(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】基板処理モジュールおよび基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H01L21/304 642C
(21)【出願番号】P 2022535350
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2021025473
(87)【国際公開番号】W WO2022009885
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/026914
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005050
【氏名又は名称】ダイキンファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】出口 泰紀
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-300445(JP,A)
【文献】特開2012-186289(JP,A)
【文献】特開2002-359225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
B08B 3/04-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列され、基板を配置可能な第1槽および第2槽と、
前記基板を前記第1方向に移動させる第1搬送部と、
前記基板を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部と、
前記第1搬送部に連結され、前記基板を上下動させる上下搬送部と、を備え、
前記第1搬送部の第1アクチュエータおよび前記第2搬送部の第2アクチュエータは、前記第1槽と前記第2槽にアクセス可能な処理スペースとは隔離された駆動スペースにそれぞれ配置され
、
前記第1アクチュエータは、第1駆動スペースに配置され、前記第2アクチュエータは、第2駆動スペースに配置され、
前記第1駆動スペースは、前記第1槽および前記第2槽の各開口部の側方かつ下方に設けられる、基板処理モジュール。
【請求項2】
第1方向に配列され、基板を配置可能な第1槽および第2槽と、
前記基板を前記第1方向に移動させる第1搬送部と、
前記基板を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部と、
前記第1搬送部に連結され、前記基板を上下動させる上下搬送部と、を備え、
前記第1搬送部の第1アクチュエータおよび前記第2搬送部の第2アクチュエータは、前記第1槽と前記第2槽にアクセス可能な処理スペースとは隔離された駆動スペースにそれぞれ配置され、
前記第1アクチュエータは、第1駆動スペースに配置され、前記第2アクチュエータは、第2駆動スペースに配置され
、
前記第2駆動スペースは、前記処理スペースに対して前記第1方向の後方に設けられる、基板処理モジュール。
【請求項3】
第1方向に配列され、基板を配置可能な第1槽および第2槽と、
前記基板を前記第1方向に移動させる第1搬送部と、
前記基板を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部と、
前記第1搬送部に連結され、前記基板を上下動させる上下搬送部と、を備え、
前記第1搬送部の第1アクチュエータおよび前記第2搬送部の第2アクチュエータは、前記第1槽と前記第2槽にアクセス可能な処理スペースとは隔離された駆動スペースにそれぞれ配置され、
前記第1アクチュエータは、第1駆動スペースに配置され、前記第2アクチュエータは、第2駆動スペースに配置され、
前記処理スペースの後方に設けられた後方壁をさらに備え、
前記第2駆動スペースは、前記後方壁の後方に設けられる
、基板処理モジュール。
【請求項4】
前記後方壁は、前記処理スペースの雰囲気を外部に排気するための排気口を形成する、請求項
3に記載の基板処理モジュール。
【請求項5】
前記第2搬送部は、前記第2駆動スペースから前方へ延びるとともに前記後方壁に設けられた開口を通過するアームと、前記アームに連結されて前記第1槽の上方に配置されるチャック部と、を備える、請求項
3又は
4に記載の基板処理モジュール。
【請求項6】
前記第2駆動スペースは、別のモジュールと連結可能である、請求項
1から
5のいずれか1つに記載の基板処理モジュール。
【請求項7】
前記別のモジュールは、搬入モジュール、搬出モジュール、乾燥モジュール、基板処理モジュールのうちのいずれかである、請求項6に記載の基板処理モジュール。
【請求項8】
前記第2搬送部は、基板を把持するためのチャック部を回転させる回転アクチュエータをさらに備え、
前記回転アクチュエータは、前記第2駆動スペースに配置される、請求項
1から7のいずれか1つに記載の基板処理モジュール。
【請求項9】
前記上下搬送部の上下アクチュエータは、前記第1駆動スペースに配置される、請求項1から8のいずれか1つに記載の基板処理モジュール。
【請求項10】
前記第1槽および前記第2槽のそれぞれは、前記基板を薬液で処理する薬液槽、前記基板を洗浄する洗浄槽、前記基板を薬液処理する機能と洗浄する機能を兼ねたワンバス処理槽のいずれかである、請求項1から9のいずれか1つに記載の基板処理モジュール。
【請求項11】
前記第1槽は、前記第1方向の前方側に配置された洗浄槽であり、前記第2槽は、前記第1方向の後方側に配置された薬液槽である、請求項10に記載の基板処理モジュール。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか1つに記載の前記基板処理モジュールと、前記基板処理モジュールに対して前記第2方向に連結される別のモジュールとを備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理モジュールおよび基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置として、半導体ウェハなどの各種の基板(以下、「基板」という。)を所定の薬液で処理したあと、純水等の洗浄液で洗浄し、基板の表面に付着した異物を除去する洗浄装置がある。洗浄装置には、薬液および洗浄液の中に基板を浸漬させることによって洗浄処理を行うウェット型の洗浄装置がある。
【0003】
特許文献1は、薬液槽および洗浄槽が装置の長手方向に複数対で配置されているとともに、主搬送機構および副搬送機構を有する基板処理装置を開示する。主搬送機構は、複数の基板を装置の一端側から他端側まで長手方向に移動させる。副搬送機構は、複数の基板を一対の薬液槽および洗浄槽の範囲内で長手方向および上下方向に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、複数対の薬液槽および洗浄槽が装置の長手方向に隣り合っているので、或る薬液槽に貯留される或る薬液の雰囲気によって、隣りに位置する別の薬液槽および洗浄槽が汚染されること(すなわち薬液によるコンタミネーション)が生じる。また、主搬送機構および副搬送機構が薬液槽および洗浄槽に面しているので、パーティクルによるコンタミネーションが生じる。また、薬液槽および洗浄槽が長手方向に複数対で配置されているので、装置が長手方向に長くなる。また、複数対の薬液槽および洗浄槽が装置内で固定して設置されているので、処理プロセスの変更ニーズに対してフレキシブルに対応できない。
【0006】
よって、薬液やパーティクルなどによるコンタミネーションの抑制、装置の小型化、および、フレキシブルな対応で拡張性の高い構成を可能にすることが望まれる。
【0007】
そこで、この発明の課題は、設置面積を小さくするとともに、コンタミネーションを抑制することができる基板処理モジュールおよび基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る基板処理モジュールは、第1方向に配列され、基板を配置可能な第1槽および第2槽と、前記基板を前記第1方向に移動させる第1搬送部と、前記基板を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部と、前記第1搬送部に連結され、前記基板を上下動させる上下搬送部と、を備え、前記第1搬送部の第1アクチュエータおよび前記第2搬送部の第2アクチュエータは、前記第1槽と前記第2槽にアクセス可能な処理スペースとは隔離された駆動スペースにそれぞれ配置される。
【0009】
また、この発明の一態様に係る基板処理装置は、前記基板処理モジュールと、前記基板処理モジュールに対して前記第2方向に連結される別のモジュールとを備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、設置面積を小さくするとともに、コンタミネーションを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る基板処理装置を説明する斜視図
【
図2】
図1に示した基板処理装置の構成要素を説明する斜視図
【
図3】
図1に示した基板処理装置におけるケミカルモジュールを説明する斜視図
【
図4】
図1に示した基板処理装置における第2搬送機構を説明する斜視図
【
図5】
図3に示したケミカルモジュールの要部を説明する斜視図
【
図6】
図1に示した基板処理装置における搬出モジュールを説明する斜視図
【
図7】
図1に示した基板処理装置における搬入モジュールを説明する斜視図
【
図8】
図3に示したケミカルモジュールにおける上下搬送部の動きを説明する図
【
図9】
図3に示したケミカルモジュールにおける第1搬送部の動きを説明する図
【
図11】
図1に示した基板処理装置における乾燥モジュールを説明する斜視図
【
図14】ケミカルモジュールにおける第1搬送部の動きを説明する図
【
図15】変形例に係る処理スペースを示す概略平面図
【
図16A】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16B】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16C】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16D】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16E】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16F】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16G】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16H】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16I】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16J】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16K】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図16L】基板処理装置の動作の一例を説明するための概略図
【
図17】基板を1バッチで処理する場合の動作例を示す概略平面図
【
図18】基板を複数バッチで処理する場合の動作例を示す概略平面図
【
図19】第1槽と第2槽のバリエーションを示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る基板処理装置1の実施の形態を説明する。
【0013】
なお、本明細書において、「モジュール」とは、規格化されて着脱可能(交換可能)に構成された構成要素であって、使用されるときにまとまった一つの構成単位として取り扱われる構成要素を意味する。また、「第1方向」とは、一対の薬液槽および洗浄槽が配列される方向、すなわち、基板処理装置1の短手方向(例えば、前後方向や縦方向)を意味する。また、「第2方向」とは、第1方向および上下方向に交差する方向であって複数のモジュールが連設される方向、すなわち、基板処理装置1の長手方向(例えば、左右方向や横方向)を意味する。第1方向は、TD(Transverse Direction)方向、第2方向は、MD(Machine Direction)方向と称してもよい。図においては、「第1方向」がY軸方向として、「第2方向」がX軸方向として、「上下方向」がZ軸方向として示されている。第1方向と第2方向と上下方向とは、互いに交差する(例えば直交する)。
【0014】
〔実施形態〕
図1から
図10を参照しながら、一実施形態に係る基板処理装置1を説明する。
図1は、一実施形態に係る基板処理装置1を説明する斜視図である。
図2は、
図1に示した基板処理装置1の構成要素を説明する斜視図である。
図3は、
図1に示した基板処理装置1におけるケミカルモジュール7を説明する斜視図である。
図4は、
図1に示した基板処理装置1における第2搬送機構9を説明する斜視図である。
図5は、
図3に示したケミカルモジュール7の要部を説明する斜視図である。
図6は、
図1に示した基板処理装置1における搬出モジュール8を説明する斜視図である。
図7は、
図1に示した基板処理装置1における搬入モジュール5を説明する斜視図である。
図8は、
図3に示したケミカルモジュール7における上下搬送部13の動きを説明する図である。
図9は、
図3に示したケミカルモジュール7における第1搬送部11の動きを説明する図である。
図10は、基板4を保持するキャリア2を説明する図である。
図11は、
図1に示した基板処理装置1における乾燥モジュール6を説明する斜視図である。
【0015】
基板処理装置1は、キャリア2に保持された複数枚の基板4に対して各種の処理を施すためのモジュールを少なくとも1つ備える。基板4は、具体的には例えば、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、MEMSセンサー基板、太陽電池用パネルなどである。モジュールは、規格化された筐体20を有し、第2方向(X軸方向、基板処理装置1の長手方向であり、以下、「第2方向」という)に着脱可能(交換可能)に構成されている。モジュールの上部には、ファンフィルタユニット24が配設されている。ファンフィルタユニット24は、クリーンルーム内の空気を取り込んでモジュール内に送り出すためのファンおよびフィルタを備える。ファンフィルタユニット24は、モジュール内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。ファンフィルタユニット24を配設する代わりに、クリーンルーム内の清浄な空気を取り込む別の構成にすることもできる。
【0016】
図1および
図2に示すように、基板処理装置1は、例えば、搬入モジュール5と、乾燥モジュール6と、ケミカルモジュール7(基板処理モジュール)と、搬出モジュール8と、第2搬送機構9とを備える。搬入モジュール5と、ケミカルモジュール7と、乾燥モジュール6と、搬出モジュール8とは、第2方向に沿って隣接して配設されている。搬入モジュール5と、ケミカルモジュール7と、乾燥モジュール6と、搬出モジュール8とは、第2方向に着脱可能に連結されるように構成される。これにより、処理プロセスの変更ニーズに対してフレキシブルに対応でき、拡張性が高くなる。
【0017】
第2搬送機構9は、第2方向に延在して、
図10に示す複数枚の基板4を保持するキャリア2を第2方向に搬送する。第2搬送機構9は、搬入モジュール5と、ケミカルモジュール7と、乾燥モジュール6と、搬出モジュール8とにおける第1方向(Y軸方向、基板処理装置1の短手方向であり、以下、「第1方向」という)の後方側の上部に配設されている。
【0018】
基板処理装置1は、図示しない制御部を有する。制御部は、例えば、基板処理装置1の各要素の動作制御およびデータ演算を行う。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有する。CPUは、ROMに格納されたプログラムに従った制御(例えば、第1搬送部11、上下搬送部13および第2搬送部48によるキャリア2の搬送動作などの制御)を実行する。
【0019】
搬入モジュール5では、処理前の基板4が、キャリア2を1つの単位として装置内に搬入される。乾燥モジュール6では、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)などによる基板4の蒸気乾燥が、キャリア2を1つの単位として実行される。ケミカルモジュール7では、基板4の洗浄処理が、キャリア2を1つの単位として実行される。搬出モジュール8では、洗浄処理後の基板4が、キャリア2を1つの単位として装置外に搬出される。
【0020】
搬入モジュール5は、ローダ部とも呼ばれ、基板処理装置1の第2方向の上流側に配設される。
図7に示すように、搬入モジュール5は、その筐体20の第2方向の上流側の側面において、開閉可能に構成された搬入部26を有する。キャリア2は、搬入部26を介して搬入モジュール5の内部に搬入される。搬入モジュール5の内部に搬入されたキャリア2は、載置台22に載置される。搬入モジュール5の内部において、キャリア2の第1方向への搬送は、アーム16を介して、第1搬送部11によって行われ、キャリア2の上下方向への搬送は、アーム16を介して、上下搬送部13によって行われる。第1搬送部11の第1アクチュエータ12は、載置台22の載置面よりも側方下部に配置される。上下搬送部13の上下アクチュエータ14も、載置台22の載置面よりも側方下部に配置される。すなわち、ファンフィルタユニット24からのダウンフローとアーム16のアーム長さとにより、載置台22に載置されるキャリア2は、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から影響を受けないように隔離されている。これにより、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から発生するパーティクルによる、搬入モジュール5内でのキャリア2のコンタミネーションを抑制できる。
【0021】
搬出モジュール8は、アンローダ部とも呼ばれ、基板処理装置1の第2方向の下流側に配設される。
図6に示すように、搬出モジュール8の内部に搬入されたキャリア2は、載置台22に載置される。搬出モジュール8の内部において、キャリア2の第1方向への搬送は、アーム16を介して、第1搬送部11によって行われ、キャリア2の上下方向への搬送は、アーム16を介して、上下搬送部13によって行われる。第1搬送部11の第1アクチュエータ12は、載置台22の載置面よりも側方下部に配置される。上下搬送部13の上下アクチュエータ14も、載置台22の載置面よりも側方下部に配置される。すなわち、ファンフィルタユニット24からのダウンフローとアーム16のアーム長さとにより、載置台22に載置されるキャリア2は、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から影響を受けないように隔離されている。これにより、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から発生するパーティクルによる、搬出モジュール8内でのキャリア2のコンタミネーションを抑制できる。搬出モジュール8は、その筐体20の第2方向の下流側の側面において、開閉可能に構成された搬出部27を有する。キャリア2は、搬出部27を介して搬出モジュール8の外部、すなわち基板処理装置1の外部に搬出される。
【0022】
なお、上記態様では、キャリア2が、搬入モジュール5から搬出モジュール8に向けて第2方向に沿って一方向に搬送されるが、別の態様にすることもできる。例えば、基板処理装置1が搬入モジュール5または搬出モジュール8のいずれか一方だけを備えて、搬入モジュール5がローダおよびアンローダの両方の機能を有するか、または、搬出モジュール8がローダおよびアンローダの両方の機能を有することができる。このとき、キャリア2が、第2方向に沿って一方向および他方向の両方向に搬送される(すなわち、第2方向に沿って往復搬送される)。
【0023】
基板処理装置1は、少なくとも1つの乾燥モジュール6を有する。乾燥モジュール6は、
図1に示すように、例えば、ケミカルモジュール7と搬出モジュール8との間に設置される。
【0024】
図11に示すように、乾燥モジュール6は、例えば、他のモジュール5,7,8と同様に、キャリア2を第1方向に搬送する第1搬送部11と、キャリア2を上下方向に搬送する上下搬送部13とを有する。第1搬送部11は、第1アクチュエータ12を有し、上下搬送部13は、上下アクチュエータ14を有する。
【0025】
乾燥モジュール6は、乾燥チャンバー31を有する。乾燥チャンバー31は、例えば、乾燥モジュール6における第1方向の前方側に配設される。ケミカルモジュール7によって各種の薬液洗浄やエッチングやレジスト剥離などの各種の薬液処理が行われた後の基板4を乾燥させる乾燥処理が、乾燥チャンバー31において行われる。乾燥モジュール6において、基板4を保持するキャリア2は、アーム16を介して、上下搬送部13によって乾燥チャンバー31に対して上下方向に搬送される。第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14が、乾燥チャンバー31の側方下部において、乾燥チャンバー31から離間して配置される。したがって、乾燥チャンバー31は、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から影響を受けないように隔離されている。
【0026】
この乾燥処理では、通常公知の乾燥方法を用いることができる。具体的には、例えば、IMD(IPA Mist Dryer)と呼ばれる、Marangoni効果を用いた乾燥方法を用いることができる。この乾燥方法は、基板4を保持するキャリア2を、乾燥チャンバー31に設けられた純水槽内に浸漬し、その水面にIPAのミスト若しくは蒸気化したIPAを連続的に供給し、基板4を上昇若しくは下降させるかまたは水面をオーバーフロー若しくはダウンフローさせる際に水面を通過する基板4の表面に生じる表面張力の差を用いる。
【0027】
また、別の乾燥方法として、例えば、Spin Dryerと呼ばれる遠心力による乾燥を用いることもできる。この乾燥方法は、乾燥チャンバー31内に設けられた回転ロータに基板4を保持するキャリア2をセットし、リテーナと呼ばれる保定装置により、キャリア2および基板4を固定した後、回転ロータを回転させることによって生じる遠心力を用いる。
【0028】
また、別の乾燥方法として、例えば、Vapor Dryerと呼ばれる蒸気洗浄による乾燥を用いることができる。この乾燥方法は、蒸発潜熱の小さな溶媒(例えば、IPA)を加熱して作った飽和蒸気を乾燥チャンバー31内に充満させ、その蒸気温度よりも低温の基板4を保持するキャリア2を乾燥チャンバー31にセットし、基板4の表面に凝集液化するIPAにより、キャリア2および基板4の表面を洗浄し、キャリア2および基板4がIPA蒸気と同じ温度に暖まったときに、キャリア2および基板4の表面へのIPAの凝集液化を停止させ、キャリア2および基板4を乾燥する。
【0029】
さらに別の乾燥方法として、N2によるN2ブロー乾燥なども用いることができる。いずれの乾燥方法においても、乾燥チャンバー31は、基板4を保持するキャリア2を搬送する上下アクチュエータ14や第1アクチュエータ12から影響を受けないように隔離されている。これにより、上下アクチュエータ14や第1アクチュエータ12から発生するパーティクルによる、乾燥モジュール6内でのコンタミネーションを抑制できる。なお、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14を、乾燥チャンバー31の第1方向の後方側の下部において、乾燥チャンバー31から離間して配置することもできる。また、上下方向の搬送だけでよい場合には、乾燥モジュール6は、第1搬送部11を備えなくともよい。
【0030】
ケミカルモジュール7は、少なくとも1つのモジュールを有する。ケミカルモジュール7は、
図1および
図2に示すように、例えば、第1ケミカルモジュール7a、第2ケミカルモジュール7b、第3ケミカルモジュール7cおよび第4ケミカルモジュール7dを有する。ケミカルモジュール7では、APM(ammonium hydroxide-hydrogen peroxide mixture)洗浄、SPM(sulfuric acid-hydrogen peroxide mixture)洗浄、HPM(hydrochloric acid-hydrogen peroxide mixture)、DHF(diluted hydrofluoric acid)洗浄などの各種の薬液洗浄やエッチングやレジスト剥離などの各種の薬液処理が行われる。これらの薬液処理は、基板4に対する薬液処理の種類によって任意に組み合わせることができる。各ケミカルモジュール7a,7b,7c,7dは、第2方向に着脱可能に連結されるように構成される。これにより、処理プロセスの変更ニーズに対してフレキシブルに対応でき、拡張性が高くなる。
【0031】
図3、
図5および
図9に示すように、ケミカルモジュール7は、薬液洗浄を行う薬液槽32(第2槽)と、純水洗浄(リンス)を行う洗浄槽34(第1槽)とを有する。薬液槽32は第1方向の後方側に配設されて、洗浄槽34は第1方向の前方側に配設される。すなわち、薬液槽32および洗浄槽34は、第1方向に配列される。これにより、ケミカルモジュール7の第2方向の幅が狭くなるので、基板処理装置1を小型化できる。なお、薬液槽32が第1方向の前方側に配設されるとともに洗浄槽34が第1方向の後方側に配設される構成にすることもできる。また、薬液槽32から発生する薬液蒸気を排気するための共通排気ダクト29を第1方向の後方側に配設できるので、基板処理装置1のメンテナンスが容易になる。薬液槽32には、上述した各種の薬液が貯留される。洗浄槽34には、純水が貯留される。薬液槽32は、例えば、キャリア2が薬液に浸漬される内槽と、内槽の上端からオーバーフローした薬液を回収する外槽とを有する。キャリア2の搬送動作に関係しないタイミングでは、薬液槽32の開口部は、蓋によって閉じられる。
【0032】
薬液槽32の第2方向における側方には、2つの側方壁37,37が設けられる。すなわち、薬液槽32の第2方向における側方が、側方壁37によって仕切られる。これにより、隣りに位置するケミカルモジュール7の薬液槽32に貯留される薬液の雰囲気によるコンタミネーションを抑制できる。それとともに、薬液槽32の第1方向における後方には、後方壁38が設けられる。薬液槽32は、2つの側方壁37,37と後方壁38とによって、上下方向から見てU字状に囲まれている。
【0033】
例えば、側方排気口36aを有する2つの側方排気ダクト36,36を、薬液槽32の側方上部にそれぞれ配設することができる。2つの側方排気口36a,36aは、薬液槽32の開口部よりもわずかに低いもののほぼ同じ高さに位置する。後方壁38には、後方排気ダクト39(
図9に図示)の後方排気口39aが配設される。2つの側方排気ダクト36,36と後方排気ダクト39とは、共通排気ダクト29から分岐していて共通排気ダクト29に接続される。後方排気口39aは、薬液槽32の開口部よりも上方に位置する。このように、薬液槽32から蒸発する薬液蒸気を排気する側方排気口36aおよび後方排気口39aが、前記薬液槽32の周囲に配設される。これにより、薬液槽32から発生する薬液蒸気が、ケミカルモジュール7内の処理空間に拡散することが抑制でき、ケミカルモジュール7内の処理空間で搬送される基板4のコンタミネーションを抑制できる。
【0034】
各ケミカルモジュール7は、キャリア2を第1方向に搬送する第1搬送部11と、キャリア2を上下方向に搬送する上下搬送部13とを有する。上下搬送部13は、上下アクチュエータ14を有する。キャリア2は、逆U字状のアーム16の一端側に設けられた受台18によって支持されている。なお、キャリア2は、その上部に鍔部3を有し、後述するように、第2搬送部48のチャック部44により、鍔部3に対する係脱自在の把持を可能にしている。また、キャリア2の鍔部3が、受台18によって支持される構成にすることもできる。また、アーム16は、D字形状を有することもできる。
【0035】
アーム16の他端側は、上下アクチュエータ14に取り付けられている。上下アクチュエータ14は、電動のリニアアクチュエータであり、例えば、アーム16を移動させるスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転させるモータと、電源と、モータの制御を行う制御部とを有する。キャリア2が薬液槽32または洗浄槽34の直上に位置した状態で上下アクチュエータ14によってアーム16が下方に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、薬液槽32の薬液または洗浄槽34の洗浄液に浸漬される。キャリア2が薬液または洗浄液に浸漬された状態で上下アクチュエータ14によってアーム16が上方に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、薬液または洗浄液から引き上げられる。したがって、キャリア2が薬液槽32または洗浄槽34の直上に位置した状態で上下アクチュエータ14によってアーム16が上下方向に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、薬液槽32の薬液または洗浄槽34の洗浄液に対して引き上げられるかまたは浸漬される。
【0036】
第1搬送部11は、第1アクチュエータ12を有する。上下アクチュエータ14は、第1アクチュエータ12に取り付けられている。第1アクチュエータ12は、電動のリニアアクチュエータであり、例えば、上下アクチュエータ14を移動させるスクリュー軸と、該スクリュー軸を回転させるモータと、電源と、モータの制御を行う制御部とを有する。アーム16が上方に移動した状態で第1アクチュエータ12によってアーム16が第1方向の後方側に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、薬液槽32の直上に搬送される。アーム16が引き上げ位置に位置決めされた状態で第1アクチュエータ12によってアーム16が第1方向の前方側に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、洗浄槽34の直上に搬送される。したがって、アーム16が引き上げ位置に位置決めされた状態で第1アクチュエータ12によってアーム16が第1方向に移動すると、複数枚の基板4を保持するキャリア2が、薬液槽32の直上と洗浄槽34の直上との間で搬送される。
【0037】
第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14は、側方排気ダクト36を挟んで、薬液槽32の開口部よりも外側であり且つ側方下部に配設される。すなわち、ファンフィルタユニット24からのダウンフローと側方排気ダクト36の排気とにより、薬液槽32および洗浄槽34は、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から影響を受けないように隔離されている。これにより、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14と薬液槽32の開口部との間での離間距離を大きく確保できるので、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から発生するパーティクルによる、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。なお、2つの側方排気ダクト36,36を無くして、後方排気ダクト39だけで排気する構成にすることもできる。
【0038】
【0039】
図1に示すように、第2搬送機構9は、搬入モジュール5と、ケミカルモジュール7と、乾燥モジュール6と、搬出モジュール8とにおいて、第1方向の後方側の上部に配設されている。
図4に示すように、第2搬送機構9は、例えば、複数の第2搬送収容部40および第2アクチュエータ41が第2方向に連結された構成を有する。第2搬送収容部40のそれぞれは、例えば、搬入モジュール5、ケミカルモジュール7、乾燥モジュール6および搬出モジュール8の各筐体20の一部として構成される。すなわち、第2搬送収容部40は、筐体20と一体的に構成される。また、第2搬送収容部40は、別体の箱状部材として構成することもできる。
図2および
図4では、第2搬送収容部40の構成を理解しやすくするために、第2搬送収容部40が筐体20から離れている態様を図示しているが、第2搬送収容部40は、筐体20の一部を構成する一体物であってもよく、または、別部材として構成してもよい。第2搬送収容部40および第2アクチュエータ41は、第2方向に着脱可能に連結されるように構成されている。
【0040】
図4に示すように、第2搬送機構9は、複数の第2搬送収容部40と、少なくとも1つの第2搬送部48とを有する。第2搬送機構9において配設される第2搬送部48の数は、連結される第2搬送収容部40の数に応じて適宜に増減される。第2搬送部48は、第2アクチュエータ41を有する。第2アクチュエータ41は、第2搬送収容部40の中に収容されている。第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14が、ケミカルモジュール7の中に収容されるとともに、第2アクチュエータ41が、第2搬送収容部40の中に収容される。これにより、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14と、第2アクチュエータ41とが別々に収容されているので、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。
【0041】
第2アクチュエータ41は、例えば、電動のリニアアクチュエータである。第2アクチュエータ41は、例えば、ラック・アンド・ピニオンであり、歯切りされたラックを有する平板状のガイド部と、ピニオンとよばれる円形歯車と、円形歯車を回転させるモータと、電源と、モータの制御を行う制御部とを有する。平板状のガイド部が複数のガイド片を有し、複数のガイド片が第2方向に着脱可能に連結されるように構成することができる。
【0042】
図9に示すように、第2搬送部48は、リンク部46を介して第2アクチュエータ41に接続された回転アクチュエータ42を有する。回転アクチュエータ42は、例えば、電動のロータリアクチュエータであり、2つの回動アーム部43,43を回転させるモータと、電源と、モータの制御を行う制御部とを有する。回転アクチュエータ42は、油圧や空気圧で駆動されるアクチュエータにすることもできる。第2アクチュエータ41と薬液槽32との間は、後方壁38で仕切られる。これにより、第2アクチュエータ41に起因した、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。
【0043】
回動アーム部43は、後方壁38に形成された開口38aを通じて、第1方向に延在する。回動アーム部43は、側方壁37に形成された間隙37aを通じて、第2方向に移動可能になる。回動アーム部43の前方側には、チャック部44が配設されている。チャック部44が洗浄槽34の直上に位置するように構成されている。これにより、チャック部44で把持されたキャリア2が異なる種類の薬液槽32の上を搬送されることに起因した、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。
【0044】
チャック部44は、側面視で(すなわち、第2方向から見て)U字形状を有する。2つのチャック部44,44は、回動アーム部43が回動してキャリア2の鍔部3を両側から挟み込むことによって、キャリア2の鍔部3を把持する。2つのチャック部44,44が互いに離間する方向に回動することによって、キャリア2の鍔部3の把持が解除される。したがって、2つのチャック部44,44は、キャリア2の鍔部3に対して係脱可能である。
【0045】
第2アクチュエータ41が第2搬送収容部40の中に収容されるので、薬液槽32および洗浄槽34は、第2アクチュエータ41から影響を受けないように隔離されている。すなわち、第2アクチュエータ41は、薬液槽32および洗浄槽34から隔離されている。これにより、第2アクチュエータ41から発生するパーティクルによるコンタミネーションを抑制できる。
【0046】
この発明の具体的な実施の形態や数値について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14は、側方下部(第2方向下部)に配置されているが、必要に応じて第1方向側に配置してもよい。
【0048】
基板処理装置1におけるモジュールの数および組み合わせは、必要に応じて、適宜に設計することができ、たとえば、ケミカルモジュール7と乾燥モジュール6とを交互に配置することができる。
【0049】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0050】
この発明の一態様に係る基板処理装置1は、
キャリア2に保持された基板4を薬液で処理する薬液槽32、および、前記キャリア2に保持された前記基板4を洗浄する洗浄槽34を有するケミカルモジュール7を備え、
前記ケミカルモジュール7は、
前記薬液槽32および前記洗浄槽34が配列される第1方向に前記キャリア2を搬送する第1搬送部11と、
前記第1方向に交差する上下方向に前記キャリア2を搬送する上下搬送部13と、
前記第1方向および前記上下方向に交差する第2方向に前記キャリア2を搬送する第2搬送部48とを備え、
前記第1搬送部11、前記第2搬送部48および前記上下搬送部13は、それぞれ、第1アクチュエータ12、第2アクチュエータ41および上下アクチュエータ14によって駆動され、
前記第1アクチュエータ12、前記第2アクチュエータ41および前記上下アクチュエータ14は、前記薬液槽32および前記洗浄槽34から隔離されていることを特徴とする。
【0051】
上記構成によれば、第1搬送部11による第1方向の搬送および第2搬送部48による第2方向の搬送によって、隣りに位置する別の薬液槽32および洗浄槽34が、搬送されるキャリア2に付着する薬液から影響を受けないように隔離されているので、薬液によるコンタミネーションを抑制できる。また、キャリア2を搬送する搬送部11,48,13を駆動するためのアクチュエータ12,41,14が、薬液槽32および洗浄槽34から影響を受けないように隔離されているので、ケミカルモジュール7内でのキャリア2のパーティクルによるコンタミネーションを抑制できる。また、薬液槽32および洗浄槽34が第1方向に配列されることによってケミカルモジュール7の第2方向の幅が狭くなるので、基板処理装置1を小型化できる。また、各工程を処理する装置をモジュール化しているため、ケミカルモジュール7に他のモジュール5,6,8を接続することによって、変更ニーズに対してフレキシブルに対応できる。
【0052】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記ケミカルモジュール7が、前記第2方向に着脱可能に連結されるように構成される。
【0053】
上記実施形態によれば、処理プロセスの変更ニーズに対してフレキシブルに対応でき、拡張性が高くなる。
【0054】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記第1アクチュエータ12および前記上下アクチュエータ14が、前記薬液槽32および前記洗浄槽34の各開口部よりも下方に配設される。
【0055】
上記実施形態によれば、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14から発生するパーティクルによる、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。
【0056】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記基板4を保持する前記キャリア2を搬入する搬入モジュール5、前記キャリア2に保持された前記基板4を乾燥する乾燥モジュール6、または、前記基板4を保持する前記キャリア2を搬出する搬出モジュール8をさらに備え、
前記搬入モジュール5、前記乾燥モジュール6および前記搬出モジュール8が、前記第2方向に着脱可能に連結されるように構成される。
【0057】
上記実施形態によれば、処理プロセスの変更ニーズに対してフレキシブルに対応でき、拡張性が高くなる。
【0058】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記第2アクチュエータ41と前記薬液槽32との間は、後方壁38によって仕切られる。
【0059】
上記実施形態によれば、第2アクチュエータ41から発生するパーティクルによる、ケミカルモジュール7内でのコンタミネーションを抑制できる。
【0060】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記薬液槽32の前記第2方向における側方が、側方壁37によって仕切られる。
【0061】
上記実施形態によれば、隣り合うケミカルモジュール7の薬液槽32に貯留される薬液の雰囲気によるコンタミネーションを抑制できる。
【0062】
また、一実施形態の基板処理装置1では、
前記薬液槽32が前記第1方向の後方側に配設されて、前記洗浄槽34が前記第1方向の前方側に配設される。
【0063】
上記実施形態によれば、薬液槽32から発生する薬液蒸気を排気するための排気ダクト39を第1方向の後方側に配設できるので、基板処理装置1のメンテナンスが容易になる。
【0064】
なお、上記実施の形態では、複数の基板4をキャリア2で保持する場合について説明したが、このような場合に限らず、キャリアレスであってもよい。例えば、チャック部44や受台18によって複数の基板4を直接的に保持してもよい。
【0065】
ここで、
図4に示した第2アクチュエータ41について、
図12を用いて説明する。
図12は、第2搬送機構9を平面視した場合の概略図である。
図12では、第2搬送収容部40の図示を省略している。
【0066】
図12に示すように、第2アクチュエータ41は、アクチュエータ本体部41Aと、複数のレール41Bとを備える。アクチュエータ本体部41Aは、レール41Bに沿って左右方向(第2方向)に移動する駆動部である。レール41Bは、アクチュエータ本体部41Aを移動可能に支持する部材であり、モジュール毎に設けられる。複数のレール41Bが第2方向に並んで連続的な走路を形成することで、複数のモジュールが連結される。
【0067】
第2アクチュエータ41がラック・アンド・ピニオンである場合、アクチュエータ本体部41Aはモータ、減速部、ピニオンギヤ等を有する駆動部であり、レール41Bはラックである。
【0068】
図12に示すように、アクチュエータ本体部41Aは、複数のレール41Bに対して1つのみ設けられ、複数のモジュール間で共通である。これにより、複数のモジュールを連結する際のコストを低減することができる。なお、アクチュエータ本体部41Aは1つのみ設ける場合に限らず、例えば実施の形態のように、搬入モジュール5(ローダ)と搬出モジュール8(アンローダ)が左右別個に配置される場合に、アクチュエータ本体部41Aを複数設けてもよい。
【0069】
図4では符号41を複数付しているが、第2アクチュエータ41のレール41Bが複数存在する。
【0070】
次に、アクチュエータ12、14、41、42を配置する駆動スペースと、基板4の処理を行う処理スペースとの関係について、
図13、
図14を用いて説明する。
【0071】
図13は、ケミカルモジュール7を示す斜視図であり、
図14は、ケミカルモジュール7における第1搬送部11の動きを説明する図である。
【0072】
図13、
図14に示すように、筐体20は、基板4を処理するための処理スペースAを形成する。処理スペースAは、薬液槽32および洗浄槽34を内方する空間であり、複数の基板4が前後方向(第1方向)および横方向(第2方向)に搬送される。処理スペースAは、一対の側方壁37と、後方壁38によって囲まれる。
【0073】
図13、
図14に示すように、筐体20は、第1駆動スペースB1を形成する。第1駆動スペースB1は、第1アクチュエータ12および上下アクチュエータ14を配置するための空間である。第1駆動スペースB1は、薬液槽32および洗浄槽34の各開口部に対して第2方向の側方かつ下方に形成される。
【0074】
図14に示すように、筐体20は、第2駆動スペースB2を形成する。第2駆動スペースB2は、第2アクチュエータ41および回転アクチュエータ42を配置するための空間である。第2駆動スペースB2は、処理スペースAに対して第1方向の後方、すなわち、後方壁38の後方に形成される。
【0075】
駆動スペースB1、B2にアクチュエータ12、14、41、42を配置することで、アクチュエータ12、14、41、42を処理スペースAから隔離することができる。これにより、アクチュエータ12、14、41、42から発生する異物が処理スペースAに進入することを抑制することができ、ケミカルモジュール7内におけるコンタミネーションを抑制することができる。
【0076】
図13、
図14に示すように、第2駆動スペースB2と処理スペースAは、後方壁38によって隔離されるのに対して、
図13に示すように、第1駆動スペースB1と処理スペースAは、側方排気ダクト36によって隔離されている。このような場合に限らず例えば、第1駆動スペースB1と処理スペースAを区切る壁部を設けることで、第1駆動スペースB1と処理スペースAを隔離してもよい。その例について、
図15を用いて説明する。
【0077】
図15は、変形例に係る処理スペースAを示す概略平面図である。
図15に示すように、薬液槽32と洗浄槽34の周囲を囲むように底壁50が設けられている。底壁50は、処理スペースAの底部を構成する壁部である。底壁50の一部には開口51が形成されており、開口51の下方には可動壁52が設けられる。可動壁52は、開口51を覆うように配置されるとともに、受台18を支持するアーム16と一体的に前後方向に移動する(矢印L1、L2)。可動壁52は前後方向に長い形状を有し、アーム16が移動する範囲においては常時、開口51の全体を覆う長さを有する。アーム16は可動壁52を貫通するように下方に延びて、上下アクチュエータ14に接続される。アーム16が貫通する可動壁52の貫通孔にはアーム16が密接して配置される。
図15に示す例では、側方排気ダクト36を設けていない。
【0078】
図15に示す構成によれば、アーム16を挿通する可動壁52を設けることで、アーム16を前後方向に移動可能としながら、処理スペースAと第1駆動スペースB1を物理的に隔離することができる。これにより、ケミカルモジュール7内におけるコンタミネーションをより確実に抑制することができる。
【0079】
なお、後方壁38においても同様に、回動アーム部43を挿通する可動壁を設けてもよい。
【0080】
また、
図15に示す例では、受台18は、キャリア2を収容するための空間を構成する外枠部分に、上段部18Aと下段部18Bを有する。上段部18Aは、下段部18Bよりも上方に突出した部分であり、キャリア2の鍔部3を下方から支持する機能を有する。下段部18Bは、上段部18Aの下方に位置する部分であり、第2搬送部48のチャック部44(爪形状)の先端を配置するための隙間を形成する。下段部18Bを設けることで、上段部18Aにキャリア2の鍔部3を支持した状態でも、第2搬送部48のチャック部44が上段部18Aとは異なる位置でキャリア2の鍔部3を支持することができる。これにより、チャック部44と受台18が互いに干渉せずにキャリア2を保持することができ、チャック部44と受台18の間で容易にキャリア2を受け渡すことができる。
【0081】
【0082】
図16A~
図16Lは、基板処理装置1の動作の一例を説明するための概略図であり、(a)は、処理スペースAの平面図を示し、(b)は、受台18および基板4の周辺構成を示す側面図である。
【0083】
図16Aに示すように、まず、処理スペースAにおいて、受台18が洗浄槽34の上方にて待機している。(b)に示すように、受台18は洗浄槽34の上方かつ、第2搬送部48のチャック部44とは干渉しない高さ位置である中間位置H1に配置される。受台18が待機した状態で、(a)に示すように、複数の基板4を保持したキャリア2を第2搬送部48が横方向に移動する(矢印M1)。
【0084】
図16Bに示すように、第2搬送部48は、基板4を保持したキャリア2を受台18の上方まで移動させる。その後、受台18を中間位置H1から上昇させて(矢印M2)、受台18にキャリア2を保持させる。
【0085】
図16Cに示すように、受台18の上段部18Aをキャリア2の鍔部3に当接させて下方から支持する。
図15を用いて説明したように、チャック部44は受台18の上段部18Aとは異なる位置でキャリア2の鍔部3を支持しており、受台18とは干渉しない。その後、チャック部44を開く方向に回転させて(矢印M3)、基板4の把持を解除する。これにより、
図16Dに示すように、チャック部44から受台18へキャリア2を受け渡す。
【0086】
受台18は、中間位置H1よりも高い上昇位置H2にてキャリア2を保持する。この状態で、キャリア2を保持する受台18を、薬液槽32に向けて後方側に移動させる(矢印M4)。チャック部44は、受台18から離れる方向に開いているため、キャリア2および受台18の移動には干渉しない。
【0087】
図16Eに示すように、キャリア2および受台18は、薬液槽32の上方まで移動して停止する。この状態で、キャリア2および受台18を下降させて(矢印M5)、薬液槽32に貯められた薬液に基板4を浸漬させる。このとき、第2搬送部48のチャック部44は洗浄槽34の上方にあり、キャリア2および受台18と干渉しないため、横方向に退避させることができる(矢印M6)。なお、第2搬送部48を退避させずに、洗浄槽34の上方で待機させ続けてもよい。
【0088】
図16Fに示すように、受台18は、複数の基板4を薬液に浸漬させる高さ位置である下降位置H3まで下降する。基板4を薬液に浸漬させることで、基板4の表面に対してエッチング等の処理を行うことができる。
【0089】
薬液槽32の薬液としては、基板4の表面に処理を行うことができるものであれば、任意の液体を用いてもよい。例えば、有機薬液の場合は、NMPやモノエタノールアミン等のアミン溶液、アセトンなどを用いてもよく、無機薬液の場合は、SC1(APM)、SC2(HPM)、SPM、HF(フッ酸)、BHF(バッファードフッ酸)などを用いてもよい。また、1種の液体を単独で、あるいは2種以上の液体を組み合わせてもよい。
【0090】
基板4の薬液処理が完了すると、キャリア2および受台18を上昇させて(矢印M7)、基板4を引き上げる。
図16Gに示すように、受台18は中間位置H1まで上昇する。その状態で、キャリア2および受台18を洗浄槽34に向けて前方に移動させる(矢印M8)。
【0091】
図16Hに示すように、キャリア2および受台18は、洗浄槽34の上方まで移動して停止する。その後、キャリア2および受台18を下降させて(矢印M9)、洗浄槽34の内部に基板4を配置する。
【0092】
図16Iに示すように、受台18が下降位置H3まで下降した状態で、洗浄槽34に貯められた純水等の洗浄水に基板4を浸漬させる。これにより、薬液が付着した基板4の表面をリンス処理することができる。洗浄水に浸漬させる場合に限らず、洗浄水を基板4に噴射してもよい。リンス処理としては、基板4の表面に付着した薬液を、次の処理で問題にならない状態まで置換できるものであれば、任意の液体・方法を用いてもよい。例えば、プロトン性溶媒、水、IPAやエタノールなどのアルコール、NMPやモノエタノールアミン等のアミン溶液を用いてもよい。また、1種の液体を単独で、あるいは2種以上の液体を組み合わせてもよい。
【0093】
基板4をリンス処理している間、退避していた第2搬送部48を洗浄槽34の上方まで戻すことができる(矢印M10)。第2搬送部48のチャック部44が洗浄槽34の上方に位置してから、リンス処理が完了した基板4を保持するキャリア2および受台18を上昇させる(矢印M11)。
【0094】
図16Jに示すように、受台18は、キャリア2をチャック部44へ受け渡すための位置である上昇位置H2まで上昇する。その状態で、チャック部44を閉じる方向に回転させて(矢印M12)、チャック部44によって複数の基板4を把持する。チャック部44は、受台18の下段部18Bとキャリア2の鍔部3の間の隙間に挿入され、鍔部3を下方から支持する。
【0095】
その後、
図16Kに示すように、チャック部44によってキャリア2を保持した状態で、受台18を下降させる(矢印M13)。これにより、受台18によるキャリア2の保持を解除して、受台18からチャック部44へキャリア2を受け渡す。
【0096】
図16Lに示すように、受台18は、キャリア2およびチャック部44とは干渉しない中間位置H1まで退避する。このため、キャリア2を保持したチャック部44を有する第2搬送部48は、次のケミカルモジュール7に向けて移動することができる(矢印M14)。
【0097】
図16A~
図16Lに示した動作によれば、ケミカルモジュール7の処理スペースAにおいて前後方向(第1方向)に配列した薬液槽32と洗浄槽34を用いて、基板4を前後方向に搬送して(第1搬送工程)、基板4に対する薬液処理とリンス処理を実行し、両処理が完了したら、次のケミカルモジュール7へ向けて基板4を横方向(第2方向)に搬送することができる(第2搬送工程)。第1搬送工程と第2搬送工程を実行することで、エッチング処理等の処理済みの基板4を製造することができる。
【0098】
基板4を1バッチで処理する場合は、1バッチの基板4に対して、
図16A~
図16Lに示した動作をモジュール毎に実行すればよい。
図17の概略平面図に示すように、ケミカルモジュール7Aで基板4の処理を実行すると(1)、次のケミカルモジュール7Bに基板4を搬送して別の処理を実行し(2)、さらに次のケミカルモジュール7Cに基板4を搬送して別の処理を実行すればよい(3)。なお、動作(1)~(3)の順序は特に限定されず、ランダムな順序であってもよい。すなわち、ケミカルモジュール7A、7B、7Cが並んでいる順番通りに基板4を搬送して各モジュールで処理を実行する必要はない。
【0099】
基板4を複数バッチで処理する場合は、
図18の概略平面図に示すように、ケミカルモジュール7Aで基板4Aに処理を実行しつつ(4)、別のケミカルモジュール7Bで別の基板4Bに処理を行いつつ(5)、さらに別のケミカルモジュール7Cで別の基板4Cに処理を行うことが可能である(6)。モジュール7A、7B、7Cのそれぞれに第1搬送部11と上下搬送部13を設けているため、各モジュール7A、7B、7Cで、基板の搬送・処理を並行して実行することができる。なお、動作(4)~(6)の順序は特に限定されず、ランダムな順序であってよい。たとえば、ケミカルモジュール7Cへ基板4Cを搬送し、次にケミカルモジュール7Aへ基板4Aを搬送し、次にケミカルモジュール7Bへ基板4Bを搬送し、各モジュール7A、7B、7Cで基板4A、4B、4Cをそれぞれ処理してもよい。
【0100】
図18に示すように、基板4A、4Bが洗浄槽34の上方から離れた位置にあるときは、第2搬送部48のチャック部44(図示せず)は、基板4A、4B、キャリア2(
図17、
図18では図示を省略)、受台18に干渉せず、ケミカルモジュール7A、7Bを通過して横方向に移動することができる(7)。ケミカルモジュール7Cまで移動した第2搬送部48は、処理が完了した基板4Cを受け取り、次のケミカルモジュール7へ搬送することができる(8)。基板4Cを次のケミカルモジュール7へ受け渡した後は、ケミカルモジュール7A、7Bのうち、基板4A、4Bの処理が完了したモジュールまで移動して(9)、処理が完了した基板を受け取り、また次のケミカルモジュール7へ搬送することができる。
【0101】
上記動作によれば、複数バッチの基板4A、4B、4Cを各モジュールで並行して処理するとともに、その処理の最中にモジュール間をまたぐ第2搬送部48を横方向に移動させることができる。これにより、従来の基板処理装置のように複数の槽を横方向に一列に並べる構成では実現できない動作を実現することができ、処理の効率を大幅に向上させることができる。
【0102】
(作用・効果1)
【0103】
上述したように、実施の形態のケミカルモジュール7(基板処理モジュール)は、第1方向に配列され、基板4を配置可能な洗浄槽34(第1槽)および薬液槽32(第2槽)と、基板4を第1方向に移動させる第1搬送部11と、基板4を第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部48と、を備える。
【0104】
このような構成によれば、洗浄槽34と薬液槽32を第1方向に配列しつつ、基板4を第1方向に搬送する第1搬送部11と、基板4を第2方向に搬送する第2搬送部48を設けることで、基板4を異なる方向(MD方向とTD方向)に搬送することができる。これにより、従来の基板処理装置のように複数の槽を一方向にのみ並べて配置する場合に比べて、装置全体の設置面積を小さくすることができる。また、第1搬送部11と第2搬送部48を別に設けることで、第1搬送部11と第2搬送部48で別々の基板4を搬送・処理する等、処理の効率を向上させることができる。
【0105】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、基板4を上下動させる上下搬送部13をさらに備え、上下搬送部13は、第1搬送部11に連結され、第1搬送部11は、上下搬送部13を第1方向に移動させる。このような構成によれば、第2搬送部48において基板4を上下動させる機能や第1方向に移動させる機能を省くことができ、基板4の移動をシンプル化することができる。
【0106】
また、実施の形態のケミカルモジュール7は、第2方向に別のモジュール(搬入モジュール5、乾燥モジュール6、ケミカルモジュール7、あるいは搬出モジュール8)を連結可能である。これにより、第2搬送部48を用いて、複数のモジュール間で基板4を搬送することができる。
【0107】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第2搬送部48の第2アクチュエータ41は、別のモジュールと共通で用いられる。このような構成によれば、ケミカルモジュール7を別のモジュールに連結する際のコストを低減させることができる。
【0108】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第2搬送部48は、第2方向に延在するレール41Bを備え、レール41Bは、別のモジュールのレール41Bと第2方向に並ぶように配置される。このような構成によれば、簡単な構造を用いてモジュール同士を連結することができる。
【0109】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、洗浄槽34と薬液槽32を第2方向に挟む一対の側方壁37をさらに備え、側方壁37は、第2搬送部48を通過させるための間隙37aを形成する。このような構成によれば、第2搬送部48によるモジュール間の移動を簡単な構成で実現できる。また、間隙37aの大きさは第2搬送部48が通過できるだけの大きさに留めることができるため、モジュール間のコンタミネーションを抑制できる。
【0110】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、洗浄槽34は、第1方向の前方側に配置され、薬液槽32は、第1方向の後方側に配置され、第2搬送部48は、基板4を洗浄槽34の上方で移動させる。このような構成によれば、モジュール間における薬液槽32同士のコンタミネーションを少なくすることができる。また、オペレータが前方からケミカルモジュール7の内部を確認する際に、第2搬送部48によって搬送される基板4が視認しやすくなる。
【0111】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、ケミカルモジュール7に対して第2方向に連結される別のモジュールは、搬入モジュール5、搬出モジュール8、乾燥モジュール6、ケミカルモジュール7のうちのいずれかである。このような構成によれば、別のモジュールとして様々な機能のモジュールを連結することができる。
【0112】
また、実施の形態の基板処理装置1は、ケミカルモジュール7と、ケミカルモジュール7に対して第2方向に連結される別のモジュール(搬入モジュール5、乾燥モジュール6、ケミカルモジュール7、あるいは搬出モジュール8)とを備える。このような構成によれば、設置面積が少なく、処理効率の高い基板処理装置1を実現することができる。
【0113】
また、実施の形態の基板製造方法(基板処理方法)は、ケミカルモジュール7(基板処理モジュール)において、第1方向に配列された洗浄槽34(第1槽)と薬液槽32(第2槽)の間を移動するように、基板4を第1方向に搬送する第1搬送工程と、基板4を第1方向に交差する第2方向に搬送する第2搬送工程と、を含む。
【0114】
このような方法によれば、ケミカルモジュール7において、基板4を異なる方向(MD方向とTD方向)に搬送することができる。これにより、従来の基板処理装置のように複数の槽を一方向にのみ並べて配置する場合に比べて、装置全体の設置面積を小さくすることができるとともに、処理の効率を向上させることができる。なお、第2搬送工程は、オペレータが手動で実行してもよい。
【0115】
(作用・効果2)
【0116】
上述したように、実施の形態のケミカルモジュール7(基板処理モジュール)は、第1方向に配列され、基板4を配置可能な洗浄槽34(第1槽)および薬液槽32(第2槽)と、基板4を第1方向に移動させる第1搬送部11と、基板4を第1方向に交差する第2方向に移動させる第2搬送部48と、第1搬送部11に連結され、基板4を上下動させる上下搬送部13と、を備える。また、第1搬送部11の第1アクチュエータ12および第2搬送部48の第2アクチュエータ41は、洗浄槽34と薬液槽32にアクセス可能な処理スペースAとは隔離された駆動スペースB1、B2にそれぞれ配置される。
【0117】
このような構成によれば、洗浄槽34と薬液槽32を第1方向に配列しつつ、基板4を第1方向に搬送する第1搬送部11と、基板4を第2方向に搬送する第2搬送部を設けることで、基板4を異なる方向(MD方向とTD方向)に搬送することができる。これにより、従来の基板処理装置のように複数の槽を一方向にのみ並べて配置する場合に比べて、装置全体の設置面積を小さくすることができる。また、2つのアクチュエータ12、41を処理スペースAとは隔離された駆動スペースB1、B2に配置することで、アクチュエータ12、41から生じる異物が処理スペースAに侵入しにくくなり、ケミカルモジュール7内におけるコンタミネーションを抑制できる。
【0118】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第1アクチュエータ12は、第1駆動スペースB1に配置され、第2アクチュエータ41は、第2駆動スペースB2に配置される。このような構成によれば、第1アクチュエータ12と第2アクチュエータ41をそれぞれの駆動スペースB1、B2に配置することで、モジュール内のスペースを有効活用することができる。
【0119】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第1駆動スペースB1は、洗浄槽34および薬液槽32の各開口部の側方かつ下方に設けられ、第2駆動スペースB2は、処理スペースAに対して第1方向の後方に設けられる。このような構成によれば、ケミカルモジュール7内のスペースを有効活用することができる。
【0120】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、処理スペースAの後方に設けられた後方壁38をさらに備え、第2駆動スペースB2は、後方壁38の後方に設けられる。このような構成によれば、処理スペースAと第1駆動スペースB1を後方壁38で仕切ることで、第1駆動スペースB1に配置される第1アクチュエータから生じる異物が処理スペースAに進入しにくくなり、コンタミネーションを抑制できる。
【0121】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、後方壁38は、処理スペースAの雰囲気を外部に排気するための排気口39aを形成する。このような構成によれば、処理スペースAに異物が進入した場合でも、排気口39aを通じて外部に排気することができる。
【0122】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第2搬送部48は、第2駆動スペースB2から前方へ延びるとともに後方壁38に設けられた開口38aを通過する回動アーム部43(アーム)と、回動アーム部43に連結されて洗浄槽34の上方に配置されるチャック部44と、を備える。このような構成によれば、簡単な構成を用いて第2搬送部48を実現することができる。また、後方壁38の開口38aは、回動アーム部43を通過させる面積があれば足りるため、開口38aの面積を最小限に留めることで、第2アクチュエータ41から生じる異物が処理スペースAに進入しにくくすることができる。
【0123】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第2駆動スペースB2は、別のモジュールと連結可能である。このような構成によれば、第2駆動スペースB2を連結可能とすることで、モジュール同士を簡単に連結することができる。
【0124】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、第2搬送部48は、基板4を把持するためのチャック部44を回転させる回転アクチュエータ42をさらに備え、回転アクチュエータ42は、第2駆動スペースB2に配置される。このような構成によれば、第2アクチュエータ41とともに回転アクチュエータ42を第2駆動スペースB2に配置することで、回転アクチュエータ42から生じる異物を処理スペースAに進入しにくくすることができ、コンタミネーションを抑制できる。
【0125】
また、実施の形態のケミカルモジュール7では、上下搬送部13の上下アクチュエータ14は、第1駆動スペースB1に配置される。このような構成によれば、上下アクチュエータ14を第1アクチュエータ12とともに第1駆動スペースB1に配置することで、上下アクチュエータ14から生じる異物を処理スペースAに進入しにくくすることができ、コンタミネーションを抑制できる。
【0126】
なお、実施の形態では、2つの槽(第1槽、第2槽)として、洗浄槽34と薬液槽32を設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、
図19の概略平面図に示すように、ケミカルモジュール7A、7B、7Cのそれぞれにおいて、異なる組合せの槽を用いてもよい。
図19に示す例では、ケミカルモジュール7Aの第1槽34Aが洗浄槽であり、第2槽32Aが薬液槽であるが、ケミカルモジュール7Bの第1槽34Bと第2槽32Bの両方が薬液槽であり、ケミカルモジュール7Cの第1槽34Cと第2槽32Cの両方がワンバス処理槽である。ワンバス処理槽とは、薬液処理と洗浄処理の両方の機能を兼ねた槽であり、薬液を供給・排水する機能と、洗浄用の液体を供給・排水する機能を有する。
【0127】
ケミカルモジュール7Bの第1槽34Bと第2槽32Bで用いる薬液は、同種又は異種であってもよく、ケミカルモジュール7Cの第1槽34Cと第2槽32Cで用いる薬液も、同種又は異種であってもよい。
【0128】
図19に示すレイアウトのように、第1槽と第2槽の組合せとして、洗浄槽34と薬液槽32に限らず、様々な組合せを採用することができる。第1槽と第2槽には、薬液槽、洗浄槽、ワンバス処理槽のいずれかを用いればよく、任意の組合せを採用してもよい。
【0129】
上記の通り、実施の形態のケミカルモジュール7では、第1槽および第2槽のそれぞれは、基板4を薬液で処理する薬液槽、基板4を洗浄する洗浄槽、基板4を薬液処理する機能と洗浄する機能を兼ねたワンバス処理槽のいずれかである。このような構成によれば、第1槽と第2槽を様々に組み合せることができる。
【符号の説明】
【0130】
1…基板処理装置
2…キャリア
3…鍔部
4…基板
5…搬入モジュール
6…乾燥モジュール
7…ケミカルモジュール
7a…第1ケミカルモジュール
7b…第2ケミカルモジュール
7c…第3ケミカルモジュール
7d…第4ケミカルモジュール
8…搬出モジュール
9…第2搬送機構
11…第1搬送部
12…第1アクチュエータ
13…上下搬送部
14…上下アクチュエータ
16…アーム
18…受台
20…筐体
22…載置台
24…ファンフィルタユニット
26…搬入部
27…搬出部
29…共通排気ダクト
31…乾燥チャンバー
32…薬液槽
34…洗浄槽
36…側方排気ダクト(排気ダクト)
36a…側方排気口(排気口)
37…側方壁
37a…間隙
38…後方壁
38a…開口
39…後方排気ダクト(排気ダクト)
39a…後方排気口(排気口)
40…第2搬送収容部
41…第2アクチュエータ
42…回転アクチュエータ
43…回動アーム部
44…チャック部
46…リンク部
48…第2搬送部