(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】物理量センサ
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5769 20120101AFI20231215BHJP
G01C 19/5783 20120101ALI20231215BHJP
【FI】
G01C19/5769
G01C19/5783
(21)【出願番号】P 2021508794
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006639
(87)【国際公開番号】W WO2020195386
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019061934
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青柳 孝典
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】董 春祉
(72)【発明者】
【氏名】岸本 慎一
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-145231(JP,A)
【文献】特表2017-533646(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135211(WO,A1)
【文献】特表2010-523954(JP,A)
【文献】特開2019-023618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00-19/72
G01P 15/18、15/12、15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面側に位置しており、前記基板に固定されているアンカー部と、
前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部を囲んでいる囲繞部と、
検出対象の物理量を検出する検出部と、
前記検出部の少なくとも一部が設けられており、前記基板の前記主面側に位置し前記囲繞部につながっている可動部と、
前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部と前記囲繞部とをつないでいる梁部と、を備え
、
前記囲繞部は、前記基板に固定されている、
物理量センサ。
【請求項2】
前記梁部は、前記アンカー部及び前記囲繞部と一体である、
請求項1に記載の物理量センサ。
【請求項3】
前記アンカー部と前記基板との間に介在しており、前記アンカー部と前記基板とを接合している第1接合部と、
前記囲繞部と前記基板との間に介在しており、前記囲繞部と前記基板とを接合している第2接合部と、を更に備え、
前記基板の厚さ方向において前記アンカー部の寸法と前記囲繞部の寸法と前記梁部の寸法とが同じである、
請求項2に記載の物理量センサ。
【請求項4】
前記梁部は、前記基板の厚さ方向からの平面視で直線状である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【請求項5】
前記梁部は、前記基板の厚さ方向からの平面視で屈曲部を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【請求項6】
前記梁部を複数備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【請求項7】
前記基板の厚さ方向からの平面視で、前記複数の梁部が、前記アンカー部を中心として回転対称性を有するように配置されている、
請求項6に記載の物理量センサ。
【請求項8】
前記梁部を複数備え、
前記複数の梁部のうち少なくとも1つの梁部は、前記基板の厚さ方向からの平面視で直線状である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【請求項9】
前記梁部を複数備え、
前記複数の梁部のうち少なくとも1つの梁部は、前記基板の厚さ方向からの平面視で屈曲部を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【請求項10】
基板と、
前記基板の主面側に位置しており、前記基板に固定されているアンカー部と、
前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部を囲んでいる囲繞部と、
検出対象の物理量を検出する検出部と、
前記検出部の少なくとも一部が設けられており、前記基板の前記主面側に位置し前記囲繞部につながっている可動部と、
前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部と前記囲繞部とをつないでいる梁部と、
前記基板に対向しており、前記アンカー部と前記囲繞部と前記可動部と前記梁部とを覆っているカバーと、を備え、
前記アンカー部が、前記カバーに固定されており、
前記囲繞部が、前記カバーに固定されている、
物理量センサ。
【請求項11】
前記基板に対向しており、前記アンカー部と前記囲繞部と前記可動部と前記梁部とを覆っているカバーを更に備え、
前記アンカー部が、前記カバーに固定されており、
前記囲繞部が、前記カバーに固定されている、
請求項1に記載の物理量センサ。
【請求項12】
前記基板に対向しており、前記アンカー部と前記囲繞部と前記可動部と前記梁部とを覆っているカバーを更に備え、
前記アンカー部が、前記カバーに固定されており、
前記囲繞部が、前記カバーに固定されていない、
請求項1に記載の物理量センサ。
【請求項13】
前記アンカー部は、前記カバー側の主面に形成された環状の凹部を有する、
請求項10~12のいずれか一項に記載の物理量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に物理量センサに関し、より詳細には、アンカー部と可動部とを有する物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量センサとして、例えば、アンカー部と可動部とを有する角速度センサ、加速度センサ等が知られている。
【0003】
この種の物理量センサとしては、例えば、一対の固定部と、駆動アームと、支持部(基板)と、錘部と、を備える角速度センサ素子が知られている(特許文献1)。
【0004】
物理量センサでは、外部からの応力が基板を通じて可動部に伝達され、センサ特性が変化することがあった。また、物理量センサでは、例えば、パッケージ又は回路基板に実装して用いる場合、物理量センサとパッケージ又は回路基板との線膨張係数の違いに起因してパッケージ又は回路基板から固定部を介して可動部へ応力が伝達されてセンサ特性が変化することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、センサ特性の変化を抑制することが可能な物理量センサを提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係る物理量センサは、基板と、アンカー部と、囲繞部と、検出部と、可動部と、梁部と、を備える。前記アンカー部は、前記基板の主面側に位置しており、前記基板に固定されている。前記囲繞部は、前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部を囲んでいる。前記検出部は、検出対象の物理量を検出する。前記可動部は、前記検出部の少なくとも一部が設けられており、前記基板の前記主面側に位置し前記囲繞部につながっている。前記梁部は、前記基板の前記主面側に位置しており、前記アンカー部と前記囲繞部とをつないでいる。前記囲繞部は、前記基板に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る物理量センサの斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の物理量センサの平面図である。
【
図3】
図3は、同上の物理量センサを示し、
図2のA-A線断面図である。
【
図5】
図5は、同上の物理量センサとパッケージとを備えるセンサ装置の断面図である。
【
図6】
図6は、同上の物理量センサの動作説明図である。
【
図7】
図7は、同上の物理量センサの別の動作説明図である。
【
図8】
図8Aは、実施形態1の変形例1に係る物理量センサの要部平面図である。
図8Bは、
図8AのA-A線断面図である。
【
図9】
図9Aは、実施形態1の変形例2に係る物理量センサの要部平面図である。
図9Bは、
図9AのA-A線断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る物理量センサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係る物理量センサ1について、
図1~7に基づいて説明する。
【0011】
(1.1)概要
実施形態1に係る物理量センサ1は、
図1~5に示すように、基板2と、アンカー部3(
図4A及び4B参照)と、囲繞部4(
図4A及び4B参照)と、検出部5(
図2及び3参照)と、可動部6と、梁部7(
図4A及び4B参照)と、を備える。なお、
図2、6及び7では基板2の図示を省略してある。
【0012】
アンカー部3は、基板2の主面21側に位置しており、基板2に固定されている。囲繞部4は、基板2の主面21側に位置しており、アンカー部3を囲んでいる。検出部5は、検出対象の物理量を検出する。可動部6は、検出部5の少なくとも一部が設けられており、基板2の主面21側に位置し囲繞部4につながっている。梁部7は、基板2の主面21側に位置しており、アンカー部3と囲繞部4とをつないでいる。なお、基板2の主面21は、基板2において基板2の厚さ方向D1に交差する2つの面のうち、アンカー部3側の面である。
【0013】
実施形態1に係る物理量センサ1では、検出対象の物理量が角速度である。したがって、実施形態1に係る物理量センサ1は、角速度センサである。
【0014】
実施形態1に係る物理量センサ1は、例えば、角速度を電気信号に変換する。すなわち、実施形態1に係る物理量センサ1は、角速度を電気信号に変換するトランスデューサとして機能する。物理量センサ1は、例えば、家電機器、携帯端末、カメラ、ウェアラブル端末、ゲーム機、車両(自動車及び二輪車等を含む)、ロボット、建設機械、ドローン、航空機及び船舶等に用いることができる。
【0015】
実施形態1に係る物理量センサ1では、
図1及び2に示すように、可動部6が、駆動アーム61と、錘部62と、を含んでいる。また、実施形態1に係る物理量センサ1は、駆動アーム61を駆動する駆動部12(
図2参照)を更に備えている。駆動部12は、可動部6の駆動アーム61に設けられている。駆動部12は、圧電素子(以下、第1圧電素子ともいう)である。上述の検出部5は、可動部6の駆動アーム61に設けられている。検出部5は、圧電素子(以下、第2圧電素子ともいう)である。検出部5は、角速度に応じたコリオリ力に基づく電気信号を出力する。
【0016】
(1.2)詳細
実施形態1に係る物理量センサ1の構成について、
図1~5を参照して詳細に説明する。
【0017】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する直交座標を規定し、特に、基板2の厚さ方向D1に沿った軸を「Z軸」とし、錘部62を振動させる方向に沿った軸を「X軸」とする。「Y軸」は、これらZ軸及びX軸のいずれとも直交する。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は物理量センサ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0018】
実施形態1に係る物理量センサ1は、一例として、Z軸周りの角速度を検出対象とする。Z軸は、基板2の厚さ方向D1に沿った軸であるので、結果的に、物理量センサ1は、基板2の厚さ方向D1に沿った中心軸周り(Z軸周り)の角速度に応じた電気信号を出力する。よって、物理量センサ1の出力に基づいて、基板2の中心軸周り(Z軸周り)の角速度の大きさを計測することが可能である。
【0019】
(1.2.1)物理量センサの全体構成
実施形態1に係る物理量センサ1は、
図1に示すように、基板2と、支持部30と、検出部5(
図2及び3参照)と、可動部6と、を備える。支持部30は、
図4A及び4Bに示すように、アンカー部3と、囲繞部4と、梁部7と、を含む。可動部6は、
図1及び2に示すように、駆動アーム61と、錘部62と、を含む。また、物理量センサ1は、駆動部12(
図2参照)を更に備える。
【0020】
実施形態1に係る物理量センサ1の検出対象は、Z軸(基板2の厚さ方向D1に沿った中心軸)周りの角速度である。したがって、物理量センサ1は、Z軸周りの角速度に応じた電気信号を出力する。物理量センサ1は、振動式のジャイロセンサであって、コリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検出する。つまり、物理量センサ1は、駆動アーム61(及び錘部62)を振動させた状態(
図6参照)で、駆動アーム61(及び錘部62)に外部から回転力が作用することによって生じるコリオリ力を検出することで、物理量センサ1の駆動アーム61に作用した角速度を検出する。
【0021】
基板2の厚さ方向D1からの平面視での基板2の外周形状は矩形状である。基板2は、例えば、シリコン基板である。基板2は、シリコンウェハから形成されている。基板2は、シリコン基板に限らず、例えば、ガラス基板であってもよい。基板2としてガラス基板を用いる場合には、シリコンとの線膨張係数差の小さな硼珪酸ガラスを用いるのが好ましい。
【0022】
実施形態1に係る物理量センサ1では、支持部30と可動部6とを有する構造体S1は、例えば、シリコンウェハをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造技術等を利用して加工することにより形成されている。したがって、構造体S1の材料は、シリコンを含む。支持部30は、上述のように、アンカー部3と囲繞部4と梁部7とを含む。
【0023】
実施形態1に係る物理量センサ1は、
図1~3に示すように、支持部30を2つ備えている。ここにおいて、2つの支持部30は、基板2の主面21側に位置している。実施形態1に係る物理量センサ1では、支持部30のうちアンカー部3及び囲繞部4が基板2に固定されている。実施形態1に係る物理量センサ1では、支持部30のうち梁部7は、基板2に固定されていない。
【0024】
2つの支持部30は、Y軸方向において離れており、互いに対向している。2つの支持部30の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、長尺状である(
図2参照)。2つの支持部30の各々は、基板2の短辺に沿って配置された長尺の基部301である。これに対して、可動部6は、支持部30(基部301)の長手方向の中央部から他方の支持部30に向かって延びている延出部302を含んでいる。支持部30は、X軸方向に沿って配置され、延出部302は、Y軸方向に沿って配置されている。以下では、2つの支持部30を区別する場合に、2つの支持部30のうち
図2における下側の支持部30を第1支持部31と称し、
図2における上側の支持部30を第2支持部32と称することもある。
【0025】
実施形態1に係る物理量センサ1の可動部6は、駆動アーム61及び錘部62の各々を2つずつ含んでいる。2つの駆動アーム61の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、C字状である(
図2参照)。2つの駆動アーム61の一端は、第1支持部31から延びている延出部302の先端とつながっており、2つの駆動アーム61の他端は、第2支持部32から延びている延出部302の先端とつながっている。
【0026】
2つの駆動アーム61の各々は、
図2に示すように、第1可動片611と、第2可動片612と、第1連結片616と、第2連結片617と、駆動片613と、第1屈曲部614と、第2屈曲部615と、第3連結片618と、を有する。第1可動片611は、第1支持部31から延びている延出部302にX軸方向において対向している。第1連結片616は、第1支持部31から延びている延出部302の先端と第1可動片611の一端とをつないでいる。第2可動片612は、第2支持部32から延びている延出部302にX軸方向において対向している。第2連結片617は、第2支持部32から延びている延出部302の先端と第2可動片612の一端とをつないでいる。駆動片613は、X軸方向において第1可動片611及び第2可動片612と対向している。第1屈曲部614は、第1可動片611の他端と駆動片613の第1支持部31側の端とをつないでいる。第2屈曲部615は、第2可動片612の他端と駆動片613の第2支持部32側の端とをつないでいる。第3連結片618は、駆動片613と錘部62とをつないでいる。
【0027】
2つの錘部62の各々は、2つの駆動アーム61のうち対応する駆動アーム61の駆動片613に対してX軸方向において対向しており、長手方向の中央部が第3連結片618を介して駆動片613の長手方向の中央部とつながっている。
【0028】
実施形態1に係る物理量センサ1は、検出部5(
図2及び3参照)を2つ備えている。2つの検出部5は、2つの駆動アーム61の各々において第2支持部32から延びている延出部302に対向している第2可動片612上に1つずつ設けられている。2つの検出部5の各々は、上述のように圧電素子であり、例えば、第2可動片612上の下部電極51と、下部電極51上の圧電層52と、圧電層52上の上部電極53と、を有する。下部電極51の材料は、例えば、白金である。圧電層52の材料は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。上部電極53の材料は、例えば、金である。なお、下部電極51、圧電層52及び上部電極53それぞれの材料は、一例であり、特に限定されない。
【0029】
また、物理量センサ1は、4つのモニタ素子8(
図2参照)を更に備える。4つのモニタ素子8は、2つの駆動アーム61に2つずつ設けられている。2つの駆動アーム61の各々において、2つのモニタ素子8のうち一方のモニタ素子8は、第1可動片611上に設けられ、他方のモニタ素子8は、第2可動片612上に設けられている。モニタ素子8は、検出部5の圧電素子と同じ積層構造を有する。すなわち、モニタ素子8は、第2可動片612上の下部電極と、下部電極上の圧電層と、圧電層上の上部電極83と、を有する。
【0030】
実施形態1に係る物理量センサ1は、第2支持部32上に設けられた4つの外部接続電極16~19を更に備えている。4つの外部接続電極16~19は、第2支持部32上でX軸方向に並んでいる。
【0031】
また、物理量センサ1は、
図2における2つの検出部5のうち左側の検出部5の上部電極53と外部接続電極16とを電気的に接続している配線部26と、右側の検出部5の上部電極53と外部接続電極18とを電気的に接続している配線部28と、を更に備える。また、物理量センサ1は、2つの第2可動片612上のモニタ素子8の上部電極83と外部接続電極17(モニタ電極)とを電気的に接続している配線部27を更に備える。また、物理量センサ1は、2つの検出部5の下部電極51と外部接続電極19(グランド電極)とを電気的に接続している配線部と、を備えている。
【0032】
実施形態1に係る物理量センサ1は、駆動部12を4つ備えている。4つの駆動部12は、2つの駆動アーム61の各々において錘部62に対向している駆動片613上に2つずつ設けられている。駆動片613上に設けられている2つの駆動部12のうち1つの駆動部12は、駆動片613のうち第1可動片611に対向する部分の上に設けられており、残りの1つの駆動部12は、駆動片613のうち第2可動片612に対向する部分の上に設けられている。基板2の厚さ方向D1からの平面視で、4の駆動部12の各々は、クランク形状である。
【0033】
4つの駆動部12の各々は、上述のように圧電素子であり、例えば、駆動片613上の下部電極と、下部電極上の圧電層と、圧電層上の上部電極123と、を有する。
【0034】
実施形態1に係る物理量センサ1は、第1支持部31上に設けられた3つの外部接続電極13~15を更に備えている。3つの外部接続電極13~15は、第1支持部31上でX軸方向に並んでいる。
【0035】
物理量センサ1は、
図2における左側の一対の駆動部12の上部電極123と外部接続電極13とを電気的に接続している配線部23と、右側の一対の駆動部12の上部電極123と外部接続電極15とを電気的に接続している配線部25と、を更に備える。また、物理量センサ1は、2つの第1可動片611上のモニタ素子8の上部電極83と外部接続電極14(モニタ電極)とを電気的に接続している配線部24を更に備える。また、物理量センサ1は、駆動部12の下部電極と第2支持部32上の外部接続電極19(グランド電極)と電気的に接続している配線部を更に備えている。
【0036】
また、
図3に示すように、基板2の主面21には、凹部50が形成されている。凹部50は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、第1支持部31及び第2支持部32に重複せず、かつ、可動部6に重複するように設けられている。これにより、可動部6は、基板2の厚さ方向D1において基板2から離れている。凹部50は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で矩形状であるが、これに限らず、例えば、H字状であってもよい。
【0037】
物理量センサ1は、基板2と支持部30との間に介在する接合部80を更に備える。ここにおいて、接合部80は、
図4Bに示すように、基板2と支持部30におけるアンカー部3及び囲繞部4との間に介在している。接合部80は、基板2とアンカー部3との間に介在している第1接合部81と、基板2と囲繞部4との間に介在している第2接合部82と、を有する。接合部80は、例えば、樹脂層である。接合部80は、樹脂層に限らず、例えば、酸化シリコン層、金属層、共晶金属層等であってもよい。
【0038】
物理量センサ1は、例えば、
図5に示すように、パッケージ100に収容して使用される。パッケージ100は、パッケージ本体101と、パッケージ蓋102と、を含んでいる。パッケージ本体101は、例えば、一面に開口を有する箱状である。パッケージ蓋102は、パッケージ本体101の開口を塞ぐようにパッケージ本体101に接合されている。パッケージ本体101は、セラミックパッケージ本体でもよいし、プラスチックパッケージ本体でもよい。パッケージ蓋102の材料は、例えば、金属、ステンレス鋼等である。物理量センサ1とパッケージ100とを備えるセンサ装置では、例えば、物理量センサ1が接合部111によりパッケージ本体101に接合されている(ダイボンドされている)。接合部111の材料は、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等である。また、物理量センサ1の複数の外部接続電極13~19とパッケージ本体101の複数の導体部とがボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。なお、
図5では、複数の外部接続電極13~19のうち2つの外部接続電極13、16とパッケージ本体101の2つの導体部113、116とを一対一に接続している2つのボンディングワイヤW13、W16を図示してある。なお、パッケージ本体101がプラスパッケージ本体の場合、導体部は、リード端子のインナーリード部である。
【0039】
センサ装置におけるパッケージ100の内部空間は、例えば、窒素ガス雰囲気又は減圧雰囲気(真空)であり、可動部6と基板2との間の空間も窒素ガス雰囲気又は減圧雰囲気(真空)である。物理量センサ1は、パッケージ本体101に実装されて使用される場合に限らず、例えば、プリント配線板等に実装して使用されてもよい。
【0040】
(1.2.2)物理量センサの動作
実施形態1に係る物理量センサ1は、例えば、錘部62をX軸方向に振動させた状態で、錘部62に作用するコリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検出する。
【0041】
物理量センサ1では、例えば、駆動部12に駆動回路等から駆動用の交流電圧が印加された場合、上部電極123の電位が下部電極の電位よりも高いときには、圧電層に引張応力が発生する。一方、上部電極123の電位が下部電極の電位よりも低いときには、圧電層に圧縮応力が発生する。したがって、物理量センサ1では、交流電圧の位相に応じて、
図6に示すように、一対の駆動アーム61及び一対の錘部62がX軸方向において振動する。物理量センサ1では、2つの錘部62を互いに反対の位相で同期して振動させることが可能となる。
【0042】
2つの錘部62がX軸方向に振動している状態で、錘部62にZ軸周りの角速度が作用すると、錘部62にはコリオリ力(転向力)が作用することにより、錘部62にY軸方向の振動が発生し、一対の駆動アーム61の各々が
図7に矢印で示すようにY軸方向に振動する。これにより、物理量センサ1では、角速度に応じた電気信号が検出部5から出力されることになる。
【0043】
物理量センサ1は、例えば、信号処理装置と電気的に接続して使用される。信号処理装置は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。信号処理装置は、例えば、駆動回路と、処理回路と、を含む。駆動回路は、物理量センサ1に対して、駆動用の電圧信号を与える。処理回路は、物理量センサ1の検出部5から出力される電気信号を信号処理する。例えば、処理回路は、物理量センサ1の検出部5から出力されるアナログの電気信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、Z軸周りの角速度を求めることが可能である。なお、上述のセンサ装置では、パッケージ100に物理量センサ1とASICとが収納されていてもよい。
【0044】
(1.2.3)物理量センサにおけるアンカー部及び梁部の詳細
実施形態1に係る物理量センサ1では、
図4A及び4Bに示すように、梁部7によりアンカー部3と囲繞部4とがつながれている。これにより、物理量センサ1は、アンカー部3と囲繞部4と梁部7とで囲まれた空間を有するので、支持部30と基板2との接合面積を小さくできる。実施形態1に係る物理量センサ1では、アンカー部3は、例えば、2つの支持部30の各々の一部により構成される。
【0045】
実施形態1に係る物理量センサ1では、アンカー部3は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で正方形状である。また、実施形態1に係る物理量センサ1では、2つの梁部7の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で直線状である。実施形態1に係る物理量センサ1では、2つの梁部7は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でアンカー部3の中心を挟んで一直線上に並んでいる。
【0046】
実施形態1に係る物理量センサ1では、基板2の厚さ方向D1においてアンカー部3の寸法と囲繞部4の寸法と梁部7の寸法とが同じである。実施形態1に係る物理量センサ1では、例えば、アンカー部3、囲繞部4及び梁部7それぞれにおける基板2側とは反対側の主面が面一である。また、実施形態1に係る物理量センサ1では、梁部7は、アンカー部3及び囲繞部4と一体である。また、実施形態1に係る物理量センサ1では、囲繞部4は、可動部6と一体である。なお、基板2の厚さ方向D1におけるアンカー部3の寸法及び梁部7の寸法は、例えば、数μm~数百μmである。また、基板2の厚さ方向D1からの平面視での梁部7の幅は、例えば、数μm~数十μmである。
【0047】
また、実施形態1に係る物理量センサ1では、囲繞部4は、基板2に固定されている。実施形態1に係る物理量センサ1は、基板2とアンカー部3との間に介在している第1接合部81と、基板2と囲繞部4との間に介在している第2接合部82と、を有する。第1接合部81と第2接合部82とは、基板2の主面21に沿った方向において離れている。2つの梁部7の各々と基板2の主面21との間には隙間がある。また、2つの梁部7の各々では、梁部7の幅方向(
図4Aにおける上下方向)における剛性が、梁部7の長さ方向(
図4Aにおける左右方向)における剛性及び基板2の厚さ方向D1(
図4B参照)における剛性よりも低い。これにより、2つの梁部7の各々は、幅方向に弾性変形可能なばねを構成している。
【0048】
実施形態1に係る物理量センサ1では、アンカー部3に2つの梁部7がつながっている。2つの梁部7は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でアンカー部3と2つの梁部7とで構成される構造では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、アンカー部3の中心軸を回転軸として回転対称性を有するように2つの梁部7が配置されている。
【0049】
(1.3)利点
実施形態1に係る物理量センサ1は、基板2と、アンカー部3と、囲繞部4と、検出部5と、可動部6と、梁部7と、を備える。アンカー部3は、基板2の主面21側に位置しており、基板2に固定されている。囲繞部4は、基板2の主面21側に位置しており、アンカー部3を囲んでいる。検出部5は、検出対象の物理量を検出する。可動部6は、検出部5の少なくとも一部が設けられており、基板2の主面21側に位置し囲繞部4につながっている。梁部7は、基板2の主面21側に位置しており、アンカー部3と囲繞部4とをつないでいる。これにより、実施形態1に係る物理量センサ1では、例えば、外部から基板2を伝達してアンカー部3へ伝達された応力が可動部6へ伝達されるのを抑制でき、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。実施形態1に係る物理量センサ1では、可動部6及び検出部5への応力の伝達が抑制されることにより、例えば、オフセット電圧の温度特性を改善することが可能となる。実施形態1に係る物理量センサ1では、温度変化によるセンサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【0050】
(実施形態1の変形例1)
変形例1に係る物理量センサ1は、
図8A及び8Bに示すように、囲繞部4が基板2に固定されていない点で、実施形態1に係る物理量センサ1と相違する。変形例1に係る物理量センサ1は、実施形態1に係る物理量センサ1と比べて、基板2から可動部6及び検出部5への応力の伝達をより抑制することが可能となる。
【0051】
(実施形態1の変形例2)
変形例2に係る物理量センサ1では、
図9A及び9Bに示すように、アンカー部3につながっている梁部7の形状及び数が、実施形態1に係る物理量センサ1においてアンカー部3につながっている梁部7の形状及び数と相違する。
【0052】
変形例2に係る物理量センサ1では、アンカー部3に4つの梁部7がつながっている。変形例2に係る物理量センサ1では、4つの梁部7の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で屈曲部73を有する。変形例2に係る物理量センサ1では、4つの梁部7の各々は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でL字状である。変形例2に係る物理量センサ1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、4つ梁部7が、アンカー部3を中心として回転対称性を有するように配置されている。4つの梁部7は、基板2の厚さ方向D1からの平面視でアンカー部3の4辺のうち対応する辺の中央部につながっている。したがって、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、4つの梁部7におけるアンカー部3側の端は、アンカー部3の外周に沿う方向において等間隔で位置している。変形例2に係る物理量センサ1では、実施形態1に係る物理量センサ1と比べて、アンカー部3と囲繞部4との間隔を変えることなく、梁部7の長さを長くすることができる。
【0053】
(実施形態1の変形例3)
変形例3に係る物理量センサ1は、
図10A及び10Bに示すように、囲繞部4が基板2に固定されていない点で、実施形態1の変形例2に係る物理量センサ1と相違する。変形例3に係る物理量センサ1は、変形例2に係る物理量センサ1と比べて、基板2から可動部6及び検出部5への応力の伝達をより抑制することが可能となる。
【0054】
(実施形態1の変形例4)
変形例4に係る物理量センサ1は、
図11A及び11Bに示すように、アンカー部3に1つの梁部7のみがつながっている点で、実施形態1に係る物理量センサ1と相違する。変形例4に係る物理量センサ1は、実施形態1に係る物理量センサ1と比べて、基板2から可動部6及び検出部5への応力の伝達をより抑制することが可能となる。
【0055】
変形例4に係る物理量センサ1では、アンカー部3が支持部30における基部301の一部を構成していてもよく、この場合、アンカー部3上に外部接続電極が設けられていてもよい。この場合、外部接続電極に接続される配線部の一部は梁部7上に形成されることになる。
【0056】
(実施形態1の変形例5)
変形例5に係る物理量センサ1は、
図12A及び12Bに示すように、支持部30が接合部80を介さずに基板2と接合されている点で、実施形態1に係る物理量センサ1と相違する。変形例5に係る物理量センサ1では、支持部30のアンカー部3及び囲繞部4と基板2とが直接接合されている。
【0057】
変形例5に係る物理量センサ1では、梁部7は、基板2に固定されていない。また、変形例5に係る物理量センサ1では、基板2の厚さ方向D1において梁部7と基板2とが離れており、梁部7と基板2との間に隙間がある。変形例5に係る物理量センサ1では、例えば、アンカー部3、囲繞部4及び梁部7それぞれにおける基板2側とは反対側の主面が面一であり、基板2の厚さ方向D1における梁部7の寸法がアンカー部3の寸法よりも小さい。
【0058】
変形例5に係る物理量センサ1は、支持部30のアンカー部3及び囲繞部4と基板2とが直接接合されている構成であっても、基板2から可動部6及び検出部5への応力の伝達を抑制することが可能となる。
【0059】
(実施形態2)
以下では、実施形態2に係る物理量センサ1について、
図13~16に基づいて説明する。
【0060】
(2.1)概要
実施形態2に係る物理量センサ1Aは、
図13~15Bに示すように、基板2Aと、アンカー部3Aと、囲繞部4Aと、検出部5Aと、可動部6Aと、梁部7Aと、を備える。アンカー部3Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、基板2Aに固定されている。囲繞部4Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、アンカー部3Aを囲んでいる。検出部5Aは、検出対象の物理量を検出する。可動部6Aは、検出部5Aの少なくとも一部が設けられており、基板2Aの主面21A側に位置し囲繞部4Aにつながっている。梁部7Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、アンカー部3Aと囲繞部4Aとをつないでいる。なお、基板2Aの主面21Aは、基板2Aにおいて基板2Aの厚さ方向D1Aに交差する2つの面のうち、アンカー部3A側の面である。
【0061】
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、検出対象の物理量が加速度である。したがって、実施形態2に係る物理量センサ1Aは、加速度センサである。
【0062】
実施形態2に係る物理量センサ1Aは、例えば、加速度を電気信号に変換する。すなわち、実施形態2に係る物理量センサ1Aは、加速度を電気信号に変換するトランスデューサとして機能する。物理量センサ1Aは、例えば、家電機器、携帯端末、カメラ、ウェアラブル端末、ゲーム機、車両(自動車及び二輪車等を含む)、ロボット、建設機械、ドローン、航空機及び船舶等に用いることができる。
【0063】
実施形態2に係る物理量センサ1Aは、ピエゾ抵抗式の3軸加速度センサであり、検出部5Aは、
図13に示すように、複数のピエゾ抵抗Rx1~Rx4、Ry1~Ry4、Rz1~Rz4を含んでいる。
【0064】
(2.2)詳細
実施形態2に係る物理量センサ1Aの構成について、
図13~16を参照して詳細に説明する。
【0065】
(2.2.1)物理量センサの全体構成
物理量センサ1Aは、基板2Aと、構造体S1Aと、カバー11と、を備える。構造体S1Aは、例えば、シリコンウェハをMEMSの製造技術等を利用して加工することにより形成されている。したがって、構造体S1Aの材料は、シリコンを含む。
【0066】
構造体S1Aは、枠状(
図13の例では、方形枠状)の支持部30Aと、支持部30Aの内側に配置されている可動部6Aと、を有する。基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、支持部30Aの内周形状は、正方形状である。
【0067】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する直交座標を規定し、特に、基板2Aの厚さ方向D1Aに沿った軸を「Z軸」とする。なお、直交座標では、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視における可動部6Aの中心位置を原点としている。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は物理量センサ1Aの使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0068】
可動部6Aは、
図13に示すように、4つの撓み部63と、1つの錘部64と、4つの補助錘部65と、を有する。基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、錘部64は、正方形状である。基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、錘部64は支持部30Aから離れている。X軸の正方向における錘部64と支持部30Aとの距離と、Y軸方向における錘部64と支持部30Aとの距離とは、同じである。
【0069】
基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、4つの撓み部63は、錘部64から四方へ延びている。より詳細には、4つの撓み部63は、錘部64の4辺の中央部から1つずつ延びている。4つの撓み部63の一端は、錘部64とつながっており、4つの撓み部63の他端は、支持部30Aとつながっている。ここにおいて、4つの撓み部63のうち2つの撓み部63は、X軸の正側及び負側に延びており、残りの2つの撓み部63は、Y軸の正側及び負側に延びている。
【0070】
また、4つの補助錘部65は、錘部64の四隅に1つずつつながっている。補助錘部65は、錘部64と支持部30Aと2つの撓み部63とで囲まれた領域に位置し、支持部30A及び2つの撓み部63とは離れている。
【0071】
4つの撓み部63は、支持部30A、錘部64及び補助錘部65よりも基板2Aの厚さ方向D1Aにおける厚さが薄い。ここにおいて、構造体S1Aでは、基板2A側とは反対側において、撓み部63、支持部30A、錘部64及び補助錘部65の主面が面一である。構造体S1Aでは、支持部30Aと錘部64と補助錘部65とは、基板2Aの厚さ方向D1Aにおける寸法が互いに同じであるが、これに限らない。
【0072】
検出部5Aは、上述のように、複数のピエゾ抵抗Rx1~Rx4、Ry1~Ry4、Rz1~Rz4を含んでいる。物理量センサ1Aでは、錘部64から見てX軸の負側に位置している撓み部63において、支持部30A側の端にピエゾ抵抗Rx1、Rz4が設けられ、錘部64側の端にピエゾ抵抗Rx2、Rz3が設けられている。また、物理量センサ1Aでは、錘部64から見てX軸の正側に位置している撓み部63において、支持部30A側の端にピエゾ抵抗Rx4、Rz2が設けられ、錘部64側の端にピエゾ抵抗Rx3、Rz1が設けられている。また、物理量センサ1Aでは、錘部64から見てY軸の正側に設けられた撓み部63において、支持部30A側の端にピエゾ抵抗Ry1が設けられ、錘部64側の端にピエゾ抵抗Ry2が設けられている。また、物理量センサ1Aでは、錘部64から見てY軸の負側に設けられた撓み部63において、支持部30A側の端にピエゾ抵抗Ry4が設けられ、錘部64側の端にピエゾ抵抗Ry3が設けられている。
【0073】
物理量センサ1Aは、
図16に示すように、4つのピエゾ抵抗Rx1~Rx4をブリッジ接続して構成されたブリッジ回路Bxを有する。ブリッジ回路Bxは、X軸方向の加速度を検出するための回路である。
【0074】
また、物理量センサ1Aは、
図16に示すように、4つのピエゾ抵抗Ry1~Ry4をブリッジ接続して構成されたブリッジ回路Byを有する。ブリッジ回路Byは、Y軸方向の加速度を検出するための回路である。
【0075】
また、物理量センサ1Aは、
図16に示すように、4つのピエゾ抵抗Rz1~Rz4をブリッジ接続して構成されたブリッジ回路Bzを有する。ブリッジ回路Bzは、Z軸方向の加速度を検出するための回路である。
【0076】
また、物理量センサ1Aは、複数の外部接続電極(外部接続端子)を備える。複数の外部接続電極は、
図16に示すように、ブリッジ回路Bx~Bzに外部電源から電圧(例えば、一定の直流電圧)を印加するための一対の入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの一対の出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの一対の出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの一対の出力端子Z1,Z2と、を含む。複数の外部接続電極は、例えば、支持部30A上に設けられており、カバー11に設けられた複数の貫通孔により露出しているが、これに限らない。例えば、複数の外部接続電極は、カバー11上に設けられてもよい。この場合、例えば、カバー11に、複数の外部接続電極と複数の電極とを一対一に接続する複数の貫通配線が設けられていればよい。
【0077】
物理量センサ1Aでは、
図14に示すように、基板2Aと構造体S1Aとカバー11とが基板2Aの厚さ方向D1Aに並んでいる。なお、基板2A及びカバー11は、基板2Aの厚さ方向D1Aにおいて空間を介して可動部6Aと離れており、可動部6AのZ軸方向への過度な変位を抑制するストッパとしての機能も有する。
【0078】
基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、基板2Aの外周形状と構造体S1Aの外周形状とカバー11の外周形状とは略同じである。
【0079】
基板2Aは、例えば、シリコン基板である。物理量センサ1Aは、基板2Aと構造体S1Aにおける支持部30Aとの間に介在している接合部80を有する。接合部80は、基板2Aと構造体S1Aとを接合している。接合部80は、例えば、樹脂層である。
【0080】
なお、基板2Aは、構造体S1Aとの対向面に、可動部6AのZ軸方向の変位量を大きくするための凹部50A(
図15B参照)が形成されていてもよい。
【0081】
カバー11は、例えば、シリコン基板である。物理量センサ1Aは、カバー11と構造体S1Aにおける支持部30Aとの間に介在している接合部90を有する。接合部90は、カバー11と構造体S1Aとを接合している。接合部90は、例えば、樹脂層である。樹脂層の材料は、例えば、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等である。
【0082】
なお、カバー11は、構造体S1Aとの対向面に可動部6AのZ軸方向の変位量を大きくするための凹部110(
図15B参照)が形成されていてもよい。
【0083】
(2.2.2)物理量センサの動作
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、物理量センサ1Aにかかった加速度によって錘部64及び各補助錘部65が変位し、これにより各撓み部63に歪が生じる。この歪を検出することにより、物理量センサ1Aにかかった加速度を検出することができる。
【0084】
物理量センサ1Aでは、一対の入力端子VDD,GND間に一定の直流電圧が印加されている状態で、X軸方向の加速度がかかると一対の出力端子X1,X2間の電位差がX軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。同様に、物理量センサ1Aでは、Y軸方向の加速度がかかるとブリッジ回路Byの出力端子Y1,Y2間の電位差がY軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。同様に、物理量センサ1Aでは、Z軸方向の加速度がかかるとブリッジ回路Bzの出力端子Z1,Z2間の電位差がZ軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。しかして、物理量センサ1Aは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向それぞれの加速度を検出することができる。
【0085】
物理量センサ1Aは、例えば、信号処理装置と電気的に接続して使用される。信号処理装置は、例えば、ASICである。信号処理装置は、例えば、駆動回路と、処理回路と、を含む。駆動回路は、物理量センサ1Aの入力端子VDD,GND間に一定の直流電圧を与える。処理回路は、物理量センサ1Aの検出部5Aから出力される電気信号を信号処理する。例えば、処理回路は、物理量センサ1Aの検出部5Aから出力されるアナログの電気信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向それぞれの加速度を求めることが可能である。なお、物理量センサ1Aは、パッケージに収納されて使用されてもよいし、プリント配線板に実装されて使用されてもよい。
【0086】
(2.2.3)物理量センサにおけるアンカー部及び梁部の詳細
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、
図15A及び15Bに示すように、梁部7Aによりアンカー部3Aと囲繞部4Aとがつながれている。これにより、物理量センサ1Aは、アンカー部3Aと囲繞部4Aと梁部7Aとで囲まれた空間を有するので、支持部30Aと基板2Aとの接合面積を小さくできる。実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、アンカー部3Aは、例えば、支持部30Aにおいて撓み部63の近くの一部により構成される。
【0087】
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、アンカー部3Aは、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で正方形状である。また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、2つの梁部7Aの各々は、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で直線状である。実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、2つの梁部7Aは、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視でアンカー部3Aの中心を挟んで一直線上に並んでいる。
【0088】
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、基板2Aの厚さ方向D1Aにおいてアンカー部3Aの最大寸法と囲繞部4Aの寸法と梁部7Aの寸法とが同じである。実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、例えば、アンカー部3A、囲繞部4A及び梁部7Aそれぞれにおける基板2A側とは反対側の主面が面一である。また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、梁部7Aは、アンカー部3A及び囲繞部4Aと一体である。また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、囲繞部4Aは、可動部6Aと一体である。なお、基板2Aの厚さ方向D1Aにおけるアンカー部3Aの最大寸法及び梁部7Aの寸法は、例えば、数十μm~数百μmである。また、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視での梁部7Aの幅は、例えば、数μm~数十μmである。
【0089】
また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、囲繞部4Aは、基板2Aに固定されている。実施形態2に係る物理量センサ1Aは、基板2Aとアンカー部3Aとの間に介在している第1接合部81と、基板2Aと囲繞部4Aとの間に介在している第2接合部82と、を有する。第1接合部81と第2接合部82とは、基板2Aの主面21Aに沿った方向において離れている。2つの梁部7Aの各々と基板2Aの主面21Aとの間には隙間がある。また、2つの梁部7Aの各々では、梁部7Aの幅方向(
図15Aにおける上下方向)における剛性が、梁部7Aの長さ方向(
図15Aにおける左右方向)における剛性及び基板2Aの厚さ方向D1A(
図15B参照)における剛性よりも低い。これにより、2つの梁部7Aの各々は、幅方向に弾性変形可能なばねを構成している。
【0090】
実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、アンカー部3Aに2つの梁部7Aがつながっている。基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視でアンカー部3Aと2つの梁部7Aとで構成される構造では、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、2つの梁部7Aが、アンカー部3Aの中心軸を回転軸として回転対称性を有するように配置されている。
【0091】
また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、囲繞部4Aは、基板2A側とは反対側においてカバー11に固定されている。実施形態2に係る物理量センサ1Aの接合部90は、カバー11とアンカー部3Aとの間に介在している第1接合部91と、カバー11と囲繞部4Aとの間に介在している第2接合部92と、を有する。第1接合部91と第2接合部92とは、離れている。2つの梁部7Aの各々とカバー11との間には隙間がある。
【0092】
アンカー部3Aは、カバー11側の主面に形成された環状の凹部33を有する。これにより、アンカー部3Aでは、凹部33を有していない場合と比べて、第1接合部91との接合面積が小さくなっている。
【0093】
物理量センサ1Aは、例えば、支持部30Aが少なくとも撓み部63と同じ数のアンカー部3Aを備えているのが好ましい。この場合、例えば、4つの撓み部63それぞれの近傍にアンカー部3Aが1つずつ位置しているのが好ましい。
【0094】
物理量センサ1Aでは、支持部30Aが撓み部63の数よりも多い複数のアンカー部3Aを備えていてもよい。この場合において、囲繞部4Aは、複数のアンカー部3Aのうち少なくとも1つのアンカー部3Aを囲んでいればよく、複数のアンカー部3Aのうち2以上のアンカー部3Aを囲んでいてもよい。
【0095】
(2.3)利点
実施形態2に係る物理量センサ1Aは、基板2Aと、アンカー部3Aと、囲繞部4Aと、検出部5Aと、可動部6Aと、梁部7Aと、を備える。アンカー部3Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、基板2Aに固定されている。囲繞部4Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、アンカー部3Aを囲んでいる。検出部5Aは、検出対象の物理量を検出する。可動部6Aは、検出部5Aの少なくとも一部が設けられており、基板2Aの主面21A側に位置し囲繞部4Aにつながっている。梁部7Aは、基板2Aの主面21A側に位置しており、アンカー部3Aと囲繞部4Aとをつないでいる。これにより、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、例えば、外部から基板2Aを伝達してアンカー部3Aへ伝達された応力が可動部6Aへ伝達されるのを抑制でき、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、可動部6A及び検出部5Aへの応力の伝達が抑制されることにより、例えば、オフセット電圧の温度特性を改善することが可能となる。実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、温度変化によるセンサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【0096】
(実施形態2の変形例1)
変形例1に係る物理量センサ1Aは、
図17A及び17Bに示すように、囲繞部4Aが基板2Aに固定されていない点で、実施形態2に係る物理量センサ1Aと相違する。変形例1に係る物理量センサ1Aは、実施形態2に係る物理量センサ1Aと比べて、基板2Aから可動部6A及び検出部5Aへの応力の伝達をより抑制することが可能となる。なお、変形例1に係る物理量センサ1Aでは、囲繞部4Aが、カバー11に固定されているが、これに限らず、カバー11に固定されていなくてもよい。
【0097】
(実施形態2の変形例2)
変形例2に係る物理量センサ1Aでは、
図18A及び18Bに示すように、アンカー部3Aにつながっている梁部7Aの形状及び数が、実施形態2に係る物理量センサ1Aにおいてアンカー部3Aにつながっている梁部7Aの形状及び数と相違する。
【0098】
変形例2に係る物理量センサ1Aでは、アンカー部3Aに4つの梁部7Aがつながっている。変形例2に係る物理量センサ1Aでは、4つの梁部7Aの各々は、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で屈曲部73を有する。変形例2に係る物理量センサ1Aでは、4つの梁部7Aの各々は、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視でL字状である。変形例2に係る物理量センサ1Aでは、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視で、4つ梁部7Aが、アンカー部3Aを中心として回転対称性を有するように配置されている。4つの梁部7Aは、基板2Aの厚さ方向D1Aからの平面視でアンカー部3Aの4辺のうち対応する辺の中央部につながっている。したがって、4つの梁部7Aにおけるアンカー部3A側の端は、アンカー部3Aの外周に沿う方向において等間隔で位置している。変形例2に係る物理量センサ1Aでは、実施形態2に係る物理量センサ1Aと比べて、アンカー部3Aと囲繞部4Aとの間隔を変えることなく、梁部7Aの長さを長くすることができる。
【0099】
(実施形態2の変形例3)
変形例3に係る物理量センサ1Aは、
図19A及び19Bに示すように、囲繞部4Aが基板2Aに固定されていない点で、実施形態2の変形例2に係る物理量センサ1Aと相違する。変形例3に係る物理量センサ1Aは、変形例2に係る物理量センサ1Aと比べて、基板2Aから可動部6A及び検出部5Aへの応力の伝達をより抑制することが可能となる。なお、変形例1に係る物理量センサ1Aでは、囲繞部4Aが、カバー11に固定されているが、これに限らず、カバー11に固定されていなくてもよい。
【0100】
(実施形態2のその他の変形例)
構造体S1Aは、シリコンウェハに限らず、例えば、SOI(Silicon on Insulator)ウェハをMEMSの製造技術等を利用して加工することにより形成されていてもよい。SOIウェハは、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された絶縁層(例えば、埋込酸化膜)と、絶縁層上に形成されたシリコン層と、を有する。SOIウェハを利用した場合、撓み部63の厚さをシリコン層の厚さにより規定することができるので、撓み部63の厚さの精度を向上できるという利点がある。
【0101】
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0102】
例えば、実施形態1に係る物理量センサ1における基板2の厚さ方向D1からの平面視でのアンカー部3の外周形状は、正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状、円形状等であってもよい。また、実施形態2に係る物理量センサ1Aにおけるアンカー部3Aの外周形状は、アンカー部3と同様、正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状、円形状等であってもよい。
【0103】
また、実施形態1に係る物理量センサ1は、シリコンウェハを用いて製造される場合に限らず、SOIウェハを用い製造されてもよい。また、物理量センサ1及び1Aは、シリコンウェハとガラスウェハとを用いてMEMSの製造技術及び陽極接合技術等を利用して製造されてもよい。ガラスウェハの材料は、例えば、硼珪酸ガラスである。
【0104】
また、梁部7及び7Aの材料は、シリコンに限らず、例えば、金属、合金、導電性樹脂等であってもよい。
【0105】
また、実施形態1に係る物理量センサ1では、駆動部12は、圧電素子(圧電駆動型アクチュエータ)であるが、これに限らず、第1駆動電極(駆動用固定電極)と第2駆動電極(駆動用可動電極)との間に発生させる静電力により駆動アーム61を駆動する静電駆動型アクチュエータであってもよい。
【0106】
また、実施形態1に係る物理量センサ1では、検出部5は、圧電素子であるが、これに限らず、第1検出電極(検出用固定電極)と第2検出電極(検出用可動電極)とを有するキャパシタであってもよい。
【0107】
また、実施形態2に係る物理量センサ1Aは、3軸加速度センサであるが、これに限らず、例えば、6軸加速度センサ、2軸加速度センサ、1軸加速度センサであってもよい。1軸加速度センサの場合、構造体は、例えば、錘部が一方向において1又は複数の撓み部(梁)を介して支持部に支持された片持ち梁型の構造体である。
【0108】
また、角速度センサ又は加速度センサでは、検出部は、可動部に設けられた第1検出電極と、支持部に設けられた第2検出電極とを含むキャパシタであってもよいし、可動部に設けられた第1検出電極と、基板に設けられた第2検出電極とを含むキャパシタであってもよい。
【0109】
また、検出対象の物理量は、角速度、加速度に限らず、例えば、圧力、音波、超音波等であってもよい。検出対象の物理量が圧力の場合、物理用センサは、例えば、ダイヤフラム式の圧力センサである。検出対象の物理量が音波の場合、物理量センサは、例えば、音波センサ(マイクロホンを含む)である。検出対象の物理量が超音波の場合、物理量センサは、例えば、超音波センサである。
【0110】
また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、基板2Aは、シリコン基板に限らず、例えば、ガラス基板であってもよい。この場合、ガラス基板の材料は、例えば、硼珪酸ガラスである。基板2Aがガラス基板の場合、基板2Aと構造体S1Aとは、例えば、陽極接合により直接接合されていてもよい。
【0111】
また、実施形態2に係る物理量センサ1Aでは、カバー11は、シリコン基板に限らず、例えば、ガラス基板であってもよい。この場合、ガラス基板の材料は、例えば、硼珪酸ガラスである。カバー11がガラス基板の場合、カバー11と構造体S1Aとは、例えば、陽極接合により直接接合されていてもよい。
【0112】
また、基板2及び2Aは、シリコン基板、SOI基板、ガラス基板等に限らず、例えば、プリント配線板又はパッケージ本体等であってよい。
【0113】
(態様)
第1の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、基板(2;2A)と、アンカー部(3;3A)と、囲繞部(4;4A)と、検出部(5;5A)と、可動部(6;6A)と、梁部(7;7A)と、を備える。アンカー部(3;3A)は、基板(2;2A)の主面(21;21A)側に位置しており、基板(2;2A)に固定されている。囲繞部(4;4A)は、基板(2;2A)の主面(21;21A)側に位置しており、アンカー部(3;3A)を囲んでいる。検出部(5;5A)は、検出対象の物理量を検出する。可動部(6;6A)は、検出部(5;5A)の少なくとも一部が設けられており、基板(2;2A)の主面(21;21A)側に位置し囲繞部(4;4A)につながっている。梁部(7;7A)は、基板(2;2A)の主面(21;21A)側に位置しており、アンカー部(3;3A)と囲繞部(4;4A)とをつないでいる。
【0114】
第1の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【0115】
第2の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第1の態様において、囲繞部(4;4A)は、基板(2;2A)に固定されている。
【0116】
第2の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、可動部(6;6A)をより安定して支持することが可能となる。
【0117】
第3の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第2の態様において、梁部(7;7A)は、アンカー部(3;3A)及び囲繞部(4;4A)と一体である。
【0118】
第3の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、製造工程の簡略化を図れる。
【0119】
第4の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、第3の態様において、第1接合部(81)と、第2接合部(82)と、を更に備える。第1接合部(81)は、アンカー部(3;3A)と基板(2;2A)との間に介在しており、アンカー部(3;3A)と基板(2;2A)とを接合している。第2接合部(82)は、囲繞部(4;4A)と基板(2;2A)との間に介在しており、囲繞部(4;4A)と基板(2;2A)とを接合している。基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)においてアンカー部(3;3A)の寸法と囲繞部(4;4A)の寸法と梁部(7;7A)の寸法とが同じである。
【0120】
第4の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、製造工程の簡略化を図れる。
【0121】
第5の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第1の態様において、囲繞部(4;4A)は、基板(2;2A)に固定されていない。
【0122】
第5の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、外部からの応力が基板(2;2A)から囲繞部(4;4A)を介して可動部(6;6A)へ伝達されにくくなり、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【0123】
第6の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第5の態様において、梁部(7;7A)は、アンカー部(3;3A)及び囲繞部(4;4A)と一体である。
【0124】
第6の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、製造工程の簡略化を図れる。
【0125】
第7の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、第6の態様において、接合部(80)を更に備える。接合部(80)は、アンカー部(3;3A)と基板(2;2A)との間に介在しており、アンカー部(3;3A)と基板(2;2A)とを接合している。基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)においてアンカー部(3;3A)の寸法と囲繞部(4;4A)の寸法と梁部(7;7A)の寸法とが同じである。
【0126】
第7の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、製造工程の簡略化を図れる。
【0127】
第8の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、梁部(7;7A)は、基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)からの平面視で直線状である。
【0128】
第9の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、梁部(7;7A)は、基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)からの平面視で屈曲部(73)を有する。
【0129】
第9の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、梁部(7;7A)が直線状である場合と比べて、梁部(7;7A)の弾性変形する方向の自由度が高くなる。
【0130】
第10の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、第1~9の態様のいずれか一つにおいて、梁部(7;7A)を複数備える。
【0131】
第10の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、梁部(7;7A)に過度の応力がかかるのを抑制することが可能となる。
【0132】
第11の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、第10の態様において、基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)からの平面視で、複数の梁部(7;7A)が、アンカー部(3;3A)を中心として回転対称性を有するように配置されている。
【0133】
第11の態様に係る物理量センサ(1;1A)では、梁部(7;7A)の弾性変形する方向の自由度が高くなり、より確実に基板(2;2A)からの応力を緩和することが可能となる。
【0134】
第12の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、梁部(7;7A)を複数備える。複数の梁部(7;7A)のうち少なくとも1つの梁部(7;7A)は、基板(2;2A)の厚さ方向(D1)からの平面視で直線状である。
【0135】
第13の態様に係る物理量センサ(1;1A)は、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、梁部(7;7A)を複数備える。複数の梁部(7;7A)のうち少なくとも1つの梁部(7;7A)は、基板(2;2A)の厚さ方向(D1;D1A)からの平面視で屈曲部(73)を有する。
【0136】
第14の態様に係る物理量センサ(1A)は、第1~13の態様のいずれか一つにおいて、カバー(11)を更に備える。カバー(11)は、基板(2A)に対向しており、アンカー部(3A)と囲繞部(4A)と可動部(6A)と梁部(7A)とを覆っている。アンカー部(3A)が、カバー(11)に固定されている。
【0137】
第14の態様に係る物理量センサ(1A)では、可動部(6A)をより安定して支持することが可能となる。
【0138】
第15の態様に係る物理量センサ(1A)では、第14の態様において、囲繞部(4A)が、カバー(11)に固定されている。
【0139】
第15の態様に係る物理量センサ(1A)では、可動部(6A)をより安定して支持することが可能となる。
【0140】
第16の態様に係る物理量センサ(1A)では、第14の態様において、囲繞部(4A)が、カバー(11)に固定されていない。
【0141】
第16の態様に係る物理量センサ(A)では、外部からの応力がカバー(11)から囲繞部(4A)を介して可動部(6A)へ伝達されにくくなり、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【0142】
第17の態様に係る物理量センサ(1A)では、第14~16の態様のいずれか一つにおいて、アンカー部(3A)は、カバー(11)側の主面に形成された環状の凹部(33)を有する。
【0143】
第17の態様に係る物理量センサ(1A)では、外部からの応力がカバー(11)から囲繞部(4A)を介して可動部(6A)へ伝達されにくくなり、センサ特性の変化を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0144】
1、1A 物理量センサ
2、2A 基板
21、21A 主面
3、3A アンカー部
33 凹部
4、4A 囲繞部
5、5A 検出部
6、6A 可動部
7、7A 梁部
73 屈曲部
80 接合部
81 第1接合部
82 第2接合部
11 カバー
D1、D1A 厚さ方向