(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】分岐器及びインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/02 20060101AFI20231215BHJP
H04M 9/06 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H04M9/02
H04M9/06
(21)【出願番号】P 2021126851
(22)【出願日】2021-08-02
(62)【分割の表示】P 2017220624の分割
【原出願日】2017-11-16
【審査請求日】2021-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年(平成29年)8月 「マンションHAシステムDシリーズ 露出薄型ドアホン子器」のちらしにて公開 1)平成29年8月31日 http://esctlg.panasonic.biz/iportal/CatalogSearch.do?method=catalogSearchByAnyCategories&volumeID=PEWJ0001&categoryID=352980000&designID= http://esctlg.panasonic.biz/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&catalogCategoryId=&catalogId=4520540000&pageGroupId=1&volumeID=PEWJ0001&keyword=&categoryID=&sortKey=&sortOrder=&designID=&designConfirmFlg= 2)平成29年9月29日 https://www2.panasonic.biz/scvb/a2A/opnItemDetail?use_obligation=&item_cd=VGD2112&item_no=VGD2112&catalog_view_flg=1&contents_view_flg=1&close_flg=1&b_cd=301&hinban_kbn=1&s_hinban_key=VGD2112&vcata_flg=1 3)平成29年9月29日 http://www2.panasonic.biz/es/ai/densetsu/image-dl/hinban/index.jsp?c=search&c_cd=1509&p=1&depth=2 http://www2.panasonic.biz/es/ai/densetsu/image-dl/img/large/large.html?h=VGD2112&f=VGD2112 にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野上 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】河野 和彦
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】猪瀬 隆広
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-232763(JP,A)
【文献】特開2002-218073(JP,A)
【文献】特開平7-297933(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0876044(EP,A2)
【文献】特開2015-53740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/76-3/44, 3/50-3/60, 7/00-7/015
H04M 9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の入力接続端と、
前記一対の入力接続端に電気的に接続された一対の出力接続端と、
前記一対の入力接続端に電気的に接続された一対の分岐接続端と、
一対の終端接続端と、
前記一対の終端接続端間に電気的に接続された終端回路と、
前記一対の出力接続端、前記一対の分岐接続端および前記一対の終端接続端にそれぞれ
一端部が接続され
、他端部が開放端である複数のリード線と、を備え、
前記一対の出力接続端に接続された各リード線を、前記一対の終端接続端に接続された各リード線と、それぞれ接続することで、終端可能に構成されている
分岐器。
【請求項2】
請求項1に記載の分岐器を複数備え、
前記複数の分岐器に電気的に接続される複数の住戸端末と、
前記複数の分岐器を介して前記複数の住戸端末に電気的に接続され前記複数の住戸端末と通信する通信装置と、を更に備える
インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分岐器及びインターホンシステムに関し、より詳細には、複数の接続端を備える分岐器及びこの分岐器を複数備えるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の集合住宅用インターホンシステムを例示する。特許文献1記載の集合住宅用インターホンシステムは、複数の分岐器を備える。各分岐器は、第1及び第2接続端子(接続端)を含む第1主接続部と、第1及び第2接続端子(接続端)を含む第2主接続部と、第1及び第2副接続端子(接続端)を含む副接続部とを備える。各住戸内に設置された住戸端末は、住戸線に接続されている。複数の住戸線は、複数の分岐器によってそれぞれ副幹線から分岐される。副幹線の終端には、インピーダンス整合用の終端器が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の集合住宅用インターホンシステムにおいて、分岐器を終端する際の施工性の向上を求められることがあった。
【0005】
本発明は、分岐器を終端する際の施工性を向上させることができる分岐器及びインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る分岐器は、一対の入力接続端と、一対の出力接続端と、一対の分岐接続端と、一対の終端接続端と、終端回路と、複数のリード線と、を備える。前記一対の出力接続端は、前記一対の入力接続端に電気的に接続されている。前記一対の分岐接続端は、前記一対の入力接続端に電気的に接続されている。前記終端回路は、前記一対の終端接続端間に電気的に接続されている。前記複数のリード線は、前記一対の出力接続端、前記一対の分岐接続端および前記一対の終端接続端にそれぞれ一端部が接続されており、他端部が開放端である。前記分岐器は、前記一対の出力接続端に接続された各リード線を、前記一対の終端接続端に接続された各リード線と、それぞれ接続することで、終端可能に構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係るインターホンシステムは、前記分岐器を複数備える。前記インターホンシステムは、複数の住戸端末と、通信装置と、を更に備える。前記複数の住戸端末は、前記複数の分岐器に電気的に接続される。前記通信装置は、前記複数の分岐器を介して前記複数の住戸端末に電気的に接続され前記複数の住戸端末と通信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る分岐器及びインターホンシステムは、分岐器を終端する際の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る分岐器の前側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の分岐器の後側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の分岐器において、本体部から取付部を分離した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係るインターホンシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る分岐器及びインターホンシステムについて、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
以下の実施形態で説明する分岐器は、集合住宅等に設けられるインターホンシステム1(
図8参照)に備えられる。インターホンシステム1では、複数の分岐器2(
図8参照)を用いたバス配線により、複数の住戸端末81(
図8参照)と通信装置82(
図8参照)とが電気的に接続されている。これにより、通信装置82は、複数の住戸端末81と通信することができる。
【0012】
(1)分岐器の外観形状
図1、2に示すように、分岐器2は、筐体3と、一対の入力リード線L1、L2と、一対の出力リード線L3、L4と、一対の分岐リード線L5、L6と、を備えている。分岐器2は、一対の終端リード線L7、L8を更に備えている。以下では、入力リード線L1、L2、出力リード線L3、L4及び分岐リード線L5、L6をまとめて、リード線L1~L6と称す。また、入力リード線L1、L2、出力リード線L3、L4、分岐リード線L5、L6及び終端リード線L7、L8をまとめて、リード線L1~L8と称す。
【0013】
筐体3は、箱状の本体部30と、取付部4と、を有している。本体部30は、ボディ3aと、ボディ3aに結合されるカバー3bと、を含む。ボディ3aは、一の面306(
図3参照)に開口部30aが形成された箱状(直方体状)に形成されている。カバー3bは、開口部30aを塞ぐように、ボディ3aに結合される。
【0014】
ボディ3aは、カバー3bに対向する板状の対向部35aと、第1、第2、第3及び第4側壁31a、32a、33a及び34aと、を含む。第1、第2、第3及び第4側壁31a、32a、33a及び34aは、対向部35aの厚み方向に沿って対向部35aの周縁から突出している。第1側壁31aと第2側壁32aとが互いに対向し、第3側壁33aと第4側壁34aとが互いに対向している。
【0015】
以下、特に断りのない限り、
図2においてカバー3bと対向部35aとが互いに対向する方向を前後方向とし、カバー3b側を後、対向部35a側を前とする。第1側壁31aと第2側壁32aとが互いに対向する方向を上下方向とし、第1側壁31a側を上、第2側壁32a側を下とする。第3側壁33aと第4側壁34aとが互いに対向する方向を左右方向とし、第3側壁33a側を左、第4側壁34a側を右とする。
【0016】
開口部30aが形成された直方体状のボディ3aにおいて、開口部30a側とは反対側(前側)の4つの頂点に相当する領域にはそれぞれ、凹部300が形成されている。これら4つの凹部300の底面には、貫通孔301が形成されている。すなわち、ボディ3aには、4つの貫通孔301が形成されている。
【0017】
取付部4は、本体部30につながっている。より詳細には、取付部4は、本体部30と一体に形成されている。
【0018】
取付部4は、第1側壁31aの後端から上向きに突出している。取付部4は、取付部4を貫通する取付孔40が形成された板状に形成されている。より詳細には、取付部4は、前後方向から見て半円状の構造に取付孔40が形成されることにより、前後方向から見てU字状に形成されている。前後方向から見てU字状の取付部4の2つの端は、第1側壁31aにつながっている。
【0019】
筐体3は、例えば、取付部4の取付孔40に通されたねじ46を、取付対象(建物の壁等)にねじ込むことにより、取付対象に取り付けられる。ねじ46は、例えば木ねじである。
【0020】
図3に示すように、本体部30の後面305は、ボディ3aの開口部30aが形成された一の面306と、開口部30aに挿入されたカバー3bの後面307と、を含む。後面305は、平状に形成されている。取付部4は、後面305に沿って本体部30から突出している。より詳細には、取付部4の後面405は、本体部30の後面305と面一である。後面305は、筐体3の取付対象(建物の壁等)との対向面である。
【0021】
図1、2に示すように、取付孔40は、だるま孔である。取付孔40は、第1孔41と、第1孔41につながった第2孔42と、を有している。第2孔42は、第1孔41と一方向(上下方向)に並んでいる。第2孔42は、第1孔41と第1側壁31aとの間に形成されている。第1孔41及び第2孔42は、上に凸の鐘形状に形成されている。第1孔41と第2孔42とが並んでいる一方向(上下方向)と直交する方向(左右方向)において、第2孔42の幅D2は、第1孔41の幅D1よりも大きい。
【0022】
取付部4は、分離部43を有している。取付部4は、分離部43において、本体部30(ボディ3a)から分離可能である。分離部43は、2つの薄肉部44を含む。2つの薄肉部44は、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分に形成されている。つまり、2つの薄肉部44は、取付部4のうち、第1側壁31aにつながっている2つの端に1つずつ形成されている。2つの薄肉部44は、取付部4における2つの薄肉部44以外の部位よりも厚みが小さい。より詳細には、取付部4は、2つの薄肉部44において、側面視三角形状の溝状に窪んでいる。
【0023】
取付孔40は、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分の一部まで延びている。すなわち、取付部4における本体部30(ボディ3a)との境界部分には、分離部43と、取付孔40の一部とが形成されている。
【0024】
2つの薄肉部44を軸に取付部4が本体部30(ボディ3a)に対して折り曲げられることにより、2つの薄肉部44が破断する。これにより、取付部4は、分離部43(2つの薄肉部44)において本体部30(ボディ3a)から分離する(
図4参照)。
【0025】
ボディ3aは、ボス部3cを更に含む。ボス部3cは、略有底円筒状に形成されている。ボス部3cは、カバー3bをボディ3aに結合するためのねじ3dが後方からねじ込まれるねじ穴30cを有している。ボス部3cは、第3側壁33aの外面(面330a)から突出している。ボス部3cの軸方向は、前後方向に沿っており、第3側壁33aの外面(面330a)と略平行である。
【0026】
図5は、前後方向と直交する面及び上下方向と直交する面において分岐器2を切断した断面図である。
図6は、上下方向と直交する面において分岐器2を切断した断面図である。
図5、6に示すように、ボディ3aの第4側壁34aには、複数(
図5では2つ)の挿入孔341が形成されている。複数の挿入孔341には、カバー3bの後述の複数の爪部321が挿入される。また、ボディ3aは、第4側壁34aから本体部30の内部に向かって突出している保持爪342と、第3側壁33aから本体部30の内部に向かって突出している保持爪332と、を更に含む。分岐器2は、回路実装基板5を更に備えている。回路実装基板5の後述の回路基板51が保持爪342、332に引っ掛けられることにより、回路基板51が本体部30の内部において保持される。
【0027】
図1、2に示すように、カバー3bは、厚み方向が前後方向に沿った平板状のカバー本体31bと、周壁部32bと、第1突出壁33bと、第2突出壁34bと、段部35bと、を含む。分岐器2は、カバー3bと一体に形成された出張り部3eを更に備えている。
【0028】
カバー本体31bは、ボディ3aの開口部30aを塞ぐ長方形状に形成されている。周壁部32bは、カバー本体31bの周縁のうち、上辺付近の領域と、下辺付近の領域と、右辺と、左辺の一部とに形成されている。周壁部32bは、カバー本体31bの厚み方向に沿ってカバー本体31bから前方へ突出している。第1突出壁33bは、カバー3bにおける上辺付近の領域に形成されている。第1突出壁33bは、カバー本体31bの厚み方向に沿って周壁部32bから前方へ突出している。第2突出壁34bは、カバー3bにおける下辺付近の領域に形成されている。第2突出壁34bは、カバー本体31bの厚み方向に沿って周壁部32bから前方へ突出している。第1、第2突出壁33b、34bは、開口部30aを通ってボディ3aの内部に挿入される。
【0029】
図5に示すように、カバー3bは、周壁部32bから外側へ突出した複数(
図5では2つ)の爪部321を更に含む。複数の爪部321は、ボディ3aの複数の挿入孔341に挿入される。
【0030】
図1、2に示すように、出張り部3eは、カバー本体31bの周縁からカバー本体31bの面方向に沿って左方へ突出している。カバー3bがボディ3aに結合されているとき、出張り部3eは、本体部30の外部に位置する(
図1参照)。出張り部3eは、ボディ3aのボス部3cのねじ穴30cに対向するねじ挿通孔30eを有している。複数の爪部321がボディ3aの複数の挿入孔341に挿入された状態で、ねじ挿通孔30eに通されたねじ3dが、ボス部3cのねじ穴30cにねじ込まれることにより、カバー3bがボディ3aに結合される。
【0031】
出張り部3eは、第1壁部31e、第2壁部32e、第3壁部33e及び第4壁部34eを含む。第1壁部31eは、厚み方向が前後方向に沿った長方形の板状に形成されている。第2壁部32eは、第1壁部31eの上辺から前方に突出している。第3壁部33eは、第1壁部31eの左辺から前方に突出している。第4壁部34eは、第1壁部31eの下辺から前方に突出している。また、第3壁部33eは、前端から後方に窪んだ窪み部330eを有している。第3壁部33eは、窪み部330eにおける右側前端の角部に、面取りされた形状の面取り部331e(
図6参照)を有している。
【0032】
段部35bは、カバー3bにおける左側の領域に形成されている。段部35bは、カバー本体31bの厚み方向に沿ってカバー本体31bから前方に突出している。段部35bは、周壁部32bと比べて前後方向に短い。カバー3bがボディ3aに結合された状態で、段部35bとボディ3aの第3側壁33aとの間には、隙間(貫通孔302)が形成される(
図1、5参照)。すなわち、本体部30には、貫通孔302が形成されている。貫通孔302の前後方向の幅は、リード線L1~L8の直径よりもわずかに大きい。本体部30の第3側壁33aの外面(面330a)における貫通孔302の開口面は、第3壁部33eに対向している。つまり、第3壁部33eは、本体部30の外部において貫通孔302の開口面と対向する位置に配置されている。
【0033】
本体部30のうち、取付部4につながっている面310a(第1側壁31aの外面)は、貫通孔302が形成されている面330a(第3側壁の外面)とは異なる面である。
【0034】
回路実装基板5は、回路基板51と、複数の電子部品(例えば、
図7のトランス67、コンデンサ61~64及び抵抗65、66)と、を含む。回路基板51は、本体部30の内部において保持されている。回路基板51には、リード線L1~L8が接続されている。回路基板51に接続されているリード線L1~L8は、貫通孔302を通って、本体部30の外部に引き出される。
【0035】
リード線L1~L6は、互いに同じ構成を有している。終端リード線L7、L8は、互いに同じ構成を有している。
図2では、リード線L1~L6を代表して入力リード線L1のみを図示し、終端リード線L7、L8を代表して終端リード線L7のみを図示している。
【0036】
リード線L1~L6の両端(第1端101及び第2端102)では、被覆103が剥かれて、被覆103の内側の芯線104が露出している。リード線L1~L6では、両端から例えば2mm程度の長さの領域の芯線104が露出している。リード線L1~L6の第1端101は、回路基板51に接続されている。より詳細には、リード線L1~L6の第1端101は、ボードインコネクタ52(
図6参照)を介して回路基板51に接続されている。
【0037】
終端リード線L7、L8の一端(第1端111)では、被覆113が剥かれて、被覆113の内側の芯線114が露出している。終端リード線L7、L8では、第1端111から例えば2mm程度の長さの領域の芯線114が露出している。終端リード線L7、L8の一端(第1端111)は、回路基板51に接続されている。より詳細には、終端リード線L7、L8の第1端111は、ボードインコネクタ52(
図6参照)を介して回路基板51に接続されている。
【0038】
終端リード線L7、L8では、一端(第1端111)と他端(第2端112)との間の中間部115の一部(露出部1150)の芯線114が露出している。すなわち、終端リード線L7、L8では、先端(第1端111及び第2端112)とは異なる一部(露出部1150)の芯線114が露出している。より詳細には、終端リード線L7、L8では、第1端111と、露出部1150と、第2端112から露出部1150までの領域とにおいて、被覆113が剥かれている。さらに、終端リード線L7、L8では、被覆113が剥かれている部分のうち、第1端111及び露出部1150以外の部分にテープ116が巻かれている。テープ116は、電気絶縁性を有する。テープ116は、被覆113の内側の芯線114を構成する多数の細い線を束ねている。
【0039】
したがって、終端リード線L7、L8の芯線114は、第1端111と露出部1150とのみにおいて露出している。終端リード線L7、L8を出力リード線L3、L4に接続する際には、作業者は、テープ116を除去して、テープ116の内側の芯線114を露出させる。
【0040】
(2)リード線の配置
次に、
図5、6を参照して、分岐器2におけるリード線L1~L8の配置について説明する。
図5、6では図を簡略化するためリード線L1~L8のうち入力リード線L1のみを図示している。以下の説明では、入力リード線L1の配置についてのみ説明するが、リード線L1~L8はそれぞれ同様に配置される。
【0041】
第1端101(
図2参照)が回路基板51に接続された入力リード線L1は、回路基板51から延びて貫通孔302に通される。したがって、入力リード線L1の第1端101は本体部30の内部に位置し、第2端102は本体部30の外部に位置する。そして、入力リード線L1の第1端101と第2端102との間の中間部105の一部からなる第1部位107は、貫通孔302の内部の空間である第1通線部S1に通される。また、入力リード線L1の中間部105のうち第1部位107とは別の一部からなる第2部位108は、本体部30の外の第2通線部S2に通される。第2通線部S2は、第1壁部31e、第2壁部32e、第3壁部33e及び第4壁部34e(
図1参照)と、本体部30の第3側壁33aとにより囲まれている空間である。つまり、第3壁部33eは、本体部30の第3側壁33aとの間に第2通線部S2を形成している。第1通線部S1と第2通線部S2とは互いにつながっている。
【0042】
本体部30は、貫通孔302において左右方向に貫通している。すなわち、貫通孔302の内部の第1通線部S1は、左右方向(第1方向)に沿った空間である。入力リード線L1の第1部位107は、左右方向(第1方向)に沿って第1通線部S1に通される。つまり、入力リード線L1の第1部位107は、貫通孔302の内部において、貫通孔302の周りの第3側壁33a及び段部35bにガイドされることにより、左右方向に沿って第1通線部S1に通される。
【0043】
ボディ3aにカバー3bが結合されているとき、第2通線部S2は、第3壁部33eにより左側から覆われており、貫通孔302が形成されている領域を除いて本体部30の第3側壁33a及びカバー3bの段部35bにより右側から覆われている。すなわち、第2通線部S2は、左右方向(第1方向)と交差する前後方向(第2方向)に沿った空間である。また、第2通線部S2は、第1壁部31eにより後側から覆われており、第2壁部32e及び第4壁部34e(
図1参照)により上下から覆われている。
【0044】
したがって、入力リード線L1において、中間部105の第2部位108は、前後方向(第2方向)に沿って第2通線部S2に通される。つまり、出張り部3eの第2壁部32e、第3壁部33e及び第4壁部34eと、ボディ3aの第3側壁33aとが前後方向に沿って形成されているので、中間部105の第2部位108は、第2壁部32e、第3壁部33e、第4壁部34e及び第3側壁33aの少なくとも1つにガイドされることにより、前後方向に沿って第2通線部S2に通される。入力リード線L1の第2端102は、第2通線部S2から、例えば、前方に引き出される。
【0045】
入力リード線L1が本体部30の内部から外部へ引き出される場合は、第1部位107が左右方向に沿って第1通線部S1へ通される。中間部105のうち第1部位107と第2部位108との間の部位は、例えば、第3壁部33eに接して、左右に沿った向きから前後に沿った向きに変化するように曲がる。また、入力リード線L1が本体部30の外部から内部へ引き込まれる場合は、第2部位108が例えば前後方向に沿って第2通線部S2へ通され、第1部位107が左右方向に沿って第1通線部S1に通される。したがって、中間部105のうち第1部位107と第2部位108との間の部位は、前後に沿った向きから左右に沿った向きに変化するように曲がる。
【0046】
このように、入力リード線L1の中間部105は、第1部位107と第2部位108との間で、本体部30の外部において曲がる。つまり、第1通線部S1と第2通線部S2とが、本体部30の外部において交差しているので、入力リード線L1の中間部105は、第1通線部S1及び第2通線部S2に通されることにより、本体部30の外部において曲がる。
【0047】
上記の通り、入力リード線L1の第1部位107は左右方向(第1方向)に沿って第1通線部S1に通され、第2部位108は前後方向(第2方向)に沿って第2通線部S2に通される。したがって、入力リード線L1が引っ張られたとき、引っ張る力が左右方向及び前後方向に分散されやすいので、入力リード線L1が回路基板51から外れる可能性を低減できる。さらに、入力リード線L1が引っ張られたとき、第1通線部S1及び第2通線部S2を形成している第2壁部32e、第3壁部33e、第4壁部34e(
図1参照)及び第3側壁33aのうち少なくとも1つにリード線L1が引っ掛かると、回路基板51付近でリード線L1に加わる力が低減する。これによっても、入力リード線L1が回路基板51から外れる可能性を低減できる。
【0048】
貫通孔302とカバー本体31bとの距離は、貫通孔302と回路基板51との距離よりも小さい。したがって、貫通孔302とカバー本体31bとの距離が貫通孔302と回路基板51との距離よりも大きい場合と比較して、入力リード線L1では、回路基板51に接続されている第1端101(
図2参照)付近における曲げ半径を、貫通孔302付近における曲げ半径よりも小さくすることができる。これにより、第1端101付近での入力リード線L1の曲げによる入力リード線L1のストレスを低減できる。本実施形態の入力リード線L1は、ボードインコネクタ52を介して回路基板51に接続されている。つまり、第1端101付近での入力リード線L1の曲げにより入力リード線L1がボードインコネクタ52から抜けたり、ボードインコネクタ52と接続される第1端101付近において入力リード線L1が疲労破壊したりする可能性を低減できる。本体部30のうち貫通孔302の周りに位置する第3側壁33aとボードインコネクタ52との間の距離は、貫通孔302とは反対側の第4側壁34aとボードインコネクタ52との間の距離よりも大きい。
【0049】
また、リード線L1~L8は、第1通線部S1及び第2通線部S2において、上下方向に並んで配置される(
図1参照)。
【0050】
分岐器2を組み立てる手順の一例を説明する。まず、リード線L1~L8が接続された回路基板51を、ボディ3aに保持する。次に、リード線L1~L8を、貫通孔302が形成される領域を経由してボディ3aの外に引き出す。この状態で、ボディ3aにカバー3bを結合する。これにより、リード線L1~L8は、貫通孔302を通って本体部30の内部から外部へ引き出された状態となる。
【0051】
次に、筐体3を取付対象に取り付ける手順について、
図1、3を参照して説明する。ここでは、取付対象は、パイプシャフトの壁である。作業者は、パイプシャフトの壁に取り付けた板材(木板等)にねじ46をねじ込んでから、取付孔40の第2孔42にねじ46を通す。さらに、筐体3を移動させて、ねじ46のねじ軸を第1孔41に通す。これにより、筐体3は、板材を介してパイプシャフトの壁の表面に取り付けられる。作業者は、パイプシャフトの壁にはねじ46をねじ込まなくてよい。筐体3の本体部30のうち後面305が、板材を挟んでパイプシャフトの壁の表面に対向する。
【0052】
(3)分岐器の回路構成
図7に示すように、回路実装基板5は、一対の入力接続端E1、E2と、一対の出力接続端E3、E4と、一対の分岐接続端E5、E6と、一対の終端接続端E7、E8と、終端回路7と、を更に含む。以下では、入力接続端E1、E2、出力接続端E3、E4、分岐接続端E5、E6及び終端接続端E7、E8をまとめて、接続端E1~E8と称す。
【0053】
接続端E1~E8は、回路実装基板5の回路基板51(
図2参照)に設けられている。一対の入力接続端E1、E2には、一対の入力リード線L1、L2の一端(第1端101:
図2参照)が接続されている。一対の出力接続端E3、E4には、一対の出力リード線L3、L4の一端(第1端101)が接続されている。一対の分岐接続端E5、E6には、一対の分岐リード線L5、L6の一端(第1端101)が接続されている。一対の終端接続端E7、E8には、一対の終端リード線L7、L8の一端(第1端111:
図2参照)が接続されている。このように、各リード線L1~L8の各々の一端は、回路基板51に接続されている。各接続端E1~E8は、例えば、ボードインコネクタ52(
図6参照)により構成されている。すなわち、リード線L1~L8は、ボードインコネクタ52により回路基板51に接続されている。
【0054】
回路基板51(
図2参照)には、配線W1~W4が形成されている。配線W1~W4は、回路基板51にプリントされた導体により形成されている。配線W1は、入力接続端E1を出力接続端E3に電気的に接続している。配線W2は、入力接続端E2を出力接続端E4に電気的に接続している。配線W3は、配線W1から分岐しており、後述の信号分岐回路6を介して入力接続端E1を分岐接続端E5に電気的に接続している。配線W4は、配線W2から分岐しており、信号分岐回路6を介して入力接続端E2を分岐接続端E6に電気的に接続している。したがって、入力リード線L1、L2の一端(第1端101:
図2参照)は、本体部30(
図1参照)の内部において、回路基板51の配線W1~W4を介して出力リード線L3、L4及び分岐リード線L5、L6と電気的に接続されている。
【0055】
終端回路7は、分岐器2により形成される回路のインピーダンス整合を行う。終端回路7は、抵抗71と、コンデンサ72と、を含む。終端回路7は、抵抗71とコンデンサ72との直列回路である。終端回路7は、終端接続端E7、E8間に電気的に接続されている。終端回路7は無極性である。コンデンサ72は、例えば、無極性電解コンデンサである。
【0056】
終端回路7は、インターホンシステム1(
図8参照)の幹線TL1(
図8参照)の一部を構成する配線W1、W2に対して電気的に絶縁されている。出力リード線L3、L4を終端リード線L7、L8に接続することにより、終端回路7を配線W1、W2に電気的に接続することができる。
【0057】
回路実装基板5は、信号分岐回路6を更に含む。信号分岐回路6は、4個のコンデンサ61~64と、2個の抵抗65、66と、トランス67と、2個のサージアブソーバ68、69と、幹線端子Ta1、Ta2と、分岐端子Tb1、Tb2と、を含む。信号分岐回路6は、幹線端子Ta1、Ta2を介して配線W3、W4に電気的に接続されており、分岐端子Tb1、Tb2を介して分岐接続端E5、E6に電気的に接続されている。
【0058】
トランス67は、幹線端子Ta1、Ta2側に一次巻線を有し、分岐端子Tb1、Tb2側に二次巻線を有している。トランス67の一次巻線の両端と幹線端子Ta1、Ta2との間にはコンデンサ61、62が挿入され、トランス67の二次巻線の両端と分岐端子Tb1、Tb2との間にはコンデンサ63、64が挿入されている。抵抗65、66は、トランス67の一次巻線の両端とコンデンサ61、62との間に挿入されている。
【0059】
リード線L1~L8の被覆103、113(
図2参照)は、リード線L1~L8に対応する接続端E1~E8の対ごとに色分けされている。具体的には、一対の入力接続端E1、E2に接続される一対の入力リード線L1、L2は、青色の被覆を有している。一対の出力接続端E3、E4に接続される一対の出力リード線L3、L4は、白色の被覆を有している。一対の分岐接続端E5、E6に接続される一対の分岐リード線L5、L6は、黄色の被覆を有している。一対の終端接続端E7、E8に接続される一対の終端リード線L7、L8は、黒色の被覆を有している。このように、被覆103、113は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる色を表示している表示部である。これにより、作業者は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8を、対ごとに識別可能である。
【0060】
(4)インターホンシステムの構成
図8に示すように、インターホンシステム1は、複数(
図8では3つ)の分岐器2と、複数(
図8では3つ)の住戸端末81と、通信装置82と、を備えている。また、インターホンシステム1は、共用端末83を更に備えている。
【0061】
複数の住戸端末81は、例えば、複数の住戸の室内に設置されている複数のインターホン親機である。共用端末83は、例えば、集合住宅の共用玄関(ロビー)に設置されているロビーインターホン子機である。通信装置82は、複数の住戸端末81と共用端末83との間の通信を中継する。通信装置82は、例えば、集合住宅の管理室に設置されている。
【0062】
以下では、複数の分岐器2をそれぞれ、第1分岐器2、第2分岐器2、……と称することがある。複数の分岐器2のうち、第1分岐器2(
図8において最も下の分岐器2)の入力リード線L1、L2は、通信装置82に接続されている。第1分岐器2の出力リード線L3、L4は、第2分岐器2(
図8において中央の分岐器2)の入力リード線L1、L2に接続されている。第2分岐器2の出力リード線L3、L4は、第3分岐器2の入力リード線L1、L2に接続されている。第4分岐器2以降も同様に、複数の分岐器2が入力リード線L1、L2と出力リード線L3、L4とにより順送りに接続されている。互いに接続される入力リード線L1と通信装置82との間、互いに接続される入力リード線L2と通信装置82との間、互いに接続される入力リード線L1と出力リード線L3との間、及び、互いに接続される入力リード線L2と出力リード線L4との間には、それぞれ配線Wt1が接続されている。すなわち、インターホンシステム1は、複数の配線Wt1を更に備えている。
【0063】
このように、複数の分岐器2の各々の入力リード線L1、L2、出力リード線L3、L4及び配線W1、W2(
図7参照)と、複数の配線Wt1とは、幹線TL1を構成している。幹線TL1により、複数の分岐器2が通信装置82に電気的に接続されている。
【0064】
入力リード線L1、L2及び出力リード線L3、L4と複数の配線Wt1とは、例えば、圧着端子を用いて、かしめにより直接接続されている。なお、入力リード線L1、L2及び出力リード線L3、L4と複数の配線Wt1とは、端子台等を介して接続されてもよい。
【0065】
複数の分岐器2のうち、第1分岐器2から電気的に最も離れた分岐器2(以下、終端分岐器2と称す)では、終端分岐器2の出力リード線L3、L4が終端分岐器2の終端リード線L7、L8に接続されている。つまり、終端分岐器2の出力接続端E3、E4が終端分岐器2の終端接続端E7、E8を介して終端回路7(
図7参照)に電気的に接続されている。これにより、幹線TL1は、終端分岐器2の終端回路7において終端されている。
図7の分岐器2では、出力リード線L3、L4が終端リード線L7、L8に接続されている。出力リード線L3、L4と終端リード線L7、L8とは、例えば、圧着端子を用いて、かしめにより直接接続されている。なお、出力リード線L3、L4と終端リード線L7、L8とは、端子台等を介して接続されてもよい。
【0066】
終端回路7は無極性なので、出力接続端E3が終端接続端E7に電気的に接続され、出力接続端E4が終端接続端E8に電気的に接続されてもよいし、出力接続端E3が終端接続端E8に電気的に接続され、出力接続端E4が終端接続端E7に電気的に接続されてもよい。
【0067】
複数の分岐器2は、複数の住戸端末81に一対一で対応している。各分岐器2の分岐リード線L5、L6は、対応する住戸端末81に接続されている。通信装置82は、複数の分岐器2を介して複数の住戸端末81に電気的に接続されている。また、通信装置82は、共用端末83と電気的に接続されている。これにより、複数の分岐器2は、各住戸端末81と通信装置82との間で通信信号を伝送することができる。
【0068】
互いに接続される分岐リード線L5と住戸端末81との間、及び、互いに接続される分岐リード線L6と住戸端末81との間には、それぞれ配線Wt2が接続されている。すなわち、インターホンシステム1は、複数の配線Wt2を更に備えている。分岐リード線L5、L6と複数の配線Wt2とは、例えば、圧着端子を用いて、かしめにより直接接続されている。なお、分岐リード線L5、L6と複数の配線Wt2とは、端子台等を介して接続されてもよい。
【0069】
共用端末83は、複数の住戸のうち特定の住戸の部屋番号を指定することによる呼出操作を受け付ける。通信装置82は、複数の住戸端末81に一対一で対応する部屋番号を記憶している。共用端末83に呼出操作がされると、通信装置82は、呼出操作で指定された部屋番号に対応する住戸端末81を、複数の住戸端末81の中から特定する。通信装置82は、1又は複数の分岐器2を介して、部屋番号に対応する住戸端末81に所定の信号を伝達する。住戸端末81は、所定の信号を受け取ると住人を呼び出すための呼出音を発する。さらに、住人が住戸端末81に所定の操作をすると、住戸端末81と共用端末83とは、1又は複数の分岐器2及び通信装置82を介して相互に通信が可能となる。住戸端末81と共用端末83との相互の通信は、例えば、音声信号及び映像信号等の通信信号により行われる。また、通信信号として、例えば、デジタル信号が用いられる。
【0070】
(5)実施形態の変形例
以下に、実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0071】
終端回路7は、抵抗71とコンデンサ72との少なくとも一方を含んでいればよい。
【0072】
また、リード線L1~L8は、ボードインコネクタ52により回路基板51に接続されることに限定されない。例えば、リード線L1~L8は、別の形状のコネクタにより回路基板51に接続されてもよいし、コネクタを用いずに、はんだ付け等により回路基板51に直接接続されてもよい。
【0073】
すなわち、各接続端E1~E8の構成は、ボードインコネクタ52に限定されない。各接続端E1~E8の構成は、例えば、別の形状のコネクタであってもよいし、スルーホール等を介してリード線L1~L8が接続できるように回路基板51に形成されたランドであってもよい。
【0074】
また、実施形態の終端リード線L7、L8では、第1端111と、露出部1150と、第2端112から露出部1150までの領域とにおいて、被覆113が剥かれている。さらに、終端リード線L7、L8では、被覆113が剥かれている部分のうち、第1端111及び露出部1150以外の部分にテープ116が巻かれている。これに対して、終端リード線L7、L8は、第1端111の被覆113と、露出部1150の被覆113とのみが剥かれて、第2端112側の被覆113が残された状態であってもよい。つまり、終端リード線L7、L8は、いわゆるセミストリップされた状態であってもよい。
【0075】
また、リード線L1~L6の各々において、終端リード線L7、L8と同様に、第1端101の芯線104と、第1端101及び第2端102とは異なる一部(露出部)の芯線104とが露出していてもよい。この場合、リード線L1~L6の各々がセミストリップされた状態であってもよいし、実施形態の終端リード線L7、L8と同様に、リード線L1~L6の各々の第2端102側にテープが巻かれていてもよい。
【0076】
実施形態の分岐器2は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8を備える2線信号線用の分岐器であるが、これに限定されず、3線信号線用の分岐器であってもよい。すなわち、分岐器2は、接続端E1~E8に加えて別の接続端を備えていてもよい。また、分岐器2は、リード線L1~L8に加えて別のリード線を備えていてもよい。
【0077】
また、リード線L1~L8を用いて接続端E1~E8を相互に接続するのに代えて、例えば、次のように接続端E1~E8を相互に接続してもよい。すなわち、リード線L1~L8に代えて銅板等の導体板を用いて接続端E1~E8を相互に接続してもよい。また、接続端E1~E8に電気的に接続された複数のコネクタを各分岐器2に設けてもよい。そして、1つの分岐器2の出力接続端E3、E4に電気的に接続されたコネクタを、この分岐器2の終端接続端E7、E8に電気的に接続されたコネクタに接続したり、別の分岐器2の入力接続端E1、E2に電気的に接続されたコネクタに接続したりしてもよい。また、同様に、分岐器2と通信装置82との間の接続、並びに、分岐器2と住戸端末81及び通信装置82との間の接続も、リード線L1~L8を用いるのではなく、例えば、導体板又はコネクタを用いて行ってよい。
【0078】
また、本体部30は、段部35bを有していなくてもよい。この場合、本体部30が段部35bを有している場合と比較して、貫通孔302の前後方向の幅を大きくすることができる。
【0079】
また、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる色を表示する表示部は、リード線L1~L8の被覆に限定されない。例えば、接続端E1~E8を端子台に設けた端子により構成し、端子台を表示部として用いてもよい。つまり、端子台は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる色を表示すればよい。具体的には、入力接続端E1、E2を、青色の端子台に設け、出力接続端E3、E4を、白色の端子台に設け、分岐接続端E5、E6を、黄色の端子台に設け、終端接続端E7、E8を、黒色の端子台に設けてもよい。あるいは、端子台の色を色分けするのに代えて、端子台のカバーを色分けしてもよい。つまり、端子台のカバーを表示部として用いてもよい。また、端子台及び端子台のカバーに限らず、接続端E1~E8の各々の近傍に設けられた部材を、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8の対ごとに色分けして表示部として用いてもよい。
【0080】
また、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる色を表示するのに代えて、対ごとに異なる模様、文字、図形又は記号を表示してもよい。例えば、リード線L1~L8の被覆、接続端E1~E8が設けられる端子台又は端子台のカバー等の、接続端E1~E8の各々の近傍に設けられた部材に模様、文字、図形又は記号を付してもよい。
【0081】
要するに、表示部は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる表示をすればよい。対ごとに異なる表示とは、例えば、対ごとに異なる色、模様、文字、図形若しくは記号、又はこれらの組み合わせである。
【0082】
また、ねじ46は、木ねじに限定されず、他の種類のねじであってもよい。例えば、ねじ46は、タッピングねじであってもよい。
【0083】
また、分岐器2の各構成の形状は、実施形態で示した形状に限定されない。例えば、実施形態では長方形状に形成されている構成が、正方形状に形成されていてもよい。また、実施形態では直方体状に形成されている構成が、立方体状に形成されていてもよい。
【0084】
(6)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る分岐器2は、一対の入力接続端E1、E2と、一対の出力接続端E3、E4と、一対の分岐接続端E5、E6と、一対の終端接続端E7、E8と、終端回路7と、を備える。一対の出力接続端E3、E4は、一対の入力接続端E1、E2に電気的に接続されている。一対の分岐接続端E5、E6は、一対の入力接続端E1、E2に電気的に接続されている。終端回路7は、一対の終端接続端E7、E8間に電気的に接続されている。
【0085】
上記の構成によれば、リード線等を用いて、一対の終端接続端E7、E8と一対の出力接続端E3、E4とを電気的に接続することにより、分岐器2を終端回路7で終端することができる。ここで、終端回路7が分岐器2に備えられているので、終端回路7を分岐器2とは別に用意する必要がない。したがって、分岐器2を終端する際の施工性が向上する。また、終端回路7を分岐器2とは別に用意する場合と比較して、終端回路7を紛失する可能性を低減できる。
【0086】
また、第2の態様に係る分岐器2は、第1の態様において、表示部(例えば、被覆103、113)を更に備える。表示部は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8に、対ごとに異なる表示(例えば、色、模様、文字、図形又は記号)をする。
【0087】
上記の構成によれば、作業者は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8を、表示部(例えば、被覆103、113)により識別することができる。したがって、各接続端E1~E8を別の構成に(例えば、終端接続端E7、E8を出力接続端E3、E4に)電気的に接続する配線作業の施工性が向上する。
【0088】
また、第3の態様に係る分岐器2では、第1又は2の態様において、終端回路7は無極性である。
【0089】
上記の構成によれば、終端回路7は無極性なので、出力接続端E3を終端接続端E7に電気的に接続し、出力接続端E4を終端接続端E8に電気的に接続してもよいし、出力接続端E3を終端接続端E8に電気的に接続し、出力接続端E4を終端接続端E7に電気的に接続してもよい。したがって、分岐器2の施工性が更に向上する。
【0090】
また、第4の態様に係る分岐器2では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、終端回路7は、抵抗71及びコンデンサ72のうち少なくとも一方を含む。
【0091】
上記の構成によれば、終端回路7が抵抗71及びコンデンサ72のいずれも含まない場合と比較して、終端回路7を容易に形成することができる。
【0092】
また、第5の態様に係る分岐器2では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、8本のリード線L1~L8を更に備える。8本のリード線L1~L8は、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8の8つの接続端に接続されている。
【0093】
上記の構成によれば、8本のリード線L1~L8により、一対の入力接続端E1、E2、一対の出力接続端E3、E4、一対の分岐接続端E5、E6及び一対の終端接続端E7、E8を、別の構成に(例えば、終端接続端E7、E8を出力接続端E3、E4に)電気的に接続することができる。
【0094】
また、第6の態様に係る分岐器2では、第5の態様において、8本のリード線L1~L8のうち、一対の終端接続端E7、E8に接続された一対のリード線(終端リード線L7、L8)の各々は、先端とは異なる一部(露出部1150)の芯線114が露出している。
【0095】
一対の終端接続端E7、E8に接続された一対のリード線(一対の終端リード線L7、L8)は、一対の出力接続端E3、E4に接続された一対のリード線(一対の出力リード線L3、L4)に接続されない場合は、芯線114を絶縁しておくことが好ましい。上記の構成によれば、一対の終端リード線L7、L8は、先端とは異なる一部(露出部1150)の芯線114が露出している。したがって、一対の終端リード線L7、L8に一対の出力リード線L3、L4が接続されない場合は、露出部1150を絶縁すればよい。すなわち、露出部1150と、露出部1150の周りの部分とにおいて芯線114が露出している場合と比較して、芯線114を絶縁することが容易である。また、露出部1150において芯線114が露出しているので、芯線114に電極等を接続して分岐器2の通電検査を容易に行うことができる。
【0096】
また、第7の態様に係るインターホンシステム1は、第1~6の態様のいずれか1つに係る分岐器2を複数備える。インターホンシステム1は、複数の住戸端末81と、通信装置82と、を更に備える。複数の住戸端末81は、複数の分岐器2に電気的に接続される。通信装置82は、複数の分岐器2を介して複数の住戸端末81に電気的に接続され複数の住戸端末81と通信する。
【0097】
上記の構成によれば、終端回路7が分岐器2に備えられているので、終端回路7を分岐器2とは別に用意する必要がない。したがって、分岐器2を終端する際の施工性が向上する。また、終端回路7を分岐器2とは別に用意する場合と比較して、終端回路7を紛失する可能性を低減できる。
【0098】
第2~6の態様に係る構成については、分岐器2に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 インターホンシステム
2 分岐器
7 終端回路
71 抵抗
72 コンデンサ
81 住戸端末
82 通信装置
103、113 被覆(表示部)
1150 露出部(一部)
114 芯線
E1、E2 入力接続端
E3、E4 出力接続端
E5、E6 分岐接続端
E7、E8 終端接続端
L1~L8 リード線