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特許7402986コンテナ蔵置計画装置、コンテナ蔵置計画システム、及びコンテナ蔵置計画方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】コンテナ蔵置計画装置、コンテナ蔵置計画システム、及びコンテナ蔵置計画方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B65G63/00 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022536036
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027474
(87)【国際公開番号】W WO2022013966
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】323003104
【氏名又は名称】三井倉庫株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井場 徹
(72)【発明者】
【氏名】岸澤 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 太紀
(72)【発明者】
【氏名】川上 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達広
(72)【発明者】
【氏名】今西 亮介
(72)【発明者】
【氏名】吉井 一彦
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 一義
(72)【発明者】
【氏名】松岡 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】川上 順
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104577(JP,A)
【文献】特開2017-165502(JP,A)
【文献】特開2019-104578(JP,A)
【文献】特許第4410515(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定するためのコンテナ蔵置計画装置であって、
過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与する搬出順予測部と、
コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナに付された前記コンテナ貨物情報と、コンテナターミナルにおけるコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報と、前記搬出順予測部が算出した各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定するコンテナ蔵置計画策定部と、を備え、
前記コンテナ蔵置計画策定部は、
前記搬出順予測部により予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、
前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、
コンテナ蔵置計画装置。
【請求項2】
前記制約条件がさらに、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイにおいて、同一のベイには所定の属性が共通するコンテナを蔵置するようにすることを含んでいる、請求項に記載のコンテナ蔵置計画装置。
【請求項3】
前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、前記制約条件に従って、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイのうち、評価指標をもっともよく満たすと判定されたベイを選択する、請求項1に記載のコンテナ蔵置計画装置。
【請求項4】
前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、選択された前記ベイにおいて前記制約条件に従ってコンテナを蔵置した場合に、前記評価指標をもっともよく満たすと判定された蔵置場所を選択する、請求項に記載のコンテナ蔵置計画装置。
【請求項5】
前記評価指標が、前記ベイに蔵置されているコンテナにおいて、搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とすることを含んでいる、請求項に記載のコンテナ蔵置計画装置。
【請求項6】
前記搬出順予測部が、過去の前記コンテナ貨物情報に基づいて予測した各コンテナの搬出日である予測搬出日と、過去の前記コンテナ貨物情報に記録されている実際の搬出日とを比較し、当該比較の差分が最小となるように、搬出順予測処理に用いる予測モデルを生成する、請求項1に記載のコンテナ蔵置計画装置。
【請求項7】
コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定し運用するためのコンテナ蔵置計画システムであって、
過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、荷揚げされるコンテナの荷揚げ順を含む情報である荷揚げコンテナ情報と、コンテナターミナルに蔵置されているコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報とを格納しているコンテナターミナル業務システムと、
過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナのコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与する搬出順予測部と、
前記荷揚げコンテナ情報と、前記蔵置コンテナ情報と、前記搬出順予測部が算出した各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定するコンテナ蔵置計画策定部と、
を備えているコンテナ蔵置計画装置と、
前記コンテナ蔵置計画装置が策定したコンテナ蔵置計画を受信して当該コンテナ蔵置計画を表示する端末装置と、
を備え
前記コンテナ蔵置計画策定部は、
前記搬出順予測部により予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、
前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、
コンテナ蔵置計画システム。
【請求項8】
前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、前記制約条件に従って、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイのうち、評価指標をもっともよく満たすと判定されたベイを選択する、請求項に記載のコンテナ蔵置計画システム。
【請求項9】
前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、選択された前記ベイにおいて前記制約条件に従ってコンテナを蔵置した場合に、前記評価指標をもっともよく満たすと判定された蔵置場所を選択する、請求項に記載のコンテナ蔵置計画システム。
【請求項10】
前記評価指標が、前記ベイに蔵置されているコンテナにおいて、搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とすることを含んでいる、請求項に記載のコンテナ蔵置計画システム。
【請求項11】
コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定するためのコンテナ蔵置計画方法であって、
演算装置と記憶装置とを有する情報処理装置が、
過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与することと、
コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナに付された前記コンテナ貨物情報と、コンテナターミナルにおけるコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報と、前記各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定することと、
を含み、
前記蔵置場所の決定において、予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、
前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、
コンテナ蔵置計画方法。
【請求項12】
前記情報処理装置が、蔵置しようとする各コンテナについて、前記制約条件に従って、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイのうち、評価指標をもっともよく満たすと判定されたベイを選択する、請求項11に記載のコンテナ蔵置計画方法。
【請求項13】
前記情報処理装置が、蔵置しようとする各コンテナについて、選択された前記ベイにおいて前記制約条件に従ってコンテナを蔵置した場合に、前記評価指標をもっともよく満たすと判定された蔵置場所を選択する、請求項12に記載のコンテナ蔵置計画方法。
【請求項14】
前記評価指標が、前記ベイに蔵置されているコンテナにおいて、搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とすることを含んでいる、請求項13に記載のコンテナ蔵置計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ蔵置計画装置、コンテナ蔵置計画システム、及びコンテナ蔵置計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル経済の発展に伴い、大量の貨物を低コストで移動させる海上輸送へのニーズは非常に大きい。中でも海上コンテナ輸送は、40フィート級等の大容量コンテナによって、到着港のコンテナターミナルで大型トレーラーによる陸上輸送に中継されて物流倉庫等へ直接搬入することができ、効率的な貨物輸送を実現する有力な手段となっている。
【0003】
コンテナターミナルでは、接岸したコンテナ船からのコンテナの荷揚げ、コンテナヤードでの一時的な蔵置、蔵置されたコンテナの搬出という流れに沿って、一連の荷役作業が行われる。コンテナターミナルにおけるコンテナ滞留時間を短縮する上で、この荷役作業の効率化については様々なソリューションが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、コンテナターミナルにおいて、「日単位の作業における効率的な荷役機械の配置を予め行うと共に、無駄な荷繰り作業を低減可能な蔵置指示を出力する事を可能とする人工知能を活用した荷役機械の分散配置システムを提供する」(段落0011)ことを目的としている。そして、その目的達成のため、「本船とコンテナターミナルとの間でコンテナの荷役を行うガントリークレーンと、前記ガントリークレーンとコンテナヤード内における蔵置場所との間でコンテナの搬送を行う構内トレーラーと、荷主と前記蔵置場所との間でのコンテナ搬送を行う外来トレーラー、および前記蔵置場所において前記構内トレーラーまたは前記外来トレーラーとの間でコンテナの荷役を行うヤードクレーンとを備えているコンテナターミナルの管理システムにおいて、ニューラルネットワークを構築した人工知能を備え、前記人工知能には少なくとも、コンテナ関連情報と、コンテナ搬出関連情報、荷役作業関連情報、およびターミナル外部要因情報を入力データとして入力し、ディープラーニングの手法を用いて、前記ガントリークレーンの稼働率がデータ上の最大値に維持される前記構内トレーラーの運行を保つと共に、前記ヤードクレーンの稼働率がデータ上の最大値となり、かつ前記外来トレーラーの荷役時における待機時間が計算上最少となる前記ヤードクレーンの配備数と、その配置状態を出力データとして求め、個々の前記外来トレーラー並びに前記構内トレーラーに対する蔵置場所の指定情報と、前記最少配備数に従って配備された前記ヤードクレーンそれぞれに対する配置指示情報とを送信する」(請求項1)ことを特徴としている。特に、「出力データには、蔵置されたコンテナが搬出されるまでに予測される荷繰り回数が最少となる蔵置プラン」(請求項2)が含まれてもよい旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-104577公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンテナヤードでは、その面積の制約から一般に複数段のコンテナを積み上げて蔵置することが行われる。この際、先に搬出すべきコンテナの上に他のコンテナが積まれていたとすると、他のコンテナを一回別の場所に積み替えてから優先コンテナを搬出する必要があり、いわゆる荷繰り作業が発生する。特許文献1は、荷役作業の効率化のため、このような荷繰り回数が最少となるコンテナの蔵置プランを生成することを提案している。
【0007】
しかし、実際のコンテナターミナル現場での荷役作業を高度に効率化するためには、論理的に荷繰り回数が最少となるようにコンテナの蔵置計画を行うのみでは、現場の作業制約等の要因により必ずしも効率的な蔵置計画にはならないという課題がある。例えば、荷繰り回数を最少化するコンテナ蔵置計画を生成したとしても、他の荷役作業効率化のための条件、例えば、蔵置されたコンテナをトランスファークレーン等で搬出する場合にクレーン操作難度が高い形態でコンテナが蔵置されていたり、容量の異なるコンテナが同一のベイに蔵置されていたりすれば、搬出作業の効率が低下する。また、コンテナの搬出に関する優先順位も搬出トレーラーの到着が遅れるなどの外部要因によって変動することがあり、それによって想定外の荷繰り作業が発生してやはり搬出作業の効率低下が生じることもある。
【0008】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテナターミナル現場において求められる多様な条件を考慮しつつ荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を生成することができる、コンテナ蔵置計画装置、コンテナ蔵置計画システム、及びコンテナ蔵置計画方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するための本発明の一つは、コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定するためのコンテナ蔵置計画装置であって、過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与する搬出順予測部と、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナに付された前記コンテナ貨物情報と、コンテナターミナルにおけるコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報と、前記搬出順予測部が算出した各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定するコンテナ蔵置計画策定部と、を備え、前記コンテナ蔵置計画策定部は、前記搬出順予測部により予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、コンテナ蔵置計画装置とする。
【0010】
本発明の他の一つは、コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定し運用するためのコンテナ蔵置計画システムであって、過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、荷揚げされるコンテナの荷揚げ順を含む情報である荷揚げコンテナ情報と、コンテナターミナルに蔵置されているコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報とを格納しているコンテナターミナル業務システムと、過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナのコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与する搬出順予測部と、前記荷揚げコンテナ情報と、前記蔵置コンテナ情報と、前記搬出順予測部が算出した各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定するコンテナ蔵置計画策定部と、を備えているコンテナ蔵置計画装置と、前記コンテナ蔵置計画装置が策定したコンテナ蔵置計画を受信して当該コンテナ蔵置計画を表示する端末装置と、を備え、前記コンテナ蔵置計画策定部は、前記搬出順予測部により予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、コンテナ蔵置計画システムとする。
【0011】
本発明のさらに他の一つは、コンテナターミナルの事情に応じたコンテナの蔵置計画を策定するためのコンテナ蔵置計画方法であって、演算装置と記憶装置とを有する情報処理装置が、過去にコンテナターミナルに荷揚げされて搬出されたコンテナに付属する属性を示す情報であるコンテナ貨物情報と、過去に搬出された前記各コンテナの実際の搬出日とを入力として、各コンテナの搬出日を予測するための予測モデルを生成し、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナ及びコンテナターミナルに蔵置されているコンテナに付されたコンテナ貨物情報を前記予測モデルへの入力として当該各コンテナの搬出日を予測してその搬出優先順を各コンテナに付与することと、コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナに付された前記コンテナ貨物情報と、コンテナターミナルにおけるコンテナの蔵置場所を示す情報である蔵置コンテナ情報と、前記各コンテナの搬出優先順とを入力として、コンテナの荷役作業に伴い考慮すべき制約条件に基づいて、荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を評価する評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定することと、を含み、前記蔵置場所の決定において、予測された前記搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより前記搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とする様に蔵置位置を評価する荷繰り評価条件と、コンテナターミナルにコンテナを蔵置する際に、蔵置後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付けまたは積み出しの支障とならないようにする複数の制約条件と、を含む前記評価指標を満たすように、前記各コンテナのコンテナターミナルにおける蔵置場所を決定し、前記評価指標に対し、コンテナターミナルの事情に応じていずれの条件を重視するかを示す重みづけを各条件毎に設定可能としている、コンテナ蔵置計画方法とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンテナターミナルにおいて求められる多様な条件を考慮しつつ荷役作業の効率化に資するコンテナ蔵置計画を生成することができる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、コンテナターミナルの設備及び機能の一例を示す概略模式平面図である。
図2図2は、ベイに蔵置されたコンテナを例示する模式図である。
図3図3は、コンテナの荷揚げと蔵置について例示する模式図である。
図4A図4Aは、コンテナヤードのベイにおけるコンテナ蔵置状況を例示する模式図である。
図4B図4Bは、コンテナヤードのベイにおけるコンテナ蔵置状況を例示する模式図である。
図5図5は、コンテナ蔵置計画において利用するペナルティ回数の説明図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るコンテナ蔵置計画装置を含むコンテナ蔵置計画システムの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、本実施形態のコンテナ蔵置計画装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図8図8は、コンテナターミナル業務システム10の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、コンテナ蔵置計画装置20の構成例を示すブロック図である。
図10図10は、コンテナ貨物情報14の構成例を示す図である。
図11図11は、荷揚げコンテナ情報15の構成例を示す図である。
図12図12は、蔵置コンテナ情報16の構成例を示す図である。
図13図13は、コンテナ蔵置計画情報25の構成例を示す図である。
図14図14は、制約条件23の構成例を示す図である。
図15図15は、評価指標24の構成例を示す図である。
図16A図16Aは、本実施形態の搬出予測モデル学習処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
図16B図16Bは、本実施形態の搬出予測モデル学習処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
図17A図17Aは、本実施形態のコンテナ蔵置計画策定処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
図17B図17Bは、本実施形態のコンテナ蔵置計画策定処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
図18図18は、本実施形態のコンテナ蔵置ベイ選択処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
図19図19は、本実施形態のコンテナ蔵置場所選択処理のデータ処理フロー例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るコンテナ蔵置計画装置、コンテナ蔵置計画システム、及びコンテナ蔵置計画方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
その前にまず、その説明の前提となる、一般的なコンテナターミナルの設備と機能について説明する。
【0017】
<コンテナターミナルの概要>
図1に、一般的なコンテナターミナルの設備及び機能を示す概略模式平面図を示している。コンテナターミナルはコンテナ船が入港可能な港湾の一部に設けられ、岸壁PIにコンテナ船CSが接岸できるようになっている。岸壁PIにはコンテナ船CSから荷揚げをするガントリークレーンGCが岸壁PIに沿って移動可能に設けられている。ガントリークレーンGCの陸側には、荷揚げしたコンテナCNTを、コンテナターミナルから搬出されるまで一時的に蔵置する領域であるコンテナヤードCYが設けられている。コンテナヤードCY内には、多数のコンテナCNTをそれぞれ一群として蔵置するブロックBLと呼ばれる略矩形の領域が設けられ、ブロックBLを長手方向に並べてなる列はレーンLNと呼ばれる。レーンLNの間には、コンテナターミナル内でコンテナCNTを運搬する構内シャーシYDCHが通行可能な通路であるシャーシレーンCLNが設けられている。各レーンLNには、ブロックBLの長手方向に沿って移動可能なトランスファークレーンTRCが配置されている。各トランスファークレーンTRCは、担当するレーンLNに属するブロックBLへのコンテナCNTの積み付けと、当該ブロックBLからのコンテナCNTの積み出しを行う。各ブロックBLはその長手方向に沿って、複数のベイBYと呼ばれる領域で区画されている。本実施形態では、荷揚げしたコンテナCNTを、どのブロックBLのどのベイBYに蔵置するか、そして、各ベイBYにおいてどのような形態で蔵置するかが、様々な制約条件の下で評価される。ゲートGTは、保税区域でもあるコンテナターミナルからコンテナCNTの搬出を管理するための施設である。
【0018】
コンテナCNTの荷揚げからゲート搬出までの流れは概略以下のようである。なお、以下のかっこ付き数字は、図1のかっこ付き数字と対応する。
【0019】
(1)まずガントリークレーンGCによってコンテナ船CSから所定の順番でコンテナが積み出され、コンテナターミナル構内搬送用の構内シャーシYDCHに積まれる。
【0020】
(2)次いで、構内シャーシYDCHによって、あらかじめ指定されているレーンLNのブロックBLに搬送される。
【0021】
(3)指定ブロックBLでは、トランスファークレーンTRCが、あらかじめ指定されているベイBYの指定場所にコンテナCNTを積み付ける。
【0022】
(4)ベイBYに蔵置されているコンテナCNTは、搬出優先順に従ってトランスファークレーンTRCによって積み出され、陸送トレーラーなどに積まれてゲートGTから搬出される。
【0023】
従来、コンテナCNTごとにどのベイBYのいずれの場所に搬送して積み付けるかは、搬出優先順をはじめとして様々な条件を勘案しつつ長年の経験に基づいて人手で決定されていた。
【0024】
<コンテナを蔵置するベイBY>
図2に、コンテナCNTが蔵置されるベイBYの正面図(ブロックBL短手方向の断面)を模式的に示している。一つのベイBYの中で、コンテナCNTはマトリクス状に蔵置される。図2の例においては、ベイBYの幅方向に6つのロウ(Row)が、高さ方向に5つのティア(Tier)が設けられており、1つのベイBYには最大6×5=30個のコンテナCNTが蔵置可能である。図2では、ハッチングで蔵置済みのコンテナを、破線でまだコンテナが蔵置されていない箇所を表している。
【0025】
1番から5番までのロウには2番のティアまで2段のコンテナが蔵置済みで、6番のロウのみ、5番のティアまで5段のコンテナが蔵置済みである。したがって、例えば次のコンテナの荷揚げ場所としては、矢印で示しているロウ3、ティア3の場所が利用可能である。このように、コンテナの蔵置場所は、特定ブロックの特定ベイが指定された場合、ロウとティアとの組み合わせでなる座標により表すことができる。例えば図2の次の荷揚げ場所は(3,3)と表現される。
【0026】
<コンテナ蔵置計画の考え方>
ここで、本発明におけるコンテナ蔵置計画の基本的な考え方を説明する。図3にコンテナの荷揚げとコンテナヤードでの蔵置について模式的に示している。
【0027】
図3は、コンテナ船に積載されていて荷揚げを待つ3個のコンテナと、すでに荷揚げされてコンテナヤードの特定のベイに蔵置されている5個のコンテナを模式的に示している。各コンテナに付されている番号は、各コンテナ蔵置後の搬出優先順を表している。番号1が付されているコンテナの搬出優先順が最も高く、2番、3番、…と搬出優先順が低くなるものとしている。
【0028】
図4A図4Bには、図3の状態において、コンテナ船から3個のコンテナを荷揚げして該当ベイに積み付けた状態を模式的に示している。まず図4Aを参照すると、各コンテナの搬出優先順を考慮することなく、各ロウについて2段に、言い換えればティア=2となるように積まれている。この場合、搬出優先順にコンテナを積み出す場合、1番コンテナを積み出すためにまず5番コンテナを移動させ、4番コンテナを積み出すために7番コンテナを移動させる荷繰り作業が必要となることがわかる。言うまでもなく、これらの荷繰り作業は荷役作業の効率低下につながり好ましくない。
【0029】
一方、図4Bを参照すると、搬出優先順に蔵置コンテナを積み出せるように積み付けられているため、1番コンテナから5番コンテナまでは荷繰りの必要なく積み出しが可能で、6番コンテナ積み出し時のみ7番コンテナを移動させる荷繰りが必要となる。しかし、図4Aの場合より荷役作業の効率がよいことは明らかである。
【0030】
以上のような搬出優先順を考慮したコンテナ蔵置計画を策定する上で、本実施形態では「ペナルティ回数」という評価指標を導入した。図5に、ペナルティ回数の考え方を説明している。ペナルティ回数は、「搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数」と定義することができる。このペナルティ回数の考え方を図4A図4Bのコンテナ蔵置例に適用すると、それぞれ図5の例1,例2のようになる。すなわち、図4Aのコンテナ蔵置例では搬出優先順がより高いコンテナの上に、それより搬出優先順位の低いコンテナが2個積まれているため、ペナルティ回数は2である。これに対して、図4Bのコンテナ蔵置例では搬出優先順がより高いコンテナの上に、それより搬出優先順の低いコンテナが1個積まれているため、ペナルティ回数は1である。本実施形態において、コンテナ蔵置計画は、一つのベイに関してペナルティ回数が最少となるように策定される。また、ベイの選択に関しても、例えば蔵置コンテナ数が少ないベイを優先的に選択するなどの条件の下、コンテナターミナル全体として荷繰り回数を最小化するように、コンテナ蔵置計画が策定される。なお、荷繰り作業の最小化を図る上ではペナルティ回数以外の指標を用いることもできる。例えば、搬出優先順を考慮して発生する荷繰り作業の総所要時間が最短となるようにコンテナ蔵置計画を策定することなどが考えられる。
【0031】
<コンテナ蔵置計画システム>
次に、本実施形態のコンテナ蔵置計画システムの構成と機能について説明する。図6に本実施形態のコンテナ蔵置計画システム1の全体構成例を示している。
【0032】
図6に示すように、本実施形態のコンテナ蔵置計画システム1は、コンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20、端末装置30A,30B、及びそれらの構成要素を通信可能に接続する通信ネットワーク40を備えている。
【0033】
コンテナターミナル業務システム10は、コンテナターミナルに到着するコンテナに関する情報を総合的に管理する機能を有し、コンテナ蔵置計画を策定する前提となる各コンテナについての基本的な情報を提供する。コンテナ蔵置計画装置20は、コンテナターミナル業務システム10から提供される、荷揚げされる各コンテナについての情報に基づいて、コンテナヤードの各ベイにおけるコンテナ蔵置形態を策定する機能を有する。後述するように、コンテナ蔵置計画装置20は、深層学習のような学習機能を備えた搬出予測モデルにより、搬出優先順を考慮したより効率的な荷役作業に資するコンテナ蔵置計画を策定することができる。
【0034】
端末装置30A,30Bは、コンテナ蔵置計画装置20が策定したコンテナ蔵置計画に従って作成された、各コンテナが蔵置されるべきベイとそのベイ内における蔵置場所、すなわちロウとティアとの組み合わせでなる蔵置座標を出力する表示装置を含み、例えば構内シャーシ、トランスファークレーン等の荷役設備の運転台等に設けられる。通信ネットワーク40は、コンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20、端末装置30A,30Bの間を通信可能に接続する、インターネット、専用線、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の、有線又は無線の通信回線である。
【0035】
<コンテナ蔵置計画システムのハードウェア構成>
次に、コンテナ蔵置計画システム1を構成するコンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20、端末装置30A,30Bのハードウェア構成例について説明する。図7は、これらの構成要素として採用される、通信ネットワーク40を通じての通信機能を備えた情報処理装置のハードウェア構成例を示している。コンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20は、例えば図7に例示する情報処理装置100の構成を有するサーバコンピュータとして、端末装置30A,30Bは、同じく図7に例示する構成を有するパーソナルコンピュータ、タブレット端末装置として構成することができる。
【0036】
情報処理装置100は、演算装置110、主記憶装置120、補助記憶装置130、入力装置140、出力装置150、及び通信装置160を備えている。演算装置110は、MPU、CPU等のプロセッサによって構成することができる。主記憶装置120は、演算装置110が使用する記憶領域を提供し、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の記憶デバイスを有する。補助記憶装置130は、演算装置110によって実行されるプログラム、及びそれらのプログラムが使用するデータ等の記憶領域を提供し、ハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)、光学ドライブ、USBメモリ等の記憶デバイスを有する。入力装置140は情報処理装置100を通じてコンテナ蔵置計画システム1へのデータ入力を可能とする入力デバイス、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置等が含まれる。出力装置150はコンテナ蔵置計画システム1からのデータ出力を可能とする出力デバイスであり、モニタディスプレイ、プリンタ、音声出力装置等を備えることができる。通信装置160は、ネットワークインターフェイスカード等の通信モジュールにより構成することができる。情報処理装置100内の各要素間は、図示を省略する内部データ通信回線によって通信可能に接続されている。
【0037】
なお、コンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20は、それぞれ情報処理装置100のような別個の筐体として構成することなく、同一の筐体で実現してもよいし、例えば、仮想コンピュータ、クラウドシステム環境において、並列分散処理装置・ブロックチェーンなど分散ストレージ・台帳システム等を構築して参照元としてもよい。
【0038】
次に、コンテナターミナル業務システム10、コンテナ蔵置計画装置20の機能について説明する。
【0039】
<コンテナターミナル業務システム10>
図8に本実施形態のコンテナターミナル業務システム10の機能をブロック図により示している。コンテナターミナル業務システム10は、コンテナ蔵置計画システム1に関して述べたように、コンテナターミナルに過去に到着して荷揚げ、搬出されたコンテナ、将来コンテナターミナルへの到着が予定されるコンテナに関する各種情報を総合的に管理するシステムである。図8に例示するように、コンテナターミナル業務システム10は、データ抽出部11、データ加工部12、及びデータIOインタフェース部13と、データ記憶領域に格納されているデータであるコンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、及び蔵置コンテナ情報16を有している。
【0040】
データ抽出部11は、例えば後述するコンテナ蔵置計画装置20からの要求に基づいて、コンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、及び蔵置コンテナ情報16から所要のデータを抽出する機能を有する。データ抽出部11は、例えばコンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、及び蔵置コンテナ情報16を格納するデータベースのデータベース管理システム(DBMS)として構成することができる。なお、コンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、及び蔵置コンテナ情報16の構成例については後述する。
【0041】
データ加工部12は、データ抽出部11が抽出したデータを、後述するコンテナ蔵置計画装置20へ入力するのに適合するデータ形式に加工する処理を実行する機能を有する。このデータ加工処理には、抽出された学習用データにおける欠損データ、無効データ、不正な形式のデータのチェック、修正等の処理が含まれる。
【0042】
データIOインタフェース部13は、データ加工部12で加工処理されたコンテナ蔵置計画装置20への入力用データを、通信ネットワーク40を介してコンテナ蔵置計画装置20へ送出するインタフェース機能を備えている。
【0043】
データ抽出部11、データ加工部12、及びデータIOインタフェース部13は、図7の例の情報処理装置100によって実行されるプログラムとして実装されているが、その一部、あるいは全部をハードウェアによって実現することとしても差し支えない。また、コンテナターミナル業務システム10には、上記以外の他の機能を実現するための機能ブロックが含まれていてもよい。
【0044】
<コンテナ蔵置計画装置20>
図9に、本実施形態のコンテナ蔵置計画装置20の機能をブロック図により示している。コンテナ蔵置計画装置20は、コンテナ蔵置計画システム1に関して述べたように、コンテナターミナル業務システム10から提供される、過去に荷揚げされた、あるいはこれから荷揚げされる各コンテナについての情報に基づいて、コンテナヤードの各ベイにおけるコンテナ蔵置形態を策定する機能を有する。
【0045】
図9に例示するように、コンテナ蔵置計画装置20は、搬出予測モデル21、コンテナ蔵置計画モデル22、及びデータIOインタフェース部26と、データ記憶領域に格納されているデータであるコンテナ蔵置計画情報25を有している。
【0046】
搬出予測モデル21は、過去にコンテナターミナルに荷揚げされたコンテナについての実績搬出日をコンテナターミナル業務システム10から取得して、各コンテナに属する情報とともに深層学習等の技法を用いて学習し、その得られた学習モデルに基づいて将来コンテナターミナルに荷揚げされるコンテナに関する情報に基づいて当該コンテナの搬出日を予測する機能を備える。本実施例において、搬出予測モデル21は、機械学習や深層学習による学習によって得るものとして説明をするが、予測モデルの策定方法はこれらに限られず、例えば、実績搬出日のパラメータに対して相関分析等の統計学的手法による解析を行って導出する予測モデルなどを用いてもよい。
【0047】
コンテナ蔵置計画モデル22は、搬出予測モデル21により得られた各コンテナの予測搬出日にしたがってコンテナの搬出優先順を決定し、その搬出優先順にしたがってコンテナが搬出可能となるようなベイ内でのコンテナ蔵置計画を策定する機能を有する。コンテナ蔵置計画モデル22には、蔵置計画策定に当たって考慮すべき制約条件23と、策定されたコンテナ蔵置計画を評価するのに用いられる評価指標24とがデータとして格納されている。
【0048】
コンテナ蔵置計画情報25は、コンテナ蔵置計画モデル22が策定したコンテナ蔵置計画をデータとして格納する。コンテナ蔵置計画情報25は、コンテナ蔵置計画モデル22の要求に応じて、通信ネットワーク40とのインタフェース機能を備えたデータIOインタフェース部26を通じてコンテナターミナル業務システム10、端末装置30A,30Bに送出される。
【0049】
搬出予測モデル21、コンテナ蔵置計画モデル22、及びデータIOインタフェース部26は、図7の例の情報処理装置100によって実行されるプログラムとして実装されているが、その一部、あるいは全部をハードウェアによって実現することとしても差し支えない。また、コンテナ蔵置計画装置20には、上記以外の他の機能を実現するための機能ブロックが含まれていてもよい。
【0050】
次に、コンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、蔵置コンテナ情報16、コンテナ蔵置計画情報25について説明する。
【0051】
<コンテナ貨物情報14>
図10にコンテナ貨物情報14の構成例を示している。図10の例ではコンテナ貨物情報14はテーブル形式で示されているが、他のデータ形式で格納しても差し支えない。これは、後述する荷揚げコンテナ情報15、蔵置コンテナ情報16、コンテナ蔵置計画情報25についても同様である。
【0052】
コンテナ貨物情報14は、各コンテナを識別するための固有番号であるコンテナ番号、コンテナの搬入日、搬入時間、コンテナの搬出日、搬出時間、コンテナの荷受人、コンテナに積まれている貨物の内容を示す貨物品名、コンテナターミナルから該当コンテナを搬出する業者を示す運送業者、コンテナの海上輸送を担当した業者を示す海貨業者、搬出されるコンテナの搬送先である物流倉庫等の施設を示すデバン先名称、コンテナの大きさを示すサイズ、ドライコンテナ、冷凍コンテナ等のコンテナの用途種別を示すコンテナタイプ、及びコンテナを積載するコンテナ船を一意に識別するための本船コードの各項目を記録している。図10にはコンテナ貨物情報14に含まれる各項目の内容を例示しているが、これらは発明の理解を容易にするための例示であって、本実施形態を何ら制約するものではない。これは、後述する荷揚げコンテナ情報15、蔵置コンテナ情報16、コンテナ蔵置計画情報25についても同様である。
【0053】
本実施形態では、後述するように、コンテナ貨物情報14のデータを学習用データとして各コンテナの搬出日を予測するための搬出予測モデルが生成され、その予測モデルに予測対象のコンテナに付随するコンテナ貨物情報14を入力することにより該当コンテナの搬出日予測処理が実行される。なお、コンテナ貨物情報14に記録されている各項目は、そのすべてを予測処理に用いてもよいし、一部だけを用いてもよい。またコンテナ貨物情報14には、図10に例示する項目以外の項目を含めてもよい。
【0054】
<荷揚げコンテナ情報15>
図11に、荷揚げコンテナ情報15の構成例を示している。荷揚げコンテナ情報15は、コンテナターミナルに到着したコンテナ船からコンテナを荷揚げする際の順番を示すデータである。荷揚げコンテナ情報15は、例えばコンテナ船からの荷揚げを行うガントリークレーン、荷揚げしたコンテナをコンテナヤードに搬送する構内シャーシ、構内シャーシからコンテナを取り下ろしてコンテナヤードの指定ベイに積み付けるトランスファークレーンの作業員間で共有される。
【0055】
荷揚げコンテナ情報15は、コンテナ番号、本船コード、及び対応する本船コードで指定されるコンテナ船からのコンテナの荷揚げ順を示す船卸し順の各項目を記録している。
【0056】
<蔵置コンテナ情報16>
図12に、蔵置コンテナ情報16の構成例を示している。蔵置コンテナ情報16は、コンテナヤードの各ベイに蔵置されている各コンテナの蔵置場所を、図1で例示したコンテナヤードのレーン、ブロック、ベイ、ロウ、及びティアの組み合わせにより示すデータである。図12の蔵置コンテナ情報16は、蔵置されている各コンテナを一意に識別するコンテナ番号と、前記レーン、ブロック、ベイ、ロウ、及びティアの組み合わせとが関連付けられて記録されている。蔵置コンテナ情報16の内容は、コンテナの荷揚げ、搬出作業、及びそれに伴う荷繰り作業に応じて略リアルタイムに更新される。
【0057】
<コンテナ蔵置計画情報25>
図13に、コンテナ蔵置計画情報25の構成例を示している。コンテナ蔵置計画情報25は、コンテナ船から荷揚げされるコンテナをコンテナヤード内で蔵置すべき場所を、搬出優先順とともに記録している。具体的には、図13の例では、コンテナ蔵置計画情報25には、コンテナ番号と、コンテナが蔵置されるべき場所を示すレーン、ブロック、ベイ、ロウ、及びティアの組み合わせと、コンテナ搬出優先順とが関連付けられて記録されている。コンテナ蔵置計画情報25は、例えば構内シャーシ、トランスファークレーン等の荷役設備の運転台等に表示出力されることにより、荷役作業員に荷揚げのシーケンスを周知させる役割を果たす。
【0058】
次に、コンテナ蔵置計画装置20のコンテナ蔵置計画モデル22によって利用される制約条件及び評価指標について説明する。
【0059】
<制約条件23>
図14に、制約条件23の設定例を示している。制約条件23は、コンテナ蔵置計画モデル22が搬出優先順にしたがってコンテナ蔵置計画を策定する際に、荷役作業に伴う種々の考慮すべき条件、例えば安全上、作業効率向上の上で考慮すべき制約条件を与える。制約条件23は、あらかじめ設定すべき項目を抽出してコンテナ蔵置計画モデル22に設定しておく。
【0060】
本実施形態において設定されている制約条件23(図14)を以下に例示する。
【0061】
・コンテナの蔵置数が少ないロウを優先して使用する。
【0062】
・コンテナの蔵置数が少ないベイを優先して使用する。
【0063】
・ベイ内の蔵置コンテナ数をそのベイの最大蔵置可能数に応じて制限する(最大蔵置可能数の80%等)。
【0064】
これらの制約条件は、特定のベイ、ロウにコンテナが集中するのを防ぐ効果を果たす。
【0065】
・蔵置場所のティア最上段にはコンテナを積まない。
【0066】
・ベイ内のコンテナの蔵置について、「谷」をつくらない。
【0067】
・ベイ内のコンテナ蔵置について、シャーシレーン側のロウが相対的に高くならないようにする。
【0068】
・ベイ内に隣接コンテナがない独立したコンテナ蔵置タワーを作らない。
・ベイ内に蔵置コンテナがない場合、シャーシレーンと反対側のロウを優先して使用する。
【0069】
これらの制約条件は、コンテナの積み付け、積み出しを行うトランスファークレーン等の荷役設備による作業効率を低下させないために設定されている。例えばベイ内のコンテナの蔵置について、「谷」をつくらない条件は、ベイ内のロウの両端側に高くコンテナが積まれた「谷」を形成している場合、トランスファークレーンが内側ロウのコンテナをハンドリングしにくくなるのを防ぐために設定されている。またベイ内に蔵置コンテナがない場合、シャーシレーンと反対側のロウを優先して使用する条件は、構内シャーシ等が通行するシャーシレーン側を空けておくことで、やはりトランスファークレーンの作業効率が改善されるためである。
【0070】
・コンテナサイズが共通なものを同じベイに蔵置する。
【0071】
・種別の異なるコンテナを同じベイに蔵置しない。
【0072】
・輸入コンテナと輸出コンテナとを同じベイに蔵置しない。
これらの制約条件は、同一のベイに蔵置されるコンテナの形状・種別(ドライ、冷凍等)・用途を揃えることで、当該ベイの蔵置コンテナ数を最大化するとともに、荷役作業も均質化できる効果を果たす。
【0073】
制約条件23の各項目には、コンテナ蔵置計画を策定する際にいずれの条件を重視するかに応じて重み付けを設定してもよい。
【0074】
設定すべき制約条件は図14、及び上記の記載によって制限されるものではなく、コンテナターミナルごとの事情に応じて適切に規定することができる。
【0075】
<評価指標24>
図15に、評価指標24の設定例を示している。評価指標24は、コンテナ蔵置計画モデル22によって策定されるコンテナ蔵置計画について評価する際に用いられる指標である。図15の例では、本実施形態における評価指標として、「ペナルティ回数が少ない蔵置計画を優先する」、「シャーシレーン側から遠いロウを優先する」の2つの評価指標が設定されている。ペナルティ回数に関しては、図5について説明したように、同一ベイで荷積み後、搬出優先順に従ってコンテナを積み出す際に搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数であるペナルティ回数が少ない方が蔵置計画の評価が高くなるようにしている。「シャーシレーン側から遠いロウを優先する」評価指標は、制約条件23に関して説明したとおりである。
【0076】
制約条件23と同様に、評価指標24の各項目には、コンテナ蔵置計画を策定する際にいずれの指標を重視するかに応じて重み付けを設定してもよい。
【0077】
設定すべき評価指標は図15及び上記の記載によって制限されるものではなく、コンテナターミナルごとの事情に応じて適切に規定することができる。
【0078】
次に、以上で説明した構成を有するコンテナ蔵置計画システム1によって実行されるデータ処理について説明する。
【0079】
<コンテナ蔵置計画システム1のデータ処理>
まず、コンテナターミナル業務システム10とコンテナ蔵置計画装置20とが連携して実行する搬出予測モデル学習処理について説明する。
【0080】
[搬出予測モデル学習処理]
図16A図16Bに、本実施形態のコンテナ蔵置計画システム1による搬出予測モデル学習処理のデータ処理フローを例示している。この搬出予測モデル学習処理は、本実施形態のコンテナ蔵置計画システム1を稼働させる前に、コンテナ蔵置計画装置20の搬出予測モデル21を構築するために実行されるデータ処理である。なお、以下の説明では、搬出日の用語は搬出日時を意味するものとする。
【0081】
図16Aを参照すると、まずコンテナターミナル業務システム10では、データ抽出部11がコンテナ貨物情報14に記録されている過去に荷揚げされたコンテナに関するコンテナ貨物情報と、コンテナヤードに蔵置されているコンテナに関するコンテナ貨物情報とを抽出し、データ加工部12によりデータ加工処理後、データIOインタフェース部13からコンテナ蔵置計画装置20に送信される(S10,S11)。
【0082】
次いで、コンテナターミナル業務システム10では、データ抽出部11がコンテナ貨物情報14に記録されている過去に荷揚げされたコンテナに関するコンテナ貨物情報から実際の搬出日を抽出し、データ加工部12によりデータ加工処理後、データIOインタフェース部13からコンテナ蔵置計画装置20に送信される(S13,S14)。
【0083】
コンテナ蔵置計画装置20では、データIOインタフェース部26が送信されてきた過去に荷揚げされたコンテナに関するコンテナ貨物情報と、コンテナヤードに蔵置されているコンテナに関するコンテナ貨物情報とを搬出予測モデル21に送信する(S12)。過去に荷揚げされたコンテナに関する実際の搬出日のデータも、同様に搬出予測モデル21に送信される(S15)。
【0084】
次に、図16Bを参照すると、コンテナ蔵置計画装置20の搬出予測モデル21は、搬出優先順(搬出日)予測の学習機能を実現すべくあらかじめ実装されている複数のアルゴリズムから一のアルゴリズムを選択する(S16)。採用するアルゴリズムとしては、RNN(Recurrent Neural Network)、ディープラーニング等の、機械学習アルゴリズムが考えられる。
【0085】
次いで搬出予測モデル21は、選択したアルゴリズムにより、あらかじめ用意された複数パターンの分析パラメータを用い、それらのパターンごとに、コンテナターミナル業務システム10から学習用として取得したコンテナ貨物情報、実際の搬出日に基づいて搬出日予測の学習を実行する(S17)。なお、分析パラメータは、例えば、ディープラーニングのネットワークを調整するために設定される、隠れ層の数等のハイパーパラメータである。
【0086】
搬出予測モデル21は、過去のコンテナ貨物情報に基づいて予測した搬出日と、過去のコンテナ貨物情報に記録されている実際の搬出日との差分を比較する(S18)。そして、搬出予測モデル21は、その差分の比較結果が最小となるような分析パラメータのパターンを搬出予測モデル21のロジックとして選択し、一連の処理を終了する(S19)。
【0087】
以上のように構築された搬出予測モデル21によれば、過去のコンテナ貨物情報を学習あるいは統計解析することによって得られた予測モデルを用いて、荷揚げされるコンテナのコンテナ貨物情報からその搬出日を精度よく予測することができるので、その予測結果によって各コンテナの搬出優先順をより正確に得ることができる。
【0088】
[コンテナ蔵置計画策定処理]
次に、コンテナ蔵置計画装置20の搬出予測モデル21とコンテナ蔵置計画モデル22とによって実現されるコンテナ蔵置計画策定処理について説明する。図17A図17Bに、本実施形態のコンテナ蔵置計画策定処理のデータ処理フローを例示している。
【0089】
図17Aを参照すると、まずコンテナターミナル業務システム10のデータ抽出部11がコンテナ貨物情報14、荷揚げコンテナ情報15、蔵置コンテナ情報16から、各荷揚げコンテナに関する貨物情報を抽出して、データ加工部12にて所要のデータ加工処理を行った後、データIOインタフェース部13からコンテナ蔵置計画装置20のデータIOインタフェース部へ送信される(S20,S21)。
【0090】
また、データ抽出部11は、荷揚げコンテナ情報15、蔵置コンテナ情報16から、各荷揚げコンテナに関する情報を抽出して、データ加工部12にて所要のデータ加工処理を行った後、データIOインタフェース部13からコンテナ蔵置計画装置20のデータIOインタフェース部へ送信される(S25,S26,S27)。
【0091】
次いで、コンテナ蔵置計画装置20では、データIOインタフェース部25が、受信した荷揚げコンテナ、蔵置コンテナに関する貨物情報を搬出予測モデル21に送信する(S22)。搬出予測モデル21は、受信した荷揚げコンテナ及び蔵置コンテナの貨物情報に基づいて各コンテナの搬出日を予測し(S23)、各コンテナに搬出優先順を付与する。搬出優先順は、例えば図3図5に示したような一連の番号で表すことができる(S24)。
【0092】
次いで、図17Bを参照すると、コンテナ蔵置計画装置20のデータIOインタフェース部26は、受信した荷揚げコンテナ情報と蔵置コンテナ情報とをコンテナ蔵置計画モデル22に送信する(S28)。また、コンテナ蔵置計画モデル22は、蔵置計画作成処理に使用する制約条件23,評価指標24を取得する(S29,S30)。
【0093】
コンテナ蔵置計画装置20は、取得した蔵置コンテナ情報、荷揚げコンテナ情報、搬出予測モデル21が算出した搬出優先順、制約条件、及び評価指標に基づいて、まず各コンテナを蔵置するベイを決定する(S31)。そして、コンテナ蔵置計画モデル22は、さらに、S31で決定したベイについて、取得した蔵置コンテナ情報、荷揚げコンテナ情報、搬出予測モデル21が算出した搬出優先順、制約条件、及び評価指標に基づいて、当該ベイ内での蔵置座標を、ロウとティアの組み合わせとして決定する(S32)。
【0094】
コンテナ蔵置計画モデル22は、各ベイについての蔵置座標決定をコンテナヤードにあるすべてのベイについて反復して行い(S33,No)、すべてのベイについて算出したペナルティ回数が最小値に収束したと判断した場合(S33,Yes)、コンテナ蔵置計画策定処理を終了する。策定されたコンテナ蔵置計画のデータは、コンテナ蔵置計画情報25としてコンテナ蔵置計画装置20に格納されるとともに、データIOインタフェース部26を通じてコンテナターミナル業務システム10、及び端末装置30A.30Bに送信される。端末装置30A,30Bでは、例えばモニタディスプレイ等の出力装置に、図20に例示した形態のテーブル形式等でコンテナ蔵置計画情報25を表示させることにより、荷役設備のオペレータにコンテナの荷揚げ、蔵置作業手順を伝達することができる。
【0095】
[コンテナ蔵置計画策定処理の具体例]
ここで、以上の説明を踏まえ、コンテナ蔵置計画装置20のコンテナ蔵置計画モデル22が実行するデータ処理について説明する。まず、図18に、コンテナ蔵置ベイ選択処理のデータ処理フローを例示している。蔵置計画モデル22は、S40でデータ処理を開始すると、蔵置コンテナ情報、荷揚げコンテナ情報、搬出優先順、及び評価指標に基づいて、該当コンテナを蔵置すべきベイを決定する(S41)。コンテナ蔵置計画モデル22は、決定されたベイについて、ベイ選択の制約条件に違反していないか判定し(S42)、違反していると判定した場合、S41の蔵置ベイ決定のステップの処理に戻る。ベイ選択の制約条件に違反していないと判定した場合(S42,No)、コンテナ蔵置計画モデル22は評価指標に照らしてベイ選択が許容され得るか判定し(S43)、許容されると判定した場合(S43,Yes)、このデータ処理を終了する(S44)。評価指標に照らして許容されないと判定した場合(S43,No)、蔵置計画モデル22はS40の蔵置ベイ決定のステップの処理に戻る。
【0096】
以上のコンテナ蔵置計画モデル22による蔵置ベイ選択処理によれば、あらかじめ規定されている、蔵置計画に関する制約条件のもとで、評価指標を満たしつつ搬出優先順を考慮した蔵置ベイの選択を実現することができる。
【0097】
次に、図19が例示する蔵置場所選択処理のデータ処理フローを参照して、コンテナ蔵置計画モデル22による蔵置場所選択処理について説明する。
【0098】
コンテナ蔵置計画モデル22は、S50で本データ処理を開始すると、まず、蔵置コンテナ情報、荷揚げコンテナ情報、及び搬出優先順から、各ベイについてコンテナの蔵置場所を決定する(S51)。次いで、コンテナ蔵置計画モデル22は、該当ベイのすべてのロウについて、評価指標、制約条件に基づいて、ペナルティ回数を算出する(S52,S53)。S53の処理を全ロウについて完了したら、コンテナ蔵置計画モデル22は、該当ベイについてペナルティ回数が最少に収束したか判定し(S54)、収束したと判定した場合(S54,Yes)、本データ処理を終了する。S54でペナルティ回数が最少に収束していないと判定した場合(S54,No)、コンテナ蔵置計画モデル22は、S50の処理に戻って再度蔵置場所の決定を行う。
【0099】
以上の蔵置場所選択処理によれば、所定の制約条件と評価指標との元で、各ベイでのペナルティ回数が最少となるようにコンテナの蔵置場所を決定することができ、コンテナ搬出時の荷繰り作業に伴う効率低下を防ぐことができるとともに、荷揚げ作業の効率化に適した形態にコンテナをベイで積み付けることができる。
【0100】
以上、本発明を実施するための形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0101】
例えば、前記評価指標に、コンテナターミナルに蔵置されているコンテナにおいて、搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とすることを含めることができる。このようにすることで、搬出優先順が高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順が低いコンテナを移動させるための荷繰り作業を最小化することができる。
【0102】
また、前記制約条件に、コンテナターミナルにコンテナを積み付ける際に、積み付け後のコンテナが形成する蔵置形態が、コンテナターミナルの荷役設備のコンテナ積み付け、積み出しの支障とならないようにすることを含めることができる。このような制約条件によれば、荷役設備がコンテナの積み付け、積み出しを行う際の作業効率が向上し、荷役作業時間の短縮を図ることができる。前記制約条件がさらに、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイにおいて、同一のベイには所定の属性が共通するコンテナを蔵置するようにすることを含めば、同一のベイに蔵置するコンテナの数を可及的に増やすことができるとともに、コンテナ荷役作業を均質化し、シャーシレーンにコンテナがはみ出して荷役設備の通行を妨げたりすることがない。
【0103】
また、前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、前記制約条件に従って、コンテナターミナルにおいて所定数のコンテナが蔵置される最小単位区画を構成するベイのうち、評価指標をもっともよく満たすと判定されたベイを選択するようにすることができる。このようにすれば、例えばコンテナが蔵置されていないベイ、コンテナ蔵置数が少ないベイから優先的にコンテナを積み付けてベイの効率的な利用を促すことができる。
【0104】
また、前記コンテナ蔵置計画策定部が、蔵置しようとする各コンテナについて、選択された前記ベイにおいて前記制約条件に従ってコンテナを蔵置した場合に、前記評価指標をもっともよく満たすと判定された蔵置場所を選択することとすれば、各ベイについてコンテナの積み付け、積み出し作業を可及的に効率化することが可能となる。この際、前記評価指標に、前記ベイに蔵置されているコンテナにおいて、搬出優先順の高いコンテナの上に積まれているそれより搬出優先順の低いコンテナの個数を最少とすることを含めれば、各ベイにおける荷繰り作業を最小化してコンテナ荷役作業を可及的に効率化することができる。
【0105】
また、前記搬出順予測部が、過去の前記コンテナ貨物情報に基づいて予測した各コンテナの搬出日である予測搬出日と、過去の前記コンテナ貨物情報に記録されている実際の搬出日とを比較し、当該比較の差分が最小となるように、搬出順予測処理に用いる予測モデルを生成することとすれば、コンテナ蔵置計画策定に利用する搬出優先順をより精度よく予測することが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1 コンテナ蔵置計画システム
10 コンテナターミナル業務システム
11 データ抽出部
12 データ加工部
14 コンテナ貨物情報
15 荷揚げコンテナ情報
16 蔵置コンテナ情報
20 コンテナ蔵置計画装置
21 搬出予測モデル
22 コンテナ蔵置計画モデル
23 制約条件
24 評価指標
30A,30B 端末装置基板解析支援システム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15
図16A
図16B
図17A
図17B
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図19