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特許7402950通信システム、管理サーバ、通信端末、通信方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】通信システム、管理サーバ、通信端末、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/20 20090101AFI20231214BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20231214BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20231214BHJP
【FI】
H04W8/20
H04M3/42 D
H04W4/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022155756
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2022046069の分割
【原出願日】2022-03-22
(65)【公開番号】P2023140263
(43)【公開日】2023-10-04
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】塚本 英之
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9699716(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/14178(US,A1)
【文献】特開2019-106609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0228969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 8/20
H04M 3/42
H04W 4/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバと、管理サーバとを備える通信システムであって、
前記管理サーバは、
セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、前記プロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記通信端末に対して送信し、
前記通信端末は、
前記プロファイル情報を記憶し、
前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、
記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、
受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する
通信システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記プロファイル更新情報を、前記プロファイル提供サーバを介することなく、前記通信端末に対して送信する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記アクセス先情報には、前記通信端末を備える車両の通信機能の種類を識別する情報が含まれる
請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記アドレス情報には、所定の地域のセルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供する所定の前記プロファイル提供サーバへのアクセス先を示す所定アドレス情報が含まれ、
前記管理サーバは、前記通信端末を備える車両の所在地域が前記所定の地域以外の地域から前記所定の地域に変化した場合に、前記所定アドレス情報を含むプロファイル更新情報を前記通信端末に対して送信する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
管理サーバであって、
セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信端末に対して、送信する通信部
を有する管理サーバ。
【請求項7】
前記プロファイル更新情報を、前記プロファイル提供サーバを介することなく、前記通信端末に対して送信する
請求項6に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記アクセス先情報には、前記通信端末を備える車両の通信機能の種類を識別する情報が含まれる
請求項6または請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記アドレス情報には、所定の地域のセルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供する所定の前記プロファイル提供サーバへのアクセス先を示す所定アドレス情報が含まれ、
前記通信端末を備える車両の所在地域が前記所定の地域以外の地域から前記所定の地域に変化した場合に、前記所定アドレス情報を含むプロファイル更新情報を前記通信端末に対して送信する
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む
請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の管理サーバ。
【請求項11】
通信端末であって、
セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、管理サーバから受信する通信部と、
受信した前記プロファイル情報を記憶する記憶部と、
前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する制御部と、
を有する通信端末。
【請求項12】
前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む
請求項11に記載の通信端末。
【請求項13】
管理サーバが、
セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信端末に対して、送信する
通信方法。
【請求項14】
通信端末が、
セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、管理サーバから受信し、
受信した前記プロファイル情報を記憶し、
前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、
記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、
受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する
通信方法。
【請求項15】
管理サーバが備えるコンピュータまたは通信端末が備えるコンピュータが、
請求項10に記載の通信方法、または請求項11に記載の通信方法を実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信システム、管理サーバ、通信端末、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルラ通信において接続先の通信キャリアに応じて、eSIM(Embedded Subscriber Identity Module)のプロファイル情報を書き換える機能がある。プロファイル情報には、例えば電話番号 であるMSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、ユーザ固有番号である IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、プロファイル固有番号であるICCID(IC Card Identifier)等がある。eSIMを搭載するコネクティッドカーにおいても、仕向け国・地域に応じたプロファイルに書き換えることが求められている。
従来から、遠隔からプロファイルを書き換える方法が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-512822号公報
【文献】特開2017-063302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、セルラ通信のためには、通信プロファイルの設定に加え、APN(Access Point Name;端末からセルラ網へ接続する際のアクセス先(例えば、ゲートウエイ)の名称)も設定する必要があるが、その設定方法については標準化がなされていない。
例えば、予め車両(端末)側で複数国のAPNを保持しておく方法も考えられるが、車両の場合、例えば最初の仕向け国とは別の国で中古販売される場合などもあり、販売可能性のあるすべての国・地域のAPNを保持しておくのは現実的ではない。
また、ユーザに手動でAPNを設定させるとしても、全ての車両においてAPNを設定可能なユーザインタフェイスを搭載することは難しい。
このように、従来の方法では、プロファイル情報の遠隔書き換えを行う場合の手順が複雑になってしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、プロファイル情報の遠隔書き換えの手順を簡素化することができる通信システム、管理サーバ、通信端末、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、通信端末と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバと、管理サーバとを備える通信システムであって、前記管理サーバは、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、前記プロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記通信端末に対して送信し、前記通信端末は、前記プロファイル情報を記憶し、前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信システムである。
【0007】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記管理サーバは、前記プロファイル更新情報を、前記プロファイル提供サーバを介することなく、前記通信端末に対して送信する。
【0008】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記アクセス先情報には、前記通信端末を備える車両の通信機能の種類を識別する情報が含まれる。
【0009】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記アドレス情報には、所定の地域のセルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供する所定の前記プロファイル提供サーバへのアクセス先を示す所定アドレス情報が含まれ、前記管理サーバは、前記通信端末を備える車両の所在地域が前記所定の地域以外の地域から前記所定の地域に変化した場合に、前記所定アドレス情報を含むプロファイル更新情報を前記通信端末に対して送信する。
【0010】
本発明の一実施形態の通信システムにおいて、前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む。
【0011】
本発明の一実施形態は、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信端末に対して、送信する通信部を有する管理サーバである。
【0012】
本発明の一実施形態の管理サーバにおいて、前記プロファイル更新情報を、前記プロファイル提供サーバを介することなく、前記通信端末に対して送信する。
【0013】
本発明の一実施形態の管理サーバにおいて、前記アクセス先情報には、前記通信端末を備える車両の通信機能の種類を識別する情報が含まれる。
【0014】
本発明の一実施形態の管理サーバにおいて、前記アドレス情報には、所定の地域のセルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供する所定の前記プロファイル提供サーバへのアクセス先を示す所定アドレス情報が含まれ、前記通信端末を備える車両の所在地域が前記所定の地域以外の地域から前記所定の地域に変化した場合に、前記所定アドレス情報を含むプロファイル更新情報を前記通信端末に対して送信する。
【0015】
本発明の一実施形態の管理サーバにおいて、前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む。
【0016】
本発明の一実施形態は、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、管理サーバから受信する通信部と、受信した前記プロファイル情報を記憶する記憶部と、前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する制御部と、を有する通信端末である。
【0017】
本発明の一実施形態は、管理サーバが、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信端末に対して、送信する通信方法である。
【0018】
本発明の一実施形態は、通信端末が、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバのアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新情報を、管理サーバから受信し、受信した前記プロファイル情報を記憶し、前記管理サーバから前記プロファイル更新情報を受信すると、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アドレス情報が示す前記プロファイル提供サーバとの通信により、前記プロファイル提供サーバから前記プロファイル情報を取得し、記憶されている前記プロファイル情報を、取得した前記プロファイル情報によって更新し、受信した前記プロファイル更新情報に含まれる前記アクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する通信方法である。
【0019】
本発明の一実施形態の通信端末において、前記プロファイル情報は、MSISDN(Mobile Station International Subscriber Directory Number)、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、ICCID(IC Card Identifier)の少なくともいずれかを含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、管理サーバが備えるコンピュータまたは通信端末が備えるコンピュータが、上述の通信方法を実行するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プロファイル情報の遠隔書き換えの手順を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る通信端末装置の構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係るプロファイル更新手順の一例を示すである。
図4】従来の通信システムの構成例を示すブロック図である。
図5】従来の通信システムにおけるプロファイル更新手順の一例を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の通信システム1の構成例を示すブロック図である。同図において、通信システム1は、通信端末装置2と、管理サーバ4及びプロファイル提供サーバ5とが通信ネットワークNWに接続されて構成される。通信ネットワークNWは、無線ネットワークであってもよく、有線ネットワークであってもよく、又は無線ネットワークと有線ネットワークの両方から構成されてもよい。例えば、通信ネットワークNWは、セルラ通信網の一例であって、インターネットと携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)などから構成されてもよい。
【0024】
通信端末装置2は、有線回線又は無線回線により通信ネットワークNWに接続する。例えば、通信端末装置2は、自動車等の車両に搭載された車載通信端末装置であって、携帯電話網や無線LAN等の無線回線により通信ネットワークNWに接続する。
なお、通信端末装置2は、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であってもよい。
【0025】
通信端末装置2と管理サーバ4及びプロファイル提供サーバ5とはIP(インターネット・プロトコル)により通信する。通信端末装置2と管理サーバ4及びプロファイル提供サーバ5との間で送受信されるIPパケットは、通信ネットワークNW内に設けられた一又は複数の中継装置3によって転送される。
【0026】
プロファイル提供サーバ5は、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を、通信端末装置2に提供する。
セルラ通信の接続仕様は、キャリアや仕向け国・地域などごとに定められる。通信端末装置2は、接続対象のセルラ通信網のキャリアや仕向け国・地域などに応じてプロファイル提供サーバ5から提供されたプロファイル情報を利用して、通信ネットワークNWに接続する。
【0027】
管理サーバ4は、通信端末装置2のプロファイル情報の更新管理をする。具体的には、管理サーバ4は、セルラ通信のアクセス先を示すアクセス先情報と、プロファイル提供サーバ5のアドレスを示すアドレス情報と、を含むプロファイル更新指令を、通信端末装置2(車載通信端末)に対して送信する。
ここで、管理サーバ4は、仕向け国・地域などごとに、アクセス先情報とアドレス情報とを紐づけて記憶している。管理サーバ4は、仕向け国・地域が指定されると、指定された仕向け国・地域に紐づけられたアクセス先情報及びアドレス情報を、プロファイル更新指令として、通信端末装置2に対して送信する。
【0028】
すなわち、通信システム1は、通信端末装置2と、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供するプロファイル提供サーバ5と、管理サーバ4とを備える。
【0029】
図2は、本実施形態に係る通信端末装置の構成例を示す図である。通信端末装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、SIM24とを備える。
【0030】
図3は、本実施形態に係るプロファイル更新手順の一例を示す図である。なお、同図においてオペレータは、管理サーバ4の操作者に相当する。SM-DP+(Subscription Manager Data Preparation+)は、上述したプロファイル提供サーバ5に相当する。
【0031】
(ステップS100)オペレータは、管理サーバ4に対してRSP指示を出力する。このRSP指示には、通信端末装置2の仕向け国(又は地域)を指定する情報が含まれる。ここで、RSPはRemote SIM Provisioningの略であり、遠隔からネットワークを介してSIM24の情報を変更することを示す。
(ステップS110)管理サーバ4は、オペレータからRSP指示を受けると、通信端末装置2に対してRSP指示を出力する。この管理サーバ4によるRSP指示には、通信端末装置2の仕向け国におけるアドレス情報(以下、SM-DP+アドレスとも記載する。)と、通信ネットワークNWに接続する際のアクセス先情報(以下、APNとも記載する。)とが含まれる。
【0032】
すなわち、管理サーバ4は、プロファイル更新指令を、プロファイル提供サーバ5を介することなく、通信端末装置2(車載通信端末)に対して送信する。
【0033】
(ステップS120)通信端末装置2は、管理サーバ4からRSP指示を受信すると、RSP指示に含まれるアドレス情報を利用して、SM-DP+に対して、プロファイル情報の提供を要求する。
(ステップS130)SM-DP+は、通信端末装置2からプロファイル情報の要求があると、通信端末装置2に対してプロファイル情報を提供する。
(ステップS140)通信端末装置2は、SM-DP+から取得したプロファイル情報(つまり、新たなプロファイル情報)によって、SIM24(より正しくはSIM24内のメモリ)に記憶されているプロファイル情報(つまり、更新前のプロファイル情報)を更新する。
(ステップS150)通信端末装置2は、管理サーバ4に対して、プロファイル情報の更新完了を通知する。
【0034】
(ステップS160)管理サーバ4は、オペレータに対して、プロファイル情報の更新完了を通知する。これにより、管理サーバ4は、SIM24(すなわち、通信端末装置2)毎のプロファイル情報の更新を管理する。
【0035】
(ステップS180)通信端末装置2は、ステップS120において管理サーバ4から受信したRSP指示に含まれるAPNを、通信ネットワークNWへの接続用のAPNとして記憶部22に記憶させる。なお、APNを記憶部22に記憶させることを、APNを設定するともいう。
(ステップS190)通信端末装置2は、記憶部22に記憶されたAPN(つまり、ステップS120において管理サーバ4から受信したAPN)を使用して、通信ネットワークNWに接続する。
【0036】
すなわち、通信端末装置2は、SIM24内にプロファイル情報を記憶する。通信端末装置2の通信部21は、管理サーバ4からプロファイル更新指令を受信する。通信端末装置2の制御部23は、受信したプロファイル更新指令に含まれるアドレス情報が示すプロファイル提供サーバ5との通信により、プロファイル提供サーバ5からプロファイル情報を取得する。通信端末装置2は、SIM24に記憶されているプロファイル情報を、取得したプロファイル情報によって更新する。通信端末装置2は、受信したプロファイル更新指令に含まれるアクセス先情報に基づいてセルラ通信網に接続する。
【0037】
[従来のプロファイル更新手順]
ここで、図4及び図5を参照し、従来のプロファイル更新手順の一例について説明する。
図4は、従来の通信システム9の構成例を示すブロック図である。同図において、通信システム9は、通信端末装置92と、管理サーバ94、プロファイル提供サーバ95及びアドレス管理サーバ96とが通信ネットワークNWに接続されて構成される。
【0038】
通信端末装置92は、上述した通信端末装置2と同様に、有線回線又は無線回線により通信ネットワークNWに接続する。
管理サーバ94は、上述した管理サーバ4と同様に、通信端末装置2のプロファイル情報の更新管理をする。
プロファイル提供サーバ95は、上述したプロファイル提供サーバ5と同様に、セルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を、通信端末装置2に提供する。
アドレス管理サーバ96は、アドレス情報(SM-DP+アドレス)を通信端末装置2に提供する。
【0039】
従来の通信システム9は、管理サーバ94が、出力するRSP指示に、アドレス情報(SM-DP+アドレス)と、アクセス先情報(APN)とが含まれない点において、本実施形態の通信システム1と異なる。
【0040】
図5は、従来の通信システムにおけるプロファイル更新手順の一例を示す図である。なお、同図においてオペレータは、管理サーバ94の操作者に相当する。SM-DP+は、上述したプロファイル提供サーバ95に相当する。SM-DS(Subscription Manager Discovery Server)は、上述したアドレス管理サーバ96に相当する。
【0041】
(ステップS900)オペレータは、管理サーバ94に対してRSP指示を出力する。このRSP指示には、通信端末装置92の仕向け国を指定する情報が含まれる。
(ステップS910)管理サーバ94は、オペレータからRSP指示を受けると、SM-DP+に対してイベント登録指示を出力する。この管理サーバ94によるイベント登録指示には、通信端末装置2の仕向け国におけるアドレス情報や、アクセス先情報が含まれていない。
【0042】
(ステップS911)SM-DP+は、管理サーバ94からイベント登録指示を受けると、SM-DSに対してアドレス情報(つまり、SM-DP+アドレス)を含むイベント登録を行う。
(ステップS920)通信端末装置92は、SM-DSに対してポーリングすることによって、SM-DSにイベントが登録されているか否かを判定する。
(ステップS921)通信端末装置92は、SM-DSにイベントが登録されていると判定すると、SM-DSに対してイベントの提供を要求する。
(ステップS922)SM-DSは、通信端末装置92からイベントの要求があると、通信端末装置92に対してイベントを出力する。
(ステップS930)通信端末装置92は、SM-DSからイベントを受信すると、受信したイベントに含まれるアドレス情報を使用して、SM-DP+に対してプロファイル情報を要求する。
【0043】
(ステップS940)SM-DP+は、通信端末装置92からプロファイル情報の要求があると、通信端末装置92に対してプロファイル情報を提供する。
(ステップS950)通信端末装置92は、SM-DP+から取得したプロファイル情報(つまり、新たなプロファイル情報)によって、SIM(より正確にはSIM内のメモリ)に記憶されているプロファイル情報(つまり、更新前のプロファイル情報)を更新する。
(ステップS960)通信端末装置92は、管理サーバ94に対して、プロファイル情報の更新完了を通知する。
【0044】
(ステップS970)管理サーバ94は、オペレータに対して、プロファイル情報の更新完了を通知する。これにより、オペレータは、SIM毎のプロファイル情報の更新を管理する。
【0045】
(ステップS980)通信端末装置92は、あらかじめ通信端末装置92に記憶されている複数種類のAPNの中から、通信端末装置92の仕向け国に応じたAPNを、通信ネットワークNWへの接続用のAPNとして、通信端末装置92の記憶部に記憶させる。
(ステップS990)通信端末装置92は、記憶部22に記憶されたAPN(つまり、ステップS980において更新された後のAPN)を使用して、通信ネットワークNWに接続する。
【0046】
この従来の通信システム9によるプロファイル情報の更新手順によると、予め車両(通信端末装置92)側で複数国のAPNを保持しておく必要があるが、仕向け先になりうる可能性のあるすべての国・地域のAPNを通信端末装置92に保持しておくのは現実的ではない。
また、通信端末装置92のユーザに手動でAPNを設定させることも考えられるが、全ての通信端末装置2においてAPNを設定可能なユーザインタフェイスを搭載することは難しい。
このように、従来の方法では、プロファイル情報の遠隔書き換えを行う場合の手順が複雑になってしまうという課題がある。
【0047】
一方、本実施形態の通信システム1によれば、管理サーバ4から設定すべきAPNが通信端末装置2に対して提供される。したがって、通信端末装置2において、仕向け先になりうる可能性のあるすべての国・地域のAPNを通信端末装置92に保持しておく必要がない。また、通信端末装置2において、手動でAPNを設定させる必要がない。
したがって、本実施形態の通信システム1によれば、プロファイル情報の遠隔書き換えを行う場合の手順を簡素化することができる。
【0048】
なお、上述したステップS110において通信端末装置2に提供されるAPNには、通信端末装置2(車載通信端末)を備える車両の通信機能の種類を識別する情報が紐づけられていてもよい。通信機能の種類には、例えば、VoLTE用、データ通信モジュール用、ヘッドユニット用などがある。
このように構成された通信システム1によれば、通信端末装置2において通信用途別に互いに異なる複数のAPNを使い分けている場合に、通信端末装置2においてどのAPNを設定すればよいのかを判別することができる。
【0049】
また、アドレス情報には、所定の地域のセルラ通信の接続仕様に応じた通信設定を示すプロファイル情報を提供する所定のプロファイル提供サーバ5へのアクセス先を示す所定アドレス情報が含まれていてもよい。
この場合、管理サーバ4は、通信端末装置2を備える車両の所在地域が所定の地域以外の地域から所定の地域に変化した場合に、所定アドレス情報を含むプロファイル更新指令を通信端末装置2に対して送信するように構成されていてもよい。
このように構成された通信システム1によれば、車両の所在地域が移動した場合において、移動先の地域の通信ネットワークNWにするための設定を自動化することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0051】
通信端末装置2、中継装置3、管理サーバ4およびプロファイル提供サーバ5の各機能は、各装置がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。例えば、通信端末装置2は、自動車等の車両に搭載された車載通信端末装置であってもよく、スマートフォンやタブレット型のコンピュータ(タブレットPC)等の携帯端末装置であってもよい。例えば、通信端末装置2は、パーソナルコンピュータ等の据置き型の端末装置であってもよい。
【0052】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0053】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…通信システム、2…通信端末装置、3…中継装置、4…管理サーバ、5…プロファイル提供サーバ
図1
図2
図3
図4
図5