(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】点灯装置、防災照明器具及び防災照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20231215BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20231215BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20231215BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B47/105
H05B47/115
(21)【出願番号】P 2022150465
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2018150899の分割
【原出願日】2018-08-09
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋史
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】八木 佐奈
(72)【発明者】
【氏名】本多 由明
(72)【発明者】
【氏名】受田 高明
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-108697(JP,A)
【文献】特開2016-042756(JP,A)
【文献】特開2017-169366(JP,A)
【文献】特開2016-034198(JP,A)
【文献】特開2017-157390(JP,A)
【文献】特開2003-024225(JP,A)
【文献】特開2018-098166(JP,A)
【文献】特開2013-004484(JP,A)
【文献】特開2011-134512(JP,A)
【文献】特開2012-113877(JP,A)
【文献】特開2003-341971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源の停止時に、外部電源から供給される電力で充電される非常電源から供給される電力で光源を点灯させる点灯回路と、
前記非常電源の使用期間を計時する電源タイマと、
報知機能を有する報知部と、を備え、
前記報知部は、前記電源タイマで計時された前記使用期間が前記非常電源の点検時期より前の期間である報知期間に達した場合に、光、音及び識別子の少なくとも1つで報知を行う、
点灯装置。
【請求項2】
前記電源タイマは、前記使用期間が前記報知期間に達する前に、前記非常電源を放電させる点検が行われても、前記使用期間の計時を継続する、
請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記報知部は、
前記使用期間が前記報知期間に達した場合に、人が存在すると、前記報知を行う、
請求項1又は2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記報知部は、
前記使用期間が前記報知期間に達した場合に、あらかじめ設定されたタイミングで前記報知を行う、
請求項1~3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
前記非常電源と、
前記点灯装置、前記光源及び前記非常電源が取り付けられている本体と、を備える、
防災照明器具。
【請求項6】
請求項5に記載の複数の防災照明器具を備える、
防災照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に点灯装置、防災照明器具及び防災照明システムに関し、より詳細には、非常時に光源を点灯させる点灯装置、この点灯装置を備える防災照明器具、及び、複数の防災照明器具を備える防災照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防災照明器具の一例として、特許文献1記載の非常用照明装置を例示する。
【0003】
特許文献1記載の非常用照明装置は、非常用ランプと、充電可能であって、非常時に非常用ランプへ電力を供給する非常電源と、点検部と、無線通信モジュールとを具備する。
【0004】
点検部は、一定の点検周期で非常電源の所定の点検を行い、無線通信モジュールは、点検部による点検結果を送信する。点検部は、非常電源の異常を判断するための点検を、法令で定められた所定時間だけ行う。また、点検部は、法令で定められた所定期間を点検周期とし、前回の点検から所定期間が経過した時点で今回の点検を行う。つまり、点検部は、法令で定められた所定期間に従って定期的に、法令で定められた所定時間だけ、点検を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、防災照明器具に含まれる誘導灯(日本工業規格C 8105-2-22 : 2014 22.3.22A参照)について、内蔵型の非常電源の点検の要件が緩和されている。つまり、非常電源がニッケル・カドミウム蓄電池の場合は製造年から3年を超えるまで原則として点検は不要である。また、非常電源がニッケル水素蓄電池の場合は製造年から5年を超えるまで原則として点検は不要である(消防予第80号「消防用設備等の試験基準及び点検要領の一部改正について(通知)」参照)。
【0007】
しかしながら、内蔵型の非常電源の点検の要件が緩和されたことに伴い、点検が行われるべき時期が看過されてしまうおそれがある。
【0008】
本開示の目的は、非常電源の点検時期を知らせることができる点灯装置、防災照明器具及び防災照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る点灯装置は、点灯回路と、電源タイマと、報知部とを備える。前記点灯回路は、外部電源の停止時に非常電源から供給される電力で光源を点灯させる。前記非常電源は、外部電源から供給される電力で充電される。前記電源タイマは、前記非常電源の使用期間を計時する。前記報知部は、報知機能を有する。前記報知部は、前記電源タイマで計時された前記使用期間が前記非常電源の点検時期より前の期間である報知期間に達した場合に、光、音及び識別子の少なくとも1つで報知を行う。
【0010】
本開示の一態様に係る防災照明器具は、前記点灯装置と、光源と、前記非常電源と、本体とを備える。前記光源は、前記点灯装置からの電力によって点灯する。前記本体には、前記点灯装置、前記光源及び前記非常電源が取り付けられている。
【0011】
本開示の一態様に係る防災照明システムは、前記複数の防災照明器具を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の上記態様に係る点灯装置、防災照明器具及び防災照明システムによれば、非常電源の点検時期を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る防災照明器具のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の防災照明器具の動作を示すタイムチャートである。
【
図3】
図3Aは、同上の防災照明器具の上面図である。
図3Bは、同上の防災照明器具の下面図である。
図3Cは、同上の防災照明器具の側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る防災照明システムのブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態の変形例12に係る防災照明システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る点灯装置、防災照明器具及び防災照明システムについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において説明する各図は模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(1)防災照明器具の全体構成
実施形態に係る防災照明器具1は、
図1に示すように、光源2と、電池3(非常電源)と、点灯装置4とを備える。
【0016】
防災照明器具1は、建物の屋内の天井に設けられた埋込孔に埋め込まれる、埋込型の非常灯である。ただし、防災照明器具は埋込型の非常灯に限定されない。防災照明器具は、天井に直付けされる露出型の非常灯であってもよいし、誘導灯などの非常灯以外の防災照明器具であってもかまわない。
【0017】
(2)防災照明器具の各構成要素
以下、本実施形態に係る防災照明器具1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
【0018】
(2.1)光源
光源2は、点灯装置4からの電力によって点灯する。光源2は、複数の固体発光素子を有する。例えば、光源2は、複数の固体発光素子として複数のLED(Light Emitting Diode)が直列接続されたLEDアレイを有する。なお、光源2は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。光源2は、例えば、有機EL(Organic Electro Luminescence:OEL)、又は、半導体レーザダイオード(Laser Diode:LD)などの他の固体発光素子を有してもよい。
【0019】
(2.2)電池
電池3は、充電可能な蓄電池(二次電池)であり、非常電源に相当する。電池3は、特定の種類の二次電池に限定されないが、電池3は、例えばニッケル水素電池、又はニッケル・カドミウム電池であることが好ましい。そして、電池3は、蓄電している電荷を放電することで、非常用電力を出力することができる。すなわち、電池3から供給される電力が非常用電力である。
【0020】
(2.3)点灯装置
点灯装置4は、充電回路40と、点灯回路41と、制御回路42と、報知回路43(報知部)とを備える。また、点灯装置4は、直流電源回路45と、停電検出回路46と、受信部47と、モニタランプ48と、押釦スイッチ49とを更に備えることが好ましい。点灯装置4は、3つの押釦スイッチ49を備える。3つの押釦スイッチ49を区別する場合、押釦スイッチ49A,49B,49Cとそれぞれ称す。
【0021】
直流電源回路45は、例えば、リンギングチョークコンバータなどの自励型のスイッチング電源回路で構成され、外部電源(例えば、商用の電力系統)9から供給される交流電圧を、当該交流電圧の実効値よりも低い直流電圧に変換することが好ましい。充電回路40は、外部電源9から給電されているときに動作し、直流電源回路45から電池3へ充電電流を流すように構成されることが好ましい。停電検出回路46は、直流電源回路45の出力電圧から外部電源9の停電を検出して制御回路42に通知するように構成される。
【0022】
モニタランプ48は、例えば、緑色光を放射する発光ダイオードで構成され、充電回路40から電池3に供給される充電電流によって発光する。受信部47は、赤外線を通信媒体とする無線信号を受信し、受信した無線信号から送信フレームを復調して制御回路42に渡すように構成される。この無線信号は、点検を行う点検者などによって操作されるワイヤレス送信器から送信される。
【0023】
点検は、法令で定められた期間ごとに実施され、電池3を規定の時間以上放電させて、電池3の劣化の程度を確認することを目的とする。さらに、点検は、点灯回路41を強制的に動作させて、光源2を規定の時間以上、点灯状態を維持することを確認することを更なる目的とすることが好ましい。
【0024】
(2.4)点灯回路
点灯回路41は、外部電源9の停止時に電池3から供給される電力で光源2を点灯させる。より詳細には、点灯回路41は、電池3から供給される直流電流を定電流化して光源2に供給するように構成されている。
【0025】
(2.5)制御回路
制御回路42は、外部電源9又は電池3から電力を供給されることで動作する。制御回路42は、コンピュータシステムで構成されることが好ましい。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御回路42としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく。電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む一ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0026】
制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出していないとき、充電回路40を動作させ、かつ、点灯回路41を停止させるように構成される。また、制御回路42は、停電検出回路46が停電を検出しているとき、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させるように構成される。さらに、制御回路42は、押釦スイッチ49Aが押操作された場合、点検者などから点検の指示があったと判断して、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて電池3を放電させ、かつ、充電回路40を動作させるように構成される。同様に、制御回路42は、受信部47から送信フレームを受け取った場合、点検者などから点検の指示があったと判断して、充電回路40を停止させ、かつ、点灯回路41を動作させて電池3を放電させ、かつ、充電回路40を動作させるように構成される。ただし、制御回路42は、押釦スイッチ49Bが押操作された場合は、点灯回路41を数秒間動作させた後、再度、点灯回路41を停止させ、かつ、充電回路40を動作させるように構成されることが好ましい。
【0027】
防災照明器具1は、誘導灯又は非常用照明器具などである。誘導灯及び非常用照明器具に対しては、法令に基づく点検が実施されなければならない。誘導灯の点検の時期は消防法に規定されており、非常用照明器具の点検の時期は建築基準法に規定されている。
【0028】
さらに、誘導灯に搭載されている蓄電池の製造年から所定の年数を超えていなければ、蓄電池の寿命を考慮して、当該誘導灯に対する上述の点検の実施は不要となる場合がある。この場合、誘導灯に搭載されている蓄電池の製造年から所定の年数を超えていれば、蓄電池の寿命を考慮して、当該誘導灯に対して上述の点検を実施する必要がある。例えば、蓄電池がニッケル・カドミウム電池である場合、蓄電池の製造年から3年を超えていれば、点検を実施する必要がある。また、蓄電池がニッケル水素電池である場合、蓄電池の製造年から5年を超えていれば、点検を実施する必要がある。
【0029】
しかしながら、適切な時期(例えば、法令などによって定められた時期)に点検が行われているとは言い難いのが実状である。そこで、本実施形態に係る防災照明器具1は、蓄電池の寿命を考慮した適切な時期に点検を行うために、以下の報知機能を有する。
【0030】
まず、前提として、本実施形態に係る防災照明器具1では、電池3の使用期間があらかじめ決められた時間を超えていなければ、防災照明器具1に対する点検の実施は不要となる。そこで、制御回路42は、電池3の使用期間があらかじめ決められた時間に達した後、報知を行うように報知回路43を制御する。
【0031】
制御回路42は、電源タイマ421の機能及び点検タイマ422の機能を有するように構成されている。制御回路42がリアルタイムクロック(Real Time Clock:RTC)を有する場合、電源タイマ421及び点検タイマ422は、リアルタイムクロックの値を周期的に読み取って、カウント値を積算することで、経過時間を計時する計時動作を行う。あるいは、電源タイマ421及び点検タイマ422は、カウント値を一定周期(例えば、クロック周波数の周期など)でインクリメントすることで計時動作を行うカウンタであってもよい。
【0032】
電源タイマ421は、電池3の使用期間Taを計時する。本実施形態において、使用期間Taは、充電回路40によって電池3の充電が開始された時点からの経過時間である。使用期間Taの起点は、例えば新品の電池3の充電が開始された時点である。ただし、使用期間Taの起点は、新品の電池3が充電回路40によって満充電された時点であってもかまわない。そして、電源タイマ421が使用期間Taの計時を開始すると、使用期間Taの計時値はゼロから時間の経過に伴って増加する。また、電源タイマ421は、電池3が新しい電池3に交換された場合にリセットされ、計時値がゼロになる。本実施形態では、人が電池3の交換後に押釦スイッチ49A,49Bを同時に押操作する。制御回路42は、押釦スイッチ49A,49Bが同時に押操作されると、電源タイマ421をリセットする。電源タイマ421のリセット後、計時値はゼロから再び増加する。
【0033】
あるいは、制御回路42が非常用電力のみで動作する場合、制御回路42は、非常用電力の供給の有無に基づいて、電池3の交換作業の実施を検出してもよい。例えば、制御回路42は、非常用電力の伝達経路の電圧が制御回路42の動作電圧を下回って、制御回路42の動作が停止する直前に、リアルタイムクロックの値に基づいて停止直前の時刻情報を記憶しておく。そして、制御回路42は、非常用電力の伝達経路の電圧が制御回路42の動作電圧を上回って、制御回路42の動作が再開された直後に、リアルタイムクロックの値に基づいて再開直後の時刻情報を取得する。制御回路42は、停止直前の時刻情報と再開直後の時刻情報の差分から、動作を停止していた停止時間を求めて、停止時間が一定時間以上あれば、電池3の交換作業の実施を検出し、電源タイマ421をリセットする。
【0034】
点検タイマ422は、電池3を放電させる点検が完了してからの期間を未点検期間Tbとして計時する。より詳細には、点検タイマ422は、点検が実行された後に、同じ電池3に対して再び点検を実行する時期を決定するために、未点検期間Tbを計時する。点検タイマ422が未点検期間Tbの計時を開始すると、未点検期間Tbの計時値はゼロから時間の経過に伴って増加する。また、点検タイマ422は、点検が実行された場合にリセットされ、計時値がゼロになる。同様に、点検タイマ422は、電池3が交換された場合にリセットされ、計時値がゼロになる。本実施形態では、人が点検後、及び電池3の交換後に押釦スイッチ49A,49Cを同時に押操作する。制御回路42は、押釦スイッチ49A,49Cが同時に押操作されると、点検タイマ422をリセットする。あるいは、制御回路42が点検を実行した場合に、制御回路42が電源タイマ421をリセットしてもよい。リセット後、計時値はゼロから再び増加する。
【0035】
制御回路42は、電源タイマ421の機能及び点検タイマ422の機能を有すると共に、報知回路43の報知を制御する報知制御回路423を有する。
【0036】
報知制御回路423は、電源タイマ421の計時値を用いて、報知回路43に第1報知を行わせる第1報知制御処理を行う。報知制御回路423は、第1報知期間[Tc]のデータをあらかじめ記憶しており、使用期間Taと第1報知期間[Tc]との比較処理を行う。そして、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合、報知制御回路423は、第1報知を行うように報知回路43を制御する。
【0037】
本明細書における第1報知とは、電源タイマ421で計時された使用期間Taが第1報知時間[Tc]に達した場合に行われる報知をいう。第1報知期間[Tc]は、法令で定められた点検期間であり、例えば3年又は5年に相当する期間である。
【0038】
また、報知制御回路423は、点検タイマ422の計時値を用いて、報知回路43に第2報知を行わせる第2報知制御処理を行う。報知制御回路423は、第2報知期間[Td]のデータをあらかじめ記憶しており、未点検期間Tbと第2報知期間[Td]との比較処理を行う。そして、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合、報知制御回路423は、第2報知を行うように報知回路43を制御する。
【0039】
本明細書における第2報知とは、点検タイマ422で計時された未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合に行われる報知をいう。第2報知期間[Td]は、法令で定められた点検期間であり、例えば6ヶ月以下又は12ヶ月以下の任意の期間である。
【0040】
(2.6)報知回路
報知回路43は、第1報知を行う第1機能と、第2報知を行う第2機能とを有する。報知回路43は、制御回路42の報知制御回路423による制御に従って、第1報知及び第2報知を行う。より詳細には、報知回路43は、第1機能として、電源タイマ421で計時された使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合に、光で第1報知を行う。また、報知回路43は、点検タイマ422で計時された未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合に、光で第2報知を行う。
【0041】
報知回路43は、報知機能を有する報知部であり、例えば、光源2とは異なる表示素子431と、表示素子431を駆動して発光させる駆動回路432とを有する。表示素子431は、例えば、緑色光を放射する発光ダイオード又は赤色光を放射する発光ダイオードである。報知回路43は、第1報知及び第2報知を、表示素子431を用いて光で行う。例えば、報知回路43は、第1報知及び第2報知を、表示素子431の点滅によって行ってもよいし、第1報知及び第2報知を、表示素子431の点灯によって行ってもよい。
【0042】
ところで、電源タイマ421は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達する前に、電池3の点検が行われても、使用期間Taの計時を継続する。言い換えると、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達する前に、電池3の点検の有無に関係なく、電源タイマ421は、使用期間Taの計時を継続する。
【0043】
一方、点検タイマ422は、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達する前に、電池3の点検が行われると、未点検期間Tbの計時値をリセットする。言い換えると、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達する前において、電池3の点検が行われなければ、点検タイマ422は未点検期間Tbの計時を継続するが、電池3の点検が行われると、点検タイマ422は未点検期間Tbの計時値をリセットする。
【0044】
(3)防災照明器具の動作
以下、本実施形態に係る防災照明器具1の動作について、
図2を参照して説明する。
【0045】
まず、点灯装置4において、制御回路42は、制御回路42から非常用電力の供給が開始されると、電池3の充電が開始されたとして、電源タイマ421による使用期間Taの計時を開始する(時刻t0)。電源タイマ421が使用期間Taの計時を開始すると、使用期間Taの計時値はゼロから時間の経過に伴って増加する。
【0046】
その後、報知回路43は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達すると(時刻t1)、第1報知N1を行う。第1報知N1が行われると、点検者は、電池3の点検E1を行う(時刻t2)。点検E1が完了すると、点検タイマ422は、未点検期間Tbの計時を開始する(時刻t3)。報知回路43は、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達すると(時刻t4)、第2報知N2を行う。第2報知N2が行われると、点検者は、点検E2を行う(時刻t5)。点検E2が完了すると、点検タイマ422がリセットされ、点検タイマ422による未点検期間Tbの計時が開始される(時刻t6)。そして、電池3の交換処理が実行されなければ、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に再び達し、報知回路43は、第2報知N2を行う。第2報知N2が行われると、点検者は、点検E2を行う。点検E2が完了すると、点検タイマ422がリセットされ、点検タイマ422による未点検期間Tbの計時が開始される。
【0047】
一方、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達する前に、電池3を交換する交換処理C1が実行されると、電源タイマ421及び点検タイマ422はリセットする(時刻t7)。交換処理C1が完了すると、電源タイマ421は、使用期間Taの計時を開始する(時刻t8)。以降、上述と同様の動作が繰り返される。
【0048】
すなわち、点灯装置4は、点検者による点検が行われない場合であっても、電池3の使用期間Taが第1報知期間[Tc](例えば、法令などによって決められた3年又は5年)に達した後、第1報知N1を行う。したがって、点灯装置4は、電池3の寿命等を考慮した適切な時期に第1報知N1を行う。
【0049】
また、点灯装置4は、電池3が交換されるまで周期的に第2報知N2を行う。このとき、第2報知期間[Td]は、使用期間Taの計時が開始されてから第1報知N1が行われるまでの第1報知期間[Tc]よりも短い。そして、点灯装置4は、最初の点検後に電池3が交換されない場合、第2報知N2を行う。したがって、点灯装置4は、電池3の寿命等を考慮した適切な時期に点検を促すことができる。なお、制御回路42は、リアルタイムクロックから現在時刻を取得し、あらかじめ決められたスケジュールに従って、報知可能な時間帯(例えば、防災照明器具1が設置されている建物に人が存在する時間帯)に報知動作を実行させることが好ましい。
【0050】
(4)防災照明器具の構造
以下、点灯装置4を備える防災照明器具1の構造について、
図3A~
図3Cを参照して説明する。本実施形態に係る防災照明器具1は、例えば、天井材や壁材などの造営材に取り付けられており、停電時に避難用の通路などに照明光を照射する。
【0051】
防災照明器具1は、
図3A~
図3Cに示すように、本体10と、カバー11と、一対の支持具12とを備える。
【0052】
本体10は、
図3A及び
図3Bに示すように、1つの底面(下面)が開口した有底円筒状に形成されている。本体10の側面に一対の支持具12が取り付けられている。本体10の下端には、外向きに突出する円環状のフランジ100が形成されている。
【0053】
一対の支持具12は、
図3A~
図3Cに示すように、長尺の板ばね状に形成されている。各支持具12は、長手方向の一端部で本体10の側面に固定され、かつ、長手方向の他端部が本体10の底面(上面)に近付く向き(上向き)にたわみ可能に構成されている。つまり、本体10は、天井に設けられた埋込孔内に挿入される一対の支持具12と、本体10の下端面に設けられているフランジ100との間で天井材を挟み込むようにして天井材に支持される。
【0054】
カバー11は、
図3A~
図3Cに示すように、本体10のフランジ100の外径よりも大きい円盤状に形成されている。
図3Bに示すように、カバー11の中央には、円形の窓孔110が設けられている。窓孔110には、光源ユニット2Uのレンズ21が貫通している。カバー11は、一対の取付ばねが取り付けられている。カバー11は、
図3Cに示すように、一対の取付ばねにより、本体10の底面を閉塞する状態で本体10に保持される。
【0055】
本体10には、点灯装置4(
図1参照)、光源2(
図1参照)及び電池3(
図1参照)が取り付けられている。より詳細には、
図3Bに示すように、光源ユニット2U、電池ユニット3U、及び点灯ユニット4Uは、本体10内に収容されている。ただし、電池ユニット3Uは、本体10の底面の開口を通して抜き差し可能に本体10内に収容されている。
【0056】
光源ユニット2Uは、
図3Bに示すように、LEDモジュール20及びレンズ21を備える。LEDモジュール20は、光源2が実装された基板を有し、順方向に電圧が印加されることにより、白色、昼白色又は昼光色などの白色系の照明光を放射する。レンズ21は、LEDモジュール20の前方(下方)に配置され、LEDモジュール20から放射される光を集める。
【0057】
図3Bに示す電池ユニット3Uは、複数の素電池を含む電池3(
図1参照)と、電池3を収容する電池ケースとを有する。電池3は、例えば、ニッケル・水素蓄電池又はニッケル・カドミウム蓄電池である。電池ケースは、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料で箱形に形成されており、複数の素電池を内部に収容する。
【0058】
図3Bに示す点灯ユニット4Uは、点灯装置4(
図1参照)を有する。点灯装置4のモニタランプ48から放射される光は、カバー11に設けられた第1孔111を通してカバー11の前方(下方)に出射される。受信部47は、カバー11に設けられた第2孔112を通して無線信号を受信(受光)する。報知回路43の表示素子431から放射される光は、カバー11に設けられた第3孔114を通してカバー11の前方(下方)に出射される。3つの押釦スイッチ49A,49B,49Cの各々の押釦は、カバー11に設けられた3つの操作孔113と1つずつ対向するように配置されている。
【0059】
(5)防災照明システム
本実施形態に係る防災照明器具1は、
図4に示すような防災照明システムB1に用いられる。防災照明システムB1は、複数(図示例では4つ)の防災照明器具1を備える。各防災照明器具1において、点灯装置4は、第1報知及び第2報知を行う。
【0060】
(6)変形例
本実施形態の変形例1として、点灯装置4は、音で第1報知及び第2報知を行う報知部を備えてもよい。上記報知部は、例えば、圧電サウンダなどの発音部と、発音部を駆動して報知音又は報知メッセージなどを発音させる音駆動回路とを有する。
【0061】
報知部は、発音部からの報知音の出力によって、第1報知及び第2報知を行う。報知音は、「ピーピー」というブザー音でもよいし、「点検を行ってください。」というような音声メッセージでもよい。点検者は、報知音を聞くと、ワイヤレス送信器又は押釦スイッチ49Aを操作して点検を実行することができる。なお、報知部は、第1報知及び第2報知を行う際に、報知音を連続で出力してもよいし、間欠的に出力してもよい。
【0062】
また、点灯装置4の報知部は、第1報知を光で行い、第2報知を音で行ってもよいし、第1報知を音で行い、第2報知を光で行ってもよい。要するに、点灯装置4の報知部は、光及び音の少なくとも一方で第1報知を行う第1機能と、光及び音の少なくとも一方で第2報知を行う第2機能とを有していればよい。
【0063】
あるいは、点灯装置4は、識別子で第1報知及び第2報知を行う報知部を備えてもよい。識別子とは、例えば、「点検の時期です」というような文字、「〇」若しくは「×」のような記号、若しくはパターン、又は、文字、記号若しくはパターンの組合せをいう。
【0064】
上記報知部は、本体10の内部に設けられた光源を備え、本体10又はカバー11に設けられた記号形状の貫通孔に向けて光源から光を発するようにしてもよい。つまり、識別子が透かし形としてカバー11に形成されることが好ましい。
【0065】
あるいは、上記報知部は、液晶ディスプレイのような表示部を有してもよい。上記表示部は、例えば本体10に設けられており、「点検の時期です」というような文字、又は、「〇」若しくは「×」のような記号を表示する。
【0066】
また、点灯装置4の報知部は、第1報知を光又は音で行い、第2報知を識別子で行ってもよいし、第1報知を識別子で行い、第2報知を光又は音で行ってもよい。要するに、点灯装置4の報知部は、光、音及び識別子の少なくとも1つで第1報知を行う第1機能と、光、音及び識別子の少なくとも1つで第2報知を行う第2機能とを有していればよい。
【0067】
本実施形態の変形例2として、非常電源としての電池3の使用期間Taは、電池3の充電が開始された時点からの経過時間に代えて、電池3の製造時からの経過時間であってもよい。この場合、電池3の製造時に、製造日、又は製造日からの経過時間を含む電池情報を記憶させたIDチップ、又はICタグなどの記録媒体を電池3に取り付けておく。制御回路42は、電池3との間の電気的な接続がなされたときに、記録媒体から電池情報を読み出して、使用期間の値の初期値を設定する。なお、電池3の製造時を示す情報は、電池3の製造年月日であってもよいし、電池3の製造年月であってもよいし、電池3の製造年であってもよい。
【0068】
本実施形態の変形例3として、非常電源としての電池3の使用期間Taは、電池3の充電が開始された時点からの経過時間に代えて、電池3の装着時からの経過時間であってもよい。つまり、使用期間Taは、電池3が搭載されてからの経過時間であってもよい。この場合、電池3からの配線に接続されている接続端子と点灯回路41側の配線に接続されている接続端子とが接続されたことを検出する検出素子が設けられている。上記2つの接続端子が接続されたことを検出素子が検出したときを、使用期間の開始とする。
【0069】
本実施形態の変形例4として、非常電源としての電池3の使用期間Taは、電池3の充電が開始される時点、電池3の製造時、及び、電池3の装着時の少なくとも2つに基づいて得られるタイミングからの経過時間であってもよい。
【0070】
本実施形態の変形例5として、点灯装置4の報知部は、第1報知及び第2報知を、光源2を用いて光で行ってもよい。この場合、報知制御回路423は、光源2の点灯状態を変化させることで報知を行う。例えば、報知制御回路423は、光源2の光量を周期的に変化させたり、光源2の光色を周期的に変化させたり、又は、光源2を点滅させたりする。なお、報知部は、第1報知を、光源2を用いて行い、第2報知を、表示素子を用いて行ってもよい。あるいは、報知部は、第1報知を、表示素子を用いて行い、第2報知を、光源2を用いて行ってもよい。要するに、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、光源2と用いて光で行ってもよい。
【0071】
また、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を行う際に、最初に非常時の点灯よりも低い又は高い光量で光源2を調光点灯(又は点滅)させ、点灯開始から一定時間が経過した後に、非常時の点灯と同じ光量で光源2を点灯(又は点滅)させてもよい。あるいは、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を行う際に、光源2の光量を徐々に高くしていってもよい。あるいは、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を行う際に、最初に表示素子431を点灯(又は点滅)させ、表示素子431の点灯開始から一定時間が経過した後に、光源2を点灯(又は点滅)させてもよい。なお、調光点灯時の調光レベルは、100%未満の調光レベル、又は100%を上回る調光レベルである。
【0072】
本実施形態の変形例6として、点灯装置4の報知部は、第1報知及び第2報知を、光源2の複数の発光素子の少なくとも1つを用いて光で行ってもよい。光源2は、複数の発光素子を含む。なお、報知部は、第1報知を、複数の発光素子の少なくとも1つを用いて行い、第2報知を、表示素子を用いて行ってもよい。あるいは、報知部は、第1報知を、表示素子を用いて行い、第2報知を、複数の発光素子の少なくとも1つを用いて行ってもよい。要するに、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、光源2の複数の発光素子を用いて光で行ってもよい。
【0073】
本実施形態の変形例7として、点灯装置4の報知部は、第1報知及び第2報知を行うための表示素子として、モニタランプ48を利用してもよい。なお、報知部は、第1報知のみを、モニタランプ48を用いて表示してもよいし、第2報知のみを、モニタランプ48を用いて行ってもよい。要するに、報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、モニタランプ48を用いて行ってもよい。
【0074】
本実施形態の変形例8として、報知回路43は、人が存在する場合に第1報知を行ってもよい。より詳細には、報知回路43は、第1機能において、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合に、人が存在すると、第1報知を行う。この場合、制御回路42の報知制御回路423は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合に、人が存在することを検出する人感センサから検出結果を取得する。そして、人が存在するとき、報知制御回路423は、第1報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従い、第1報知を行う。一方、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合であっても、人が存在しないときは、報知回路43は、第1報知を行わない。つまり、報知回路43は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した後、人が存在するときに第1報知を行う。
【0075】
同様に、報知回路43は、人が存在する場合に第2報知を行ってもよい。より詳細には、報知回路43は、第2機能において、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合に、人が存在すると、第2報知を行う。この場合、報知制御回路423は、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合に、人が存在することを検出する人感センサから検出結果を取得する。そして、人が存在するとき、報知制御回路423は、第2報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従い、第2報知を行う。一方、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合であっても、人が存在しないときは、報知回路43は、第2報知を行わない。つまり、報知回路43は、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した後、人が存在するときに第2報知を行う。
【0076】
本実施形態の変形例9として、報知回路43は、あらかじめ決められた第1タイミングで第1報知を行ってもよい。より詳細には、報知回路43は、第1機能において、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合に、あらかじめ決められた第1タイミングで第1報知を行う。第1タイミングは、第1報知が可能な時刻又は時間帯である。例えば、第1タイミングは、防災照明器具1が設置されている建物に人がいる時刻又は時間帯である。変形例9では、制御回路42は、第1タイミングを含むスケジュールをあらかじめ記憶している。使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合、報知制御回路423は、リアルタイムクロックから現在時刻を取得し、あらかじめ決められたスケジュールに従って、第1タイミングで第1報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従って、第1タイミングで第1報知を行う。一例として、第1タイミングが午前10時である場合、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合、報知回路43は、午前10時に第1報知を行う。言い換えると、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達したとしても、報知回路43は、午前10時になるまで第1報知を行わない。他の例として、第1タイミングが午後7時から午後9時の時間帯(2時間)である場合、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達した場合、報知回路43は、午後7時から午後9時までの時間帯に第1報知を行う。言い換えると、報知回路43は、午後7時から午後9時までの時間帯以外の時間帯では第1報知を行わない。
【0077】
同様に、報知回路43は、あらかじめ決められた第2タイミングで第2報知を行ってもよい。より詳細には、報知回路43は、第2機能において、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合に、あらかじめ決められた第2タイミングで第2報知を行う。第2タイミングは、例えば時刻又は時間帯である。一例として、第2タイミングが午後3時である場合、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合、報知回路43は、午後3時に第2報知を行う。言い換えると、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達したとしても、報知回路43は、午後3時になるまで第2報知を行わない。他の例として、第2タイミングが午後6時から午後10時の時間帯(4時間)である場合、未点検期間Tbが第2報知期間[Td]に達した場合、報知回路43は、午後6時から午後10時までの時間帯に第2報知を行う。言い換えると、報知回路43は、午後6時から午後10時までの時間帯以外の時間帯では第2報知を行わない。
【0078】
本実施形態の変形例10として、第1報知期間は、法令で定められた点検期間より短い期間であってもよい。より詳細には、制御回路42は、法令で定められた点検期間よりも短い期間を第1報知期間としてあらかじめ記憶する。そして、使用期間が第1報知期間に達した場合、報知制御回路423は、第1報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従って、使用期間が法令で定められた点検期間に達する前に、第1報知を行う。報知回路43は、法令で定められた点検タイミングよりも早いタイミングで、第1報知を行うことができる。この場合、第1報知期間は、電池3の使用開始から点検タイミングよりも前の時点までの期間である。例えば、第1報知期間は、電池3の点検を行うタイミングに達するよりも猶予期間だけ早いタイミングである。猶予期間の長さを、例えば1週間未満(例えば、1日)とする。これにより、点検者は、法令で定められた点検期間に合うように実際の点検を行うことができる。
【0079】
同様に、第2報知期間は、法令で定められた点検期間より短い期間であってもよい。より詳細には、報知制御回路423は、法令で定められた点検期間よりも短い期間を第2報知期間としてあらかじめ記憶する。そして、未点検期間が第2報知期間に達した場合、報知制御回路423は、第2報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従って、未点検期間が法令で定められた点検期間に達する前に、第2報知を行う。報知回路43は、法令で定められた点検タイミングよりも早いタイミングで、第2報知を行うことができる。この場合、第2報知期間は、前回の点検タイミングから、次の点検タイミングよりも前の時点までの期間である。例えば、第2報知期間は、電池3の点検を行うタイミングに達するよりも猶予期間だけ早いタイミングである。猶予期間の長さを、例えば1週間未満(例えば、1日)とする。これにより、点検者は、法令で定められた点検期間に合うように実際の点検を行うことができる。
【0080】
本実施形態の変形例11として、電源タイマ421は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達するまででなく、使用期間Taが電池3の寿命期間に達するまで計時を継続してもよい(
図2の想像線を参照)。より詳細には、電源タイマ421は、使用期間Taが第1報知期間[Tc]に達したときに計時値をリセットせずに計時を継続する。そして、使用期間Taが寿命期間に達した場合、報知制御回路423は、電池3の交換を促す旨の報知を行うように報知回路43を制御する。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従って、上記報知を行う。使用期間Taが寿命期間に達すると、電源タイマ421は、計時値をリセットする。その後、電池3の交換処理が完了すると、電源タイマ421は、使用期間Taの計時を新たに開始する。
【0081】
また、電池3のような非常電源の点検において、電池3が規定の時間の放電が維持できなかった場合、報知制御回路423は、電池3の交換を促す旨の報知を行うように報知部を制御してもよい。報知回路43は、報知制御回路423による制御に従って、上記報知を行う。
【0082】
本実施形態の変形例11として、
図5に示すような防災照明システムB2があってもよい。防災照明システムB2は、複数(図示例では4つ)の防災照明器具1を備える。
【0083】
防災照明システムB2では、複数の防災照明器具1のそれぞれが通信機能を有する。点灯装置4は、通信線8に接続された通信回路を更に備える。通信回路は、通信線8を介して信号の送信及び信号の受信を行う。通信回路は、イーサネット(Ethernet)(登録商標)などの有線LAN(Local Area Network)、又はRS-485などの規格(例えば、IEEE 802.3、又はRS-485など)に準拠して、信号の送信及び信号の受信を行うことが好ましい。したがって、複数の防災照明器具1の各点灯装置4では、制御回路42が通信回路を制御することで通信線8を介した通信を行い、制御回路42は、他の点灯装置4との間でデータの授受を行うことができる。
【0084】
そして、通信線8を介して通信可能な複数の点灯装置4のそれぞれが、自装置以外の他の点灯装置4と通信することによって、他の防災照明システムB2に対する第1報知及び第2報知を行う。
【0085】
例えば、複数の点灯装置4の各制御回路42は、通信回路をそれぞれ制御することで、使用期間が報知期間に達した場合、点検時期の報知に関するデータを他の点灯装置4へ送信する。また、各制御回路42は、未点検期間が第2報知期間に達した場合も同様に、他の点灯装置4へ点検時期の時に報知に関するデータを他の点灯装置4へ送信する。他の点灯装置4では、制御回路42が上記データを取得すると、制御回路42の報知制御回路423が第1報知又は第2報知を行う。これにより、自装置だけでなく、他の防災照明器具1においても、第1報知及び第2報知を行うことができる。
【0086】
また、複数の点灯装置4の各制御回路42は、自装置の点検時期に関するデータをマルチキャスト又はブロードキャストで送信してもよい。
【0087】
また、複数の点灯装置4の各制御回路42は、定期的に他の点灯装置4に対してデータ要求をマルチキャスト又はブロードキャストで送信してもよい。データ要求を受信した制御回路42は、自装置の点検時期に関するデータを、データ要求の送信元の点灯装置4へ返信する。
【0088】
また、通信回路は、無線通信によって信号の送信及び信号の受信を行ってもよい。例えば、通信回路は、無線LAN、BLUETOOTH(登録商標)、又はZIGBEE(登録商標)などの規格(例えば、IEEE 802.11、IEEE 802.15.1、又はIEEE 802.15.4など)に準拠して、信号の送信及び信号の受信を行う。この場合、防災照明システムには、通信線8が不要となる。
【0089】
したがって、防災照明システムB2が有する複数の点灯装置4のそれぞれは、他の点灯装置4の点検時期を把握でき、他の点灯装置4において自装置の点検時期の報知を行う。
【0090】
(効果)
第1態様に係る点灯装置(4)は、点灯回路(41)と、電源タイマ(421)と、点検タイマ(422)と、報知部(報知回路43)とを備える。点灯回路(41)は、外部電源(9)の停止時に非常電源(電池3)から供給される電力で光源(2)を点灯させる。非常電源は、外部電源(9)から供給される電力で充電される。電源タイマ(421)は、非常電源の使用期間(Ta)を計時する。点検タイマ(422)は、非常電源を放電させる点検が完了してからの期間を未点検期間(Tb)として計時する。報知部は、報知機能を有する。報知部は、電源タイマ(421)で計時された使用期間(Ta)が報知期間(第1報知期間[Tc])に達した場合に、光、音及び識別子の少なくとも1つで報知(第1報知N1)を行う。
【0091】
第1の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の点検時期を報知することができる。これにより、例えば点検者又は管理者に非常電源の点検時期を知らせることができる。
【0092】
第2の態様に係る点灯装置(4)では、第1の態様において、使用期間(Ta)は、非常電源(電池3)の充電が開始されてからの経過時間である。
【0093】
第2の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の充電開始を考慮して、非常電源の点検時期を報知することができる。
【0094】
第3の態様に係る点灯装置(4)では、第1の態様において、使用期間(Ta)は、非常電源(電池3)の製造時からの経過時間である。
【0095】
第3の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の製造時を考慮して、非常電源の点検時期を報知することができる。
【0096】
第4の態様に係る点灯装置(4)では、第1の態様において、使用期間(Ta)は、非常電源(電池3)の装着時からの経過時間である。
【0097】
第4の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の装着時を考慮して、非常電源の点検時期を報知することができる。
【0098】
第5の態様に係る点灯装置(4)では、第1の態様において、使用期間(Ta)は、非常電源(電池3)の充電が開始される時点、非常電源の製造時、及び、非常電源の装着時の少なくとも2つに基づいて得られるタイミングからの経過時間である。
【0099】
第5の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の充電が開始される時点、非常電源の製造時、及び、非常電源の装着時の少なくとも2つを考慮して、非常電源の点検時期を報知することができる。
【0100】
第6の態様に係る点灯装置(4)では、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、報知部(報知回路43)は、第1機能と、第2機能とを有する。第1機能は、電源タイマ(421)で計時された使用期間(Ta)が、報知期間である第1報知期間([Tc])に達した場合に、光、音及び識別子の少なくとも1つで第1報知(N1)を行う。第2機能は、使用期間(Ta)が第1報知期間([Tc])に達した後、点検タイマ(422)で計時された未点検期間(Tb)が第2報知期間([Td])に達した場合に、光、音及び識別子の少なくとも1つで第2報知(N2)を行う。
【0101】
第6の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の点検時期を定期的に報知することができる。これにより、例えば点検者又は管理者に非常電源の点検時期を定期的に知らせることができる。
【0102】
第7の態様に係る点灯装置(4)では、第6の態様において、報知部(報知回路43)は、光源(2)とは異なる表示素子を有する。報知部は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、表示素子が放射する光を用いて行う。
【0103】
第7の態様に係る点灯装置(4)によれば、表示素子を用いて簡単に報知を行うことができる。
【0104】
第8の態様に係る点灯装置(4)では、第6の態様において、報知部(報知回路43)は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、光源(2)が放射する光を用いて行う。
【0105】
第8の態様に係る点灯装置(4)によれば、他の発光素子を追加することなく、簡単に報知を行うことができる。
【0106】
第9の態様に係る点灯装置(4)では、第6の態様において、光源(2)は、複数の発光素子を含む。報知部(報知回路43)は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、複数の発光素子の少なくとも1つが放射する光を用いて行う。
【0107】
第9の態様に係る点灯装置(4)によれば、通常の点灯を区別させて報知を行うことができる。
【0108】
第10の態様に係る点灯装置(4)では、第6~9の態様のいずれか1つにおいて、報知部(報知回路43)は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、点滅によって行う。
【0109】
第10の態様に係る点灯装置(4)によれば、点検者又は管理者に非常電源(電池3)の点灯時期をはっきりと知らせることができる。
【0110】
第11の態様に係る点灯装置(4)では、第6~9の態様のいずれか1つにおいて、報知部(報知回路43)は、第1報知及び第2報知の少なくとも一方を、点灯によって行う。
【0111】
第11の態様に係る点灯装置(4)によれば、点灯によって、点検者又は管理者に非常電源の点検時期をはっきりと知らせることができる。
【0112】
第12の態様に係る点灯装置(4)では、第6~11の態様のいずれか1つにおいて、電源タイマ(421)は、使用期間(Ta)が第1報知期間([Tc])に達する前に、点検が行われても、使用期間(Ta)の計時を継続する。
【0113】
第12の態様に係る点灯装置(4)によれば、例えば法令等により非常電源(電池3)の点検が不要な期間を第1報知期間([Tc])とすることで、点検が不要な期間の経過後における点検が必要なタイミングにおいて、報知を確実に行うことができる。
【0114】
第13の態様に係る点灯装置(4)では、第6~12の態様のいずれか1つにおいて、点検タイマ(422)は、未点検期間(Tb)が第2報知期間([Td])に達する前に、点検が行われると、未点検期間(Tb)の計時値をリセットする。
【0115】
第13の態様に係る点灯装置(4)によれば、実際に点検が行われると、計時値をリセットすることによって、次の点検時期を精度よく報知することができる。
【0116】
第14の態様に係る点灯装置(4)では、第6~13の態様のいずれか1つにおいて、報知部(報知回路43)は、第1機能において、使用期間(Ta)が第1報知期間([Tc])に達した場合に、人が存在すると、第1報知(N1)を行う。報知部は、第2機能において、未点検期間(Tb)が第2報知期間([Td])に達した場合に、人が存在すると、第2報知(N2)を行う。
【0117】
第14の態様に係る点灯装置(4)によれば、人が存在する場合に、報知を行うことができるので、無駄な報知を低減させることができる。
【0118】
第15の態様に係る点灯装置(4)では、第6~14の態様のいずれか1つにおいて、報知部(報知回路43)は、第1機能において、使用期間(Ta)が第1報知期間([Tc])に達した場合に、あらかじめ決められた第1タイミングで第1報知(N1)を行う。報知部は、第2機能において、未点検期間(Tb)が第2報知期間([Td])に達した場合に、あらかじめ設定された第2タイミングで第2報知(N2)を行う。
【0119】
第15の態様に係る点灯装置(4)によれば、非常電源(電池3)の点検時期をすぐに報知するのではなく、都合のよいタイミングで報知することができる。
【0120】
第16の態様に係る防災照明器具(1)は、第1~15のいずれか1つの点灯装置(4)と、光源(2)と、非常電源(電池3)と、本体(10)とを備える。光源(2)は、点灯装置(4)からの電力によって点灯する。本体(10)には、点灯装置(4)、光源(2)及び非常電源が取り付けられている。
【0121】
第16の態様に係る防災照明器具(1)では、点灯装置(4)において、非常電源(電池3)の点検時期を報知することができる。これにより、例えば点検者又は管理者に非常電源の点検時期を知らせることができる。
【0122】
第17の態様に係る防災照明システム(B1;B2)は、第16の態様の複数の防災照明器具(1)を備える。
【0123】
第17の態様に係る防災照明システム(B1;B2)によれば、複数の防災照明器具(1)の各々において、非常電源(電池3)の点検時期を報知することができる。これにより、例えば点検者又は管理者に非常電源の点検時期を知らせることができる。
【符号の説明】
【0124】
1 防災照明器具
2 光源
3 電池(非常電源)
4 点灯装置
41 点灯回路
421 電源タイマ
422 点検タイマ
43 報知回路(報知部)
9 外部電源
B1,B2 防災照明システム
Ta 使用期間
Tb 未点検期間
[Tc] 第1報知期間
[Td] 第2報知期間
N1 第1報知
N2 第2報知