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特許7403045キャリアテープロール体製造装置およびキャリアテープロール体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】キャリアテープロール体製造装置およびキャリアテープロール体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/00 20060101AFI20231215BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B65H18/00
H05K13/02 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020053539
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021151916
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰行
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-302033(JP,A)
【文献】特開平07-022778(JP,A)
【文献】特開2006-108322(JP,A)
【文献】特開2006-086379(JP,A)
【文献】特開平09-012058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00-18/28
H05K 3/30
H05K 13/00-13/08
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/30-85/48
B65D 85/86
B65D 85/88
B65D 85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔をおいて形成された複数のポケットのそれぞれに部品を封入したキャリアテープがロール状に巻かれて成るロール体と、ロール状に巻かれた前記キャリアテープの前記ロール体の中心側の端部に設けられた無線通信により読み書き可能な記憶体と、を備えたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置であって、
前記キャリアテープを供給するテープ供給部と、
前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端部に記憶体を設ける記憶体設置部と、
前記記憶体設置部により前記記憶体が設けられた前記キャリアテープの前記先端部が取り付けられる回転軸と、
前記キャリアテープの前記先端部が取り付けられた前記回転軸を回転させて前記回転軸に前記キャリアテープを巻き付ける回転軸駆動部と、
を備えたキャリアテープロール体製造装置。
【請求項2】
更に、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープを切断して前記回転軸に巻き付けられた前記キャリアテープを前記テープ供給部から分離させる切断部を備えた請求項1に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項3】
前記記憶体は、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端に最も近い位置に封入されている部品よりも更に前記キャリアテープの前記先端に近い位置に設けられる請求項1または2に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項4】
前記記憶体は前記ポケットを覆って前記ポケットに部品を封入するカバーテープの表面に貼り付けられて設けられる請求項1~3のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項5】
前記記憶体は、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端に最も近い位置に封入されている部品との間に少なくとも1つの空のポケットをおいて設けられる請求項3または4に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項6】
前記キャリアテープに封入されている部品に関する情報である部品情報を前記記憶体に書き込む部品情報書き込み手段を備えた請求項1~5のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項7】
前記部品情報は、部品の種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報の少なくとも1つを含む請求項6に記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項8】
前記キャリアテープに封入されている部品を他のキャリアテープに封入されている部品と識別するために使用する識別情報を前記記憶体に書き込む識別情報書き込み手段を備えた請求項1~7のいずれかに記載のキャリアテープロール体製造装置。
【請求項9】
一定間隔をおいて形成された複数のポケットのそれぞれに部品を封入したキャリアテープがロール状に巻かれて成るロール体と、ロール状に巻かれた前記キャリアテープの前記ロール体の中心側の端部に設けられた無線通信により読み書き可能な記憶体と、を備えたキャリアテープロール体の製造方法であって、
テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端部に前記記憶体を設ける記憶体設置工程と、
前記記憶体設置工程で前記記憶体が設けられた前記キャリアテープの前記先端部を回転軸に取り付けたうえで前記回転軸を回転させることにより前記回転軸に前記キャリアテープを巻き付けるキャリアテープ巻き付け工程と、
を含むキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項10】
更に、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープを切断して前記回転軸に巻き付けられた前記キャリアテープを前記テープ供給部から分離させる切断工程を含む、請求項9にキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項11】
前記記憶体設置工程において、前記記憶体を、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端に最も近い位置に封入されている部品よりも更に前記キャリアテープの前記先端に近い位置に設ける請求項9または10に記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項12】
前記記憶体は前記ポケットを覆って前記ポケットに部品を封入するカバーテープの表面に貼り付けられて設けられる請求項9~11のいずれかに記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項13】
前記記憶体設置工程において、前記記憶体を、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端に最も近い位置に封入されている部品との間に少なくとも1つの空のポケットをおいて設ける請求項11または12に記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項14】
前記キャリアテープに封入されている部品に関する情報である部品情報を前記記憶体に書き込む部品情報書き込み工程を含む請求項9~13のいずれかに記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項15】
前記部品情報は、部品の種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報の少なくとも1つを含む請求項14に記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【請求項16】
前記キャリアテープに封入されている部品を他のキャリアテープに封入されている部品と識別するために使用する識別情報を前記記憶体に書き込む識別情報書き込み工程を含む請求項9~15のいずれかに記載のキャリアテープロール体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたキャリアテープから成るキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置およびキャリアテープロール体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を装着する部品実装装置における部品供給ユニットとして、部品を収納したキャリアテープを搬送することにより部品取出し位置に部品を供給するテープフィーダが知られている。テープフィーダにおいて使用されるキャリアテープはその保持体としてのリールに巻き付けられており、キャリアテープの運搬や保管および部品供給ユニットに対するセット等は、リールに巻き付けられた状態で行われる。この場合には通常、キャリアテープに収納されている部品の情報(部品に関する種々の情報である部品情報やそのキャリアテープに封入されている部品を他のキャリアテープに封入されている部品と識別するために使用する識別情報等の情報)は、リールに貼り付けられたバーコード等の識別子に記憶されており、ハンディスキャナ等によって必要に応じて読み出せるようになっている。
【0003】
ところで、テープフィーダは、部品実装装置のダウンサイジング化に応じて幅方向寸法の狭小化が求められており、現に薄幅型のテープフィーダが実用化されてきている。一方、キャリアテープを収納するリールは規格品であってその幅方向寸法を縮小化することは難しいこと等から、リールをなくし、キャリアテープをロール状に巻いたロール体の状態で部品供給ユニットに供給できるようにする装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-21990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リールなしのキャリアテープのロール体で運用するとリールに貼り付けられていたバーコードも失われるので、キャリアテープに封入されている部品の情報が不明になってしまうおそれがあるという問題点があった。また、リールなしのキャリアテープのロール体の部品が消費されて残数が少なくなったとしても、リールを有する場合と同様に部品の情報が失われないことが望ましい。
【0006】
そこで本発明は、リール等の保持体なしでも、部品の残数に関係なくキャリアテープに封入されている部品の情報を保持可能なキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置およびキャリアテープロール体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリアテープロール体製造装置は、一定間隔をおいて形成された複数のポケットのそれぞれに部品を封入したキャリアテープがロール状に巻かれて成るロール体と、ロール状に巻かれた前記キャリアテープの前記ロール体の中心側の端部に設けられた無線通信により読み書き可能な記憶体と、を備えたキャリアテープロール体を製造するキャリアテープロール体製造装置であって、前記キャリアテープを供給するテープ供給部と、前記テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端部に記憶体を設ける記憶体設置部と、前記記憶体設置部により前記記憶体が設けられた前記キャリアテープの前記先端部が取り付けられる回転軸と、前記キャリアテープの前記先端部が取り付けられた前記回転軸を回転させて前記回転軸に前記キャリアテープを巻き付ける回転軸駆動部と、を備えた。
【0008】
本発明のキャリアテープロール体の製造方法は、一定間隔をおいて形成された複数のポケットのそれぞれに部品を封入したキャリアテープがロール状に巻かれて成るロール体と、ロール状に巻かれた前記キャリアテープの前記ロール体の中心側の端部に設けられた無線通信により読み書き可能な記憶体と、を備えたキャリアテープロール体の製造方法であって、テープ供給部から供給される前記キャリアテープの先端部に前記記憶体を設ける記憶体設置工程と、前記記憶体設置工程で前記記憶体が設けられた前記キャリアテープの前記先端部を回転軸に取り付けたうえで前記回転軸を回転させることにより前記回転軸に前記キャリアテープを巻き付けるキャリアテープ巻き付け工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リール等の保持体なしでもキャリアテープに封入されている部品の情報を保持可能なキャリアテープロール体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの概略構成図
図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える部品実装装置の側面図
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が使用するケース入りキャリアテープロール体の斜視図
図4】本発明の一実施の形態におけるケース入りキャリアテープロール体のケースの(a)斜視図(b)部分拡大図
図5】本発明の一実施の形態におけるケース入りキャリアテープロール体の(a)斜視図(b)部分拡大図
図6】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるケース入りキャリアテープロール体の使用形態を示す図
図7】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備えるキャリアテープロール体製造装置の構成を示す図
図8】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置のテープ供給部から(a)キャリアテープを引き出した状態を示す図(b)引き出したキャリアテープの一部の拡大図
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態の形態におけるキャリアテープロール体製造装置によるキャリアテープロール体の製造手順を示す図
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置によるキャリアテープロール体の製造手順を示す図
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置によるキャリアテープロール体の製造手順を示す図
図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置が備えるテープ供給リールから引き出したキャリアテープの部分拡大図
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置によるキャリアテープロール体の製造手順を示す図
図14】本発明の一実施の形態におけるリール付きキャリアテープロール体の斜視図
図15】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置がケース入りキャリアテープロール体を製造する際に使用するリール付きキャリアテープロール体のリールの分解図
図16】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置の斜視図
図17】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置の側面図
図18】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置の要部正面図
図19】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置によりリールを分解する動作を説明する図
図20】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置によりリールを分解した直後の状態を示す図
図21】本発明の一実施の形態における保管倉庫の斜視図
図22】本発明の一実施の形態における部品実装システムの制御系統を示すブロック図
図23】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置によるキャリアテープロール体の製造作業の流れを示すフローチャート
図24】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体処理装置によるキャリアテープを処理する作業の流れを示すフローチャート
図25】本発明の一実施の形態における保管倉庫によるケース入りキャリアテープロール体を保管する作業の流れを示すフローチャート
図26】本発明の一実施の形態におけるケース入りキャリアテープロール体の運用のイメージを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるキャリアテープロール体が使用される部品実装システム1の構成図を示している。部品実装システム1は、直列に連結された複数の装置の間で基板KBを受け渡しながら作業を施すことによって基板KBに部品が装着された実装基板JKを製造する製造ライン2のほか、キャリアテープロール体製造装置3、キャリアテープロール体処理装置4および保管倉庫5を備えている。
【0012】
図1において、製造ライン2は情報管理端末6を通じて管理コンピュータ7に繋がっており、製造ライン2を構成する各装置の動作の管理を管理コンピュータ7から行うことができるようになっている。また、図1に示すように、キャリアテープロール体製造装置3、キャリアテープロール体処理装置4および保管倉庫5も管理コンピュータ7と繋がっており、キャリアテープロール体製造装置3、キャリアテープロール体処理装置4および保管倉庫5の動作の管理を管理コンピュータ7から行うことができるようになっている。図1に示すように、管理コンピュータ7には作業者用端末8が接続されており、部品実装システム1の作業者は作業者用端末8から部品実装システム1に対して種々の操作入力を行うことができるようになっている。
【0013】
先ず、製造ライン2について説明する。図1において、製造ライン2は、基板供給装置11、印刷装置12、印刷後検査装置13、複数の部品実装装置14、実装後検査装置15、リフロー装置16、最終検査装置17および基板回収装置18を備えている。
【0014】
基板供給装置11は基板KBを下流側の印刷装置12に順次供給する。印刷装置12は基板供給装置11から供給される基板KBを搬入し、基板KBの表面に形成された電極にペースト状の半田を塗布して下流側の印刷後検査装置13に搬出する。印刷後検査装置13は印刷装置12から搬出された基板KBを搬入し、半田の塗布状態が不良な箇所がないかどうかをカメラで観察して検査したうえで、下流側の部品実装装置14に基板KBを搬出する。
【0015】
各部品実装装置14は、上流側から搬入した基板KBに部品を装着して下流側に搬出する。最も下流側に位置する部品実装装置14はその下流側に位置する実装後検査装置15に基板KBを搬出する。部品実装装置14については後述する。
【0016】
実装後検査装置15は、最も下流側に位置する部品実装装置14から搬出された基板KBを搬入し、部品の装着状態が不良な箇所がないかどうかをカメラで観察して検査したうえで、下流側のリフロー装置16に基板KBを搬出する。リフロー装置16は実装後検査装置15から搬出された基板KBを搬入し、リフロー炉を通過させることによって半田を溶融・固化させて部品を電極に接合させる。最終検査装置17はリフロー装置16を通過した基板KBを搬入し、部品の電極への接合状態をカメラで観察して検査したうえで、下流側の基板回収装置18に搬出する。基板回収装置18は最終検査装置17から搬出された基板KBを受け取って回収する。
【0017】
次に、図2を用いて部品実装装置14について説明する。図2において、部品実装装置14の基台21上には基台カバー22が設けられており、基台21と基台カバー22との間の作業空間23には基板KBを水平方向に搬送する基板搬送路24が設けられている。
【0018】
基台21上の基板搬送路24を挟んだ両側の位置にはフィーダ台車25が連結されている。各フィーダ台車25には複数の部品供給ユニット26が取り付けられている。ここでは部品供給ユニット26はテープフィーダであり、スプロケット26Sによってキャリアテープ27を搬送することにより、所定の部品供給位置に部品BHを1つずつ供給する。
【0019】
図2において、作業空間23内には、ヘッド移動機構31によって水平方向に移動される装着ヘッド32を備えている。装着ヘッド32には部品吸着ノズル33が下方に延びて設けられている。部品吸着ノズル33の下端には、部品供給ユニット26が供給する部品BHを吸着させることができる。
【0020】
各部品実装装置14は、基板搬送路24が上流側から基板KBを搬入して位置決めしたら、部品供給ユニット26により部品BHを供給させながら装着ヘッド32に装着ターンを繰り返し行わせる。装着ヘッド32は1つの装着ターンにおいて、部品供給ユニット26が供給する部品BHを吸着してピックアップする動作と基板KB上に定められた部品装着位置に部品BHを装着する動作をこの順で行う。装着ヘッド32に装着ターンを繰り返し行わせて基板KBに装着させるべき部品BHを全て装着したら、基板搬送路24を作動させて、基板KBを下流側に搬出する。
【0021】
部品実装装置14が部品BHの供給に使用するキャリアテープ27は、本実施の形態では、図3(a)に示すケース入りキャリアテープロール体41から繰り出されて供給される。ケース入りキャリアテープロール体41は、キャリアテープロール体42がケース43に収納されたものであり、キャリアテープロール体42は、キャリアテープ27がロール状に巻かれて成るロール体44と、ロール状に巻かれたキャリアテープ27のロール体44の中心側の端部に設けられた記憶体45とから構成されている。
【0022】
キャリアテープ27は、図3(a),(b)(図3(b)は図3(a)における領域AR1の拡大図)に示すように、ベーステープ27Bと、ベーステープ27Bの上面に貼り付けられたカバーテープ27Cを有する。ベーステープ27Bには一定間隔をおいて長手方向に一列に並んだ複数のポケット27Pが設けられており、各ポケット27Pには部品BHが1つずつ収納されている。
【0023】
各ポケット27P内の部品BHは、ベーステープ27Bにカバーテープ27Cが貼り付けられることで、各ポケット27Pから脱落することが防止されている。すなわちキャリアテープ27は、一定間隔を置いて形成された複数のポケット27Pのそれぞれに部品BHを封入した構成となっている。また、図3(b)に示すように、ベーステープ27Bには、部品供給ユニット26が有するスプロケット26Sの外周ピンが係合する送り孔27Kの列が、ポケット27Pの列に平行に設けられている。
【0024】
図4(a)は、ケース入りキャリアテープロール体41においてキャリアテープロール体42が収納されるケース43を示している。ケース43は、左右の側壁51、底壁52、前壁53および後壁54を備えており、上方開口55と後開口56を有した構成(すなわち少なくとも一方に開口した構成)となっている。
【0025】
図4(b)(図4(a)における領域AR2の拡大図)から分るように、後壁54の上部には、一方の側壁51の内面から内方へ張り出した上下の2つの突起ベース51Bが設けられている。これら2つの突起ベース51Bには、水平方向の外側に向かって突出したテープ端保持部43Kが設けられている。ケース43の左右の側壁51には、上方開口55側の縁部からそれぞれの側壁51の中央部側に向かってU字形状に延びた溝部51Mが設けられている。
【0026】
図5(a)は、キャリアテープロール体42がケース43に収納された状態を示している。キャリアテープロール体42がケース43に収納されており、かつ、ケース43からキャリアテープ27を引き出して使用する状況にないとき(ケース入りキャリアテープロール体41を保管中或いは運搬中であるとき)には、図5(b)に示すように、キャリアテープ27が有する送り孔27Kを、ケース43に設けられたテープ端保持部43Kに差し込んで係止しておくようにする。本実施の形態では、2つの送り孔27Kを、ケース43に設けられた2つのテープ端保持部43Kに差し込んで係止する。これにより保管中或いは運搬中にケース入りキャリアテープロール体41のケース43からキャリアテープ27が抜け出ることが防止され、ひいてはキャリアテープロール体42の全体がケース43から脱落することが防止される。
【0027】
一方、図5(a)の状態からキャリアテープ27を引き出して使用する場合には、2つのテープ端保持部43Kからキャリアテープ27の送り孔27Kを取り外したうえで、図3(a)のように前壁53が下面となるような姿勢にする。このように前壁53が下面となるような姿勢にしてキャリアテープ27を後開口56から引き出すと、キャリアテープ27を部品供給ユニット26に送ることが可能となる。
【0028】
このように本実施の形態では、ケース43にテープ端保持部43Kを設けることにより、ケース43におけるキャリアテープ27の端部(キャリアテープロール体42の外周側の端部)の位置が統一され、ケース43からキャリアテープ27の端部を取り出す作業を容易に行うことができるようになっている。また、キャリアテープ27の端部を取り出す作業をロボット等の自動化設備で行わせることにも容易に対応することができる。
【0029】
部品供給ユニット26に対するケース入りキャリアテープロール体41の使用形態としては、例えば、図2の左側に示すケース入りキャリアテープロール体41のように、フィーダ台車25に取り付ける形態のほか、図2の右側および図6(a)に示すケース入りキャリアテープロール体41のように、アタッチメント26Aを介して部品供給ユニット26に取り付ける形態がある。或いは、図6(b)に示すように、ケース入りキャリアテープロール体41の全体を部品供給ユニット26の内部に収納する形態もある。或いはまた、図6(c)に示すように、ケース入りキャリアテープロール体41のケース43からキャリアテープロール体42を取り出し、その取り出したキャリアテープロール体42のみを部品供給ユニット26の内部に収納する形態もある。
【0030】
このように、本実施の形態において、ケース入りキャリアテープロール体41のケース43には、キャリアテープロール体42を部品供給ユニット26の外部に設置して使用するときにおけるキャリアテープロール体42の支持手段の役割を持たせることができる。
【0031】
次に、キャリアテープロール体製造装置3について説明する。キャリアテープロール体製造装置3は、供給されるキャリアテープ27の端部(キャリアテープ27をロール状に巻いたときにロール体44の中心側となる端部)に記憶体45を設け、その記憶体45を設けた端部側からキャリアテープ27を巻いていくことによってキャリアテープロール体42を製造する装置である。
【0032】
図7はキャリアテープロール体製造装置3の構成を簡略的に示している。図7に示すように、キャリアテープロール体製造装置3は、テープ供給部61、テープ引出し部62、バックアップステージ63、記憶体設置部64、情報書き込み部65、回転軸66、回転軸駆動部67、検出部68および切断部69を備えている。
【0033】
テープ供給部61は、キャリアテープ27が巻き付けられたテープ供給リール61Aと、テープ供給リール61Aを回転自在に支持するリール支持部61Bを備えている。テープ供給リール61Aの内部にはブレーキが内蔵されており、巻き付けられたキャリアテープ27が引っ張られると、その引っ張りに応じて回転してキャリアテープ27を繰り出すが、キャリアテープ27の引っ張りが中断されるとブレーキが作動し、回転が停止するようになっている。
【0034】
図7において、テープ供給リール61Aの側面にはコードラベル61Lが貼り付けられている。コードラベル61Lには、そのテープ供給リール61Aに巻き付けられているキャリアテープ27の部品に関する種々の情報(部品情報)が記録されている。本実施の形態では、部品情報は、図7に示すように、非接触式の情報読み取り部としてのハンディスキャナHSによって、前述したテープ供給リール61Aに貼り付けられているコードラベル61Lをスキャンすることで読み取ることができる。このように本実施の形態において、ハンディスキャナHSは、キャリアテープ27に封入されている部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得手段となっている。
【0035】
テープ供給リール61Aには、一般的な部品供給リール(以下、通常のリールと呼ぶ)とは逆向きにキャリアテープ27が巻き取られている。通常のリールでは、リールから繰り出されたキャリアテープ27を部品供給ユニット26にそのままセットすることが可能であり、8mm幅の紙テープのキャリアテープの場合、通常のリールから手前にキャリアテープ27を引き出すと送り孔27Kの列は右側に現れる。これに対し、テープ供給リール61Aから手前に引き出されたキャリアテープ27ではその逆の左側に現れる。テープ供給リール61Aにキャリアテープ27を逆向きに巻き取る理由は、キャリアテープロール体製造装置3で作成されるロール体44のキャリアテープ27の向きを通常のリールと同じ向きにするためである。
【0036】
図8(a)は、テープ供給リール61Aに巻き付けられているキャリアテープ27が一定量引き出された状態を示している。図8(a)に示すように、テープ供給部61に巻き付けられているキャリアテープ27には、部品BHが収納されているポケット27Pが連続する領域(「部品入りポケット領域L0」と称する)と、部品BHが収納されていない(空の)ポケット27Pが連続する領域(「空ポケット領域LS」と称する)が交互に存在している。図8(b)(図8(a)における領域AR3の拡大図)に示すように、空ポケット領域LSには、複数の空のポケット27Pが含まれている。
【0037】
図7において、テープ引出し部62は、一対の引出しローラ62a,62bを備えており、これら一対の引出しローラ62a,62bによって、テープ供給部61から供給されるキャリアテープ27を挟んでいる。テープ引出し部62が引出しローラ62a,62bを回転させると、キャリアテープ27がローラ62a,62bにより引っ張られてテープ供給リール61Aから引き出される。
【0038】
図7において、バックアップステージ63は、テープ引出し部62よりもキャリアテープ27の流れの下流側に設けられている。テープ引出し部62は、テープ供給部61から引き出されたキャリアテープ27の先端27Tを含む一定の領域(以下、「先端部27R」と称する)がバックアップステージ63の上方に位置した状態で、キャリアテープ27の引き出しを一旦停止させる。これによりキャリアテープ27の先端部27R内の空ポケット領域LSは、バックアップステージ63の上面に支持された状態となる(図7)。
【0039】
図7において、記憶体設置部64は、バックアップステージ63の上方に設けられている。記憶体設置部64は昇降自在なノズル64Nを備えている。ノズル64Nの下端には記憶体45を保持できるようになっている。ノズル64Nは、図示しない記憶体供給部で供給された記憶体45を保持する。
【0040】
本実施の形態では、記憶体45は下面が粘着面となっている無線タグから構成されている。記憶体設置部64は、ノズル64Nの下端に記憶体45を保持させた状態で、バックアップステージ63によって支持されたキャリアテープ27の先端部27Rの上方からノズル64Nを下降させる。これにより記憶体45は、キャリアテープ27の先端部27R内の空ポケット領域LSを覆うカバーテープ27Cの表面に押し付けられて(図9(a)中に示す矢印P)、貼り付けられる。図9(b)(図9(a)における領域AR4の拡大図)は、キャリアテープ27の先端部27Rに記憶体45が設けられた(貼り付けられた)状態を示している。
【0041】
ここで、記憶体設置部64が記憶体45を設けるキャリアテープ27上の位置は、キャリアテープ27の先端27Tに最も近い位置に封入されている部品BH(「最先端側部品BHa」と称する。図9(b))よりも更にキャリアテープ27の先端27Tに近い位置である。最先端側の部品BHは、そのキャリアテープ27がロール状に巻かれてロール体44にされた場合には、そのロール体44の中心側の端部に最も近い位置に封入されている部品となり、そのロール体44(キャリアテープロール体42)が部品実装装置14に供給された場合に、そのキャリアテープロール体42から最後に取り出される部品BHとなる。記憶体45はこのような最先端側の部品BHよりも更にキャリアテープ27の先端27Tに近い位置に設けられているので、そのキャリアテープロール体42が部品切れとなる状態まで記憶体45はキャリアテープロール体42内に存在することになる。
【0042】
ここで、記憶体45は、最先端側部品BHaとの間に少なくとも1つの空のポケット27Pをおいて設けられる。これにより記憶体45は、キャリアテープ27がロール状に巻かれた後、そのロール状に巻かれたキャリアテープ27に封入されている部品BHのうちキャリアテープ27のロール体44の中心側の端部(先端27Tに相当する端部)に最も近い位置に封入されている部品BH(最先端側部品BHa)との間に少なくとも1つの空のポケット27Pを有する状態となる。図9(b)は、記憶体45を、最先端側部品BHaとの間に4個の空のポケット27Pをおいて設けた例を示している。
【0043】
図7において、情報書き込み部65は、バックアップステージ63内に設けられている。情報書き込み部65は、記憶体設置部64によってキャリアテープ27に設けられた記憶体45に情報を書き込む機能を有する。
【0044】
情報書き込み部65は前述した部品情報を記憶体45に書き込む。前述したように、部品情報はハンディスキャナHSがコードラベル61Lから読み取るようになっており、情報書き込み部65はそのハンディスキャナHSが読み取った部品情報を記憶体45に書き込む。部品情報は予め記憶体45に書き込んでおくことも可能であり、この場合には、情報書き込み部65は、部品情報を記憶体45に書き込む必要はない。
【0045】
情報書き込み部65はまた、識別情報を記憶体45に書き込む。ここで「識別情報」とは、そのキャリアテープロール体42を製造しようとしているキャリアテープ27に封入されている部品BHを他のキャリアテープ27に封入されている部品BH(他のキャリアテープロール体42のキャリアテープ27に封入されている部品BH)と識別するために使用する情報(例えばシリアル番号)である。
【0046】
識別情報は、記憶体設置部64によってキャリアテープ27の先端部27Rに記憶体45が設けられるたびに、後述する管理コンピュータ7の識別情報生成部104cによって生成される。識別情報はケース43を管理するための管理情報としても利用される。すなわち本実施の形態において、識別情報は、キャリアテープロール体42を識別する目的とケース43を識別する目的の両方で使用される。このように本実施の形態において、情報書き込み部65は、部品情報書き込み手段と識別情報書き込み手段の両方の機能を有している。
【0047】
図7において、回転軸66は、バックアップステージ63よりもキャリアテープ27の流れの下流側に設けられている。回転軸66は水平方向に延びた軸状の部材から成る。回転軸66の一部は、テープ供給部61から供給されるキャリアテープ27の先端部27Rをチャックするチャック機構66Cとなっている。情報書き込み部65によって記憶体45に情報が書き込まれたキャリアテープ27がテープ引出し部62によって回転軸66側に送られると(図10(a)中に示す矢印F)、キャリアテープ27の先端部27Rがチャック機構66Cによってチャックされ、キャリアテープ27が回転軸66に取り付けられる(図10(a))。
【0048】
回転軸駆動部67は回転軸66を回転させる機能を有する。チャック機構66Cによってキャリアテープ27の先端部27Rが回転軸66に取り付けられた状態で回転軸駆動部67が回転軸66を回転させると(図10(b)中に示す矢印R)、キャリアテープ27は回転軸66のまわりに巻き付けられていく。
【0049】
図7において、検出部68は、テープ引出し部62と記憶体設置部64との間に設けられている。検出部68はその直下の位置を検査位置とし、回転軸66の回転に従って検査位置を通過するキャリアテープ27の各ポケット27P内の部品BHを検出する。テープ引出し部62によってテープ供給リール61Aからキャリアテープ27が引き出されている状況において、検出部68が一定時間連続して部品BHを検出しなくなった場合には、空ポケット領域LSの先頭部が検査位置に到達したと判断することができる。
【0050】
切断部69は一対のカッタ部材69a,69bを備えている。一対のカッタ部材69a,69bはキャリアテープ27を挟む位置に配置されている。切断部69がカッタ部材69a,69bを互いに近接する方向に作動させると(図11(a)→図11(b))、キャリアテープ27が切断される。
【0051】
切断部69は、キャリアテープ27の空ポケット領域LSの中間部を切断部位としてキャリアテープ27を切断する(図12(a)→図12(b))。具体的には、切断部69は、検出部68により空ポケット領域LSの先頭部が検査位置に到達したと判断された後、空ポケット領域LSの中間部がカッタ部材69a,69bが対向している位置(切断位置)に到達するタイミングでカッタ部材69a,69bを作動させる。
【0052】
切断部69が切断位置でキャリアテープ27の切断部位を切断すると、キャリアテープ27は回転軸66側とテープ供給部61側に分離する(図12(b))。すなわち、キャリアテープ27は、回転軸66側のキャリアテープ27(図12(b)における右側の部分)と、テープ供給部61側のキャリアテープ27(図12(b)における左側の部分)とに分かれる。
【0053】
また、キャリアテープ27が切断部位で切断されることにより、その切断部位を含む空ポケット領域LSは2つに分割される。そして、回転軸66側のキャリアテープ27には後端27Eが生成し、テープ供給リール61A側のキャリアテープ27には新たな先端27Tが生成する。そして、回転軸66上に、キャリアテープ27がロール状に巻かれたロール体44と、ロール状に巻かれたキャリアテープ27のロール体44の中心側の端部に設けられた記憶体45とから成るキャリアテープロール体42が生成する。
【0054】
キャリアテープロール体製造装置3は、切断部69によってキャリアテープ27を切断したら、図示しないロボット機構等によってチャック機構66Cを移動させてキャリアテープロール体42をケース43に収納する。キャリアテープロール体42がケース43に収納された状態において回転軸66はケース43の左右の側壁51に設けた溝部51Mに位置する。次に、回転軸66によるキャリアテープ27のチャックを解除し、キャリアテープロール体42から回転軸66を抜き取る。具体的には、生成したキャリアテープロール体42を回転軸66の軸方向に移動させると、キャリアテープロール体42はそのままケース43内にとどまって回転軸66から離脱する(図13(a)→図13(b))。このようにしてケース入りキャリアテープロール体41が製造される。
【0055】
このように本実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置3によるキャリアテープロール体42の製造方法では、テープ供給部61から供給されるキャリアテープの先端部に記憶体45を設けたうえでそのキャリアテープ27の先端部27Rを回転軸66に取り付け、回転軸66を回転させるようになっている。そして、回転軸66にキャリアテープ27を巻き付けられたらキャリアテープを切断し、回転軸66に巻き付けたキャリアテープ27をテープ供給部61から分離させるようになっている。
【0056】
上記ようにして製造されたキャリアテープロール体42では、記憶体45はキャリアテープ27に設けられるので、記憶体45に部品BHの情報を書き込んでおくことにより、キャリアテープロール体42単体で(リール等の保持体なしでも)部品の情報が保持される。このため本実施の形態におけるキャリアテープロール体42は作業者にとって使い勝手がよく、作業効率を向上させることができる。
【0057】
また、記憶体45は最後の部品BH(最終部品)が取り出されるまでキャリアテープロール体42内に残るので、キャリアテープロール体42についての部品情報と識別情報は部品BHの消費状態によらずいつでも(使用済みの部分のキャリアテープ27が部品実装装置14側で切断され、残存するキャリアテープ27が短くなっていったとしても)、取得することが可能である。すなわち、部品の残数に関係なくキャリアテープ27に封入されている部品の情報が保持されるので、キャリアテープ27の使用の全期間を通して、そのキャリアテープ27に封入されている部品BHの情報を把握することが可能である。
【0058】
上述の説明では、記憶体45をキャリアテープ27に設ける例として、記憶体45をキャリアテープ27のカバーテープ27Cの表面に貼り付けるようになっていたが、記憶体45は必ずしもカバーテープ27Cに貼り付けるものでなくてもよい。例えば、記憶体45をチップ(チップ状)のものとし、これを空ポケット領域LS内のポケット27Pのいずれかに収納して他の部品BHとともに封入するようにしてもよい。この場合、チップ状の記憶体45は、キャリアテープ27の製造過程で封入されることになる。
【0059】
上記のように、記憶体45をポケット27Pに封入する場合、この記憶体45が部品実装装置14の部品吸着ノズル33によって吸着されないようにする必要がある。このため作業者OPは、キャリアテープ27の終端部(前述のキャリアテープ27の先端27Tに相当する端部)が近くなった場合に、その最終部品(ロール状に巻かれたキャリアテープ27の先端27Tに最も近い位置に封入されている部品BH)と記憶体45との間でキャリアテープ27を切断することになるが、本実施の形態では、前述したように、最終部品と記憶体45との間に少なくとも1つの空のポケット27Pが存在するので、作業者はキャリアテープ27を切断すべき箇所を見付け易くなる。
【0060】
次に、キャリアテープロール体処理装置4について説明する。キャリアテープロール体処理装置4は、図14に示すリール付きキャリアテープロール体RRを処理してケース入りキャリアテープロール体41を製造する装置である。リール付きキャリアテープロール体RRは、前述のキャリアテープロール体42がリールRLによって保持されたものであり、外部(部品実装システム1とは異なる場所)で作成され、部品実装システム1に持ち込まれるものである。このリール付きキャリアテープロール体RRは、部品実装装置14の部品供給ユニット26にキャリアテープ27を供給する部品供給リールとして使用することも可能であるが、キャリアテープロール体42をリールRLから取り出してリールRLより薄型のケース43に収納し、リールレスで部品供給ユニット26にキャリアテープ27を供給する運用をする場合はキャリアテープロール体処理装置4でリールRLからキャリアテープロール体42を取り出してケース43に収納する。
【0061】
図15はリールRLの構成を示している。リールRLは、2つの側板FLと、2つの側板FLとの間に配置された巻き芯MSを有しており、巻き芯MSが一方の側板FLに巻き芯MSが結合されている。そして、一方の側板FLの巻き芯MSに設けられた複数の凹部MSKと、他方の側板FLの側に設けられた複数の凸部FLTとが嵌合することによって、2つの側板FLが連結される構成を有している。このため本実施の形態においてリールRLを分解したときは、リールRLは、一方の側板FLを含む部分と他方の側板FLを含む部分とに2分割される。
【0062】
このようなリールRLによってキャリアテープロール体42が保持されたリール付きキャリアテープロール体RRは、巻き芯MSを前述したキャリアテープロール体製造装置3が備える回転軸66に置き換えた構成とすることで製造することができる。但し、リール付きキャリアテープロール体RRが有するキャリアテープロール体42の記憶体45には情報は書き込まれておらず、リールRLに貼り付けられた識別子RRLに部品情報のみが記録されている。
【0063】
キャリアテープロール体処理装置4は、上述のように外部から持ち込まれたリール付きキャリアテープロール体RRのリールRLからキャリアテープロール体42を取り出し、そのキャリアテープロール体42をケース43に収納する一方、リールRLを回収するように動作する。キャリアテープロール体処理装置4は、図16図17および図18に示すように、リール供給部71、リール搬送部72、ロール体取り出し部73、回収部74、読み取り部75および書き込み部76を備えている。
【0064】
リール供給部71は、リール付きキャリアテープロール体RRを供給する機能を有する。リール供給部71は、図16および図17に示すように、例えば上方に開放した容器状の部材から成り、複数のリール付きキャリアテープロール体RRを横方向に並べた状態で保持する。
【0065】
リール搬送部72は、リール供給部71が供給するリール付きキャリアテープロール体RRを把持してロール体取り出し部73の上方へ移動させる機能を有する。リール搬送部72は、図16および図17に示すように、把持ヘッド81と把持ヘッド移動機構82を備えている。把持ヘッド81は下方に延びた2つの把持部81Hによって、リール供給部71が供給するリール付きキャリアテープロール体RRを把持する。把持ヘッド移動機構82は、リール付きキャリアテープロール体RRを把持した把持ヘッド81を水平面内方向および上下方向に移動させる。
【0066】
ロール体取り出し部73は、リール付きキャリアテープロール体RRのリールRLからキャリアテープロール体42を取り出してケース43に収納する機能を有する。ロール体取り出し部73は、リール付きキャリアテープロール体RRのリールRLからキャリアテープロール体42を分離する分離部73Aと、分離部73AによってリールRLから分離されたキャリアテープロール体42をケース43に収納するロール体収納部73Bを備えている。
【0067】
分離部73Aは、図16および図17に示すように、セパレータ83とセパレータ駆動部84を備えている。セパレータ83は水平方向に対向して上下方向に延びた一対の可動板83Sを有して成る。各可動板83Sには上縁部から下方に窪んで設けられたU字状の逃げ部83Nが設けられている(図17)。
【0068】
図16および図17において、セパレータ駆動部84は、一対のアーム部84Aと、これら2つのアーム部84Aを移動させるアーム駆動部84Bとを備えている。2つのアーム部84Aは、2つの可動板83Sそれぞれに一端部が取り付けられており、それぞれほぼ水平方向に延びている。アーム駆動部84Bは、2つのアーム部84Aを水平方向に移動させることで、2つのアーム部84Aの(従ってセパレータ83の)間隔を変えることができる。
【0069】
図16および図17において、ロール体収納部73Bは、ケース保持部73Baとシュート部73Bbを備えている。ロール体収納部73Bは空のケース43を保持し、かつ水平方向に搬送する機能を有する。シュート部73Bbは、分離部73AによってリールRLから分離されたキャリアテープロール体42が、ケース保持部73Baによって保持された空のケース43に1個ずつ収納されるようにキャリアテープロール体42を案内する機能を有する。
【0070】
ケース保持部73Baは、図16図17および図18に示すように、水平方向に延びたコンベア機構から構成されている。ケース保持部73Baは複数のケース43それぞれを上方開口55が上を向くように一列に並べて状態に保持し、かつ、水平方向に向けて間欠的に搬送する。
【0071】
シュート部73Bbは、図16図17および図18に示すように、一対のシュート部材73Tから成る。2つのシュート部材73Tは、セパレータ83を構成する2つの可動板83Sが対向する方向に対向して配置されている。2つのシュート部材73Tは、セパレータ83の下方に配置されている。
【0072】
図18において、2つのシュート部材73Tはそれぞれの上端部73Jは上方側にいくほど広がる形状を有している。2つのシュート部材73Tの上端部73J同士の間隔は、セパレータ83を構成する2つの可動板83Sの下端部同士の間隔よりも広くなっている。また、2つのシュート部材73Tの間隔は、下端側へ行くほど狭くなっている(図18)。
【0073】
シュート部73Bbは、分離部73AによってリールRLが分解されることによってリールRLから分離したキャリアテープロール体42を下方に案内することによって、その下方に位置するケース43内にキャリアテープロール体42を収納する。これにより、1つのケース43に1個のキャリアテープロール体42が収納された状態となる。
【0074】
回収部74は、分離部73Aによって分解されたリールRLを回収する機能を有する。回収部74は、図16および図17に示すように、一対のリール排出シュート85と回収箱86を備えている。
【0075】
2つのリール排出シュート85は、上側に行くほど開口部が広くなる筒型の形状を有している。2つのリール排出シュート85それぞれの上端開口85Kはセパレータ83の側方(2つの可動板83Sそれぞれの側方)に位置している。回収箱86は上方に開口した容器状の部材であり、2つのリール排出シュート85の下方に設けられている。
【0076】
分離部73AによってリールRLを分解するときには、先ず、リール搬送部72の把持ヘッド81によって把持されたリール付きキャリアテープロール体RRがセパレータ83の上方に位置される(図18)。そして、セパレータ83を構成する2つの可動板83Sの上端部同士の間隔が、リール付きキャリアテープロール体RRのリールRLを構成する2つの側板FLの間の間隔よりも小さくなるようにしたうえで(図19(a)中に示す矢印A)、2つの可動板83Sそれぞれの上端部が2つの側板FLの間に下方から挿入されるように、把持ヘッド81をセパレータ83に対して相対的に下降させる(図19(a)中に示す矢印B)。
【0077】
2つの可動板83Sそれぞれの上端部が2つの側板FLの間に下方から挿入されたら、アーム駆動部84Bが作動して、2つの可動板83Sの間隔を大きくしていく。このとき2つの可動板83Sの間隔が、2つの側板FLの間隔よりも大きくなるようにする(図19(b)中に示す矢印C)。これにより可動板83Sは側板FLを外側に押し広げて側板FLとキャリアテープロール体42間の隙間を広げる。
【0078】
2つの可動板83Sの間隔を大きくしていくことによって、側板FLとキャリアテープロール体42間の隙間が広くなったら(図19(b))、把持ヘッド81を更に、セパレータ83に対して相対的に下降させる(図19(c)中に示す矢印D)。これにより2つの可動板83Sはそれぞれ、広げられた側板FLとキャリアテープロール体42間の隙間に挿入される。このとき、各可動板83Sに形成された前述の逃げ部83N内に巻き芯MSが入り込む。
【0079】
2つの可動板83Sがそれぞれ、側板FLとキャリアテープロール体42との間に挿入されたら、アーム駆動部84Bは2つの可動板83Sの間隔を更に広げる(図20中に示す矢印E)。これにより2つの側板FLは引き放され、一方の側板FLの巻き芯MSに設けられた複数の凹部MSKと、他方の側板FLの側に設けられた複数の凸部FLTとが分離する(図20)。これによりリールRLは一方の側板FLを含む部分と他方の側板FLを含む部分とに2分割され、リールRLから分離したキャリアテープロール体42はロール体収納部73Bを構成する2つのシュート部73Bbの間を通ってロール体収納部73Bの直下に位置する空のケース43内に収納される。
【0080】
一方、2分割されたリールRLのうちの一方側の側板FLは一方側のリール排出シュート85の上端開口85Kに落下し、他方側の側板FLは他方側のリール排出シュート85の上端開口85Kに落下する(図20)。これら2つの側板FLはそれぞれリール排出シュート85内を通って落下し、回収箱86内に入って回収される。
【0081】
図16において、読み取り部75は、リール供給部71の近傍に設けられている。読み取り部75は、リールRLの外側の表面に印刷(記録)されている識別子RRLから情報を光学的に読み取るリーダやカメラから構成されている。図16および図17の破線Brは読み取り部75の読み取り範囲を模式的に示すものである。
【0082】
識別子RRLは、キャリアテープ27に収納されている部品BHの部品情報を含んでおり、読み取り部75は、その識別子RRLから、リール付きキャリアテープロール体RRが有するキャリアテープ27に収納されている部品BHの部品情報を取得する(読み取る)。ここでも部品情報は、部品BHの種類、部品名、特性、製造年月日、製造者、使用期限、部品数もしくはこれらの情報にアクセスするためのアクセス情報(URL等)の少なくとも1つを含んでいればよい。
【0083】
このように本実施の形態において、読み取り部75は、キャリアテープ27に収納された部品に関する情報である部品情報を取得する部品情報取得部となっている。なお、リールRLに設けられている識別子RRLが無線タグ等である場合には、読み取り部75には無線タグの情報を非接触で読み取る機能を有する非接触リーダを使用してもよい。また、読み取り部75はリール供給部71のリールRLから部品情報を読み取るようにしているが、把持ヘッド81に把持されたリールRLから読み取るようにしてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では読み取り部75がリール供給部71のリールRLの識別子を読み取り可能な位置に配置されているが、識別子を読み取り可能な位置であればどこでもよい。また、把持ヘッド81やロボットアーム(図示せず)に装着して移動可能にしてもよい。更に、読み取り部75を無線または有線のハンドスキャナで構成し、作業者の操作によってリールRLの識別子を読み取るようにしてもよい。
【0085】
書き込み部76は、把持ヘッド81が把持したリール付きキャリアテープロール体RRのキャリアテープロール体42に設けられている記憶体45に、無線通信によって情報を書き込む。書き込み部76が記憶体45に書き込む情報は、読み取り部75がリール付きキャリアテープロール体RRのリールRLに貼り付けられている識別子RRLから取得した(読み取った)部品情報と、後述する管理コンピュータ7の識別情報生成部104cによって生成(発行)される識別情報である。すなわち書き込み部76は、ここでは、部品情報書き込み部と識別情報書き込み部の両方の機能を有している。なお、ここでも識別情報は、キャリアテープロール体42を識別する目的とケース43を識別する目的の両方で使用される。
【0086】
次に、保管倉庫5について説明する。保管倉庫5は、ケース入りキャリアテープロール体41を保管する。ここでいうケース入りキャリアテープロール体41とは、キャリアテープロール体製造装置3によって製造され、またはキャリアテープロール体処理装置4によって処理されたばかりのケース入りキャリアテープロール体41だけでなく、部品実装装置14において使用されて途中で戻されたような使用途中のケース入りキャリアテープロール体41も含まれる。
【0087】
図21において、保管倉庫5は、筐体91内に複数の棚部92を有している。筐体91の前面下方には、入口93が設けられている。筐体91の内部には、入口93を通じて筐体91の外部(作業者OPの手前側)への張り出し動作と筐体91の内部(作業者OPから見た奥側)への引き込み動作とを行う移動テーブル94が設けられている。移動テーブル94は、ケース入りキャリアテープロール体41が保管倉庫5に保管される際には作業者OPの手前側へ張り出され、移動テーブル94に載置されたケース入りキャリアテープロール体41を筐体91内に収容するときには奥側に引き込まれる。
【0088】
保管倉庫5が備える複数の棚部92のそれぞれには、ケース入りキャリアテープロール体41を保管(載置)するための複数の保管位置92Sが予め定められている。すなわち本実施の形態において、各棚部92は、キャリアテープロール体42を収納したケース43(すなわちケース入りキャリアテープロール体41)を保管する保管位置92Sを複数備えた保管部となっている。
【0089】
図21において、筐体91内にはケース移送機構95(ケース搬送部)が設けられている。ケース移送機構95は、上下方向(Z軸方向とする)に延びたZ軸テーブル96と、作業者OPから見た前後方向(Y軸方向とする)に延びてZ軸テーブル96によって上下方向に移動されるY軸テーブル97と、作業者OPから見た横方向(X軸方向とする)に延びてY軸テーブル97によって前後方向に移動されるX軸テーブル98と、X軸テーブル98によってX軸方向に移動される移送ヘッド99とを備えている。
【0090】
ケース移送機構95は、Z軸テーブル96によるY軸テーブル97のZ軸方向への移動動作と、Y軸テーブル97によるX軸テーブル98のY軸方向への移動と、X軸テーブル98による移送ヘッド99のX軸方向への移動とによって、移送ヘッド99を三次元的に移動させる。移送ヘッド99はX軸方向に並んだ2つのフィンガ99Fを備えている。
【0091】
2つのフィンガ99FはX軸方向に互いに近接或いは離間させることができる。2つのフィンガ99Fの間にケース入りキャリアテープロール体41が位置した状態で2つのフィンガ99Fが閉じるように作動されると、そのケース入りキャリアテープロール体41は2つのフィンガ99Fによって(すなわち移送ヘッド99によって)把持される。
【0092】
図21において、移送ヘッド99には、撮像視野を作業者OPから見た奥方向に向けた非接触リーダ100が設けられている。この非接触リーダ100は、移送ヘッド99がケース入りキャリアテープロール体41を把持する位置において、そのケース入りキャリアテープロール体41が備える記憶体45と通信が可能(記憶体45に書き込まれた情報の読み取りが可能)な位置に設置されている。
【0093】
非接触リーダ100は、記憶体45と通信が可能な位置に位置した状態において、記憶体45に書き込まれている情報(部品情報と識別情報)を読み取る。本実施の形態において、非接触リーダ100は記憶体45に書き込まれた識別情報を読み取る識別情報読み取り部として機能するようになっている。非接触リーダ100は、ケース入りキャリアテープロール体41の記憶体45に書き込まれている情報を読み取ったら、その読み取った情報を管理コンピュータ7に記憶させる(後述)。
【0094】
複数の棚部92のそれぞれに定められた各保管位置92Sにはユニークな住所が与えられている。本実施の形態では、保管位置92Sにケース入りキャリアテープロール体41を保管(載置)するときには、そのケース入りキャリアテープロール体41のキャリアテープロール体42(キャリアテープ27)に収納されている部品BHの情報(部品情報)と、そのケース入りキャリアテープロール体41の識別情報とを関連付けた(いわゆる紐付けした)情報が管理コンピュータ7に記憶されるほか、部品情報と、保管位置92Sの情報(保管位置情報)とを関連付けた情報が管理コンピュータ7に記憶される(後述)。これにより管理コンピュータ7は、保管倉庫5のどの保管位置92Sに、どの部品BHを収納したケース入りキャリアテープロール体41が保管されているかを把握することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、ケース搬送部と保管部の一例として保管倉庫5の筐体91内部に配置されたケース移送機構95と棚部92を示したが、これらは保管倉庫5の筐体91内部に配置されたものに限定されることはなく、オープンスペースに配置されたものでもよい。更にケース搬送部としては、床面や工場内に配置されたレール上を移動する搬送ロボットを含むもの等であってもよい。
【0096】
図22は部品実装システム1の全体における制御系統をブロック図により示したものである。図22に示すように、管理コンピュータ7は、生産情報管理部101、部品監視部102、作業指示部103および情報管理部104を備えている。生産情報管理部101は部品実装システム1における生産計画データを記憶している。部品監視部102は、製造ライン2における部品BHの残数等を監視する。部品監視部102は部品切れが予測される場合、その旨を作業指示部103に伝達する。
【0097】
作業指示部103は生産情報管理部101に記憶されている生産計画データに基づく機種の切り替え時の作業指示を、製造ライン2と作業者OPに対して行うとともに、次の機種の生産で使用する部品BHの払い出し等の指示を、保管倉庫5に対して行う。また作業指示部103は、部品監視部102からの情報に基づく作業指示(具体的には、保管倉庫5に対する補充用部品の払い出しの指示と、作業者OPに対する部品補充作業の指示)等を行う。
【0098】
情報管理部104は、第1の情報管理部104a、第2の情報管理部104b、識別情報生成部104cおよび保管位置情報生成部104dを備えている(図22)。第1の情報管理部104aは部品情報を管理し、第2の情報管理部104bは保管倉庫5内における部品BHの保管位置92Sの情報(保管位置情報)を管理する。
【0099】
具体的には、第1の情報管理部104aは、キャリアテープロール体製造装置3で製造されたキャリアテープロール体42についての部品情報と識別情報とを関連付けた状態で記憶する。また第1の情報管理部104aは、キャリアテープロール体処理装置4においてリールRLから分離されたキャリアテープロール体42についての部品情報と識別情報とを関連付けた状態で記憶する。本実施の形態では第1の情報管理部104aが部品情報を識別情報と関連付けて記憶する第1の情報記憶部となっている。
【0100】
第2の情報管理部104bは、キャリアテープロール体製造装置3で製造されたキャリアテープロール体42についての識別情報と保管位置92Sの情報(保管位置情報)とを関連付けた状態で記憶する。また、第2の情報管理部104bは、キャリアテープロール体処理装置4においてリールRLから分離されたキャリアテープロール体42についての識別情報と保管位置92Sの情報(保管位置情報)とを関連付けた状態で記憶する。本実施の形態では第2の情報管理部104bが識別情報と保管位置情報とを関連付けて記憶する第2の情報記憶部となっている。また、情報管理部104は第1の情報記憶部と第2の情報記憶部の両方の機能を有する情報記憶部となっている。
【0101】
識別情報生成部104cは、キャリアテープロール体製造装置3において、記憶体設置部64がキャリアテープ27に記憶体45を設けたとき等に、そのキャリアテープロール体42についての識別情報を生成(発行)する。また、識別情報生成部104cは、キャリアテープロール体処理装置4がリール付きキャリアテープロール体RRのリールRLを分解し、リールRLからキャリアテープロール体42が分離されたとき等に、そのキャリアテープロール体42についての識別情報を生成(発行)する。保管位置情報生成部104dは、ケース入りキャリアテープロール体41が保管倉庫5に保管される際に、そのケース入りキャリアテープロール体41の保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成する。
【0102】
図22に示すように、キャリアテープロール体製造装置3は、製造装置制御部3Cを備えている。製造装置制御部3Cは、キャリアテープロール体製造装置3が備えるテープ引出し部62、記憶体設置部64、情報書き込み部65、チャック機構66C、回転軸駆動部67、検出部68および切断部69等の制御を行う。また、製造装置制御部3Cは、ハンディスキャナHSとの通信が可能である。
【0103】
図22に示すように、キャリアテープロール体処理装置4は処理装置制御部4Cを備えている。処理装置制御部4Cはキャリアテープロール体処理装置4が備えるリール搬送部72、ロール体取り出し部73、読み取り部75、書き込み部76等の制御を行う。また図22に示すように、保管倉庫5は倉庫制御部5Cを備えている。倉庫制御部5Cは、保管倉庫5が備える移動テーブル94、ケース移送機構95および非接触リーダ100の制御を行う。
【0104】
次に、図23のフローチャートを用いて、キャリアテープロール体製造装置3によりキャリアテープロール体42の製造作業を行う手順(キャリアテープロール体42の製造方法)を説明する。キャリアテープロール体42を製造するには、先ず、テープ供給部61が供給するキャリアテープ27に収納されている部品BHの部品情報を取得する(ステップST1の部品情報取得工程)。具体的には、前述したように、テープ供給リール61Aに貼り付けられているコードラベル61LをハンディスキャナHSによってスキャンすること等によって部品情報を取得する。
【0105】
ステップST1において部品情報を取得したら、テープ引出し部62を作動させてテープ供給リール61Aからキャリアテープ27を引き出し、そのキャリアテープ27の先端部27Rをバックアップステージ63に支持させる(ステップST2のテープ支持工程。図7)。そして、記憶体設置部64を作動させて、キャリアテープ27の先端部27Rに記憶体45を設ける(ステップST3の記憶体設置工程。図9(a),(b))。
【0106】
製造装置制御部3Cは、記憶体45をキャリアテープ27の先端部27Rに設けたら、管理コンピュータ7の識別情報生成部104cに、製造しようとしているキャリアテープロール体42についての識別情報を生成させる(ステップST4の識別情報生成工程)。そして、識別情報生成部104cに識別情報を生成させたら、ステップST1で取得した部品情報と、ステップST4で生成された識別情報を記憶体45に書き込む(ステップST5の部品情報書き込み工程および識別情報書き込み工程)。
【0107】
製造装置制御部3Cは、部品情報と識別情報を記憶体45に書き込んだら、その記憶体45に書き込んだ情報(部品情報および識別情報)を管理コンピュータ7に送信し、管理コンピュータ7の第1の情報管理部104aに、その情報(部品情報および識別情報)を記憶させる。これにより、製造しようとしているキャリアテープロール体42について、そのキャリアテープロール体42の固有の情報である識別情報と、そのキャリアテープロール体42に収納されている部品BHの情報である部品情報とが関連付けられた状態で管理コンピュータ7に登録される(ステップST6の情報登録工程)。
【0108】
製造装置制御部3Cは、部品情報と識別情報を管理コンピュータ7の第1の情報管理部104aに記憶させたら、テープ引出し部62を作動させるとともにチャック機構66Cを作動させて、記憶体45が設けられたキャリアテープ27の先端部27Rを回転軸66に取り付ける(ステップST7のテープ先端部取付け工程。図10(a)。そして、製造装置制御部3Cは、キャリアテープ27の先端部27Rを回転軸66に取り付けたら、回転軸駆動部67によって回転軸66を回転させることによって、キャリアテープを回転軸66に巻き付けていく(ステップST8のキャリアテープ巻き付け工程。図10(b))。
【0109】
製造装置制御部3Cは、回転軸駆動部67による回転軸66を回転させ始めたら、検出部68による部品BHの検出状況に基づいて、空ポケット領域LSの中間部(切断部位)が切断位置に到達したかどうかを判断する(ステップST9の切断判断工程)。そして、製造装置制御部3Cは、切断部位が切断位置に到達したと判断した場合には、切断部69を作動させて、キャリアテープ27の切断部位を切断する(ステップST10の切断工程。図11(a)→図11(b))。
【0110】
製造装置制御部3Cはキャリアテープ27を切断したら、ロボット機構等によってチャック機構66Cを移動させてキャリアテープロール体42をケース43に収納する(ステップST11の収納工程)。その後、回転軸66に巻き付けられてロール状になったキャリアテープ27から回転軸66を抜き取る(ステップST12の回転軸抜取り工程)。そして、キャリアテープ27の端部(後端27E)を、ケース43のテープ端保持部43Kに係止して固定する(ステップST13のテープ端部係止工程)。これによりケース43内にキャリアテープロール体42が収納されたケース入りキャリアテープロール体41が1つ製造された状態となる。
【0111】
製造装置制御部3Cは、ケース入りキャリアテープロール体41が1つ製造されたら、続いてケース入りキャリアテープロール体41を製造するかどうかを判断する(ステップST14の製造継続判断工程)。そして、続いてケース入りキャリアテープロール体41を製造する場合にはステップST2に戻り、ケース入りキャリアテープロール体41の製造を終了する場合には一連の処理を終了する。
【0112】
次に、図24に示すフローチャートを用いて、キャリアテープロール体処理装置4によりキャリアテープ27の処理作業を行う手順(キャリアテープ27の処理方法)を説明する。キャリアテープロール体42を処理するには、先ず、リール供給部71によって供給されるリール付きキャリアテープロール体RRのうち、作業対象となっているリール付きキャリアテープロール体RRの部品情報を取得する(ステップST21の部品情報取得工程)。ここでは、部品情報の取得は、読み取り部75が、作業対象となっているリール付きキャリアテープロール体RRのリールRLに貼り付けられている識別子RRLから情報を読み取ることによって行うが(図16)、他の方法によってもよい。例えば、作業者OPが、処理装置制御部4Cに繋がる入力装置(図示せず)から、識別子RRLに記憶された内容に相当する入力を行うのであってもよい。
【0113】
ステップST21でリール付きキャリアテープロール体RRの部品情報を取得したら、処理装置制御部4Cは、キャリアテープロール体処理装置4のリール搬送部72を作動させ、作業対象とするリール付きキャリアテープロール体RRを把持ヘッド81に把持させる。そして、把持ヘッド81がリール付きキャリアテープロール体RRを把持したら、把持ヘッド81を移動させて(図17)、リール付きキャリアテープロール体RRをセパレータ83の上方に位置決めする(ステップST22の位置決め工程。図18)。
【0114】
処理装置制御部4Cは、リール付きキャリアテープロール体RRをセパレータ83の上方に位置決めしたら、管理コンピュータ7の識別情報生成部104cに、リールRLから分離されたキャリアテープロール体42についての識別情報の生成を要請する。そして、処理装置制御部4Cから識別情報の生成を要請された識別情報生成部104cは、リールRLの分離によって取り出されたキャリアテープロール体42についての識別情報を生成する(ステップST23の識別情報生成工程)。
【0115】
ステップST23で識別情報生成部104cによって識別情報が生成されたら、キャリアテープロール体処理装置4の処理装置制御部4Cは、その生成された識別情報を受け取る。そして、書き込み部76によって、ステップST21で取得した部品情報と、ステップST23で生成された識別情報を、リール付きキャリアテープロール体RRのキャリアテープロール体42に取り付けられている記憶体45に書き込む(ステップST24の部品情報書き込み工程および識別情報書き込み工程)。
【0116】
処理装置制御部4Cは、部品情報と識別情報をリール付きキャリアテープロール体RRに取り付けられている記憶体45に書き込んだら、その記憶体45に書き込んだ情報(リール付きキャリアテープロール体RRのキャリアテープロール体42についての部品情報および識別情報)を管理コンピュータ7に送信し、管理コンピュータ7の第1の情報管理部104aに、その情報(部品情報および識別情報)を記憶させる。これにより、リールRLから分離させようとしているキャリアテープロール体42について、そのキャリアテープロール体42の固有の情報である識別情報と、そのキャリアテープロール体42に収納されている部品BHの情報である部品情報とが関連付けられた状態で管理コンピュータ7に登録される(ステップST25の情報登録工程)。
【0117】
処理装置制御部4Cは、キャリアテープロール体42についての情報を管理コンピュータ7の第1の情報管理部104aに書き込んだら、セパレータ83によって前述の要領でリールRLを分解し(図19(a)→図19(a)→図19(c))、キャリアテープロール体42をリールRLから分離させる(ステップST26の分離工程)。これによりリールRLは一方の側板FLを含む部分と他方の側板FLを含む部分とに2分割され、キャリアテープロール体42はロール体収納部73Bを通ってロール体収納部73Bの直下に位置する空のケース43内に収納される(ステップST27の収納工程)。また、2分割されたリールRLはそれぞれリール排出シュート85内を通って回収箱86に回収される(ステップST28の保持体回収工程)。
【0118】
ここで、上記ステップST26の分離工程と、ステップST27の収納工程は、キャリアテープロール体42を保持する保持体としてのリールRLからキャリアテープロール体42を取り出してケース43に収納するロール体取り出し収納工程となっている。このロール体取り出し収納工程のうち収納工程では、分離工程でリールRLから分離したキャリアテープロール体42を空のケース43に1個ずつ収納するようになっている。このため、1個のキャリアテープロール体42を1つのケース43単位で管理することが可能となる。
【0119】
処理装置制御部4Cは、キャリアテープロール体42についての情報を管理コンピュータ7の第1の情報管理部104aに書き込んだ後、リールRLを分解したら、一連のキャリアテープ27の処理作業を終了する。
【0120】
次に、図25に示すフローチャートを用いて、ケース入りキャリアテープロール体41の保管作業を行う手順を説明する。これには先ず、保管倉庫5の倉庫制御部5Cが、筐体91に設けられた入口93から移動テーブル94を手前側に移動させる。そして、作業者OPが(或いは図示しない移動ロボットが)、移動テーブル94にケース入りキャリアテープロール体41を載置する(ステップST31の載置工程。図21)。このときケース入りキャリアテープロール体41は、上方開口55が上を向き、かつ、前壁53が手前側(作業者OPの側)を向く姿勢で移動テーブル94に載置される。
【0121】
移動テーブル94にケース入りキャリアテープロール体41が載置されたら、倉庫制御部5Cは移動テーブル94を移動させて、ケース入りキャリアテープロール体41を筐体91内に引き込む。ケース入りキャリアテープロール体41が筐体91内に引き込まれたら、倉庫制御部5Cは移動テーブル94に載置されているケース入りキャリアテープロール体41の手前側に移送ヘッド99を移動させる。そして、2つのフィンガ99Fを閉じるように作動させて、移送ヘッド99にケース入りキャリアテープロール体41を把持させる。このとき移送ヘッド99に設けられた非接触リーダ100はキャリアテープロール体42に設けられている記憶体45と通信が可能な位置に位置し、非接触リーダ100は記憶体45に書き込まれている識別情報を読み取る(ステップST32の識別情報読み取り工程)。
【0122】
非接触リーダ100が記憶体45に書き込まれている識別情報を読み取ったら、倉庫制御部5Cは、その非接触リーダ100が読み取った識別情報を管理コンピュータ7に送信する。そして、倉庫制御部5Cから識別情報の送信を受けた管理コンピュータ7は、保管位置情報生成部104dにおいて、その識別情報に対応するケース入りキャリアテープロール体41(非接触リーダ100が識別情報を読み取ったケース入りキャリアテープロール体41)の保管倉庫5内における保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成する(ステップST33の保管位置情報生成工程)。この保管位置92Sの特定は、その時点で空き状態となっている保管位置92Sの中から任意に或いは所定の規則に従って選択してなされる。
【0123】
ステップST33で保管位置情報生成部104dが保管位置情報を生成したら、管理コンピュータ7は、その生成された保管位置情報と、その保管位置情報に対応するケース入りキャリアテープロール体41の識別情報とを関連付けた状態で、第2の情報管理部104bに記憶させる。これにより、保管倉庫5に保管されようとしているケース入りキャリアテープロール体41について、そのキャリアテープロール体42の固有の情報である識別情報と、そのキャリアテープロール体42を含むケース入りキャリアテープロール体41の保管倉庫5内での保管位置の情報(保管位置情報)とが関連付けられた状態で管理コンピュータ7に登録される(ステップST34の保管位置情報登録工程)。
【0124】
管理コンピュータ7は、移動テーブル94に載置されたケース入りキャリアテープロール体41についての保管情報と識別情報とを関連付けた状態で第2の情報管理部104bに記憶させたら、ケース移送機構95を作動させて、移動テーブル94に載置されたケース入りキャリアテープロール体41を、保管位置情報に対応する(特定した)保管位置92Sに移送して保管する(ステップST35の保管工程)。これによりケース入りキャリアテープロール体41の保管作業が終了する。
【0125】
このように本実施の形態では、保持体としてのリールRLから取り出したキャリアテープロール体42をケース43に収納することで、ケース入りキャリアテープロール体41として取り扱うことができるようになっている。ケース入りキャリアテープロール体41はリール付きキャリアテープロール体RRよりも幅方向寸法を小さくしてコンパクト化を図ることができるうえ、キャリアテープロール体42を(すなわちキャリアテープ27を)使い切った後にリールRLが廃棄物として残らないので作業性もよい。また、ケース43はそれ自体が安価であるだけでなく、リールRLと異なって再使用(使い回し)ができるので、その面でもコストを安価にすることができる。
【0126】
更に、本実施の形態では、記憶体45がキャリアテープロール体42に設けられており、テープ供給リール61AまたはリールRLに記録されていた部品情報を記憶体45に書き込んで記憶させることができるので、テープ供給部61が供給するキャリアテープ27を切断しても、或いはキャリアテープロール体42をリールRLから取り出しても部品情報が不明になることはなく、ケース入りキャリアテープロール体41を1つひとつの単位で部品情報を管理することができる。また、部品情報とキャリアテープロール体42の固有の情報である識別情報が関連付けられて記憶されるので、この面でも、ケース入りキャリアテープロール体41を1つひとつの単位で部品情報を管理することが可能である。
【0127】
上述の部品実装システム1において、キャリアテープロール体製造装置3、キャリアテープロール体処理装置4、保管倉庫5および情報管理部104は部品管理装置110を構成している(図22)。
【0128】
この部品管理装置110を用いた部品BHの管理作業(部品管理方法)は、先ず、部品情報を取得し(ステップST1またはステップST21の部品情報取得工程)、識別情報を生成したうえで(ステップST4またはステップST23の識別情報生成工程)、これら部品情報と識別情報をキャリアテープロール体42に設けられた記憶体45に書き込み(ステップST5の部品情報書き込み工程および識別情報書き込み工程またはステップST24の部品情報書き込み工程および識別情報書き込み工程)、その書き込んだ部品情報と識別情報とを関連付けて第1の情報管理部104aに記憶させる(ステップST6およびステップST25の情報登録工程)。そして、記憶体45に書き込んだ識別情報を識別情報読み取り部(非接触リーダ100)によって読み取り(ステップST32の識別情報読み取り工程)、保管位置92Sを特定して保管位置情報を生成したうえで(ステップST33の保管位置情報生成工程)、識別情報と保管位置情報とを関連付けて第2の情報管理部104bに記憶させる(ステップST34の保管位置情報登録工程)という手順で実行される。
【0129】
このような部品管理方法によれば、ケース入りキャリアテープロール体41についての部品情報と識別情報が関連付けて記憶されるほか、そのケース入りキャリアテープロール体41の識別情報と保管位置情報とが関連付けて記憶されるので、保管倉庫5におけるケース入りキャリアテープロール体41の保管および取り出しをスムーズに行うことができる。このため本実施の形態における部品管理装置110(部品管理方法)によれば、部品BHの入庫および出庫を簡単かつ効率よく行うことができる。
【0130】
図26は、本実施の形態における部品実装システム1におけるケース入りキャリアテープロール体41の運用のイメージを図示したものである。この図に示すように、本実施の形態におけるケース入りキャリアテープロール体41は、テープ供給部61のテープ供給リール61Aとケース43がそれぞれキャリアテープロール体製造装置3に供給されることで製造される。或いは、リール付きキャリアテープロール体RRとケース43がそれぞれキャリアテープロール体処理装置4に供給されることで製造される。
【0131】
キャリアテープロール体製造装置3で製造されたケース入りキャリアテープロール体41或いはキャリアテープロール体処理装置4で処理されて製造されたケース入りキャリアテープロール体41の一部は製造ライン2に送られて使用され、他の一部は保管倉庫5に保管(入庫)される。保管倉庫5に保管されたケース入りキャリアテープロール体41は、そこから出庫されて製造ライン2に送られ、使用される。そして、製造ライン2でケース入りキャリアテープロール体41のキャリアテープ27が使い切られることによって生じたケース43は回収されてキャリアテープロール体製造装置3或いはキャリアテープロール体処理装置4に供給され、新たなケース入りキャリアテープロール体41の製造に再利用される。また、製造ライン2に送られたケース入りキャリアテープロール体41であって、キャリアテープ27がまだ使い切られていない状態のものの一部は、保管倉庫5に戻されて保管(入庫)される。
【0132】
以上説明したように、本実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置3(キャリアテープロール体42の製造方法)は、テープ供給部61から供給されるキャリアテープの先端部に記憶体45を設けたうえで(ステップST3の記憶体設置工程)、そのキャリアテープ27の先端部27Rを回転軸66に取り付け(ステップST7のテープ先端部取付け工程)、回転軸66を回転させることによって回転軸66にキャリアテープ27を巻き付けた後(ステップST8のキャリアテープ巻き付け工程)、キャリアテープ27を切断することによって(ステップST10の切断工程)、その回転軸66に巻き付けたキャリアテープ27をテープ供給部61から分離するようになっている。このようにして製造されたキャリアテープロール体42では、記憶体45はキャリアテープ27に設けられるので、記憶体45に部品BHの情報を書き込んでおくことにより(ステップST5の部品情報書き込み工程および識別情報書き込み工程)、キャリアテープロール体42単体で(リール等の保持体なしでも)部品の情報が保持され、リール等の保持体なし(リールレス)のキャリアテープロール体42を使用して部品実装を行うことができる。このため本実施の形態におけるキャリアテープロール体42は作業者にとって使い勝手がよく、作業効率を向上させることができる。
【0133】
また、記憶体45は最後の部品BH(最終部品)が取り出されるまでキャリアテープロール体42内に残るので、キャリアテープロール体42についての部品情報と識別情報は部品BHの消費状態によらずいつでも(使用済みの部分のキャリアテープ27が部品実装装置14側で切断され、残存するキャリアテープ27が短くなっていったとしても)、取得することが可能である。すなわち、本実施の形態によれば、リール等の保持体なしでも、部品BHの残数に関係なくキャリアテープ27に封入されている部品BHの情報が保持されるキャリアテープロール体42を得ることができ、キャリアテープ27の使用の全期間を通して、そのキャリアテープ27に封入されている部品BHの情報を把握することが可能である。
【0134】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、リール付きキャリアテープロール体RRのリールRLは2分割されるようになっていたが、これは一例であり、3つ以上のパーツに分割されるのであってもよい。この場合であっても、分解によって生じた複数のパーツのそれぞれがリール排出シュート85を通って回収箱86に落下するようにすればよく、これにより分解されたリールRLを確実に回収することができる。
【0135】
また、上述の実施の形態で示したキャリアテープロール体処理装置4におけるリールRLの分解手段の構成および分解の方法は一例であり、他の方法によって分解してリールRLからキャリアテープロール体42を取り出すようにしてもよい。更には、リールRLを分解しなくてもリールRLを取り外すことができる構成(例えばリールRLの側板FLが1枚であり、その1枚の側板FLから巻き芯MSが片持ち状態で延びていて、巻き芯MSからキャリアテープロール体42を抜き取ればリールRLからキャリアテープロール体42を分離できる構成)であるのであれば、必ずしもリールRLを分解する必要はない。更には、上述の実施の形態において示したキャリアテープロール体処理装置4におけるロール体取り出し部73の具体的構成は例示に過ぎず、部品BHを収納したキャリアテープ27をキャリアテープロール体42の状態で保持するリールRLのような保持体からキャリアテープロール体42を取り出してケース43に収納することができれば、その構成は自由である。
【0136】
また、上述の実施の形態において示したキャリアテープロール体製造装置3の具体的構成は例示に過ぎず、テープ供給部61から供給されるキャリアテープ27の先端部27Rに記憶体45を設ける記憶体設置工程、記憶体設置工程で記憶体45が設けられたキャリアテープ27の先端部27Rを回転軸66に取り付けたうえで回転軸66を回転させることにより回転軸66にキャリアテープ27を巻き付けるキャリアテープ巻き付け工程およびテープ供給部61から供給されるキャリアテープ27を切断して回転軸66に巻き付けられたキャリアテープ27をテープ供給部61から分離させる切断工程、更には部品情報を記憶体45に書き込む部品情報書き込み工程と識別情報を記憶体45に書き込む識別情報書き込み工程を実行できるものであれば、その構成は自由である。なお、記憶体45の情報を書き込むタイミングは、上述の実施の形態におけるキャリアテープロール体製造装置3の構成ではキャリアテープ27を切断する前となるが、キャリアテープ27を切断した後に情報を書き込む構成であってもよい。
【0137】
また、上述の実施の形態では、識別情報を生成(発行)する識別情報生成部104cは管理コンピュータ7に設けられていたが、識別情報生成部104cはキャリアテープロール体製造装置3、キャリアテープロール体処理装置4それぞれに設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
リール等の保持体なしでも、部品の残数に関係なくキャリアテープに封入されている部品の情報が保持されるキャリアテープロール体を得ることができるキャリアテープロール体製造装置およびキャリアテープロール体の製造方法を提供する本発明は、部品を基板に装着する部品実装システムで使用可能なキャリアテープロール体を製造する分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0139】
1 部品実装システム
3 キャリアテープロール体製造装置
27 キャリアテープ
27P ポケット
27C カバーテープ
27T 先端
27R 先端部(中心側の端部)
41 ケース入りキャリアテープロール体
42 キャリアテープロール体
43 ケース
44 ロール体
45 記憶体
61 テープ供給部
64 記憶体設置部
65 情報書き込み部(部品情報書き込み手段)(識別情報書き込み手段)
66 回転軸
67 回転軸駆動部
69 切断部
75 読み取り部(部品情報取得部)
76 書き込み部(部品情報書き込み部)(識別情報書き込み部)
92 棚部(保管部)
95 ケース移送機構(ケース搬送部)
104a 第1の情報管理部(第1の情報記憶部)
104b 第2の情報管理部(第2の情報記憶部)
104c 識別情報生成部
RR リール付きキャリアテープロール体
HS ハンディスキャナ(部品情報取得手段)
RL リール(保持体)
RRL 識別子
BH 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26