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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ウェハを薄化する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231214BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/20
H01L21/02 B
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022108077
(22)【出願日】2022-07-05
(65)【公開番号】P2023009016
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】202110764260.6
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ボ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ボニン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユィシィ
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506061(JP,A)
【文献】特開2019-176142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0265484(US,A1)
【文献】特開2014-179605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0252373(US,A1)
【文献】特開2019-207949(JP,A)
【文献】特開2004-179649(JP,A)
【文献】特表2015-516672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを薄化する方法であって、該ウェハは、積層方式で配置された第1の炭化ケイ素層、誘電体層、及び第2の炭化ケイ素層を含み、前記ウェハは互いに反対側の第1の面及び第2の面を有し、前記第2の炭化ケイ素層に関するものであり且つ前記第1の炭化ケイ素層から離れる面が、前記ウェハの前記第1の面であり、
当該ウェハを薄化する方法は、
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップと、
前記第1の面から前記ウェハにレーザ照射を行い、それによって、前記第2の炭化ケイ素層と前記誘電体層との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションし、前記第2の炭化ケイ素層は前記誘電体層から分離されるステップと、を含
前記レーザに対する前記第2の炭化ケイ素層の吸光係数が、固有吸光係数未満である、
ウェハを薄化する方法。
【請求項2】
前記レーザの非線形吸収が、前記第2の炭化ケイ素層と前記誘電体層との間の前記界面で生じる、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項3】
仮接合の接合温度が300℃以下である、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項4】
前記仮基板キャリアの融点が、仮接合の接合温度よりも高い、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項5】
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップは、
仮接着剤又はパラフィンを使用して、前記仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップを含む、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項6】
前記第1の面から前記ウェハにレーザ照射を行うステップは、
赤外レーザを使用して、前記第1の面から前記ウェハにレーザ照射を行うステップを含む、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項7】
前記第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ前記仮基板キャリアから離れる表面を処理して、前記誘電体層の残留物を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項8】
前記第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ前記仮基板キャリアから離れる表面を処理するステップは、
ウェットエッチング、ドライエッチング、又は洗浄のうちの少なくとも1つによって、前記第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ前記仮基板キャリアから離れる前記表面を処理するステップを含む、請求項に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項9】
スイッチ機能部品が、前記ウェハの前記第2の面にさらに配置され、
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップは、
前記仮基板キャリアを前記スイッチ機能部品に仮接合するステップを含む、請求項1に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項10】
スイッチ機能部品が、前記ウェハの前記第2の面にさらに配置され、
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップは、
前記仮基板キャリアを前記スイッチ機能部品に仮接合するステップを含む、請求項に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項11】
スイッチ機能部品が、前記ウェハの前記第2の面にさらに配置され、
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップは、
前記仮基板キャリアを前記スイッチ機能部品に仮接合するステップを含む、請求項に記載のウェハを薄化する方法。
【請求項12】
スイッチ機能部品が、前記ウェハの前記第2の面にさらに配置され、
仮基板キャリアを前記第2の面で前記ウェハに仮接合するステップは、
前記仮基板キャリアを前記スイッチ機能部品に仮接合するステップを含む、請求項に記載のウェハを薄化する方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体技術の分野に関し、特に、ウェハを薄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)材料は、バンドギャップが広く、臨界破壊電界強度が高く、熱伝導率が高い等の優れた物理的特性を有するため、SiC電源装置は、電圧抵抗が高く、温度耐性が高く、スイッチング速度が速く、及びスイッチング損失が少ない等の特徴を有する。SiC電源装置は、宇宙・航空宇宙、スマートグリッド、鉄道輸送、新エネルギー発電、電気自動車、産業用電源等の分野で広く使用されている。
【0003】
SiC電源装置のオン抵抗を低減し、デバイス性能を向上させるために、一般に、SiC電源装置のフィルム層構造を作製した後に、SiC基板に対して薄化処理を施す必要がある。しかしながら、この場合に、大量(例えば、200μm~300μm程度)のSiC材料が研削されて廃棄される。また、SiC材料の硬度が略ダイヤモンドのレベルに達するため、従来の機械的薄化速度は小さく、研削ヘッドへの損傷はより深刻であり、SiC基板の破裂の危険性が高い。結果として、SiC電源装置の製造コスト及び販売価格は高いままである。これは、様々な分野でのSiC電源装置の普及及び応用を大きく制限している。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施形態は、SiC電源装置の歩留まりが低く、プロセスが複雑であり、製造コストが高いという問題を解決するために、ウェハを薄化する方法を提供する。
【0005】
前述の目的を達成するために、本願は、以下の技術的解決策を使用する。
【0006】
第1の態様によれば、ウェハを薄化する方法を提供する。この方法は、半導体部品における複合基板の薄化に適用することができる。ウェハは、代替的に、複合基板として理解される。ウェハは、積層方式で配置された第1の炭化ケイ素層、誘電体層、及び第2の炭化ケイ素層を含む。ウェハは、互いに反対側の第1の面及び第2の面を有し、第2の炭化ケイ素層に関するものであり且つ第1の炭化ケイ素層から離れる面がウェハの第1の面である。ウェハを薄化する方法は、仮基板キャリアを第2の面でウェハに仮接合するステップと;第1の面からウェハにレーザ照射を行い、それによって、第2の炭化ケイ素層と誘電体層との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションし、第2の炭化ケイ素層は誘電体層から分離されるステップと;を含む。
【0007】
本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法によれば、ウェハはサンドイッチ積層構造に関するものであり、ウェハは誘電体層を含み、誘電体層の屈折率が第2の炭化ケイ素層の屈折率とは異なる。従って、レーザが第2の炭化ケイ素層に関するものであり且つ第1の炭化ケイ素層から離れる面からウェハに照射された後に、レーザは、誘電体層と第2の炭化ケイ素層との間の界面で容易に集束及び吸収される。レーザのエネルギーは、誘電体層の融点に到達するまで増加され、それによって、第2の炭化ケイ素層は第1の炭化ケイ素層から剥離され、ウェハを薄化することができる。剥離した第2の炭化ケイ素層を再利用してする、新しいウェハを準備することができる。従って、本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法を使用してウェハを薄化することにより、半導体部品の製造コストを削減することができる。
【0008】
可能な実施形態では、レーザに対する第2の炭化ケイ素層の吸光係数が、固有吸光係数未満である。第2の炭化ケイ素層は、レーザに対する低い吸光係数又はレーザに対する透過性によって特徴付けられ、第2の炭化ケイ素層のレーザエネルギー損失を低減し、集束されるアブレーション効果を高める。
【0009】
可能な実施形態では、レーザの非線形吸収が、第2の炭化ケイ素層と誘電体層との間の界面で生じる。
【0010】
可能な実施形態では、仮接合の接合温度が300℃以下である。このようにして、仮接合プロセスにおける過度の高温によって生じる半導体部品のスイッチ機能部品への影響(例えば、スイッチ機能部品の金属構造体の溶融)を回避することができる。
【0011】
可能な実施形態では、仮基板キャリアの融点が、仮接合の接合温度よりも高い。このようにして、仮接合プロセスにおいて、仮基板キャリアが溶解し、半導体部品を支持できなくなることを回避することができる。
【0012】
可能な実施形態では、仮基板キャリアをウェハの第2の面に仮接合するステップは、仮接着剤を使用して、仮基板キャリアを第2の面でウェハに仮接合するステップを含む。プロセスは成熟しており、コストは低い。
【0013】
可能な実施形態では、第1の面からウェハにレーザ照射を行うステップは、赤外線レーザを使用して、第1の面からウェハにレーザ照射を行うステップを含む。プロセスは成熟しており、コストは低い。
【0014】
可能な実施形態では、ウェハを薄化する方法は、第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ仮基板キャリアから離れる表面を処理して、誘電体層の残留物を除去するステップをさらに含む。第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ仮基板キャリアから離れる表面が処理され、それによって、第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ仮基板キャリアから離れる表面は、粗さ等の要件を満たす。これにより、金属電極等の構造のその後の製造が容易になる。
【0015】
可能な実施形態では、第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ仮基板キャリアから離れる表面を処理するステップは、ウェットエッチング、ドライエッチング、又は洗浄のうちの少なくとも1つによって、第1の炭化ケイ素層に関するものであり且つ仮基板キャリアから離れる表面を処理するステップを含む。
【0016】
可能な実施形態では、スイッチ機能部品が、ウェハの第2の面にさらに配置される。仮基板キャリアを第2の面でウェハに仮接合するステップは、仮基板キャリアをスイッチ機能部品に仮接合するステップを含む。スイッチ機能部品をウェハ上に配置した後に、ウェハを薄化するプロセスが実行される。従って、本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法は、半導体部品の製造プロセスにおける高温プロセスに適合する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願の一実施形態による無停電電源装置の適用シナリオの図である。
図2】本願の一実施形態による金属酸化物半導体電界効果トランジスタの構造の概略図である。
図3】本願の一実施形態によるSiCホモエピタキシャル層の薄化プロセスの図である。
図4】本願の一実施形態によるSiCホモエピタキシャル層の別の薄化プロセスの図である。
図5A】本願の一実施形態による半導体部品の構造の概略図である。
図5B】本願の一実施形態による半導体部品の別の構造の概略図である。
図6A】本願の一実施形態によるウェハを薄化する方法のフローチャートである。
図6B】本願の一実施形態によるウェハを薄化する方法のプロセス図である。
図7A】本願の一実施形態によるウェハを薄化する別の方法のフローチャートである。
図7B】本願の一実施形態によるウェハを薄化する別の方法のプロセス図である。
図8A】本願の一実施形態による半導体部品内の薄化されたウェハの構造の図である。
図8B】本願の一実施形態による後続プロセスにおける半導体部品の製造プロセスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
参照符号:
1-基板;2-半導体層;3-ウェル領域;4-ソース領域;5-コンタクト領域;6-絶縁フィルム;7-層間絶縁フィルム;10-炭化ケイ素層;20-誘電体層;30-
第2の炭化ケイ素層;41-第1の接合層;42-遷移層;43-第2の接合層;44-第3の接合層;50-仮基板キャリア;100-ウェハ;200-スイッチ機能デバイス;300-スイッチ機能部品;1000-半導体部品。
【0019】
以下では、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決策について説明する。説明する実施形態が、本願の実施形態の全てではなく単に一部であることは明らかである。
【0020】
以下の用語「第1の」及び「第2の」は、単に説明を容易にすることを意図しており、相対的な重要性の指示又は暗示、或いは示した技術的特徴の数量の暗黙の指示として理解すべきではない。従って、「第1の」又は「第2の」によって限定される特徴には、明示的又は暗示的に1つ又は複数の特徴が含まれる場合がある。本願の説明において、特に明記しない限り、「複数」は、2つ又は2つを超えることを意味する。
【0021】
本願の実施形態では、特に指定及び限定しない限り、「電気接続」という用語は、直接的な電気接続であってもよく、中間誘電体を介した間接的な電気接続であってもよい。
【0022】
本願の実施形態では、「例」、「例えば」等の単語は、例、例示、又は説明を与えることを表すために使用される。本願の実施形態において「例」又は「例えば」として説明する任意の実施形態又は設計スキームは、別の実施形態又は設計スキームよりも好ましい又はより多くの利点を有するものとして説明すべきものではない。正確には、「例」、「例えば」等の単語の使用は、相対的な概念を特定の方法で提示することを意図している。
【0023】
本願の実施形態では、「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクト同士の間の関連関係を記述し、3つの関係を示し得る。例えば、A及び/又はBは次の場合を示し得る:Aのみが存在する場合、AとBとの両方が存在する場合、及びBのみが存在する場合(A及びBは単数又は複数であってもよい)。文字「/」は、通常、関連するオブジェクト同士の間の「又は」の関係を示す。
【0024】
本願の実施形態では、例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、及び「後」は、本願における異なる構成要素の構造及び運動方向が相対的であることを説明するために使用する。これらの表示は、構成要素が図に示される位置にある場合に適切である。ただし、構成要素の位置の説明が変わると、これらの方向指示もそれに応じて変わる。
【0025】
本願の実施形態は、電子装置を提供する。電子装置は、例えば、充電パイル、無停電電源装置(uninterruptible power system、UPS)、太陽光発電インバータ、又はモータ駆動電源であり得る。電子装置の特定の形態は、本願の実施形態では特に限定されない。
【0026】
金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor, MOSFET)デバイスは、半導体部品であり、低消費電力、安定した性能、強力な耐放射線性、便利な制御モード、小型、軽量、長寿命、強力な干渉防止機能、高い動作周波数、及び簡素なバイアス等の利点がある。従って、金属酸化物半導体電界効果トランジスタは、アナログ回路及びデジタル回路に広く使用されている。
【0027】
例えば、電子装置はUPSであり、UPSは、連続的な電力供給を必要とする負荷、例えばコンピュータに電力を供給するように構成されたコンポーネントである。図1は、UPS及びUPSの周辺構造の概略図である。UPSには、入力端及び出力端がある。UPSの入力端は電力系統に接続され、UPSの出力端は負荷に接続され、負荷への無停電電源供給を実施する。
【0028】
電力系統は、例えば発電所、変電所、又は幹線送電線であり得る。電力系統が正常状態にある場合に、電力系統によって供給される電力の一部がUPSを介して負荷に伝達され、電力系統によって供給される電力の一部がUPSに蓄えられる。電力系統が異常状態になる場合に、電力系統は電力を負荷に伝達できなくなる。この場合に、UPSに蓄えられた電力が負荷に伝達される。
【0029】
負荷は、電力系統によって供給される電力を消費する。例えば、負荷は、工場内の電気装置であり得る、又はデータセンタ内のサーバ、プロセッサ、又はメモリ等の通信装置であり得る。
【0030】
UPSは、電力系統による電力供給が中断又は故障した場合に、電力を中断することなく即座に供給するように構成された自動システムである。電力系統から供給される電力の電圧又は周波数が変化する、又は電力系統からの電力供給が瞬時に中断又は変化する場合でも、UPSは安定して電力を供給する。これにより、負荷データの破損、紛失、又は消去の可能性、及び制御装置のシャットダウン又は故障の可能性を低減する。
【0031】
UPSは、電源装置及び双方向スイッチ等の構成要素を含み、UPSの前述の機能を実現するように構成される。前述のUPSでは、MOSFETデバイスを電源装置として使用することができる。MOSFETデバイスが電源装置として使用される場合に、本願のこの実施形態で提供する電子装置は、図1に示されるUPSに限定されず、また、電源装置を使用する必要がある任意の電子装置は、本願の実施形態の適用シナリオに属することを理解されたい。
【0032】
例えば、MOSFETデバイスの構造を図2に示す。MOSFETデバイスは、基板1、半導体層2、ウェル領域3、ソース領域4、コンタクト領域5、絶縁フィルム6、ゲート(gate, G)、ソース(source, S)、層間絶縁フィルム7、及びドレイン(drain, D)を含む。
【0033】
半導体層2、ウェル領域3、ソース領域4、コンタクト領域5、絶縁フィルム6、ゲートG、ソースS、層間絶縁フィルム7、ドレインDは、MOSFETデバイスのスイッチ機能デバイス200を指し得る。その名の通り、MOSFETデバイスのスイッチ機能デバイス200は、MOSFETデバイスのスイッチ機能を実現するように構成された構造の組合せであり、基板1は、MOSFETデバイスのスイッチ機能デバイス200を支えるように構成される。
【0034】
図2に示されるMOSFETデバイスを例として使用する。MOSFETデバイスのスイッチ機能デバイス200に含まれる構造は、基板1の反対側の両面に配置される。本願のこの実施形態では、スイッチ機能デバイス200に含まれ、同じ側に位置し、且つ半導体層2を含む構造の組合せをスイッチ機能部品300と称する。図2を例として使用する。スイッチ機能部品300は、半導体層2、ウェル領域3、ソース領域4、コンタクト領域5、絶縁フィルム6、ゲートG、ソースS、層間絶縁フィルム7を含む。本願のこの実施形態では、スイッチ機能部品300が基板1上に配置される構造を半導体部品1000と呼ぶ。
【0035】
MOSFETデバイスの動作原理は次の通りである。ウェル領域3内にあり且つソース領域4と半導体層2との間に位置する領域が、MOSFETデバイスの導電チャネルとして使用される。ゲートGの電圧がMOSFETデバイスの閾値電圧よりも大きい場合に、導電チャネルはオンにされる。ソースSからの電子は、ドレインDの電圧の影響を受けてチャネルを流れ、基板1に向けて流下し、ドレインDに到達してソース-ドレイン電流を形成する。ゲートGの電圧がMOSFETデバイスの閾値値電圧よりも低い場合に、導電チャネルはオフにされ、ソース-ドレイン電流はオフにされる。
【0036】
炭化ケイ素(SiC)材料は、バンドギャップが広く、臨界破壊電界強度が高く、熱伝導率が高い等の優れた物理的特性を有するため、SiC材料を基板として使用する電源装置は、電圧抵抗が高く、温度耐性が高く、スイッチング速度が速く、及びスイッチング損失が少ない等の特徴を有する。電源装置は、宇宙・航空宇宙、スマートグリッド、鉄道輸送、新エネルギー発電、電気自動車、産業用電源等の分野で広く使用されている。
【0037】
SiC電源装置のオン抵抗を低減し、SiC基板を薄化することによってデバイス性能を向上させるために、SiCホモエピタキシャル層を薄化する方法を提供する。図3に示されるように、単結晶SiCに対して透過性を有するレーザ光をSiCインゴットに照射し、内層に集束させて改質層を形成する。SiCウェハは、単結晶SiCインゴットを応力下で改質層に沿って切断することによって、単結晶SiCインゴットから形成される。
【0038】
上記のSiCホモエピタキシャル層を薄化する方法を使用することにより、SiCインゴットの切断ロスを効果的に低減でき、SiCインゴットの切断効率を向上させることができ、SiC基板のコストを削減する。
【0039】
しかしながら、SiCホモエピタキシャル層を薄化するための前述の方法は、SiCウェハの剥離及び再利用の代わりに、SiCインゴットの切断損失を低減し、切断効率を向上させることに主に焦点を合わせている。従って、SiC基板の薄化によって生じる基板の廃棄の問題は解決できない。
【0040】
SiCホモエピタキシャル層を薄化する方法をさらに提供する。図4に示されるように、イオン注入法を使用してSiC基板の表面近傍に欠陥層を作製し、SiC基板の表面に対するイオン注入によって生じる欠陥をアニール処理により修復する。SiC基板の表面に対するホモエピタキシーによりエピタキシャル層を得た後に、レーザをSiC基板に照射し、レーザを欠陥層の下に集束させることにより、SiC基板を欠陥層から分離させ、SiC基板を薄化する。
【0041】
SiCホモエピタキシャル層を薄化するための前述の方法が使用されるので、研磨後に、残った剥離SiC基板を再使用してSiCエピタキシャル層を成長させることができる。これにより、SiC基板の利用率が効果的に向上し、エピタキシャル生産コストが削減される。
【0042】
しかしながら、上記のSiCホモエピタキシャル層を薄化する方法では、レーザ剥離前にSiC基板がエピタキシーを受けるため、イオン注入により生じた欠陥層をエピタキシャル高温成長プロセスでアニール及び修復することになる。従って、その後のレーザ照射中に、残った欠陥層のみに対してレーザ吸収を実施することは困難であり、SiC基板を欠陥層から分離する成功率は非常に低い。従って、前述のSiCホモエピタキシャル層を薄化する方法は、高温プロセスに適合しない。
【0043】
前述の問題を解決するために、本願の一実施形態は、ウェハを薄化する方法をさらに提供する。このウェハを薄化する方法は、前述のSiC基板を薄化するプロセスにおいて、機械的薄化速度が低く、研削ヘッドの損傷がより深刻であるという問題を解決することができ、また、SiC基板の破裂リスクが極めて高く、SiC基板が高温プロセスに対応していないという問題も解決することができる。
【0044】
本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法を半導体部品に適用する例を、説明のために以下で使用する。まず、半導体部品の構造について簡潔に説明する。
【0045】
図5Aに示されるように、半導体部品1000は、ウェハ100(又は半導体部品1000の複合基板と呼ばれる)と、ウェハ100上に配置されたスイッチ機能部品300とを含む。ウェハ100は、積層方式で配置された第1の炭化ケイ素層10、誘電体層20、及び第2の炭化ケイ素層30を含む。ウェハ100は、互いに反対側の第1の面及び第2の面を有し、第2の炭化ケイ素層30に関するものであり且つ第1の炭化ケイ素層10から離れる面が、ウェハの第1の面である。スイッチ機能部品300は、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ第2の炭化ケイ素層30から離れる面(ウェハ100の第2の面)に配置される。半導体部品1000は、互いに反対側の第1の面a1及び第2の面a2を有し、第2の炭化ケイ素層30に関するものであり且つ第1の炭化ケイ素層10から離れる面が、半導体部品1000の第1の面a1である。すなわち、ウェハ100に関するものであり且つスイッチ機能部品300から離れる面が、半導体部品1000の第1の面a1であり、スイッチ機能部品300に関するものであり且つウェハ100から離れる面が、半導体部品1000の第2の面a2である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10は、第2の炭化ケイ素層30に比べて高品質(Pレベル)の炭化ケイ素構造に関するものであり、第2の炭化ケイ素層30は、第1の炭化ケイ素層10に比べて低品質(Dレベル)の炭化ケイ素構造に関するものである。例えば、第2の炭化ケイ素層30の一部又は全部の欠陥密度は、第1の炭化ケイ素層10の欠陥密度よりも大きい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10の格子方向は、格子方向<0001>に、0°以上8°以下の間隔で偏向される。
【0048】
例えば、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に偏向しない(0°だけ偏向する)、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に1°だけ偏向する、炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に2°だけ偏向する、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に3°だけ偏向する、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に4°だけ偏向する、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に5°だけ偏向する、第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に6°だけ偏向する、又は第1の炭化ケイ素層10は格子方向<0001>に7°だけ偏向する。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10の厚さが、350μm以下である。
【0050】
例えば、第1の炭化ケイ素層10の厚さは、300μm、250μm、200μm、150μm、又は100μmである。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10の材料が、単結晶の炭化ケイ素である。
【0052】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30も、格子方向<0001>に、0°以上8°以下の間隔で偏向される。
【0053】
例えば、第2の炭化ケイ素層30の格子方向の偏向角は、第1の炭化ケイ素層10の格子方向の偏向角と同じである。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の厚さが、3000μm以下である。
【0055】
例えば、第2の炭化ケイ素層30の厚さは、2500μm、2000μm、1500μm、1000μm、又は500μmである。
【0056】
第2の炭化ケイ素層30は、第1の炭化ケイ素層10を支持し支えることさえすればよい。第2の炭化ケイ素層30が極端に厚い場合に、資源の無駄が生じ、ウェハ100の厚さが増加する。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2の炭化ケイ素層30の材料が、単結晶の炭化ケイ素又は多結晶の炭化ケイ素を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、図5Aに示されるように、第1の炭化ケイ素層10は、第2の炭化ケイ素層30に直接接合して接触している。
【0059】
このことから、第1の炭化ケイ素層10が第2の炭化ケイ素層30に直接接合して接触するプロセスにおいて、第1の接合層41が自然に形成されることが理解され得る。第1の接合層41の厚さは、第1の炭化ケイ素層10及び第2の炭化ケイ素層30を接合する時間を制御することによって制御することができる。この場合に、ウェハ100内の誘電層は、第1の炭化ケイ素層10が第2の炭化ケイ素層30に直接接合して接触するプロセスにおいて自然に形成される第1の接合層41である。
【0060】
いくつかの実施形態では、誘電体層20の厚さが5nm以下である。例えば、誘電体層20の厚さは、1nm、2nm、3nm、又は4nmである。
【0061】
誘電体層20の厚さが過度に大きい場合に、ウェハ100の電気伝導率と熱伝導率との両方が影響を受ける。従って、誘電体層20の厚さは5nm以下に制御され、誘電体層20の厚さは、第1の炭化ケイ素層10と第2の炭化ケイ素層30との間の直接的な接合を確保した上で、可能な限り薄くされる。
【0062】
いくつかの他の実施形態では、図5Bに示されるように、第1の炭化ケイ素層10は、遷移層42を介して第2の炭化ケイ素層30に接合される。
【0063】
遷移層42の材料には、例えば、SiO(酸化シリコン)、Si(窒化シリコン)、又はAl(酸化アルミニウム)等の絶縁性誘電体、或いはSi(シリコン)又はSiC(炭化ケイ素)等の導電性誘電体、或いはAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Au(金)、Cr(クロム)等の金属、或いは前述の複数の材料の複合多層材料が含まれ得る。
【0064】
遷移層42を介して第1の炭化ケイ素層10を第2の炭化ケイ素層30に接合するプロセスにおいて、第1の炭化ケイ素層10を遷移層42に接合すると、第2の接合層43が自然に形成される。第2の炭化ケイ素層30を遷移層42に接合すると、第3の接合層44が自然に形成される。
【0065】
このことから、この場合に、ウェハ100の誘電体層20は、第2の接合層43、遷移層42、及び第3の接合層44を含むことが理解され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、誘電体層20の厚さ(遷移層42、第2の接合層43、及び第3の接合層44の厚さの合計)は、100nm以下である。例えば、遷移層42、第2の接合層43、及び第3の接合層44の厚さの合計は、90nm、80nm、70nm、又は60nmである。
【0067】
遷移層42、第2の接合層43、第3の接合層44の厚さの合計が極端に大きい場合に、ウェハの電気伝導率と熱伝導率の両方に影響を与える。従って、遷移層42、第2の接合層43、第3の接合層44の厚みの合計を100nm未満に制御し、遷移層42、第2の接合層43、第3の接合層44の厚みの合計は、第1の炭化ケイ素層10の裏面a1と第2の炭化ケイ素層30の表面b2との間の安定した接合を確保した上で、可能な限り低減される。
【0068】
図6Aに示されるように、スイッチ機能部品300がウェハ100の第2の面にさらに配置される例を使用して、本願の実施形態で提供するウェハを薄化する方法について説明する。ウェハを薄化する方法は、以下のステップを含む。
【0069】
S10:図6Bに示されるように、仮(temporary:一時的な)基板キャリア50をウェハ100の第2の面でウェハ100に仮(temporarily:一時的に)接合する。
【0070】
スイッチ機能部品300がウェハ100の第2の面に配置されると、仮基板キャリア50は、ウェハ100の第2の面に位置するスイッチ機能部品300に仮接合され、仮基板キャリア50をウェハ100に仮接合する。換言すれば、仮基板キャリア50は、半導体部品1000の第2の面a2上のスイッチ機能部品300に仮接合される。
【0071】
具体的には、仮基板キャリア50は、スイッチ機能部品300に関するものであり且つウェハ100から離れる面に配置され、仮基板キャリア50は、半導体部品1000に仮接合される。
【0072】
仮接合は、修復可能な接合として理解され得る。その後の技術的処理プロセスにおいて、仮接合された仮基板キャリア50及び半導体部品1000は、必要に応じて剥離され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、仮基板キャリア50がウェハ100に仮接合される接合温度は、300℃以下である。
【0074】
このようにして、仮接合プロセスにおける過度の高温によって引き起こされる半導体部品1000内のスイッチ機能部品300への影響(例えば、スイッチ機能部品300の金属構造体の溶融)を回避することができる。
【0075】
仮基板キャリア50の材料は、本願の実施形態では限定されない。いくつかの実施形態では、仮基板キャリア50の融点は、仮接合の接合温度よりも高い。
【0076】
このようにして、仮接合プロセスにおいて、仮基板キャリア50が溶解し、半導体部品1000を支持できなくなることを回避することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、仮基板キャリア50をウェハ100に仮接合する方法は、仮接着剤又はパラフィンを使用して、仮基板キャリア50をウェハ100の第2の面でウェハに仮接合するステップを含む。
【0078】
具体的には、いくつかの実施形態では、仮接着剤を使用して、仮基板キャリア50を、半導体部品1000の第2の表面a2で半導体部品1000に仮接合する。
【0079】
いくつかの他の実施形態では、パラフィンを使用して、仮基板キャリア50を、半導体部品1000の第2の表面a2で半導体部品1000に仮接合する。
【0080】
S20:図6Bに示されるように、ウェハ100の第1の面からウェハ100にレーザ照射を行い、それによって、第2の炭化シリコン層30と誘電体層20との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションし、第2の炭化シリコン層30は、誘電体層20から分離される。
【0081】
具体的には、半導体部品1000の第1の面a1側からウェハ100にレーザ照射を行い、それによって、第2の炭化ケイ素層30と誘電体層20との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションし、第2の炭化ケイ素層30は、誘電体層20から分離される。
【0082】
光が誘電体中を伝搬するときに、伝搬距離(侵入深さ)とともに光強度が減衰する現象を光吸収と呼ぶ。光吸収は、吸光の法則(Beer-Lambertの法則)に従う。Beer-Lambertの法則(Beer-Lambert law)では吸光係数が定数である。吸光係数の記号はαであり、吸光係数は単色光に対する誘電体の吸光係数と呼ばれる。吸光係数が大きいほど、光の減衰がより明確であることを示す。
【0083】
固有吸光係数は、誘電体における、光子エネルギーが誘電体バンドギャップ幅に対応する光波長の吸光係数であり、光子エネルギーが誘電体バンドギャップ幅より大きい光波長の吸光係数は、固有吸光係数より大きく、光子エネルギーが誘電体バンドギャップより小さい光波長の光吸光係数は、固有吸光係数より小さい。
【0084】
従って、第2の炭化ケイ素層30は、レーザに対する低い吸光係数又はレーザに対する透過性によって特徴付けられ、第2の炭化ケイ素層30のレーザエネルギー損失を低減し、集束されるアブレーション効果を向上させる。
【0085】
例えば、選択したレーザに対する第2の炭化ケイ素層30の吸光係数は、レーザの波長を調整することによって固有吸光係数よりも小さくすることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、赤外レーザ、紫外レーザ等を使用して、ウェハ100の第1の面からウェハ100にレーザ照射を行う。
【0087】
具体的には、赤外線レーザ又は紫外線レーザ等を使用して、半導体部品1000の第1の面a1からウェハ100にレーザ照射を行う。
【0088】
いくつかの実施形態では、レーザの非線形吸収が、第2の炭化ケイ素層30と誘電体層20との間の界面で生じる。
【0089】
非線形吸収は、誘電体が光を吸収する係数が、強い光の下での吸光係数よりも大きい現象である。
【0090】
このことから、第2の炭化ケイ素層30と誘電体層20との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションした後に、誘電体層20は第2の炭化ケイ素層30から自然に分離されるので、第2の炭化ケイ素層30は、ウェハ100において第1の炭化ケイ素層10から分離される。
【0091】
ウェハ100から剥離した第2の炭化ケイ素層30を洗浄した後に、第2の炭化ケイ素層30を再利用して、新しいウェハ100を準備することができる。
【0092】
第2の炭化ケイ素層30と誘電体層20との間の界面にレーザのエネルギーを集束させてアブレーションした後に、誘電体層20の残留物が、依然として、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つスイッチ機能部品300から離れる表面上に存在する可能性があると考えられる。
【0093】
従って、いくつかの実施形態では、図7Aに示されるように、ウェハを薄化する方法は、以下のステップをさらに含む。
【0094】
S30:図7Bに示されるように、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板キャリア50から離れる表面を処理して、誘電体層20の残留物を除去する。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板キャリア50から離れる表面は、ウェットエッチング、ドライエッチング、又は洗浄のうちの少なくとも1つによって処理され、誘電体層20の残留物を除去する。
【0096】
誘電体層20の残留物を除去した後に、ウェハ100のシリコンウェハの薄化が完了する。必要に応じて、後続の技術プロセスが実行され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板50から離れる表面を処理した後に、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板50から離れる表面の粗さが、0.5nm以下にされる。
【0098】
このようにして、別の構造を、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板50から離れる表面上に簡便に形成することができる。
【0099】
図2に示されるMOSFETデバイスを例として使用する。ウェハ100が薄化された後に、第1の炭化ケイ素層10の表面を洗浄した後に得られる構造は、図8Aに示されるように、第1の炭化ケイ素層10及びスイッチ機能部品300を含む。次に、後続のプロセスが実行され得る。図8Bに示されるように、金属電極(ドレインD)が製造され、仮基板キャリア50及び半導体部品1000に対して剥離等のプロセスが実行され、最終的に半導体部品の製造が完了する。
【0100】
第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板キャリア50から離れる表面が処理され、それによって、第1の炭化ケイ素層10に関するものであり且つ仮基板キャリア50から離れる表面が、粗さ等の要求を満たす。これにより、金属電極等の構造のその後の製造が容易になる。
【0101】
以下では、2つの特定の例を使用して、本願の実施形態で提供する半導体部品内の複合基板に基づく、ウェハを薄化する方法について説明する。
【0102】
例えば、半導体部品1000では、ウェハ100は、厚さが2μmである高品質の単結晶の第1の炭化ケイ素層10、厚さが20nmであるSiO誘電体層20、及び厚さが350μmである低品質の単結晶の第2の炭化ケイ素層30を含む。
【0103】
同一サイズのAl基板を仮基板キャリア50として選択し、仮基板キャリア50と半導体部品1000の機能デバイス200との間で仮接合を行う。接合温度は150℃である。
【0104】
波長1064nmのレーザを使用して、ウェハ100に関するものであり且つ機能デバイス200から離れる面(第2の炭化ケイ素層30の面)から走査及び照射を行い、レーザのエネルギーが、非線形吸収され、第2の炭化ケイ素層30とSiO誘電体層20との間の界面に集束されてアブレーションする。このようにして、ウェハ100の第2の炭化ケイ素層30は、SiO2誘電体層20から剥離され、ウェハ100を薄化する。
【0105】
第1の炭化ケイ素層10の表面で腐食及び洗浄が行われ、SiO誘電体層20の残留物が除去され、その後の技術プロセスが行われる。
【0106】
剥離した第2の炭化ケイ素層30に対して腐食及び洗浄が行われ、第2の炭化ケイ素層30を引き続き再使用して、ウェハ100を準備する。
【0107】
あるいはまた、例えば、半導体部品1000では、ウェハ100は、厚さが2μmである高品質の単結晶の第1の炭化ケイ素層10、厚さが20nmであるPt誘電体層20、及び厚さが350μmである低品質の単結晶の第2の炭化ケイ素層30を含む。
【0108】
同一サイズのSi基板を仮基板キャリア50として選択し、仮基板キャリア50と半導体部品1000の機能デバイス200との間で仮接合を行う。接合温度は210℃である。
【0109】
波長980nmの赤外線レーザを使用して、ウェハ100に関するものであり且つ機能デバイス200から離れる面(第2の炭化ケイ素層30の面)から走査及び照射を行う。レーザのエネルギーは、非線形に吸収され、第2の炭化ケイ素層30とSiO誘電体層20との間の界面に集束されアブレーションされる。このようにして、ウェハ100の第2の炭化ケイ素層30は、Si0誘電体層20から剥離され、ウェハ100を薄化する。
【0110】
第1の炭化ケイ素層10の表面で腐食及び洗浄が行われ、SiO誘電体層20の残留物が除去され、その後の技術プロセスが行われる。
【0111】
剥離した第2の炭化ケイ素層30に対して腐食及び洗浄が行われ、第2の炭化ケイ素層30を引き続き再使用して、ウェハ100を準備する。
【0112】
本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法によれば、半導体部品1000において、ウェハ100は、サンドイッチ積層構造に関するものであり、誘電体層20を含み、誘電体層20の屈折率が第2の炭化ケイ素層30の屈折率とは異なる。従って、第2の炭化ケイ素層30に関するものであり且つ第1の炭化ケイ素層10から離れる面からレーザをウェハ100に照射した後に、レーザは、誘電体層20と第2の炭化ケイ素層30との間の界面に容易に集束及び吸収される。レーザのエネルギーは、誘電体層20の融点に到達するように増大され、それによって、第2の炭化ケイ素層30は、誘電体層20から剥離され、ウェハ100を薄化することができる。剥離した第2の炭化ケイ素層30を再利用して、新しいウェハ100を準備することができる。従って、半導体部品の複合基板は、本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法を使用することによって薄くされるので、半導体部品の製造コストを削減することができる。
【0113】
また、ウェハ100を薄化するプロセスは、スイッチ機能部品300を形成した後に行われる。従って、本願のこの実施形態で提供するウェハを薄化する方法は、半導体部品の製造プロセスにおける高温プロセスに適合する。
【0114】
前述の説明は、本願の特定の実施態様に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願に開示した技術的範囲内で当業者によって容易に考え出されるあらゆる変形又は置換は、本願の保護範囲内に入るものとする。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。


図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B