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特許7402927圧電バランスばねを備える発振器を備える計時器用ムーブメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】圧電バランスばねを備える発振器を備える計時器用ムーブメント
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20231214BHJP
   G04C 3/04 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G04B17/06 Z
G04C3/04 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022101597
(22)【出願日】2022-06-24
(65)【公開番号】P2023024286
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】21189581.8
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・インボーデン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ヘンメリ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-56784(JP,A)
【文献】特表2013-525778(JP,A)
【文献】特開2002-228774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間を表示するアナログ表示(4)と、ギヤ列(6)と、前記ギヤ列を介して前記アナログ表示と運動学的にリンクされたバレル(8)と、及び共振器(12)によって形成される電気機械発振器(10)とを備える計時器用ムーブメント(2)であって、
前記計時器用ムーブメント(2)は、バランス(14)と、圧電バランスばね(16)と、及び前記バランスと前記ギヤ列を連結する機械式エスケープ(18)とを備え、
前記圧電バランスばねは、圧電材料(66)によって少なくとも部分的に形成され、かつ、少なくとも2つの電極(68、69)を備え、これらの電極のうちの少なくとも1つの電極が電子制御回路(20)に接続されており、
前記圧電材料及び前記少なくとも1つの電極は、前記電子制御回路によって管理されて、電気的応力を前記圧電バランスばねに与えることができるように構成しており、
前記計時器用ムーブメントは、前記バレルが、前記アナログ表示を駆動し、前記計時器用ムーブメントの空間的向きに依存する第1の振幅を有する前記電気機械発振器(10)の機能的振動を単独で維持することができるように構成しており、
前記電子制御回路(20)は、電気エネルギー源(30)に接続することができ、前記少なくとも1つの電極への電圧の印加を制御することができるように構成しており、これによって、前記計時器用ムーブメントの空間的向きごとに、前記電気機械発振器(10)の機能的振動を可能にするために十分なエネルギーを前記電子制御回路に供給する、前記電気機械発振器(10)のための駆動電気パルスを生成し、
前記駆動電気パルスは、この空間的向きにおける前記第1の振幅の最大公称値よりも大きい第2の振幅を有する
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【請求項2】
前記電子制御回路(20)は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、前記バレルのいずれのワインドレベルに対しても、前記第2の振幅を実質的に一定に保つように前記電圧の印加を制御するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項3】
前記電子制御回路(20)は、ピーク電圧検出器(46)と規制回路(20A)を備え、
前記ピーク電圧検出器(46)は、前記共振器(12)が振動するときに前記圧電バランスばね(16)における誘導電圧の振幅を実質的に検出することができるように構成しており、
前記規制回路(20A)は、前記ピーク電圧検出器から誘導電圧の振幅に関連する信号(SA)を受信し、
前記ピーク電圧検出器が与える前記信号に対する設定値(SC)にしたがって電源電圧(VA)を管理することができるように構成しており、これによって、実質的に一定の振幅を有する前記共振器の振動を得る
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項4】
前記電子制御回路は、前記計時器用ムーブメントが備える水晶発振器に関連づけられ、
前記電子制御回路は、前記水晶発振器によって決まり前記電気機械発振器(10)の設定周波数に依存する特定の電源周波数を有する前記駆動電気パルスを生成するように構成しており、
前記電気機械発振器(10)は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きにおいても、前記バレルのいずれのワインドレベルにおいても、固有振動周波数が特定の値の範囲内に留まるように構成しており、
前記特定の値の範囲は、前記駆動電気パルスが、前記第2の振幅における機能的振動を行いつつ、前記電気機械発振器(10)を前記設定周波数にすることができるように前記設定周波数に十分に近い
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項5】
前記電子制御回路は、前記計時器用ムーブメントが備える水晶発振器に関連づけられ、
前記電子制御回路は、前記水晶発振器によって決まり前記電気機械発振器(10)の設定周波数に依存する特定の電源周波数を有する前記駆動電気パルスを生成するように構成しており、
前記電気機械発振器(10)は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きにおいても、前記バレルのいずれのワインドレベルにおいても、固有振動周波数が特定の値の範囲内に留まるように構成しており、
前記特定の値の範囲は、前記駆動電気パルスが、実質的に一定な前記第2の振幅における機能的振動を行いつつ、前記電気機械発振器(10)を前記設定周波数にすることができるように前記設定周波数に十分に近い
ことを特徴とする請求項2に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項6】
前記最大公称値は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、300°以下であり、前記第2の振幅は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、前記バレルのいずれのワインドレベルに対しても、300°よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用ムーブメント。
【請求項7】
前記最大公称値は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きに対しても、240°~300°の範囲内であり、
前記第2の振幅は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、前記バレルのいずれのワインドレベルに対しても、305°~300°の範囲内である
ことを特徴とする請求項6に記載の計時器用ムーブメント
【請求項8】
請求項1に記載の計時器用ムーブメント(2)を備える携行型時計(22)であって、
前記電気エネルギー源(30)は、この携行型時計に組み込まれており、外部エネルギーを収集して電気に変換できるように構成している発電機を備え、これによって、前記電子制御回路(20)と前記圧電バランスばね(16)に対するパワー供給を可能にする
ことを特徴とする携行型時計(22)。
【請求項9】
前記発電機は、光センサーを備える
ことを特徴とする請求項8に記載の携行型時計。
【請求項10】
前記発電機は、ユーザーの体温を電気に変換できるように構成しているサーモパイルを備える
ことを特徴とする請求項8に記載の携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルと、このバレルによってギヤ列を介して駆動されるアナログ時間表示と、及び計時器用ムーブメントの動作を制御するためのばねバランスとを備える計時器用ムーブメントに関する。このバランスばねは、2つの側面に電極が配置される圧電タイプのものである。本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメントと電気エネルギー源を組み入れている携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許文献US9721169によって、ばね仕掛けバランスタイプの発振器を備える計時器用ムーブメントが知られており、この発振器の圧電バランスばねには、可変キャパシタンスに接続された電極があり、これによって、バランスばねの剛性を変え、したがって、その固有振動数を調整して、時間表示の精度を高めている。
【0003】
欧州特許文献EP3540528及びEP3629103はそれぞれ、ばねバランスの中周波数を規制する方法、及び水晶発振器を備える電子制御ユニットに接続された圧電バランスばねを用いてばねバランスの周波数を同期させる方法について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、計時器用ムーブメントの動作、特にそのアナログ表示デバイスの駆動、のタイミングのためのばねバランスを使用しつつ、動作精度を向上させることを可能にする電子システムを組み入れることによって機械式計時器用ムーブメントを変えることを目的とする。また、本発明は、特に利用可能な電気エネルギーがなくなったことに起因して、電子システムがアイドル状態となっているときにも機能し続けるように計時器用ムーブメントを変えることを提案するものである。
【0005】
本発明は、時間を表示するアナログ表示と、ギヤ列と、前記ギヤ列を介して前記アナログ表示と運動学的にリンクされたバレルと、及び共振器によって形成される発振器とを備える計時器用ムーブメントに関し、前記計時器用ムーブメントは、バランスと、圧電バランスばねと、及び前記バランスと前記ギヤ列を連結する機械式エスケープとを備え、前記圧電バランスばねは、圧電材料によって少なくとも部分的に形成され、かつ、少なくとも2つの電極を備え、これらの電極のうちの少なくとも1つの電極が電子制御回路に接続されており、前記圧電材料及び前記少なくとも1つの電極は、前記電子制御回路によって管理されて、電気的応力を前記圧電バランスばねに与えることができるように構成している。そして、前記計時器用ムーブメントは、前記バレルが、前記アナログ表示を駆動し、特に前記計時器用ムーブメントの空間的向きに依存する、第1の振幅を有する前記発振器の機能的振動を単独で維持することができるように構成している。さらに、前記電子制御回路は、電気エネルギー源に接続することができ、前記少なくとも1つの電極への電圧の印加を制御することができるように構成しており、これによって、前記計時器用ムーブメントの空間的向きごとに、前記発振器の機能的振動を可能にするために十分なエネルギーを前記電子制御回路に供給する、前記発振器のための駆動電気パルスを生成し、前記駆動電気パルスは、この空間的向きにおける前記第1の振幅の最大公称値よりも大きい第2の振幅を有する。
【0006】
好ましい実施形態において、前記電子制御回路は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、前記バレルのいずれのワインドレベルに対しても、前記第2の振幅を実質的に一定に保つように前記電圧の印加を制御するように構成している。このために、特定の代替的形態において、前記電子制御回路は、圧電ばねバランスにおいて誘導された電圧の振幅を検出するための回路と、及びこの振幅を所定の設定値に保って前記共振器の振動の振幅を規制することを可能にするためのフィードバックループとを備える。
【0007】
有利な代替的形態において、前記最大公称値は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、300°以下であり、前記第2の振幅は、前記計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、前記バレルのいずれのワインドレベルに対しても、300°よりも大きい。
【0008】
本発明は、さらに、エネルギー源が組み入れられた携行型時計に関し、前記エネルギー源は、この携行型時計に組み込まれており、外部エネルギーを収集して電気に変換できるように構成している発電機によって形成され、これによって、前記電子制御回路と前記圧電バランスばねに対するパワー供給を可能にする。
【0009】
このような本発明の特徴のおかげで、本発明に係るムーブメントを組み入れた携行型時計の精度を向上させることができる。これは、特に、バランスの振動の振幅が大きいおかげであり、この振幅は、圧電バランスばねを介して電気機械発振器に与えられる駆動電気パルスによって維持することができる。そして、好ましい実施形態によって、まず、バレルが与える力トルクの減少を補償して、計時器用ムーブメント又はそれを組み入れた携行型時計、のいずれの空間的向きにおいても、発振維持のパワーを実質的に一定に保つことが可能になる。したがって、この好ましい実施形態において、時間の経過にしたがってバレルが与える力トルクが変動することに起因して伝統的な機械式ムーブメントに一般的に発生する発振器の周波数変動をなくすことができる。また、この好ましい実施形態によって、計時器用ムーブメント又はそれを組み入れた携行型時計、の異なる空間位置の間の振幅の差をなくすことが可能になる。最後に、好ましい実施形態によって、伝統的な機械式ムーブメントにおいて他の理由で発生しがちな計時器用ムーブメントの動作の変動を防ぐことが可能になる。この他の理由は、例えば、オイルの経年劣化、ギヤ列の硬いスポット、又はある日付から次の日付に変えるときなどに瞬間的に増加するトルク要求である。このように、本発明によって、機械的計時器用ムーブメントで発生しがちであって、等時性の喪失をもたらして、現在の時間表示に時間ドリフトを発生させてしまう様々な問題を効果的に解決することが可能になる。
【0010】
以下、添付の図面を用いて本発明について詳細に説明する。なお、これは例として与えられるものであって、限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る計時器用ムーブメントの一実施形態の斜視図である(バレルをワインドするために設けられる振動錘を描いていない)。
図2図1の計時器用ムーブメントの底面図であり、図1と比べてバランスブリッジとインデックスアセンブリーについて描いていない。
図3図1の計時器用ムーブメントの実施形態における電気機械発振器を形成する共振器の拡大概略図である。
図4図3の共振器を形成する圧電バランスばねの断面図である。
図5】本発明に係る計時器用ムーブメントを組み入れた本発明に係る携行型時計を概略的に示しており、この携行型時計は、ここでは第1のメイン動作状態となっている。
図6】第2のメイン動作状態となっている図5の携行型時計を表している。
図7】本発明の好ましい実施形態に組み込まれた電気機械発振器の電子制御回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る計時器用ムーブメントの様々な実施形態、及び本発明に係る携行型時計の一般的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
計時器用ムーブメント2は、アナログ時間表示4と、ギヤ列6と、ギヤ列を介して前記アナログ表示4を駆動するバレル8と、及び共振器12と機械式エスケープ18によって形成される電気機械発振器10とを備え、前記共振器12は、バランス14と圧電バランスばね16を備え、前記機械式エスケープ18は、前記バランス14をギヤ列6に連結する。計時器用ムーブメントは、バレルをワインドするために利用する振動錘24(図1及び2には示していないが図5及び6に示している)を備える。バランス14はバランスブリッジ26の領域にて回転し、このブリッジ26は、機械式計時器用ムーブメントにおいて標準的であるように、共振器12の振動周波数を設定するように用いられるインデックスアセンブリー28を担持している。
【0014】
原則として、圧電バランスばねは、圧電材料によって少なくとも部分的に形成され、少なくとも2つの電極を備え、そのうちの少なくとも1つの電極は、電子制御回路20に接続される。図3には、共振器12と電子制御回路20を示しており、この電子制御回路20に、圧電スパイラル16の2つの外側電極68及び69が電気リンク21A及び21Bによって接続されている。図4に、圧電バランスばね16の横断面を示している。なお、これに限定されない。このバランスばね16には、ケイ素によって作られた中央ボディ60と、バランスばねを熱的に補償するように中央ボディ60の面上に堆積された酸化ケイ素の被覆62と、前記酸化ケイ素の被覆上に堆積される第1の導電性被覆64と、第1の導電性被覆64上に圧電被覆66の形態で堆積される圧電材料がある。特定の代替的形態において、圧電被覆は、窒化アルミニウム結晶によって構成しており、これは、この結晶が第1の導電性被覆から垂直に成長することによって形成される。圧電被覆上の第2の部分的導電性被覆によって形成される2つの外側電極68及び69はそれぞれ、バランスばねの2つの側面に配置され、電子制御回路20の2つの対応する端子70及び71に接続される。したがって、圧電層66には、中央ボディ60の2つの側面にそれぞれ延在している第1の部分74Aと第2の部分74Bがあり、これらの第1の部分74Aと第2の部分74Bは、第1の導電性被覆64からの成長に起因して、前記2つの側面に平行な正中面76に対して対称であるような対応する結晶学的構造を有する。したがって、2つの側方部分74A及び74Bにおいて、圧電被覆66には、この圧電被覆66に垂直であり反対方向である2つの対応する圧電軸78A及び78Bがある。
【0015】
バランスばねがそのアイドル位置から収縮又は伸長するときに、第1及び第2の側方部分74A及び74Bにおいて機械的応力の反転があり、すなわち、これら2つの部分のうちの一方の部分が圧縮され、かつ、これらの部品のうちの他方の部分が引き伸ばされ/引っ張られ、又はその逆であることを前提に、圧電バランスばね16に与えられる同じ全体的な機械的応力(アイドル位置に対して収縮又は伸長するバランスばね)に対して、第1の導電性被覆によって形成される内側電極64と、2つの外側側方電極68及び69のそれぞれとの間で、誘導電圧の符号の反転が発生する。
【0016】
上記の考慮事項の結果として、圧電被覆の第1及び第2の部分74A、74Bにおける局所誘導電圧は、2つの側面に垂直な幾何学的軸に沿って同じ極性を有し、これによって、単一の共通の内側電極64で十分であるようになる。この共通の内側電極は、中央ボディ60の2つの側面にて延在している。したがって、2つの外側電極68及び69の間に誘導される電圧を回復させることが可能となる。これは、圧電被覆66の第1及び第2の部分74A及び74Bにおいてそれぞれ発生する2つの局所誘導電圧(絶対値で)を印加することに対応する。これらの考慮事項の結果として、2つの電極68及び69の間に特定の電圧を与えて、共振器12の励起の間にバランスばねを能動的に拘束し、特に、駆動パルスを供給することができる。なお、第1の導電性被覆64によって形成される内側電極は、電子制御回路20と、又は計時器用ムーブメントの錘と、の専用の電気的リンクを必要としない。ただし、このことが除外されるわけではない。
【0017】
本発明の範囲内で、圧電材料66と2つの電極68及び69は、電子制御回路20によって制御されて、圧電バランスばねに電気的応力を与えて、共振器12に、この共振器の機能的振動を維持することに少なくとも部分的に寄与する、好ましくは実質的に一定の振幅を有する、駆動パルスを供給することができるように構成している。このために、電子制御回路20は、電気エネルギー源30に接続することができ、外側電極68及び69の間の電圧の印加を制御して、共振器12のための駆動パルスを生成することができるように構成している。原則として、本発明によると、電子制御回路は、2つの外側電極68及び69のうちの少なくとも1つへの電圧の印加を管理することができるように構成しており、これによって、印加された電圧によって拘束される圧電バランスばねを介して電気機械発振器10のための駆動パルスを生成し、また、電気的起源の駆動パルスがない状態において、計時器用ムーブメントの空間的向きごとに、共振器12が、この共振器12の機能的振動の振幅の最大公称値よりも大きい振幅を有する機能的振動を有することができるために十分な電気エネルギーをこの発振器に供給することができるようにする。
【0018】
特に、駆動電気パルス、すなわち、エネルギーパルス、を電気機械発振器10に供給するようにされ、これによって、共振器12の機能的振動を維持すること、又はこのような機能的振動の維持に寄与することのいずれかが可能になる。これらの駆動パルスの周波数は、特に、その持続時間とその電圧に依存する。特に、このような駆動パルスは、各交番の間に1回、又は共振器の発振周期ごとに1回発生するように設計することができる。
【0019】
図5及び6は、本発明に係る計時器用ムーブメントを備える本発明に係る携行型時計22を概略的に示している。すでに説明した計時器用ムーブメントの部分については、ここでは詳しく説明しない。携行型時計22は、電気を作るように構成している発電機によって形成される電気エネルギー源30を備え、これによって、電子制御回路20と圧電バランスばねのパワー供給を可能にする。図示している代替的形態において、発電機は、電子制御回路20と電気機械式発振器10に与えられる電力を管理するための回路を介して、格納ユニット、特に、二次電池又はスーパーキャパシター、に接続される。特に、圧電バランスばねにパワー供給するために必要な電圧は、10V~40Vの電圧範囲内にある。このような電圧は、携行型時計に一般的に組み込まれる電池の電圧よりも相当に大きく、また、計時器用の太陽電池が与える電圧よりも相当に大きい。したがって、電力管理回路は、格納ユニットに蓄積される電圧又は発電機から直接与えられる電圧を大きくすることができるように構成している。この目的を達成するために、電力管理回路は、ブースターポンプのような電圧エレベーターを備える。
【0020】
様々なタイプの発電機を設けることができ、特に、携行型時計の表盤又はこの携行型時計のベゼルに配置される少なくとも1つの太陽電池を設けることができる。別の実施形態において、携行型時計に対する外部エネルギーとしてユーザーの腕から熱エネルギーを受けるサーモパイルを設ける。このように、サーモパイルは、ユーザーの体温を電気に変換できるように構成している。この代替的形態は、携行型時計が着用されていて、したがって、空間的な向きが変わるときに、電気機械発振器の電気エネルギー電源をアクティベートして、本発明にしたがってその振動振幅を増加させ、以下に詳細に説明するように精度を向上させることを可能にするために、特に有利である。携行型時計が着用されておらず電源がアクティブでないときは、電気機械発振器の発振振幅、したがって、周波数、が携行型時計の向きの変化によって妨げられることがないように、この携行型時計を安定した位置に保持することができる。一方、携行型時計が着用されているとき、すなわち、伝統的な機械式ムーブメントの振幅、そして、したがって、周波数が、携行型時計の空間的な向きに応じて変化するときには、電源がアクティブであり、電気制御回路が動作している。このシナリオにおいて、本発明は、概して、携行型時計の動作を強化することを可能にし、以下において詳細に説明する好ましい実施形態においては、電気機械発振器の振動振幅を、いずれの空間的向きにおいても、いずれのバレルのワインドレベルにおいても、アナログ表示デバイスを駆動するために十分に一定に保つ。最後に、別の実施形態において、本発明に係る携行型時計は、発電機を備えない。このような発電機は、携行型時計を自律的にするが、携行型時計がセルの形態の電池を備えることとなる。
【0021】
図5には、携行型時計22、特に、その中に組み込まれた計時器用ムーブメント2、の動作の間に発生する第1のメイン動作状態を示している。この第1のメイン動作状態において、電気エネルギー源30は、圧電バランスばねに適切にパワー供給するために、十分な電気エネルギーを蓄積しておらず、又は発電機から十分な電気エネルギーを受けず、これによって、電子制御回路20が駆動電気パルスを生成しない。したがって、この第1の状態において、計時器用ムーブメント2は、伝統的な機械式ムーブメントのようにふるまわない。エスケープ18は、カウントすることだけでなく、ギヤ列を介してバレルが共振器12に機械的維持パルスを与えて共振器12の機能的振動を得ることを可能にするように構成しているような標準的なエスケープである。したがって、計時器用ムーブメントは、バレルが、携行型時計22のアナログ表示4を駆動し、計時器用ムーブメントの空間的向きに特に依存する第1の振幅を有する発振器の機能的振動を単独で維持することを可能にするように構成している。
【0022】
したがって、第1のメイン動作状態において、共振器の振動周波数は、計時器用ムーブメントの空間的な向きに応じて、さらに、一般的には、バレルのワインドレベルに応じても、変わる。バレルが与える力トルクが減少するときに、共振器の振動の振幅も、パワーリザーブの最後の3分の1の範囲になっているときに大幅に減少することが知られている。振幅の減少は、一般的に、振動周波数を減少させ、これによって、動作精度が影響を受ける。また、振幅は計時器用ムーブメントの向き(具体的には共振器の向き)に応じて変わり、したがって、この第1の状態は理想的ではないが、十分な電力供給がない場合に計時器用ムーブメントを機能的に保つことを特に目的とする本発明の範囲内において有用である。この第1の状態は、特に、好ましいことに、当該携行型時計が着用されておらず、好ましいことに、望ましい所与の位置に配置されているようなシナリオを考慮して考える。したがって、共振器の周波数変動は制限される。この共振器の向きの変化に起因する振幅変動が発生しないためである。
【0023】
図6には、携行型時計22の動作、特に計時器用ムーブメント2の動作、の間に発生する第2のメイン動作状態について示している。この第2のメイン動作状態において、電気エネルギー源30は、圧電バランスばねに適切にパワー供給して、電子制御回路20が駆動電気パルスを生成するために、十分な電気エネルギーを蓄積しており、又は発電機から十分な電気エネルギーを受ける。したがって、電子制御回路は、発振器10のために駆動パルスを生成するように、対応する端子70、71のうちの少なくとも1つに電圧を与えることによって、圧電バランスばねの2つの電極68、69のうちの少なくとも1つの電極への電圧の印加を管理する(図4及び7)。発振器10は、計時器用ムーブメントの空間的向きごとに、発振器の機能的振動を可能にするために十分なエネルギーを供給する。これは、この空間的な向きのために、上で言及しており第1のメイン動作状態において発生する、第1の振幅の最大公称値よりも大きい第2の振幅を有する。
【0024】
第1の代替的形態において、第1の振幅の最大公称値は、計時器用ムーブメント、特にその共振器12、のいずれの空間的向きに対しても、300°以下であり、第2の振幅は、計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対してもバレルのいずれのワインドレベルに対しても、300°よりも大きい。
【0025】
第2の代替的形態において、第1の振幅の最大公称値は、計時器用ムーブメント、特に共振器12、のいずれの空間的な向きに対しても、240°~300°の範囲内であり、第2の振幅は、計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きに対しても、バレルのいずれのワインドレベルに対しても、305°~300°の範囲内である。
【0026】
したがって、特に上記のように携行型時計がユーザーによって着用されているときに、電気的手段によって共振器10の振動振幅を大きくすることによって、機械的エネルギー消費を増加させることなく、共振器10の全体的なエネルギー、したがって、特に突然の運動が発生させた、加速に耐える共振器10の能力、が向上する。これによって、時間表示の精度が向上する。特に、当該携行型時計が着用されているときに第2のメイン動作状態であることが確実である場合、本発明によって、好ましくはこの携行型時計、したがって、計時器用ムーブメント、のいずれの空間的向きに対しても、少なくとも特定の向きに対して、少なくとも安定した状態の間に、特に、携行型時計が着用されていないときのように加速していないときに、発振器10の機能的発振を確実にしつつ、同時に、バレルとエスケープの間のギヤ比を伝統的な機械式ムーブメントよりも大きくすることが可能になり、したがって、パワーリザーブを増加させる。
【0027】
このような機械式エスケープの構成、バレルのワインドレベル、及び電気機械発振器10に与えられる電力によって、上記の携行型時計22の第2のメイン動作状態において2つの代替的動作が発生することがある。第1の代替的動作において、特に、ギヤ列(エスケープを含む)の慣性に部分的に起因して、共振器12の維持及び機械式エスケープのパレットアセンブリーの交番運動が、圧電バランスばねの電力供給によって、特に、電気パルスを駆動することによって、実質的に又は完全に行われる。この場合、パレットアセンブリーのロック解除後のエスケープ車の各ステップの間に、エスケープ車がこのパレットアセンブリーに大きな力トルクを供給することが可能であるには、共振器12のバランスによるパレットアセンブリーの駆動速度が大きすぎる。第2の代替的動作において、共振器の維持及びパレットアセンブリーの交番運動は、バレル8と電気エネルギー源30によって共同で行われる。第2のメイン動作状態がアクティベートされているときに、本発明に係る携行型時計が、前記2つの代替的動作のうちの一方又は他方のみを行うことを考えることができる。しかし、本発明に係る別の携行型時計において、第1の代替動作と第2の代替動作は、特に、バレルのワインドレベルに応じて、そして随意的に、この別の携行型時計、特に、その共振器、の空間的向きに応じて、異なる時間において発生することもできる。
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態について図7を参照しながら説明する。これにおいては、電子制御回路20が圧電バランスばねへの電圧の印加を制御して、計時器用ムーブメントの第2のメイン動作状態において、共振器12/発振器14の振動の振幅を、特に、計時器用ムーブメントのいずれの空間的向きに対しても、バレルのいずれのワインドレベルに対しても、実質的に一定に維持することができるように構成している。
【0029】
この好ましい実施形態において、電子制御回路20は、共振器12が発振するときに圧電バランスばね16における誘導電圧の振幅を実質的に検出することができるように構成しているピーク電圧検出器46と、及び前記ピーク電圧検出器46から誘導電圧の振幅に関連する信号SAを受信する規制回路20Aとを備える。この規制回路20Aは、電圧ピーク電圧検出器が与えた信号SAの設定値SCにしたがって、位相ロックループ20Bを介して圧電バランスばねに与えられる電源電圧VAを管理して、実質的に一定の振幅を有する共振器の振動を得るように構成している。設定値SCは、共振器12の振動に対して与えられる特定の設定振幅に対応する。規制回路20Aには、当業者によく知られている並列に配置された処理部P、I、Dがあり、これらの処理部P、I、Dは、設定値SCと振幅信号SAの値の差を、それぞれ時間の経過に伴うこの差の積分と導関数の関数として、比例応答によって処理する。また、この規制回路20Aは、この規制回路20Aが行う規制にしたがって調整される基準電圧VRを受ける。最後に、圧電バランスばねをピーク電圧検出器と規制回路から絶縁し、その電力供給を妨げることを避けるために、ピーク電圧検出器の上流に、バッファー要素44(高入力インピーダンストランジスター)を設ける。
【0030】
主な代替的形態において、位相ロックループ20Bは、特に端子71に与えられる、誘導電圧信号の位相に対して、周期的電源信号の位相をスレーブ化して、電源電圧が圧電バランスばねをその運動の方向に拘束するようにする。この圧電バランスばねは、現在の交番に応じて収縮又は伸長される。例えば、回路20Bは、特に端子71における、誘導電圧のゼロの通過を検出する。したがって、パルスを駆動させるために、圧電バランスばねをその運動方向に拘束するように電源電圧の極性を選択する。この運動は、共振器の振動が交番運動の間に交互に伸長し収縮する運動である。
【0031】
特定の実施形態において、電子制御回路20に水晶発振器が関連づけられる。この水晶発振器は、様々な必要性のために用いることができる。特に、電源電圧VAの管理は、振幅信号SAと設定値SC、特にそれらの差、に応じて可変サイクル比で駆動パルスを変調することを伴うことができる。この特定の実施形態の有利な代替的形態において、駆動電気パルスは、水晶発振器によって非常に正確に決められた発振器10/共振器12の設定周波数Fcでトリガーされる。電源信号の周波数FSが共振器の共振周波数、すなわち、その固有周波数FN、からあまり離れていない場合、このような圧電バランスばねの電源は、部分的又は完全に駆動電気パルスによって、共振器12に対して設定周波数を維持させることができ、これによって、電気機械発振器10は、計時器用ムーブメントの空間的向きにかかわらず、水晶の精度で、かつ、第1のメイン動作状態において対応する振幅よりも大きい振幅、特に所与の限界値よりも大きい振幅、の設定周波数で振動することができる。このシステムでは、水晶発振器、より一般的には電子発振器は、マスター発振器であり、電気機械発振器はスレーブ発振器である。電気機械発振器は、電磁発振器に与えられる駆動電気パルスの生成を介して、間接的に電子発振器に対してスレーブ化され、この駆動電気パルスのトリガーは、電子発振器によって制御される/決められる。原則として、駆動電気パルスを介して電気機械発振器に設定周波数を与えることができるようにするためには、この駆動電気パルスは、設定周波数Fcで、この設定周波数Fcの高調波で、例えば設定周波数Fcの2倍(FS=2Fc)で、又はより低い周波数FS=2Fc/Nで、与えられる。ここで、Nは、2よりも大きな整数である(N>2)。この数Nは、好ましいことに、特に、電気機械発振器の固有周波数FNの可能な値の範囲、及びこの電気機械発振器に与えられる電気エネルギーの量に応じて、好ましいことに所定の限界値よりも上に維持された増加した振動振幅を得る。
【0032】
上記の有利な代替的形態は、比較的広い振幅の振動の部分的又は全体的な維持に関連づけられた電力消費を実質的に増加させずに、第2のメイン動作状態における計時器用ムーブメント、したがって、それを組み入れた携行型時計、の動作の精度を向上させるために容易に実装することができる。なお、この有利な代替的形態において、電源回路は、駆動パルスを制御するための位相ロックループを備える必要はなく、これによって、設計を単純化することができる。しかし、電気機械発振器の維持が(機械式エスケープを介して)バレルと圧電バランスばねに与えられる電気パルスを介して電子制御回路によって共同で行われる状況において、電気機械発振器の位相の定期的な検出、特に、圧電バランスばねにおける誘導電圧のゼロの通過を検出する回路による圧電バランスばねにおける誘導電圧のゼロの通過の定期的な検出は、少なくとも1つの初期動作期間を効果的に管理することができるようにするために有用であることを明確にする。これは、特に、周期的な電気パルスの周波数と位相が電磁発振器に与えられて、共振器のアイドル位置を介して実質的に共振器の通過時に駆動パルスが発生するような同期期間の前に、持続時間を短くすることによって行う。したがって、原則として、有利な代替的形態において、電子制御回路は、水晶発振器に関連づけられ、水晶発振器によって決まる特定の電源周波数を有する駆動電気パルスを生成するように構成しており、この特定の電源周波数は、電磁発振器の設定周波数に依存し、したがって、この電磁発振器は、計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きにおいても、バレルのいずれのワインドレベルにおいても、固有振動周波数が特定の値の範囲内に留まるように構成している。この値は、少なくとも初期の動作期間の後であって過度の外乱がないときに、好ましくは一定である、上記の第2の振幅を有する、この電気機械発振器の機能的振動を行う電気機械発振器10における設定周波数Fcを、駆動電気パルスが与えることを可能にするように設定周波数に十分に近い。
【0033】
上記の有利な代替的形態を、上記の電子制御回路20の好ましい実施形態と組み合わせることによって、電気機械発振器の振動周波数の一種の二重の規制、すなわち、第1の振幅規制と第2の振幅規制、が第2のメイン動作状態において達成される。前記第1の振幅規制は、計時器用ムーブメントの空間的な向きにかかわらず、振動の振幅を一定に保って、したがって、計時器用ムーブメントの空間的な向きに合わせて共振器の固有振動数の変動を減らす傾向があり、これによって、この固有振動数は、初期設定が適切に行われた後に、いずれの可能な空間的向きに対しても、設定周波数Fcの近くに留まる。前記第2の振幅規制は、上で定められている電源周波数FS、好ましくは、FS=2Fc/N、を有する駆動電気パルスを生成することによって得られ、ここで、Nは、0ではない整数であり、あるいはより一般的には、駆動電気パルスの間の時間間隔において、値DTが整数Nに設定周期Tc(Tc=1/Fc)の半分と整数Nの積であり、すなわち、数学的な関係DT=N・Tc/2(Nはゼロよりも大きい)である。数Nは、変動することができ、電気機械発振器に設定周波数Fcを与えることを可能にする値の範囲内で選択され、この値の範囲は、上記の第1の規制のおかげで設定周波数に十分近く保たれるこの発振器の可能な固有周波数の範囲に依存する。
【0034】
したがって、第1の振幅規制によって、計時器用ムーブメントの向きにかかわらず、電気機械発振器の固有振動数FNと設定周波数Fcの間の最大偏差を最小限に抑えることが可能になるために、水晶発振器によって決められる周期的な電源信号による、特に、設定周波数Fcで電気パルスを駆動することによる、第2の規制は、数Nが高すぎないものすべてについて、比較的大きな機能的振幅で行われることが確実にされる。このようにして、第2のメイン動作状態において、計時器用ムーブメントのいずれの空間的な向きにおいても、バレルのいずれのワインドレベルにおいても、水晶発振器の精度と同等な計時器用ムーブメントの動作精度が得られる。
【0035】
前記特定の実施形態の有利な代替的形態は、別の実装において、電子制御回路の好ましい実施形態と組み合わされず、振幅規制が行われずに、電気機械発振器の周波数が、少なくとも初期動作段階の後に、上記で定められた電源周波数FSにおける駆動電気パルスを生成するようにすることができる。この場合、駆動電気パルスの周波数が電気機械発振器に設定周波数Fcを与えることを可能にするように、これらの駆動電気パルスは、好ましくは、その周波数が小さい数N、例えばN=1やN=2、に対応するものであるように設計される。なお、Nが偶数であると電源電圧が同じ極性を維持することができるために、Nは偶数であることが好ましい。簡略化された代替的形態において、電源回路は、誘導電圧のゼロ通過を検出するための回路を備えない。
【符号の説明】
【0036】
2 計時器用ムーブメント
4 アナログ表示
6 ギヤ列
8 バレル
10 発振器
12 共振器
14 バランス
16 圧電バランスばね
18 機械式エスケープ
20 電子制御回路
20A 規制回路
20B 位相ロックループ
22 携行型時計
30 電気エネルギー源
46 ピーク電圧検出器
66 圧電材料
68、69 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7