(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】データ生成システム、データ生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231215BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2019215669
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】長田 佳周
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190098(JP,A)
【文献】特開2019-092049(JP,A)
【文献】国際公開第2019/107420(WO,A1)
【文献】特開2014-238775(JP,A)
【文献】特開2013-125330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の対象空間の形状に関する空間情報を取得する第1取得部と、
前記対象空間に設置される設備に関する設備情報を取得する第2取得部と、
前記空間情報と前記設備情報とを対応付けて施設データを生成する生成部と、を備え
、
前記設備情報は、前記設備が設置された前記対象空間から取得されるセンサデータに基づく特性情報を含み、
前記特性情報は、前記設備の性能と機能との少なくとも1つに関する情報である、
データ生成システム。
【請求項2】
前記設備情報は、前記設備の維持管理に用いられる情報を含む、
請求項1に記載のデータ生成システム。
【請求項3】
前記設備情報は、前
記センサデータに基づく環境情報を含む、
請求項1又は2に記載のデータ生成システム。
【請求項4】
前記環境情報は、前記対象空間における物理特性の分布に関する情報を含む、
請求項3に記載のデータ生成システム。
【請求項5】
前記空間情報は、前記対象空間の三次元形状に関する情報である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項6】
前記施設データは、前記対象空間内での前記設備の設置位置を表す位置情報を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項7】
前記設備
は、前記施設の定位置に固定された状態で設置されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項8】
前記
空間情報は、前記施設で計測される計測データに基づいて生成される情報である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項9】
前記
施設データは、前記空間情報と前記設備情報との組み合わせによって、少なくとも前記設備の維持管理に係る状況を示すデータである、
請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項10】
前記施設データ
を表示するための表示用データを出力する表示出力部を更に備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項11】
前記施設データを
用いて所定の処理を実行するデータ処理システムに対して前記施設データを出力するデータ出力部を更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載のデータ生成システム。
【請求項12】
施設の対象空間の形状に関する空間情報を取得する第1取得処理と、
前記対象空間に設置される設備に関する設備情報を取得する第2取得処理と、
前記空間情報と前記設備情報とを対応付けて施設データを生成する生成処理と、を有し、
前記設備情報は、前記設備が設置された前記対象空間から取得されるセンサデータに基づく特性情報を含み、
前記特性情報は、前記設備の性能と機能との少なくとも1つに関する情報である、
データ生成方法。
【請求項13】
請求項12に記載のデータ生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にデータ生成システム、データ生成方法及びプログラムに関し、より詳細には、施設に関連するデータを生成するデータ生成システム、データ生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リフォーム販売を促進するリフォーム販売支援装置が記載されている。このリフォーム販売支援装置は、間取情報記憶手段に複数種類記憶された間取情報の中からいずれかの間取情報を選択するためのユーザからの選択指令を受け付け、選択された間取情報と躯体情報とを基に、間取画像を作成する。そのため、ユーザは、間取画像を見ることで、リフォームされた住戸の様子を具体的に認識することが可能となり、購買意欲が喚起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、リフォームの対象となる施設の詳細な情報は反映できないため、施設の維持管理(リフォームを含む)に際しては、例えば、施設にどのような設備が設置されているか等、現場(施設)を実際に確認する作業が必要になる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、施設の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能なデータ生成システム、データ生成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るデータ生成システムは、第1取得部と、第2取得部と、生成部と、を備える。前記第1取得部は、施設の対象空間の形状に関する空間情報を取得する。前記第2取得部は、前記対象空間に設置される設備に関する設備情報を取得する。前記生成部は、前記空間情報と前記設備情報とを対応付けて施設データを生成する。
【0007】
本開示の一態様に係るデータ生成方法は、第1取得処理と、第2取得処理と、生成処理と、を有する。前記第1取得処理は、施設の対象空間の形状に関する空間情報を取得する処理である。前記第2取得処理は、前記対象空間に設置される設備に関する設備情報を取得する処理である。前記生成処理は、前記空間情報と前記設備情報とを対応付けて施設データを生成する処理である。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記データ生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、施設の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能になる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るデータ生成システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【
図2】
図2は、同上のデータ生成システムと共に使用される形状計測システムでの空間情報の生成の様子を概念的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、同上のデータ生成システムと共に使用されるセンサシステムでの設備情報の生成の様子を概念的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るデータ生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、同上のデータ生成システムによる施設データの生成の処理を概念的に表す説明図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、同上のデータ生成システムで生成された施設データを情報端末に表示する場合の表示画面の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係るデータ生成システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るデータ生成システム1の概要について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0012】
データ生成システム1は、施設F1(
図2参照)に関連するデータを生成するためのシステムである。本実施形態では一例として、データ生成システム1で生成される施設データD10(
図3参照)は、施設F1の維持管理、特に施設F1に設置された設備9(
図2参照)の維持管理に用いられる。すなわち、データ生成システム1で生成される施設データD10は、施設F1の間取り等の施設F1そのものに関する情報に加えて、施設F1に設置された設備9に関する情報を含んでいる。そのため、施設データD10は、例えば、施設F1そのものの維持管理に加えて、施設F1に設置された設備9の維持管理にも利用可能である。
【0013】
本実施形態に係るデータ生成システム1は、このような施設データD10を生成するべく、以下の構成を採用している。すなわち、データ生成システム1は、
図1に示すように、第1取得部11と、第2取得部12と、生成部13と、を備える。第1取得部11は、施設F1の対象空間A1の形状に関する空間情報D1を取得する。第2取得部12は、対象空間A1に設置される設備9に関する設備情報D2を取得する。生成部13は、空間情報D1と設備情報D2とを対応付けて施設データD10を生成する。
【0014】
この構成によれば、空間情報D1と設備情報D2とを対応付けて施設データD10が生成される。言い換えれば、施設データD10は、空間情報D1と設備情報D2とを対応付けることで得られるデータである。そして、空間情報D1は施設F1の対象空間A1の形状に関する情報であって、設備情報D2は対象空間A1に設置される設備9に関する情報である。そのため、施設データD10においては、施設F1の対象空間A1の形状に関する情報(空間情報D1)と、(施設F1の)対象空間A1に設置される設備9に関する情報(設備情報D2)と、が紐づけられている。このような施設データD10は、施設F1そのものの維持管理に加えて、施設F1に設置された設備9の維持管理にも利用可能である。よって、例えば、施設F1の維持管理に際して、施設データD10が用いられることにより、施設F1にどのような設備9が設置されているか等、現場(施設F1)を実際に確認する作業にかかる手間が軽減される。その結果、施設F1の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能である。
【0015】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るデータ生成システム1の構成について、
図1~
図3を参照して、詳しく説明する。
【0016】
(2.1)定義
本開示でいう「施設」は、オフィス、工場、ビル、店舗、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設を含む。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。さらには、本開示でいう「施設」には、建物(建造物)だけでなく、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含む。本実施形態では一例として、データ生成システム1にて施設データD10が生成される施設F1は、集合住宅であることとして説明する。
【0017】
本開示でいう「対象空間」は、施設F1に設定される空間である。ここで、対象空間A1は、空間情報D1にてその形状が表される空間である。本実施形態では一例として、集合住宅からなる施設F1の内部空間、より詳細には、各住戸の各部屋の内部空間が対象空間A1を構成することとする。
【0018】
本開示でいう「設備」は、施設F1に設置されて使用される種々の設備を含み、機器、装置及びシステムを含む。設備9の例として、空調設備91(
図2参照)、照明設備92(
図2参照)、洗面台、換気扇、システムキッチン、IHヒータ、食器洗浄器、トイレ、ユニットバス、分電盤、配線器具、防犯設備、防災設備、インターホン、冷蔵庫及びテレビ受像機等がある。さらに、給湯設備、空調設備の室外機、太陽光発電設備、パワーコンディショナ及び電気自動車用の充電設備等の屋外設備も設備9に含まれる。本実施形態では一例として、設備9が、空調設備91及び照明設備92等の、施設F1の定位置に固定された状態で設置されている設備である場合について説明する。空調設備91と照明設備92とを特に区別しない場合には、空調設備91及び照明設備92の各々を「設備9」とも呼ぶ。
【0019】
本開示でいう「維持管理」は、施設F1(施設F1に設置された設備9を含む)の状態を正常に保つ目的で、施設F1(設備9を含む)の点検、保守、改修又は修繕等を行うことを意味する。維持管理には施設F1の「リフォーム」を含んでいる。本開示でいう「リフォーム」には、経年劣化等により劣化した施設F1(設備9を含む)の修繕だけでなく、施設F1に新たな設備9を追加したり、設備9を交換したり、使い勝手を向上したりするために行うリノベーション(renovation)を含んでいる。
【0020】
本開示でいう「対応付け」は、2つ以上の物について、対応する関係にある状態、つまり相対する関係にある状態とすること、を意味する。よって、データ生成システム1では、第1取得部11で取得される空間情報D1と、第2取得部12で取得される設備情報D2とを互いに関係づけることにより、施設データD10を生成する。
【0021】
本開示でいう「空間情報」は、施設F1の対象空間A1の形状に関する情報であって、例えば、対象空間A1の間取り又は大きさ(広さ)等を表す情報である。本実施形態では、対象空間A1は、施設F1(ここでは集合住宅)の内部空間(室内空間)であるため、空間情報D1は、この施設F1の間取りに関する情報を含んでいる。
【0022】
また、「空間情報」にて表される対象空間A1の「形状」は、二次元形状であってもよいし、三次元形状であってもよい。すなわち、空間情報D1は、二次元の間取り図にて表されるような、平面視における対象空間A1の形状である二次元形状に関する情報であってもよいし、二次元形状に高さ方向の成分を加えた三次元形状に関する情報であってもよい。本実施形態では一例として、「空間情報」にて表される対象空間A1の「形状」は、三次元形状であることと仮定する。
【0023】
(2.2)データ生成システム
まず、本実施形態に係るデータ生成システム1の構成について説明する。
【0024】
データ生成システム1は、上述したように、第1取得部11と、第2取得部12と、生成部13と、を備えている。また、本実施形態では、データ生成システム1は、第1取得部11、第2取得部12及び生成部13に加えて、
図1に示すように、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17を更に備えている。
【0025】
本実施形態では一例として、データ生成システム1の構成要素が全て1つの筐体に集約されている。つまり、データ生成システム1における、第1取得部11、第2取得部12、生成部13、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17は、全て1つの筐体に収容されている。
【0026】
また、本実施形態では、データ生成システム1は、1以上のメモリ及び1以上のプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。言い換えれば、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、データ生成システム1の機能が実現される。特に、データ生成システム1のうちでも、第1取得部11、第2取得部12、生成部13、表示出力部14、データ出力部15及び更新部16の機能については、コンピュータシステムが主構成となる。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0027】
また、本実施形態に係るデータ生成システム1は、空間情報D1及び設備情報D2を、それぞれ形状計測システム2及びセンサシステム3から通信にて取得する。そのため、データ生成システム1は、形状計測システム2及びセンサシステム3の各々と、通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク6若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。
【0028】
さらに、本実施形態では、データ生成システム1で生成された施設データD10は、例えば、情報端末4での表示又はデータ処理システム5での所定の処理に用いられる。そのため、データ生成システム1は、情報端末4及びデータ処理システム5の各々とも、通信可能に構成されている。情報端末4は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末等の通信機能を有する情報端末であって、少なくとも施設データD10を表示可能に構成されている。データ処理システム5は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等の通信機能を有する情報処理システムであって、施設データD10を用いて所定の処理を実行する。本開示でいう「所定の処理」は、施設データD10を用いた様々な処理を含み、例えば、設備9の動作のシミュレーション、施設データD10を含むデータベースの作成、又は施設データD10を入力とする機械学習等の処理を含む。
【0029】
本実施形態では一例として、データ生成システム1、形状計測システム2、センサシステム3、情報端末4及びデータ処理システム5は、いずれもインターネット等のネットワーク6に接続されている。これにより、データ生成システム1は、形状計測システム2及びセンサシステム3等との間で、通信によりネットワーク6介して信号を授受することができる。
【0030】
第1取得部11は、上述したように、空間情報D1を取得する。空間情報D1は、施設F1の対象空間A1の形状に関する情報である。特に、本実施形態では上述したように、空間情報D1は、対象空間A1の三次元形状に関する情報である。ここで、第1取得部11は、形状計測システム2から通信により空間情報D1を取得する。詳しくは「(2.3)形状計測システム」の欄で説明するが、形状計測システム2は、
図2に示すように、計測端末21を用いて施設F1で計測される計測データに基づいて、空間情報D1を生成する。言い換えれば、第1取得部11が形状計測システム2から取得する空間情報D1は、施設F1で計測される計測データに基づいて生成される情報である。
【0031】
第2取得部12は、上述したように、設備情報D2を取得する。設備情報D2は、対象空間A1に設置される設備9に関する情報である。ここで、第2取得部12は、センサシステム3から通信により設備情報D2を取得する。詳しくは「(2.4)センサシステム」の欄で説明するが、センサシステム3は、
図3に示すように、センサ端末31を用いて対象空間A1から取得される物理量等のセンサデータに基づいて、設備情報D2を生成する。言い換えれば、第2取得部12がセンサシステム3から取得する設備情報D2は、設備9が設置された対象空間A1から取得されるセンサデータに基づく環境情報を含んでいる。
【0032】
生成部13は、上述したように、施設データD10を生成する。ここで、生成部13は、少なくとも空間情報D1と設備情報D2とを対応付けて、施設データD10を生成する。詳しくは「(3)データ生成方法」の欄で説明するが、本実施形態では一例として、生成部13は、空間情報D1と設備情報D2とを紐づけることで、空間情報D1と設備情報D2との組み合わせを含む施設データD10を生成する。言い換えれば、生成部13で生成される施設データD10は、空間情報D1と設備情報D2との組み合わせを含み、かつ空間情報D1と設備情報D2との対応関係が定められたデータである。
【0033】
さらに、本実施形態では、生成部13は、対象空間A1ごとに、施設データD10を生成する。つまり、施設F1内に複数の対象空間A1が設定されていれば、生成部13は、これら複数の対象空間A1について複数の施設データD10を生成する。
【0034】
表示出力部14は、施設データD10を表示するための表示用データを出力する。本実施形態では一例として、表示出力部14は、情報端末4に表示用データをネットワーク6経由で出力(送信)することで、情報端末4に施設データD10を表示させる。表示出力部14は、コンピュータシステムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)上で動作する。つまり、表示出力部14は、コンピュータシステムを主構成とする情報端末4にて、施設データD10を含む画面を表示可能とする。より詳細には、情報端末4は、Webブラウザの機能を搭載しており、データ生成システム1の表示出力部14から送信(配信)される画像(画面)を表示部41(
図6A参照)に表示する。情報端末4での施設データD10の表示態様については「(4)施設データの活用例」の欄で詳しく説明する。
【0035】
データ出力部15は、データ処理システム5に対して施設データD10を出力する。データ処理システム5は、上述したように、施設データD10を用いて所定の処理(シミュレーション、データベースの作成又は機械学習等)を実行する。本実施形態では一例として、データ出力部15は、データ処理システム5に施設データD10をネットワーク6経由で出力(送信)することで、データ処理システム5に所定の処理を実行させる。
【0036】
更新部16は、施設データD10の更新を行う。すなわち、本実施形態では、生成部13で生成された施設データD10は固定的(不変)ではなく、更新部16により更新(変更)可能である。
【0037】
格納部17は、第1取得部11で取得された空間情報D1、第2取得部12で取得された設備情報D2、及び生成部13で生成された施設データD10等を記憶する。また、格納部17は、生成部13等での演算に必要な情報等を更に記憶する。格納部17は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。
【0038】
また、データ生成システム1は、上記構成に加えて、通信部及びユーザインタフェース等を更に備えていてもよい。ただし、通信部及びユーザインタフェース等は、データ生成システム1に必須の構成ではない。
図1では、データ生成システム1の構成として、第1取得部11、第2取得部12、生成部13、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17以外の構成の図示を適宜省略している。
【0039】
通信部は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、外部システム(形状計測システム2、センサシステム3、情報端末4及びデータ処理システム5を含む)と通信するように構成されている。これにより、データ生成システム1は、外部システムとの間で、施設データD10等のデータを授受することが可能である。
【0040】
ユーザインタフェースは、例えば、タッチパネルディスプレイを含み、人(作業者等)の操作の受け付けと、人への情報の提示(表示)を行う。ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。また、ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。
【0041】
(2.3)形状計測システム
次に、本実施形態に係るデータ生成システム1と共に使用される形状計測システム2について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0042】
形状計測システム2は、
図1に示すように、計測端末21を備えている。計測端末21は、
図2に示すように、作業者H1によって携帯可能な大きさであって、例えば、タブレット端末等で実現される。計測端末21は、イメージセンサ(カメラ)、距離画像センサ、ソナーセンサ、レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等の計測手段(センサ)を含み、これらの計測手段にて計測端末21の周囲の空間形状を計測する。具体的には、計測端末21は、計測手段にて、計測端末21から見渡せる範囲に存在する壁、床、柱又は天井等の構造体までの距離、及びこれら構造体の形状を計測する。
【0043】
このような形状計測システム2によれば、施設F1の対象空間A1の形状に関する空間情報D1を生成することが可能である。例えば、作業者H1は、
図2に示すように、計測端末21を持った状態で施設F1の対象空間A1に立ち、対象空間A1内を移動したり、計測端末21を様々な方向に向けたりすることで、対象空間A1の三次元形状を計測手段にて計測することができる。計測端末21で得られた複数の計測データは、計測端末21において組み合わされ、対象空間A1の三次元形状を表す空間情報D1に加工される。
【0044】
すなわち、形状計測システム2によれば、施設F1で計測される計測データに基づいて、
図2に示すような、空間情報D1が生成されることになる。このようにして形状計測システム2で生成される空間情報D1は、形状計測システム2からデータ生成システム1(第1取得部11)に、随時、送信される。
【0045】
また、
図2等において、空間情報D1に対して、施設F1及び対象空間A1の参照符号を付しているが、これは空間情報D1が施設F1及び対象空間A1に対応することを示しているに過ぎず、実際に、空間情報D1が施設F1及び対象空間A1を含む訳ではない。
【0046】
ところで、形状計測システム2による計測データの計測は、一例として、施設F1の竣工時に行われる内覧検査(仕上げ検査)等の、作業者H1が対象空間A1に立ち入るタイミングで行われる。これにより、作業者H1が内覧検査等の作業を行う際に、ついでに空間情報D1を生成するための計測データを集めることができ、作業者H1の負担の増加を抑制することができる。
【0047】
このようなタイミングで計測データの計測を行う場合、計測の際には既に、
図2に示すように、例えば、壁又は天井等に空調設備91又は照明設備92等の設備9が設置されていることがある。そのため、
図2では空間情報D1中に設備9(空調設備91又は照明設備92等)を図示していないが、実際には、設備9(空調設備91又は照明設備92等)の形状も空間情報D1に反映されることになる。さらに、ドア又は窓等の建具についても同様に、
図2では空間情報D1中に図示していないが、実際には、建具の形状も空間情報D1に反映されることになる。
【0048】
(2.4)センサシステム
次に、本実施形態に係るデータ生成システム1と共に使用されるセンサシステム3について、
図1及び
図3を参照して説明する。
【0049】
センサシステム3は、
図1に示すように、複数のセンサ端末31を備えている。センサ端末31は、
図3に示すように、施設F1の壁又は天井等に設置可能な形状及び大きさである。センサ端末31は、温度センサ、湿度センサ、圧力(気圧)センサ、光(明るさ)センサ、加速度センサ、気流(風速)センサ、イメージセンサ(カメラ)、音センサ、においセンサ、電流/電圧センサ、空気質センサ又は感振センサ等の複数種類のセンサを含む。各センサ端末31は、これら複数種類のセンサのうちの1つ以上のセンサを有している。各センサ端末31は、上述したような各種のセンサで、物理量を電気信号に変換することで、所望の物理量を検知する。複数種類のセンサを用いれば、例えば、温度、湿度、気圧、照度、気流、音、振動及び空気質等の、様々な物理量を検知可能となる。
【0050】
このようなセンサシステム3によれば、対象空間A1に設置される設備9に関する設備情報D2を生成することが可能である。例えば、
図3に示すように、設備9が設置された対象空間A1の適当な箇所に複数のセンサ端末31を設置し、この状態で設備9を稼働(作動)させることにより、設備9の仕様、性能及び機能等に関連する物理量を検知することが可能となる。ここで、複数のセンサ端末31は、少なくとも複数のセンサ端末31全体で、複数種類の物理量(温度、湿度及び照度等)を検知できるように、上述した複数種類のセンサを含むことが好ましい。複数のセンサ端末31で検知された様々な物理量に相当するセンサデータは、いずれか1つの親機としてのセンサ端末31にて収集され、環境情報に加工される。環境情報は、例えば、温度、湿度、圧力(気圧)、照度又は気流等の物理特性の、対象空間A1における分布に関する情報を含んでいる。親機としてのセンサ端末31は、複数のセンサ端末31で検知されたセンサデータに基づいて、上述したような環境情報を含む設備情報D2を生成する。
【0051】
すなわち、センサシステム3によれば、設備9が設置された対象空間A1から取得されるセンサデータに基づく環境情報を含む、設備情報D2が生成されることになる。ただし、センサデータは対象空間A1から直接的に取得されることに限らず、対象空間A1から間接的に取得されてもよい。例えば、対象空間A1の隣室、床下又は天井裏等に設置されたセンサ端末31であっても、音又は振動等の物理量については、対象空間A1から間接的にセンサデータとして取得できる。
【0052】
ここで、環境情報は、対象空間A1における物理特性(温度、湿度、気圧、照度又は気流等)の分布に関する情報を含んでいる。言い換えれば、センサシステム3では、対象空間A1における物理特性の分布に関する環境情報を含む設備情報D2が生成される。本実施形態では、上述したように、設備情報D2の対象となる設備9は、施設F1の定位置に固定された状態で設置されている。そのため、例えば、空調設備91については、センサシステム3にて、空調設備91の稼働時の対象空間A1内の温度の分布及び気流の分布等を環境情報として含む、設備情報D2を生成可能である。また、例えば、照明設備92については、センサシステム3にて、照明設備92の稼働(点灯)時の対象空間A1内の照度の分布等を環境情報として含む、設備情報D2を生成可能である。このようにしてセンサシステム3で生成される設備情報D2は、センサシステム3からデータ生成システム1(第2取得部12)に、随時、送信される。
【0053】
また、データ生成システム1に送信された設備情報D2は、空間情報D1と組み合わされて、データ生成システム1にて、空間情報D1及び設備情報D2を含む施設データD10が生成される。そのため、
図3では、施設データD10中の設備9(空調設備91及び照明設備92)に対して、設備情報D2の参照符号を付しているが、これは設備情報D2を概念的に示しているに過ぎない。
【0054】
ところで、センサシステム3によるセンサデータの抽出は、一例として、施設F1の竣工後の一定長さ(例えば、1週間、2週間、又は1ヵ月程度)のサンプリング期間に行われる。例えば、竣工時に行われる内覧検査(仕上げ検査)等の、作業者H1が対象空間A1に立ち入るタイミングで、センサ端末31を設置し、サンプリング期間が終了するタイミングでセンサ端末31を撤去する。これにより、実際に設備9が稼働している期間に、設備情報D2を生成するためのセンサデータを集めることができ、設備情報D2の信頼性が向上する。
【0055】
(3)データ生成方法
以下、本実施形態に係るデータ生成システム1を用いたデータ生成方法について、
図3~
図5Bを参照して説明する。
【0056】
まず、本実施形態に係るデータ生成方法にて生成される施設データD10について説明する。本実施形態では、施設データD10は、
図3に示すように、空間情報D1と設備情報D2とを含むデータであって、空間情報D1と設備情報D2とが対応付けられたデータである。対応付けは、一例として、空間情報D1と設備情報D2とに同一の識別子が付与されることによって行われる。
【0057】
さらに、本実施形態では、施設データD10は、対象空間A1内での設備9の設置位置を表す位置情報を含んでいる。言い換えれば、ある設備9の設備情報D2は、対象空間A1において、この設備9が設置されている位置(座標位置)を示す位置情報を含んでいる。これにより、この設備9の設備情報D2は、空間情報D1が表す対象空間A1上においても、この設備9が設置されている位置と同じ位置に対応付けられることになる。例えば、リビングに設置された空調設備91についての設備情報D2は、施設データD10においても、空間情報D1のうちリビングに相当する位置に対応付けられることになる。一方で、例えば、寝室に設置された空調設備91についての設備情報D2は、施設データD10においても、空間情報D1のうち寝室に相当する位置に対応付けられることになる。そのため、施設データD10において、設備9の設置位置まで含めて設備9の情報を管理することができる。
【0058】
ここにおいて、本実施形態では、施設データD10の用途として、施設F1の維持管理、特に施設F1に設置された設備9の維持管理を想定している。そのため、本実施形態では、設備情報D2は、設備9の維持管理に用いられる情報を含んでいる。設備9の維持管理に用いられる情報としては、例えば、設備9の使われ方、累積稼働時間、及びメンテナンス時期等の情報が含まれ得る。例えば、空調設備91であれば、暖房では使用せず冷房でのみ使用される、といった使い方がわかれば、空調設備91の交換時に、冷房性能に特化した空調設備91への交換を提案すること等が可能となる。また、例えば、照明設備92であれば、常に調光レベル50%で使用される、といった使い方がわかれば、照明設備92の交換時に、出力を落とした照明設備92への交換を提案すること等が可能となる。
【0059】
より具体的には、本実施形態では、設備情報D2は、設備9の仕様と性能と機能との少なくとも1つに関する特性情報を含んでいる。すなわち、特性情報は、設備9に要求される又は期待される特性を、設備9の品番又は型番等に比べて抽象的に表す情報である。そのため、このような特性情報からは、例えば、既設の設備9と同等の性能又は機能の設備9等を特定しやすくなる。本実施形態では、設備9が設置された対象空間A1から取得されるセンサデータに基づいて設備情報D2が生成されていることもあり、設備9の仕様、性能又は機能等に関する特性情報であれば、特定しやすい。例えば、空調設備91であれば、対象空間A1の広さと空調設備91の稼働時の対象空間A1内の温度との関係によって、空調設備91の冷房能力又は暖房能力等の性能を特定しやすい。また、例えば、照明設備92であれば、対象空間A1の広さと照明設備92の稼働時の対象空間A1内の照度との関係によって、照明設備92の出力等の性能を特定しやすい。
【0060】
特に、本実施形態では、設備情報D2は、対象空間A1における物理特性(温度、湿度、気圧、照度又は気流等)の分布に関する情報を含む環境情報を含んでいる。そして、設備9の仕様、性能又は機能と、設備9の稼働時における対象空間A1における物理特性の分布との間には、相関関係があることがある。例えば、空調設備91であれば、空調設備91の仕様、性能又は機能によって、空調設備91の稼働時の対象空間A1内の温度の分布及び気流の分布等が異なる。また、例えば、照明設備92であれば、照明設備92の仕様、性能又は機能によって、照明設備92の稼働時の対象空間A1内の照度の分布等が異なる。そこで、対象空間A1における物理特性の分布に関する情報を含む設備情報D2からは、設備9の仕様、性能又は機能等を特定可能である。
【0061】
また、本実施形態では、施設データD10は、空間情報D1と設備情報D2との組み合わせによって、少なくとも設備9の維持管理に係る状況を示すデータである。すなわち、本実施形態では、空間情報D1と設備情報D2との両方を組み合わせた結果として、設備9の維持管理に係る状況を示すことになる。例えば、空間情報D1だけでは設備9に関する情報が無いため、当然ながら設備9の維持管理に係る状況を示すことにはならない。一方、設備情報D2だけでは、どのような形状の対象空間A1に設置されているかがわからないため、例えば、設備9の交換に際してもどの程度のサイズの設備9にすべきか、又は設備9の点検機材としてどのような機材を持ち込むべきか等の特定ができない。
【0062】
その他にも、設備情報D2は、例えば、設備9の品番又は型番のように設備9を具体的に特定する情報、設置時期及び消費電力量等の情報を含んでいてもよい。
【0063】
このような施設データD10は、あくまで施設F1の維持管理、特に施設F1に設置された設備9の維持管理に利用することを想定したデータであるので、施設F1の建築(新築)作業において用いられるBIMデータ等に比較すると、必要な情報量は少なくなる。例えば、施設F1の建築(新築)作業において用いられるBIMデータであれば、設備9の施工(設置及び接続)に必要な部材の情報等が含まれるが、本実施形態における施設データD10であれば、このような部材の情報は不要である。
【0064】
図4は、本実施形態に係るデータ生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0065】
すなわち、まずは、例えば、竣工時の内覧検査と併せて、形状計測システム2にて、施設F1の対象空間A1の形状を計測する三次元計測を実行する(S1)。そして、形状計測システム2では、計測データに基づいて空間情報D1が生成されるので、データ生成システム1は、第1取得部11にて、形状計測システム2から空間情報D1を取得する(S2)。
【0066】
次に、竣工後の一定長さのサンプリング期間に、施設F1に設置したセンサシステム3の複数のセンサ端末31にて、設備9が設置された対象空間A1からセンサデータを取得する(S3)。そして、サンプリング期間が終了すると、センサシステム3では、センサデータに基づいて設備情報D2が生成されるので、データ生成システム1は、第2取得部12にて、センサシステム3から設備情報D2を取得する(S4)。
【0067】
次に、データ生成システム1は、生成部13にて、取得した空間情報D1と設備情報D2とを対応付けて、施設データD10を生成する(S5~S10)。具体的には、データ生成システム1は、まずは、生成部13にて空間情報D1から設備9の抽出を行う(S5)。このとき、抽出された設備9には、それぞれ「第nの設備」(nは自然数)という形で識別子が付される。生成部13は、変数nを「1」に設定し(S6)、空間情報D1中の第nの設備(ここでは第1の設備)に対して、設備情報D2を付与する(S7)。そして、生成部13は、空間情報D1において抽出された設備9の全てについて設備情報D2の付与が完了したか否かを判断する(S8)。
【0068】
設備情報D2の付与が完了していなければ(S8:No)、生成部13は、変数nをインクリメントし(S9)、処理S7に戻る。一方、全ての設備9について設備情報D2の付与が完了すると(S8:Yes)、生成部13は、生成した施設データD10を格納部17に格納(記憶)する(S10)。
【0069】
図4のフローチャートは、データ生成方法の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0070】
図5A及び
図5Bは、施設データD10の生成の処理を、概念的に表す説明図である。
【0071】
すなわち、空間情報D1には、対象空間A1の形状が反映されているので、
図5Aに示すように、空調設備91が設置されている壁においては、空調設備91の形状の出っ張りが生じる。そこで、生成部13は、このような出っ張り形状を設備9と認識することで、空間情報D1から設備9の抽出を行う(S5)。その上で、生成部13は、抽出した空調設備91に設備情報D2を付与する(S7)。これにより、空間情報D1上の対象空間A1においては、
図5Bに示すように、空調設備91に設備情報D2が貼り付けられた形になり、空間情報D1と設備情報D2との対応付けがなされる。
【0072】
同様の処理を、抽出された全ての設備9について実行することで、空間情報D1と設備情報D2との対応付けが完了して、施設データD10が生成される。
【0073】
(4)施設データの活用例
以下、本実施形態に係るデータ生成システム1で生成された施設データD10の活用例について、
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
【0074】
本実施形態では、データ生成システム1は、施設データD10を表示するための表示用データを表示出力部14にて出力する。表示出力部14は、表示用データを情報端末4に送信することで、情報端末4にて、施設データD10の表示を可能とする。
【0075】
すなわち、
図6Aに示すように、情報端末4の表示部41には、データ生成システム1の表示出力部14から送信(配信)される、施設データD10を含む画像(画面)が表示される。情報端末4は、タッチパネルディスプレイを有しており、表示部41が作業者H1の操作を受け付ける入力部としても機能する。これにより、作業者H1は、
図6Aに示すように、情報端末4に表示される画面をみることで、施設F1の施設データD10を確認することができる。具体的には、
図6Aの例では、情報端末4には、空間情報D1に基づく施設F1の間取り図と、設備情報D2に基づく設備9のアイコンD11と、が施設データD10として表示されている。本実施形態では、施設データD10は、2層のデータに分かれており、空間情報D1に基づく間取り図が基礎レイヤとして表示され、設備情報D2に基づく設備9のアイコンD11等が基礎レイヤに重畳される重畳レイヤとして表示されている。つまり、空間情報D1と設備情報D2とは別のレイヤに表示される。これにより、作業者H1は、施設F1の間取り、更に施設F1にどのような設備9が設置されているかを、情報端末4の画面上で確認可能となる。
【0076】
そして、
図6Aに示すように、作業者H1が、空調設備91のアイコンD11にタップすることで、このアイコンD11を選択するような入力を情報端末4に与えると、
図6Bに示すような画面に切り替わる。
図6Bの例では、タップされたアイコンD11に対応する設備9(ここでは空調設備91)を含む施設F1の一部が拡大表示され、その上で、この設備9に関する設備情報D2が表示されている。
図6Bの例では、設備情報D2は、設備9の説明に係る説明情報D21と、設備9の特性に係る特性情報D22と、を含んでいる。説明情報D21は、空調設備91の冷房能力又は暖房能力等の情報を含み、施設F1の間取り図(空間情報D1)に重ねて表示される吹き出し内に表示される。特性情報D22は、空調設備91が発生する気流の対象空間A1内での分布を表し、施設F1の間取り図(空間情報D1)に重ねて表示される。
【0077】
図6Bに例示するような画面は、個々の設備9について表示されることになる。つまり、
図6Aの画面において、照明設備92のアイコンがタップされると、この照明設備92に関する設備情報D2が表示される。
【0078】
(5)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係るデータ生成システム1と同様の機能は、データ生成方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るデータ生成方法は、第1取得処理(
図4の「S2」に相当)と、第2取得処理(
図4の「S4」に相当)と、生成処理(
図4の「S5~S10」に相当)と、を有する。第1取得処理は、施設の対象空間の形状に関する空間情報を取得する処理である。第2取得処理は、対象空間に設置される設備に関する設備情報を取得する処理である。生成処理は、空間情報と前記設備情報とを対応付けて施設データを生成する処理である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、上記のデータ生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0079】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0080】
本開示におけるデータ生成システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるデータ生成システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0081】
また、データ生成システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることはデータ生成システム1に必須の構成ではなく、データ生成システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、データ生成システム1のうちの第1取得部11、第2取得部12及び生成部13は、表示出力部14及びデータ出力部15とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、データ生成システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0082】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、形状計測システム2の空間情報D1を生成する機能と、センサシステム3の設備情報D2を生成する機能と、の少なくとも一方が、データ生成システム1に集約されていてもよい。
【0083】
実施形態1では、データ生成システム1は、形状計測システム2及びセンサシステム3を構成要素に含まない。ただし、形状計測システム2及びセンサシステム3の少なくとも一方は、データ生成システム1の構成要素に含まれていてもよい。
【0084】
また、データ生成システム1は、第1取得部11、第2取得部12、生成部13、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17の全てを備えることは必須ではない。例えば、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17のうちの少なくとも1つは、適宜省略可能である。
【0085】
また、データ生成システム1で生成される施設データD10(
図3参照)の用途は、施設F1の維持管理(設備9の維持管理を含む)に限らない。例えば、施設データD10に基づいて、ある設備9が設置されている施設F1の管理者に対して、ある設備9と同等機能の代替品の設備のリコメンドを行うこと等が可能である。または、例えば、設備9の仕様及び機能等も含めて、ある施設F1と同等の仕様の施設の建築(新築)時にも、ある施設F1の施設データD10を利用することができる。
【0086】
また、空間情報D1は、対象空間A1の三次元形状に関する情報に限らず、例えば、対象空間A1の二次元形状に関する情報であってもよい。
【0087】
また、データ生成システム1で生成された施設データD10の出力の態様は、情報端末4及びデータ処理システム5への出力(送信)に限らない。例えば、データ生成システム1は、施設データD10を、情報端末4及びデータ処理システム5以外のシステムに対して通信により出力(送信)してもよいし、その他、非一時的記録媒体への書き出し及びプリントアウト等の態様で出力してもよい。さらに、データ生成システム1は、例えば、表示、音(音声及びアラーム音等を含む)出力、光出力(点滅等を含む)及びプリントアウト等の手段で、施設データD10を人(作業者等)に対して出力(提示)してもよい。
【0088】
また、形状計測システム2が計測端末21にて空間情報D1の生成まで行うことは必須でない。例えば、計測端末21で計測データの計測のみを行い、計測端末21から計測データをサーバ等の上位システムに送信し、上位システムにおいて、計測データから空間情報D1を生成してもよい。
【0089】
(実施形態2)
本実施形態に係るデータ生成システム1Aは、
図7に示すように、推定部18を備える点で、実施形態1に係るデータ生成システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0090】
すなわち、本実施形態に係るデータ生成システム1Aは、第1取得部11、第2取得部12、生成部13、表示出力部14、データ出力部15、更新部16及び格納部17に加えて、推定部18を更に備えている。
【0091】
推定部18は、センサシステム3から第2取得部12が取得した設備情報D2に基づいて、施設F1の状態に関する推定を行う。本開示でいう「推定」は、おしはかって定める(決める)ことを意味し、特に、人があれこれ考えて決めることに限らず、ある事実に基づいて何らかの決定を行うこと全般を含む。そのため、例えば、コンピュータシステムに対して入力情報が入力された場合に、コンピュータシステムが、入力情報に基づいて演算を行って何らかの情報を出力情報として出力していれば、コンピュータシステムで出力情報が「推定」されたことになる。すなわち、推定部18であれば、設備情報D2が入力され、この設備情報D2に基づいて、施設F1の状態に関する推定を行うことになる。
【0092】
推定部18は、基本的には、形状計測システム2では計測が困難である施設F1の状態を推定する。一例として、推定部18は、施設F1における隠ぺい配線(先行配線)、隠ぺい配管(先行配管)、壁の厚み、又は、壁、床、柱若しくは天井等の構造体の材質等を推定する。
【0093】
例えば、設備9が壁に設置された配線器具としてのコンセント(Outlet)であれば、この設備9が設置されている壁裏には、100V又は200Vの電力線が存在することが、推定部18にて推定可能である。特に、200Vタイプの空調設備91が接続されているコンセントであれば、この設備9(コンセント)が設置されている壁裏には、200Vの電力線が存在することが、推定部18にて推定可能である。また、別の例として、設備9が洗濯機であれば、その周辺に、給水用の配管排水用の配管が存在することが、推定部18にて推定可能である。
【0094】
このような推定部18での推定結果は、施設データD10に含まれる。つまり、生成部13は、推定部18での推定結果を含めた施設データD10を生成し、格納部17に格納(記憶)する。
【0095】
さらに、本実施形態では、第1取得部11は、形状計測システム2に代えてデータベース7から、空間情報D1を取得している。つまり、実施形態1のように形状計測システム2の計測端末21にて実際に施設F1を計測して生成されたデータではなく、データベース7に格納されているBIMデータ等を、空間情報D1として、第1取得部11が取得する。データベース7に格納されている空間情報D1(BIMデータ等)は、例えば、施設F1の建築(新築)時に作成されたデータである。そのため、本実施形態では、形状計測システム2にて、施設F1の対象空間A1の形状を計測する三次元計測の処理(
図4の「S1」)を省略可能である。
【0096】
また、実施形態2において、第1取得部11がデータベース7から空間情報D1を取得することは必須ではなく、実施形態1と同様に、第1取得部11は、形状計測システム2から空間情報D1を取得してもよい。
【0097】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0098】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るデータ生成システム(1,1A)は、第1取得部(11)と、第2取得部(12)と、生成部(13)と、を備える。第1取得部(11)は、施設(F1)の対象空間(A1)の形状に関する空間情報(D1)を取得する。第2取得部(12)は、対象空間(A1)に設置される設備(9)に関する設備情報(D2)を取得する。生成部(13)は、空間情報(D1)と設備情報(D2)とを対応付けて施設データ(D10)を生成する。
【0099】
この態様によれば、施設データ(D10)においては、施設(F1)の対象空間(A1)の形状に関する空間情報(D1)と、施設(F1)の対象空間(A1)に設置される設備(9)に関する設備情報(D2)と、が紐づけられている。このような施設データ(D10)は、施設(F1)そのものの維持管理に加えて、施設(F1)に設置された設備(9)の維持管理にも利用可能である。よって、例えば、施設(F1)の維持管理に際して、施設データ(D10)が用いられることにより、施設(F1)にどのような設備(9)が設置されているか等、現場を実際に確認する作業にかかる手間が軽減される。その結果、施設(F1)の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能である。
【0100】
第2の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1の態様において、設備情報(D2)は、設備(9)の維持管理に用いられる情報を含む。
【0101】
この態様によれば、施設データ(D10)を用いることで、設備(9)の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能である。
【0102】
第3の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1又は2の態様において、設備情報(D2)は、設備(9)が設置された対象空間(A1)から取得されるセンサデータに基づく環境情報を含む。
【0103】
この態様によれば、実際に対象空間(A1)に設備(9)が設置された状態での、設備(9)に関する情報を施設データ(D10)に反映できる。
【0104】
第4の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第3の態様において、環境情報は、対象空間(A1)における物理特性の分布に関する情報を含む。
【0105】
この態様によれば、設備(9)が実際に対象空間(A1)に与える物理特性の分布に関する情報を施設データ(D10)に反映できる。
【0106】
第5の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~4のいずれかの態様において、空間情報(D1)は、対象空間(A1)の三次元形状に関する情報である。
【0107】
この態様によれば、空間情報(D1)が二次元形状に関する情報である場合に比べて、施設データ(D10)にて、対象空間(A1)の形状を詳細に表現することができる。
【0108】
第6の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~5のいずれかの態様において、施設データ(D10)は、対象空間(A1)内での設備(9)の設置位置を表す位置情報を含む。
【0109】
この態様によれば、対象空間(A1)内での設備(9)の設置位置を区別した施設データ(D10)を生成できる。
【0110】
第7の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~6のいずれかの態様において、設備情報(D2)は、設備(9)の仕様と性能と機能との少なくとも1つに関する特性情報を含む。
【0111】
この態様によれば、特性情報から、例えば、既設の設備(9)と同等の性能又は機能の設備(9)を特定しやすくなる。
【0112】
第8の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~7のいずれかの態様において、設備(9)は、施設(F1)の定位置に固定された状態で設置されている。
【0113】
この態様によれば、施設(F1)との関連性が高い設備(9)の情報を施設データ(D10)に反映できる。
【0114】
第9の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~8のいずれかの態様において、空間情報(D1)は、施設(F1)で計測される計測データに基づいて生成される情報である。
【0115】
この態様によれば、実際に設備(9)が設置された対象空間(A1)の形状を、施設データ(D10)に反映できる。
【0116】
第10の態様に係るデータ生成システム(1,1A)では、第1~9のいずれかの態様において、施設データ(D10)は、空間情報(D1)と設備情報(D2)との組み合わせによって、少なくとも設備(9)の維持管理に係る状況を示すデータである。
【0117】
この態様によれば、空間情報(D1)と設備情報(D2)との両方を組み合わせた結果として、設備(9)の維持管理に係る状況を示すことができる。
【0118】
第11の態様に係るデータ生成システム(1,1A)は、第1~10のいずれかの態様において、施設データ(D10)を表示するための表示用データを出力する表示出力部(14)を更に備える。
【0119】
この態様によれば、施設データ(D10)を視認可能な態様で出力可能となる。
【0120】
第12の態様に係るデータ生成システム(1,1A)は、第1~11のいずれかの態様において、施設データ(D10)を用いて所定の処理を実行するデータ処理システム(5)に対して施設データ(D10)を出力するデータ出力部(15)を更に備える。
【0121】
この態様によれば、施設データ(D10)を、例えば、シミュレーション等の所定の処理に用いることができる。
【0122】
第13の態様に係るデータ生成方法は、第1取得処理と、第2取得処理と、生成処理と、を有する。第1取得処理は、施設(F1)の対象空間(A1)の形状に関する空間情報(D1)を取得する処理である。第2取得処理は、対象空間(A1)に設置される設備(9)に関する設備情報(D2)を取得する処理である。生成処理は、空間情報(D1)と設備情報(D2)とを対応付けて施設データ(D10)を生成する処理である。
【0123】
この態様によれば、施設(F1)の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能である。
【0124】
第14の態様に係るプログラムは、第13の態様に係るデータ生成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0125】
この態様によれば、施設(F1)の維持管理に係る作業負担を軽減することが可能である。
【0126】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係るデータ生成システム(1,1A)の種々の構成(変形例を含む)は、データ生成方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0127】
第2~12の態様に係る構成については、データ生成システム(1,1A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0128】
1,1A データ生成システム
5 データ処理システム
9 設備
11 第1取得部
12 第2取得部
13 生成部
14 表示出力部
15 データ出力部
A1 対象空間
D1 空間情報
D2 設備情報
D10 施設データ
F1 施設