(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】部品供給システムおよび部品実装システムならびに部品供給方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
H05K13/02 A
(21)【出願番号】P 2019233788
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】舟塚 誠
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-349280(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080500(WO,A1)
【文献】特開平03-133808(JP,A)
【文献】特開2003-060399(JP,A)
【文献】特開2003-142885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を載せ置くトレイを保持するパレットを収納する
複数のパレット収納部を有し、前記電子部品を実装対象に実装する電子部品実装装置に対して前記電子部品を供給する部品供給部と、
前記複数のパレット収納部に収納されている前記パレットの情報を取得するパレット情報取得部と、
取得された前記パレットの情報に基づいて、前記パレットの収納状態の異常の有無を判断する判断部と、
前記判断部において異常が検出された場合に、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記複数のパレット収納部に収納される前記パレットが正しい配置となるように前記パレットを前記複数のパレット収納部間で移動させるパレット移動部と、
前記パレット移動部を用いて異常の原因となったパレットを移動することで異常を解消できない場合に通知を発する第2通知部と、を備える、部品供給システム。
【請求項2】
前記部品供給部についての所定の状態変化を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記パレットの収納状態に関する情報を通知する第1通知部と、を更に備える、請求項1に記載の部品供給システム。
【請求項3】
前記部品供給部は、前記パレット収納部が形成された筐体と、前記筐体内部の前記パレット収納部への外部からのアクセスを可能とする扉を有する本体部を更に備え、
前記検出部は、前記状態変化として前記扉が開く動作を検出する、請求項
2に記載の部品供給システム。
【請求項4】
前記検出部は、前記状態変化として前記パレット収納部にパレットが収納される動作と、前記パレット収納部からパレットが取り出される動作とのいずれか一方、または、両方を検出する、請求項
2または
3に記載の部品供給システム。
【請求項5】
前記判断部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記パレットの収納状態の異常の有無を判断
し、
前記第1通知部は、前記パレットの収納状態に関する情報として、前記パレットの収納状態の異常の有無を通知する、請求項
2から
4のいずれかに記載の部品供給システム。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれかに記載の部品供給システムから供給される電子部品を保持して実装対象に装着する部品装着部を備える部品実装システム。
【請求項7】
電子部品を載せ置くトレイを保持するパレットを収納する
複数のパレット収納部を有し、前記電子部品を実装対象に実装する電子部品実装装置に対して前記電子部品を供給する部品供給部を用いる部品供給方法であって、
前記複数のパレット収納部に収納されている前記パレットの情報を取得し、
取得された前記パレットの情報に基づいて、前記パレットの収納状態の異常の有無を判断し、
異常が検出された場合に、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記複数のパレット収納部に収納される前記パレットが正しい配置となるように前記パレットを前記複数のパレット収納部間で移動させ、
前記パレット移動部を用いて異常の原因となったパレットを移動することで異常を解消できない場合に通知を発する、部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイにより電子部品を供給する部品供給システムおよび部品供給システムから供給される電子部品を基板に装着する部品実装システムならびに部品供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置に対して電子部品を供給する装置として、電子部品が格納されたトレイを保持するパレットをパレット収納部から取り出して電子部品実装装置の実装ヘッドによる部品取り出し位置に移動させるトレイフィーダが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、部品切れのパレットが発生した場合に、オペレータが部品切れのパレットと部品切れとなった電子部品を搭載する交換用パレットとを入れ替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子部品実装装置では、トレイフィーダから供給される電子部品を実装ヘッドが正常に取り出せなかったり、トレイに格納されている電子部品の向きが間違ったりしている場合に、生産を一時停止するエラーが発生することがある。このエラーが発生すると、オペレータはエラーの原因となったパレットをトレイフィーダから取り出して、状況を確認してから生産を再開させるエラー対応処置を実行する。その際、パレットを正しくないパレット収納部に戻したり、間違ったパレットを戻したりする作業ミスが発生することがある。しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、これらの作業ミスがあってもオペレータが生産再開操作を行うと、誤った状態で生産が再開されてしまうという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、トレイフィーダにおいて正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる部品供給システムおよび部品実装システムならびに部品供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品供給システムは、電子部品を載せ置くトレイを保持するパレットを収納する複数のパレット収納部を有し、前記電子部品を実装対象に実装する電子部品実装装置に対して前記電子部品を供給する部品供給部と、前記複数のパレット収納部に収納されている前記パレットの情報を取得するパレット情報取得部と、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記パレットの収納状態の異常の有無を判断する判断部と、前記判断部において異常が検出された場合に、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記複数のパレット収納部に収納される前記パレットが正しい配置となるように前記パレットを前記複数のパレット収納部間で移動させるパレット移動部と、前記パレット移動部を用いて異常の原因となったパレットを移動することで異常を解消できない場合に通知を発する第2通知部と、を備える。
【0007】
本発明の部品実装システムは、請求項1から5のいずれかに記載の部品供給システムから供給される電子部品を保持して実装対象に装着する部品装着部を備える。
【0008】
本発明の部品供給方法は、電子部品を載せ置くトレイを保持するパレットを収納する複数のパレット収納部を有し、前記電子部品を実装対象に実装する電子部品実装装置に対して前記電子部品を供給する部品供給部を用いる部品供給方法であって、前記複数のパレット収納部に収納されている前記パレットの情報を取得し、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記パレットの収納状態の異常の有無を判断し、異常が検出された場合に、取得された前記パレットの情報に基づいて、前記複数のパレット収納部に収納される前記パレットが正しい配置となるように前記パレットを前記複数のパレット収納部間で移動させ、前記パレット移動部を用いて異常の原因となったパレットを移動することで異常を解消できない場合に通知を発する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トレイフィーダにおいて正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の構成を示す平面図
【
図2】本発明の一実施の形態のトレイフィーダの構成を示す側面図
【
図3】本発明の一実施の形態のトレイフィーダの構成を示す正面図
【
図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図5】本発明の一実施の形態のトレイフィーダで使用されるパレット配置データの一例を示す図
【
図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置のタッチパネルに表示されたトレイフィーダ状態通知画面の一例を示す図
【
図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置のタッチパネルに表示されたトレイフィーダ状態通知画面の一例を示す図
【
図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置のタッチパネルに表示されたトレイフィーダ状態通知画面の一例を示す図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品供給方法のフロー図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品供給方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、電子部品実装装置、トレイフィーダの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図2における上下方向)が示される。Z方向は、電子部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0012】
まず
図1を参照して、電子部品実装装置1の構成を説明する。
図1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。
【0013】
基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給手段設置部4が設置されている。両方の部品供給手段設置部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、電子部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給手段設置部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが電子部品をピックアップする部品取り出し位置に電子部品を供給する。また、一方の部品供給手段設置部4には、電子部品Dを整列して載せ置くトレイ6を保持するパレット7を部品取り出し位置に供給するトレイフィーダ8が装着されている。
【0014】
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9が配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、実装ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド11は、下端に電子部品Dを真空吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0015】
図1において、Y軸テーブル9およびビーム10は、実装ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構を構成する。ヘッド移動機構および実装ヘッド11は、部品供給手段設置部4に装着されているテープフィーダ5およびトレイフィーダ8の部品取り出し位置に供給される電子部品Dを実装ヘッド11によってピックアップし、基板搬送機構2に保持された実装対象である基板3の実装位置に移載する部品装着部12である。
【0016】
図1において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して実装ヘッド11とともに一体的に移動するヘッドカメラ13が装着されている。実装ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ13は基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像する。
【0017】
部品供給手段設置部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が設置されている。部品認識カメラ14は、部品供給手段設置部4から電子部品Dを取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、実装ヘッド11に保持された電子部品Dを下方から撮像する。実装ヘッド11による電子部品Dの基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ13による基板3の認識結果と部品認識カメラ14による電子部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0018】
図1において、電子部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や電子部品実装装置1の操作を行う。
【0019】
次に
図2、
図3を参照して、トレイフィーダ8の詳細について説明する。ベース部20の上面には、本体部21が設けられている。本体部21は、パレット7を収納する複数のパレット収納部22(ここでは7段。)が上下多段に形成された筐体23と、筐体23の前側に配置された扉24を有している。
図2は扉24を閉めた状態を示しており、
図3は扉24を開けた状態を示している。扉24を開けることで、筐体23内部のパレット収納部22への外部からのアクセスが可能となる。筐体23には、扉24の開閉を検出するマイクロスイッチなどの扉開閉センサ25が設置されている。
【0020】
各パレット収納部22には、トレイ6を上面に保持するパレット7が収納される。各パレット収納部22には、パレット7の収納位置を特定するための収納部番号が設定されている。本体部21の後側(電子部品実装装置1側)には、パレット保持部26およびパレット保持部26を昇降させる保持部昇降機構27が設けられている。保持部昇降機構27は、パレット保持部26を昇降させて各パレット収納部22の高さ位置に位置させる。
【0021】
パレット保持部26は、パレット収納部22の高さ位置に位置する状態で、パレット収納部22からパレット7を引き出して保持し、または、保持するパレット7をパレット収納部22に収納させる。また、保持部昇降機構27は、パレット7を保持するパレット保持部26を昇降させて、実装ヘッド11によってトレイ6に格納された電子部品Dが取り出される部品取り出し位置に位置させる。
【0022】
図2において、パレット収納部22に収納された状態で電子部品実装装置1側になるパレット7の後側には、バーコード、2次元コード、RFIDなどのパレット7を特定する情報が記録されたパレットマーク7aが付着されている。パレット保持部26の前側には、パレットマーク7aに記録された情報を読み出すバーコードリーダやRFIDリーダなどのリーダ28が設置されている。パレット収納部22にパレット7を収納した状態で保持部昇降機構27によってパレット保持部26を上下に移動させることで、リーダ28によってパレットマーク7aに記録された情報を取得することができる。すなわち、リーダ28は、複数のパレット収納部22に収納されているパレット7の情報を取得するパレット情報取得部である。
【0023】
トレイフィーダ8におけるパレット7の移動は、トレイフィーダ8が備えるフィーダ制御装置29によって制御される。フィーダ制御装置29は、複数のパレット収納部22に収納されているパレット7を所定の配置に整列させる場合は、パレット保持部26と保持部昇降機構27を制御して、所定の収納部番号のパレット収納部22からパレット7を取り出して、別の収納部番号のパレット収納部22に移動させる動作を繰り返す。このように、パレット保持部26と保持部昇降機構27は、複数のパレット収納部22に収納されるパレット7を複数のパレット収納部22間で移動させるパレット移動部30を構成する。
【0024】
図3において、各パレット収納部22には、収納されているパレット7の有無を検出するレーザ透過センサなどのパレット検出センサ31が配置されている。扉開閉センサ25、リーダ28、パレット検出センサ31の検出結果は、フィーダ制御装置29に送信される。フィーダ制御装置29は、扉開閉センサ25、リーダ28、パレット検出センサ31の検出結果に基づいて、パレット移動部30(パレット保持部26、保持部昇降機構27)を制御する。このように、本体部21とパレット移動部30は、パレット7を収納するパレット収納部22を有し、電子部品Dを実装対象(基板3)に実装する電子部品実装装置1に対して電子部品Dを供給する部品供給部を構成する。
【0025】
次に
図4を参照して、電子部品実装装置1の制御系の構成について説明する。電子部品実装装置1は、実装制御装置40、基板搬送機構2、テープフィーダ5、トレイフィーダ8、部品装着部12、ヘッドカメラ13、部品認識カメラ14、タッチパネル15を備えている。実装制御装置40は、実装動作処理部41、実装記憶部42を備えている。実装記憶部42は記憶装置であり、実装データ43などが記憶されている。
【0026】
実装データ43には、基板3の種類(基板種)毎に、基板3のサイズ、実装される電子部品Dの種類と実装位置(XY座標)、トレイフィーダ8から供給される電子部品Dの種類、配置など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。実装動作処理部41は、実装データ43に基づいて電子部品実装装置1の各部を制御して、テープフィーダ5やトレイフィーダ8が供給する電子部品Dを部品装着部12で保持して、実装作業位置に保持された基板3に装着する部品実装作業を制御する。
【0027】
図4において、トレイフィーダ8が備えるフィーダ制御装置29は、実装制御装置40に接続されており、実装制御装置40からの各種の命令や情報を受信し、また、実装制御装置40に各種の情報を送信する。フィーダ制御装置29は、部品供給処理部50、パレット配置処理部51、判断部52、第1通知部53、第2通知部54、フィーダ記憶部55を備えている。
【0028】
フィーダ記憶部55は記憶装置であり、パレット配置データ56などを記憶している。パレット配置データ56は、トレイフィーダ8の各パレット収納部22に収納されたパレット7を特定するパレット番号などが記憶されている。パレット配置データ56は、実装データ43に含まれるトレイフィーダ8から供給される電子部品Dの情報に基づき、パレット7をトレイフィーダ8に収納する際の照合作業により作成される。
【0029】
ここで、
図5を参照してパレット配置データ56の一例について説明する。パレット配置データ56は、トレイフィーダ8が有する複数のパレット収納部22を特定する収納部番号61毎に、パレット番号62、部品番号63、部品供給フラグ64が記憶されている。パレット番号62は、パレット収納部22に収納されているパレット7を特定する情報であり、パレット7に付されたパレットマーク7aに記録されている番号である。
【0030】
部品番号63は、パレット7に保持されたトレイ6に載せ置かれた電子部品Dを特定する情報である。部品供給フラグ64は、パレット移動部30(パレット保持部26、保持部昇降機構27)によって部品取り出し位置に移動しているパレット7を示している。部品供給フラグ64が「1」は、そのパレット7がパレット収納部22から取り出されて部品取り出し位置に移動していること、または移動途中であることを表している。
【0031】
図4において、部品供給処理部50は、実装制御装置40からの命令に従ってパレット移動部30を制御して、指示されたパレット7をパレット収納部22から取り出して部品取り出し位置に移動させる。また、部品供給処理部50は、部品取り出し位置に移動させたパレット7をパレット収納部22に収納させる。また、部品供給処理部50は、パレット配置データ56において、部品取り出し位置に移動させるパレット7の部品供給フラグ64を「1」に更新させる。また、部品供給処理部50は、パレット7をパレット収納部22に戻すと部品供給フラグ64を「-」に更新させる。
【0032】
図4において、扉開閉センサ25は、トレイフィーダ8の部品供給部(本体部21、パレット移動部30)についての状態変化として扉24が開く動作を検出する検出部である。各パレット収納部22に設置されたパレット検出センサ31は、トレイフィーダ8の部品供給部についての状態変化としてパレット収納部22にパレット7が収納される動作と、パレット収納部22からパレット7が取り出される動作を検出する検出部である。
【0033】
判断部52は、トレイフィーダ8の部品供給部についての状態変化を検出する検出部(扉開閉センサ25、パレット検出センサ31)の検出結果に基づいて、パレット7のパレット収納部22への収納状態の異常の有無を判断する。第1通知部53は、検出部の検出結果に基づいて、パレット7の収納状態の異常の有無などパレット7の収納状態に関する情報を実装制御装置40に通知する。
【0034】
タッチパネル15は、第1通知部53から通知された情報を「トレイフィーダ状態通知画面」として表示する。これによって、トレイフィーダ8において正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる。なお、パレット7の収納状態に関する情報は、トレイフィーダ8が備える表示装置(図示省略)や、作業者が携帯するタブレットPCなどの情報端末に表示するようにしてもよい。
【0035】
ここで
図6を参照して、タッチパネル15に表示されたトレイフィーダ状態通知画面70の例について説明する。トレイフィーダ状態通知画面70は、扉24が開く動作を扉開閉センサ25(検出部)が検出し、判断部52が収納状態に異常が有ると判断して第1通知部53が通知した情報に基づいて表示されている。トレイフィーダ状態通知画面70には、「検出結果情報」表示枠71、「確認完了」ボタン72が表示されている。
【0036】
「検出結果情報」表示枠71には、「生産停止中に、トレイフィーダの扉が開閉された」との旨の扉開閉センサ25による検出結果に基づく警告と、次の処理をボタン操作によって操作する作業指示が表示されている。作業者がタッチパネル15の入力機能を使用して「確認完了」ボタン72を操作すると、トレイフィーダ8による電子部品Dの供給が再開される。このように、作業者が「確認完了」ボタン72を操作するまでトレイフィーダ8による電子部品Dの供給の再開を待機することで、収納状態に異常が有ることを知らずに生産を再開してしまう事態を防止することができる。
【0037】
次に
図7を参照して、タッチパネル15に表示されたトレイフィーダ状態通知画面73の例について説明する。トレイフィーダ状態通知画面73は、収納部番号61が「3」のパレット収納部22に設置されたパレット検出センサ31がパレット7の取り出しと収納動作を検出し、判断部52が収納状態に異常が有ると判断して第1通知部53が通知した情報に基づいて表示されている。トレイフィーダ状態通知画面73には、「検出結果情報」表示枠74、「継続」ボタン75、「中止」ボタン76が表示されている。
【0038】
「検出結果情報」表示枠74には、「生産停止中に、収納部番号が「3」のパレットが抜き差しされた」との旨のパレット検出センサ31による検出結果に基づく警告と、次の処理をボタン操作によって選択する作業指示が表示されている。作業者がタッチパネル15の入力機能を使用して「継続」ボタン75を操作すると、トレイフィーダ8による電子部品Dの供給が再開される。作業者が「中止」ボタン76を操作すると、トレイフィーダ8からの電子部品Dの供給が中止される。
【0039】
図4において、リーダ28(パレット情報取得部)は、パレット収納部22に収納されているパレット7に付されたパレットマーク7aに記憶されたパレット番号62(パレットの情報)を取得する。判断部52は、リーダ28によって取得されたパレット番号62に基づいて、パレット7の収納状態の異常の有無を判断する。具体的には、判断部52は。パレット番号62がフィーダ記憶部55に記憶されているパレット配置データ56と一致しない場合に、パレット7の収納状態が異常と判断する。
【0040】
パレット配置処理部51は、判断部52において異常が検出された場合に、パレット移動部30(パレット保持部26、保持部昇降機構27)を制御して、正しい配置となるようにパレット7を複数のパレット収納部22間で移動させる。具体的には、パレット配置処理部51は、取得されたパレット番号62(パレットの情報)に基づいて、複数のパレット収納部22に収納されるパレット7がパレット配置データ56に記憶されている配置となるようにパレット7を移動させる。
【0041】
図4において、第2通知部54は、パレット移動部30を用いて異常の原因となったパレット7を移動することで異常を解消できない場合に実装制御装置40に通知を発する。タッチパネル15は、第2通知部54から通知された情報を「トレイフィーダ状態通知画面」として表示する。例えば、パレット収納部22にパレット配置データ56に記憶されていないパレット番号62のパレット7が収納された場合や、部品取り出し位置に移動したことで空いているパレット収納部22に新たにパレット7が収納された場合は、パレット7の移動で解消できない異常である。
【0042】
ここで、
図8を参照して、タッチパネル15に表示されたトレイフィーダ状態通知画面77の例について説明する。トレイフィーダ状態通知画面77は、収納部番号61が「3」のパレット収納部22にパレット番号62が「P005」のパレット7が収納された場合に表示された画面である。すなわち、リーダ28が取得した情報に基づいて判断部52がパレット配置データ56に記憶されていないパレット番号62のパレット7が収納された収納状態の異常が有ると判断し、第2通知部53が通知した情報に基づいて表示されている。トレイフィーダ状態通知画面77には、「検出結果情報」表示枠78、「継続」ボタン79、「中止」ボタン80が表示されている。
【0043】
「検出結果情報」表示枠78には、「収納部番号が「3」に収容されたパレット(P005)は、指定されているパレットと整合しない」との旨のリーダ28が取得したパレット番号62に基づく警告と、次の処理をボタン操作によって選択する作業指示が表示されている。「継続」ボタン79、「中止」ボタン80の機能は、
図7に示すトレイフィーダ状態通知画面73と同様であり、説明を省略する。
【0044】
このように、本実施の形態のトレイフィーダ8は、パレット7を収納するパレット収納部22を有し、電子部品実装装置1に電子部品Dを供給する部品供給部(本体部21、パレット移動部30)と、部品供給部についての所定の状態変化を検出する検出部(扉開閉センサ25、パレット検出センサ31)と、検出部の検出結果に基づいて、パレット7の収納状態に関する情報を通知する第1通知部53と、を備える、部品供給システムである。また、電子部品実装装置1は、部品供給システムから供給される電子部品Dを保持して実装対象(基板3)に装着する部品装着部12を備える部品実装システムである。これによって、トレイフィーダ8において正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる。
【0045】
次に
図9を参照して、電子部品実装装置1に対して電子部品Dを供給する部品供給部(本体部21、パレット移動部30)を用いる部品供給方法について説明する。部品供給部による電子部品Dの供給作業では、検出部(扉開閉センサ25、パレット検出センサ31)は、部品供給部についての所定の状態変化を検出する監視を実行する(ST1:状態変化監視工程)。検出部が状態変化を検出すると(ST1においてYes)、第1通知部53は状態変化の検出結果に基づいて、パレット7の収納状態に関する情報を通知し、タッチパネル15にトレイフィーダ状態通知画面70、73(
図6、
図7参照)が表示される(ST2:情報通知工程)。これによって、トレイフィーダ8において正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる。
【0046】
次いで作業者が次の処理を選択する(ST3:処理選択工程)。タッチパネル15において「確認完了」または「継続」が選択されると(ST3においてYes)、部品供給部による電子部品Dの供給作業が継続されて状態変化監視工程(ST1)に戻る。タッチパネル15において「中止」が選択されると(ST3においてNo)、部品供給部による電子部品Dの供給作業が中止される。
【0047】
次に
図10を参照して、部品供給方法の他の実施例について説明する。以下、
図9と同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。状態変化監視工程(ST1)において状態変化が検出されると(Yes)、リーダ28がパレット7に付されたパレットマーク7aよりパレット番号62(パレットの情報)を取得する(ST11:パレット情報取得工程)。
【0048】
次いでパレット配置処理部51は、取得されたパレット番号62がパレット配置データ56と一致するか否かを判断し(ST12)、一致する場合は(ST12においてYes)、状態変化監視工程(ST1)に戻る。パレット番号62が一致しない場合(ST12においてNo)、パレット配置処理部51はパレット配置データ56に基づいて、正しい配置となるようにパレット7を複数のパレット収納部22間で移動させる(ST13:パレット移動工程)。
【0049】
移動によってパレット7が正しい配置となると(ST14においてYes)、状態変化監視工程(ST1)に戻る。正しい配置にならない場合(ST14においてNo)、情報通知工程(ST2)が実行されてタッチパネル15にフィーダ状態通知画面77(
図8参照)が表示される。これによって、トレイフィーダ8において正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができる。
【0050】
次いで処理選択工程(ST3)が実行され、「継続」が選択されると(ST3においてYes)、部品供給部による電子部品Dの供給作業が継続されて状態変化監視工程(ST1)に戻る。「中止」が選択されると(ST3においてNo)、部品供給部による電子部品Dの供給作業が中止される。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の部品供給システムおよび部品実装システムならびに部品供給方法は、トレイフィーダにおいて正しくない作業が行われた可能性があることを了知することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子部品実装装置(部品供給システム)
3 基板(実装対象)
6 トレイ
7 パレット
8 トレイフィーダ(部品供給システム)
21 本体部(部品供給部)
22 パレット収納部
23 筐体
24 扉
25 扉開閉センサ(検出部)
28 リーダ(パレット情報取得部)
30 パレット移動部(部品供給部)
31 パレット検出センサ(検出部)
D 電子部品