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特許7403001医薬品の投与のための嗜好性支持体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】医薬品の投与のための嗜好性支持体組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/147 20160101AFI20231214BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 20/105 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 10/22 20160101ALI20231214BHJP
   A23K 10/10 20160101ALI20231214BHJP
【FI】
A23K20/147
A23K50/40
A23K20/105
A23K20/163
A23K20/158
A23K10/20
A23K10/22
A23K10/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022561530
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021028872
(87)【国際公開番号】W WO2021225803
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】20173110.6
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブレシン,カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアル,サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ,メロディー
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162326(JP,A)
【文献】国際公開第2008/134819(WO,A1)
【文献】特表2017-533959(JP,A)
【文献】特表2016-511271(JP,A)
【文献】特開2009-046412(JP,A)
【文献】国際公開第2004/016252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物であって、
乾物基準で表された質量パーセントで、
(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;
(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び
(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質
を含み、
供給時に約20%~約35%の水分含量を有する、
嗜好性支持体組成物。
【請求項2】
前記保湿可塑剤がグリセリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約0.2kg~約1.0kgの硬度値、及び圧縮TPA試験において約0.1~約0.5の凝集値を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、底端及び上端、約5mm~約10mmの高さ、約6mm~約12mmの前記底端の直径、並びに約5mm~約10mmの前記上端の直径を備えた、台形円筒形を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が約0.5グラム~約2.0グラムの質量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ以上のゲル化剤が、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キャロブガム、カラギーナン、又はそれらの組合せを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、乾物基準で約7.5質量%~約20質量%の量の脂肪をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記タンパク質が、鶏肉、家禽、魚、又はそれらの組合せを含む1つ以上のタンパク質源に由来する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
i)乾物基準で約1質量%~約8質量%の酵母抽出物;
ii)乾物基準で約1質量%~約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤;及び
iii)乾物基準で約1質量%~約8質量%のコーンシロップ固形物
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が機能性補助剤である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ネコ科動物がネコである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
キットであって、(i)請求項1から11のいずれか一項に記載の嗜好性支持体組成物;及び、(ii)1つ以上の医薬品投与単位を含む、キット。
【請求項13】
ネコ科動物の薬物治療を促進するための請求項1から11のいずれか一項に記載の嗜好性支持体組成物の使用。
【請求項14】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための請求項1から10のいずれか一項に記載の嗜好性支持体組成物の使用。
【請求項15】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための請求項1から11のいずれか一項に記載の嗜好性支持体組成物の使用方法であって、
a)投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)前記嗜好性支持体組成物に前記1つ以上の医薬品を組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び
c)前記配合医薬品を前記ネコ科動物に提供するステップ
を含む、方法。
【請求項16】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物の使用方法であって、
a)投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)前記嗜好性支持体に前記1つ以上の医薬品を組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び
c)前記配合医薬品を前記ネコ科動物に提供するステップ
を含み、前記嗜好性支持体組成物が、乾物基準で表された質量パーセントで、
(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;
(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び
(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質
を含み、
前記嗜好性支持体組成物が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、
方法。
【請求項17】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物を提供するステップを含む方法であって、前記嗜好性支持体組成物が、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含み、前記嗜好性支持体が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、方法。
【請求項18】
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与する方法であって、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む嗜好性支持体組成物を提供するステップを含み、前記嗜好性支持体が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、方法。
【請求項19】
前記ネコ科動物がネコである、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から10のいずれか一項に記載の嗜好性支持体組成物を調製する方法であって、
a)タンパク質を含む複数の乾燥成分のブレンド物を提供するステップ;
b)保湿可塑剤を含む水溶液を提供するステップ;
c)動物性及び/又は植物性起源に由来する複数の脂肪をベースとした成分を含む脂肪混合物を提供するステップ;
d)前記複数の乾燥成分のブレンド物、前記水溶液、及び前記脂肪混合物を混合するステップ、及び得られた混合物を少なくとも約80℃の温度に加熱して、調理された生地を提供するステップ;
e)前記調理された生地を冷却するステップ;及び
f)前記冷却された生地を成形して前記嗜好性支持体組成物を提供するステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容全体がここに参照することによって本願に援用される、2020年5月6日出願の欧州特許出願第20173110.6号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される主題は、嗜好性支持体組成物、特に、獣医薬用の嗜好性支持体組成物、並びにその調製方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
愛玩動物、特にネコへの経口薬の投与の容易さは、飼い主のコンプライアンスの主要な側面であり、動物の健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。動物が自発的に薬を摂取しようとする意欲は、製品の嗜好性、食感、サイズ、形状、及び場合によっては色などの複数の要因に依存しうる。ネコはほとんどの薬を手に得ることに対して特に消極的であり、ペットの飼い主もまた、彼らの動物に何かを強制することに消極的でありうる。嗜好性は、動物が自発的に薬を摂取する意欲の主要な要因と見なすことができ、例えば、口内での医薬組成物の匂い、味、及び感触によって決定することができる。通常、嗜好性は、その製造プロセス中に、嗜好性向上物質又は香味物質を医薬組成物、例えばチュアブル錠又は軟らかい噛み物組成物に添加することによって達成することができる。
【0004】
動物による薬物の吸収を促進するために、数多くの解決策が提案されている。1つの技術的解決策は、原体のカプセル化又はコーティングによって原体の不快な味又は匂いをマスキングすることを含む。別の技術的解決策は、これらの活性物質の味をマスキングし、その摂取及び消費を容易にするために、嗜好性物質を含むマトリクスの中心に活性物質を隔離することを含む。しかしながら、1つ以上の動物用活性物質が嗜好性材料内に埋め込まれている組成物の知られている欠点は、そこに含まれる活性物質の潜在的な貯蔵不安定性である。このような獣医薬組成物では、嗜好性マトリクスの成分、特に水及び吸湿性成分と、1つ以上の動物用活性物質との間の物理的及び/又は化学的相互作用は、時間の経過とともに活性物質の変化をもたらし、したがってそれらの治療活性を低下させる可能性がある。
【0005】
動物による薬剤の吸収を促進するための別の技術的解決策は、嗜好性支持体を提供することを含む。嗜好性支持体は、例えば、動物による摂取の前に選択された原体を支持体内に即時に含めることによって使用することができる。この種の嗜好性支持体は特許文献1に開示されており、最初は支持体から独立した活性物質を少なくとも部分的に包む嗜好性支持体を提供する。嗜好性支持体は、3%~50%w/wのグルコースシロップを含み、そのデキストロース当量(DE)は5~60の範囲にある。
【0006】
特許文献2には、イヌ及びネコが薬用錠剤を吸着しやすくするための香錠の形態をした嗜好性支持体が開示されている。該支持体は、2つの主面を含む嗜好性材料のマトリクスを含み、そのうちの1つは、錠剤に対応する形状及び寸法を備えた、外側に開いた凹部を有する。使用する場合、錠剤を香錠に押し込み、錠剤が見えるままこの面に保持し、もう一方の主面は基本的に滑らかにして動物に提示することができる。
【0007】
特許文献3には、動物に薬剤を投与するための動物用食品であって、その中に少なくとも1つの予め形成されたポケットを備えた成形された咀嚼可能なおやつ食品でありうる動物用食品が開示されている。予め形成されたポケットは、おやつの外面に開くことができ、その中に薬剤を保持するようにサイズ調整することができる。
【0008】
特許文献4には、特にイヌに薬剤を投与するための食品が開示されている。食品アイテムは、閉塞端と開放端とを有する内部チャンバを備えた、短い食用チューブでありうる。薬剤は、チューブの開放端を通じてチャンバ内に挿入することができ、チューブの開放端はつまんで閉じることができる。
【0009】
特許文献5には、動物による経口摂取を容易にすることができる丸剤、錠剤、又はカプセル剤の担体が開示されている。この担体は、その中に薬剤を挿入することができるように予め形成されたチャンバを有することができる。担体は変形可能であり、チャンバ内に薬剤を固定させることができる。幾つかの実施形態では、担体は、約66%の肉副産物、約17%の大豆粉、約5%の水、及び約7%のグリセリンでありうる。
【0010】
特許文献6には、薬剤の摂取に適した物質の経口投与を補助するための可消化性のパウチが開示されている。パウチは、飼育動物など、レシピエントが喜ぶ食用の食材で形成することができる。パウチは、経口投与の前に特定の物質を収容するための内部区画領域を含むことができる。
【0011】
特許文献7には、丸剤、錠剤、又はカプセル剤のための生地による包装が開示されている。生地は、少なくとも1つの小麦粉、少なくとも1つの可溶性繊維、少なくとも1つの油、及び少なくとも1つの他の薬学的に許容される薬剤を含む。生地は、選択された薬剤の周りに成形することを可能にしうる。
【0012】
特許文献8には、動物、特にイヌへの薬物の投与を容易にするためのルアーが開示されており、このルアーは、嗜好性材料で作られ、従来の砂糖の塊のような形状をした本体を含む。本体は、その片側に開いた空洞を含んでおり、固体剤形の医薬品を受け入れるように形作ることができる。幾つかの実施形態では、ルアーは、豚レバー粉末、カカオフレーバー、ステアリン酸マグネシウム、及び主としてソルビトールの組合せを含む。
【0013】
多くの技術的解決策は、1つ以上の獣医用活性物質を含む嗜好性組成物の概念に関連する複雑さを示している。この複雑さは、ネコ科動物、特にネコの生理学的障害又は疾患を予防又は治療するのに適した獣医用組成物において、特に増加する。飼いネコの食生活は気難しいことから、嗜好性は、ネコ科動物の栄養の非常に複雑な領域である。しかしながら、キャットフードの嗜好性の原因となる特定の化合物及び成分については、ほとんど知られていない。ネコは、ある特定のアミノ酸類を好むと考えられている(例えば、非特許文献1を参照)。しかしながら、現実的な嗜好性試験方法を使用した非特許文献2による最近の研究では、嗜好性の合成フレーバーを含む錠剤(すなわち、一連の18種の試験済みアミノ酸)と、プラセボとして使用した合成フレーバーを含まない同じ錠剤との間に有意差が検出されたことが示された。上に示したように、現在、ネコ用の嗜好性獣医組成物に関する知識は不十分である。したがって、最近の文献で証明されているように、ネコ科動物、特にネコに医薬品を投与するための嗜好性材料を考慮することは、依然として大部分が経験的である。当業者は、主題に関する既存の参考文献を単純に組み合わせて、獣医学的使用のためのさらに嗜好性の材料を考案するための基礎を形成することはできないことを認識するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許出願公開第2009/0054536号明細書
【文献】欧州特許第0574301号明細書
【文献】米国特許第4,857,333号明細書
【文献】米国特許第5,674,515号明細書
【文献】米国特許第5,853,757号明細書
【文献】米国特許第6,143,316号明細書
【文献】国際公開第2003/030863号
【文献】国際公開第1995/020942号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Zaghini and Biagi, 2005, Veterinary Research Communications, Vol. 29: 39-44
【文献】Savolainen, et al.(2019, Veterinary and Animal Science, Vol. 7: 100054)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、ネコ科動物、特にネコに使用することができ、その中に1つ以上の動物用活性物質を即時に埋め込むことができる、嗜好性支持体組成物が依然として必要とされている。本開示の主題は、これら及び他のニーズに対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本明細書に開示される主題は、嗜好性支持体組成物、特に、獣医薬用の嗜好性支持体組成物、並びにその調製方法及び使用方法を提供する。ある特定の態様では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上の医薬品を、動物、例えばネコなどのネコ科動物に投与するために使用することができる。本開示による嗜好性支持体組成物は、良好な成形性特性及びバランスの取れた咀嚼特性から生じる食感を有利に有することができる。ある特定の態様では、開示された嗜好性支持体組成物は、飼い主が容易に取り扱うことができ、その中に1つ以上の医薬品を容易に組み込むことができる。医薬品を含むこのような嗜好性支持体組成物は、動物、例えばネコなどのネコ科動物によって容易に受容されうる。
【0018】
本開示は、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体に関し、該嗜好性支持体は、供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0019】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、約1質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤を含みうる。
【0020】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、約25質量%~約50質量%のタンパク質を含みうる。
【0021】
幾つかの実施形態では、保湿可塑剤はグリセリンでありうる。
【0022】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、約0.2kg~約1.0kgの硬度値及び約0.1~約0.5の凝集値を有しうる。
【0023】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、高さ約5mm~約10mm、底端における直径約6mm~約12mm、及び上端における直径約5mm~約10mmを有しうる、底端及び上端を備えた台形円筒形を有することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、約0.5グラム~約2.0グラムの質量を有しうる。
【0025】
幾つかの実施形態では、1つ以上のゲル化剤は、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キャロブガム、カラギーナン、又はそれらの組合せから選択することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、脂肪をさらに含みうる。脂肪は、乾物基準で、約7.5%~約20質量%の量で存在することができる。幾つかの実施形態では、脂肪は、乾物基準で、約10%~約20質量%の量で存在することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、タンパク質は、鶏肉、家禽、魚、又はそれらの組合せから選択される1つ以上のタンパク質源に由来しうる。
【0028】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は、次の物質:
i)乾物基準で約1質量%~約8質量%の酵母抽出物;
ii)乾物基準で約1質量%~約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤;及び
iii)乾物基準で約1質量%~約8質量%のコーンシロップ固形物
のうちの1つ以上をさらに含みうる。
【0029】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体は機能性補助剤でありうる。
【0030】
幾つかの実施形態では、ネコ科動物はネコでありうる。
【0031】
別の態様では、本開示は、(i)本明細書に記載される嗜好性支持体及び(ii)1つ以上の医薬品投与単位を含む、パーツのキットに関する。
【0032】
本開示はさらに、(i)本明細書に記載される嗜好性支持体及び(ii)1つ以上の医薬品を含む、パーツのキットに関する。
【0033】
本開示はさらに、ネコ科動物の薬物治療、特にネコの薬物治療を促進するための本明細書に記載される嗜好性支持体の使用に関する。
【0034】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための本明細書に記載される嗜好性支持体の使用に関する。
【0035】
本開示はさらに、医薬品をネコ科動物に投与するための本明細書に記載される嗜好性支持体の使用方法に関し、ここで、該方法は、
a)ネコ科動物に投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)嗜好性支持体に1つ以上の医薬品を組み込むステップであって、
それによって、配合医薬品が提供される、ステップ;及び
c)ステップb)で得られた配合医薬品をネコ科動物に提供するステップ
を含む。
【0036】
本開示はさらに、医薬品をネコ科動物に投与するための本明細書に記載される嗜好性支持体の使用方法に関し、ここで、該方法は、
a)ネコ科動物に投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)配合医薬品を提供するように、嗜好性支持体に1つ以上の医薬品を組み込むステップ;及び
c)ステップb)で得られた配合医薬品をネコ科動物に提供するステップ
を含む。
【0037】
嗜好性製品は、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含むことができ、嗜好性支持体は、供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0038】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための嗜好性支持体は、約1質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤を含みうる。
【0039】
幾つかの実施形態では、本開示に従って使用するための嗜好性支持体は、約25質量%~約50質量%のタンパク質を含みうる。
【0040】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体を提供するステップを含む方法に関し、該嗜好性支持体は、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含み、かつ該嗜好性支持体は供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0041】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与する方法に関し、該方法は、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む嗜好性支持体を提供するステップを少なくとも含み、該嗜好性支持体は供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0042】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物を提供する。嗜好性支持体組成物は、乾物基準の重量パーセントで、約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む。嗜好性支持体組成物は、供給時に約20%~約35%の水分含量を有する。
【0043】
ある特定の実施形態では、保湿可塑剤はグリセリンでありうる。
【0044】
ある特定の実施形態では、組成物は、約0.2kg~約1.0kgの硬度値及び圧縮TPA試験において約0.1~約0.5の凝集値を有しうる。
【0045】
ある特定の実施形態では、組成物は、台形円筒形状を有しうる。その形状は、底端及び上端;高さ約5mm~約10mm;底端における直径約6mm~約12mm;並びに、上端における直径約5mm~約10mmを有しうる。
【0046】
ある特定の実施形態では、組成物は、約0.5グラム~約2.0グラムの質量を有しうる。
【0047】
ある特定の実施形態では、1つ以上のゲル化剤は、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キャロブガム、カラギーナン、又はそれらの組合せを含みうる。
【0048】
ある特定の実施形態では、組成物は、乾物基準で、約7.5%~約20質量%の量の脂肪をさらに含みうる。
【0049】
ある特定の実施形態では、タンパク質は、鶏肉、家禽、魚、又はそれらの組合せを含む1つ以上のタンパク質源に由来しうる。
【0050】
ある特定の実施形態では、組成物は、乾物基準で約1質量%~約8質量%の酵母抽出物;乾物基準で約1質量%~約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤;及び、乾物基準で約1質量%~約8質量%のコーンシロップ固形物のうちの1つ以上を含みうる。
【0051】
ある特定の実施形態では、組成物は機能性補助剤でありうる。
【0052】
本開示はさらに、キットを提供する。キットは、本開示による嗜好性支持体組成物、及び1つ以上の医薬品投与単位を含む。
【0053】
本開示はさらに、ネコ科動物の薬物治療を促進するため及び1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物の使用に関する。
【0054】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物の使用方法を提供する。該方法は、投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;1つ以上の医薬品を嗜好性支持体組成物に組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び、配合医薬品をネコ科動物に提供するステップを含む。
【0055】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物の使用方法を提供する。該方法は、投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;嗜好性支持体に1つ以上の医薬品を組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び、配合医薬品をネコ科動物に提供するステップを含む。嗜好性支持体組成物は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20%~約40質量%の保湿可塑剤;約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む。嗜好性支持体組成物は、供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0056】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物を提供するステップを含む方法を提供する。嗜好性支持体組成物は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20%~約40質量%の保湿可塑剤;約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む。嗜好性支持体は、供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0057】
本開示はさらに、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与する方法を提供する。該方法は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20%~約40質量%の保湿可塑剤;約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む嗜好性支持体組成物を提供するステップを含む。嗜好性支持体は、供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する。
【0058】
ある特定の実施形態では、ネコ科動物はネコでありうる。
【0059】
本開示はさらに、嗜好性支持体組成物を調製する方法を提供する。該方法は、タンパク質を含む複数の乾燥成分のブレンド物を提供するステップ;保湿可塑剤を含む水溶液を提供するステップ;動物性及び/又は植物性起源に由来する複数の脂肪をベースとした成分を含む脂肪混合物を提供するステップ;複数の乾燥成分のブレンド物、水溶液、及び脂肪混合物を混合し、得られた混合物を少なくとも約80℃の温度に加熱して調理された生地を提供するステップ;調理された生地を冷却するステップ;及び、冷却された生地を成形して嗜好性支持体組成物を提供するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本明細書に開示される主題は、改善された嗜好性支持体組成物、並びにその製造及び使用方法に関する。ある特定の実施形態では、このような嗜好性支持体組成物は、保湿可塑剤、1つ以上のゲル化剤、及びタンパク質を含みうる。本開示による嗜好性支持体組成物は、獣医薬、例えば、動物、例えばネコなどのネコ科動物への1つ以上の医薬品の投与に使用することができる。
【0061】
明確にするためであって、限定ではないが、この詳細な説明は次の小区分に分けられる:
4.1.定義;
4.2.嗜好性支持体組成物;
4.3.嗜好性支持体組成物の製造方法;
4.4.嗜好性支持体組成物の使用方法;
4.5.嗜好性支持体組成物の特徴;及び
4.6.用途及びキット。
【0062】
4.1.定義
本明細書で用いられる用語は、概して、本開示の文脈内及び各用語が用いられる特定の文脈内で、当技術分野における通常の意味を有する。本開示の組成物及び方法並びにそれらを製造及び使用する方法を説明する際に、追加のガイダンスを提供するために、以下又は本明細書の他の箇所において、ある特定の用語が論じられる。
【0063】
本明細書で用いられる場合、「約」又は「おおよそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し、これは、一部には、値を測定又は決定する方法、すなわち、測定システムの制限に依存するものである。例えば、「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、さらになお好ましくは1%までの範囲を意味しうる。
【0064】
本明細書で用いられる「動物性タンパク質」という用語は、哺乳動物、家禽、及び魚などの脊椎動物に由来するタンパク質を指す。動物性タンパク質は、例えば、筋肉、臓器、腱、又は骨に由来しうる。
【0065】
本明細書で用いられる「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカルと反応してそれらを中和することができる物質又は構成成分を指す。
【0066】
本明細書で用いられる「供給時に」という表現は、水分を含む、給餌された状態での濃度を表すことによる、食餌中の栄養素又は構成成分の濃度を表す方法を指す。
【0067】
本明細書で用いられる「Aw」という用語は、水分活性を指す。
【0068】
本明細書で用いられる「乾物(DM)基準」という表現は、乾物含有量に対する濃度、すなわち、水分が除去された後に残る濃度を表すことによる、食餌中の栄養素又は構成成分の濃度を表す方法を指す。
【0069】
本明細書で用いられる「脂肪」という用語は、脂質化合物、脂肪酸、並びにトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、及びリン脂質などの脂肪酸のエステルを指す。本明細書で用いられる「脂肪」又は「脂肪供給源」又は「脂肪源」という表現は、室温でのそれらの一貫性に関係なく、すなわち、前記「脂肪供給源」が実質的に流体形態で存在するか、又は実質的に固体形態で存在するかにかかわらず、任意の食品に許容される(一又は複数の)脂肪及び/又は(一又は複数の)油を指す。
【0070】
本明細書で用いられる場合、本明細書で用いられる「グリセリン」という用語は、当技術分野におけるその従来の意味を指す。グリセリン(本明細書では「グリセロール」と呼ばれることもある)は、単純なポリオールである1,2,3-プロパントリオールである。
【0071】
本明細書で用いられる「保湿可塑剤」という用語は、保湿特性を有し、食品組成物と適合する、任意の保湿可塑剤を指す。可塑剤の特性は、可塑剤が添加された組成物に食感特性をもたらすことができる。保湿特性は、水との結合を可能にし、組成物の水分活性(Aw)を低下させる。
【0072】
本明細書で用いられる「非動物性タンパク質」という用語は、動物性タンパク質ではないタンパク質を指す。非動物性タンパク質の例には、植物性タンパク質、藻類タンパク質、卵タンパク質、乳タンパク質、微生物タンパク質、及び昆虫タンパク質が含まれる。
【0073】
本明細書で用いられる「嗜好性」という用語は、ある摂取可能な製品についての動物の別の製品に対する相対的な選好性を指す。嗜好性とは、動物がある特定の摂取可能な製品を食べる全体的な意欲を指す。有利なことには、必ずというわけではないが、嗜好性はさらに、食べられた摂取可能な製品が動物を満足させる能力を指す。動物が、例えば、2つ以上の摂取可能な製品のうちの1つに選好性を示す場合はいつでも、好まれた製品は、より「嗜好的」であり、「嗜好性が向上」している。1つ以上の他の摂取可能な製品と比較した1つの摂取可能な製品の相対的な嗜好性は、例えば、摂取可能な製品の相対的な消費、又は他の適切な、嗜好性を示す選好性の尺度によって、例えば随意選択の対照比較において、決定することができる。これは、「ツー・ボウル試験」又は「対試験」(下記参照)と呼ばれる試験など、動物が両方の摂取可能な製品に等しくアクセスできる標準的な試験プロトコルによって有利に決定することができる。このような選好性は、動物の感覚のいずれかから生じうるが、典型的には、とりわけ、味、後味、匂い、口当たり、及び/又は食感に関連する。
【0074】
本明細書で用いられる「嗜好性向上剤」という用語は、化合物、組成物、配合物、又は食品組成物、サプリメント、医薬品などの食用組成物の魅力及び嗜好性を高めるのに有用な他の材料のいずれかを指す。したがって、このような嗜好性向上剤は、最初のアピール、継続的な消費、若しくは嗜好性の繰り返される提示の側面、又はそれらの任意の組合せに寄与しうる。このような製品は、液体及び/又は粉末の嗜好性物質で構成されうる。例:脂肪及び油脂(家禽脂肪、獣脂など)、香味剤、化学分子(2,5ジメチルピラジンなど)、芳香物質、抽出物(酵母など)、消化物、加水分解物(家禽肝臓など)、タンパク質成分(家禽粉など)、炭水化物食品(米粉など)、粉末など。例えば、嗜好性向上剤は、食品香料などの香料、臭気マスキング剤、及びそれらの混合物(例えば香味化合物など)、並びに上記の前駆体で構成されうる。嗜好性向上剤は、食品製品又は栄養製品で構成されていない。
【0075】
本明細書で用いられる「ペット」という用語は、飼いネコ及び飼いイヌなどの愛玩動物を含む、飼育動物を指す。
【0076】
本明細書で用いられる「デンプン」という用語は、アミロース及びアミロペクチンで構成される多糖類を指す。
【0077】
4.2.嗜好性支持体組成物
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物が提供される。嗜好性支持体組成物は、1つ以上の保湿可塑剤、1つ以上のゲル化剤、1つ以上のタンパク質源、1つ以上の脂肪源、並びに、酵母抽出物、嗜好性向上剤、コーンシロップ固形物、芳香剤、健康補助食品、又は医薬品を含む1つ以上のさらなる成分を含みうる。本開示による嗜好性支持体組成物は、動物、例えばネコ科動物の獣医学的目的のために使用することができる。特定の実施形態では、嗜好性支持体は、1つ以上の医薬品を、ネコ科動物などのそれを必要とする動物に投与するために使用することができる。ある特定の態様では、本開示は、1つ以上の医薬品を、それを必要とするネコ科動物に投与するための嗜好性支持体に関する。
【0078】
実施例に示されるように、本開示による嗜好性支持体は、(i)良好な成形性特性と、(ii)バランスの取れた咀嚼特性との間の最適な平衡から生じる食感を有しうる。このように、本明細書に開示される嗜好性支持体は、(i)ネコ科動物の飼い主、特に、ネコの飼い主が容易に取り扱うことができ;(ii)その中に1つ以上の医薬品を容易に組み込むことができ;かつ、(iii)ネコ科動物、特にネコに容易に受け入れられる。
【0079】
4.2.1.保湿可塑剤
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上の保湿可塑剤を含みうる。保湿可塑剤は、グリセリン(グリセロール)又はそれらの任意の誘導体を含みうる。さまざまな実施形態では、1つ以上の保湿可塑剤はポリオールでありうる。ある特定の実施形態では、保湿可塑剤は、グリセリン(グリセロール)、ソルビトール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリデキストロース、糖蜜、又はそれらの組合せから選択することができる。特定の実施形態では、保湿可塑剤はグリセリン(グリセロール)でありうる。ある特定の実施形態では、保湿可塑剤は、グリセリンと、可塑剤として作用する他の任意の非毒性化合物、例えば、それが添加される組成物に食感特性をもたらすことができる別の非毒性化合物、及び/又は保湿剤として作用する別の非毒性化合物(すなわち、水と結合し、したがって組成物及び食品の水分活性(Aw)を低下させる別の非毒性化合物)との組合せを含みうる。
【0080】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約20質量%~約40質量%、約20質量%~約30質量%、約25質量%~約35質量%、約30質量%~約40質量%、又は約20質量%~約30質量%の1つ以上の保湿可塑剤を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、又は約40質量%の1つ以上の保湿可塑剤を含みうる。
【0081】
4.2.2.ゲル化剤
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は1つ以上のゲル化剤を含みうる。1つ以上のゲル化剤は、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キャロブガム、カラギーナン、又はそれらの組合せから選択することができる。
【0082】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約0.5質量%~約8質量%、約0.5質量%~約6質量%、約1質量%~約5質量%、約1質量%~約3質量%、又は約4質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約0.5質量%、約1質量%、約1.5質量%、約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、又は約8質量%の1つ以上のゲル化剤を含みうる。
【0083】
4.2.3.タンパク質源
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上のタンパク質源、又は1つ以上のタンパク質源に含まれうる複数のタンパク質を含みうる。例えば、1つ以上のタンパク質源は、天然型、すなわち非加水分解型でありうる。ある特定の実施形態では、1つ以上のタンパク質源は、ほぼ完全に加水分解されているタンパク質を包含する、少なくとも部分的に加水分解された形態で存在しうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、牛肉、鶏肉、七面鳥肉、子羊肉、魚、血漿、骨髄などの肉若しくは動物由来の材料の形態の1つ以上のタンパク質源、又はそれらの1つ以上を組み込むことができる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、肉を含まなくてもよい。特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、タンパク質源を提供するために、大豆、トウモロコシ、グルテン、又は他のいずれかのタンパク質含有大豆製品などの肉代替タンパク質源を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、大豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテンなどの追加のタンパク質源を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、鶏肉、家禽、魚、又はそれらの組合せを含む1つ以上のタンパク質源を含みうる。当業者は、多種多様なタンパク質源が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0084】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約20質量%~約50質量%、約25質量%~約50質量%、約30質量%~約40質量%、又は約25質量%~約30質量%の1つ以上のタンパク質源を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、約40質量%、約41質量%、約42質量%、約43質量%、約44質量%、約45質量%、約46質量%、約47質量%、約48質量%、約49質量%、又は約50質量%の1つ以上のタンパク質源を含みうる。
【0085】
4.2.4.脂肪源
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上の脂肪源を含みうる。ある特定の実施形態では、1つ以上の脂肪源は、動物及び/又は植物由来の脂肪を含みうる。脂肪は、当業者に知られているさまざまな供給源のいずれかによって供給することができる。植物脂肪源には、例として、小麦、ヒマワリ、ベニバナ、菜種、オリーブ、ルリジサ、アマニ、コプラ、ピーナッツ、カシス種子、ヤシの木、綿実、小麦、胚芽、トウモロコシ胚芽、並びにこれら及び他の植物脂肪源に由来する油が含まれるが、これらに限定されない。動物脂肪源には、例として、鶏脂肪、七面鳥脂肪、牛肉脂肪、アヒル脂肪、豚脂肪、子羊脂肪など、魚油又は任意の肉、肉副産物、魚介類、乳製品、卵などが含まれうるが、これらに限定されない。食品の脂肪含有量は、当業者に知られているあらゆる方法によって決定することができる。当業者は、多種多様な脂肪源が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0086】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約7.5質量%~約20質量%、約10質量%~約20質量%、約15質量%~約20質量%、又は約10質量%~約15質量%の1つ以上の脂肪源を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約10.5%、約11%、約11.5%、約12%、約12.5%、約13%、約13.5%、約14%、約14.5%、約15%、約15.5%、約16%、約16.5%、約17%、約17.5%、約18%、約18.5%、約19%、約19.5%、又は約20%の1つ以上の脂肪源を含みうる。
【0087】
4.2.5.さらなる成分
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上のさらなる成分を含みうる。1つ以上のさらなる成分は、酵母抽出物、嗜好性向上剤、コーンシロップ(例えば、コーンシロップ固形物)、芳香剤、健康補助食品、医薬品、又はそれらの組合せを含みうる。健康補助食品は、例えば、ビタミン(類)、ミネラル類、(一又は複数の)抗酸化剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、特定の健康栄養素(例えば、タウリン、ミドリイガイ、コンドロイチン、コラーゲン、ポリフェノール類、フラボノイド類、クルクミノイド類、アロエベラ抽出物など)、又はアミノ酸類を含みうる。医薬品は、丸剤、錠剤、カプセル剤、液体製剤、ペースト、及びゲル、又はそれらの組合せを含みうる。ある特定の実施形態では、医薬品は、ネコなどの動物にとっての忌避味又は一般的に魅力のない香味剤、例えば、エンロフロキサシン(苦味)、シクロスポリンを有する医薬品を含みうる。医薬品は、Locox(関節炎)、Zentonyl(肝疾患)、Milbemax(駆虫剤)、などの長期にわたる疾患に用いられる医薬品、又はPrifinial(登録商標)及びEmeprid(登録商標)などの他の病態に用いられる医薬品を含みうる。
【0088】
4.2.5.1.酵母抽出物
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は酵母抽出物を含む。酵母抽出物は、ヒト用食品及び非ヒト用食品のよく知られている成分であり、市販されている。当業者は、多種多様な形態の酵母抽出物が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0089】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約8質量%、約1質量%~約5質量%、約4質量%~約8質量%、又は約1質量%~約2質量%の酵母抽出物を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%、約1.5質量%、約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%又は約8質量%の酵母抽出物を含みうる。
【0090】
4.2.5.2.嗜好性向上剤
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、1つ以上の嗜好性向上剤を含みうる。嗜好性向上剤は、それが含まれる食品組成物の嗜好性を高めることを目的とする、市販のすぐに使用できる調合物である。当業者は、多種多様な嗜好性向上剤が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0091】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約8%、約1質量%~約4%、約2%~約5%、又は約5質量%~約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%、約1.5質量%、約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、又は約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤を含みうる。
【0092】
4.2.5.3.コーンシロップ
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物はコーンシロップを含みうる。コーンシロップは、ヒト用食品及び非ヒト用食品組成物の製造に用いられるよく知られている成分であり、市販されている。コーンシロップは、液体形態又は固体形態のいずれかでありうる。ある特定の実施形態では、コーンシロップは、固体形態、すなわちコーンシロップ固形物として存在しうる。
【0093】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約8質量%、約1質量%~約3質量%、約1質量%~約2.5質量%、約4質量%~約8質量%、又は約1質量%~約5質量%のコーンシロップ固形物を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%、約1.5質量%、約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、又は約8質量%のコーンシロップ固形物を含みうる。
【0094】
4.2.5.4.芳香剤
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は1つ以上の芳香剤を含みうる。キャットフード用を含む食品用の多数の芳香剤が当業者に知られており、本開示による嗜好性支持体にも使用することができる。したがって、当業者は、多種多様な芳香剤が本開示での使用に適していることを認識するであろう。1つ以上の芳香剤は、肉、サケ肉、牛肉、鶏肉、七面鳥肉、魚、チーズ、他の動物をベースとした香味剤、又はそれらの組合せから選択することができる。ある特定の実施形態では、芳香剤は、例えば偏食肉食動物であるネコのための、タンパク質源自体を含みうる。
【0095】
4.2.5.5.健康補助食品
ある特定の態様では、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物は、それを必要とするネコ科動物への1つ以上の医薬品の経口投与を容易にするための使用を超えて、栄養補助食品として使用することができる。したがって、ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、レシピエントの健康の維持に有用でありうる1つ以上の成分、例えば、ビタミン(類)、ミネラル類、(一又は複数の)抗酸化剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、特定の健康栄養素(例えば、タウリン、ミドリイガイ、コンドロイチン、コラーゲン、ポリフェノール類、フラボノイド類、クルクミノイド類、アロエベラ抽出物など)、又はアミノ酸類を含みうる。このような実施形態では、嗜好性支持体は、1つ以上の医薬品の投与を容易にする能力に加えて、レシピエントの健康維持特性も有することから、嗜好性支持体組成物は、本明細書で用いられる「機能的」サプリメントと呼ぶこともできる。
【0096】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は1つ以上のビタミン類を含みうる。ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビオチン、葉酸、イノシトール、ナイアシン、及びパントテン酸、又はそれらの組合せから選択することができる。当業者は、多種多様なビタミン類が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0097】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は1つ以上の抗酸化剤を含みうる。このような物質の実例には、例えば、ベータカロチン、リコピン、及びルテインを含むカロテノイド、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、トコトリエノール、大豆イソフラボン、S-アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N-アセチルシステイン、リポ酸、及びL-カルニチンが含まれるが、これらに限定されない。当業者は、多種多様な抗酸化剤が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0098】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は1つ以上のミネラル類を含みうる。ミネラル類は、カルシウム、リン(例えば、リン酸の形態)、ナトリウム、塩化物、カリウム、マグネシウム、少数元素、及びそれらの組合せを含む群から選択することができる。当業者は、多種多様なミネラル類が本開示での使用に適していることを認識するであろう。
【0099】
4.2.5.6.医薬品
ある特定の実施形態では、ネコ科動物などの動物に適しうる任意の医薬品を、本開示の嗜好性支持体組成物に組み込むことができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の医薬品は、丸剤、錠剤、カプセル剤、液体製剤、ペースト、及びゲル、又はそれらの組合せから選択することができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の医薬品は、例えばネコ用の忌避味、又は例えばエンロフロキサシン(苦味)、シクロスポリンを含む、一般的に魅力のない香味剤を有しうる。ある特定の実施形態では、1つ以上の医薬品は、例えば、Locox(関節炎)、Zentonyl(肝疾患)、Milbemax(駆虫剤)などの長期にわたる疾患に用いられる薬剤、又はPrifinial(登録商標)及びEmeprid(登録商標)のような他の病態のための薬剤を含みうる。
【0100】
4.2.6.嗜好性支持体組成物
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤、約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤、及び約20質量%~約50質量%のタンパク質を含みうる。
【0101】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤、約1質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤、及び約25質量%~約50質量%のタンパク質を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で表された質量パーセントで、約20%~約30質量%の保湿可塑剤、約1質量%~約3質量%の1つ以上のゲル化剤、及び約25質量%~約30質量%のタンパク質を含みうる。保湿可塑剤はグリセリンでありうる。タンパク質は、動物性タンパク質及び植物性タンパク質を含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約3質量%の量のコーンシロップ固形物をさらに含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約4質量%の量の1つ以上の嗜好性向上剤をさらに含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、乾物基準で、約1質量%~約5質量%の量の酵母抽出物をさらに含みうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、脂肪(例えば、植物性脂肪)、防腐剤、抗酸化剤、プレバイオティクス、ビタミン類、酸性化剤、シリアル(小麦粉)、水、及び蒸気凝縮物、並びにそれらの組合せをさらに含みうる。
【0102】
4.3.嗜好性支持体組成物の製造方法
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物を調製する方法が提供される。該方法は、a)タンパク質を含む複数の乾燥成分のブレンド物を提供するステップ;b)保湿可塑剤を含む水溶液を提供するステップ;c)動物性及び/又は植物性起源に由来する複数の脂肪をベースとした成分で構成された脂肪混合物を提供するステップ;d)ステップa)で提供された成分のブレンド物を、ステップb)で提供された水溶液及びステップc)で提供された脂肪混合物と混合し、得られた混合物を約80℃以上の温度で調理し、それによって調理された生地が提供されるステップ;e)ステップd)で得られた調理された生地を冷却するステップ;並びに、f)嗜好性支持体を所望の形式で得るために、ステップe)で得られた冷却された生地を成形するステップを含みうる。
【0103】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物を調製する方法は、a)タンパク質を含む複数の乾燥成分のブレンド物を、任意選択的に、コーンシロップ固形物、防腐剤、抗酸化剤、ゲル化剤、酸性化剤、プレバイオティクス、ビタミン類、酵母抽出物、及び嗜好性向上剤、又はそれらの組合せから選択される1つ以上の追加の成分とともに提供するステップ;b)保湿可塑剤を含む水溶液、グリセリン及び水を含む水溶液を提供するステップ;c)動物性及び/又は植物性起源に由来する複数の脂肪をベースとした成分で構成された脂肪混合物を提供するステップ;d)ステップa)で提供された成分のブレンド物を、ステップb)で提供された水溶液及びステップc)で提供された脂肪混合物と混合し、得られた混合物を約80℃以上の温度又は90℃以上の温度で調理し、それによって調理された生地が提供されるステップ;e)ステップd)で得られた調理された生地を冷却するステップ;並びに、f)嗜好性支持体を所望の形式で得るために、ステップe)で得られた冷却された生地を成形するステップを含みうる。
【0104】
ある特定の実施形態では、調理ステップd)は、約120℃より低い温度で実施されうる。ある特定の実施形態では、ステップe)で得られた冷却された生地は、前記冷却された生地を嗜好性支持体のサイズ、寸法、及び所定の形状をほぼ有する個々の金型にポンプ送給することによって、ステップf)において成形することができる。
【0105】
4.4.嗜好性支持体組成物の使用方法
ある特定の態様では、本開示は、例えば、1つ以上の医薬品を嗜好性支持体組成物に組み込むことによって、ネコ科動物の薬物治療を促進するための本明細書に記載される嗜好性支持体組成物の使用に関する。
【0106】
ある特定の実施形態では、本開示は、医薬品をネコ科動物に投与することに関する。ある特定の実施形態では、飼い主は、まず、変形した嗜好性支持体によって形成された塊に医薬品を組み込むように、支持体を変形することによって、例えば、嗜好性支持体内に医薬品(例えば、錠剤、カプセル、ペースト、又はゲル)を組み込む、例えば包むことができる。成形可能な嗜好性支持体は、片手で取り扱うことができ、例えば、ある特定の実施形態では、薬に触れた手は、その周りに塊を包んで閉じるために使用しない。次いで、取り込まれた、例えば包装された医薬品を、手で、床に、ボウルに、又は任意の適切な表面のいずれかで、ネコ科動物(例えば、ネコ)に直接提供することができる。あるいは、本明細書に開示される嗜好性支持体の変形によって、医薬品が組み込まれる、例えば包装されると、給餌時にネコ科動物が拾うことができるように、得られた組み込まれた材料、例えば、包装された材料を動物性食品と混合することができる。医薬品がゲルである実施形態では、例えば、支持体の上端に存在する場合、あらかじめ作られた穴の内側に収まるのに十分にゲルの量が少ない場合、嗜好性支持体は、ゲルの滴の周りで再閉鎖することができる。
【0107】
ある特定の態様では、本開示は、ネコ科動物に医薬品を投与するための手段としての本明細書に記載される嗜好性支持体組成物の使用方法に関する。該方法は、a)ネコ科動物に投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;b)本明細書に記載される嗜好性支持体に1つ以上の医薬品を組み込み、それによって配合医薬品が提供されるステップ;及び、c)ステップb)で得られた配合医薬品をネコ科動物に提供するステップを含みうる。
【0108】
別の態様では、本開示は、1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための本明細書に記載される嗜好性支持体組成物の使用方法に関する。該方法は、a)ネコ科動物に投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;b)本明細書に記載される嗜好性支持体に1つ以上の医薬品を組み込み、それによって配合医薬品が提供されるステップ;及び、c)ステップb)で得られた配合医薬品をネコ科動物に提供するステップを含みうる。
【0109】
別の態様では、本開示は、医薬品をネコ科動物に投与するための方法に関する。該方法は、a)ネコ科動物に投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;b)包装された医薬品を提供するために、医薬品を少なくとも部分的に嗜好性支持体で包むステップ;及び、c)包装された医薬品を前記ネコ科動物に提供するステップを含むことができ、嗜好性支持体は本明細書に開示されている通りである。
【0110】
ある特定の実施形態では、ステップb)において、1つ以上の医薬品を嗜好性支持体に組み込むステップは、例えば、前記1つ以上の医薬品を嗜好性支持体に少なくとも部分的に包むことによって実施することができる。
【0111】
4.5.嗜好性支持体組成物の特徴
ある特定の態様では、本開示の嗜好性支持体組成物は、ある特定の特徴、例えば、食感、サイズ、寸法、重量、嗜好性、及び水分含量を有しうる。
【0112】
食感(硬度及び凝集性)
本開示による嗜好性支持体組成物は、比較的軟らかい食感を有していてよく、例えば、それを必要とするネコ科動物に投与するために、1つ以上の医薬品の周りに容易に成形することができる。
【0113】
ある特定の態様では、嗜好性支持体組成物は、硬度及び凝集性などの食感特性によって定義することができる。本開示によれば、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物の硬度及び凝集値は、例えば、上下に移動して、試験した試料を圧縮及び解放し、受けている変形に対する試験した試料の力応答値を記録する、ロードセル又はプローブを取り付けた食感ナライザ装置を使用して測定することができる。通常、力、距離、及び時間に関するデータが収集され、一般にグラフ上の曲線として表示され、これを分析すると、試験試料の食感品質を示す硬度値及び凝集値が得られる。典型的には、硬度及び凝集値は、同じ試験プロトコルを通じて得ることができ、検索された情報は、当業者に知られている同じデータセットから入手可能である。硬度は、概して、最初の圧縮時のピーク力であり、試料を破壊するのに必要な力を表しており、一方、凝集性は、2番目のピーク(2回目の圧縮)下での作業面積を最初のピーク(最初の圧縮)下での作業面積で割った比率であり、試料が最初の変形から回復する能力を表している。凝集性は無次元量の値(比率)である。例として、Texture Analyzerは、Texture Technologies(USA)社によって商品化された TA-HD Plus機器でありうる。用いられる方法は、100kgのロードセルとTA-40圧縮プローブ(100mm)を使用する、二重圧縮食感プロファイル分析(TPA)でありうる。プラットフォーム、又はベースは、基準TA-90を用いたものでありうる。測定設定は次の通りでありうる:戻り距離(mm):0.5/戻り速度(mm/秒):1/接触力(g):50。
【0114】
幾つかの実施形態では、本開示による嗜好性支持体組成物は、約0.2kg~約1.0kg又は約0.2kg~0.6kgの硬度値を有しうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、約0.2kg、約0.3kg、約0.4kg、約0.5kg、約0.6kg、約0.7kg、約0.8kg、約0.9kg、又は約1.0kgの硬度値を有しうる。当技術分野で知られているように、本明細書に開示される嗜好性支持体の硬度は、前記嗜好性支持体を破壊するために印加される最大の力に対応する。硬度の値は、現在、製品の食感を特徴付けるための基準として用いられている。
【0115】
幾つかの実施形態では、本開示による嗜好性支持体組成物は、圧縮TPA試験において、約0.1~約0.5又は約0.2~約0.5の凝集値を有しうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、圧縮TPA試験において、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、又は約0.5の凝集値を有しうる。
【0116】
理論に縛られはしないが、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物の特定の食感は、グリセリンの量によって有意に付与することができると考えられ、これは、その中に含まれるグリセリン及び(一又は複数の)ゲル化剤の組合せ及び量にも寄与する。
【0117】
サイズ、寸法、及び重量
本開示の嗜好性支持体組成物のサイズ及び寸法は、例えば、「一口大」、すなわち、動物に提供する前に分割するか又は割ることを必要とせずに、ネコ科動物などの動物にそのまま提供されるように適合させることができるサイズ及び寸法に適合するように、適合させることができる。幾つかの実施形態では、嗜好性支持体組成物は、台形円筒形を有しうる。台形円筒形は、底端及び上端を含みうる。底端は上端より大きくすることができる。底端は、垂直軸及び水平軸を含みうる。垂直軸は底端及び上端を通過しうる。底端及び上端の各々は、嗜好性支持体の垂直軸に垂直でありうる、円形の表面図、又は代替的にほぼ円形の表面図を画成しうる。それらの円形の表面図の面積値は、それぞれ、底端及び上端での嗜好性支持体の直径によって決定することができる。(i)底端に位置する底部円形表面図と、(ii)上端に位置する上部円形表面図のそれぞれの表面は平らでありうる、すなわち、嗜好性支持体の垂直軸に垂直な表面図を有する。上端に位置する表面は、その中への1つ以上の医薬品の導入を可能にする空洞を示しうる。
【0118】
嗜好性支持体組成物のサイズ及び寸法は、「一口大」(すなわち、動物に提供する前に嗜好性支持体を分割する又は割る必要なく、動物、特にネコにそのまま与えるのに適したサイズ)に従うことができる。幾つかの実施形態では、台形円筒形の支持体は、約5mm~約10mmの高さを有しうる。ある特定の実施形態では、台形円筒形の支持体の直径は、底端において約6mm~約12mmでありうる。ある特定の実施形態では、台形円筒形の支持体の上端における直径は、約5mm~約10mmでありうる。
【0119】
幾つかの実施形態では、嗜好性支持体組成物は、約0.5グラム~約2.0グラム、約1.0グラム~約2.0グラム、約0.5グラム~約1.0グラム、又は約1.5グラム~約2.0グラムの質量を有しうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、約0.5グラム、約1.0グラム、約1.5グラム、又は約2.0グラムの質量を有しうる。
【0120】
嗜好性(成分、食感、及びサイズ)
ある特定の実施形態では、本開示による嗜好性支持体組成物の高い嗜好特性は、例えば、(i)それに含まれる成分の組合せによって;(ii)その食感特性によって;及び、(iii)そのサイズによって付与することができる。成分の組合せは、その良好な味及びフレーバー、並びにその中に包まれる1つ以上の医薬品のおそらくは不快な味をマスキングする能力に寄与することができる。いかなる理論にも縛られるものではないが、本開示の嗜好性支持体組成物に含まれる、グリセリン及びタンパク質の特定の組合せを含む成分の特定の組合せは、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物の高い嗜好特性に大きく寄与することができると考えられる。その食感特性は、非ヒト哺乳動物、例えばネコ科の動物、特にネコによるつかみ易さに寄与することができる。その食感特性はまた、内部に入れられた薬への前記嗜好性支持体の接着にも寄与することができ、動物が2つを分離可能にすることなく、動物が支持体と同時に薬を摂取することを可能にする。前記嗜好性支持体の最適なサイズもまた、前記非ヒト哺乳動物による把持の容易さに寄与しうる。
【0121】
水分含量
ある特定の実施形態では、本開示による嗜好性支持体組成物の水分含量は、例えば、嗜好性支持体をレシピエントのネコ科動物にとって魅力的にする適切な咀嚼性など、良好な嗜好性を可能にする適切な食感特性を有する嗜好性支持体組成物を得るように適合させることができる。本明細書に開示される嗜好性支持体の水分含量はまた、例えば、そこに含まれる1つ以上の水分感受性成分との潜在的な有害な相互作用を低下させるように適合させることができる。したがって、嗜好性支持体組成物の水分含量は、カビの発生の可能性を制限するという観点から、貯蔵寿命全体にわたって、嗜好性支持体の最適な食感特性とその最適な保存特性との間のバランスを提供することができる。
【0122】
ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、供給時に約20%~約35%、約25%~約30%、約30%~約35%、又は約20%~約25%の範囲の水分含量を有しうる。ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、供給時に約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、及び約35%の水分含量を有しうる。
【0123】
20%未満の水分含量は、隠す必要があるであろう(一又は複数の)医薬品に十分に接着しない支持材料をもたらす可能性がある。このような支持材料は、医薬品の包装に使用されている間に壊れるか、又は脆くなる可能性があることから、医薬品の成形及び包装に最適には適合しないであろう。対照的に、35%を超える水分含量は、ネコ科動物には喜ばれないであろう、許容できない柔らかさ及び粘着性を有する支持材料をもたらす可能性がある。さらには、高い水分含量は、そこに含まれる成分の1つ以上、特にビタミン類などの水分感受性成分に悪影響を与える可能性がある。過剰な水分は、カビなどの貯蔵寿命の問題につながる可能性もある。
【0124】
本明細書に開示される任意の組成物又は製品の水分含量は、通常の方法に従って決定することができる。水分含量は、(i)前記組成物又は製品を計量すること;(ii)例えば、約1時間から約3時間の範囲の時間、大気圧で実施される場合に、約100℃~約120℃の範囲の温度のオーブンなどで、その中に含まれる自由水を蒸発させること;及び、(iii)得られた乾燥組成物又は製品を計量することによって(その重量差は、組成物又は製品に最初に含まれていた水の重量からなる)、従来通りに決定することができる。
【0125】
4.6.用途及びキット
ある特定の実施形態では、本開示による嗜好性支持体組成物は、栄養的に完全な食品組成物として使用することを意図していない。したがって、ある特定の実施形態では、嗜好性支持体組成物は、ネコ科動物、特にネコに給餌するための唯一の組成物として使用することはできない。しかしながら、ある特定の実施形態によれば、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物は、それを必要とするネコ科動物への1つ以上の医薬品の経口投与を容易にするための使用を超えて、栄養補助食品として使用することができる。
【0126】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される嗜好性支持体組成物は、機能性補体又は機能性補助剤でありうる。機能性補体又は補助剤は、おやつと区別するその機能的特性の理由から、そのように説明される。
【0127】
ある特定の態様では、本開示による嗜好性支持体組成物は、複数の嗜好性支持アイテムを含むパックに包装することができ、各嗜好性支持アイテムは、場合によってはそれ自体を個別に包装することができる。したがって、本開示はさらに、複数の嗜好性支持アイテムを含む包装を提供し、各嗜好性支持アイテムは、任意選択的にそれ自体が個別に包装される。
【0128】
本明細書に開示される嗜好性支持体組成物は、消費者が使用するための1つ以上のキットで提供することができる。該キットは、例えば、限定するものではないが、本開示の1つ以上の嗜好性支持体組成物を含みうる。キットはまた、1つ以上の医薬品も含みうる。一実施形態では、キットは、1つ以上の医薬品とは別に嗜好性支持体組成物を提供する。任意選択的に、このようなキットは、本開示に関連して説明された他のシステム構成要素、及び本開示に関連する他の材料又はアイテムをさらに含むことができる。
【0129】
ある特定の実施形態、例えば、処方された医療製品がネコ科動物にとって不快な味又は風味を有する実施形態では、医薬品は、第1のパーツ及び第2のパーツを含む、パーツのキットに含まれるものとして提示することができる。第1のパーツは、医薬品を含みうる。第2のパーツは、本明細書に開示される嗜好性支持体を含みうる。ある特定の態様では、パーツのキットは、(i)複数の医薬品投与単位(例えば、丸剤、錠剤、又はカプセル)を含む容器を含みうる第1のパーツを含みうる。あるいは、第1のパーツは、複数の処方投与単位に対応する量のペースト又はゲルを含む容器を含みうる。さらには、パーツのキットは、(ii)本開示による複数の嗜好性支持アイテムを含みうる第2のパーツを含むことができる。ある特定の態様では、嗜好性支持アイテムの数は、少なくとも、前記容器に含まれるすべての医薬品投与単位を投与するのに十分な数でありうる。嗜好性支持アイテムの数は、キットの第1のパーツを形成する容器に含まれる医薬品投与単位の数に対して過剰であってもよい。このように、本開示はさらに、(i)本明細書に開示される嗜好性支持体;及び、(ii)1つ以上の医薬品又は製品投与単位を含む、パーツのキットを提供する。
【実施例
【0130】
本明細書に開示される主題は、限定としてではなく、本開示の例示として提供される以下の実施例を参照することによって、より良く理解されよう。以下の実施例は、本開示の主題の単なる例示であり、いかなる方法でも主題の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0131】
実施例1:嗜好性支持体組成物の製造
本実施例は、本開示に従って嗜好性支持体組成物を製造するためのプロセスを提供する。
【0132】
A.材料及び製造プロセス
最初のステップでは、すべての乾燥成分を混合し、ともに均質化した。次に、生地を形成するために、液体(脂肪、水、及びグリセリン)を乾燥混合物に加えた。成分を一緒に溶融して所望の食感にし、長期にわたる安定性を確保するために、生地を調理し、低温殺菌した(最低90℃)。次に、熱い生地を冷却し、個々の型にポンプ送給し、最終的な寸法を得た。個々の小片は最終段階にあり、周囲温度で保管する前に梱包した。
【0133】
本開示に従った嗜好性支持体組成物の製造に用いられる成分及びそれらの比率が、以下の表1に示されている。
【0134】
【表1】
【0135】
本開示の嗜好性支持体組成物を次のように調製した。
【0136】
a)乾燥混合ブレンド物の調製。すべての乾燥成分、シリアル、動物性タンパク質及び植物性タンパク質、コーンシロップ、防腐剤及び抗酸化剤、ゲル化剤、酸性化剤、プレバイオティクス及びビタミン類、酵母抽出物、並びに嗜好性向上剤を計量し、すべての栄養素を含む粉末化した事前ブレンド物が得られるまで均質に混合した。
【0137】
b)グリセリン含有ブレンド物の調製。水性要素であるグリセリン及び水を、約60:40のグリセリン:水の比で、タンク内で一緒に混合した。
【0138】
c)脂肪ブレンド物の調製。植物性脂肪を、別の加熱タンク内で一緒に混合した(非水性成分)。
【0139】
d)生地を形成するための混合及び調理。乾燥混合ブレンド物、グリセリン含有ブレンド物、及び脂肪ブレンド物はすべて、それぞれ、51.8%w/wの乾燥混合物、37%w/wのグリセリン事前ブレンド物、及び3.2%w/wの脂肪ブレンド物の量で連続生地調理装置(Readingシステム)に供給するために使用した。混合中、90℃の低温殺菌温度に達するまで、調理用蒸気を8%w/wの量でReadingクッカーに注入した。得られた製品は、すべての成分がブレンドされ、一緒に溶融した、滑らかで均一な生地に対応していた。Readingシステムは連続モードで動作するため、調理が不十分な生地はプロセスのさらなる段階に移動することが許されず、ゴミ箱行きとなる。標準的な動作条件では、約250kg/時の速度での生地の製造が可能である。
【0140】
e)生地の冷却。成形する前に、生地を冷却した。冷却ステップは非常に重要である:成形に適した食感を有し、崩れないようにするのに十分な硬さであるが、小さい個々の金型に注入するのに十分な柔らかさである。冷却は連続したステンレス鋼ベルト上で行い、その下を冷水再循環システムで冷却した。
【0141】
f)冷却した生地の成形。十分に冷却した後、生地を、支持体の最終的な形状及び寸法に対応する小さい個々の金型にポンプ送給した。個々の小片を金型から排出し、梱包装置までベルトで搬送した。
【0142】
B.嗜好性支持体組成物
上記方法で調製した最終的な嗜好性支持体組成物の組成が以下の表2に示されている。
【0143】
【表2】
【0144】
実施例2:嗜好性支持体組成物の嗜好性試験
本実施例は、本開示に従う、実施例1に従って調製された嗜好性支持体組成物(製品A及び製品B)の2つの製剤間の嗜好性試験を提供する。2つの嗜好性支持体組成物間の選好性を評価した。試験される2つの嗜好性支持体組成物(製品A及び製品B)の組成が以下の表3に示されている。製品Aはタンパク質源として鶏肉を含み、製品Bはタンパク質源としてサケ肉を含んでいた。
【0145】
【表3】
【0146】
製品A(鶏肉):硬度値:0.33kg/凝集値:0.18(無次元量)
製品B(サケ肉):硬度値:0.24kg/凝集値:0.18(無次元量)。
【0147】
A.材料及び方法
評価は、31匹のネコからなるパネルで行い、動物には同時に2つのボウルを与えた。
【0148】
事前曝露
実際のアッセイの前及び3日間、ネコを食感に慣れさせるために、試験試料並びに陽性対照(米国市場からの嗜好性の高いおやつ)を、1日2回、交差設計で、単一方式でネコに与えた。その日の最初の曝露は、最初の湿潤食の後、2回目の湿潤食のできるだけ近くに行い、2回目の曝露は、2回目の湿潤食の後、乾燥食のできるだけ近くにネコに与えた。曝露時間は5分であった。事前曝露のルーチンが以下の表4に示されている。
【0149】
【表4】
【0150】
アッセイ
評価は、31匹のネコからなるパネルで行い、動物には同時に2つのボウルを与えた。交差設計を使用して、ボウルの位置が試験の結果にバイアスをかけないことを確実にした。すべての試験をケージバンク内で実施した。製品は、2回目の湿潤食の後、夕方の乾燥食のできるだけ近くにネコに与えた(したがって、1日1回の分配)。各ネコは、ボウルごとに5つの製品単位を受けた。曝露時間は10分であった。2日目に、ボウル分配を交差して分配を繰り返した。交差モデルが以下の表5に示されている。
【0151】
【表5】
【0152】
B.結果
結果は、95%の信頼区間で、最初のボウルが終了した時点で表される。結果が以下の表6に示されている。製品Aが製品Bよりも選好された。以下に提供するさらなる実施例のために製品Aを選択した。
【0153】
【表6】
【0154】
実施例3:消化耐性を評価するための1点試験法
本実施例は、本開示の嗜好性支持体組成物の消化耐性試験を提供する。
【0155】
A.材料及び方法
ネコの同じパネル(n=31)に対し、実施例1に従って製造した、実施例2の製品Aの消化耐性を測定するために、1点試験法を実施した。5日間の試験中、ネコは単一の製品試験のみを受け、他の試験は受けなかった。ネコは、ウエットフード及びドライフードの定期的な食餌を受けた。実施例3で試験した製品Aの組成が以下の表7に示されている。
【0156】
【表7】
【0157】
製品A:硬度:0.33kg/凝集性:0.18(無次元量)。
【0158】
最初の曝露は、最初の湿潤食の後、2回目の湿潤食のできるだけ近くにネコに与え、2回目の曝露は、2回目の湿潤食の後、乾燥食のできるだけ近くにネコに与えた等々であった。曝露時間は5分であった。製品はボウルで提供され、摂取しなかった場合は手で提供、又はケージの床に残した。
【0159】
毎日の終わりに、リターボックスの糞便スコアを収集した。糞便の質を1から5までの5段階で評価した。1は非常に乾いた糞便であり、5は非常に湿った柔らかい糞便である。最適スコアは2.5であった。
【0160】
B.結果
結果が以下の表8に示されている。部屋のリターボックスの糞便スコアは、最適なスコアに十分近いと見なされたため、消化耐性試験について検証した。
【0161】
【表8】
【0162】
実施例4:製品の受け入れを評価するための1点試験法
本実施例は、本開示の嗜好性支持体組成物の製品受け入れ試験を提供する。
【0163】
A.材料及び方法
ネコの同じパネル(n=31)に対し、実施例1に従って製造した、実施例2の製品Aの全体的な製品の受け入れを測定するために、1点試験法を実施した。受け入れは、内部にプラセボ薬物あり又はなしのいずれかで評価した。5日間の試験中、ネコは単一の製品試験のみを受け、他の試験は受けなかった。ネコは、ウエットフード及びドライフードの定期的な食餌を受けた。実施例4で試験した製品Aの組成が以下の表9に示されている。
【0164】
【表9】
【0165】
製品A:硬度値:0.33kg/凝集値:0.18(無次元量)。
【0166】
「プラセボなし」に対応する部分は、実施例3に詳述されている:糞便スコアを評価したが、製品の受容性も評価した。ネコの同じパネル(n=31)を使用して、2つ目の部分「プラセボあり」を実施した。内部にプラセボを使用する目的は、実際の使用条件下で薬物/薬を隠す能力を証明することであった。使用した薬物プラセボは、Torpac(登録商標)#5 0.13mlのゼラチンカプセルであった。「プラセボあり」の製品は、本明細書に記載されているように調製した:成形可能な嗜好性支持体を片手で扱った、すなわち、薬に触れた手は、薬を包んでその周りの塊を閉じるためには使用しなかった。
【0167】
最初の曝露は、最初の湿潤食の後、2回目の湿潤食のできるだけ近くにネコに与え、2回目の曝露は、2回目の湿潤食の後、乾燥食のできるだけ近くにネコに与えた等々であった。曝露時間は5分であった。製品はボウルで提供され、摂取しなかった場合は手で提供、又はケージの床に残した。最終的に、ネコに1日2回、5日間、すなわち、ネコ1匹あたり10回の曝露、合計で310回の曝露でこの製品を提供し、プラセボで全体を2回繰り返した。
【0168】
B.結果
パートI:プラセボなし
糞便スコアが記録された実施例3で示された試験中に、与えられた製品の全体的な受け入れについても記録した。結果が以下の表10に示されている。表10の結果は、95%の信頼区間レベルでClopper-Pearson(正確)試験を使用して後で分析した、310回の曝露に対する受け入れ率を示している。
【0169】
【表10】
【0170】
結論として、毎日2回、5日間与えた場合(プラセボなし)、材料及び方法のセクションで詳述した製品は、非常に高い信頼度(p=0.0001)で89.68%の平均受け入れを示した。
【0171】
パートII:プラセボあり
以下の結果は、以下の表11に示されている、95%の信頼区間レベルでClopper-Pearson(正確)試験を用いて後で分析された、プラセボを内部に包んだ製品の310回の曝露に対する受け入れ率を示している。
【0172】
【表11】
【0173】
結論として、内側に包まれているゼラチンカプセルのプラセボを用いて毎日2回、5日間与えた場合、材料及び方法のセクションで詳述した製品は、非常に高い信頼度(p=0.0001)で92.58%の平均受け入れを示した。
【0174】
すべての曝露を組み合わせた場合、すなわち内部にプラセボを含む場合と含まない場合の、95%信頼区間レベルでのClopper-Pearson(正確)試験を用いた全体的な平均受け入れの結果は、以下の表12の結果を示している。
【0175】
【表12】
【0176】
結論として、内側に包まれているゼラチンカプセルのプラセボを用いて毎日2回、5日間与えた場合(合計620回の曝露)、材料及び方法のセクションで詳述した製品は、非常に高い信頼度(p=0.0001)で91.13%の平均受け入れを示した。
【0177】
本明細書に開示される主題及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本明細書の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書にさまざまな変更、置換、及び修正を行うことができるものと理解されたい。さらには、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及びステップの特定の実施態様に制限されることは意図されていない。本開示の主題、プロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップの開示から、当業者が容易に認識するように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか又は実質的に同じ結果を達成する、既存のもの又は今後開発されるものは、本開示の主題に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップをその範囲内に含むことを意図している。
【0178】
あらゆる特許、特許出願、刊行物、製品説明、及びプロトコルについて、本出願全体を通して引用されており、そのすべての開示は、あらゆる目的のために参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物であって、
乾物基準で表された質量パーセントで、
(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;
(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び
(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質
を含み、
供給時に約20%~約35%の水分含量を有する、
嗜好性支持体組成物。
実施形態2
前記保湿可塑剤がグリセリンである、実施形態1に記載の組成物。
実施形態3
前記組成物が、約0.2kg~約1.0kgの硬度値、及び圧縮TPA試験において約0.1~約0.5の凝集値を有する、実施形態1又は2に記載の組成物。
実施形態4
前記組成物が、底端及び上端、約5mm~約10mmの高さ、約6mm~約12mmの前記底端の直径、並びに約5mm~約10mmの前記上端の直径を備えた、台形円筒形を有する、実施形態1から3のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態5
前記組成物が約0.5グラム~約2.0グラムの質量を有する、実施形態1から4のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態6
前記1つ以上のゲル化剤が、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キャロブガム、カラギーナン、又はそれらの組合せを含む、実施形態1から5のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態7
前記組成物が、乾物基準で約7.5質量%~約20質量%の量の脂肪をさらに含む、実施形態1から6のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態8
前記タンパク質が、鶏肉、家禽、魚、又はそれらの組合せを含む1つ以上のタンパク質源に由来する、実施形態1から7のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態9
i)乾物基準で約1質量%~約8質量%の酵母抽出物;
ii)乾物基準で約1質量%~約8質量%の1つ以上の嗜好性向上剤;及び
iii)乾物基準で約1質量%~約8質量%のコーンシロップ固形物
のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態1から8のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態10
前記組成物が機能性補助剤である、実施形態1から9のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態11
前記ネコ科動物がネコである、実施形態1から10のいずれか一つに記載の組成物。
実施形態12
キットであって、(i)実施形態1から11のいずれか一つに記載の嗜好性支持体組成物;及び、(ii)1つ以上の医薬品投与単位を含む、キット。
実施形態13
ネコ科動物の薬物治療を促進するための実施形態1から11のいずれか一つに記載の嗜好性支持体組成物の使用。
実施形態14
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための実施形態1から10のいずれか一つに記載の嗜好性支持体組成物の使用。
実施形態15
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための実施形態1から11のいずれか一つに記載の嗜好性支持体組成物の使用方法であって、
a)投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)前記嗜好性支持体組成物に前記1つ以上の医薬品を組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び
c)前記配合医薬品を前記ネコ科動物に提供するステップ
を含む、方法。
実施形態16
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物の使用方法であって、
a)投与する1つ以上の医薬品を選択するステップ;
b)前記嗜好性支持体に前記1つ以上の医薬品を組み込んで配合医薬品を提供するステップ;及び
c)前記配合医薬品を前記ネコ科動物に提供するステップ
を含み、前記嗜好性支持体組成物が、乾物基準で表された質量パーセントで、
(i)約20質量%~約40質量%の保湿可塑剤;
(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び
(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質
を含み、
前記嗜好性支持体組成物が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、
方法。
実施形態17
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与するための嗜好性支持体組成物を提供するステップを含む方法であって、前記嗜好性支持体組成物が、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含み、前記嗜好性支持体が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、方法。
実施形態18
1つ以上の医薬品をネコ科動物に投与する方法であって、乾物基準で表された質量パーセントで、(i)約20%~約40質量%の保湿可塑剤;(ii)約0.5質量%~約8質量%の1つ以上のゲル化剤;及び、(iii)約20質量%~約50質量%のタンパク質を含む嗜好性支持体組成物を提供するステップを含み、前記嗜好性支持体が供給時に約20%~約35%の範囲の水分含量を有する、方法。
実施形態19
前記ネコ科動物がネコである、実施形態15から18のいずれか一つに記載の方法。
実施形態20
実施形態1から10のいずれか一つに記載の嗜好性支持体組成物を調製する方法であって、
a)タンパク質を含む複数の乾燥成分のブレンド物を提供するステップ;
b)保湿可塑剤を含む水溶液を提供するステップ;
c)動物性及び/又は植物性起源に由来する複数の脂肪をベースとした成分を含む脂肪混合物を提供するステップ;
d)前記複数の乾燥成分のブレンド物、前記水溶液、及び前記脂肪混合物を混合するステップ、及び得られた混合物を少なくとも約80℃の温度に加熱して、調理された生地を提供するステップ;
e)前記調理された生地を冷却するステップ;及び
f)前記冷却された生地を成形して前記嗜好性支持体組成物を提供するステップ
を含む、方法。