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特許7402995機器管理装置、対基板作業機および機器管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】機器管理装置、対基板作業機および機器管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20231214BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022547358
(86)(22)【出願日】2020-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2020034697
(87)【国際公開番号】W WO2022054275
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 健二
(72)【発明者】
【氏名】小見山 延久
(72)【発明者】
【氏名】原 朗
(72)【発明者】
【氏名】島元 優一
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-018930(JP,A)
【文献】特開平11-224999(JP,A)
【文献】特開2018-032279(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロット、および、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機と、
前記第一スロットの下方に位置し配置された前記機器を前記基板製品の生産で使用できない前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
を具備する機器管理装置。
【請求項2】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロット、および、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機と、
前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
を具備し、
前記管理部は、前記対象機器が前記第二スロットに所定数保持されたときに、所定数の前記対象機器の前記制御プログラムを一斉に更新する機器管理装置。
【請求項3】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロット、および、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機と、
前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
前記対象機器の前記制御プログラムを更新する管理計画を立てる計画部と、
備え、
前記計画部は、前記第二スロットの空き状況、前記対象機器が前記基板製品の生産で使用されるまでの時間、および、前記制御プログラムの更新に要する所要時間に基づいて、前記制御プログラムを更新する更新時期を設定する機器管理装置。
【請求項4】
前記管理部は、前記制御プログラムの更新が完了した前記対象機器のうち、前記基板製品の生産で使用予定の前記対象機器を前記第二スロットに残し、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を回収させる請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記管理部は、前記制御プログラムの更新が完了した前記基板製品の生産で使用予定の前記対象機器の前記制御プログラムのバージョンが、実行予定の前記基板製品の生産で指定される前記制御プログラムの指定バージョンと一致しているか否かを確認する請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記機器を保管可能な保管装置と、
前記基板の搬送方向に沿って延伸する走行路を走行可能に設けられ、前記保管装置に搬入された前記制御プログラムを更新する前の前記対象機器を前記第二スロットに供給し、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を前記保管装置に回収する搬送装置と、
を備える請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項7】
前記保管装置は、搬入された前記制御プログラムを更新する前の前記対象機器を保管する準備領域と、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を保管する回収領域とに区分されている請求項6に記載の機器管理装置。
【請求項8】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロット、および、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機と、
前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
前記機器を保管可能な保管装置と、
前記基板の搬送方向に沿って延伸する走行路を走行可能に設けられ、前記保管装置に搬入された前記制御プログラムを更新する前の前記対象機器を前記第二スロットに供給し、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を前記保管装置に回収する搬送装置と、
を備え、
前記保管装置は、搬入された前記制御プログラムを更新する前の前記対象機器を保管する準備領域と、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を保管する回収領域とに区分され、
前記管理部は、前記回収領域に保管されている前記対象機器が所定数以上になったときに、作業者または無人搬送車に当該対象機器の搬出を指示する機器管理装置。
【請求項9】
前記制御プログラムを更新する前の前記対象機器を前記第二スロットに供給し、前記基板製品の生産で不要になった前記対象機器を回収する搬送装置を備え、
前記搬送装置は、無人搬送車である請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項10】
前記制御プログラムは、前記機器に組み込まれているファームウェアである請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項11】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロットと、
前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットと、
前記第一スロットの下方に位置し配置された前記機器を前記基板製品の生産で使用できない前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
を備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機。
【請求項12】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロットと、
前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットと、
前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理部と、
を備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機であって、
前記管理部は、前記対象機器の前記制御プログラムを更新する管理計画に基づいて、前記第二スロットにおける前記対象機器の配置を案内する対基板作業機。
【請求項13】
基板製品の生産で使用される機器を保持可能な第一スロット、および、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能な第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って前記基板製品を生産する対基板作業機を用いた機器管理方法であって、
前記第一スロットの下方に位置し配置された前記機器を前記基板製品の生産で使用できない前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する管理工程を備える機器管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、機器管理装置、対基板作業機および機器管理方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の実装機は、第一判定手段と、第一案内手段と、更新手段とを備えている。第一判定手段は、補給するフィーダの使用を開始するまでの猶予時間が、部品を準備して補給する補給時間と、補給するフィーダの制御プログラムを更新する処理に必要な更新時間との二つの時間を合計した補給更新時間と比べて長いか否かを判定する。第一案内手段は、第一判定手段によって、猶予時間が補給更新時間と比べて長いと判定された場合に、制御プログラムが未更新のフィーダを補給する旨の補給案内を案内する。更新手段は、補給されたフィーダの制御プログラムを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-18930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の実装機では、補給するフィーダは、基板製品の生産で使用されるスロットに接続される。そのため、実装機は、制御プログラムの更新処理が実行されている間、当該フィーダや当該フィーダの機能の少なくとも一部を使用できなくなる可能性があり、基板製品の生産効率が低下する可能性がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、基板製品の生産効率の低下を抑制しつつ、基板製品の生産で使用される機器を制御する制御プログラムを更新可能な機器管理装置、対基板作業機および機器管理方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、対基板作業機と、管理部とを具備する機器管理装置を開示する。前記対基板作業機は、第一スロットおよび第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する。前記第一スロットは、前記基板製品の生産で使用される機器を保持可能である。前記第二スロットは、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能である。前記管理部は、前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する。
【0007】
また、本明細書は、第一スロットと、第二スロットと、管理部とを備え、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機を開示する。前記第一スロットは、前記基板製品の生産で使用される機器を保持可能である。前記第二スロットは、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能である。前記管理部は、前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する。
【0008】
さらに、本明細書は、対基板作業機を用いた機器管理方法であって、管理工程を備える機器管理方法を開示する。前記対基板作業機は、第一スロットおよび第二スロットを備え、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する。前記第一スロットは、前記基板製品の生産で使用される機器を保持可能である。前記第二スロットは、前記基板製品の生産で使用予定の前記機器を予備的に保持可能または前記基板製品の生産で不要になった前記機器を一時的に保持可能である。前記管理工程は、前記第二スロットにおいて、前記機器を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器の前記制御プログラムを更新する。
【発明の効果】
【0009】
上記の機器管理装置によれば、管理部を備える。管理部は、第二スロットにおいて対象機器の制御プログラムを更新する。よって、機器管理装置は、第一スロットにおいて対象機器の制御プログラムを更新する場合と比べて、基板製品の生産効率の低下を抑制することができる。上述されていることは、対基板作業機および機器管理方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基板生産ラインの構成例を示す平面図である。
図2図1の交換システムおよび部品装着機の構成例を示す斜視図である。
図3】搬送装置と部品装着機の部品供給装置との間におけるフィーダの交換作業の一例を示す平面図である。
図4】機器管理装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図5】機器管理装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
図6】基板生産ラインの他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
1-1.基板生産ラインWL0の構成例
本実施形態の機器管理装置70は、基板生産ラインWL0に適用される。図1に示すように、基板生産ラインWL0は、少なくとも一つ(同図では、4つ)の部品装着機10と、交換システム30と、搬送装置40aと、保管装置50と、ライン管理装置60とを備えている。4つの部品装着機10は、図2に示す基板90の搬送方向(X方向)に沿って設置されている。部品装着機10は、基板90に所定の対基板作業を行う対基板作業機WM0に含まれる。部品装着機10による対基板作業には、基板90の搬入作業および搬出作業、部品の供給作業、採取作業および装着作業などが含まれる。部品装着機10には、例えば、カセット式のフィーダ20が着脱可能に設けられる。
【0012】
基板生産ラインWL0の基板搬入側(図1の紙面左側)には、例えば、フィーダ20の保管に用いられる保管装置50が設置されている。また、基板生産ラインWL0には、交換システム30および搬送装置40aが設けられており、フィーダ20の供給作業、交換作業および回収作業を行う。なお、基板生産ラインWL0は、例えば、生産する基板製品900の種別などに応じて、その構成が適宜追加され、変更され得る。具体的には、基板生産ラインWL0には、例えば、はんだ印刷機、はんだ検査機、リフロー炉、外観検査機などの対基板作業機WM0を適宜設置することができる。このように、基板生産ラインWL0は、種々の対基板作業機WM0を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品900を生産することができる。
【0013】
基板生産ラインWL0を構成する対基板作業機WM0は、ネットワークを介してライン管理装置60と種々のデータを入出力可能に構成されている。例えば、保管装置50は、複数のスロットを備えている。保管装置50は、複数のスロットに装備されたフィーダ20をストックする。保管装置50のスロットに装備されたフィーダ20は、ライン管理装置60との間で通信可能な状態になる。これにより、保管装置50のスロットと当該スロットに装備されたフィーダ20の識別情報が関連付けられて、ライン管理装置60に記録される。
【0014】
また、ライン管理装置60は、基板生産ラインWL0の動作状況を監視し、部品装着機10などの対基板作業機WM0、交換システム30、搬送装置40aおよび保管装置50を統括制御する。ライン管理装置60には、対基板作業機WM0、交換システム30、搬送装置40aおよび保管装置50を制御するための各種データが記憶されている。ライン管理装置60は、例えば、部品装着機10による部品の装着処理の実行に際して、生産プログラムなどの各種データを送出する。
【0015】
1-2.部品装着機10の構成例
図2に示すように、4つの部品装着機10の各々は、基板搬送装置11と、部品供給装置12と、ヘッド駆動装置13とを備えている。本明細書では、基板90の搬送方向をX方向とする。また、水平面においてX方向と直交する方向をY方向とする。さらに、X方向およびY方向と直交する鉛直方向(図2の紙面上下方向)をZ方向とする。
【0016】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアおよび位置決め装置などによって構成されている。基板搬送装置11は、基板90を搬送方向(X方向)へ順次搬送すると共に、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0017】
部品供給装置12は、基板90に装着される部品を供給する。部品供給装置12は、複数のフィーダ20を装備可能な第一スロット12aおよび第二スロット12bを備えている。本実施形態では、第一スロット12aは、部品装着機10の前部側の上部に配置され、装備されたフィーダ20を動作可能に保持する。第一スロット12aに装備されたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられた取り出し部において部品を供給する。このように、第一スロット12aは、基板製品900の生産で使用されるフィーダ20を保持可能である。
【0018】
本実施形態では、第二スロット12bは、第一スロット12aの下方に配置され、装備されたフィーダ20をストックする。具体的には、第二スロット12bは、基板製品900の生産で使用予定のフィーダ20を予備的に保持する。また、第二スロット12bは、基板製品900の生産で不要になったフィーダ20を一時的に保持する。なお、第一スロット12aと第二スロット12bとの間におけるフィーダ20の交換作業は、搬送装置40aによって行われる。
【0019】
図2に示すように、フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置22とを備えている。本実施形態のフィーダ本体21は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体21は、多数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール23を着脱可能(交換可能)に保持する。駆動装置22は、キャリアテープに設けられた送り穴に係合するスプロケット22aを備えている。駆動装置22は、スプロケット22aを回転させてキャリアテープを送り移動させる。
【0020】
フィーダ20は、部品装着機10の制御装置によって駆動装置22の動作が制御される。フィーダ20は、部品装着機10の第一スロット12aに装備されると、コネクタを介して部品装着機10から電力の供給を受け、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。これにより、部品装着機10は、第一スロット12aにおけるフィーダ20の供給および回収を検出することができる。第一スロット12aについて上述されていることは、第二スロット12bについても同様に言える。
【0021】
第一スロット12aに装備されたフィーダ20は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、部品を収容するキャリアテープの送り動作が制御される。これにより、フィーダ20は、フィーダ20の上部に設けられた取り出し部において、装着ヘッド13bの保持部材によって部品を採取可能に供給する。
【0022】
ヘッド駆動装置13は、直動機構によって移動台13aを水平方向(X方向およびY方向)に移動させる。移動台13aには、クランプ部材によって装着ヘッド13bが交換可能(着脱可能)に固定されている。装着ヘッド13bは、ヘッド駆動装置13の直動機構によって移動台13aと一体的にX方向およびY方向に移動される。装着ヘッド13bは、保持部材を用いて、部品供給装置12によって供給された部品を採取する。保持部材は、例えば、供給される負圧エアによって部品を吸着する吸着ノズル、部品を把持するチャックなどを用いることができる。
【0023】
装着ヘッド13bは、保持部材をZ方向に移動可能に、且つ、Z軸に平行なQ軸周りに回転可能に保持する。装着ヘッド13bは、採取した部品の姿勢に応じて保持部材の位置および角度を調整する。そして、装着ヘッド13bは、生産プログラムによって指令される基板90の装着位置に部品を装着する。上記の部品のピックアンドプレースサイクルの所定サイクル数分の所要時間と、基板90の搬入および搬出に要する所要時間との合計時間は、基板90一枚当たりのサイクルタイムに相当する。
【0024】
なお、装着ヘッド13bに設けられる保持部材は、基板90に部品を装着する装着処理において部品の種別に応じて適宜変更され得る。部品装着機10は、例えば、実行する装着処理において用いる吸着ノズルが装着ヘッド13bに取り付けられていない場合に、ノズルステーションに収容されている吸着ノズルを、装着ヘッド13bに取り付ける。ノズルステーションは、部品装着機10の機内の所定位置に着脱可能に装備される。
【0025】
1-3.交換システム30および搬送装置40aの構成例
図1および図2に示すように、交換システム30は、第一レール31と、第二レール32とを備えている。第一レール31および第二レール32は、搬送装置40aの走行路30Rを形成する。第一レール31は、基板90の搬送方向(X方向)に沿って延伸し、鉛直方向(Z方向)において、第一スロット12aと、第二スロット12bとの間に設けられている。
【0026】
第二レール32は、基板90の搬送方向(X方向)に沿って延伸し、鉛直方向(Z方向)において、第二スロット12bの下方に設けられている。第一レール31および第二レール32は、基板生産ラインWL0において、基板90の搬送方向(X方向)の概ね全域に亘って延伸している。基板90の搬送方向(X方向)は、4つの部品装着機10の配置方向に相当する。
【0027】
搬送装置40aは、第一レール31および第二レール32によって形成される走行路30Rを走行可能に設けられている。搬送装置40aは、例えば、第一レール31に設けられる送電部と対向して設けられる受電部を介して、非接触給電によって送電部から電力の供給を受ける。受電部が受け取った電力は、受電回路を介して搬送装置40aの走行、所定作業などに用いられる。なお、搬送装置40aは、例えば、位置検出装置によって走行路30R上の位置(現在位置)を検出する。位置検出装置は、例えば、光学的な検出方法、電磁誘導を用いた検出方法などによって位置を検出することができる。
【0028】
上記の所定作業には、部品装着機10などの対基板作業機WM0による基板製品900の生産で使用される機器DD0を、対基板作業機WM0との間で交換する交換作業が含まれる。本実施形態の搬送装置40aは、基板90に装着される部品を供給するフィーダ20を機器DD0として、対基板作業機WM0である部品装着機10との間でフィーダ20の交換作業を行う。また、搬送装置40aは、フィーダ20を機器DD0として、保管装置50との間でフィーダ20の交換作業を行うこともできる。
【0029】
本実施形態の搬送装置40aは、保管装置50から部品装着機10の第一スロット12aまたは第二スロット12bにフィーダ20を搬送して、フィーダ20の供給作業を行う。また、搬送装置40aは、部品装着機10の第一スロット12aと第二スロット12bとの間で、フィーダ20の交換作業を行う。さらに、搬送装置40aは、不要になったフィーダ20を部品装着機10から保管装置50に搬送して、フィーダ20の回収作業を行う。
【0030】
図3に示すように、搬送装置40aは、少なくとも一つ(同図では、2つ)の保持部41と、制御装置42とを備えている。本実施形態では、2つの保持部41の各々は、複数(同図では、2つ)のフィーダ20を同時にクランプ可能であり、複数(2つ)のフィーダ20を同時に保持することができる。また、2つの保持部41の各々は、例えば、直動機構などによって、フィーダ20の着脱方向(本実施形態ではY方向)に沿って独立して移動可能であり、複数(2つ)のフィーダ20を同時にY方向に沿って移動させることができる。
【0031】
さらに、2つの保持部41は、例えば、直動機構などによって、鉛直方向(Z方向)に一体的に移動可能であり、複数(4つ)のフィーダ20を同時にZ方向に移動させることもできる。なお、搬送装置40aは、例えば、複数(4つ)の保持部41を備えることもできる。この場合、複数(4つ)の保持部41の各々が一つのフィーダ20をクランプして、複数(4つ)のフィーダ20を独立にY方向およびZ方向に移動させることができる。また、保持部41の形態は、クランプ機構、直動機構に限定されるものではなく、種々の形態をとり得る。例えば、保持部41は、フィーダ20に設けられる穴部と嵌合可能な突出部を備えることもできる。この場合、保持部41の突出部がフィーダ20の穴部と嵌合することにより、フィーダ20が保持される。
【0032】
制御装置42は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置42は、4つの部品装着機10、交換システム30、保管装置50およびライン管理装置60と通信可能に接続されている。制御装置42は、搬送装置40aの走行、2つの保持部41の動作などを制御する。上記の構成により、搬送装置40aは、第一レール31および第二レール32に沿って所定位置まで移動すると共に、停止位置においてフィーダ20の交換作業を行うことができる。
【0033】
なお、保管装置50は、フィーダ20に限らず、対基板作業機WM0を用いた基板製品900の生産で使用される機器DD0を保管することができる。例えば、対基板作業機WM0が部品装着機10の場合、複数の部品を収容するリールまたはトレイ、トレイを収容するトレイユニット、装着ヘッド13b、保持部材(吸着ノズル、チャックなど)、ノズルステーション、基板搬送装置11は、機器DD0に含まれる。
【0034】
対基板作業機WM0が基板90にはんだを印刷するはんだ印刷機の場合、はんだ容器、マスク、スキージ、ディスペンスヘッドは、機器DD0に含まれる。対基板作業機WM0が検査機の場合、検査ヘッドは、機器DD0に含まれる。検査機には、基板90に印刷されたはんだを検査するはんだ検査機、基板90に装着された部品を検査する外観検査機が含まれる。
【0035】
また、搬送装置40aは、フィーダ20に限らず、基板製品900の生産で使用される機器DD0を対基板作業機WM0に供給することができる。具体的には、搬送装置40aは、保管装置50に保管されている機器DD0を対基板作業機WM0に供給することができる。また、搬送装置40aは、基板製品900の生産で不要になった機器DD0を保管装置50に回収することもできる。
【0036】
さらに、対基板作業機WM0は、部品装着機10に限らず、第一スロット12aおよび第二スロット12bを備えることができ、保持する機器DD0もフィーダ20に限定されない。つまり、対基板作業機WM0は、基板製品900の生産で使用される機器DD0を保持可能な第一スロット12aと、基板製品900の生産で使用予定の機器DD0を予備的に保持可能または基板製品900の生産で不要になった機器DD0を一時的に保持可能な第二スロット12bを備える。
【0037】
1-4.機器管理装置70の構成例
機器DD0には、機器DD0を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器TG0が含まれる。例えば、対基板作業機WM0が部品装着機10の場合、フィーダ20、トレイユニット、装着ヘッド13b、基板搬送装置11は、対象機器TG0に含まれる。対基板作業機WM0がはんだ印刷機の場合、ディスペンスヘッドは、対象機器TG0に含まれる。対基板作業機WM0が検査機の場合、検査ヘッドは、対象機器TG0に含まれる。
【0038】
また、制御プログラムは、機器DD0を制御するものであれば良く、種々のプログラムが含まれる。例えば、本実施形態の制御プログラムは、機器DD0に組み込まれているファームウェアである。このような制御プログラムは、例えば、対象機器TG0の動作速度の改善、動作状態の安定、機能の追加などを目的として、基板製品900の生産に合わせて、更新(バージョンアップまたはバージョンダウン)が行われる。
【0039】
対象機器TG0が第一スロット12aに保持されて、対象機器TG0の制御プログラムが更新される場合を想定する。この場合、対基板作業機WM0は、制御プログラムの更新処理が実行されている間、当該対象機器TG0や当該対象機器TG0の機能の少なくとも一部を使用できなくなる可能性があり、基板製品900の生産効率が低下する可能性がある。
【0040】
そこで、本実施形態の基板生産ラインWL0には、機器管理装置70が設けられている。機器管理装置70は、対基板作業機WM0と、管理部71とを具備する。機器管理装置70は、計画部72を備えることもできる。機器管理装置70は、搬送装置40aと保管装置50を備えることもできる。図4に示すように、本実施形態の機器管理装置70は、対基板作業機WM0である部品装着機10と、搬送装置40aと、保管装置50と、管理部71と、計画部72とを備えている。
【0041】
また、本実施形態の管理部71および計画部72は、ライン管理装置60に設けられている。管理部71および計画部72は、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置、クラウド上などに設けることもできる。管理部71は、ライン管理装置60に設けられ、計画部72は、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置、クラウド上などに設けられても良い。
【0042】
さらに、機器管理装置70は、例えば、図5に示すフローチャートに従って、制御を実行する。管理部71は、ステップS12、ステップS13、ステップS14、ステップS17およびステップS19に示す処理および判断を行う。また、管理部71は、作業者または無人搬送車に、ステップS15およびステップS20に示す処理を行わせる。さらに、計画部72は、ステップS11に示す処理を行う。また、搬送装置40aは、ステップS16およびステップS18に示す処理を行う。
【0043】
管理部71は、第二スロット12bにおいて、機器DD0を制御する制御プログラムの更新が必要な対象機器TG0の制御プログラムを更新する。これにより、機器管理装置70は、第一スロット12aにおいて対象機器TG0の制御プログラムを更新する場合と比べて、基板製品900の生産効率の低下を抑制することができる。機器管理装置70は、第二スロット12bにおいて対象機器TG0の制御プログラムを更新することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0044】
本実施形態では、計画部72によって作成された管理計画に基づいて、搬送装置40aが対象機器TG0を第二スロット12bに供給する。そして、管理部71は、第二スロット12bにおいて、対象機器TG0の制御プログラムを更新する。その後、搬送装置40aは、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を回収する。以下の説明は、図5に示すフローチャートに従って説明されており、対象機器TG0の制御プログラムを更新する際の制御の一例である。
【0045】
計画部72は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する管理計画を立てる(図5に示すステップS11)。例えば、計画部72は、対象機器TG0の制御プログラムを管理する管理装置から更新プログラムが存在する旨の通知を受けると、管理計画を立てる。また、計画部72は、作業者からの作成要求によって管理計画を立てることもできる。例えば、計画部72は、第二スロット12bの空き状況、対象機器TG0が基板製品900の生産で使用されるまでの時間、および、制御プログラムの更新に要する所要時間に基づいて、制御プログラムを更新する更新時期を設定する。
【0046】
第二スロット12bの空き状況、対象機器TG0が基板製品900の生産で使用されるまでの時間は、基板製品900の生産計画から取得することができる。生産計画には、生産する基板製品900の種類、生産予定数、生産時間帯、生産で使用する対基板作業機WM0、生産で使用する機器DD0およびその必要数、当該機器DD0の配置などが記載されている。生産計画は、ライン管理装置60の記憶装置、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置の記憶装置、クラウド上などに記憶されている。
【0047】
また、制御プログラムの更新に要する所要時間には、例えば、制御プログラムを更新する更新プログラムをライン管理装置60から対象機器TG0に転送する時間、更新プログラムを展開して制御プログラムを更新する時間などが含まれる。なお、所要時間には、制御プログラムの更新処理において対象機器TG0の再起動を要する場合には、当該再起動に要する時間、種々の要因により更新処理が遅延することを勘案して設けられる猶予時間などが適宜含まれる。
【0048】
計画部72は、基板製品900の生産計画に基づいて、生産に使用する機器DD0の中から、対象機器TG0を抽出する。例えば、計画部72は、空いている第二スロット12bに対象機器TG0が装備されるまでの時間を考慮して、当該対象機器TG0にアイドリング時間が生じる時間帯を算出する。計画部72は、アイドリング時間が制御プログラムの更新に要する所要時間よりも長くなるときに、当該第二スロット12bにおいて制御プログラムの更新が可能であると判断する。この場合、計画部72は、アイドリング時間が生じる時間帯を、制御プログラムを更新する更新時期として設定する。なお、アイドリング時間では、対象機器TG0が対基板作業機WM0と通信可能に接続され、かつ、対象機器TG0の休止状態が維持される。
【0049】
また、本実施形態のように、複数の対基板作業機WM0が存在する場合、計画部72は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する対基板作業機WM0を指定する。なお、複数の対基板作業機WM0において、対象機器TG0の制御プログラムを更新可能な場合がある。この場合、例えば、計画部72は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する対基板作業機WM0の数が最少になるように、対象機器TG0の制御プログラムを更新する対基板作業機WM0を指定することもできる。
【0050】
管理部71は、計画部72によって作成された管理計画を取得する(図5に示すステップS12)。管理部71は、各対象機器TG0について、制御プログラムの更新時期か否かを判断する(ステップS13)。制御プログラムの更新時期が到来する対象機器TG0が存在する場合(ステップS13でYesの場合)、管理部71は、更新前準備および対象機器TG0の搬入案内を行う(ステップS14)。制御プログラムの更新時期が到来する対象機器TG0が存在しない場合(ステップS13でNoの場合)、制御は、一旦、終了する。
【0051】
更新前準備では、管理部71は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する対基板作業機WM0に対して、通知を行う。当該対基板作業機WM0は、当該通知を受けると、対象機器TG0の制御プログラムを更新する準備を行う。例えば、当該対基板作業機WM0は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する指令を受信可能にする。また、管理部71は、作業者または無人搬送車に当該対象機器TG0の搬入を案内する(ステップS14)。
【0052】
図1に示すように、本実施形態の機器管理装置70は、保管装置50と、搬送装置40aとを備えている。保管装置50は、機器DD0を保管可能である。また、搬送装置40aは、基板90の搬送方向(X方向)に沿って延伸する走行路30Rを走行可能に設けられる。搬送装置40aは、保管装置50に搬入された制御プログラムを更新する前の対象機器TG0を第二スロット12bに供給し、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を保管装置50に回収する。
【0053】
既述したように、本実施形態の保管装置50は、フィーダ20を保管可能である。また、搬送装置40aは、保管装置50に搬入された制御プログラムを更新する前のフィーダ20を第二スロット12bに供給し、基板製品900の生産で不要になったフィーダ20を保管装置50に回収する。この形態では、作業者または無人搬送車は、保管装置50において、フィーダ20を搬入し搬出することができる。そのため、第二スロット12bにおいて、フィーダ20を直接、搬入し搬出する場合と比べて、作業者の利便性が向上し、無人搬送車の制御が簡易になる。フィーダ20について上述されていることは、他の対象機器TG0についても同様に言える。以下、同様であり、本明細書は、フィーダ20を対象機器TG0として例示しているが、対象機器TG0は、フィーダ20に限定されない。
【0054】
また、図1に示すように、本実施形態の保管装置50は、搬入された制御プログラムを更新する前の対象機器TG0を保管する準備領域51と、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を保管する回収領域52とに区分されている。これにより、準備領域51と回収領域52が区分されていない場合と比べて、対象機器TG0の搬入作業および搬出作業が容易になる。
【0055】
管理部71は、例えば、ライン管理装置60に設けられる表示装置において、対象機器TG0の搬入を案内する。管理部71は、例えば、携帯端末機器の表示画面において、対象機器TG0の搬入を案内することもできる。これらにより、作業者は、対象機器TG0が保管されている保管庫81から対象機器TG0を取り出し、対象機器TG0を保管装置50の準備領域51に搬入することができる(ステップS15)。
【0056】
なお、対象機器TG0には、識別コードが付されており、作業者は、対象機器TG0を準備領域51に搬入する前に、読み取り装置を用いて識別コードを読み取る。これにより、管理部71は、準備領域51に搬入される対象機器TG0の正否を判断することができる。管理部71は、搬入されるべき対象機器TG0と異なるものが準備領域51に搬入される場合、作業者にその旨を案内する。作業者は、対象機器TG0を確認し、正しい対象機器TG0を準備領域51に搬入する。
【0057】
管理部71は、無人搬送車に対象機器TG0の搬入を指示することもできる。これにより、無人搬送車は、対象機器TG0が保管されている保管庫81から対象機器TG0を出庫させ、対象機器TG0を保管装置50の準備領域51に搬入する(ステップS15)。管理部71は、作業者による搬入作業の場合と同様に、準備領域51に搬入される対象機器TG0の正否を識別コードによって判断することができる。
【0058】
対象機器TG0が保管装置50の準備領域51に搬入されると、搬送装置40aは、対象機器TG0を所定の対基板作業機WM0の第二スロット12bに供給する(ステップS16)。搬送装置40aは、複数の対象機器TG0をまとめて搬送することもできる。これにより、搬送装置40aは、対象機器TG0の搬送回数を低減することができる。なお、対象機器TG0の供給先(対基板作業機WM0)および供給時期は、計画部72によって設定される。
【0059】
対象機器TG0が第二スロット12bに供給されると、管理部71は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する(ステップS17)。具体的には、管理部71は、制御プログラムを更新する更新プログラムをライン管理装置60から対象機器TG0にダウンロードさせ、更新プログラムを展開して制御プログラムを更新する。
【0060】
管理部71は、対象機器TG0が第二スロット12bに供給される毎に、制御プログラムを更新することができる。しかしながら、この場合、制御プログラムを更新する作業回数が増加し、作業が煩雑になる可能性がある。そのため、管理部71は、対象機器TG0が第二スロット12bに所定数保持されたときに、所定数の対象機器TG0の制御プログラムを一斉に更新すると良い。これにより、機器管理装置70は、制御プログラムを更新する作業回数の増加を抑制することができる。
【0061】
なお、制御プログラムを一斉に更新する対象機器TG0は、制御プログラムを更新する更新時期が少なくとも同じ対象機器TG0であれば良い。また、管理部71は、同種の対象機器TG0が第二スロット12bに所定数保持されたときに、同種の所定数の対象機器TG0の制御プログラムを一斉に更新することもできる。制御プログラムを一斉に更新する対象機器TG0の数(所定数)は、計画部72によって設定される。
【0062】
また、管理部71は、制御プログラムの更新が完了した基板製品900の生産で使用予定の対象機器TG0の制御プログラムのバージョンが、実行予定の基板製品900の生産で指定される制御プログラムの指定バージョンと一致しているか否かを確認すると良い。例えば、指定バージョンは、基板製品900の生産計画における生産処理ごとに指定される。また、指定バージョンは、対象機器TG0の種類ごとに指定される。指定バージョンは、例えば、特定のバージョン、最新バージョン、特定のバージョンより上位のバージョンなどによって指定される。
【0063】
基板製品900の生産で使用予定の対象機器TG0の制御プログラムのバージョンが、指定バージョンと一致する場合、当該対象機器TG0は、実行予定の基板製品900の生産で使用可能である。これに対して、基板製品900の生産で使用予定の対象機器TG0の制御プログラムのバージョンが、指定バージョンと一致しない場合、当該対象機器TG0は、実行予定の基板製品900の生産で使用できない。この場合、管理部71は、作業者に制御プログラムのバージョンの不一致を案内する。
【0064】
管理部71は、制御プログラムの更新が完了した対象機器TG0のうち、基板製品900の生産で使用予定の対象機器TG0を第二スロット12bに残し、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を回収させる(ステップS18)。これにより、機器管理装置70は、基板製品900の生産で必要な対象機器TG0を第二スロット12bに残しつつ、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を第二スロット12bから回収することができる。本実施形態では、搬送装置40aが基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を第二スロット12bから保管装置50の回収領域52に回収する。後述するように、作業者または無人搬送車が基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を第二スロット12bから回収することもできる。
【0065】
基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0が保管装置50の回収領域52に回収されると、管理部71は、作業者または無人搬送車に当該対象機器TG0の搬出を案内する(ステップS19)。管理部71は、例えば、ライン管理装置60に設けられる表示装置において、対象機器TG0の搬出を案内する。管理部71は、例えば、携帯端末機器の表示画面において、対象機器TG0の搬出を案内することもできる。
【0066】
これらにより、作業者は、保管装置50の回収領域52から対象機器TG0を搬出する(ステップS20)。管理部71は、無人搬送車に対象機器TG0の搬出を指示することもできる。これにより、無人搬送車は、保管装置50の回収領域52から対象機器TG0を搬出する(ステップS20)。
【0067】
管理部71は、対象機器TG0が保管装置50の回収領域52に回収される毎に、作業者または無人搬送車に当該対象機器TG0の搬出を案内することができる。しかしながら、この場合、対象機器TG0を搬出する作業回数が増加し、作業が煩雑になる可能性がある。
【0068】
そのため、管理部71は、回収領域52に保管されている対象機器TG0が所定数以上になったときに、作業者または無人搬送車に当該対象機器TG0の搬出を指示すると良い。これにより、機器管理装置70は、対象機器TG0を搬出する作業回数の増加を抑制することができる。例えば、管理部71は、作業者または無人搬送車が一度に搬出可能な数の対象機器TG0が回収領域52に保管されたときに、当該対象機器TG0の搬出を指示することができる。
【0069】
1-5.変形形態
1-5-1.第一変形形態
上述した実施形態では、対象機器TG0は、搬送装置40aによって保管装置50から第二スロット12bに供給され、第二スロット12bから保管装置50に回収される。しかしながら、対象機器TG0は、種々の方法によって搬送することができる。例えば、図6に示すように、機器管理装置70は、搬送装置40bを備えることができる。
【0070】
搬送装置40bは、無人搬送車であり、制御プログラムを更新する前の対象機器TG0を第二スロット12bに供給し、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を回収する。例えば、搬送装置40bは、対象機器TG0が保管されている保管庫81に対象機器TG0を出庫させ、制御プログラムを更新する前の対象機器TG0を第二スロット12bに供給する。また、搬送装置40bは、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を第二スロット12bから回収し、例えば、保管庫81に保管させる。この形態においても、管理部71および計画部72は、実施形態で既述した制御と同様の制御を行うことができる。
【0071】
1-5-2.第二変形形態
上述した実施形態では、管理部71は、ライン管理装置60に設けられている。しかしながら、管理部71は、対基板作業機WM0に設けることもできる。具体的には、対基板作業機WM0は、第一スロット12aと、第二スロット12bと、管理部71とを備え、基板90に所定の対基板作業を行って基板製品900を生産する。この形態においても、第一スロット12aおよび第二スロット12bは、実施形態で既述した構成と同様の構成を備える。また、管理部71は、実施形態で既述した制御と同様の制御を行うことができる。さらに、対基板作業機WM0は、計画部72を備えることもできる。計画部72は、実施形態で既述した制御と同様の制御を行うことができる。なお、この形態では、管理部71は、例えば、対基板作業機WM0の制御装置に設けられる。計画部72は、例えば、対基板作業機WM0の制御装置、ライン管理装置60、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置、クラウド上などに設けられる。
【0072】
また、この形態において、作業者または無人搬送車が制御プログラムを更新する前の対象機器TG0を第二スロット12bに供給し、基板製品900の生産で不要になった対象機器TG0を第二スロット12bから回収する場合を想定する。この場合、管理部71は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する管理計画に基づいて、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置を案内すると良い。既述したように、管理計画は、計画部72によって作成される。
【0073】
管理部71は、例えば、対基板作業機WM0に設けられる表示装置において、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置を案内する。管理部71は、例えば、携帯端末機器の表示画面において、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置を案内することもできる。いずれの場合も、管理部71は、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置イメージなどを表示して、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置を案内することができる。これらにより、作業者による対象機器TG0の搬入作業および搬出作業が容易になる。
【0074】
また、管理部71は、対象機器TG0の制御プログラムを更新する管理計画に基づいて、第二スロット12bにおける対象機器TG0の配置を無人搬送車に送信することができる。これにより、無人搬送車は、搬入すべき対象機器TG0の第二スロット12bにおける位置(搬入位置)を知得することができ、搬出すべき対象機器TG0の第二スロット12bにおける位置(搬出位置)を知得することができる。
【0075】
1-5-3.その他の形態
対象機器TG0の制御プログラムの更新は、対象機器TG0が保管されている保管庫81において行うこともできる。例えば、対象機器TG0がフィーダ20の場合、フィーダ20を保管するフィーダラックは、保管庫81に含まれる。また、対象機器TG0の制御プログラムの更新は、対象機器TG0のメンテナンスを行うメンテナンス装置82において行うこともできる。例えば、対象機器TG0がフィーダ20の場合、フィーダ20を検査するフィーダ検査治具、フィーダ20の清掃、駆動調整を行うフィーダ自動メンテナンスユニットなどは、メンテナンス装置82に含まれる。
【0076】
保管庫81およびメンテナンス装置82のいずれにおいても、所定期間に基板製品900の生産で使用予定のない対象機器TG0の制御プログラムの更新が行われる。具体的には、対象機器TG0に駆動電力が供給され、保管庫81またはメンテナンス装置82の制御装置と通信可能な状態で、制御プログラムの更新が行われる。制御装置は、制御プログラムのバージョンを管理する機能と、対象機器TG0の制御プログラムを更新する機能とを備える。
【0077】
制御プログラムを更新する更新プログラムは、制御装置が保有していても良く、上位の制御装置(例えば、ライン管理装置60、複数の基板生産ラインWL0を管理する管理装置など)が保有していても良い。制御装置は、対象機器TG0に更新プログラムをダウンロードさせ、更新プログラムを展開して制御プログラムを更新させる。制御装置は、制御プログラムの更新が完了した対象機器TG0の制御プログラムのバージョンを確認することができる。
【0078】
2.機器管理方法
機器管理装置70について既述されていることは、機器管理方法についても同様に言える。具体的には、機器管理方法は、対基板作業機WM0を用いた機器管理方法であって、管理工程を備える。管理工程は、管理部71が行う制御に相当する。機器管理方法は、計画工程を備えることができる。計画工程は、計画部72が行う制御に相当する。また、対基板作業機WM0を備える基板生産ラインWL0は、搬送装置40aと保管装置50を備えることができる。基板生産ラインWL0は、搬送装置40bを備えることもできる。
【0079】
3.実施形態の効果の一例
機器管理装置70によれば、管理部71を備える。管理部71は、第二スロット12bにおいて対象機器TG0の制御プログラムを更新する。よって、機器管理装置70は、第一スロット12aにおいて対象機器TG0の制御プログラムを更新する場合と比べて、基板製品900の生産効率の低下を抑制することができる。上述されていることは、対基板作業機WM0および機器管理方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0080】
12a:第一スロット、12b:第二スロット、30R:走行路、
40a,40b:搬送装置、50:保管装置、51:準備領域、
52:回収領域、70:機器管理装置、71:管理部、72:計画部、
90:基板、900:基板製品、DD0:機器、TG0:対象機器、
WM0:対基板作業機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6