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特許7402960可変焦点レンズ要素を用いた拡張現実システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】可変焦点レンズ要素を用いた拡張現実システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231214BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231214BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
A61B3/113
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022176192
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2021124069の分割
【原出願日】2017-04-05
(65)【公開番号】P2023014089
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】62/320,375
(32)【優先日】2016-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サムエル エー. ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ポール エム. グレコ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティー. ショーウェンゲルト
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0205126(US,A1)
【文献】特表2015-504616(JP,A)
【文献】特開2000-249902(JP,A)
【文献】特開2001-290101(JP,A)
【文献】特表2015-525365(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199180(WO,A1)
【文献】特開昭61-156227(JP,A)
【文献】特許第6923552(JP,B2)
【文献】特許第7171849(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイシステムであって、
前記ディスプレイシステムは、光を視認者に投影することにより、仮想オブジェクトを1つ以上の深度平面上に提示するように構成されている頭部搭載型ディスプレイを備え、
前記頭部搭載型ディスプレイは、
前記光を前記視認者に投影するように構成されている1つ以上の導波管であって、前記1つ以上の導波管は、周囲環境内のオブジェクトからの光を前記視認者に透過させるようにさらに構成されている、1つ以上の導波管と、
前記1つ以上の導波管と前記視認者の第1の眼との間の可変焦点レンズ要素と、
眼追跡システムと
を備え、
前記ディスプレイシステムは、
前記眼追跡システムからの情報に基づいて前記視認者の眼の輻輳・開散運動の深度を決定することと、
深度平面上に前記仮想オブジェクトを形成するために前記投影された光の波面発散を修正することを前記可変焦点レンズ要素に行わせることと
を行うように構成されており、
前記波面発散の修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度および前記視認者の第1の眼の屈折誤差を補正するための量に基づく、ディスプレイシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイシステムは、別の仮想オブジェクトを前記1つ以上の導波管を介して前記視認者に投影するようにさらに構成されており、
前記別の仮想オブジェクトは、前記仮想オブジェクトとは異なる深度平面上に配置されており、
前記波面発散の前記修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度が前記仮想オブジェクトの前記1つ以上の深度平面に対応するとき前記仮想オブジェクトの前記1つ以上の深度平面に基づき、前記波面発散の前記修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度が前記別の仮想オブジェクトの前記深度平面に対応するとき前記別の仮想オブジェクトの前記深度平面に基づき、前記仮想オブジェクトに対する前記修正の量と前記別の仮想オブジェクトに対する前記修正の量とは異なる、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
前記可変焦点レンズ要素は、異なる決定された深度に対して、異なる波面発散の修正を生成するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項4】
前記波面発散の前記修正の量は、前記仮想オブジェクトを表示するための所定の深度平面にさらに基づく、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項5】
前記ディスプレイシステムは、前記可変焦点レンズ要素の屈折力を前記仮想オブジェクトが配置される深度平面に従って修正するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の導波管は、前記仮想オブジェクトを提示するために、前記視認者に対して発散波面を伴う光を投影するように構成されている、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の導波管のそれぞれは、固定された屈折力を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項8】
前記眼追跡システムは、1つ以上のカメラを備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項9】
前記眼追跡システムは、電子ハードウェア制御システムへのフィードバックループを形成することにより、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度に従って、前記可変焦点レンズ要素の屈折率を持続的に変動させる、請求項8に記載のディスプレイシステム。
【請求項10】
前記可変焦点レンズ要素の補正された屈折誤差の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度に伴って変動する、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項11】
利用可能な光学処方箋屈折誤差の補正の数は、前記頭部搭載型ディスプレイのための深度平面の総数に等しい、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項12】
前記ディスプレイシステムは、前記可変焦点レンズ要素に対して3つ以上の事前に設定された光学処方箋屈折誤差を有する、請求項10に記載のディスプレイシステム。
【請求項13】
前記可変焦点レンズ要素は、2つの基板間に挟入された液晶の層を備える、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項14】
前記可変焦点レンズ要素は、電圧の印加に応じて前記液晶の層の屈折率を改変するための電極を備える、請求項13に記載のディスプレイシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイシステムは、電流または電圧の印加によって前記可変焦点レンズ要素の屈折率を変動させるように構成されている電子ハードウェア制御システムをさらに備える、請求項14に記載のディスプレイシステム。
【請求項16】
画像情報を頭部搭載型ディスプレイ上に表示するための方法であって、前記方法は、
視認者の頭部上に搭載されている前記頭部搭載型ディスプレイを提供することであって、前記頭部搭載型ディスプレイは、仮想オブジェクトを1つ以上の深度平面上に表示するように構成されており、前記頭部搭載型ディスプレイは、光を前記視認者に投影することにより、前記仮想オブジェクトを表示するように構成されている1つ以上の導波管を備え、前記1つ以上の導波管は、周囲環境内のオブジェクトからの光を前記視認者に透過させるようにさらに構成されている、ことと、
前記視認者の眼の輻輳・開散運動を決定することと、
前記視認者の第1の眼の屈折誤差を補正することと
を含み、
前記視認者の第1の眼の屈折誤差を補正することは、
前記視認者の眼の輻輳・開散運動の深度を決定することと、
前記1つ以上の導波管と前記視認者の眼との間に配置されている可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることと
によって行われ、
前記可変焦点レンズ要素は、深度平面上に前記仮想オブジェクトを形成するために投影される光の波面発散を修正し、
前記波面発散の修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度および前記視認者の第1の眼の屈折誤差を補正するための量に基づく、方法。
【請求項17】
前記方法は、別の仮想オブジェクトを前記1つ以上の導波管を介して前記視認者に表示することをさらに含み、
前記別の仮想オブジェクトは、前記仮想オブジェクトとは異なる深度平面上に配置されており、
前記波面発散の前記修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度が前記仮想オブジェクトの前記1つ以上の深度平面に対応するとき前記仮想オブジェクトの前記深度平面に基づき、前記波面発散の前記修正の量は、前記視認者の眼の前記輻輳・開散運動の前記決定された深度が前記別の仮想オブジェクトの前記深度平面に対応するとき前記別の仮想オブジェクトの前記深度平面に基づき、前記仮想オブジェクトに対する前記修正の量と前記別の仮想オブジェクトに対する前記修正の量とは異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記可変焦点レンズ要素は、異なる決定された深度に対して、異なる波面発散の修正を生成するように構成されている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記輻輳・開散運動の深度を決定することは、1つ以上のカメラを使用して前記視認者の眼の輻輳・開散運動を追跡することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の導波管のそれぞれは、前記1つ以上の導波管からの波面発散を伴う光を投影するように構成されている回折光学要素を備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本願は、2016年4月8日に出願された米国仮特許出願第62/320,375号の優先権の利益を主張するものであり、該米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(参照による援用)
本願はまた、米国出願第14/555,585号(出願日2014年11月27日);米国出願第14/690,401号(出願日2015年4月18日);米国出願第14/212,961号(出願日2014年3月14日);米国出願第14/331,218号(出願日2014年7月14日);および米国出願第15/072,290号(出願日2016年3月16日)の各々の特許出願の全体を参照により援用する。
【0003】
本開示は、拡張現実イメージングおよび可視化システムを含む、光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、またはそのように知覚され得る様式でユーザに提示される。仮想現実または「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透明性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実または「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実または「MR」シナリオは、一種のARシナリオであって、典型的には、自然世界の中に統合され、それに応答する、仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオは、実世界内のオブジェクトによってブロックされて見える、または別様にそれと相互作用するように知覚される、AR画像コンテンツを含んでもよい。
【0005】
図1を参照すると、拡張現実場面10が、描写されている。AR技術のユーザには、背景における人々、木々、建物を特徴とする実世界公園状設定20と、コンクリートプラットフォーム30とが見える。ユーザはまた、実世界プラットフォーム30上に立っているロボット像40と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ50等の「仮想コンテンツ」を「見ている」と知覚する。これらの要素50、40は、実世界には存在しないという点で、「仮想」である。ヒトの視知覚系は、複雑であって、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進する、AR技術の生成は、困難である。
【0006】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ARまたはVR技術に関連する種々の課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムが、提供される。ディスプレイシステムは、光を視認者に投影し、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成される、頭部搭載型ディスプレイを備える。ディスプレイは、光を視認者に投影するように構成される、1つ以上の導波管を備える。1つ以上の導波管はさらに、周囲環境内のオブジェクトからの光を視認者に透過するように構成される。ディスプレイはまた、1つ以上の導波管と視認者の第1の眼との間の第1の可変焦点レンズ要素と、1つ以上の導波管と周囲環境との間の第2の可変焦点レンズ要素とを備える。眼追跡システムは、視認者の眼の輻輳・開散運動(vergence)を決定するように構成される。ディスプレイシステムは、視認者の眼の決定された輻輳・開散運動に基づいて、第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節することによって、ユーザの眼の屈折誤差を補正するように構成される。
【0008】
いくつかの他の実施形態では、画像情報を頭部搭載型ディスプレイ上に表示するための方法が、提供される。本方法は、視認者の頭部上に搭載されるディスプレイを提供するステップを含み、ディスプレイは、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成される。ディスプレイは、光を視認者に投影し、画像情報を表示するように構成される、1つ以上の導波管を備える。1つ以上の導波管はさらに、周囲環境内のオブジェクトからの光を視認者に透過するように構成される。本方法はさらに、視認者の眼の輻輳・開散運動点を決定するステップと、視認者の眼の屈折誤差を補正するステップとを含む。屈折誤差は、決定された輻輳・開散運動点に基づいて、1つ以上の導波管と視認者の眼との間に配置される第1の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させるステップと、決定された輻輳・開散運動点に基づいて、1つ以上の導波管と視認者を囲繞する環境との間に配置される第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させるステップとによって、補正されてもよい。
【0009】
実施例1:ディスプレイシステムであって、
光を視認者に投影し、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成される頭部搭載型ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
光を視認者に投影するように構成される1つ以上の導波管であって、前記1つ以上の導波管は、周囲環境内のオブジェクトからの光を視認者に透過させるようにさらに構成される、1つ以上の導波管と、
1つ以上の導波管と視認者の第1の眼との間の第1の可変焦点レンズ要素と、
1つ以上の導波管と周囲環境との間の第2の可変焦点レンズ要素と
を備える、ディスプレイと、
視認者の眼の輻輳・開散運動を決定するように構成される眼追跡システムと
を備え、ディスプレイシステムは、視認者の眼の決定された輻輳・開散運動に基づいて、第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節することによって、ユーザの眼の屈折誤差を補正するように構成される、ディスプレイシステム。
【0010】
実施例2:ディスプレイシステムは、画像情報を表示するために、深度平面に応じて第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を修正するように構成される、実施例1に記載のディスプレイシステム。
【0011】
実施例3:ディスプレイシステムは、第1の可変焦点レンズ要素の屈折力に応答して、第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節するように構成される、実施例1-2のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0012】
実施例4:1つ以上の導波管は、発散光を視認者に投影し、画像情報を表示するように構成される、実施例1-3のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0013】
実施例5:1つ以上の導波管の各々は、固定屈折力を有する、実施例1-4のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0014】
実施例6:1つ以上の導波管と視認者の第2の眼との間の第3の可変焦点要素をさらに備える、実施例1-5のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0015】
実施例7:1つ以上の導波管と周囲環境との間の第4の可変焦点要素をさらに備える、実施例6に記載のディスプレイシステム。
【0016】
実施例8:システムは、決定された輻輳・開散運動に基づいて、第3の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節し、投影された光の波面を変動させるように構成される、実施例6-7のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0017】
実施例9:システムは、決定された輻輳・開散運動に基づいて、第4の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節し、周囲環境内のオブジェクトからの入射光の波面を変動させるように構成される、実施例6-8のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0018】
実施例10:眼追跡システムは、1つ以上のカメラを備える、実施例1-9のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0019】
実施例11:第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折力は、2つ以上の距離における視認者の視覚を補正するために、処方箋に従って調節される、実施例1-10のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0020】
実施例12:システムは、第1および第2の可変焦点レンズ要素の各々に対し、3つ以上の事前に設定された処方箋屈折力を有する、実施例1-11のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0021】
実施例13:利用可能な処方箋屈折力の数は、少なくともディスプレイのための深度平面の総数と等しい、実施例1-12のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0022】
実施例14:第1および/または第2の可変焦点レンズ要素は、2つの基板間に挟入された液晶の層を備える、実施例1-13のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0023】
実施例15:第1および/または第2の可変焦点レンズ要素は、電圧の印加に応じて液晶層の屈折率を改変するための電極を備える、実施例14に記載のディスプレイシステム。
【0024】
実施例16:基板は、ガラスを含む、実施例14-15に記載のディスプレイシステム。
【0025】
実施例17:電流または電圧の印加によって第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折率を変動させるように構成される電子ハードウェア制御システムをさらに備える、実施例1-16のいずれかに記載のディスプレイシステム。
【0026】
実施例18:眼追跡システムは、電子ハードウェア制御システムへのフィードバックループを形成し、視認者の眼の決定された輻輳・開散運動に従って、第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折率を変動させる、実施例17に記載のディスプレイシステム。
【0027】
実施例19:画像情報を頭部搭載型ディスプレイ上に表示するための方法であって、前記方法は、
視認者の頭部上に搭載されるディスプレイを提供することであって、ディスプレイは、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成され、ディスプレイは、
光を視認者に投影し、画像情報を表示するように構成される1つ以上の導波管
を備え、
1つ以上の導波管はさらに、周囲環境内のオブジェクトからの光を視認者に透過させるように構成される、ことと、
視認者の眼の輻輳・開散運動点を決定することと、
視認者の眼の屈折誤差を補正することであって、前記補正することは、
決定された輻輳・開散運動点に基づいて、1つ以上の導波管と視認者の眼との間に配置される第1の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることと、
決定された輻輳・開散運動点に基づいて、1つ以上の導波管と視認者を囲繞する環境との間に配置される第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることと
によって行われる、ことと
を含む、方法。
【0028】
実施例20:
第3の可変焦点レンズ要素および第4の可変焦点レンズ要素であって、第3の可変焦点レンズ要素は、1つ以上の導波管と視認者の他方の眼との間にあり、第4の可変焦点レンズ要素は、第3の可変焦点レンズの直前かつ1つ以上の導波管と周囲環境との間にある、第3の可変焦点レンズ要素および第4の可変焦点レンズ要素
をさらに備え、
決定された輻輳・開散運動点に基づいて、第3および第4の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることによって、他方の眼の屈折誤差を補正することを含む、実施例19に記載の方法。
【0029】
実施例21:輻輳・開散運動点を決定することは、1つ以上のカメラを使用して、視認者の両眼の輻輳・開散運動を追跡することを含む、実施例20に記載の方法。
【0030】
実施例22:第1の可変焦点レンズ要素の屈折力は、第2の可変焦点レンズ要素の屈折力と同時に変動される、実施例19-21のいずれかに記載の方法。
【0031】
実施例23:1つ以上の導波管の各々は、導波管からの発散光を出力するように構成される、回折光学要素を備える、実施例19-22のいずれかに記載の方法。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
ディスプレイシステムであって、
光を視認者に投影し、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成される頭部搭載型ディスプレイであって、前記ディスプレイは、
前記光を前記視認者に投影するように構成される1つ以上の導波管であって、前記1つ以上の導波管は、周囲環境内のオブジェクトからの光を前記視認者に透過させるようにさらに構成される、1つ以上の導波管と、
前記1つ以上の導波管と前記視認者の第1の眼との間の第1の可変焦点レンズ要素と、
前記1つ以上の導波管と周囲環境との間の第2の可変焦点レンズ要素と
を備える、ディスプレイと、
前記視認者の眼の輻輳・開散運動を決定するように構成される眼追跡システムと
を備え、
前記ディスプレイシステムは、前記視認者の眼の決定された輻輳・開散運動に基づいて、前記第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節することによって、前記ユーザの眼の屈折誤差を補正するように構成される、ディスプレイシステム。
(項目2)
前記ディスプレイシステムは、前記画像情報を表示するために、深度平面に応じて前記第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を修正するように構成される、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目3)
前記ディスプレイシステムは、前記第1の可変焦点レンズ要素の屈折力に応答して、前記第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節するように構成される、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目4)
前記1つ以上の導波管は、発散光を前記視認者に投影し、前記画像情報を表示するように構成される、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目5)
前記1つ以上の導波管の各々は、固定屈折力を有する、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目6)
前記1つ以上の導波管と前記視認者の第2の眼との間の第3の可変焦点要素をさらに備える、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目7)
前記1つ以上の導波管と周囲環境との間の第4の可変焦点要素をさらに備える、項目6に記載のディスプレイシステム。
(項目8)
前記システムは、前記決定された輻輳・開散運動に基づいて、前記第3の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節し、前記投影された光の波面を変動させるように構成される、項目6に記載のディスプレイシステム。
(項目9)
前記システムは、前記決定された輻輳・開散運動に基づいて、前記第4の可変焦点レンズ要素の屈折力を調節し、前記周囲環境内のオブジェクトからの入射光の波面を変動させるように構成される、項目8に記載のディスプレイシステム。
(項目10)
眼追跡システムは、1つ以上のカメラを備える、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目11)
前記第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折力は、2つ以上の距離における前記視認者の視覚を補正するために、処方箋に従って調節される、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目12)
前記システムは、前記第1および第2の可変焦点レンズ要素の各々に対し、3つ以上の事前に設定された処方箋屈折力を有する、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目13)
利用可能な処方箋屈折力の数は、少なくとも前記ディスプレイのための深度平面の総数と等しい、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目14)
前記第1および/または第2の可変焦点レンズ要素は、2つの基板間に挟入された液晶の層を備える、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目15)
前記第1および/または第2の可変焦点レンズ要素は、電圧の印加に応じて前記液晶層の屈折率を改変するための電極を備える、項目14に記載のディスプレイシステム。
(項目16)
前記基板は、ガラスを含む、項目14に記載のディスプレイシステム。
(項目17)
電流または電圧の印加によって前記第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折率を変動させるように構成される電子ハードウェア制御システムをさらに備える、項目1に記載のディスプレイシステム。
(項目18)
前記眼追跡システムは、前記電子ハードウェア制御システムへのフィードバックループを形成し、前記視認者の眼の決定された輻輳・開散運動に従って、前記第1および/または第2の可変焦点レンズ要素の屈折率を変動させる、項目17に記載のディスプレイシステム。
(項目19)
画像情報を頭部搭載型ディスプレイ上に表示するための方法であって、前記方法は、
視認者の頭部上に搭載されるディスプレイを提供することであって、前記ディスプレイは、画像情報を1つ以上の深度平面上に表示するように構成され、前記ディスプレイは、
光を前記視認者に投影し、前記画像情報を表示するように構成される1つ以上の導波管
を備え、
前記1つ以上の導波管はさらに、周囲環境内のオブジェクトからの光を前記視認者に透過させるように構成される、ことと、
前記視認者の眼の輻輳・開散運動点を決定することと、
前記視認者の眼の屈折誤差を補正することであって、前記補正することは、
前記決定された輻輳・開散運動点に基づいて、前記1つ以上の導波管と前記視認者の眼との間に配置される第1の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることと、
前記決定された輻輳・開散運動点に基づいて、前記1つ以上の導波管と前記視認者を囲繞する環境との間に配置される第2の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることと
によって行われる、ことと
を含む、方法。
(項目20)
第3の可変焦点レンズ要素および第4の可変焦点レンズ要素であって、前記第3の可変焦点レンズ要素は、前記1つ以上の導波管と前記視認者の他方の眼との間にあり、前記第4の可変焦点レンズ要素は、前記第3の可変焦点レンズの直前かつ前記1つ以上の導波管と周囲環境との間にある、第3の可変焦点レンズ要素および第4の可変焦点レンズ要素
をさらに備え、
前記決定された輻輳・開散運動点に基づいて、前記第3および第4の可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させることによって、前記他方の眼の屈折誤差を補正することを含む、項目19に記載の方法
(項目21)
前記輻輳・開散運動点を決定することは、1つ以上のカメラを使用して、前記視認者の両眼の輻輳・開散運動を追跡することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記第1の可変焦点レンズ要素の屈折力は、前記第2の可変焦点レンズ要素の屈折力と同時に変動される、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記1つ以上の導波管の各々は、前記導波管からの発散光を出力するように構成される、回折光学要素を備える、項目19に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、ARデバイスを通した拡張現実(AR)のユーザのビューを図示する。
図2図2は、ウェアラブルディスプレイシステムの実施例を図示する。
図3図3は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
図4図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図5図5A-5Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
図6図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。
図7図7は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を図示する。
図8図8は、スタックされた導波管アセンブリの実施例を図示し、各深度平面は、複数の異なる原色を使用して形成される画像を含む。
図9A図9Aは、それぞれ、内部結合光学要素を含む、スタックされた導波管のセットの実施例の断面側面図を図示する。
図9B図9Bは、図9Aの複数のスタックされた導波管の実施例の斜視図を図示する。
図9C図9Cは、図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の上下平面図を図示する。
図10A図10Aおよび10Bは、可変焦点レンズ要素と、1つ以上の導波管とを有する、ディスプレイの実施例の概略図である。図10Aは、単一導波管を伴う導波管スタックを示し、図10Bは、複数の導波管を伴う導波管スタックを示す。
図10B図10Aおよび10Bは、可変焦点レンズ要素と、1つ以上の導波管とを有する、ディスプレイの実施例の概略図である。図10Aは、単一導波管を伴う導波管スタックを示し、図10Bは、複数の導波管を伴う導波管スタックを示す。
図11図11は、眼追跡システムを備える、拡張現実システムの種々のコンポーネントの概略図を示す。
図12図12は、ユーザの眼の輻輳・開散運動に基づいて、可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させるための方法の実施例を描写する。
【0033】
図面は、例示的実施形態を図示するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に開示されるように、拡張現実(AR)システムは、依然として、視認者が、自身の周囲の世界を見ることを可能にしながら、仮想コンテンツを視認者に表示し得る。好ましくは、本コンテンツは、例えば、画像情報を視認者の眼に投影し、周囲環境からの光をそれらの眼に透過させながら、その周囲環境のビューも可能にする、アイウェアの一部として、頭部搭載型ディスプレイ上に表示される。
【0035】
しかしながら、多くの視認者は、光が自身の眼の網膜に正確に集束させることを妨害する、屈折誤差を伴う眼を有する。屈折誤差の実施例は、近視、遠視、老眼、および乱視を含む。これらの視認者は、ディスプレイによって投影された画像情報を明確に視認するために、特定の処方箋屈折力を伴うレンズ要素を要求し得る。いくつかの実施形態では、そのようなレンズ要素は、画像情報を投影するための導波管と視認者の眼との間に位置付けられてもよい。望ましくないことに、これらのレンズ要素と、可能性として、導波管等のディスプレイの他の光学透過部品とは、周囲環境の視認者のビューに収差を生じさせ得る。加えて、多くのレンズ要素は、視認者によって被られる屈折誤差の全てに対処し得ない、固定屈折力を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、導波管または複数の導波管を挟入する(その両側に位置付けられる)、第1および第2の可変焦点レンズ要素を含む。第1のレンズ要素は、1つ以上の導波管と視認者の眼との間にあってもよく、1つ以上の導波管からその眼に投影される光の集束における屈折誤差を補正するように構成されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、第1のレンズ要素は、適切な量の屈折力を提供し、表示される仮想コンテンツを所望の深度平面上に設置するように構成されてもよい。第2のレンズ要素は、周囲環境と1つ以上の導波管との間にあってもよく、屈折力を提供し、導波管および第1のレンズ要素を通した周囲環境からの光の透過における収差を補償するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、視認者の他方の眼における屈折誤差は、別個に補正されてもよい。例えば、他方の眼と導波管との間の第3の可変焦点レンズ要素と、導波管と周囲環境との間の第4の可変焦点レンズ要素とが、本他方の眼における屈折誤差を補正するために使用されてもよい。可変焦点要素の焦点距離/屈折力は、実世界および/または仮想コンテンツがユーザの眼の網膜上に集束され、それによって、ユーザが高い光学的画像品質を伴って実および仮想オブジェクトの両方を視認することを可能にするように変動されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、視認者の眼の輻輳・開散運動を決定するように構成される眼追跡システムを含む、ディスプレイシステムの一部である。眼追跡システムは、例えば、眼の輻輳・開散運動点を決定する、1つ以上のカメラであってもよく、その結果、眼が集束される距離を決定し、その距離に対して眼の適切な補正を導出するために利用されてもよい。異なる補正が、異なる輻輳・開散運動点のために要求され得、例えば、異なる補正が、視認者の眼が近距離、遠距離、または中間距離のオブジェクトに適切に集束するために要求され得る(実または仮想オブジェクトにかかわらず)ことを理解されたい。いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素が可変屈折力を提供する能力は、例えば、処方箋眼鏡またはコンタクトレンズに容易に利用可能ではない、段階的補正を可能にし得る。例えば、2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、または5つ以上の一意の補正(いくつかの実施形態では、各眼に対して)が、利用可能であり得る。
【0038】
固定処方箋光学装置を装着する代わりに、可変焦点レンズ要素が、所望の補正をユーザに提供するために構成されてもよい。例えば、拡張現実ディスプレイシステムは、異なる深度平面から投影された仮想オブジェクトおよび/または異なる距離における実世界オブジェクトのための異なる屈折力を提供するように構成されてもよい。例えば、近見視力補正を要求するユーザに関して、可変焦点レンズ要素は、ユーザが近見視力域に対応する距離に位置する仮想オブジェクトまたは実世界オブジェクトを視認するとき、近見視力屈折力を提供するように構成されてもよい。別の実施例として、中間距離視力補正を要求するユーザに関して、可変焦点レンズ要素は、ユーザが中間距離視力域に対応する距離に位置する仮想オブジェクトまたは実世界オブジェクトを視認するとき、中間距離視力屈折力を提供するように構成されてもよい。さらに別の実施例として、遠見視力補正を要求するユーザに関して、可変焦点レンズ要素は、ユーザが遠見視力域に対応する距離に位置する仮想オブジェクトまたは実世界オブジェクトを視認するとき、遠見視力屈折力を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、近見視力補正、中間距離視力補正、および遠見視力補正のためのユーザの処方箋が、ディスプレイシステムによってアクセスされてもよく、システムは、ユーザが近見視力域、中間距離視力域、および遠見視力域に対応する距離に位置する仮想オブジェクトまたは実世界オブジェクトを視認するとき、ユーザの処方箋に従って、可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させてもよい。
【0039】
有利には、第1および/または第2のレンズ要素は、同一頭部搭載型ディスプレイが、補正レンズ要素を物理的に変更せずに、種々のユーザによって使用されることを可能にし得る。むしろ、ディスプレイは、ユーザに適合する。加えて、可変焦点レンズ要素は、適切な屈折力を提供し、1つ以上の導波管から投影された画像情報を所望の深度平面上に設置するように構成されてもよい。例えば、可変焦点レンズ要素は、1つ以上の導波管から視認者に投影される光の発散を変動させるように構成されてもよい。可変焦点レンズ要素によって提供される適合性は、同一ディスプレイが、提供され、異なるユーザによって使用され得、より少ない光学構造が、画像情報をある範囲の深度平面上に表示するために要求され得るため、ディスプレイの製造および設計を単純化するための利点を提供し得る。さらに、広範囲の補正をリアルタイムでもたらす能力は、従来の補正眼鏡を用いて容易に利用可能なものより多数の段階的補正を可能にし得る。これは、世界の視認者のビューおよび表示される画像情報の鮮明度および/または鮮鋭度を改良し得、また、長期のユーザの快適性を促進し得る。加えて、可変焦点レンズ要素は、例えば、ユーザが、加齢し、一方または両方の眼の状態が変化したとき、単に、ディスプレイシステムの中にプログラムされる事前に設定された補正を変更し、それによって、ディスプレイが新しいユーザの処方箋に容易に適合することを可能にすることによって、異なる処方箋を用いて構成されてもよい。
【0040】
ここで、図面を参照するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。
【0041】
図2は、ウェアラブルディスプレイシステム60の実施例を図示する。ディスプレイシステム60は、ディスプレイ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子的なモジュールおよびシステムとを含む。ディスプレイ70は、フレーム80に結合されてもよく、これは、ディスプレイシステムユーザまたは視認者90によって装着可能であって、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態においてはアイウェアと見なされてもよい。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられるように構成される(いくつかの実施形態では、示されない別のスピーカが、随意に、ユーザの他方の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/成形可能音制御を提供してもよい)。ディスプレイシステムはまた、1つ以上のマイクロホン110または他のデバイスを含み、音を検出してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロホンは、ユーザが、入力またはコマンドをシステム60に提供することを可能にするように構成され(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にしてもよい。マイクロホンはさらに、周辺センサとして構成され、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)を収集してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムもまた、周辺センサ120aを含んでもよく、これは、フレーム80と別個であって、ユーザ90の身体(例えば、ユーザ90の頭部、胴体、四肢等上)に取り付けられてもよい。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特徴付けるデータを取得するように構成されてもよい。例えば、センサ120aは、電極であってもよい。
【0042】
図2を継続して参照すると、ディスプレイ70は、有線導線または無線コネクティビティ等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、これは、フレーム80に固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホン内に埋設される、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成、ベルト結合式構成において)等、種々の構成で搭載されてもよい。同様に、センサ120aは、通信リンク120b、例えば、有線導線または無線コネクティビティによって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合されてもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサと、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリとを備えてもよく、これらの両方は、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用されてもよい。データは、a)センサ(例えば、画像捕捉デバイス(カメラ等)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ(例えば、フレーム80に動作可能に結合され得るかまたは別様にユーザ90に取り付けられ得る))から捕捉されたデータ、および/または、b)可能性として処理または読出後にディスプレイ70への通過のための遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して取得および/または処理されたデータを含む。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が相互に動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンクを介して等、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つ以上のものは、フレーム80に取り付けられてもよい、または有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する、独立構造であってもよい。
【0043】
図2を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、遠隔処理モジュール150は、データおよび/または画像情報を分析および処理するように構成される、1つ以上のプロセッサを備えてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得る、デジタルデータ記憶設備を備えてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、1つ以上の遠隔サーバを含んでもよく、これは、情報(例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報)をローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に提供する。いくつかの実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての計算は、ローカル処理およびデータモジュール内で行われ、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。
【0044】
ここで図3を参照すると、「3次元」または「3-D」としての画像の知覚は、視認者の各眼への画像の若干異なる提示を提供することによって達成され得る。図3は、ユーザに関する3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。各眼210、220に対して1つの2つの明確に異なる画像190、200が、ユーザに出力される。画像190、200は、視認者の視線と平行な光学軸またはz-軸に沿って距離230だけ眼210、220から離間される。画像190、200は、平坦であって、眼210、220は、単一の遠近調節された状態をとることによって、画像上に合焦し得る。そのような3-Dディスプレイシステムは、ヒト視覚系に依拠し、画像190、200を組み合わせ、組み合わせられた画像の深度および/または尺度の知覚を提供する。
【0045】
しかしながら、ヒト視覚系は、より複雑であって、深度の現実的知覚を提供することは、より困難であることを理解されたい。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くの視認者は、そのようなシステムが不快であることを見出す、または深度の感覚を全く知覚しない場合がある。理論によって限定されるわけではないが、オブジェクトの視認者は、輻輳・開散運動(vergence)および遠近調節(accommodation)の組み合わせに起因して、オブジェクトを「3次元」として知覚し得ると考えられる。相互に対する2つの眼の輻輳・開散運動の移動(例えば、瞳孔が、眼の視線を収束させ、オブジェクトを凝視するための相互に向かって、またはそこから離れるように移動する、眼の転動)は、眼の水晶体および瞳孔の集束(または「遠近調節」)と密接に関連付けられる。通常条件下では、眼の水晶体の焦点を変化させること、または、眼を遠近調節し、1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに焦点を変化させることは、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」および瞳孔拡張または収縮として知られる関係下、同一距離までの輻輳・開散運動における整合的変化を自動的に生じさせるであろう。同様に、輻輳・開散運動における変化は、正常条件下では、水晶体形状および瞳孔サイズの遠近調節における整合変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、各眼への若干異なる提示(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を表示する。しかしながら、そのようなシステムは、とりわけ、単に、場面の異なる提示を提供するが、眼が全画像情報を単一の遠近調節された状態において視認すると、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」に対抗して機能するため、多くの視認者にとって不快である。遠近調節と輻輳・開散運動との間のより優れた整合を提供するディスプレイシステムは、3次元画像のより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0046】
図4は、複数の深度平面を使用して3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。図4を参照すると、z-軸上の眼210、220からの種々の距離におけるオブジェクトは、それらのオブジェクトが合焦するように、眼210、220によって遠近調節される。眼210、220は、特定の遠近調節された状態をとり、z-軸に沿って異なる距離においてオブジェクトに合焦する。その結果、特定の遠近調節された状態は、特定の深度平面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部が、眼がその深度平面のための遠近調節された状態にあるとき合焦するように、関連付けられた焦点距離を有する、深度平面240のうちの特定の1つと関連付けられると言え得る。いくつかの実施形態では、3次元画像は、各眼210、220に対して画像の異なる提示を提供することによって、また、深度平面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによってシミュレートされてもよい。例証を明確にするために、別個であるように示されるが、眼210、220の視野は、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて重複し得ることを理解されたい。加えて、例証を容易にするために、平坦として示されるが、深度平面の輪郭は、深度平面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と合焦するように、物理的空間内で湾曲され得ることを理解されたい。
【0047】
オブジェクトと眼210または220との間の距離はまた、その眼によって視認されるようなそのオブジェクトからの光の発散の量を変化させ得る。図5A-5Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。図5A-5Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成される光場は、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率は、オブジェクトと眼210との間の距離の減少に伴って増加する。その結果、異なる深度平面では、光線の発散度もまた、異なり、発散度は、深度平面と視認者の眼210との間の距離の減少に伴って増加する。単眼210のみが、例証を明確にするために、図5A-5Cおよび本明細書の種々の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、視認者の両眼210および220に適用され得ることを理解されたい。
【0048】
理論によって限定されるわけではないが、ヒトの眼は、典型的には、有限数の深度平面を解釈し、深度知覚を提供することができると考えられる。その結果、知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼にこれらの限定数の深度平面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、視認者の眼によって別個に集束され、それによって、異なる深度平面上に位置する場面のための異なる画像特徴に合焦させるために要求される眼の遠近調節に基づいて、および/または焦点がずれている異なる深度平面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度合図を提供することに役立ててもよい。
【0049】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、図2のシステム60であって、図6は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に概略的に示す。例えば、導波管アセンブリ260は、図2のディスプレイ70の一部であってもよい。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、ライトフィールドディスプレイと見なされてもよいことを理解されたい。加えて、導波管アセンブリ260はまた、接眼レンズとも称され得る。
【0050】
図6を継続して参照すると、導波管アセンブリ260はまた、複数の特徴320、330、340、350を導波管間に含んでもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つ以上のレンズであってもよい。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて画像情報を眼に送信するように構成されてもよい。各導波管レベルは、特定の深度平面と関連付けられてもよく、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成されてもよい。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能してもよく、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用されてもよく、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力するために各個別の導波管を横断して入射光を分散させるように構成されてもよい。光は、画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500はそれぞれ、対応する導波管の縁であってもよい、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510または視認者の眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であってもよい。いくつかの実施形態では、光の単一ビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され、クローン化されたコリメートビームの全体場を出力してもよく、これは、特定の導波管と関連付けられた深度平面に対応する特定の角度(および発散量)において眼210に向かって指向される。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310と関連付けられ、その中に光を投入してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400はそれぞれ、それぞれ対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のために画像情報を生成する、離散ディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、例えば、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して画像投入デバイス360、370、380、390、400のそれぞれに送り得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色(例えば、本明細書に議論されるように、異なる原色)の光を含んでもよいことを理解されたい。
【0052】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、これは、光モジュール540を備え、これは、発光ダイオード(LED)等の光エミッタを含んでもよい。光モジュール540からの光は、ビームスプリッタ550を介して、光変調器530、例えば、空間光変調器によって指向および修正されてもよい。光変調器530は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を変化させるように構成されてもよい。空間光変調器の実施例は、液晶ディスプレイ(LCD)を含み、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、概略的に図示され、いくつかの実施形態では、これらの画像投入デバイスは、光を導波管270、280、290、300、310の関連付けられたものの中に出力するように構成される、共通投影システム内の異なる光経路および場所を表し得ることを理解されたい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に、最終的には、視認者の眼210に投影するように構成される、1つ以上の走査ファイバを備える、走査ファイバディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を概略的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を概略的に表し得、それぞれ、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられた1つの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール540から1つ以上の導波管270、280、290、300、310に透過するように構成されてもよいことを理解されたい。1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に再指向してもよいことを理解されたい。
【0054】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源540、および光モジュール530の動作を含む、スタックされた導波管アセンブリ260のうちの1つ以上のものの動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、例えば、本明細書に開示される種々のスキームのいずれかに従って、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよびプロビジョニングを調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一の一体型デバイスまたは有線または無線通信チャネルによって接続される分散型システムであってもよい。コントローラ560は、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(図2)の一部であってもよい。
【0055】
図6を継続して参照すると、導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって各個別の導波管内で光を伝搬するように構成されてもよい。導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、主要上部表面および主要底部表面およびそれらの主要上部表面と主要底部表面との間に延在する縁を伴う、平面であるかまたは別の形状(例えば、湾曲)を有してもよい。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含んでもよく、これらの外部結合光学要素は、画像情報を眼210に出力するために、各個別の導波管内で伝搬する光を導波管から再指向させることによって、光を導波管から抽出するように構成される。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、外部結合光学要素はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内を伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折光学特徴を含む、格子であってもよい。説明の容易性および図面の明確性のために、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、本明細書にさらに議論されるように、上部主要表面および/または底部主要表面に配置されてもよい、および/または導波管270、280、290、300、310の体積内に直接配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する、材料の層内に形成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、材料のモノリシック部品であってもよく、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、材料のその部品の表面上および/またはその内部に形成されてもよい。
【0056】
図6を継続して参照すると、本明細書に議論されるように、各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光(そのような導波管270の中に投入された)を送達するように構成されてもよい。コリメートされた光は、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達し得る前に、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通して通過する、コリメートされた光を送出するように構成されてもよい。そのような第1のレンズ350は、眼/脳が、その次の上方の導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるように解釈するように、若干の凸面波面曲率を生成するように構成されてもよい。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前に、その出力光を第1のレンズ350および第2のレンズ340の両方を通して通過させる。第1のレンズ350および第2のレンズ340の組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が次の上方の導波管280からの光であったよりも光学無限遠から人物に向かって内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるように解釈するように、別の漸増量の波面曲率を生成するように構成されてもよい。
【0057】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最高導波管310は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約力を補償してもよい。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面は両方とも、静的であってもよい(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方とも、電気活性特徴を使用して動的であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つ以上のものは、同一の関連付けられた深度平面を有してもよい。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度平面に設定される画像を出力するように構成されてもよい、または導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、各深度平面に対して1つのセットを伴う、同一の複数の深度平面に設定される画像を出力するように構成されてもよい。これは、それらの深度平面において拡張された視野を提供するようにタイリングされた画像を形成する利点を提供し得る。
【0059】
図6を継続して参照すると、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管と関連付けられた特定の深度平面のために、光をその個別の導波管から再指向させることと、本光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力することとの両方を行うように構成されてもよい。その結果、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有してもよく、これは、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積特徴または表面特徴であってもよく、これは、具体的角度において光を出力するように構成されてもよい。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、体積ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではなくてもよい。むしろ、それらは、単に、スペーサ(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、回折パターンまたは「回折光学要素」(また、本明細書では、「DOE」とも称される)を形成する、回折特徴である。好ましくは、DOEは、ビームの光の一部のみがDOEの各交差部で眼210に向かって偏向される一方、残りがTIRを介して導波管を通して移動し続けるように、十分に低い回折効率を有する。画像情報を搬送する光は、したがって、様々な場所において導波管から出射するいくつかの関連出射ビームに分割され、その結果は、導波管内でバウンスする本特定のコリメートされたビームに関して、眼210に向かって非常に均一なパターンで出射する放出となる。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上のDOEは、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切替可能であってもよい。例えば、切替可能なDOEは、ポリマー分散液晶の層を備えてもよく、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを備え、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を著しく回折させない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに整合しない屈折率に切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折させる)。
【0062】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光および赤外線光カメラを含む、デジタルカメラ)が、眼210および/または眼210の周囲の組織の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出する、および/またはユーザの生理学的状態を監視するために提供されてもよい。本明細書で使用されるように、カメラは、任意の画像捕捉デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、赤外線光)を眼に投影し、その光が、次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る、光源とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(図2)に取り付けられてもよく、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し得る、処理モジュール140および/または150と電気通信してもよい。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、各眼に対して利用され、各眼を別個に監視してもよい。
【0063】
ここで図7を参照すると、導波管によって出力された出射ビームの実施例が、示される。1つの導波管が図示されるが、導波管アセンブリ260(図6)内の他の導波管も同様に機能し得、導波管アセンブリ260は、複数の導波管を含むことを理解されたい。光640が、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって導波管270内を伝搬する。光640がDOE570上に衝突する点では、光の一部は、導波管から出射ビーム650として出射する。出射ビーム650は、略平行として図示されるが、本明細書に議論されるように、これらはまた、導波管270と関連付けられた深度平面に応じて、ある角度(例えば、発散出射ビームを形成する)において眼210に伝搬するように再指向されてもよい。略平行出射ビームは、眼210からの遠距離(例えば、光学無限遠)における深度平面に設定されるように現れる画像を形成するように光を外部結合する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得ることを理解されたい。他の導波管または他の外部結合光学要素のセットは、より発散する、出射ビームパターンを出力してもよく、これは、眼210がより近い距離に遠近調節し、それが網膜に合焦することを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0064】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像が、原色、例えば、3つ以上の原色のそれぞれに画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成されてもよい。図8は、スタックされた導波管アセンブリの実施例を図示し、各深度平面は、複数の異なる原色を使用して形成される画像を含む。図示される実施形態は、深度平面240a-240fを示すが、より多いまたはより少ない深度もまた、検討される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含む、それと関連付けられた3つ以上の原色画像を有してもよい。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続くジオプタ(dpt)に関する異なる数字によって図に示される。単なる実施例として、これらの文字のそれぞれに続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、視認者からの深度平面の逆距離を示し、図中の各ボックスは、個々の原色画像を表す。いくつかの実施形態では、異なる波長の光の眼の集束における差異を考慮するために、異なる原色に関する深度平面の正確な場所は、変動してもよい。例えば、所与の深度平面に関する異なる原色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置されてもよい。そのような配列は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、および/または色収差を減少させ得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、各原色の光は、単一の専用導波管によって出力されてもよく、その結果、各深度平面は、それと関連付けられた複数の導波管を有してもよい。そのような実施形態では、文字G、R、またはBを含む、図中の各ボックスは、個々の導波管を表すものと理解され得、3つの導波管は、深度平面毎に提供されてもよく、3つの原色画像が、深度平面毎に提供される。各深度平面と関連付けられた導波管は、本図面では、説明を容易にするために相互に隣接して示されるが、物理的デバイスでは、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックで配列されてもよいことを理解されたい。いくつかの他の実施形態では、複数の原色が、例えば、単一の導波管のみが深度平面毎に提供され得るように、同一の導波管によって出力されてもよい。
【0066】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、Gは、緑色であって、Rは、赤色であって、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態では、マゼンタ色およびシアン色を含む、光の他の波長と関連付けられた他の色も、赤色、緑色、または青色のうちの1つ以上のものに加えて使用されてもよい、またはそれらに取って代わってもよい。
【0067】
本開示全体を通した所与の光の色の言及は、その所与の色として視認者によって知覚される、光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含するものと理解されると理解されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含んでもよく、緑色光は、約492~577nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含んでもよく、青色光は、約435~493nmの範囲内である1つ以上の波長の光を含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、光源540(図6)は、視認者の視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、赤外線および/または紫外線波長の光を放出するように構成されてもよい。加えて、ディスプレイ250の導波管の内部結合、外部結合、および他の光再指向構造は、例えば、イメージング用途および/またはユーザ刺激用途のために、本光をディスプレイからユーザの眼210に向かって指向および放出するように構成されてもよい。
【0069】
ここで図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管に衝突する光は、その光を導波管の中に内部結合するために再指向される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に再指向および内部結合するために使用されてもよい。図9Aは、各々が内部結合光学要素を含む複数またはセットのスタックされた導波管660の実施例の断面側面図を図示する。導波管はそれぞれ、1つ以上の異なる波長または1つ以上の異なる波長範囲の光を出力するように構成されてもよい。スタック660は、スタック260(図6)に対応してもよく、スタック660の図示される導波管は、複数の導波管270、280、290、300、310の一部に対応してもよいが、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの1つ以上のものからの光が、内部結合のために光が再指向されることを要求する位置から、導波管の中に投入されることを理解されたい。
【0070】
スタックされた導波管の図示されるセット660は、導波管670、680、および690を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力面積とも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素700は、導波管670の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素710は、導波管680の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素720は、導波管690の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720のうちの1つ以上のものは、個別の導波管670、680、690の底部主要表面上に配置されてもよい(特に、1つ以上の内部結合光学要素は、反射性偏向光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、その個別の導波管670、680、690の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置されてもよく、特に、それらの内部結合光学要素は、透過性偏向光学要素である。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720は、個別の導波管670、680、690の本体内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、他の光の波長を透過させながら、光の1つ以上の波長を選択的に再指向させるように波長選択的である。その個別の導波管670、680、690の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素700、710、720は、いくつかの実施形態では、その個別の導波管670、680、690の他の面積内に配置されてもよいことを理解されたい。
【0071】
図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、相互から側方にオフセットされてもよい。いくつかの実施形態では、各内部結合光学要素は、それが光を受信し、その光が別の内部結合光学要素を通して通過しないように、オフセットされてもよい。例えば、各内部結合光学要素700、710、720は、図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス360、370、380、390、および400から受信するように構成されてもよく、光を内部結合光学要素700、710、720の他のものから実質的に受信しないように、他の内部結合光学要素700、710、720から分離されてもよい(例えば、側方に離間される)。
【0072】
各導波管はまた、関連付けられた光分散要素を含み、例えば、光分散要素730は、導波管670の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素740は、導波管680の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素750は、導波管690の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態では、光分散要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の底部主要表面上に配置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、光分散要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の上部および底部両方の主要表面上に配置されてもよい、または光分散要素730、740、750は、それぞれ、異なる関連付けられた導波管670、680、690内の上部主要表面および底部主要表面の異なるもの上に配置されてもよい。
【0073】
導波管670、680、690は、例えば、材料のガス、液体および/または固体層によって離間および分離されてもよい。例えば、図示されるように、層760aは、導波管670および680を分離してもよく、層760bは、導波管680および690を分離してもよい。いくつかの実施形態では、層760aおよび760bは、低屈折率材料(すなわち、導波管670、680、690の直近のものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。好ましくは、層760a、760bを形成する材料の屈折率は、導波管670、680、690を形成する材料の屈折率の0.05以上または0.10以下である。有利には、より低い屈折率の層760a、760bは、導波管670、680、690を通る光の全内部反射(TIR)(例えば、各導波管の上部主要表面および底部主要表面間のTIR)を促進する、クラッディング層として機能してもよい。いくつかの実施形態では、層760a、760bは、空気から形成される。図示されないが、導波管の図示されるセット660の上部および底部は、直近クラッディング層を含んでもよいことを理解されたい。
【0074】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管670、680、690を形成する材料は、類似または同一であって、層760a、760bを形成する材料は、類似または同一である。いくつかの実施形態では、導波管670、680、690を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なってもよい、および/または、層760a、760bを形成する材料は、依然として、前述の種々の屈折率関係を保持しながら、異なってもよい。
【0075】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790が、導波管のセット660に入射する。光線770、780、790は、1つ以上の画像投入デバイス360、370、380、390、400(図6)によって導波管670、680、690の中に投入されてもよいことを理解されたい。
【0076】
いくつかの実施形態では、光線770、780、790は、異なる色に対応し得る、異なる性質、例えば、異なる波長または異なる波長範囲を有する。内部結合光学要素700、710、720はそれぞれ、光が、TIRによって、導波管670、680、690のうちの個別の1つを通して伝搬するように、入射光を偏向させる。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720はそれぞれ、他の波長を下層導波管および関連付けられた内部結合光学要素に透過させながら、1つ以上の特定の光の波長を選択的に偏向させる。
【0077】
例えば、内部結合光学要素700は、それぞれ、異なる第2および第3の波長または波長範囲を有する、光線780および790を透過させながら、第1の波長または波長範囲を有する光線770を偏向させるように構成されてもよい。透過された光線780は、第2の波長または波長範囲の光を偏向させるように構成される、内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向される。光線790は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成される、内部結合光学要素720によって偏向される。
【0078】
図9Aを継続して参照すると、偏向された光線770、780、790は、対応する導波管670、680、690を通して伝搬するように偏向される。すなわち、各導波管の内部結合光学要素700、710、720は、光をその対応する導波管670、680、690の中に偏向させ、光を対応する導波管の中に内部結合する。光線770、780、790は、光をTIRによって個別の導波管670、680、690を通して伝搬させる角度で偏向される。光線770、780、790は、導波管の対応する光分散要素730、740、750に衝突するまで、TIRによって個別の導波管670、680、690を通して伝搬する。
【0079】
ここで図9Bを参照すると、図9Aの複数のスタックされた導波管の実施例の斜視図が、図示される。前述のように、内部結合された光線770、780、790は、それぞれ、内部結合光学要素700、710、720によって偏向され、次いで、それぞれ、導波管670、680、690内でTIRによって伝搬する。光線770、780、790は、次いで、それぞれ、光分散要素730、740、750に衝突する。光分散要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820に向かって伝搬するように、光線770、780、790を偏向させる。
【0080】
いくつかの実施形態では、光分散要素730、740、750は、直交瞳エクスパンダ(OPE)である。いくつかの実施形態では、OPEは、光を外部結合光学要素800、810、820に偏向または分散させ、いくつかの実施形態では、また、外部結合光学要素に伝搬するにつれて、本光のビームまたはスポットサイズを増加させ得る。いくつかの実施形態では、光分散要素730、740、750は、省略されてもよく、内部結合光学要素700、710、720は、光を外部結合光学要素800、810、820に直接偏向させるように構成されてもよい。例えば、図9Aを参照すると、光分散要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820と置換されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素800、810、820は、光を視認者の眼210(図7)に指向させる、射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。OPEは、少なくとも1つの軸においてアイボックスの寸法を増加させるように構成されてもよく、EPEは、OPEの軸と交差する、例えば、直交する軸においてアイボックスを増加させてもよいことを理解されたい。例えば、各OPEは、光の残りの部分が導波管を辿って伝搬し続けることを可能にしながら、OPEに衝打する光の一部を同一導波管のEPEに再指向するように構成されてもよい。OPEへの衝突に応じて、再び、残りの光の別の部分は、EPEに再指向され、その部分の残りの部分は、導波管等を辿ってさらに伝搬し続ける。同様に、EPEへの衝打に応じて、衝突光の一部は、導波管からユーザに向かって指向され、その光の残りの部分は、EPに再び衝打するまで、導波管を通して伝搬し続け、その時点で、衝突する光の別の部分は、導波管から指向される等となる。その結果、内部結合された光の単一ビームは、その光の一部がOPEまたはEPEによって再指向される度に、「複製」され、それによって、図6に示されるように、クローン化された光のビーム野を形成し得る。いくつかの実施形態では、OPEおよび/またはEPEは、光のビームのサイズを修正するように構成されてもよい。
【0081】
故に、図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管のセット660は、各原色に対し、導波管670、680、690と、内部結合光学要素700、710、720と、光分散要素(例えば、OPE)730、740、750と、外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820とを含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされてもよい。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受信する異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる。光は、次いで、個別の導波管670、680、690内にTIRをもたらすであろう角度で伝搬する。示される実施例では、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって偏光され、次いで、導波管を辿ってバウンスし続け、光分散要素(例えば、OPE)730、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)800と相互作用する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色光および赤色光)は、導波管670を通して通過し、光線780は、内部結合光学要素710上に入射し、それによって偏向される。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680を辿ってバウンスし、その光分散要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)810に進むであろう。最後に、光線790(例えば、赤色光)は、導波管690を通して通過し、導波管690の光内部結合光学要素720に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって光分散要素(例えば、OPE)750に伝搬し、次いで、TIRによって外部結合光学要素(例えば、EP)820に伝搬するように、光線790を偏向させる。外部結合光学要素820は、次いで、最後に、光線790を視認者に外部結合し、視認者はまた、他の導波管670、680からの外部結合した光も受信する。
【0082】
図9Cは、図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の上下平面図を図示する。図示されるように、導波管670、680、690は、各導波管の関連付けられた光分散要素730、740、750および関連付けられた外部結合光学要素800、810、820とともに、垂直に整合されてもよい。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、垂直に整合されない。むしろ、内部結合光学要素は、好ましくは、非重複する(例えば、上下図に見られるように、側方に離間される)。本明細書でさらに議論されるように、本非重複空間配列は、1対1ベースで異なるリソースから異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、具体的光源が具体的導波管に一意に結合されることを可能にする。いくつかの実施形態では、非重複の空間的に分離される内部結合光学要素を含む配列は、偏移瞳システムと称され得、これらの配列内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
【0083】
ここで、図10Aおよび10Bを参照する。上記に説明されるもの等の拡張現実ディスプレイのいくつかの実施形態は、拡張現実システム内に含まれる可変焦点レンズ要素の焦点距離を調整することによって、光の波面を調節するように構成されてもよい(拡張現実システムから投影される画像情報のための光および周囲実世界内のオブジェクトからの入射光を含む)。上記に議論されるように、拡張現実システムは、光をユーザまたは視認者(例えば、図2の視認者またはユーザ90)の眼に向かって投影する、複数のスタックされた導波管(例えば、図9Aおよび9Bの複数またはセットのスタックされた導波管660に対応する、または図6のスタックされた導波管アセンブリ260に対応する)を含み得る、ディスプレイデバイスを備えてもよい。いくつかの他の実施形態では、ディスプレイデバイスは、単一導波管のみを含んでもよい。その結果、複数の導波管が、本明細書の開示の種々の部分で参照されるが、複数の導波管は、単一導波管によって置換されてもよいことを理解されたい。
【0084】
本明細書に議論されるように、導波管から投影された光は、仮想拡張現実画像情報を視認者に提供するために使用されてもよい。光は、ユーザが、視認者からの1つ以上の異なる深度または距離から生じるように光を知覚するように投影されてもよい。ディスプレイデバイスは、ユーザにディスプレイデバイスを通して周囲環境内の実世界オブジェクトが見えるように、光学的に透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、導波管は、固定屈折力を有するように構成されてもよい。投影された光が異なる深度から生じるような外観を提供するために、導波管は、異なる深度平面に対応する異なる発散量を伴う光の発散ビームを出力するように構成されてもよい。
【0085】
導波管の固定屈折力は、視認者の眼が、好適な遠近調節範囲を有し、導波管によって出力された光を集束させると想定していることを理解されたい。しかしながら、前述のように、一部の視認者は、明確に見えるように補正レンズを要求し得、その結果、導波管から出力された画像情報は、そのような視認者に明確に見えない場合がある。いくつかの実施形態では、第1の可変焦点レンズ要素が、導波管と視認者の眼との間に提供され、導波管によって出力された光の波面に対して適切な調節を提供し、本光が視認者の眼によって正しく集束されることを可能にしてもよい。しかしながら、本第1のレンズ要素もまた、周囲環境から視認者の眼に伝搬する光の経路内にある。その結果、第1のレンズ要素は、周囲環境からの光の波面を修正し、それによって、収差を世界の視認者のビューに生じさせ得る。そのような収差を補正するために、第2の可変焦点レンズ要素が、第1の可変焦点レンズ要素とは複数のスタックされた導波管の反対側に配置されてもよい。すなわち、第2の可変焦点レンズ要素は、複数のスタックされた導波管と周囲実世界との間にあって、周囲環境内の実世界オブジェクトからの光の波面を調節してもよい。第2の可変焦点レンズ要素は、第1の可変焦点レンズ要素によって生じる収差を補償するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の可変焦点レンズもまた、導波管によって生じる収差を補償するように構成されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、第2の可変焦点レンズ要素の焦点は、第1の可変焦点レンズ要素の焦点の反転または反対であってもよい。例えば、第1の可変焦点レンズ要素が、正の屈折力を有する場合、第2の可変焦点レンズ要素は、負の屈折力を有してもよく、これは、類似した大きさであってもよい。いくつかの他の実施形態では、第1の可変焦点レンズ要素の屈折力および介在導波管の屈折力の両方を補償するために、第2のレンズ要素の屈折力は、第1のレンズ要素および導波管の集約屈折力と反対かつ類似した大きさであってもよい。
【0087】
いくつかの他の実施形態では、導波管は、屈折力を有していなくてもよく(例えば、導波管は、コリメートされた光を出力するように構成されてもよく)、第1の可変焦点レンズ要素は、導波管から放出される光の波面を修正し、画像情報が特定の深度平面上にあるように視認者によって解釈されるために適切な発散量を提供するように構成されてもよい。適切な発散量は、画像情報を特定の深度平面上に設置するための屈折力が、その深度平面のための視認者の光学処方箋を考慮するために特定の差異によって調節され得るので、異なる視認者のために変動し得ることを理解されたい。そのような実施形態では、第1および第2の可変焦点レンズ要素間の導波管スタックは、単に、単一導波管によって形成されてもよい。
【0088】
第1および第2の可変焦点レンズ要素は、視認者の眼のうちの一方のために提供されてもよく、第1および第2の可変焦点レンズ要素に類似する、第3および第4の可変焦点レンズ要素が、それぞれ、視認者の他方の眼のために提供されてもよいことを理解されたい。
【0089】
図10Aおよび10Bは、可変焦点レンズ要素と、導波管スタックとを有する、ディスプレイシステム(例えば、拡張現実ディスプレイシステム)の実施例の略図を示す。ディスプレイシステム2010は、ディスプレイシステム250(図6)に対応してもよいことを理解されたい。図10Aの例示的ディスプレイシステム2010は、単一導波管を伴う導波管スタックを示す一方、図10Bの実施例は、複数の導波管を伴う導波管スタックを示す。図10Aおよび10Bの両方では、第1の可変焦点レンズ要素2007aおよび第2の可変焦点レンズ要素2007bは、導波管スタック2005(図10A)の両側に配置され、第3の可変焦点レンズ要素2008aおよび第4の可変焦点レンズ要素2008bは、導波管スタック2006(図10B)の両側に配置される。
【0090】
図10Aおよび10Bの種々の図示される導波管2005a、2005b、2006a、2006bは、図6の導波管270、280、290、300、310および/または図9Aおよび9Bの導波管670、680、および690の個々のものに類似する特性および/または特徴を有してもよい。導波管スタック2005、2006は、図9Aおよび9Bの複数またはセットのスタックされた導波管660または図6のスタックされた導波管アセンブリ260に類似する特性および/または特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、導波管2005a、2005b、2006a、2006bは、屈折力、例えば、固定屈折力を伴う導波管を提供する、回折光学要素等の光学要素を含んでもよい。例えば、これらの導波管のうちの1つ以上のものは、0ジオプタ~約5.0ジオプタ、約0.5ジオプタ~約4.5ジオプタ、約1.0ジオプタ~約4.0ジオプタ、約1.5ジオプタ~約3.5ジオプタ、約2.0ジオプタ~約3.0ジオプタの範囲内、またはこれらの範囲またはサブ範囲内の任意の値の屈折力を有してもよい。別の実施例として、特定の実施形態では、導波管はそれぞれ、1.5ジオプタの屈折力を有してもよい。
【0091】
前述のように、光学源2003または2004から画像情報(例えば、仮想コンテンツ)を提供する光は、光が全内部反射によってそれらの導波管のそれぞれを通して伝搬するように、それぞれ、導波管2005aまたは2006aの中に投入されてもよい。伝搬する光は、導波管2005a(または導波管2005b)から外部結合要素(例えば、図9Aおよび9Bの外部結合要素800、810、820に対応する)によってユーザの眼2001に向かって投影されてもよい。いくつかの実施形態では、光学源2003、2004は、本明細書に開示されるように、可動ファイバを利用して、2D画像パターンを作成する、ファイバ走査デバイス(FSD)であってもよい。FSDは、例えば、ラスタ走査、スパイラル走査、リサジュー等の種々のパターンにおいて光を投影させることによって、2D画像パターンを作成してもよい。いくつかの他の実施形態では、光学源2003a(および/または2003b)は、例えば、同様に本明細書に開示されるように、全画像が導波管上に投影される、画像投影システムであってもよい。光学源2003a(および/または2003b)からの光は、導波管の縁を通して、または導波管の主要表面を通して、導波管スタック2005の中に投入されてもよいことを理解されたい。導波管スタックは、複数の導波管を含む場合、光学源2003および/または2004は、光をこれらの導波管の複数のものの中に投入するように構成されてもよい、または付加的な光学源、例えば、各導波管に対して1つの光学源が、提供されてもよい。
【0092】
図10Aおよび10Bに図示されるように、第1の可変焦点レンズ要素2007aが、導波管スタック2005とユーザの眼2001との間に配置されてもよく、第2の可変焦点レンズ要素2007bが、導波管スタック2005とユーザを囲繞する実世界との間に配置されてもよい。眼2001は、図6の視認者の眼210に対応してもよいことを理解されたい。同様に、第3の可変焦点レンズ要素2008aが、導波管スタック2006とユーザの眼2002との間に配置されてもよく、第2の可変焦点レンズ要素2008bが、導波管スタック2006とユーザを囲繞する実世界との間に配置されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1および第2の可変焦点レンズ要素2007aおよび2007bおよび第3および第4の可変焦点レンズ要素2008aおよび2008bは、適合可能光学要素であってもよい。適合可能光学要素は、例えば、電気信号をそこに印加し、その上に入射する波面の形状を変化させることによって、動的に改変されてもよい。いくつかの実施形態では、適合可能光学要素は、動的レンズ(例えば、液晶レンズ、電気活性レンズ、可動要素を伴う従来の屈折レンズ、機械的変形ベースのレンズ、エレクトロウェッティングレンズ、エラストマレンズ、または異なる屈折率を伴う複数の流体)等の透過光学要素を備えてもよい。適合可能光学形状、屈折率、または他の特性を改変することによって、その上に入射する波面が、本明細書に説明されるように、変化され、例えば、視認者の眼による光の焦点を改変し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bは、2つの基板間に挟入される液晶の層を備えてもよい。基板は、例えば、ガラス、プラスチック、アクリル等の光学的に透過性の材料を備えてもよい。いくつかの実施形態では、基板は、平坦であってもよい。いくつかの実施形態では、基板は、基板の一部が固定屈折力を有し得るように、湾曲領域を有してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの屈折力は、例えば、液晶層および/または基板と統合される1つ以上の薄膜トランジスタ(TFT)および/または電極を介して液晶層に印加される電気信号(例えば、電流および/または電圧)を調節することによって、変動されてもよい。液晶層内の液晶種の配向は、層の屈折率を決定することを理解されたい。印加された電気信号は、液晶種の配向を設定し、それによって、印加される電気信号を改変することによって、所望に応じて、液晶層の屈折率が変動されることを可能にする。いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの屈折力は、約±5.0ジオプタ間で変動されてもよい(例えば、約-4.0ジオプタ~+4.0ジオプタ、約-3.5ジオプタ~約+3.5ジオプタ、約-3.0ジオプタ~約+3.0ジオプタ、約-2.0ジオプタ~約+2.0ジオプタ、約-1.5ジオプタ~約+1.5ジオプタ、これらの範囲またはサブ範囲のいずれか内の値を含む)。
【0096】
有利には、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bは、その個別の関連付けられた導波管スタック2005、2006の導波管の開口に実質的に合致される広開口を有してもよい。いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの開口は、導波管スタック2005、2006の導波管の表面積と実質的に等しくてもよい(例えば、約±20%、約±15%、または約±10%以内)。その結果、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bおよび導波管スタック2005、2206が、光を関連付けられた眼2001、2002に透過させる面積は、実質的に等しくあり得る。
【0097】
図10Aおよび10Bを継続して参照すると、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aはそれぞれ、その屈折力を変動させ、それぞれ、導波管スタック2005、2006の導波管から投影された光の波面を調節し、その光を、それぞれ、眼2001、2002の網膜上に適切に集束させ得る。本明細書に記載されるように、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aは、収差を周囲環境内のオブジェクト2009からの入射光の波面に生じさせ、それによって、第1の可変焦点レンズ要素2007aを通して視認される実世界オブジェクト2009の光学画質を減少させ得る。第2および第4の可変焦点レンズ要素2007b、2008bは、有利には、オブジェクト2009を視認するとき、それぞれ、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aおよび任意の導波管によって導入される収差を補償し得る。いくつかの実施形態では、第2および第4の可変焦点レンズ要素2007b、2008bは、それぞれ、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aおよび関連付けられた導波管スタック2005、2006によって提供される屈折力と反対の屈折力を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、反対の屈折力の大きさは、各眼2001、2002に対するディスプレイシステム2010の正味屈折力が、眼が輻輳・開散運動している深度平面における眼のための光学処方箋と等しくなるように構成されるようなものである。第1および第2の可変焦点レンズ要素2007aおよび2007bによって提供される屈折力は、電子ハードウェア制御システム2011によって変動および制御されてもよい。いくつかの実施形態では、電子ハードウェア制御システム2011は、図2のローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に対応してもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、拡張現実ディスプレイシステム2010は、ユーザの眼の輻輳・開散運動を決定するように構成されてもよい。第1および第2の可変焦点レンズ要素2007a、2007bの屈折力は、眼2001、2002の輻輳・開散運動点に基づいて、設定されてもよい。第3および第4の可変焦点レンズ要素2008a、2008bの屈折力もまた、本輻輳・開散運動点に基づいて、設定されてもよい。輻輳・開散運動点は、眼2001、2002の視線が収束する空間内の点であって、それらの眼の生理学的遠近調節標的に対応し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、点が眼2001、2002から離れる距離が、例えば、眼2001、2002と各眼によって成される角度との間の分離の既知の量に基づいて、計算されてもよい。いったんその距離が計算されると、その距離に関する視認者のための適切な補正が、決定されてもよい。例えば、ディスプレイシステム2010は、1つ以上の光学処方箋を用いてプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、光学処方箋は、ローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔データリポジトリ160内に記憶されてもよい。眼2001、2002と輻輳・開散運動点との間の距離は、その距離に関する適切な補正と合致されてもよく、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bは、補正を提供するように調節されてもよい。いくつかの実施形態では、眼2001、2002は、異なる事前に規定された補正を有し得、その結果、可変焦点レンズ要素の対2007a、2007b、および2008a、2008bは、異なる屈折力を提供してもよい。
【0099】
有利には、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bは、その屈折力が、例えば、異なる電圧の印加によって、所望に応じて調節され得るため、多数の可能性として考えられる補正を提供する。いくつかの実施形態では、眼毎の補正の総数は、1、2、3、または4つを上回ってもよい。いくつかの実施形態では、眼毎の補正の総数は、ディスプレイシステム2010が画像情報を表示するように構成される、深度平面の数と等しくてもよい。これらの補正は、光学処方箋に対応してもよく、これは、眼2001、2002からの種々の距離におけるオブジェクトに関して決定されてもよいことを理解されたい。例えば、4つの処方箋が、眼2001、2002からの4つの徐々に離れた距離(例えば、近、中近、中遠、および遠距離)における屈折誤差の補正を決定することによって、取得されてもよい。いくつかの実施形態では、導波管スタック2005によって出力された画像コンテンツを視認するための可能性として考えられる補正の数は、周囲環境内のオブジェクト2009を視認するときの可能性として考えられる補正の数と異なってもよい。
【0100】
図10Aおよび10Bを継続して参照すると、いくつかの実施形態では、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの焦点または屈折力はそれぞれ、ユーザの眼2001、2004の決定された輻輳・開散運動に基づいて、設定されてもよい。例えば、第1および第2の可変焦点レンズ要素の屈折力2007aおよび2007bは、他のレンズ要素の屈折力を具体的に参照せずに、ユーザの眼2001の輻輳・開散運動に基づいて、変動されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1および第2の可変焦点レンズ要素2007a、2007bのうちの一方または第3および第4の可変焦点要素2008a、2008bのうちの一方は、マスタとして指定されてもよく、第1および第2の可変焦点レンズ要素2007a、2007bまたは第3および第4の可変焦点要素2008a、2008bのうちの他方は、スレーブとして指定されてもよい。スレーブとして指定された可変焦点レンズ要素は、マスタ可変焦点レンズ要素に従うように構成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2および第4の可変焦点レンズ要素2007b、2008bは、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aにスレーブ化されてもよく、第1および第3の可変焦点レンズ要素2007a、2008aの焦点は、ユーザの眼2001、2002の決定された輻輳・開散運動点に基づいて、設定されてもよい。例えば、導波管2005a(および/または導波管2005b)が、約1.5ジオプタの屈折力を有し、ユーザが、2.0ジオプタにおいて輻輳・開散運動している場合、第1の可変焦点レンズ要素2007aは、+0.5ジオプタの屈折力を有してもよく、第2の可変焦点レンズ要素2007bは、屈折力-0.5ジオプタの屈折力を有してもよい。
【0102】
可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの屈折力は、リアルタイムで変動されてもよく、好ましくは、ヒトの眼が遠近調節状態を変化させるレートに等しい以上のレートで変化されてもよい。好ましくは、第1および第2の可変焦点レンズ要素は、ユーザが所与の輻輳・開散運動点に関して適切な補正を受信する際に遅延を被らないように、ヒトの眼が遠近調節状態を変化させる前に、その屈折力を変化させることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の可変焦点レンズ要素は、約300ms未満、約275ms未満、または約250ms未満において屈折力を変化させることができる。電子ハードウェア制御システム2011は、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bの屈折力が同時に変動され得るように、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bを駆動してもよい。
【0103】
本明細書に説明される拡張現実ディスプレイシステムの種々の実施形態は、1つ以上の眼追跡カメラまたはイメージングシステムを備える眼追跡システムを含み、ユーザの1つ以上の眼を追跡し、ユーザの眼の輻輳・開散運動を決定/測定してもよい。眼追跡システム22を含む、拡張現実システム2010の例示的実施形態は、図11に図示される。眼追跡システム22は、指向される光源26(例えば、赤外線光源)と対合されたカメラ24(例えば、赤外線カメラ)を含み、ユーザの眼2001、2002を監視および追跡するように構成されてもよい。これらのカメラ24および光源26は、ローカル処理モジュール140に動作可能に結合されてもよい。そのようなカメラ24は、個別の眼の配向、瞳孔サイズ、および対応する視線方向のうちの1つ以上のものを監視してもよい。本明細書に説明されるように、カメラ24は、眼2001、2002の輻輳・開散運動点を決定するように構成されてもよい。
【0104】
図11を継続して参照すると、カメラ24および光源26は、フレーム80上に搭載されてもよく、これはまた、導波管スタック2005、2006を保持してもよい。いくつかの実施形態では、カメラ24は、通信リンク170、180を通して、ローカル処理およびデータモジュール140と通信してもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、眼2001、2002の輻輳・開散運動を決定することに加え、カメラ24は、ユーザ入力を提供する眼を追跡するために利用されてもよい。例えば、眼追跡システム22は、仮想メニュー上のアイテムを選択する、および/または他の入力をディスプレイシステム2010に提供するために利用されてもよい。
【0106】
ここで図12Aを参照すると、フローチャート2200が、提供され、ユーザの決定された輻輳・開散運動に基づいて、可変焦点レンズ要素の屈折力を変動させる例示的方法を描写する。ブロック2205では、ユーザの眼の輻輳・開散運動点が、決定または測定されてもよい。そのような決定は、例えば、本明細書に説明される眼追跡システムを使用して行われてもよい。本決定に基づいて、ユーザの眼が指向される距離および/または深度平面が、推定されてもよい。可変レンズ要素の対の屈折力が、決定された輻輳・開散運動に従って変動され、ユーザによって視認される仮想オブジェクトおよび/または実世界オブジェクトの画質を改良してもよい。ブロック2215では、可変焦点レンズ要素の屈折力(例えば、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bのうちの1つ)が、変動され、導波管スタック2005、2006(図10Aおよび10B)の導波管等の導波管から投影された光の波面を調節する。ブロック2220では、別の可変焦点レンズ要素の屈折力(例えば、可変焦点レンズ要素2007a、2007b、2008a、2008bのうちの異なるもの)が、変動され、周囲環境内のオブジェクトからの入射周囲光の波面を調節する。ブロック2215、2220は、連続して実施されてもよい(例えば、2215が2220の前に実施される、またはその逆)、またはこれらのブロック2215、2220は、並行して実施されてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、ブロック2205、2215、2220は、ディスプレイシステム2010によって持続的に実施され、自動的かつ持続的に、可変焦点レンズ要素の屈折力を調節し、ユーザのための快適な視認体験を提供してもよい。
【0107】
本明細書に説明される、および/または図に描写されるプロセス、方法、およびアルゴリズムはそれぞれ、具体的かつ特定のコンピュータ命令を実行するように構成される、1つ以上の物理的コンピューティングシステム、ハードウェアコンピュータプロセッサ、特定用途向け回路、および/または電子ハードウェアによって実行される、コードモジュールにおいて具現化され、それによって完全または部分的に自動化され得ることを理解されたい。例えば、コンピューティングシステムは、具体的コンピュータ命令とともにプログラムされた汎用コンピュータ(例えば、サーバ)または専用コンピュータ、専用回路等を含むことができる。コードモジュールは、実行可能プログラムにコンパイルおよびリンクされる、動的リンクライブラリ内にインストールされ得る、または解釈されるプログラミング言語において書き込まれ得る。いくつかの実装では、特定の動作および方法が、所与の機能に特有の回路によって実施され得る。
【0108】
さらに、本開示の機能性のある実装は、十分に数学的、コンピュータ的、または技術的に複雑であるため、(適切な特殊化された実行可能命令を利用する)特定用途向けハードウェアまたは1つ以上の物理的コンピューティングデバイスは、例えば、関与する計算の量または複雑性に起因して、または結果を実質的にリアルタイムで提供するために、機能性を実施する必要があり得る。例えば、ビデオは、多くのフレームを含み、各フレームは、数百万のピクセルを有し得、具体的にプログラムされたコンピュータハードウェアは、商業的に妥当な時間量において所望の画像処理タスクまたは用途を提供するようにビデオデータを処理する必要がある。
【0109】
コードモジュールまたは任意のタイプのデータは、ハードドライブ、ソリッドステートメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、光学ディスク、揮発性または不揮発性記憶装置、同一物の組み合わせ、および/または同等物を含む、物理的コンピュータ記憶装置等の任意のタイプの非一過性コンピュータ可読媒体上に記憶され得る。いくつかの実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体は、ローカル処理およびデータモジュール(70)、遠隔処理モジュール(72)、および遠隔データリポジトリ(74)のうちの1つ以上のものの一部であってもよい。本方法およびモジュール(またはデータ)はまた、無線ベースおよび有線/ケーブルベースの媒体を含む、種々のコンピュータ可読伝送媒体上で生成されたデータ信号として(例えば、搬送波または他のアナログまたはデジタル伝搬信号の一部として)透過され得、種々の形態(例えば、単一または多重化アナログ信号の一部として、または複数の離散デジタルパケットまたはフレームとして)をとり得る。開示されるプロセスまたはプロセスステップの結果は、任意のタイプの非一過性有形コンピュータ記憶装置内に持続的または別様に記憶され得る、またはコンピュータ可読伝送媒体を介して通信され得る。
【0110】
本明細書に説明される、および/または添付される図に描写されるフロー図における任意のプロセス、ブロック、状態、ステップ、または機能性は、プロセスにおいて具体的機能(例えば、論理または算術)またはステップを実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、コードモジュール、セグメント、またはコードの一部を潜在的に表すものとして理解されたい。種々のプロセス、ブロック、状態、ステップ、または機能性は、組み合わせられる、再配列される、追加される、削除される、修正される、または別様に本明細書に提供される例証的実施例から変更されてもよい。いくつかの実施形態では、付加的または異なるコンピューティングシステムまたはコードモジュールが、本明細書に説明される機能性のいくつかまたは全てを実施し得る。本明細書に説明される方法およびプロセスはまた、任意の特定のシーケンスに限定されず、それに関連するブロック、ステップ、または状態は、適切な他のシーケンスで、例えば、連続して、並行して、またはある他の様式で実施されることができる。タスクまたはイベントが、開示される例示的実施形態に追加される、またはそれから除去され得る。さらに、本明細書に説明される実装における種々のシステムコンポーネントの分離は、例証を目的とし、全ての実施形態においてそのような分離を要求するものとして理解されるべきではない。説明されるプログラムコンポーネント、方法、およびシステムは、概して、単一コンピュータ製品においてともに統合される、または複数のコンピュータ製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0111】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明された。しかしながら、種々の修正および変更が、本発明のより広義の精神および範囲から逸脱することなくそこに行われ得ることが明白となるであろう。明細書および図面は、故に、限定的意味ではなく、例証と見なされるべきである。
【0112】
実際、本開示のシステムおよび方法は、それぞれ、いくつかの革新的側面を有し、そのうちのいかなるものも、本明細書に開示される望ましい属性に単独で関与しない、またはそのために要求されないことを理解されたい。上記に説明される種々の特徴およびプロセスは、相互に独立して使用され得る、または種々の方法で組み合わせられ得る。全ての可能な組み合わせおよび副次的組み合わせが、本開示の範囲内に該当することが意図される。
【0113】
別個の実施形態の文脈において本明細書に説明される特定の特徴はまた、単一実施形態における組み合わせにおいて実装されてもよい。逆に、単一実施形態の文脈において説明される種々の特徴はまた、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な副次的組み合わせにおいて実装されてもよい。さらに、特徴が特定の組み合わせにおいて作用するものとして上記に説明され、さらに、そのようなものとしてまずは請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合では、組み合わせから削除されてもよく、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。いかなる単一の特徴または特徴のグループも、あらゆる実施形態に必要または必須ではない。
【0114】
とりわけ、「~できる(can)」、「~し得る(could)」、「~し得る(might)」、「~し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、および同等物等、本明細書で使用される条件文は、別様に具体的に記載されない限り、または使用されるような文脈内で別様に理解されない限り、概して、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはステップを含む一方、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることが意図されることを理解されたい。したがって、そのような条件文は、概して、特徴、要素、および/またはステップが、1つ以上の実施形態に対していかようにも要求されること、または1つ以上の実施形態が、著者の入力または促しの有無を問わず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態において含まれる、または実施されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを示唆することを意図されない。用語「~を備える」、「~を含む」、「~を有する」、および同等物は、同義語であり、非限定的方式で包括的に使用され、付加的要素、特徴、行為、動作等を除外しない。また、用語「または」は、その包括的意味において使用され(およびその排他的意味において使用されず)、したがって、例えば、要素のリストを接続するために使用されると、用語「または」は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、または全てを意味する。加えて、本願および添付される請求項で使用されるような冠詞「a」、「an」、および「the」は、別様に規定されない限り、「1つ以上の」または「少なくとも1つ」を意味するように解釈されるべきである。同様に、動作は、特定の順序で図面に描写され得るが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序または連続的順序で実施されること、または、全ての図示される動作が実施されることは必要ではないと認識されるべきである。さらに、図面は、フローチャートの形態で1つ以上の例示的プロセスを概略的に描写し得る。しかしながら、描写されない他の動作も、概略的に図示される例示的方法およびプロセス内に組み込まれることができる。例えば、1つ以上の付加的動作が、図示される動作のいずれかの前に、その後に、それと同時に、またはその間に実施されることができる。加えて、動作は、他の実施形態において再配列される、または再順序付けられ得る。ある状況では、マルチタスクおよび並列処理が、有利であり得る。さらに、上記に説明される実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態におけるそのような分離を要求するものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品においてともに統合される、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。加えて、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。いくつかの場合では、請求項に列挙されるアクションは、異なる順序で実施され、依然として、望ましい結果を達成することができる。
【0115】
故に、請求項は、本明細書に示される実装に限定されることを意図されず、本明細書に開示される本開示、原理、および新規の特徴と一貫する最も広い範囲を与えられるべきである。
図1
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図9A
図9B
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図10B
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