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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0063 20190101AFI20231215BHJP
   F24F 1/0025 20190101ALI20231215BHJP
【FI】
F24F1/0063
F24F1/0025
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020068711
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165605
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】和田 賢宣
(72)【発明者】
【氏名】中尾 周
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-324159(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123743(WO,A1)
【文献】特開2019-045063(JP,A)
【文献】特開2018-096636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に略水平方向に回転軸をもつクロスフローファンと、
前記クロスフローファンに接近するように配置されたスタビライザと、
前記スタビライザとで通風路を形成するリアガイダと、
前記クロスフローファンの正面側に配置された第1熱交換器と、
前記クロスフローファンの背面側に配置された第2熱交換器と、を備え、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とは略同一形状であり、
前記第1熱交換器と前記クロスフローファンの外周面との最短距離L1と、
前記第2熱交換器と前記クロスフローファンの外周面との最短距離L2と、
がL1<L2とな
前記第2熱交換器と前記クロスフローファンの外周面との最短距離L2は、L2≧D×20/100となる、空気調和機。
【請求項2】
前記クロスフローファンの回転軸と平行な対称基準面に対して、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とは略対称である、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第2熱交換器の下端が前記クロスフローファンの回転軸よりも下方にある、請求項1又は2のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とがプレート積層型熱交換器である、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記クロスフローファンの直径Dに対し、前記リアガイダと前記第2熱交換器の下端との接点P1と前記リアガイダの上端P2との鉛直方向距離L3は、L3>D/2となる、請求項1から4のいずれかに記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略同一形状である第1熱交換器と第2熱交換器とがクロスフローファンの回転軸と平行な対称基準面に対して略対称であり、第1熱交換器はクロスフローファンの正面側に配置され、第2熱交換器はクロスフローファンの背面側に配置され、第1熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L1と、第2熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L2と、がL1<L2となる空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、吸込口と、吹出口を有する本体ケーシング内に通風させる送風回路を形成し、この送風回路内にクロスフローファンを備え、クロスフローファンの上流近傍に熱交換器を配し、クロスフローファンの回転によって吸込口から吸い込まれた空気を熱交換器に通して熱交換した後、吹出口より吹き出す室内ユニットを有する空気調和機がある。
【0003】
従来の室内ユニットの一例として、特許文献1に開示されている空気調和機1の室内機2について、図5を用いて説明する。図5に示すように、室内機2は、熱交換器3備えている。熱交換器3は、逆V字型の頂点を通り鉛直方向に平行な直線について前後に線対称な断面形状を有しており、第1熱交換器3aと第2熱交換器3bとが、また、第3熱交換器3cと第4熱交換器3dとが、前後に対称になっている。
【0004】
空気調和機1は、上記構成において、熱交換器3の下端の位置誤差の最大値が小さくなることで、熱交換器3の組み立て性の向上、また熱交換器3をクロスフローファン4の周囲を囲むような配置とすることで、熱交換効率の向上を図る構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-163016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、熱交換器3は、逆V字型の頂点を通り、クロスフローファン4の回転中心を通る鉛直方向に平行な直線について、第1熱交換器3aと第2熱交換器3bとが、また、第3熱交換器3cと第4熱交換器3dとが、前後に対称になっており、第3熱交換器3cとクロスフローファン4の外周面との最短距離L1と第4熱交換器3dとクロスフローファン4の外周面との最短距離L2とがL1=L2となっている。そのため、クロスフローファン4へと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流することができず、騒音の発生の恐れがある。あるいは、通風抵抗が増大してクロスフローファン4のファン入力の増大の恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができる空気調和機の提供を目的とする。また、必要な風路は確保してファン入力を低減しながら、筐体本体の奥行を小型化することができる、空気調和機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空気調和機は、筐体と、筐体の内部に略水平方向に回転軸をもつクロスフローファンと、クロスフローファンに接近するように配置されたスタビライザと、スタビライザとで通風路を形成するリアガイダと、クロスフローファンの正面側に配置された第1熱交換器と、クロスフローファンの背面側に配置された第2熱交換器と、を備え、第1熱交換器と第2熱交換器とは略同一形状であり、第1熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L1と、第2熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L2と、がL1<L2となることを特徴としたものである。
【0009】
このことにより、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器を通過してクロスフローファンへと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置を決定することができ、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができる。また、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置をL1<L2となる範囲で決定することができ、必要な風路は確保してファン入力を低減しながら、筐体本体の奥行を小型化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気調和機は、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器を通過してクロスフローファンへと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置を決定することができ、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができる。また、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置をL1<L2となる範囲で決定することができ、必要な風路は確保してクロスフローファンのファン入力を低減しながら、筐体本体の奥行を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の構成の一例を示す断面図
図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の距離L1近傍を示す拡大図
図3】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の構成の一例を示す断面図
図4】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の距離L2近傍を示す拡大図
図5】特許文献1に係る空気調和機を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、筐体と、筐体の内部に略水平方向に回転軸をもつクロスフローファンと、クロスフローファンに接近するように配置されたスタビライザと、スタビライザとで通風路を形成するリアガイダと、クロスフローファンの正面側に配置された第1熱交換器と、クロスフローファンの背面側に配置された第2熱交換器と、を備え、第1熱交換器と第2熱交換器とは略同一形状であり、第1熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L1と、第2熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L2と、がL1<L2となる、空気調和機である。
【0013】
これによれば、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器を通過してクロスフローファンへと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置を決定することができ、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができる。また、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保しつつ、第1熱交換器とクロスフローファンとの相対位置をL1<L2となる範囲で決定することができ、必要な風路は確保してクロスフローファンのファン入力を低減しながら、筐体本体の奥行を小型化することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の空気調和機において、クロスフローファンの回転軸と平行な対称基準面に対して、第1熱交換器と第2熱交換器とは略対称であることを特徴するものである。
【0015】
これによれば、第1熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L1と、第2熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L2と、第1熱交換器と第2熱交換器の形状から、L1+L2の数値が決定され、空気調和機の組立時にL1、L2のいずれかの数値を管理することで、他方は算出することができ、製造時の組立性を向上することができる。
【0016】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の空気調和機において、第2熱交換器の下端がクロスフローファンの回転軸よりも下方にあることを特徴するものである。
【0017】
これによれば、クロスフローファンの回転軸を通る水平直線上に、第1熱交換器、クロスフローファン、リアガイダ、第2熱交換器が並び、クロスフローファンとリアガイダとの間に風路を形成するための距離、リアガイダと第2熱交換器との間に風路を形成するための距離を確保する最短距離L2を満たしつつ、第1熱交換器を通過してクロスフローファンへと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう第1熱交換器とクロスフローファンとの最短距離L1を満たす相対位置を決定する際に、第1熱交換器、クロスフローファン、リアガイダ、第2熱交換器の各距離を、回転軸を通る水平直線上において管理することができ、特に製造時の組立性を向上することができる。
【0018】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明の空気調和機において、第1熱交換器と第2熱交換器とがプレート積層型熱交換器であることを特徴するものである。
【0019】
これによれば、第1熱交換器および第2熱交換器を通過する気流と衝突する管が無く、気流の乱れを抑制することができ、特に、第2熱交換器の下端がクロスフローファンの回転軸よりも下方にある場合、第2熱交換器を通過後の気流が流れる第2熱交換器とリアガイダの第2熱交換器側面との間に形成される風路が長く、第2熱交換器を通過した後の気流の乱れの影響を受ける風路通過時の圧力損失を低減することができ、かつ、第2熱交換器を通過した後の気流がクロスフローファンへ流入する時の気流乱れを抑えることができ、特にクロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができる。
【0020】
第5の発明は、第1の発明から第4の発明の空気調和機において、クロスフローファンの直径Dに対し、リアガイダと第2熱交換器の下端との接点P1とリアガイダの上端P2との鉛直方向距離L3は、L3>D/2となり、第2熱交換器とクロスフローファンの外周面との最短距離L2は、L2≧D×20/100であることを特徴するものである。
【0021】
これによれば、任意の直径Dであるクロスフローファンに対し、リアガイダと第2熱交換器との間に形成される風路における通風抵抗の急激な増加を抑え、第2熱交換器のうち、リアガイダと第2熱交換器との間に形成される風路の上流部分にあたる、リアガイダの上端部から下方に配置される部分を通過する気流を確保し、風路全体の通風抵抗を抑制してクロスフローファンのファン入力を低減することができる。
【0022】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施形態は一例であり、本発明は各実施形態により限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施形態に係る空気調和機100の構成の一例を示す断面図である。
【0024】
また、図2は、本実施形態に係る空気調和機の距離L1近傍を示す拡大図である。
【0025】
図1に示すように、空気調和機100には、背面101と、背面101の左右両端から接続した側面102と、背面101、及び側面102と接続する上面103と、側面102、及び上面103と接続する正面104とを有する筐体105が設けられている。
【0026】
筐体105の内部には、クロスフローファン106と、クロスフローファン106に接近するように配置されたスタビライザ107と、スタビライザ107とで通風路を形成するリアガイダ108と、クロスフローファン106の正面側に配置した第1熱交換器109と、クロスフローファン106の背面側に配置した第2熱交換器110が備えられている。クロスフローファン106は、筐体105の略水平方向に回転軸をもつ構成としており、筐体105の正面104の方向が正面側であり、筐体105の背面101の方向が背面側となる。
【0027】
第1熱交換器109と第2熱交換器110とは略同一形状であり、クロスフローファン106の回転軸と平行な対称基準面111に対して第1熱交換器109と第2熱交換器110とは略対称である。第2熱交換器110は、その下端がクロスフローファン106の回転軸よりも下方にある。対称基準面111は、背面101と平行な鉛直面112に対して正面104側へ傾斜している。
【0028】
第1熱交換器109とクロスフローファン106の外周面との最短距離を距離L1、第2熱交換器110とクロスフローファン106の外周面との最短距離を距離L2、リアガイダ108と第2熱交換器110の下端との接点P1とリアガイダ108の上端P2との鉛直方向を距離L3としている。その距離の関係は、距離L1と距離L2がL1<L2の関係にあり、クロスフローファン106の直径Dとした場合には、距離L2はL2≧D×20/100の関係にある。また、距離L3はL3>D/2の関係にある。
【0029】
本実施の形態において、距離L1と距離L2とがL1<L2の関係にある。これにより、クロスフローファン106とリアガイダ108との間に、特にクロスフローファン106とリアガイダ108の上端との間、第2熱交換器110を通過してリアガイダ108の上端で旋回してクロスフローファン106へ流入する気流を整流するための風路を形成するための距離と、リアガイダ108と第2熱交換器110との間に第2熱交換器110を通過してリアガイダ108の上端へと流通する風路を形成するための距離と、を確保しつつ、第1熱交換器109を通過してクロスフローファン106へと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう、第1熱交換器109とクロスフローファン106との相対位置を決定することができる。
【0030】
ここで、空気調和機100は、図2に示すように、第1熱交換器109を通過してクロスフローファン106へと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう、第1熱交換器109とクロスフローファン106の外周面との最短距離の距離L1を決定した場合(L1<L2)、第1熱交換器109の下端近傍を通過した気流(実線矢印)はスタビライザ107の裏側の曲面に沿って上方へ流れ、スタビライザ107の上端からクロスフローファン106の回転方向に沿うように、クロスフローファン106へ流入する。
【0031】
これにより、第1熱交換器109の下端近傍を通過した気流のクロスフローファン106への衝突を緩和し、騒音の発生を抑制できる。また、クロスフローファン106とリアガイダ108との間に風路を形成するための距離と、リアガイダ108と第2熱交換器110との間に風路を形成するための距離と、を確保することにより、必要な風路は確保してクロスフローファン106のファン入力の低減を図りながら、筐体105の奥行を小型化することができる。
【0032】
しかし、従来技術のように第2熱交換器110とクロスフローファン106の外周面との最短距離である距離L2に合わせて、第1熱交換器109とクロスフローファン106の外周面との最短距離である距離L1を決定した場合(L1=L2)、第1熱交換器109の位置は点線で示す位置となる。この場合においては、第1熱交換器109からクロスフローファン106までの距離が広いため、第1熱交換器109の下端近傍を通過した気流(破線矢印)は、スタビライザ107の上端に向かって略直線的に流れ、スタビライザ107の上端からクロスフローファン106の回転方向と直交するようにクロスフローファン106へ流入する。これにより、第1熱交換器109の下端近傍を通過した気流が、クロスフローファン106と衝突し、騒音が発生する恐れがある。
【0033】
また、本実施の形態において、第1熱交換器109と第2熱交換器110とは略同一形状であり、クロスフローファン106の回転軸と平行な対称基準面111に対して、第1熱交換器109と第2熱交換器110とは略対称の構成としている。
【0034】
これにより、第1熱交換器109とクロスフローファン106の外周面との最短距離となる距離L1と、第2熱交換器110とクロスフローファン106の外周面との最短距離となる距離L2と、第1熱交換器109と第2熱交換器110の形状から、L1+L2の数値が決定され、空気調和機200の組立時に距離L1、距離L2のいずれかの数値を管理することで、他方は算出することができ、製造時の組立性を向上することができる。
【0035】
また、本実施形態において、距離L3はL3>D/2の関係とし、距離L2はL2≧D×20/100の関係の構成としている。距離L3がL3>D/2の関係にある場合、リアガイダ108と第2熱交換器110との間に形成される風路における通風抵抗がクロスフローファンの入力に大きく影響を及ぼす。クロスフローファン106とリアガイダ108との間に風路を形成するために距離L2はL2≧D×20/100とするのが好ましい。クロスフローファン106の直径Dが100mmの場合、クロスフローファン106とリアガイダ108との間に風路を形成するためには、L2は20mm以上が望ましい。リアガイダ108と第2熱交換器110との間に風路を形成するための距離が20mm程度未満では、リアガイダ108と第2熱交換器110との間に形成される風路における通風抵抗が極端に大きくなり、第2熱交換器110のうち、リアガイダ108と第2熱交換器110との間に形成される風路の上流部分にあたる、リアガイダ108の上端部から下方に配置される部分を通過する気流が極端に減少する。そのため、風路全体の通風抵抗が増加してクロスフローファン106のファン入力の低減効果が消失するおそれがある。
(実施の形態2)
図3は、本実施形態に係る空気調和機200の構成の一例を示す断面図である。図3において、実施の形態1と共通の要素については、共通の符号を付している。
【0036】
また、図4は、本実施形態に係る空気調和機の距離L2近傍を示す拡大図である。
【0037】
第1熱交換器109と第2熱交換器110とはプレート積層型熱交換器で構成されている。
【0038】
プレート積型層熱交換器は、複数のプレートフィンを積層して構成され、両端に第1エンドプレートと第2エンドプレートを備えている。第1エンドプレートには、冷媒が流入および流出する第1熱交換器出入口、第2熱交換器出入口を備えている。プレートフィンは、対となる第1プレートと第2プレートを合わせて構成され、第1プレートと第2プレートの間に冷媒流路を備え、第1熱交換器出入口と連通する第1ヘッダ、第2熱交換器出入口と連通する第2ヘッダを備える。複数の積層されたプレートフィンの間に空気流路を形成される。
【0039】
第1熱交換器109の上下端、および、第2熱交換器110の上下端には、冷媒分配用のヘッダ流路201を備えている。
【0040】
本実施の形態において、距離L1と距離L2とがL1<L2の関係の構成としている。
【0041】
これにより、クロスフローファン106とリアガイダ108との間に第2熱交換器110を通過してリアガイダ108の上端で旋回してクロスフローファン106へ流入する気流を整流するための風路を形成するための距離と、第2熱交換器110を通過してリアガイダ108の上端へと流通する風路を形成するための距離と、を確保しつつ、第1熱交換器109を通過してクロスフローファン106へと流入する気流を風路にあわせた最適な気流分布に整流するよう、第1熱交換器109とクロスフローファン106との相対位置を決定して、距離L2よりも狭小な距離L1を決定することができる。
【0042】
ここで、空気調和機200は、図4に示すように、リアガイダ108の第2熱交換器110に臨む面と第2熱交換器110との間に、第2熱交換器110を通過してリアガイダ108の上端へと流通する風路を形成している。第2熱交換器110の下端側のヘッダ流路201近傍を通過する気流(実線矢印)は、ヘッダ流路201の上側を通過する気流と、ヘッダ流路201の下側を通過する気流と、がヘッダ流路201の下流部で合流し、リアガイダ108に沿って上方へ流れている。これにより、リアガイダ108と第2熱交換器110との間を流れ、リアガイダ108の上端で旋回してクロスフローファン106へ流入する気流を整流し、クロスフローファン106のファン入力の増大を抑制できる。
【0043】
しかし、従来技術のように第1熱交換器109とクロスフローファン106の外周面との最短距離である距離L1に合わせて、第2熱交換器110とクロスフローファン106との最短距離である距離L2を決定した場合(L1=L2)、点線で示す位置にある第2熱交換器110の下端側のヘッダ流路201近傍を通過する気流(破線矢印)は、ヘッダ流路201の上側を通過する気流と、ヘッダ流路201の下側を通過する気流と、がヘッダ流路201の下流部で合流するが、リアガイダ108の第2熱交換器110に臨む面と第2熱交換器110との間の距離が狭小なため、合流と同時にリアガイダ108に衝突し、乱れたまま上方へ流れる。これにより、乱れをもってリアガイダ108の上端で旋回してクロスフローファン106へ流入するため、クロスフローファン106のファン入力が増大するおそれがある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る空気調和機は、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、騒音発生を抑制することができことや、クロスフローファンのファン入力を低減しながら、筐体本体の奥行を小型化することができることから、家庭用空調や業務用空調に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0045】
100、200 空気調和機
101 背面
102 側面
103 上面
104 正面
105 筐体
106 クロスフローファン
107 スタビライザ
108 リアガイダ
109 第1熱交換器
110 第2熱交換器
111 対称基準面
201 ヘッダ流路
図1
図2
図3
図4
図5