zn酸化物(Mは
Al、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、Mg、またはNd)がある。
【0255】
なお、絶縁層170としては、スパッタリング法により酸化アルミニウム膜を成膜するこ
とが望ましい。また、スパッタリング用ターゲットとして、酸化アルミニウムを用いるこ
とが望ましい。また、成膜時に用いるガスとして、酸素ガスを有することが望ましい。
【0256】
該酸化アルミニウム膜を成膜する際に、絶縁層173との界面に混合層171が形成され
る。
【0257】
例えば、絶縁層170成膜時に用いる酸素ガスは、スパッタリング法による成膜時に印加
された電圧、電力、プラズマ、基板温度などの影響により、酸素ラジカル、酸素イオン、
酸素原子など、様々な状態で存在し、かつ安定な状態に比してエネルギーの高い状態を有
する。このとき、酸素(過剰酸素、exOという)172が絶縁層173、あるいは混合
層171中に添加される。
【0258】
<酸素の添加>
また、トランジスタ10を作製する上で、上記方法に限定されず、酸素を添加する処理を
別途行ってもよい。当該酸素を添加する処理は、絶縁層110に行ってもよいし、第1の
酸化物半導体膜、前述した第2の絶縁体膜123aに対して行ってもよい。添加する酸素
として、酸素ラジカル、酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン等のいずれか一以上
を用いる。また、酸素を添加する方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プ
ラズマ浸漬イオン注入法等がある。
【0259】
なお、酸素を添加する方法としてイオン注入法を用いる場合、酸素原子イオンを用いても
よいし、酸素分子イオンを用いてもよい。酸素分子イオンを用いると、添加される膜への
ダメージを低減することが可能である。酸素分子イオンは、当該酸素が添加される膜表面
で分離し、酸素原子イオンとなって添加される。酸素分子から酸素原子に分離するために
エネルギーが使用されるため、酸素分子イオンを当該酸素が添加される膜に添加した場合
における酸素原子イオンあたりのエネルギーは、酸素原子イオンを当該酸素が添加される
膜に添加した場合と比較して低い。このため、当該酸素が添加される膜へのダメージを低
減できる。
【0260】
また、酸素分子イオンを注入する場合は、酸素原子イオンを注入する場合と比較して、酸
素原子イオンあたりのエネルギーが低い。このため、酸素分子イオンを用いて注入するこ
とで、加速電圧を高めることが可能であり、スループットを高めることが可能である。ま
た、酸素分子イオンを用いて注入することで、酸素原子イオンを用いた場合と比較して、
同量の酸素原子イオンを添加するためのドーズ量を半分にすることが可能である。この結
果、製造工程のスループットを高めることができる。
【0261】
また、当該酸素が添加される膜に酸素を添加する場合、当該酸素が添加される膜に酸素原
子イオンの濃度プロファイルのピークが位置するような条件を用いて、当該酸素が添加さ
れる膜に酸素を添加することが好ましい。この結果、酸素原子イオンを注入する場合に比
べて、注入時の加速電圧を下げることができ、当該酸素が添加される膜のダメージを低減
することが可能である。即ち、当該酸素が添加される膜の欠陥量を低減することができ、
トランジスタの電気特性の変動を抑制することが可能である。この結果、当該酸素が添加
される膜へのダメージを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を抑
制することができる。
【0262】
また、酸素を有する雰囲気で発生させたプラズマに当該酸素が添加される膜を曝すプラズ
マ処理(プラズマ浸漬イオン注入法)により、当該酸素が添加される膜に酸素を添加して
もよい。酸素を有する雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の酸
化性気体を有する雰囲気がある。なお、基板100側にバイアスを印加した状態で発生し
たプラズマに当該酸素が添加される膜を曝すことで、当該酸素が添加される膜への酸素添
加量を増加させることが可能であり好ましい。このようなプラズマ処理を行う装置の一例
として、アッシング装置がある。
【0263】
例えば、加速電圧を5kVとし、ドーズ量が1×1016/cmの酸素分子イオンをイ
オン注入法により第1の酸化物半導体膜に添加することができる。
【0264】
以上の工程、および後の加熱処理を組み合わせて処理することで半導体層122の酸素欠
損量を低減することができる。なお、酸素が添加された膜は、酸素が添加される前の膜と
比較して、膜密度が低くなる。
【0265】
次に、第3の加熱処理を行ってもよい。第3の加熱処理は、代表的には、150℃以上基
板歪み点未満、好ましくは250℃以上500℃以下、更に好ましくは300℃以上45
0℃以下とすることができる。当該加熱処理により、添加された酸素172が拡散し、半
導体層122まで移動し、半導体層122中に存在する酸素欠損に対して酸素を補填する
ことができる(図14参照)。
【0266】
例えば、スパッタリング法により、酸化アルミニウム(AlOx)ターゲットを用いて、
スパッタリング時のガスとして酸素ガスを50体積%含有させて、絶縁層170を成膜す
ることができる。厚さは20nm乃至40nmとすることができる。また、第3の加熱処
理として、酸素雰囲気下400℃で1時間加熱処理することができる。
【0267】
以上の工程により、半導体膜の局在準位密度が低減され、優れた電気特性を有するトラン
ジスタを作製することができる。また、経時変化やストレス試験による電気特性の変動の
少ない、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
【0268】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したトランジスタ10とは構造の異なるトランジ
スタ11、およびトランジスタ12の作製方法について説明する。
【0269】
<トランジスタ10の変形例1:トランジスタ11>
図1に示すトランジスタ10と形状の異なるトランジスタ11について、図15を用いて
説明する。
【0270】
図15(A)、図15(B)、図15(C)は、トランジスタ11の上面図および断面図
である。図15(A)はトランジスタ11の上面図であり、図15(B)は、図15(A
)の一点鎖線A1-A2間、図15(C)はA3-A4間の断面図である。
【0271】
トランジスタ11は、絶縁層170が絶縁体121、半導体層122、ソース電極層13
0、ドレイン電極層140および絶縁層175の側面と接する領域を有する点でトランジ
スタ10と異なる。
【0272】
また、トランジスタ11は、後述するように絶縁体121、半導体層122、ソース電極
層130、ドレイン電極層140、絶縁層175を同一の工程で形成する点、および各工
程において平坦化処理を行わない点で、トランジスタ10の製造方法と異なる。
【0273】
<トランジスタ11の作製方法>
トランジスタ11の作製方法を図16乃至図23と用いて説明する。なお、実施の形態1
において説明したトランジスタ10と同様の工程については、当該説明を援用する。
【0274】
図16(A)、図16(B)に示すように、絶縁層110、絶縁体121となる第1の絶
縁体膜121a、半導体層122となる半導体膜122a、ソース電極層130およびド
レイン電極層140となる導電膜130a、および絶縁層175となる絶縁膜175aを
成膜し、絶縁膜175a上にリソグラフィ法を用いてレジストマスク176を形成する。
【0275】
次に、レジストマスク176を用いて絶縁膜175aおよび導電膜130aの一部をエッ
チングし、溝部174、絶縁層175b、導電層130bを形成する(図17参照)。
【0276】
次に、レジストマスクを用いて絶縁層175b、導電層130b、半導体膜122a、第
1の絶縁体膜121aを一部エッチングし、絶縁体121、半導体層122、ソース電極
層130、ドレイン電極層140、絶縁層175を形成する(図18参照)。
【0277】
次に、絶縁体123となる第2の絶縁体膜123a、ゲート絶縁層150となる絶縁膜1
50a、ゲート電極層160となる導電膜160aを順次成膜する(図19参照)。
【0278】
次に、リソグラフィ法を用いて形成したレジストマスクを用いて、導電膜160a、絶縁
膜150a、第2の絶縁体膜123aの一部をそれぞれエッチングし、絶縁体123、ゲ
ート絶縁層150、ゲート電極層160を形成する(図20参照)。
【0279】
なお、絶縁体123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160は、一括で形成しなくて
もよい。図21図22に示すように、絶縁膜150aをエッチングせずに絶縁体123
、ゲート電極層160を形成してもよい。また、絶縁体123の端部と、ゲート絶縁層1
50およびゲート電極層160の端部が重ならないように形成してもよい。
【0280】
次に絶縁層170を形成し、加熱処理を行うことで、酸素172を半導体層122まで拡
散させ、半導体層122中の酸素欠損を低減させることができる(図23参照)。
【0281】
以上の工程により、トランジスタ11を作製することができる。
【0282】
トランジスタ11の作製方法では、絶縁層175となる絶縁膜175aをソース電極層1
30、ドレイン電極層140となる導電膜130aを加工する前に成膜することができる
ので、絶縁膜175aの膜厚は基板面内で一様とすることができ、溝部174形成時のエ
ッチング処理時間を安定させることができる。これにより、トランジスタ11を安定して
作製することができ、トランジスタの形状を安定化させることができる。したがって、ト
ランジスタ特性を安定させることができる。
【0283】
<トランジスタ10の変形例2:トランジスタ12>
図1に示すトランジスタ10と形状の異なるトランジスタ12について、図24を用いて
説明する。
【0284】
図24(A)、図24(B)、図24(C)は、トランジスタ12の上面図および断面図
である。図24(A)はトランジスタ12の上面図であり、図24(B)は、図24(A
)の一点鎖線A1-A2間、図24(C)はA3-A4間の断面図である。
【0285】
トランジスタ12は、絶縁層177を有している点で、トランジスタ10と異なる。
【0286】
また、後述するように、絶縁体121となる第1の絶縁体膜121a、半導体層122と
なる半導体膜122a、ソース電極層130およびドレイン電極層140となる導電膜1
30a、絶縁層175となる絶縁膜175a、および絶縁層177となる絶縁膜177a
の各膜を加工する前に成膜する点で、トランジスタ10の製造方法と異なる。
【0287】
<トランジスタ12の作製方法>
トランジスタ12の作製方法を図25乃至図32を用いて説明する。なお、実施の形態1
において説明したトランジスタ10と同様の工程については、当該説明を援用する。
【0288】
絶縁層110上に絶縁体121となる第1の絶縁体膜121a、半導体層122となる半
導体膜122a、ソース電極層130およびドレイン電極層140となる導電膜130a
、絶縁層175となる絶縁膜175a、および絶縁層177となる絶縁膜177aの各膜
を加工する前に順次成膜する(図25参照)。
【0289】
なお、絶縁層177は、絶縁層170と同様の材料および同様の方法で形成することがで
きる。
【0290】
次に、レジストマスクを用いて絶縁膜177a、絶縁膜175a、導電膜130a、半導
体膜122a、第1の絶縁体膜121aの一部をエッチングし、絶縁体121、半導体層
122、導電層130b、絶縁層175b、絶縁層171bを形成する(図26参照)。
なお、このとき絶縁層110が一部エッチングされてもよい。
【0291】
次に、絶縁層173となる絶縁膜173aを形成する(図27参照)。絶縁膜173aは
、プラズマCVD法、熱CVD法(MOCVD法、ALD法)、スパッタ法、またはスピ
ンコーティング法等により形成することができる。
【0292】
次に、絶縁膜173aに対して、絶縁層171bが露出するまでCMPによる平坦化処理
を行い、絶縁層173を形成する(図28参照)。なお、絶縁層171bは絶縁層173
と同一のCMP処理条件において研磨される速度が低い、すなわちストッパ―としての機
能を有することが好ましい。
【0293】
次に、絶縁層173、および絶縁層171b上にリソグラフィ法によりレジストマスクを
形成し、さらに絶縁層171bをハードマスクとして用い、半導体層122が露出するま
で導電層130bを一部選択的にエッチングする。これにより、ソース電極層130と、
ドレイン電極層140、および絶縁層175を形成する(図29参照)。
【0294】
次に、第2の絶縁体膜123a、絶縁膜150a、導電膜160aを順次成膜する(図3
0参照)。
【0295】
次に、導電膜160a、絶縁膜150a、第2の絶縁体膜123aに対して、平坦化処理
を行い、絶縁体123、ゲート絶縁層150、ゲート電極層160を形成する(図31
照)。
【0296】
次に、絶縁層170を形成し、加熱処理を行うことで、酸素172を半導体層122まで
拡散させ、半導体層122中の酸素欠損を低減させることができる(図32参照)。
【0297】
以上の工程により、トランジスタ12を作製することができる。
【0298】
トランジスタ12の作製方法では、絶縁層175となる絶縁膜175aをソース電極層1
30、ドレイン電極層140となる導電膜130aを加工する前に成膜することができる
ので、絶縁膜175aの膜厚は基板面内で一様とすることができ、溝部174形成時のエ
ッチング処理時間を安定させることができる。これにより、トランジスタ12を安定して
作製することができ、トランジスタの形状を安定化させることができる。したがって、ト
ランジスタ特性(例えば、閾値、信頼性など)も安定させることができる。
【0299】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0300】
(実施の形態3)
<酸化物半導体の構造>
本実施の形態では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0301】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられ
る。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半
導体、nc-OS(nanocrystalline Oxide Semicondu
ctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous li
ke Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
【0302】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-O
S、多結晶酸化物半導体、nc-OSなどがある。
【0303】
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であっ
て不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離
秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
【0304】
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(complet
ely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない
(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物
半導体と呼ぶことはできない。ただし、a-like OSは、微小な領域において周期
構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、
物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
【0305】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0306】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一つである。
【0307】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micro
scope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分
解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方
、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーとも
いう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に起
因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0308】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。図33(A)に、
試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。高
分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration
Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、
特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日
本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行うこ
とができる。
【0309】
図33(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図33(B)に示す。
図33(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる
。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)ま
たは上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0310】
図33(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。図33(C)
は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図33(B)および図33(C)
より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあり、ペレット
とペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。し
たがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる
。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nanocry
stals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0311】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレッ
ト5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造と
なる(図33(D)参照。)。図33(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾
きが生じている箇所は、図33(D)に示す領域5161に相当する。
【0312】
また、図34(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のCs
補正高分解能TEM像を示す。図34(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)
を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図34(B)、図34(C)および図
34(D)に示す。図34(B)、図34(C)および図34(D)より、ペレットは、
金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかし
ながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0313】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したCA
AC-OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OS
に対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、図35(A)に示すよう
に回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZ
nOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向性
を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0314】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを
示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造解
析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0315】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-plan
e法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、In
GaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを56
°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(
φスキャン)を行っても、図35(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対
し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφス
キャンした場合、図35(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピ
ークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、
a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0316】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの
電子線を入射させると、図36(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折
パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略
垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ
径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図36(B)に示す。図36
(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、
CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。
なお、図36(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面およ
び(100)面などに起因すると考えられる。また、図36(B)における第2リングは
(110)面などに起因すると考えられる。
【0317】
上述したように、CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結
晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をする
とCAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0318】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0319】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合があ
る。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリ
ア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとな
る場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0320】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体であ
る。具体的には、8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さ
らに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上のキャリア
密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または
実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥
準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0321】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0322】
nc-OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確
な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、
1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお
、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化
物半導体と呼ぶことがある。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を
明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと
起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼
ぶ場合がある。
【0323】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3
nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペレ
ット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。した
がって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体
と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX
線を用いた場合、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピークは検
出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50n
m以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観
測される。一方、nc-OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプロ
ーブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、n
c-OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い
領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される
場合がある。
【0324】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc-
OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有す
る酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals
)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0325】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる
。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため
、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0326】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。
【0327】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高
分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認す
ることのできない領域と、を有する。
【0328】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため
、電子照射による構造の変化を示す。
【0329】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS(
試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれ
の試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0330】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0331】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、
InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層を
6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これ
らの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度で
あり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の
間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と見
なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0332】
図37は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である
。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図37より、a-lik
e OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的
には、図37中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度
の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/nm
においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-OS
およびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図
37中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよ
びCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度で
あることがわかる。
【0333】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど
見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-O
Sと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0334】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べ
て密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶
の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAAC
-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶
の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0335】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満となる。
【0336】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる
単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もる
ことができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせ
る割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない
種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0337】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、
CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0338】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について図面を
参照して説明する。
【0339】
<断面構造>
図38(A)に本発明の一態様の半導体装置の断面図を示す。図38(A)において、X
1-X2方向はチャネル長方向、Y1-Y2方向はチャネル幅方向を示す。図38(A)
に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上
部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ2100を有している。図38(A)では、
第2の半導体材料を用いたトランジスタ2100として、先の実施の形態で例示したトラ
ンジスタを適用した例を示している。なお、一点鎖線より左側がトランジスタのチャネル
長方向の断面、右側がチャネル幅方向の断面である。
【0340】
第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが好ましい
。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン(歪シリコン含
む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミ
ニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、有機半導体など)とし、第2の半導
体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコ
ンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いた
トランジスタは、先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサブ
スレッショルド特性が得られ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、スイ
ッチ速度が速いため高速動作が可能であり、オフ電流が低いためリーク電流が小さい。
【0341】
トランジスタ2200は、nチャネル型のトランジスタまたはpチャネル型のトランジス
タのいずれであってもよく、回路によって適切なトランジスタを用いればよい。また、酸
化物半導体を用いた本発明の一態様のトランジスタを用いるほかは、用いる材料や構造な
ど、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0342】
図38(A)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁体2201、絶縁体
2207を介してトランジスタ2100が設けられている。また、トランジスタ2200
とトランジスタ2100の間には、複数の配線2202が設けられている。また、各種絶
縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線
や電極が電気的に接続されている。また、トランジスタ2100を覆う絶縁体2204と
、絶縁体2204上に配線2205と、が設けられている。
【0343】
このように、2種類のトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され、
より高密度に複数の回路を配置することができる。
【0344】
ここで、下層に設けられるトランジスタ2200にシリコン系半導体材料を用いた場合、
トランジスタ2200の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダング
リングボンドを終端し、トランジスタ2200の信頼性を向上させる効果がある。一方、
上層に設けられるトランジスタ2100に酸化物半導体を用いた場合、トランジスタ21
00の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成
する要因の一つとなるため、トランジスタ2100の信頼性を低下させる要因となる場合
がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタ2200の上層に酸化
物半導体を用いたトランジスタ2100を積層して設ける場合、これらの間に水素の拡散
を防止する機能を有する絶縁体2207を設けることは特に効果的である。絶縁体220
7により、下層に水素を閉じ込めることでトランジスタ2200の信頼性が向上すること
に加え、下層から上層に水素が拡散することが抑制されることでトランジスタ2100の
信頼性も同時に向上させることができる。
【0345】
絶縁体2207としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウ
ム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸
化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0346】
また、酸化物半導体膜を含んで構成されるトランジスタ2100を覆うように、トランジ
スタ2100上に水素の拡散を防止する機能を有するブロック膜を形成することが好まし
い。当該ブロック膜としては、絶縁体2207と同様の材料を用いることができ、特に酸
化アルミニウム膜を適用することが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの
不純物および酸素の双方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い。し
たがって、トランジスタ2100を覆う当該ブロック膜として酸化アルミニウム膜を用い
ることで、トランジスタ2100に含まれる酸化物半導体膜からの酸素の脱離を防止する
とともに、酸化物半導体膜への水および水素の混入を防止することができる。なお、当該
ブロック膜は、絶縁体2204を積層にすることで用いてもよいし、絶縁体2204の下
側に設けてもよい。
【0347】
なお、トランジスタ2200は、プレーナ型のトランジスタだけでなく、様々なタイプの
トランジスタとすることができる。例えば、FIN(フィン)型、TRI-GATE(ト
ライゲート)型などのトランジスタなどとすることができる。その場合の断面図の例を、
図38(D)に示す。半導体基板2211の上に、絶縁体2212が設けられている。半
導体基板2211は、先端の細い凸部(フィンともいう)を有する。なお、凸部の上には
、絶縁体が設けられていてもよい。その絶縁体は、凸部を形成するときに、半導体基板2
211がエッチングされないようにするためのマスクとして機能するものである。なお、
凸部は、先端が細くなくてもよく、例えば、略直方体の凸部であってもよいし、先端が太
い凸部であってもよい。半導体基板2211の凸部の上には、ゲート絶縁体2214が設
けられ、その上には、ゲート電極2213が設けられている。半導体基板2211には、
ソース領域およびドレイン領域2215が形成されている。なお、ここでは、半導体基板
2211が、凸部を有する例を示したが、本発明の一態様に係る半導体装置は、これに限
定されない。例えば、SOI基板を加工して、凸部を有する半導体領域を形成しても構わ
ない。
【0348】
<回路構成例>
上記構成において、トランジスタ2100やトランジスタ2200の電極を適宜接続する
ことにより、様々な回路を構成することができる。以下では、本発明の一態様の半導体装
置を用いることにより実現できる回路構成の例を説明する。
【0349】
<CMOSインバータ回路>
図38(B)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のト
ランジスタ2100を直列に接続し、且つそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMO
Sインバータの構成を示している。
【0350】
<CMOSアナログスイッチ>
また、図38(C)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそ
れぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、
いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
【0351】
<記憶装置の例>
本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保
持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図39
に示す。
【0352】
図39(A)に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と第
2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。
なお、トランジスタ3300としては、実施の形態1乃至2で説明したトランジスタを用
いることができる。
【0353】
図39(B)に図39(A)に示す半導体装置の断面図を示す。当該断面図の半導体装置
では、トランジスタ3300にバックゲートを設けた構成を示しているが、バックゲート
を設けない構成であってもよい。
【0354】
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトラン
ジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることによ
り長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要
としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが
可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
【0355】
図39(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気
的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接
続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極またはド
レイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲ
ート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極は、ト
ランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方、および容量素子3400の
電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と
電気的に接続されている。
【0356】
図39(A)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可
能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能であ
る。
【0357】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トラ
ンジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする
。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、およ
び容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、
所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷
(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとす
る。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位
にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲ
ート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0358】
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲートの
電荷は長時間にわたって保持される。
【0359】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与
えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジス
タ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位
をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200
のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_H
は、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見か
けのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、
トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をい
うものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の
電位Vとすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判別
できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第
5の配線3005の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オ
ン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電
位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままであ
る。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み
出すことができる。
【0360】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み
出せることが必要になる。例えば、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ゲート電
極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、
th_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報
のみを読み出せる構成とすればよい。または、情報を読み出さないメモリセルにおいては
、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位
、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリ
セルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
【0361】
図39(C)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を設けていない点で図39(A
)と相違している。この場合も上記と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が
可能である。
【0362】
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300がオン状態となると、浮
遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003と
容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が変
化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400の電極の一方の電位(
あるいは容量素子3400に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
【0363】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3
の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の
電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×
VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素
子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電
位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×V1)
/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(C
B×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0364】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこと
ができる。
【0365】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体材料が適用された
トランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体材料が適用されたトラン
ジスタを駆動回路上に積層して設ける構成とすればよい。
【0366】
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流
の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持する
ことが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動
作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができ
る。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であ
っても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0367】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素
子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲート
への電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、
ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体
装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信
頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の
書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0368】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(
容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなく
ても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続
先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定された
内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明細
書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として複
数のケースが考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない
。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗
素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、
発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0369】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業
者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少な
くとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つ
まり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であると言える。そして、機能が特定され
た発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。し
たがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一態
様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。または
、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様として
開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0370】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章におい
て、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって、
ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取り
出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成する
ことが可能であるものとする。そのため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオード
など)、配線、受動素子(容量素子、抵抗素子など)、導電層、絶縁層、半導体層、有機
材料、無機材料、部品、装置、動作方法、製造方法などが単数または複数記載された図面
または文章において、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であ
るものとする。例えば、N個(Nは整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有
して構成される回路図から、M個(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容
量素子等)を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。別の例としては、
N個(Nは整数)の層を有して構成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層
を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、N個
(Nは整数)の要素を有して構成されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N
)の要素を抜き出して、発明の一態様を構成することは可能である。
【0371】
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
【0372】
図40(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す平面図である。撮像装
置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺回
路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q列
(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する。
周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ複
数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有す
る。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280およ
び周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある
。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
【0373】
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光P
1を放射することができる。
【0374】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換
回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に形成してもよ
い。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。なお
、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290
のいずれか一以上を省略してもよい。
【0375】
また、図40(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画素
211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向および
列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200にお
ける撮像の品質をより高めることができる。
【0376】
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの副
画素212に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせる
ことで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0377】
図41(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す平面図である。図
41(A)に示す画素211は、赤(R)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設
けられた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長帯域の光
を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」ともい
う)および青(B)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212
(以下、「副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとして
機能させることができる。
【0378】
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線23
1、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、副
画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線25
3に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目(nは1以上p以下の整数
)の画素211に接続された配線248および配線249を、それぞれ配線248[n]
および配線249[n]と記載する。また、例えばm列目(mは1以上q以下の整数)の
画素211に接続された配線253を、配線253[m]と記載する。なお、図41(A
)において、m列目の画素211が有する副画素212Rに接続する配線253を配線2
53[m]R、副画素212Gに接続する配線253を配線253[m]G、および副画
素212Bに接続する配線253を配線253[m]Bと記載している。副画素212は
、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
【0379】
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長帯域の光を透過するカラーフ
ィルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する
図41(B)に、n行m列に配置された画素211が有する副画素212と、該画素2
11に隣接するn+1行m列に配置された画素211が有する副画素212の接続例を示
す。図41(B)において、n行m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配
置された副画素212Rがスイッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配
置された副画素212Gと、n+1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202
を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列
に配置された副画素212Bがスイッチ203を介して接続されている。
【0380】
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定さ
れず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィ
ルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素
212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
【0381】
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設
けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副
画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(Y
)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加え
て、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素21
1を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素2
12を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
【0382】
また、例えば、図41(A)において、赤の波長帯域を検出する副画素212、緑の波長
帯域を検出する副画素212、および青の波長帯域を検出する副画素212の画素数比(
または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積比
)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(受
光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0383】
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば
、同じ波長帯域を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装
置200の信頼性を高めることができる。
【0384】
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)
フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
【0385】
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用い
ることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和すること
を防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装
置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0386】
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、図42
断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レン
ズ255を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具体
的には、図42(A)に示すように、画素211に形成したレンズ255、フィルタ25
4(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ254B)、および画素回路2
30等を通して光256を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
【0387】
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257の
一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図42(B)に示すように光電
変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子220
が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256を
光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供すること
ができる。
【0388】
図42に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成された
光電変換素子を用いてもよい。
【0389】
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を用
いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、セ
レン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合金
等がある。
【0390】
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて、
X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子2
20を実現できる。
【0391】
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、図41に示す副画素212に加え
て、第1のフィルタを有する副画素212を有してもよい。
【0392】
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を
用いて画素を構成する一例について説明する。
【0393】
図43(A)、図43(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。
【0394】
図43(A)に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトラ
ンジスタ351、トランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタ352およびトランジスタ353、ならびにシリコン基板300に設けられた、
アノード361と、カソード362を有するフォトダイオード360を含む。各トランジ
スタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ370および配線371と電気的な
接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード361は、低抵抗領域363を
介してプラグ370と電気的に接続を有する。
【0395】
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダイ
オード360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層3
20と、層320と接して設けられ、トランジスタ352およびトランジスタ353を有
する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層3
40を備えている。
【0396】
なお、図43(A)の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ3
51が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とする
。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保するこ
とができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオー
ド360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
【0397】
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層31
0を、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する層とすればよい。または層310を省
略し、酸化物半導体を用いたトランジスタのみで画素を構成してもよい。
【0398】
また、図43(A)の断面図において、層310に設けるフォトダイオード360と、層
330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素
の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
【0399】
また、図43(B)は、撮像装置は層340側にフォトダイオード365をトランジスタ
の上に配置した構造とすることができる。図43(B)において、例えば層310には、
シリコン用いたトランジスタ351と、トランジスタ352を有し、層320には配線3
71を有し、層330には酸化物半導体を用いたトランジスタ352、トランジスタ35
3を有し、層340にはフォトダイオード365有しており、フォトダイオード365は
半導体層366、半導体層367、半導体層368で構成されており、配線373と、プ
ラグ370を介した配線374と電気的に接続している。
【0400】
図43(B)に示す素子構成とすることで、開口率を広くすることができる。
【0401】
また、フォトダイオード365には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いた
pin型ダイオード素子などを用いてもよい。フォトダイオード365は、n型の半導体
層368、i型の半導体層367、およびp型の半導体層366が順に積層された構成を
有している。i型の半導体層367には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、
p型の半導体層366およびn型の半導体層368には、それぞれの導電型を付与するド
ーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質
シリコンを光電変換層とするフォトダイオード365は可視光の波長領域における感度が
高く、微弱な可視光を検知しやすい。
【0402】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0403】
(実施の形態5)
<RFタグ>
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したトランジスタ、または記憶装置を含むRF
タグについて、図44を参照して説明する。
【0404】
本実施の形態におけるRFタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記憶
し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このよう
な特徴から、RFタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個
体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いるためには極
めて高い信頼性が要求される。
【0405】
RFタグの構成について図44を用いて説明する。図44は、RFタグの構成例を示すブ
ロック図である。
【0406】
図44に示すようにRFタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタなどとも
いう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアンテナ8
04を有する。またRFタグ800は、整流回路805、定電圧回路806、復調回路8
07、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している。
なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタに逆方向電流を十分に抑制
することが可能な材料、例えば、酸化物半導体、が用いられた構成としてもよい。これに
より、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和することを
防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけることがで
きる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を
行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する
電波方式の3つに大別される。本実施の形態に示すRFタグ800は、そのいずれの方式
に用いることも可能である。
【0407】
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたアン
テナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路8
05は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流
、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑
化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側また
は出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が
大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないよ
うに制御するための回路である。
【0408】
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための
回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよ
い。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路80
9のリセット信号を生成するための回路である。
【0409】
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成す
るための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに応
じて変調を行うための回路である。
【0410】
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は、
入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを
有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行
うための回路である。
【0411】
なお、上述の各回路は、適宜、取捨することができる。
【0412】
ここで、先の実施の形態で説明したトランジスタを、記憶回路810に用いることができ
る。本発明の一態様のトランジスタは、電源が遮断された状態であっても情報を保持でき
るため、RFタグに好適に用いることができる。さらに本発明の一態様の記憶回路は、デ
ータの書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて著しく小さいため
、データの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。
さらに、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制
することができる。
【0413】
また、本発明の一態様の記憶回路は、不揮発性のメモリとして用いることが可能であるた
め、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデー
タを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザが自由に書き換えできないようにして
おくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷することで
、作製したRFタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良品にのみ
固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続になることが
なく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
【0414】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0415】
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
【0416】
図45は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一
例の構成を示すブロック図である。
【0417】
<CPU>
図45に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有し
ている。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1
199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図45に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその
用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図45に示すCPUまたは演算回路
を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するよ
うな構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、
例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0418】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0419】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行う。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するた
めの信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム
実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状
態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレ
スを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行う。
【0420】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、および
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成す
る内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0421】
図45に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ
1196のメモリセルとして、実施の形態1乃至3に示したトランジスタを用いることが
できる。
【0422】
図45に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ11
96が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量
素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が
選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる
。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換え
が行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる
【0423】
<記録回路>
図46は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である。
記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記憶
データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理素
子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回路
1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と、
を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダク
タなどのその他の素子をさらに有していても良い。
【0424】
ここで、回路1202には、先の実施の形態で説明した記憶装置を用いることができる。
記憶素子1200への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ120
9のゲートには接地電位(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力さ
れ続ける構成とする。例えば、トランジスタ1209の第1ゲートが抵抗等の負荷を介し
て接地される構成とする。
【0425】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用い
て構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)の
トランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端
子はトランジスタ1213のソース電極とドレイン電極の一方に対応し、スイッチ120
3の第2の端子はトランジスタ1213のソース電極とドレイン電極の他方に対応し、ス
イッチ1203はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第
1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213のオン状
態またはオフ状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ121
4のソース電極とドレイン電極の一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトラン
ジスタ1214のソース電極とドレイン電極の他方に対応し、スイッチ1204はトラン
ジスタ1214のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の
間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1214のオン状態またはオフ状態)が選
択される。
【0426】
トランジスタ1209のソース電極とドレイン電極の一方は、容量素子1208の一対の
電極のうちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで
、接続部分をノードM2とする。トランジスタ1210のソース電極とドレイン電極の一
方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、
他方は、スイッチ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソース電極とドレイン
電極の一方)と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ12
13のソース電極とドレイン電極の他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジス
タ1214のソース電極とドレイン電極の一方)と電気的に接続される。スイッチ120
4の第2の端子(トランジスタ1214のソース電極とドレイン電極の他方)は電源電位
VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端
子(トランジスタ1213のソース電極とドレイン電極の他方)と、スイッチ1204の
第1の端子(トランジスタ1214のソース電極とドレイン電極の一方)と、論理素子1
206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続さ
れる。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対の電極のうちの他
方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等
)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子120
7の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND
線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、一定の電位
が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電
位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1208の一対の電極の
うちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接
続される。
【0427】
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を
積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0428】
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力され
る。スイッチ1203およびスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RD
によって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のス
イッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第
2の端子の間は非導通状態となる。
【0429】
なお、図46におけるトランジスタ1209では第2ゲート(第2のゲート電極:バック
ゲート)を有する構成を図示している。第1ゲートには制御信号WEを入力し、第2ゲー
トには制御信号WE2を入力することができる。制御信号WE2は、一定の電位の信号と
すればよい。当該一定の電位には、例えば、接地電位GNDやトランジスタ1209のソ
ース電極の電位よりも小さい電位などが選ばれる。このとき、制御信号WE2は、トラン
ジスタ1209のしきい値電圧を制御するための電位信号であり、ゲート電圧VGが0V
時の電流をより低減することができる。また、制御信号WE2は、制御信号WEと同じ電
位信号であってもよい。なお、トランジスタ1209としては、第2ゲートを有さないト
ランジスタを用いることもできる。
【0430】
トランジスタ1209のソース電極とドレイン電極の他方には、回路1201に保持され
たデータに対応する信号が入力される。図46では、回路1201から出力された信号が
、トランジスタ1209のソース電極とドレイン電極の他方に入力される例を示した。ス
イッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソース電極とドレイン電極の他方
)から出力される信号は、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号と
なり、回路1220を介して回路1201に入力される。
【0431】
なお、図46では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソース電極
とドレイン電極の他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を
介して回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第
2の端子(トランジスタ1213のソース電極とドレイン電極の他方)から出力される信
号が、論理値を反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回
路1201内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノー
ドが存在する場合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソース電
極とドレイン電極の他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0432】
また、図46において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジス
タ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板119
0にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層または
シリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子
1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトラ
ンジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外
にも、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りの
トランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成
されるトランジスタとすることもできる。
【0433】
図46における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。
また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いる
ことができる。
【0434】
本発明の一態様における半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間
は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子120
8によって保持することができる。
【0435】
また、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。
例えば、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有
するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。その
ため、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子1
200に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわた
り保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(デ
ータ)を保持することが可能である。
【0436】
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動
作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が
元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0437】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ
1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再開
された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(
オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。それ
故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号
を正確に読み出すことが可能である。
【0438】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの
記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐこ
とができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰
することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、また
は複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を
抑えることができる。
【0439】
本実施の形態では、記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1
200は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムL
SI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、R
F(Radio Frequency)タグにも応用可能である。
【0440】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0441】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した表示装置の構成例について
説明する。
【0442】
<表示装置回路構成例>
図47(A)は、本発明の一態様の表示装置の上面図であり、図47(B)は、本発明の
一態様の表示装置の画素に液晶素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明
するための回路図である。また、図47(C)は、本発明の一態様の表示装置の画素に有
機EL素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である
【0443】
画素部に配置するトランジスタは、実施の形態1乃至3に従って形成することができる。
また、当該トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、駆動回路のうち、nチ
ャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと
同一基板上に形成する。このように、画素部や駆動回路に上記実施の形態に示すトランジ
スタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0444】
アクティブマトリクス型表示装置の上面図の一例を図47(A)に示す。表示装置の基板
700上には、画素部701、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路70
3、信号線駆動回路704を有する。画素部701には、複数の信号線が信号線駆動回路
704から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路702、および第2
の走査線駆動回路703から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域
には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられている。また、表示装置の
基板700はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部
を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
【0445】
図47(A)では、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線
駆動回路704は、画素部701と同じ基板700上に形成される。そのため、外部に設
ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板7
00の外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増
える。同じ基板700上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことがで
き、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。なお、第1の走査線駆動
回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704のいずれかが基板70
0上に実装された構成や基板700の外部に設けられた構成としてもよい。
【0446】
<液晶表示装置>
また、画素の回路構成の一例を図47(B)に示す。ここでは、一例としてVA型液晶表
示装置の画素に適用することができる画素回路を示す。
【0447】
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極層を有する構成に適用できる。それぞれの
画素電極層は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動
できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素
電極層に印加する信号を、独立して制御できる。
【0448】
トランジスタ716の走査線712と、トランジスタ717の走査線713には、異なる
ゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、信号線714は、トラン
ジスタ716とトランジスタ717で共通に用いられている。トランジスタ716とトラ
ンジスタ717は実施の形態1乃至3で説明するトランジスタを適宜用いることができる
。これにより、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
【0449】
また、トランジスタ716には、第1の画素電極層が電気的に接続され、トランジスタ7
17には、第2の画素電極層が電気的に接続される。第1の画素電極層と第2の画素電極
層とは、それぞれ分離されている。なお、第1の画素電極層及び第2の画素電極層の形状
としては、特に限定は無い。例えば、第1の画素電極層は、V字状とすればよい。
【0450】
トランジスタ716のゲート電極は走査線712と接続され、トランジスタ717のゲー
ト電極は走査線713と接続されている。走査線712と走査線713に異なるゲート信
号を与えてトランジスタ716とトランジスタ717の動作タイミングを異ならせ、液晶
の配向を制御できる。
【0451】
また、容量配線710と、誘電体として機能するゲート絶縁層と、第1の画素電極層また
は第2の画素電極層と電気的に接続する容量電極とで保持容量を形成してもよい。
【0452】
マルチドメイン設計では、一画素に第1の液晶素子718と第2の液晶素子719を備え
る。第1の液晶素子718は第1の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成さ
れ、第2の液晶素子719は第2の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成さ
れる。
【0453】
なお、図47(B)に示す画素回路は、これに限定されない。例えば、図47(B)に示
す画素回路に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、または論理
回路などを追加してもよい。
【0454】
図48(A)、および図48(B)は液晶表示装置の上面図および断面図の一例である。
なお、図48(A)では表示装置20、表示領域21、周辺回路22、およびFPC(フ
レキシブルプリント基板)42を有する代表的な構成を図示している。
【0455】
図48(B)に図48(A)の破線A-A’間、B-B’間、C-C’間の断面図を示す
。A-A’間は周辺回路部を示し、B-B’間は表示領域を示し、C-C’間はFPCと
の接続部を示す。
【0456】
表示装置20は、トランジスタ11の他、導電層190、導電層195、絶縁層420、
液晶層490、液晶素子80、容量素子60、絶縁層430、スペーサ440、着色層4
60、接着層470、導電層480、遮光層418、基板400、接着層473、接着層
474、接着層475、接着層476、偏光板103、偏光板403、保護基板105、
保護基板402、異方性導電層510を有する。
【0457】
<有機EL表示装置>
画素の回路構成の他の一例を図47(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示
装置の画素構造を示す。
【0458】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が、
他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして
、電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、そ
の励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光
素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0459】
図47(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のト
ランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。また、当該画素回路は、デジタル時間階
調駆動を適用することができる。
【0460】
適用可能な画素回路の構成およびデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作につ
いて説明する。
【0461】
画素720は、スイッチング用トランジスタ721、駆動用トランジスタ722、発光素
子724および容量素子723を有している。スイッチング用トランジスタ721は、ゲ
ート電極層が走査線726に接続され、第1電極(ソース電極層およびドレイン電極層の
一方)が信号線725に接続され、第2電極(ソース電極層およびドレイン電極層の他方
)が駆動用トランジスタ722のゲート電極層に接続されている。駆動用トランジスタ7
22は、ゲート電極層が容量素子723を介して電源線727に接続され、第1電極が電
源線727に接続され、第2電極が発光素子724の第1電極(画素電極)に接続されて
いる。発光素子724の第2電極は共通電極728に相当する。共通電極728は、同一
基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
【0462】
スイッチング用トランジスタ721および駆動用トランジスタ722には実施の形態1乃
至3で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い有機
EL表示装置を提供することができる。
【0463】
発光素子724の第2電極(共通電極728)の電位は低電源電位に設定する。なお、低
電源電位とは、電源線727に供給される高電源電位より低い電位であり、例えばGND
、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子724の順方向のしきい
値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子724
に印加することにより、発光素子724に電流を流して発光させる。なお、発光素子72
4の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しき
い値電圧を含む。
【0464】
なお、容量素子723は駆動用トランジスタ722のゲート容量を代用することにより省
略できる。
【0465】
次に、駆動用トランジスタ722に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動方
式の場合、駆動用トランジスタ722が十分にオンするか、オフするかの二つの状態とな
るようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ722に入力する。なお、駆動用トランジス
タ722を線形領域で動作させるために、電源線727の電圧よりも高い電圧を駆動用ト
ランジスタ722のゲート電極層にかける。また、信号線725には、電源線電圧に駆動
用トランジスタ722の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
【0466】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ722のゲート電極層に発光素子72
4の順方向電圧に駆動用トランジスタ722のしきい値電圧Vthを加えた値以上の電圧
をかける。なお、駆動用トランジスタ722が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入
力し、発光素子724に電流を流す。また、駆動用トランジスタ722を飽和領域で動作
させるために、電源線727の電位を、駆動用トランジスタ722のゲート電位より高く
する。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子724にビデオ信号に応じた電流を
流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0467】
なお、画素回路の構成は、図47(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、図47
(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタまたは論
理回路などを追加してもよい。
【0468】
図47で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位
側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気
的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し
、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位を
印加するなど、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
【0469】
図49(A)、および図49(B)は発光装置の上面図および断面図の一例である。なお
図49(A)では発光装置24、表示領域21、周辺回路22、およびFPC(フレキ
シブルプリント基板)42を有する代表的な構成を図示している。
【0470】
図49(B)に図49(A)の破線A-A’間、B-B’間、C-C’間の断面図を示す
。A-A’間は周辺回路部を示し、B-B’間は表示領域を示し、C-C’間はFPCと
の接続部を示す。
【0471】
発光装置24は、トランジスタ11の他、導電層190、導電層195、導電層410、
光学調整層530、EL層450、発光素子70、容量素子60、スペーサ440、着色
層460、接着層470、導電層480、遮光層418、基板400、異方性導電層51
0を有する。
【0472】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様
々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例え
ば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物および無機物を含むEL素子、有機
EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LED
など)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子
、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディス
プレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)、デジタ
ルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、M
IRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子
、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブ
を用いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁
気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有して
いても良い。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。
電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(
FED)またはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduc
tion Electron-emitter Display)などがある。液晶素子
を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過
型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶デ
ィスプレイ)などがある。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例として
は、電子ペーパーなどがある。
【0473】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0474】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した表示モジュールについて、図
50を用いて説明を行う。
【0475】
<表示モジュール>
図50に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との
間に、FPC6003に接続されたタッチパネル6004、FPC6005に接続された
表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリント基板
6010、バッテリー6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バッテ
リー6011、タッチパネル6004などは、設けられない場合もある。
【0476】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル6006であったり、プリント基板
に実装された集積回路に用いることができる。
【0477】
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチパネル6004および表示パネ
ル6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0478】
タッチパネル6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル6
006に重畳して用いることができる。また、表示パネル6006の対向基板(封止基板
)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル6
006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネル機能を付加することも可能で
ある。または、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量方
式のタッチパネル機能を付加することも可能である。
【0479】
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライト
ユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
【0480】
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010から発
生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム600
9は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0481】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリー6011であってもよい。なお、商用電源を用いる場合
には、バッテリー6011を省略することができる。
【0482】
また、表示モジュール6000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追
加して設けてもよい。
【0483】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0484】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の使用例について説明する。
【0485】
<リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージ>
図51(A)に、リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表
す斜視図を示す。図51(A)に示すパッケージは、本発明の一態様に係る半導体装置に
相当するチップ2751が、ワイヤボンディング法により、インターポーザ2750上の
端子2752と接続されている。端子2752は、インターポーザ2750のチップ27
51がマウントされている面上に配置されている。そしてチップ2751はモールド樹脂
2753によって封止されていてもよいが、各端子2752の一部が露出した状態で封止
されるようにする。
【0486】
パッケージが回路基板に実装されている電子機器(携帯電話)のモジュールの構成を、図
51(B)に示す。図51(B)に示す携帯電話のモジュールは、プリント配線基板28
01に、パッケージ2802と、バッテリー2804とが実装されている。また、表示素
子が設けられたパネル2800に、プリント配線基板2801がFPC2803によって
実装されている。
【0487】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0488】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び照明装置について、図面を用いて説明
する。
【0489】
<電子機器>
本発明の一態様の半導体装置を用いて、電子機器や照明装置を作製できる。また、本発明
の一態様の半導体装置を用いて、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる。また本
発明の一態様の半導体装置を用いて、タッチセンサの検出感度が向上した電子機器や照明
装置を作製できる。
【0490】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともい
う)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ
、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲ
ーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる
【0491】
また、本発明の一態様の電子機器又は照明装置は可撓性を有する場合、家屋やビルの内壁
もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能であ
る。
【0492】
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用
いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0493】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイオ
ンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラ
ジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる
【0494】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信する
ことで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池を
有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0495】
図52(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7101、筐体7102、表示部7103、
表示部7104、マイク7105、スピーカー7106、操作キー7107、スタイラス
7108等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7101に内蔵されてい
る集積回路、CPUなどに用いることができる。表示部7103または表示部7104に
本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下が
起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図52(A)に示した携帯
型ゲーム機は、2つの表示部7103と表示部7104とを有しているが、携帯型ゲーム
機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0496】
図52(B)は、スマートウオッチであり、筐体7302、表示部7304、操作ボタン
7311、7312、接続端子7313、バンド7321、留め金7322、等を有する
。本発明の一態様に係る半導体装置は筐体7302に内蔵されているメモリ、CPUなど
に用いることができる。
【0497】
図52(C)は、携帯情報端末であり、筐体7501に組み込まれた表示部7502の他
、操作ボタン7503、外部接続ポート7504、スピーカー7505、マイク7506
などを備えている。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7501に内蔵されている
モバイル用メモリ、CPUなどに用いることができる。なお、表示部7502は、非常に
高精細とすることができるため、中小型でありながらフルハイビジョン、4k、または8
kなど、様々な表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0498】
図52(D)はビデオカメラであり、第1筐体7701、第2筐体7702、表示部77
03、操作キー7704、レンズ7705、接続部7706等を有する。操作キー770
4およびレンズ7705は第1筐体7701に設けられており、表示部7703は第2筐
体7702に設けられている。そして、第1筐体7701と第2筐体7702とは、接続
部7706により接続されており、第1筐体7701と第2筐体7702の間の角度は、
接続部7706により変更が可能である。表示部7703における映像を、接続部770
6における第1筐体7701と第2筐体7702との間の角度に従って切り替える構成と
しても良い。レンズ7705の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えるこ
とができる。本発明の一態様に係る半導体装置は、第1筐体7701に内蔵されている集
積回路、CPUなどに用いることができる。
【0499】
図52(E)は、デジタルサイネージであり、電柱7921に設置された表示部7922
を備えている。本発明の一態様に係る半導体装置は、表示部7922の制御回路に用いる
ことができる。
【0500】
図53(A)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体8121、表示部8122
、キーボード8123、ポインティングデバイス8124等を有する。本発明の一態様に
係る半導体装置は、筐体8121内に内蔵されているCPUや、メモリに適用することが
できる。なお、表示部8122は、非常に高精細とすることができるため、中小型であり
ながら8kの表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0501】
図53(B)に自動車9700の外観を示す。図53(C)に自動車9700の運転席を
示す。自動車9700は、車体9701、車輪9702、ダッシュボード9703、ライ
ト9704等を有する。本発明の一態様の半導体装置は、自動車9700の表示部、およ
び制御用の集積回路に用いることができる。例えば、図53(C)に示す表示部9710
乃至表示部9715に本発明の一態様の表示装置、または半導体装置を設けることができ
る。
【0502】
表示部9710と表示部9711は、自動車のフロントガラスに設けられた表示装置、ま
たは入出力装置である。本発明の一態様の表示装置、または入出力装置は、表示装置、ま
たは入出力装置が有する電極を、透光性を有する導電性材料で作製することによって、反
対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置、または入出力装置とすること
ができる。シースルー状態の表示装置、または入出力装置であれば、自動車9700の運
転時にも視界の妨げになることがない。よって、本発明の一態様の表示装置、または入出
力装置を自動車9700のフロントガラスに設置することができる。なお、表示装置、ま
たは入出力装置に、表示装置、または入出力装置を駆動するためのトランジスタなどを設
ける場合には、有機半導体材料を用いた有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトラ
ンジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いるとよい。
【0503】
表示部9712はピラー部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた撮
像手段からの映像を表示部9712に映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補
完することができる。表示部9713はダッシュボード部分に設けられた表示装置である
。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9713に映し出すことによっ
て、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができる。すなわち、車体の外側に設
けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めること
ができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感な
く安全確認を行うことができる。
【0504】
また、図53(D)は、運転席と助手席にベンチシートを採用した自動車の室内を示して
いる。表示部9721は、ドア部に設けられた表示装置、または入出力装置である。例え
ば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9721に映し出すことによって、ド
アで遮られた視界を補完することができる。また、表示部9722は、ハンドルに設けら
れた表示装置である。表示部9723は、ベンチシートの座面の中央部に設けられた表示
装置である。なお、表示装置を座面や背もたれ部分などに設置して、当該表示装置を、当
該表示装置の発熱を熱源としたシートヒーターとして利用することもできる。
【0505】
表示部9714、表示部9715、または表示部9722はナビゲーション情報、スピー
ドメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他
様々な情報を提供することができる。また、表示部に表示される表示項目やレイアウトな
どは、使用者の好みに合わせて適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部9
710乃至表示部9713、表示部9721、表示部9723にも表示することができる
。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は照明
装置として用いることも可能である。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部
9721乃至表示部9723は加熱装置として用いることも可能である。
【0506】
また、図54(A)に、カメラ8000の外観を示す。カメラ8000は、筐体8001
、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004、結合部8005等
を有する。またカメラ8000には、レンズ8006を取り付けることができる。
【0507】
結合部8005は、電極を有し、後述するファインダー8100のほか、ストロボ装置等
を接続することができる。
【0508】
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換する
ことが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体8001が一体となっていてもよい。
【0509】
シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部80
02はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像す
ることも可能である。
【0510】
表示部8002に、本発明の一態様の表示装置、または半導体装置を適用することができ
る。
【0511】
図54(B)には、カメラ8000にファインダー8100を取り付けた場合の例を示し
ている。
【0512】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
【0513】
筐体8101には、カメラ8000の結合部8005と係合する結合部を有しており、フ
ァインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該結合部には電
極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示
させることができる。
【0514】
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8
102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0515】
筐体8101の中にある、集積回路、イメージセンサに本発明の一態様の半導体装置を適
用することができる。
【0516】
なお、図54(A)(B)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機
器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、本発明の
一態様の表示装置、または入出力装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0517】
また、図54(C)には、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示している。
【0518】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体820
3、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッ
テリ8206が内蔵されている。
【0519】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体820
3は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示させ
ることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動き
を捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点を入
力手段として用いることができる。
【0520】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。
本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使
用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知する
ことにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201
には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用
者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部
の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させても
よい。
【0521】
本体8203の内部の集積回路に、本発明の一態様の半導体装置を適用することができる
【0522】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0523】
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いたRFタグの使用例について
図55を用いながら説明する。
【0524】
<RFタグの使用例>
RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証
書類(運転免許証や住民票等、図55(A)参照)、乗り物類(自転車等、図55(B)
参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図55(C)参照)、記録媒体(DVDやビ
デオテープ等、図55(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物
類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(液晶表示装置
、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り
付ける荷札(図55(E)、図55(F)参照)等に設けて使用することができる。
【0525】
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、物
品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれ
ば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ
4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザ
イン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書
類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けるこ
とができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器
類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の一
態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図る
ことができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付ける
ことにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0526】
以上のように、本発明の一態様に係わる半導体装置を用いたRFタグを、本実施の形態に
挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できる
ため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であって
も情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも
好適に用いることができる。
【0527】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【符号の説明】
【0528】
10 トランジスタ
11 トランジスタ
12 トランジスタ
20 表示装置
21 表示領域
22 周辺回路
24 発光装置
60 容量素子
70 発光素子
80 液晶素子
100 基板
103 偏光板
105 保護基板
110 絶縁層
120 半導体層
121 絶縁体
121a 絶縁体膜
122 半導体層
122a 半導体膜
123 絶縁体
123a 絶縁体膜
130 ソース電極層
130a 導電膜
130b 導電層
140 ドレイン電極層
150 ゲート絶縁層
150a 絶縁膜
160 ゲート電極層
160a 導電膜
165 導電層
166 導電層
167 導電層
170 絶縁層
170a 絶縁膜
171 混合層
171b 絶縁層
172 酸素
173 絶縁層
173a 絶縁膜
174 溝部
175 絶縁層
175a 絶縁膜
175b 絶縁層
176 レジストマスク
177 絶縁層
177a 絶縁膜
190 導電層
195 導電層
200 撮像装置
201 スイッチ
202 スイッチ
203 スイッチ
210 画素部
211 画素
212 副画素
212B 副画素
212G 副画素
212R 副画素
220 光電変換素子
230 画素回路
231 配線
247 配線
248 配線
249 配線
250 配線
253 配線
254 フィルタ
254B フィルタ
254G フィルタ
254R フィルタ
255 レンズ
256 光
257 配線
260 周辺回路
270 周辺回路
280 周辺回路
290 周辺回路
291 光源
300 シリコン基板
310 層
320 層
330 層
340 層
351 トランジスタ
352 トランジスタ
353 トランジスタ
360 フォトダイオード
361 アノード
362 カソード
363 低抵抗領域
365 フォトダイオード
366 半導体層
367 半導体層
368 半導体層
370 プラグ
371 配線
372 配線
373 配線
374 配線
400 基板
402 保護基板
403 偏光板
410 導電層
418 遮光層
420 絶縁層
430 絶縁層
440 スペーサ
450 EL層
460 着色層
470 接着層
473 接着層
474 接着層
475 接着層
476 接着層
480 導電層
490 液晶層
510 異方性導電層
530 光学調整層
601 プリカーサ
602 プリカーサ
700 基板
701 画素部
702 走査線駆動回路
703 走査線駆動回路
704 信号線駆動回路
710 容量配線
712 走査線
713 走査線
714 信号線
716 トランジスタ
717 トランジスタ
718 液晶素子
719 液晶素子
720 画素
721 スイッチング用トランジスタ
722 駆動用トランジスタ
723 容量素子
724 発光素子
725 信号線
726 走査線
727 電源線
728 共通電極
800 RFタグ
801 通信器
802 アンテナ
803 無線信号
804 アンテナ
805 整流回路
806 定電圧回路
807 復調回路
808 変調回路
809 論理回路
810 記憶回路
811 ROM
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
1700 被成膜基板
1701 チャンバー
1702 ロード室
1703 前処理室
1704 チャンバー
1705 チャンバー
1706 アンロード室
1711a 原料供給部
1711b 原料供給部
1712a 高速バルブ
1712b 高速バルブ
1713a 原料導入口
1713b 原料導入口
1714 原料排出口
1715 排気装置
1716 基板ホルダ
1720 搬送室
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
2201 絶縁体
2202 配線
2203 プラグ
2204 絶縁体
2205 配線
2207 絶縁体
2211 半導体基板
2212 絶縁体
2213 ゲート電極
2214 ゲート絶縁体
2215 ソース領域およびドレイン領域
2750 インターポーザ
2751 チップ
2752 端子
2753 モールド樹脂
2800 パネル
2801 プリント配線基板
2802 パッケージ
2803 FPC
2804 バッテリー
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
4000 RFタグ
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域
6000 表示モジュール
6001 上部カバー
6002 下部カバー
6003 FPC
6004 タッチパネル
6005 FPC
6006 表示パネル
6007 バックライトユニット
6008 光源
6009 フレーム
6010 プリント基板
6011 バッテリー
7101 筐体
7102 筐体
7103 表示部
7104 表示部
7105 マイク
7106 スピーカー
7107 操作キー
7108 スタイラス
7302 筐体
7304 表示部
7311 操作ボタン
7312 操作ボタン
7313 接続端子
7321 バンド
7322 留め金
7501 筐体
7502 表示部
7503 操作ボタン
7504 外部接続ポート
7505 スピーカー
7506 マイク
7701 筐体
7702 筐体
7703 表示部
7704 操作キー
7705 レンズ
7706 接続部
7921 電柱
7922 表示部
8000 カメラ
8001 筐体
8002 表示部
8003 操作ボタン
8004 シャッターボタン
8005 結合部
8006 レンズ
8100 ファインダー
8101 筐体
8102 表示部
8103 ボタン
8121 筐体
8122 表示部
8123 キーボード
8124 ポインティングデバイス
8200 ヘッドマウントディスプレイ
8201 装着部
8202 レンズ
8203 本体
8204 表示部
8205 ケーブル
8206 バッテリ
9700 自動車
9701 車体
9702 車輪
9703 ダッシュボード
9704 ライト
9710 表示部
9711 表示部
9712 表示部
9713 表示部
9714 表示部
9715 表示部
9721 表示部
9722 表示部
9723 表示部
図1
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