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7403027採用支援システム、採用支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-13
(45)【発行日】2023-12-21
(54)【発明の名称】採用支援システム、採用支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20231214BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023184345
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】林 勝悟
(72)【発明者】
【氏名】原 龍昊
(72)【発明者】
【氏名】廣田 佳祐
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7350206(JP,B1)
【文献】特開2007-4504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採用支援システムであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、
取得ステップでは、求人票の情報を取得し、
情報生成ステップでは、前記求人票の内容と、参照情報とに基づいて、前記求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成し、ここで、前記参照情報は、前記求人票の内容と、前記求人票における前記アクションの発生有無又は発生数との相関関係を含み、前記アクションには、前記求人票に基づく求職者へのスカウト文書の送信、前記スカウト文書への前記求職者からの返信、及び前記求職者に対する求人成約の少なくとも2つが含まれ、
前記情報生成ステップでは、
前記期待値情報として、前記求人成約の確率である第1期待値情報、前記求職者からの返信の確率である第2期待値情報、及び前記スカウト文書の送信数の予測値である第3期待値情報の少なくとも2つを生成すると共に、
前記第1期待値情報、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報の少なくとも2つに基づいて前記求人票のスコアを算出する、採用支援システム。
【請求項2】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記求人成約の確率を生成する、採用支援システム。
【請求項3】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記求職者からの返信の確率を生成する、採用支援システム。
【請求項4】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記スカウト文書の送信数の予測値を生成する、採用支援システム。
【請求項5】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記情報生成ステップでは、
前記期待値情報として、前記第1期待値情報と、前記第2期待値情報と、前記第3期待値情報とを生成すると共に、
前記第1期待値情報、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報に基づいて前記スコアを算出する、採用支援システム。
【請求項6】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記情報生成ステップでは、
前記第1期待値情報、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報それぞれに重み付けをした値の平均値を前記スコアとして算出し、
前記第1期待値情報の重み付けは、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報の重み付けよりも小さい、採用支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記アクションには、前記求人票に対する求職者からの応募、及び前記応募を行った求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれる、採用支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記参照情報は、前記求人票を入力とし前記期待値情報を出力とすることが可能なように学習された期待値算出モデルであり、
前記情報生成ステップでは、前記求人票を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【請求項9】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記アクションには、前記求職者からの返信、及び前記求人成約の少なくとも1つが含まれ、
前記期待値算出モデルは、参照求人票のうち、前記参照求人票に基づいて送信された前記スカウト文書の数が予め定めた閾値よりも多い前記参照求人票と、当該参照求人票における前記返信又は前記求人成約の有無とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【請求項10】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記アクションには、前記求人成約が含まれ、
前記期待値算出モデルは、前記参照求人票のうち、前記参照求人票に基づいて送信された前記スカウト文書の数が予め定めた閾値よりも多い前記参照求人票と、前記スカウト文書の送信から予め定めた期間内での当該参照求人票における前記求人成約の有無とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【請求項11】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記アクションには、前記スカウト文書の送信が含まれ、
前記期待値算出モデルは、参照求人票のうち、データベースへの登録日又は求職者への公開日からの経過期間が予め定めた期間内である前記参照求人票と、当該参照求人票における前記スカウト文書の送信数とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【請求項12】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記期待値算出モデルは、前記求人票に含まれる文章のベクトルを含む特徴量を入力とし前記期待値情報を出力とするように学習され、
前記情報生成ステップでは、前記求人票に含まれる文章のベクトルを含む特徴量を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【請求項13】
請求項に記載の採用支援システムにおいて、
前記期待値算出モデルは、前記求人票に含まれる属性情報のベクトルを含む特徴量を入力とし前記期待値情報を出力とするように学習され、
前記情報生成ステップでは、前記求人票に含まれる属性情報のベクトルを含む特徴量を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【請求項14】
採用支援方法であって、
請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の採用支援システムが実行する各ステップを備える、採用支援方法。
【請求項15】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の採用支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採用支援システム、採用支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、予め用意された評価テーブルを参照して、求職者の履歴書の項目ごとにポイントを算出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-196433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
求人者が求職者を採用する際に作成する文書である求人票は、求職者が作成する履歴書とは、記載される項目が異なり、異なる観点での評価が必要である。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、求人票を評価できる採用支援システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、採用支援システムが提供される。この採用支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、求人票の情報を取得する。情報生成ステップでは、求人票の内容と、参照情報とに基づいて、求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成する。参照情報は、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係を含む。
【0007】
このような態様によれば、求人票に求められるアクションの発生率(期待値)を生成することができる。そのため、求人票を客観的に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】採用支援システム1を表す構成図である。
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】求人者端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバ装置10(制御部11)、及び求人者端末20(制御部21)によって実現される機能を示すブロック図である。
図5】求人票JPの一例を示す図である。
図6】第2ベクトルの取得手順の一例を示す説明図である。
図7】求人者端末20に表示される情報表示画面IDの一例を示す図である。
図8】採用支援システム1によって実行される情報処理(求人票の期待値情報生成処理)の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0014】
<採用支援システム1>
図1は、採用支援システム1を表す構成図である。採用支援システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、複数の求人者端末20とを備える。サーバ装置10と、求人者端末20とは、通信回線2を通じて通信可能に構成されている。サーバ装置10及び求人者端末20との接続は有線でも無線でもよい。
【0015】
採用支援システム1は、複数の求人者(第1求人者U1及び第2求人者U2)が利用する求人・求職システムの一部を構成する。採用支援システム1は、求人票の管理を主に行う。一実施形態において、採用支援システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
<サーバ装置10>
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、通信バス14とを備える。制御部11、記憶部12、及び通信部13は、サーバ装置10の内部において通信バス14を介して電気的に接続されている。
【0017】
<制御部11>
制御部11は、サーバ装置10に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部11は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置10に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能毎に複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0018】
<記憶部12>
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム、変数等を記憶している。
【0019】
<通信部13>
通信部13は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置10は、通信部13及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
サーバ装置10は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置10としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0021】
<求人者端末20>
図3は、求人者端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、求人者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、通信バス26とを備える。制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び出力部25は、求人者端末20の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。制御部21、記憶部22及び通信部23の説明は、サーバ装置10における各部の説明と同様のため省略する。なお、求人者端末20は、求人者の代わりに求職者とのやり取りを行う人材仲介業者が操作する端末であってもよい。
【0022】
<入力部24>
入力部24は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス26を介して制御部21に転送される。制御部21は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部24は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、出力部25と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部24がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部24に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部24としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、トラックパッド、QWERTYキーボード等が採用可能である。
【0023】
<出力部25>
出力部25は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。出力部25は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、出力部25は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施されうる。これらの表示デバイスは、求人者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0024】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11(採用支援システム1が備えるプロセッサ)に含まれる各機能部として実行されうる。
【0025】
図4は、サーバ装置10(制御部11)、及び求人者端末20(制御部21)によって実現される機能を示すブロック図である。
【0026】
図4Aに示すように、サーバ装置10(制御部11)は、基本表示制御部111と、取得部112と、情報生成部113と、情報表示制御部114と、人工知能部120とを備える。図4Bに示すように、求人者端末20(制御部21)は、表示部211と、操作取得部212とを備える。
【0027】
<基本表示制御部111>
基本表示制御部111は、種々の情報を求人者端末20に表示させるように構成される。例えば、基本表示制御部111は、求職者が作成した履歴書及び職務経歴書、求人者が作成した求人票及びスカウト文書等を、求人者端末20の表示部211に表示させる。
【0028】
求人者には、営利法人(例えば企業等)、非営利法人(例えば、協同組合、財団法人等)、公的法人(例えば地方公共団体等)等の組織が含まれる。求人者には、組織の代理人として、求職者と組織とを仲介する人材仲介業者も含まれる。人材仲介業者は、ヘッドハンター、エージェント等とも呼ばれる。
【0029】
<取得部112>
取得部112は、期待値情報(スコア)を生成する対象となる求人票(以下、「対象求人票」ともいう。)の情報を取得するように構成される。例えば、取得部112は、求人票データベースに登録されている求人票の一覧を求人者端末20に表示させ、求人者端末20から対象求人票の選択の入力を受け付ける。また、取得部112は、求人票データベースに登録されている全ての求人票、又はユーザによって指定された任意の求人票を対象求人票として、これらの対象求人票の情報を自動取得してもよい。
【0030】
図5は、求人票JPの一例を示す図である。求人票JPには、募集するポジション名、仕事内容・労働条件(年収、職種、業種、勤務地等)、応募資格、アピールポイント等の複数の項目が求人票の内容として含まれる。また、求人票JPには、求人のタイトルや見出し等、これら以外の他の項目が内容として含まれてもよい。また、求人者の情報(会社規模(売上、従業員数等)、業種等)も、求人票JPの内容として含まれてもよい。なお、求人票データベースは、採用支援システム1が提供する求人・求職サービスが利用するデータベースに限定されず、外部のサービスにおける、求人票が登録されたデータベースであってもよく、採用支援システム1以外の求人・求職サービスのデータベースであってもよい。また、対象求人票は、外部のサービスからインポートされた求人票であってもよく、インターネット上で公開されている求人票であってもよい。
【0031】
<情報生成部113>
情報生成部113は、対象求人票の内容と、参照情報とに基づいて、対象求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成するように構成される。「対象求人票に対するアクション」には、対象求人票に基づく求人者のアクションである求人者アクションと、対象求人票に対する求職者のアクションである求職者アクションとが含まれる。
【0032】
求人者アクションには、対象求人票を起点とする直接的なアクション(例えば、対象求人票に基づくスカウト文書の送信等)と、別のアクションを起点に発生する間接的なアクション(例えば、スカウト文書を送信し、求職者から返信があった求人票に対する内定のオファー、スカウト文書を送信した求人票の成約等)とが含まれる。求職者アクションにも、対象求人票を起点とする直接的なアクション(例えば、求人票に対する応募等)と、別のアクションを起点に発生する間接的なアクション(例えば、求人者によって送信されたスカウト文書への返信、求人者からの内定のオファーに対する承諾、求職者からの応募があった求人票の成約等)とが含まれる。
【0033】
具体的には、情報生成部113が期待値情報を生成する求人者アクションには、対象求人票に基づく求職者へのスカウト文書の送信、スカウト文書への求職者からの返信、及び求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれるとよい。これにより、求人者からのスカウト文書の送信を起点とする各アクションの期待値を取得することができる。
【0034】
また、情報生成部113が期待値情報を生成する求職者アクションには、求人票に対する求職者からの応募、及び応募を行った求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれるとよい。これにより、求職者の応募を起点とする各アクションの期待値を取得することができる。
【0035】
さらに、情報生成部113は、対象求人票に基づくアクションとして、採用面接(1次面接、2次面接等)の通過や、内定オファーに関する期待値情報を生成してもよい。
【0036】
参照情報は、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係を含む。参照情報は、例えば、記憶部12に記憶されている。参照情報は、対象求人票を入力として、対象求人票の期待値情報(アクションの予測発生率又は予測発生数)を出力可能なように構築された推定器である。
【0037】
参照情報は、対象求人票を入力とし期待値情報を出力することが可能なように学習された期待値算出モデルであるとよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を人工知能部120の期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させる。これにより、実際に使用された求人票である参照求人票の情報を学習したモデルに基づき、成約(求職者の採用の決定)等のアクションが出やすい求人票の傾向を学習しモデル化することで、過去の求人票における実際のアクションの発生有無又は発生数に基づいて、期待値情報を生成することが可能となり、アクションの発生率や発生数を予測することができるため、アクションの予測発生率又は予測発生数の精度が向上する。
【0038】
期待値算出モデルは、対象求人票におけるアクションの発生有無又は発生数を予測する学習モデルである。期待値算出モデルは、学習用の参照求人票と、それに対応するアクションの発生率又は発生数のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。「参照求人票」とは、求人票データベースに登録されている又は登録され、過去に実際に求人を行った又は現在も求人を行っている求人票である。この場合、学習によって算出されたり、チューニングされたりした期待値算出モデルのパラメータが、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係に当たる。
【0039】
期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票のアクションの発生率又は発生数を予測して出力する指示を含むプロンプトを期待値算出モデルに入力し、アクションの発生率又は発生数を期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、アクションの発生率又は発生数の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上のアクションの発生率又は発生数のサンプルとを挿入したプロンプトを期待値算出モデルに入力してもよい。
【0040】
情報生成部113は、期待値情報として、スカウト文書を経た求人成約の確率を生成するとよい。これにより、対象求人票における求人成約の確率を取得することができる。求人成約の確率は、パーセント等の確率で表されてもよく、スコアとして取得され、表されてもよい。求人成約とは、求人者からの内定オファーに対して求職者が承諾し、対象求人票について求職者の採用が決定することを意味し、求人決定と呼ばれてもよい。求人成約の確率は、成約しやすさ、成約期待の高さ、成約可能性、決定しやすさ、決定期待の高さ、又は決定可能性と言い換えられてもよい。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、対象求人票の成約の確率を予測する、第1期待値算出モデルを用いる。第1期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、求人成約の確率(つまり、求人成約というアクションの発生率)を出力とするように学習された学習モデルである。第1期待値算出モデルは、学習用の参照求人票と、それに対応する求人成約の有無のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。この場合、学習によって算出された第1期待値算出モデルのパラメータが、求人票の内容と、求人票における成約率との相関関係に当たる。また、求人成約の有無のデータは、例えば、成約有りを「1」、成約無しを「0」として二値化されたデータである。このようなデータを用いて学習された第1期待値算出モデルは、成約確率を0から1の間の範囲の数値で出力する。
【0041】
第1期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票の求人成約の確率を予測して出力する指示を含むプロンプトを第1期待値算出モデルに入力し、求人成約の確率を第1期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、求人成約の確率の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の求人成約の確率のサンプルとを挿入したプロンプトを第1期待値算出モデルに入力してもよい。第1期待値算出モデルが生成AIである場合、情報生成部113は、例えば、「成約しやすい」、「成約しにくい」といった求人成約の確率を表すテキストを第1期待値算出モデルに出力させてもよい。出力されるテキストは、閾値と求人成約の確率との関係(閾値を超えているか否か)で選択される。閾値は、例えば、求人成約の確率の平均値等の統計値に基づいて設定される。
【0042】
第1期待値算出モデルは、参照求人票のうち、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が予め定めた第1閾値よりも多い参照求人票と、当該参照求人票における求人成約の有無とを用いて学習されたものであってもよい。すなわち、第1期待値算出モデルは、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票と、この参照求人票における求人成約の有無のデータとを教師データとして機械学習されてもよい。また、第1期待値算出モデルは、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票と、この参照求人票における求人成約の有無のデータとを用いてファインチューニング等の学習がなされた大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。求人成約に至るためには、一定数のスカウト文書の送信が必要となる場合が多いところ、スカウト文書の送信数が少ない(又はスカウト文書が送信されていない)求人票は、求人成約の確率が低くなってしまう可能性がある。そのため、スカウト文書の送信数が少ない(又はスカウト文書が送信されていない)参照求人票が学習用のデータから除外することで、第1期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0043】
第1期待値算出モデルの学習に採用する参照求人票のスカウト文書の送信数の第1閾値は、例えば、5通、10通、20通等の任意の値である。すなわち、例えば、5通、10通、又は20通以上のスカウト文書が送信された参照求人票のみが、第1期待値算出モデルの学習に供される。
【0044】
また、第1期待値算出モデルは、スカウト文書の送信数に応じて、各参照求人票の学習における重み付けをしてもよい。例えば、第1期待値算出モデルは、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が多いほど大きくなる重み付けがされた参照求人票のデータと、当該参照求人票における求人成約の有無とを用いて学習されてもよい。
【0045】
さらに、第1期待値算出モデルは、参照求人票のうち、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が予め定めた第1閾値よりも多い参照求人票と、スカウト文書の送信から予め定めた期間内での当該参照求人票における求人成約の有無とを用いて学習されたものであってもよい。すなわち、第1期待値算出モデルの学習において、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票のうち、スカウト文書の送信から一定期間内に求人成約があったものに「求人成約有り」のラベルを付す。また、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票のうち、求人成約がないか、又は求人成約があっても一定期間を経過したあとの求人成約のみであったものに「求人成約無し」のラベルを付す。そして、これらのラベルが付された参照求人票を、それぞれ教師データとして用いる。スカウト文書の送信から求人成約までの期間に条件を設けない場合、時間の経過に伴い、成約に至る求人の数が増えていき、求人成約の確率が高くなりすぎる可能性がある。そのため、学習用のデータのラベリングにスカウト文書の送信から求人成約までの期間の条件を設けることで、求人成約が発生した参照求人票の数が増え続けることが抑制され、適切な学習データを用いることができる。また、比較的古い時期にデータベースに登録された参照求人票と、比較的新しい時期にデータベースに登録された参照求人票との成約に関する条件を揃えることができる。その結果、第1期待値算出モデルの予測精度が向上する。なお、第1期待値算出モデルは、参照求人票のうち、求人票の登録又は公開から予め定めた期間内での当該参照求人票における求人成約が有ったものを用いて学習されたものであってもよい。
【0046】
第1期待値算出モデルの学習用のデータに「求人成約有り」のラベルを付けるための求人成約の期間としては、例えば、スカウト文書の送信から6ヶ月、12か月、18か月以内等、任意の期間である。すなわち、スカウト文書の送信から、例えば、6ヶ月、12か月、又は18か月以内に求人成約がなされた参照求人票のみが、「求人成約有り」のラベル付きデータとして使用される。
【0047】
1つの参照求人票に対して、複数の成約が発生している場合、つまり、1つの参照求人票で複数の求職者を採用している場合、第1期待値算出モデルは、スカウト文書1通あたりの成約数(つまり、スカウト文書の送信数を求人成約の数で除することで正規化した値)を、当該参照求人票のスカウト文書の成約数として扱ってもよい。このように正規化されたスカウト文書の送信数は、上述した学習用のデータとしての採否、及び重み付けにおいて使用される。
【0048】
第1期待値算出モデルの学習に採用する参照求人票の条件として、さらに、データベースへの登録日又は求職者への公開日からの経過期間と、登録日又は公開日からスカウト文書の送信までの期間とが設けられるとよい。公開日とは、求人・求職サービスに掲載された日、又はインターネット上に公開された日である。例えば、第1期待値算出モデルは、上述のスカウト文書の送信数の条件を満たすことに加えて、現時点から18ヶ月前から6ヶ月前までに登録され、さらに、登録日又は公開日から6ヶ月以内にスカウト文書が送信された参照求人票のみを、学習用のデータとしてもよい。時期によって、求職者数と求人数とのバランスが異なり、成約しやすさが異なる可能性があるが、スカウト文書が送信された時期を限定することで、時期における求職者数と求人数のバランスの差異による成約のばらつきが抑制できるとともに、求人票の登録から成約までのリードタイムも考慮されるため、第1期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0049】
情報生成部113は、期待値情報として、スカウト文書に対する求職者からの返信の確率を生成してもよい。スカウト文書に対する求職者からの返信は、成約と比べ、求人票の登録から短い期間でアクションが発生するため、スカウト文書への返信の確率を取得することで、求人成約よりも直近の新しい情報を利用したスコアが得られる。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、対象求人票について、求職者からの返信の確率を予測する第2期待値算出モデルを用いる。第2期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、求職者からの返信の確率(つまり、スカウト文書への返信というアクションの発生率)を出力とするように学習された学習モデルである。つまり、第2期待値算出モデルは、参照求人票と、それに対応するスカウト文書への返信の有無のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。この場合、学習によって算出された第2期待値算出モデルのパラメータが、求人票の内容と、求職者からの返信の確率との相関関係に当たる。また、スカウト文書の返信の有無のデータは、例えば、返信有りを「1」、返信無しを「0」として二値化されたデータである。このようなデータを用いて学習された第2期待値算出モデルは、返信確率を0から1の間の範囲の数値で出力する。
【0050】
第2期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票のスカウト文書への返信の確率を予測して出力する指示を含むプロンプトを第2期待値算出モデルに入力し、スカウト文書への返信の確率を第2期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、スカウト文書への返信の確率の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上のスカウト文書への返信の確率のサンプルとを挿入したプロンプトを第2期待値算出モデルに入力してもよい。第2期待値算出モデルが生成AIである場合、情報生成部113は、例えば、「返信されやすい」、「返信されにくい」といった返信の確率を表すテキストを第2期待値算出モデルに出力させてもよい。出力されるテキストは、閾値と返信の確率との関係(閾値を超えているか否か)で選択される。閾値は、例えば、返信の確率の平均値等の統計値に基づいて設定される。
【0051】
第2期待値算出モデルは、参照求人票のうち、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が予め定めた第2閾値よりも多い参照求人票と、当該参照求人票におけるスカウト文書への返信の有無とを用いて学習されたものであってもよい。すなわち、第2期待値算出モデルは、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票と、この参照求人票におけるスカウト文書への返信の有無のデータとを教師データとして機械学習されてもよい。また、第2期待値算出モデルは、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票と、この参照求人票におけるスカウト文書への返信の有無のデータとを用いてファインチューニング等の学習がなされた大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。これにより、スカウト文書の送信数が少ない(又はスカウト文書が送信されていない)参照求人票が学習用のデータから除外されるため、第2期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0052】
第2期待値算出モデルの学習に採用する参照求人票のスカウト文書の送信数の第2閾値は、第1期待値算出モデルにおける第1閾値よりも小さい数(例えば5通)である。また、第2期待値算出モデルは、第1期待値算出モデルと同様に、スカウト文書の送信数に応じて、各参照求人票の学習における重み付けをしてもよい。例えば、第2期待値算出モデルは、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が多いほど大きくなる重み付けがされた参照求人票のデータと、当該参照求人票におけるスカウト文書への返信の有無とを用いて学習されてもよい。
【0053】
さらに、第2期待値算出モデルは、参照求人票のうち、参照求人票に基づいて送信されたスカウト文書の数が予め定めた閾値よりも多い参照求人票と、スカウト文書の送信から予め定めた期間内での当該参照求人票におけるスカウト文書への返信の有無とを用いて学習されたものであってもよい。すなわち、第2期待値算出モデルの学習において、スカウト文書が一定数以上送信された参照求人票のうち、スカウト文書の送信から一定期間内に返信があったものに「返信有り」のラベルを付し、返信がないか、又は返信があっても一定期間を経過したあとの返信のみであったものに「返信無し」のラベルを付して、それぞれ教師データとして用いる。このように学習用のデータのラベリングにスカウト文書の送信から返信までの期間の条件を設けることで、返信が発生した参照求人票の数が増え続けることが抑制されるため、第2期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0054】
第2期待値算出モデルの学習用のデータに「返信有り」のラベルを付けるための返信の期間としては、例えば、スカウト文書の送信から14日以内であり、第1期待値算出モデルの学習用のデータに「求人成約有り」のラベルを付けるための求人成約の期間(例えば6ヶ月以内)よりも短い。すなわち、スカウト文書の送信から14日以内に返信があった参照求人票のみが、「返信有り」のラベル付きデータとして使用される。
【0055】
第2期待値算出モデルの学習に採用する参照求人票の条件として、さらに、データベースへの登録日又は求職者への公開日からの経過期間と、登録日又は公開日からスカウト文書の送信までの期間とが設けてもよい。例えば、第2期待値算出モデルは、上述のスカウト文書の送信数を満たすことに加えて、現時点から12ヶ月前から14日前までに登録され、さらに、登録日又は公開日から1年以内にスカウト文書が送信された参照求人票のみを、学習用のデータとしてもよい。これにより、第1期待値算出モデルよりも直近の参照求人票を用いて確率を予測できるため、第2期待値算出モデルの精度が向上する。
【0056】
情報生成部113は、期待値情報として、スカウト文書の送信数の予測値を生成してもよい。求人票の内容に合う候補者数が少なく、求人者がスカウト文書を送信できる数が少ないと、求人成約の確率やスカウト文書への返信の確率が高い場合でも、人材の採用が難しい場合があるところ、スカウト文書の送信数の予測値を生成することで、対象求人票に基づいたスカウト文書の送信数の期待値をスコアとして取得することができる。その結果、スカウト文書の予測送信数に基づいた求人票の評価が可能となる。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、対象求人票について、スカウト文書の送信数を予測する第3期待値算出モデルを用いる。第3期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、スカウト文書の送信数の期待値(つまり、スカウト文書への送信というアクションの発生数)を出力とするように学習された学習モデルである。つまり、第2期待値算出モデルは、参照求人票と、それに対応するスカウト文書の送信数のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。この場合、学習によって算出された第3期待値算出モデルのパラメータが、求人票の内容と、スカウト文書の送信数との相関関係に当たる。
【0057】
第3期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票に基づいたスカウト文書の送信数を予測して出力する指示を含むプロンプトを第3期待値算出モデルに入力し、スカウト文書の送信数の期待値を第3期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、スカウト文書の送信数の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上のスカウト文書の送信数の期待値のサンプルとを挿入したプロンプトを第3期待値算出モデルに入力してもよい。第3期待値算出モデルが生成AIである場合、情報生成部113は、例えば、「送信しやすい」、「送信しにくい」といったスカウト文書の送信数の期待値を表すテキストを第3期待値算出モデルに出力させてもよい。出力されるテキストは、閾値と送信数の期待値との関係(閾値を超えているか否か)で選択される。閾値は、例えば、送信数の平均値等の統計値に基づいて設定される。
【0058】
第3期待値算出モデルは、参照求人票のうち、データベースへの登録日又は求職者への公開日からの経過期間が予め定めた期間内である参照求人票と、当該参照求人票におけるスカウト文書の送信数とを用いて学習されたものであってもよい。すなわち、第3期待値算出モデルは、登録日又は公開日から一定期間経過していない参照求人票(スカウト文書の送信数がゼロのものも含む)と、この参照求人票におけるスカウト文書の送信数のデータとを教師データとして機械学習されるとよい。また、第3期待値算出モデルは、登録日又は公開日から一定期間経過していない参照求人票と、この参照求人票におけるスカウト文書の送信数のデータとを用いてファインチューニング等の学習がなされた大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。これにより、求人票の登録時期における、求人と求職者との数のバランスの差異による、スカウト文書の送信数のばらつきが抑制できる。
【0059】
さらに、第3期待値算出モデルは、参照求人票と、当該参照求人票の登録日又は公開日から予め定めた期間内での当該参照求人票におけるスカウト文書の送信数とを用いて学習されたものであるとよい。すなわち、第3期待値算出モデルの学習において、参照求人票のうち、登録日又は公開日から一定期間内に送信されたスカウト文書の数を「スカウト文書の送信数」としてラベル付けし、教師データとして用いる。したがって、登録日又は公開日から一定期間を経過したあとに送信されたスカウト文書は、「スカウト文書の送信数」に含まれない。このように学習用のデータのラベリングに登録日又は公開日からスカウト文書の送信までの期間の条件を設けることで、各参照求人票におけるスカウト文書の送信数が増え続けることが抑制されるため、第3期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0060】
第3期待値算出モデルの学習用のデータにおいて「スカウト文書の送信数」としてカウントするためのスカウト文書の送信期間としては、例えば、参考求人票の登録日又は公開日から6ヶ月以内である。すなわち、参照求人票の登録日又は公開日から6ヶ月以内に送信されたスカウト文書のみが、「スカウト文書の送信数」としてカウントされる。
【0061】
情報生成部113は、期待値情報として、求人成約の確率である第1期待値情報と、求職者からの返信の確率である第2期待値情報と、スカウト文書の送信数の予測値である第3期待値情報とを生成すると共に、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報に基づいて求人票のスコアを算出するとよい。これにより、対象求人票に3つの期待値情報を総合した全体スコアを付けることができる。
【0062】
例えば、情報生成部113は、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報それぞれに重み付けをした値の平均値を求人票の全体スコアとして算出するとよい。また、第1期待値情報の重み付けは、第2期待値情報及び第3期待値情報の重み付けよりも小さいとよい。これにより、第1期待値情報(求人成約率)よりも鮮度が高く、かつ、求人成約との相関性も有する第2期待値情報(スカウト返信率)及び第3期待値情報(スカウト送信数)が重視された全体スコアが算出される。その結果、対象求人票に信頼性の高いスコアを付けることができる。また、情報生成部113は、重み付けによらず、他の方法にて、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報から全体スコアを算出してもよい。
【0063】
情報生成部113は、全体スコアを0から1までの値に正規化してもよい。さらに、情報生成部113は、正規化した全体スコアの分布に応じて、例えば「S」、「A」、「B」、「なし」等のラベルで対象求人票をランク付けしてもよい。例えば、「S」は、全体スコアの分布の上位xx%以上の全体スコアを有する対象求人票に付される。
【0064】
ランク付けに用いられる全体スコアの分布は、求人者が設定する対象求人票の評価基準に基づいて決定される。例えば、個人又は部署単位で扱う求人票を評価したい場合は、個人又は部署単位で扱っている求人票における全体スコアの分布を用いて、対象求人票がランク付けされる。また、例えば、組織で扱う求人票を評価したい場合は、同一組織内の求人票における全体スコアの分布を用いて、対象求人票がランク付けされる。さらに、例えば、組織が出している求人票の世の中全体や任意の業界内での評価を確認したい場合は、他の組織の求人票も含めた求人票全体における全体スコアの分布を用いて、対象求人票がランク付けされる。
【0065】
情報生成部113は、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報それぞれについて、例えば「高」、「低」等のレベルに分類した上で、第1期待値情報のレベルと、第2期待値情報のレベルと、第3期待値情報のレベルとを組合せた組合せスコアを生成してもよい。
【0066】
また、情報生成部113は、対象求人票を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報である全体スコア(例えば、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報それぞれに重み付けをした値の平均値)を出力させてもよい。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、統合期待値算出モデルを用いる。統合期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、全体スコアを出力とするように学習された学習モデルである。つまり、統合期待値算出モデルは、参照求人票と、それに対応する全体スコアのデータとを教師データとして学習した学習モデルである。統合期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票の全体スコアを算出して出力する指示を含むプロンプトを統合期待値算出モデルに入力し、全体スコアを統合期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、全体スコアの算出・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の全体スコアのサンプルとを挿入したプロンプトを統合期待値算出モデルに入力してもよい。統合期待値算出モデルが生成AIである場合、情報生成部113は、例えば、「成約されやすい」、「成約されにくい」といった成約の確率等を表すテキストを統合期待値算出モデルに出力させてもよい。
【0067】
情報生成部113は、期待値情報として、求職者からの応募数の予測値を生成してもよい。これにより、対象求人票に基づいた求職者からの応募数の期待値をスコアとして取得することができる。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、第4期待値算出モデルを用いる。第4期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、求職者からの応募数の期待値(つまり、求職者からの応募というアクションの発生数)を出力とするように学習された学習モデルである。つまり、第4期待値算出モデルは、参照求人票と、それに対応する求職者からの応募数のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。
【0068】
第4期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票に基づいた求職者からの応募数を予測して出力する指示を含むプロンプトを第4期待値算出モデルに入力し、求職者からの応募数の期待値を第4期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、求職者からの応募数の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の求職者からの応募数の期待値のサンプルとを挿入したプロンプトを第4期待値算出モデルに入力してもよい。第4期待値算出モデルが生成AIである場合、情報生成部113は、例えば、「応募されやすい」、「応募されにくい」といった応募数の期待値を表すテキストを第4期待値算出モデルに出力させてもよい。出力されるテキストは、閾値と応募数の期待値との関係(閾値を超えているか否か)で選択される。閾値は、例えば、応募数の平均値等の統計値に基づいて設定される。
【0069】
情報生成部113は、期待値情報として、求職者からの自主応募を経た求人成約の確率を生成するとよい。これにより、対象求人票における求人成約の確率をスコアとして取得することができる。この場合、情報生成部113は、期待値算出モデルとして、第5期待値算出モデルを用いる。第5期待値算出モデルは、対象求人票を入力とし、求人成約の確率(つまり、求人成約というアクションの発生率)を出力とするように学習された学習モデルである。つまり、第5期待値算出モデルは、参照求人票と、それに対応する求人成約の有無のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。
【0070】
第5期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、情報生成部113は、対象求人票を入力とし、対象求人票の求人成約の確率を予測して出力する指示を含むプロンプトを第5期待値算出モデルに入力し、求人成約の確率を第5期待値算出モデルに出力させる。また、情報生成部113は、求人成約の確率の予測・出力指示と対象求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の求人成約の確率のサンプルとを挿入したプロンプトを第5期待値算出モデルに入力してもよい。第5期待値算出モデルが生成AIである場合、第1期待値算出モデルと同様に、情報生成部113は、例えば、「成約しやすい」、「成約しにくい」といった求人成約の確率を表すテキストを第5期待値算出モデルに出力させてもよい。
【0071】
第5期待値算出モデルは、参照求人票のうち、参照求人票に対する求職者からの応募の数が予め定めた第3閾値よりも多い参照求人票と、当該参照求人票における求人成約の有無とを用いて学習されたものであるとよい。すなわち、第5期待値算出モデルは、一定数以上の応募があった参照求人票と、この参照求人票における求人成約の有無のデータとを教師データとして機械学習されるとよい。また、第5期待値算出モデルは、一定数以上の応募があった参照求人票と、この参照求人票における求人成約の有無のデータとを用いてファインチューニング等の学習がなされた大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。これにより、応募数が少ない(又は応募がない)参照求人票が学習用のデータから除外されるため、第5期待値算出モデルの予測精度が向上する。
【0072】
第5期待値算出モデルの学習に採用する参照求人票の応募数の第3閾値は、例えば100件である。すなわち、100件以上の応募があった参照求人票のみが、第5期待値算出モデルの学習に供される。
【0073】
期待値算出モデルへの入力としては、具体的には、求人票の特徴量が使用される。求人票の特徴量は、求人票のフォーマットによらず、求人票に記載されている内容から導かれるデータである。特徴量としては、例えば、対象求人票の内容を、その特徴を表現するベクトルに変換した特徴ベクトルが使用される。ここで、1つの対象求人票から複数の特徴ベクトルが取得されてもよく、複数の特徴ベクトルが期待値算出モデルへ入力される特徴量として使用されてもよい。なお、求人票の特徴量は、ベクトル化以外の手法によって抽出されてもよい。
【0074】
具体的には、情報生成部113は、求人票に含まれる文章のベクトル化により得られる第1ベクトルを含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させるとよい。これにより、求人票のフォーマット(項目の種類、並び順等)や、表記揺れ等の影響を排除し、求人票に含まれる文章等のテキスト情報に基づく期待値情報を出力させることができる。そのため、期待値情報の精度が高められる。
【0075】
また、情報生成部113は、求人票に含まれる属性情報のベクトル化により得られる第2ベクトルを含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させるとよい。これにより、求人票に含まれるカテゴリ情報(年収、職種、業種、勤務地等)に基づく期待値情報の精度が高められる。
【0076】
さらに、情報生成部113は、第1ベクトルと第2ベクトルとの双方を含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させてもよい。
【0077】
期待値算出モデルは、求人票に含まれる文章のベクトル化により得られる第1ベクトル及び求人票に含まれる属性情報のベクトル化により得られる第2ベクトルの少なくとも一方(好ましくは両方)を含む特徴量を入力とし期待値情報を出力とするように学習される。
【0078】
情報生成部113は、例えば、以下の手順で求人票に含まれる文章を第1ベクトルに変換する。まず、情報生成部113は、求人票データに含まれるテキストデータを形態素解析し、文章を単語単位で分割する。さらに、分割した単語のフィルタリングによって、ストップワード(助詞、助動詞等の機能語)を除去するとともに、名詞だけを抽出する。ストップワードは、例えば、辞書による定義、出現頻度等に基づいて判定される。次に、情報生成部113は、抽出した名詞に対し、単語の正規化(表記揺れの吸収)を行う。単語の正規化には、文字種の統一、数字の置き換え、辞書を用いた単語の統一等の手順が含まれる。文字種の統一は、大文字の小文字への統一、半角カナの全角カナへの統一等である。数字の置き換えは、単語に含まれる数字の、数字を表す代表記号(例えば「0」)への置き換えである。
【0079】
その後、情報生成部113は、求人票の文章及び上述の処理を行った単語を用いて、TF-IDF法等の任意のベクトル化の手法により、第1ベクトルを取得する。
【0080】
TF-IDF法は、文章中の単語の出現頻度を用いて重要度を数値化する手法で、情報生成部113は、求人票の文章に含まれる単語それぞれの、当該求人票における出現回数を算出する。出現回数の算出は、例えば、Bag of Words等の文章分析モデルによって行われる。次に、情報生成部113は、1つの求人票における単語の出現回数を単語の出現頻度(tf:term frequency)に変換し、さらに、各求人票における単語の出現頻度(tf)に基づいて、データを取得した求人票全体において、各単語の出現頻度の希少度である逆文書頻度(idf:inverse document frequency)を求める。最後に、情報生成部113は、出現頻度(tf)と逆文書頻度(idf:inverse document frequency)とから、各求人票における各単語の重要度(tf-idf)を算出し、各単語の重要度を成分とする第1ベクトルを生成する。第1ベクトルの次元は、重要度が算出される単語の数である。
【0081】
なお、各単語の数値化には、上述のTF-IDF法以外に、LSI法、LDA法を用いてもよい。さらに、情報生成部113は、Word2vec、BERT等の単語の分散表現に基づくベクトル化を行うモデルを用いて求人票の文章から第1ベクトルを生成してもよい。なお、TF-IDF法は、キーワード処理に強く、処理が軽いという利点がある。求人票では、出現するキーワードに特徴があるため、TF-IDF法の使用が好ましい。また、TF-IDF法では、例えば、求人成約の有無にかかわらず、多数の求人に出てくる単語(「会社」、「部署」等)の重みが小さくなるため、好適に求人票の特徴量を決定できる。
【0082】
情報生成部113は、例えば、以下の手順で求人票に含まれる属性情報を第2ベクトルに変換する。情報生成部113は、属性情報である数値データ又はカテゴリカル(質的)データを、例えば、One-Hotエンコーディング等の手法によって、ベクトルに変換する。One-Hotエンコーディングでは、情報生成部113は、属性情報である数値データ又はカテゴリカル(質的)データを、各成分が0又は1であるOne-Hotベクトルに変換する。情報生成部113は、各属性情報のOne-Hotベクトルを合成することで、第2ベクトルを生成する。「属性情報」は、例えば、性別、年齢、年収、業種等、所定のカテゴリや数値から選択されることにより入力される情報である。
【0083】
図6は、第2ベクトルの取得手順の一例を示す説明図である。例えば図6Aに示すように、情報生成部113は、左側の表に示す各求人票の業種を、右側の表に示すOne-Hotベクトルにそれぞれ変換する。図6AのOne-Hotベクトルでは、各成分に割り当てられた業種に該当する場合は、その成分が「1」、該当しない場合は、その成分が「0」となる。求人票の業種が、One-Hotベクトルの成分の複数の業種に該当する場合は、複数の成分が「1」となる。また、例えば図6Bに示すように、情報生成部113は、左側の表に示す各求人票の年収を、右側の表に示すOne-Hotベクトルにそれぞれ変換する。図6BのOne-Hotベクトルでは、年収を一定区間で複数の年収帯に分割し、各成分に割り当てられた年収帯に該当する場合は、その成分が「1」、該当しない場合は、その成分が「0」となる。求人票の年収が、One-Hotベクトルの成分の複数の年収帯に含まれる場合は、複数の成分が「1」となる。
【0084】
情報生成部113は、大規模言語モデルを含む生成AIであるベクトル化モデルを用いて求人票をベクトル化してもよい。この場合、情報生成部113は、求人票を入力とし、求人票をベクトル化して出力する指示を含むプロンプトをベクトル化モデルに入力し、第1ベクトル及び/又は第2ベクトルをベクトル化モデルに出力させる。また、情報生成部113は、求人票のベクトル化・出力指示と求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上の第1ベクトル及び/又は第2ベクトルのサンプルとを挿入したプロンプトをベクトル化モデルに入力してもよい。
【0085】
<情報表示制御部114>
情報表示制御部114は、情報生成部113が生成した期待値情報を求人者端末20等に表示させるように構成される。情報表示制御部114は、例えば、各期待値(スコア)の高い求人票を求人者端末20に提示する。図7は、求人者端末20に表示される情報表示画面IDの一例を示す図である。情報表示画面IDでは、決定期待値(求人成約率の予測値)の高い求人票のID(登録番号)と、募集ポジションと、これらの求人票に対する特典の内容とが表示される。特典としては、例えば、スカウト文書の送信手数料を一定回数まで無料とする又は割り引く等のキャンペーンが挙げられる。これにより、成約確率の高い求人票におけるスカウト文書の送信を促進させることができ、結果としてユーザの成約数を高めることができる。
【0086】
情報表示制御部114は、情報生成部113が生成した求人票のスコア又はランクを求人票と共に求人者端末20、又は求職者の端末に表示させてもよい。また、情報表示制御部114は、スコア順又はランク順に求人票をソートしてリスト表示したり、スコアの低い求人票に対して内容修正の示唆を提示したりしてもよい。
【0087】
さらに、情報表示制御部114は、採用支援システム1が提供する求人・求職サービスに登録していない見込みユーザ(求人者又は求職者)の端末に求人票のスコア又はランクを表示させてもよい。これにより、見込みユーザの当該求人・求職サービスへの登録を促すことができる。
【0088】
<人工知能部120>
人工知能部120は、各機能部から入力を受け付け、指示された出力を返すように構成されている。なお、サーバ装置10が各機能部において使用する人工知能は、共通のものであってもよいし、機能部毎に個別に用意されたものであってもよい。
【0089】
人工知能部120は、GPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3を含む)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)等を含むトランスフォーマ(Transformer)や再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))等の言語モデル等を備えるAI(Artificial Intelligence)であって、生成AIを含んでもよい。
【0090】
言語モデルは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルの一例である。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)等が挙げられる。人工知能部120は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0091】
人工知能部120は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを有してもよい。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0092】
人工知能部120は、人工知能として、膨大なデータを学習した大規模言語モデル(Large Language Models(LLM))のような汎用的な自然言語処理の学習モデルであってもよい。このような汎用的な学習モデルは、One-shot LearningやFew-shot Learning等により、ファインチューニングなしで様々なタスクに対応可能な言語モデルを含む。また、汎用的な学習モデルは、Zero-shot Learningによっても、様々なタスクに対応可能に構成されてもよい。制御部11の各機能部において用いられる人工知能は、それぞれ別個の学習モデルであってもよいし、共通した汎用的な学習モデルであってもよい。
【0093】
人工知能部120に含まれる学習モデルは、追加の学習を行うことが可能である。例えば、人工知能部120は、新たな参照求人票の登録、及び参照求人票に対するアクションが発生する都度、これらを新たな教師データとして、追加の学習を行ってファインチューニングされてもよい。これにより、学習モデルから出力される期待値情報の精度が向上する。
【0094】
<表示部>
求人者端末20の表示部211は、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す画面を表示する。
【0095】
<操作取得部>
求人者端末20の操作取得部212は、求人者端末20を利用するユーザ(求人者)による操作を受け付ける。
【0096】
3.情報処理方法
本節では、サーバ装置10の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、サーバ装置10の各部が、各ステップとしてコンピュータにより実行される。
【0097】
具体的には、この情報処理方法は、取得ステップと、情報生成ステップと、情報表示ステップとを備える。取得ステップでは、対象求人票の情報を取得する。情報生成ステップでは、対象求人票の内容と、参照情報とに基づいて、対象求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成する。情報表示ステップでは、情報生成ステップで生成した期待値情報を表示させる。
【0098】
図8は、採用支援システム1によって実行される情報処理(求人票の期待値情報生成処理)の流れを示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0099】
求人票の期待値情報生成処理は、求人者による、対象求人票の選択から開始される。求人者は、求人者端末20において、期待値情報を生成する対象求人票をサーバ装置10によって提示された一覧から選択する(アクティビティA101)。なお、サーバ装置10が自動で対象求人票を選択する場合は、求人者による対象求人票の選択(A101)は不要である。
【0100】
サーバ装置10は、求人票データベースから、対象求人票の情報を取得する(取得ステップ、アクティビティA102)。続いて、サーバ装置10は、対象求人票の内容と、参照情報(例えば期待値算出モデル)とを用いて、期待値情報を生成する(情報生成ステップ、アクティビティA103)。
【0101】
サーバ装置10は、生成した期待値情報を求人者端末20に出力する(情報表示ステップ、アクティビティA104)。これにより、求人者端末20に対象求人票の期待値情報が表示される(アクティビティA105)。
【0102】
4.作用
本実施形態の作用をまとめると、次の通りとなる。すなわち、求人票の内容と、求人票に対するアクションの発生有無との相関関係とを用いて、求人票に求められるアクションの発生率(期待値)を生成することができる。そのため、求人票を客観的に評価できる。さらに、主観や属人性が排除された、世の中の実際のデータを踏まえた客観的なデータをもって、スカウト送信等のアクションが発生する求人の優先度付けができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0104】
5.その他
上記実施形態では、サーバ装置10が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。特に、人工知能部120は、サーバ装置10の外部構成であってもよい。その場合、外部構成である人工知能部120は、サーバ装置10の各機能部から入力を受け付け、指示された出力をサーバ装置10に返すように構成される。
【0105】
情報生成部113が使用する参照情報は、必ずしも学習されたモデルでなくてもよい。例えば、参照情報は、対象求人票の内容から抽出される特徴量と、アクションの発生有無又は発生数(期待値情報)との相関関係が記述された、テーブル、関数、単純アルゴリズム等であってもよい。これらの参照情報は、例えば、参照求人票のデータに基づいた統計学的手法によって構築される。すなわち、参照求人票と、参照求人票に対する実際のアクションの発生有無又は発生数(期待値情報)とから算出されるそれらの相関関係を参照情報とし、対象求人票の期待値情報の予測に使用してもよい。
【0106】
本実施形態の態様は、採用支援システム1に限定されず、情報処理方法であっても、プログラムであってもよい。採用支援方法は、採用支援システム1が実行する各ステップを備える。プログラムは、コンピュータに、採用支援システム1の各ステップを実行させる。
【0107】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0108】
(1)採用支援システムであって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、取得ステップでは、求人票の情報を取得し、情報生成ステップでは、前記求人票の内容と、参照情報とに基づいて、前記求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成し、ここで、前記参照情報は、前記求人票の内容と、前記求人票における前記アクションの発生有無又は発生数との相関関係を含む、採用支援システム。
【0109】
(2)上記(1)に記載の採用支援システムにおいて、前記アクションには、前記求人票に基づく求職者へのスカウト文書の送信、前記スカウト文書への前記求職者からの返信、及び前記求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれる、採用支援システム。
【0110】
(3)上記(2)に記載の採用支援システムにおいて、前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記求人成約の確率を生成する、採用支援システム。
【0111】
(4)上記(2)又は(3)に記載の採用支援システムにおいて、前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記求職者からの返信の確率を生成する、採用支援システム。
【0112】
(5)上記(2)から(4)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記スカウト文書の送信数の予測値を生成する、採用支援システム。
【0113】
(6)上記(2)に記載の採用支援システムにおいて、前記情報生成ステップでは、前記期待値情報として、前記求人成約の確率である第1期待値情報と、前記求職者からの返信の確率である第2期待値情報と、前記スカウト文書の送信数の予測値である第3期待値情報とを生成すると共に、前記第1期待値情報、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報に基づいて前記求人票のスコアを算出する、採用支援システム。
【0114】
(7)上記(6)に記載の採用支援システムにおいて、前記情報生成ステップでは、前記第1期待値情報、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報それぞれに重み付けをした値の平均値を前記スコアとして算出し、前記第1期待値情報の重み付けは、前記第2期待値情報及び前記第3期待値情報の重み付けよりも小さい、採用支援システム。
【0115】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記アクションには、前記求人票に対する求職者からの応募、及び前記応募を行った前記求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれる、採用支援システム。
【0116】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記参照情報は、前記求人票を入力とし前記期待値情報を出力とすることが可能なように学習された期待値算出モデルであり、前記情報生成ステップでは、前記求人票を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【0117】
(10)上記(9)に記載の採用支援システムにおいて、前記アクションには、前記求人票に基づく求職者へのスカウト文書への前記求職者からの返信、及び前記求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれ、前記期待値算出モデルは、参照求人票のうち、前記参照求人票に基づいて送信された前記スカウト文書の数が予め定めた閾値よりも多い前記参照求人票と、当該参照求人票における前記返信又は前記求人成約の有無とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【0118】
(11)上記(10)に記載の採用支援システムにおいて、前記アクションには、前記求人成約が含まれ、前記期待値算出モデルは、前記参照求人票のうち、前記参照求人票に基づいて送信された前記スカウト文書の数が予め定めた閾値よりも多い前記参照求人票と、前記スカウト文書の送信から予め定めた期間内での当該参照求人票における前記求人成約の有無とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【0119】
(12)上記(9)から(11)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記アクションには、前記求人票に基づく求職者へのスカウト文書の送信が含まれ、前記期待値算出モデルは、参照求人票のうち、データベースへの登録日又は求職者への公開日からの経過期間が予め定めた期間内である前記参照求人票と、当該参照求人票における前記スカウト文書の送信数とを用いて学習されたものである、採用支援システム。
【0120】
(13)上記(9)から(12)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記期待値算出モデルは、前記求人票に含まれる文章のベクトルを含む特徴量を入力とし前記期待値情報を出力とするように学習され、前記情報生成ステップでは、前記求人票に含まれる文章のベクトルを含む特徴量を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【0121】
(14)上記(9)から(13)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記期待値算出モデルは、前記求人票に含まれる属性情報のベクトルを含む特徴量を入力とし前記期待値情報を出力とするように学習され、前記情報生成ステップでは、前記求人票に含まれる属性情報のベクトルを含む特徴量を前記期待値算出モデルに入力し、前記期待値算出モデルに前記期待値情報を出力させる、採用支援システム。
【0122】
(15)採用支援方法であって、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の採用支援システムが実行する各ステップを備える、採用支援方法。
【0123】
(16)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の採用支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0124】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0125】
1 :採用支援システム
2 :通信回線
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :通信バス
20 :求人者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :出力部
26 :通信バス
111 :基本表示制御部
112 :取得部
113 :情報生成部
114 :情報表示制御部
120 :人工知能部
211 :表示部
212 :操作取得部
【要約】
【課題】求人票を評価できる採用支援システム等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、採用支援システムが提供される。この採用支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、求人票の情報を取得する。情報生成ステップでは、求人票の内容と、参照情報とに基づいて、求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値情報を生成する。参照情報は、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8