(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】可搬非接触決済物体を起動する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/30 20120101AFI20231214BHJP
【FI】
G06Q20/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105410
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2019189142の分割
【原出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-06-30
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592081254
【氏名又は名称】スワッチ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヴィンケルマン
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-520526(JP,A)
【文献】特表2017-519290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0244505(US,A1)
【文献】国際公開第2018/163289(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0286342(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0130490(KR,A)
【文献】特開2016-207043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0364704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0261189(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0247144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0119276(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0173431(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0012465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は宝飾品型の可搬非接触決済物体(2)を起動する方法であって、前記方法は、
-
携帯電子デバイス(3)によって、トークンによる決済サービスを提供する、信頼できる第三者機関(4)のサーバから到来する決済トークン(9)を入手するステップ(30)、及び
-前記可搬非接触決済物体(2)を使用し、前記
携帯電子デバイス(3)内に含まれる前記トークン(9)を前記可搬非接触決済物体(2)に送信するため、起動端末(5)により前記可搬非接触決済物体(2)を環境設定するステップ(41)
であって、前記起動端末(5)はNFC近接通信ユニットを備える第1の通信モジュール(15a)と、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)型のワイヤレス・ネットワークを介してデータを送受信する通信ユニットを備える第2の通信モジュール(15b)を含み、前記環境設定するステップ(41)は、前記可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)と前記起動端末(5)の前記第1の通信モジュール(15a)との間の最適なデータ交換を保証するよう、前記起動端末(5)上/内に画定したデータ送信区域(16)上/内に前記可搬非接触決済物体(2)を配置するサブステップ(42)を有する、前記環境設定するステップ(41)を含み、
前記入手するステップ(30)は、
- 前記起動端末(5)内に含まれる、マトリックス・コードを含む第1のグラフィカル表現(14a)の
前記携帯電子デバイス(3)によるデジタル化を含むサブステップ(31)と、
- 前記携帯電子デバイス(3)を環境設定するデジタル・ファイルの距離位置に関係するデータを含む2進情報シーケンスを入手する目的で、前記マトリックス・コードを復号するサブステップ(33)と、
- 前記デジタル・ファイルによって環境設定した前記携帯電子デバイス(3)によって、決済トークン(9)を入手する要求を生成するサブステップ(35)であって、前記決済トークン(9)は、少なくとも1つのバンキング・データ項目(12)を含む該決済トークン(9)を生成するデータを含む、前記サブステップ(35)と、
- 信頼できる第三者機関(4)のサーバによって、決済トークン(9)を前記携帯電子デバイス(3)に送信するサブステップ(39)であって、前記第三者機関(4)のサーバの処理モジュール(10)によって前記決済トークン(9)を生成する段階(40)を含む、前記サブステップ(39)と
を含
み、
前記可搬非接触決済物体(2)を環境設定するステップ(41)は、
- 前記起動端末(5)上に含まれるマトリックス・コードを含む第2のグラフィカル表現(14b)をデジタル化するサブステップ(43)と、
- 前記携帯電子デバイス(3)と前記起動端末(5)との間の通信リンクの環境設定に関係するデータを含む2進情報シーケンスを入手する目的で、前記第2のグラフィカル表現に含まれた前記マトリックス・コードを復号するサブステップ(45)と
を含み、
前記環境設定するステップ(41)の間で、前記携帯電子デバイス(3)の処理ユニット(21)は、通信インタフェース(18)を介して前記起動端末(5)の第2の通信モジュール(15b)に、前記信頼できる第三者機関(4)のサーバによって生成された前記決済トークン(9)を送信し、次いで、この決済トークン(9)は、前記可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)を介して、前記起動端末(5)の前記第1の通信モジュール(15a)によって、当該可搬非接触決済物体(2)に送信される、方法。
【請求項2】
携帯電子デバイス(3)、トークン(9)による決済サービスを提供する、信頼できる第三者機関(4)のサーバ、及び起動端末(5)を備え、トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は宝飾品型の可搬非接触決済物体(2)を起動するシステム(1)
の作動方法であって、
- 携帯電子デバイス(3)を該携帯電子デバイス(3)の処理ユニット(21)によって作動させて、トークンによる決済サービスを提供する、信頼できる第三者機関(4)のサーバから到来する決済トークン(9)を入手するステップ(30)、及び
- 前記可搬非接触決済物体(2)を使用して当該可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)を作動させて、前記携帯電子デバイス(3)内に含まれる前記トークン(9)を前記可搬非接触決済物体(2)に送信するため、起動端末(5)により前記可搬非接触決済物体(2)を環境設定するステップ(41)であって、前記起動端末(5)はNFC近接通信ユニットを備える第1の通信モジュール(15a)と、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)型のワイヤレス・ネットワークを介してデータを送受信する通信ユニットを備える第2の通信モジュール(15b)を含み、前記環境設定するステップ(41)は、前記可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)と前記起動端末(5)の前記第1の通信モジュール(15a)との間の最適なデータ交換を保証するよう、前記起動端末(5)上/内に画定したデータ送信区域(16)上/内に前記可搬非接触決済物体(2)を配置するサブステップ(42)を有する、前記環境設定するステップ(41)を含み、
前記入手するステップ(30)は、
- 前記起動端末(5)内に含まれる、マトリックス・コードを含む第1のグラフィカル表現(14a)の前記携帯電子デバイス(3)によるデジタル化を含むサブステップ(31)と、
- 前記携帯電子デバイス(3)を環境設定するデジタル・ファイルの距離位置に関係するデータを含む2進情報シーケンスを入手する目的で、前記マトリックス・コードを復号するサブステップ(33)と、
- 前記デジタル・ファイルによって環境設定した前記携帯電子デバイス(3)によって、決済トークン(9)を入手する要求を生成するサブステップ(35)であって、前記決済トークン(9)は、少なくとも1つのバンキング・データ項目(12)を含む該決済トークン(9)を生成するデータを含む、前記サブステップ(35)と、
- 信頼できる第三者機関(4)のサーバを、該サーバ(4)の処理モジュール(10)によって作動させて、決済トークン(9)を前記携帯電子デバイス(3)に送信するサブステップ(39)であって、前記第三者機関(4)のサーバの処理モジュール(10)によって前記決済トークン(9)を生成する段階(40)を含む、前記サブステップ(39)と
を含み、
前記可搬非接触決済物体(2)を環境設定するステップ(41)は、
- 前記起動端末(5)上に含まれるマトリックス・コードを含む第2のグラフィカル表現(14b)をデジタル化するサブステップ(43)と、
- 前記携帯電子デバイス(3)と前記起動端末(5)との間の通信リンクの環境設定に関係するデータを含む2進情報シーケンスを入手する目的で、前記第2のグラフィカル表現に含まれた前記マトリックス・コードを復号するサブステップ(45)と
を含み、
前記環境設定するステップ(41)の間で、前記携帯電子デバイス(3)の処理ユニット(21)は、通信インタフェース(18)を介して前記起動端末(5)の第2の通信モジュール(15b)に、前記信頼できる第三者機関(4)のサーバによって生成された前記決済トークン(9)を送信し、次いで、この決済トークン(9)は、前記可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)を介して、前記起動端末(5)の前記第1の通信モジュール(15a)によって、当該可搬非接触決済物体(2)に送信される、
作動方法。
【請求項3】
コンピュータ・プログラムであって、前記サーバ(4)の処理モジュール(10)、前記携帯電子デバイス(3)の処理ユニット(21)及び前記可搬非接触決済物体(2)のNFC近接通信モジュール(6)によって、請求項1記載の方法ステップを実行させる、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は宝飾品型の可
搬非接触決済物体を起動する方法、及びそのような方法を実施するシステムに関する。
【0002】
本発明は、このシステム内で使用することができる可搬物体及び起動端末にも関する。
【0003】
本発明は、この方法ステップを実行するプログラム・コード命令を含むコンピュータ・
プログラムにも関する。
【背景技術】
【0004】
デジタル経済がますます発展するにつれて、ここ数年、銀行カードによる決済取引の割
合は、大幅に増加している。この背景において、こうした銀行カードの保護に対する顕著
な改善は達成されているが、銀行カードに対する詐欺は、依然として存在したままである
。
【0005】
この欠点を克服するため、特に、「トークン化」による決済方法の提案による、新規な
決済方法が出現している。この新規な方法では、見込み購入者のバンキング・データを、
「トークン」と呼ばれる破棄可能なデータとを取り替え、「トークン」は、コンピュータ
フォン等の決済媒体の携帯決済アプリケーション内に保存されている。したがって、購入
者は、このコンピュータフォンの中で、NFC(近距離無線通信)技術により、購入者が
近距離決済で使用し得るトークンを有する。
【0006】
しかし、この方法の主な欠点の1つは、決済媒体の起動に対し、多数の長く複雑な起動
動作を必要とするその実施態様にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、単純で迅速な決済媒体の起動を提案することによって、上述の欠点の
全部又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的で、本発明は、トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は
宝飾品型の可搬非接触決済物体を起動する方法に関し、方法は、
-電子デバイス、特に携帯電子デバイスによって、トークンによる決済サービスを提供
する、信頼できる第三者機関のサーバから到来する決済トークンを入手するステップ、及
び
-可搬物体を使用し、電子デバイス内に含まれる該トークンを該可搬物体に送信する目
的で、起動端末により可搬物体を環境設定するステップ
を含む。
【0009】
他の実施形態では、
-入手ステップは、電子デバイスによって、起動端末上に含まれる第1のグラフィカル
表現をデジタル化するサブステップを含み、該グラフィカル表現は、マトリックス・コー
ドを含み、
-入手ステップは、2進情報シーケンスを入手する目的で、マトリックス・コードを復
号するサブステップを含み、2進情報シーケンスは、電子デバイスを環境設定するデジタ
ル・ファイルの位置に関係するデータを含み、
-入手ステップは、デジタル・ファイルによって環境設定した電子デバイスによって、
この決済トークンを入手する要求を生成するサブステップを含み、決済トークンは、少な
くとも1つのバンキング・データ項目を含む該トークンを生成するデータを含み、
-入手ステップは、信頼できる第三者機関のサーバによって決済トークンを電子デバイ
スに送信するサブステップを含み、
-可搬決済物体を環境設定するステップは、起動端末上/内に画定したデータ送信区域
上に、この可搬物体を配置するサブステップを含み、
-可搬物体を環境設定するステップは、電子デバイスによって、起動端末上に含まれる
第2のグラフィカル表現をデジタル化するサブステップを含み、該グラフィカル表現は、
マトリックス・コードを含み、
-可搬物体を環境設定するステップは、2進情報シーケンスを入手する目的で、マトリ
ックス・コードを復号するサブステップを含み、2進情報シーケンスは、この電子デバイ
スと起動端末との間の通信接続の環境設定に関係するデータを含む。
【0010】
本発明は、トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は宝飾品型の可
搬非接触決済物体を起動するシステムにも関し、システムは、互いに通信することができ
る以下の要素:電子デバイス、特に携帯電子デバイス、トークンによって決済サービスを
提供する、信頼できる第三者機関のサーバ、及び起動端末を備える。
【0011】
有利には、起動端末は、それぞれがマトリックス・コードを含む第1のグラフィカル表
現及び第2のグラフィカル表現を備える。
【0012】
特に、起動端末は、データ送信区域を含む。
【0013】
本発明は、そのようなシステム内で使用することができる計時器又は宝飾品型の可搬非
接触決済物体にも関する。
【0014】
本発明は、そのようなシステム内で使用することができる起動端末にも関する。
【0015】
本発明は、コンピュータ・プログラムにも関し、コンピュータ・プログラムは、サーバ
の処理モジュール、電子デバイスの処理ユニット及び可搬物体の非接触近接通信モジュー
ルによって該コンピュータ・プログラムを実行した際に、この方法ステップを実行するプ
ログラム・コード命令を含む。
【0016】
他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、決して限定ではなく、表示として以下に
示す説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による、トークン化による電子決済に関与することができる計時器又は宝飾品型の可搬非接触決済物体を起動するシステムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、トークン化による電子決済に関与することができる可搬非接触決済物体を起動する方法に関係する論理図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、可搬非接触決済物体2を起動するシステム1を示す。そのようなシステム1は
、可搬物体2を環境設定することを可能にし、可搬物体2が、商人/店主と、この可搬物
体2の保持者との間で実施される取引の間、トークン化によって電子決済に関与するよう
にする。
【0019】
トークン化による電子決済は、電子バンキングの分野にある。そのような分野において
、このトークン化は、バンキング・データ12(カード番号等)等の決済データと、「ト
ークン9」と呼ばれる破棄可能データとを取り替える方法である。このトークン9は、「
DAN」(デジタル・アカウント・ナンバーを表す)とも呼ばれる。言い換えれば、この
方法は、重要なデータ項目を等価な要素、ここでは、「トークン9」と取り換え可能にし
、トークン9は、一度決済システムを離れると固有値又は利用可能な表示をもたない。し
たがって、トークン化は、重要なデータ項目を、一度決済システムを離れると固有値又は
利用可能な表示をもたない等価な要素と取り換える方法であると理解されよう。
【0020】
この場合、そのようなシステム1は、
-可搬非接触決済物体2;
-電子デバイス3;
-トークン9により決済サービスを提供する、信頼できる第三者機関4のサーバ;
-起動端末5
を備える。
【0021】
このシステム1において、可搬非接触決済物体2は、好ましくは、計時器又は宝飾品で
ある。そのような物体2は、非接触近接通信モジュール6を備え、非接触近接通信モジュ
ール6は、安全機能、及び「近距離無線通信」型のかなり近距離の通信を実施する。この
モジュールは、NFC(「近距離無線通信」を表す)近接通信モジュール6とすることが
できる。このモジュール6は、近距離無線通信アンテナ7a、及びアンテナに接続した小
型回路7bを備える。小型回路7b及びアンテナ7aは、非接触決済端末又は起動端末5
等の外部機器製品と通信することができる近距離無線通信手段を一緒に形成する。小型回
路7bは、ハードウェア及びソフトウェア資源、特に、メモリ要素8と協働する少なくと
も1つのプロセッサを備える。この可搬物体2において、アンテナ7aは、例えば、複数
の導電性巻回体によって形成され、磁界を受ける有用な表面の境界を定める。
【0022】
この可搬物体2において、メモリ要素8は、少なくとも1つの決済トークン9をアーカ
イブすることができる。このトークン9は、非網羅的、非制限的に、
-トークン番号等のトークン識別子;
-トークンの有効期限又はトークンの有効期間;
-トークンを使用する地理的領域;
-取引天井;
-暗号
を含み、暗号は、パスワード、個人コード又はデジタル生体認証指紋とすることができる
。
【0023】
以下でわかるように、各トークン9は、トークンによって決済サービスを提供する、信
頼できる第三者機関4のサーバによって生成される。この信頼できる第三者機関は、別様
にはトークン・サービス・プロバイダとも呼ばれ、このトークン9を配信、生成する方法
を管理する。このサーバ4は、ハードウェア及びソフトウェア資源、特にメモリ要素と協
働する少なくとも1つのプロセッサを備える処理モジュール10、並びに特に、生成した
トークン9を備えるデータベース11を備え、トークン9はそれぞれ、保持者のバンキン
グ・データ12と関連付けられる。そのようなバンキング・データ12は、非制限的、非
網羅的に、
-保持者の銀行カード番号;
-カード有効期限;
-保持者の個人データ:姓、名、住所等;
-銀行口座番号;
-等
を含む。
【0024】
サーバ4は、ある距離で、携帯電話ネットワークを介して、電話ネットワークを介する
IP型データ・ネットワークを介して、又はイーサネット(登録商標)型ケーブル・ネッ
トワークを介するIP型データ・ネットワークを介して、データを送受信する通信ユニッ
ト13も備える。
【0025】
既にわかるように、このシステム1の起動端末5は、可搬物体2の環境設定に関与する
。この起動端末5は、好ましくは本質的に平行六面体形状を有する箱である。そのような
起動端末5は、それぞれがマトリックス・コードを含む第1のグラフィカル表現14a及
び第2のグラフィカル表現14bを含む。このマトリックス・コードは、2次元又は3次
元のバーコードとすることができる。このマトリックス・コードは、例えば、QRコード
(登録商標)又はデータマトリックス・コードを含むことができる。このマトリックス・
コードは、符号化/暗号化した2進情報シーケンスを含む。第1のグラフィカル表現14
aにおいて、マトリックス・コードは、電子デバイス3を環境設定するデジタル・ファイ
ルの位置に関係するデータを含む2進情報シーケンスを含む。第2のグラフィカル表現に
関し、マトリックス・コードは、この電子デバイス3と起動端末5との間の、特にワイヤ
レスの通信リンクの環境設定に関係するデータを含む2進情報シーケンスを含む。
【0026】
そのような第1のグラフィカル表現14a及び第2のグラフィカル表現14bは、この
起動端末5の外側面上に定義され、見ることができる。以下でわかるように、この見るこ
とができる外側面は、電子デバイス3をこの外側面と対向して配置し、これら第1のグラ
フィカル表現14a、第2のグラフィカル表現14bを捕捉する位置にあるように設計さ
れることは理解されよう。起動端末5は、データ送信区域16も備え、データ送信区域1
6内に可搬物体2を配置することができるか、又はデータ送信区域16は、この可搬物体
2を受ける/支持することができる。
【0027】
そのような起動端末5は、2つの通信モジュール、即ち、第1の通信モジュール15a
及び第2の通信モジュール15bを備える。この第1の通信モジュール15aは、非接触
近接通信ユニットを備え、非接触近接通信ユニットは、特定の安全機能を実施し、「近距
離無線通信」型のかなり近距離の通信を行う。このユニットは、可搬物体2の通信モジュ
ール6とデータを双方向に交換することができる。このユニットは、NFC(「近距離無
線通信」を表す)近接通信ユニットとすることができる。これを行うため、このユニット
は、近距離無線通信アンテナ、及びアンテナに接続した小型回路を備える。小型回路は、
ハードウェア及びソフトウェア資源、特に、メモリ要素と協働する少なくとも1つのプロ
セッサを備える。この可搬物体2において、アンテナは、例えば、複数の導電性巻回体に
よって形成され、磁界を受ける有用な表面の境界を定める。
【0028】
第2の通信モジュール15bは、ある距離で、Wi-Fi又はBluetooth(登
録商標)型のワイヤレス・ネットワークを介してデータを送受信する通信ユニットを備え
る。この第2のモジュールは、電子デバイス3とデータを双方向に交換することができる
。
【0029】
更に、起動端末5は、外部電源に接続され、蓄電器を備えることに留意されたい。
【0030】
電子デバイス3は、例えば、コンピュータ、コンピュータフォン、スマートフォン、タ
ブレット又は電子端末である。そのような電子デバイス3は、好ましくは、携帯及び/又
は可搬及び/又は小型電子デバイスである。この電子デバイス3は、非制限的及び/又は
非網羅的に、
-ハードウェア及びソフトウェア資源、特に、メモリ要素と協働する少なくとも1つの
プロセッサを備える処理ユニット21;
-画面型の表示モジュール17;
-スピーカ等、可聴情報を同報通信するインターフェース;
-電子デバイス3が、起動端末5及び/又は信頼できる第三者機関4のサーバとの通信
接続を確立し、データ交換を実行するのを可能にする通信インターフェース18;
-例えば表示モジュール17内に含まれる、キーパッド又はタッチ・インターフェース
等の選択インターフェース19;
-特に、別様にはマトリックス画像センサとも呼ばれる画像センサを含む、少なくとも
1つの画像を捕捉するモジュール20
を備え、モジュール20は、例えば、CCD技術(電荷移動技術)センサ又はいわゆるC
MOS技術センサを含む。
【0031】
この電子デバイス3において、処理ユニット21は、とりわけ、表示モジュール17、
同報通信インターフェース、通信インターフェース18及び選択インターフェース19に
接続される。この電子デバイス3の通信インターフェース18は、ある距離で、携帯電話
ネットワークを介して、電話ネットワークを介するIP型データ・ネットワークを介して
、又は中距離ネットワーク、例えば、Wi-Fi、若しくはBluetoothに基づく
短距離ネットワークを介するIP型データ・ネットワークを介して、データを送受信する
通信要素を備える。
【0032】
捕捉モジュール20の各画像センサは、感光性画像ドット・マトリックス(又は画素)
を含む。このドット・マトリックスは、「画素マトリックス」とも呼ばれ、優れた光感度
を有するN×M単位の画素を含む。捕捉モジュール20は、電子デバイス3の処理ユニッ
ト21に接続したアナログ・デジタル変換器ANも備える。
【0033】
図2を参照すると、このシステム1は、トークン化による電子決済に関与することがで
きる非接触決済可搬物体2を起動する方法を使用する。
【0034】
この方法は、電子デバイス3によって、信頼できる第三者機関サーバ4から到来する決
済トークン9を入手するステップ30を含み、信頼できる第三者機関サーバ4は、トーク
ン9による決済サービスを提供する。ステップ30は、電子デバイス3によって、起動端
末5上に含まれる第1のグラフィカル表現14aをデジタル化するサブステップ31を含
み、グラフィカル表現14aは、マトリックス・コードを含む。このサブステップ31は
、電子デバイス3を起動端末5のすぐ近傍に配置するとすぐにこの第1のグラフィカル表
現14aを取得する段階32をもたらし、捕捉モジュール20が、第1のグラフィカル表
現14aに対向して配設されるようにする。この段階32の間、画素マトリックスは、第
1のグラフィカル表現14aから到来する少なくとも1つの画像を検出し、次に、この画
像に関連するアナログ信号を生成する。次に、捕捉モジュール20のアナログ・デジタル
変換器は、この画素マトリックスから到来したこれらのアナログ信号を、デジタル信号に
変換し、次に、これらのデジタル信号を電子デバイス3の処理ユニット21に送信する。
【0035】
その後、このステップ30は、2進情報シーケンスを入手する目的で、マトリックス・
コードを復号するサブステップ33を含み、2進情報シーケンスは、電子デバイス3を環
境設定するデジタル・ファイルの距離位置に関係するデータを含む。このサブステップ3
3は、取得した、マトリックス・コードを含むグラフィカル表現14aに関係するデジタ
ル信号を処理する段階34を含む。この段階34の間、処理ユニット21は、該デジタル
信号に復号アルゴリズムを適用し、電子デバイス3を環境設定するデジタル・ファイルの
位置に関係するデータを含む2進情報信号を入手するようにする。これら2進情報シーケ
ンスは、好ましくは、ハイパーテキスト・リンクを含む。
【0036】
次に、入手ステップ30は、デジタル・ファイルによって環境設定した電子デバイス3
によって、この決済トークン9を入手する要求を生成するサブステップ35を含み、決済
トークン9は、少なくとも1つのバンキング・データ項目12を含む該トークンを生成す
るデータを含む。既にわかるように、バンキング・データ項目12は、特に、可搬物体2
の保持者の銀行口座及び/又は決済方法のための媒体といった特徴を含む。そのような生
成データは、非制限的、非網羅的に、
-保持者の銀行カード番号;
-カード有効期限
を含む。
【0037】
代替的に、これらの生成データは、保持者の個人データ:姓、名、住所等及び/又は保
持者の銀行口座番号を含むこともできる。
【0038】
このサブステップ35は、電子デバイス3を環境設定する段階36を含み、段階36の
間、処理ユニット21によってハイパーテキスト・リンクを含む2進情報シーケンスを実
行した後、電子ファイルをファイル・サーバからダウンロードするとすぐに、この電子フ
ァイルを処理ユニット21によって実行する。したがって、この環境設定段階36は、デ
ジタル・ファイルの実行によって、コンピュータ・プログラム(又はソフトウェア・アプ
リケーション)のインストールの実施を可能にし、次に、コンピュータ・プログラム(又
はソフトウェア・アプリケーション)は、このトークン9の入手要求を生成する段階37
の間、処理ユニット21によって使用される。この生成段階37は、可搬物体2の保持者
の少なくとも1つのバンキング・データ項目の収集の実行をもたらす。次に、1つ又は複
数のバンキング・データ項目12は、特に電子デバイス3の選択インターフェース19及
び表示インターフェース17から、入手要求の生成を予期して、処理ユニット21内で一
時的に記録される。次に、処理ユニット21は、該収集した少なくとも1つのバンキング
・データ項目からこのトークン9の入手要求を生成する。その後、このサブステップ35
は、該少なくとも1つのバンキング・データ項目を含む入手要求を、トークンによる決済
サービスを提供する、信頼できる第三者機関4のサーバに送信する段階38を含む。この
段階38の間、要求内に含まれる該収集した少なくとも1つのバンキング・データ項目を
暗号化することができる、及び/又は要求をこのサーバ4に安全なネットワークを介して
送信することができる。この入手要求は、信頼できる第三者機関4のサーバに直接又は間
接的に送信し得ることに留意されたい。この送信を間接的に実行する場合、要求は、別様
には英語で「トークン・リクエスタ(token requestor)」と呼ばれる、
トークン化サービスとして働く技術的プラットフォームによりこのサーバ4に送信され、
次に、サーバ4は、トークン9に関する要求の伝達に対処することができる。
【0039】
その後、この入手ステップ30は、信頼できる第三者機関4のサーバによって、決済ト
ークン9を電子デバイス3に送信するサブステップ39を含む。このサブステップ39は
、このサーバ4が受信した該少なくとも1つのバンキング・データ項目から、決済トーク
ン9を生成する段階40を含む。この段階40の間、次に、サーバ4の処理モジュール1
0は、該少なくとも1つのバンキング・データ項目から得た決済トークン9を生成する。
そのような段階40は、アルゴリズム等、このトークン9に対する乱数生成ツールを使用
することができる。一変形形態では、このトークン9は、1つ又は複数のバンキング・デ
ータ項目12、及び分散体(diversifier)から生成することができ、分散体
は、決済取引に対する権限を表し、サーバ4が決定した制限基準、例えば、1つ若しくは
複数のバンキング取引に対する妥当性、時間的妥当性、又は取引天井に対する妥当性を使
用する。
【0040】
方法は、可搬物体2を使用し、電子デバイス3内に含まれるトークン9を可搬物体2に
送信する目的で、起動端末5により可搬物体2を環境設定するステップ41も含む。この
ステップ41は、起動端末5上/内に画定したデータ送信区域16上/内に可搬物体2を
配置するサブステップ42を含む。このサブステップ42の間、可搬物体2は、この区域
16上/内に配置され、可搬物体2の非接触近接通信モジュール6と、起動端末5の第1
の通信モジュール15aとの間の最適なデータ交換を保証するようにする。
【0041】
その後、環境設定ステップ41は、電子デバイス3によって、起動端末5上に含まれる
第2のグラフィカル表現14bをデジタル化するサブステップ43を含み、グラフィカル
表現14bは、マトリックス・コードを含む。このサブステップ43は、この捕捉モジュ
ール20が、この第2のグラフィカル表現に対向して配設されるように電子デバイス3を
起動端末5のすぐ近傍に配置するとすぐに、この第2のグラフィカル表現14bを取得す
る段階44をもたらす。この段階44の間、画素マトリックスは、第2のグラフィカル表
現14bから到来する少なくとも1つの画像を検出し、次に、この画像に関連するアナロ
グ信号を生成する。次に、捕捉モジュール20のアナログ・デジタル変換器は、この画素
マトリックスから到来したこれらのアナログ信号を、デジタル信号に変換し、その後、こ
れらのデジタル信号を電子デバイス3の処理ユニット21に送信する。
【0042】
次に、この環境設定ステップ41は、2進情報シーケンスを入手する目的で、マトリッ
クス・コードを復号するサブステップ45を含み、2進情報シーケンスは、この電子デバ
イスと起動端末5との間の通信リンクの環境設定に関係するデータを含む。このサブステ
ップ45は、取得した、マトリックス・コードを含む第2のグラフィカル表現14bに関
係するデジタル信号を処理する段階46を含む。この段階46の間、処理ユニット21は
、該デジタル信号に復号アルゴリズムを適用し、この電子デバイス3と起動端末5との間
の通信リンクの環境設定に関係するデータを含む2進情報シーケンスを入手するようにす
る。
【0043】
次に、入手ステップ41は、電子デバイス3と起動端末5との間に通信リンクを確立す
るサブステップ47を含む。このサブステップ47の間、処理ユニット21は、この電子
デバイス3の通信インターフェース18をパラメータ化し、通信インターフェース18と
、起動端末5の第2の通信モジュール15bとの間の通信リンクを環境設定する。
【0044】
次に、可搬物体2を環境設定するサブステップ48の間、決済取引での使用に備えて、
電子デバイス3の処理ユニット21は、起動端末5の第2の通信モジュール15bに、電
子デバイス3の通信インターフェース18を介して、信頼できる第三者機関4のサーバが
生成したトークン9を送信する。次に、このトークン9は、起動端末5の第1の通信モジ
ュールによって、可搬物体2の非接触近接通信モジュール6を介してこの物体2に送信さ
れる。
【0045】
可搬物体2は、このように起動され、商人/店主と、この可搬物体2の保持者との間に
確立された取引の間、トークン化による電子決済に関与することができる。
【0046】
本発明は、コンピュータ・プログラムにも関し、コンピュータ・プログラムは、サーバ
4の処理モジュール10、電子デバイス3の処理ユニット21、及び可搬物体2の非接触
近接通信モジュール6によって該コンピュータ・プログラムを実行した際、上記した方法
ステップを実行するプログラム・コード命令を含む。
【0047】
当然、本発明は、図示の例に限定されるものではなく、当業者には明らかであるように
、様々な変形形態及び修正形態が可能である。
【符号の説明】
【0048】
2 可搬非接触決済物体
3 電子デバイス
4 信頼できる第三者機関
5 起動端末
9 決済トークン